説明

ハウスダストダニアレルゲン

配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸配列のうちの少なくとも6個の連続するアミノ酸残基の少なくとも1つのアミノ酸断片を含むアミノ酸配列、又は配列番号1のアミノ酸配列若しくはその断片に対する免疫学的交差反応を有するアミノ酸配列、を備えたポリペプチドであって、配列番号1のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列を有する分子に特異的なT細胞レセプターによって認識される、少なくとも1つのT細胞エピトープを含むアレルゲン及びポリペプチドをコードする、ポリペプチド。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アレルギーを誘発する特性を有するポリペプチドに関する。
【0002】
産業化された国における人口の25%以上が、IgE介在アレルギーに苦しめられている。アレルギー患者は、本来無害の抗原(例えばアレルゲン)に対するIgE抗体の精製の増加によって特徴づけられる。即時に現れる1型アレルギー(アレルギー性鼻結膜炎、喘息、皮膚炎、アナフィラキシーショック)の症状は、アレルゲンが引き起こす肥満細胞結合IgE抗体のクロスリンク、及び生物活性媒介物質(例えば、ヒスタミン、ロイコトリエン)によってもたらされる。
【0003】
ハウスダストダニ(HDMs)は、世界中で最も重要なアレルゲン源の1つに相当する。人口のほぼ10%及びアレルギー患者の50%以上が、ダニアレルゲンに感作される。HDM ダーマトファゴイデス プテロニシナス(Der p:Dermatophagoides pteronyssinus)は、中央ヨーロッパにおいて流行している。Der pのアレルゲンは、これまでに同定された21アレルゲンの30以上のタンパク質又は糖タンパク質を含んでいる。グループ1及び2のアレルゲン(Der p 1及びDer p 2)は、HDM由来の最も重要なアレルゲンに相当し、Der pアレルギー患者の80%以上において認識されているが、他のHDMアレルゲン(例えば、Der p 5及びDer p 7)もまた、かなり低いIgE結合頻度を除いては、重要なDer pアレルゲンに相当することが示されている。
【0004】
WeghoferらによるClin Exp Allergy 35(2005):1384−1391において、組み換えダストダニアレルゲンがIgE反応を抑制し得、それゆえにDer pアレルギーの診断テスト及び治療に用いられ得ることが示されている。
【0005】
Pittner GらによるClin Exp Allergy 34(2004):597−603において、Der p抽出物を用いて免疫療法のための患者を選択するために用いられる、主要なアレルゲンDer p 1及びDer p 2、並びにクロス反応性の高いダストダニアレルゲンに関する診断テスト方法が記載されている。
【0006】
Vrtala S.らによるMethods 32(2004):313−320において、低減したアレルギー活性を示し、ワクチンに適したアレルゲン運搬体(例えば、過小エネルギー分子)の生成及び評価が記載されている。
【0007】
EP 1 612 219 A1は、ハウスダストダニ由来のアレルゲン(Der p)を扱っている。
【0008】
現在HDMアレルギー患者の診断及び治療に用いられている粗HDM抽出物は、Der p 1及びDer p 2のためのみ標準化されている一方で、他の重要なアレルゲンは、HDM抽出物において少量存在しているのみである。
【0009】
本発明の目的は、特にハウスダストダニアレルギーであるアレルギーの診断、治療及び予防において用いられ得る、アレルギーを誘発する特性及び過小アレルギー誘発特性を有する新規なポリペプチドを提供することである。
【0010】
それゆえに、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸配列のうちの少なくとも6個の連続するアミノ酸残基の少なくとも1つのアミノ酸断片を含むアミノ酸配列、又は配列番号1のアミノ酸配列若しくはその断片に対する免疫学的交差反応を有するアミノ酸配列、を備えたポリペプチドであって、配列番号1のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列を有する分子に特異的なT細胞レセプターによって認識される、少なくとも1つのT細胞エピトープを含むアレルゲン及びポリペプチドをコードする、ポリペプチドに関する。
【0011】
配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド(MKFNIIIVFI SLAILVHSSY AANDNDDDPT TTVHPTTTEQ PDDKFECPSR FGYFADPKDP HKFYICSNWE AVHKDCPGNT RWNEDEETCT)は、新規の主要なDer pアレルゲンであり、例えば、Der pアレルギー患者の診断及び治療に有用であり得る。この新規のDer pアレルゲンは、分子量が約8kDaであり、50%以上のダニアレルゲン患者からのIgEに結合する。
【0012】
配列番号1に示すアミノ酸配列を有するアレルゲンのIgE結合高頻度及び当該アレルゲンの生物活性の観察は、当該アレルゲンが、個体においてハウスダストダニアレルギーの診断のための重要な分子にする。
【0013】
さらに、この新規のダニアレルゲンはまた、ハウスダストダニアレルギーの治療又は予防に有用である。本発明によるポリペプチドは、動物において、高い力価の特異的IgG抗体を誘導する。
【0014】
これらの特異的IgG抗体が個体に導入されたとき、すなわち、上記個体のIgE分子を含み、好ましくは血清であるサンプルに加えられた提示されているハウスダストダニアレルゲンを個体に導入したとき、IgEのこの新規アレルゲンへの結合は抑制される。これは、この新規のダニアレルゲンを用いたアレルギー特異的免疫療法が、ヒトにおいてブロッキングIgG抗体を誘導するだろう。首尾よい免疫療法のためのブロッキングIgG抗体誘導の重要性は、定義されたアレルゲン及びアレルゲン誘導体を用いた免疫療法試験において近年示されている(Gafvelin,G.ら、(2005)Int Arch Allergy Immunol 138:59;Jutel,M.ら、(2005)J Allergy Clin Immunol 116:608)。高レベルのアレルゲン特異的IgG抗体は、アレルゲン誘導好塩基球脱顆粒の抑制を誘導された(Niederberger,V.ら、(2004)PNAS USA 101 Suppl 2:14677)。高アレルギー誘発性誘導体に導かれるアレルギー誘発性を示す本発明によるポリペプチドを、アレルギー誘発活性を低減し、かつ免疫原性を保つように改良することによって、アナフィラキシー副作用の低減により免疫療法がさらに向上し得る(Valenta,R.ら、(2004)Adv Immunol 82:105)。低アレルギー誘発性の誘導体は、分子生物学的技術又はアレルゲンのT細胞若しくはB細胞エピトープ由来のペプチド合成によって生成され得る(Kyte,J.及びR.F.Doolittle.(1982)J Mol Biol 157:105)。
【0015】
ここで使用する場合、「ポリペプチド」は、少なくとも6個のアミノ酸残基、好ましくは8個のアミノ酸残基を含む分子に関する。
【0016】
ここで使用する場合、用語「同一性」は、いずれか2個(またはそれ以上)のペプチド配列、ポリペプチド配列又はタンパク質配列が、互いに特定の割合(%同一)で同一であるアミノ酸配列を有するかどうかを示している。この割合は、“FAST A”プログラムのような、公知のコンピュータアルゴリズムを用いて、例えばPearsonらによる初期設定パラメータを用いて決定することができる((1988)PNAS USA 85:2444(other programs include the GCG program package(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research(1984)Nucleic Acids Res.,12,387−395)、BLASTP, BLASTN, FASTA (Atschul,S.F.ら、J Molec Biol 215:403(1990);Guide to Huge Computers,Martin J.Bishop,ed.,Academic Press,San Diego,1994,and Carilloet al,(1988)SIAM J Applied Math 48:1073))。例えば、NCBIデータベースのBLASTツールは、同一性決定のために用いられ得る。他の市販の又は公共の使用可能なプログラムには、DNAStar“MegAlign”プログラム(Madison,WI)及びthe University of Wisconsin Genetics Computer Group(UWG) “Gap”プログラム(Madison, WI))が含まれる。タンパク質分子の同一性比率を、例えば、GAPコンピュータプログラムを用いた配列情報の比較によって、さらに決定することができる(例えば、Smith及びWaterman(1981)Adv. Appl. Math.2:482によって修正された、Needlemanら,(1970)J. Mol. Biol.48:443)。簡単に説明すると、GAPプログラムは、同一の配列した記号(例えば、核酸又はアミノ酸)の数を2つの配列のうちのより短いほうの配列における全記号数で割って同一性を定義する。GAPプログラムのための初期設定パラメータは、(1)一元比較マトリックス(同一又は非同一のための値1を含む)及びGribskovら、14:6745の加重比較マトリックス(Schwartz and Dayhoff,eds., ATLAS OF PROTEIN SEQUENCE AND STRUCTURE, National Biomedical Research Foundation, pp.353−358(1979))、(2)各ギャップにおける3.0のペナルティ及び各ギャップにおける記号毎の0.10の追加ペナルティ、並びに(3)末端ギャップにはペナルティなし、を含む。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、アミノ酸配列は、配列番号1に示すアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、特に100%同一である。
【0018】
ここで使用する場合、「交叉反応」は、抗原(例えば、ペプチド、タンパク質、ポリペプチド)の次に結合する抗体の能力に関し、in vivoシステムにおいて他の抗原によってその生成が刺激される。これは、配列番号1に示すアミノ酸配列又はその断片を有するポリペプチドに特異的に結合するように生成された抗体が、配列番号1に示すアミノ酸配列のホモログではないポリペプチドに対する結合親和性もまた示し得ることを意味している。ポリペプチドに対する抗体の結合特異性は、例えば、Valentaら(J Exp Med(1992)175:377−385)の記載された、ELISA、RIA、イムノブロット等の当該技術分野における公知の方法によって決定することができる。
【0019】
本発明に係るポリペプチドは、当該技術分野における公知の方法によって、組み換え的に生成されていることが好ましい。上記ポリペプチドを生成するのに用いられ得る宿主は、いずれかの対応するベクター及びプラスミドを用いることで得ることができる(例えば、好ましくは酵母、哺乳動物細胞、植物細胞及び昆虫細胞である、真核細胞、並びに、好ましくは大腸菌及びバチルスサブティリスである、原核細胞)。もちろん、本発明に係るポリペプチドを、当該技術分野において公知の方法によって化学的に生成することも可能である。
【0020】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、上記ポリペプチドは低アレルギー誘発性である。
【0021】
ここで使用するとき、用語「低アレルギー誘発性」は、アレルゲンに特異的に結合しする抗体の生成を誘導し、かつ個体に導入されたときに、低減したアレルギー反応を示す、又はアレルギー反応を示さない、アレルギー特性を有するアレルゲン由来のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質の可能性に関する。個体においてアレルギー反応を引き起こす配列番号1のようなアレルゲンの、「低アレルギー誘発性」誘導体のアレルギー低減又はアレルギー欠失可能性は、当該アレルゲンからIgE結合エピトープを除去又は破壊するが、当該アレルゲン上に存在するT細胞エピトープを保存することによって得られる。これは、例えば、アレルゲンを、IgE結合能が減少又は欠失した断片に分割し、野生型アレルゲンの断片の並びに対応しない順になるように、いくつか又は全ての上記断片を融合することによって達成される(例えばEP1 440 979参照のこと)。アレルゲンからの「低アレルギー誘発性」分子の他の生成方法は、野生型アレルゲンのC末端及び/又はN末端の欠失を含む(例えば、EP 1 224 215参照のこと)。
【0022】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、上記アミノ酸断片は、配列番号1に示す上記断片の順とは異なる順に共に融合されている。
【0023】
本発明に係るポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列由来のアミノ酸断片を含んでいてもよく、好ましくは配列番号1に示されるアミノ酸配列とは異なる順に共に融合されていてもよい。この「入れ替え」によって、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する野生型アレルゲンに対して異なる特徴を有するポリペプチドを得ることができる。例えば、この入れ替えによって、損傷のないT細胞エピトープ及び破壊されたB細胞エピトープを含むポリペプチドが得られるだろう。このような分子は、低アレルギー誘導性特性を有し得る。
【0024】
事実上T細胞エピトープからなる、上記少なくとも1つのアミノ断片は、配列番号1に示されるアミノ酸配列の、第5〜13位、第9〜17位、第10〜18位、第11〜19位、第12〜20位、第16〜24位、第17〜25位、第43〜51位、第44〜52位、第45〜53位、第47〜55位、第51〜59位、及び第60〜68位のアミノ酸を含む、アミノ酸分子からなる群より選択されることが好ましい。
【0025】
本発明に係るポリペプチドを導入したときに、個体にT細胞免疫反応を誘発させるために、上記ポリペプチドはT細胞エピトープを備えている必要がある。T細胞エピトープは、配列番号1に示されるアミノ酸配列の、少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、より好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸残基を備えている。上記T細胞エピトープは、また、リンカーを介して又はリンカーを用いずに運搬体に結合されていてもよい。上記運搬体は、マイクロアレイ技術で用いられる固体支持体であってもよい。ポリペプチドにおけるT細胞エピトープの存在は、当該技術において公知の方法によって決定することができる(例えば、“Epitope Mapping:A practical approach”Ed.O.Westwood and F.Hay,2001,Oxford University Pressを参照のこと)。特に好ましい方法は、ELISpot(Tobey TW and Caulfield MJ(2004),Methods Mol.Med.94:121−132)。
【0026】
特定されたT細胞エピトープは、タンパク質、又は配列番号1に示すアミノ酸配列から断片化によって得られた大断片の一部のような分子が、N末端又はC末端に融合されてもよい。
【0027】
本発明の他の局面は、本発明に係るポリペプチドをコードするDNA分子に関する。
【0028】
本発明のさらに他の局面は、本発明に係るDNA分子を備えたベクターに関する。
【0029】
本発明において用いられるに好ましいベクター(例えばプラスミド)は、プロモーター、複製起点、調節要素、選択マーカー及び/又は他のベクター要素を備えた、発現ベクターのみならずクローニングベクターである。ベクターが、宿主細胞のゲノムに組み込まれえる組み込みベクターであるとき、上記ベクターに対応する手法が提供されてもよい(例えば、挿入配列要素)。用いられるベクターの型及び当該ベクター上の調節要素は、どの宿主細胞に当該ベクターが組み込まれるかにも依存する。発現ベクターを用いたとき、本発明に係るDNA分子及び上述したポリペプチドをコードするDNA分子は、プロモーター領域に操作可能に連結される。
【0030】
本発明の他の局面は、本発明に係るベクターで形質転換された細胞に関する。
【0031】
ここで用いられる細胞は、原核細胞だけでなく真核細胞であってもよい。好ましい真核細胞は、特にサッカロマイセス セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピチア パストリス(Pichia pastoris)及びハンセヌラ ポリモルファ(Hansenula polymorpha)である酵母細胞、尾\特にタバコ植物細胞である植物細胞、昆虫細胞、並びに特にチャイニーズハムスター卵巣細胞であるヒト及び動物細胞のような哺乳動物細胞である。好ましい原核細胞は、例えば、バチルス サブティリス(Bacillus subtilis)及び大腸菌(Escherichia coli)である。本発明に係るベクター又はDNA分子を備えた細胞は、本発明に係るポリペプチドを生成するために用いられ得る。
【0032】
本発明の他の局面は、本発明に係るポリペプチドに結合する抗体に関する。
【0033】
本発明に係る抗体は、多クローン抗体、単クローン抗体、多特異的抗体、ヒト化又はキメラ抗体、単鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)断片及び上記いずれかのエピトープ結合断片を含むが、これに限定されない。さらに、抗体は、例えば、免疫特異的に抗原に結合する抗原結合部位を含む分子のような、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫活性部位としてみなされる。本発明に係る免疫グロブリン分子は、好ましくは、IgG、IgM、IgD、IgA及びIgYクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又は免疫グロブリン分子のサブクラスである。
【0034】
好ましくはアジュバントを用いて、本発明に係るポリペプチドを、非ヒト動物に導入し、結果として得られる抗血清を回収することによって、多クローン抗体は、準備することが可能である。期間にわたって繰り返し注入することによって、向上した力価が得られる。抗体を導出するために用いられ得る動物種は特に限定されず、一般に、ウサギ又はモルモットを用いることが好ましいが、ウマ、ネコ、イヌ、ヤギ、ブタ、ラット、ウシ、ヒツジ、ラクダ等を用いることもできる。抗体の生成において、本発明の免疫原の明確な量を、例えば、生理食塩水によって適した濃度に希釈し、得られた希釈溶液を、例えば完全フロインドアジュバントと混合して懸濁液を準備する、又は無機物ゲルと混合する。このような無機物ゲルは、アルミニウム水酸化物、リゾレシチンのような表面活性剤、多価アルコール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホールリンペットヘモシニアン、ジニトロフェノール、及びBCG(Bacille Calmette−Guerin)及びコリネバクテリウム パルヴムのような潜在的に有用なヒトアジュバントのようなものがある。懸濁液及び混合液を、本発明のポリペプチドを投与当たり約50μgから約2500μg用いて、例えばウサギの例えば腹腔内のように、動物に投与する。懸濁液は、免疫反応性付与をもたらすために、好ましくは約2週間毎に、約2〜3ヶ月、好ましくは約1ヶ月にわたって投与されることが好ましい。抗体は、最終投与に続く1〜2週間経過後に免疫した動物から血液を回収し、当該血液を遠心分離して当該血液から血清を分離することによって、回収する。
【0035】
単クローン抗体は、例えば、ヒト又はネズミ系であってもよい。ネズミ単クローン抗体は、Kohler and Milsteinの方法(Kohler,G. and Milstein,C.,Nature 256(1975)495)によって、例えば適切なマウス骨髄腫細胞株との超免疫化マウスの脾臓細胞の融合によって、準備することができる。
【0036】
キメラ抗体は、ネズミ単クローン抗体及びヒト免疫グロブリン定常領域由来の可変領域を有する抗体のような、異なる動物種由来の抗体の異なる部分における分子である。キメラ抗体の生成方法は、当該分野において公知である。例えば、Morrison,Science 229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);Gilliesら、(1989)J.Immunol.Methods 125:191−202;US5,807,715;US4,816,567及びUS4,816,397参照のこと。
【0037】
ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1以上の相補性決定領域(CDRs)及びヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する、所望の抗原に結合する、非ヒト種由来の抗体分子である。ヒトフレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、抗原結合を変化、好ましくは向上させるために、CDRドナー抗体から対応する残基に置換されることが多い。これらのフレームワーク置換は、当該技術分野において公知の方法によって決定する。この方法は、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するための、CDRとフレームワーク残基との相互作用をモデリング、及び特定の位置における異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較である(例えば、Queenら、US 5,585,089;Riechmannら,Nature 332:333(1988))。抗体は、当該分野において公知の様々な技術を用いてヒト化することができる。この技術には、例えば、CDR−グラフト重合(EP 239,400;WO 91/09967;US 5,225,539;US 5,530,101;及びUS 5,585,089)、張り合わせ又は再舗装(EP 592,106;EP519,596;Padlan,Molecular Immunology 28(4/5):489−498(1991);Studnickaら、Protein Engineering 7(6):805−814(1994);Roguskaら、PNAS 91:969−913(1994))、及び鎖入れ替え(US 5,565,332)が含まれる。
【0038】
本発明に係る抗体は、特にハウスダストダニアレルギーであるアレルギーに苦しむ個体の受動免疫付与に用いるのに有利である。受動免疫付与のために、抗体は、好ましくはIgG又はその誘導体である(例えば、キメラ又はヒト化抗体)。さらにこの抗体は、また、個体の脱感作のためにもまた用いられ得る。
【0039】
本発明の他の局面は、本発明に係るポリペプチド又は抗体を備えたワクチン構築物に関する。
【0040】
ポリペプチド又は抗体の次に、本発明に係る上記構築物はまた、安定剤、アジュバント、薬学的に許容される基剤等のような他の物質を備えていてもよい。ワクチン構築物生成の適したプロトコルは当業者に知られており、例えば“Vaccine Protocols”(A.Robinson,M.P.Cranage,M.Hudson;Humana Press Inc.,U.S.;2nd edition 2003)において見つけることができる。
【0041】
本発明のさらに他の局面は、個体における、特にハウスダストダニアレルギーであるアレルギーの診断のための本発明に係るポリペプチドの使用に関する。
【0042】
上述したポリペプチドは、例えば、ヒスタミン放出細胞を含む個体サンプルに上述したポリペプチドをさらすことによって、特にハウスダストダニアレルギーであるアレルギーの診断のために用いられ得る(例えば、Purohitら、Clin.Exp.Allergy 35(2005):186−192参照のこと)。さらに、本発明に係るポリペプチドは、ポリペプチドアレイチップを形成するために、表面に固定されていてもよい。このようなアレイは、例えば複数の個体から得た複数のサンプルにおいて、アレルギーを診断するための高生産性スクリーニングにおいて用いられ得る。
【0043】
本発明の他の局面は、特にハウスダストダニアレルギーであるアレルギーの免疫療法のための薬剤の調整のための、本発明に係るポリペプチド又は抗体の使用に関する。本発明のポリペプチド及び抗体は、活性ワクチン及び受動ワクチンのそれぞれとして使用され得る。本発明に係るポリペプチドが個体に導入されたとき、防御IgGの形成が引き起こされるので、これらの両方として使用され得る。そして、上述したポリペプチドに導かれた免疫グロブリンの導入は、アレルギーの症状を順に軽減する、IgEと導入された防御抗体との間の競合を引き起こすだろう。
【0044】
本発明の他の局面は、特にハウスダストダニアレルギーであるアレルギー感作の予防のための薬剤の調整のための、請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリペプチド又は請求項7に記載の抗体の使用に関する。
【0045】
個体のワクチン接種のためのポリペプチドの使用は、好ましくは低アレルギー誘発性である。このようなポリペプチドの使用は、上述したポリペプチドのIgE結合を予防し、それゆえに、アレルギー反応を予防する。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によれば、上述した薬剤はさらに、アジュバント、基剤、希釈剤、防腐剤又はその混合物を含む。
【0047】
薬剤は、好ましくは10ngから1g、より好ましくは100ngから10mg、特に0.5μgから200μgの上述したポリペプチドを備えている。
【0048】
本発明を以下の図面及び例によってさらに説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0049】
図1は、クローン30由来アレルゲンのcDNA及びアミノ酸配列を示す。開始コドン及び終止コドンに下線を付した。シグナル配列は、アミノ酸残基1〜21を備え、太字で示すアミノ酸残基21(A)と22(A)との間に予想される分裂部位を有する。配列の左側の数字は核酸の位置を示し、配列の右側の数字はアミノ酸の位置を示す。
【0050】
図2は、クローン30由来アレルゲンのクマシーブルー染色及び質量分析(MS)を示す。Aのクマシーブルーで染色したSDS−PAGEゲルは、分子量マーカー(M)及び3μgの精製したクローン30由来アレルゲン(30)を示している。Bの精製したクローン30由来アレルゲンのMS解析は、X軸に質量/電荷比率を示し、Y軸にシグナル強度を、調査した質量範囲において得られたシグナルの最大強度の比率として示した。7979.20におけるピークは、クローン30由来アレルゲンの推論アミノ酸配列の測定された質量に対応する。
【0051】
図3は、クローン30由来アレルゲンの免疫ブロットを示す。精製したクローン30由来アレルゲンのサンプルを、SDS−PAGEによって分離して、ニトロセルロース上にブロットし、2人のダニアレルギー患者からの血清(1、2)及び1人の非アレルギー患者からの血清(3)と共にインキュベートした。クローン30由来アレルゲンのIgE抗体特異的結合は、125I標識抗ヒトIgE抗体を用いて検出した。
【0052】
図4は、ウサギ抗クローン30由来アレルゲン抗血清のIgG反応を示す。クローン30由来アレルゲン及び主要なダニアレルゲンDer p 2を、ニトロセルロース片に点在させ、1:1000〜1:1000000に希釈したウサギプレ免疫血清(A)又はウサギ抗クローン30由来アレルゲン抗血清(B)とともにインキュベートした。IgG抗体結合を、125I標識ロバ由来抗ウサギ完全抗体を用いて検出した。
【0053】
図5は、クローン30由来アレルゲンの生物学活性を示す。ダニアレルギー患者からの血液サンプルを、クローン30由来アレルゲン10μg/ml、1μg/ml及び0.1μg/ml、抗IgE抗体1μg/ml、又はコントロールバッファ(Co)としてPBS(X軸)にさらした。CD203c発現をFACS分析によって決定し、平均蛍光強度(MFI)として示した(Y軸)。
【0054】
図6は、プロットスケールを用いた、成熟したクローン30由来アレルゲンの疎水性分析(Kyte&Doolittle)を示す。N末端メチオニンを含む成熟タンパク質のアミノ酸位置をX軸に示した。Bは、ウェブベースの計算システムであるMULTIPREDを用いた、クローン30由来アレルゲンの考えられるT細胞エピトープ予測である。配列の両側の数字は、成熟クローン30由来アレルゲンのアミノ酸位置を示す。
【0055】
〔実施例〕
本実施例は、例えば、Der pアレルギー患者の診断及び治療に有用な、新規の主要なDer pアレルゲンの同定について記載する。
【0056】
この新規のダニアレルゲンをコードするcDNAを、Der p発現cDNAライブラリから単離し、大腸菌(E.coli)において、組み換えアレルゲンとして発現させた。新規のアレルゲンは、分子量約8kDaで、ダニアレルギー患者からのIgEの50%以上に結合し、それゆえに主要なアレルゲンに相当する。
【0057】
(実施例1:クローン30由来アレルゲンの発現及び精製)
予測される成熟クローン30由来アレルゲンをコードする、クローン30(図1)のcDNA配列(N末に追加のATGを有する核酸89〜295)を、発現ベクターpET−17b(Novagene,WI)にサブクローンし、大腸菌BL21(DE3)細胞(Stratagene,CA)において発現させた。細菌細胞を、100mg/Lアンピシリンを含むLB培地において、27℃で一晩成長させ、イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加して終濃度0.5mMすることによって、組み換えタンパク質の発現を誘導した。27℃で6時間の追加培養の後、1LのE.coli培養培地からの細胞を、遠心分離(15分、3000回転、4℃、Sorvall RC5C)によって回収し、ペレットを30ml 25mM イミダゾール pH7.4/0.1%(v/v)TritonX100中に再懸濁した。その後、300μgリゾチームを用いて、室温で20分間細菌細胞を処理した。細菌細胞の溶解物を液体窒素中での凍結及び50℃のウォーターバス中での解凍を3回行った。DNase 3μgを添加して室温で10分間の経過した後、5M NaCl 600μl添加して、ゲノムDNAを分解した。これらの溶解した細菌細胞を、4℃、18000rpmで20分間遠心分離し、クローン30由来アレルゲンを含む可溶分画のタンパク質を60%硫酸アンモニウムを用いて、4℃で1.5時間処理した。凝結したタンパク質を遠心分離によって分離し(18000rpm、20分間、4℃)、クローン30由来アレルゲンを含む可溶分画を、2M 硫酸アンモニウム/50mM リン酸ナトリウム pH7.0/10mg/L フェニルメチルスルフォニルフルオリド(PMSF)に対して透析し、HiTrapフェニルFF(high sub)カラム(Amersham Biosciences AB,Swedwn)に供した。クローン30由来アレルゲンを、500〜0mMの硫酸アンモニウム勾配で抽出し、クローン30由来アレルゲンを含む分画を溜めた。20mM Tris−Cl pH8.0に対して透析した後、サンプルをHiTrap DEAEセファロースFFカラム(Amersham Biosciences)に供した。0〜500mMのNaCl勾配によってクローン30由来アレルゲンを抽出し、90%以上の純粋なクローン30由来アレルゲンを含む分画を溜めた。クローン30由来アレルゲンを、20mM Tris−Cl pH8.0に対して透析し、−20℃で保存した。純度のために、タンパク質サンプルを14% ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)及びクマシーブリラントブルー(Coomassie brillant blue)タンパク質染色によって分析した(図2A)。成熟タンパク質の分子量分析は、7.98kDa(図2B)で、クローン30由来アレルゲンの推定アミノ酸配列を計算した分子量に対応していたが、SDS−PAGEにおいては、約14kDaに広がった(図2A)。
【0058】
(実施例2:クローン30由来アレルゲンのIgE反応)
デルマトファゴイダス プテロニスナス(Dermatophagoides pteronyssinus)に感作する2人の患者の血清を用いた、免疫ブロット分析によって、クローン30由来アレルゲンのIgE結合能を証明した(図3)。クローン30由来アレルゲンのサンプルを、SDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース上にブロットした。ニトロセルロース片を1:10に希釈したヒト血清(1〜3)と共にインキュベートし、1:10に希釈した125I標識抗ヒトIgE抗体を用いて、IgE抗体結合を検出した。ダニアレルギー患者(1、2)の血清は、クローン30由来アレルゲンと特異的に反応した。非アレルギー個体(3)からのコントロール血清は、クローン30由来アレルゲンと反応しなかった。
【0059】
IgE結合頻度を、ダニアレルギーに対して継続した症状が見られ、SPT及びヤケヒョウダニ(D.pteronyssinus)特異的IgE−RASTが陽性の53人のダニアレルギー個体からの結成を用いて、ELISA分析によって決定した。ELISAプレート(Nunc,Denmark)を、クローン30由来アレルゲン 5μg/mlでコートし、1:10に希釈したダニアレルギー患者からの血清と共にインキュベートした。ヒトIgE結合を、1:1000に希釈したAKP−結合抗ヒトIgE抗体(BD Biosciences−Pharmingen,NJ)を用いて検出した。
【0060】
ダニアレルギー患者からの53個の血清のうち29個(55%)が、クローン30由来アレルゲンに対してIgE反応性を示した(表1)
【0061】
【表1】

【0062】
(実施例3:ウサギにおいてIgG抗体を誘導する、クローン30由来アレルゲンによる免疫)
クローン30由来アレルゲンが免疫するか否かを試験するために、ウサギを新規アレルゲンと共にフロインドのアジュバントを用いて免疫した。ウサギを、完全フロインドアジュバントを1回及び不完全アジュバント(Charles River、Germany)を2回注入して、200μgのタンパク質で3回免疫した。
【0063】
IgG抗体の誘導を、ドットブロット実験によって調査した。組み換えDer p 2及びクローン30由来アレルゲンをニトロセルロース片上に点在させ(0.5μg/点)、この片を1:1000、1:10000、1:100000及び1:1000000で希釈したウサギプレ免疫血清及び抗クローン30由来アレルゲン抗血清と共にインキュベートした。125I標識ロバ由来抗ウサギ完全抗体(Amersham)を用いて、結合IgG抗体を検出した。
【0064】
特異的IgG抗体の高力価が、クローン30由来アレルゲンによって誘導された(図4)。抗クローン30由来アレルゲン抗血清は、1:100000の希釈までクローン30由来アレルゲンに特異的に反応し、Der p 2に反応しないことが観察された(図4B)。プレ免疫血清は、クローン30由来アレルゲン及びDer p 2に反応しなかった(図4A)。
【0065】
(実施例4:ウサギにおいてクローン30由来アレルゲンに誘導されたIgG抗体の、ダニアレルギー患者IgEにおけるクローン30由来アレルゲンのIgE結合阻害)
患者IgEに対するアレルゲンの結合を阻害するための、クローン30由来アレルゲンに特異的なウサギ抗体の可能性を、ELISA−抑制分析によって試験した。クローン30由来アレルゲン(5μg/ml)を結合させたELISAプレートを、PBST/0.5%(w/v)BSA 1:100で希釈したウサギ抗クローン30由来アレルゲン抗体又はウサギプレ免疫血清と共にプレインキュベートし、4℃で一晩インキュベートした。続いてプレートを、4℃で一晩、PBST/0.5%(w/v)BSA 1:5で希釈した14人のダニアレルギー患者からの血清にさらした。IgE抗体結合を、PBST/0.5%BSA 1:2500で希釈したHRP連結ヤギ抗ヒトIgE抗体(Kirkegaard&Perry Gaithersbury,MD)で検出した。抑制度を、以下の通り算出した:IgE結合抑制比率(%)=100−OD抗クローン30由来血清X100/ODプレ免疫血清
【0066】
患者の大多数においてIgE結合が強く抑制され、25〜97%の範囲(平均:82%)の抑制が観察できた(表2)。血清の半分において、クローン30由来アレルゲンに対するIgE結合が90%以上抑制された。
【0067】
表2:抗ウサギクローン30由来IgG抗体によるダニアレルギー患者血清からクローン30由来アレルゲンまでのIgE結合抑制。
【0068】
【表2】

【0069】
(実施例5:クローン30由来アレルゲンの生物学的活性)
好塩基球におけるCD203cのアップレギュレーションを、誘導された活性と引き続く好塩基球の脱顆粒の指標として用いることができる。それゆえに、アレルゲンのアレルギー活性を決定することができる。ダニアレルギー患者からのヘパリン添加血液サンプル(100μl)を、様々な濃度のクローン30由来アレルゲン、単クローン抗IgE抗体(Immunotech,France)、又はPBSと共に、37℃で15分間インキュベートした。CD203c発現を、FACScan(Becton Dickinson,CA)における2色フローサイトメトリーによって決定した。
【0070】
クローン30由来アレルゲンは、濃度10μg/mlで、ダニアレルギー患者の好塩基球におけるCD203c発現のアップレギュレーションを誘導した(図5)。抗ヒトIgE抗体(ポジティブコントロール)は、1μg/mlにおいてCD203c発現のアップレギュレーションを誘導した。一方で、ネガティブコントロール(PBS単独)においては、アップレギュレーションが見られなかった。
【0071】
(実施例6:クローン30由来アレルゲンの表面提示領域及び予測T細胞エピトープ)
タンパク質の疎水性領域は、分子の表面に提示されやすく、潜在的に抗原性であり得る。それゆえに、クローン30由来アレルゲンの表面における疎水性領域は、潜在的B細胞エピトープに相当し得る。プロットスケール(http://www.expasy.org/tools/protscale.html)によって、タンパク質30由来アレルゲンのいずれかのアミノ酸の大きさによって作られる疎水性プロフィールの算出と提示が可能である(Kyte&Doolittle)。ウインドウサイズ7を構造調査のために選択した。成熟クローン30由来アレルゲンのプロットスケールの出力は、疎水性部分に相当するたくさんのネガティブピークを有するタンパク質を示す(図6A)。クローン30由来アレルゲンのB細胞エピトープは、成熟タンパク質のアミノ酸3〜12、15〜28、34〜43、及び49〜68の間に位置する。
【0072】
ヒト免疫システムのT細胞は、アレルゲンの変質により得られた短いペプチド断片(T細胞エピトープ)としてアレルゲンを認識する。MULTIPRED(http://antigen.i2r.astar.edu.sg/multipred/)は、ヒト白血球抗原(HLAs;ヒトMHC、主要組織適合複合体)対立遺伝子に属する複数の分子に結合するペプチドの予測のための、ウェブベースの算出システムである。40以上の和(個体におけるペプチドのMHC分子に対する結合スコアの和)を用いて、個体における9個のペプチドの予測された結果を図6Bに示す。T細胞エピトープは、成熟クローン30由来アレルゲンのN末及びC末近傍に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】クローン30由来アレルゲンのcDNA及びアミノ酸配列を示す図である。
【図2】クローン30由来アレルゲンのクマシーブルー染色及び質量分析(MS)を示す図である。
【図3】クローン30由来アレルゲンの免疫ブロットを示す図である。
【図4】ウサギ抗クローン30由来アレルゲン抗血清のIgG反応を示す図である。
【図5】クローン30由来アレルゲンの生物学活性を示す図である。
【図6】プロットスケールを用いた、成熟したクローン30由来アレルゲンの疎水性分析(Kyte&Doolittle)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、
配列番号1のアミノ酸配列のうちの少なくとも6個の連続するアミノ酸残基の少なくとも1つのアミノ酸断片を含むアミノ酸配列、又は
配列番号1のアミノ酸配列若しくはその断片に対する免疫学的交差反応を有するアミノ酸配列、を備えたポリペプチドであって、
配列番号1のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列を有する分子に特異的なT細胞レセプターによって認識される、少なくとも1つのT細胞エピトープを含むアレルゲン及びポリペプチドをコードする、ポリペプチド。
【請求項2】
上記アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列と、少なくとも70%同一、好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%同一、最も好ましくは少なくとも95%同一、とりわけ100%同一であることを特徴とする請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
低アレルギー誘発性であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
上記アミノ酸断片が、配列番号1のアミノ酸配列における上記アミノ酸配列の順番とは異なる順番になるように共に融合されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
上記少なくとも1つのアミノ酸断片は、配列番号1のアミノ酸配列における第5位〜第13位、第9位〜第17位、第10位〜第18位、第11位〜第19位、第12位〜第20位、第16位〜第24位、第17位〜第25位、第43位〜第51位、第44位〜第52位、第45位〜第53位、第47位〜第55位、第51位〜第59位、及び第60位〜第68位のアミノ酸を含むアミノ酸分子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするDNA分子。
【請求項7】
請求項5に記載のDNA分子を含むベクター。
【請求項8】
請求項6に記載のベクターを用いて形質転換された細胞。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチドに結合する抗体。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド又は請求項9に記載の抗体を含むワクチン構築物。
【請求項11】
個体における、特にハウスダストダニアレルギーであるアレルギーの診断のための、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項12】
特にハウスダストダニアレルギーであるアレルギーの免疫療法のための薬剤の調製のための、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド又は請求項9に記載の抗体の使用。
【請求項13】
特にハウスダストダニアレルゲン感作であるアレルゲン感作の予防のための薬剤の調整のための、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド又は請求項9に記載の抗体の使用。
【請求項14】
上記薬剤は、さらに、アジュバント、希釈剤、防腐剤、又はこれらの混合物を含んでいることを特徴とする請求項12又は13に記載の使用。
【請求項15】
上記薬剤は、上記ポリペプチドを10ng〜1g、好ましくは100ng〜10mg、とりわけ0.5μg〜200μg備えていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−535020(P2009−535020A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506860(P2009−506860)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/AT2007/000201
【国際公開番号】WO2007/124524
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(507180423)ビオマイ アクチエンゲゼルシャフト (12)
【Fターム(参考)】