説明

ハニカムフィルタ

【課題】触媒含有層の原料溶液に浸漬し、引き上げた際に、端面に触媒含有層の原料溶液が残りにくく、下端面における流路の開口が狭くなることを抑制できるハニカムフィルタを提供する。
【解決手段】ハニカムフィルタ100は、Z軸方向に延びる複数の流路110を形成する柱状の多孔質の隔壁112と、複数の流路110の一部の一端及び前記複数の流路の残部の他端を封じる複数の封口部114と、を備える。隔壁112及び封口部114はセラミクスから構成される。隔壁112における、Z軸方向の少なくとも一端面112eは、外周112epから中央112ecに向かうほど、Z軸方向の外側への突出量が増えかつZ軸と直交するXY平面に対する傾斜が減るような曲面を形成する、又は、外周から中央に向かうほど、前記軸方向の内側に凹む量が増えかつ前記軸と直交する平面に対する傾斜が減るような曲面を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディーゼルパティキュレートフィルタとして用いられるハニカムフィルタが知られている。このようなハニカムフィルタは、軸方向に延びる複数の流路を形成する柱状の多孔質のハニカム構造体と、複数の流路の一部の一端及び前記複数の流路の残部の他端を封じる複数の封口部と、を備え、セラミクスから構成される(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−24726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、隔壁による炭素粒子の捕集に加えて、ハニカムフィルタの流路の内面に設けた触媒含有層により、炭素粒子の燃焼や炭化水素や一酸化炭素の除去を促進させる場合がある。そして、ハニカムフィルタの流路の内面に触媒含有層を形成する場合、ハニカムフィルタを触媒含有層の原料溶液と接触させ、その後引き上げ、乾燥させることが通常行われる。
【0005】
しかしながら、従来のハニカムフィルタは、原料溶液から引き上げた後に、下端面において多量の原料溶液が付着したまま残りやすかった。この場合、原料溶液の無駄が増える上に、液がそのまま乾燥すると下端面における流路の開口面積が低下し圧力損失が増加さすることがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、触媒含有層の原料溶液から引き上げた際に、下端面に原料溶液が残りにくく、下端面において流路の開口が狭くなることを抑制できるハニカムフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるハニカムフィルタは、軸方向に延びる複数の流路を形成する柱状の多孔質の隔壁と、前記複数の流路の一部の一端及び前記複数の流路の残部の他端を封じる複数の封口部と、を備える。そして、前記隔壁における、前記軸方向の少なくとも一端面は、外周から中央に向かうほど、前記軸方向の外側への突出量が増えかつ前記軸と直交する平面に対する傾斜が減るような曲面を形成する、又は、外周から中央に向かうほど、前記軸方向の内側に凹む量が増えかつ前記軸と直交する平面に対する傾斜が減るような曲面を形成する。
【0008】
本発明によれば、隔壁の一端面が、外周から中央に向かうほど、軸方向の外側への突出量が増える、又は、内側に凹む量が増えるような曲面であるので、このフィルタを触媒含有層の原料溶液に接触させ、引き上げた際に、一端面において原料溶液が中央又は外周に集まって、滴下等により効率よく除去できるので、下端面における原料溶液の残存量を低減できる。また、当該隔壁の一端面が、外周から中央に向かうほど、軸と直交する平面に対する傾斜が減るような曲面であるので、曲面部分の軸方向の高さをあまり大きくしなくてすむので、濾過面積を損ないにくい。
【0009】
ここで、前記一端面における、前記外周と前記中央との間の前記軸方向の高さの差が0.5〜2.0mmであることが好ましい。
【0010】
前記一端面における外周の径は、100〜300mm(約4.5〜11.5インチ)であることが好ましい。
【0011】
また、前記隔壁及び前記複数の封口部はチタン酸アルミニウム系セラミクスから構成されることが好ましい。
【0012】
また、前記複数の流路のうちの前記一端面に開口する流路の表面に貴金属触媒を含む層をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、触媒含有層の原料溶液に接触させ、引き上げた際に、下端面に原料溶液が残りにくく、下端面において流路の開口が狭くなることを抑制できるハニカムフィルタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1の(a)は本発明の第一実施形態にかかるハニカムフィルタ100の側面図、図1の(b)は(a)のZ軸に平行な断面図、図1の(c)はZ軸方向から見た正面図、図1の(d)は(b)に対してさらに触媒含有層120を図示した断面図である。
【図2】図2の(a),(b)は、図1のハニカムフィルタ100の製造方法の一例を順に示す断面模式図である。
【図3】図3の(a)、(b)、(c)は、図2のハニカムフィルタ100を触媒含有溶液に含浸させ、引き上げる方法を順に説明する模式図である。
【図4】図4の(a),(b),(c)は、図1のハニカムフィルタ100の製造方法の他の一例を順に示す断面模式図である。
【図5】図5の(a)は第二実施形態にかかるハニカムフィルタ100の側面図、図5の(b)は(a)のZ軸に平行な断面図、図5の(c)はZ軸方向から見た正面図、図5の(d)は(b)に対してさらに触媒含有層120を図示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一実施形態)
図面を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。第1実施形態にかかるハニカムフィルタ100は、図1の(a)〜(d)に示すように、主として、隔壁112及び複数の封口部114を有する。
【0016】
隔壁112は、Z軸方向に延びる柱状の形状を有し、Z軸方向に伸びる複数の流路110を形成している。流路110の断面形状は正方形であり、図1の(c)に示すようにこれらがZ軸方向から見てマトリクス状に並んでいる。
【0017】
隔壁112における、Z軸方向の下端面112eは、外周110epから中央112ecに向かうほど、Z軸方向の外側、すなわち、反対側の端面(上面)から離れる方向に突出量が増える曲面(以下、凸曲面と呼ぶことがある)を形成している。また、この凸曲面は、外周110epから中央112ecに向かうほど、Z軸と直交する平面(XY面)に対する傾斜が減る。ここで、傾斜とは、XY面と曲面上の各点の接線とのなす角度(鋭角)である。この凸曲面は、上述の条件を満たせば曲率などは特に限定されず、例えば、球面、楕円面、二葉双曲面、放物面等が挙げられる。
【0018】
隔壁112の下端面112eにおける、外周112epと中央112ecとの間のZ軸方向の高さの差H2は特に限定されないが、0.5〜2.0mmであることが好ましい。
【0019】
隔壁112における、両端面の外周間の距離H1は、特に限定されないが、例えば、40〜350mmとすることができる。
【0020】
また、隔壁112の外径、すなわち、外周112epの径も特に限定されないが、例えば、100〜300mmとすることできる。流路110の断面のサイズは、例えば、正方形の場合一辺0.8〜2.5mmとすることができる。隔壁112の厚みは、0.05〜0.5mmとすることができる。
【0021】
ハニカムフィルタ100の隔壁112の材質は、多孔性セラミクス(焼成体)である。セラミクスは特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素、金属等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、さらに、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。
【0022】
封口部114は、複数の流路110の内の一部の一端(図1の(b)の左端)、及び、複数の流路110の内の残部の他端(図1の(b)の右端)を閉鎖する柱体である。この封口部114により、図1の(b)において、流路110の下端から供給されたガスは、隔壁112を通過して隣の流路110に到達し、流路110の上端から排出される。このとき、流入したガス中の粒子(例えば炭素粒子)が、隔壁112によって除去され、フィルタとして機能する。ここでは、上端が封口され下端が開口する流路をガス入口側流路110in、上端が開口し下端が封口された流路をガス出口側流路110outと呼ぶことがある。ガス入口側流路110inは、隔壁112の下端面112eに開口している。
【0023】
下部の封口部114の下面は、隔壁112の下端面112eが形成する曲面に沿う曲面であることもできるが、別の曲面でもよいし、平面でもよいし、当該平面すなわち隔壁112の下端面112eから突出していても窪んでいてもかまわない。
【0024】
封口部114の材質としては、ハニカムフィルタ100と同様のセラミクス材料を用いることができる。封口高さ(Z軸方向)も特に限定されないが例えば、0.5〜10mmとすることができる。
【0025】
このハニカムフィルタ100は、図1の(d)に示すように、ガス入口側流路110inの表面に、触媒含有層120を有することができる。なお、触媒含有層120は、隔壁112の下端面112e上、及び、隔壁112の側面112s上にも設けられることができる。触媒含有層120は、微視的には、隔壁112のこれらの表面や端面や側面の下に存在する、隔壁112の細孔の表面上にも形成されることができる。
【0026】
触媒含有層120は、触媒を含む層である。触媒としては、Pt,Pd,Rh、Ag等の貴金属又は貴金属を含む合金の微粒子が挙げられる。これらの触媒は、例えば、捕集した炭素の燃焼、CO,炭化水素等の除去を促進させることができる。触媒含有層120は、さらに、触媒を支持する多孔質セラミクス材料を含むことができる。このセラミクス材料としては、隔壁112を構成するセラミクス、当該セラミクスを構成する一部の元素の酸化物等が挙げられる。例えば、ハニカムフィルタを構成するセラミクスがチタン酸アルミニウムである場合には、例えば、チタン酸アルミニウム、アルミナ、チタニア等を用いることができる。このセラミクス材料は、隔壁112に含まれない成分を主成分とするセラミクスとすることもできる。
【0027】
流路110内における触媒含有層120の厚みは特に限定されないが、0.05〜100μmとすることができる。
【0028】
このようなハニカムフィルタ100は例えば以下のようにして製造することができる。
【0029】
まず、セラミクス源粉末と、有機バインダと、溶媒と、必要に応じて添加される添加物(例えば、を用意する。
例えば、チタン酸アルミニウムのグリーン成形体の場合、セラミクス源粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウム源粉末を含み、必要に応じて、さらに、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
【0030】
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩を例示できる。
【0031】
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤および可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
【0032】
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。
【0033】
潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸Alなどのステアリン酸金属塩などが挙げられる。
【0034】
分散剤としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどの界面活性剤などが挙げられる。
【0035】
溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。
【0036】
そして、これらを混練機等により混合して原料混合物を得、得られた原料混合物を隔壁の形状に対応する出口の開口を有する押出機から押し出す。そして、押し出された成形体を、所望の長さに軸方向に対して略垂直に切断後、公知の方法で乾燥することにより、図2の(a)に示すグリーン隔壁112’を得る。そして、グリーン隔壁112’の流路110の端部を封口材114’で封口し、グリーンハニカム構造体100’を得る(図2の(a)参照)。
【0037】
封口材114’には、グリーン隔壁112‘と同様の材料を用いることができる。また、特定の流路110の端部を封口材で封口する方法も特に限定されない。例えば、封口すべき流路の部分に穴が開いたマスクを隔壁112の端面上に配置し、当該穴から当該流路内に封口材を押し込む方法、特定の流路のみに対して封口材を吐出可能なノズルを有し、さらに当該ノズルを任意の位置に移動可能な構成を有するいわゆるインクジェット装置を用いる方法等を利用できる。
【0038】
続いて、図2の(b)に示すように、このグリーンハニカム構造体100’を、上面が凹曲面とされた焼成台300上に載せ、その状態で焼成を行う。この際、グリーンハニカム構造体100’が倒れないように、側面を支持具により支持することが好ましい。そうすると、自重でグリーンハニカム構造体100’の下面が焼成台300の上面に沿うように凸状に変形し、図1の(b)ように下端面112eが上述のような凸曲面の形状をしたハニカムフィルタ100が得られる。なお、この状態のハニカムフィルタ100は、触媒含有層120を有していないが、粒子フィルタとしては機能する。
【0039】
次に、下端面112eに開口するガス入口側流路110inに触媒含有層120を形成する。ここでは、具体的には、図3の(a)及び(b)に示すように、触媒含有層の原料溶液202を貯留する槽200に、下端面112eを下にした状態で、好ましくはガス出口側流路110out内に原料溶液20が入らないように、ハニカムフィルタ100を浸して、ガス入口側流路110inを原料溶液202と接触させる。その後、図3の(c)に示すようにハニカムフィルタ100を原料溶液から引き上げる。これにより、ガス入口側流路110inの表面に原料溶液の層120’が塗布され、この層を乾燥、あるいは、必要に応じて熱処理することにより、触媒含有層120が得られる。
【0040】
原料溶液202の組成は特に限定されないが、上述の触媒又はその原料、及び、溶媒を含むことができる。また、原料溶液202は、さらに、多孔質セラミクス材料の原料を含むことができる。
【0041】
触媒及び触媒の原料としては、上述の金属や合金の微粒子、及び、上述の金属(合金の場合には合金を構成する金属成分)の、アルコキシド、硝酸塩、塩化物、水酸化物、又は炭酸塩が挙げられる。
【0042】
多孔質セラミクス材料の原料としては、例えば、セラミクス粉、及び、造孔剤があげられる。
【0043】
さらに、必要に応じて、原料溶液202は、分散剤(例えば、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)、消泡剤等の添加剤を含むこともできる。
【0044】
溶媒としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール等の一価アルコール、エチレングリコール等のジオール、多価アルコール)、トリエタノールアミン、エチレンオキシド、キシレン等があげられる。
【0045】
原料溶液202の粘度は特に限定されないが、例えば、0.5〜10000mPa・sとすることができる。
【0046】
本実施形態によれば、下端面112eが、外周112epから中央112ecに向かうほどZ軸方向の外側に突出量が増える曲面を形成している。これにより、図3の(c)に示すように、触媒含有層の原料溶液202からハニカムフィルタ100を引き上げる際に、下端面112eに付着する余分な原料溶液が中央112ecに集まり、効率的に下方に滴下する。したがって、下端面112eに残る触媒含有層の原料溶液202の量を低減でき、原料溶液202の効率的な利用が可能となる。また、原料溶液の乾燥等の処理後に下端面における流路の開口が狭くなることを抑制できる。
また、下端面112eが、外周112epから中央112ecに向かうほどZ軸と直交する平面(XY面)に対する傾斜が減るような曲面を形成している。これにより、例えば、下端面を下に突出する円錐形状の曲面とする場合のように、曲面の部分のZ軸方向の高さをいたずらに高くしなくてすむので、濾過面積を損ないにくい。
【0047】
上述のようなハニカムフィルタは以下のような方法によっても製造することができる。
【0048】
まず、上述と同様にしてグリーン隔壁112’を得たのち、これを乾燥させ、焼成し、図4の(a)のような平坦な下端面112eを有する隔壁112を得る。続いて、図4の(b)に示すように、この隔壁112の下端面112eを研削して上述の凸曲面を形成する。続いて、このように凸曲面を有する隔壁112の流路110の端部を封口材で封口し、焼成することにより封口部114を設け、図4の(c)に示すハニカムフィルタ100を得ることができる。
【0049】
そして、このハニカムフィルタ100を、上述と同様に触媒含有層の原料溶液202と接触させことにより、触媒含有層120を有するハニカムフィルタ100を得ることができる。
【0050】
(第二実施形態)
続いて、第二実施形態にかかるハニカムフィルタ100について図5の(a)〜(d)を参照して説明する。本実施形態にかかるハニカムフィルタ100が、第一実施形態にかかる図1のハニカムフィルタ100と異なる点は、隔壁112におけるZ軸方向の下端面112eが、外周110epから中央112ecに向かうほど、Z軸方向の内側、すなわち、反対側の端面(上面)に近づく方向に凹む量が増え、かつ、Z軸と直交する平面(XY面)に対する傾斜が減るような曲面(以下、凹曲面と呼ぶことがある)を形成している点である。この凹曲面は、上述の条件を満たしていれば曲率などは特に限定されず、例えば、球面、楕円面、二葉双曲面、放物面等が挙げられる。
【0051】
本実施形態によれば、下端面112eが、外周から中央に向かうほどZ軸方向の内側に凹む量が増える曲面を形成している。これにより、触媒含有層の原料溶液からハニカムフィルタ100を引き上げる際に、下端面112eに付着する余分な原料溶液が外周に集まり、効率的に下方に滴下する。したがって、下端面112eに残る触媒含有層の原料溶液202の量を低減でき、原料溶液202の効率的な利用が可能となる。
また、下端面112eが、外周112epから中央112ecに向かうほどZ軸と直交する平面(XY面)に対する傾斜が減るような曲面を形成している。これにより、例えば、上に突出する円錐形状の曲面とする場合のように、曲面の部分のZ軸方向の高さをいたずらに高くすることがないので、濾過面積を損ないにくい。
【0052】
このようなハニカムフィルタ100も、第一実施形態と同様に製造することができる。詳しくは、焼成台300の上面の形状を凸曲面にしたり、隔壁11の下端面を凹曲面に研削したりすればよい。
【0053】
本発明は上記実施形態に限定されずさまざまな変形態様が可能である。
例えば、上記実施形態では、流路110の断面形状は、略正方形であるがこれに限定されず、矩形、円形、楕円形、3角形、6角形、8角形等にすることができる。また、流路110には、径の異なるもの、断面形状の異なるものが混在してもよい。また、流路の配置も、図1ではマトリクス状に並ぶ正方形配置であるが、これに限定されず、断面において流路の中心軸が正三角形の頂点に配置される正三角形配置、千鳥配置等にすることができる。さらに、ハニカムフィルタの外形も、円柱に限られず、例えば3角柱、4角柱、6角柱、8角柱等とすることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、隔壁112の一端面としての下端面のみに凸曲面又は凹曲面が形成されていたが、両端面に凸曲面又は凹曲面が形成されていてもよく、一端面が凹曲面で、他端面が凸曲面とされていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100…セラミクスハニカムフィルタ、110…流路、112…隔壁、112e…隔壁の下端面(隔壁の一端面)、112ep…下端面の外周、112ec…下端面の中央、114…封口部、120…触媒含有層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる複数の流路を形成する柱状の多孔質の隔壁と、前記複数の流路の一部の一端及び前記複数の流路の残部の他端を封じる複数の封口部と、を備え、
前記隔壁及び封口部はセラミクスから構成され、
前記隔壁における前記軸方向の一端面は、外周から中央に向かうほど、前記軸方向の外側への突出量が増えかつ前記軸と直交する平面に対する傾斜が減るような曲面を形成する、又は、外周から中央に向かうほど、前記軸方向の内側に凹む量が増えかつ前記軸と直交する平面に対する傾斜が減るような曲面を形成する、ハニカムフィルタ。
【請求項2】
前記一端面における、前記外周と前記中央との間の前記軸方向の高さの差が0.5〜2.0mmである請求項1記載のフィルタ。
【請求項3】
前記一端面における外周の径は、100〜300mmである請求項1又は2記載のフィルタ。
【請求項4】
前記隔壁及び前記複数の封口部はチタン酸アルミニウム系セラミクスから構成された請求項1〜3のいずれか一項記載のフィルタ。
【請求項5】
前記複数の流路のうちの前記一端面に開口する流路の表面に触媒含有層をさらに有する請求項1〜4のいずれか一項記載のフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−228655(P2012−228655A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98469(P2011−98469)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】