説明

ハイブリッド自動車用の車内暖房装置

【課題】従来のハイブリッド自動車はエネルギー効率の高いシステムでありエンジンの廃熱が小さいため暖房が得られにくいという課題があった。
【解決手段】内燃機関2とモータ3と蓄電池4と、電気暖房装置11と、商用電源から電力を得るための受電プラグ7と受電プラグ7から受けた電力により蓄電池4を充電する充電器8を有し、受電プラグ7が商用電源に接続され電力が供給されたときに、ハイブリッド自動車10の電気暖房装置11を作動させる構成としたため、暖房によるバッテリーの電力消費を抑え、なおかつハイブリッド自動車に乗り込むときに快適な温度の車室内空間を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車に用いる車内暖房装置とその電力需給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド自動車電力需給システムは、商用電源によりハイブリッド自動車に搭載されたバッテリーに充電する構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。図5は、特許文献1に記載された従来のハイブリッド自動車の構成図である。ハイブリッド自動車1は、車両を駆動するエンジン(内燃機関)2とモータ3と、モータ3に電力を供給するバッテリー(蓄電池)4とを備え、エンジン2はハイブリッド自動車1を駆動するだけでなく発電機5を駆動しバッテリー4を充電する。また、商用電源のコンセント6に接続する受電プラグ7と充電器8を備え、商用電源によるバッテリー4の充電も可能となっている。また、車両内部の暖房用にエンジン2の廃熱を利用した暖房装置9を備えている。
【特許文献1】特開2007−335157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のハイブリッド自動車はエネルギー効率の高いシステムでありエンジンの廃熱が小さいため、エンジンの廃熱を利用する従来型自動車のような暖房性能を得ることが難しいという課題があった。またエンジンの廃熱を利用する暖房装置はエンジンが冷えた状態では暖房の効果が小さく、エンジンの暖機運転が終了するまで実質的に暖房が得られにくいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記従来の課題を解決するために、本発明のハイブリッド自動車用の車内暖房装置においては、受電プラグが商用電源に接続されて電力が供給されているときには、エンジン廃熱による暖房装置は動作せず、電気暖房装置を作動させる構成とした。
【発明の効果】
【0005】
本発明のハイブリッド自動車用の車内暖房装置は、受電プラグを家庭や事業場のコンセントなどに接続し、AC100Vの商用電源の供給を受けているときに、電気暖房装置だけを使用して車内の暖房を開始するため、暖房によるバッテリーの電力消費を抑え、なおかつハイブリッド自動車に乗り込むときに快適な温度の車室内空間を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、内燃機関と、前記内燃機関の廃熱を利用した暖房装置と、モータと、蓄電池、商用電源から電力を得るための受電プラグと、前記受電プラグから受けた電力により前記蓄電池を充電する充電器と、前記電力を利用した電気暖房装置を備えたハイブリッド自動車に用いる車内暖房装置において、前記受電プラグが商用電源に接続されて電力が供給されているときには、前記内燃機関の廃熱を利用した暖房装置は動作せず、前記電気暖房装置が作動する構成としたので、商用電源の供給を受けているときに、電気暖房装置だけを使用して車内の暖房を開始するため、暖房によるバッテリーの電力消費を抑え、なおかつハイブリッド自動車に乗り込むときに快適な温度の車室内空間を得ることができる。
【0007】
また、遠隔操作端末を備え、前記遠隔操作端末により電気暖房装置を作動させる構成とすると、ハイブリッド自動車から離れた箇所、例えば家屋室内よりハイブリッド自動車の電気暖房装置を始動できるため、使用時の利便性の高い車内暖房装置を提供することが出来る。
【0008】
また、タイマ装置を備え、前記タイマ装置により電気暖房装置を作動させる構成とすると、予め設定された時間に、ハイブリッド自動車の電気暖房装置を始動でき、使用の都度操作する必要がなくなるため、使用時の利便性の高い車内暖房装置を提供することが出来る。
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0010】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド自動車の車内暖房装置およびその電力需給システムについて図1を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド自動車10の構成図である。
【0011】
ハイブリッド自動車10は、車両を駆動するエンジン(内燃機関)2とモータ3と、モータ3に電力を供給するバッテリー(蓄電池)4とを備え、エンジン2はハイブリッド自動車10を駆動するだけでなく発電機5を駆動しバッテリー4を充電する。また、商用電源のコンセント6に接続する受電プラグ7と充電器8を備え、商用電源によるバッテリー4の充電も可能となっている。また、車両内部の暖房用にエンジン2の廃熱を利用した暖房装置9を備えている。また、バッテリー4には電気暖房装置11が接続されている。この電気暖房装置11は例えば、電気ヒータと熱交換器と送風機を組み合わせた温風暖房機でもよいし、シート状の電気ヒータを車両座席に組み込んだものでもよい。
【0012】
以下に動作作用を説明する。受電プラグ7を家庭や事業場のコンセント6などに接続し、AC100Vの商用電源の供給を受けることで充電器8を介してバッテリー4を充電する。この状態で電気暖房装置11のスイッチが入れられ時には、エンジン2の熱を利用する暖房装置9は使用せずに、電気暖房装置11だけを使用して車内の暖房を開始する。
【0013】
このとき、電気暖房装置11への電力供給は、バッテリー4を経由せず、充電器8から直接電力供給する構成としている。そのため、暖房によるバッテリー4の電力消費を抑え、ハイブリッド自動車1の運転開始前にバッテリー4が消耗することがない。また商用電源によるバッテリー4の充電中にエンジン音による騒音もなく、また燃料油(ガソリンや軽油など)の消費もない。そして、ハイブリッド自動車に乗り込むときに快適な温度の車室内空間を提供することが出来る。
【0014】
電気暖房装置11の始動方法として、例えばリモコン(遠隔操作端末)12を用いて、使用者13がハイブリッド自動車10に乗り込む数分から数十分前に電気暖房装置11を始動させることで、乗り込むときに車室内を快適な温度にすることができ、なおかつ、ハイブリッド自動車から離れた箇所、例えば家屋室内よりハイブリッド自動車の電気暖房装置を始動できるため、使用時の利便性の高い車内暖房装置を提供することが出来る。
【0015】
また、電気暖房装置11は、AC100Vの供給のないときには始動しない構成としている。例えば充電器8に、電圧検出器又は電流検出器のような電力供給確認手段を有し、受電プラグ7とコンセント6の未接続時や、停電等によるコンセント6からの電力供給のないときには電気暖房装置11を始動しないようにしている。そのため、暖房によるバッテリー4の消耗がなく、ハイブリッド自動車1の運転開始前にバッテリー4が消耗するこ
とがない。
【0016】
尚、リモコンとしては、ハイブリッド自動車10のスマートエントリーキーに電気暖房装置11を始動する機能を内蔵してもかまわない。
【0017】
また尚、供給する商用電源としてAC100Vの例を示したが、これに限らずAC200Vやそれ以外の交流電圧でもかまわないし、また直流を供給する電源供給装置でもよい。また尚、電気暖房器11の電力供給を、充電器8から直接電力供給せずに、バッテリー4を経由させてもよい。その場合、コンセント6からの電力供給のないときには電気暖房装置11を始動しないように構成することで、バッテリー4の消耗を小さく押さえることができる。
【0018】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態におけるハイブリッド自動車の車内暖房装置およびその電力需給システムについて図2を用いて説明する。図2は本発明の第2の実施の形態におけるハイブリッド自動車10の構成図である。
【0019】
第1の実施の形態との違いは、電気暖房装置の始動方法として、使用者が電気暖房装置の始動時間を設定できるタイマ装置を用いたことである。実施の形態1と同一符号の物は同様の動作、作用、効果を示し説明を省略する。
【0020】
電気暖房装置11にはタイマ装置14が接続されており、このタイマ装置14により電気暖房装置11の始動停止を行う。例えば、ハイブリッド自動車11を使用者が通勤に使用する例を示すと、ハイブリッド自動車10に乗り込む数分から数十分前に電気暖房装置11を始動させることで、冬季早朝のような外気温が低い場合でも乗り込むときに車室内を快適な温度にすることができる。また、予め設定された時間に、ハイブリッド自動車の電気暖房装置を始動でき、使用の都度操作する必要がなくなるため、使用時の利便性の高い車内暖房装置を提供することが出来る。
【0021】
尚、休日には通勤の時間帯にハイブリッド自動車10を使用しないこともあるため、タイマ装置14は、電気暖房装置11の始動パターンを複数設定できるよう構成し、出勤日と休日など別々の始動パターンの設定をしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明にかかるハイブリッド自動車の車内暖房装置およびその電力需給システムは、受電プラグを家庭や事業場のコンセントなどに接続し、AC100Vの商用電源の供給を受けているときに、電気暖房装置だけを使用して車内の暖房を開始するため、暖房によるバッテリーの電力消費を抑え、なおかつハイブリッド自動車に乗り込むときに快適な温度の車室内空間を提供することができるため、電気自動車や燃料電池車両などの用途にも応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1におけるハイブリッド自動車の車内暖房装置およびその電力需給システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態2におけるハイブリッド自動車の車内暖房装置およびその電力需給システムの構成図
【図3】従来のハイブリッド自動車の車内暖房装置およびその電力需給システムの構成図
【符号の説明】
【0024】
2 エンジン(内燃機関)
3 モータ
4 バッテリー(蓄電池)
5 発電機
6 コンセント
7 受電プラグ
8 充電器
10 ハイブリッド自動車
11 電気暖房装置
12 リモコン(遠隔操作端末)
14 タイマ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、前記内燃機関の廃熱を利用した暖房装置と、モータと、蓄電池と、商用電源から電力を得るための受電プラグと、前記受電プラグから受けた電力により前記蓄電池を充電する充電器と、前記電力を利用した電気暖房装置を備えたハイブリッド自動車に用いる車内暖房装置において、前記受電プラグが商用電源に接続されて電力が供給されているときには、前記内燃機関の廃熱を利用した暖房装置は動作せず、前記電気暖房装置が作動するハイブリッド自動車用の車内暖房装置。
【請求項2】
遠隔操作端末により前記電気暖房装置を作動させる請求項1記載のハイブリッド自動車用の車内暖房装置。
【請求項3】
タイマ装置により前記電気暖房装置を作動させる請求項1記載のハイブリッド自動車用の車内暖房装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド自動車用の車内暖房装置を備えたハイブリッド自動車。
【請求項5】
請求項4に記載のハイブリッド自動車用に電力を供給するための電力需給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−23532(P2010−23532A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183470(P2008−183470)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】