ハッチカバーのシール装置およびシール方法
【課題】船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置およびシール方法を提供する。
【解決手段】船艙を覆うハッチカバー1の下面に配置された第1パッキン5aと、該第1パッキンを押圧するコンプレッションバー3とを有するハッチカバーのシール装置であって、前記第1パッキンは内側に中空部を有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置およびシール方法。
【解決手段】船艙を覆うハッチカバー1の下面に配置された第1パッキン5aと、該第1パッキンを押圧するコンプレッションバー3とを有するハッチカバーのシール装置であって、前記第1パッキンは内側に中空部を有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置およびシール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船艙を覆うハッチカバーのシール装置およびシール方法に関する。具体的には、船艙を覆うハッチカバーに配置されたパッキンを有するハッチカバーのシール装置およびシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船艙を覆うハッチカバーのシール装置に関しては従来から種々の提案がなされており、例えば、特開平5−2011381号公報(下記特許文献1)には、カバーパネル間をシールするゴムパッキンと圧着部材との圧着を操作する締付部材の作動を、カバーパネルの対向する縁に平行して設けた回動軸の回動に関連して行い、この回動軸の回動を操作する回動操作部材を、カバーパネルの側壁の外側に延長突設した該回動軸の端部に設け、ハッチコーミングの外側に設けた油圧シリンダーによって往復作動するスライダーを設け、このスライダーに上記回動操作部材と係脱する連繋作動部材を設けたことを特徴とするカバーパネル間シール装置が記載されている。
【0003】
また、特許第2526233号公報(下記特許文献2)には、ゴムなどの弾性材で構成されたシール本体をハッチカバーの周縁部に付設し、ハッチカバー閉鎖時にこのシール本体を下方に位置するハッチコーミングの上端部に圧着してハッチカバーの水密性を保持する船舶用ハッチカバーのウォータシールにおいて、シール本体の全高を全幅とほぼ等しく設定し、シール本体の断面に略矩形の矩形部と、矩形部から下方に向かって幅を徐々に狭める先端部とを設け、前記矩形部の略中央に上方中空部を形成し、先端部の内側に上方中空部より小断面の下方中空部を前記上方中空部と上下方向に重なるように形成したことを特徴とする船舶用ハッチカバーのウォータシールが記載されている。
【0004】
しかし、上記の従来技術では、船艙を覆うハッチカバーの水密性が十分でなく、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−2011381号公報
【特許文献2】特許第2526233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、船艙を覆うハッチカバーの水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置およびシール方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するためにシール構造を鋭意検討した結果なされたものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)船艙を覆うハッチカバーの下面に配置された第1パッキンと、該第1パッキンを押圧するコンプレッションバーとを有するハッチカバーのシール装置であって、前記第1パッキンは内側に中空部を有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
(2)前記第1パッキンは、前記コンプレッションバーの側面に突出した複数の角部を有することを特徴とする、(1)に記載のハッチカバーのシール装置。
(3)船艙を覆うハッチカバーのシール装置であって、前記ハッチカバーの上面に、先端が下向きの舌状突起を備えた第2パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
(4)船艙を覆うハッチカバーのシール装置であって、前記ハッチカバーの側面に、先端が上向きの舌状突起を備えた第3パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
(5)船艙を覆うハッチカバーの下面に配置された第1パッキンと、該第1パッキンを押圧するコンプレッションバーとを有するハッチカバーのシール装置であって、前記第1パッキンは内側に中空部を有するとともに、前記コンプレッションバーの側面に突出した複数の角部を有し、さらに、前記ハッチカバーの上面に配置された先端が下向きの舌状突起を備えた第2パッキン、または、前記ハッチカバーの側面に配置された上向きの舌状突起を備えた第3パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
(6)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のシール装置を用いることを特徴とする、ハッチカバーのシール方法。
<作用>
【0008】
(1)の発明によれば、第1パッキンは内側に中空部を有し、コンプレッションバーにより第1パッキンが押圧されて前記中空部が変形することにより、コンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置を提供することができる。
(2)の発明によれば、第1パッキンは内側に中空部を有するとともに、コンプレッションバーの側面に突出した複数の角部を有し、コンプレッションバーにより第1パッキンが押圧されて前記中空部が変形することにより、前記複数の角部がコンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置を提供することができる。
(3)の発明によれば、前記ハッチカバーの上面に、先端が下向きの舌状突起を備えた第2パッキンを有するので、ハッチカバーの上面からの海水の浸入を防止することができるうえ、水圧によってさらにシール性を向上させることができる。
(4)の発明によれば、前記ハッチカバーの側面に、先端が上向きの舌状突起を備えた第3パッキンを有するので、ハッチカバーの側面からの海水の浸入を防止することができるうえ、水圧によってさらにシール性を向上させることができる。
(5)の発明によれば、前記第1パッキンと、第2パッキンまたは第3パッキンとを組み合わせることにより、さらに、海水の浸入防止効果を向上させることができる。
(6)の発明によれば、前記(1)乃至(5)に記載のシール装置を用いることにより、船艙を覆うハッチカバーの水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置およびシール方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シール構造を工夫するこした結果、船艙を覆うハッチカバーに配置されたパッキンの水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置およびシール方法を提供することができるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する斜視図である。
【図2】本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する平面図である。
【図3】本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する側面図である。
【図4】本発明に用いる第2パッキンの実施形態を例示する断面図である。
【図5】本発明に用いる第3パッキンの実施形態を例示する断面図である。
【図6】本発明に用いる第1パッキンの実施形態を例示する断面図である。
【図7】本発明に用いる第1パッキンの実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明に用いる第1パッキンと第2パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。
【図9】本発明に用いる第1パッキンと第2パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。
【図10】本発明に用いる第1パッキンと第3パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。
【図11】本発明に用いる第1パッキンと第3パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図11を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。図1〜図11において、1はハッチカバー、2はウェッジ、3はコンプレッションバー、4aは第2パッキン、4bは第3パッキン、5aは第1パッキン、5bは第1パッキン(板状)、6は中空部、7は角部を示す。
【0012】
図1は、本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する斜視図である。図1に示すように、本発明を適用する船艙を覆うハッチカバー1は、複数のハッチカバープレートを連結した構造となっており、その連結部は例えばハッチカバー1の上面に楔状のウェッジ2を設けて隣接するハッチカバープレート同士を固定することができる。
【0013】
図2は、本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する平面図であり、図1に示すA部の詳細図である。本発明を適用する船艙を覆うハッチカバー1は、図2の上段に示すように、ハッチカバー1の上面に楔状のウェッジ2が設けられている場合と、図2の下段に示すように、ハッチカバー1の上面に楔状のウェッジ2が設けられていない場合があり、ウェッジ2が設けられている場合にはハッチカバー1の上面に第2パッキンが設置できないので、ハッチカバー1の側面に第3パッキンを設けることが好ましい。
【0014】
図3は、本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する側面図であり、ハッチカバーの上面に楔状のウェッジ2が設けられ、ハッチカバーの下面に本発明に用いる第1パッキンを押圧するコンプレッションバー3が設けられている。
【0015】
図4は、本発明に用いる第2パッキンの実施形態を例示する断面図である。ハッチカバー1の上面に、前述のウェッジ2が設けられていない場合にはハッチカバーの上面に第2パッキン4aを設けることにより、船艙内への海水の浸入を防止することができる。図4に示すように、第2パッキン4aの構造は、ハッチカバー1の上面にボルト等で固定し、先端には下向きの舌状突起を有することにより、上面から水圧が働いた場合に水密性を向上させることができる。なお、本発明においては第2パッキン4aの材質は問わないが、舌状突起に可撓性を持たせて水密性を保持するため、弾性を有するゴムや樹脂製とすることが好ましい。
【0016】
図5は、本発明に用いる第3パッキンの実施形態を例示する断面図である。ハッチカバー1の上面に、前述のウェッジ2が設けられている場合にはハッチカバーの側面に第3パッキン4bを設けることにより、船艙内への海水の浸入を防止することができる。図5に示すように、第3パッキン4bの構造は、ハッチカバー1の側面にボルト等で固定し、先端には上向きの舌状突起を有することにより、上面から水圧が働いた場合に水密性を向上させることができる。なお、本発明においては第3パッキン4bの材質は問わないが、舌状突起に可撓性を持たせて水密性を保持するため、弾性を有するゴムや樹脂製とすることが好ましい。
【0017】
また、ハッチカバー1が上下動(開閉作業)する場合、特に上方向にハッチカバー1が上がって 行く動きをする場合、第3パッキン4bがハッチカバー1のツバ部に引っ掛かりハッチカバー1や 第3パッキン4b自体に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、図5に示すように、ハッチカバー1のツバ部に、例えばポリエチレン素材からなり、表面が均一な性状を持つツバ部調整部材8を設置すること により、ハッチカバー1と第3パッキン4bとの接触部分の水密性を向上させることができる。
【0018】
図6は、本発明に用いる第1パッキンの実施形態を例示する断面図である。図6に示すように、本発明は、船艙を覆うハッチカバー1の下面に配置された第1パッキン5aと、該第1パッキン5aを押圧するコンプレッションバー3とを有するハッチカバー1のシール装置であって、前記第1パッキン5aは内側に中空部6を有するとともに、前記コンプレッションバー3の側面に突出した複数の角部7を有することを特徴とする。コンプレッションバー3により第1パッキン5aが押圧されて前記中空部6が変形することにより、前記複数の角部がコンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置された第1パッキン5aと、該第1パッキン5aを押圧するコンプレッションバー3との間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがない。なお、前記角部6は下向きの左右対称の角状突起とすることにより、上面から水圧が働いた場合に水密性を向上させることができる。なお、本発明においては第1パッキン5aの材質は問わないが、角突起に可撓性を持たせて水密性を保持するため、弾性を有するゴムや樹脂製とすることが好ましい。
【0019】
図7は、本発明に用いる第1パッキンの実施形態を示す断面図である。図7に示すように、第1パッキン5bは板状であって、内側に単一の中空部6を有するので、中空部を有する従来のパッキンに比べて構造が簡単であり製造し易いうえ、コンプレッションバーにより第1パッキンが押圧されて前記中空部が変形することにより、コンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置を提供することができる。
【0020】
図8は、本発明に用いる第1パッキンと第2パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。ハッチカバー1の上面に、前述のウェッジ2が設けられていない場合には、船艙を覆うハッチカバー1の下面に前述の第1パッキン5aを配置するとともに、ハッチカバー1の上面に、ハッチカバー1の上面に第2パッキン4aを設けることにより、船艙内への海水の浸入を防止することができる。
【0021】
図9は、本発明に用いる第1パッキンと第3パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。図9に示すように、第1パッキン5bは板状であって、内側に単一の中空部6を有するので、中空部を有する従来のパッキンに比べて構造が簡単であり製造し易いうえ、コンプレッションバーにより第1パッキンが押圧されて前記中空部が変形することにより、コンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置を提供することができる。
【0022】
図10は、本発明に用いる第1パッキンと第3パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。ハッチカバー1の上面に、前述のウェッジ2が設けられている場合には、船艙を覆うハッチカバー1の下面に前述の第1パッキン5aを配置するとともに、ハッチカバー1の側面に、第3パッキン4bを設けることにより、船艙内への海水の浸入を防止することができる。
【0023】
また、図5と同様に、ハッチカバー1のツバ部に、例えばポリエチレン素材からなり、表面が均一な性状を持つツバ部調整部材8を設置すること により、ハッチカバー1と第3パッキン4bとの接触部分の水密性を向上させることができる。
【0024】
図11は、本発明に用いる第1パッキンと第3パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。図11に示すように、第1パッキン5bは板状であって、内側に単一の中空部6を有するので、中空部を有する従来のパッキンに比べて構造が簡単であり製造し易いうえ、コンプレッションバーにより第1パッキンが押圧されて前記中空部が変形することにより、コンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置を提供することができる。
【0025】
また、図5と同様に、ハッチカバー1のツバ部に、例えばポリエチレン素材からなり、表面が均一な性状を持つツバ部調整部材8を設置すること により、ハッチカバー1と第3パッキン4bとの接触部分の水密性を向上させることができる。
【0026】
以上の実施形態により、本発明によれば、シール構造を工夫するこした結果、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置およびシール方法を提供することができることが確認された。
【符号の説明】
【0027】
1 ハッチカバー
2 ウェッジ
3 コンプレッションバー
4a 第2パッキン
4b 第3パッキン
5a 第1パッキン
5b 第1パッキン(板状)
6 中空部
7 角部
8 ツバ部調整部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、船艙を覆うハッチカバーのシール装置およびシール方法に関する。具体的には、船艙を覆うハッチカバーに配置されたパッキンを有するハッチカバーのシール装置およびシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船艙を覆うハッチカバーのシール装置に関しては従来から種々の提案がなされており、例えば、特開平5−2011381号公報(下記特許文献1)には、カバーパネル間をシールするゴムパッキンと圧着部材との圧着を操作する締付部材の作動を、カバーパネルの対向する縁に平行して設けた回動軸の回動に関連して行い、この回動軸の回動を操作する回動操作部材を、カバーパネルの側壁の外側に延長突設した該回動軸の端部に設け、ハッチコーミングの外側に設けた油圧シリンダーによって往復作動するスライダーを設け、このスライダーに上記回動操作部材と係脱する連繋作動部材を設けたことを特徴とするカバーパネル間シール装置が記載されている。
【0003】
また、特許第2526233号公報(下記特許文献2)には、ゴムなどの弾性材で構成されたシール本体をハッチカバーの周縁部に付設し、ハッチカバー閉鎖時にこのシール本体を下方に位置するハッチコーミングの上端部に圧着してハッチカバーの水密性を保持する船舶用ハッチカバーのウォータシールにおいて、シール本体の全高を全幅とほぼ等しく設定し、シール本体の断面に略矩形の矩形部と、矩形部から下方に向かって幅を徐々に狭める先端部とを設け、前記矩形部の略中央に上方中空部を形成し、先端部の内側に上方中空部より小断面の下方中空部を前記上方中空部と上下方向に重なるように形成したことを特徴とする船舶用ハッチカバーのウォータシールが記載されている。
【0004】
しかし、上記の従来技術では、船艙を覆うハッチカバーの水密性が十分でなく、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−2011381号公報
【特許文献2】特許第2526233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、船艙を覆うハッチカバーの水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置およびシール方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するためにシール構造を鋭意検討した結果なされたものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)船艙を覆うハッチカバーの下面に配置された第1パッキンと、該第1パッキンを押圧するコンプレッションバーとを有するハッチカバーのシール装置であって、前記第1パッキンは内側に中空部を有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
(2)前記第1パッキンは、前記コンプレッションバーの側面に突出した複数の角部を有することを特徴とする、(1)に記載のハッチカバーのシール装置。
(3)船艙を覆うハッチカバーのシール装置であって、前記ハッチカバーの上面に、先端が下向きの舌状突起を備えた第2パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
(4)船艙を覆うハッチカバーのシール装置であって、前記ハッチカバーの側面に、先端が上向きの舌状突起を備えた第3パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
(5)船艙を覆うハッチカバーの下面に配置された第1パッキンと、該第1パッキンを押圧するコンプレッションバーとを有するハッチカバーのシール装置であって、前記第1パッキンは内側に中空部を有するとともに、前記コンプレッションバーの側面に突出した複数の角部を有し、さらに、前記ハッチカバーの上面に配置された先端が下向きの舌状突起を備えた第2パッキン、または、前記ハッチカバーの側面に配置された上向きの舌状突起を備えた第3パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
(6)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のシール装置を用いることを特徴とする、ハッチカバーのシール方法。
<作用>
【0008】
(1)の発明によれば、第1パッキンは内側に中空部を有し、コンプレッションバーにより第1パッキンが押圧されて前記中空部が変形することにより、コンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置を提供することができる。
(2)の発明によれば、第1パッキンは内側に中空部を有するとともに、コンプレッションバーの側面に突出した複数の角部を有し、コンプレッションバーにより第1パッキンが押圧されて前記中空部が変形することにより、前記複数の角部がコンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置を提供することができる。
(3)の発明によれば、前記ハッチカバーの上面に、先端が下向きの舌状突起を備えた第2パッキンを有するので、ハッチカバーの上面からの海水の浸入を防止することができるうえ、水圧によってさらにシール性を向上させることができる。
(4)の発明によれば、前記ハッチカバーの側面に、先端が上向きの舌状突起を備えた第3パッキンを有するので、ハッチカバーの側面からの海水の浸入を防止することができるうえ、水圧によってさらにシール性を向上させることができる。
(5)の発明によれば、前記第1パッキンと、第2パッキンまたは第3パッキンとを組み合わせることにより、さらに、海水の浸入防止効果を向上させることができる。
(6)の発明によれば、前記(1)乃至(5)に記載のシール装置を用いることにより、船艙を覆うハッチカバーの水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置およびシール方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シール構造を工夫するこした結果、船艙を覆うハッチカバーに配置されたパッキンの水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置およびシール方法を提供することができるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する斜視図である。
【図2】本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する平面図である。
【図3】本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する側面図である。
【図4】本発明に用いる第2パッキンの実施形態を例示する断面図である。
【図5】本発明に用いる第3パッキンの実施形態を例示する断面図である。
【図6】本発明に用いる第1パッキンの実施形態を例示する断面図である。
【図7】本発明に用いる第1パッキンの実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明に用いる第1パッキンと第2パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。
【図9】本発明に用いる第1パッキンと第2パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。
【図10】本発明に用いる第1パッキンと第3パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。
【図11】本発明に用いる第1パッキンと第3パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図11を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。図1〜図11において、1はハッチカバー、2はウェッジ、3はコンプレッションバー、4aは第2パッキン、4bは第3パッキン、5aは第1パッキン、5bは第1パッキン(板状)、6は中空部、7は角部を示す。
【0012】
図1は、本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する斜視図である。図1に示すように、本発明を適用する船艙を覆うハッチカバー1は、複数のハッチカバープレートを連結した構造となっており、その連結部は例えばハッチカバー1の上面に楔状のウェッジ2を設けて隣接するハッチカバープレート同士を固定することができる。
【0013】
図2は、本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する平面図であり、図1に示すA部の詳細図である。本発明を適用する船艙を覆うハッチカバー1は、図2の上段に示すように、ハッチカバー1の上面に楔状のウェッジ2が設けられている場合と、図2の下段に示すように、ハッチカバー1の上面に楔状のウェッジ2が設けられていない場合があり、ウェッジ2が設けられている場合にはハッチカバー1の上面に第2パッキンが設置できないので、ハッチカバー1の側面に第3パッキンを設けることが好ましい。
【0014】
図3は、本発明を適用する船艙を覆うハッチカバーを例示する側面図であり、ハッチカバーの上面に楔状のウェッジ2が設けられ、ハッチカバーの下面に本発明に用いる第1パッキンを押圧するコンプレッションバー3が設けられている。
【0015】
図4は、本発明に用いる第2パッキンの実施形態を例示する断面図である。ハッチカバー1の上面に、前述のウェッジ2が設けられていない場合にはハッチカバーの上面に第2パッキン4aを設けることにより、船艙内への海水の浸入を防止することができる。図4に示すように、第2パッキン4aの構造は、ハッチカバー1の上面にボルト等で固定し、先端には下向きの舌状突起を有することにより、上面から水圧が働いた場合に水密性を向上させることができる。なお、本発明においては第2パッキン4aの材質は問わないが、舌状突起に可撓性を持たせて水密性を保持するため、弾性を有するゴムや樹脂製とすることが好ましい。
【0016】
図5は、本発明に用いる第3パッキンの実施形態を例示する断面図である。ハッチカバー1の上面に、前述のウェッジ2が設けられている場合にはハッチカバーの側面に第3パッキン4bを設けることにより、船艙内への海水の浸入を防止することができる。図5に示すように、第3パッキン4bの構造は、ハッチカバー1の側面にボルト等で固定し、先端には上向きの舌状突起を有することにより、上面から水圧が働いた場合に水密性を向上させることができる。なお、本発明においては第3パッキン4bの材質は問わないが、舌状突起に可撓性を持たせて水密性を保持するため、弾性を有するゴムや樹脂製とすることが好ましい。
【0017】
また、ハッチカバー1が上下動(開閉作業)する場合、特に上方向にハッチカバー1が上がって 行く動きをする場合、第3パッキン4bがハッチカバー1のツバ部に引っ掛かりハッチカバー1や 第3パッキン4b自体に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、図5に示すように、ハッチカバー1のツバ部に、例えばポリエチレン素材からなり、表面が均一な性状を持つツバ部調整部材8を設置すること により、ハッチカバー1と第3パッキン4bとの接触部分の水密性を向上させることができる。
【0018】
図6は、本発明に用いる第1パッキンの実施形態を例示する断面図である。図6に示すように、本発明は、船艙を覆うハッチカバー1の下面に配置された第1パッキン5aと、該第1パッキン5aを押圧するコンプレッションバー3とを有するハッチカバー1のシール装置であって、前記第1パッキン5aは内側に中空部6を有するとともに、前記コンプレッションバー3の側面に突出した複数の角部7を有することを特徴とする。コンプレッションバー3により第1パッキン5aが押圧されて前記中空部6が変形することにより、前記複数の角部がコンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置された第1パッキン5aと、該第1パッキン5aを押圧するコンプレッションバー3との間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがない。なお、前記角部6は下向きの左右対称の角状突起とすることにより、上面から水圧が働いた場合に水密性を向上させることができる。なお、本発明においては第1パッキン5aの材質は問わないが、角突起に可撓性を持たせて水密性を保持するため、弾性を有するゴムや樹脂製とすることが好ましい。
【0019】
図7は、本発明に用いる第1パッキンの実施形態を示す断面図である。図7に示すように、第1パッキン5bは板状であって、内側に単一の中空部6を有するので、中空部を有する従来のパッキンに比べて構造が簡単であり製造し易いうえ、コンプレッションバーにより第1パッキンが押圧されて前記中空部が変形することにより、コンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置を提供することができる。
【0020】
図8は、本発明に用いる第1パッキンと第2パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。ハッチカバー1の上面に、前述のウェッジ2が設けられていない場合には、船艙を覆うハッチカバー1の下面に前述の第1パッキン5aを配置するとともに、ハッチカバー1の上面に、ハッチカバー1の上面に第2パッキン4aを設けることにより、船艙内への海水の浸入を防止することができる。
【0021】
図9は、本発明に用いる第1パッキンと第3パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。図9に示すように、第1パッキン5bは板状であって、内側に単一の中空部6を有するので、中空部を有する従来のパッキンに比べて構造が簡単であり製造し易いうえ、コンプレッションバーにより第1パッキンが押圧されて前記中空部が変形することにより、コンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置を提供することができる。
【0022】
図10は、本発明に用いる第1パッキンと第3パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。ハッチカバー1の上面に、前述のウェッジ2が設けられている場合には、船艙を覆うハッチカバー1の下面に前述の第1パッキン5aを配置するとともに、ハッチカバー1の側面に、第3パッキン4bを設けることにより、船艙内への海水の浸入を防止することができる。
【0023】
また、図5と同様に、ハッチカバー1のツバ部に、例えばポリエチレン素材からなり、表面が均一な性状を持つツバ部調整部材8を設置すること により、ハッチカバー1と第3パッキン4bとの接触部分の水密性を向上させることができる。
【0024】
図11は、本発明に用いる第1パッキンと第3パッキンを組み合わせた実施形態を例示する断面図である。図11に示すように、第1パッキン5bは板状であって、内側に単一の中空部6を有するので、中空部を有する従来のパッキンに比べて構造が簡単であり製造し易いうえ、コンプレッションバーにより第1パッキンが押圧されて前記中空部が変形することにより、コンプレッションバーを挟み込んでシールするので、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置を提供することができる。
【0025】
また、図5と同様に、ハッチカバー1のツバ部に、例えばポリエチレン素材からなり、表面が均一な性状を持つツバ部調整部材8を設置すること により、ハッチカバー1と第3パッキン4bとの接触部分の水密性を向上させることができる。
【0026】
以上の実施形態により、本発明によれば、シール構造を工夫するこした結果、船艙を覆うハッチカバーの下面に配置されたパッキンと、該パッキンを押圧するコンプレッションバーとの間の水密性が高く、海水が船艙に浸入して積荷にダメージを与えることがないハッチカバーのシール装置およびシール方法を提供することができることが確認された。
【符号の説明】
【0027】
1 ハッチカバー
2 ウェッジ
3 コンプレッションバー
4a 第2パッキン
4b 第3パッキン
5a 第1パッキン
5b 第1パッキン(板状)
6 中空部
7 角部
8 ツバ部調整部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船艙を覆うハッチカバーの下面に配置された第1パッキンと、該第1パッキンを押圧するコンプレッションバーとを有するハッチカバーのシール装置であって、前記第1パッキンは内側に中空部を有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
【請求項2】
前記第1パッキンは、前記コンプレッションバーの側面に突出した複数の角部を有することを特徴とする、請求項1に記載のハッチカバーのシール装置。
【請求項3】
船艙を覆うハッチカバーのシール装置であって、前記ハッチカバーの上面に、先端が下向きの舌状突起を備えた第2パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
【請求項4】
船艙を覆うハッチカバーのシール装置であって、前記ハッチカバーの側面に、先端が上向きの舌状突起を備えた第3パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
【請求項5】
船艙を覆うハッチカバーの下面に配置された第1パッキンと、該第1パッキンを押圧するコンプレッションバーとを有するハッチカバーのシール装置であって、前記第1パッキンは内側に中空部を有するとともに、前記コンプレッションバーの側面に突出した複数の角部を有し、さらに、前記ハッチカバーの上面に配置された先端が下向きの舌状突起を備えた第2パッキン、または、前記ハッチカバーの側面に配置された上向きの舌状突起を備えた第3パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のシール装置を用いることを特徴とする、ハッチカバーのシール方法。
【請求項1】
船艙を覆うハッチカバーの下面に配置された第1パッキンと、該第1パッキンを押圧するコンプレッションバーとを有するハッチカバーのシール装置であって、前記第1パッキンは内側に中空部を有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
【請求項2】
前記第1パッキンは、前記コンプレッションバーの側面に突出した複数の角部を有することを特徴とする、請求項1に記載のハッチカバーのシール装置。
【請求項3】
船艙を覆うハッチカバーのシール装置であって、前記ハッチカバーの上面に、先端が下向きの舌状突起を備えた第2パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
【請求項4】
船艙を覆うハッチカバーのシール装置であって、前記ハッチカバーの側面に、先端が上向きの舌状突起を備えた第3パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
【請求項5】
船艙を覆うハッチカバーの下面に配置された第1パッキンと、該第1パッキンを押圧するコンプレッションバーとを有するハッチカバーのシール装置であって、前記第1パッキンは内側に中空部を有するとともに、前記コンプレッションバーの側面に突出した複数の角部を有し、さらに、前記ハッチカバーの上面に配置された先端が下向きの舌状突起を備えた第2パッキン、または、前記ハッチカバーの側面に配置された上向きの舌状突起を備えた第3パッキンを有することを特徴とする、ハッチカバーのシール装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のシール装置を用いることを特徴とする、ハッチカバーのシール方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−95392(P2013−95392A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242952(P2011−242952)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(591045840)日鐵物流株式会社 (6)
【出願人】(000252207)六菱ゴム株式会社 (41)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(591045840)日鐵物流株式会社 (6)
【出願人】(000252207)六菱ゴム株式会社 (41)
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