説明

ハイブリッド自動車の制御装置

【課題】ハイブリッド自動車において、エンジンの暖機状態及び触媒の活性状態を維持する上で、そのエンジンの暖機や触媒の活性化に必要な燃料の消費量を減少する。
【解決手段】コントローラは、要求駆動力が所定の切替値以下のときには、エンジンを停止しかつモータ(電動モータ)を運転することによって、モータの駆動力のみを車輪(駆動輪)に出力し、要求駆動力が切替値よりも高いときには、少なくともエンジンを運転することによって、少なくともエンジンの駆動力を車輪に出力する。また、コントローラは、エンジンを所定の暖機状態に維持しかつ触媒を所定の活性状態に維持するように、要求駆動力が切替値以下のときにもエンジンを運転することによってエンジンの暖機及び触媒の活性化を行い、触媒の活性化は、要求駆動力が基準値よりも低いときに、エンジンの暖機は、要求駆動力が前記基準値以上のときに行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、それぞれ車輪に対し駆動力を出力するモータ及びエンジンを備えたハイブリッド自動車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の駆動源としてエンジン及びモータを備えたハイブリッド自動車が普及しつつある(例えば特許文献1、2参照)。これらの特許文献に記載されているハイブリッド自動車では、エンジンを停止しかつモータの駆動力のみにより走行するモータ走行と、エンジンを運転し、そのエンジンの駆動力により走行するエンジン走行(但し、モータの駆動力も併用する場合がある)とを、要求駆動力に応じて切り替えている。
【0003】
このようなハイブリッド自動車は、その走行中にエンジンが断続的に運転されることから、例えば特許文献1には、モータ走行中に、エンジン走行への切替に備えて触媒の活性状態を維持するために、触媒温度が低下してその活性化が必要になったときには、エンジンと駆動輪との間の駆動経路上に配設されたクラッチを開放することによってエンジンを無負荷状態で運転しつつ、その点火時期を遅角化することにより、触媒を早期に活性化する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−92428号公報
【特許文献2】特開2010−76712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えばプラグインハイブリッド自動車では、バッテリの充電状態(State Of Charge:SOC)に応じてCD(Charge Depleting、電池使用)レンジと、CS(Charge Sustaining、充電維持)レンジとを切り替えて走行する。CDレンジは、極力、モータにより走行し、エンジンによる走行を制限するものの、例えば要求駆動力が大きくてモータの上限出力(例えば、連続定格)を超えてしまうようなときには、エンジンを始動してエンジンの駆動力を車輪に出力しなければならない。そのため、エミッション性能を考慮すれば、CDレンジにおいても、エンジンの始動及び運転に備えて、エンジンを所定の暖機状態に維持すると共に、触媒を所定の活性状態に維持することが必要になる。例えばCDレンジにおいて、エンジンの温度が所定温度以下に低下したとき、及び、触媒の温度が所定温度以下に低下したときに、エンジンを始動してエンジンの暖機や触媒の活性化を行うようにすれば、エンジンを所定の暖機状態に維持すると共に、触媒を所定の活性状態に維持することが可能になる。
【0006】
ところが、エンジンを暖機する上では、エンジンを高負荷で運転することが効率的であるのに対し、触媒を活性化する上では、エンジンを軽負荷でかつ、排気温度を高めるために点火時期を遅角化することが効率的であり、エンジン暖機に効率的なエンジンの運転状態と触媒の活性化に効率的なエンジンの運転状態とは互いに異なる。
【0007】
一方で、始動したエンジンの運転状態は、そのときの要求駆動力に応じて設定されてしまうため、エンジン温度や触媒温度に基づきエンジンを始動して、エンジンの暖機や触媒の活性化を行おうとしても、そのときのエンジンの運転状態がエンジンの暖機や触媒の活性化にとって効率的であるとは限らない。例えばエンジンの暖機を行いたいのにも拘わらず、要求駆動力が低くてエンジンを低負荷でしか運転することができなかったり、逆に触媒の活性化を図りたいのにも拘わらず、要求駆動力が高くてエンジンを高負荷で運転しなければならなかったりする。このことは、エンジンの暖機や触媒の活性化に必要な燃料消費量を無駄に増やしてしまう結果となる。
【0008】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハイブリッド自動車において、エンジンの暖機状態及び触媒の活性状態を維持する上で必要な燃料の消費量を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者らは、エンジンの暖機、又は、触媒の活性化が必要になったときに、直ちにエンジンを始動してエンジンの暖機や触媒の活性化を行うのではなく、エンジンの暖機に適した要求駆動力となるまで、又は、触媒の活性化に適した要求駆動力となるまで、エンジンの始動を待機することで、エンジンの暖機の効率化及び触媒の活性化の効率化を共に図り、燃料の消費量を低減するようにした。
【0010】
具体的に、ここに開示する技術は、ハイブリッド自動車の制御装置に係り、それぞれ車輪に対し駆動力を出力するように構成されたモータ及びエンジンと、前記エンジンの排気通路上に配設された触媒と、要求駆動力に応じて前記エンジン及び前記モータを制御するよう構成されたコントローラと、を備える。
【0011】
そして、前記コントローラは、前記要求駆動力が所定の切替値以下のときには、前記エンジンを停止しかつ前記モータを運転することによって、前記モータの駆動力のみを前記車輪に出力し、前記要求駆動力が前記切替値よりも高いときには、少なくとも前記エンジンを運転することによって、少なくとも前記エンジンの駆動力を前記車輪に出力し、前記コントローラはまた、前記エンジンを所定の暖機状態に維持しかつ前記触媒を所定の活性状態に維持するように、前記要求駆動力が前記切替値以下のときにも前記エンジンを運転することによって、前記エンジンの暖機及び前記触媒の活性化を行い、前記触媒の活性化は、前記要求駆動力が基準値よりも低いときに行い、前記エンジンの暖機は、前記要求駆動力が前記基準値以上のときに行う。
【0012】
ここで、「触媒の活性化が必要なとき」とは、触媒の浄化率が予め設定した基準値以下となるようなときであって、例えば触媒の温度によって判断することが可能である。
【0013】
前記の構成によると、要求駆動力が所定の切替値以下のときには、コントローラは、エンジンを停止しかつモータを運転することによって、モータの駆動力のみを車輪に出力する。これはモータ走行状態に相当する。一方、要求駆動力が切替値よりも高いときには、少なくともエンジンを運転することによって、少なくともエンジンの駆動力を車輪に出力する。これは、エンジン及びモータの双方を運転し、それらの駆動力を車輪に出力する併用走行状態としてもよいし、エンジンの駆動力のみを車輪に出力するエンジン走行状態としてもよい。
【0014】
また、コントローラは、エンジンを所定の暖機状態に維持しかつ触媒を所定の活性状態に維持するように、要求駆動力が切替値以下のときにもエンジンを運転することによって、エンジンの暖機及び前記触媒の活性化を行う。例えばエンジンの温度が所定温度よりも低下したときには、要求駆動力が切替値以下であってもエンジンを始動して、エンジンの暖機を行う。また、触媒の活性状態が所定の状態よりも低下したときには、要求駆動力が切替値以下であってもエンジンを始動して、触媒の活性化を行う。
【0015】
そして、エンジンの暖機は、エンジンを高負荷で運転することが効率的である一方で、触媒の活性化は、エンジンを低負荷で運転することが効率的であることに鑑みて、コントローラは、要求駆動力が基準値よりも低いためエンジンを低負荷で運転可能なときに、触媒の活性化を行い、要求駆動力が基準値以上であるためエンジンを高負荷で運転可能なときに、エンジンの暖機を行う。このことにより、触媒の活性化及びエンジンの暖機を共に、効率的に行うことが可能になり、エンジンの暖機状態の維持や触媒の活性状態の維持に必要な燃料の消費量が低減する。
【0016】
前記コントローラは、前記触媒の活性を行うときには、前記エンジンを、前記触媒の活性を促進可能な活性促進モードで運転する、としてもよい。
【0017】
ここで、「触媒の活性を促進可能な活性促進モード」でエンジンを運転することには、公知の様々な手法を採用することが可能であり、当該エンジンが火花点火式エンジンであるときには、例えばその点火時期を遅角化することによって、排気温度を高めるような運転が例示される。また、当該エンジンが圧縮着火式エンジンであるときには、例えばその噴射時期を遅角化する等の方策によって、燃焼時期を遅角化させて排気温度を高めるような運転が例示される。
【0018】
こうすることで、触媒の活性化が短時間で効率的に行われ、それに必要な燃料消費量がさらに低減する。
【0019】
前記触媒の活性状態に関連する第1状態と、当該第1状態よりも低い活性状態に相当する第2状態とが設定されており、前記コントローラは、前記触媒の活性状態が前記第1状態を下回りかつ前記要求駆動力が前記基準値よりも低下したときに、前記エンジンを運転することにより前記触媒の活性化を行うと共に、前記触媒の活性状態が前記第2状態を下回ったときには、前記要求駆動力が前記基準値よりも低下しなくても、前記エンジンを運転することにより前記触媒の活性化を行う、としてもよい。
【0020】
この構成によると、触媒の活性状態が第1状態を下回ったときには、触媒の活性化が必要になるものの、要求駆動力が基準値よりも低下するのを待ってエンジンを始動しかつ、触媒の活性化を行うことにより、触媒の活性化を効率的に行うことが可能になる。一方、触媒の活性状態が第2状態を下回ったときには、触媒の活性状態が大幅に低く、仮にこのままの状態で併用走行状態やエンジン走行状態へと移行してしまうとエミッション性能が大幅に悪化する虞があるため、触媒を早期に活性化しておくことが望ましい。そこで、触媒の活性状態が第2状態を下回ったときには、要求駆動力が基準値よりも低下するのを待たずにエンジンを始動しかつ、触媒の活性化を行う。このことにより、エミッション性能の悪化が未然に回避される。
【0021】
前記エンジンの温度に係る第1温度と、当該第1温度よりも低い第2温度とが設定されており、前記コントローラは、前記エンジンの温度が前記前記第1温度を下回りかつ前記要求駆動力が前記基準値以上になったときに、前記エンジンを運転することにより前記エンジンの暖機を行うと共に、前記エンジンの温度が前記第2温度を下回ったときには、前記要求駆動力が前記基準値以上にならなくても、前記エンジンを運転することにより前記エンジンの暖機を行う、としてもよい。
【0022】
この構成によると、エンジンの温度状態が第1温度を下回ったときには、エンジンの暖機が必要になるものの、要求駆動力が基準値以上になるのを待ってエンジンを始動しかつ、エンジンの暖機を行うことにより、エンジンの暖機を効率的に行うことが可能になる。一方、エンジンの温度状態が第2温度を下回ったときには、エンジンの温度が大幅に低く、仮にこのままの状態で併用走行状態やエンジン走行状態へと移行してしまうとエミッション性能が悪化する虞があるため、エンジンを早期に暖機しておくことが望ましい。そこで、エンジンの温度状態が第2温度を下回ったときには、要求駆動力が基準値以上になることを待たずにエンジンを始動しかつ、エンジンの暖機を行う。このことにより、エミッション性能の悪化が未然に回避される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、前記のハイブリッド自動車の制御装置によると、エンジンを所定の暖機状態に維持しかつ触媒を所定の活性状態に維持するように、要求駆動力が切替値以下のときにもエンジンを運転することによって、エンジンの暖機及び前記触媒の活性化を行う一方で、触媒の活性化は、要求駆動力が基準値よりも低いためエンジンを低負荷で運転可能なときに行い、エンジンの暖機は、要求駆動力が基準値以上であるためエンジンを高負荷で運転可能なときに行うことで、エンジンの暖機状態の維持や触媒の活性状態の維持に必要な燃料の消費量を低減させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】車両のパワートレイン及び制御装置の全体ブロック図である。
【図2】CDレンジとCSモードとのそれぞれについて、エンジン回転数の変化及びバッテリのSOCの変化の一例を示す図である。
【図3】CDレンジにおいて要求駆動力に対するモータの駆動力とエンジンの駆動力との分担の一例を示す図である。
【図4】エンジンの特性マップの一例である。
【図5】コントローラが実行する、走行中のエンジン及びモータ制御に係るフローチャートである。
【図6】触媒の活性化に関する(a)触媒温度、(b)エンジン水温、(c)エンジントルク、(d)モータトルク及び(e)要求駆動力の変化の一例を示す図である。
【図7】触媒の活性化に関する(a)触媒温度、(b)エンジン水温、(c)エンジントルク、(d)モータトルク及び(e)要求駆動力の変化の、図6とは異なる例を示す図である。
【図8】エンジンの暖機に関する(a)触媒温度、(b)エンジン水温、(c)エンジントルク、(d)モータトルク及び(e)要求駆動力の変化の一例を示す図である。
【図9】エンジンの暖機に関する(a)触媒温度、(b)エンジン水温、(c)エンジントルク、(d)モータトルク及び(e)要求駆動力の変化の、図8とは異なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、ハイブリッド自動車の制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は例示である。図1は車両のパワートレイン及び制御装置の全体ブロック図である。パワートレインPTは、駆動力を発生するエンジン11と、このエンジン11に連結されて変速を行う歯車変速機構12と、歯車変速機構12からの出力を受けて左右に駆動力を配分する差動装置13と、差動装置13からの駆動力を受ける左右の駆動輪(例えば前輪)14,14と、エンジン11と歯車変速機構12との間に配置されたトルクコンバータ(流体電動装置)15と、歯車変速機構12に対して駆動力伝達方向の下流側に配置されかつ差動装置13を通じて前記駆動輪14を駆動する電動モータ16と、を備えている。このハイブリッド自動車は、駆動源としてのエンジン11及び電動モータ16を備えた、いわゆるパラレルハイブリッド自動車であり、後述するように、車速及びアクセル開度に基づいて設定される要求駆動力に応じて、電動モータ16を運転しかつエンジン11を停止させるモータ走行状態と、電動モータ16とエンジン11との双方を運転する併用走行状態との少なくとも2つの走行状態を切り換えながら走行するように構成されている。
【0026】
エンジン11は、詳細な図示は省略するが、例えば4サイクル火花点火式エンジンである。エンジン11は、クランク軸に対しベルトを介して連結された発電機を備えており、この発電機は、スタータ及び発電機を統合したBISG21とされている。エンジン11の排気側に接続された排気通路22上には、排気ガスを浄化する例えば三元触媒23(以下、単に触媒23という)が配設されている。
【0027】
歯車変速機構12は、詳細な図示は省略するが、例えばその内部に、遊星歯車機構と、遊星歯車機構に含まれる各回転要素の回転を選択的に規制する摩擦締結要素として、複数のクラッチ要素及びブレーキ要素とを含んで構成された多段自動変速機として構成されている。この歯車変速機構12においては、複数のクラッチ要素及びブレーキ要素から選択された、少なくとも2つの要素を締結することで、各変速段を実現するように構成されている。つまり、歯車変速機構12は、少なくとも2つの要素を締結することで所定の変速段を実現したドライブ状態と、前記の要素を全て締結しないことによって、エンジン11と駆動輪14との間のトルクの伝達を遮断したニュートラル状態とに切り換わることから、このハイブリッド自動車においては特に、後述するように、歯車変速機構12を、前記の各クラッチ要素及び各ブレーキ要素の開放及び締結を切り換えることによって、エンジン11と駆動輪14との間でトルクを断続させる断続手段121として機能させる。この断続手段121は、車両の走行に連動してエンジン11が引き摺られながら従動回転する引き摺り現象を回避する上で有効である。
【0028】
前記電動モータ16は、例えば3相の交流同期モータであって、図示省略のバッテリ及びインバータを介して供給された駆動電流により駆動する。ここで、前記のモータ走行モードには、電動モータ16の駆動力によって走行している状態、電動モータ16を回生させながら走行している状態、電動モータ16が何ら作動せずに惰性で走行している状態、の少なくとも3つの状態を含む。
【0029】
車両の制御装置CRは、エンジン11の運転(BISG21を通じたエンジン11の始動制御も含む)、前記インバータの制御を通じた電動モータ16の運転(力行及び回生を含む)、歯車変速機構12の変速段等をそれぞれ制御する装置である。制御装置CRは、コントローラ3と、車両の走行状態を含む各種の状態を検出し、コントローラ3に提供する各種センサ31〜36とを備えて構成されている。この内、コントローラ3は、例えば通常のマイクロコンピュータであり、図示は省略するが、少なくともCPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース回路、及びデータバスを備えて構成される。
【0030】
各種のセンサには、少なくとも、車両の走行速度に関する情報をコントローラ3に提供する車速センサ31、アクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度に関する情報をコントローラ3に提供するアクセル開度センサ32、バッテリの充電状態(SOC:State of Charge)やバッテリ温度に係る情報を含む、バッテリの各種状態に係る情報をコントローラ3に提供するバッテリ状態センサ33、電動モータ16の状態に係る情報、例えば電動モータ16の温度情報を提供するモータ状態センサ34、触媒23の浄化率に関係する情報、例えば触媒23の温度情報を提供する触媒状態センサ35、及び、エンジン11の冷却水温の情報を提供する水温センサ36を含んでいる。コントローラ3は、これらの各センサ31〜36からのセンサ信号を取り入れて演算処理をし、前記エンジン11、BISG21、歯車変速機構12及び電動モータ16の制御を実行する。
【0031】
尚、ここでは、触媒状態センサ35を備えるようにしているが、これの代わりに、例えばエンジン水温や車両(エンジン)の運転状態の履歴情報等から、触媒の温度又は浄化率を推定するようにしてもよい。
【0032】
具体的にコントローラ3は、車速及びアクセル開度に基づいて設定される要求駆動力に応じて、前述したモータ走行状態と併用走行状態とを切り換えるべく、電動モータ16の作動及び停止、エンジン11の作動及び停止(始動及び停止)を切り換える。それと共に、コントローラ3は、走行状態の切り換わりに応じて、変速マップに従った変速制御や、断続手段121によるエンジン11及び駆動輪14間のトルクの断続切替等の、歯車変速機構12の制御を行う。
【0033】
ここで、このハイブリッド自動車は、その構成の図示は省略するが、外部からの給電によってバッテリの充電が可能なプラグインハイブリッド自動車であり、「電池使用走行」又は「プラグイン走行」と言うことができるCDレンジと、「充電維持走行」又は「ハイブリッド走行」と言うことができるCSレンジと、をバッテリのSOCに応じて切り替える(図2参照)。つまり、バッテリのSOCが第1所定値以上であるときは、図2の左側に示すようにCDレンジであり、このCDレンジでは基本的にモータ走行を行い、エンジンの運転は抑制される。例えば外部からの給電によりバッテリの充電が完了した後にハイブリッド自動車を発進した場合は、SOCが第1所定値にまで低下する間はCDレンジになる。CDレンジでは、バッテリの電力消費は許容しつつ、エンジン11の運転によるバッテリの充電は規制されるため、SOCは次第に低下するようになる。そうして、SOCが第1所定値を下回ったときには、ハイブリッド自動車の運転レンジがCSレンジに切り替わる。CSレンジでは、第1所定値と、この第1所定値よりも所定値だけ高い第2所定値との範囲内で、SOCが維持されるように、SOCに応じてエンジン11が頻繁に始動及び運転されてバッテリが充電されることになる。
【0034】
前述したようにCDレンジにおいては、バッテリの電力消費を優先し、エンジン11の運転は抑制されるものの、例えば要求駆動力が所定値以上に高まれば電動モータ16のみでは要求駆動力を充足できなくなるため、図2にも示すように、エンジン11が始動され、そのエンジンの駆動力を補助的に利用することになる。図3は、CDレンジにおける要求駆動力に対する、電動モータ16の駆動力とエンジン11の駆動力との分担例を示している。CDレンジにおいては、電動モータ16の上限駆動力が予め設定されており、要求駆動力がこの上限駆動力以下のときには電動モータ16を運転しかつ、エンジン11を停止することにより、電動モータ16の駆動力のみで要求駆動力を充足させる。ここで、電動モータ16の上限駆動力は、当該電動モータ16の連続定格を基準に設定すればよい。例えば電動モータ16の上限駆動力を当該電動モータ16の連続定格に一致させてもよい。この電動モータ16の上限駆動力は、CDレンジにおいて、要求駆動力に対しモータ走行状態と併用走行状態とを切り替える切替値に相当する。
【0035】
一方、要求駆動力が電動モータ16の上限駆動力を超えたときには、エンジン11が運転され、電動モータ16及びエンジン11の双方の駆動力によって、要求駆動力を充足させる。ここで、図4に示すように、このハイブリッド自動車では、エンジン11の運転を、そのエンジン特性に基づいて効率が高くなるように行う。つまり、エンジン11は、図4において「通常運転ライン」で示される高効率のラインに沿うように運転され、特に同図において破線で示されている、高効率領域が利用される。このため、エンジン11は、所定トルク以上を出力するように運転されることになるから、前述した電動モータ16及びエンジン11の双方の駆動力によって要求駆動力を充足させる場合は、エンジン11の出力を所定値以上に設定する一方で、電動モータ16の出力を低下させることによって要求駆動力を充足させるようにする。尚、低回転域では、エンジン11の効率が低下するため、エンジン11は停止する。また、エンジン11の運転は、CDレンジ及びCSレンジのいずれにおいても、基本的には「通常運転ライン」に沿って行われるが、CDレンジでは、前述の通り、電力消費を許容しかつ燃料消費を抑制する観点から、低回転域においては、破線で示すように、実線のCSレンジでの運転ラインとは別の運転ラインが設定されている。
【0036】
前述の通りCDレンジにおいては、エンジン11の運転が抑制されていて、エンジン11は、ほとんど運転されない一方で、要求駆動力が切替値以上になったときにはエンジン11を運転させる必要がある。このときに、エンジン11が暖機されていなかったり、触媒23が活性化されていなかったりすると、エミッション性能が悪化してしまうことになる。そのため、CDレンジにおいても、エンジン11を所定の暖機状態に、また、触媒23を所定の活性状態に維持しなければならない。しかしながら、エンジン11の暖機や触媒23の活性化は、要求駆動力の大きさに拘わらずエンジン11を断続的に運転して行わなければならない一方で、エンジン11の暖機は、エンジン11を高負荷で運転することが効率的であり、触媒23の活性化は、エンジン11を低負荷で運転することが効率的である。従って、単にエンジン11の温度や触媒23の活性状態だけに基づいてエンジン11を運転し、エンジン11の暖機や触媒23の活性化を行おうとすれば、エンジン11の暖機や触媒23の活性化を効率的に行うことができず、燃料の消費量を無駄に増大することになる。
【0037】
そこで、このハイブリッド自動車では、エンジン11の暖機や触媒23の活性化が必要になったときに直ちにエンジン11を始動するのではなく、要求駆動力に応じて、エンジン11の始動を行うことによって、燃料の消費量を無駄に増大することなく、CDレンジにおいてエンジン11の暖機状態及び触媒23の活性状態を維持するようにした。
【0038】
図5は、前記の制御装置CRが実行する、CDレンジにおける、エンジン11と電動モータ16との制御に係るフローチャートである。まず、このフローはCDレンジにおけるモータ走行状態でスタートし、スタート後のステップS51で、コントローラ3は、各センサ31〜36の情報、少なくともアクセル開度、車速、触媒温度、及び、モータ温度の情報を読み込む。続くステップS52では、エンジン水温Twが第1温度TW1よりも高いか否かを判定する。第1温度TW1は、エンジン水温が低いためエンジン11の暖機が必要な温度として予め設定した温度である。第1温度TW1は、例えば50〜60℃程度で適宜設定すればよく、第1温度TW1を空燃比フィードバック制御が可能となる60℃に設定してもよい。エンジン水温が第1温度TW1よりも高いとき(YESのとき)にはステップS53に移行し、エンジン水温が第1温度TW1以下のとき(NOのとき)には、ステップS510に移行する。
【0039】
ステップS53では、触媒温度Tcが第1温度TC1よりも低いかを判定する。第1温度TC1は、触媒23の温度が低いため触媒23の活性化が必要な温度として予め設定した温度であり、第1温度TC1は、例えば280℃程度で適宜設定すればよい。ステップS53の判定でNOのとき、言い換えるとエンジン11が暖機状態にあると共に、触媒23が活性状態にあるため、ステップS59に移行をし、エンジン11を始動せずにモータ走行をそのまま継続する。一方、ステップS53の判定でYESのとき、言い換えると触媒23の活性化が必要なときにはステップS54に移行をする。
【0040】
ステップS54では、触媒温度Tcが、第2温度TC2よりも高いか否かを判定する。第2温度TC2は、触媒23の反応限界に相当する温度として適宜設定すればよく、第2温度TC2は、例えば250℃程度で適宜設定すればよい。従って、第1温度TC1>第2温度TC2である。ステップS54の判定がYESのときにはステップS55に移行する。つまり、触媒23の温度が第1温度TC1よりも低く触媒23の活性化が必要であるものの、第2温度TC2以上であり、早急に活性化を開始する必要がないため、要求駆動力が低くなるのを待って、触媒23の活性化を行う。一方、ステップS54の判定がNOのときには、触媒23の温度が第2温度TC2以下であるため、触媒23の活性化を直ちに開始すべく、ステップS56に移行する。
【0041】
ステップS55では、アクセル開度と車速とに基づいて設定された要求駆動力が基準値F1よりも低いか否かを判定する。基準値F1よりも低い低負荷状態のとき(つまり、YESのとき)にはステップS56に移行をする。一方、要求駆動力が基準値F1以上であるとき(つまり、NOのとき)にはステップS59に移行をして、触媒23の活性化の開始を遅らせる。
【0042】
ステップS56では、エンジン11を始動して軽負荷での運転を行うと共に、点火時期を大幅に遅角化する。このような運転モードは、排気温度を高めて触媒23の活性化を促進する(つまり、活性促進モード)。その結果、触媒23の活性化に要する時間を短くして、燃料の消費を抑制する上で有利になる。尚、エンジン11を活性促進モードで運転して触媒23の活性化を行っているときには、電動モータ16の出力を、要求駆動力及びエンジン負荷に応じて調整する。エンジン負荷によって要求駆動力が充足されるような場合は、電動モータ16が停止される。
【0043】
そして、ステップS57で触媒23の活性化が完了したか否かを判定し、活性化が完了していないとき(NOのとき)には触媒23の活性化を継続する一方、活性化が完了したとき(YESのとき)には、ステップS58に移行する。触媒23の活性化が完了したか否かは、例えば触媒23の温度に基づいて判定してもよく、触媒23の温度が第1温度TC1よりも高くなったときに、触媒23の活性化が完了したと判定してもよい。そうして、触媒23の活性化が完了したステップS58では、エンジン11を停止しかつ、モータ走行状態に復帰する。
【0044】
一方、エンジン水温Twが第1温度TW1以下であるとして移行したステップS510では、ステップS53と同様に、触媒温度Tcが第1温度TC1よりも高いか否かを判定する。ステップS510の判定がYESのとき、言い換えると触媒23が活性化しているときにはステップS511に移行をする。一方、ステップS510の判定がNOのとき、言い換えると触媒23の活性化が必要なときにはステップS54に移行をする。こうして、触媒23の活性化をエンジン11の暖機よりも優先する。このことは、エミッション性能の向上に有利になる。
【0045】
ステップS511では、エンジン水温Twが第2温度TW2よりも高いか否かを判定し、Tw>TW2のとき(YESのとき)にはステップS512に移行をする。第2温度TW2は、例えばエンジン11のエミッションに関する下限温度、言い換えるとエミッション性能が悪化してしまうようなエンジン11の温度として予め設定した温度であり、第1温度TW1よりも低い、例えば45℃程度で適宜設定すればよい。一方、Tw≦TW2のとき(NOのとき)には、エンジン11の暖機を直ちに行うべくステップS513に移行をする。
【0046】
ステップS513では、エンジン1を始動してエンジン11の暖機を行う。このときには、要求駆動力に応じてエンジン11の負荷が決定されるが、エンジン負荷をできるだけ高くして、エンジン11の暖機を有利にするために、電動モータ16を停止することが好ましい。
【0047】
ステップS512では、要求駆動力が基準値F1以上か否かを判定し、この判定がNOのときにはステップS517に移行して、モータ走行を継続する。つまり、エンジン11の水温が第1温度TW1よりも低くエンジン11の暖機が必要であるものの、第2温度TW2以上であり、早急に暖機を開始する必要がないため、エンジン11の暖機に有利な、高い要求駆動力になるのを待つ。一方、ステップS512の判定がYESのときには、ステップS514に移行し、エンジン11を始動すると共に、高い要求駆動力に対応するように、そのエンジン11を高負荷で運転して、エンジン11の暖機を促進する。
【0048】
そうして、ステップS515でエンジン11の暖機が完了したか否かを判定し、暖機が完了していないとき(NOのとき)にはエンジン11の暖機を継続する一方、暖機が完了したとき(YESのとき)には、ステップS516に移行をし、エンジン11を停止した上で、モータ走行状態に復帰をする。
【0049】
次に、図6−9を参照しながら、前述した、CDレンジにおけるエンジン11及び電動モータ16の制御について説明する。先ず、図6は、触媒温度Tcが第1温度TC1よりも低下すると共に、要求駆動力が基準値F1よりも低下することによって、エンジン11を始動して触媒23の活性化を開始した例である。つまり、図6の(a)に示すように、触媒23の温度Tcが次第に低下して、タイミングT1で第1温度TC1よりも低下したとする。前述したように、このタイミングT1で直ちにエンジン11を始動して、触媒23の活性化を行うのではなく、要求駆動力が、触媒23の活性化に有利な低負荷状態となるまで待つ(図6(c)参照)。
【0050】
そうして、図6(e)に示すように、タイミングT2で要求駆動力が基準値F1よりも低下すれば、エンジン11を始動しかつ、そのエンジン11を、要求駆動力に対応するような軽負荷でかつ、点火時期を大幅に遅角化した活性促進モードで運転する。図例では、エンジン11の駆動力によって要求駆動力が充足されるため、活性促進モードの最中に、電動モータ16が停止されている(図6(d)参照)。こうして、図6(a)に示すように、触媒23の温度が次第に高まる。尚、エンジン11を軽負荷で運転しているため、エンジン11の温度はほとんど上がらない。
【0051】
そして、図6(a)に示すように、タイミングT3で触媒23の温度TcがTC1を超えれば、触媒23の活性化が完了したとして、エンジン11を停止し、電動モータ16を運転して要求駆動力を満たす。つまり、モータ走行状態に復帰する(図6(c)(d)(e)参照)。
【0052】
図7は、触媒温度Tcが、タイミングT1で第1温度TC1よりも低下した後、要求駆動力が基準値F1よりも低下する前に、触媒温度Tcが第2温度TC2よりも低下した例を示している(図7(a)(e)参照)。つまり、例えば低外気温に起因して触媒23の温度が急速に低下し、タイミングT2で第2温度TC2よりも低くなったときには、要求駆動力が基準値F1以上であってもエンジン11を始動し、触媒23の活性化を開始する。
【0053】
始動したエンジン11は、前記と同様に、軽負荷でかつ、点火時期を大幅に遅角化した活性促進モードで運転する。これにより、触媒23の活性化が促進される(図7(a)(c)。また、要求駆動力を充足するように、エンジン11の負荷に応じて、電動モータ16の出力が調整される。図7(d)の例では、エンジン11を始動したタイミングT2で、電動モータ16のトルクが低減されると共に、タイミングT3で要求駆動力が低下し、エンジン11のトルクによって要求駆動力が充足されるため、電動モータ16が停止されている。つまり、エンジン走行状態である。そうして、触媒23の温度が第1温度TC1を超えたタイミングT4で、エンジン11が停止されて、モータ走行状態に切り替わる(図7(a)(c)(d)(e)参照)。
【0054】
図8は、エンジン水温Twが第1温度TW1よりも低下すると共に、要求駆動力が基準値F1以上に高まることによって、エンジン11を始動しかつ、エンジン11の暖機を開始した例である。つまり、図8の(b)に示すように、エンジン11の水温Twが次第に低下して、第1温度TW1よりも低下したタイミングT1では、エンジン11を始動せずに、要求駆動力が、エンジン11の暖機に有利な高駆動力になることを待つ。そうして、図8(e)に示すように、要求駆動力が基準値F1以上になったタイミングT2で、エンジン11を始動する。このときに、図例では、エンジン11をできるだけ高負荷で運転してエンジン11の暖機効率を高めるべく、電動モータ16を停止している(図8(d)参照)。これにより、図8(b)に示すように、エンジン11の水温が急速に高められて、第1温度TW1以上となったタイミングT3で、エンジン11の暖機が完了したとして、エンジン11を停止する。一方、要求駆動力を充足するように、電動モータ16を運転する。つまり、モータ走行状態に復帰する。
【0055】
図9は、エンジン11の水温Twが、タイミングT1で第1温度TW1よりも低下した後、要求駆動力が基準値F1以上になる前に、水温Twが第2温度TW2よりも低下した例を示している(図9(b)(e)参照)。つまり、エンジン11の水温が第2温度TW2よりも低くなったときには、要求駆動力が基準値F1よりも低くても、エンジン11を始動し、エンジン11の暖機を開始する(図9(c)参照)。このとき図例では、要求駆動量が低い一方で、エンジン11の負荷をできるだけ高める観点から、電動モータ16を停止している(図9(c)(d)(e))。また、タイミングT3で要求駆動力が高まれば、それを充足するように、電動モータ16を停止したまま、エンジン11の負荷を高めて運転している。こうして、エンジン11の暖機をできるだけ促進する。
【0056】
エンジン11の水温Twが、第1温度TW1を超えたタイミングT4で、エンジン11を停止しかつ電動モータ16を運転することで、モータ走行状態に復帰する。
【0057】
以上説明したように、このハイブリッド自動車では、CDモードにおいてエンジン11の暖機状態を維持しかつ、触媒23の活性化状態を維持するために、エンジン11の水温及び触媒23の温度に応じて、エンジン11を始動するようにしているものの、そのエンジン11の始動は、触媒23の活性化を行うときには、要求駆動力が基準値F1よりも低下するのを待って行う一方、エンジン11の暖機を行うときには、要求駆動力が基準値F1以上になるのを待って行う。これにより、触媒23の活性化及びエンジン11の暖機をそれぞれ効率的に行うことが可能になり、触媒23の活性化やエンジン11の暖機に必要な燃料の消費量を低減しながら、触媒23の活性状態及びエンジン11の暖機状態を維持することが可能になる。
【0058】
一方、エンジン11の水温Twが第2温度TW2以下となったり、触媒23の温度Tcが第2温度TC2以下となったりしたときには、エンジン11を直ちに始動して、エンジン11の暖機や触媒23の活性化を行うことで、CDレンジにおいて、モータ走行状態から、エンジン走行状態や併用走行状態に切り替わったときでも、エミッション性能が悪化してしまうことが未然に回避される。
【0059】
尚、ハイブリッド自動車の構成は、前述した構成に限らず、種々の構成を採用し得る。例えば電動モータ16は、図1の構成では、歯車変速機構12に対し、駆動力伝達方向の下流側に配置しているが、歯車変速機構12に対し、駆動力伝達方向の上流側に電動モータを配設し、電動モータの出力を歯車変速機構12を介して駆動輪14に出力してもよい。
【0060】
また、電動モータ16は、前記のように1つの電動モータからの駆動力を差動装置13を介して、左右の駆動輪14に分配するのではなく、左右の駆動輪14それぞれに独立して駆動力を付与し得るように、少なくとも2つの電動モータを備えてもよい。その場合において、インホイールモータを採用してもよい。
【0061】
さらに、電動モータ16の駆動力は、前輪に付与することに限定されず、後輪に付与してもよい。同様に、エンジン11の駆動力も、前輪に付与することに限定されず、後輪に付与してもよい。ここにおいて、電動モータ16の駆動力を付与する車輪と、エンジン11の駆動力を付与する車輪とは、図1に示すように同じであってもよいし、異なっていても良い(例えばエンジン11の駆動力を前、電動モータ16の駆動力を後、又は、その逆)。例えば電動モータ16の駆動力を後輪に付与する場合においては、電動モータ16を後輪の駆動軸に連結する構成に限らず、ドライブシャフトの途中に電動モータ16を連結してもよい。
【0062】
また、前記のパワートレインPTにおいて、歯車式の多段変速機構に代えて、例えばベルト式等の無段変速機構を採用してもよい。
【0063】
さらに、エンジン11は、火花点火式でなく圧縮着火式エンジン(ディーゼルエンジン)を採用してもよい。その場合、当該圧縮着火式エンジンを活性活性モードで運転するには、例えば噴射時期を変更(遅角化)することによって、燃焼期間を遅らせて排気温度を高めてもよい。
【0064】
加えて、ここに開示した、エンジン11及び電動モータ16の制御は、CDレンジに限定されるものではないが、エンジン11の運転が制限されるようなレンジで行うことが、より効果的である。
【符号の説明】
【0065】
11 エンジン
14 駆動輪(車輪)
16 電動モータ
22 排気通路
23 三元触媒
3 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ車輪に対し駆動力を出力するように構成されたモータ及びエンジンと、
前記エンジンの排気通路上に配設された触媒と、
要求駆動力に応じて前記エンジン及び前記モータを制御するよう構成されたコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記要求駆動力が所定の切替値以下のときには、前記エンジンを停止しかつ前記モータを運転することによって、前記モータの駆動力のみを前記車輪に出力し、前記要求駆動力が前記切替値よりも高いときには、少なくとも前記エンジンを運転することによって、少なくとも前記エンジンの駆動力を前記車輪に出力し、
前記コントローラはまた、前記エンジンを所定の暖機状態に維持しかつ前記触媒を所定の活性状態に維持するように、前記要求駆動力が前記切替値以下のときにも前記エンジンを運転することによって、前記エンジンの暖機及び前記触媒の活性化を行い、
前記触媒の活性化は、前記要求駆動力が基準値よりも低いときに行い、前記エンジンの暖機は、前記要求駆動力が前記基準値以上のときに行うハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド自動車の制御装置において、
前記コントローラは、前記触媒の活性を行うときには、前記エンジンを、前記触媒の活性を促進可能な活性促進モードで運転するハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のハイブリッド自動車の制御装置において、
前記触媒の活性状態に関連する第1状態と、当該第1状態よりも低い活性状態に相当する第2状態とが設定されており、
前記コントローラは、前記触媒の活性状態が前記第1状態を下回りかつ前記要求駆動力が前記基準値よりも低下したときに、前記エンジンを運転することにより前記触媒の活性化を行うと共に、前記触媒の活性状態が前記第2状態を下回ったときには、前記要求駆動力が前記基準値よりも低下しなくても、前記エンジンを運転することにより前記触媒の活性化を行うハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド自動車の制御装置において、
前記エンジンの温度に係る第1温度と、当該第1温度よりも低い第2温度とが設定されており、
前記コントローラは、前記エンジンの温度が前記前記第1温度を下回りかつ前記要求駆動力が前記基準値以上になったときに、前記エンジンを運転することにより前記エンジンの暖機を行うと共に、前記エンジンの温度が前記第2温度を下回ったときには、前記要求駆動力が前記基準値以上にならなくても、前記エンジンを運転することにより前記エンジンの暖機を行うハイブリッド自動車の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−35387(P2013−35387A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172605(P2011−172605)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】