説明

ハサミ

【課題】少ない労力で迅速に対象物をシュレッダーのように裁断することを可能にする連刃式ハサミを提供する。
【解決手段】ハサミ(100)は、相互に平行に配置されている2枚以上の刃を有する第一の刃群と、第一の刃群の刃よりも一枚多い刃を有し、相互に平行に配置されている第二の刃群とが回転中心を中心として相互に回動し、相互に噛み合う構成を有している。第一の刃群の刃は全て鋸歯状刃(102、104、106)からなり、第二の刃群において両端に位置する刃は平刃(101、107)からなり、第二の刃群における残りの刃(103、105)は鋸歯状刃からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハサミ、特に、複数の刃を有する連刃ハサミに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに複数の刃を有するハサミとして多くのものが提案されている。
【0003】
例えば、特許第3984632号公報(特開2007−68975号公報)には、回転中心を中心として相互に回動可能な第一のハサミ片と第二のハサミ片とから構成されるハサミが提案されている。
【0004】
第一のハサミ片は相互に平行に整列された2枚の平刃からなり、第二のハサミ片の刃は凸部と凹部とを交互に設けた凹凸刃からなる。第二のハサミ片は第一のハサミ片を構成する二枚の平刃の間に挿入可能に配置されており、さらに、第一のハサミ片と第二のハサミ片とを相互に噛み合わせたときに、凹凸刃の全側面が第一のハサミ片を構成する平刃と擦り合うように構成されている。
【特許文献1】特許第3984632号公報(特開2007−68975号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載されているような連刃式のハサミはシュレッダーの代用品としての機能を有することが期待されている。すなわち、シュレッダーを用いることなく、対象物(紙その他のシート状物品)を、対象物に書かれている文字を閲読不能な程度に裁断する機能を有することが期待されている。
【0006】
しかしながら、上記公報に記載されているハサミは二枚の平刃と一枚の凹凸刃からなるものであるため、対象物に一度に入れることができる切断線の数は2にすぎない。
【0007】
このため、対象物をシュレッダーのように裁断するためには、複数回の切断作業が必要となり、迅速性に乏しく、かつ、労力が大きい。
【0008】
本発明は、このような従来の連刃式のハサミにおける問題点に鑑みてなされたものであり、少ない労力で迅速に対象物をシュレッダーのように裁断することを可能にするハサミを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、「発明の実施の形態」において使用される参照符号を用いて、上述の課題を解決するための手段を説明する。これらの参照符号は、「特許請求の範囲」の記載と「発明の実施の形態」の記載との間の対応関係を明らかにするためにのみ付加されたものであり、「特許請求の範囲」に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いるべきものではない。
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、相互に平行に配置されている2枚以上の刃を有する第一の刃群と、前記第一の刃群の刃よりも一枚多い刃を有し、相互に平行に配置されている第二の刃群とが回転中心を中心として相互に回動し、相互に噛み合う構成を有するハサミ(100)において、前記第一の刃群の刃は全て鋸歯状刃(102、104、106)からなり、前記第二の刃群において両端に位置する刃は平刃(101、107)からなり、前記第二の刃群における残りの刃(103、105)は鋸歯状刃からなるハサミ(100)を提供する。
【0011】
前記第一の刃群及び前記第二の刃群の少なくとも何れか一方における各刃の頂点は、当該刃群の先端に近いほど、対向する刃群の頂点から離れていることが好ましい。
【0012】
例えば、前記第一の刃群及び前記第二の刃群の少なくとも何れか一方における各刃の頂点をつなぐ線は円弧を形成するものとすることができる。
【0013】
前記円弧の半径は50mm以上であることが好ましい。
【0014】
前記鋸歯状刃(102−106)における鋸歯(120)は、前記ハサミの長さ方向において、前記ハサミの先端側に位置する第一群の鋸歯(121)から第N群の鋸歯までに分かれており(Nは2以上の整数)、前記第一群乃至第M群(MはNよりも少なくとも2小さい整数)の鋸歯は前記ハサミの先端側に向かって傾斜していることが好ましい。
【0015】
第(M+1)群乃至前記第N群の鋸歯は前記ハサミの先端側とは反対側に向かって傾斜していることが好ましい。
【0016】
前記第一群乃至第M群の鋸歯の傾斜角度は各群毎に異なっているものとすることができる。
【0017】
同様に、前記第(M+1)群乃至前記第N群の鋸歯の傾斜角度は各群毎に異なっているものとすることができる。
【0018】
前記鋸歯状刃(102−106)は、さらに、前記第M群の鋸歯と前記第(M+1)群の鋸歯との間に第三群の鋸歯(123)を備えることができる。この場合、前記第三群の鋸歯(123)は直上を向いていることが好ましい。
【0019】
前記第一群の鋸歯(121)乃至前記第N群の鋸歯が傾斜する角度は、前記ハサミの長さ方向と直交する方向に対して、5度から25度の範囲内であることが好ましい。
【0020】
前記平刃(101、107)の刃厚は前記鋸歯状刃(102−106)の刃厚よりも10%以上大きいことが好ましい。
【0021】
前記第二の刃群において両端に位置する前記平刃(101、107)の間の距離は前記ハサミの先端に近いほど小さいことが好ましい。
【0022】
前記鋸歯状刃(102−106)は、その頂点が、前記第一の刃群と前記第二の刃群とを相互に噛み合わせたときに、相手方の刃群の刃の背部よりも突出することが好ましい。
【0023】
相互に噛み合う一対の鋸歯状刃のうちの一方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点と他方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点とは、前記一対の鋸歯状刃が噛み合ったときに、相互にずれるように配置されていることが好ましい。
【0024】
前記一方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点と前記他方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点とが相互にずれる距離(Y)は、前記ハサミの長さ方向における一つの鋸歯の長さ(X)の1/4以下であることが好ましい。
【0025】
本発明に係るハサミは、各刃の間に配置されたスペーサー(410)をさらに備えることができる。前記スペーサー(410)の厚さは前記刃(101−107)の肉厚よりも大きいことが好ましい。
【0026】
前記スペーサー(410)の厚さは前記刃(101−107)の肉厚の1.5倍以下であることが好ましい。
【0027】
前記第一の刃群及び前記第二の刃群の各々において、各刃の高さが相互に異なるように構成することができる。
【0028】
例えば、前記第一の刃群及び前記第二の刃群の各々において、両端に位置する刃が最も大きい高さを有しており、隣接する刃の高さは順次小さくなることが好ましい。
【0029】
前記平刃(807)の外側の面には前記平刃(807)の反りを防止する補強構造(810)が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るハサミは少なくとも5枚の刃(2枚の平刃を含む)を有しているため、第一の刃群と第二の刃群とを相互に一回噛み合わせると、少なくとも5本の切断線をもって切断対象物を裁断することが可能になる。このため、上述の従来の連刃式ハサミと比較して、少ない労力で迅速に対象物をシュレッダーのように裁断することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係るハサミ100の正面図であり、図2は、本発明の第一の実施形態に係るハサミ100を上方から見た場合の平面図である。
【0032】
本実施形態に係るハサミ100は7枚の刃101、102、103、104、105、106、107をこの順番(図1の奥側から手前側に向かう順番)に備える7連式のハサミである。
【0033】
本実施形態に係るハサミ100は、回動中心点となる第一連結軸113を中心として相互に回動可能であり、相互に噛み合うように構成されている第一ハサミ片151及び第二ハサミ片152と、第一ハサミ片151と第二ハサミ片152とを相互に連結する1個の第一連結軸113及び2個の第二連結軸114と、から構成されている。
【0034】
第一ハサミ片151は第一の刃群として相互に平行に配置されている3枚の刃102、104及び106(図2参照)を有し、第二ハサミ片152は第二の刃群として相互に平行に配置されている4枚の刃101、103、105及び107(図2参照)を有している。
【0035】
第一ハサミ片151が有する3枚の刃102、104、106は全て鋸歯状刃である。
【0036】
これに対して、第二ハサミ片152が有する4枚の刃101、103、105、107のうち、両側に位置する2枚の刃101、107は平刃であり、一対の平刃101、107に挟まれている残りの2枚の刃103、105は鋸歯状刃である。
【0037】
図3(A)は第二ハサミ片152の鋸歯状刃103の平面図、図3(B)は鋸歯状刃105の平面図、図3(C)は平刃101、107の平面図である。
【0038】
また、図4(A)は第一ハサミ片151の鋸歯状刃104の平面図、図4(B)は鋸歯状刃102、106の平面図、図4(C)は図4(B)のC−C線における断面図である。
【0039】
本実施形態に係るハサミ100においては、図3(A)、図3(B)及び図3(C)に示す第二ハサミ片152の刃、すなわち、刃面が上を向いている刃101、103、105、107と、図4(A)及び図4(B)に示す第一ハサミ片151の刃、すなわち、刃面が下を向いている刃102、104、106とが交互に隣り合うように配置されている。
【0040】
図3(A)及び図3(C)に示すように、第二ハサミ片152の鋸歯状刃103及び平刃101、107の各々には回動中心点となる第一連結孔103A、101A及び107Aが形成されており、さらに、第一連結孔103A、101A及び107Aと間隔を開けて第二連結孔103B、101B及び107Bが形成されている。
【0041】
また、図3(B)に示すように、鋸歯状刃105にも、鋸歯状刃103及び平刃101、107と同様に、第一連結孔105A及び第二連結孔105Bが形成されているとともに、第二連結孔105Bに関して第一連結孔105Aと反対側の位置には把手111が形成されている。
【0042】
図4(B)に示すように、鋸歯状刃102、106には回動中心点となる第一連結孔102A、106Aが形成されており、さらに、第一連結孔102A、106Aと間隔を開けて第二連結孔102B、106Bが形成されている。
【0043】
また、図4(A)に示すように、鋸歯状刃104にも、鋸歯状刃102、106と同様に、第一連結孔104A及び第二連結孔104Bが形成されているとともに、第二連結孔104Bに関して第一連結孔104Aと反対側の位置には把手112が形成されている。
【0044】
これら7枚の刃101−107、すなわち、第一ハサミ片151の刃102、104、106及び第二ハサミ片152の刃101、103、105、107は、図2に示すように、各第一連結孔101A、102A、103A、104A、105A、106A、107Aに第一連結軸113が挿入され、さらに、各第二連結孔101B、103B、105B、107B及び各第二連結孔102B、104B、106Bにそれぞれ第二連結軸114(計二つ)が挿入されることにより、相互に一体的に連結される。この場合、図3(A)、図3(B)及び図3(C)に示す平刃101、107及び鋸歯状刃103、105は刃面が上を向くように、図4(A)及び図4(B)に示す鋸歯状刃102、104、106は刃面が下を向くように取り付けられる。
【0045】
各鋸歯状刃102−106には同数の鋸歯120が形成されている。具体的には、本実施形態に係るハサミ100を構成する各鋸歯状刃102−106には20個の鋸歯120が形成されている。
【0046】
上記のような構造を有する本実施形態に係るハサミ100は以下のような効果を奏する。
【0047】
本実施形態に係るハサミ100は7枚の刃101−107を有しているため、第一ハサミ片151と第二ハサミ片152とを相互に一回噛み合わせると、6本の切断線をもって対象物を裁断することが可能になる。このため、上述の従来の連刃式ハサミと比較して、少ない労力で迅速に対象物をシュレッダーのように裁断することが可能になる。
【0048】
なお、図1に示すように、下向きの鋸歯を有する第一ハサミ片151の鋸歯状刃102、104、106は、ハサミ100を閉じきったときに、それらの頂点が相手方の第二ハサミ片152の鋸歯状刃103、105及び平刃101、107の背部(刃面とは反対側の縁)よりも外側に突出するように構成することができる。さらに、同様に、上向きの鋸歯を有する第二ハサミ片152の鋸歯状刃103、105は、ハサミ100を閉じきったときに、それらの頂点が相手方の第一ハサミ片151の鋸歯状刃102、104、106の背部(刃面とは反対側の縁)よりも外側に突出するように構成することができる。
【0049】
このように、各鋸歯状刃102−106の頂点を対向する刃の背部よりも外側に突出させて構成することにより、各鋸歯状刃102−106により切断された切断対象物を外側に排出することが容易になる。
【0050】
本実施形態に係るハサミ100は上記のような構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0051】
例えば、本実施形態に係るハサミ100は7枚の刃101−107を有するものとして構成されているが、刃の枚数は7には限定されない。第一ハサミ片151が少なくとも2枚の刃を有し、第二ハサミ片152が少なくとも3枚(2枚の平刃101、107を含む)を有し、かつ、第二ハサミ片152の刃の枚数が第一ハサミ片151の刃の枚数よりも1だけ多いものである限り、ハサミ100は任意の枚数の刃を備えることが可能である。
【0052】
本実施形態に係るハサミ100においては、平刃101、107の刃厚は鋸歯状刃102−106の刃厚に等しく設定されているが、平刃101、107の刃厚を鋸歯状刃102−106の刃厚に等しく設定することは必ずしも必要ではない。
【0053】
本出願人が作成した試作品を用いた実験によれば、平刃101、107の刃厚は鋸歯状刃102−106の刃厚よりも10%以上大きいことが好ましい。
【0054】
例えば、鋸歯状刃102−106の刃厚を1.5mmとする場合には、平刃101、107の刃厚は2.0mmに設定する。
【0055】
このように、平刃101、107の刃厚を鋸歯状刃102−106の刃厚よりも10%以上大きくすることにより、平刃101、107の反りを防止することができる。平刃101、107が反ると、隣接する鋸歯状刃102、106との間の距離が広がり、ハサミの切れ味が低下するが、平刃101、107の反りを防止することにより、ハサミの切れ味の低下を防ぐことができる。
【0056】
なお、平刃101、107の反りを防止するためには、各鋸歯状刃102−106をステンレススティールで製造するのに対して、平刃101、107をステンレススティールよりも硬度が大きいチタニウムで製造することもできる。
【0057】
(第二の実施形態)
図5は、本発明の第二の実施形態に係るハサミにおける鋸歯状刃の一例を示す平面図である。
【0058】
図5に示す鋸歯状刃204は、第一の実施形態に係るハサミ100における鋸歯状刃104に代えて、用いられる。
【0059】
なお、図示しないが、本実施形態に係るハサミにおける他の鋸歯状刃も図5に示した鋸歯状刃204と後述する同一の特徴を有するものとする。
【0060】
本実施形態における鋸歯状刃204は、図5に示すように、ハサミの長さ方向において、ハサミの先端を含み、かつ、刃の長さの約1/2の長さを有する領域において、鋸歯状刃204は円弧形状をなすように形成されている。すなわち、鋸歯状刃204の各鋸歯の頂点をつなぐ線分260が円弧を形成している。
【0061】
鋸歯状刃204をこのように形成することにより、鋸歯状刃204の半分の長さの領域において、各鋸歯の頂点は鋸歯状刃204の先端に近い位置にあるほど、ハサミの長さ方向と直交する方向(図5の上下方向)において、対向する刃(すなわち、第二ハサミ片152の刃)の頂点から離れることになる。
【0062】
図6は第一の実施形態に係るハサミ100が切断対象物である紙210を切断する場合の各鋸歯と紙210との接触角度を示す平面図である。
【0063】
図6に示すように、第一の実施形態に係るハサミ100のように、各鋸歯の頂点をつなぐ線分が一直線であると、各鋸歯の中心線211(鋸歯の先端と鋸歯の根元の幅(ハサミの長さ方向における長さ)の中央とを結ぶ線)は、紙210の垂線212との間に傾斜角θを形成する。すなわち、各鋸歯は紙212に対して垂直に当たらないため、各鋸歯が紙212に対して垂直に当たる場合と比較して、切断時の抵抗が大きくなる。
【0064】
さらに、第一の実施形態に係るハサミ100のように、各鋸歯の頂点をつなぐ線分が一直線であると、数個の鋸歯の先端が切断対象物(例えば、紙)に一度に当たることになり、切断時の負荷が大きくなり、切りにくくなる。
【0065】
図7は本実施形態に係るハサミが切断対象物である紙210を切断する場合の各鋸歯と紙210との接触角度を示す平面図である。
【0066】
本実施形態に係るハサミによれば、鋸歯状刃204の各鋸歯の先端をつなぐ線分260が円弧形状になるように各鋸歯が形成されているため、各鋸歯の中心線211は紙210の垂線212と一致する。すなわち、各鋸歯の中心線211は紙212の垂線との間に傾斜角を形成しない。
【0067】
このように、各鋸歯は紙212に対して垂直に当たることになるため、各鋸歯が紙212に対して垂直に当たらない第一の実施形態に係るハサミ100と比較して、切断時の抵抗を少なくすることができる。
【0068】
さらに、鋸歯状刃204における各鋸歯の頂点は鋸歯状刃204の先端に近い位置にあるほど、ハサミの長さ方向と直交する方向(図5の上下方向)において、対向する刃(すなわち、第二ハサミ片152の刃)の頂点から離れているため、紙210を切断する場合、ハサミの先端に近い位置にある各鋸歯から順に紙210に当たることになり、切断時の負荷(抵抗)を小さくすることができる。
【0069】
以上のように、本実施形態に係るハサミによれば、第一の実施形態に係るハサミ100と比較して、切断対象物を切断するときの抵抗を小さくすることができる。
【0070】
なお、鋸歯状刃204の各鋸歯の先端をつなぐ線分260がなす円弧の半径は、本出願人が数種の試作を作成して試験した結果、50mm以上であることが好ましく、最適値は125mmであることが判明している。
【0071】
また、例えば、第一ハサミ片151の鋸歯状刃102、104、106のみが、鋸歯状刃204のように、各鋸歯の先端をつなぐ線分260が円弧をなす鋸歯状刃であってもよく、あるいは、第二ハサミ片152の鋸歯状刃103、105のみが、鋸歯状刃204のように、各鋸歯の先端をつなぐ線分260が円弧をなす鋸歯状刃であってもよい。あるいは、第一ハサミ片151の鋸歯状刃102、104、106及び第二ハサミ片152の鋸歯状刃103、105が、各鋸歯の先端をつなぐ線分260が円弧をなす鋸歯状刃であってもよい。
【0072】
本実施形態における鋸歯状刃204は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0073】
例えば、本実施形態においては、鋸歯状刃204は各鋸歯の先端をつなぐ線分が円弧をなすように形成されているが、各鋸歯の先端をつなぐ線分を円弧にすることは必ずしも必要ではない。
【0074】
各鋸歯の頂点が、鋸歯状刃204の先端に近い位置にあるほど、ハサミの長さ方向と直交する方向(図5の上下方向)において、対向する刃(すなわち、第二ハサミ片152の刃)の頂点から離れているものである限り、鋸歯状刃204の各鋸歯の先端をつなぐ線分を任意の形状にすることが可能である。円弧形状の他に、例えば六角形の外周のように、短い線分を連続的につなぎ合わせたような形状にすることも可能である。
【0075】
また、本実施形態においては、鋸歯状刃204の半分の長さの領域においてのみ、各鋸歯の先端をつなぐ線分が円弧をなすように形成されているが、鋸歯状刃204の全長にわたって、鋸歯の先端をつなぐ線分が円弧をなすように形成することも可能である。
【0076】
(第三の実施形態)
図8は、本発明の第三の実施形態に係るハサミにおける鋸歯状刃の一例を示す平面図である。
【0077】
図8に示す鋸歯状刃303は、第一の実施形態に係るハサミ100における鋸歯状刃103に代えて、用いられる。
【0078】
なお、図示しないが、本実施形態に係るハサミにおける他の鋸歯状刃も図8に示した鋸歯状刃303と後述する同一の特徴を有するものとする。
【0079】
本実施形態における鋸歯状刃303に形成されている鋸歯120は、図8に示すように、本実施形態に係るハサミの長さ方向において、第一群の鋸歯121と、第一群以外の第二群の鋸歯122とに分かれる。第一群の鋸歯121はハサミの先端を含む、先端に近い側に位置しており、第二群の鋸歯122はハサミの先端とは反対側、すなわち、一対の把手111、112に近い側に位置している。
【0080】
例えば、第一群の鋸歯121は10個の鋸歯からなり、第二群の鋸歯122は10個の鋸歯からなる。
【0081】
本実施形態に係るハサミにおいては、第一群の鋸歯121と第二群の鋸歯122とでは、各鋸歯の向きが異なっている。
【0082】
具体的には、第一群の鋸歯121はハサミの先端側に向かって傾斜しており、第二群の鋸歯122はハサミの先端側とは反対側、すなわち、一対の把手111、112に向かって傾斜している。
【0083】
すなわち、各鋸歯の中心線211(鋸歯の先端と鋸歯の根元の幅(ハサミの長さ方向における長さ)の中央とを結ぶ線)とハサミの長さ方向と直交する方向213とが傾斜角Sを形成するものとすると、第一群の鋸歯121は、ハサミの長さ方向と直交する方向213に対して、ハサミの先端側に向かう傾斜角Sを有しており、第二群の鋸歯122はハサミの長さ方向と直交する方向に対して、一対の把手111、112に向かう傾斜角Sを有している。
【0084】
本実施形態においては、傾斜角Sは10度に設定されている。
【0085】
上記のような構造を有する本実施形態に係るハサミは以下のような効果を奏する。
【0086】
複数の鋸歯状刃を有する従来のハサミでは、各鋸歯状刃における鋸歯の向きが一定であったため、ハサミを閉じて切断対象物(例えば、図6に示す紙210)を切断する際に、ハサミの長さ方向における位置に応じて、各鋸歯と切断対象物との間の接触角度が異なっていた。
【0087】
ハサミを用いて切断対象物を切断する場合、先ず、最初にハサミの根元の領域(本実施形態に係るハサミで言えば、把手111、112に近い方の領域)で切断が開始され、切断が進行するにつれて、ハサミの先端に近い領域で切断が行われる。
【0088】
本実施形態に係るハサミにおいては、ハサミの根元の領域(把手111、112に近い方の領域)における第二群の鋸歯122は把手111、112に向かう向きを有しており、さらに、ハサミの先端側における第一群の鋸歯121はハサミの先端に向かう向きを有している。
【0089】
このため、最初の切断時、すなわち、ハサミの根元の領域における切断時と、最後の切断時、すなわち、ハサミの先端付近における切断時とでは、ハサミの各刃と切断対象物との間の接触角度がほぼ一定になる。この結果、従来のハサミと比較して、切断抵抗の増大を防止することが可能になり、従来のハサミよりも小さい切断抵抗をもって切断対象物を切断することが可能になる。
【0090】
本実施形態に係るハサミは上記のような構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0091】
本実施形態に係るハサミにおいては、第一群の鋸歯121と第二群の鋸歯122とは同数であるとしたが、第一群の鋸歯121と第二群の鋸歯122とが同数であることは必ずしも必要ではない。例えば、必要に応じて、一方の群の鋸歯数を他方の群の鋸歯数よりも多くすることが可能である。
【0092】
本実施形態に係るハサミにおける各鋸歯状刃102−106の鋸歯の傾斜角度は10度に設定されているが、各鋸歯の傾斜角度は10度には限定されない。
【0093】
本発明者が行った試作品による実験結果によれば、ハサミの長さ方向と直交する方向に対して、5度から25度の範囲内であれば、切断対象物を切断する際の切断抵抗を良好に減少させることができることが判明している。最も好ましい傾斜角度の範囲は10度乃至20度であった。
【0094】
本実施形態に係るハサミにおいては、第一群の鋸歯121の傾斜角度と第二群の鋸歯122の傾斜角度とは同一角度に設定されているが、第一群の鋸歯121の傾斜角度と第二群の鋸歯122の傾斜角度とを同一にすることは必ずしも必要ではない。必要に応じて、第一群の鋸歯121の傾斜角度と第二群の鋸歯122の傾斜角度とを相互に異なる角度にすることができる。例えば、ハサミ100の全長が比較的長いものである場合には、第一群の鋸歯121の傾斜角度を第二群の鋸歯122の傾斜角度よりも小さくすることができる。
【0095】
また、本実施形態に係るハサミにおいては、各鋸歯状刃102−106の鋸歯は二つの群に分割されているが、鋸歯を分割する群の数は2には限定されない。2以上の任意の数の群に分割することが可能である。
【0096】
例えば、各鋸歯状刃102−106の鋸歯を6個の群に分割することが可能である。この場合には、例えば、第一群乃至第三群に属する鋸歯は、第一群の鋸歯121と同様に、ハサミの先端を向くような傾斜角度を有し、第四群乃至第六群に属する鋸歯は、第二群の鋸歯122と同様に、把手111、112を向くような傾斜角度を有するようにすることができる。
【0097】
さらに、第一群乃至第三群あるいは第四群乃至第六群の間においても、各群において傾斜角度が異なるように設定することが可能である。例えば、第一群乃至第三群の鋸歯はハサミの先端側に近い群の鋸歯ほど傾斜角度(ハサミの先端側に向かう傾斜角度)を大きくし、第四群乃至第六群の鋸歯は把手111、112に近い群の鋸歯ほど傾斜角度(ハサミの把手側に向かう傾斜角度)を大きくすることができる。
【0098】
また、本実施形態に係るハサミは第一群の鋸歯121及び第二群の鋸歯122の双方を有するものとして形成されているが、第一群の鋸歯121及び第二群の鋸歯122の双方を有することは必ずしも必要ではない。例えば、第一群の鋸歯121のみ、あるいは、第二群の鋸歯122のみを有するものとして形成することが可能である。
【0099】
なお、鋸歯の傾斜角度とは別個に、鋸歯の頂角を一定個数の鋸歯毎に変えることによっても、本実施形態による上記の効果(最初の切断時と最後の切断時とにおいてハサミの各刃と切断対象物との間の接触角度がほぼ一定になる)を奏することが可能である。
【0100】
例えば、各鋸歯状刃102−106における鋸歯の個数を20個とした場合、先端に近い2個の鋸歯の頂角を34度、隣接する9個の鋸歯の頂角を36度、隣接する7個の鋸歯の頂角を34度、残りの2個の鋸歯(把手111、112に近い側の鋸歯)の頂角を40度のように選定することができる。
【0101】
(第四の実施形態)
第三の実施形態に係るハサミにおいては、各鋸歯状刃102−106の鋸歯120は第一群の鋸歯121と第二群の鋸歯122の二つの群に分けられていたが、第四の実施形態に係るハサミにおいては、各鋸歯状刃102−106の鋸歯120は第一群の鋸歯121と第二群の鋸歯122と第三群の鋸歯123の三つの群に分けられる。
【0102】
図9は本発明の第四の実施形態に係るハサミにおける鋸歯状刃103の平面図である。以下、図9を参照して、本実施形態に係るハサミにおける各鋸歯状刃102−106の代表例としての鋸歯状刃103を説明する。
【0103】
第三群の鋸歯123は第一群の鋸歯121と第二群の鋸歯122との間に配置されている。本実施形態における第一群の鋸歯121及び第二群の鋸歯122は第三の実施形態における第一群の鋸歯121及び第二群の鋸歯122と同様の鋸歯である。
【0104】
例えば、本実施形態における第一群の鋸歯121及び第二群の鋸歯122はそれぞれ7個の鋸歯からなり、第三群の鋸歯123は6個の鋸歯からなる。
【0105】
本実施形態における第三群の鋸歯123は、第一群の鋸歯121及び第二群の鋸歯122とは、異なる向きを有している。具体的には、第一群の鋸歯121がハサミ100の先端側に向かう傾斜角度を有しており、第二群の鋸歯122がハサミ100の先端側とは反対側、すなわち、一対の把手111、112に向かう傾斜角度を有しているのに対して、第三群の鋸歯123は直上を向いている。すなわち、第三群の鋸歯123はハサミ100の長さ方向と直交する方向を向いており、第一群の鋸歯121及び第二群の鋸歯122とは異なり、傾斜角度はゼロである。
【0106】
このように、第一群の鋸歯121と第二群の鋸歯122との間に、第一群の鋸歯121及び第二群の鋸歯122とは向きが異なる第三群の鋸歯123を配置することにより、各鋸歯と切断対象物との間の接触角度をより円滑に変化させることができ、第三の実施形態に係るハサミと比較して、さらに切断抵抗を軽減することができる。
【0107】
なお、第一群の鋸歯121、第二群の鋸歯122及び第三群の鋸歯123に属する鋸歯の数は本実施形態における数に限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。
【0108】
(第五の実施形態)
図10は本発明の第五の実施形態に係るハサミにおける一対の鋸歯状刃の噛み合わせの状態を示す部分的な平面図である。
【0109】
本実施形態に係るハサミにおいては、相互に噛み合う一対の鋸歯状刃のうちの一方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点131と他方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点132とは、これら一対の鋸歯状刃が噛み合ったときに、相互にずれるように配置されている。
【0110】
一方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点131が他方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点132からずれる距離Yは、ハサミの長さ方向における一つの鋸歯の長さをXとした場合、Xの1/4以下であること好ましいことが本発明の実験により判明している。
【0111】
Y<X/4
このように、各鋸歯状刃の頂点131、132を相互にずらすことにより、各鋸歯状刃の頂点131、132が相互に対向する場合と比較して、切断対象物を切り始めるときの初期切断抵抗を軽減させることができる。
【0112】
(第六の実施形態)
図11は本発明の第六の実施形態に係るハサミ600を上方から見た場合の部分的な平面図である。
【0113】
図11に示すように、本実施形態に係るハサミ600は、第一の実施形態に係るハサミ100と比較して、各刃101−107の間に挟まれたスペーサー410を備えている。
【0114】
スペーサー410はリング形状をなしており、第一連結軸113及び二つの第二連結軸114をリング状のスペーサー410に挿入することにより、各スペーサー410は各刃101−107の間に挟み込まれている。
【0115】
各スペーサー410の厚さ(図11の上下方向における長さ)は各刃101−107の肉厚よりも大きく設定されている。
【0116】
5連式や10連式のハサミのように、複数枚の刃を有するハサミは、一般的に、刃が先端の領域において外側に広がりやすいという欠点を有している。刃が外側に広がると、一対の刃の噛み合わせの程度が小さくなってしまい、切断対象物を円滑に切断することが困難になる。
【0117】
このため、本実施形態に係るハサミ600のように、各刃101−107の間に、刃101−107の肉厚よりも大きい厚みを有するスペーサー410を挟み込むことにより、各刃101−107の広がりを防止することができ、ハサミのシャープな切れ味を保持することが可能になる。
【0118】
なお、本発明者がスペーサー410の試作品を用いて行った実験の結果によれば、各スペーサー410の厚みとしては、各刃101−107の肉厚の1.5倍以下であることが好ましく、各刃101−107の肉厚の1.2倍以上1.4倍以下であることがより好ましい。
【0119】
(第七の実施形態)
図12は、本発明の第七の実施形態に係るハサミ700の第二ハサミ片152を上方から見たときの平面図である。
【0120】
本実施形態に係るハサミ700においては、第一の実施形態に係るハサミ100における平刃101、107に代えて平刃701、707が用いられる。平刃101、107に代えて平刃701、707を用いる点を除いて、本実施形態に係るハサミ700は第一の実施形態に係るハサミ100と同一の構造を有している。
【0121】
本実施形態に係るハサミ700における平刃701、707は、図12に示すように、刃長の途中から緩やかに湾曲し、ハサミ700の内側に向かって傾斜している。このため、平刃701、707の間の距離(ハサミ700の長さ方向と直交する方向における距離)はハサミ700の先端に近い位置ほど小さくなっている。
【0122】
前述のように、連刃式ハサミは、一般的に、刃が先端の領域において外側に広がりやすいという欠点を有している。刃が外側に広がると、一対の刃の噛み合わせの程度が小さくなってしまい、切断対象物を円滑に切断することが困難になる。
【0123】
このため、本実施形態に係るハサミ700のように、ハサミ700の両側に位置する平刃701、707を、平刃701、707の間の距離がハサミ700の先端に近い位置ほど小さくなるように、ハサミ700の内側に向かって傾斜させることにより、平刃701、707に挟まれる鋸歯状刃102−106の先端付近における広がりを防止することができ、第一ハサミ片151の各刃と第二ハサミ片152の各刃との十分な噛み合わせを確保することができ、ハサミ700の切れ味をシャープな状態に維持しておくことが可能になる。
【0124】
(第八の実施形態)
図13(A)は本発明の第八の実施形態に係るハサミにおいて用いられる平刃807の側面図、図13(B)は平刃807を上方から見たときの平面図である。
【0125】
本実施形態に係るハサミにおいては、第一の実施形態に係るハサミ100における平刃101、107に代えて、図13(A)及び図13(B)に示す平刃807が用いられる。平刃101、107に代えて平刃807を用いる点を除いて、本実施形態に係るハサミは第一の実施形態に係るハサミ100と同一の構造を有している。
【0126】
本実施形態における平刃807には、その外側表面(鋸歯状刃102−106が配置されている側とは反対側の表面)に補強構造としてのリブ810が形成されている。
【0127】
リブ810は刃の下方に形成され、刃のほぼ全長にわたって延びている。リブ810はほぼ半円形状の断面を有している。
【0128】
このように、平刃807の外側表面に補強構造としてのリブ810を形成することにより、平刃807の反りを防止することができる、すなわち、平刃807がその先端の領域において外側に広がることを防止することができる。
【0129】
(第九の実施形態)
本実施形態に係るハサミにおいて、相互に対向する各一対の刃101と102、刃103と104及び刃105と106の各々は相互に異なる高さを有している。ここに、「高さ」とは、ハサミの長さ方向と直交する方向における各刃の長さを示す(ただし、ハサミを閉じたときに各刃の背部は同一線上に並ぶものとする)。
【0130】
具体的には、一対の刃101と102が高さAを、一対の刃103と104が高さBを、一対の刃105と106が高さCを有しているものとすると、高さCが最も大きく、高さBが次に大きく、高さCが最も小さい(A<B<C)。
【0131】
図14は、本実施形態に係るハサミを用いて、切断対象物としての紙210を切断する場合の3対の刃の噛み合わせの開始のタイミングを示す図である。
【0132】
ハサミを閉じる場合の任意の瞬間における上記の3対の刃105、106;103、104;101、102における各々の刃の間の間隔をW1、W2、W3とすると、図14に示すように、W1<W2<W3の関係となる。
【0133】
すなわち、上記の3対の刃105、106;103、104;101、102の各々の高さC、B、Aの間にはA<B<Cの関係があるため、本実施形態に係るハサミを用いて紙210を切断する場合、一対の刃105、106が最初に噛み合わせを開始し、紙210の切断を開始する。次いで、一対の刃103、104が噛み合わせを開始し、紙210の切断を開始する。最後に、一対の刃101、102が噛み合わせを開始し、紙210の切断を開始する。
【0134】
以上のように、本実施形態に係るハサミによれば、3対の刃105、106;103、104;101、102の各々が異なるタイミングで噛み合わせを開始し、従って、異なるタイミングで紙210の切断を開始する。
【0135】
従来の連刃式ハサミにおいては、全ての刃が同時に噛み合いを開始するため、使用者の手に作用する負荷が大きくなるという問題点があった。これに対して、本実施形態に係るハサミにおいては、3対の刃105、106;103、104;101、102の各々が異なるタイミングで紙210の切断を開始するため、使用者の手に作用する負荷は分散され、大きな負荷が一時に使用者の手に作用するということはない。このため、切断対象物が比較的固いものであっても、本実施形態に係るハサミによれば、従来の連刃式ハサミと比較して、スムーズに切断することが可能である。
【0136】
本実施形態に係るハサミにおいては、一方の側から他方の側に向かって順番に各刃の高さを低く(あるいは、高く)したが、各刃の高さの設定の仕方は本実施形態には限定されない。
【0137】
例えば、両端に位置する刃の高さを最も大きく設定し、それに隣接する刃の高さを順次小さくするように設定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るハサミの正面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るハサミを上方から見た場合の平面図である。
【図3】図3(A)は本発明の第一の実施形態に係るハサミにおける第二ハサミ片の鋸歯状刃の平面図、図3(B)は他の鋸歯状刃の平面図、図3(C)は平刃の平面図である。
【図4】図4(A)は本発明の第一の実施形態に係るハサミにおける第一ハサミ片の鋸歯状刃の平面図、図4(B)は他の鋸歯状刃の平面図、図4(C)は図4(B)のC−C線における断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係るハサミにおける鋸歯状刃の一例を示す平面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態に係るハサミが切断対象物である紙を切断する場合の各鋸歯と紙との接触角度を示す平面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係るハサミが切断対象物である紙を切断する場合の各鋸歯と紙との接触角度を示す平面図である。
【図8】本発明の第三の実施形態に係るハサミにおける鋸歯状刃の一例を示す平面図である。
【図9】本発明の第四の実施形態に係るハサミにおける鋸歯状刃の平面図である。
【図10】本発明の第五の実施形態に係るハサミにおける一対の鋸歯状刃の噛み合わせの状態を示す部分的な平面図である。
【図11】は本発明の第六の実施形態に係るハサミを上方から見た場合の部分的な平面図である。
【図12】本発明の第七の実施形態に係るハサミの第二ハサミ片を上方から見たときの平面図である。
【図13】図13(A)は本発明の第八の実施形態に係るハサミにおいて用いられる平刃の側面図、図13(B)は平刃を上方から見たときの平面図である。
【図14】本発明の第九の実施形態に係るハサミを用いて、切断対象物としての紙を切断する場合の3対の刃の噛み合わせの開始のタイミングを示す図である。
【符号の説明】
【0139】
100 本発明の第一の実施形態に係るハサミ
101 平刃
102、103、104、105、106 鋸歯状刃
101A、102A、103A、104A、105A、106A、107A 第一連結孔
101B、102B、103B、104B、105B、106B、107B 第二連結孔
107 平刃
111、112 把手
113 第一連結軸
114 第二連結軸
120 鋸歯
121 第一群の鋸歯
122 第二群の鋸歯
123 第三群の鋸歯
131、132 鋸歯の頂点
151 第一ハサミ片
152 第二ハサミ片
204 鋸歯状刃
210 紙
211 各鋸歯の中心線
212 紙の垂線
260 鋸歯状刃の各鋸歯の頂点をつなぐ線分
303 鋸歯状刃
600 本発明の第六の実施形態に係るハサミ
410 スペーサー
700 本発明の第七の実施形態に係るハサミ
701、707 平刃
807 平刃
810 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に平行に配置されている2枚以上の刃を有する第一の刃群と、前記第一の刃群の刃よりも一枚多い刃を有し、相互に平行に配置されている第二の刃群とが回転中心を中心として相互に回動し、相互に噛み合う構成を有するハサミにおいて、
前記第一の刃群の刃は全て鋸歯状刃からなり、
前記第二の刃群において両端に位置する刃は平刃からなり、前記第二の刃群における残りの刃は鋸歯状刃からなるハサミ。
【請求項2】
前記第一の刃群及び前記第二の刃群の少なくとも何れか一方における各刃の頂点は、当該刃群の先端に近いほど、対向する刃群の頂点から離れていることを特徴とする請求項1に記載のハサミ。
【請求項3】
前記第一の刃群及び前記第二の刃群の少なくとも何れか一方における各刃の頂点をつなぐ線は円弧を形成していることを特徴とする請求項2に記載のハサミ。
【請求項4】
前記円弧の半径は50mm以上であることを特徴とする請求項3に記載のハサミ。
【請求項5】
前記鋸歯状刃における鋸歯は、前記ハサミの長さ方向において、前記ハサミの先端側に位置する第一群の鋸歯から第N群の鋸歯までに分かれており(Nは2以上の整数)、
前記第一群乃至第M群(MはNよりも少なくとも2小さい整数)の鋸歯は前記ハサミの先端側に向かって傾斜していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のハサミ。
【請求項6】
第(M+1)群乃至前記第N群の鋸歯は前記ハサミの先端側とは反対側に向かって傾斜していることを特徴とする請求項5に記載のハサミ。
【請求項7】
前記第一群乃至第M群の鋸歯の傾斜角度は各群毎に異なっていることを特徴とする請求項5または6に記載のハサミ。
【請求項8】
前記第(M+1)群乃至前記第N群の鋸歯の傾斜角度は各群毎に異なっていることを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載のハサミ。
【請求項9】
前記鋸歯状刃は、さらに、前記第M群の鋸歯と前記第(M+1)群の鋸歯との間に第三群の鋸歯を備えており、
前記第三群の鋸歯は直上を向いていることを特徴とする請求項5乃至8の何れか一項に記載のハサミ。
【請求項10】
前記第一群の鋸歯乃至前記第N群の鋸歯が傾斜する角度は、前記ハサミの長さ方向と直交する方向に対して、5度から25度の範囲内であることを特徴とする請求項5乃至9の何れか一項に記載のハサミ。
【請求項11】
前記平刃の刃厚は前記鋸歯状刃の刃厚よりも10%以上大きいことを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載のハサミ。
【請求項12】
前記第二の刃群において両端に位置する前記平刃の間の距離は前記ハサミの先端に近いほど小さいことを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載のハサミ。
【請求項13】
前記鋸歯状刃は、その頂点が、前記第一の刃群と前記第二の刃群とを相互に噛み合わせたときに、相手方の刃群の刃の背部よりも突出することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載のハサミ。
【請求項14】
相互に噛み合う一対の鋸歯状刃のうちの一方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点と他方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点とは、前記一対の鋸歯状刃が噛み合ったときに、相互にずれるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載のハサミ。
【請求項15】
前記一方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点と前記他方の鋸歯状刃の鋸歯の頂点とが相互にずれる距離は、前記ハサミの長さ方向における一つの鋸歯の長さの1/4以下であることを特徴とする請求項14に記載のハサミ。
【請求項16】
各刃の間に配置されたスペーサーをさらに備えており、前記スペーサーの厚さは前記刃の肉厚よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載のハサミ。
【請求項17】
前記第一の刃群及び前記第二の刃群の各々において、各刃の高さが相互に異なることを特徴とする請求項1乃至16の何れか一項に記載のハサミ。
【請求項18】
前記第一の刃群及び前記第二の刃群の各々において、両端に位置する刃が最も大きい高さを有しており、隣接する刃の高さは順次小さくなることを特徴とする請求項17に記載のハサミ。
【請求項19】
前記平刃の外側の面には前記平刃の反りを防止する補強構造が形成されていることを特徴とする請求項1乃至18の何れか一項に記載のハサミ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−183461(P2009−183461A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26520(P2008−26520)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【特許番号】特許第4203114号(P4203114)
【特許公報発行日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000139562)株式会社愛邦 (11)
【Fターム(参考)】