説明

ハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造

【課題】 従来は、吊りローラに、ホースハンガーを均一に設ける構造であり、次の課題があった。水圧によるホースと電線の伸び率の違いにより、往復運転走行の復路では、ホースハンガーが戻らなくなる不具合が発生し、収容・連結に困ること、吊りローラが脱落すること、又は往復運転走行の往路での走行に障害となる。
【解決手段】 ハウスに敷設したレールに沿って走行する散布機、走行車と、この散布機に接続したホースを備えたハウスの散水、又は防除装置で、ホースを吊下する複数個の吊りローラは、それぞれ連結可能であり、かつ連結具で走行車に連結し、吊りローラには、長短の吊り杆で、それぞれホースハンガーを設け、隣接するホースハンガーの吊り杆が長短となるハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハウスの散水、又は防除装置におけるホースハンガーは、ケーブルに沿って移動する走行車(台車)に伴って移動する鍵型の吊りローラに支持されるフック構造か、又は、さらに改良を加え、この鍵型の吊りローラに可動自在に支持されるフック構造である。
【0003】
従って、走行車が走行(移動)する際に、その先達の吊りローラを、常時、先頭にして、複数個の吊りローラを、順次、切離しながら走行するとともに、散水、又は防除し、この散水、又は防除した後は、先達の吊りローラから順次、次の吊りローラを連結(連繋)しながら走行車が戻り方向走行し(後退し)、最終の吊りローラが走行車に連結され、最初の状態に戻る構造である。この構造において、片道(片道噴霧)走行での連結は問題ない。しかし、例えば、図6−1に示した如く、往復運転(往復噴霧)走行の時は、二、三個の吊りローラ(ホースハンガー)が、元(当初)の状態に戻らなくなり、この二、三個の吊りローラ(A部)が、次のレール(レーン)への運転時に連結されず、二つのブロック(A部と、B部である。一例であり、このA部と、B部が複数であって、多数のブロック状況もあり得る)に分かれて発進する状況となる。このホースハンガーが二つのブロックに分かれて発進することで、次のような問題が発生する。即ち、走行車に連結されていない、図6−2に示す如く、連結されずに離れたホースハンガーは、それぞれ同じ力で、イ、ロの矢印方向(進行方向の前後方向)に引っ張られると支点の位置が変わるため、一方のブロック同士(A部)が離れにくくなること、又は離れた瞬間に威勢よく分割されるため、最悪の場合は、吊りローラが、レールから脱落する可能性がある。
【0004】
以上の状況を、図7−1〜図7−3と、図8−1〜図8−3を基に説明すると、例えば、図8−1〜図8−3に示した往復運転走行の時に、ホースハンガーが戻らなくなる原因は、水圧によるホースと電線の伸び率の違いにより、往復運転走行の復路では、ホースハンガーが戻らなくなる不具合が発生するので、詳細に説明する。先ず、この往復運転走行の往路では、各ホースの形状は、ホースと電線の伸び率の違いにより“l(リットル)”字形状を維持したまま離れてゆき、原則として、問題はない。しかし、この往復運転走行の復路では、動噴継続(動力噴霧機の噴霧継続状態を云う)して運転されるため、ホース内の内圧は下がらず、ホースの形状は“l(リットル)”字形状を維持したまま収容へ向かうため、一部のホースハンガーが元の位置に戻らず(一部乱れる状況となり)。もって、ホースハンガーの連結の不具合が発生する。
【0005】
尚、図7−1〜図7−3に示した、片道走行の復路では、非動噴(動力噴霧機の噴霧停止状態を云う)のためホース内の内圧が下がり、“l(リットル)”字形状は“ハ”字形状に変化する。従って、このままの状態で収容されれば、ホースハンガーの連結は確実に行われる。
【0006】
以上のような改良点と問題点を解決するための先行文献を、以下に列挙します
文献(1)は、特開2008−17731の「液体散布支援システム」であり、この発明の明細書中に、[0030]において、「ホース(23)の途中は、適宜間隔ごとの懸垂箇所(24)に吊られ、分岐軌道(50)をカーテンレール状に利用して受動的に移動自在」と開示されている。そして、その他の箇所にも記載はあるが、図面を参照しても、この懸垂箇所(24)の構造は開示されていない。従って、その詳細は不明である。
【0007】
また、文献(2)は、特開平6−71205号の「植物ハウスでの液体散布装置」であり、この発明の明細書中に、[0017]において、「ホース支持具(23)23は図7に示すように左右両端部を斜め上向きに折曲げホース受板(47)の上面には、走行レール(1)の鍔部(8)を両側から挾持する対の転動ローラ(48)を有する構造」である。そして、その他の箇所にも記載はあるが、図面を参照すると、板材でなるホース受板(47)の受け部にホースを架承する構造である。そして、この発明では、ホース受板(47)は、作業台車受入れレール(22)に隣接した収容レールの収容部(24)に、順次、収容される。
【0008】
さらに、文献(3)は、特開平9−84471号の「ビニールハウス用散水装置」であり、この発明の明細書中に、[0015]において、「ホース(16)は、車輪(18A)により貯水槽(9)の側壁上縁に沿って移動可能なハンガー(18)により支持される構造」である。そして、その他の箇所にも記載はあるが、図面を参照すると、L形の冶具と、この冶具の下片に設けたフックにホース(16)と、電源コード(21)を吊下する構造である。そして、この発明では、ハンガー(18)は、貯水槽(9)の側壁上縁に沿って前進後退、かつ並列して収容される。
【0009】
そして、文献(4)は、特開2005−102の「土壌消毒用熱水散布保温装置とその使用方法」であり、この発明の明細書中に、[0013]において、「レールハンガー(3)は、上方のハウスキールパイプ(2B)に対するパイプハンガー体(3A)と、パイプハンガー体(3A)に対して昇降自在に連結されたネジ棒(3B)と、ネジ棒(3B)の下端に昇降自在に連結されたレールハンガー体(3C)から構成されている。このパイプハンガー体(3A)は、縦長の細巾板の上端にハウスキールパイプ(2B)に係脱するフック部(3A1)を形成し、また、細巾板の下端に水平部(3A2)が連設されている。
そして、レール(4)は所定長さのパイプで構成され、レールハンガー体(3C)における水平部(3C1)の上面に載置し、ボルト(4A)で固定されている」。この発明のレールハンガー(3)は、噴管吊り台(5)を移動可能に支持するレール(4)を架承する器具であり、熱水供給ホース(7)を吊下する構造でない。
【0010】
【特許文献1】特開2008−17731
【特許文献2】特開平6−71205号
【特許文献3】特開平9−84471号
【特許文献4】特開2005−102
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上で説明した、文献(1)〜(3)は、前述した図8−1〜図8−3と同様な状態となる危険性があり、改良の余地がある。
【0012】
尚、文献(4)は、レールハンガーであり、ホースハンガーとは、本質的に異なる構造である。
【0013】
上記に鑑み、本発明は、図4の如く、吊りローラ(ホースハンガーローラー部)とホースハンガー間を継続している吊り杆(ボルト)の長さを交互に変え、ホースハンガーの吊高さを一つ毎に変化させることで、隣接するホースハンガー同士の干渉を回避することと、このホースハンガー同士の干渉を回避することで、確実な収容と連結を図り、かつ吊りローラが離間し、複数のブロック状態に分かれることを回避すること、等を意図する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、前述した吊りローラとホースハンガー間を継続している吊り杆(以下、ボルトとナットとする)の長さを交互に変え、ホースハンガーの吊高さを一つ毎に変化させることで、隣接するホースハンガー同士の干渉を回避することと、このホースハンガー同士の干渉を回避することで、確実な収容と連結を図り、かつ吊りローラが離間し、複数のブロック状態に分かれることを回避すること、等を意図する。また、請求項1の発明は、走行車と各吊りローラの走行を、レールを介して、スムーズに行えることから、走行車と、ホース及び/又はケーブル等の故障の原因解消と、耐久性の向上を図ることを意図する。さらに、請求項1の発明は、ホース及び/又はケーブル等の捩れや、絡みつきの要因をなくし、かつ走行の障害と、又は故障の原因を回避すること、吊りローラの脱落解消を図ること、等を意図する。
【0015】
請求項1は、ハウスの妻面方向及び/又は棟方向に敷設したレールに沿って走行する散布機、及び走行車と、この散布機に接続したホースとを備えたハウスの散水、又は防除装置において、
このホースを吊下する複数個の吊りローラは、この吊りローラに設けた連結手段を利用して連結し、連結した複数個の吊りローラは、先達の吊りローラに設けた連結具を介して、前記ハウスの散水、又は防除装置の走行車に連結し、
また、この複数個の吊りローラは、前記連結手段の離脱で、切離し可能な構造とし、
さらに、この複数個の吊りローラには、長短の吊り杆を介して、それぞれホースハンガーを設け、少なくとも、隣接するホースハンガーの吊り杆が長短となる構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の意図を達成するために、最適な吊りローラの構造を提案する。
【0017】
請求項2は、請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
前記吊りローラは、レールに吊下される吊り片と、ホースハンガーを支持する支持片とを備え、この支持片に前記ボルトとナットを介して、前記ホースハンガーを可動可能に支持する構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1の意図を達成するために、最適なボルトとナットの構造を提案する。
【0019】
請求項3は、請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
前記ボルトとナットは、長いボルトとナットと、短いボルトとナットとで構成し、この長短のボルトとナットが、交互に配置されるとともに、この長いボルトとナットに支持されたとホースハンガーの上端が、短いボルトとナットに支持されたホースハンガーの下端に配備される構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0020】
請求項4・5の発明は、請求項1の意図を達成するために、最適なホースハンガーの他の構造を提案する。
【0021】
請求項4は、請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
前記支持片と、ホースハンガーの肩部との間にスプリングを係止し、このホースハンガーを、動力噴霧機の噴霧を停止した時に、強制的に当初の状態に復帰させる構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0022】
請求項5は、請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
前記支持片と、ホースハンガーの肩部との間にスプリングを係止し、このホースハンガーを、前記動力噴霧機の噴霧を停止した時に、強制的に当初の状態に復帰し、このホースハンガーを整列させる構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0023】
請求項6の発明は、請求項2の意図を達成するために、最適な連結手段の構造を提案する。
【0024】
請求項6は、請求項2に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
前記吊りローラの連結手段は、複数個の吊りローラの吊り片に設けた折曲げ傾斜片と、孔を利用して連結し、また、この複数個の吊りローラは、この折曲げ傾斜片の孔からの離脱で、切離し可能な構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明は、ハウスの妻面方向及び/又は棟方向に敷設したレールに沿って走行する散布機、及び走行車と、散布機に接続したホースとを備えたハウスの散水、又は防除装置において、
ホースを吊下する複数個の吊りローラは、吊りローラに設けた連結手段を利用して連結し、連結した複数個の吊りローラは、先達の吊りローラに設けた連結具を介して、ハウスの散水、又は防除装置の走行車に連結し、
また、複数個の吊りローラは、連結手段の離脱で、切離し可能な構造とし、
さらに、複数個の吊りローラには、長短の吊り杆を介して、それぞれホースハンガーを設け、少なくとも、隣接するホースハンガーの吊り杆が長短となる構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0026】
従って、この請求項1は、下記の特徴を有する。
[1] 前述した吊りローラとホースハンガー間を継続している吊り杆(以下、ボルトとナットとする)の長さを交互に変え、ホースハンガーの吊高さを一つ毎に変化させることで、隣接するホースハンガー同士の干渉を回避できることと、このホースハンガー同士の干渉を回避できることで、確実な収容と連結が図れ、かつ吊りローラが離間し複数のブロック状態に分かれることを回避できること、吊りローラの脱落解消が図れること、等である。
[2] 走行車と各吊りローラの走行を、レールを介して、スムーズに行えることから、走行車と、ホース及び/又はケーブル等の故障の原因解消と、耐久性の向上が図れる。
[3] ホース及び/又はケーブル等の捩れや、絡みつきの要因をなくし、かつ走行の障害と、又は故障の原因を回避できること、等である。
【0027】
請求項2の発明は、請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
吊りローラは、レールに吊下される吊り片と、ホースハンガーを支持する支持片とを備え、支持片にボルトとナットを介して、ホースハンガーを可動可能に支持する構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0028】
従って、請求項2は、請求項1の意図を達成するために、最適な吊りローラの構造を提案できる特徴がある。
【0029】
請求項3の発明は、請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
ボルトとナットは、長いボルトとナットと、短いボルトとナットとで構成し、長短のボルトとナットが、交互に配置されるとともに、長いボルトとナットに支持されたとホースハンガーの上端が、短いボルトとナットに支持されたホースハンガーの下端に配備される構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0030】
従って、請求項3は、請求項1の意図を達成するために、最適なボルトとナットの構造を提案できる特徴がある。
【0031】
請求項4の発明は、請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
支持片と、ホースハンガーの肩部との間にスプリングを係止し、ホースハンガーを、動力噴霧機の噴霧を停止した時に、強制的に当初の状態に復帰させる構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0032】
請求項5の発明は、請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
支持片と、ホースハンガーの肩部との間にスプリングを係止し、ホースハンガーを、動力噴霧機の噴霧を停止した時に、強制的に当初の状態に復帰し、ホースハンガーを整列させる構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0033】
従って、請求項4・5は、請求項1の意図を達成するために、最適なホースハンガーの他の構造を提案できる特徴がある。
【0034】
請求項6の発明は、請求項2に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
吊りローラの連結手段は、複数個の吊りローラの吊り片に設けた折曲げ傾斜片と、孔を利用して連結し、また、複数個の吊りローラは、折曲げ傾斜片の孔からの離脱で、切離し可能な構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造である。
【0035】
従って、請求項6は、請求項2の意図を達成するために、最適な連結手段の構造を提案できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、ハウスの散水、又は防除装置を配備したハウスの模式図
【図2−1】図2−1は、吊りローラとホースハンガーとの間にスプリングを設け、ホースハンガーを強制的に戻す構造とした、平常時のハウスの散水、又は防除装置の要部であるレールと、吊りローラ、並びにホースの関係を示した模式図
【図2−2】図2−1は、吊りローラとホースハンガーとの間にスプリングを設け、ホースハンガーを強制的に戻す構造とした、動噴時のハウスの散水、又は防除装置の要部であるレールと、吊りローラ、並びにホースの関係を示した模式図
【図2−3】図2−3は、図2−1の吊りローラの平面模式図
【図2−4】図2−4は、図2−2の吊りローラの平面模式図
【図3】図3は、吊りローラとホースハンガーとの間に設けたスプリングの拡大平面図
【図4】図4は、ハウスの散水、又は防除装置の要部であるレールと、複数個の吊りローラの関係を示した模式図
【図5−1】図5−1は、ハウスの散水、又は防除装置の要部であるレールと、複数個の吊りローラの関係で、収容に移行する過程の前段を示した模式図
【図5−2】図5−1は、ハウスの散水、又は防除装置の要部であるレールと、複数個の吊りローラの関係で、収容に移行する過程の中段を示した模式図
【図5−3】図5−1は、ハウスの散水、又は防除装置の要部であるレールと、複数個の吊りローラの関係で、収容に移行する過程の最終段階を示した模式図
【図6−1】図6−1は、従来の構造において、往復運転走行の時は、二、三個の吊りローラ(ホースハンガー)が、元の状態に戻らず、この二、三個の吊りローラ(A部)が、次のレール(レーン)への運転時に連結(連繋)されない状態を示した縮尺模式図
【図6−2】図6−2は、図6−1において、一方のブロック同士(A部)が離れにくくなり、又は離れた瞬間に威勢よく分割される状態を示した模式図
【図7−1】図7−1は、従来の構造において、片道走行の復路では、動噴が停止するためホース内の内圧が下がり、“l(リットル)”字形状は“ハ”字形状に変化する状態を示した縮尺模式図
【図7−2】図7−2は、図7−1において、動噴がOFFとなり、圧力が下がり、ホースが柔らかくなった状態を示した模式図
【図7−3】図7−3は、図7−2において、ホースが整然と整列され、順次、収容される状態を示した模式図
【図8−1】図8−1は、従来の構造において、往復運転走行の復路では、動噴継続して運転されるため、ホース内の内圧は下がらず、ホースの形状は“l(リットル)”字形状を維持したまま収容へ向かう状態を示した縮尺模式図一部のホースハンガーが元の位置に戻らず(一部乱れる状況となり)。もって、ホースハンガーの連結の不具合が発生した状態を示した縮尺模式図
【図8−2】図8−2は、図8−1において、一部のホースハンガーが元の位置に戻らず(一部乱れる状況となり)。もって、ホースハンガーの連結の不具合が発生した状態を示した縮尺模式図
【図8−3】図8−3は、図8−2において、不具合が発生しホースが乱れて収容される状態を示した模式図
【図9−1】図9−1は、従来の構造において、ホースハンガーが乱れた状態で収容されても、自走散布機(散水機、噴霧機)の走行慣性で、ある程度は整列するが、走行速度が遅くなった場合とか、また、ホースハンガーの数が多い、例えば、長いハウスの場合等では、ホーンハンガーが整列する前に散布機が停止するため、未連結部分が発生最初の状態を示した縮尺模式図
【図9−2】図9−2は、図9−1において、次の状態を示した縮尺模式図
【図9−3】図9−3は、図9−2において、不具合が発生し、未連結部分が発生した状態を示した模式図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施例を説明する。
【0038】
図中1はハウスで、このハウス1の妻面方向100及び/又は棟方向101の天井面100a、101aには、パイプ形状の妻面方向100・棟方向101のレール2、2aが吊下して設けられる。そして、妻面方向100のレール2には、モータ駆動式の妻面移動ロボット3が走行し、また、棟方向101のレール2aには、モータ駆動式の走行車4が走行する構造である。尚、妻面移動ロボット3には、走行車4を誘導する移動式のL形、又は図示しないU形のレール片(連繋、又は切離可能な手段)が設けられており、このレール片を図示しないモータで、この妻面移動ロボット3の横方向(畝方向)に前進後退可能(移動可能)に設けられている。従って、この妻面移動ロボット3が、畝間のレール2aに近接した状態で、レール片が前進して、レール2aに合体するとともに、この合体時に、妻面移動ロボット3に支持されていた、走行車4がレール2aに乗り移る構造である。その後は、レール2aに沿って前進走行する。そして、この走行車4が、前進限より、レール2aに沿って後退移行して、合体しているレール片に乗り移る。その後は、レール片が後退し、このレール2aとの合体が解消する。
【0039】
そして、この妻面移動ロボット3がレール2に沿って走行中は、走行車4は、レール片に支持されており、この妻面移動ロボット3とともに移動する。この移動後に、次のレール2aとの間で、前述の動作と、走行車4の乗り移りと、走行車4及び/又は妻面移動ロボット3の前進後退がある。また、このレール片と、棟方向101のレール2aの確実な差込み及び/又は脱外を図るために、例えば、このレール2aの差込み側の先端部と、レール2を連繋(連結)することもできる。
【0040】
この走行車4には、連結具5を介して、先達の吊りローラ7−1が連結される。そして、この先達の吊りローラ7−1には、後述する各ホース及び/又はケーブルを介して、他の吊りローラ7−2、・・・・・・・・・・最終の吊りローラ7−n(総称する場合には、吊りローラ7とする)が連結される構造である。そして、この走行車4には、複数のノズル8を備えた散布機9(散水機)が垂下されている。
【0041】
前記吊りローラ7の構造を説明すると、方形枠体の一部を開放したケーシング700と、このケーシング700の両側面700a、700bの内側の上部に差渡し、又はそれぞれ個別に設けた滑車6(6)とで構成する。そして、このケーシング700の下面700c(支持片)に後述するホースハンガーを吊下する。また、このケーシング700の上面700d(吊り片)の一方端より延設し、かつ折曲げ形成した折曲げ傾斜片701(フック片)と、この折曲げ傾斜片701が係入される孔703を、前記上面の他方側の内方に設けるとともに、この他方端より延設した係止片702とを設ける。尚、このケーシング700を鉛直に吊下状態で、この折曲げ傾斜片701と係止板702の上端は、略同じ水準にあるが、孔703は折曲げ傾斜片701の基端部(折曲げ箇所)がより上方に位置することで、この折曲げ傾斜片701の先端部が、孔703に嵌入し易くする。また、折曲げ傾斜片701の折曲げ箇所は、係止板702の折曲げ箇所より低い位置にある構成とし(上面700dは、係止板702より折曲げ傾斜片701に向かって、傾斜する構成とし)、前述と同様に、折曲げ傾斜片701の先端部が、孔703に嵌入し易くする。尚、側面700bには、切欠き700b1を形成し、レール2、2a上への吊りローラ7を後付け可能とすること、レール2、2a上の吊りローラ7の転送の容易化と、レール2、2aの吊り具(図示せず)を回避しての移動を図ること、又は軽量化等のために設けられる。そして、この吊りローラ7の折曲げ傾斜片701は、前進方向Aに移動する過程で、隣接する吊りローラ7の係止板702が孔703に係合される。例えば、先達の吊りローラ7−1に、後の他の吊りローラ7−2が係止されるとともに、この先達の吊りローラ7−1に、後の他の吊りローラ7−2が連繋されることと、この連繋を介して、全ての吊りローラ7が繋がって移動する構造である。この各吊りローラ7の連繋は、全て同じ構造及び動きである。そして、この連繋が切離されるのは、連繋した吊りローラ7の後尾が、ケーブル及び/又はワイヤで引っ張られて、図4に示すように、滑車6を支点に、矢印「ハ」の方向に傾斜し、その係止板702側が持ち上げられるとともに、この折曲げ傾斜片701が、孔703より離間する(脱抜される)ことで、吊りローラ7−2、7−n間の連繋が解除される。従って、後の吊りローラ7、又は他の吊りローラ7−2が、その場に置かれた状態となり、かつ前の吊りローラ7が、連繋された他の吊りローラ7とともに、前進方向Aに移動する。前述した、吊りローラ7の折曲げ傾斜片701と、係止板702、並びに孔703が、この吊りローラ7の連結手段となる。
【0042】
そして、この吊りローラ7には、ホースハンガー10が設けられるが、この一例では、このホースハンガー10は、ケーシング700の下面700cに吊り杆11を介して、ハウス1の鉛直方向に吊下される。そして、このホースハンガー10は、この鉛直方向において、回転自在で、この回転時、及び/又は、吊下げ時において揺動可能に吊下される。前記吊り杆11は、ホースハンガー10の上面の折曲げ片1000に設けた開口1001から、吊りローラ7の下面700cに設けた開口704に挿嵌したボルト12と、このボルト12を緊締するWナット13とで構成される。そして、このボルト12は長短があり、長いボルト1200と、短いボルト1201(長短のボルト1200、1201とする)で構成する。この長短のボルト1200、1201を利用し、ホースハンガー10、10aを、それぞれ吊下することで、この各ホースハンガー10、10aは、それぞれ長短の位置に吊下される。この長短の位置に吊下されるホースハンガー10、10aは、図5−1〜図5−3に示す如く、隣接する関係となる。この状態の如く、ホースハンガー10、10aの吊下げ高さを一つ毎に変化させることが可能となり、例えば、図5−1から図5−2の如く、この隣接するホースハンガー10、10aが互いに潜り込み可能な構造となり、相互の干渉が避けられる特徴がある。従って、動噴を停止し圧力が下がり、かつホース15が柔らかくなっても、ホースハンガー10、10aは、元の状態に戻り、かつホース15は元の状態に戻る。従って、このホースハンガー10、10aは、整然となるとともに、正常に戻ることから、確実な連結と収容ができる。この状態が、図5−3に示されている。尚、前述したボルト12とナット13との関係は一例であり、図示しないが、長短の吊り杆とナット、又は長短構造のフック機構、或いは棒材、さらには、この吊りローラ7のケーシング700の長短構造等でも可能であり、回転、及び/又は、揺動ができる構造であればよい。そして、図2−1〜図3に示す如く、ホースハンガー10と下面700cとの間にスプリング16を設け、このホースハンガー10を強制的に戻す構造とすることで、前記の復帰を確実にサポートすることができ有益である。
【0043】
また、このホースハンガー10は、ホース15とケーブル(図示しない)を支持し、かつホース15とケーブルの盲動を防止するために、図2に示す如く、板材で構成し、かつ略倒U形を呈した本体部10bと、この本体部10bの上面の折曲げ片1000と、また、この本体部10bの両側面を、それぞれ折曲げ形成したガード片1002aを備えた複数の挾持部1002と、また、この折曲げ片1000に対峙するホース15等を吊下げるガード片1003aを備えた受け片1003と、で構成されている。従って、ホース15は、ガード片1003aを備えた受け片1003に抱持するように吊下されるとともに、ガード片1002aを備えた複数の挾持部1002で吊下げられ、かつその側面をガードされる。この際に、ガード片1002a、1003aでガードされ離脱することがないとともに、ホース15の動きが、確実なホースハンガー10に伝達される構造となっており、前述した復帰と、整列に有効に機能する。
【0044】
尚、図示しないが、往復運転走行の復路(動噴継続)において、ホース15内の内圧が下がらずに、元の状態に復帰しない場合は、スプリング16によって強制的に戻すことも可能である。そして、このスプリング16のほかに、より反力の強いスプリング等にすることも考えられる。
【0045】
図中20は動力噴霧機で、この動力噴霧機20にはホース15が設けられる。
【0046】
また、図中21はタンクである。
【符号の説明】
【0047】
1 ハウス
100 妻面方向
101 棟方向
101a 天井面
2 レール
2a レール
3 妻面移動ロボット
4 走行車
5 連結具
6 滑車
7 吊りローラ
7−1 先達の吊りローラ
7−2 他の吊りローラ
7−n 最終の吊りローラ
700 ケーシング
700a 側面
700b 側面
700b1 切欠き
700c 下面
700d 上面
701 折曲げ傾斜片
702 係止片
703 孔
704 開口
8 ノズル
9 散布機
10 ホースハンガー
1000 折曲げ片
1001 開口
1002 挾持部
1002a ガード片
1003 受け片
1003a ガード片
10a ホースハンガー
10b 本体部
11 吊り杆
12 ボルト
1200 長いボルト
1201 短いボルト
13 ナット
15 ホース
16 スプリング
20 動力噴霧機
21 タンク
A 前進方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウスの妻面方向及び/又は棟方向に敷設したレールに沿って走行する散布機、及び走行車と、この散布機に接続したホースとを備えたハウスの散水、又は防除装置において、
このホースを吊下する複数個の吊りローラは、この吊りローラに設けた連結手段を利用して連結し、連結した複数個の吊りローラは、先達の吊りローラに設けた連結具を介して、前記ハウスの散水、又は防除装置の走行車に連結し、
また、この複数個の吊りローラは、前記連結手段の離脱で、切離し可能な構造とし、
さらに、この複数個の吊りローラには、長短の吊り杆を介して、それぞれホースハンガーを設け、少なくとも、隣接するホースハンガーの吊り杆が長短となる構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造。
【請求項2】
請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
前記吊りローラは、レールに吊下される吊り片と、ホースハンガーを支持する支持片とを備え、この支持片に前記吊り杆を介して、前記ホースハンガーを可動可能に支持する構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造。
【請求項3】
請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
前記吊り杆は、長い吊り杆と、短い吊り杆とで構成し、この長短の吊り杆が、交互に配置されるとともに、この長い吊り杆に支持されたホースハンガーの上端が、短い吊り杆に支持されたとホースハンガーの下端に配備される構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造。
【請求項4】
請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
前記支持片と、ホースハンガーの肩部との間にスプリングを係止し、このホースハンガーを、動力噴霧機の噴霧を停止した時に、強制的に当初の状態に復帰させる構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造。
【請求項5】
請求項1に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
前記支持片と、ホースハンガーの肩部との間にスプリングを係止し、このホースハンガーを、前記動力噴霧機の噴霧を停止した時に、強制的に当初の状態に復帰し、このホースハンガーを整列させる構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造。
【請求項6】
請求項2に記載のハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造であって、
前記吊りローラの連結手段は、複数個の吊りローラの吊り片に設けた折曲げ傾斜片と、孔を利用して連結し、また、この複数個の吊りローラは、この折曲げ傾斜片の孔からの離脱で、切離し可能な構成としたハウスの散水、又は防除装置のホースハンガーの構造。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図3】
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【図7−2】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−3】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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