説明

ハイブリッドバイオチップ

【課題】 桧,杉,竹等のチップ材を利用し、植物等の活性材や畜舎の脱臭剤、果実等の病気予防剤、汚水浄化剤等として広範囲に利用されるハイブリッドバイオチップを提供する。
【解決手段】 このハイブリッドバイオチップ1は桧,杉,竹等のチップ材8にバイオ菌を植え付け、これに培養材を入れ、かつ菌の栄養剤を注入して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物等の活性剤及び病気予防、土壌改良剤、畜産物の脱臭、汚水の浄化等に効果があり、製造が比較的簡単なハイブリッドバイオチップに関する。
【背景技術】
【0002】
活性剤や汚水浄化剤や悪臭防止等の浄化剤として木材等チップにバイオ菌を注入して形成されるバイオチップの如きものは従来より各種のものがあり、その一例として「特許文献1」の如きものが挙げられる。
【特許文献1】特開2000−128680号(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記の「特許文献1」の「特開2000−128680号」の「生ごみ処理機の新型長寿命かつ無臭の菌床の発明」は、このバイオ菌と木材チップと籾殻を混合し加水し、加温して設置し、その後撹拌して形成されて形成される菌床の如きものを作る発明であり、木材やバイオ菌を使用する点において本発明と似ている点もあるが、本発明のハイブリッドバイオチップのように、植物の活性剤、土壌改良剤脱臭剤、汚水浄化剤と極めて広範囲の用途に適応するものではなく、常時は密閉保管されて必要時においてのみ開封使用され、取扱性がよく長時間活動し得るものではない。また、従来のバイオチップとしても本発明のように、取扱性がよく、各方面に効果を有し、比較的製造し易いバイオチップは見当らない。
【0004】
本発明は以上の事情に鑑みて発明されたものであり、製作し易く、かつ広範囲の浄化剤改良剤、脱臭剤として使用されるハイブリッドバイオチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、桧,杉,竹のチップにバイオ菌を植え付け、これに菌の高濃度な増殖及び胞子に必要な培養剤を注入し、更に菌の栄養剤を注入して形成され、不使用時は密封保管されることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記培養剤が、ケイ酸,カルシュウムであることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明は、前記栄養剤が、アミノ酸溶液であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1のハイブリッドバイオチップによれば、本発明のハイブリッドバイオチップは桧,杉,竹等の比較的入手し易い原材料を用いてこれにバイオ菌や菌の培養や栄養剤と有効な材料を加えて作成されるものであり、完成後、密閉保管されるものであり、菌の作用や強力であり、使用時のみ開封使用されるため長期間保管することができる。
【0009】
また、本発明の請求項2のハイブリッドバイオチップによれば、培養剤としては比較的入手し易いものからなり、安価に実施することができる。
【0010】
また、本発明の請求項3のハイブリッドバイオチップによれば、栄養剤とも入手し易いものが用いられ、比較的安価に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明のハイブリッドバイオチップの実施の形態を図面を参照して詳述する。
図1は完成品のハイブリッドバイオチップ1の保管状態を示す模式図である。完成品のハイブリッドバイオチップ1は袋2内に封入され密閉状態で保管される。この状態では菌は休眠状態にあり、菌は開封により始めて活動する。なお、活動期間としては約10ヶ月はある。
【0012】
図2は本発明のハイブリッドバイオチップ1を作るための製造装置の概要構造を示す。
バイオチップ製造装置100は、培養槽3と、撹拌槽4と、エアー供給源5や循環ポンプ6等とからなる。なお、これ等の各要素を連結する管体には適宜開閉弁が介設される。
【0013】
図2において、培養槽3は箱体からなり、上方側に好気性槽3aが形成され、下方側には嫌気性槽3bが形成され、これ等はフィルタ7により仕切られている。この両槽3a,3b内には桧,杉,竹等のチップ材8が充填される。また、好気性槽3a内にはエアー供給源5からのエアーが導入される。
【0014】
一方、撹拌槽4内にはバイオ菌やアミノ酸溶液が注入されると共に空気供給源5からのエアーが供給される。また、撹拌槽4には図略の撹拌手段が内蔵される。撹拌槽4と培養槽3とは開閉弁13を介して連結される。
【0015】
循環ポンプ6は開閉弁9,10,11,12を介して培養槽3に連結され好気性槽3aや嫌気性槽3b内に水を供給する。
【0016】
以上のバイオチップ製造装置100を作動することにより本発明のハイブリッドバイオチップ1が培養槽3内で製造され、図1に示す袋2内に密閉されることになる。
【0017】
次に、図3のフローチャートにより、本発明のハイブリッドバイオチップ1の製造方法を説明する。まず、桧,杉,竹等のチップ材8を含水率30%以下に乾燥する(ステップ100)。次に、このチップ材を培養槽3内に入れる(ステップ101)。培養槽3内にチップ材8が水にひたる程度に水を注入する(ステップ102)。上下に分かれた好気性槽3aに少量のエアーを送る(ステップ103)。この状態で循環ポンプ6を作動し適量の水を循環供給する(ステップ104)。なお、水温は10℃以下にならないようにする。この状態で約10日間養生し(ステップ105)、菌の植え付けを完了させる(ステップ106)。培養槽3内から処理済チップ材8を取り出し袋2内に充填し常温密閉を行い休眠状態にする(ステップ107)。以上により、ハイブリッドバイオチップ1の製造が完了する。なお、ハイブリッドバイオチップ1を使用する場合は、袋からハイブリッドバイオチップ1を取り出し、目的対象物に供給する。なお、前記のようにハイブリッドバイオチップ1の活動生存期間は約10ヶ月である。
【0018】
以上の工程により製造されたハイブリッドバイオチップ1の用途を次に説明する。まず、植物や野菜の活性剤として使用され、その使用方法は肥料とほぼ同一である。また、土壌改良剤として使用され、連作を可能とする。また、畜産物の脱臭剤として使用され、例えば、畜舎に敷いて使用される。また、汚水浄化剤として利用され、汚水をハイブリッドバイオチップ1内を通過させることにより、窒素やリン等を低減し、汚水を河川放流基準値以下の浄水にすることができる。また、植物の病気予防剤として使用される。具体的にはハイブリッドバイオチップ1を植物のまわりに埋めればよい。その他公園や道路等の植栽の活性剤として利用され、梨,リンゴ,桃,ブドウ等の果樹の病気予防にも利用される。また、汚水浄化作用としては前記のように窒素,リン等を除去する効果があり、河川放流基準値以下に浄化することが可能になる。
【産業上の利用分野】
【0019】
本発明のハイブリッドバイオチップは前記のように各方面への利用可能性があるが、以上の他の方面に対しても適用可能なものであり、その利用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のハイブリッドバイオチップの流通時の形態を示す模式図。
【図2】本発明のハイブリッドバイオチップの製造装置の概要構成を示す構成図。
【図3】本発明のハイブリッドバイオチップの製造方法を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0021】
1 ハイブリッドバイオチップ
2 袋
3 培養槽
3a 好気性槽
3b 嫌気性槽
4 撹拌槽
5 エアー供給源
6 循環ポンプ
7 フィルタ
8 チップ材
9 開閉弁
10 開閉弁
11 開閉弁
12 開閉弁
13 開閉弁
100 製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桧,杉,竹のチップにバイオ菌を植え付け、これに菌の高濃度な増殖及び胞子に必要な培養剤を注入し、更に菌の栄養剤を注入して形成され、不使用時は密封保管されることを特徴とするハイブリッドバイオチップ。
【請求項2】
前記培養剤が、ケイ酸,カルシュウムであることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドバイオチップ。
【請求項3】
前記栄養剤が、アミノ酸溶液であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドバイオチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−44034(P2007−44034A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354206(P2005−354206)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願変更の表示】意願2005−6535(D2005−6535)の変更
【原出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(305038371)株式会社セイスイ (5)
【Fターム(参考)】