説明

ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を含有する化粧品組成物、飲食品組成物及び医薬品組成物

【課題】本発明は観賞用品種のバラを有効成分として含有する化粧品組成物、飲食品組成物、医薬品組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を含有する化粧品組成物、飲食品組成物、医薬品組成物は、エラスターゼ活性阻害作用、抗酸化作用、及びコラゲナーゼ活性阻害作用を有し、特にコラゲナーゼ活性阻害作用が顕著に高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチエイジング(抗老化)作用、特にコラゲナーゼ活性阻害作用、エラスターゼ活性阻害作用、及び抗酸化作用を有する化粧品組成物、飲食品組成物及び医薬品組成物に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
バラ科の植物は非常に種類が多いことが知られ、果実を利用しているものとしては、リンゴ、ビワ、梅、桃などがあり、またイチゴや桜もバラ科に属している。主に花を観賞する目的で栽培されているバラの花は、バラ科バラ属に分類されているが、その品種数は20万種とも言われ、その多くが交配などで作出された園芸品種である。この交配した園芸品種は、大きな分類としてオールドガーデンローズとモダンローズの2種類に分類される。
【0003】
オールドガーデンローズには、セイヨウバラとも言われるセンチフォリア(Rosa Centifolia)、ダマスク(Rosa Damask)、ガリカ(Rosa Gallica)が分類され、それらの花を用いたバラ花弁抽出物、水蒸気蒸留水及び精油などは化粧品などの皮膚外用剤として広く用いられている。一方、モダンローズには、フロリバンダ(Rosa Floribunda)やハイブリッド・ティー(Rosa Hybrid tea)などが分類されているが、これらの品種は登録名よりはむしろ商標名でよく知られている。前述の2種類の園芸種とは異なる原生種に属するバラとしては、ハマナス(Rosa Rugosa)、テリハノイバラ(Rosa Luciae)、ノイバラ(Rosa Multiflora)、ナニワイバラ(Rosa Laevigata)、実がローズヒップとして利用されるロサ・カニーナ(Rosa Canina)などが知られている。
【0004】
これまでバラ科植物の抽出物が有する有用な作用としては、抗アレルギー作用、美白作用(メラニン生成抑制作用、チロシナーゼ活性阻害作用)、保湿作用、抗酸化作用などが報告されている。特許文献1には、ムコ多糖断片化抑制剤として、バラおよびナニワイバラ等の抽出物が有効であることが記載されている。特許文献2には花粉症用の化粧料として、バラ科のエッセンスが有効であることが記載されている。特許文献3には、美白用皮膚外用剤としてバラ科バラ属に属するセイヨウバラ(Rosa Centifolia)の抽出物が有効であることが記載されている。
【0005】
一方、皮膚が日光に曝されると紫外線の影響により、コラーゲンを分解する酵素であるコラゲナーゼの発現が促され、皮膚内のコラーゲン量が減少することが知られている。このコラーゲン量の減少は、皮膚のしわやたるみの一因とも考えられている。そのため、コラゲナーゼの活性を阻害することは、しわやたるみの予防とされ、さまざまな有効成分がこれまでにも報告されている。バラ科バラ属の植物に関しては、特許文献4にノイバラ花及びサルトリイバラ花の水又は温水抽出物について、特許文献5にバラ科キジムシロ属に属する植物、特にトルメンチラの根のエタノール抽出物について、特許文献6にイザヨイバラ果実の50%1,3‐ブチレングリコール水溶液抽出物についてのコラゲナーゼ活性阻害作用が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3532244号公報
【特許文献2】特許第3487739号公報
【特許文献3】特許第4233734号公報
【特許文献4】特開平7-196526号公報
【特許文献5】特開2000-226311号公報
【特許文献6】特開2006-241148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バラ科バラ属の花の有用な作用を開示する特許文献は上記の他にも多くあるが、交配した園芸品種の登録名や商標名まで記載しているものは少なく、植物としての外観などが大きく異なるにも拘らず、原生種と園芸品種を同等に扱っているものが多い。学名のみにより各品種の花の形状や色などの特徴を特定することは困難である。安定したバラ科バラ属の抽出物を作成するためには、品種が登録されるなど安定して生産されている花が適している。
【0008】
また特許文献4〜6に記載されているようにバラ科植物の抽出物にコラゲナーゼ活性を阻害する成分が存在することが既に報告されているが、化粧品の原料として印象の良い観賞用品種のバラ花のコラゲナーゼ活性阻害作用に関する報告はない。
【0009】
そこで本発明は観賞用品種のバラを有効成分として含有する化粧品組成物、飲食品組成物、医薬品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
モダンローズに分類されているハイブリッド・ティー(Rosa Hybrid tea)の交配種は、観賞用バラ品種として日本で多く栽培されており、その品種の数も多い。本発明者らは、ハイブリッド・ティーに分類されるバラ(本発明では「ハイブリッド・ティー・ローズ」と称する)の花の抽出物に関して鋭意研究した。その結果、当該抽出物が、従来から化粧品原料として使用されているセンチフォリアバラの花のエキスと比較して、同等のエラスターゼ活性阻害作用及び抗酸化作用を示し、なおかつ、コラゲナーゼ活性阻害作用については顕著に高いことを見出した。本発明は以下の発明を包含する。
【0011】
(1) ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を含有する化粧品組成物。
(2) ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を有効成分として含有するコラゲナーゼ活性阻害剤。
(3) ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を有効成分として含有するエラスターゼ活性阻害剤。
(4) ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を有効成分として含有する抗酸化剤。
(5) ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を有効成分として含有する抗老化剤。
(6) ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を含有する飲食品組成物。
(7) ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を含有する医薬品組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、観賞用品種であるハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を有効成分として含有する化粧品組成物、飲食品組成物、医薬品組成物が提供される。本発明の化粧品組成物、飲食品組成物、医薬品組成物は、抗老化作用(コラゲナーゼ活性阻害作用、エラスターゼ活性阻害作用、及び抗酸化作用)が高く、とりわけコラゲナーゼ活性阻害作用が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】各種バラ花弁抽出物についてのDPPHラジカル消去試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
バラの園芸品種のうち大輪一輪咲きのものが「ハイブリッド・ティー」に分類される(園芸植物大事典2, コンパクト版, 第1848頁, 小学館)。本発明において「ハイブリッド・ティー・ローズ」とはハイブリッド・ティーに分類されるバラであれば特に限定されない。「ハイブリッド・ティー・ローズ」には様々な園芸品種、例えばローテローゼ、ホワイト・クリスマス、シンセラ、キリマンジャロ、キャロリーヌ・ドゥ・モナコ、オーナー、メモリアム、ロイヤル・ハイネス、プリスタイン、クレオ、ピュア・ブリス、ヒストリー、ティリアナ、ピース、ピンク・シャンパン、カリーナ、マイアミ・プラヤ、キュワエルト、ブルー・ヘヴン、シャルル・ドゥ・ゴール、エスメラルダ、マノラ、オクラホマ、ドミノ、シュリューズベリー・ショウ、マヌウ・メイアン、サタン、ギゼルフェルド、オリビア、グラフ・レナート、イダルゴ、ミロード、パパ・メイアン、レジェンド、フェアリー・ダンサーズ、デモアゼール、アリゾナ、レディ・メイアン、アトール、ローラ、ドリー・パートン、アバンチュール、コルサンター、エンペラー、ミケランジェロ、ゴールデン・プラネット、ランドラ、ソリドール、テラコッタ、ミラマーレ、ブラック・ティ、ヴァネッサ、スウィート・メリナ、マジョレットなどが包含される(薔薇大図鑑2000 (白澤照司著、草土出版) 参照)。
【0015】
ローテローゼはハイブリッド・ティーの交配種の一つであり、観賞用品種として日本において多く栽培されている。ローテローゼは赤色で高心咲き(花の中心が高く、硬く締まる)の花形を有する。ローテローゼはローテローザと表記される場合もある。
【0016】
本発明ではハイブリッド・ティー・ローズの花、がく、茎、葉、根等の各部位を用いることができ、特に花を用いることが好ましい。花は、花弁であってもよいし、花弁の他にヘタ等の他の部位を含む花全体であってもよい。花は生の状態であってもよいし、凍結された状態であってもよいし、乾燥された状態であってもよい。
【0017】
ハイブリッド・ティー・ローズの花(花弁又は花全体を指す。以下同様)の抽出物を用いることが特に好ましい。抽出効率を高めるために花を適宜粉砕し、抽出物製造に用いることが好ましい。抽出物の製造方法は特に限定されず、ハイブリッド・ティー・ローズの花を抽出溶媒中に浸漬する方法、花に抽出溶媒を加熱還流させる方法、花に超臨界流体(超臨界二酸化炭素など)を接触させる方法等が挙げられる。
【0018】
ハイブリッド・ティー・ローズの花を抽出溶媒中に浸漬して抽出物を製造する場合、抽出溶媒の使用量は特に限定されず、例えば、花の湿重量に対して1〜30倍の重量の抽出溶媒を使用することができる。浸漬時間は特に限定されず、例えば0.5〜72時間とすることができる。浸漬温度は特に限定されず、例えば1〜100℃とすることができる。抽出溶媒としては水、低級アルコール、低級アルコール水溶液が好ましい。低級アルコールとしては、炭素数が1〜5である、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール等を用いることができ、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール等の公知の低級アルコール類を用いることができる。低級アルコール水溶液の濃度は特に限定されず、水溶液全量に対して5〜90重量%の低級アルコールを含むものを使用することができる。特に好ましい抽出溶媒としては、全量に対して10〜80重量%の1,3-ブチレングリコールを含有する1,3-ブチレングリコール水溶液が挙げられる。
【0019】
ハイブリッド・ティー・ローズの花に抽出溶媒を加熱還流させる方法により抽出物を製造する場合にも上記と同様の抽出溶媒を用いることができる。
【0020】
抽出後に、ろ過や遠心分離などの任意の手段によりハイブリッド・ティー・ローズの花の残渣と抽出物とを分離する。
【0021】
得られた抽出物は、そのままで、或いは、抽出溶媒を適宜除去した濃縮物として本発明の用途に用いることができる。
【0022】
本発明の化粧品組成物、飲食品組成物、医薬品組成物、コラゲナーゼ活性阻害剤、エラスターゼ活性阻害剤、抗酸化剤又は抗老化剤におけるハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物の含有量は、抗老化作用、特にコラゲナーゼ活性阻害作用、エラスターゼ活性阻害作用、及び抗酸化作用を奏する有効量であれば限定されないが、典型的には、その全量中に、ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を乾燥重量として0.001〜10重量%含有する。
【0023】
本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤、エラスターゼ活性阻害剤、抗酸化剤又は抗老化剤は化粧品組成物、飲食品組成物または医薬品組成物(医薬部外品組成物を含む。以下同じ)等の任意の形態であってよい。すなわち本発明は、コラゲナーゼ活性阻害作用、エラスターゼ活性阻害作用、抗酸化作用、及び抗老化作用のいずれか1つ以上の作用を奏する化粧品組成物、飲食品組成物または医薬品組成物を提供する。本発明のコラゲナーゼ活性阻害剤、エラスターゼ活性阻害剤、抗酸化剤又は抗老化剤は、皮膚に適用される形態の化粧品組成物、飲食品組成物、皮膚に適用される形態の医薬品組成物、或いは、経口投与される形態の医薬組成物として提供されることが好ましく、皮膚に適用される形態の化粧品組成物として提供されることが特に好ましい。
【0024】
化粧品組成物としては通常の形態、例えば化粧用クリーム、乳液、化粧水、美容エッセンス、パック剤、パウダー、スキンケア化粧料、リップクリーム、口紅、アンダーメイクアップ、ファンデーション、サンケア、浴用剤、ボディシャンプー、ボディローション、洗浄料、軟膏、ゼリー剤、エアゾール剤等の形態で用いることができる。化粧品組成物にはハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物のほかに、本発明の所望の効果が損なわれない範囲で、水、油剤、界面活性剤、潤滑剤、アルコール類、水溶性高分子剤、ゲル化剤、保湿剤、緩衝剤、防腐剤、抗炎症剤、増粘剤、香料、ビタミン類、抗酸化剤、紫外線吸収剤、顔料、色素などを適宜添加することができる。
【0025】
飲食品組成物の形態としては、飲料、固形食品、半固形食品等が挙げられ、特定保健用食品にもなり得る。飲料としては、具体的には、果汁飲料、清涼飲料、アルコール飲料等が挙げられる。また、摂取時に水等を用いて希釈して摂取される形態であってもよい。固形食品としては、例えば、飴、トローチ等を含む錠剤(タブレット)や糖衣錠の形態、顆粒の形態、粉末飲料、粉末スープ等の粉末の形態、ビスケット等のブロック菓子類の形態、カプセル、ゼリー等の形態等、種々の形態が挙げられる。半固形食品としては、例えばジャムのようなペーストの形態、チューイングガムのようなガムの形態が挙げられる。これらの飲食品組成物にはハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物のほかに、本発明の所望の効果が損なわれない範囲で、食品原料として通常用いられる種々の成分を配合することができる。他の成分としては例えば水、アルコール類、甘味料、酸味料、着色料、保存剤、香料、賦形剤等が挙げられる。これらの成分は単独で、または組み合わされて使用され得る。
【0026】
医薬品組成物としては種々の投与形態用に製剤化されたものを使用することができる。製剤形態は特に制限はなく、必要に応じ適宜選択されるが、一般には錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤等の経口剤、又は注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経粘膜吸収剤、経鼻剤、経腸剤、皮膚外用剤(例えば経皮吸収剤、貼付剤、軟膏剤)等の非経口剤として、症状に応じて単独で、又は組み合わせて使用される。上記製剤は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用して常法により調製することができる。特に、皮膚外用剤として製剤化する場合には、界面活性剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、アルコール類、シリコーン油、水溶性高分子、溶剤、色素、顔料、香料、抗酸化剤、保湿剤、ビタミン、ビタミン誘導体、動植物抽出物、無機塩類、pH調整剤、殺菌剤、紫外線吸収剤などの成分を、必要に応じて適宜配合することができる。製剤の投与量は、患者の年令、体重、疾患の程度、投与経路に応じた、抗老化作用、特にコラゲナーゼ活性阻害作用、エラスターゼ活性阻害作用、及び抗酸化作用を奏する有効量である。
【実施例】
【0027】
実施例1:「ローテローゼ」花弁抽出物の調製
冷凍された「ローテローゼ」の花(緑色のヘタを含む)3.0 kgを解凍し、30(w/w)% 1,3ブチレングリコール水溶液(1,3-BG水溶液)を加えてワーリングブレンダーにより粉砕処理を実施した。粉砕物にさらに1,3-BG水溶液を添加し、全量を30.0 kgとして4℃で16時間攪拌することにより抽出処理を実施した。抽出処理後、5000rpm、5℃、40minの遠心分離処理を行い、上清を回収し、0.2μmのフィルター(SUPORLIFE DCF)でろ過を実施した。これらの処理により清明な「ローテローゼ」花弁抽出物24.8kg(固形分濃度0.8w/w%)を回収した。
【0028】
実施例2:コラゲナーゼ活性阻害試験
ハイブリッド・ティー(Rosa Hybrid tea)の交配種である「ローテローゼ」と現在市販されている化粧品原料用バラ花弁抽出物(バラ花エキス)のコラゲナーゼ活性阻害試験を実施した。
【0029】
(1)検体:以下の検体について固形分終濃度が5ppm及び2.5ppmになるように希釈した溶液を試験に用いた。
(a)実施例1で調製した「ローテローゼ」花弁抽出物
(b)化粧品原料販売名:バラエキスS(香栄興業(株)販売、センチフォリアバラの花のエキス)
(c)化粧品原料販売名:バラ抽出液BG(丸善製薬(株)販売、センチフォリアバラの花のエキス)
(d)化粧品原料販売名:ROSE CRYSTA-CO((株)東洋発酵販売、センチフォリアバラの花のエキス)
【0030】
(2)試験方法
(a)2mlチューブに検体50μlを入れる(ブランクとしては各検体の溶媒を使用)。
(b)全検体に1.25U/mlコラゲナーゼ水溶液(コラゲナーゼTypeI、Worthington)100μlを入れる。
(c)1mg/ml FITC標識コラーゲン溶液(コラーゲン技術研修会)50μlを各検体毎に20秒間隔で加え、本検は35℃、盲険は氷冷で正確に120分静置する。この時、各検体はアルミホイル等で遮光する。
(d)検体毎に20秒間隔でo-フェナントロリン(Sigma)溶液5μlを加え反応を停止し、30分放置する。
(e)各検体に70%エタノール/0.05M tris-HCl水溶液100μl加え、15秒間攪拌する。
(f)10分間氷冷した後、15000rpm、4℃、15分間遠心分離処理を行う。
(g)各検体の上清80μlを採取し、蛍光測定用プレートの各ウェルに入れる。
(h)精製水を対照にして、波長Ex490nm、Em530nmにおける蛍光を測定する。
(i)以下の計算式によりコラゲナーゼ活性阻害率(%)を算出する。
コラゲナーゼ活性阻害率(%)
=[1−{(検体・本検)−(検体・盲検)}/{(ブランク・本検)−(ブランク・盲検)}]x100
【0031】
(3)試験結果
試験結果を表1に示す。この結果から、センチフォリアバラの花のエキスにもコラゲナーゼ活性阻害が認められるが、「ローテローゼ」の抽出物は、それらより強い阻害作用を有することが判明した。
【0032】
【表1】

【0033】
実施例3:繊維芽細胞由来エラスターゼ活性阻害試験
実施例2と同じ検体について繊維芽細胞由来エラスターゼ活性阻害作用試験を実施した。
【0034】
(1)試験方法
(a)ヒト繊維芽細胞(クラボウ)を24時間培養後に培地交換を行い、さらに24時間後に培地を除去し、細胞をPBS(−)で洗浄した後に、各ウェルに60μlの0.5%Triton-X100水溶液を添加し、37℃で30分静置する。これを酵素溶液とする。
(b)各検体の固形分終濃度が、208ppm及び104ppmとなるように調製した希釈液と、ポジティブコントロールとして固形分終濃度が75μMに調製したEDTA水溶液を各ウェルに50μl入れる。
(c)検体及びブランク(精製水)の本検用ウェルに酵素溶液50μlを、盲検用ウェルに0.5%Triton-X100水溶液を50μl添加する。
(d)5mM基質溶液(STANA、Suc-Ala-Ala-Ala-pNA、ペプチド研究所)を全ウェルに100μl添加し、37℃、3時間、遮光下で反応をさせる。
(e)405nmの吸光度の測定を行う。
(f)エラスターゼ活性阻害率を以下の計算方法により算出する。
エラスターゼ活性阻害率(%)
=[1−{(検体・本検)−(検体・盲検)}/{(ブランク・本検)−(ブランク・盲検)}]x100
【0035】
(2)試験結果
試験結果を表2に示す。これらの結果からいずれのバラ花弁抽出物も同等のエラスターゼ活性阻害作用を有することが判明した。
【0036】
【表2】

【0037】
実施例4:DPPHラジカル消去試験
実施例3と同じ検体についてDPPHラジカル消去試験を実施した。
【0038】
(1)試験方法
(a)500μM濃度になるようにDPPH (1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl) 試薬をエタノールに溶解させ、調製する。
(b)試験管に各濃度に希釈した検体0.3ml、エタノール0.9ml及び0.25M酢酸緩衝液(pH5.5)1.2mlを入れ、30℃、5分間プレインキュベートを行う。
(c)各試験管に500μM DPPH溶液を0.6ml添加し、30℃、30分反応させる。
(d)蒸留水を対照にして517nmの吸光度を測定する。
(e)DPPHラジカル消去率(%)を以下の式により算出する。
DPPHラジカル消去率(%)=[1−(検体の吸光度)/(ブランクの吸光度)]x100
【0039】
(2)試験結果
試験結果を図1に示す。この結果、センチフォリアバラの花のエキス(ROSE CRYSTA-CO)が最も強いDPPHラジカル消去作用を示したが、他のバラ花弁抽出物も同等のDPPHラジカル消去作用を示したことから抗酸化作用を有すると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を含有する化粧品組成物。
【請求項2】
ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を有効成分として含有するコラゲナーゼ活性阻害剤。
【請求項3】
ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を有効成分として含有するエラスターゼ活性阻害剤。
【請求項4】
ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を有効成分として含有する抗酸化剤。
【請求項5】
ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を有効成分として含有する抗老化剤。
【請求項6】
ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を含有する飲食品組成物。
【請求項7】
ハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物を含有する医薬品組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2011−236147(P2011−236147A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108388(P2010−108388)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(505145149)株式会社ニチレイバイオサイエンス (7)
【Fターム(参考)】