説明

ハイブリッドRFIDアンテナを使用した制御可能な読み取り範囲を有するEASおよびRFID組み合わせラベルまたはタグ

セキュリティタグは、画定された表面積を有するEAS構成要素と、画定された表面積を有するRFID構成要素とを含む。EAS構成要素の表面積は、RFID構成要素の表面積と少なくとも部分的に重複するように構成される。RFID構成要素は、第1の表面と少なくとも部分的に重複するアンテナを含む。厚みを有する実質的に平面のスペーサが、EASおよびRFID構成要素の画定された表面積の間に少なくとも部分的に配置される。RFID要素読み取り範囲は、RFID要素とEAS要素との間の間隔に影響され、制御される。RFIDリーダは、RFID構成要素が読み取り範囲内にある時、RFID構成要素を有効化させることができる。アンテナは、渦巻き状アンテナと電気接触する磁界ループアンテナを含み、近距離場の読み取り応答を増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2004年11月15日出願の米国仮出願整理番号60/628,303号、発明の名称「COMBO EAS/RFID LABEL OR TAG」に関連し、それに対する優先権を主張する、2005年11月15日出願のPCT出願番号第PCT/US2005/041575号、発明の名称「COMBINATION EAS AND RFID LABEL OR TAG WITH CONTROLLABLE READ RANGE」に基づく、2007年5月14日出願の米国国内段階出願整理番号第11/667,742号、発明の名称「COMBINATION EAS AND RFID LABEL OR TAG WITH CONTROLLABLE READ RANGE」の一部継続出願であり、それら全ての全体が、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
[発明の分野]
本開示は、管理区域からの物品の不正な持ち出しを防止または阻止するための、電子物品監視(EAS)ラベルまたはタグに関する。より具体的には、本開示は、無線周波数識別(RFID)ラベルまたはタグと組み合わせたEASラベルまたはタグに関し、当該EAS/RFID組み合わせラベルは、ハイブリッドRFIDアンテナインレイを使用した制御可能な読み取り範囲を有する。
【背景技術】
【0003】
管理区域からの物品の不正な持ち出しを防止または阻止するための電子物品監視(EAS)システムは、概して当該技術分野において既知である。典型的なEASシステムでは、EASマーカー(タグまたはラベル)が小売店等の管理区域の出口に位置する電磁場と相互作用するように設計される。これらのEASマーカーは、保護されるべき物品に取り付けられる。EASタグが電磁場または「問い合わせゾーン」に持ち込まれると、タグの存在が検出され、警報を発生させる等の適切な行動が取られる。物品の正当な持ち出しについては、EASタグを無効化、取り外す、または電磁場の周囲を通過して、EASシステムによる検出を防止することができる。
【0004】
EASシステムは、典型的には、再利用可能なEASタグまたは使い捨てのEASタグもしくはラベルのいずれかを用い、店からの物品の万引きおよび不正な持ち出しを防止するように、物品を監視する。再利用可能なEASタグは、通常店から顧客が退出する前に物品から取り外される。使い捨てのタグまたはラベルは、概して接着剤によって包装に取り付けられるか、あるいは包装の内側に位置する。これらのタグは、典型的には物品と共に残り、それらが顧客によって店から持ち出される前に無効化されなければならない。無効化装置は、コイルを使用することができ、これはEASタグを有効化するのに十分な大きさの磁場を発生するように励起される。無効化されたタグはもうEASシステムの入射エネルギーに反応せず、警報は始動しない。
【0005】
EASタグを有する物品が返却の手続きを受けるか、あるいは管理区域に返品される状況では、盗難の阻止を再度提供するように、EASタグを有効化させるか、あるいは再度取り付ける必要がある。EASタグが製造または流通の時点で物品に貼り付けられるソースタギングの望ましさから、典型的には、EASタグは物品から取り外されるよりも、無効化可能および有効化可能であることが好ましい。加えて、物品に問い合わせゾーンの周囲を通過させることは、EASタグが有効化したままであり、他の管理区域のEASシステムと相互作用して、誤ってこれらのシステムを有効化し得るため、他の問題を呈する。
【0006】
無線周波数識別(RFID)システムもまた、当該技術分野において概して既知であり、在庫管理、電子アクセス制御、セキュリティシステム、および有料道路での自動車の自動識別等の多くの用途に使用することができる。RFIDシステムは、典型的にはRFIDリーダおよびRFID装置を含む。RFIDリーダは、無線周波数搬送波信号をRFID装置に伝送することができる。RFID装置は、RFID装置によって記憶された情報を符号化したデータ信号で、搬送波信号に応答することができる。
【0007】
小売業環境において、EASおよびRFID機能を組み合わせる市場ニーズが急速に浮上している。万引き防止のために現在EASを有する多くの小売店は、在庫管理のためのバーコード情報に頼っている。RFIDは、バーコードにより早く、より詳細な在庫管理を提供する。小売店は、すでに再利用可能な硬質タグに相当の金額を払っている。EAS硬質タグのRFID技術への追加は、在庫管理、ならびに損失防止における生産性の向上により、付加費用を容易に賄い得る。
【0008】
加えて、EAS要素とRFID要素との間の相互作用を最小限に抑えるために、先行技術の組み合わせ手法は、2つの異なる要素、すなわちEAS要素およびRFID要素を、各要素の相互作用を最小限に抑えるように端と端または隣同士に並べた様式で、十分に遠く離して定置している。しかしながら、これは組み合わせられたタグまたはラベルの大きさの増大を必要とする。
【0009】
渦巻き状アンテナ単独の使用はその利益を有するが、カップリング機構は主に磁場Hではなく電場Eに依存する。場合によっては、RFID読み取り性能全体が遠距離場について最適化され、結果として近距離場の読み取り性能が制限され得る。つまり、遠距離場および近距離場の両方についてアンテナを最適化することができない。近距離場の性能は、遠距離場についてアンテナがどのように設計されているかに依存する。EAS/RFID組み合わせタグ用途については、渦巻き状アンテナが、近傍での読み取り性能が特に重要である取外し装置および他のPOS用途で使用される近距離場アンテナのための様々な選択肢を制限し得る。
【0010】
渦巻き状アンテナの開路アンテナ構造により、低周波または静電場EがRFIDチップの両端に相当の電圧を形成する、これによりそのレベルが十分高い場合、装置の故障を来たす可能性がある。そのような静電放電(「ESD」)は、ラベル製造過程または硬質タグ筐体の超音波溶接過程で生じ得る。
【0011】
したがって、必要なものは、RFID要素の読み取り範囲を変化および制御するように、低損失の誘電性材料または空気等のスペーサがEASとRFID要素との間の仕切りとして使用される、EASおよびRFID組み合わせラベルまたはタグである。
【0012】
また、必要なものは、静電放電の積み重なりによるチップ故障の可能性を減少すると同時に、遠距離場の読み取り性能を犠牲にすることなく近距離場の読み取り性能を高めるRFIDアンテナ設計である。
【発明の概要】
【0013】
本開示は、独立したEASタグまたはラベルと独立したRFIDタグまたはラベルの特徴を1つのタグまたはラベルに組み合わせ、RFID要素の読み取り範囲を変化および制御するように、低損失の誘電性材料または空気等のスペーサがEAS要素とRFID要素との間の仕切りとして使用される、タグまたはラベルを提供する。
【0014】
本開示は、画定された表面積を有する電子物品監視(EAS)構成要素と、画定された表面積を有する無線周波数(RFID)構成要素とを含む、セキュリティタグに関する。EAS構成要素の画定された表面積は、RFID構成要素の画定された表面積と少なくとも部分的に重複するように構成される。また、セキュリティタグは、厚みを有する実質的に平面のスペーサを含み、該スペーサは、EAS構成要素の画定された表面積とRFID構成要素の画定された表面積との間に少なくとも部分的に配置され、スペーサの厚みは、RFIDリーダとRFID構成要素との間の読み取り範囲を調節するように構成可能である。一実施形態においては、RFIDリーダは、RFID構成要素が読み取り範囲内にある時、RFID構成要素を有効化させることができる。
【0015】
RFID構成要素は、EAS構成要素の画定された表面積と少なくとも部分的に重複するアンテナを含み得る。アンテナは複素インピーダンスを有し得、EAS構成要素はアンテナのインピーダンス整合ネットワークの一部を形成する。アンテナインピーダンスは、EAS構成要素の負荷効果を含み得る。一実施形態においては、RFID構成要素はアンテナおよび特定用途向け集積回路(ASIC)を含み、ASICは複素インピーダンスを有する。ASICの複素インピーダンスは、EAS構成要素の負荷効果を含むアンテナのカップリングされた複素共役インピーダンスを整合させ得る。
【0016】
一実施形態においては、セキュリティタグは、画定された表面積を有する電子物品監視(EAS)構成要素と、画定された表面積を有する無線周波数識別(RFID)構成要素であって、EAS構成要素の表面積は、RFID構成要素の表面積と少なくとも部分的に重複するように構成される、RFID構成要素と、厚みを有する実質的に平面のスペーサであって、EAS構成要素の画定された表面積とRFID構成要素の画定された表面積との間に少なくとも部分的に配置される、スペーサと、を含み、RFID構成要素はアンテナおよび特定用途向け集積回路(ASIC)を含み、ASICは複素インピーダンスを有し、ASICの複素インピーダンスは、EAS構成要素の負荷効果を含んでアンテナのカップリングされた複素共役インピーダンスと整合し、スペーサの厚みは、RFIDリーダとRFID構成要素との間の読み取り範囲を調節するように構成可能である。
【0017】
RFID構成要素は基底部分を含み得、基底部分の材料は、(a)原紙、(b)ポリエチレン、(c)ポリエステル、(d)ポリエチレンテレフタルレート(PET)、および(e)ポリエーテルイミド(PEI)からなる群から選択され得る。RFID構成要素は基底部分を含み得、基底部分の材料は、約3.3の誘電率および約0.01未満の損失正接を有するプラスチックであり得る。スペーサの材料は、(a)低損失の低誘電性材料、および(b)空気からなる群から選択され得る。
【0018】
また、本開示は、電子物品監視(EAS)構成要素および無線周波数識別(RFID)構成要素の組み合わせの読み取り範囲を調節する方法にも関し、該方法は、EAS構成要素とRFID構成要素との間に配置されるスペーサを提供するステップと、スペーサの厚みを変化させてRFID構成要素の読み取り可能な範囲を調節するステップと、を含む。一実施形態においては、スペーサの厚みを変化させるステップは、RFIDリーダとRFID構成要素との間の読み取り範囲を変化させ、RFIDリーダは、RFID構成要素が読み取り範囲内にある時、RFID構成要素を有効化させることができる。
【0019】
別の実施形態においては、セキュリティタグは、画定された表面積を有する電子物品監視(EAS)構成要素と、画定された表面積を有する無線周波数(RFID)構成要素とを含む。RFID構成要素はアンテナインレイを含み、該アンテナインレイは、内向きの渦巻き状アンテナと、渦巻き状アンテナと電気接触する磁界ループアンテナと、ループアンテナと電気接触する集積回路とを有する。セキュリティタグは、既定の厚みを有する実質的に平面のスペーサをさらに含む。スペーサは、EAS構成要素の画定された表面積とRFID構成要素の画定された表面積との間に少なくとも部分的に配置される。スペーサの厚みは、RFID構成要素の読み取り範囲を調節するように構成可能である。
【0020】
別の実施形態においては、電子物品監視(EAS)構成要素および無線周波数識別(RFID)構成要素の組み合わせの読み取り範囲を調節する方法が提供される。該方法は、EAS構成要素とRFID構成要素との間に配置されるスペーサを配置し、該RFID構成要素は、磁界ループアンテナと電気接触する内向きの渦巻き状アンテナと、ループアンテナと電気接触する集積回路とを有するアンテナインレイを含む。スペーサの厚みを変化するステップが、RFID構成要素の読み取り範囲を調節する。
【0021】
さらに別の実施形態においては、EAS/RFID組み合わせセキュリティタグにおいて使用するためのRFIDアンテナインレイが提供される。EAS/RFIDセキュリティタグは、EAS構成要素、RFID構成要素、およびEAS構成要素とRFID構成要素との間に位置付けられるスペーサ要素を有する。アンテナインレイは、第1の区分および第2の区分を有する内向きの渦巻き状アンテナと、渦巻き状アンテナにカップリングされ、渦巻き状アンテナの第1の区分と渦巻き状アンテナの第2の区分との間に位置する磁界ループアンテナとを含む。アンテナインレイは、磁界ループアンテナにカップリングされる集積回路をさらに含む。スペーサ要素は厚みを有し、スペーサ要素の厚みは、RFIDリーダとRFID構成要素との間の読み取り範囲を調節するように構成可能である。
【0022】
本発明のより完全な理解、および付随するその利点および特徴が、添付の図面と合わせて考慮される際、以下の発明を実施するための形態を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【0023】
実施形態として見なされる主題は、本明細書の最終部分で具体的に指摘され、はっきりと特許請求される。しかしながら、実施形態は、構成および動作方法の両方について、その目的、特徴、および利点と合わせて、付随する図面と共に読み、以下の発明を実施するための形態を参照することにより最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本開示の一実施形態に従ったEAS/RFID組み合わせセキュリティタグを示す。
【図2A】本開示の一実施形態に従ったEAS/RFID組み合わせセキュリティタグのサンプル試験データの一部を示す。
【図2B】本開示の一実施形態に従ったEAS/RFID組み合わせセキュリティタグの、サンプル試験データの別の一部を示す。
【図3A】本開示の一実施形態に従った磁場カップリングを使用するRFIDシステムを示す。
【図3B】本開示の一実施形態に従った電場カップリングを使用するRFIDシステムを示す。
【図4】本開示の一実施形態に従ったセキュリティタグの分解斜視図を示す。
【図4A】セキュリティタグのEAS構成要素とRFID構成要素との間のスペーサの厚みの関数としての、図4のセキュリティタグの読み取り範囲のサンプル試験データを示す。
【図5】図4のセキュリティタグの上面図を示す。
【図6】本開示の代替実施形態に従う、セグメント点を有するアンテナを備えるセキュリティタグの上面図を示す。
【図7】本開示の一実施形態に従ったブロック流れ図を示す。
【図8A】RFIDラベルに隣接する同一平面上のEASラベルの先行技術の構成を示す。
【図8B】空隙によって隔てられる同一平面上のEASラベルおよびRFIDラベルの、先行技術の構成を示す。
【図8C】EAS構成要素の真下に装着されたRFID構成要素と組み合わせたEAS構成要素の、本開示の実施形態を示す。
【図8D】セキュリティタグのRFID構成要素インサートと組み合わせたEAS構成要素の一部分の、本開示の実施形態を示す。
【図8E】図8Dの本開示の実施形態の立面図である。
【図8F】セキュリティタグのRFID構成要素インサートと組み合わせたEAS構成要素の一部分の、本開示の実施形態を示す。
【図8G】図8Fの本開示の実施形態の立面図である。
【図9】2本の内向きの渦巻き状アンテナの間にループアンテナを使用したハイブリッドアンテナインレイを備える、EAS/RFID組み合わせタグの本開示の実施形態を示す。
【図9A】セキュリティタグのEAS構成要素とRFID構成要素との間のスペーサの厚みの関数としての、図9のハイブリッドアンテナインレイを備えるセキュリティタグの読み取り範囲のサンプル試験データを示す。
【図9B】アンテナの中心からのアンテナインレイの変位の関数としての、図9のハイブリッドアンテナインレイを備えるセキュリティタグの読み取り高さのサンプル試験データを示す。
【図9C】図9のハイブリッドアンテナインレイの実施形態をループアンテナおよび渦巻き状アンテナの各応答領域と共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、以下の発明を実施するための形態および本発明の特定の実施形態の付随する図面からより完全に理解されるが、これらは本発明を具体的な実施形態に限定すると解釈されるべきではなく、説明を目的としたものである。
【0026】
本開示を組み込むEAS/RFID組み合わせタグの可能性のある多数の実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細を本明細書で説明することができる。しかしながら、当業者には、実施形態はこれらの具体的な詳細なしで実践され得ることが理解されよう。他の例では、実施形態を分かりにくくしないように、周知の方法、手順、構成要素、および回路は詳細には記載されていない。本明細書に記載される具体的な、構造的および機能的詳細は代表的なものであり得、必ずしも実施形態の範囲を制限するものではないことが認識され得る。
【0027】
一部の実施形態は、それらの派生語と共に「カップリングされた」および「接続された」という表現を使用して記載されている場合がある。例えば、一部の実施形態は、2つ以上の要素が互いに直接物理的または電気的に接触していることを示すために、「接続された」という用語を使用して説明されている場合がある。別の例では、一部の実施形態は、2つ以上の要素が直接物理的または電気的に接触していることを示すために、「カップリングされた」という用語を使用して記載されている場合がある。しかしながら、「カップリングされた」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触してはいないが、なお互いに協働または相互作用することも意味し得る。本明細書で開示される実施形態は、必ずしも本明細書の記載に限定されない。
【0028】
本明細書における「一実施形態」または「実施形態」へのいずれの言及も、その実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一実施形態に含まれることを意味することは、特筆に価する。本明細書の様々な場所で「一実施形態において」という句が見られるが、これら全てが必ずしも同一実施形態を指しているとは限らない。
【0029】
ここで本開示の詳細に目を向けると、EAS/RFID組み合わせラベル(またはタグ)を利用することができる一様式は、EASに関連する構成要素およびRFIDに関連する構成要素の両方を組み合わせてそれらをともにパッケージする。しかしながら、EAS機能および/またはRFID機能のいずれかの性能に影響を及ぼし得る、いくつかの電気的にまたは電気機械的に相互作用する因子があり得る。RFIDラベルのEASラベル上への定置は最も簡便な方法であるが、RFIDラベルの実質的離調および信号損失をもたらす場合がある。例えば典型的なRFID装置において、RFIDラベルの性能は、典型的には、RFID装置の特定用途向け集積回路(ASIC)/リードフレームアセンブリの、基板上に実装されたRFIDアンテナの実効インピーダンスへのインピーダンス整合に非常に敏感である。該装置のRFID部分の、いくつかの可能性のある実施形態のより詳細な説明を以下でさらに論じる。RFIDラベルを囲む他の対象物が、RFIDラベルの読み取りに使用される実効インピーダンスまたは電磁エネルギーの吸収のいずれかに寄与し得る。
【0030】
一部の既存の2450MHzのEAS/RFID組み合わせラベルは、RFIDラベルとEASラベルとが重複構成に定置される構成を使用している。この特定の適用には、RFIDラベルの検出に相当な低下があり得る。端から端まで、またはわずかな重複はそのようなシステムで最もよく機能するが、これらの場合タグの大きさが法外に大きくなる傾向がある。また、隣り合わせの構成は、不規則なRFID検出パターンを生じさせることが既知である。市場には、EAS/RFID組み合わせタグの実装に成功できている設計は多くない。タグ付けされたアイテムのEASおよびRFIDを組み合わせて使用するほとんどの用途は、別個に装着される別個のEASおよびRFIDラベルを使用し、別個に装着された場合、それらはいずれか1つがそれ自体占有するであろうよりも大きな空間をタグ付けされたアイテム上で占有する。
【0031】
この問題に対する解決策には、RFIDラベルのためのインピーダンス整合ネットワークの一部としての、組み合わせタグのEASラベル部分の使用が想定される。例えば、RFIDラベルの定置をEASラベルに近づければ近づけるほど、RFIDラベルのアンテナインピーダンスがEASラベルによる影響を受けるか、あるいはEASラベルにより同調される。RFIDラベルのインピーダンス整合を達成するために、RFIDアンテナの形状自体をEASラベルのインピーダンスへの、結果として生じる全ての電気的効果を考慮に入れるように設計することができる。例えば、RFIDアンテナは、高容量性インピーダンスを有するように構成することができ、これは、装置(例えば上記で言及されたようなASIC/リードフレームアセンブリ)の論理チップのインピーダンスと甚だしく不整合し得る。RFIDラベルがEASラベルの近接に定置されるにつれて(例えば真下)、RFIDアンテナのインピーダンスはASICのインピーダンスとほぼ整合する。
【0032】
図1は、概してEAS構成要素1およびRFID構成要素2を示す。EAS構成要素1はEASラベルまたはタグである。EAS構成要素1は、例えば、プラスチックまたは何らかの他の材料の筐体の中に収容されるバイアス磁石を伴う磁気共振器要素(または他のEAS形式の共振回路)を含むことができるが、これに限定されない。本明細書に具体的に開示されていない他のEASラベルまたはタグが、EAS構成要素1の機能を実行し得る。RFID構成要素2はRFIDラベルまたはタグである。RFID構成要素2は、例えば、図1について論じる目的で、以下で論じる図4に最もよく示されているように、ASIC基盤のRFID論理回路または処理チップをアンテナに取り付けた、基板材料上に装着されたアンテナを含むことができるが、これに限定されない。本明細書に具体的に開示されていない他のRFIDラベルまたはタグが、RFID構成要素2の機能を実行し得る。特に有用な一実施形態においては、システムのRFID部分、すなわちRFID構成要素2は、868MHzおよび/または915MHzのISM帯域で動作する。しかしながら、当業者は、本発明がそれに限定されず、任意の他の使用可能な周波数で使用され得ることを容易に認識するであろう。
【0033】
EAS構成要素1およびRFID構成要素2が図1の「P1」の位置に示されるように互いに隣接して配置される時は、EAS構成要素1はRFID構成要素2のアンテナインピーダンスに対して小さな影響しかない。しかし、RFID構成要素2が、「P2」、「P3」、および「P4」の位置に示されるようにEAS構成要素1の下に位置付けられるにつれて(すなわち重複の程度が斜線部分3によって示される)、RFIDのアンテナインピーダンスが次第に影響を受ける。
【0034】
より具体的には、RFID構成要素2のラベル位置P1〜P4は、以下の通り構成される。
P1=EAS構成要素1およびRFID構成要素2が互いに隣接して配置されている。
P2=RFID構成要素2がEAS構成要素1を4分の1横切ってその下に配置されている。
P3=RFID構成要素2がEAS構成要素1を2分の1横切ってその下に配置されている。
P4=RFID構成要素2がEAS構成要素1の真下に配置されている。
【0035】
例えば、図2Aおよび2Bは、EAS構成要素1およびRFID構成要素2を含むサンプルセキュリティタグの、915MHzのISM帯域の周波数に対するRFIDアンテナインピーダンスの実数成分および虚数成分の試験結果を示す。
【0036】
図2Aに示されるように、915MHzの中心周波数で、RFIDラベル2が位置P1から位置P4へ移動するにつれて、実数インピーダンスRはR1=約6オームからR4=約13オームへ変化する。実数インピーダンスRにおけるこの明らかな増加は、EASラベルの材料による実効損失の増加を表している。対応して、RFIDラベル2が位置P1から位置P4へ移動するにつれて、虚数インピーダンスZはZ1=−125オームからZ4=+195オームへ変化する。したがって、虚数インピーダンスZは、幾分容量性から誘導性へと変化する。
【0037】
RFID構成要素2は、アンテナインピーダンスがほぼASIC装置の複素共役になるように設計することができる。これは、例えば915MHz等の標的周波数での共振をもたらす。本実施例において使用されたリードフレームを用いた、スイスジュネーブのST Microelectronics製チップについての、ASICのRFID装置のインピーダンスの典型的試験結果は、5−j140オームであり、本実施例において使用されたリードフレームを用いた、オランダアムステルダムのKoninklikje Philips Electronics N.V.製チップについては、20−j270オームである。これらの2つのRFID装置が標的周波数での共振を達成するには、RFIDラベルのアンテナの虚数インピーダンスZが+j(140〜270)オームの範囲内であることが必要であった。
【0038】
したがって、RFID/EAS組み合わせセキュリティタグは、整合するために、EAS構成要素のインピーダンスを使用して設計することができる。自由空間において、RFID構成要素のアンテナは、負の虚数インピーダンスを有し、EAS構成要素の真下、上、または近傍に定置される時、正しい正の虚数インピーダンスを得るように設計することができる。本開示によって認識され得るように、本構成は、例えば、フロリダ州ボカ・レイトンのTyco Fire and Security,LLCの一部門である、センサーマティック社(Sensormatic Corporation)製のSuperTag(登録商標)等の、様々な種類の磁歪式接着性ラベルおよびEAS硬質タグ等の、任意の種類のEASタグまたはラベルに使用することができる。EAS装置の種類はこれらの具体的な例に限定されない。
【0039】
RFID構成要素は、例えば半導体集積回路(IC)および同調可能なアンテナを含み得る。同調可能なアンテナは、アンテナの長さを調整することによって所望の動作周波数に同調され得る。本実施形態は特に極超短波(UHF)スペクトルに有用であり得るが、動作周波数の範囲は異なり得る。用途およびアンテナに利用可能な面積の大きさによって、アンテナは、例えば868〜950MHz等の数百メガヘルツ(MHz)以上内に同調され得る。一実施形態においては、例えば、同調可能なアンテナは、欧州で使用される868MHzの帯域、米国で使用される915MHzの産業科学医療用(ISM)帯域、および日本に提案される950MHzの帯域等のRFID動作周波数内で動作するように同調され得る。再度、これらの動作周波数は例として与えられているに過ぎず、本実施形態は本明細書の記載に限定されないことが留意される。
【0040】
一実施形態においては、例えば、同調可能なアンテナは、RFID用途またはEAS用途に有用な内向きの渦巻き状パターンの、固有のアンテナ形状を有し得る。内向きの渦巻き状パターンはアンテナ配線を入れ子にすることができ、それによって配線を基点に戻す。これは、従来の半波長ダイポールアンテナのものと類似した機能性であるが、外形寸法がより小さなアンテナをもたらし得る。例えば、915MHzの従来の半波長ダイポールアンテナの大きさは、約16.4センチメートル(cm)の長さであろう。対照として、一部の実施形態は、約3.81cmのより短い長さで、915MHzの動作周波数の従来の半波長ダイポールアンテナと同じ性能を提供することができる。さらに、アンテナ配線の端部は、アンテナを所望の動作周波数に同調させるように修正することができる。アンテナ配線の端部はアンテナの周囲から内向きであるため、同調は、アンテナの形状を変えることなく達成することができる。
【0041】
図3Aは、本開示の特に有用な一実施形態に従った第1のシステムを示す。図3Aは、最高30MHzの周波数であると見なされる高周波(HF)帯域の動作周波数を有する、RFID構成要素2を使用して動作するように構成され得る、RFIDシステム100を示す。この周波数範囲では、電磁場の一次成分は磁気である。しかしながら、RFIDシステム100は、所定の実装に所望されるRFスペクトルの他の部分を使用して、RFID構成要素2を動作するように構成することもできる。本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。例として示されたように、RFID構成要素2はEAS構成要素1と部分的に重複する。
【0042】
RFIDシステム100は、複数のノードを含み得る。本明細書で使用される「ノード」という用語は、情報を表す記号を処理し得るシステム、要素、モジュール、構成要素、回路基板、または装置を指し得る。信号の種類は、本来、例えば電気的、光学的、音響的および/または化学的であり得るが、これらに限定されない。図3Aは限られた数のノードを示しているが、RFIDシステム100において任意の数のノードを使用し得ることが認識され得る。本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。
【0043】
まず図4を参照すると、図4は、本開示の特に有用な一実施形態に従ったセキュリティタグ200の側面図を示す。RFID構成要素2は、典型的には基底部分または基板202の対向する側にある、第1の表面または表面積202aおよび第2の表面または表面積202bを有する、基底部分または基板202を含む。アンテナ204は、基板202上に配置される。アンテナ204は、典型的にはアンテナ204の対向する側にある、第1の表面または表面積204aおよび第2の表面または表面積204bを有する。リードフレーム206はアンテナ204上に配置され、特定用途向け半導体集積回路(ASIC)208がリードフレーム206上に配置される。第1および第2の表面または表面積202aおよび202b、204aおよび204bは、RFID構成要素2の画定された表面積である。
【0044】
セキュリティタグ200は、RFID構成要素2の上に配置される実質的に平面の被覆材料またはスペーサ210と、スペーサ210の上に配置されるEAS構成要素1とを含む。スペーサ210は、その対向する側に配置される表面または表面積210aおよび210bを有する。
【0045】
EAS構成要素1は、典型的にはEAS構成要素1の対向する側にある第1の表面または表面積1aおよび第2の表面または表面積1bを有する。第1および第2の表面または表面積1aおよび1bは、EAS構成要素1の画定された表面または表面積である。
【0046】
参照目的で、セキュリティタグ200は、EAS構成要素1の真下、すなわち図1の位置P4に配置されるように示される。セキュリティタグ200は、単なる例として位置P4に示され、図1についてすでに論じたように、EASラベル1に対して任意の位置に配置され得る。また、セキュリティタグ200は、EASラベル1とは完全に独立して、またはそれと合わせて利用することもできる。本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。
【0047】
より具体的には、セキュリティタグ200は、画定された表面積1aおよび1bのうちの1つを有するEAS構成要素1と、画定された表面または表面積202a、202b、204a、および204bのうちの1つを有するRFID構成要素2とを含む。EAS構成要素1の画定された表面または表面積1aおよび1bのうちの少なくとも1つは、RFID構成要素2の画定された表面または表面積202a、202b、204a、および204bのうちの少なくとも1つと少なくとも部分的に重複するように構成される。RFID構成要素2は、EAS構成要素1の画定された表面または表面積1aおよび1bのうちの少なくとも1つと少なくとも部分的に重複するアンテナ204を含み得る。
【0048】
一実施形態においては、RFID構成要素2の画定された表面または表面積は、表面または表面積202aおよび202bのうちの1つである。
【0049】
実質的に平面のスペーサ210は、厚み「t」を有し、EAS構成要素1の画定された表面または表面積1aおよび1bのうちの少なくとも1つと、RFID構成要素2の画定された表面または表面積202a、202b、204a、および204bのうちの少なくとも1つとの間に少なくとも部分的に配置される。
【0050】
図4は限定された数の要素を示しているが、セキュリティタグ200にはより多いまたはより少ない数の要素を使用することができることが認識され得る。例えば、接着性および剥離ライナをセキュリティタグ200に追加して、セキュリティタグ200の監視される対象物への取り付けを補助することができる。当業者は、半導体IC208をリードフレーム206なしでアンテナ204に直接結合し得ることが認識されよう。
【0051】
ここで図3Aを参照すると、RFIDシステム100は、RFIDリーダ102およびセキュリティタグ200も含み得る。セキュリティタグ200は、距離d1だけRFIDリーダ102から物理的に隔てられている。図4について以下で説明されるように、セキュリティタグ200は、それがEAS構成要素、すなわちEASラベルまたはタグを含むという点において先行技術とは異なる、RFIDセキュリティタグ、タグまたはラベルである。RFID構成要素2は、共振回路112を含む。共振回路112は、ASIC208の端子T1およびT2の間に共振コンデンサC2と共に誘導子コイルL2を含む。ASIC208のキャパシタンスは、通常C2と比較してごくわずかである。アンテナ、すなわち誘導子コイル112を適切な周波数に同調させることができるように、共振回路112にさらなるキャパシタンスを追加する必要がある場合は、共振回路112が、その両端に誘導電圧Vが形成され得る端子T1およびT2を有する並列共振回路になるように、コンデンサC2を誘導子コイルL2に並列に接続する。図4について以下に説明されるように、端子T1およびT2はRFID構成要素2の他の部分にカップリングされる。加えて、誘導子コイルまたはアンテナL2のインダクタンス値は、EASラベルまたはタグによって示されるインダクタンスを含む。
【0052】
RFIDリーダ102は、RFIDリーダ102のアンテナとしての役割を果たす誘導子L1を有する同調回路108を含み得る。誘導子コイルまたはアンテナL1の適切な同調を可能にするために同調回路108にさらなるキャパシタンスを追加する必要がある場合は、コンデンサC1を誘導子コイルまたはアンテナL1と直列に接続する。RFIDリーダ102は、RFID構成要素2の並列共振回路アンテナ112に交流作用によって電磁的にカップリングされる、パルス波または連続波(CW)RF電力を同調回路108全体に産生するように構成される。RFID構成要素2からの互いにカップリングされた電磁力は、磁場114を介してRFIDリーダ102にカップリングされる。
【0053】
RFID構成要素2は、磁場114のカップリングされたCW RF電磁力の一部を、RFID構成要素2のRFID動作を実行するために使用される半導体ICの論理回路による使用のための直流信号電力に変換する、電力変換回路である。
【0054】
また、RFID構成要素2は、RFID情報を記憶し、問い合わせ信号104に応じて記憶された情報を通信するメモリを含む、RFIDセキュリティタグでもあり得る。RFID情報は、RFID構成要素2によって使用されるメモリに記憶され得る任意の種類の情報を含み得る。RFID情報の例には、固有のタグ識別子、固有のシステム識別子、監視される対象物のための識別子等が含まれる。RFID情報の種類および量は、本明細書の記載に限定されない。
【0055】
また、RFID構成要素2は、受動RFIDセキュリティタグでもあり得る。受動RFIDセキュリティタグは外部電源を使用せず、電源として問い合わせ信号104を使用する。検出ゾーンZ1は、概して誘導子L1を起点とする半径R1を有する略球面によって境界される、仮想容量の空間として画定される。半径R1は、距離d1が読み取り範囲R1以下である場合、RFIDリーダ102が、端子T1およびT2間に必要とされる閾値電圧Vを誘起して、RFID構成要素2を有効化させるように、検出距離または読み取り範囲R1を画定する。読み取り範囲R1は、他の因子の中でもとりわけ同調回路208からのEM場放射の強度および磁場114に依存する。したがって、EM場放射114の強度が読み取り範囲R1を決定する。
【0056】
RFID構成要素2は、問い合わせ信号104を含む入力RF搬送波信号の整流の結果発生される直流電圧によって有効化され得る。RFID構成要素2が有効化されると、それは次に応答信号110を介してそのメモリレジスタに記憶された情報を伝送することができる。
【0057】
一般的な高周波(HF)動作において、RFIDシステム100の共振回路112がRFIDリーダ102の同調回路108の近隣にある時、交流(AC)電圧Vが、RFID構成要素2の並列共振回路112の端子T1およびT2間に発生される。共振回路112間のAC電圧Vが整流器によって直流(DC)電圧に整流され、整流電圧の大きさが閾値Vに達すると、RFID構成要素2が有効化される。整流器は、前述の特定用途向け集積回路(ASIC)208である。有効化されると、RFID構成要素2は、RFIDリーダ102の問い合わせ信号104を変調することによってそのメモリレジスタ内に記憶されたデータを送信し、応答信号110を形成する。次に、RFID装置106は応答信号110をRFIDリーダ102に伝送する。RFIDリーダ102は応答信号110を受信し、それらをRFID構成要素2からの情報を表すデータの検出シリアルデータワードビットストリームに変換する。
【0058】
図3Aに示されるように、RFIDシステム100は、RFIDリーダ102が磁場114を介して誘導的にRFID構成要素2にカップリングするため、高周波(HF)RFIDシステムであると見なすことができる。HF用途において、アンテナ204は、典型的にはインダクタンスコイルL2によって提供されるようなインダクタンスコイルの種類のアンテナである。
【0059】
図3Bは、RFIDリーダ152が電場Eを介して距離d2離れたRFID装置、タグ、またはラベル156にカップリングする、極超短波(UHF)RFIDシステム150を示す。本明細書において、UHFの周波数帯域は、約300MHzから約3GHzの範囲であると見なされる。UHF範囲には、具体的には868MHzの帯域、915MHzの帯域、および950MHzの帯域の周波数が含まれる。
【0060】
UHF用途について、RFID構成要素2のアンテナ204は、典型的にはUHF開口ダイポールアンテナを含み、一方RFIDリーダ152は、典型的にはパッチアンテナを含む。リーダ152からの同軸給電ラインは、パッチアンテナに接続される。UHFアンテナは、単純な半波長ダイポールアンテナまたはパッチアンテナであり得る。一般的である多くの設計は、直線偏向または円偏向のいずれかであり得る空気充填キャビティ付きパッチアンテナを使用している。電場ベクトルE1およびE2は、円偏向の場合については同等の大きさで回転する。直線偏向アンテナは、特定の直交配向において、より強度の高いE場を有し、これは、特定のRFIDラベル配向に好適であり得る。
【0061】
したがって、UHF用途では、RFID構成要素2のアンテナ204は開口ダイポールアンテナを含み、一方HF用途では、典型的には誘導子L2である。
【0062】
概して、UHF範囲で動作する時、RFID構成要素2がRFIDリーダ152のパッチアンテナによって伝送される周波数への同調を可能にするために、開口ダイポールアンテナ204と平行してC2等のコンデンサを含む必要はない。
【0063】
図4に戻ると、すでに記したように、RFID構成要素2は基底部分または基板202を含み得、これにはアンテナ204、リードフレーム206、およびIC208を装着するために好適な任意の種類の材料が含まれる。例えば基板202の材料には、原紙、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリエーテルイミド(PEI)(例えば、コネチカット州フェアフィールドのGeneral Electric Co.によって販売されているULTEM(登録商標)非晶質熱可塑性PEI)、および/または他の材料が含まれ得る。基板202に実装される特定の材料が、セキュリティタグ200のRF性能に影響を及ぼし得、したがって、誘電率および損失正接が基板202として使用するために適した基板材料の誘電特性を特徴付け得ることは既知である。
【0064】
概して、より高い誘電率は、基板が存在しない自由空間と比較すると、アンテナのより大きな周波数偏移を引き起こし得る。アンテナパターンを物理的に変更することによってアンテナを元の中心周波数に再同調することは可能であり得るが、そのような材料の使用によりタグまたはラベルの大きさをより小さくできるため、高誘電率および低誘電損失を持つ材料を有することが望ましい場合がある。「読み取り範囲」という用語は、RFIDリーダ102とセキュリティタグ200との間の通信動作距離を指すことができる。本実施形態は本明細書の記載に限定されないが、セキュリティタグ200の読み取り範囲の例は1〜3メートルの範囲であり得る。損失正接は、誘電体によるRFエネルギーの吸収を特徴付けることができる。吸収されたエネルギーは熱として失われる可能性があり、ASIC208による使用には利用できない可能性がある。エネルギーの損失は、伝送電力を減少させるのと同じ効果をもたらし得、これに応じて読み取り範囲を減少させ得る。結果として、アンテナ204を調整することによって「同調して消す」ことはできないため、基板202において可能な限り低い損失正接を有することは望ましい場合がある。総合的な周波数偏移およびRF損失は、基板202の厚みにも依存し得る。厚みが増加するにつれて、偏移および損失も増加し得る。
【0065】
一実施形態においては、例えば、基板202は、約3.3の誘電率、および約0.135の損失正接を有する原紙を使用して構成され得る。原紙は、900MHzでは比較的損失が多い。損失が多い材料は、約0.01を超える誘電損率を有する。一実施形態においては、基板202は、約3.3の誘電率、および約0.01未満の損失正接を有するプラスチックから構成され得る。本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。
【0066】
一実施形態においては、セキュリティタグ200は、RFIDチップまたは特定用途向け集積回路(ASIC)(「RFIDチップ」)等の半導体ICを有するIC208を含み得る。RFIDチップ208は、例えば、RFまたはAC電圧をDC電圧に変換するRFまたは交流(AC)整流器と、記憶されたデータをRFIDリーダに伝送するために使用される変調回路と、情報を記憶するメモリ回路と、装置の全体的な機能を制御する論理回路とを含み得る。一実施形態においては、RFIDチップ208は、共にオランダアムステルダムのPhilips Semiconductor製である、I−CODE High Frequency Smart Label(HSL)RFID ASICまたはU−CODE Ultrahigh Frequency Smart Label(USL)RFID ASIC、あるいはスイスジュネーブのST Microelectronics製のXRA00 RFIDチップを使用するように構成され得る。しかしながら、本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。
【0067】
リードフレームは、RFIDチップ208等のRFIDチップのアンテナ204等のアンテナへの取り付けを可能にする、小さな接続部である。一実施形態においては、RFIDチップ208は、リードフレーム206を含まず、アンテナ204に直接結合され得る。また、リードフレーム206は、ダイマウントパドルまたはフラグ、および複数のリードフィンガも含み得る。ダイパドルは、主にパッケージの製造の間、ダイを機械的に支持する役目を果たす。リードフィンガは、ダイを本体外部の回路に接続する。各リードフィンガの一つの端部は、典型的にはワイヤボンディングまたはテープによる自動ボンディングによってダイ上の結合パッドに接続される。各リードフィンガのもう一方の端部はリードであり、基板または回路基板に機械的および電気的に接続される。リードフレーム206は、スタンピングまたはエッチングによって金属薄板から構築され得、その後しばしばめっき工程、ダウンセット、およびテーピング等の仕上げが行われる。一実施形態においては、例えば、リードフレーム206は、例えばフロリダ州ボカ・レイトンのTyco Fire and Security,LLCの一部門である、センサーマティック社製のSensormatic EAS Microlabel(登録商標)リードフレームを使用して実装され得る。しかしながら、本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。
【0068】
一実施形態においては、アンテナ204は、RFID構成要素2の共振回路112の誘導子コイルL2、および必要な場合はコンデンサC2を含む。また、RFIDチップ208にカップリングして、閾値電圧Vに到達すると誘導電圧VがRFID構成要素2を有効化できるように、端子T1およびT2もアンテナ204に含まれる。
【0069】
一実施形態において、アンテナ204は、典型的にはUHF用途用のRFID構成要素2の開口ダイポールアンテナを含む。また、端子T1およびT2も、RFIDチップ208にカップリングして、電場Eがリーダ152のアンテナの励起を可能にするために、アンテナ204に含まれ得る。
【0070】
一実施形態においては、セキュリティタグ200は、完成したセキュリティタグの上に塗布される被覆またはスペーサ材料210も含み得る。基板202と同様、被覆またはスペーサ材料210も、RFID構成要素2のRF性能に影響を及ぼし得る。例えば、被覆材料210は、約3.8の誘電率と、約0.115の損失正接とを有するカバーストック材料を使用して実装され得る。本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。
【0071】
より具体的には、すでに言及したように、実質的に平面のスペーサ210は厚み「t」を有する。厚み「t」は、概してセキュリティタグ200が硬質の組み合わせタグである場合、約1mmから2mmであり、セキュリティタグ200が組み合わせラベルである場合、1mmよりかなり薄い。すでに言及したように、スペーサ210は、その対向する側に配置される表面または表面積210aおよび210bを有する。一実施形態においては、スペーサ表面または表面積210aおよび210bは、互いに平行である。EAS構成要素1は、スペーサ表面または表面積210aおよび210bのうちの少なくとも1つと少なくとも部分的に重複する。
【0072】
RFIDインサートは、当該技術分野において一般的な用語であり、本明細書ではRFID構成要素2として定義することができ、これは基板202と、アンテナ204と、該当する場合リードフレーム206と、RFIDチップ208との組み合わせを含む。RFID構成要素2は、スペーサ表面210bのもう一方の面と少なくとも部分的に重複する。セキュリティタグ200は、RFIDインサートもしくは構成要素2と、スペーサ210とを含む。
【0073】
また、セキュリティタグ200はアンテナ204も含み得る。アンテナ204は、例えばRFID装置106のアンテナ112を表し得るか、あるいはアンテナ204は、並列共振LC回路によって形成され得、ここでLはインダクタンスであり、Cはキャパシタンスである。代替として、アンテナ204は、アンテナ回路の両端にかかる電圧が最大化されるように搬送波信号に同調される、同調可能なアンテナでもあり得る。認識され得るように、これは、アンテナ204の読み取り範囲を増加する。同調回路の正確度が伝送器102によって伝送される搬送波信号のスペクトル幅に関係することは既知である。例えば米国では、現在Federal Communication Commission(連邦通信委員会)(FCC)がRFIDセキュリティタグのスペクトルの一帯域を915MHzに規制している。したがって、伝送器102は問い合わせ信号104を約915MHzで伝送すべきである。問い合わせ信号104を受信するために、アンテナ204を915MHzの信号に注意深く同調させる必要がある。915MHzの用途用に、RFIDタグのアンテナ204を印刷、エッチング、またはめっき加工することができる。
【0074】
EASラベル1は、RFID構成要素2に定負荷のインピーダンスを生じさせるか、または呈する。結果として、RFIDラベル200のアンテナ204は、インピーダンス整合にEASラベル1のこの定負荷を使用する。より具体的には、アンテナ204は複素インピーダンスを有し、EAS構成要素1はアンテナのインピーダンス整合ネットワークの一部を成す。したがって、アンテナ204のインピーダンスはEAS構成要素1の負荷効果を含む。つまり、EAS構成要素1の負荷効果が、EAS構成要素1の定負荷インピーダンスである。EAS構成要素1の負荷効果は、ある誘電率および損失正接を有するEAS構成要素1内に含まれるある材料を、別の誘電率および損失正接を有する別の材料に置き換えまたは交換することによって変化し得る。
【0075】
RFID構成要素チップ208は、等価の直列RC回路として表され得、Rは抵抗器を表し、Cはコンデンサを表す。本回路は、

のように複素インピーダンスZchipで表され、式中、ZおよびZは、チップ208のインピーダンスの実数成分および虚数成分である。RFID装置タグまたはラベルのアンテナ204は、

のように複素インピーダンスZantennaで表すことができ、式中、ZおよびZは、アンテナ204のインピーダンスの実成分および虚数成分である。チップ208がアンテナ204に装着されると、チップ208の複素インピーダンスは、EAS構成要素またはラベル1のインピーダンス整合効果または負荷効果を含む、RFIDアンテナ204のカップリングされた共役インピーダンスに整合される。これにより、RFIDチップ208へカップリングする最大電力が可能になり、最大読み取り範囲R1をもたらす。
【0076】
一実施形態においては、スペーサ210の厚み「t」は、それぞれの読み取り範囲R1を変更するために、RFIDリーダ装置102またはRFIDリーダ装置152のいずれかに対して変化するように、変更することができる。より具体的には、厚み「t」は、読み取り範囲、すなわち、リーダ102もしくは152がセキュリティタグ200を問い合わせることができる、セキュリティタグ200とEAS/RFIDリーダ102もしくはEAS/RFIDリーダ152との間の最大距離R1を決定する。読み取り範囲R1は、厚み「t」が減少するにつれて、不利に影響を受ける。逆に、読み取り範囲R1は、厚み「t」が増加するにつれて増加する。
【0077】
図4および4Aを参照すると、図4Aは、(以下で論じる図8D中の筐体812または図8F中の筐体818等の)硬質タグ筐体内のEAS構成要素1等のEAS要素およびRFID構成要素2等のRFID要素から成る、セキュリティタグ200等のセキュリティタグの、実データおよび近似曲線、それぞれ41および42を示す。スペーサ210はEAS構成要素1とRFID構成要素2との間に配置され、低損失の低誘電性材料から作製され得るか、あるいは空隙であり得る。図4Aに示されるデータの特定の場合において、スペーサ210は空隙である。y軸は読み取り範囲R1をメートル(m)で表示し、一方x軸はスペーサ210等のスペーサの厚み「t」をミリメートル(mm)で表示する。実データ41および近似曲線データ42は、スペーサの厚み「t」が20mm以上に増加すると、読み取り範囲R1は約1.8メートルで本質的に一定であることを示す。スペーサの厚み「t」が約3mmの値に減少されると、読み取り範囲R1は約1メートルに減少する。EAS構成要素1における損失がスペーサの厚み「t」の減少に伴って大きくなるにつれて、読み取り範囲R1はスペーサの厚み「t」の減少に伴って減少し続ける。
【0078】
図4についてすでに記載したように、EASおよびRFID組み合わせタグまたはラベル200において、EAS構成要素1およびRFID構成要素2は少なくとも部分的に重複し、EAS構成要素1はRFIDアンテナ204のインピーダンスの一部である。加えて、図3A、図3B、および図4を参照すると、RFID構成要素2とEAS構成要素1との間のスペーサ210、および対応する厚み「t」を使用して、RFIDリーダ102からのRFID構成要素2の読み取り範囲R1を決定することができる。さらに、厚み「t」を変化させて、特定の用途に応じて様々な好ましいレベルで読み取り範囲R1を確立することができる。したがって、スペーサ210および対応する厚み「t」は読み取り範囲R1を決定し、EASおよびRFID組み合わせタグまたはラベル200のための制御要素として機能する、あるいは換言すれば、スペーサ210の厚み「t」は、RFIDリーダ102とRFID構成要素2との間の読み取り範囲R1を調節するように構成可能である。
【0079】
図4Aに示されたデータは具体的にスペーサ210が空隙である場合のものであるため、読み取り範囲R1とスペーサ210の厚み「t」との間の関係は、スペーサ210に他の低損失の低誘電性材料が選択される場合では異なることが認識される。
【0080】
HF用途向けのリーダ102およびUHF向けのリーダ152は、EAS構成要素1が専用のEASリーダによって読み取られ、一方RFID構成要素2は専用のRFIDリーダによって読み取られるように、EAS構成要素1のみ、またはRFID構成要素2のみのいずれかを読み取ることに留意されたい。代替として、リーダ102およびリーダ152を同一筐体に組み合わせて、あるいはそれらの機能を統合して、同一ハードウェアで実行することができる。EAS構成要素1の読み取り値とRFID構成要素2の読み取り値との間の望ましくない干渉は、EAS構成要素は典型的には8.2KHz以下の範囲の周波数で読み取られ、一方RFID構成要素は典型的には13MHz以上の範囲の周波数で読み取られ、EAS構成要素に一般的である読み取り周波数の範囲と、RFID構成要素に一般的である読み取り周波数の範囲との間の大きな相違のために防止されるか、あるいは最小限に抑えられる。
【0081】
しかしながら、セキュリティタグ200および400は独立型装置であるため、セキュリティタグ200および400が単独もしくは複数のリーダの種類、またはセキュリティタグ200または400が受ける特定の周波数とは
関係なくEAS機能およびRFID機能を提供することが想定される。
【0082】
スペーサ210は、マサチューセッツ州ランドルフのEmerson Cuming Microwave Products,Inc.製のECCOSTOCK(登録商標)RH硬質発泡体、または任意の他の類似の材料等の低損失の低誘電性材料を使用して作製される。本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。前述の材料のうちの1つから作製され場合、スペーサ902の厚み「t」が約0.0762mm(0.003インチ)である時、読み取り範囲は約30.5から61.0cm(1から2フィート)である。同様に、スペーサ210の厚み「t」が少なくとも1.02mm(0.040インチ)である時、読み取り範囲は約127cm(5フィート)である。
【0083】
一実施形態においては、スペーサ210は約0.05mmの厚み「t」を有する薄膜であり得、EAS構成要素1が直接RFID構成要素2と重複する。
【0084】
一実施形態においては、スペーサは空気であり得、EASラベル1は構成要素2から離れて機械的に支持される。
【0085】
結果として、著しく少ない空間もしくは容積および低い費用のEAS/RFID組み合わせ装置が可能になることによって、セキュリティタグ200は先行技術に対する大きな利点を提供する。
【0086】
一実施形態においては、セキュリティタグ200は、動作のためにコイルアンテナからの誘導電圧を使用することができる。この誘導AC電圧は、DC電圧をもたらすように整流され得る。DC電圧が特定のレベルに達すると、RFID構成要素2は動作し始める。伝送器102を介して励起RF信号を提供することによって、RFIDリーダ102は、バッテリ等の外部電源を有しない遠隔に位置するセキュリティタグ200と通信することができる。
【0087】
RFIDリーダとRFID構成要素2との間の励起および通信はアンテナ204を介して達成されるため、アンテナ204は、向上したRFID用途のために同調され得る。アンテナの直線寸法が動作周波数の波長と同程度である場合、RF信号は効果的に放射および受信され得る。しかし、直線寸法はアンテナ204に利用可能である、利用可能な表面積よりも大きい場合がある。したがって、限られた空間の中で本当に完全な大きさのアンテナを利用することは困難であることが判明する可能性があり、これはHF用途におけるほとんどのRFIDシステムについて言える。したがって、RFID構成要素2が所定の動作周波数で共振するように配列されるより小さなLCループアンテナ回路を使用することが企図される。LCループアンテナは、例えば渦巻き状コイルおよびコンデンサを含み得る。渦巻き状コイルは、典型的には誘電体基板上のn巻のワイヤまたはn巻の印刷されたもしくはエッチングされた誘導子によって形成される。
【0088】
HF用途については、良好なRFIDカップリングを達成するために、ループ部分*が製品を巻回し、共振周波数を最適化する必要がある。図3Aに示される本開示の一実施形態においては、共振周波数は、EASラベル1およびRFIDチップ208のインピーダンスに対する効果を含み、共振回路112の並列コンデンサC2を同調させることにより生じさせることができる。
【0089】
HFまたはUHF用途のいずれかで、対象とする特定の周波数について、RFIDチップの複素インピーダンスは、EASラベルのインピーダンスに対する負荷効果を含み、アンテナの複素共役インピーダンスによって整合されなければならない。HFの場合、周波数を同調させるために、一般的に共振コンデンサが使用される。このコンデンサは、通常RFIDチップのキャパシタンスより大きく、応答を決定づける。UHFの場合については、RFIDチップの複素インピーダンスは、同調のためのチップキャパシタンスのみ含む。
【0090】
本開示に従う別の実施形態においては、アンテナ204は、アンテナ全体の複素共役が、インピーダンスを所望の動作周波数、例えば915MHzでリードフレーム206およびIC208の複素インピーダンスに整合するように、設計され得る。しかしながら、RFIDセキュリティタグ200が監視される対象物上に定置されると、結果として生じる動作周波数が変化することが認められており、すなわち、それぞれの対象物がアンテナ204のRF性能に影響を及ぼす誘電特性を持つ基板材料を有し得る。換言すれば、基板202と同様、対象物の基板は誘電率、損失正接、および材料の厚みによって決定される周波数偏移およびRF損失を生じ得る。対象物の異なる基板の例には、いわゆる「チップボード」(すなわち、アイテムレベルのカートンに使用される材料で、段ボール箱に使用される材料である波形ファイバーボード)、ビデオカセットおよびデジタルビデオディスク(DVD)ケース、ガラス、金属等が含まれ得る。それぞれの対象物の基板がセキュリティタグ200の読み取り範囲R1に著しい影響を及ぼし得ることが企図される。
【0091】
アンテナ204は、そのような変動を埋め合わせるように同調可能であり得る。換言すれば、多くの材料の誘電率は1よりも大きいため、セキュリティタグ200が対象物の基板に取り付けられると、動作周波数は、典型的には低下する。元の周波数を確立するために、アンテナ204は、典型的には何らかの様式で変更され、そうでなければ検出性能および読み取り範囲が減少し得る。したがって、アンテナ204は、アンテナ導体を切断することによってアンテナ204の端部を切り縮め、結果として生じた切り縮められたアンテナセグメントを切り取られた端部から絶縁することによって、変更することができる。切り縮められた端部は、必ずしも同調動作を可能にするために取り外される必要はない。結果として、アンテナ204の所望の動作周波数への連続的な同調により、セキュリティタグ200が異なる対象物に取り付けられる際に、セキュリティタグ200の動作を可能にすることができる。セキュリティタグ200全般、特にアンテナ204について、図5〜7を参照して以下により詳細に記載する。
【0092】
図5は、特にUHF用途に好適である、本開示に従う一実施形態に従ったアンテナを備える部分的セキュリティタグ200の上面図を示す。セキュリティタグ200は、実質的に長方形の形状である基板202上に配置されるアンテナ204を含む。想定される一実施形態においては、アンテナ204は、ラベルのアンテナパターンを基板202上にダイカットすることにより、基板202上に配置される。
【0093】
RFIDチップ208は、リードフレーム206をRFIDチップ208上の導電性パッドに超音波結合することによって、リードフレーム206に接続され得る。図5の特定の実施形態において、RFIDチップ208およびリードフレーム206は、基板202の誘電体基板材料の幾何学的中心に定置される。リードフレーム206の端部は、アンテナ204のフォイルアンテナパターンに物理的および電気的に結合することができる。アセンブリを保護し、所望の場合印を印刷するための表面を提供するように、セキュリティタグ200の上面全体に被覆材料210(図示せず)が塗布される。RFIDチップ208をアンテナ204に結合するための、異方導電性の熱硬化性接着剤の使用が、当該技術分野において既知である。そのような接着剤の一例は、コネチカット州ロッキーヒルのHenkel Loctite Corporation製のLoctite383(登録商標)である。また、アンテナ204は複数のアンテナ部分も含み得る。例えば、アンテナ204は第1のアンテナ部分306および第2のアンテナ部分308を含み得、第1のアンテナ部分306はリードフレーム206の第1の側面206Aに接続され、第2のアンテナ部分308はリードフレーム206の第2の側面206Bに接続される。したがって、アンテナ204は、RFIDタグアンテナ全体であり、これが第1のアンテナ部分306と第2のアンテナ部分308にさらに分割される。
【0094】
第1のアンテナ部分306は第1のアンテナ端部306Aおよび第2のアンテナ端部306Bを有し得る。同様に、第2のアンテナ部分308は第1のアンテナ端部308Aおよび第2のアンテナ端部308Bを有し得る。一実施形態において、図5に示されるように、第1のアンテナ部分306の第1のアンテナ端部306Aは、リードフレーム206Aに接続される。第1のアンテナ部分306は基板202上に配置され、RFIDチップ208から第1の方向に内向きの渦巻き状パターンを形成し、第2のアンテナ端部306Bは内向きの渦巻き状パターンの内側のループで終点するように位置付けられる。同様に、第2のアンテナ部分308の第1のアンテナ端部308Aは、リードフレーム206Bに接続され得る。また、第2のアンテナ部分308も基板202上に配置され、RFIDチップ208から第2の方向に内向きの渦巻き状パターンを形成し、第2のアンテナ端部308Bは、内向きの渦巻き状パターンの内側のループで終点するように位置付けられる。
【0095】
一実施形態においては、アンテナ204のアンテナ形状は、基板202の周囲を通って内向きの渦巻き状になるように構成される。内向きに方向付けられた渦巻き状のアンテナパターンは、いくつかの利点を提供し得ることが想定される。
(1)アンテナ204の端部を基板202の周囲の十分に内側に定置することができる。アンテナ204の端部を基板202の周囲内に定置することにより、アンテナ204によって使用される面積の量を変更することなく端部を切り縮めることが可能になり得る。
(2)アンテナ204のQ因子は、スペーサ210およびEASラベル1の効果を含むセキュリティタグ200の応答が、ISM帯域制限で約−3dBのみ変化するように、最適化され得る。Q=1/(ka)+1/(ka)(式中、k=2π/λであり、「a」はアンテナ204の特性寸法である)のChu−Harrington制限を使用して、半径「a」の球面がちょうどセキュリティタグ200を取り囲むことが理解され得る。高Q因子については、「ka」は<<1であるはずである。したがって、Qを最大化することにより、「a」は動作周波数の帯域制限内に含まれるように最小化される。UHF用途向けのアンテナ204の同調は、2004年8月13日に出願された、R.CopelandおよびG.M.Shaferによる同時継続の共同所有された米国特許出願整理番号第10/917,752号、発明の名称「TUNABLE ANTENNA」に、さらに詳細に開示されている。
【0096】
アンテナ204は、アンテナ部分が基板202上に配置された後、第1のアンテナ部分306のために第1の長さを、そして第2のアンテナ部分308のために第2の長さを修正することによって、特にUHF用途向けに、所望の動作周波数に同調させることもできる。例えば、各アンテナ部分を複数のセグメント点で複数のアンテナセグメントに分割することができる。第1および第2のアンテナの長さは、第2のアンテナセグメントから少なくとも第1のアンテナセグメントを電気的に絶縁することによって、修正することができる。アンテナの長さは、各セグメント点をアンテナ204の動作周波数に対応させて、複数のセグメント点のうちの1つで各アンテナ部分に切断することによって修正することができる。第1のアンテナ部分306および第2のアンテナ部分308の複数のアンテナセグメントへの分割は、各アンテナ部分の長さの短縮をもたらし、それにより、アンテナ204の総インダクタンスを効果的に変更する。アンテナセグメントおよびセグメント点について、図6を参照してより詳細に記載する。
【0097】
図6は、一実施形態に従ったセグメント点を有するアンテナを備える、セキュリティタグ400の図を示す。特に、図6は、複数のセグメント点SP1、SP2、SP3、およびSP4を有するセキュリティタグ400の部分の上面図を示す。セキュリティタグ200について図4に示したものと同様の様式で、セキュリティタグ400は、EAS構成要素1、スペーサ210、およびRFID構成要素2を含み得る。アンテナ204は、アンテナ部分が基板202上に配置された後、第1のアンテナ部分306のために第1の長さを、そして第2のアンテナ部分308のために第2の長さを修正することにより、所望の動作周波数に同調させることもできる。例えば、各アンテナ部分は、複数のセグメント点SP1〜SP4で複数のアンテナセグメントに分割され得ることが企図される。複数のセグメント点SP1〜SP4は、アンテナ204が様々な対象物に同調されるように切断されるか、または切り縮められ得る、最終同調位置を表す。SP1は、元の自由空間内のアンテナ204の長さが868MHzに同調される、自由空間内の位置である。SP2は、アンテナ部分306および308の長さが915MHzに同調される、自由空間内の位置である。SP3およびSP4は、アンテナ部分306および308の長さが様々な対象物に同調される、自由空間内の位置である。様々な対象物には、例えば小売および/または卸売り商品が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
第1および第2のアンテナの長さは、第2のアンテナセグメントから少なくとも第1のアンテナセグメントを電気的に絶縁することによって、修正することができる。アンテナの長さは、各セグメントをアンテナ204の動作周波数に対応させて、複数のセグメント点のうちの1つで各アンテナ部分を切断することによって、修正することができる。切断は、アンテナ配線を所定のセグメント点SP1〜SP4で切り取るか、または穿孔する等の多数の異なる方法で達成され得る。切断は、セグメント点に溝402、404、406、408、410、および412等の溝を生じ得る。
【0099】
HF用途について、アンテナ204は、セグメントの長さではなく、インダクタンスまたはキャパシタンスパラメータを変更することによって同調されることに留意されたい。
【0100】
一実施形態において、図6に示されるように、各セグメント点SP1〜SP4は、アンテナ204の動作周波数に対応する。一例では、セキュリティタグ400が自由空間にあり、対象物に取り付けられていない時、SP1はアンテナ204を約868MHzの動作周波数に同調させることができる。SP2は、セキュリティタグ400が自由空間にあり、対象物に取り付けられていない時、アンテナ204を約915MHzの動作周波数に同調させることができる。SP3は、セキュリティタグ400がVHSカセット筐体に取り付けられている時、アンテナ204を約915MHzの動作周波数に同調させることができる。SP4は、セキュリティタグ400がチップボードに取り付けられている時、アンテナ204を約915MHzの動作周波数に同調させることができる。認識され得るように、セグメント点の数およびアンテナ204の対応する動作周波数は、所定の実装によって異なり得る。本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。
【0101】
図7は、本発明の別の実施形態に従ったブロック流れ図500を示す。前述のように、セキュリティタグ200は多数の異なる方法で構成され得る。例えば、1)ブロック502で集積回路をリードフレームに接続することができる、2)ブロック504でアンテナを基板上に配置することができる、3)ブロック506でリードフレームをアンテナに接続することができる。
【0102】
特定の一実施形態においては、ブロック508でアンテナが動作周波数で使用するように同調される。同調は、動作周波数に対応するセグメント点でアンテナを複数のアンテナセグメントに切断してアンテナの長さを修正することによって、実行することができる。切断は、第2のアンテナセグメントからの第1のアンテナセグメントの電気的接続を絶つことができ、それによってアンテナの長さを効果的に短縮する。
【0103】
上記のように、RFIDチップに接続された際、内向きの渦巻き状パターンの固有のアンテナ形状が、RFID用途にとって有用であり得る。しかしながら、すでに記したように、図5および6に示される固有のアンテナ形状は、セキュリティタグ200およびセキュリティタグ400が、それぞれEAS構成要素1およびスペーサ210を含むEASシステムにとっても有用であり得る。一実施形態においては、RFIDチップ208は、電圧および電流特性が非線形であるダイオードまたは他の非線形受動素子に置き換えることができる。ダイオードまたは他の非線形受動EAS素子のアンテナは、図5および6に示されるものと同一の形状を有し得、EASシステムの問い合わせ信号を伝送するために使用される伝送器の動作周波数に、アンテナを同調させるように切り縮めることができる。本実施形態は868〜950MHz等のUHFスペクトルに特に有用であり得るが、RFIDシステム100と同様、動作周波数の範囲は異なり得る。本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。
【0104】
図3A、図3B、図4、および図4Aを参照してすでに論じたように、EASおよびRFID組み合わせタグまたはラベル200の読み取り範囲R1は、スペーサ210の厚み「t」を変化させることにより、測定、制御、および変化することができる。また、同様の様式で、セキュリティタグ400の読み取り範囲R1を、スペーサ210の厚み「t」を変化させることにより、測定、制御、および変化させることができる。
【0105】
また、本開示の一部の実施形態は、1)所望の計算速度、2)電力レベル、3)熱耐性、4)処理サイクル予算、5)入力データ速度、6)出力データ速度、7)メモリ資源、8)データバス速度、および他の性能制約等の、任意の数の因子に従って異なり得る構造を使用して構成され得ることが企図される。例えば、一実施形態は、汎用プロセッサまたは専用プロセッサによって実行されるソフトウェアを使用して構成することができる。別の例では、一実施形態は、回路、ASIC、プログラム可能論理デバイス(PLD)、またはデジタル信号プロセッサ(DSP)等の専用ハードウェアとして構成することができる。さらに別の例では、一実施形態は、プログラムされた汎用コンピュータ構成要素とカスタムハードウェア構成要素との任意の組み合わせによって構成することができる。本実施形態は、本明細書の記載に限定されない。
【0106】
EASおよびRFID組み合わせラベル/タグであるセキュリティタグ200および400の例を、フロリダ州ボカ・レイトンのTyco Fire and Security,LLCの一部門である、Sensormaticセンサーマティック社製のSuperTag(登録商標)等の、様々な種類の磁歪式接着性ラベルおよびEAS硬質タグを示す、図8A〜8Dに示す。図8Aは、同一平面構成にある、RFIDラベル806に隣接するEASラベル804を示す。隣接するラベル804および806の本構成は、先行技術において既知である。図8Bは、図8AのEASラベル804およびRFIDラベル806の同一平面構成の変形物を示し、EASラベル804およびRFIDラベル806は、距離「g」を有する空隙805によって互いに隔てられている。空隙805によって隔てられる804および806の本構成も、先行技術において既知である。
【0107】
図8Aおよび8Bの両構成において、EASラベル804およびRFIDラベル806は、インピーダンス値の整合について、互いに独立して作用する。「g」が増加すると、読み取り範囲が増加する。結果として、空隙「g」の大きさがインピーダンス負荷を制御する。しかしながら、読み取り範囲は増加するが、EASラベル804およびRFIDラベル806によって占有される総面積が増加し、必然的に特定される対象物上により多くの空間または面積を占有するため、これは望ましい効果ではない。
【0108】
図8Cは、EAS構成要素またはラベル1を示す、セキュリティタグ200または400の本開示の実施形態を示す。RFID構成要素またはインサート2は、EAS構成要素またはラベル1の真下に装着される。ダミーバーコード802がEAS構成要素またはラベル1上に印刷されており、これは単に視覚的なものであるに過ぎない。ダミーバーコード802は、EASまたはRFID機能は有しない。先行技術と比較すると、(図4に示されるように)EAS構成要素またはラベル1の真下に装着されるRFID構成要素またはインサート2を備える、EAS組み合わせ構成要素またはラベルもしくはタグ1としてのセキュリティタグ200もしくは400の本構成は、RFID構成要素またはインサート2とEASラベル1との間に最小限の分離を提供する。
【0109】
図8Dは、RFID構成要素またはインサート2を備えるEAS組み合わせ構成要素またはラベル1のための筐体の一部分812の、本開示の一実施形態を示す。RFID構成要素またはインサート2は、アンテナ204に装着されたRFIDチップ208を含むと定義される。しかし、スペーサ210または接着層は可視的でない(図4を参照)。
【0110】
図8Eは、図8Dに開示されるRFID構成要素またはインサート2を備えるEAS組み合わせ構成要素またはラベル1の立面図であるが、EAS構成要素またはラベル1とRFID構成要素またはインサート2との間に配置されるスペーサ210が示されている。
【0111】
図8Fは、RFID構成要素またはインサート2に類似したRFIDインサート814を備える、EAS構成要素またはラベル1に類似した組み合わせEASラベル816のための筐体の一部分818の、本開示の一実施形態を示す。RFIDインサート814は、アンテナ204に装着される別のRFIDチップ820として定義される。やはり、スペーサ210または接着層は可視的でない(図4を参照)。
【0112】
図8Gは、図8Fに開示されるRFIDインサート814を備える組み合わせEASラベル816の立面図であるが、EASラベル816とRFIDインサート814との間に配置されるスペーサ210が示されている。
【0113】
図9は、本発明の別の実施形態を示す。図9において、EAS/RFID組み合わせセキュリティタグは、2本の内向きの渦巻き状アンテナ区分910および920を備える渦巻き状アンテナ有するハイブリッドアンテナインレイ900、ならびに内向きの渦巻き状アンテナ910および920に電気的にカップリングされた長方形の磁界ループアンテナ930を含む。図9に示されるように、RFIDチップ940は磁界ループアンテナ930に電気的にカップリングされ、磁界ループアンテナ930は内向きの渦巻き状アンテナ910および920に電気的に接続される。特定の非限定的な例では、ImpinjのGen.2 MonzaのRFIDチップが使用される。磁界ループアンテナ930の全体的な形状は、近距離場磁場H性能が最適化されるようなものである。渦巻き状アンテナ910および920が遠距離場応答を有利に決定づける。
【0114】
また、磁界ループアンテナ930は、RFIDチップ940へのESD損傷を軽減する手段としての役割を果たす。硬質タグ筐体の製造過程または超音波溶接により産生される低周波数電場または静電場Eに対して、磁界ループアンテナ930は、本質的にRFIDチップ940の両端の短絡回路である.例えば、渦巻き状アンテナ910の一端部から渦巻き状アンテナ920の端部へと放電が開始される場合、ループアンテナ930はRFIDチップ940から放電電流を逸らす。
【0115】
物理的に、渦巻き状アンテナ910および920は、RFIDチップ940に直接ではなく、磁界ループアンテナ930に接続される。図9に示されるハイブリッド渦巻き状/ループアンテナインレイの長さに沿ってE場が印加されると、(図9の左に示される)渦巻き状アンテナ910の端部で電流が低レベルで始まり、磁界ループアンテナ930の接続点へと次第に増加する。したがって、この電流方向は反時計回りである。磁界ループの電流も反時計回りの方向のものであるが、ずっと大きな値である。磁界ループ接続点から(図9の右に示される)渦巻き状アンテナ920への電流は、反時計回りの方向のものであり、このアンテナ配線の端部に向かって次第に減少する。したがって、各渦巻き状アンテナ910および920の電流の方向は同じである。
【0116】
そして、図9に示されるハイブリッドアンテナインレイ900は、EAS構成要素1、スペーサ要素210、および取り付け具締付機構を含む、ハイブリッドEAS/RFIDタグの筐体の内側に定置される。図9のハイブリッドアンテナインレイ900を利用するEAS/RFIDセキュリティタグは、任意の従来のRFIDリーダで読み取ることができる。
【0117】
図9Aは、スペーサ要素210の関数としての最大読み取り範囲の依存性を示す。図9Aは、図9のハイブリッドアンテナインレイ900を使用した硬質タグ筐体内のEAS構成要素1等のEAS要素およびRFID構成要素2等のRFID要素から成るセキュリティタグ200等のセキュリティタグの、スペーサ210の厚みの関数としての最大読み取り範囲を表す、実データ950を示す。
【0118】
y軸は読み取り範囲をセンチメートル(cm)で表示し、一方x軸はスペーサ210の厚み「d」をミリメートル(mm)で表示する。実データ950は、スペーサの厚み「d」が4mm以上に増加すると、読み取り範囲は約250センチメートルで本質的に一定になることを示す。スペーサの厚み「d」が約1mmの値に減少されると、読み取り範囲は約210センチメートルに減少する。EAS構成要素1における損失がスペーサの厚み「d」の減少に伴って大きくなるにつれて、読み取り範囲はスペーサの厚み「d」の減少に伴って減少し続ける。
【0119】
本発明と併用される近距離場リーダの磁場Hループアンテナの一例は、ループの供給端の逓降変圧器と、中間点の2つの同調コンデンサと、ループの反対端の終端抵抗器とを使用する、直径2cmの円形ループである。しかしながら、本発明は、近距離場リーダのループアンテナの特定の直径または種類に限定されない。また、近距離場リーダのループアンテナは、フェライト材の円筒形のスラグも含み得る。近距離場リーダのループアンテナの大きさは、典型的には従来の近距離場E場アンテナよりも小さい。
【0120】
図9Bは、近距離場リーダの磁界ループアンテナの中心のものに対する、インレイの中心からのタグの変位の関数としての、図9のハイブリッドアンテナインレイ900および先行技術の渦巻き状アンテナインレイのRFID読み取り性能特性を示す。図9Bで認められ得るように、ハイブリッドアンテナインレイ900の使用は、従来のアンテナ配列と比較して、アンテナ上の優れた読み取り距離を提供し、また、読み取り領域の急激な低下(アンテナの中心からのインレイの変位の程度)を提供する。
【0121】
EAS/RFID組み合わせタグを備えるハイブリッドアンテナインレイ900の使用は、純粋な渦巻き状アンテナと同じ遠距離場の読み取り性能を提供するだけでなく、近距離場の磁気応答の改善も提供する。ハイブリッドアンテナインレイ900の所定の外形寸法について、渦巻き状アンテナ領域の磁界ループアンテナ領域に対する比率が維持されるべきである。図9Cは、これらのアンテナ領域を示す。
【0122】
図9Cでは、領域1は磁界ループアンテナ930の領域を表し、一方領域2および3は、それぞれ右側と左側の内向きの渦巻き状アンテナ920および910を表す。一実施形態においては、渦巻き状アンテナと同じ遠距離場応答を達成するために、ハイブリッドアンテナインレイ900は3つの全ての領域に対して実質的に類似した面積比を有する。例えば、領域1の面積が領域2および3よりも実質的に小さい場合、遠距離場応答は渦巻き状のものと同じであり得るが、近距離場の磁気応答を最適化できない場合がある。領域1が領域2および3よりも実質的に大きくなると、インレイ900の所定の外形寸法について、EAS/RFID組み合わせセキュリティタグの内側に定置される際、渦巻き状アンテナ配線がUHF領域で動作するのに十分な空間がない場合がある。EAS装置の種類およびRFIDの組み合わせは、本明細書に記載されるEASおよびRFID装置のみに限定されない。
【0123】
単独のスペーサ要素(または複数のスペーサ要素)を、異なるまたは様々な寸法(すなわち長さ、幅、厚み等)を有する異なる形状構成またはパターンで構成し、特定の目的に応じた読み取り範囲をもたらす、またはRFID構成要素の読み取り範囲をさらに調節し得ることが企図される。RFID要素読み取り範囲は、RFID要素とEAS要素との間の間隔に影響され、制御される。
【0124】
本明細書に記載されるように、本実施形態の一部の特徴を示したが、当業者には、多くの修正、置き換え、変更、および同等物が思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような全ての修正形態および変更形態を本実施形態の真の精神の範囲内に含まれるとして網羅することが意図されることを理解されたい。
【0125】
当業者には、上記の本明細書において具体的に示され、記載されたものに本発明が限定されないことが認識されるであろう。加えて、上記で逆の言及がなされていない限り、付随する全ての図面は原寸に比例しないことに留意されたい。上記の教示を踏まえると、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な修正形態および変形形態が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティタグであって:
第1の画定された表面積を有する電子物品監視(EAS)構成要素と;
第2の画定された表面積を有する無線周波数(RFID)構成要素であって、
アンテナインレイであって、
内向きの渦巻き状アンテナと、
前記渦巻き状アンテナと電気接触する磁界ループアンテナと、
前記ループアンテナと電気接触する集積回路と、を備える、アンテナインレイを備える、RFID構成要素と;
厚みを有する実質的に平面のスペーサであって、前記スペーサは、前記EAS構成要素の前記第1の画定された表面積と前記RFID構成要素の前記第2の画定された表面積との間に少なくとも部分的に配置され、前記スペーサの前記厚みは、前記RFID構成要素の読み取り範囲を調節するように構成可能である、スペーサとを含む;
セキュリティタグ。
【請求項2】
前記渦巻き状アンテナは、第1の区分および第2の区分を有し、前記磁界ループアンテナは、前記渦巻き状アンテナの前記第1の区分と前記第2の区分との間に位置付けられる;
請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項3】
前記渦巻き状アンテナの前記第1の区分、前記渦巻き状アンテナの前記第2の区分、および前記磁界ループアンテナは、それぞれ対応する画定された面積を有し、前記渦巻き状アンテナの前記第1の区分、前記渦巻き状アンテナの前記第2の区分、および前記磁界ループアンテナの前記画定された面積は、実質的に等しい;
請求項2に記載のセキュリティタグ。
【請求項4】
前記RFID構成要素は、前記RFID構成要素が前記読み取り範囲内にある時、有効化が可能である;
請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項5】
前記渦巻き状アンテナの前記第1および前記第2の区分内の電流は、同一方向に流れる;
請求項2に記載のセキュリティタグ。
【請求項6】
前記磁界ループアンテナは、近距離場磁場Hアンテナである;
請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項7】
電子物品監視(EAS)構成要素および無線周波数識別(RFID)構成要素の組み合わせの読み取り範囲を調節する方法であって:
前記EAS構成要素と前記RFID構成要素との間にスペーサを配置するステップであって、前記RFID構成要素は、磁界ループアンテナと電気接触する内向きの渦巻き状アンテナと、前記ループアンテナと電気接触する集積回路とを有するアンテナインレイを備える、ステップと;
前記スペーサの前記厚みを変化させて、前記RFID構成要素の読み取り範囲を調節するステップと、を含む;
方法。
【請求項8】
前記RFID構成要素は、前記RFID構成要素が前記読み取り範囲内にある時、有効化が可能である;
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記渦巻き状アンテナは、第1の区分および第2の区分を有し、前記磁界ループアンテナは、前記渦巻き状アンテナの前記第1の区分と前記第2の区分との間に位置付けられる;
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記渦巻き状アンテナの前記第1の区分および前記第2の区分は、それぞれ対応する画定された面積を有し、前記磁界ループアンテナは、対応する画定された面積を有し、前記渦巻き状アンテナの前記第1の区分、前記渦巻き状アンテナの前記第2の区分、および前記磁界ループアンテナの前記画定された面積は、実質的に等しい;
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記渦巻き状アンテナの前記第1および前記第2の区分の電流は、同一方向に流れる;
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記磁界ループアンテナは、近距離場磁場Hアンテナである;
請求項7に記載の方法。
【請求項13】
EAS/RFID組み合わせセキュリティタグにおいて使用するためのRFIDアンテナインレイであって、前記EAS/RFIDセキュリティタグは、EAS構成要素と、RFID構成要素と、前記EAS構成要素と前記RFID構成要素との間に位置付けられるスペーサ要素と、を有し、前記アンテナインレイは:
第1の区分および第2の区分を有する内向きの渦巻き状アンテナと;
前記渦巻き状アンテナにカップリングされ、前記渦巻き状アンテナの前記第1の区分と前記渦巻き状アンテナの前記第2の区分との間に位置する磁界ループアンテナと;
前記磁界ループアンテナにカップリングされる集積回路とを含み;
前記スペーサ要素は厚みを有し、前記スペーサ要素の前記厚みは、前記RFID構成要素の読み取り範囲を調節するように構成可能である;
RFIDアンテナインレイ。
【請求項14】
前記渦巻き状アンテナの前記第1の区分、前記渦巻き状アンテナの前記第2の区分、および前記磁界ループアンテナは、それぞれ画定された面積を有し、前記渦巻き状アンテナの前記第1の区分、前記渦巻き状アンテナの前記第2の区分、および前記磁界ループアンテナの前記画定された面積は、実質的に等しい;
請求項13に記載のRFIDアンテナインレイ。
【請求項15】
前記RFID構成要素は、前記RFID構成要素が前記読み取り範囲内にある時、有効化が可能である;
請求項13に記載のRFIDアンテナインレイ。
【請求項16】
前記渦巻き状アンテナの前記第1および前記第2の区分の電流は、同一方向に流れる;
請求項13に記載のRFIDアンテナインレイ。
【請求項17】
前記磁界ループアンテナは、近距離場磁場Hアンテナを有する;
請求項13に記載のRFIDアンテナインレイ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図9】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公表番号】特表2011−504338(P2011−504338A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534037(P2010−534037)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/012756
【国際公開番号】WO2009/064443
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(510024514)センサーマティック・エレクトロニクス・エルエルシー (21)
【Fターム(参考)】