ハイブリッド車両の制御装置
【課題】 エンジンの空気量学習制御の機会を確保可能なハイブリッド車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】 エンジンとモータとの間に設けられた第1クラッチと、モータと駆動輪との間に設けられた第2クラッチと、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、エンジンとモータを併用するスリップ走行モードで走行しているときに、エンジンコントローラから空気量学習制御要求が出力されたときは、第1クラッチを開放し、モータの駆動力により第2クラッチをスリップさせて走行するモータスリップ走行モードに移行した後、エンジンにおいて空気量学習制御を実行することとした。
【解決手段】 エンジンとモータとの間に設けられた第1クラッチと、モータと駆動輪との間に設けられた第2クラッチと、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、エンジンとモータを併用するスリップ走行モードで走行しているときに、エンジンコントローラから空気量学習制御要求が出力されたときは、第1クラッチを開放し、モータの駆動力により第2クラッチをスリップさせて走行するモータスリップ走行モードに移行した後、エンジンにおいて空気量学習制御を実行することとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関であるエンジンのアイドル空気量学習制御を行う際、アイドル運転時に期間回転数を目標アイドル回転数に近づけるようにアイドル空気量のフィードバック制御量を増減し、所定の学習条件においてフィードバック制御量の定常偏差を学習し、学習補正量として設定・更新している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−155357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ハイブリッド車両のように車両停止時にはエンジンを停止しており、走行時に必要に応じてエンジンを駆動するようなシステムの場合、走行中はエンジンに負荷が加わるため、エンジンの空気量学習制御ができず、学習機会が少ないことから、安定したエンジントルク等を確保することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、エンジンの空気量学習制御の機会を確保可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、エンジンとモータとの間に設けられた第1クラッチと、モータと駆動輪との間に設けられた第2クラッチと、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、エンジンとモータを併用するスリップ走行モードで走行しているときに、エンジンコントローラから空気量学習制御要求が出力されたときは、第1クラッチを開放し、モータの駆動力により第2クラッチをスリップさせて走行するモータスリップ走行モードに移行した後、エンジンにおいて空気量学習制御を実行することとした。
【発明の効果】
【0007】
よって、エンジン空気量学習制御を実施する機会が増え、エンジントルクのばらつきを抑制することができる。その結果、駆動力、発電量等のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1のハイブリッド車両の発進制御装置を適用した後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の統合コントローラ10の制御ブロック図である。
【図3】実施例1の目標駆動力マップである。
【図4】実施例1のモードマップである。
【図5】実施例1の目標充放電量マップである。
【図6】実施例1のエンジン空気量学習制御移行処理を表すフローチャートである。
【図7】実施例1のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。
【図8】他の実施例のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。
【図9】他の実施例のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のハイブリッド車両の発進制御装置を実現するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、ハイブリッド車両の駆動系構成を説明する。
図1は実施例1のハイブリッド車両の発進制御装置を適用した後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
【0011】
エンジンEは、例えばガソリンエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。なお、エンジン出力軸にはフライホイールFWが設けられている。
第1クラッチCL1は、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装されたクラッチであり、後述する第1クラッチコントローラ5からの制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された制御油圧により、スリップ締結を含み締結・開放が制御される。
【0012】
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結されている。
【0013】
第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間に介装されたクラッチであり、後述するATコントローラ7からの制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結を含み締結・開放が制御される。
【0014】
自動変速機ATは、前進5速後退1速等の有段階の変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える変速機であり、第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用している。なお、詳細については後述する。
【0015】
そして、自動変速機ATの出力軸は、車両駆動軸としてのプロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。なお、前記第1クラッチCL1と第2クラッチCL2には、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いている。
【0016】
このハイブリッド駆動系には、第1クラッチCL1の締結・開放状態に応じて3つの走行モードを有する。第1走行モードは、第1クラッチCL1の開放状態で、モータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するモータ使用走行モードとしての電気自動車走行モード(以下、「EV走行モード」と略称する。)である。第2走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、「HEV走行モード」と略称する。)である。第3走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で第2クラッチCL2をスリップ制御させ、エンジンEまたはモータジェネレータMGの少なくとも一方を動力源に含みながら走行するスリップ走行モード(以下、「WSC走行モード」と略称する。)である。このモードは、特にバッテリSOCが低いときやエンジン水温が低いときに、クリープ走行を達成可能なモードである。なお、EV走行モードからHEV走行モードに遷移するときは、第1クラッチCL1を締結し、モータジェネレータMGのトルクを用いてエンジン始動を行う。
【0017】
上記「HEV走行モード」には、「エンジン走行モード」と「モータアシスト走行モード」と「走行発電モード」との3つの走行モードを有する。
「エンジン走行モード」は、エンジンEのみを動力源として駆動輪を動かす。「モータアシスト走行モード」は、エンジンEとモータジェネレータMGの2つを動力源として駆動輪を動かす。「走行発電モード」は、エンジンEを動力源として駆動輪RR,RLを動かすと同時に、モータジェネレータMGを発電機として機能させる。
【0018】
定速運転時や加速運転時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる。また、減速運転時は、制動エネルギを回生してモータジェネレータMGにより発電し、バッテリ4の充電のために使用する。
また、さらなるモードとして、車両停止時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる発電モードを有する。
【0019】
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ(発進制御手段)10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、互いの情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続されている。
【0020】
エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報を入力し、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne:エンジン回転数,Te:エンジントルク)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。なお、エンジン回転数Ne等の情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
【0021】
モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報を入力し、統合コントローラ10からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm:モータジェネレータ回転数,Tm:モータジェネレータトルク)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電状態を表すバッテリSOCを監視していて、バッテリSOC情報は、モータジェネレータMGの制御情報に用いると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
【0022】
第1クラッチコントローラ5は、第1クラッチ油圧センサ14と第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第1クラッチ制御指令に応じ、第1クラッチCL1の締結・開放を制御する指令を第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。なお、第1クラッチストロークC1Sの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0023】
ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と車速センサ17と第2クラッチ油圧センサ18とドライバの操作するシフトレバーの位置に応じた信号を出力するインヒビタスイッチからのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第2クラッチ制御指令に応じ、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブ内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する。なお、アクセル開度APOと車速VSPとインヒビタスイッチの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0024】
ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19とブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報を入力し、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(摩擦ブレーキによる制動力)で補うように、統合コントローラ10からの回生協調制御指令に基づいて回生協調ブレーキ制御を行う。
【0025】
統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータジェネレータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21と、第2クラッチ出力回転数Ncoを検出する第2クラッチ出力回転数センサ22と、第2クラッチ伝達トルク容量TCL2を検出する第2クラッチトルクセンサ23と、ブレーキ油圧センサ24と、第2クラッチCL2の温度を検知する温度センサ(温度検出手段)10aと、車両の前後加速度および横加速度を検出するGセンサ10bからの情報およびCAN通信線11を介して得られた情報を入力する。
【0026】
また、統合コントローラ10は、エンジンコントローラ1への制御指令によるエンジンEの動作制御と、モータコントローラ2への制御指令によるモータジェネレータMGの動作制御と、第1クラッチコントローラ5への制御指令による第1クラッチCL1の締結・開放制御と、ATコントローラ7への制御指令による第2クラッチCL2の締結・開放制御と、を行う。
【0027】
以下に、図2に示すブロック図を用いて、実施例1の統合コントローラ10にて演算される制御を説明する。例えば、この演算は、制御周期10msec毎に統合コントローラ10で演算される。統合コントローラ10は、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400と、変速制御部500と、を有する。
【0028】
目標駆動力演算部100では、図3に示す目標駆動力マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力(以下、要求トルク)tFoOを演算する。
モード選択部200は、図4に示すモードマップを参照し、目標モードを選択する。図4のモードマップには、車速VSPとアクセル開度APOに応じて、EV走行モード、WSC走行モード、およびHEV走行モードの領域をそれぞれ設定している。このモードマップにおいて、EV走行モードまたはHEV走行モードからWSCモードへの切り替え線は、所定アクセル開度APO1未満の領域では、自動変速機ATが1速段のときに、エンジンEのアイドル回転数よりも小さな回転数となる下限車速VSP1よりも低い領域に設定されている。また、所定アクセル開度APO1以上の領域では、大きな駆動力を要求されることから、下限車速VSP1よりも高い車速VSP1'領域までWSC走行モードが設定されている。
【0029】
目標充放電演算部300では、図5に示す目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。
動作点指令部400では、アクセル開度APOと、要求トルクtFoOと、目標モードと、車速VSPと、目標充放電電力tPとから、これらの動作点到達目標として、過渡的な目標エンジントルクと目標モータジェネレータトルクと目標第2クラッチ伝達トルク容量と自動変速機ATの目標変速段と第1クラッチソレノイド電流指令を演算する。
【0030】
変速制御部500では、シフトマップに示すシフトスケジュールに沿って、目標第2クラッチ伝達トルク容量と目標変速段を達成するように自動変速機AT内のソレノイドバルブを駆動制御する。なお、シフトマップは、車速VSPとアクセル開度APOに基づいてあらかじめ目標変速段が設定されたものである。
【0031】
[WSC走行モード]
次に、WSC走行モードについて説明する。
WSC走行モードとは、エンジンEのみを駆動源として走行する「エンジン使用スリップ走行モード」と、モータジェネレータMGのみを駆動源として走行する「モータ使用スリップ走行モード」と、エンジンEおよびモータジェネレータMGを駆動源として走行する「エンジンモータ使用スリップ走行モード」の3つ走行モードからなる。なお、3つの走行モードにおいて、目標第2クラッチ伝達トルク容量は、いずれも要求トルクに応じたトルク容量に設定する。
【0032】
「エンジン使用スリップ走行モード(以下、EWSC走行モード)」は、モータジェネレータMGは駆動せず、第1クラッチCL1を締結し、エンジンEを駆動する走行モードである。エンジンEは、目標エンジントルクに基づいてトルク制御し、目標エンジントルクは、要求トルクに応じて設定する。
【0033】
「モータ使用スリップ走行モード(以下、MWSC走行モード)」は、エンジンEは作動しつつエンジン駆動力を用いない。そして、第1クラッチCL1を開放し、モータジェネレータMGの駆動力により走行するモードである。モータジェネレータMGは、目標モータジェネレータ回転数に基づいて回転数制御する。
【0034】
「エンジンモータ使用スリップ走行モード(以下、E+MWSC走行モード)」は、第1クラッチCL1を締結し、エンジンEとモータジェネレータMGとを駆動する走行モードである。エンジンEは、目標エンジン回転数に基づいて回転数制御とし、モータジェネレータMGは、目標モータジェネレータトルクに基づいてトルク制御する。目標エンジン回転数は、アイドル回転数とする。また、目標モータジェネレータトルクは、要求トルクとエンジントルクとの差分とする。
【0035】
(エンジン空気量学習制御移行処理)
次に、エンジンからエンジン空気量学習要求が出力された場合の移行処理について説明する。図6は実施例1のエンジン空気量学習制御移行処理を表すフローチャートである。この処理は、エンジンEが駆動している状態で、かつ、第1クラッチCL1が締結しているWSC走行モードのときに行われる処理である。尚、エンジン空気量学習制御処理とは、エンジンEをアイドル運転させ、このときのエンジン回転数を目標アイドル回転数に近づけるようにアイドル空気量のフィードバック制御量を増減し、フィードバック制御量の定常偏差を学習するものである。尚、この学習制御処理は公知の技術であるため、詳細については説明を省略する。
【0036】
ステップS1では、エンジンコントローラ1からエンジン空気量の学習要求があるか否かを判断し、学習要求があるときはステップS2に進み、学習要求が無いときは本制御フローを終了する。
ステップS2では、エンジン空気量学習移行制御を開始する。具体的には、下記の三つの処理を実行する。
【0037】
(処理1)
モータジェネレータMGにより第2クラッチCL2の入力回転数(すなわち、エンジン回転数)が、エンジン側で空気量学習制御が実施可能な回転数範囲内、具体的には閾値1以上、かつ、閾値2(>閾値1)以下の値となるように調整する。このとき、第2クラッチCL2の伝達トルク容量は変更されないため、駆動輪に伝達されるトルクは変化することなく、入力回転数のみ変更できる。また、エンジンEの回転数調整能力よりもモータジェネレータMGの回転数調整能力のほうが高いため、素早く所定エンジン回転数に到達可能である。
【0038】
(処理2)
第1クラッチCL1の締結容量を、エンジンEが発生していると考えられるトルクにエンジン回転イナーシャ分を加えた合計トルクに相当する容量まで低下させる。これにより、第1クラッチCL1に完全開放指令を出力したときの応答性を確保することができる。
【0039】
(処理3)
エンジントルクをエンジンフリクション相当のトルクまで低下するよう、エンジンコントローラ1に要求する。すなわち、エンジンEが自立回転を維持できるぎりぎりのトルクに設定することで、第1クラッチCL1を完全開放した後、エンジントルクが安定するまでの時間を短縮することができ、誤学習及び学習開始までの遅れを短縮するものである。また、第1クラッチCL1にトルク容量が残っていたとしても、モータジェネレータMG側にトルク伝達が行われないため、第1クラッチCL1の開放をスムーズに行える。
【0040】
ステップS3では、入力回転数が閾値1以上か否かを判断し、閾値1以上のときはステップS4に進み、それ以外のときはステップS2に戻って各処理を継続する。
ステップS4では、入力回転数が閾値2以下か否かを判断し、閾値2以下のときはステップS5に進み、それ以外のときはステップS2に戻って各処理を継続する。
【0041】
ステップS5では、MWSC走行モードへのモード遷移を開始する。具体的には、エンジンISC制御及びタイマのカウントアップを開始し、第1クラッチCL1に対して完全開放指令を出力する。ここで、エンジンISC制御とは、ISC制御バルブによってアイドル回転数に維持する制御である。所定の吸入空気量を適切に制御することで、エンジン回転数をアイドル回転数に維持する。
【0042】
ステップS6では、第1クラッチCL1のストローク量が閾値以上か否かを判断し、閾値以上のときは第1クラッチCL1が開放されたと判断してステップS7に進み、それ以外のときはステップS5に戻って各処理を継続する。
ステップS7では、エンジンISC制御開始からカウントアップされたタイマが所定時間経過したか否かを判断し、所定時間経過したときはエンジン回転数が安定していると判断してステップS8に進み、それ以外のときはステップS5に戻ってエンジンISC制御及び第1クラッチCL1の開放指令を継続する。
ステップS8では、エンジン空気量学習制御開始指令をエンジンコントローラ1に出力する。エンジンコントローラ1では、目標アイドル回転数に維持するのに必要な吸入空気量を学習して適切な空気量を設定する。
【0043】
次に、実施例1の作用について説明する。ハイブリッド車両において、車両停止時は、バッテリSOCが不足していない限り、エンジンは停止した状態であり、アイドル状態で空気量学習制御を実施する機会が基本的に少ない。また、発電要求等によってエンジンEとモータジェネレータMGとを併用している状態では、エンジン回転数を制御するのはモータジェネレータMGによって行われ、エンジン側ではトルク制御を実施する。よって、エンジン側は回転数を適正な値に維持するための空気量学習制御を実行するタイミングがなかなか得られない。また、エンジントルクを用いて走行している場合には、エンジンEに負荷が作用するため、やはり空気量学習制御を実行することができない。そこで、E+MWSC走行モードで走行しているときに、現在の要求駆動力をモータジェネレータMGのみで達成可能なときは、第1クラッチCL1を開放し、エンジンEを自立回転させた状態として積極的に空気量学習制御を実行する機会を増やすこととした。
【0044】
図7は実施例1のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。初期条件として、エンジンEとモータジェネレータMGのトルクを両方使用したE+MWSC走行モードを選択しているものとする。
時刻t1において、エンジン空気量学習要求が出力されると、第1クラッチCL1の締結容量を低下させ(処理2)、エンジン回転数を空気量学習制御が実施可能な回転数範囲内に移行させる(処理1)。同時に、エンジントルクをエンジンフリクション相当のトルクまで低下させる(処理3)。これにより、MWSC走行モードに移行しても走行状態に影響を与えない状況が事前に確保されると共に、エンジントルクが安定するまでの時間が短縮できるため、エンジン空気量学習制御開始までの遅れを短縮することができる。
【0045】
時刻t2において、各処理1,2,3が終了すると、エンジンISC制御が開始され、第1クラッチCL1の完全開放指令が出力され、MWSC走行モードに移行する。そして、時刻t3において、第1クラッチCL1のストローク量が閾値以上となり、かつ、エンジンISC制御開始タイマが所定時間経過したと判断されると、エンジン空気量学習制御が開始される。よって、エンジントルクが安定した状態で学習制御を行うことができ、誤学習等を防止することができる。
【0046】
以上説明したように、実施例1にあっては下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)エンジンEとモータジェネレータMG(モータ)との間に設けられた第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと駆動輪との間に設けられた第2クラッチCL2と、エンジンEの空気量学習制御を実行するエンジンコントローラ1と、第1クラッチCL1を締結し、エンジンE及びモータジェネレータMGの駆動力により第2クラッチCL2をスリップさせて走行するWSC走行モード(スリップ走行モード)を達成する統合コントローラ10(コントローラ)と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、統合コントローラ10は、WSC走行モードのうち、E+MWSC走行モードで走行しているときに、エンジンコントローラ1から空気量学習制御要求が出力されたときは、第1クラッチCL1を開放し、モータジェネレータMGの駆動力により第2クラッチCL2をスリップさせて走行するMWSC走行モード(モータスリップ走行モード)に移行し、エンジンコントローラ1は、MWSC走行モードに移行した後、エンジンEにおいて空気量学習制御を実行する。
【0047】
よって、エンジン空気量学習制御を実施する機会が増え、エンジントルクのばらつきを抑制することができる。その結果、駆動力、発電量等のばらつきを抑制することができる。
【0048】
(2)統合コントローラ10は、エンジンEの回転数が空気量学習制御が可能な所定回転数範囲(閾値1以上、閾値2以下)以外のときは、モータジェネレータMGによりエンジン回転数を所定回転数範囲内とした後、第1クラッチCL1を開放する。
回転数はエンジンEよりもモータジェネレータMGによって制御するほうが制御性が高い。よって、モータジェネレータMGを用いてエンジン回転数を所定回転数範囲に制御しておくことで、素早く所定回転数範囲内を達成すると共に、MWSC走行モードに移行後、即座に空気量学習制御を開始することができる。
【0049】
(3)統合コントローラ10は、所定回転数範囲内に移行するまでの間に、第1クラッチCL1のトルク容量を、エンジンEが発生しているトルクにエンジン回転イナーシャを加えた値に相当する容量まで低下させる。
これにより、第1クラッチCL1に完全開放指令を出力したときの応答性を確保することができる。
【0050】
(4)統合コントローラ10は、MWSC走行モードに移行するときは、エンジンコントローラ1に対し、エンジンフリクション相当のエンジントルクを要求する。
すなわち、エンジンEが自立回転を維持できるぎりぎりのトルクに設定することで、第1クラッチCL1を完全開放した後、エンジントルクが安定するまでの時間を短縮することができ、誤学習及び学習開始までの遅れを短縮するものである。また、第1クラッチCL1にトルク容量が残っていたとしても、モータジェネレータMG側にトルク伝達が行われないため、第1クラッチCL1の開放をスムーズに行える。
【0051】
(他の実施例)
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0052】
例えば、実施例1では、ステップS2において処理1,2,3を実施したが、これら処理を実施せず、即座にMWSC走行モードに移行するようにしてもよい。図8は他の実施例のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。このように、即座にMWSC走行モードに移行することで、素早く学習制御に移行できる。
【0053】
ただし、エンジン回転数が空気量学習に不適切な回転数である場合には、MWSC走行モードに移行後、エンジン側において回転数を変更してから学習制御を実行する必要がある。そこで、上記他の実施例に対し、処理1のみを実施することとしてもよい。図9は他の実施例のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。このように、エンジン回転数をモータジェネレータMGによって学習制御にとって適切な回転数にしてからMWSC走行モードに移行することで、より素早く学習制御を実施できる。
【符号の説明】
【0054】
E エンジン
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ(モータ)
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
FL 左前輪
FR 右前輪
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
10a 温度センサ
10b 加速度センサ
24 ブレーキ油圧センサ
100 目標駆動力演算部
200 モード選択部
300 目標充放電演算部
400 動作点指令部
500 変速制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関であるエンジンのアイドル空気量学習制御を行う際、アイドル運転時に期間回転数を目標アイドル回転数に近づけるようにアイドル空気量のフィードバック制御量を増減し、所定の学習条件においてフィードバック制御量の定常偏差を学習し、学習補正量として設定・更新している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−155357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ハイブリッド車両のように車両停止時にはエンジンを停止しており、走行時に必要に応じてエンジンを駆動するようなシステムの場合、走行中はエンジンに負荷が加わるため、エンジンの空気量学習制御ができず、学習機会が少ないことから、安定したエンジントルク等を確保することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、エンジンの空気量学習制御の機会を確保可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、エンジンとモータとの間に設けられた第1クラッチと、モータと駆動輪との間に設けられた第2クラッチと、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、エンジンとモータを併用するスリップ走行モードで走行しているときに、エンジンコントローラから空気量学習制御要求が出力されたときは、第1クラッチを開放し、モータの駆動力により第2クラッチをスリップさせて走行するモータスリップ走行モードに移行した後、エンジンにおいて空気量学習制御を実行することとした。
【発明の効果】
【0007】
よって、エンジン空気量学習制御を実施する機会が増え、エンジントルクのばらつきを抑制することができる。その結果、駆動力、発電量等のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1のハイブリッド車両の発進制御装置を適用した後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の統合コントローラ10の制御ブロック図である。
【図3】実施例1の目標駆動力マップである。
【図4】実施例1のモードマップである。
【図5】実施例1の目標充放電量マップである。
【図6】実施例1のエンジン空気量学習制御移行処理を表すフローチャートである。
【図7】実施例1のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。
【図8】他の実施例のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。
【図9】他の実施例のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のハイブリッド車両の発進制御装置を実現するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、ハイブリッド車両の駆動系構成を説明する。
図1は実施例1のハイブリッド車両の発進制御装置を適用した後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
【0011】
エンジンEは、例えばガソリンエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。なお、エンジン出力軸にはフライホイールFWが設けられている。
第1クラッチCL1は、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装されたクラッチであり、後述する第1クラッチコントローラ5からの制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された制御油圧により、スリップ締結を含み締結・開放が制御される。
【0012】
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結されている。
【0013】
第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間に介装されたクラッチであり、後述するATコントローラ7からの制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結を含み締結・開放が制御される。
【0014】
自動変速機ATは、前進5速後退1速等の有段階の変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える変速機であり、第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用している。なお、詳細については後述する。
【0015】
そして、自動変速機ATの出力軸は、車両駆動軸としてのプロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。なお、前記第1クラッチCL1と第2クラッチCL2には、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いている。
【0016】
このハイブリッド駆動系には、第1クラッチCL1の締結・開放状態に応じて3つの走行モードを有する。第1走行モードは、第1クラッチCL1の開放状態で、モータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するモータ使用走行モードとしての電気自動車走行モード(以下、「EV走行モード」と略称する。)である。第2走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、「HEV走行モード」と略称する。)である。第3走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で第2クラッチCL2をスリップ制御させ、エンジンEまたはモータジェネレータMGの少なくとも一方を動力源に含みながら走行するスリップ走行モード(以下、「WSC走行モード」と略称する。)である。このモードは、特にバッテリSOCが低いときやエンジン水温が低いときに、クリープ走行を達成可能なモードである。なお、EV走行モードからHEV走行モードに遷移するときは、第1クラッチCL1を締結し、モータジェネレータMGのトルクを用いてエンジン始動を行う。
【0017】
上記「HEV走行モード」には、「エンジン走行モード」と「モータアシスト走行モード」と「走行発電モード」との3つの走行モードを有する。
「エンジン走行モード」は、エンジンEのみを動力源として駆動輪を動かす。「モータアシスト走行モード」は、エンジンEとモータジェネレータMGの2つを動力源として駆動輪を動かす。「走行発電モード」は、エンジンEを動力源として駆動輪RR,RLを動かすと同時に、モータジェネレータMGを発電機として機能させる。
【0018】
定速運転時や加速運転時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる。また、減速運転時は、制動エネルギを回生してモータジェネレータMGにより発電し、バッテリ4の充電のために使用する。
また、さらなるモードとして、車両停止時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる発電モードを有する。
【0019】
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ(発進制御手段)10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、互いの情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続されている。
【0020】
エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報を入力し、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne:エンジン回転数,Te:エンジントルク)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。なお、エンジン回転数Ne等の情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
【0021】
モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報を入力し、統合コントローラ10からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm:モータジェネレータ回転数,Tm:モータジェネレータトルク)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電状態を表すバッテリSOCを監視していて、バッテリSOC情報は、モータジェネレータMGの制御情報に用いると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
【0022】
第1クラッチコントローラ5は、第1クラッチ油圧センサ14と第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第1クラッチ制御指令に応じ、第1クラッチCL1の締結・開放を制御する指令を第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。なお、第1クラッチストロークC1Sの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0023】
ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と車速センサ17と第2クラッチ油圧センサ18とドライバの操作するシフトレバーの位置に応じた信号を出力するインヒビタスイッチからのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第2クラッチ制御指令に応じ、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブ内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する。なお、アクセル開度APOと車速VSPとインヒビタスイッチの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0024】
ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19とブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報を入力し、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(摩擦ブレーキによる制動力)で補うように、統合コントローラ10からの回生協調制御指令に基づいて回生協調ブレーキ制御を行う。
【0025】
統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータジェネレータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21と、第2クラッチ出力回転数Ncoを検出する第2クラッチ出力回転数センサ22と、第2クラッチ伝達トルク容量TCL2を検出する第2クラッチトルクセンサ23と、ブレーキ油圧センサ24と、第2クラッチCL2の温度を検知する温度センサ(温度検出手段)10aと、車両の前後加速度および横加速度を検出するGセンサ10bからの情報およびCAN通信線11を介して得られた情報を入力する。
【0026】
また、統合コントローラ10は、エンジンコントローラ1への制御指令によるエンジンEの動作制御と、モータコントローラ2への制御指令によるモータジェネレータMGの動作制御と、第1クラッチコントローラ5への制御指令による第1クラッチCL1の締結・開放制御と、ATコントローラ7への制御指令による第2クラッチCL2の締結・開放制御と、を行う。
【0027】
以下に、図2に示すブロック図を用いて、実施例1の統合コントローラ10にて演算される制御を説明する。例えば、この演算は、制御周期10msec毎に統合コントローラ10で演算される。統合コントローラ10は、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400と、変速制御部500と、を有する。
【0028】
目標駆動力演算部100では、図3に示す目標駆動力マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力(以下、要求トルク)tFoOを演算する。
モード選択部200は、図4に示すモードマップを参照し、目標モードを選択する。図4のモードマップには、車速VSPとアクセル開度APOに応じて、EV走行モード、WSC走行モード、およびHEV走行モードの領域をそれぞれ設定している。このモードマップにおいて、EV走行モードまたはHEV走行モードからWSCモードへの切り替え線は、所定アクセル開度APO1未満の領域では、自動変速機ATが1速段のときに、エンジンEのアイドル回転数よりも小さな回転数となる下限車速VSP1よりも低い領域に設定されている。また、所定アクセル開度APO1以上の領域では、大きな駆動力を要求されることから、下限車速VSP1よりも高い車速VSP1'領域までWSC走行モードが設定されている。
【0029】
目標充放電演算部300では、図5に示す目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。
動作点指令部400では、アクセル開度APOと、要求トルクtFoOと、目標モードと、車速VSPと、目標充放電電力tPとから、これらの動作点到達目標として、過渡的な目標エンジントルクと目標モータジェネレータトルクと目標第2クラッチ伝達トルク容量と自動変速機ATの目標変速段と第1クラッチソレノイド電流指令を演算する。
【0030】
変速制御部500では、シフトマップに示すシフトスケジュールに沿って、目標第2クラッチ伝達トルク容量と目標変速段を達成するように自動変速機AT内のソレノイドバルブを駆動制御する。なお、シフトマップは、車速VSPとアクセル開度APOに基づいてあらかじめ目標変速段が設定されたものである。
【0031】
[WSC走行モード]
次に、WSC走行モードについて説明する。
WSC走行モードとは、エンジンEのみを駆動源として走行する「エンジン使用スリップ走行モード」と、モータジェネレータMGのみを駆動源として走行する「モータ使用スリップ走行モード」と、エンジンEおよびモータジェネレータMGを駆動源として走行する「エンジンモータ使用スリップ走行モード」の3つ走行モードからなる。なお、3つの走行モードにおいて、目標第2クラッチ伝達トルク容量は、いずれも要求トルクに応じたトルク容量に設定する。
【0032】
「エンジン使用スリップ走行モード(以下、EWSC走行モード)」は、モータジェネレータMGは駆動せず、第1クラッチCL1を締結し、エンジンEを駆動する走行モードである。エンジンEは、目標エンジントルクに基づいてトルク制御し、目標エンジントルクは、要求トルクに応じて設定する。
【0033】
「モータ使用スリップ走行モード(以下、MWSC走行モード)」は、エンジンEは作動しつつエンジン駆動力を用いない。そして、第1クラッチCL1を開放し、モータジェネレータMGの駆動力により走行するモードである。モータジェネレータMGは、目標モータジェネレータ回転数に基づいて回転数制御する。
【0034】
「エンジンモータ使用スリップ走行モード(以下、E+MWSC走行モード)」は、第1クラッチCL1を締結し、エンジンEとモータジェネレータMGとを駆動する走行モードである。エンジンEは、目標エンジン回転数に基づいて回転数制御とし、モータジェネレータMGは、目標モータジェネレータトルクに基づいてトルク制御する。目標エンジン回転数は、アイドル回転数とする。また、目標モータジェネレータトルクは、要求トルクとエンジントルクとの差分とする。
【0035】
(エンジン空気量学習制御移行処理)
次に、エンジンからエンジン空気量学習要求が出力された場合の移行処理について説明する。図6は実施例1のエンジン空気量学習制御移行処理を表すフローチャートである。この処理は、エンジンEが駆動している状態で、かつ、第1クラッチCL1が締結しているWSC走行モードのときに行われる処理である。尚、エンジン空気量学習制御処理とは、エンジンEをアイドル運転させ、このときのエンジン回転数を目標アイドル回転数に近づけるようにアイドル空気量のフィードバック制御量を増減し、フィードバック制御量の定常偏差を学習するものである。尚、この学習制御処理は公知の技術であるため、詳細については説明を省略する。
【0036】
ステップS1では、エンジンコントローラ1からエンジン空気量の学習要求があるか否かを判断し、学習要求があるときはステップS2に進み、学習要求が無いときは本制御フローを終了する。
ステップS2では、エンジン空気量学習移行制御を開始する。具体的には、下記の三つの処理を実行する。
【0037】
(処理1)
モータジェネレータMGにより第2クラッチCL2の入力回転数(すなわち、エンジン回転数)が、エンジン側で空気量学習制御が実施可能な回転数範囲内、具体的には閾値1以上、かつ、閾値2(>閾値1)以下の値となるように調整する。このとき、第2クラッチCL2の伝達トルク容量は変更されないため、駆動輪に伝達されるトルクは変化することなく、入力回転数のみ変更できる。また、エンジンEの回転数調整能力よりもモータジェネレータMGの回転数調整能力のほうが高いため、素早く所定エンジン回転数に到達可能である。
【0038】
(処理2)
第1クラッチCL1の締結容量を、エンジンEが発生していると考えられるトルクにエンジン回転イナーシャ分を加えた合計トルクに相当する容量まで低下させる。これにより、第1クラッチCL1に完全開放指令を出力したときの応答性を確保することができる。
【0039】
(処理3)
エンジントルクをエンジンフリクション相当のトルクまで低下するよう、エンジンコントローラ1に要求する。すなわち、エンジンEが自立回転を維持できるぎりぎりのトルクに設定することで、第1クラッチCL1を完全開放した後、エンジントルクが安定するまでの時間を短縮することができ、誤学習及び学習開始までの遅れを短縮するものである。また、第1クラッチCL1にトルク容量が残っていたとしても、モータジェネレータMG側にトルク伝達が行われないため、第1クラッチCL1の開放をスムーズに行える。
【0040】
ステップS3では、入力回転数が閾値1以上か否かを判断し、閾値1以上のときはステップS4に進み、それ以外のときはステップS2に戻って各処理を継続する。
ステップS4では、入力回転数が閾値2以下か否かを判断し、閾値2以下のときはステップS5に進み、それ以外のときはステップS2に戻って各処理を継続する。
【0041】
ステップS5では、MWSC走行モードへのモード遷移を開始する。具体的には、エンジンISC制御及びタイマのカウントアップを開始し、第1クラッチCL1に対して完全開放指令を出力する。ここで、エンジンISC制御とは、ISC制御バルブによってアイドル回転数に維持する制御である。所定の吸入空気量を適切に制御することで、エンジン回転数をアイドル回転数に維持する。
【0042】
ステップS6では、第1クラッチCL1のストローク量が閾値以上か否かを判断し、閾値以上のときは第1クラッチCL1が開放されたと判断してステップS7に進み、それ以外のときはステップS5に戻って各処理を継続する。
ステップS7では、エンジンISC制御開始からカウントアップされたタイマが所定時間経過したか否かを判断し、所定時間経過したときはエンジン回転数が安定していると判断してステップS8に進み、それ以外のときはステップS5に戻ってエンジンISC制御及び第1クラッチCL1の開放指令を継続する。
ステップS8では、エンジン空気量学習制御開始指令をエンジンコントローラ1に出力する。エンジンコントローラ1では、目標アイドル回転数に維持するのに必要な吸入空気量を学習して適切な空気量を設定する。
【0043】
次に、実施例1の作用について説明する。ハイブリッド車両において、車両停止時は、バッテリSOCが不足していない限り、エンジンは停止した状態であり、アイドル状態で空気量学習制御を実施する機会が基本的に少ない。また、発電要求等によってエンジンEとモータジェネレータMGとを併用している状態では、エンジン回転数を制御するのはモータジェネレータMGによって行われ、エンジン側ではトルク制御を実施する。よって、エンジン側は回転数を適正な値に維持するための空気量学習制御を実行するタイミングがなかなか得られない。また、エンジントルクを用いて走行している場合には、エンジンEに負荷が作用するため、やはり空気量学習制御を実行することができない。そこで、E+MWSC走行モードで走行しているときに、現在の要求駆動力をモータジェネレータMGのみで達成可能なときは、第1クラッチCL1を開放し、エンジンEを自立回転させた状態として積極的に空気量学習制御を実行する機会を増やすこととした。
【0044】
図7は実施例1のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。初期条件として、エンジンEとモータジェネレータMGのトルクを両方使用したE+MWSC走行モードを選択しているものとする。
時刻t1において、エンジン空気量学習要求が出力されると、第1クラッチCL1の締結容量を低下させ(処理2)、エンジン回転数を空気量学習制御が実施可能な回転数範囲内に移行させる(処理1)。同時に、エンジントルクをエンジンフリクション相当のトルクまで低下させる(処理3)。これにより、MWSC走行モードに移行しても走行状態に影響を与えない状況が事前に確保されると共に、エンジントルクが安定するまでの時間が短縮できるため、エンジン空気量学習制御開始までの遅れを短縮することができる。
【0045】
時刻t2において、各処理1,2,3が終了すると、エンジンISC制御が開始され、第1クラッチCL1の完全開放指令が出力され、MWSC走行モードに移行する。そして、時刻t3において、第1クラッチCL1のストローク量が閾値以上となり、かつ、エンジンISC制御開始タイマが所定時間経過したと判断されると、エンジン空気量学習制御が開始される。よって、エンジントルクが安定した状態で学習制御を行うことができ、誤学習等を防止することができる。
【0046】
以上説明したように、実施例1にあっては下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)エンジンEとモータジェネレータMG(モータ)との間に設けられた第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと駆動輪との間に設けられた第2クラッチCL2と、エンジンEの空気量学習制御を実行するエンジンコントローラ1と、第1クラッチCL1を締結し、エンジンE及びモータジェネレータMGの駆動力により第2クラッチCL2をスリップさせて走行するWSC走行モード(スリップ走行モード)を達成する統合コントローラ10(コントローラ)と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、統合コントローラ10は、WSC走行モードのうち、E+MWSC走行モードで走行しているときに、エンジンコントローラ1から空気量学習制御要求が出力されたときは、第1クラッチCL1を開放し、モータジェネレータMGの駆動力により第2クラッチCL2をスリップさせて走行するMWSC走行モード(モータスリップ走行モード)に移行し、エンジンコントローラ1は、MWSC走行モードに移行した後、エンジンEにおいて空気量学習制御を実行する。
【0047】
よって、エンジン空気量学習制御を実施する機会が増え、エンジントルクのばらつきを抑制することができる。その結果、駆動力、発電量等のばらつきを抑制することができる。
【0048】
(2)統合コントローラ10は、エンジンEの回転数が空気量学習制御が可能な所定回転数範囲(閾値1以上、閾値2以下)以外のときは、モータジェネレータMGによりエンジン回転数を所定回転数範囲内とした後、第1クラッチCL1を開放する。
回転数はエンジンEよりもモータジェネレータMGによって制御するほうが制御性が高い。よって、モータジェネレータMGを用いてエンジン回転数を所定回転数範囲に制御しておくことで、素早く所定回転数範囲内を達成すると共に、MWSC走行モードに移行後、即座に空気量学習制御を開始することができる。
【0049】
(3)統合コントローラ10は、所定回転数範囲内に移行するまでの間に、第1クラッチCL1のトルク容量を、エンジンEが発生しているトルクにエンジン回転イナーシャを加えた値に相当する容量まで低下させる。
これにより、第1クラッチCL1に完全開放指令を出力したときの応答性を確保することができる。
【0050】
(4)統合コントローラ10は、MWSC走行モードに移行するときは、エンジンコントローラ1に対し、エンジンフリクション相当のエンジントルクを要求する。
すなわち、エンジンEが自立回転を維持できるぎりぎりのトルクに設定することで、第1クラッチCL1を完全開放した後、エンジントルクが安定するまでの時間を短縮することができ、誤学習及び学習開始までの遅れを短縮するものである。また、第1クラッチCL1にトルク容量が残っていたとしても、モータジェネレータMG側にトルク伝達が行われないため、第1クラッチCL1の開放をスムーズに行える。
【0051】
(他の実施例)
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0052】
例えば、実施例1では、ステップS2において処理1,2,3を実施したが、これら処理を実施せず、即座にMWSC走行モードに移行するようにしてもよい。図8は他の実施例のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。このように、即座にMWSC走行モードに移行することで、素早く学習制御に移行できる。
【0053】
ただし、エンジン回転数が空気量学習に不適切な回転数である場合には、MWSC走行モードに移行後、エンジン側において回転数を変更してから学習制御を実行する必要がある。そこで、上記他の実施例に対し、処理1のみを実施することとしてもよい。図9は他の実施例のエンジン空気量学習制御移行処理を行ったときのタイムチャートである。このように、エンジン回転数をモータジェネレータMGによって学習制御にとって適切な回転数にしてからMWSC走行モードに移行することで、より素早く学習制御を実施できる。
【符号の説明】
【0054】
E エンジン
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ(モータ)
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
FL 左前輪
FR 右前輪
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
10a 温度センサ
10b 加速度センサ
24 ブレーキ油圧センサ
100 目標駆動力演算部
200 モード選択部
300 目標充放電演算部
400 動作点指令部
500 変速制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンとモータとの間に設けられた第1クラッチと、
前記モータと駆動輪との間に設けられた第2クラッチと、
前記エンジンの空気量学習制御を実行するエンジンコントローラと、
前記第1クラッチを締結し、前記エンジン及び前記モータの駆動力により前記第2クラッチをスリップさせて走行するスリップ走行モードを達成するコントローラと、
を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記スリップ走行モードで走行しているときに、前記エンジンコントローラから空気量学習制御要求が出力されたときは、前記第1クラッチを開放し、前記モータの駆動力により前記第2クラッチをスリップさせて走行するモータスリップ走行モードに移行し、
前記エンジンコントローラは、前記モータスリップ走行モードに移行した後、前記エンジンにおいて空気量学習制御を実行することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記エンジンの回転数が空気量学習制御が可能な所定回転数範囲以外のときは、前記モータにより前記エンジンの回転数を前記所定回転数範囲内とした後、前記第1クラッチを開放することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記所定回転数範囲内に移行するまでの間に、前記第1クラッチのトルク容量を、前記エンジンが発生しているトルクにエンジン回転イナーシャを加えた値に相当する容量まで低下させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか一つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記モータスリップ走行モードに移行するときは、前記エンジンコントローラに対し、エンジンフリクション相当のエンジントルクを要求することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項1】
エンジンとモータとの間に設けられた第1クラッチと、
前記モータと駆動輪との間に設けられた第2クラッチと、
前記エンジンの空気量学習制御を実行するエンジンコントローラと、
前記第1クラッチを締結し、前記エンジン及び前記モータの駆動力により前記第2クラッチをスリップさせて走行するスリップ走行モードを達成するコントローラと、
を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記スリップ走行モードで走行しているときに、前記エンジンコントローラから空気量学習制御要求が出力されたときは、前記第1クラッチを開放し、前記モータの駆動力により前記第2クラッチをスリップさせて走行するモータスリップ走行モードに移行し、
前記エンジンコントローラは、前記モータスリップ走行モードに移行した後、前記エンジンにおいて空気量学習制御を実行することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記エンジンの回転数が空気量学習制御が可能な所定回転数範囲以外のときは、前記モータにより前記エンジンの回転数を前記所定回転数範囲内とした後、前記第1クラッチを開放することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記所定回転数範囲内に移行するまでの間に、前記第1クラッチのトルク容量を、前記エンジンが発生しているトルクにエンジン回転イナーシャを加えた値に相当する容量まで低下させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか一つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記モータスリップ走行モードに移行するときは、前記エンジンコントローラに対し、エンジンフリクション相当のエンジントルクを要求することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−86702(P2012−86702A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235851(P2010−235851)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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