説明

ハイブリッドポリイソシアネート

本発明は、有機−無機被覆材料および接着剤を製造するための、多官能性有機シラン、金属アルコキシドおよびアルコキシシラン含有ブロックトポリイソシアネートに基づいたハイブリッド無機−有機ポリイソシアネートに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機−無機被覆組成物および接着剤を製造するための、多官能性有機シラン、金属アルコキシドおよびアルコキシシラン含有ブロックトポリイソシアネートに基づいたハイブリッド有機−無機ポリイソシアネートに関する。
【背景技術】
【0002】
有機−無機ハイブリッド材料の合成によって、有機物質および無機物質の典型的な性質を1つの材料に併せ持たせる試みがなされている。例えば、ガラスは優れた硬さおよび耐酸性を特徴としており、一方、有機ポリマーは高弾性材料に相当する。これまでに様々な有機−無機ハイブリッド材料が知られるようになってきており、それらは、純有機ポリマーよりずっと硬いが、純無機材料の脆性を有してはいない。
【0003】
ハイブリッド材料は、有機成分と無機成分との相互作用の様子および状態によって、様々なタイプに分類される。この概説は、J. Mater. Chem. 6 (1996) 511に見られる。
【0004】
ハイブリッド材料の1つの種は、例えばポリエステルまたはポリアクリレートのような常套の有機ポリマーと共にポリマー鎖が相互貫入する混合物(「相互貫入網目」)を構成する無機網状構造を形成する、例えばSi(OEt)のような(半)金属アルコキシ化合物の加水分解および縮合によって得られる。1つの網状構造と別の網状構造との共有化学結合は存在せず、代わりに、相互作用は、存在したとしても非常に弱い(例えば、ヴァンデルヴァールス結合または水素結合)。この種のハイブリッド材料は、例えばWO 93/01226およびWO 98/38251に記載されている。
【0005】
WO 98/38251は、透明ハイブリッド材料が、少なくとも1種の有機ポリマー、無機粒子、有機−無機バインダー、および溶媒の混合物から得られることを教示している。実施例8〜10は、ハイブリッド被膜として例えば硬度、光透過性およびクラックフリー適用を特徴とする混合物を記載している。そこに記載されている特性に加えて、特に屋外領域を被覆するトップコートの分野で非常に重要な特性は、屋外耐候安定性、即ち気候条件の同時影響下での紫外線に対する耐性である。これは、WO 98/38251に記載されている系によって十分には解決されていない。更に、ハイブリッドポリイソシアネートは記載されていない。
【0006】
DE 10 2004 048874は、無機バインダー、金属アルコキシド、無機紫外線吸収剤および有機ポリオールに基づいたハイブリッド組成物を開示している。一例として、そのような系の架橋をブロックトポリイソシアネートを用いて実施している。一方、ブロックトポリイソシアネートと無機成分とのポリオール不含有混合物の利点は開示または言及されていない。既存する系と比べると、DE 10 2004 048874に記載されている系は、改善された耐候安定性および耐酸性、並びにより高い耐引掻性を示すが、それらの貯蔵安定性、耐溶剤性および耐薬品性は十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 93/01226
【特許文献2】WO 98/38251
【特許文献3】DE 10 2004 048874
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J. Mater. Chem. 6 (1996) 511
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ゾル−ゲル単位を含有する無機ブロックトハイブリッドポリイソシアネート組成物の凝固に対する安定性を改善し、該組成物の性能特性を改善することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
意外なことに、ブロックトポリイソシアネートが、一部がアミノアルコキシシランと反応されているNCO基を有する場合に、この目的が達成され得ることが見出された。
【0011】
本発明は、有機ポリオールを含有せず、
A)いずれの場合にも1〜3個のアルコキシ基またはヒドロキシル基を有する少なくとも2個のケイ素原子を含有する多官能性有機シランに基づいた無機バインダーであって、ケイ素原子がいずれの場合にも少なくとも1個のSi−C結合によってケイ素単位を結合する構造単位に結合している無機バインダー、
B)(半)金属アルコキシドおよびその加水分解生成物および縮合生成物、
C)無機紫外線吸収剤としてのZnOおよび/またはCeO粒子であって、その少なくとも90%が超遠心分離器によって測定された50nm以下の平均粒度を有する粒子、
D)NCO基の少なくとも一部がイソシアネート反応性アルコキシシランと反応されているブロックト有機ポリイソシアネート
を含んでなるハイブリッドポリイソシアネート組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
成分A)の無機バインダーは、いずれの場合にも1〜3個のアルコキシ基またはヒドロキシル基を有する少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のケイ素原子を含有する多官能性有機シランであり、ケイ素原子は、いずれの場合にも少なくとも1個のSi−C結合によってケイ素単位を結合する構造単位に結合している。
【0013】
本発明では、結合する構造単位の例は、直鎖または分枝C〜C10アルキレン鎖、C〜C10シクロアルキレン基、芳香族基(例えば、フェニル、ナフチルまたはビフェニル)、或いは芳香族基と脂肪族基との組み合わせを包含する。脂肪族基および芳香族基は、Si、N、O、SまたはFのようなヘテロ原子を含有してもよい。
【0014】
多官能性有機シランの例は、一般式(I):
4−iSi[(CHSi(OR3−a (I)
[式中、
i=2〜4、好ましくはi=4、
n=1〜10、好ましくはn=2〜4、より好ましくはn=2、
=アルキル、アリール、
=アルキル、アリール、好ましくはR=メチル、エチル、イソプロピル、
=アルキル、アリール、好ましくはR=メチル、
a=1〜3、ここでa=1ならばRは水素を示してもよい。]
で示される化合物である。
【0015】
多官能性有機シランの別の例は、一般式(II):
【化1】

[式中、
m=3〜6、好ましくはm=3または4、
l=2〜10、好ましくはl=2、
=アルキル、アリール、好ましくはR=メチル、エチル、イソプロピル、
=アルキル、アリール、好ましくはR=メチル、
=C〜CアルキルまたはC〜C14アリール、好ましくはR=メチル、エチル、より好ましくはR=メチル、
b=1〜3、ここでb=1ならばRは水素を示してもよい。]
で示される環状化合物である。
【0016】
多官能性有機シランの別の例は、一般式(III):
Si[OSiR(CHSi(OR3−c (III)
[式中、
p=1〜10、好ましくはp=2〜4、より好ましくはp=2、
=アルキル、アリール、好ましくはR=メチル、
=アルキル、アリール、好ましくはR=メチル、エチル、イソプロピル、
=アルキル、アリール、好ましくはR=メチル、
c=1〜3、ここでc=1ならばRは水素を示してもよい。]
で示される化合物である。
【0017】
多官能性有機シラン、シラノールおよび/またはアルコキシドの別の可能な例は、以下を包含する:
a)Si[(CHSi(OH)(CH
b)シクロ−{OSiMe[(CHSi(OH)Me]}
c)シクロ−{OSiMe[(CHSi(OEt)Me]}
d)シクロ−{OSiMe[(CHSi(OMe)Me]}
e)シクロ−{OSiMe[(CHSi(OEt)]}
【0018】
上記化合物並びに式(I)、(II)および/または(III)で示される化合物の、オリゴマー、即ち加水分解生成物および縮合生成物を使用することも同様に可能である。
【0019】
特に好ましくは、成分A)の無機バインダーは、シクロ−{OSiMe[(CH2)2Si(OH)Me2]}4および/またはシクロ−{OSiMe[(CH2)2Si(OEt)2Me]}4に基づく。
【0020】
成分B)の(半)金属アルコキシドは、一般式(IV):
10x−yM(OR11 (IV)
[式中、R10、R11は、相互に独立に、アルキルまたはアリール基、好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルまたはフェニル基、より好ましくは、メチルまたはエチル基であり、
可変である記号M、xおよびyは各々、
M=Si、Sn、TiまたはZrならばx=4およびy=1〜4、或いは
M=BまたはAlならばx=3およびy=1〜3
である。]
に従う。
【0021】
その例は、Si(OEt)、Si(OMe)、HC−Si(OEt)、HC−Si(OMe)、B(OEt)、Al(OPr)、またはZr(OPr)である。本発明では、単量体アルコキシドに代えて、その加水分解生成物および縮合生成物を使用することもできる。例えば、Si(OEt)縮合物は市販されている。
【0022】
成分B)として、Si(OEt)、並びにその加水分解生成物および/または縮合生成物を使用することが特に好ましい。
【0023】
成分C)の無機紫外線吸収剤は、好ましくは、30nm以下の平均粒度を有する。
【0024】
使用される粒子全体の好ましくは少なくとも98%、特に好ましくは少なくとも99.5%が要求される平均粒度を有する。
【0025】
これらの無機紫外線吸収剤は、固体状だけでなく好ましくは分散体(ゾル)の形態で使用され得る。この場合、使用できる溶媒は、水、酸水溶液または塩基水溶液だけでなく有機溶媒或いはそれらの混合物を包含する。
【0026】
C)として、ZnOおよび/またはCeOの分散体(ゾル)を使用することが特に好ましく、上記した粒度範囲を有するCeOの酸安定化分散体(ゾル)が非常に好ましい。
【0027】
成分D)のブロックトポリイソシアネートは、当業者にとってそれ自体既知であり、一分子あたり2個以上のNCO基を有するNCO官能性化合物に基づく。これらの化合物は、好ましくは、2.3〜4.5のNCO官能価、11.0重量%〜24.0重量%のNCO基含有量、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の単量体ジイソシアネート含有量を有する。
【0028】
この種のポリイソシアネートは、単純脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートを変性することによって得られ、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有し得る。また、NCO含有プレポリマーとして、そのようなポリイソシアネートを使用することもできる。この種のポリイソシアネートは、例えば、Laasら、(1994), J. prakt. Chem. 336, 185-200、またはBock (1999), Polyurethane fuer Lacke und Beschichtungen, Vincentz Verlag, Hannover, 第21〜27頁に記載されている。
【0029】
そのようなポリイソシアネートを調製するのに適したジイソシアネートは、ホスゲン法またはホスゲンフリー法、例えば熱ウレタン分解法によって得ることができる、脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的および/または芳香族的結合イソシアネート基を含有する分子量範囲140〜400g/molのあらゆる所望のジイソシアネートであり、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−および1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、 ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、1,3−および1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、2,4−および2,6−ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’−および4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、1,5−ジイソシアナトナフタレンまたはそのようなジイソシアネートの所望の混合物である。
【0030】
成分D)のブロックトポリイソシアネートは、好ましくは、IPDI、MDI、TDI、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、HDIおよびそれらの混合物に基づく。ブロックトポリイソシアネートは、特に好ましくは、IPDIおよび/またはHDIに基づく。
【0031】
成分D)のブロックトポリイソシアネートは、典型的には、上記した種のポリイソシアネートとアミノアルコキシシランとを反応させ、次いで残留遊離NCO基と当業者にそれ自体知られているブロッキング剤とを反応させることによって得られる(Houben Weyl, Methoden der organischen Chemie XIV/2, 第61〜70頁)。
【0032】
使用されるイソシアネート反応性アルコキシシランは、好ましくは、式(V):
Q−Z−SiX3−a (V)
[式中、Qはイソシアネート反応性基であり、Xは加水分解性基であり、Yは同じまたは異なったアルキル基であり、ZはC〜C12アルキレン基であり、aは1〜3の整数である。]
で示される化合物である。
【0033】
好ましくは、式(V)中の基Qは、イソシアネート基と反応性してウレタン、ウレアまたはチオウレアを形成する基である。そのような基は、好ましくは、OH基、SH基、或いは第一級または第二級アミノ基である。
【0034】
好ましいアミノ基は、式−NHR[式中、Rは水素、C〜C12アルキル基またはC〜C20アリール基である。]に従う。
【0035】
式(V)中の基Xは、好ましくはアルコキシ基またはヒドロキシル基であり、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシである。
【0036】
式(I)中のYは、好ましくは直鎖または分枝C〜Cアルキル基であり、好適にはメチルまたはエチルである。
【0037】
式(V)中のZは、好ましくは直鎖または分枝C〜Cアルキレン基である。
【0038】
式(V)中のaは、好ましくは1または2を表す。
【0039】
式(V)の適当なアルコキシシランは、ヒドロキシメチルトリ(メト)エトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリ(メト)エトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジ(メト)エトキシシランおよび第二級アミノ基含有アルコキシシリル化合物である。そのような第二級アミノアルコキシシランの例は、N−メチル−3−アミノプロピルトリ(メト)エトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−ブチル−3−アミノプロピルトリ(メト)エトキシシラン、N−エチル−3−アミノイソブチルトリ(メト)エトキシシランまたはN−エチル−3−アミノイソブチルメチルジ(メト)エトキシシランおよび類似C〜Cアルコキシシランである。
【0040】
同様に好ましいイソシアネート反応性アルコキシシランは、例えばUS−A 5 364 955に従ってアミノシランとマレイン酸エステルまたはフマル酸エステル(好ましくはマレイン酸ジメチルまたはマレイン酸ジエチル)との反応によって得られる種のアスパラギン酸エステルである。
【0041】
ポリイソシアネートを変性するための特に好ましいイソシアネート反応性アルコキシシランは、上記したタイプの第二級アミノアルコキシシランであり、1または2個のアルコキシ基を含有するアスパラギン酸エステルおよびアミノアルコキシシランがとりわけ好ましい。
【0042】
上記アルコキシシランは、単独でまたは変種との混合物として使用され得る。
【0043】
変性において、変性されるイソシアネートの遊離NCO基と、式(V)で示されるアルコキシシランのNCO反応性基Qとの比は、好ましくは1:0.01〜1:0.75、特に好ましくは1:0.05〜1:0.4である。
【0044】
基本的にもちろん、上記アルコキシシランでより多い画分のNCO基を変性することも可能であるが、架橋に利用可能な遊離NCO基の数が、満足な架橋のためになお十分であることを確実にすべきである。
【0045】
ブロッキングのため、ブロックされる上記変性イソシアネートを、1種のブロッキング剤または2種以上のブロッキング剤の混合物と反応させる。
【0046】
適当なブロッキング剤は、必要に応じて触媒の存在下でブロックト(ポリ)イソシアネートを加熱すると除去され得る化合物の全てを包含する。適当なブロッキング剤は、例えば、立体的に嵩高いアミン、例えば、ジシクロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、N−tert−ブチル−N−ベンジルアミン、カプロラクタム、ブタノンオキシム、考えられる様々な置換パターンを有するイミダゾール、ピラゾール、例えば、3,5−ジメチルピラゾール、トリアゾールおよびテトラゾール、アルコール、例えば、イソプロパノール、エタノール、メチルエチルケトオキシム、マロン酸エステルである。
【0047】
これに加えて、進行している反応の間にブロッキング剤が除去されるのではなく、形成された中間体が介在して反応によって消費されるように、イソシアネート基をブロッキングする可能性も存在する。これは特にシクロペンタノン−2−カルボキシエチルエステルを用いる場合であり、該エステルは、熱架橋反応において反応によって高分子網目に完全に組み込まれ、再び除去されることはない。
【0048】
好ましいブロッキング剤は、ブタノンオキシム、カプロラクタム、マロン酸エステル、ジイソプロピルアミン、シクロペンタノン−2−カルボキシエチルエステル、シクロペンタノン−2−カルボキシメチルエステル、イソプロパノール、ジメチルピラゾールおよびそれらの混合物である。ジメチルピラゾールが特に好ましい。
【0049】
成分D)の本発明のポリイソシアネートの遊離NCO基含有量は、5重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に0.1重量%未満である。
【0050】
本発明のハイブリッドポリイソシアネート組成物の粘度を調節するため、成分A)〜D)に加えて有機溶媒を添加することもできる。その例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、1,2−エタンジオールまたはグリセロールのようなアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたはブタノンのようなケトン、酢酸エチルまたはメトキシプロピルアセテートのようなエステル、トルエンまたはキシレンのような芳香族、tert−ブチルメチルエーテルのようなエーテル、および脂肪族炭化水素である。
【0051】
極性溶媒が好ましく、上記した種のアルコールを使用することが特に好ましい。
【0052】
50重量%超、特に好ましくは80重量%超のアルコールおよび/またはエステル画分を有する溶媒混合物を使用することがとりわけ好ましい。
【0053】
組成物の固形分が5重量%〜75重量%、特に好ましくは20重量%〜55重量%となるように、溶媒量を選択することが好ましい。
【0054】
本発明のハイブリッドポリイソシアネート組成物は、更に、加水分解反応および縮合反応を促進する役割を果たす触媒を含んでなることもできる。使用され得る触媒は、有機および無機の酸および塩基、有機金属化合物、フッ化物化合物または金属アルコキシドを包含する。挙げることができる例は、以下を包含する:酢酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、アンモニア、ジブチルアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウムまたはアルミニウムイソプロポキシド。
【0055】
本発明の1つの好ましい態様では、成分A)〜D)に基づいた本発明のハイブリッドポリイソシアネート組成物は、
1重量%〜40重量%の無機バインダーA)、
10重量%〜80重量%の(半)金属アルコキシドB)、
0.1重量%〜20重量%の無機紫外線吸収剤C)、および
5重量%〜70重量%のアルコキシシラン変性ブロックトポリイソシアネートD)
の組成を有し、成分A)〜D)の合計は100重量%となる。
【0056】
本発明の1つの特に好ましい態様では、成分A)〜D)に基づいた本発明のハイブリッドポリイソシアネート組成物は、
5重量%〜30重量%の無機バインダーA)、
20重量%〜65重量%の(半)金属アルコキシドB)、
0.2重量%〜10重量%の無機紫外線吸収剤C)、および
10重量%〜50重量%のアルコキシシラン変性ブロックトポリイソシアネートD)
の組成を有し、成分A)〜D)の合計は100重量%となる。
【0057】
本発明のハイブリッドポリイソシアネート組成物は、典型的には、成分A)およびB)並びに必要に応じて有機溶媒画分をまず導入し、次いで必要に応じて酸の添加による(部分)加水分解を実施し、最後に成分C)および必要に応じて更なる有機溶媒を撹拌しながらおよび必要に応じて冷却しながら添加することによって調製される。その後、成分D)を添加する。
【0058】
この場合、無機紫外線吸収剤C)を、好ましくは本発明の成分A)および/またはB)に撹拌混合することによって、本発明の組成物に配合する。有機ポリイソシアネート成分への撹拌混合は好ましくない。
【0059】
本発明は更に、
a)上記したハイブリッドポリイソシアネート組成物の1つおよび
b)少なくとも1種のポリオールまたはポリアミン
を少なくとも含んでなる被覆組成物を提供する。
【0060】
ハイブリッドポリイソシアネート組成物に加えて、本発明のポリウレタン系は、架橋のためのポリヒドロキシ化合物および/またはポリアミン化合物を含んでなる。これらに加えて、本発明のポリイソシアネートとは異なる別のポリイソシアネート、並びに助剤および添加剤が存在してもよい。
【0061】
適当なポリヒドロキシル化合物の例は、被覆剤技術でそれ自体典型的である、三官能性および/または四官能性アルコールおよび/またはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび/またはポリアクリレートポリオールである。
【0062】
更に、架橋のために、ウレタン基またはウレア基中に各々存在する活性水素原子によってポリイソシアネートと架橋できる、ポリウレタンまたはポリウレアを使用することもできる。
【0063】
同様に、アミノ基がブロックされていてもよいポリアミン、例えば、ポリケチミン、ポリアルジミンまたはオキサゾランを使用することも可能である。
【0064】
本発明のポリイソシアネートを架橋するため、ポリアクリレートポリオールおよびポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
【0065】
本発明の組成物とポリイソシアネートとの反応のための触媒として、元素がアルミニウム、錫、亜鉛、チタン、マンガン、鉄、ビスマスまたはジルコニウムである商業的に通例の有機金属化合物のような触媒、例えばラウリン酸ジブチル錫、オクタン酸亜鉛、チタンテトライソプロポキシドを使用することが可能である。しかしながら、例えば1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのような第三級アミンも適している。
【0066】
また、成分b)のポリオールおよび/またはポリアミンと成分a)の本発明の組成物との反応を、20〜200℃、好ましくは60〜180℃、特に好ましくは70〜150℃の温度で実施することによって、この反応を促進させることが可能である。
【0067】
成分a)の遊離NCO基および適当な場合にはブロックトNCO基と成分b)のOH基のNCO/OH比が、0.3〜2、好ましくは0.4〜1.5、特に好ましくは0.5〜1.0となるように、a)とb)との比を設定する。
【0068】
被覆剤技術で典型的である助剤、例えば、有機または無機顔料、更なる有機光安定剤、ラジカル掃去剤、被覆剤添加剤、例えば、分散助剤、流れ制御助剤、濃化助剤、消泡助剤および他の助剤、接着剤、殺真菌剤、殺菌剤、安定剤または阻害剤および更なる触媒との混合物として、本発明の組成物から、特に本発明の被覆組成物の形態で、自動車製造のための耐性が高い被膜を製造することができる。
【0069】
更に、本発明の被覆組成物は、プラスチックの被覆、床の被覆および/または木材/家具の被覆の分野に応用することもできる。
【実施例】
【0070】
特に記載のない限り、全てのパーセントは重量パーセントを表す。
シクロ−{OSiMe[(CH2)2Si(OEt)2Me]}4(D4ジエトキシド)は、WO 98/38251の実施例2に記載されているように調製した。
【0071】
Desmodur(登録商標)VPLS 2253:HDIに基づいた3,5−ジメチルピラゾールブロックトポリイソシアネート(三量体);MPA/SN100(8:17)中75%、23℃での粘度約3600mPas、ブロックトNCO含有量10.5%、当量400、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)
Desmodur(登録商標)N3300:ヘキサメチレンジイソシアネート三量体;NCO含有量21.8±0.3重量%、23℃での粘度約3000mPas、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)
Desmophen A665 BA:ポリアクリレートポリオール、酢酸ブチル中70%、OH含有量3.2%、23℃での粘度約8500mPas、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の市販品
Baysilone(登録商標)被覆剤添加剤OL 17:流れ制御助剤、Borchers GmbH(ドイツ国ランゲンフェルト在)から供給された状態の100%
BYK(登録商標)070:消泡剤、BYK-Chemie GmbH(ドイツ国ヴェーゼル在)から供給された状態のMPA/BA/キシレン中10%濃度
Tinuvin(登録商標)123:ラジカル掃去剤、Ciba Spezialitaetenchemie Lampertheim GmbH(ドイツ国ランペルトハイム在)から供給された状態の100%
Tinuvin(登録商標)384-2:紫外線安定剤、Ciba Spezialitaetenchemie Lampertheim GmbH(ドイツ国ランペルトハイム在)から供給された状態の100%
MPA/SN混合物:1−メトキシプロピルアセテートとソルベントナフサ100の1:1混合物(Kraemer & Martin GmbH(ドイツ国セントオーガスティン在))
DBTL:ジラウリン酸ジブチル錫、Brenntag AG(ドイツ国ミュルハイムアンデアルール在)から供給された状態の97%超
【0072】
耐薬品性:DIN EN ISO 2812-5に従った「被覆材料−液体に対する耐性の測定−パート5:勾配炉を用いた方法」
耐薬品性を単位℃で記載する。この目的のために、1%濃度の硫酸または対応する薬品を被膜上に振りかけ、次いで該被膜を勾配炉で加熱する。被膜に可視的損傷が最初に生じた温度を表1に記載する。この温度が高いほど、対象としている薬品に対する被膜の耐性がより優れている。
【0073】
耐引掻性、実験用洗浄装置(湿潤引掻):DIN EN ISO 20566に従った「被覆材料−実験用洗浄装置を用いた被覆系の耐引掻性試験」
相対残留光沢(%)は、DIN 5668に従って引掻いた後の光沢レベル(20°)を引掻く前の光沢と比較したものを表す。この数字が高いほど、耐引掻性はより優れている。引掻く前の初期光沢は、全ての系で87%〜92%であった。
【0074】
耐溶剤性の測定
この試験は、様々な溶剤に対する硬化被膜の耐性を確かめるために使用した。この目的のために、被膜表面を所定時間、溶剤に暴露する。次いで、試験した領域に変化が生じたかどうか、そして変化が生じた場合は如何なる変化が生じたかを、視覚的に、および手で触れることによって評価する。被膜は一般にガラス板上にあるが、他の基材も同様に可能である。脱脂綿で栓をした試験管の開口部が被膜上に位置するように、溶剤であるキシレン、1−メトキシプロプ−2−イルアセテート、酢酸エチルおよびアセトン(下記参照)が入った試験管の台を被膜表面上に置く。重要な因子は、結果的に溶剤によって被膜表面が湿潤することである。1分〜5分の溶剤への所定暴露時間後、被膜表面から試験管台を引き離す。次いで、吸収性の紙または布地で残留溶剤を直ちに除去する。続いて、指の爪で慎重に引掻いた後、試験領域の変化について直ちに視覚的に評価し、次の等級に分ける。
0=変化なし
1=かすかに変化 例えば、かすかに見える程度の変化
2=僅かに変化 例えば、指の爪で感じられる程度の軟化が確認できる
3=著しく変化 例えば、指の爪で著しい軟化が確認できる
4=激しく変化 例えば、指の爪で基材に至る
5=破壊 例えば、外部作用なしに被膜表面が破壊する
【0075】
上記した溶剤に対する評価等級を次の順に記載する。
実施例 0000(変化なし)
実施例 0001(アセトンに対してのみ可視的変化)
ここでの数字の順は、試験した溶剤の順を表す(キシレン、メトキシプロピルアセテート、酢酸エチル、アセトン)。
【0076】
貯蔵安定性:
貯蔵安定性を測定するため、試料を対応する温度で貯蔵し、ゲル化、沈降および変色について定期的に調べた。
【0077】
実施例1:
US−A 5 364 955の実施例5の教示に従って、等モル量の3−アミノプロピルトリメトキシシランとマレイン酸ジエチルとを反応させることによって、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルを調製した。
【0078】
実施例2:本発明の組成物の前駆体の調製(無機予備縮合物)
DE 10 2004 048874 A1の実施例1に描かれている、4リットル容の複数口フラスコに、204.7gのD4ジエトキシド、1054.1gのテトラエトキシシラン、309.7gのエタノール、929.2gの2−ブタノールおよび103.3gのブチルグリコールを導入し、この初期導入物を均質化し、次いで、まず108.4gの0.1モル塩酸を撹拌しながら添加した。30分の撹拌時間の後、更に111.2gの0.1モル塩酸を撹拌しながら添加し、続いて60分間超撹拌した。その後、56.8gの二酸化セリウム粒子(Cerium Colloidal 20%、Rhodia GmbH(ドイツ国フランクフルト/マイン在))を撹拌しながら添加し、次いで55.1gの2.5%濃度の酢酸を添加した。24時間のエージング後、無機予備縮合物を更に処理した。固体は20.78%であり、必要に応じて低沸点成分を除去することによってこれを濃縮した(減圧下、ロータリーエバポレーターにより80mbarおよび40℃の湯浴温度で)。
【0079】
実施例3:本発明の組成物の調製
標準的な撹拌装置に、60℃で、85gの酢酸ブチル中192.7g(1eq)のDesmodur(登録商標)N3300(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体;NCO含有量21.8±0.3重量%、23℃での粘度約3000mPas、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))を導入した。次いで慎重に、70.3g(0.2eq)の実施例1のアルコキシシランを滴加し、温度は最高60℃までに保った。反応終了後(NCO含有量が一定になったことを赤外分光法で分析)、生成物を室温まで冷却し、慎重に76.9gの1,3−ジメチルピラゾール(DMP)を添加し、赤外分光法でNCOピークが消失するまで温度を50℃に保った。
生成物は、以下の特性を有する無色の液状ブロックトポリイソシアネートであった:固形分80重量%、23℃での粘度3440mPas、DMPに基づいたブロックトNCO含有量7.91%。
【0080】
実施例4:本発明
133.4gの実施例3の化合物を366.7gの実施例2の化合物と混合し、該混合物を均質化し、次いで10μmのフィルターで濾過した。得られた混合物は、2−ブタノール/エタノール/酢酸ブチル中43.3%の理論固体、2.1%の理論ブロックトNCO含有量および1991の当量を有していた。
混合物は半透明で/黄色がかっており、室温で約2週間、沈降せず均質であった。
【0081】
実施例5:
標準的な撹拌装置に、60℃で、228.4gの酢酸ブチル中481g(1eq)のDesmodur(登録商標)N3300(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体;NCO含有量21.8±0.3重量%、23℃での粘度約3000mPas、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))を導入した。次いで慎重に、263.6g(0.3eq)の実施例1のアルコキシシランを滴加し、温度は最高60℃までに保った。反応終了後(NCO含有量が一定になったことを赤外分光法で分析)、生成物を室温まで冷却し、慎重に168.2gの1,3−ジメチルピラゾール(DMP)を添加し、赤外分光法でNCOピークが消失するまで温度を50℃に保った。
生成物は、以下の特性を有する無色の液状ブロックトポリイソシアネートであった:固形分80重量%、23℃での粘度2450mPas、当量652.6g/eq、DMPに基づいたブロックトNCO含有量6.44%。
【0082】
実施例6:
198.4gの実施例5の化合物を501.6gの実施例2の化合物と混合し、該混合物を均質化し、次いで10μmのフィルターで濾過した。得られた混合物は、2−ブタノール/エタノール/酢酸ブチル中40.1%の固体、1.66%の理論ブロックトNCO含有量および566.7の当量を有していた。
混合物は半透明で/黄色がかっており、室温で約10日間、ゲル化に対して安定であり、沈降しなかった。
【0083】
実施例7:(実施例4および6に対する比較例)
24.9gのDesmodur(登録商標)VPLS 2253(HDIに基づいた3,5−ジメチルピラゾールブロックトポリイソシアネート(三量体);MPA/SN100(8:17)中75%、23℃での粘度約3600mPas、ブロックトNCO含有量10.5%、当量400、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))を75.1gの実施例2の化合物と混合し、該混合物を均質化し、次いで10μmのフィルターで濾過した。得られた混合物は、2−ブタノール/エタノール/MPA/SN100中40.7%の理論固体および2.6%の理論ブロックトNCO含有量を有していた。
混合物は著しく濁り、相分離を示した。
【0084】
実施例8:
標準的な撹拌装置に、60℃で、94.2gの酢酸ブチル中192.7g(1eq)のDesmodur(登録商標)N3300(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体;NCO含有量21.8±0.3重量%、23℃での粘度約3000mPas、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))を導入した。次いで慎重に、70.38g(0.2eq)の実施例1のアルコキシシランを滴加し、温度は最高60℃までに保った。反応終了後(NCO含有量が一定になったことを赤外分光法で分析)、生成物を室温まで冷却し、慎重に113.8gのシクロペンタンカルボキシメチルエステル(CPME)を添加し、赤外分光法でNCOピークが消失するまで温度を50℃に保った。
生成物は、以下の特性を有する無色の液状ブロックトポリイソシアネートであった:固形分80重量%、23℃での粘度2380mPas、CPMEに基づいたブロックトNCO含有量7.13%。
【0085】
実施例9:
13.8gの実施例7の化合物を36.2gの実施例2の化合物と混合し、該混合物を均質化し、次いで10μmのフィルターで濾過した。得られた混合物は、2−ブタノール/エタノール/酢酸ブチル中43.8%の理論固体、1.97%の理論ブロックトNCO含有量を有していた。
混合物は半透明で/黄色がかっており、室温で約30日間、ゲル化に対して安定であり、沈降しなかった。
【0086】
実施例10(比較例、非ブロックトポリイソシアネート):
17.5gのDesmodur(登録商標)N3300(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体;NCO含有量21.8±0.3重量%、23℃での粘度約3000mPas、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))を82.5gの実施例2の化合物と混合し、該混合物を均質化し、次いで10μmのフィルターで濾過した。得られた混合物は、2−ブタノール/エタノール/酢酸ブチル中40%の理論固体、および3.43%の理論NCO含有量を有していた。
混合物は濁っており、二相に分離した。
【0087】
性能試験
実施例11では、実施例4の本発明のハイブリッドポリイソシアネートを、1/1のNCO/OH比でDesmophen(登録商標)A665 BA/Xと、かつ表1の通り被覆剤添加剤と混合し、成分を一緒に十分に撹拌した。ハイブリッド被覆材料の固体は約30%であり、必要に応じて1:1のMPA/SN溶媒混合物を用いて調節した。
処理前に、被覆材料を10分間脱気した。次いで、被覆材料を、重力送りカップ型ガン(3.0〜3.5barの圧縮空気、ノズル:1.4〜1.5mmφ、ノズル−基材距離:約20〜30cm)を用いて準備した基材に1.5クロスパス(cross-pass)で塗布した。15分間の蒸発分離時間の後、被膜を140℃で30分間焼成した。乾燥膜厚はいずれの場合にも約30μmであった。60℃で16時間コンディショニング/エージングした後、塗料技術試験を開始した。結果を表2にまとめる。
【0088】
比較のために、Desmophen(登録商標)A665 BA/XおよびDesmodur(登録商標)BL 2253(実施例12)並びに被覆剤添加剤(表1)を含んでなる常套の被覆剤系を、同様に調製して塗布した。この標準的な1Kポリウレタンクリヤコートは約48%の固体を有し、この固体量は必要に応じて1:1のMPA/SN溶媒混合物を用いて調節した。結果を同様に表2にまとめる。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
本発明の実施例11は、コロイド安定性、従って配合性に加えて、非ハイブリッドブロックトポリイソシアネート(実施例12)と比べて、著しく向上した耐薬品性および耐溶剤性、並びに高い耐引掻性を示す。更に、著しくより低い温度で架橋を実施することが可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ポリオールを含有せず、
A)いずれの場合にも1〜3個のアルコキシ基またはヒドロキシル基を有する少なくとも2個のケイ素原子を含有する多官能性有機シランに基づいた無機バインダーであって、ケイ素原子がいずれの場合にも少なくとも1個のSi−C結合によってケイ素単位を結合する構造単位に結合している無機バインダー、
B)(半)金属アルコキシドおよびその加水分解生成物および縮合生成物、
C)無機紫外線吸収剤としてのZnOおよび/またはCeO粒子であって、その少なくとも90%が超遠心分離器によって測定された50nm以下の平均粒度を有する粒子、
D)NCO基の少なくとも一部がイソシアネート反応性アルコキシシランと反応されているブロックト有機ポリイソシアネート
を含んでなるハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項2】
成分A)の無機バインダーが、シクロ−{OSiMe[(CH2)2Si(OH)Me2]}4および/またはシクロ−{OSiMe[(CH2)2Si(OEt)2Me]}4に基づくことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
成分B)として、Si(OEt)および/またはその加水分解生成物および/または縮合生成物を使用することを特徴とする、請求項1または2に記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
成分C)の無機紫外線吸収剤の少なくとも99.5%が30nm以下の平均粒度を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
成分C)の無機紫外線吸収剤が分散体またはゾルの形態で使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項6】
成分C)の無機紫外線吸収剤として、CeOの酸安定化分散体(ゾル)を使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項7】
D)として使用されるブロックトポリイソシアネートが、2.3〜4.5のNCO官能価、11.0重量%〜24.0重量%のNCO基含有量、および1重量%未満の単量体ジイソシアネート含有量を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項8】
D)として使用されるブロックトポリイソシアネートが、IPDI、MDI、TDI、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、HDIまたはそれらの混合物に基づくことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項9】
D)として使用されるアルコキシシリル含有ブロックトポリイソシアネートが、ポリイソシアネートから出発し、次いでその遊離NCO基をアミノアルコキシシランと反応させ、続いて残留遊離NCO基をブロッキング剤でブロックすることによって調製されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項10】
アミノアルコキシシランとして、N−(トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルを特に好ましく使用することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項11】
D)として使用されるブロックトポリイソシアネートのNCO基が、ブタノンオキシム、カプロラクタム、マロン酸エステル、ジイソプロピルアミン、シクロペンタノン−2−カルボキシエチル(メチル)エステル、イソプロパノールまたはそれらの混合物でブロックされていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物。
【請求項12】
a)請求項1〜11のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物および
b)少なくとも1種のポリオールまたはポリアミン
を少なくとも含んでなる被覆組成物。
【請求項13】
a)請求項1〜11のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物を
b)少なくとも1種のポリオールまたはポリアミン
と混合し、基材に適用する、基材の被覆方法。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれかに記載のハイブリッドポリイソシアネート組成物を用いて得られる被膜。
【請求項15】
請求項14に記載の被膜で被覆された基材。

【公表番号】特表2010−526192(P2010−526192A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506827(P2010−506827)
【出願日】平成20年4月26日(2008.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003401
【国際公開番号】WO2008/138471
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】