説明

ハイブリッド式車両の駆動制御装置

【課題】エンジンと電動機とを備えるハイブリッド式車両の駆動制御装置に関し、簡素な構成でクリープ走行時の駆動源の切替えを速やかに行い、トルクショックを抑制しつつ、バッテリ充電量SOCの低下を抑制し、燃費も改善できるようにする。
【解決手段】
エンジン2及び電動機4を駆動源とするハイブリッド式車両において、クラッチ装置3と、ストローク量を検出するクラッチストローク量検出手段と、電動機4のみを使用して走行する電動機走行モードとエンジン2のみを使用して走行するエンジン走行モードとのいずれかを選択する走行モード選択手段35と、走行モード切替え時に、エンジントルクの変化率が、ストローク量が基準ストローク量よりもクラッチ切断状態側にある場合には、ストローク量が基準ストローク量よりもクラッチ接続状態側にある場合よりも大きくなるように、エンジントルクを変化させる制御手段30とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリープ走行時におけるエンジンと電動機との駆動源を切替えるハイブリッド式車両の駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、アクセルペダルを放した状態でも車両を発進させたり、緩やかに走行させたりするクリープ走行があるが、この時の車両の駆動トルク、いわゆるクリープトルクが変動すると、不安定なクリープトルク走行状態となるので、このクリープトルクを安定させるクリープ走行制御が開発されている。駆動源として、エンジンと走行用モータとを備えたハイブリッド式車両においても、クリープ走行制御が開発されている。
【0003】
このようなハイブリッド式車両の場合、出力要求の少ないクリープ走行時には、走行用モータのみの出力トルクを用いて車両を駆動することで、エンジンの出力トルクに頼らずに車両を走行させることができる。しかし、このようなハイブリッド式車両のクリープ走行時においては、バッテリの充電量(以下、バッテリ充電量SOC(State Of Charge))が低下した場合は、適宜、動力源を走行用モータからエンジンに切替えることが必要になる。
【0004】
例えば、特許文献1には、車両の駆動源としてエンジンと走行用モータとを備えたハイブリッド式車両の制御装置において、車速とレンジ信号とからクリープ走行時における目標クリープトルクを演算し、クリープ走行中にエンジンと走行用モータとの間で駆動源の切替えを行う際には、エンジンによるクリープトルクと走行用モータによるクリープトルクとの一方を増加させ、他方を減少させることになるが、この時の各クリープトルクの変化量を緩やかに変化させることにより、トルクの急変による運転性悪化を低減した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−177912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、走行用モータによるクリープ走行時にバッテリ充電量SOCが低下し、駆動源を走行用モータからエンジンへ切替える場合、伝達されるトルクが急変することにより車両に引起されるショック(トルクショック)等の運転性悪化を低減できるものの、トルクを徐々に伝達させる方式では、動力源の切替えに時間を要するため、更なるバッテリ充電量SOCの低下や、バッテリ温度の上昇を招くといった課題がある。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成でクリープ走行時の駆動源の切替えを速やかに行うようにして、トルクショック(運転性悪化)の発生を抑制しながら、バッテリ充電量SOCの低下を抑制しつつ、燃費を改善できるようにした、ハイブリッド式車両の駆動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド式車両の駆動制御装置は、エンジン及び電動機のトルクを駆動源として駆動輪に伝達可能なハイブリッド式車両の駆動制御装置であって、前記エンジンと前記電動機との間に介装され、前記エンジンから前記電動機を介して前記駆動輪に伝達されるトルクの伝達状態をストローク量に応じて断接調整可能なクラッチ装置と、前記クラッチ装置の前記ストローク量を検出するクラッチストローク量検出手段と、前記駆動源として前記電動機のみを使用して走行する電動機走行モードと、前記駆動源として前記エンジンのみを使用して走行するエンジン走行モードと、を含む走行モードの中から1つの走行モードを選択する走行モード選択手段と、前記エンジン,前記電動機及び前記クラッチ装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、走行モード選択手段により前記電動機走行モードと前記エンジン走行モードとの間で切替える走行モード切替え時に、前記エンジントルクの変化率を、前記ストローク量が前記クラッチ装置の半クラッチ状態に対応して設定された基準ストローク量よりもクラッチ切断状態側にある場合には、前記ストローク量が前記基準ストローク量よりもクラッチ接続状態側にある場合よりも大きくなるように、前記エンジントルクを変化させることを特徴とする。
【0009】
また、前記制御手段は、前記制御手段は、目標クリープトルクを算出する目標クリープトルク算出手段とをさらに備え、前記走行モード切替えは、前記ハイブリッド式車両のクリープ走行中における前記電動機走行モードから前記エンジン走行モードへの切替えであって、前記エンジントルクの変化は、前記クラッチ装置を切断状態から接続状態にストロークさせながら前記エンジンのトルクを増加させるものであって、前記制御手段は、前記エンジンのトルク増加に対応させて前記電動機のトルクを減少させ、前記エンジントルクと前記電動機トルクとの総和が前記目標クリープトルク算出手段により算出された前記目標クリープトルクとなるように制御するようにしてもよい。
【0010】
また、前記電動機に電力を供給するバッテリと、前記バッテリの充電量を演算するバッテリ充電量演算手段とをさらに備え、前記走行モード選択手段は、電動機走行モードによる前記クリープ走行中に、前記バッテリ充電量演算手段によって演算されたバッテリ充電量が予め設定された下限値まで減少したら、前記電動機走行モードから前記エンジン走行モードに切替えるようにしてもよい。
【0011】
また、前記電動機の温度を演算する電動機温度演算手段をさらに備え、前記走行モード選択手段は、電動機走行モードによる前記クリープ走行中に、前記電動機温度演算手段によって演算された前記電動機温度が予め設定された上限値まで上昇した場合に、前記電動機走行モードから前記エンジン走行モードに切替えるようにしてもよい。
また、前記電動機に電力を供給するバッテリの温度を演算するバッテリ温度演算手段をさらに備え、前記走行モード選択手段は、前記バッテリ温度演算手段によって演算された前記バッテリ温度が予め設定された上限値まで上昇した場合に、前記電動機走行モードから前記エンジン走行モードに切替えるようにしてもよい。
【0012】
また、前記走行モード選択手段による前記電動機走行モードと前記エンジン走行モードとの間の走行モード切替え時に、前記クラッチ装置の接続開始前に前記エンジンの回転数と前記電動機の回転数とを同期させる回転合わせ制御手段をさらに備えているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のハイブリッド式車両の駆動制御装置によれば、クリープ走行時に駆動源をエンジンから走行用モータに切替える場合や、走行用モータからエンジンに切替える場合において、クラッチ装置によるトルクの伝達率が比較的低いストローク量の領域では、エンジントルクの変化率を大きくし、トルクの伝達率が比較的高いストローク量の領域では、エンジントルクの変化率を小さくすることで、駆動源の切替えを速やかに行うようにして、トルクショック(運転性悪化)の発生を抑制しながら、バッテリ充電量SOCの低下を抑制しつつ、燃費を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るハイブリッド式車両の駆動系と駆動制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る動力切替え時におけるトルク変化量を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施形態に係るクラッチ装置によるトルク伝達率を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態に係るハイブリッド式車両の駆動制御装置の制御内容を示すフローチャート(前段)である。
【図5】本発明の一実施形態に係るハイブリッド式車両の駆動制御装置の制御内容を示すフローチャート(後段)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面により、本発明の実施形態について説明する。
図1〜5は本発明の一実施形態を説明するもので、図1はそのハイブリッド式車両の駆動系と駆動制御装置を示すブロック図、図2はその動力切替え時におけるトルク変化量を示すグラフ、図3はそのクラッチ装置によるトルク伝達率を示すグラフ、図4,5はその駆動制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【0016】
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係るハイブリッド式車両の駆動系から説明する。
[ハイブリッド式車両の駆動系の詳細]
本実施形態にかかるハイブリッド式車両(以下、車両という)1の駆動系は、図1に示すように、走行用エンジン(エンジン)2と、クラッチ装置3と、走行用モータ(電動機)4と、機械式自動変速機(変速機)5と、プロペラシャフト20と、差動装置21と、左右の駆動輪22R,22Lと、インバータ10と、バッテリ11とを備えている。
【0017】
エンジン2は、詳細を後述する駆動制御ECU(制御手段)30のエンジン制御部31によって、車両の運転状態に応じたエンジントルクを発生させるように燃焼を制御される。また、エンジン2の出力軸(図示せず)は、クラッチ装置3によって走行用モータ4の回転軸(図示せず)の入力側と断接可能に構成されている。
クラッチ装置3には、油圧により作動する摩擦クラッチ板 が 備えられ、図示しない油圧シリンダ装置によってクラッチストローク量が調整されることにより、エンジン2の出力軸と走行用モータ4の回転軸とを断接制御するよう構成されている。この断接制御は、駆動制御ECU30のクラッチ装置制御部38から作動信号が出力されることによって行なわれる。
【0018】
すなわち、クラッチ装置3に接続信号が出力されると、油圧シリンダに作動油が供給され、クラッチのストローク量を最大にすることで、エンジン2の出力軸側のクラッチ板と走行用モータ4の回転軸側のクラッチ板とを係合して、エンジン2のトルクが走行用モータ4の回転軸に伝達されるトルク伝達状態にする。
【0019】
一方、クラッチ装置3に切断信号が出力された場合は、油圧シリンダから作動油が放出されて油圧が低下し、クラッチのストローク量を最小にすることで、エンジン2の出力軸側のクラッチ板と走行用モータ4の回転軸側のクラッチ板との係合を解放し、エンジン2のトルクが伝達されないトルク非伝達状態にする。
また、クラッチ装置3には、図示しないストロークセンサ(クラッチストローク量検出手段)が備えられており、検出されたストローク量(L)は後述する駆動制御ECU30のトルク変化量制御部37に出力されるようになっている。
【0020】
走行用モータ4は、その回転軸の出力側が、機械式自動変速機5の入力軸と接続されており、バッテリ11に蓄えられた直流電力が、インバータ10によって交流電力に変換されて供給されることにより駆動源(走行用モータ4)として作動する。また、走行用モータ4には、図示しない温度センサが設けられており、この温度センサによって検出した走行用モータ4の温度(T)は、後述する駆動制御ECU30の走行モード選択部35に出力されるようになっている。
【0021】
また、走行用モータ4は、バッテリ充電量SOCが、詳細を後述する駆動制御ECU30のバッテリ制御部33によって所定の下限値45%以下と算出された場合は、発電機として作動する。この場合、クラッチ装置3は接続制御され、エンジン2のトルクの一部を用いて走行用モータ4を駆動することにより発電が行われ、この発電された交流電力はインバータ10によって直流電力に変換した後に、バッテリ11に蓄電されるようになっている。
【0022】
また、走行用モータ4は、車両1に制動力を加える際(制動操作がなされた際及び、エンジンブレーキ相当の制動力が要求された際)も発電機として作動する。すなわち、制動時に路面から駆動輪22L,22Rに加えられる制動エネルギは、差動装置21,プロペラシャフト20,機械式自動変速機5を介し走行用モータ4に伝達されて、交流電力へと変換される。
【0023】
そして、この交流電力はインバータ10で直流電力に変換された後、バッテリ11に蓄電されることにより、駆動輪22L,22Rの運動エネルギは電気エネルギとして回生されるようになっている。
機械式自動変速機5は、その入力軸が走行用モータ4の回転軸(出力側)に接続さている。また、機械式自動変速機5の出力軸はプロペラシャフト20と接続されており、エンジン2及び走行用モータ4のいずれか又は双方から伝達されるトルクを、適切な回転速度に変速調整した後に、プロペラシャフト20へと伝達するように構成されている。
【0024】
プロペラシャフト20は、機械式自動変速機5の出力軸と接続されおり、変速調整されたエンジン2若しくは走行用モータ4のトルクが、このプロペラシャフト20から差動装置21を介して左右の駆動輪22L,22Rに伝達されるように構成されている。
従って、クラッチ装置3がクラッチ装置制御部38によって接続制御されるときは、エンジン2の出力軸と走行用モータ4の回転軸とが接続されることにより、エンジン2のトルクが、機械式自動変速機5で適切な回転速度に変速調整された後に、プロペラシャフト20から差動装置21を介して左右の駆動輪22L,22Rへと伝達されるようになっている。
【0025】
一方、クラッチ装置3が切断制御されているときは、エンジン2の出力軸と走行用モータ4の回転軸とが切断され、走行用モータ4のトルクのみが機械式自動変速機5で適切な回転速度に変速調整された後に、プロペラシャフト20から差動装置21を介して左右の駆動輪22L,22Rへと伝達されるようになっている。
【0026】
[駆動制御装置の詳細]
以下、図1〜5を用いて、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置30について説明する。
本実施形態に係る駆動制御ECU(制御手段)30は、公知のCPUやROM等から構成されており、エンジン制御部31と、インバータ制御部(電動機温度演算手段)32と、バッテリ制御部(バッテリ充電量演算手段,バッテリ温度演算手段)33と、クリープトルク演算部(目標クリープトルク算出手段)34と、走行モード選択部(走行モード選択手段)35と、回転合わせ制御部(回転合わせ制御手段)36と、トルク変化量制御部37と、クラッチ装置制御部38とを機能要素として備えている。
【0027】
なお、これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアである駆動制御ECU30に設けているが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
エンジン制御部31は、エンジン2の始動・停止制御を行うほか、図示しないアクセルペダルの踏込み量に応じた車両1の走行に必要なトルクをエンジン2が発生させるように、エンジン2自体の各種制御を行うものである。また、エンジン制御部31は、詳細を後述するトルク変化量制御部37によるエンジン2のトルク量の設定に応じて、エンジン2の燃料噴射量や噴射時期等を制御するようになっている。
【0028】
インバータ制御部32は、図示しないアクセルペダルの踏込み量に応じた車両1の走行に必要なトルクを走行用モータ4が発生するように、インバータ10を制御することで、走行用モータ4を駆動源(モータ)として作動させるとともに、後述するバッテリ制御部33によって、バッテリ充電量SOCが所定の下限値45%以下と演算された場合には、走行用モータ4を発電機として作動させる切替え制御を行うものである。
【0029】
また、インバータ制御部32は、走行用モータ4に設けられた図示しないモータ温度センサの検出結果に基づいて、走行用モータ4の温度(T)を演算し、この演算結果を後述する走行モード選択部35に出力する。
バッテリ制御部33は、バッテリ11に設けられた図示しない各種電圧センサやバッテリ温度センサの検出結果に基づいて、バッテリ11のバッテリ充電量SOCとバッテリ温度(T)とを演算し、この演算結果を後述する走行モード選択部35に出力する。
【0030】
クリープトルク演算部34は、図示しない車速センサ等の情報に基づいて、車両1のクリープ走行における目標クリープトルク量(C)を演算するものである。また、この演算された目標クリープトルク量(C)は、詳細を後述するトルク変化量制御部37に出力される。
走行モード選択部35には、車両1のクリープ走行時における駆動源として、走行用モータ4のみを使用して走行する「電動機走行モード」と、エンジン2のみを使用して走行する「エンジン走行モード」とが予め記憶されている。また、バッテリ充電量SOCについて予め定めた所定の下限値としてSOC下限値45%と、バッテリ11の温度について予め定めた所定の上限温度としてバッテリ上限温度値であるTb−max(例えば50℃)と、走行用モータ3の温度について予め定めた所定の上限温度としてモータ上限温度値であるTm−max(例えば80℃)とが記憶されている。
【0031】
そして、このSOC下限値45%とバッテリ制御部33から取込まれたバッテリ充電量SOCの演算値、バッテリ上限温度(Tb−max)とバッテリ制御部33から取込まれたバッテリ11の温度演算値(T)、モータ上限温度(Tm−max)とインバータ制御部32から取込まれた走行用モータ4の温度演算値(T)とを比較することで、適宜、クリープ走行時におけるバッテリ充電量SOCとバッテリ温度とモータ温度とに応じた、最適な走行モードの選択を行うようになっている。
【0032】
なお、ここで最適な走行モードの選択とは、車両1が走行用モータ4のトルクのみでクリープ走行している場合において、バッテリ充電量SOCが所定の下限値45%未満、バッテリ11の温度演算値(T)が所定のバッテリ上限温度(Tb−max)以上若しくは、走行用モータ4の温度(T)が所定のモータ上限温度(Tm−max)以上の、少なくともいずれか一つの条件を満たす場合には、駆動源を走行用モータ4からエンジン2へと切替える「エンジン走行モード」を選択することをいう。
【0033】
また、車両1がエンジン2のトルクのみでクリープ走行している場合において、バッテリ充電量SOCが所定の下限値45%以上、バッテリ11の温度演算値(T)が所定のバテリ上限温度(Tb−max)未満及び、走行用モータ4の温度(T)が所定のモータ上限温度(Tm−max)未満の、いずれの条件をも満たす場合には、駆動源をエンジン2から走行用モータ4へと切替える「電動機走行モード」を選択することをいう。
【0034】
この走行モード選択部35によって選択された走行モードは、詳細を後述する回転合わせ制御部36とトルク変化量制御部37とに出力されるようになっている。
回転合わせ制御部(回転合わせ制御手段)36は、走行モード選択部35によって「エンジン走行モード」が選択された場合は、クラッチ装置3の接続制御が開始される前に、エンジン2の回転数と走行用モータ4の回転数とを同期させるものである。具体的には、走行用モータ4の図示しない回転センサから、走行用モータ4の回転数を検出し、エンジン2の回転数がこの検出された走行用モータ4の回転数となるように、エンジン制御部31に制御信号を出力することで、回転合わせ制御が実行されるようになっている。
【0035】
トルク変化量制御部37には、ストローク量(L)をパラメータとするトルク伝達率(α)のマップ(図3) が 予め記憶されている。また、このマップ上には、エンジン2のトルク(E)の約半分(約50%)を走行用モータ4の回転軸に伝達するストローク量が「基準ストローク量」として設定されている(トルク半伝達状態)。なお、本実施形態において、クラッチ装置3の最大ストローク量のインデックスを100,最小ストローク量のインデックスを0とすると、この基準ストローク量のインデックスは30となる(図3)。
【0036】
そして、トルク変化量制御部37は、走行モード選択部35によって「エンジン走行モード」が選択された場合は、図2(a)に示すように、ストローク量が、最小ストローク量(0)から基準ストローク量(30)に達するまでの間におけるエンジン2のトルク増加率を、ストローク量が基準ストローク量(30)から最大ストローク量(100)に達するまでの間におけるエンジン2のトルク増加率よりも大きくなるように、エンジン制御部31に制御信号を出力する。
【0037】
なお、本実施形態におけるエンジントルクは、ストローク量が基準ストローク量よりも小さい場合(切断側)及び、基準ストローク量よりも大きい場合(接続側)のいずれにおいても線形にトルクを増加させている。
また、ストローク量が最小ストローク量(0)から、最大ストローク量(100)に達するまでの間における走行用モータ4のトルク(M)を、クリープトルク演算部35によって演算された目標クリープトルク量(C)から、ストローク量に応じて増加させるエンジン2のトルク(E)と、図3のマップのトルク伝達率(α)とを乗じた値を差し引くことで得られるトルク量(M=C−E×α)となるように、インバータ制御部32に制御信号を出力する。
【0038】
一方、走行モード選択部35によって「電動機走行モード」が設定された場合は、図2(b)に示すように、ストローク量が、最大ストローク量(100)から基準ストローク量(30)に減少するまでの間におけるエンジン2のトルク減少率を、ストローク量が基準ストローク量(30)から最小ストローク量(0)に減少するまでの間におけるエンジン2のトルク減少率よりも小さくなるように、エンジン制御部31に制御信号を出力する。
【0039】
また、ストローク量が最大ストローク量(100)から、最小ストローク量(0)に達するまでの間における走行用モータ4のトルク(M)を、クリープトルク演算部35によって演算された目標クリープトルク量(C)から、ストローク量に応じて減少させるエンジン2のトルク(E)と、図3のマップのトルク伝達率(α)とを乗じた値を差し引くことで得られるトルク量(M=C−E×α)となるように、インバータ制御部32に制御信号を出力する。
【0040】
クラッチ装置制御部38は、走行モード選択部35による走行モードの選択に応じて、クラッチ装置3を断接制御するものである。すなわち、走行モード選択部35によって、「エンジン走行モード」が設定された場合は、クラッチ装置3に接続信号を出力することで、エンジン2のトルクが伝達されるトルク伝達状態に制御する。
一方、「電動機走行モード」が選択された場合は、クラッチ装置3に切断信号を出力することで、エンジン2のトルクが伝達されないトルク非伝達状態に制御する。
【0041】
本発明の一実施形態にかかるハイブリッド式車両の駆動制御装置30は、上述のように構成されているので、車両1がクリープ走行時には、例えば図4,5に示すフローに従って駆動制御が実施される。
まず、ステップA10では、クラッチ装置制御部38による断接制御状態から、クリープ走行中における車両1の駆動源が確認される。クラッチ装置制御部38がクラッチ装置3を断接制御している場合、すなわち車両1が走行用モータ4の動力のみでクリープ走行している場合は、ステップA20へと進む。一方、クラッチ装置制御部38がクラッチ装置3を接続制御している場合、すなわち車両1がエンジン2の動力のみでクリープ走行している場合は、図4に示すステップB10へと進む。
【0042】
ステップA20では、バッテリ制御部33によって演算されたバッテリ充電量SOCが走行モード選択部35に取込まれ、この演算されたバッテリ充電量SOCが、走行用モータ4の出力トルクのみでクリープトルク値(C)を賄うのに十分であるか否かが判断される。
すなわち、バッテリ充電量SOCが所定の下限値45%未満(SOC<45%)であれば、走行用モータ4のみでクリープトルク値(C)を賄うのは不十分(エンジン1への切替えが必要)と判断してステップA50へと進む。一方、バッテリ充電量SOCが所定の下限値45%以上(SOC≧45%)であれば、ステップA30へと進む。
【0043】
ステップA30では、バッテリ制御部33によって演算されたバッテリ11の温度(T)が走行モード選択部35に取込まれ、現在のバッテリ温度が走行用モータ4の出力トルクのみではクリープ走行を継続できなくなる所定のバッテリ上限温度(Tb−max)に達しているか否かが判断される。
すなわち、ステップA20でバッテリ充電量SOCが十分であると判断されても、バッテリ11の温度(T)が所定のバッテリ上限温度以上(T≧Tb−max)であれば、走行用モータ4の出力トルクのみでクリープ走行を継続するのは困難(エンジン1への切替えが必要)と判断してステップA50へと進む。一方、バッテリ充電量SOCも十分であって、バッテリ11の温度もバッテリ上限温度(Tb−max)に達していない場合は、ステップA40へと進む。
【0044】
ステップA40では、インバータ制御部32によって演算された走行用モータ4の温度(T)が走行モード選択部35に取込まれ、現在のモータ温度が走行用モータ4の出力トルクのみではクリープ走行を継続できなくなる所定のモータ上限温度(Tm−max)に達しているか否かが判断される。
すなわち、ステップA20でバッテリ充電量SOCが十分であると判断され、ステップA30でバッテリ11の温度もバッテリ上限温度(Tb−max)に達していないと判断されても、走行用モータ4の温度(T)が所定のモータ上限温度以上(T≧Tm−max)であれば、走行用モータ4の出力トルクのみでクリープ走行を継続するのは困難(エンジン1への切替えが必要)と判断してステップA50へと進む。一方、バッテリ充電量SOCも十分であって、バッテリ11の温度もバッテリ上限温度(Tb−max)に未達で、走行用モータ4の温度もモータ上限温度(Tm−max)に達していない場合は、走行用モータ4の出力トルクのみでクリープ走行の継続が可能と判断し、本駆動制御はリターンされる。
【0045】
ステップA50では、走行モード選択部35によって、走行モードが「エンジン走行モード」に選択される。すなわち走行用モータ4からエンジン2への駆動源の切替えが開始されることになる。
ステップA60では、クラッチ装置3による接続制御が開始される前に、回転合わせ制御部36によって、エンジン2の回転数と回転センサで検出された走行用モータ4の回転数とを同期させる回転合わせ制御が実行される。
【0046】
ステップA70では、走行モードが「エンジン走行モード」に設定されたこと及び、回転合わせ制御が完了したことを受けて、トルク変化量制御部37が、クラッチ装置3の接続制御が完了するまでの間の、エンジン2と走行用モータ4とのトルク変化量の制御を行う。
すなわち、エンジン2のトルク変化量の制御は、ストローク量が、最小ストローク量(0)から基準ストローク量(30)に達するまでの間におけるトルク増加率を、ストローク量が基準ストローク量(30)から最大ストローク量(100)に達するまでの間におけるトルク増加率よりも大きくなるように、エンジン制御部31に制御信号を出力することで実行される。
【0047】
また、走行用モータ4のトルク変化量の制御は、ストローク量が最小ストローク量(0)から、最大ストローク量(100)に達するまでの間におけるトルク(M)を、クリープトルク演算部35によって演算された目標クリープトルク量(C)から、ストローク量に応じて増加させるエンジン2のトルク(E)と、図3のマップのトルク伝達率(α)とを乗じた値を差し引くことで得られるトルク量(M=C−E×α)となるように、インバータ制御部32に制御信号を出力することで実行される。
【0048】
その後、ステップA80では、クラッチ装置3の接続制御が完了したことを確認し、本駆動制御はリターンされる。
一方、ステップA10で、クラッチ装置制御部38がクラッチ装置3を接続制御している場合、すなわち車両1がエンジン2の動力のみでクリープ走行している場合は、図4に示すステップB10へと進む。
【0049】
ステップB10では、バッテリ制御部33によって演算されたバッテリ充電量SOCが走行モード選択部35に取込まれ、この演算されたバッテリ充電量SOCが、走行用モータ4の出力トルクのみでクリープトルク値(C)を賄うのに十分であるか否かが判断される。
すなわち、バッテリ充電量SOCが所定の下限値45%以上(SOC≧45%)であれば、バッテリ充電量SOCは走行用モータ4のみでクリープトルク値(C)を賄うのに十分な充電量であると判断し、ステップB20へと進む。一方、バッテリ充電量SOCが所定の下限値45%未満(SOC<45%)であれば、クリープトルク値(C)を走行用モータ4の出力トルクで賄うのには不十分な充電量である(エンジン1の動力による継続走行が必要)と判断し、本駆動制御はリターンされる。
【0050】
ステップB20では、バッテリ制御部33によって演算されたバッテリ11の温度(T)が走行モード選択部35に取込まれ、現在のバッテリ温度が走行用モータ4の出力トルクのみでクリープ走行できる、所定のバッテリ上限温度(Tb−max)未満まで低下しているか否かが判断される。すなわち、ステップB10でバッテリ充電量SOCが十分と判断され、バッテリ温度(T)も十分低下している(T<Tb−max)と判断された場合は、ステップB30へと進む。一方、バッテリ温度(T)が、所定のバッテリ上限温度以上(T≧Tb−max)であれば、エンジン2の出力トルクのみでクリープ走行を継続すべきと判断し、本駆動制御はリターンされる。
【0051】
ステップB30では、インバータ制御部32によって演算された走行用モータ4の温度(T)が走行モード選択部35に取込まれ、現在のモータ温度が走行用モータ4の出力トルクのみでクリープ走行できる所定のモータ上限温度(Tm−max)未満まで低下しているか否かが判断される。すなわち、ステップB10でバッテリ充電量SOCが十分と判断され、ステップB20でバッテリ11の温度も十分に低下し(T<Tb−max)、モータ温度も十分に低下している(T<Tm−max)と判断された場合は、ステップB40へと進む。一方、モータ温度(T)が、所定のモータ上限温度以上(T≧Tm−max)であれば、エンジン2の出力トルクのみでクリープ走行を継続すべきと判断し、本駆動制御はリターンされる。
【0052】
ステップB40では、走行モード選択部35によって、走行モードが「電動機走行モード」に選択される。すなわちエンジン2から走行用モータ4への駆動源の切替えが開始されることになる。
ステップB50では、走行モードが「電動機走行モード」に選択されたことを受けて、トルク変化量制御部37が、クラッチ装置3の断接制御が完了するまでの間の、エンジン2と走行用モータ4とのトルク変化量の制御を行う。
【0053】
すなわち、エンジン2のトルク変化量の制御は、ストローク量が、最大ストローク量(100)から基準ストローク量(30)に減少するまでの間におけるトルク減少率を、ストローク量が基準ストローク量(30)から最小ストローク量(0)に減少するまでの間におけるトルク減少率よりも小さくなるように、エンジン制御部31に制御信号を出力することで実行される。
【0054】
また、走行用モータ4のトルク変化量の制御は、ストローク量が最大ストローク量(100)から、最小ストローク量(0)に達するまでの間におけるトルク(M)を、クリープトルク演算部35によって演算された目標クリープトルク量(C)から、ストローク量に応じて減少させるエンジン2のトルク(E)と、図3のマップのトルク伝達率(α)とを乗じた値を差し引くことで得られるトルク量(M=C−E×α)となるように、インバータ制御部32に制御信号を出力することで実行される。
【0055】
その後、ステップB50では、クラッチ装置2の切断制御が完了したことを確認し、本駆動制御はリターンされる。
なお、上述のステップA50において、走行モードを「エンジン走行モード」に選択した場合は、エンジン2への動力の切替えが終了した段階で、走行用モータ4を発電機として作動させるようにしてもよい。
【0056】
すなわち、道路の交通状況等により、車両1が長時間のクリープ走行を継続する必要がある場合においては、バッテリ充電量SOCが低下により駆動源をエンジン2へ切替えた後に、走行用モータ4を発電機として作動させておけば、バッテリ充電量SOCの回復を図りつつ、エンジン2の出力トルクによるクリープ走行を継続できる。また、その後、バッテリ充電量SOCが回復した段階で、再度駆動源を走行用モータ4に切替えれば、長時間に渡るクリープ走行時におけるエンジン2の消費燃料の低減も図ることができる。
【0057】
[作用・効果]
以上のような制御内容により、本発明の一実施形態におけるハイブリッド式車両の駆動制御装置30によれば以下のような作用・効果を奏する。
【0058】
すなわち、車両1が走行用モータ4のトルクのみでクリープ走行している際に、バッテリ充電量SOCが所定の下限値(45%)を下回ると、走行モード選択部35によって、駆動源を走行用モータ4からエンジン2へと切替える「エンジン走行モード」が選択される。その後、クラッチ装置3の接続制御が開始されると、トルク変化量制御部37によって、トルク伝達率が比較的低いストローク量の領域におけるエンジントルクの増加率が、トルク伝達率が比較的高いストローク量の領域におけるエンジントルクの増加率よりも大きく設定されて駆動源の切替え制御が実行される。
【0059】
したがって、駆動源の切替えによるトルクショック(運転性悪化)を低減しながら、トルクを徐々に伝達させながら駆動源の切替えを行う方式よりも、短時間に駆動源を走行用モータ4からエンジン2へと切替えることができるため、バッテリ充電量SOCの更なる低下を抑制することができる。
また、エンジン2のトルクのみでクリープ走行をしている際に、バッテリ充電量SOCが所定の下限値(45%)まで回復すれば、走行モード選択部35によって、駆動源をエンジン2から走行用モータ4へと切替える「電動機走行モード 」 が選択される。その後、クラッチ装置3の切断制御が開始されると、トルク変化量制御手段によって、トルクの伝達率が比較的高いストローク量の領域におけるエンジントルクの減少率が、トルクの伝達率が比較的低いストローク量の領域におけるエンジントルクの減少量よりも小さく設定されて駆動源の切替え制御が実行される。
【0060】
したがって、トルクを徐々に伝達させながら駆動源の切替えを行う方式よりも、短時間に駆動源をエンジン2から走行用モータ4へと切替えることができるため、エンジン2の燃費を改善することができる。
また、駆動源の切替え時(クラッチ装置3の断接制御時)における、エンジン2及び走行用モータ4から伝達されるトルクの総和が、クリープトルク演算部34によって演算された目標クリープトルク値(一定)となるように制御される。
【0061】
したがって、駆動源の切替えによる衝撃(運転性悪化)を低減しつつ、切替え時間を短縮することにより、バッテリ充電量SOCの低下を抑制し、燃費を改善することができる。
また、バッテリ11の温度がバッテリ上限温度(Tb−max)を超えた場合や、走行用モータ4の温度がモータ上限温度(Tm−max)を超えた場合も、走行モード選択部35によって、駆動源を走行用モータ4からエンジン2へと切替える「エンジン走行モード」が選択される。
【0062】
したがって、バッテリ11の高温化による更なるバッテリ充電量SOCの低下や走行用モータ4の性能低下を抑制しつつ、バッテリ11や走行用モータ4の劣化も防ぐことができる。
また、クラッチ装置3による接続制御が開始される前に、回転合わせ制御部36により、エンジン2の回転数と回転センサによって検出された走行用モータ4の回転数とを同期させる回転合わせ制御が実行される。
【0063】
したがって、駆動源の切替え(クラッチ装置3の接続制御)による衝撃(運転性悪化)を低減しつつ、切替え時間を短縮することができる。
【0064】
[その他]
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0065】
例えば、上述の実施例においては、目標クリープトルク値を一定のものとして説明したが、必ずしも目標クリープトルク値は一定値に限定されるものではなく、車両1の走行状況に応じて、この目標クリープトルク値を変化させることも可能である。
また、バッテリ充電量SOCの下限値として45%を用いて説明したが、この下限値の設定を、バッテリ11の温度や、車両1が走行する環境(外気温)に応じて変更するようにしてもよい。この場合も、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
また、所定の基準ストローク量を、エンジン2のトルクが約半分(約50%)伝達されるトルク半伝達状態のストローク量を基準として説明したが、この基準ストローク量は適宜変更することも可能である。
例えば、駆動源の切替えに伴う車両1への衝撃低減を重視する場合は、この基準ストローク量を、より伝達率の小さい領域(例えば、30%〜40%)のストローク量とすることもできる。また、クラッチ装置3の断接作動時間の短縮を重視する場合は、この基準ストローク量を、より伝達率の大きい領域(例えば、60%〜70%)のストローク量を基準とすることもできる。
【0067】
また、本実施形態においては、駆動源の切替え時におけるエンジントルクの増加量を、ストローク量が基準ストローク量よりも小さい場合(切断側)及び、基準ストローク量よりも大きい場合(接続側)のいずれにおいても線形に増加させているが、これらエンジントルクの増加を非線形に増加させることも可能である。
また、バッテリ11のバッテリ上限温度(Tb−max)を50℃として説明したが、の上限温度は、50℃に限られるものではなく、適宜、バッテリ11の性能や使用環境に応じて設定を変更することができる。
【0068】
また、走行用モータ4のモータ上限温度(Tm−max)を80℃として説明したが、この上限温度は、80℃に限られるものではなく、適宜、走行用モータ4の性能に応じて設定を変更することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 ハイブリッド式車両(車両)
2 エンジン
3 クラッチ装置
4 走行用モータ(電動機)
5 機械式自動変速機(変速機)
10 インバータ
11 バッテリ
20 プロペラシャフト
21 差動装置
30 駆動制御ECU(制御手段)
31 エンジン制御部
32 インバータ制御部
33 バッテリ制御部
34 クリープトルク演算部(目標クリープトルク算出手段)
35 走行モード選択部(走行モード選択手段)
36 回転合わせ制御部(回転合わせ制御手段)
37 トルク変化量制御部
38 クラッチ装置制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン及び電動機のトルクを駆動源として駆動輪に伝達可能なハイブリッド式車両の駆動制御装置であって、
前記エンジンと前記電動機との間に介装され、前記エンジンから前記電動機を介して前記駆動輪に伝達されるトルクの伝達状態をストローク量に応じて断接調整可能なクラッチ装置と、
前記クラッチ装置の前記ストローク量を検出するクラッチストローク量検出手段と、
前記駆動源として前記電動機のみを使用して走行する電動機走行モードと、前記駆動源として前記エンジンのみを使用して走行するエンジン走行モードと、を含む走行モードの中から1つの走行モードを選択する走行モード選択手段と、
前記エンジン,前記電動機及び前記クラッチ装置の作動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、走行モード選択手段により前記電動機走行モードと前記エンジン走行モードとの間で切替える走行モード切替え時に、前記エンジントルクの変化率を、前記ストローク量が前記クラッチ装置の半クラッチ状態に対応して設定された基準ストローク量よりもクラッチ切断状態側にある場合には、前記ストローク量が前記基準ストローク量よりもクラッチ接続状態側にある場合よりも大きくなるように、前記エンジントルクを変化させる
ことを特徴とする、ハイブリッド式車両の駆動制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、目標クリープトルクを算出する目標クリープトルク算出手段と、をさらに備え、
前記走行モード切替えは、前記ハイブリッド式車両のクリープ走行中における前記電動機走行モードから前記エンジン走行モードへの切替えであって、
前記エンジントルクの変化は、前記クラッチ装置を切断状態から接続状態にストロークさせながら前記エンジンのトルクを増加させるものであって、
前記制御手段は、前記エンジンのトルク増加に対応させて前記電動機のトルクを減少させ、前記エンジントルクと前記電動機トルクとの総和が前記目標クリープトルク算出手段により算出された前記目標クリープトルクとなるように制御する
ことを特徴とする、請求項1記載のハイブリッド式車両の駆動制御装置。
【請求項3】
前記電動機に電力を供給するバッテリと、
前記バッテリの充電量を演算するバッテリ充電量演算手段と、をさらに備え、
前記走行モード選択手段は、電動機走行モードによる前記クリープ走行中に、前記バッテリ充電量演算手段によって演算されたバッテリ充電量が予め設定された下限値まで減少したら、前記電動機走行モードから前記エンジン走行モードに切替える
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のハイブリッド式車両の駆動制御装置。
【請求項4】
前記電動機の温度を演算する電動機温度演算手段をさらに備え、
前記走行モード選択手段は、電動機走行モードによる前記クリープ走行中に、前記電動機温度演算手段によって演算された前記電動機温度が予め設定された上限値まで上昇した場合に、前記電動機走行モードから前記エンジン走行モードに切替える
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド式車両の駆動制御装置。
【請求項5】
前記電動機に電力を供給するバッテリの温度を演算するバッテリ温度演算手段をさらに備え、
前記走行モード選択手段は、前記バッテリ温度演算手段によって演算された前記バッテリ温度が予め設定された上限値まで上昇した場合に、前記電動機走行モードから前記エンジン走行モードに切替える
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド式車両の駆動制御装置。
【請求項6】
前記走行モード選択手段による前記電動機走行モードと前記エンジン走行モードとの間の走行モード切替え時に、前記クラッチ装置の接続開始前に前記エンジンの回転数と前記電動機の回転数とを同期させる回転合わせ制御手段をさらに備えている
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド式車両の駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−105039(P2011−105039A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259140(P2009−259140)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】