説明

ハイブリッド分散体及びその製造方法

本発明は、ハイブリッド分散体、その製造方法、それから作製される物品、及びそのような物品の作製方法である。本発明によるハイブリッド分散体は、(a)前記ハイブリッド分散体の重量に基づき、30重量パーセント未満の、1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタン分散体を含む少量成分と、(b)100重量パーセント未満の、ラテックスエマルジョン、エポキシ、及びポリオレフィン分散体からなる群より選択される多量成分とのブレンド生成物を含み;前記ハイブリッド分散体の重量に基づき10から75パーセントの範囲の固形分を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「HIBRID DISPERSIONS AND METHODS FOR PODUCING THE SAME」と題する、2009年3月30日出願の米国特許仮出願第61/164,692号の優先権を主張する非仮出願であり、前記仮出願の教示は、以下において全て再現されているかのごとく、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ハイブリッド分散体、その製造方法、塗装物品及び構造体、並びに物品及び構造体を塗装するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
塗装用途での分散体の使用は、一般に公知である。塗装用途に適するそのような分散体を製造するために種々の技術を用いることができる。
【0004】
米国特許第6,635,706号には、一官能性活性水素含有ビニルモノマーと反応したイソシアナートを末端に有するウレタンプレポリマーと、イソシアナート官能基に対して不活性なビニルモノマーとから形成された、未架橋、ウレタン−アクリル分散体が記載されている。0から100パーセントのビニル末端−ビニルモノマーブレンドを有するこのポリウレタンプレポリマーに、そのブレンドのウレタン固形分の0.5から20パーセントがポリイソシアナートになるように、4未満の平均イソシアナート官能価を有するポリイソシアナートがブレンドされる。固形分に関して3パーセント未満のNCO基を含有する混合物が水に分散され、任意の残留イソシアナート基が、1つ又はそれ以上の活性水素含有化合物で連鎖延長される。場合により、ポリウレタンプレポリマーとビニルモノマーのブレンドを一旦分散させ、その分散体にポリイソシアナートを直接添加することができる。その後、ビニルモノマーをラジカル重合により反応させる。
【0005】
米国特許第6,063,861号には、ポリウレタン−ポリアクリラートハイブリッド水分散体が記載されており、この分散体は、室温で自己架橋性であり、(A)10から95重量パーセントのポリウレタン分散体と、(B)そのハイブリッド分散体の全樹脂固形分に基づき0.5から20重量%のアセトアセトキシ基含有ビニルモノマーを含有するビニルモノマー混合物から成分(A)の存在下で調製された、5から90重量パーセントのポリマーと、(C)少なくとも1つの二官能性第一級又は第二級アミンとを含有する。
【0006】
米国特許公開第2007/0141264号には、8から40mg KOH/gの酸価及び≧40重量パーセントのハードセグメント含有率を有し、環構造含有率≧48重量パーセントである、20から80重量パーセントのポリウレタンと、Tg≧20℃である、80から20重量パーセントのビニルポリマーBとを含む、水性塗料組成物が記載されている。
【0007】
国際公開第2004/096882号には、ポリウレタンの製造に有用なポリオールが記載されている。前記ポリオールは、植物油系(ヒドロキシメチル含有)モノマーとポリオール、ポリアミン又はアミノアルコールを真空下で反応させることによって調製される。
【0008】
国際公開第2006/047431号には、ポリイソシアナートと脂肪酸から誘導されたヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールとを反応させてプレポリマーを形成すること、水性相にそのプレポリマーを分散させること、そしてその後、そのプレポリマーを硬化させて固体粒子を形成することにより調製される、ポリマー分散体が記載されている。イソシアナート、ヒドロキシル又は様々な他の活性官能基を有するプレポリマーを調製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,635,706号
【特許文献2】米国特許第6,063,861号
【特許文献3】米国特許公開第2007/0141264号
【特許文献4】国際公開第2004/096882号
【特許文献5】国際公開第2006/047431号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
塗装用途に適する分散体を開発しようとする研究努力にもかかわらず、工業塗装用途などの塗装用途に用いることができる改善された特性、例えば抗吸塵特性、防汚及び耐ブロック特性、並びに低吸水特性を有するハイブリッド分散体が、依然として必要とされている。さらに、そのようなハイブリッド分散体を製造する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ハイブリッド分散体、その製造方法、塗装物品及び構造体、並びに物品及び構造体を塗装するための方法に関する。本発明によるハイブリッド分散体は、(a)前記ハイブリッド分散体の重量に基づき、30重量パーセント未満の、1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタン分散体を含む少量成分と、(b)100重量パーセント未満の、ラテックスエマルジョン、エポキシ、及びポリオレフィン分散体からなる群より選択される多量成分とのブレンド生成物を含む。前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の重量に基づき10から75パーセントの範囲の固形分を有する。ハイブリッド分散体を製造するためのプロセスは、(1)1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタン分散体を含む少量成分を選択する工程と、(2)ラテックスエマルジョン、エポキシ、及びポリオレフィン分散体からなる群より選択される多量成分を選択する工程と、(3)前記少量成分を前記多量成分にブレンドする工程と、(4)それによってハイブリッド分散体を製造する工程とを含む。本発明による塗装物品又は構造体は、物品又は構造体の1つ又はそれ以上の表面に付随する塗料層を含み、前記塗料層は、本発明により本発明のハイブリッド分散体から誘導される。物品又は構造体を塗装するための方法は、(1)本発明のハイブリッド分散体を選択する工程と、(2)物品又は構造体の1つ又はそれ以上の表面にそのハイブリッド分散体を塗布する工程と、(3)その物品又は構造体の1つ又はそれ以上の表面に付随するハイブリッド分散体から少なくとも一部の水を除去する工程と、(4)それによってその物品又は構造体を塗装する工程とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ハイブリッド分散体、その製造方法、塗装物品及び構造体、並びに物品及び構造体を塗装するための方法に関する。
【0013】
本発明によるハイブリッド分散体は、(a)前記ハイブリッド分散体の重量に基づき、30重量パーセント未満の、1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタン分散体を含む少量成分と、(b)100重量パーセント未満の、ラテックスエマルジョン、エポキシ、及びポリオレフィン分散体からなる群より選択される多量成分とのブレンド生成物を含む。前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の重量に基づき10から75パーセントの範囲の固形分を有する。
【0014】
前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の重量に基づき30重量パーセント未満の、下でさらに詳細に説明するような少量成分から構成されることがある。30重量パーセント未満からのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記少量成分の重量パーセントは、0.5、1、2、3、5、10、15、20、又は25重量パーセントの下限から、5、10、15、20、25重量パーセントの、又は30重量パーセント未満の上限までである場合がある。例えば、前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の重量に基づき、3から25重量パーセント、又は5から25重量パーセント、又は5から20重量パーセント、又は5から15重量パーセント、又は0.5から25重量パーセント、又は0.5から25重量パーセントの少量成分を含む場合がある。
【0015】
前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の重量に基づき、100重量パーセント未満の、下でさらに詳細に説明するような多量成分から構成されることがある。100重量パーセント未満からのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記多量成分の重量パーセントは、5、10、15、20、25、50、70、75、80、85、90又は95重量パーセントの下限から、50、70、75、80、85、90、95重量パーセントの又は100重量パーセント未満の上限までである場合がある。例えば、前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の重量に基づき、5から95重量パーセント、又は5から90重量パーセント、又は5から85重量パーセント、又は5から80重量パーセント、又は5から75重量パーセント、又は5から70重量パーセントの多量成分を含むことがある。
【0016】
前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の総重量に基づき、一切のフィラー重量を除外して、少なくとも5重量パーセントの固形分を含むことがある。少なくとも5重量パーセントのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記重量パーセントは、5、10、20、30、40、50、55、60、65、70、75又は80重量パーセントの下限から、45、50、55、60、65、70、75、80又は85重量パーセントの上限までである場合がある。例えば、前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の総重量に基づき、一切のフィラー重量を除外して、少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも45重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも55重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも65重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセントの固形分を含むことがある。
【0017】
1つの実施形態において、前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の全固形分に基づき、固形分の乾燥重量で1から25パーセントの疎水性ポリウレタン分散体を含むことがある。1から25乾燥重量パーセントのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記乾燥重量パーセントは、1、2、3、4、5、10又は15重量パーセントの下限から、10、12、15、18、20、22又は25重量パーセントの上限までである場合がある。例えば、ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の全固形分に基づき、固形分の乾燥重量で1から20、又は5から20、又は10から15、又は10から20パーセントの疎水性ポリウレタン分散体を含むことがある。
【0018】
もう1つの実施形態において、前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の全固形分に基づき、乾燥重量で1から25パーセントの1つ又はそれ以上の疎水性ポリウレタンプレポリマーを含むことがある。1から25乾燥重量パーセントの個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記乾燥重量パーセントは、1、2、3、4、5、10又は15重量パーセントの下限から、10、12、15、18、20、22又は25重量パーセントの上限までである場合がある。例えば、ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の全固形分に基づき、乾燥重量で1から20、又は5から20、又は10から15、又は10から20パーセントの1つ又はそれ以上の疎水性ポリウレタンプレポリマーを含むことがある。
【0019】
本発明によるハイブリッド分散体は、皮膜形成用組成物である。本発明のハイブリッド分散体から誘導される皮膜は、45パーセント未満;代替実施形態では、40パーセント未満;代替実施形態では、37パーセント未満;代替実施形態では、35パーセント未満、の範囲の反射率低下で、耐吸塵性を有することができる。本発明のハイブリッド分散体から誘導される皮膜は、30パーセント未満;代替実施形態では、25パーセント未満;代替実施形態では、20パーセント未満;代替実施形態では、15パーセント未満;代替実施形態では、12パーセント未満、の範囲の吸水性をさらに有することができる。
【0020】
1つの実施形態において、本発明のハイブリッド分散体から誘導される皮膜は、24時間後に25℃で測定して少なくとも5より上の範囲の耐ブロック性等級を有することができる。代替実施形態において、本発明のハイブリッド分散体から誘導される皮膜は、24時間後に55℃で測定して5及びそれ以上の範囲の耐ブロック性等級を有することができる。代替実施形態において、本発明のハイブリッド分散体から誘導される皮膜は、7日後に25℃で測定して少なくとも5より上の範囲の耐ブロック性等級を有することができる。代替実施形態において、本発明のハイブリッド分散体から誘導される皮膜は、7日後に55℃で測定して5及びそれ以上の範囲の耐ブロック性等級を有することができる。
【0021】
前記ハイブリッド分散体は、1つ又はそれ以上のフィラー、1つ又はそれ以上の顔料、1つ又はそれ以上の消泡剤、1つ又はそれ以上の分散剤、1つ又はそれ以上の融合助剤、1つ又はそれ以上の追加の界面活性剤、1つ又はそれ以上のスリップ剤、及びこれらに類するものをさらに含むことがある。
【0022】
少量成分
前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッドの重量に基づき30重量パーセント未満の少量成分を含む。30重量パーセント未満からのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記ハイブリッド分散体は、前記ハイブリッド分散体の重量に基づき、1から30重量パーセント未満の、又は1から20、又は1から15、又は1から10重量パーセントの少量成分を含む。前記少量成分は、1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタン分散体を含む。代替実施形態において、前記少量成分は、1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタンプレポリマーを含む。
【0023】
前記疎水性ポリウレタン分散体は、イソシアナートを末端に有するプレポリマーを形成すること、前記プレポリマーを水性相に分散させること、そしてその後、そのプレポリーを連鎖延長することによりポリウレタン及び/又はポリ尿素ポリマーを形成することによって調製することができる。前記プレポリマーそれ自体は、過剰なポリイソシアナートと1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールに由来するポリオールとを反応させることによって、作られる。
【0024】
本発明において使用する1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導されたポリウレタンプレポリマーは、任意の従来公知のプロセス、例えば溶液プロセス、ホットメルトプロセス、又はポリウレタンプレポリマー混合プロセス、により、例えば回分又は連続プロセスで、製造することができる。さらに、前記1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導されたポリウレタンプレポリマーは、例えば、ポリイソシアナート化合物と活性水素含有化合物、すなわち、1つ又はそれ以上の天然油系ポリオール、とを反応させるプロセスにより製造することができ、それらの例としては、1)有機溶剤を使用せずにポリイソシアナート化合物と1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールとを反応させるプロセス、及び2)有機溶剤、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、又はアセトン、又はメチルエチルケトン(MEK)、PROGLYDE DMM(ジプロピレングリコールジメチルエーテル、CAS番号111109−77−4)、中でポリイソシアナート化合物と1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールとを反応させ、その後、場合によりその溶剤を除去するプロセスが挙げられる。1つの実施形態において、前記ポリウレタンポリオールは、好ましくは、ポリイソシアナート化合物と1つ又はそれ以上の天然油系ポリオール、例えば種子油由来ポリオール、との反応から誘導される。
【0025】
例えば、前記ポリイソシアナート化合物を1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールと、20℃から150℃の範囲の、又は代替実施形態では30℃から130℃の範囲の、温度で、例えば、1.1:1から3:1、又は代替実施形態では1.2:1から2:1、のイソシアナート基の活性水素基に対する当量比で、反応させることができる。代替実施形態では、過剰量の1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールを用いて前記プレポリマーを調製することができ、それによってヒドロキシル末端ポリマーの製造を助長することができる。
【0026】
前記天然油系ポリオールは、再生可能な原料資源、例えば天然及び/若しくは遺伝子修飾植物の植物種子油並びに/又は動物源脂肪、に基づく又は由来するポリオールである。そのような油及び/又は脂肪は、一般に、トリグリセリド、すなわちグリセロールと互いに連結している脂肪酸、からなる。例としては、トリグリセリド中に少なくとも70% 不飽和脂肪酸を有する植物油が挙げられるが、これらに限定されない。前記天然産物は、少なくとも85重量パーセントの不飽和脂肪酸を含有することもある。例示的植物油としては、例えば、ヒマ、大豆、オリーブ、ピーナッツ、菜種、トウモロコシ、ゴマ、綿、カノーラ、紅花、アマニ、ヤシ、ブドウ種子、ブラックキャラウェイ、南瓜仁、ルチヂサ種子、木胚芽、杏仁、ピスタチオ、扁桃、マカデミアナッツ、アボカド、シーバックソーン、麻、ヘーゼルナッツ、マツヨイグサ、野バラ、アザミ、クルミ、ヒマワリ、ジャトロファ種子油からのもの、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。加えて、藻類などの生物から得られる油も使用することができる。例示的動物性製品としては、ラード、牛脂、魚油及びこれらの任意の混合物又は組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。植物系油/脂肪と動物系油/脂肪の組み合わせも使用することができる。
【0027】
幾つかの化学反応を用いて種子油及び種子油エステルを改質して、天然油系ポリオールを調製することができる。再生資源のそのような改質としては、例えば、エポキシ化、ヒドロキシル化、オゾン分解、エステル化、ヒドロホルミル化、二量体化、又はアルコキシル化が挙げられるが、これらに限定されない。そのような改質は、当分野において一般に公知である。
【0028】
天然油の改質によるそのようなポリオールの生成後、改質された生成物をさらにアルコキシル化することができる。エチレンオキシド(EO)又はEOと他の酸化物の混合物の使用により、ポリオールに親水性部分が導入される。1つの実施形態において、前記改質生成物は、10から60重量パーセント、例えば20から40重量パーセント、の範囲のEO含有率を有する天然油系ポリオールを生成するために十分なEOでのアルコキシル化を受ける。
【0029】
もう1つの実施形態において、前記天然油系ポリオールは、動物又は植物油/脂肪をエステル交換反応に付し、成分である脂肪酸エステルを回収する、多工程プロセスによって得られる。この工程に、その成分である脂肪酸エステル中の炭素−炭素二重結合をヒドロホルミル化してヒドロキシル基を形成する工程、そしてその後、そのヒドロホルミル化された脂肪酸と適切な開始剤化合物の反応によりポリエステル又はポリエーテル/ポリエステルを形成する工程が続く。そのような多工程プロセスは、当分野において一般に公知であり、例えば、PCT公開WO第2004/096882及び2004/096883に記載されている。この多工程プロセスの結果として、疎水性部分と親水性部分の両方を有するポリオールが製造され、その結果として、水と従来の石油系ポリオールの両方との混和性が向上される。
【0030】
前記天然油系ポリオールの製造のための多工程プロセスにおいて使用するための開始剤は、従来の石油系ポリオールの製造に使用されているいずれの開始剤であってもよい。前記開始剤は、例えば、ネオペンチルグリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;ペンタエリトリトール;ソルビトール;スクロース;グリセロール;ジエタノールアミン;アルカンジオール、例えば1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール;1,4−シクロヘキサンジオール;2,5−ヘキサンジオール;エチレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール;ビス−3−アミノプロピルメチルアミン;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン;8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン;Dimerolアルコール(Henkel Corporationから入手可能な炭素数36のジオール);水素化ビスフェノール;9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール;1,2,6−ヘキサントリオール及びこれらの組み合わせからなる群より選択することができる。代替実施形態では、グリセロール;エチレングリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;エチレンジアミン;ペンタエリトリトール;ジエチレントリアミン;ソルビトール;スクロール;又はそれらの中に存在するアルコール若しくはアミン基の少なくとも1つがエチレンオキシド、プロピレンオキシド若しくはこれらの混合物と反応したものである前述のもののいずれか;及びそれらの組み合わせからなる群より前記開始剤を選択することができる。もう1つの代替実施形態において、前記開始剤は、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、スクロース、ソルビトール及び/又はこれらの混合物である。
【0031】
1つの実施形態では、エチレンオキシド又はエチレンオキシドと少なくとも1つの他のアルキレンオキシドの混合物で前記開始剤をアルコキシル化して、200から6000の範囲の、例えば500から3000の範囲の分子量を有する、アルコキシル化された開始剤を得る。
【0032】
前記少なくとも1つの天然油系ポリオールの官能価は、約1.5より上であり、一般には約6より高くない。1つの実施形態において、前記官能価は、約4より下である。1つの実施形態において、前記官能価は、1.5から3の範囲である。1つの実施形態において、前記官能価は、1.5から2.2の範囲であり、例えば2である。前記少なくとも1つの天然油系ポリオールのヒドロキシル価は、300mg KOH/gより下であり;例えば、50から300までの範囲;又は代替実施形態では、60から200の範囲;又は代替実施形態では、100未満の範囲である。
【0033】
前記天然油系ポリオール中の再生可能原料のレベルは、10から100パーセント;例えば10から90パーセントである場合がある。
【0034】
前記天然油系ポリオールは、ポリオールブレンドの90重量パーセント以下を構成することがある。しかし、1つの実施形態において、前記天然油系ポリオールは、ポリオールブレンドの総重量の少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも55重量パーセントを構成することがある。前記天然油系ポリオールは、併用ポリオールの総重量の40重量パーセント若しくはそれ以上、50重量パーセント若しくはそれ以上、60重量パーセント若しくはそれ以上、75重量パーセント若しくはそれ以上、85重量パーセント若しくはそれ以上、90重量パーセント若しくはそれ以上、又は95重量パーセント若しくはそれ以上を構成することがある。2つ又はそれ以上のタイプ天然油系ポリオールの組み合わせを用いることもできる。
【0035】
前記天然油系ポリオールの25℃で測定される粘度は、一般に、6,000mPa.s未満であり;例えば、前記天然油系ポリオールの25℃で測定される粘度は、5,000mPa.s未満である。
【0036】
前記天然油系ポリオールを、1つ又はそれ以上のポリオール(カプロラクトン系ポリエステルポリオール、任意のポリエステル/ポリエーテルハイブリッドポリオール、PTMEG系ポリエステルポリオールを含む、脂肪族及び/又は芳香族ポリエステルポリオール;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びこれらの混合物に基づく、ポリエーテルポリオール;ポリカルボナートポリオール;ポリアセタールポリオール、ポリアクリラートポリオール;ポリエステルアミドポリオール;ポリチオエーテルポリオール;ポリオレフィンポリオール、例えば飽和又は不飽和ポリブタジエンポリオールを含むが、これらに限定されない)とブレンドすることもある。前記天然油系ポリオールを、1つ又はそれ以上の短鎖ジオール、イオン中心を有する1つ又はそれ以上の分子、例えばジメチロールプロピオン酸;ジメチロールブタン酸(dimethylol butonic acid)、とブレンドすることもある。
【0037】
ポリイソシアナート化合物の例としては、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、m−フェニルジイソシアナート、p−フェニルジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、ドデカメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,3及び1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、キシリレンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナート、リシンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、これらの異性体、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
前記天然油系ポリオールから誘導されたポリウレタンプレポリマーを、1つ又はそれ以上の反応性又は非反応性エチレン性不飽和モノマーの存在下で調製することができる。そのようなモノマーをさらに重合してもよい。
【0039】
前記天然油系ポリオールから誘導されたポリウレタンプレポリマーは、親水性基をさらに含むことがある。用語「親水性基」は、本明細書において用いる場合、アニオン性基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはリン酸基)、又はカチオン性基(例えば、第三級アミノ基、若しくは第四級アミノ基)、又は非イオン性親水性基(例えば、エチレンオキシドの繰り返し単位からなる基、若しくはエチレンオキシドの繰り返し単位と別のアルキレンオキシドの繰り返し単位とからなる基)を指す。
【0040】
親水性基の中では、例えば、エチレンオキシドの繰り返し単位を有する非イオン性親水性基を使用することができる。カルボキシル基及び/又はスルホン酸基の導入は、粒径をより微細にするために有効であることがある。
【0041】
イオン性基がアニオン性基であるとき、中和に用いられる中和剤としては、例えば、不揮発性塩基、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられ;並びに揮発性塩基、例えば第三級アミン(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン)及びアンモニアを使用することができる。
【0042】
イオン性基がカチオン性基であるとき、使用できる中和剤としては、例えば無機酸、例えば塩酸、硫酸及び硝酸;並びに有機酸、例えばぎ酸及び酢酸、が挙げられる。
【0043】
中和は、イオン性基を有する天然油系ポリオールから誘導されたポリウレタンプレポリマーの重合前、中、又は後に行われることがある。中和は、前記天然油系ポリオールから誘導されたポリウレタンプレポリマーに直接中和剤を添加することにより行われることもあり、又はポリウレタン分散体の製造中に水性相に添加することにより行われることもある。
【0044】
ポリウレタンプレポリマーは、典型的に、連鎖延長剤により連鎖延長される。ポリウレタン調製分野における当業者に有用であることが公知の任意の連鎖延長剤を本発明で使用することができる。そのような連鎖延長剤は、典型的に、18から500の範囲の分子量を有し、及び少なくとも2つの活性水素含有基を有する。ポリアミンは、連鎖延長剤の1つの例示的クラスである。他の材料、特に水、は、鎖長を延長するように機能することができ、そのため本発明のための連鎖延長剤である。連鎖延長剤が、水、又は水とアミン(例えば、アミノ化ポリプロピレングリコール、例えばHuntsman Chemical CompanyからのJEFFAMINE D−400、アミノエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1,5−ジアミノ−3−メチル−ペンタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、トリエチレンペンタアミン、エタノールアミン、任意のその立体異性体形態及びそれらの塩でのリシン、ヘキサンジアミン、ヒドラジン並びにピペラジンなど)の混合物であることが特に好ましい。本発明の実施の際、連鎖延長剤を、水中の連鎖延長剤の溶液として使用することができる。
【0045】
前記ポリウレタン分散体を回分プロセスによって製造することができ、又は連続プロセスによって製造することができる。天然油系ポリオールから誘導されたポリウレタンプレポリマー、場合により界面活性剤、及び水をミキサー、例えばOAKSミキサー又はIKAミキサー、に供給し、それによってその天然油系ポリオールから誘導されたポリウレタンプレポリマーを水に分散させる。その後、天然油系ポリオールから誘導されたその分散されたプレポリマーを1つ又はそれ以上の第一級又は第二級アミンで連鎖延長して、ポリウレタン分散体を形成する。
【0046】
1つの実施形態では、天然油系ポリオールから誘導されたプレポリマーと水を、場合により界面活性剤又は他の添加剤及び/又は相調整剤及び/又は連鎖延長剤の存在下、25から90℃の温度で混合して、所望のポリウレタン分散体をもたらすことによって、ポリウレタン水分散体を作る。前記プレポリマーと反応させる水及び任意選択の連鎖延長剤の量は、天然油系ポリオールから誘導された前記プレポリマー中のイソシアナート官能基に対して当量である。過剰な水を使用することもある。
【0047】
連鎖延長剤に加えて、1つ又はそれ以上の界面活性剤を水相に含めることがある。前記界面活性剤は、アニオン性、イオン性、カチオン性若しくは両性イオン性、又は非イオン性(monionic)とカチオン性、アニオン性若しくは両性イオン性との混合物であることがある。非イオン性及びアニオン性界面活性剤が好ましい。ポリマー骨格に組み込まれない界面活性剤は、スルホナート、ホスファート及びカルボキシラートの金属又はアンモニウム塩からなる群より選択される。適する界面活性剤としては、脂肪酸のアルカリ金属塩、例えばステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム;脂肪酸スルファートのアルカリ金属塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム;アルキルベンゼンスルホン及びアルキルナフタレンスルホンのアルカリ金属塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム;ジアルキル−スルホスクシナートのアルカリ金属塩;硫酸化アルキルフェノールエトキシラートのアルキル金属塩、例えばオクチルフェノキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム;ポリエトキシアルコールスルファートのアルカリ金属塩;並びにポリエトキシアルキルフェノールスルファートのアルカリ金属塩が挙げられる。さらに好ましくは、アニオン性界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、n−デシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸イソプロピルアミン、又はヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムであり、及び最も好ましくは、アニオン性界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。好ましい非イオン性界面活性剤は、ノニルフェノールなどのフェノール類のエチレンオキシド付加体である。存在するとき、界面活性剤は、典型的に、0.1から6重量パーセント、最も好ましくは0.5から4重量パーセント、のポリウレタン分散体を含有する。一般に、分散体が50nmと1000nmの間の平均粒径及び1.0から2.0の多分散性を有するようにするために十分な量の界面活性剤を添加することが望ましい。さらに、乳化性非イオン性、カチオン性又はアニオン性基の包有により前記プレポリマーが自己乳化性である場合には、外部界面活性剤が必要であることがあり、又は必要でないこともある。
【0048】
多量成分
前記多量成分は、ラテックスエマルジョン、エポキシ分散体、ポリオレフィン分散体、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0049】
エマルジョンポリマーラテックス
前記多量成分は、エマルジョンポリマーラテックスを含むことがある。そのようなエマルジョンポリマーラテックスは、少なくとも1つの合成ラテックスを含むことがある。合成ラテックスは、1つ又はそれ以上のモノマーの乳化重合によって調製されたポリマー粒子の水性分散体として一般に公知である。前記ラテックスは、単峰性粒径分布を有する場合もあり、又は多峰性、例えば二峰性、粒径分布を有する場合もある。ラテックスの混合物又はブレンドを利用することができる。
【0050】
本発明の1つの実施形態において、前記ラテックスのポリマーは、コポリマー、すなわち、少なくとも2種類のモノマーから構成されているポリマーである。前記ラテックスは、単一のコポリマーを含有することがあり、又は1つより多くのコポリマーを含有することがある。有利には、前記ラテックスのポリマーは、−50℃から100℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0051】
本発明の実施の際、ブレンドの場合にのみ有用なものに対して、単独で有用であるコポリマーは、望ましくは、約−10℃以上、好ましくは少なくとも約0℃、のTgを有する。望ましくは、前記コポリマーのTgは、約50℃以下、好ましくは約40℃まで、である。一般に好ましい範囲は、0℃から40℃である。本発明の組成物のコポリマーのTgは、示差走査熱分析(DSC)によって決定される。
【0052】
広範なモノマー組成物が、本発明の多量成分のラテックス成分に有用であるが、特別な実施形態では、そのコポリマーが、それを調製する重合混合物中に存在するエチレン性不飽和モノマーの群の中に架橋性モノマーが存在しないことにより未架橋であることが好ましい。すなわち、この実施形態では、架橋性モノマー又は何らかの他の架橋剤が不在の状態での重合によって前記コポリマーが製造されることが望ましい。
【0053】
代替実施形態では、前記コポリマーが軽度に架橋されることが望ましい。これは、そのコポリマーが調製される重合混合物に、例えばジビニルベンゼン又はアリル(メタ)アクリラートなどの多官能性であり架橋剤として公知の効用のモノマーを含めることによって達成することができる。この特別な実施形態では、前記コポリマー中の架橋性モノマーの含有率が、約2重量パーセント以下、好ましくは約0.001から2重量パーセント、さらに好ましくは0.01から1.5重量パーセント、さらにいっそう好ましくは0.1から1重量パーセントであることが好ましく、この場合の重量百分率は、重合混合物中のモノマーの総重量に基づく。
【0054】
多種多様なモノマーを使用して、本発明の多量成分における使用に適するコポリマーを調製することができる。主として(メタ)アクリラートモノマーを含む(メタ)アクリラートコポリマーは、コポリマーの1つの望ましいタイプである。
【0055】
本発明のエマルジョンポリマーラテックスのために、用語「(メタ)」は、その用語によって修飾された化合物のクラスにメチル置換化合物が含まれることを示す。例えば、用語(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸を表す。
【0056】
本発明のエマルジョンポリマーラテックスに関して、本明細書において用いる場合、用語「(メタ)アクリラートコポリマー」は、少なくとも80重量パーセントの(メタ)アクリラートモノマー及び(メタ)アクリル酸モノマーを重合形態で含有するコポリマーを意味する。好ましい実施形態において、前記コポリマーは、少なくとも90重量パーセントの(メタ)アクリラートモノマー及び(メタ)アクリル酸モノマーを重合形態で含有するが、前記コポリマーが、少なくとも95重量パーセントの(メタ)アクリラートモノマー及び(メタ)アクリル酸モノマーを重合形態で含有する実施形態は、さらにいっそう好ましい。
【0057】
非常に好ましい実施形態において、前記コポリマーは、純粋な(メタ)アクリラートであり、又はその中に非(メタ)アクリラートシードを含むことを除いて純粋な(メタ)アクリラートである。これらのコポリマーは、(メタ)アクリラートモノマーから、又は(メタ)アクリラートモノマー及び(メタ)アクリル酸モノマーから、本質的に成る。
【0058】
本発明の多量成分のエマルジョンポリマーラテックスに関して、本明細書において用いる場合、用語「(メタ)アクリラートモノマー」は、本発明の組成物における使用に適する(メタ)アクリラートコポリマーを調製するために使用されるモノマーを含むことを意図したものである。例えば、式CH=CHCOORによって表される、アクリル酸のアルキルエステル、及び式CH=CCHCOORによって表される、メタクリル酸のアルキルエステル(これらの式中のRは、1から16個の炭素原子を含有するヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル基である)などの、従来公知のアクリラートがそこに含まれる。用語「(メタ)アクリル酸モノマー」は、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの置換誘導体を含むことを意図したものである。
【0059】
本発明の多量成分のエマルジョンポリマーラテックスに関して、本明細書において用いる場合、本明細書において用いる場合の用語「(メタ)アクリラートモノマー」は、モノビニルアクリラート及びメタクリラートモノマーを含むことも意図されたものである。(メタ)アクリラートは、それらのエステル、アミド及び置換誘導体を含む場合がある。一般に、好ましい(メタ)アクリラートは、C〜Cアルキルアクリラート及びメタクリラートである。
【0060】
適する(メタ)アクリラートの例としては、メチルアクリラート、エチルアクリラート、ブチルアクリラート、ヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、オクチルアクリラート及びイソオクチルアクリラート、n−デシルアクリラート、イソデシルアクリラート、tert−ブチルアクリラート、メチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、ヘキシルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、イソプロピルメタクリラート並びに2−ヒドロキシエチルアクリラート及びアクリルアミドが挙げられる。好ましい(メタ)アクリラートは、メチルアクリラート、エチルアクリラート、ブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、オクチルアクリラート、イソオクチルアクリラート、メチルメタクリラート及びブチルメタクリラートである。他の適するモノマーとしては、アクリル酸及びメタクリル酸エステルモノマー:メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、t−ブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、デシルアクリラート、イソボルニルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、n−プロピルメタクリラート、イソプロピルメタクリラート、n−ブチルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、sec−ブチルメタクリラート、シクロヘキシルメタクリラート、イソデシルメタクリラート、イソボルニルメタクリラート、t−ブチルアミノエチルメタクリラート、ステアリルメタクリラート、グリシジルメタクリラート、ジシクロペンテニルメタクリラート、フェニルメタクリラートをはじめとする、低級アルキルアクリラート及びメタクリラートが挙げられる。
【0061】
1つの実施形態において、前記多量成分は、(メタ)アクリラートポリマーに組み込まれたコモノマーとして1つ又はそれ以上の分岐ビニルエステルを含む。そのような(メタ)アクリラートポリマーは、The Dow Chemical Companyから商品名NEOCAR 820で市販されている。
【0062】
ポリマー中の成分としての使用に適するモノマーは、そのモノマーから調製されるホモポリマーのガラス転移温度(Tg)に依存して、「硬質」又は「軟質」モノマーとして特徴づけられることが多い。本明細書において用いる場合、硬質モノマーは、そのホモポリマーが40℃より高いTgを有するものとして特徴づけられ、その一方で軟質モノマーは、そのホモポリマーが40℃又はそれ以下のTgを有するものとして特徴づけられる。好ましい硬質(メタ)アクリラートモノマーは、メチルメタクリラートである。
【0063】
軟質非官能性(メタ)アクリラートモノマーは、式:
【化1】

(式中、Rは、水素及びメチルからなる群より選択され、並びにRは、好ましくは約15個以下の炭素原子を有する、アルキル基である)
を有する。本明細書において用いる場合、用語「アルキル」は、分岐している場合もあり又は分岐していない場合もがある、環式及び非環式飽和炭化水素基を意味する。例示的軟質、非官能性アクリル系モノマーとしては、ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、エチルヘキシルアクリラート、イソデシルメタクリラート、ラウリルメタクリラート、トリデシルメタクリラートが挙げられるが、これらに限定されない。ブチルアクリラートが、好ましい軟質、非官能性モノマーである。
【0064】
時として(メタ)アクリラートと共に分類される、適する非エステルモノマーは、ニトリルである。好ましいニトリルモノマーは、アクリロニトリルである。
【0065】
本発明の(メタ)アクリラートコポリマーのさらに非常に好ましい実施形態は、(メタ)アクリラートモノマーでない、約5重量パーセント以下の他のコモノマーを含有することがあるが、他の実施形態は、(メタ)アクリラートモノマーでない、10重量パーセントほどもの又は20重量パーセントほどまでものモノマーを、他のコモノマーとして含有することがある。本発明のこれらのコポリマーにおいて有用である他のモノマーとしては、ビニル芳香族モノマー、脂肪族共役ジエンモノマー、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー、ビニルアセタートモノマー、ビニリデンハリドモノマー及びビニルハリドモノマーが挙げられる。本発明での使用に適する一部の他の望ましいコポリマーにおいて、重合混合物のモノマーは、1から40重量パーセントの1つ又はそれ以上の(メタ)アクリラートモノマーを含む。
【0066】
本明細書及び特許請求の範囲において用いる場合、「ビニル芳香族モノマー」は、少なくとも1つの芳香族環とビニル不飽和を有する少なくとも1つの脂肪族含有部分とを含有する、任意の有機化合物と定義される。実例となるビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、p−メチルスチレン、メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o,p−ジエチルスチレン、p−クロロスチレン、イソプロピルスチレン、t−ブチルスチレン、o−メチル−p−イソプロピルスチレン、o,p−ジクロロスチレン、及びこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。好ましいビニル芳香族モノマーは、スチレン及びビニルトルエンであり;並びにその商業的入手性及び低コストのため、スチレンがより好ましいビニル芳香族モノマーである。
【0067】
用語「共役ジエンモノマー」は、本明細書において用いる場合、化合物、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、及び4−メチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、ピペリレン(1,3−ペンタジエン)、並びに1,3−ブタジエンの他の炭化水素類似体を含むことを意図したものである。好ましいアルカジエンモノマーは、1,3−ブタジエンである。脂肪族共役ジエンとして含める他のモノマーは、例えば2−クロロ−1,3−ブタジエンなどの、ハロゲン化化合物である。
【0068】
例えば「ビニリデンハリド」及び「ビニルハリド」などの、ビニル群のモノマーは、本発明のコポリマーに含めることに適しており、並びに例えば、ビニリデンクロリド及びビニルクロリドを含み、これらは非常に好ましい。ビニリデンブロミド及びビニルブロミドを用いることもできる。ビニル群の中のもう1つのビニルモノマーは、ビニルアセタートである。
【0069】
適するアルファ,ベータ−エチレン性不飽和脂肪族カルボン酸モノマーは、カルボキシル基の少なくとも1つに対してアルファ−ベータのエチレン性不飽和を有するモノエチレン性不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸及びトリカルボン酸、並びにより多数のカルボキシル基を有する類似のモノマーである。カルボキシル基が、酸又は塩形態[−COOM(この場合のMは、カチオン、例えばアンモニウム、水素、又は金属、例えばナトリウム若しくはカリウムなど、を表す]で存在することがあり、周知の単純な手順によって容易に相互変換可能であることは、理解される。
【0070】
アルファ,ベータ−エチレン性不飽和脂肪族カルボン酸の具体的な例は、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、アコニット酸、様々なアルファ置換アクリル酸、例えばアルファ−メチルアクリル酸(alpha-ethacrylic acid)、アルファ−プロピルアクリル酸及びアルファ−ブチルアクリル酸、である。非常に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。
【0071】
上で論じたコポリマー中の望ましい又は好ましい酸モノマーの量に関して、水溶液中でのpKaによって示されるようなモノマーの酸度とコポリマーに望ましく含まれる酸モノマーの量の点での兼ね合いがあることは明らかである。比較的弱い酸のモノマーについては、より高い酸含有率を許容することができ、より高い酸含有率が望ましいことがあるが、比較的強い酸のモノマーである酸モノマーについては、コポリマーの酸含有率が少ない方が望ましい。
【0072】
好ましい実施形態において、前記コポリマー中のアルファ,ベータ−エチレン性不飽和脂肪族カルボン酸モノマーの含有率は、望ましくは0から4重量パーセント、さらに好ましくは0.2から3重量パーセント、さらにいっそう好ましくは0.3から2重量パーセント、の範囲である。
【0073】
本発明の範囲内には、利用するコポリマーが(メタ)アクリラートコポリマーとして分類されないであろう他の実施形態がある。利用することができる他のコポリマーとしては、例えば、ビニル芳香族モノマーと、(メタ)アクリラートモノマー、例えばスチレンアクリラートなど、の組み合わせ、及びビニル芳香族モノマーと共役ジエンモノマーとの組み合わせ、例えばスチレンブタジエンコポリマーなど、及びビニルエステル化合物と(メタ)アクリラートモノマーの組み合わせ、例えば(メタ)アクリラート分岐ビニルエステル及びビニルアセタート分岐ビニルエステルコポリマー、が挙げられる。これらのコポリマーは、カルボキシル化されていないことがあり、又はカルボキシル化されていることがある。
【0074】
前記コポリマーは、望ましくは、例えば、モノマー材料、水、及び(利用するときには)界面活性剤を反応容器に投入すること、その反応容器を例えば窒素などの不活性ガスでパージしてその反応容器から本質的にすべての酸素を除去すること、及びその反応容器を反応温度、通常は80℃から100℃、に加熱することによって作られる。反応容器が所望の温度に達したら、時間をかけて開始剤及び残りのモノマー材料をその反応容器に投入し、反応を2から4時間継続する。反応が完了したら、反応容器を冷却する。この合成は、水中のコポリマーを含む水性コポリマー組成物を生じさせる。一部の事例では、前記組成物は、乳白色の液体の外観を有するが、他の事例では、透明溶液のように見える。
【0075】
前記コポリマーの製造プロセスは、シードの使用を含むことがあり、前記シードは、(メタ)アクリラート、ポリスチレン、又は製造されるコポリマーの最終粒径を制御するために有用な、若しくはその製造に別様に有用な、任意の他のシードであり得る。当分野において周知であるように、最初のシードの調節を用いて、製造されるコポリマーの最終粒径範囲を制御することができる。有用なコポリマー粒径は、700から10,000オングストロームの範囲である。
【0076】
アニオン性、非イオン性、及び両性界面活性化合物、すなわち界面活性剤、を前記コポリマー合成プロセスにおいて利用することができる。しかし、一部の事例では、界面活性剤が必要とされない。例示的アニオン性、非イオン性、及び両性界面活性剤は、それぞれ、Rhone−Poulencから入手可能なSIPONATE A246L商標界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェノール界面活性剤;及びN,N−ビスカルボキシエチルラウラミンである。もう1つの有用な界面活性剤は、DOWFAX 2EP、ドデシル化スルホン化フェニルエーテルのナトリウム塩、であり、これは、米国、48640 ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0077】
エポキシ
前記多量成分は、エポキシ分散体を含むことがある。エポキシ樹脂は、1分子につき1つ又はそれ以上の隣接エポキシ基、すなわち1分子につき少なくとも1つの1,2−エポキシ基、を有する組成物を指す。一般に、そのような化合物は、少なくとも1つの1,2−エポキシ基を有する、飽和又は不飽和脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式化合物である。そのような化合物は、所望される場合には、1つ又はそれ以上の非干渉置換基、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテルラジカル、低級アルキル及びこれらに類するもの、で置換されていることがある。
【0078】
実例となるエポキシは、1967年にNew YorkのMcGraw−Hillにより出版されたH.E.Lee及びK.Nevilleによる Handbook of Epoxy Resins、並びに米国特許第4,066,628号に記載されており、これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
本発明の実施の際に使用することができる特に有用な化合物は、下記の式を有するエポキシ樹脂である:
【化2】

(式中、nは、0又はそれ以上の平均値である。
【0080】
本発明において有用なエポキシ樹脂としては、例えば、多価フェノール及び多価アルコールのグリシジルポリエーテルを挙げることができる。実例として、本発明において使用することができる公知エポキシ樹脂の例としては、例えば、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラブロモビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン−置換フェノール樹脂テトラメチルビフェノール、テトラメチル−テトラブロモビフェノール、テトラメチルトリブロモビフェノール、テトラクロロビスフェノールA及びこれらの任意の組み合わせの、ジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0081】
本発明において特に有用なジエポキシドの例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般に、ビスフェノールAと呼ばれる)のジグリシジルエーテル、及び2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般に、テトラブロモビスフェノールAと呼ばれる)のジグリシジルエーテルが挙げられる。任意の2つ又はそれ以上のポリエポキシドの混合物も本発明の実施の際に使用することができる。
【0082】
本発明の実施の際に利用することができる他のジエポキシドとしては、二価フェノールのジグリシジルエーテル、例えば米国特許第5,246,751号、同第5,115,075号、同第5,089,588号、同第4,480,082号及び同第4,438,254号(これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているもの、又はジカルボン酸のジグリシジルエステル、例えば米国特許第5,171,820号に記載されているもの、が挙げられる。他の適するジエポキシドとしては、例えば、αω−ジグリシジルオキシイソプロピリデン−ビスフェノール系エポキシ樹脂(D.E.R.(登録商標)300及び600シリーズエポキシ樹脂として商業的に公知、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyの製品)が挙げられる。
【0083】
本発明の実施の際に利用することができるエポキシ樹脂としては、二価フェノールのジグリシジルエーテルと二価フェノールの反応により調製されるエポキシ樹脂、又は二価フェノールとエピクロロヒドリンの反応により調製されるエポキシ樹脂(「タッフィー樹脂」としても公知)も挙げることができる。
【0084】
例示的エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA;4,4’−スルホニルジフェノール;4,4’−オキシジフェノール;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;レゾルシノール;ヒドロキノン;9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;4,4’−ジヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベン、のジグリシジルエーテル、及び前記ジカルボン酸のジグリシジルエステルが挙げられる。
【0085】
本発明の実施の際に使用することができる他の有用なエポキシド化合物は、脂環式エポキシドである。脂環式エポキシドは、例えば下記の式によって示されるような、炭素環内の2個の隣接原子に結合しているエポキシ酸素を有する飽和炭素環からなる:
【化3】

[式中、Rは、1つ若しくはそれ以上のヘテロ原子(例えば、これらに限定されないが、Cl、Br及びS)又は炭素と安定な結合を形成する原子若しくは原子団(例えば、これらに限定されないが、Si、P及びB)を場合により含む、炭化水素基であり、及びnは、1より大きい又は1に等しい]。
【0086】
脂環式エポキシドは、モノエポキシド、ジエポキシド、ポリエポキシド、又はこれらの混合物であることがある。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,686,359号に記載されている脂環式エポキシドのいずれかを本発明において使用することができる。実例として、本発明において使用することができる脂環式エポキシドとしては、例えば、(3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル)−3,4−エポキシ−シクロヘキサンカルボキシラート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジパート、ビニルシクロヘキセンモノオキシド及びこれらの混合物が挙げられる。
【0087】
ポリオレフィン分散体
前記多量成分は、ポリオレフィン分散体を含むことがある。ポリオレフィン分散体は、少なくとも1つ又はそれ以上の基剤ポリマー、場合により1つ又はそれ以上の界面活性剤、及び流動媒体を含むことがある。
【0088】
基剤ポリマー
前記多量成分のポリオレフィン分散体成分は、前記ポリオレフィン分散体の固形分の総重量に基づき、5から99重量パーセントの1つ又はそれ以上の基剤ポリマーを含む。5から99重量パーセントのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記重量パーセントは、5、8、10、15、20、25重量パーセントの下限から、40、50、60、70、80、90、95又は99重量パーセントの上限までである場合がある。例えば、前記ポリオレフィン分散体は、前記ポリオレフィン分散体の固形分の総重量に基づき、15から99、又は代替実施形態では15から90、又は代替実施形態では15から80重量パーセント、の1つ又はそれ以上の基剤ポリマーを含むことがある。前記ポリオレフィン分散体は、少なくとも1つの又はそれ以上の基剤ポリマーを含む。例えば、熱可塑性材料及び熱硬化性材料からなる群より前記基剤ポリマーを選択することができる。前記1つ又はそれ以上の基剤ポリマーは、1つ若しくはそれ以上のオレフィン系ポリマー、1つ若しくはそれ以上のアクリル系ポリマー、1つ若しくはそれ以上のポリエステル系ポリマー、1つ若しくはそれ以上の固体エポキシポリマー、1つ若しくはそれ以上の熱可塑性ポリウレタンポリマー、1つ若しくはそれ以上のスチレン系ポリマー、又はこれらの組み合わせを含むことがある。
【0089】
熱可塑性材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、及びプロピレン−1−ブテンコポリマーによって概して表されるような、アルファ−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセン、のホモポリマー及びコポリマー(エラストマーを含む);エチレン−ブタジエンコポリマー、及びエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって概して表されるような、アルファ−オレフィンと共役又は非共役ジエンのコポリマー(エラストマーを含む);並びにエチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマー、及びエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって概して表されるような、2つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンと共役又は非共役ジエンのコポリマーなどのポリオレフィン(エラストマーを含む);エチレン−ビニル化合物コポリマー、例えばエチレン−ビニルアセタートコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−ビニルクロリドコポリマー、エチレンアクリル酸又はエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、及びエチレン(メタ)アクリラートコポリマー;スチレン系コポリマー(エラストマーを含む)、例えば、ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコール、スチレンアクリラート、例えば、スチレンメタクリラート、スチレンブチルアクリラート、スチレンブチルメタクリラート、並びにスチレンブタジエン及び架橋スチレンポリマー;並びにスチレンブロックコポリマー(エラストマーを含む)、例えばスチレン−ブタジエンコポリマー及びその水和物、並びにスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマー;ポリビニル化合物、例えばポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、ビニルクロリド−ビニリデンクロリドコポリマー、ポリメチルアクリラート、及びポリメチルメタクリラート;ポリアミド、例えばナイロン6、ナイロン6,6、及びナイロン12;熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート及びポリブチレンテレフタラート;ポリカルボナート、ポリフェニレンオキシド、及びこれらに類するもの;並びにポリ−ジシクロペンタジエンポリマー及び関連ポリマー(コポリマー、ターポリマー)を含む、ガラス質炭化水素系樹脂;飽和モノオレフィン、例えばビニルアセタート、ビニルプロオナート、ビニルベルサタート(vinyl versatate)及びビニルブチラート並びにこれらに類するもの;ビニルエステル、例えば、メチルメタクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、ドデシルアクリラート、n−オクチルアクリラート、フェニルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート及びブチルメタクリラート並びにこれらに類するものをはじめとする、モノカルボン酸のエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、これらの混合物;開環メタセシス及びクロスメタセシス重合並びにこれらに類するものによって製造された樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。これらの樹脂を、単独で、又は2つ若しくはそれ以上の組み合わせで、使用することができる。
【0090】
基剤ポリマーとして、適する(メタ)アクリラートの例としては、メチルアクリラート、エチルアクリラート、ブチルアクリラート、ヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、オクチルアクリラート及びイソオクチルアクリラート、n−デシルアクリラート、イソデシルアクリラート、tert−ブチルアクリラート、メチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、ヘキシルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、イソプロピルメタクリラート並びに2−ヒドロキシエチルアクリラート及びアクリルアミドが挙げられる。好ましい(メタ)アクリラートは、メチルアクリラート、エチルアクリラート、ブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、オクチルアクリラート、イソオクチルアクリラート、メチルメタクリラート及びブチルメタクリラートである。モノマーから重合することができる他の適する(メタ)アクリラートとしては、アクリル酸及びメタクリル酸エステルモノマーを含む低級アルキルアクリラート及びメタクリラート:メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、t−ブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、デシルアクリラート、イソボルニルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、n−プロピルメタクリラート、イソプロピルメタクリラート、n−ブチルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、sec−ブチルメタクリラート、シクロヘキシルメタクリラート、イソデシルメタクリラート、イソボルニルメタクリラート、t−ブチルアミノエチルメタクリラート、ステアリルメタクリラート、グリシジルメタクリラート、ジシクロペンテニルメタクリラート、フェニルメタクリラートが挙げられる。
【0091】
選択された実施形態において、基剤ポリマーは、例えば、エチレン−アルファオレフィンコポリマー及びプロピレン−アルファオレフィンコポリマーからなる群より選択されるポリオレフィンを含むことがある。特に、選択実施形態において、前記基剤ポリマーは、1つ又はそれ以上の非極性ポリオレフィンを含むことがある。
【0092】
特定の実施形態では、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、それらのコポリマー、及びそれらのブレンド、並びにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーを使用することがある。一部の実施形態において、好ましいオレフィン系ポリマーとしては、Elstonに発行された米国特許第3,645,992号に記載されているような、均一ポリマー;Andersonに発行された米国特許第4,076,698号に記載されているような、高密度ポリエチレン(HDPE);不均一に分岐している線状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一に分岐している超低線密度ポリエチレン(ULDPE);均一に分岐している線状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー;例えば米国特許第5,272,236号及び同第5,278,272号(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているプロセスにより調製することができる、均一に分岐している、実質的に線状のエチレン/アルファ−オレフィンポリマー;並びに高圧自由ラジカル重合エチレンポリマー及びコポリマー、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)又はエチレンビニルアセタートポリマー(EVA)が挙げられる。
【0093】
他の特別な実施形態において、前記基剤ポリマーは、例えば、エチレンビニルアセタート(EVA)系ポリマーであることがある。他の実施形態において、前記基剤ポリマーは、例えば、エチレン−メチルアクリラート(EMA)系ポリマーであることがある。他の特別な実施形態において、前記エチレン−アルファオレフィンコポリマーは、例えば、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン、又はエチレン−オクテンコポリマー又は共重合体であることがある。他の特別な実施形態において、前記プロピレン−アルファオレフィンコポリマーは、例えば、プロピレン−エチレン又はプロピレン−エチレン−ブテンコポリマー又は共重合体であることがある。
【0094】
ある他の実施形態において、前記基剤ポリマーは、例えば、半結晶質ポリマーであることがあり、110℃未満の融点を有することがある。好ましい実施形態において、前記融点は、25から100℃であることがある。さらに好ましい実施形態において、前記融点は、40℃と85℃の間であることがある。
【0095】
1つの特別な実施形態において、前記基剤ポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有するものとして特徴づけられる、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーである。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」は、それらの配列が、13C NMRにより測定して、約0.85より大きい;代替実施形態では、約0.90より大きい;もう1つの代替実施形態では、約0.92より大きい;及びもう1つの代替実施形態では約0.93より大きい、アイソタクチックトライアッド(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトライアッドは、当分野において周知であり、例えば、米国特許第5,504,172号及び国際公開WO第00/01745号に記載されており、13C NMRスペクトルによって判定されるコポリマー分子鎖中のトライアッド単位に関してのアイソタクチック配列を指す。
【0096】
前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、ASTM D−1238(230℃/2.16Kgで)に従って測定して、0.1から15g/10分の範囲のメルト・フロー・レートを有することがある。0.1から15g/10分のすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記メルト・フロー・レートは、0.1g/10分、0.2g/10分、又は0.5g/10分の下限から、15g/10分、10g/10分、8g/10分、又は5g/10分の上限までである場合がある。例えば、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、0.1から10g/10分の範囲のメルト・フロー・レートを有することがあり;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、0.2から10g/10分の範囲のメルト・フロー・レートを有することがある。
【0097】
前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有する。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)のすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)又は3パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限から、30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)又は7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の上限までである場合がある。例えば、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有すことがあり;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有すことがあり;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有すことがあり;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有すことがある。前記結晶化度は、上で説明したように、DSC法によって測定される。前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、プロピレンに由来する単位、及び1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーに由来するポリマー重合単位を含む。前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーを製造するために利用される例示的コモノマーは、C、及びCからC10アルファ−オレフィン;例えば、C、C、C及びC アルファ−オレフィンである。
【0098】
前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1から40重量パーセントの1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含む。1から40重量パーセントのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記コモノマー含有率は、1重量パーセント、3重量パーセント、4重量パーセント、5重量パーセント、7重量パーセント、又は9重量パーセントの下限から、40重量パーセント、35重量パーセント、30重量パーセント、27重量パーセント、20重量パーセント、15重量パーセント、12重量パーセント、又は9重量パーセントの上限までである場合がある。例えば、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1から35重量パーセントの1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含み;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1から30重量パーセントの1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含み;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、3から27重量パーセントの1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含み;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、3から20重量パーセントの1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含み;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、3から15重量パーセントの1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含む。
【0099】
前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、3.5若しくはそれ以下;代替実施形態では3.0若しくはそれ以下;又はもう1つの代替実施形態では1.8から3.0の、数平均分子量で割った重量平均分子量(M/M)として定義される、分子量分布(MWD)を有する。
【0100】
そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、さらに米国特許第6,960,635号及び同第6,525,157号に詳細に記載されており、これらの特許は参照により本明細書に組み込まれる。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、The Dow Chemical Companyから商品名VERSIFY(商標)で、又はExxonMobil Chemical Companyから商品名VISTAMAXX(商標)で、市販されている。1つの実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、(A)プロピレンに由来する、60重量パーセントと100重量パーセント未満の間、好ましくは80重量パーセントと99重量パーセントの間、及びさらに好ましくは85重量パーセントと99重量パーセントの間の単位、並びに(B)少なくとも1つのエチレン及び/又はC4−10α−オレフィンに由来する、ゼロより大きい重量パーセントと40重量パーセントの間、好ましくは1重量パーセントと20重量パーセントの間、さらに好ましくは4重量パーセントと16重量パーセントの間、及びさらにいっそう好ましくは4重量パーセントと15重量パーセントの間の単位を含む;並びに平均で少なくとも0.001、好ましくは平均で少なくとも0.005及びさらに好ましくは平均で少なくとも0.01の長鎖分岐/(1000 合計炭素)を含有するものとして、さらに特徴づけられる。前記プロピレン共重合体中の長鎖分岐の最大数は、本発明の定義にとって重要でないが、典型的に、それは3の長鎖分岐/(1000 合計炭素)を超えない。用語長鎖分岐は、本明細書において用いる場合、短鎖分岐より少なくとも一(1)炭素大きい鎖長を指し、及び短鎖分岐は、本明細書において用いる場合、そのコモノマー中の炭素数より二(2)炭素少ない鎖長を指す。例えば、プロピレン/1−オクテン共重合体は、少なくとも七(7)炭素の長さの長鎖分岐を有する骨格を有するが、これらの骨格は、わずか六(6)炭素の長さの短鎖分岐も有する。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、さらに、米国特許仮出願第60/988,999号及び国際特許出願番号PCT/US08/082599に詳細に記載されており、これらの文献のそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
ある他の実施形態において、前記基剤ポリマー、例えばプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマー、は、例えば、半結晶質ポリマーであることがあり、110℃未満の融点を有することがある。好ましい実施形態において、前記融点は、25から100℃であることがある。さらに好ましい実施形態において、前記融点は、40℃と85℃の間であることがある。
【0102】
他の選択された実施形態では、オレフィンブロックコポリマー、例えば、エチレンマルチブロックコポリマー、例えば国際公開WO第2005/090427号及び米国特許出願番号第11/376,835号に記載されているもの、を基剤ポリマーとして使用することができる。そのようなオレフィンブロックコポリマーは、エチレン/α−オレフィン共重合体であって:
(a)1.7から3.5のM/M、摂氏度での少なくとも1つの融点、T、及びグラム/立方センチメートルでの密度、dを有し、前記T及び前記dの数値が、関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に対応するもの;又は
(b)1.7から3.5のM/Mを有し、並びにJ/gでの融解熱、ΔH、及び最高DSCピークと最高CRYSTAFピークの間の温度差と定義される摂氏度でのデルタ量、ΔTによって特徴づけられ、前記ΔT及び前記ΔHの数値が、次の関係:
ゼロより大きく且つ130J/g以下のΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gより大きいΔHについては、ΔT ≧ 48℃
を有するもの[この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、及びポリマーの5パーセント未満しか同定可能なCRYSTAFピークを有さない場合には、CRYSTAF温度は30℃である];又は
(c)前記エチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形フィルムで測定される300パーセント歪及び1サイクルにおけるパーセントでの弾性回復率、Re、によって特徴づけられ、並びにグラム/立方センチメートルでの密度、d、を有し、前記Re及び前記dの数値が、エチレン/α−オレフィン共重合体に架橋相が実質的にないとき、次の関係:
Re>1481−1629(d)
を有するもの;又は
(d)TREFを用いて分画されたとき40℃と130℃の間で溶出する分子画分であって、同温度間で溶出する比較対照となるランダムエチレン共重合体画分のものより少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有率を有することを特徴とする画分を有するもの[この場合、前記比較対照となるランダムエチレン共重合体は、前記エチレン/α−オレフィン共重合体のものと同じコモノマー(単数若しくは複数)を有し、並びに前記エチレン/α−オレフィン共重合体のものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有率(全ポリマーに基づく)を有する];又は
(e)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)、を有し、前記G’(250℃)と前記G’(100℃)との比(G’(250℃):G’(100℃))が、1:1から9:1の範囲であるもの
である場合がある。
【0103】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、
(a)TREF用いて分画されたとき40℃と130℃の間で溶出する分子画分であって、少なくとも0.5で且つ約1以下のブロック指数及び約1.3より大きい分子量分布、M/M、を有することを特徴とする画分を有する;又は
(b)ゼロより大きく且つ約1.0以下の平均ブロック指数及び約1.3より大きい分子量分布、M/M、を有する
こともある。
【0104】
ある実施形態において、前記基剤ポリマーは、例えば、コモノマー又はグラフトモノマーのいずれかとして極性基を有する極性ポリマーを含むことがある。例示的実施形態において、前記基剤ポリマーは、例えば、コモノマー又はグラフトモノマーのいずれかとして極性基を有する、1つ又はそれ以上の極性ポリオレフィンを含むことがある。例示的極性ポリオレフィンとしては、エチレン−アクリル酸(EAA)及びエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、The Dow Chemical Companyから市販されている商品名PRIMACOR(商標)、E.I.DuPont de Nemoursから市販されているNUCREL(商標)及びExxonMobil Chemical Companyから市販されているESCOR(商標)で入手可能なもの、並びに米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号及び同第5,938,437号(これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的基剤ポリマーとしては、エチレンエチルアクリラート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリラート(EMMA)、及びエチレンブチルアクリラート(EBA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
1つの実施形態において、前記基剤ポリマーは、例えば、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー及びこれらの組み合わせからなる群より選択される極性ポリオレフィンを含むことがあり、並びに前記安定剤は、例えば、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー及びこれらの組み合わせからなる群より選択される極性ポリオレフィンを含むことがあるが、但し、基剤ポリマーが、例えば、D−974に従って測定して、安定剤より低い酸価を有することを条件とする。
【0106】
ある実施形態において、前記基剤ポリマーは、例えば、ポリエステル樹脂を含むことがある。ポリエステル樹脂は、少なくとも1つのエステル結合を含有するポリマーを含むことができる熱可塑性樹脂を指す。例えば、ポリエステルポリオールは、アルカン二酸に対してモル過剰の脂肪族ジオール又はグリコールを使用して従来のエステル化プロセスにより調製することができる。ポリエステルを調製するために利用することができる実例となるグリコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び他のブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び他のペンタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、並びにドデカンジオールである。一部の実施形態において、前記脂肪族グリコールは、2から8個の炭素原子を含有することがある。ポリエステルを調製するために使用することができる実例となる二酸は、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチル−1,6−ヘキサン酸、ピメリン酸、スベリン酸、及びドデカン二酸である。一部の実施形態において、前記アルカン二酸は、4から12個の炭素原子を含有することがある。実例となるポリエステルポリオールは、ポリ(ヘキサンジオールアジパート)、ポリ(ブチレングリコールアジパート)、ポリ(エチレングリコールアジパート)、ポリ(ジエチレングリコールアジパート)、ポリ(ヘキサンジオールオキサラート)、及びポリ(エチレングリコールセバカート)である。本発明の他の実施形態は、脂肪族ジオールを含有するポリエステル樹脂、例えば、The Dow Chemical Company(ミシガン州、ミッドランド)から入手可能なUNOXOL(cis及びtrans 1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物)を使用する。
【0107】
ある実施形態において、前記基剤ポリマーは、例えば、上で説明したようなエポキシ樹脂を含む熱硬化性材料を含むことがある。
【0108】
ある実施形態において、前記基剤ポリマーは、熱可塑性ポリウレタンポリマーを含む。そのような熱可塑性ポリウレタンポリマーは、一般に公知であり、及びさらに、例えば国際公開第2008/057878号(この文献は、熱可塑性ポリウレタンポリマーを記載している範囲への参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0109】
当業者には、上のリストが例示的基剤ポリマーの非包括的リスティングであることがわかるだろう。本発明の範囲が本請求項によってのみ限定されることは理解されるだろう。
【0110】
安定剤
本発明による多量成分のポリオレフィン分散体は、安定なポリオレフィン分散体の形成を促進するために少なくとも1つ又はそれ以上の安定剤(本明細書では分散(dispersion又はdispersing)剤とも呼ぶ)をさらに含むことがある。前記安定剤は、好ましくは、外部安定剤であり得る。本発明のポリオレフィン分散体は、前記分散体の固形分の総重量に基づき、1から50重量パーセントの1つ又はそれ以上の安定剤を含む。1から45重量パーセントのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記重量パーセントは、1、3、5、10重量パーセントの下限から、15、25、35、45、又は50重量パーセントの上限までである場合がある。例えば、前記分散体は、前記分散体の固形分の総重量に基づき、1から25、又は代替実施形態では1から35、又は代替実施形態では1から40、又は代替実施形態では1から45重量パーセントの1つ又はそれ以上の安定剤を含むことがある。選択された実施形態において、前記安定剤は、界面活性剤、ポリマー、又はこれらの混合物であることがある。ある実施形態において、前記安定剤は、コモノマー又はグラフトモノマーのいずれかとして極性基を有する、極性ポリマーである場合がある。例示的実施形態において、前記安定剤は、コモノマー又はグラフトモノマーのいずれかとして極性基を有する、1つ又はそれ以上の極性ポリオレフィンを含む。例示的ポリマー安定剤としては、エチレン−アクリル酸(EAA)及びエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、The Dow Chemical Companyから市販されている商品名PRIMACOR(商標)、E.I.DuPont de Nemoursから市販されているNUCREL(商標)及びExxonMobil Chemical Companyから市販されているESCOR(商標)で入手可能なもの、並びに米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号及び同第5,938,437号(これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的ポリマー安定剤としては、エチレンエチルアクリラート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリラート(EMMA)、及びエチレンブチルアクリラート(EBA)が挙げられるが、これらに限定されない。他のエチレン−カルボン酸コポリマーを使用することもできる。当業者には、多数の他の有用なポリマーも使用できることがわかるであろう。
【0111】
使用することができる他の安定剤としては、12から60個の炭素原子を有する、長鎖脂肪酸、脂肪酸塩、又は脂肪酸アルキルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、前記長鎖脂肪酸又は脂肪酸塩は、12から40個の炭素原子を有することがある。
【0112】
前記安定剤を中和剤により部分的に又は完全に中和することができる。ある実施形態において、長鎖脂肪酸又はEAAなどの安定剤の中和は、モルベースで25から200パーセントであることがあり;又は代替実施形態において、それは、モルベースで50から110パーセントであることがある。例えば、EAAの場合、中和剤は、例えば水酸化アンモニウム又は水酸化カリウムなどの塩基であることがある。他の中和剤としては、例えば、水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを挙げることができる。もう1つの代替実施形態において、前記中和剤は、例えば、カルボナートであることがある。もう1つの代替実施形態において、前記中和剤は、例えば、任意のアミン、例えばモノエタノールアミン又は2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)であることがある。本明細書に開示する実施形態において有用なアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びTRIS AMINO(それぞれ、Angusから入手可能)、NEUTROL TE(BASFから入手可能)、並びにトリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン及びN,N−ジメチルエタノールアミン(それぞれ、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手可能)が挙げられる。他の有用なアミンとしては、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、ジメチル−n−プロピルアミン、N−メタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシルプロピル)エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンが挙げられる。一部の実施形態では、アミンの混合物又はアミンと界面活性剤の混合物を使用することがある。適切な中和剤の選択が、配合される具体的な組成に依存すること、及びそのような選択が、当業者の知識の範囲内であることは、当業者には理解されるであろう。
【0113】
本発明の実施の際に有用であり得る追加の安定剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤の例としては、スルホナート、カルボキシラート及びホスファートが挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤の例としては、第四級アミンが挙げられるが、これに限定されない。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシド含有するブロックコポリマー、及びシリコーン界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施の際に有用な安定剤は、外部界面活性剤である場合もあり、又は内部界面活性剤である場合もある。外部界面活性剤は、分散体調製中に化学反応して基剤ポリマーにならない界面活性剤である。この場合に有用な外部界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩及びラウリルスルホン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。内部界面活性剤は、分散体調製中に化学反応して基剤ポリマーになる界面活性剤である。この場合に有用な内部界面活性剤の例としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸及びその塩が挙げられる。本発明の実施の際に有用であり得る追加の界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせが挙げられる。OP−100(ステアリン酸ナトリウム)、OPK−1000(ステアリン酸カリウム)、及びOPK−181(オレイン酸カリウム)(それぞれ、RTD Hallstarから入手可能);UNICID 350(Baker Petroliteから入手可能);DISPONIL FES 77−IS及びDISPONIL TA−430(それぞれ、Cognisから入手可能);RHODAPEX CO−436、SOPROPHOR 4D384、3D−33及び796/P、RHODACAL BX−78及びLDS−22、RHODAFAC RE−610及びRM−710、並びにSUPRAGIL MNS/90(それぞれ, Rhodiaから入手可能);並びにTRITON QS−15、TRITON W−30、DOWFAX 2A1、DOWFAX 3B2、DOWFAX 8390、DOWFAX C6L、TRITON X−200、TRITON XN−45S、TRITON H−55、TRITON GR−5M、TRITON BG−10、及びTRITON CG−110(それぞれ、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手可能)をはじめとする様々な市販の界面活性剤を、本明細書に開示する実施形態において使用することができる。
【0114】
流動媒体
前記ポリオレフィン分散体は、さらに流動媒体を含む。前記流動媒体は、任意の媒体であってよい;例えば、前記流動媒体は、水であることがある。本発明のポリオレフィン分散体は、前記分散体の総容量に基づき、35から80容量パーセントの流動媒体を含む。特別な実施形態において、含水率は、その分散体の総容量に基づき、35から75、又は代替実施形態では35から70、又は代替実施形態では45から60容量パーセント、の範囲であることがある。好ましくは、固形分(基剤ポリマー+安定剤)が1容量パーセントから74容量パーセントの間になるように、前記ポリオレフィン分散体の含水率を制御することができる。特別な実施形態において、前記固形分範囲は、10容量パーセントから70容量パーセントの間であることがある。他の特別な実施形態において、前記固形分範囲は、20容量パーセントから65容量パーセントの間である。ある他の実施形態において、前記固形分範囲は、25容量パーセントから55容量パーセントの間である。
【0115】
追加の成分
本発明によるポリオレフィン分散体は、1つ若しくはそれ以上の結合剤組成物、例えばアクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、ビニルアセタートエチレンラテックス、及びこれらの組み合わせ;場合により、1つ若しくはそれ以上のフィラー;場合により、1つ若しくはそれ以上の添加剤;場合により1つ若しくはそれ以上の顔料、例えば、二酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、ミルドガラス、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュ、及びクレー;場合により、1つ若しくはそれ以上の補助溶剤、例えば、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、アルコール、ミネラルスピリット、及び安息香酸エステル;場合により、1つ若しくはそれ以上の分散剤、例えば、アミノアルコール、及びポリカルボキシラート;場合により、1つ若しくはそれ以上の界面活性剤;場合により、1つ若しくはそれ以上の消泡剤;場合により、1つ若しくはそれ以上の安定剤、例えば、殺生物剤、防黴剤、殺真菌剤、殺藻剤、及びこれらの組み合わせ;場合により、1つ若しくはそれ以上の増粘剤、例えば、セルロース系増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、疎水変性アルカリ可溶性エマルジョン(HASE増粘剤、例えばUCAR POLYPHOBE TR−116)及び疎水変性エトキシル化ウレタン増粘剤(HEUR);又は場合により、1つ若しくはそれ以上の追加の中和剤、例えば、水酸化物、アミン、アンモニア、及びカルボナートをさらに含むことがある。
【0116】
追加の着色剤成分
前記ポリウレタン分散体は、前記ポリオレフィン分散体の一部として着色剤をさらに含むことがある。様々な色を使用することができる。例としては、黄色、マゼンタ、及びシアンなどの色が挙げられる。黒色着色剤として、カーボンブラック、及び下に示す黄色/マゼンタ/シアン着色剤を使用して黒色の色調にした着色剤を使用することができる。着色剤は、本明細書において用いる場合、数ある中でも、染料、顔料及び予備分散体を含む。これらの着色剤を単独で、混合物で、又は固溶体として使用することができる。様々な実施形態において、原顔料、処理顔料、予備粉砕顔料、顔料粉末、顔料プレスケーキ、顔料マスターバッチ、再循環顔料、及び固体又は液体顔料予備分散体の形態で、顔料を供給することができる。本明細書において用いる場合、原顔料は、表面に様々な塗料を堆積させることなどの、その表面に適用される湿潤処理が施されていない顔料である。原顔料及び処理顔料は、PCT公開WO第2005/095277及び米国特許出願公開第20060078485号においてさらに論じられており、これらの文献の前記当部分が、参照により本明細書に組み込まれる。対照的に、処理顔料は、粒子表面に金属酸化物被覆を施すことなどの湿潤処理を受けたものであり得る。金属酸化物塗料の例としては、アルミナ、シリカ、及びジルコニアが挙げられる。再循環顔料を出発顔料粒子として使用することもでき、この場合、再循環材料は、被覆顔料として販売するには不十分な品質の湿潤処理後の顔料である。
【0117】
例示的着色剤粒子としては、黄色着色剤などの顔料が挙げられるが、これらに限定されず、縮合アゾ化合物、イソインドリノン(isoindolynone)化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物及びアリルアミド化合物によって代表される化合物を顔料として使用することができる。マゼンタ着色剤として、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンゾイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物を使用することができる。シアン着色剤として、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物、及びこれらに類するものを使用することができる。
【0118】
ポリオレフィン分散体の形成
本発明によるポリオレフィン分散体は、当業者に認知されている任意の数の方法によって形成することができる。1つの実施形態では、1つ又はそれ以上の基剤ポリマー、1つ又はそれ以上の安定剤を、押出機において、水及び中和剤、例えばアンモニア、水酸化カリウム又はこれら2つの組み合わせ、と共に溶融混練して、ポリオレフィン分散体を形成する。もう1つの実施形態では、1つ又はそれ以上の基剤ポリマー及び任意選択の1つ又はそれ以上のフィラーを配合し、そしてその後、その基剤ポリマー/フィラー配合物を、押出機において、任意選択の安定剤、水及び1つ又はそれ以上の中和剤の存在下で溶融混練し、それによってポリオレフィン分散体を形成する。一部の実施形態では、その分散体を、先ず、1から3重量パーセントの水を含有するように希釈してから、その後に、約25重量パーセントより多くの水を含むようにさらに希釈する。
【0119】
当分野において公知の任意の溶融混練手段を用いることができる。一部の実施形態では、溶融混練機、BANBURY(登録商標)ミキサー、一軸スクリュー押出機、又は多軸スクリュー押出機、例えば二軸スクリュー押出機、を使用する。本発明による分散体を製造するためのプロセスは、特に限定されない。例えば、押出機(ある実施形態では、例えば、二軸スクリュー押出機)は、背圧レギュレーター、メルトポンプ、又はギヤーポンプに連結されている。例示的実施形態は、基剤貯留槽及び初期水貯留槽も備えており、これらのそれぞれがポンプを具備する。基剤貯留槽及び初期水貯留槽から、それぞれ、所望の量の基剤及び初期水を供給する。任意の適するポンプを使用できるが、一部の実施形態では、例えば、240barの圧力で約150cc/分の流量を供給するポンプを使用して、基剤及び初期水を押出機に供給する。他の実施形態では、液体噴射ポンプにより、200barで300cc/分又は133barで600cc/分の流量が供給される。一部の実施形態では、基剤及び初期水を予熱器で予熱する。
【0120】
ペレット、粉末又はフレークの形態での1つ又はそれ以上の基剤ポリマーをフィーダーから押出機の入口に供給し、そこでその樹脂を溶融又は配合する。場合により、1つ若しくはそれ以上のフィラーを1つ若しくはそれ以上の基剤ポリマーと同時にフィーダーにより押出機に供給することができ、又は代替実施形態では、1つ若しくはそれ以上のフィラーを1つ若しくはそれ以上の基剤ポリマーに配合し、その後、フィーダーによって押出機に供給すことができる。代替実施形態では、乳化ゾーンの前の入口で、1つ又はそれ以上の基剤ポリマーと場合により1つ又はそれ以上のフィラーとを含む溶融化合物に、追加の1つ又はそれ以上のフィラーを計量供給することができる。一部の実施形態では、分散剤を1つ又はそれ以上の基剤ポリマーに添加し、その樹脂により及びその樹脂と共に、並びに他の実施形態では、分散剤を別途、二軸スクリュー押出機に供給する。その後、その樹脂溶融物を混合及び搬送ゾーンからその押出機の乳化ゾーンへ配送し、そこで入口を通して水及び基剤貯留槽から初期量の水及び基剤を添加する。一部の実施形態では、分散剤をその水流に追加で又は排他的に添加することができる。一部の実施形態では、さらなる希釈水を水入口経由で貯水槽からその押出機の希釈及び冷却ゾーン内に添加することができる。典型的に、その冷却ゾーンにおいて分散体を少なくとも30重量パーセントの水分へと希釈する。加えて、その希釈混合物を、所望の希釈レベルに達するまで、任意の回数、希釈することができる。一部の実施形態では、水を二軸スクリュー押出機に添加するのではなく、溶融物が押出機から出た後にその樹脂溶融物を含有する流れに添加する。このようにして、押出機内の蒸気圧蓄積を排除し、ローター・スターター・ミキサーなどの第二の混合装置において分散体を形成する。
【0121】
ハイブリッド分散体の形成
ハイブリッド分散体を製造するプロセスは、次の工程:(1)1つ若しくはそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタン分散体又は1つ若しくはそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタンプレポリマーを選択する工程;(2)ラテックス、エポキシ及びポリオレフィン分散体からなる群より選択される第二の分散体を選択する工程;(3)少量成分を多量成分にブレンドする工程;及び(4)それによって前記ハイブリッド分散体を製造する工程、を含む。
【0122】
連続プロセス又は回分プロセスにより、前記少量成分及び多量成分を混合して前記ハイブリッド分散体を形成することができる。そのような混合は、例えば、攪拌、Oaksミキサー、IKEAミキサー、又はこれらに類するものによって果たすことができる。
【0123】
最終用途
本発明のハイブリッド分散体は、例えば、種々の塗装用途、例えば工業塗装用途、建築塗装用途、自動車塗装用途、屋外家具塗装用途、に使用することができる。
【0124】
本発明による塗装物品又は構造体は、物品又は構造体の1つ又はそれ以上の表面に付随する塗料層を含み、前記塗料層は、本発明による本発明のハイブリッド分散体から誘導される。
【0125】
本発明によるハイブリッド分散体は、皮膜形成用組成物である。本発明のハイブリッド分散体から誘導される皮膜は、任意の厚みを有することができる;例えば、そのような皮膜は、0.01μmから1mm;又は代替実施形態では、1μmから500μm;又は代替実施形態では、1μmから100μm;又は代替実施形態では、1から50μm;又は代替実施形態では、1μmから25μm;又は代替実施形態では、1から10μm、の範囲の厚みを有することがある。
【0126】
本発明による物品又は構造体を塗装するための方法は、(1)本発明のハイブリッド分散体を選択する工程;(2)物品又は構造体の1つ又はそれ以上の表面にそのハイブリッド分散体を塗布する工程;(3)その物品又は構造体の1つ又はそれ以上の表面に付随するハイブリッド分散体から水の一部分を除去する工程;及び(4)それによりその物品又は構造体を塗装する工程を含む。
【0127】
前記ハイブリッド分散体を物品又は構造体の1つ又はそれ以上の表面に任意の方法により塗布することができる。そのような方法としては、噴霧、浸漬、ロール掛け、及び当業者に一般に公知の任意の他の従来の技法が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のハイブリッド分散体を、物品又は構造体の1つ又はそれ以上の表面に、約5℃より高い範囲の温度で塗布することができる。そのような構造体としては、商業建築物、住宅建築物、及び倉庫が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のハイブリッド分散体を、屋内用途、屋外用途、又はそれらの組み合わせのための塗料として使用することができる。本発明のハイブリッド分散体で塗装されるそのような構造の表面は、コンクリート、木材、金属、プラスチック、ガラス、石壁、又はこれらに類するものを含むことがある。
【0128】
実施例
以下の実施例は、本発明を例証するものであるが、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の実施例は、本発明による塗装物品又は構造体が、改善された特性、例えば抗吸塵特性、防汚及び耐ブロック特性、並びに低い吸水特性、を有することを実証するものである。
【0129】
プレポリマーの調製
このプレポリマー形成は、464の当量(EW)を有するメチルヒドロキシメチルステアラート(HMS)ポリオールで開始してUNOXOL(商標)Diolを利用した。26.7グラムのジメチロールプロピオン酸(DMPA)、108.9グラムのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、206.0グラムのHMSポリオール、及び0.215グラムのジブチル錫ジラウラート触媒を、メカニカルスターラーと冷却器と添加漏斗と窒素入口と反応温度をモニターするための熱電対とを装備した1リットル五口ガラス丸底フラスコに添加した。外部熱油浴を使用して攪拌しながらその混合物を80℃に加熱した。2時間、そのシステムに窒素を流しながら、その温度を80℃(±2℃)で維持して、システムから一切の湿分を除去した。その後、その混合物をおおよそ70℃に冷却し、水を出して冷却器を冷却した。添加漏斗を使用してその反応混合物に158.9グラムのイソホロンジイソシアナート(IPDI)をゆっくりと添加し、この添加の間、その温度をおおよそ70℃(±2℃)で維持した。すべてのIPDIを添加したら、反応温度をおおよそ82℃に上昇させ、3時間、おおよそ82℃で維持した。その後、その反応混合物を67℃に冷却し、さらに30分間、その温度を67℃で維持しながら17.1グラムのトリエチルアミン(TEA)を添加した。
【0130】
疎水性ポリウレタン分散体(PUD)の調製
67℃で510グラムの上記プレポリマーをその丸底フラスコから1リットルプラスチックジャーに注入した。プレポリマーが入っているそのプラスチックジャーを高速ミキサー上に配置し、404グラムの水を添加してプレポリマーを分散させた。その後、連鎖延長工程のために、その分散体に、152グラム 水中の15.8グラムのエチレンジアミン(EDA)の混合物を一度に一滴ずつゆっくりと添加した。最終分散体を室温で保存した。
【0131】
ラテックス系着色ペイントAの調製
Cowles分散機を使用して以下の成分を混合することにより、顔料粉砕物を調製する:
顔料粉砕物
【表1】


その後、以下の成分を導入し、混合する:
【表2】


得られるペイントは、以下の特性を有する:
【表3】

【0132】
PUDとラテックスのブレンドの調製:
ハイブリッドブレンドを調製した。34重量パーセントの固形分を有する、上で説明したとおりの、PUD、及びラテックス系着色ペイントA(Base A)を調製し、攪拌により混合して、表1に報告した配合物に基づくハイブリッド分散体を形成した。本発明のサンプル1〜3及び比較Base A(PUDなし)をそれらの特性について試験した。結果を表2に報告する。
【表4】


【表5】

【0133】
本発明のサンプル1〜3は、ウェザロメーター(wheatherometer)において1000時間後、低温可撓性試験(マンドレル曲げ)に合格した。上の結果は、ハイブリッドブランド中、5パーセントほどもの少ないPUDで劇的に吸水性が減少されることを示している。PUDがそのブレンド中に存在するとき、反射率低下も45パーセントから約30パーセントへと低減された。
【0134】
吸水(耐湿性)
以下の手順に従って吸水を判定した:
1−30〜50ミル Teflon(登録商標)型に塗料サンプルを充填する。
2−打ちのめして平滑な表面を得る。
3−7日間、25C及び50パーセント相対湿度でそのまま放置する。
4−型の中のサンプルを裏返し、元の場所に置く。前は型の中で下を向いていた面が、今は上を向いているはずである。
5−さらに7日間、25C及び50パーセント相対湿度で放置する。
6−型板を使用して、おおよそ1.75インチ長及び0.75インチ幅である2つのストリップを切断する。
7−切断したストリップの初期重量を調べ、厚みを測定する。
8−蓋の付いた2つのポリエチレンカップを手に入れる。
9−それらのカップのそれぞれに1つの試験ストリップを入れる。
10−サンプルが完全に水没するまで水を添加する。
11−そのカップに蓋を被せる。
12−1、3及び7日後、その容器からストリップを取り出し、吸い取り紙で吸い取って乾かし、重量を記録する。
13−7日目にサンプル厚の読取りを行う。
【0135】
低温可撓性(マンデル曲げ)
次の手順に従って、低温可撓性を測定した:
1−陽極処理アルミニウム基板を、50パーセントイソプロピルアルコールを使用して清浄にし、脱イオン水ですすぐ。
2−材料の10ミル ドローダウンをその基板上に塗布する。
3−その皮膜を14日間、放置して乾燥させる。
4−60℃での8時間紫外線(UVA−340バルブ)、続いて暗所での4時間の湿分凝縮というサイクルの500時間にわたってQUVチャンバに入れておく。
5−取り出して、−15’F 冷凍器に4時間、入れておく。
6−1/8インチ マンドレルを使用して曲げる。
7−一切の亀裂又は接着損失を書き留める。
【0136】
コーティングの耐吸塵性試験法(中国国家基準)
この方法は、汚物媒体として石炭灰を用い、それを水と混合し、ペイントしたサンプルパネル上にそれを薄く塗る。それを乾燥させ、水で洗い流し、被定義サイクルの後、そのペイントしたパネルの反射率値の低下を測定する。これは、その塗膜の耐吸塵特性を表す。
【0137】
材料及び装置
・石炭灰
・反射率計
・天秤
・柔らかいヘアブラシ(幅:25〜50mm)
・水洗装置。
【0138】
試験手順
1.石炭灰水の調製
適量の石炭灰を量り取り、1:1比で水と混合する。
【0139】
2.試験段階
完全に乾燥した白色ペイントパネルからの3点の反射率値を測定する。平均をとり、それに「A」と記す。
【0140】
柔らかいヘアブラシを使用し、繰り返し横切るようにブラシがけしてそのペイントパネル上に(0.7±0.1gm)石炭灰水を均等にいきわたらせる。2時間、23±2℃/RH 50±5パーセント条件でそれを乾燥させる。その後、そのパネルを水洗装置のサンプルラックに入れる。15リットルの水をその水洗装置の保水タンクに添加する。水タンクの栓を十分に開き、1分間、流水にそのパネルに洗わせる。その後、栓を閉める。必要な場合には、パネルをわずかに動かして、パネルのすべての部分を流水で均等にすすぐことができるようにする。そのパネルを23±2℃/RH 50±5パーセントで24時間乾燥させ、これを1サイクルと呼ぶ。
【0141】
5サイクル、繰り返す。各サイクル、水タンクに15リットルの水を満たさなければならない。乾燥したパネルからの3点の反射率値を測定し、平均値をとり、「B」と記す。
【0142】
3.計算
計算は、下記に基づく:
X=反射率値の低下
A=初期反射率値
B=5サイクル後の最終反射率値
反射率値の低下:X=(A−B)/A ×100
備考:3枚のパネルの平均をとる;偏差は、10パーセントより大きくてはならない。
【0143】
PUD及びDL 633ラテックスの追加のハイブリッド分散体の調製
cowles羽根攪拌機を使用して、表3に示す材料を混合することにより、以下のサンプル(本発明のサンプル4〜8及び比較サンプルB)を調製した。Lenetaブラック・プラスチック・チャートを用いてペイントドローダウンを作り、25℃の50パーセント湿度チャンバ内で7日間、放置して乾燥させた。
【表6】

【0144】
その後、下で説明する方法に従ってすべての塗膜を耐洗浄性、防汚性及びブロッキング性について評価した。結果を表4に報告する。
【表7】


【0145】
表4に示した、上の結果は、15パーセント PUDレベルでの耐ブロック性が、室温と120°Fの両方において有意に改善されることを示している。表4に示した、上の結果は、ニグロシン染色に関して、シールされた紙の塗装とシールされていない紙の塗装の両方、及び組成物中5パーセントより上のPUDで、染色が有意に低減されることを示している。
【0146】
PUD及びNEOCAR(商標)820ラテックスの追加のハイブリッド分散体の調製
表5に示す材料に従って、以下の本発明のサンプル9〜13及び比較サンプルCを、上で説明したように調製した。これらのサンプルをそれらの特性について試験した。結果を表6に示す。
【表8】


【表9】


【0147】
表6に示した、上の結果は、25パーセント PUDレベルでの耐ブロック性が、室温と120°Fの両方において有意に改善されることを示している。
【0148】
防汚性試験
防汚性試験法は、市販のクリーナーでの洗浄による屋内塗装の乾燥皮膜からの一般家庭汚れの除去の相対的容易性の判定を包含する。
【0149】
装置/材料:
1.Lenetaブラック・プラスチック・チャート(スクラブチャート)
2.7ミル Dowバー(U−バー)
3.スクラブマシン
4.Formula 409クリーナー
5.汚れ媒体
a)鉛筆、
b)クレヨン、
c)ペン、
d)マーカー、
e)グレープジュース、
f)マスタード、
g)グリース
6.スクラブ・マシン・スポンジ
7.スポンジホルダー
【0150】
手順
1.7ミル Dowドローダウンバーを使用して、Lenetaスクラブチャートの上に皮膜をドローダウンする。
2.CT/CH labにおいて7日間そのチャートを空気乾燥させる。
3.スクラブパッチに対して垂直なベース・コート・ペイント全体にわたって家庭汚れのストリップを配置する。
4.汚れを24時間放置して定着させる。
5.スポンジを湿らせ、過剰な水をしぼり出す。
6.パネルをスクラブマシン上に置き、スポンジを(ブラシのない)スクラブ・ブラシ・ホルダーの中に置く。
7.15mLのFormula 409クリーナーをパネルの上に置き、100サイクル、スクラブ洗浄する。
8.スクラブマシンを停止し、それぞれの汚れについての除去率を記録する。
9.追加の7mLのFormula 409を添加し、合計200サイクルまで継続する。
10.それぞれの汚れについての除去率を再び記録する。必要な場合には、100サイクルごとに除去率を記録すること及び7mLの409を添加することにより、さらなる相違についてこの試験を継続してもよい。
【0151】
報告:
最初の100サイクルについて除去率を記録し、合計200サイクルで再び記録する。試験をこれよりさらに継続する場合には、同じようにし続ける。
【0152】
変形形態:
耐洗浄性についての追加の汚れとしては、以下のものを挙げることができるが、それらに限定されない:
・ケチャップ
・Crayola(商標)ウォッシャブルマーカー[色指定、通常は黒色、青色、又は赤色]
・Sharpie(商標)パーマネントマーカー[色指定、通常:黒色、赤色、青色]
・蛍光マーカー、典型的には黄色
・食品着色料[それぞれの1部の赤色、緑色及び青色食品着色料の混合物]
・赤色酸化物着色剤[F]
・コーヒーかす
【0153】
サンプルを、対照ペイントに対して、ドローダウンし、試験した汚れのそれぞれについて対照と比較して視覚的等級づけを施すことができる。
・5=対照よりはるかに良好;
・4=対照より良好;
・3=対照と同等;
・2=対照より不良;
・1=対照よりはるかに不良。
【0154】
耐ニグロシン染色性
耐ニグロシン染色性は、水性汚れを伴うペイント皮膜の間隙率(porosity)の測度である。
【0155】
装置/材料
1.Leneta 1B不透明度チャート
2.6ミル Birdバー
3.2’’ペイントブラシ
4.2パーセント ニグロシン溶液
5.Hunter色度計
6.室温水が入っている洗浄ビン
【0156】
手順
1.Leneta 1B不透明度チャート上に6ミル Birdバーで試験ペイントをドローダウンする。
2.2日間、乾燥させる。
3.Hunter色度計を使用して、Lenta 1Bチャートの白色のシールされた部分に関して2回、及びシールしていない部分に関して2回、Y反射率を測定する。(読み取り値がチャートの下2/3に載っていることを確認する)。
4.色素計で読み取ったエリアにしるしをつける。
5.そのドローダウンの下半分に、2’’ペイントブラシで、2パーセント ニグロシン溶液を塗る。そのドローダウンに対して平行(同方向)のブラシ使いで、及びチャートの下2/3全面に、それを塗るように注意する。
6.洗浄ビンを使用して、直ちに15秒間、室温水でその染色剤をすすぐ。
7.少なくとも3時間、そのパネルを垂直に吊るす。
8.24時間後、そのパネル上のしるしをつけた同エリア内のY反射率値を再び確認する。
【0157】
報告:
シールされた及びシールされていないエリア内のY反射率の平均保持率を記録する。
耐K&N染色性
耐K&N染色性試験法は、ASTMD−3258による、油性汚れを伴う皮膜の間隙率の測定法である。
ASTM参照箇所:ASTM D 3258
装置/材料
1.Leneta 3B不透明度チャート
2.6ミル Birdドローダウンバー
3.3’’、5ミル Birdドローダウンバー
4.K&N染色剤
5.無臭ミネラルスピリット
6.ラクダの毛のブラシ
7.濾紙
8.Hunter色度計
【0158】
手順:
1.Leneta 3B不透明度チャート上に6ミル Birdバーで試験ペイントと対照ペイントを並べてドローダウンする。
2.2日、乾燥させる。
3.パネルの白色区画に関するY反射率値を2回測定して、背景(back)に関して読み取ったエリアにしるしをつける。
4.乾いたペイント皮膜を有するパネルをドローダウンプレート上に置く。
5.3’’5ミル Birdバーを用いて、そのペイント皮膜に垂直に染色剤をドローダウンする。初期Y反射率読み取りを行うエリアに必ずわたるようにする。
6.5分後、パネルを垂直に保持すること及び無臭ミネラルスピリットで湿潤させたラクダの毛のブラシを使用することにより、その染色剤を洗い流す。
7.染色剤の大部分が除去されるまで繰り返す。
8.染色剤より上のエリアに直接、洗浄ビンでミネラルスピリットをかけることにより、一切の残留する過剰な染色剤を除去する。
9.パネルの底部で形成されるビーズを観察し、染料が残留していないことを濾紙で点検して確認する。
10.ビーズが透明なるまで繰り返す。
11.パネルを少なくとも3時間、垂直に吊るす。
12.24時間後、しるしをつけたエリアのY反射率をHunter色度計で再確認する。
【0159】
報告:
平均反射率保持率を記録する。
【0160】
耐ブロック性
耐ブロック性試験法は、ASTM D 4964−89に従って測定して、重みつき荷重下で互いに接触させたときに互いにくっつく(ブロッキングする)塗面の傾向を判定するものである。
【0161】
装置/材料:
1.Leneta 3B不透明度チャート
2.1ポンドの正方形の重り
3.はさみ
4.6ミル Birdドローダウンバー(塗料会社内標準品を使用する場合には3ミル)
【0162】
手順:
1.6ミル(又は3ミル)ドローダウンバーを使用して、Leneta 3B不透明度チャート上に試験ペイントのドローダウンを作製する(1チャートにつき1ペイント)。
2.CT/CH lab内で1、3及び7日間、その皮膜を乾燥させる。
3.それぞれの乾燥時点で、皮膜をおおよそ1’’ストリップ(1乾燥時に2つ)を切断する。これらのストリップを用いて、3つのより小さいストリップ及び3つのより長いものを作る。より小さいストリップを下に、そしてその後、上に、より長いものを((ペイント皮膜に接してペイント皮膜)を置く。
4.CT/CH lab内でそれらの皮膜の上に1ポンドの重りを乗せる。
5.24時間後、重りを除去し、ストリップを分離し、ASTM D−4946等級により耐ブロック性を評価する。各ペイントについて、3回の読取りを行うべきである。
【0163】
報告:
次の頁に列挙するブロック等級から得られる3つの読み取り値の平均を記録する。
【0164】
【表10】

【0165】
本発明の精神及び本質的な特質を逸脱することなく他の形態で本発明を具現することができ、従って、本発明の範囲を示すものとしては、上記明細書ではなく、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド分散体であって、
前記ハイブリッド分散体の重量に基づき、30重量パーセント未満の、1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタン分散体を含む少量成分と、
100重量パーセント未満の、ラテックスエマルジョン、エポキシ、及びポリオレフィン分散体からなる群より選択される多量成分と
のブレンド生成物を含み;
前記ハイブリッド分散体の重量に基づき10から75パーセントの範囲の固形分を有するものである、ハイブリッド分散体。
【請求項2】
ハイブリッド分散体を製造するための方法であって、
1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタン分散体を含む少量成分を選択する工程と、
ラテックスエマルジョン、エポキシ、及びポリオレフィン分散体からなる群より選択される多量成分を選択する工程と、
前記少量成分を前記多量成分にブレンドする工程と、
それによって、ハイブリッド分散体の重量に基づき30重量パーセント未満の少量成分と100重量パーセント未満の多量成分とを含み、且つ、前記ハイブリッド分散体の重量に基づき10から75パーセントの範囲の固形分を有するものである、前記ハイブリッド分散体を製造する工程と
を含む、方法。
【請求項3】
基板の1つ又はそれ以上の表面に付随する塗料層を含む塗装物品であって、
前記塗料層が、ハイブリッド分散体から誘導され;
前記ハイブリッド分散体が、
前記ハイブリッド分散体の重量に基づき、30重量パーセント未満の、1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタン分散体を含む少量成分と、
100重量パーセント未満の、ラテックスエマルジョン、エポキシ、及びポリオレフィン分散体からなる群より選択される多量成分と
のブレンド生成物を含み;
前記ハイブリッド分散体が、前記ハイブリッド分散体の重量に基づき10から75パーセントの範囲の固形分を有するものである、塗装物品。
【請求項4】
請求項1に記載のハイブリッド分散体を選択する工程と、
物品を選択する工程と、
前記物品の1つ又はそれ以上の表面に前記ハイブリッド分散体を塗布する工程と、
前記物品の前記1つ又はそれ以上の表面に付随する前記ハイブリッド分散体から少なくとも一部の水を除去する工程と、
それによって前記物品を塗装する工程と
を含む、物品を塗装するための方法。
【請求項5】
構造体の1つ又はそれ以上の表面に付随する塗料層を含む塗装構造体であって、
前記塗料層が、ハイブリッド分散体から誘導され;
前記ハイブリッド分散体が、
前記ハイブリッド分散体の重量に基づき、30重量パーセント未満の、1つ又はそれ以上の天然油系ポリオールから誘導された疎水性ポリウレタン分散体を含む少量成分と、
100重量パーセント未満の、ラテックスエマルジョン、エポキシ、及びポリオレフィン分散体からなる群より選択される多量成分と
のブレンド生成物を含み;
前記ハイブリッド分散体が、前記ハイブリッド分散体の重量に基づき10から75パーセントの範囲の固形分を有するものである、塗装構造体。
【請求項6】
請求項1に記載のハイブリッド分散体を選択する工程と、
構造体を選択する工程と、
前記構造体の1つ又はそれ以上の表面に前記ハイブリッド分散体を塗布する工程と、
前記基板の前記1つ又はそれ以上の表面に付随する前記ハイブリッド分散体から少なくとも一部の水を除去する工程と、
それによって前記構造体を塗装する工程と
を含む、構造体を塗装するための方法。
【請求項7】
固形分の乾燥重量で1から25パーセントの疎水性ポリウレタン分散体、又は乾燥重量で1から25パーセントの疎水性ポリウレタンプレポリマーを含む、前記請求項のいずれか1項に記載のハイブリッド分散体。
【請求項8】
1種若しくはそれ以上のフィラー、1種若しくはそれ以上の顔料、または1種若しくはそれ以上の添加剤をさらに含む、前記請求項のいずれか1項に記載のハイブリッド分散体。

【公表番号】特表2012−522103(P2012−522103A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503450(P2012−503450)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/024907
【国際公開番号】WO2010/114648
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】