説明

ハイブリッド車両及びその制御方法

【課題】ハイブリッド車両(HV)において、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、暖房要求が生じた際に、EVモードにおいても十分な暖房性能を確保する。
【解決手段】暖房装置を備えるハイブリッド車両(HV)において、例えば、乗員室(キャビン)の暖房や内燃機関の暖機等の要求(暖房要求)が生じた際に、暖房に利用することができる内燃機関からの廃熱(余熱を含む)が不十分である場合に、内燃機関の下限回転数の目標値を、当該車両の走行モードがEVモードであるかHVモードあるかに応じて切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV:Plug−in Hybrid Electric Vehicle)等、内燃機関と電動機とを動力源として備えるハイブリッド車両(HV:Hybrid Vehicle)及びその制御方法に関する。より詳しくは、本発明は、暖房装置を備えるHVにおいて暖房要求が生じた際に走行モードに応じて内燃機関の回転数が制御されるハイブリッド車両及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を動力源とする通常の車両において、例えば、乗員室(キャビン)の暖房や内燃機関の暖機等の要求(暖房要求)が生じた際に、暖房に利用することができる内燃機関からの廃熱が不十分である場合には、内燃機関の下限回転数の目標値を通常よりも高く設定して、暖房を促進するものがある。
【0003】
一方、HVには、走行モードをEVモードとHVモードとの間で切り替えることができるものがある。EVモードとは、例えば、車両が搭載する蓄電装置に蓄えられた電力によって電動機を作動させることにより、車両を走行させる走行モードである。一方、HVモードとは、電力によって作動する電動機と燃料の燃焼によって作動する内燃機関とを併用して車両を走行させる走行モードである。
【0004】
上記のように、EVモードにおいては、原則として、内燃機関は停止している。しかしながら、上述のような暖房要求が生じた際に、暖房に利用することができる内燃機関からの廃熱(余熱を含む)が不十分である場合には、当該車両がEVモードにて走行中であっても内燃機関を始動して、当該内燃機関からの廃熱により暖房を促進しようとする試みも提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
上記によれば、EVモードにおいても、暖房要求があった場合には、内燃機関からの廃熱により暖房が促進されるものの、内燃機関が始動されることから、例えば、低燃費、静寂さ等のEVモードの利点が損なわれる場合があり、暖房要求があったからといって無条件に内燃機関を始動したのでは、環境負荷の低減、快適性の向上という観点から望ましくない。
【0006】
そこで、例えば、車両のウィンドウの曇り除去等の安全確保を目的とするものであるかどうか等に応じて暖房要求に優先度の違いを設け、優先度が高い暖房要求があった場合にのみ、内燃機関を始動させることにより、環境負荷の低減と快適性の向上とを両立させようとする試みも提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0007】
ところで、内燃機関の効率低下量(損失)は、内燃機関から出力される走行用出力が小さいほど大きくなり、走行用出力が大きいほど小さくなる傾向がある。一方、電動機の効率低下量(損失)は、電動機から出力される走行用出力が小さいほど小さくなり、走行用出力が大きいほど大きくなる傾向がある。従って、HVにおいては、内燃機関の損失と電動機の損失とが等しくなる走行用出力を閾値P1として、当該閾値P1よりも低い走行用出力が求められる場合は(当該出力領域において損失が少ない)電動機を動力源とし、当該閾値P1よりも高い走行用出力が求められる場合は(当該出力領域において損失が少ない)内燃機関を動力源とするように走行モードを制御して、車両全体としての効率を下げないようにすることが望ましい。
【0008】
上記のような走行モードの制御が行われるHVにおいても、暖房要求があった場合は、前述の(内燃機関を動力源とする)通常の車両と同様に、暖房の促進のために内燃機関の下限回転数の目標値を高く設定することが行われている。しかしながら、このように内燃機関の下限回転数の目標値を高く設定すると、同じ走行用出力における損失が、下限回転数の目標値が通常値に設定されている内燃機関と比較して、より大きくなる。従って、上述の閾値P1において、下限回転数の目標値が通常値に設定されている内燃機関の損失は電動機の損失と同等であるが、下限回転数の目標値が高い値に設定されている内燃機関の損失は電動機の損失よりも大きくなる。従って、内燃機関の下限回転数の目標値が高い値に設定されている場合は、上述の閾値P1において動力源を電動機から内燃機関に切り替えると、車両全体としての損失が大きくなることになる。
【0009】
尚、このように内燃機関の下限回転数の目標値が高い値に設定されている場合であっても、走行用出力が当該閾値P1よりも大きくなるにつれて、内燃機関の損失はより小さくなり、電動機の損失はより大きくなる傾向に変わりは無い。従って、内燃機関の下限回転数の目標値が高い値に設定されている場合は、上記閾値P1よりも高い走行用出力(P2)において、内燃機関の損失と電動機の損失とが等しくなる。つまり、内燃機関の下限回転数の目標値が高い値に設定されている場合は、内燃機関の下限回転数の目標値が通常値に設定されている場合と比較して、より高い閾値P2において、動力源の切り替えを行うことが望ましい。
【0010】
上記のような考え方に基づき、内燃機関の下限回転数の目標値が高い値に設定されている場合と、内燃機関の下限回転数の目標値が通常値に設定されている場合とで、HVにおける動力源の切り替えを行う走行用出力の閾値を使い分けることにより、車両全体としての効率が低下することを防止しようとする試みも提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【0011】
以上のように、当該技術分野においては、HVにおいて暖房要求があった場合に、内燃機関を始動する条件(例えば、暖房要求の優先度や走行用出力等)をより厳しく設定することにより、暖房要求に対応した内燃機関の始動に起因する車両全体としての効率の低下を低減しようとする種々の試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−023845号公報
【特許文献2】特開2007−230385号公報
【特許文献3】特開2010−100103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のように、当該技術分野においては、HVにおいて暖房要求があった場合に、内燃機関を始動する条件(例えば、暖房要求の優先度や走行用出力等)をより厳しく設定することにより、暖房要求に対応した内燃機関の始動に起因する車両全体としての効率の低下を低減しようとする種々の試みがなされている。
【0014】
しかしながら、前述のように、HVにおいても、暖房要求があった際に、暖房に利用することができる内燃機関からの廃熱が不十分である場合には、前述の(内燃機関を動力源とする)通常の車両と同様に、暖房の促進のために内燃機関の下限回転数の目標値を高く設定することが行われている。このように内燃機関の下限回転数の目標値が高い値に設定されている場合においては、内燃機関の下限回転数の目標値が通常の値に設定されている場合と比較して、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなるので、環境負荷の低減、快適性の向上という観点から望ましくない。従って、環境負荷の低減、快適性の向上という観点からは、暖房要求があった際にも、内燃機関の下限回転数の目標値の上げ幅はできるだけ小さい方が望ましい。
【0015】
また、PHEVにおいても、暖房要求が生じた際に、暖房に利用することができる内燃機関からの廃熱(余熱を含む)が不十分である場合には、当該車両がCDモード(Charge Depleting Mode)(「電池使用モード」、「電池走行モード」とも称される)にて走行中であっても、内燃機関を始動し且つ内燃機関の作動を間欠禁止状態として、当該内燃機関から生ずる熱量を増やし、暖房性能を確保している。
【0016】
上記CDモードは、本来、電動機を駆動源として車両を走行させることにより、車両外部の電源から車両が搭載する蓄電装置に蓄えられた電力を積極的に使用する走行モードである。即ち、上記CDモードは、前述のEVモードに相当する。しかしながら、上記のように暖房要求に応じて内燃機関を連続的に作動させると、蓄電装置に蓄えられた電力を使い切ることができない事態が起こり得る。そこで、CDモードにおいては、蓄電装置に蓄えられた電力を所定量放電させるように電動機を作動させることにより、当該蓄電装置の充電状態(SOC:State of Charge)が低下するように制御している。
【0017】
上記制御の結果、CDモードにおいては、電力によって作動する電動機と燃料の燃焼によって作動する内燃機関とを併用して車両を走行させるCSモード(Charge Sustaining Mode)(「充電維持モード」とも称される)と比較して、車両の走行出力における内燃機関による寄与率が低くなる。即ち、CDモードにて走行しているPHEVにおいては、暖房要求がある場合でも、内燃機関から発生する熱量が少なくなるので、必要とされる暖房性能を確保することが困難となる場合がある。尚、上記CSモードは、前述のHVモードに相当する。
【0018】
しかしながら、暖房性能を確保するために内燃機関の下限回転数目標値の上げ幅を単に大きくしたのでは、前述のように、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなるので、環境負荷の低減、快適性の向上という観点から望ましくない。
【0019】
このように、当該技術分野においては、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、暖房要求が生じた際に、EVモードにおいても十分な暖房性能を確保することができる新たな技術に対する要請が存在する。
【0020】
本発明は、かかる要請に応えるために為されたものである。即ち、本発明は、ハイブリッド車両(HV)において、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、暖房要求が生じた際に、EVモードにおいても十分な暖房性能を確保することができるHVを提供することを1つの目的とする。また、本発明は、ハイブリッド車両(HV)において、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、暖房要求が生じた際に、EVモードにおいても十分な暖房性能を確保するHVの制御方法を提供することをもう1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の上記1つの目的は、
充電可能に構成された蓄電手段と、
前記蓄電手段から供給される電力により車両駆動力を発生する電動機と、
燃料の燃焼により作動する内燃機関と、
前記内燃機関を冷却する冷却水の温度である冷却水温度を検出する水温検出手段と、
前記内燃機関の作動に伴い発生する熱エネルギを利用して乗員室内を暖房する暖房手段と、
前記内燃機関の始動及び停止の制御、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEの下限値の目標値である目標下限回転数LNE*の設定、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEを前記目標下限回転数LNE*以上に維持するための制御を行う内燃機関制御手段と、を備えるハイブリッド車両において、
前記暖房手段の作動が要求された際に、
前記内燃機関制御手段が、
前記水温検出手段によって検出される冷却水温度に基づいて前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定される場合において、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードである場合は、前記目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1に設定し、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードではない場合は、前記目標下限回転数LNE*を前記第1目標値NE1とは異なる第2目標値NE2に設定し、
前記内燃機関を始動し、
前記内燃機関の回転数NEが前記目標下限回転数LNE*以上となるように制御する、
ハイブリッド車両によって達成される。
【0022】
また、本発明の上記もう1つの目的は、
充電可能に構成された蓄電手段と、
前記蓄電手段から供給される電力により車両駆動力を発生する電動機と、
燃料の燃焼により作動する内燃機関と、
前記内燃機関を冷却する冷却水の温度である冷却水温度を検出する水温検出手段と、
前記内燃機関の作動に伴い発生する熱エネルギを利用して乗員室内を暖房する暖房手段と、
前記内燃機関の始動及び停止の制御、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEの下限値の目標値である目標下限回転数LNE*の設定、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEを前記目標下限回転数LNE*以上に維持するための制御を行う内燃機関制御手段と、を備えるハイブリッド車両において、
前記暖房手段の作動が要求された際に、
前記内燃機関制御手段が、
前記水温検出手段によって検出される冷却水温度に基づいて前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定される場合において、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードである場合は、前記目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1に設定し、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードではない場合は、前記目標下限回転数LNE*を前記第1目標値NE1とは異なる第2目標値NE2に設定し、
前記内燃機関を始動し、
前記内燃機関の回転数NEが前記目標下限回転数LNE*以上となるように制御する、
ハイブリッド車両の制御方法によって達成される。
【発明の効果】
【0023】
上記のように、本発明に係るハイブリッド車両又はハイブリッド車両の制御方法によれば、ハイブリッド車両において、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、暖房要求が生じた際に、EVモードにおいても十分な暖房性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の1つの実施態様に係るハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】本発明の1つの実施態様に係るハイブリッド車両の制御方法において実行される各種処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
前述のように、本発明は、ハイブリッド車両(HV)において、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、暖房要求が生じた際に、EVモードにおいても十分な暖房性能を確保することができるHVを提供することを1つの目的とする。
【0026】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、暖房装置を備えるハイブリッド車両(HV)において、例えば、乗員室(キャビン)の暖房や内燃機関の暖機等の要求(暖房要求)が生じた際に、暖房に利用することができる内燃機関からの廃熱(余熱を含む)が不十分である場合に、内燃機関の下限回転数の制御目標値を、当該車両の走行モードがEVモードであるかHVモードあるかに応じて切り替えることにより、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、暖房要求が生じた際に、EVモードにおいても十分な暖房性能を確保することができることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
【0027】
即ち、本発明の第1の実施態様は、
充電可能に構成された蓄電手段と、
前記蓄電手段から供給される電力により車両駆動力を発生する電動機と、
燃料の燃焼により作動する内燃機関と、
前記内燃機関を冷却する冷却水の温度である冷却水温度を検出する水温検出手段と、
前記内燃機関の作動に伴い発生する熱エネルギを利用して乗員室内を暖房する暖房手段と、
前記内燃機関の始動及び停止の制御、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEの下限値の目標値である目標下限回転数LNE*の設定、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEを前記目標下限回転数LNE*以上に維持するための制御を行う内燃機関制御手段と、を備えるハイブリッド車両において、
前記暖房手段の作動が要求された際に、
前記内燃機関制御手段が、
前記水温検出手段によって検出される冷却水温度に基づいて前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定される場合において、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードである場合は、前記目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1に設定し、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードではない場合は、前記目標下限回転数LNE*を前記第1目標値NE1とは異なる第2目標値NE2に設定し、
前記内燃機関を始動し、
前記内燃機関の回転数NEが前記目標下限回転数LNE*以上となるように制御する、
ハイブリッド車両である。
【0028】
本実施態様に係るハイブリッド車両は、上記要件を満足する限り、如何なるハイブリッド車両であってもよい。本実施態様に係るハイブリッド車両の具体例としては、例えば、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV:Plug−in Hybrid Electric Vehicle)等を挙げることができる。また、本実施態様に係るハイブリッド車両における動力伝達方式も特定のものに限定されるものではない。即ち、本実施態様に係るハイブリッド車両における動力伝達方式は、例えば、シリーズ方式、パラレル方式、及びシリーズ/パラレル方式の何れであってもよい。
【0029】
尚、シリーズ方式とは、内燃機関を発電のみに使用し、電動機を車軸の駆動と回生のみに使用する方式であり、同方式を採用するハイブリッド車両は、内燃機関を発電専用の動力源として搭載した電気自動車として位置付けることができる。また、パラレル方式とは、駆動源として搭載している内燃機関及び電動機の両方を車輪の駆動に使用する方式であり、内燃機関はトランスミッションを介して車輪を駆動し、同時に電動機も車輪を駆動する。更に、シリーズ/パラレル方式とは、例えばプラネタリーギア等を用いる動力分割機構によって内燃機関からの動力を分割(スプリット)し、発電機とモータに振り分ける方式である。同方式はスプリット方式とも称される。
【0030】
上記充電可能に構成された蓄電手段とは、電力を蓄え、且つ蓄えた電力を電動機に供給することができるものである限り、如何なる構成を有するものであってもよい。かかる蓄電手段の具体例としては、例えば、二次電池、キャパシタ等を挙げることができる。二次電池の具体例としては、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等を挙げることができる。また、上記蓄電手段は、例えば上記車両に搭載された電動機(モータジェネレータ)における回生発電によって生ずる電力によって充電することができる。上記ハイブリッド車両がPHEVである場合には、例えば家庭用電源や電気スタンド等の車両外部の電源から供給される電力によって上記蓄電手段を充電することもできる。
【0031】
上記電動機とは、上記蓄電手段から供給される電力によって車両を駆動する動力を発生することができるものである限り、如何なる構成を有するものであってもよい。かかる電動機の具体例としては、例えば、直流式モータ、交流式モータ等を挙げることができる。交流式モータの具体例としては、例えば、同期モータ(SM)、誘導モータ(IM)、整流子モータ等を挙げることができる。これらの中で、同期モータ(SM)は、現時点でのHVに搭載される電動機として広く使用されている電動機の1つとして挙げることができる。また、これらの電動機は、例えば、内燃機関又は車軸の回転によって回転されて電力を生ずる発電機(ジェネレータ)としても動作することができるものであってもよい。
【0032】
上記内燃機関は、当該機関の内部で燃料を燃焼させて、燃焼生成物等を含む作動ガスを熱力学的流体として働かせることにより、動力を発生させることができるように構成された原動機である限り、如何なる構成を有するものであってもよい。即ち、上記内燃機関は、ピストンの往復運動を、クランクシャフトを介して回転運動に置き換えるレシプロエンジンであっても、あるいは、ローターの回転運動を、エキセントリックシャフトを介して出力するロータリーエンジンであってもよい。また、上記内燃機関の内部で燃焼させる燃料についても、特定のものに限定されるものではなく、例えば、ガソリン、ディーゼル燃料、アルコール、水素等、種々の燃料を挙げることができる。
【0033】
上記水温検出手段は、前記内燃機関を冷却する冷却水の温度である冷却水温度を検出することができるものである限り、如何なる構成を有するものであってもよい。かかる水温検出手段の具体例としては、例えば、熱電対、測温抵抗体、サーミスタ測温体、バイメタル式温度計等の温度センサを挙げることができる。本実施態様においては、前述のように、前記内燃機関の作動に伴い発生する熱エネルギを利用して乗員室内を暖房する暖房手段を備えるハイブリッド車両を想定している。かかる方式の具体例としては、例えば、内燃機関の冷却水の熱を利用するものが挙げられる。また、内燃機関の冷却水の温度は、内燃機関の作動に伴い発生する熱エネルギの尺度とみなすこともできる。従って、上記水温検出手段は、前記内燃機関を冷却する冷却水の温度である冷却水温度を検出することにより、暖房手段が利用することができる熱量の大きさを見積もるための基礎データを得ることができる。
【0034】
上記暖房手段は、前記内燃機関の作動に伴い発生する熱エネルギを利用して乗員室内を暖房する。この際、上記暖房手段は、例えば、上述のように、内燃機関の冷却水の熱を利用して乗員室内を暖房する。より具体的には、上記暖房手段は、例えば、内燃機関の冷却水がヒータコアを通過する際に熱交換を行わせることにより、乗員室内に吹き出される空気を加熱することにより、乗員室内を暖房する。また、上記暖房手段は、例えば、ユーザ(例えば、運転者、搭乗者等)の操作により始動されることができる。更に、上記暖房手段は、例えば、室温センサ等によって検出される乗員室内の温度が予め設定された目標温度より低くなった際に、自動的に始動されることができる。上記暖房手段は、例えば、所謂「カーエアコン」や「オートエアコン」等の、乗員室内の暖房のみならず冷房をも行うことができる空調手段が備える暖房手段であってもよい。
【0035】
上記に加え、本実施態様に係るハイブリッド車両は、前記内燃機関の始動及び停止の制御、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEの下限値の目標値である目標下限回転数LNE*の設定、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEを前記目標下限回転数LNE*以上に維持するための制御を行う内燃機関制御手段を更に備える。
【0036】
上記のように、目標下限回転数LNE*とは、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEの下限値の目標値である。目標下限回転数LNE*は、例えば、前記内燃機関の燃料消費率、作動安定性、作動効率等を考慮して、適宜定めることができる。また、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEは、当該ハイブリッド車両の運転状況等に応じて随時変動するものの、内燃機関制御手段によって前記目標下限回転数LNE*以上となるように制御される。従って、目標下限回転数LNE*が高いほど燃料消費率が高くなり、目標下限回転数LNE*が低いほど燃料消費率が低くなる。
【0037】
前述のように、上記蓄電手段、電動機、内燃機関、水温検出手段、暖房手段、及び内燃機関制御手段を備える、本実施態様に係るハイブリッド車両において、
前記暖房手段の作動が要求された際に、
前記内燃機関制御手段が、
前記水温検出手段によって検出される冷却水温度に基づいて前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定される場合において、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードである場合は、前記目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1に設定し、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードではない場合は、前記目標下限回転数LNE*を前記第1目標値NE1とは異なる第2目標値NE2に設定し、
前記内燃機関を始動し、
前記内燃機関の回転数NEが前記目標下限回転数LNE*以上となるように制御する。
【0038】
ここで、前記暖房手段の作動が要求された際とは、例えば、前述のように、ユーザ(例えば、運転者、搭乗者等)の操作により前記暖房手段が始動された際、室温センサ等によって検出される乗員室内の温度が予め設定された目標温度より低くなった際に(例えば、オートエアコンによって実行される乗員室内の温度制御によって)自動的に始動された際等、前記暖房手段が始動された時点を指すものと定義することができる。
【0039】
前述のように、前記暖房手段の作動が要求されると、前記内燃機関制御手段は、先ず、前記水温検出手段によって検出される冷却水温度に基づいて、前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があるか否かを判定する。前記水温検出手段は、前述のように、前記内燃機関を冷却する冷却水の温度である冷却水温度を検出する手段であり、例えば、前に例示したような温度センサを前記水温検出手段として使用することができる。内燃機関の冷却水の温度は、内燃機関の作動に伴い発生する熱エネルギの尺度とみなすこともできるので、上記水温検出手段は、暖房手段が利用することができる熱量の大きさを見積もるための基礎データを得る手段であると言うことができる。
【0040】
斯くして得られた冷却水温度に基づいて、前記内燃機関制御手段は、前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があるか否かを判定する。具体的には、例えば、前記内燃機関制御手段は、前記水温検出手段によって検出される冷却水温度が所定の閾値温度以上である場合は前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要が無いと判定し、前記水温検出手段によって検出される冷却水温度が所定の閾値温度未満である場合は前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定するように構成されていてもよい。
【0041】
また、前記内燃機関制御手段は、例えば、前記水温検出手段によって検出される冷却水温度から別途検出される乗員室内の温度を差し引いた偏差が所定の閾値以上である場合は前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要が無いと判定し、前記水温検出手段によって検出される冷却水温度から別途検出される乗員室内の温度を差し引いた偏差が所定の閾値未満である場合は前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定するように構成されていてもよい。
【0042】
更に、前記内燃機関制御手段は、例えば、前記水温検出手段によって検出される冷却水温度から予め設定された乗員室内の目標温度を差し引いた偏差が所定の閾値以上である場合は前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要が無いと判定し、前記水温検出手段によって検出される冷却水温度から予め設定された乗員室内の目標温度を差し引いた偏差が所定の閾値未満である場合は前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定するように構成されていてもよい。
【0043】
尚、前記内燃機関制御手段が冷却水温度に基づいて前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があるか否かを判定する手法は上記に限定されるものではなく、ハイブリッド車両や暖房手段の構成等に応じて、適切な判定手法を採用することができる。例えば、上記冷却水温度、乗員室内の検出温度及び目標温度以外の更なる要因をも考慮に入れて、前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があるか否かを判定してもよい。かかる要因としては、例えば、外気温度、日照度、車両の走行速度等を挙げることができる。
【0044】
上記の結果として、前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要が無いと判定される場合は、前記内燃機関制御手段は、上記のような走行モードの判定を行うこと無く、内燃機関を始動させることができる。
【0045】
一方、前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定される場合は、前記内燃機関制御手段は、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードであるか否かを判定する。ここで、EVモードとは、当該ハイブリッド車両が搭載する蓄電手段に蓄えられた電力によって電動機を作動させることにより、当該ハイブリッド車両を走行させる走行モードである。これに対し、HVモードとは、電力によって作動する電動機と燃料の燃焼によって作動する内燃機関とを併用して当該ハイブリッド車両を走行させる走行モードである。
【0046】
前述のように、ハイブリッド車両には、例えば、ユーザ(例えば、運転者、搭乗者等)の操作により、あるいは車両の運転状況等に基づいて自動的に、EVモードとHVモードとの間で走行モードを切り替えることができるものがある。前記内燃機関制御手段は、例えば、当該ハイブリッド車両における電動機や内燃機関の作動状況に基づいて、あるいは当該ハイブリッド車両の走行モードを制御する制御手段が保持している走行モードに関する情報に基づいて、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードであるか否かを判定することができる。
【0047】
次に、前記内燃機関制御手段は、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードであるか否かに応じて、前記目標下限回転数LNE*を適宜設定する。例えば、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードであるか否かによって、その時点に至るまでの内燃機関の作動履歴が異なり、その時点以降において暖房手段が乗員室内の暖房に利用することができる内燃機関からの熱エネルギの量も異なる。
【0048】
従って、従来技術に係るハイブリッド車両におけるように、走行モードにかかわらず目標下限回転数LNE*を一律に設定したのでは、暖房に利用することができる内燃機関からの熱エネルギが不十分となり、必要とされる暖房性能を確保することができなかったり、あるいは必要以上に高い目標下限回転数LNE*が設定されて、燃料総比率が必要以上に増大したりする虞がある。かかつ不都合を回避しつつ、予め設定された乗員室内の目標温度を達成するには、前記内燃機関制御手段が、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードであるか否かに応じて、前記目標下限回転数LNE*を適宜設定することが望ましい。
【0049】
より具体的には、上記走行モードの判定の結果、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードであると判定される場合には、前記内燃機関制御手段は、前記目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1に設定する。 一方、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードではないと判定される場合には、前記内燃機関制御手段は、前記目標下限回転数LNE*を前記第1目標値NE1とは異なる第2目標値NE2に設定する。
【0050】
上記第1目標値NE1及び第2目標値NE2は、例えば、予め定められた特定の固定値として、それぞれ設定することができる。また、上記第1目標値NE1及び第2目標値NE2は、例えば、前述の冷却水温度、乗員室内の検出温度又は目標温度に応じて変化する値として、それぞれ設定してもよい。更に、上記第1目標値NE1及び第2目標値NE2は、例えば、前述の冷却水温度、乗員室内の検出温度又は目標温度以外の更なる要因をも考慮に入れて、それぞれ設定してもよい。かかる要因としては、例えば、外気温度、日照度、車両の走行速度等を挙げることができる。尚、上記第1目標値NE1及び第2目標値NE2は、例えば、固定値データとして、あるいは前述の冷却水温度、乗員室内の検出温度又は目標温度等との対応関係を表すデータテーブル(データマップ)として、例えば、内燃機関制御手段が備えるデータ記憶装置(例えば、ROM等)に格納しておくことができる。
【0051】
その後、前記内燃機関制御手段によって、内燃機関が始動され、上記のように設定された目標下限回転数LNE*以上を維持するように内燃機関の回転数NEが制御される。これにより、本実施態様に係るハイブリッド車両においては、当該車両の走行モードによって、暖房手段が乗員室内の暖房に利用することができる内燃機関からの熱エネルギの量が異なるにもかかわらず、何れの走行モードにおいても、適切な暖房性能を確保することができる。
【0052】
ところで、上記内燃機関制御手段は、例えば、上記のような処理を制御するためだけに設けられた専用の制御手段であってもよい。逆に、上記内燃機関制御手段は、内燃機関に関する他の制御を行うために設けられた他の制御手段において上記のような処理を制御するように実装されていてもよい。あるいは、上記内燃機関制御手段は、上記専用の制御手段や他の制御手段を含む2つ以上の制御手段に分散されて実装されていてもよい。
【0053】
尚、上記内燃機関制御手段を始めとする制御手段は、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、データ記憶装置(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等)、データ入出力ポート等を含む電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)等として構成されていてもよい。
【0054】
また、かかる制御手段は、上述のような処理を制御するために必要とされる車両や車両の構成要素等についての各種状態量等を検知する手段(例えば各種センサ等)が接続され、これらの手段からの検出信号を受け取るように構成されていてもよい。更に、かかる制御手段は、上述のような処理を制御するために、処理の対象となる車両の構成要素(例えば内燃機関)に制御信号を送出して、これらの構成要素に所定の動作をさせるように構成されていてもよい。
【0055】
上述のような処理を制御するためアルゴリズムは、例えば、ソフトウェア(例えば、プログラム等)として実装されていてもよく、ハードウェア(例えば、演算回路等)として実装されていてもよい。例えば、当該アルゴリズムは、例えば、上記のような制御手段としてのECUが備えるROM又はRAM等の記憶装置にプログラムとして格納され、ECUが備えるCPUによって実行されるように実装されていてもよい。
【0056】
ところで、前述のように、前記内燃機関制御手段は、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードであるか否かに応じて、前記目標下限回転数LNE*を適宜設定することにより、予め設定された乗員室内の目標温度をより効率良く達成することが望ましい。
【0057】
EVモードとは、前述のように、ハイブリッド車両が搭載する蓄電手段に蓄えられた電力によって電動機を作動させることにより、ハイブリッド車両を走行させる走行モードである。従って、EVモードにおいては、原則として、内燃機関は停止しているので、暖房手段が乗員室内の暖房に利用することができる内燃機関からの熱エネルギの量は自ずと少ない(又は無い)。これに対し、ハイブリッド車両におけるEVモード以外の走行モードであるHVモードとは、前述のように、電力によって作動する電動機と燃料の燃焼によって作動する内燃機関とを併用して当該ハイブリッド車両を走行させる走行モードである。従って、HVモードにおいては、原則として、内燃機関は作動しているので、暖房手段が乗員室内の暖房に利用することができる内燃機関からの熱エネルギの量は、EVモードと比較して、相対的に多い。
【0058】
また、前述のように、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)におけるCDモード及びCSモードは、上記EVモード及びHVモードにそれぞれ相当する走行モードである。従って、CSモードにおいては、原則として、内燃機関は作動しているので、暖房手段が乗員室内の暖房に利用することができる内燃機関からの熱エネルギの量は、CDモードと比較して、相対的に多い。一方、CDモードにおいては、前述のように、蓄電手段に蓄えられた電力を所定量放電させるように電動機を作動させることにより、蓄電手段の充電状態(SOC:State of Charge)が低下するように制御している。その結果、CDモードにおいては、電動機と内燃機関とを併用して車両を走行させるCSモードと比較して、車両の走行出力における内燃機関による寄与率が低くなる。従って、CDモードにて走行しているPHEVにおいては、内燃機関から発生する熱エネルギが少ないため、暖房手段の作動が要求された場合でも、必要とされる暖房性能を確保することが困難となる場合がある。
【0059】
以上のように、ハイブリッド電気自動車やプラグインハイブリッド電気自動車等のハイブリッド車両において、EVモード(やCDモード)での走行時には内燃機関から発生する熱エネルギが相対的に少なく、HVモード(やCSモード)での走行時には内燃機関から発生する熱エネルギが相対的に多い。
【0060】
従って、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードである場合は、内燃機関から発生する熱エネルギを増大させるために、内燃機関の目標下限回転数LNE*を相対的に高く設定することが望ましい。しかしながら、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがHVモードである場合は、内燃機関から発生する熱エネルギが既に大きいので、内燃機関の目標下限回転数LNE*をEVモードと同レベルにまで高める必要は無く、また、必要以上に目標下限回転数LNE*を高く設定すると、燃料消費率や騒音が無駄に高まるので、内燃機関の目標下限回転数LNE*を相対的に低く設定することが望ましい。
【0061】
即ち、本発明のより好ましい実施態様に係るハイブリッド車両においては、前記第1目標値NE1が前記第2目標値NE2より大きいことが望ましい。
【0062】
従って、本発明の第2の実施態様は、
本発明の前記第1の実施態様に係るハイブリッド車両であって、
前記第1目標値NE1が前記第2目標値NE2より大きい、
ハイブリッド車両である。
【0063】
本実施態様に係るハイブリッド車両においては、上記のように、前記暖房手段の作動が要求された際に、前記水温検出手段によって検出される冷却水温度に基づいて前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定される場合において、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードである場合は、前記目標下限回転数LNE*が第1目標値NE1に設定され、一方、前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードではない場合は、前記目標下限回転数LNE*が前記第1目標値NE1よりも小さい第2目標値NE2に設定される。
【0064】
これにより、本実施態様に係るハイブリッド車両によれば、原則的に内燃機関が作動していないことから暖房に利用するのに十分な熱エネルギが内燃機関から発生しておらず、その結果、十分な暖房性能を確保することが困難であるEVモードにおいては、目標下限回転数LNE*が相対的に高い第1目標値NE1に設定されるので、内燃機関から発生する熱エネルギが増大し、十分な暖房性能を確保することができるようになる。
【0065】
一方、HVモードにおいては、原則的に内燃機関が作動していることから、EVモードよりも多い熱エネルギが内燃機関から発生している。従って、HVモードにおいても目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1に設定すると、燃料を無駄に消費しながら、必要以上の熱エネルギを内燃機関から発生させることに繋がる。また、内燃機関から発生する騒音も大きくなる。しかしながら、本実施態様に係るハイブリッド車両によれば、上記のようにEVモードよりも多い熱エネルギが内燃機関から発生しているHVモードにおいては、目標下限回転数LNE*が第1目標値NE1より小さい第2目標値NE2に設定されるので、燃料消費率や騒音の増大を最小限に抑えつつ、内燃機関から発生する熱エネルギを適切に増大させて、適切な暖房性能を確保することができる。
【0066】
上記のように、本発明に係るハイブリッド車両によれば、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、暖房要求が生じた際に、EVモードにおいても十分な暖房性能を確保することができる。
【0067】
ところで、前述のように、本発明は、ハイブリッド車両(HV)において、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、暖房要求が生じた際に、EVモードにおいても十分な暖房性能を確保するHVの制御方法を提供することをもう1つの目的とする。
【0068】
そこで、前述のような本発明の幾つかの実施態様に係るハイブリッド車両において実行される当該車両の制御方法としての幾つかの実施態様につき、以下に列挙する。但し、前述のような本発明の幾つかの実施態様に係るハイブリッド車両の制御装置及び当該装置において実行される当該車両の制御方法についての説明は、これまでの説明において既に詳細に述べたので、本発明に係るハイブリッド車両の制御方法としての実施態様についての詳細な説明は割愛する。
【0069】
即ち、本発明の第3の実施態様は、
充電可能に構成された蓄電手段と、
前記蓄電手段から供給される電力により車両駆動力を発生する電動機と、
燃料の燃焼により作動する内燃機関と、
前記内燃機関を冷却する冷却水の温度である冷却水温度を検出する水温検出手段と、
前記内燃機関の作動に伴い発生する熱エネルギを利用して乗員室内を暖房する暖房手段と、
前記内燃機関の始動及び停止の制御、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEの下限値の目標値である目標下限回転数LNE*の設定、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEを前記目標下限回転数LNE*以上に維持するための制御を行う内燃機関制御手段と、
を備えるハイブリッド車両において、
前記暖房手段の作動が要求された際に、
前記内燃機関制御手段が、
前記水温検出手段によって検出される冷却水温度に基づいて前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定される場合において、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードである場合は、前記目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1に設定し、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードではない場合は、前記目標下限回転数LNE*を前記第1目標値NE1とは異なる第2目標値NE2に設定し、
前記内燃機関を始動し、
前記内燃機関の回転数NEが前記目標下限回転数LNE*以上となるように制御する、
ハイブリッド車両の制御方法である。
【0070】
また、本発明の第4の実施態様は、
本発明の前記第3の実施態様に係るハイブリッド車両の制御方法であって、
前記第1目標値NE1が前記第2目標値NE2より大きい、
ハイブリッド車両の制御方法である。
【0071】
以上のように、本発明の上記実施態様を始めとする各種実施態様に係るハイブリッド車両及びハイブリッド車両の制御方法によれば、ハイブリッド車両において、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、暖房要求が生じた際に、EVモードにおいても十分な暖房性能を確保することができる。
【0072】
本発明の幾つかの実施態様に係る車両の制御装置の構成や特性等につき、添付図面等を参照しつつ以下に説明する。但し、以下に述べる説明はあくまでも例示を目的とするものであり、本発明の範囲が以下の説明に限定されるものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0073】
(1)ハイブリッド車両の構成
図1は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係るハイブリッド車両の概略構成図である。図1に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両100は、内燃機関ENGと、蓄電手段BATと、パワーコントロールユニットPCUと、車輪8と、トランスアクスル10と、内燃機関制御手段20と、暖房手段12とを備える。
【0074】
本実施例において、内燃機関ENGは、ガソリン等の燃料の燃焼による熱エネルギを源として、車輪8の駆動力を発生する。また、内燃機関ENGは、内燃機関制御手段20からの駆動指令DRVに応じて作動し、回転センサ(図示せず)によって検出される内燃機関の回転数NEを内燃機関制御装置20に送出する。
【0075】
蓄電手段BATは、パワーコントロールユニットPCUへ直流電力を供給する。蓄電手段BATは、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の充電可能な二次電池によって構成される。
【0076】
パワーコントロールユニットPCUは、蓄電手段BATから供給された直流電力を、交流電力に変換してトランスアクスル10へ出力する。また、パワーコントロールユニットPCUは、トランスアクスル10から供給された交流電力を直流電力に変換して蓄電手段BATへ出力する。
【0077】
トランスアクスル10は、トランスミッションとアクスル(車軸)とを一体構造として備えており、動力分割機構2と、減速機4と、モータジェネレータMG1及びMG2とを有する。
【0078】
動力分割機構2は、内燃機関ENGが出力した駆動力を、減速機4を介して車輪駆動用の車軸6へ伝達する経路と、モータジェネレータMG1へ伝達する経路とに分割することができる。
【0079】
モータジェネレータMG1は、動力分割機構2を介して伝達された内燃機関ENGからの駆動力によって回転されて発電する。モータジェネレータMG1による発電電力は、パワーコントロールユニットPCUへ供給され、蓄電手段BATの充電電力として、あるいはモータジェネレータMG2の駆動電力として用いられる。
【0080】
モータジェネレータMG2は、パワーコントロールユニットPCUから供給された交流電力によって回転される。モータジェネレータMG2によって生じた駆動力は、減速機4を介して車軸6へ伝達される。即ち、モータジェネレータMG2は、蓄電手段BATから電力を受けて車両駆動力を発生する。また、回生制動時には、モータジェネレータMG2は、車輪8の減速に伴って回転され、モータジェネレータMG2が生じる起電力(交流電力)は、パワーコントロールユニットPCUへ供給される。
【0081】
内燃機関制御装置20は、ハイブリッド車両100を運転者に指示に応じて走行させるために、自動車に搭載された機器・回路群の全体動作を制御する制御手段に含まれていてもよい。内燃機関制御装置20は、例えば、予めプログラムされた所定のシーケンス及び所定の演算を実行するためのマイクロコンピュータ等で構成されるものであってもよい。
【0082】
暖房手段12は、内燃機関ENGを冷却する冷却水(以降、単に「冷却水」と称する場合がある)を用いて、乗員室内に吹き出す空気を加熱する暖房機構30を備える。尚、暖房手段12には、ハイブリッド車に限らず種々の車両に設けられている暖房機構を適用することができるので、本実施例においては暖房機構についての詳細な説明は省略する。また、暖房機構30の機器構成としては、内燃機関の冷却水を用いる従来公知の機構を適用することができる。
【0083】
本実施例において、暖房手段12の暖房機構30は、冷却水管32と、ヒータコア38と、循環ポンプ34と、水温検出手段36とを備えている。
【0084】
循環ポンプ34は、内燃機関ENGの冷却水に、冷却水管32を介して、ヒータコア38を含む経路を循環させる。内燃機関ENGの冷却水がヒータコア38を通過する際に熱交換が行われ、乗員室内に吹き出される空気が加熱される。このように、暖房手段12は、内燃機関ENGの冷却水の熱エネルギを利用して、乗員室内の暖房を行なう。水温検出手段36は、上述の内燃機関ENGの冷却水の循環経路に配置され、内燃機関ENGの冷却水の温度Tw(以下、単に「冷却水温度Tw」とも称する)を検出し、その検出結果に対応する検出信号を内燃機関制御装置20へ送出する。
【0085】
上記のように、ハイブリッド車両100は、内燃機関ENGによって発生された駆動力と、電気エネルギを源としてモータジェネレータMG2によって発生された駆動力との組合せにより、低い燃料消費率にて走行する。
【0086】
例えば、ハイブリッド車両100は、発進時、低速走行時、及び緩やかな坂を下るとき等、負荷が軽い時には、内燃機関ENGの作動効率が悪い領域に該当するため、基本的には、内燃機関ENGを作動させることなく、モータジェネレータMG2による駆動力によって走行する。通常走行時には、エンジンENGから出力された駆動力は、動力分割機構2によって、車輪8の駆動力と、モータジェネレータMG1での発電用駆動力とに分割される。モータジェネレータMG1による発電電力は、モータジェネレータMG2の駆動に用いられる。従って、通常走行時には、内燃機関ENGによる駆動力をモータジェネレータMG2による駆動力でアシストして、車輪8が駆動される。
【0087】
内燃機関制御装置20は、動力分割機構2による動力分割比率、即ち内燃機関ENGとモータジェネレータMG2との間での駆動力の分担割合を、全体の効率が最大となるように制御する。全開加速時には、蓄電手段BATからの供給電力がモータジェネレータMG2の駆動に加えられて、車輪8の駆動力がさらに増加する。減速時及び制動時には、モータジェネレータMG2は車輪8によって回転駆動されて発電機として作用する。モータジェネレータMG2の回生発電によって回収された電力は、パワーコントロールユニットPCUを介して蓄電手段BATの充電に用いられる。さらに、車両停止時には内燃機関ENGは自動的に停止される。
【0088】
上記のように、運転状況に応じて、車両全体での出力要求パワーに対する内燃機関ENG及びモータジェネレータMG2の間での駆動力分担割合が決定される。具体的には、内燃機関制御装置20は、燃費の面から内燃機関ENGの効率を考慮して、運転状況に応じて上記駆動力分担を決定する。
【0089】
更に、ハイブリッド車両100は、例えば、運転者の操作によりEV走行要求が与えられると、内燃機関ENGを停止し、モータジェネレータMG2によって発生された駆動力のみで走行する(EV走行モード)。具体的には、内燃機関制御装置20は、運転者からのEV走行指令を受けると、内燃機関ENGを停止すると共に、内燃機関ENGによって発生されていた駆動力をモータジェネレータMG2が補うように、パワーコントロールユニットPCUを制御する。
【0090】
尚、EV走行モードにおいては、蓄電手段BATのSOCやモータジェネレータMG2の最大発生可能トルク等により、走行持続距離や最大速度等が制限される。従って、アクセルが規定開度以上に踏み込まれた場合、蓄電手段BATのSOCが所定の下限値以下となった場合、及び車両走行速度が規定速度を超過した場合等においては、内燃機関制御装置20は、EV走行モードを解除し、内燃機関ENGを始動することができる。
【0091】
また、暖房手段12は、前述のように、例えば、ユーザ(例えば、運転者、搭乗者等)の操作により始動されることができる。更に、暖房手段12は、例えば、室温センサ(図示せず)等によって検出される乗員室内の温度が予め設定された目標温度(目標室内温度Tset)より低くなった際に、自動的に始動されることができる。暖房手段12は、例えば、所謂「カーエアコン」や「オートエアコン」等の、乗員室内の暖房のみならず冷房をも行うことができる空調手段に含まれる暖房手段であってもよい。
【0092】
本実施例に係るハイブリッド車両100においては、暖房手段12の作動が要求された際に、内燃機関制御手段20が、上記のように、水温検出手段36によって検出される冷却水温度Twに基づいて目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定される場合において、暖房手段12の作動が要求された時点におけるハイブリッド車両100の走行モードがEVモードである場合は、目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1に設定し、暖房手段12の作動が要求された時点におけるハイブリッド車両100の走行モードがEVモードではない場合は、目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1とは異なる第2目標値NE2に設定し、内燃機関ENGを始動し、そして内燃機関ENGの回転数NEが目標下限回転数LNE*以上となるように制御する。
【0093】
上記のような、本発明の1つの実施態様に係るハイブリッド車両の制御方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0094】
(2)本発明に係るハイブリッド車両の制御方法における処理の流れ
図2は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係るハイブリッド車両の制御方法において実行される各種処理の流れを表すフローチャートである。図2に示すように、本実施例にかかるハイブリッド車両の制御方法においては、先ず暖房手段の作動が要求されたか否かが判定される。当該判定は、例えば、ハイブリッド車両が備える暖房手段が始動されたか否か等に基づいて行うことができる。尚、暖房手段の作動が要求されていないと判定された場合は、特段の処理を実行すること無く、当該制御フローを終了する。
【0095】
上記ステップにおいて、暖房手段の作動が要求されたと判定された場合は、前述のように、水温検出手段によって検出される冷却水温度に基づいて、内燃機関の目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があるか否かが判定される。当該判定は、前述のように、例えば、水温検出手段によって検出される冷却水温度と予め設定された乗員室内の目標温度との偏差の大きさに基づいて行うことができる。尚、内燃機関の目標下限回転数LNE*を引き上げる必要が無いと判定された場合は、特段の処理を実行すること無く、内燃機関を始動させる。
【0096】
内燃機関の目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定された場合は、前述のように、その時点におけるハイブリッド車両の走行モードがEVモードであるか否かが判定される。当該判定は、前述のように、例えば、ハイブリッド車両における電動機や内燃機関の作動状況に基づいて、あるいはハイブリッド車両の走行モードを制御する制御手段が保持している走行モードに関する情報に基づいて、行うことができる。
【0097】
上記ステップにおいて、暖房手段の作動が要求された時点におけるハイブリッド車両の走行モードがEVモードであると判定された場合は、目標下限回転数LNE*が第1目標値NE1に設定される。一方、暖房手段の作動が要求された時点におけるハイブリッド車両の走行モードがEVモードではないと判定された場合は、目標下限回転数LNE*が第1目標値NE1とは異なる第2目標値NE2に設定される。このようにして、本実施例に係るハイブリッド車両の制御方法においては、暖房手段の作動が要求された際に、内燃機関の下限回転数を引き上げる必要がある場合に、車両の走行モードがEVモードであるかどうかに応じて、目標下限回転数LNE*を適切に設定することができる。
【0098】
その後、内燃機関ENGが始動され、そして内燃機関の回転数NEが目標下限回転数LNE*以上となるように制御される。結果として、本実施例に係るハイブリッド車両の制御方法によれば、ハイブリッド車両において暖房要求が生じた際に、当該車両の走行モードに応じて、適切な目標下限回転数LNE*が設定されるので、例えば、燃料の消費や騒音が大きくなる等の問題を最小限に抑えつつ、十分な暖房性能を確保することができる。
【0099】
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する実施例について説明してきたが、上記説明はあくまでも例示であって、本発明の実施形態が上記説明に限定されると解釈されるべきではない。即ち、本発明の範囲は、かかる例示的な実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることができることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0100】
2…動力分割機構、4…減速機、6…車軸、8…車輪、10…トランスアクスル、12…暖房手段、20…内燃機関制御装置、30…暖房機構、32…冷却水管、34…循環ポンプ、36…水温検出手段、38…ヒータコア、100…ハイブリッド車両、BAT…蓄電手段、DRV…駆動指令、ENG…内燃機関、MG1及びMG2…モータジェネレータ、NE…内燃機関ENGの回転数、PCU…パワーコントロールユニット、Tset…乗員室内温度設定、並びにTw…冷却水温度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能に構成された蓄電手段と、
前記蓄電手段から供給される電力により車両駆動力を発生する電動機と、
燃料の燃焼により作動する内燃機関と、
前記内燃機関を冷却する冷却水の温度である冷却水温度を検出する水温検出手段と、
前記内燃機関の作動に伴い発生する熱エネルギを利用して乗員室内を暖房する暖房手段と、
前記内燃機関の始動及び停止の制御、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEの下限値の目標値である目標下限回転数LNE*の設定、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEを前記目標下限回転数LNE*以上に維持するための制御を行う内燃機関制御手段と、
を備えるハイブリッド車両において、
前記暖房手段の作動が要求された際に、
前記内燃機関制御手段が、
前記水温検出手段によって検出される冷却水温度に基づいて前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定される場合において、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードである場合は、前記目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1に設定し、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードではない場合は、前記目標下限回転数LNE*を前記第1目標値NE1とは異なる第2目標値NE2に設定し、
前記内燃機関を始動し、
前記内燃機関の回転数NEが前記目標下限回転数LNE*以上となるように制御する、
ハイブリッド車両。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両であって、
前記第1目標値NE1が前記第2目標値NE2より大きい、
ハイブリッド車両。
【請求項3】
充電可能に構成された蓄電手段と、
前記蓄電手段から供給される電力により車両駆動力を発生する電動機と、
燃料の燃焼により作動する内燃機関と、
前記内燃機関を冷却する冷却水の温度である冷却水温度を検出する水温検出手段と、
前記内燃機関の作動に伴い発生する熱エネルギを利用して乗員室内を暖房する暖房手段と、
前記内燃機関の始動及び停止の制御、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEの下限値の目標値である目標下限回転数LNE*の設定、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の回転数NEを前記目標下限回転数LNE*以上に維持するための制御を行う内燃機関制御手段と、
を備えるハイブリッド車両において、
前記暖房手段の作動が要求された際に、
前記内燃機関制御手段が、
前記水温検出手段によって検出される冷却水温度に基づいて前記目標下限回転数LNE*を引き上げる必要があると判定される場合において、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードである場合は、前記目標下限回転数LNE*を第1目標値NE1に設定し、
前記暖房手段の作動が要求された時点における前記ハイブリッド車両の走行モードがEVモードではない場合は、前記目標下限回転数LNE*を前記第1目標値NE1とは異なる第2目標値NE2に設定し、
前記内燃機関を始動し、
前記内燃機関の回転数NEが前記目標下限回転数LNE*以上となるように制御する、
ハイブリッド車両の制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載のハイブリッド車両の制御方法であって、
前記第1目標値NE1が前記第2目標値NE2より大きい、
ハイブリッド車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−71715(P2013−71715A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214410(P2011−214410)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】