説明

ハケ

【課題】汚れの掻き出し性能及び洗浄液等の液体の保持性能に優れ、毛材の強度を向上させると共に、塗りムラの発生を防ぐことができるハケを提供する。
【解決手段】塗装等に使用されるハケ10において、該ハケ10は、毛材を束ねてなるハケ部11と、取っ手部12とを有するものであって、前記ハケ部11は、外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材11aと、クリンプ状に形成された毛材11bが混毛されてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂モノフィラメントからなる毛材を有し、洗浄、清掃、液体の塗布等に用いられるハケに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のハケには様々なものが知られている。例えば、一般的に単位面積あたりの毛材の量が多い方が被塗装面にムラなく塗ることができるので、ストレート毛材が採用されている。しかしながら、ストレート毛材は、塗料が比較的降下し易い、即ち吐き出しが早い為、塗料の厚みが増す傾向にある。また、ストレート毛材は強度が弱い為、曲り易い。
【0003】
上記ストレート毛材の欠点を解決する毛材として、ウェーブ毛材が知られている。このウェーブ毛材は、強度があり、屈曲しにくく、毛材間に塗料が溜まり易いので、塗料の降下が比較的遅く、厚塗りすることがない。しかしながら、ウェーブ状の毛材間の隙間が大きくなるので、塗りムラが生じ易い。なお、ウェーブ毛材は、他にもクリンプ状の毛材、縮れ毛材、捲縮毛材と呼ばれている。
【0004】
さらに、ハケを構成する毛材を化学繊維の毛材とし、この毛材の先端部に行くに従い次第に先細りになるように形成し、且つ毛材の表面に、各毛材間の間隙液分が溜まり易いように細かな凹部を多数形成したものが知られている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特許第2879424号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の特許文献1に記載された技術では、つや出し剤等の液分を細かな凹部にある程度保持することができるようになるものの、十分とは言えなかった。また、一度凹部に保持された液分は凹部の外部の液分と容易に交換される事が無く、液分が凹部に滞留するという課題があった。また、毛材が被洗浄面に付着した汚れを効率よく掻き出すには、毛材の摩擦力を向上させる必要があるという課題があった。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、汚れの掻き出し性能及び洗浄液等の液体の保持性能に優れ、毛材の強度を向上させると共に、塗りムラの発生を防ぐことができるハケを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明では、塗装等に使用されるハケにおいて、該ハケは、毛材を束ねてなるハケ部と、取っ手部とを有するものであって、前記ハケ部は、外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材と、クリンプ状に形成された毛材が混毛されてあることに特徴を有する。したがって、凹部や凸部が被洗浄面に接触することによって摩擦力がアップするので、汚れを効率よく掻き出すことが出来ると共に、洗浄液等の液体が、洗浄時に螺旋状の凹部や凸部で保持されるので、洗浄性能が向上する。また、塗装用のハケとして用いた場合、螺旋状の凹部又は凸部が塗料を保持すると共に液分が滞留する事が無く、順次新しい液分が凹部又は凸部に保持される為、塗料の垂れ流しが防止できると共に、満遍なく、均一に塗料を塗布することが出来る。さらに、クリンプ状に形成された毛材が混毛されてあることによって、毛材の強度を増加させることができると共に、塗料の急激な降下を防止することができる。なお、クリンプ状とは、繊維が縮れている状態の事であり、毛材に弾力性や保温性を付与できる。
【0009】
請求項2の発明では、塗装等に使用されるハケにおいて、該ハケは、毛材を束ねてなるハケ部と、取っ手部とを有するものであって、前記ハケ部は、外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材と、クリンプ状に形成された毛材、及びストレート状に形成された合成樹脂モノフィラメントからなる毛材が混毛されてあることに特徴を有する。したがって、凹部や凸部が被洗浄面に接触することによって摩擦力がアップするので、汚れを効率よく掻き出すことが出来ると共に、洗浄液等の液体が、洗浄時に螺旋状の凹部や凸部で保持されるので、洗浄性能が向上する。また、塗装用のハケとして用いた場合、螺旋状の凹部又は凸部が塗料を保持すると共に液分が滞留する事が無く、順次新しい液分が凹部又は凸部に保持される為、塗料の垂れ流しが防止できると共に、満遍なく、均一に塗料を塗布することが出来る。さらに、クリンプ状に形成された毛材が混毛されてあることによって、毛材の強度を増加させることができると共に、塗料の急激な降下を防止することができる。また、ストレート状に形成された合成樹脂モノフィラメントからなる毛材が混毛されてあるので、毛材間の隙間を小さくすることができ、塗りムラの発生を防止することができる。
【0010】
請求項3の発明では、請求項1又は2に記載のハケにおいて、外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材は、前記螺旋状の前記凹部又は/及び凸部を連続的又は断続的に配してあることに特徴を有する。したがって、凹部や凸部を連続的に配した場合は、液体を保持できる面が増加するので、液体の保持性能が向上し、洗浄性能、塗装性能が向上する。また、凹部や凸部を断続的に配した場合は、凹部や凸部によるエッジ部が増えるので、汚れをより効率よく掻き出すことが出来る。
【0011】
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハケにおいて、外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材は、前記凹部又は/及び凸部を、右捻りと、左捻りと真直ぐ方向の3方向の内、少なくとも二方向以上の組み合わせで配してあることに特徴を有する。したがって、二方向以上の組み合わせの凹部又は/及び凸部に液体をより多く滞留させることができる。また、凹部や凸部のエッジ部が様々な箇所に存在するようになるので、このエッジ部が様々な角度から被洗浄面の汚れに接するようになり、洗浄性能が飛躍的に向上する。
【0012】
請求項5の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハケにおいて、外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材の太さを均一あるいは不均一としたことに特徴を有する。したがって、合成樹脂モノフィラメントの太さが均一の場合、ハケの腰が強くなるので、汚れの掻き出し性能が向上する。また、合成樹脂モノフィラメントの太さが不均一の場合は、合成樹脂モノフィラメントの表面積、即ち汚れとの接触面積が広がるので、汚れの除去性能が向上すると共に、洗浄液等の液体の保持性能が向上するので、洗浄性能も向上する。
【0013】
請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載のハケにおいて、中間部分がクリンプ状に形成されてあると共に、両端部はストレート状に形成された毛材を有することに特徴を有する。したがって、取っ手部に保持される後端部分の毛材がストレート状であれば、保持する毛材の量を多くすることができ、先端部分の毛材がストレート状であれば毛材間の隙間を小さくすることができ、塗りムラの発生を防止することができる。
【0014】
請求項7の発明では、請求項1〜6のいずれか1項に記載のハケにおいて、毛材の先端部をテーパ形状としたことに特徴を有する。したがって、先端部は塗料がスムースに流れ落ちて塗装ができる。その為、被塗装面に毛材の跡がつき難く、均一な塗装を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明では、凹部や凸部によって、液体を保持することができると共に、汚れを掻き出すことができるので、洗浄性能が向上でき、クリンプ状に形成された毛材が混毛されてあることによって、毛材の強度を増加させることができると共に、塗料の急激な降下を防止することができる。また、請求項2の発明では、ストレート状に形成された合成樹脂モノフィラメントからなる毛材が混毛されてあるので、毛材間の隙間を小さくすることができ、塗りムラの発生を防止することができる。また、請求項3の発明では、凹部や凸部を連続的又は断続的に配することによって、液体の保持性能の向上や洗浄性能の更なる向上を図ることができる。また、請求項4の発明では、凹部や凸部のエッジ部によって、液体の保持性能や洗浄性能を飛躍的に向上させることができる。また、請求項5の発明では、毛材の太さを均一あるいは不均一とすることによって、洗浄性能を向上させることができる。また、請求項6の発明では、製造コストを低く抑えつつ、塗りムラの発生を防止することができる。また、請求項7の発明では、被塗装面に毛材の跡がつき難く、均一な塗装を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のハケの第1実施形態を示す正面図である。ハケ10は、取っ手部12と、ハケ部11とが接合部13によって連結されている。ハケ部11は、外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材11aと、クリンプ状に形成された毛材11bとが混毛されてなるものであり、接合部13に植設されている。上記構成とすることにより、ブラシ用毛材11aの凹部や凸部が被洗浄面に接触することによって摩擦力がアップするので、汚れを効率よく掻き出すことが出来ると共に、洗浄液等の液体が、洗浄時に螺旋状の凹部や凸部で保持されるので、洗浄性能が向上する。また、塗装用のハケとして用いた場合、螺旋状の凹部又は凸部が塗料を保持すると共に液分が滞留する事が無く、順次新しい液分が凹部又は凸部に保持される為、塗料の垂れ流しが防止できると共に、満遍なく、均一に塗料を塗布することが出来る。さらに、クリンプ状に形成された毛材11bが混毛されてあることによって、毛材の強度を増加させることができると共に、塗料の急激な降下を防止することができる。このハケ10は、洗浄、清掃、液体の塗布等に使用するものであり、本発明のハケ10に使用される外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材11aは、後述する図4〜図8に示す実施形態を採ることができる。
【0017】
合成樹脂モノフィラメントとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド系樹脂繊維、アクリル繊維、フッ素繊維、ウレタン繊維、シリコン繊維などがある。また、クリンプ状に形成された毛材11bの材質としては、合成樹脂モノフィラメント以外にも、洗浄、清掃、液体の塗布等をする為に使用可能な材質であるならば天然繊維、あるいは化学繊維を使用目的に応じて、適時、設定して使用する事ができる。なお、天然繊維とは、植物、動物、鉱物を原料とする繊維であり、植物繊維には、例えば、シダ、シュロ等の靭皮繊維、パッキン、サイザル等の葉脈繊維、パーム等の果実繊維、綿、麻、石綿等がある。動物繊維には、例えば、硬毛として、豚毛、馬毛、猪毛があり、軟毛として、山羊毛、人毛、狸毛があり、他にも羊毛、絹等がある。また、化学繊維とは、石油、石炭などから化学的な合成や加工により作られる繊維であり、合成繊維、研削材入り繊維、通電性複合繊維、無機繊維、再生繊維、半合成繊維がある。合成繊維とは、合成高分子化合物から紡糸した繊維であり、フッ素系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニール系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、アラミド系等の各合成繊維がある。研削材入り繊維とは、例えば、炭化珪素、アルミナ、ダイヤモンド等の各種鉱物、シリカ、セラミック等の研削性能を有する材質を、ナイロン、PBT等の基材の繊維にたいして付着、練込み、あるいは混入させて形成した繊維である。通電性複合繊維とは、電流を流す事ができる性能を有する繊維であり、各種炭素繊維、硫化銅複合繊維、銀複合繊維がある。通電性複合繊維は、導電性繊維と呼ばれる事もある。無機繊維とは、無機化合物からなる繊維であり、例えば、ピアノ線、硬鋼線、ステンレス鋼線、オイルテンパー線等の各種鋼線、真鍮線、りん青銅線等の非鉄金属線等がある。再生繊維とは、天然のセルロースなどからなる木材、綿、麻などを溶かして作った繊維であり、レーヨン等がある。半合成繊維とは、合成繊維と再生繊維の中間的なものであり、セルロースなどの天然の高分子物質を化学的に処理してエステルなどの形に変え、繊維にしたものであり、アセテート繊維等がある。
【0018】
図2は本発明のハケの第2実施形態を示す正面図である。この実施形態では、ハケ部11に3種類のブラシ用毛材11a、11b、11cが組み合わされている。即ち、外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材11aと、クリンプ状に形成された毛材11bと、ストレート状に形成された合成樹脂モノフィラメントからなる毛材11cとが混毛されてなるものであり、接合部13に植設されている。上記構成とすることにより、ブラシ用毛材11aの凹部や凸部が被洗浄面に接触することによって摩擦力がアップするので、汚れを効率よく掻き出すことが出来ると共に、洗浄液等の液体が、洗浄時に螺旋状の凹部や凸部で保持されるので、洗浄性能が向上する。また、塗装用のハケとして用いた場合、螺旋状の凹部又は凸部が塗料を保持すると共に液分が滞留する事が無く、順次新しい液分が凹部又は凸部に保持される為、塗料の垂れ流しが防止できると共に、満遍なく、均一に塗料を塗布することが出来る。さらに、クリンプ状に形成された毛材11bが混毛されてあることによって、毛材の強度を増加させることができると共に、塗料の急激な降下を防止することができる。また、ストレート状に形成された合成樹脂モノフィラメントからなる毛材11cが混毛されてあるので、毛材間の隙間を小さくすることができ、塗りムラの発生を防止することができる。
【0019】
図3は本発明のハケの第3実施形態を示す正面図である。この実施形態におけるブラシ用毛材110は、中間部がクリンプ部110aとなっており、先端部及び後端部が直線部110b、110cとなっている。上記構成とすることによって、後端部の直線部110cでブラシ用毛材を密にそろえて接合部13に植設することができるので、保持する毛材の量を多くすることができ、先端部が直線部110bであれば毛材間の隙間を小さくすることができ、塗りムラの発生を防止することができる。
【0020】
図4(a)は、本発明のブラシ用毛材11aの第1実施例の斜視図を示すもので、ブラシ用毛材11aは、全長に渡って太さが均一で、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド系樹脂繊維、アクリル繊維、フッ素繊維、ウレタン繊維、シリコン繊維などの合成樹脂モノフィラメントからなり、その表面の長手方向に、同図に示すように凹部2が螺旋状に且つ連続的に形成されている。
【0021】
図4(b)は、凹部2の代わりに、凸部3を、ブラシ用毛材11aの外周面に、同じく螺旋状に連続して設けた第2実施例を示すものである。尚、本実施形態のブラシ用毛材11aの製法としては、合成樹脂を加熱、溶融紡糸して、所定温度で、サンドペーパーなどの研磨紙(図示せず)を、繊維の外周面に当てて、凹部2又は凸部3を形成しながら、且つ捻りながら、その繊維を巻き取るようにすればよい。また、押出しと捻りを組み合わせた成型でも可能であり、さらにダイス形状を凹凸形状にしておけば、同時に凹部2、凸部3を形成することもできる。
【0022】
また、ブラシ用毛材11aを形成する合成樹脂モノフィラメントの外径は、0.05mm以上であれば、自由に製造が可能である。さらに、螺旋状の凹部2、凸部3のそれぞれの捻り角は、合成樹脂モノフィラメントの長手方向に対して20度以下であれば効率的に製造できる。また、凹部2の深さは、深いほど、洗浄液などの液体の保持性能が向上するが、深すぎると腰が著しく弱くなったり、合成樹脂モノフィラメントの製造時に、それが切断するなどの問題があるので、合成樹脂モノフィラメントの断面の長径に対して50%以下に抑えるのが望ましい。
【0023】
また、凸部3の高さは、高いほど洗浄液などの液体の保持性能が向上するが、高すぎると、多数のブラシ用毛材11aでハケ部11を形成したときに、隣り合う凸部3間で液体が保持され、ブラシ用毛材11aからの液体の流出性が著しく悪くなるので、凸部3の高さを、合成樹脂モノフィラメントの断面の長径に対して50%以下にするのが望ましい。
【0024】
本実施例におけるブラシ用毛材11aは、以上のように構成されているので、それを洗浄用のハケ等に用いた場合、凹部2又は凸部3が、被洗浄面(図示せず)などに接触することにより摩擦力がアップするので、汚れを効率よく掻き出すことが出来ると共に、洗浄液などの液体が、洗浄時に螺旋状の凹部2又は凸部3で保持されるので、洗浄性能が大幅に向上する。また、螺旋状の凹部2又は凸部3は、螺旋形状にて液分が過度に凹部2又は凸部3に滞留することを防止できる為、順次新しい液分が保持できる。また、本実施形態におけるブラシ用毛材11aを塗装用のハケに用いた場合、螺旋状の凹部2又は凸部3が塗料を保持するので、塗料の垂れ流しが防止できると共に、満遍なく、均一に塗料を塗布することができる。
【0025】
また、本実施例では、図4(a)、(b)に示すように、凹部2、凸部3を連続的に配しているので、液体を保持できる面が増加し、それによって、液体の保持性能が向上し、洗浄性能、塗装性能を向上させることができる。また、本実施形態では、ブラシ用毛材11aを形成する合成樹脂モノフィラメントの太さが略均一に形成されているので、毛腰が強くなり、汚れの掻き出し性能が向上する。尚、上記実施形態では、凹部2、凸部3を、それぞれ1条設けた例を示しているが、使用される洗浄液や塗料の粘性に応じて複数条設けても構わない。
【0026】
また、第3実施例及び第4実施例である図5(a)、(b)に示すように、螺旋状の凹部2、凸部3を、ブラシ用毛材11aの外周面に断続的に設けるようにしても良い。この場合は、凹部2又は凸部3のエッジ部が増えるので、汚れをより効率的に掻き出すことができる。また、第3実施例及び第4実施例におけるブラシ用毛材11aを塗装用のハケに用いた場合、エッジ部が保持された塗料の脱落を防止できる為、塗料の高い保持性能を有することができる。
【0027】
また、第1実施例〜第4実施例において、ブラシ用毛材11aの凹部2、凸部3を右捻りのみ、或いは左捻りのみにして形成することも可能である。以上のように、第1実施例〜第4実施例によれば、凹部2又は凸部3のエッジ部が様々な個所に存在するようになるので、そのエッジ部が、様々な角度から被洗浄面の汚れに接するようになり、洗浄性能が飛躍的に向上するものである。
【0028】
図6は本発明の第5実施例〜第8実施例におけるブラシ用毛材11aの斜視図を示すもので、凹部又は凸部を、右捻りと、左捻りと、真直ぐ方向の少なくとも二方向以上の組み合わせで配したもので、他の構成、材料は、上記第1実施例及び第2実施例と同一なので、その説明を省略する。図6(a)は、ブラシ用毛材11aの外周面に、左捻りの凹部2と右捻りの凹部2を連続して設けた例を示し、図6(b)は、ブラシ用毛材11aの外周面に、左捻りの凸部3と右捻りの凸部3を連続して設けた例を示し、図6(c)は、左捻りの凹部2と直線状の凹部2aと右捻りの凹部2を連続的に設けた例を示し、図6(d)は、左捻りの凸部3と直線状の凸部3aと右捻りの凸部3を連続的に設けた例を示している。図6(a)〜(d)の形態は、凹部2及び/又は凸部3がブラシ用毛材11aの外周面に、蛇行状に形成されてある。
【0029】
以上のように、第5実施例〜第8実施例によれば凹部2又は凸部3のエッジ部が様々な個所に存在するようになるので、そのエッジ部が、様々な角度から被洗浄面の汚れに接するようになり、洗浄性能が飛躍的に向上するものである。また、洗浄液、塗料等の液体がエッジ部にて保持される為、高い液体の保持性能を有することができる。
【0030】
図7は、第9実施例及び第10実施例におけるブラシ用毛材11aの斜視図である。尚、上記実施形態と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。本実施例では、図7に示すように、ブラシ用毛材11aを形成する合成樹脂モノフィラメントの太さを不均一にしたもので、これにより、ブラシ用毛材11aの表面積、即ちブラシ用毛材11aの表面と汚れとの接触面積が広がり、汚れの除去性能及び洗浄液、塗料等の液体の保持性能が向上するので、洗浄性能が向上する。
【0031】
図8は、第11実施例のブラシ用毛材11aを示す正面図である。この図に示すように、外周面の長手方向に凹部2を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材11aの凹部2の最下部をテーパ形状部5としている。このように構成することによって、塗料6の溜まりがなく、スムースに流れ落ちる。また、ブラシ用毛材11aの先端部にテーパ形状部5を形成することによって、被塗装面に毛材の跡がつき難く、均一な塗装を行うことができる。
【0032】
尚、上記第1〜11実施例では、ブラシ用毛材11aを形成する合成樹脂モノフィラメントの1本の外周面に凹部2又は凸部3のいずれかを設けた例を示したが、特に、これに限定されるものではなく、1本の合成樹脂モノフィラメントの外周面に、凹部2と凸部3の両方を設けても良い。
【0033】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。例えば、図6(a)〜(d)の形態は、凹部2又は/及び凸部3がブラシ用毛材11aの外周面に蛇行状に形成されてあるが、蛇行状に形成された前記形態は、本発明における外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部が螺旋状に形成された形態の一形態として採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のハケは、合成樹脂モノフィラメントからなる毛材を有し、洗浄、清掃、液体の塗布等に使用する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のハケの第1実施形態を示す正面図。
【図2】本発明のハケの第2実施形態を示す正面図。
【図3】本発明のハケの第3実施形態を示す正面図。
【図4】ブラシ用毛材の第1及び第2実施例を示す説明図。
【図5】ブラシ用毛材の第3及び第4実施例を示す説明図。
【図6】ブラシ用毛材の第5〜第8実施例を示す説明図。
【図7】ブラシ用毛材の第9及び第10実施例を示す説明図。
【図8】ブラシ用毛材の第11実施例を示す説明図。
【符号の説明】
【0036】
2、2a 凹部
3、3a 凸部
5 テーパ形状部
6 塗料
10 ハケ
11 ハケ部
11a 外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなるブラシ用毛材
11b クリンプ状に形成されたブラシ用毛材
11c ストレート状に形成された合成樹脂モノフィラメントからなるブラシ用毛材
12 取っ手部
13 接合部
110 ブラシ用毛材
110a クリンプ部
110b、110c 直線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装等に使用されるハケにおいて、該ハケは、毛材を束ねてなるハケ部と、取っ手部とを有するものであって、前記ハケ部は、外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材と、クリンプ状に形成された毛材が混毛されてあることを特徴とするハケ。
【請求項2】
塗装等に使用されるハケにおいて、該ハケは、毛材を束ねてなるハケ部と、取っ手部とを有するものであって、前記ハケ部は、外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材と、クリンプ状に形成された毛材、及びストレート状に形成された合成樹脂モノフィラメントからなる毛材が混毛されてあることを特徴とするハケ。
【請求項3】
外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材は、前記螺旋状の前記凹部又は/及び凸部を連続的又は断続的に配してあることを特徴とする請求項1又は2に記載のハケ。
【請求項4】
外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材は、前記凹部又は/及び凸部を、右捻りと、左捻りと真直ぐ方向の3方向の内、少なくとも二方向以上の組み合わせで配してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハケ。
【請求項5】
外周面の長手方向に凹部又は/及び凸部を螺旋状に形成した合成樹脂モノフィラメントからなる毛材の太さを均一あるいは不均一としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハケ。
【請求項6】
中間部分がクリンプ状に形成されてあると共に、両端部はストレート状に形成された毛材を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハケ。
【請求項7】
毛材の先端部をテーパ形状としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のハケ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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