説明

ハニカム構造体およびハニカム構造体の製造方法

【課題】NOx等の浄化率が向上されたハニカム構造体の提供。
【解決手段】ゼオライトおよび無機バインダを含み、長手方向に沿って、第1の端面から第2の端面に延伸する複数のセルがセル壁により区画されたハニカムユニットを有するハニカム構造体であって、前記ハニカムユニットは、D50が3.7μm以上のゼオライト粒子および無機バインダを含む原料ペーストを成形して、焼成することにより作製され、前記セル壁の平均気孔径は、0.12μm以上0.5μm以下であり、前記セル壁の平均粒子径は、3.7μm以上7.0μm以下であることを特徴とするハニカム構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスを処理するハニカム構造体およびハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車からの排ガスの浄化に関しては、多くの技術が開発されているが、交通量の増大もあって、まだ十分な排ガス対策がとられているとは言い難い。日本国内においても、世界的にも自動車排ガス規制は、さらに強化されて行く方向にある。
【0003】
このような排ガスの規制に対応するため、排ガス浄化システムにおいて、排ガス中に含まれる所定の有害な成分を処理することが可能な触媒担体が使用されている。また、このような触媒担体用の部材として、ハニカム構造体が知られている。
【0004】
一般に、ハニカム構造体は、ハニカムユニットを有する。また、このハニカムユニットは、例えば、長手方向に沿って、一方の端面から他方の端面まで延伸する複数のセル(貫通孔)を有し、これらのセルは、触媒がその表面に担持されたセル壁または触媒によって構成されたセル壁により、相互に区画されている。従って、このようなハニカムユニットを有するハニカム構造体に排ガスを流通させた場合、セル壁に担持された触媒またはセル壁を構成する触媒によって、排ガスに含まれるHC、CO、および/またはNOx等の物質が改質され、排ガス中のこれらの有害な成分を処理することができる。
【0005】
特に、SCR(Selective Catalitic Reduction)システムと呼ばれるシステムでは、アンモニアを用いることにより、排ガス中のNOxを窒素と水に分解することができる。例えば、特許文献1には、SCRシステムに使用され得る、ゼオライトを含むハニカムユニットを有するハニカム構造体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO09/141878号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のハニカム構造体では、単なるNOx等の浄化ではなく、NOx等の浄化率をさらに向上させることができるハニカム構造体が期待されている。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、本発明では、従来に比べてNOx等の浄化率が向上されたハニカム構造体を提供することを目的とする。また、そのようなハニカム構造体を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、
ゼオライトおよび無機バインダを含み、長手方向に沿って、第1の端面から第2の端面に延伸する複数のセルがセル壁により区画されたハニカムユニットを有するハニカム構造体であって、
前記ハニカムユニットは、D50が3.7μm以上のゼオライト粒子および無機バインダを含む原料ペーストを成形して、焼成することにより作製され、
前記セル壁の平均気孔径は、0.12μm以上0.5μm以下であり、前記セル壁の平均粒子径は、3.7μm以上7.0μm以下であることを特徴とするハニカム構造体が提供される。
【0010】
ここで、本発明によるハニカム構造体において、前記ゼオライト粒子のD50は、7.0μm以下であっても良い。
【0011】
また、本発明によるハニカム構造体において、前記ゼオライトは、前記ハニカムユニット中に、重量比で70重量%以上含まれていても良い。
【0012】
また、本発明によるハニカム構造体において、前記ゼオライトは、鉄でイオン交換されたゼオライトであっても良い。
【0013】
また、本発明によるハニカム構造体は、複数のハニカムユニットから構成されていても良い。
【0014】
さらに、本発明では、
ゼオライトおよび無機バインダを含み、長手方向に沿って、第1の端面から第2の端面に延伸する複数のセルがセル壁により区画されたハニカムユニットを有するハニカム構造体の製造方法であって、
当該方法は、
(a)ゼオライト粒子および無機バインダを含む原料ペーストを準備する工程と、
(b)前記原料ペーストを成形して、ハニカム成形体を形成する工程と、
(c)前記ハニカム成形体を焼成して、ハニカムユニットを得る工程と、
を含み、
前記ゼオライト粒子のD50が3.7μm以上であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法が提供される。
【0015】
ここで、本発明によるハニカム構造体の製造方法において、
前記ゼオライト粒子のD50は、7.0μm以下であっても良い。
【0016】
また、本発明によるハニカム構造体の製造方法において、前記ハニカムユニットの平均気孔径は、0.12μm以上0.5μm以下であっても良い。
【0017】
また、本発明によるハニカム構造体の製造方法において、前記ハニカムユニットの平均粒子径は、3.7μm以上7.0μm以下であっても良い。
【0018】
また、本発明によるハニカム構造体の製造方法において、前記ゼオライト粒子は、鉄でイオン交換されたゼオライト粒子であっても良い。
【0019】
ここで、本発明によるハニカム構造体の製造方法は、さらに、
(d)ハニカムユニットに含まれるゼオライトを鉄でイオン交換する工程を含んでも良い。
【0020】
また、本発明によるハニカム構造体の製造方法において、前記原料ペーストは、さらに、無機繊維および/または有機バインダを含んでも良い。
【0021】
また、本発明によるハニカム構造体の製造方法は、さらに、複数のハニカムユニットを、接着層を介して接合する工程を含んでも良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、従来に比べてNOx等の浄化率を向上させたハニカム構造体を提供することが可能となる。また、そのようなハニカム構造体を製造する方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図である。
【図2】本発明による別のハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図である。
【図3】図2のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示した斜視図である。
【図4】本発明によるハニカム構造体を製造する方法の一例のフロー図である。
【図5】実施例および比較例のハニカムユニットの平均粒子径の測定場所を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の特徴を説明する。
【0025】
図1には、本発明によるハニカム構造体の一構成例を模式的に示す。
【0026】
図1に示すように、ハニカム構造体100は、2つの端面110Aおよび110Bを有する単一のハニカムユニット130で構成される。ハニカム構造体100は、ハニカムユニット130の端面110A、110Bを除く側面に形成された外周コート層115を有する。
【0027】
ハニカムユニット130は、長手方向に沿って一端から他端まで延伸し、両端面110A、110Bで開口された複数のセル(貫通孔)122と、該セルを区画するセル壁124とを有する。なお、これに限られるものではないが、図1の例では、セル122の長手方向(軸方向)に垂直な断面は、実質的に正方形状となっている。
【0028】
ハニカムユニット130は、例えば、無機粒子および無機バインダで構成される。
【0029】
ここで、ハニカムユニット130に含まれる無機粒子として、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、ムライト、またはゼオライト等を使用した場合、そのようなハニカムユニット130を有するハニカム構造体100は、CO、HC、および/またはNOxを浄化するための触媒担体として、使用することができる。特に、無機粒子としてゼオライトを使用した触媒担体は、尿素タンクを有する尿素SCRシステムに使用することができる。
【0030】
例えば、そのような尿素SCRシステムにおいて、システム内に排ガスが流通されると、尿素タンクに収容されている尿素が排ガス中の水と反応して、アンモニアが生じる(式(1))。

CO(NH+HO → 2NH+CO 式(1)

このアンモニアが、NOxを含む排ガスとともに、ハニカム構造体100の一方の端面(例えばハニカムユニットを130の端面110A)から、各セル122に流入した場合、セル壁124に含まれているゼオライトの触媒の作用により、以下の式(2−1)式および(2−2)の反応が生じる。

4NH+4NO+O → 4N+6HO 式(2−1)
8NH+6NO → 7N+12HO 式(2−2)

その後、浄化された排ガスは、ハニカム構造体100の他方の端面(例えばハニカムユニットを130の端面110B)から排出される。このように、ハニカム構造体100内に排ガスを流通させることにより、排ガス中のNOxを処理することができる。
【0031】
なお、これまで、ゼオライトを含むハニカムユニットで構成された従来のハニカム構造体を使用して排気ガスを浄化した場合、NOx等の浄化が十分ではなかった。この原因の一つとして、ハニカム構造体に排ガスを流入した際に、ハニカムユニットのセル壁に存在する気孔の内部まで、排ガスが十分に流通しないことが考えられる。しかしながら、この問題に対処するため、ハニカムユニットのセル壁に存在する気孔の気孔径を大きくしようとしても、具体的に気孔径をどのような寸法とすれば、適正なNOxの浄化効果が得られるのかは不明であった。例えば、ハニカムユニットのセル壁の気孔の気孔径を極端に大きくすると、今度は排ガス中のNOxがハニカムユニットのセル壁での触媒反応によって浄化される前に、ハニカム構造体から流出してしまうという別の問題も発生してしまう。
【0032】
これに対して、本発明によるハニカム構造体100では、ハニカムユニット130のセル壁124の平均気孔径は、0.12μm以上である。平均気孔径が0.12μm以上の場合、排ガスは、高温時のNO分子等の分子運動が激しくなっても気孔が十分に大きいので、気孔内にNO分子等が入ることができ、セル壁の気孔の内部にまで十分に排ガス中のNOxが侵入できるようになる。このため、本発明によるハニカム構造体100では、従来のハニカム構造体に比べてNOx浄化率を向上させることが可能となる。
【0033】
また、ハニカムユニットを130のセル壁124の平均気孔径は、0.5μm以下である。平均気孔径が0.5μmを超えると、セル壁124では、大きい気孔の数が多くなり、セル壁124の気孔の数が減るため、排ガス中のNOxがセル壁124の気孔に侵入しにくくなる。このため、そのようなハニカム構造体では、従来のハニカム構造体に比べて、NOx浄化率を向上させることができない。
【0034】
さらに、ハニカムユニット130のセル壁124の平均気孔径は、0.12μm〜0.33μmであることがより好ましい。
【0035】
本発明によるハニカム構造体100では、ハニカムユニット130のセル壁124の平均粒子径は、3.7μm以上である。セル壁124の平均粒子径が3.7μm未満であると、セル壁124の平均気孔径を0.12μm以上とすることが難しくなる。また、ハニカムユニット130のセル壁124の平均粒子径は、7.0μm以下である。セル壁124の平均粒子径が7.0μmを超えると、セル壁124の平均気孔径を0.5μm以下とすることが難しくなる。
【0036】
ハニカムユニット130のセル壁124の平均気孔径は、水銀圧入法により、測定することができる。ハニカムユニット130のセル壁124の平均粒子径は、セル壁124のセル122に垂直な方向の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行い、SEM画像またはSEM写真の粒子の直径を測定することにより、求めることができる。
【0037】
(ハニカム構造体100の構成)
ここで、図1に示したハニカム構造体100に含まれるハニカムユニット130ついて、簡単に説明する。なお、ここでは、特に、ハニカムユニット130がゼオライトを主成分とする材料で構成される場合について説明する。
【0038】
ハニカムユニット130は、ゼオライト、および無機バインダを含む。また、ハニカムユニット130は、さらに、ゼオライト以外の無機粒子を含んでも良い。さらに、ハニカムユニット130は、無機繊維等の強度補強材料を含んでも良い。
【0039】
ハニカムユニット130に含まれるゼオライトの例としては、β型ゼオライト、Y型ゼオライト、フェリエライト、ZSM−5型ゼオライト、モルデナイト、フォージサイト、ゼオライトA、ゼオライトL、またはゼオライト類縁化合物等が挙げられる。また、ゼオライトは、β型ゼオライトまたはZSM−5型ゼオライトが好ましい。また、ゼオライト類縁化合物は、ALPO(アルミノリン酸塩)、またはSAPO(シリコアルミノリン酸塩)等が好ましい。また、ゼオライトは、Fe、Cu、Ni、Co、Zn、Mn、Ti、AgまたはV等でイオン交換されたものであっても良い。これらの元素の中では、特に、鉄(Fe)または銅(Cu)が好ましく、鉄(Fe)がより好ましい。
【0040】
特に、上記ゼオライトが鉄(Fe)でイオン交換されていると、NOx浄化率(特に高温のNOx浄化率)を向上させることができる。
【0041】
ハニカムユニット130に含まれる無機バインダとしては、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、およびベーマイトからなる群から選択された少なくとも1種の固形分が好ましい。
【0042】
ゼオライト以外の無機粒子としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、またはムライトが好ましい。これらのゼオライト以外の無機粒子は、単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
【0043】
ハニカムユニット130に含まれるゼオライトの量について、好ましい下限は70重量%であり、より好ましい下限は75重量%である。一方、好ましい上限は90重量%であり、より好ましい上限は85重量%である。
【0044】
ハニカムユニット130に含まれるゼオライトの量が70重量%未満であると、NOx浄化率が低下する。ハニカムユニット130に含まれるゼオライトの量が90重量%を超えると、ハニカムユニット130に含まれる無機バインダの量が相対的に減ることになるため、ハニカムユニット130の強度が低下する。
【0045】
また、ハニカムユニット130に無機繊維を加える場合、無機繊維としては、アルミナ、シリカ、炭化珪素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウムまたはホウ酸アルミニウム等が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維の中では、アルミナがより好ましい。
【0046】
ハニカムユニット130のセル密度は、15.5〜186個/cm(100〜1200cpsi)の範囲であることが好ましく、46.5〜170個/cm(300〜1100cpsi)の範囲であることがより好ましく、62〜155個/cm(400〜1000cpsi)の範囲であることがさらに好ましい。
【0047】
ハニカムユニット130のセル壁124の厚さは、特に限定されないが、ハニカムユニット130の強度の点から好ましい下限は、0.1mmであり、排ガスの浄化性能の観点から好ましい上限は、0.4mmである。
【0048】
ハニカムユニット130の気孔率は、30%〜70%の範囲であることが好ましい。ハニカムユニット130の気孔率が30%未満の場合、セル壁124の気孔に対する排ガス中のNOxの侵入が悪くなり、NOx浄化率が低下する。ハニカムユニット130の気孔率が70%を超えると、相対的にゼオライトの量が少なくなり、NOx浄化率が低下する。なお、このハニカムユニット130の気孔率の値は、重量法で測定された値を意味する。
【0049】
本発明のハニカム構造体100を構成するハニカムユニット130は、D50が3.7μm以上のゼオライト粒子および無機バインダを含む原料ペーストを成形して、焼成することにより作製される。また、ハニカムユニット130に含まれるゼオライト粒子のD50は、7.0μm以下であることが好ましく、3.7μm〜7.0μmであることがより好ましい。
【0050】
さらに、ハニカムユニット130に含まれるゼオライト粒子のD50は、3.7μm〜4.5μmであることがさらに好ましい。
【0051】
上記ハニカムユニット130に含まれるゼオライト粒子として、D50が3.7μm以上のゼオライト粒子を用いてハニカムユニット130を作製することにより、ハニカムユニット130のセル壁124の平均気孔径を0.12μm以上とすることができ、排ガス中のNOxがセル壁の気孔の内部まで、十分に侵入できるようになり、従来のハニカム構造体に比べてハニカム構造体100のNOx浄化率を向上させることが可能となる。
【0052】
また、上記ハニカムユニット130に含まれるゼオライト粒子として、D50が7.0μm以下のゼオライト粒子を用いてハニカムユニット130を作製することにより、ハニカムユニット130のセル壁124の平均気孔径を0.5μm以下とすることができ、セル壁124中の大きな気孔の数が少なくなり、セル壁124の気孔の数が増えるため、排ガス中のNOxが気孔に侵入しやすくなり、ハニカム構造体100のNOx浄化率を従来のハニカム構造体に比べて向上させることが可能となる。
【0053】
ここで「D50」とは、二次粒子の粒度分布が体積換算で50wt%となるときの粒径値を意味し、「D50」は、メジアン径とも称される。ゼオライト粒子のD50は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、SALD−2200、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
【0054】
(ハニカム構造体の別の構成)
図1に示したハニカム構造体100は、一つのハニカムユニットで構成された、いわゆる「一体構造」型になっている。しかしながら、本発明は、複数のハニカムユニットで構成された、いわゆる「分割構造」型のハニカム構造体にも適用することができる。
【0055】
図2は、本発明による別のハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図であり、図3は、図2のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示した斜視図である。
【0056】
図2には、本発明による「分割構造」型のハニカム構造体200を示す。また、図3には、図2に示したハニカム構造体200を構成するハニカムユニット230Aを示す。
【0057】
図2に示すように、本発明のハニカム構造体200は、2つの開口された端面210Aおよび210Bと、側面220とを有する。ハニカム構造体200の側面には、外周コート層(図示せず)が形成されている。
【0058】
ハニカム構造体200は、複数のハニカムユニットを接着層250を介して複数個接合させることにより構成される。例えば、図2の例では、ハニカム構造体200は、ハニカムユニット230A〜230Dの4個のハニカムユニットで構成されている。
【0059】
これらのハニカムユニット230A〜230Dは、ゼオライトおよび無機バインダを含む。
【0060】
図3に示すように、ハニカムユニット230Aは、1/4円の扇形状の端面214A、214Bと、3つの側面217A、218A、219Aとを有する柱状構造を有する。このうち、側面217Aと側面218Aとは、平坦な平面を有し、側面219Aは、湾曲面を有する(以下、「湾曲側面」という)。
【0061】
図2の例では、ハニカムユニット230B〜230Dも、ハニカムユニット230Aと同様の形状を有する。例えば、図2に示すように、ハニカムユニット230Bは、ハニカムユニット230Aの湾曲側面219Aに対応する湾曲曲面219Bを有する。
【0062】
ハニカムユニット230Aは、該ハニカムユニット230Aの長手方向に沿って端面214Aから端面214Bまで延伸し、両端面214A、214Bで開口された複数のセル(貫通孔)222と、該セル222を区画するセル壁224とを有する。セル壁224には、ゼオライト等の触媒が担持されていても良い。
【0063】
ここで、セル壁224の平均気孔径は、0.12μm以上となっている。また、セル壁224の平均気孔径は、0.5μm以下となっていても良い。
【0064】
このようなハニカムユニット230A〜230Dを有するハニカム構造体200においても、前述のような本発明による効果が得られることは、当業者には明らかである。
【0065】
(本発明によるハニカム構造体を製造する方法について)
以下、図1に示した一つのハニカムユニットで構成された本発明によるハニカム構造体100を製造する方法について、詳しく説明する。
【0066】
図4には、本発明によるハニカム構造体を製造する方法の一例のフロー図を示す。図4に示すように、本発明によるハニカム構造体を製造する方法は、
(a)ゼオライト粒子および無機バインダを含む原料ペーストを準備する工程であって、ゼオライト粒子として、D50が3.7μm以上の粒子が使用される工程(ステップS110)と、
(b)前記原料ペーストを成形して、ハニカム状の成形体を形成する工程(ステップS120)と、
(c)前記ハニカム状の成形体を焼成して、ハニカムユニットを得る工程(ステップS130)と、
を含む。
【0067】
以下、各工程について説明する。
【0068】
(ステップS110)
まず、ゼオライト粒子および無機バインダを含む原料ペーストが調製される。原料ペーストは、さらに、ゼオライト粒子以外の無機粒子および/または有機バインダを含んでも良い。また、原料ペーストは、さらに、無機繊維および/または有機バインダを含んでも良い。また、原料ペーストは、さらに、水等の分散媒および/または成形助剤を含んでも良い。
【0069】
ゼオライト粒子としては、D50が3.7μm以上のものが使用される。ゼオライト粒子のD50は、7.0μm以下であることが好ましい。ここで、「D50」とは、二次粒子の粒度分布が体積換算で50vol%となるときの粒径値を意味する。
【0070】
ゼオライト粒子のD50が3.7μm以上のゼオライト粒子を用いることにより、最終的に得られるハニカムユニットのセル壁の平均気孔径を、0.12μm以上にすることができ、排ガス中のNOxがセル壁の気孔の内部まで、十分に侵入できるようになる。また、ゼオライト粒子のD50が7.0μm以下であると、最終的に得られるハニカムユニットのセル壁の平均気孔径を0.5μm以下にすることができ、セル壁中の大きな気孔が多くならないので、セル壁の気孔の数を増やすことができ、排ガス中のNOxが気孔に侵入しやすくなる。そのため、従来に比べてハニカム構造体のNOx浄化率を向上させることができる。
【0071】
ゼオライト粒子のD50は、3.7μm〜4.5μmの範囲であることがより好ましい。また、ハニカムユニットのセル壁の平均気孔径は、0.12μm〜0.33μmの範囲であることがより好ましい。
【0072】
原料ペーストに含まれる無機バインダとしては、例えばアルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、およびベーマイトからなる群から選択された少なくとも1種であっても良い。
【0073】
原料ペーストに含まれるゼオライト以外の無機粒子としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、またはムライト等が好ましい。これらのゼオライト以外の無機粒子は、単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
【0074】
原料ペーストに含まれる有機バインダとしては、これに限られるものではないが、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂等から選ばれる1種以上であっても良い。
【0075】
原料ペーストに含まれる無機繊維としては、アルミナ、シリカ、炭化珪素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウムまたはホウ酸アルミニウム等が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維の中では、アルミナがより好ましい。
【0076】
原料ペーストに含まれる分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(ベンゼンなど)およびアルコール(メタノールなど)などを挙げることができる。
【0077】
原料ペーストに含まれる成形助剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸またはポリアルコール等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合しても良い。これらの中では、脂肪酸が好ましい。さらに、脂肪酸の中では、不飽和脂肪酸が好ましく、さらに高級脂肪酸であることがより好ましい。高級脂肪酸の中では、炭素数が15以上65未満であることが好ましい。
【0078】
原料ペーストは、これに限定されるものではないが、混合および混練することが好ましく、例えば、ミキサーまたはアトライタなどを用いて混合してもよく、ニーダーなどで十分に混練しても良い。
【0079】
なお、原料ペーストに含まれるゼオライトの量について、好ましい下限は70重量%であり、より好ましい下限は75重量%である。一方、好ましい上限は90重量%であり、より好ましい上限は85重量%である。原料ペーストに含まれるゼオライトの量が70重量%〜90重量%の範囲である場合、NOx浄化率が高くなる。
【0080】
(ステップS120)
次に、ステップS110において準備された原料ペーストを成形することにより、ハニカム成形体が形成される。
【0081】
原料ペーストを成形する方法は、特に限定されるものではないが、成形法として、例えば、押出成形法等を利用しても良い。
【0082】
(ステップS130)
次に、前述の工程で得られたハニカム成形体が焼成され、ハニカムユニット(ハニカム焼成体)が作製される。
【0083】
焼成条件は、ハニカム成形体に含まれる無機粒子等の種類によっても異なるが、焼成温度は、例えば600℃〜1200℃の範囲が好ましい。
【0084】
焼成温度が600℃未満であると、無機バインダを介した縮合重合が進行せず、ハニカムユニットの強度が低くなる。一方、焼成温度が1200℃を超えると、ゼオライト粒子の焼結が進行しすぎて、ゼオライト粒子の反応サイトが減少する。
【0085】
ハニカムユニットの端面を除く側面には、外周コート層が形成される。
【0086】
以上の工程を経て、図1に示したようなハニカム構造体を製造することができる。
【0087】
原料ペーストに含まれるゼオライト粒子としては、β型ゼオライト、Y型ゼオライト、フェリエライト、モルデナイト、フォージサイト、ゼオライトA、ゼオライトL、またはゼオライト類似化合物等を用いることができる。また、原料ペーストに含まれるゼオライト粒子またはハニカムユニット中のゼオライトは、Fe、Cu、Ni、Co、Zn、Mn、Ti、AgまたはVでイオン交換されたものであっても良い。これらの元素の中では、特に、鉄(Fe)または銅(Cu)が好ましく、鉄(Fe)でイオン交換されていることがより好ましい。
【0088】
ゼオライトをイオン交換する方法としては、イオン交換されたゼオライト粒子(特に鉄(Fe)でイオン交換されたゼオライト)を用いる方法が挙げられる。また、イオン交換されていないゼオライト粒子を用いて、ハニカムユニット(ハニカム焼成体)およびハニカム構造体を作製し、ハニカムユニットまたはハニカム構造体に含まれるゼオライトをイオン交換する(特に、鉄(Fe)イオンが含まれる溶液に浸漬することで、鉄(Fe)でイオン交換する)工程を行っても良い。すなわち、本発明によるハニカム構造体の製造方法は、前記(a)〜(c)の工程の後に、さらに、(d)ハニカムユニットまたはハニカム構造体に含まれるゼオライトを鉄でイオン交換する工程を含むことがより好ましい。なお、鉄(Fe)イオンが含まれる溶液としては、硝酸鉄水溶液等を用いることができる。
【0089】
(別の構造のハニカム構造体を製造する方法について)
図2に示すような、複数のハニカムユニットから構成されたハニカム構造体を製造する場合、前述の工程で作製された複数のハニカムユニットが接着層用ペーストを介して接合される。
【0090】
接着層用ペーストは、特に限定されるものではないが、例えば、無機粒子と無機バインダを混ぜたもの、無機バインダと無機繊維を混ぜたもの、または無機粒子と無機バインダと無機繊維を混ぜたものなどを用いることができる。また、接着層用ペーストにさらに有機バインダを加えても良い。
【0091】
接着層用ペーストに含まれる有機バインダとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどから選ばれる1種以上が挙げられる。有機バインダの中では、カルボキシルメチルセルロースが好ましい。
【0092】
複数のハニカムユニット同士を接着層用ペーストを介して必要数だけ接合して、接着層用ペーストを乾燥固化することにより、ハニカムユニット組立体を形成した後、必要な場合、得られたハニカムユニット組立体の外周面を、ダイヤモンドカッター等を用いて、例えば円柱状に切削加工しても良い。これにより、所望の形状のハニカム構造体が作製される。ただし、図3に示すハニカムユニット230Aのように、複数のハニカムユニットを接合した際に、丁度、ハニカム構造体の端面および側面が形成されるような形状に、ハニカムユニットの形状を予め定めておいても良い。このように所定形状のハニカムユニットを用いる場合、各ハニカムユニットを接合後に、外周面を加工する必要がなくなる。
【0093】
このようにして得られたハニカムユニット組立体の端面を除く外周面には、外周コート層が形成される。
【0094】
以上の工程により、図2に示したような分割構造のハニカム構造体を製造することができる。
【0095】
上述したハニカム構造体100またはハニカム構造体200において、端面を除く側面には、外周コート層が形成されていても良く、あるいは形成されていなくても良い。外周コート層は、外周コート層用ペースト(後述する接着層用ペーストと同様のもの)を乾燥固化させることにより形成される。
【実施例】
【0096】
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
【0097】
以下の手順で、ハニカムユニットを作製し、ハニカムユニットの浄化性能を評価した。
【0098】
(実施例1)
まず、原料として、二次粒子の平均粒径は3μmのβ型ゼオライト粒子(D50は3.7μm)2800重量部、アルミナファイバ270重量部、ベーマイト粉末(固形分72質量%と、酢酸および水28質量%とを混ぜたもの)1120重量部、有機バインダ(メチルセルロース)380重量部、潤滑剤310重量部、およびイオン交換水2400重量部を混合して、ハニカム成形体用の原料ペーストを作製した。
【0099】
次に、この原料ペーストを用いて押出成形機により押出成形を行い、寸法30mmφ×長さ50mmの円柱状のハニカム成形体を得た。
【0100】
次に、マイクロ波乾燥機および熱風乾燥機を用いてハニカム成形体を十分乾燥させ、400℃で2時間保持して脱脂した。その後、700℃で2時間保持して焼成を行い、ハニカムユニットを得た。
【0101】
ハニカムユニットの平均気孔径は、0.12μmであり、平均粒子径は、3.7μmであり、気孔率は、55%であった。ハニカムユニットのセル壁の厚さは、11milであった。セル密度は、420cpsiであった。
【0102】
これを、実施例1に係るハニカムユニットと称する。
【0103】
実施例1において、原料中に含まれるβ型ゼオライト粒子には、鉄(Fe)イオン交換されたものを用いた。すなわち、原料中に含まれるβ型ゼオライト粒子は、β型ゼオライト粒子を硝酸鉄水溶液に浸漬することにより、鉄(Fe)イオン交換を行った。
【0104】
なお、ICPS−8100(島津製作所社製)を用いて、ICP発光分析により、β型ゼオライトの鉄(Fe)イオン交換量を測定したところ、β型ゼオライトの鉄(Fe)イオン交換量は、3.6質量%であった。
【0105】
ゼオライト粒子のD50は、レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−2200、島津製作所社製)を用いて測定した。また、ハニカムユニットの平均気孔径は、水銀圧入法(水銀ポロシメータ)により測定した。セル壁の厚さは、セルの垂直方向のセル壁の断面のSEM観察(SEM写真)から求めた。
【0106】
さらに、ハニカムユニットの平均粒子径は、ハニカムユニットの所定の箇所におけるSEM観察結果から測定した。
【0107】
図5には、ハニカムユニットの平均粒子径の測定場所を示す。図5において、○で示した箇所が平均粒子径の測定場所である。
【0108】
平均粒子径の測定場所として、図5に示すハニカムユニット内の10箇所を選定した。すなわち、ハニカムユニットの一方の端面S1における5箇所、およびハニカムユニットの長手方向の中央部分(両端面から等しい位置)でのハニカムユニットの長手方向と垂直な断面S2における5箇所である。
【0109】
端面S1における5箇所の測定位置は、面内の略中心部分のセル壁124の1箇所と、上下左右にほぼ対称なセル壁124の4箇所とした(端面S1の外周縁からの距離10mm程度)。断面S2における5箇所の測定位置も同様である。
【0110】
各箇所において、セル壁の端面または断面のSEM写真を撮影し、各測定箇所の5つのゼオライト粒子について粒子径を測定した。得られた合計50個のゼオライト粒子の粒子径のデータを平均して、ハニカムユニットの平均粒子径とした。
【0111】
なお、ゼオライトの粒子径を測定する際には、SEM写真から適切な大きさのゼオライト粒子を選定した。また、ゼオライト粒子は、互いに結合しているため、一つのゼオライト粒子であると仮定した外形線を作製し、中心を通る最大長さをその粒子の粒子径とした。
【0112】
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、実施例2に係るハニカムユニットを作製した。ただし、この実施例2では、ゼオライト粒子として、D50が4.2μmのものを使用した。このため、得られたハニカムユニットの平均気孔径は、0.2μmであり、平均粒子径は、4.2μmであり、気孔率は、55%であった。
【0113】
(実施例3)
実施例1と同様の方法により、実施例3に係るハニカムユニットを作製した。ただし、この実施例3では、ゼオライト粒子として、D50が4.5μmのものを使用した。このため、得られたハニカムユニットの平均気孔径は、0.33μmであり、平均粒子径は、4.5μmであり、気孔率は、55%であった。
【0114】
(比較例1)
実施例1と同様の方法により、比較例1に係るハニカムユニットを作製した。ただし、この比較例1では、ゼオライト粒子として、D50が3.5μmのものを使用した。このため、得られたハニカムユニットの平均気孔径は、0.08μmであり、平均粒子径は、3.5μmであり、気孔率は、55%であった。
【0115】
(比較例2)
実施例1と同様の方法により、比較例2に係るハニカムユニットを作製した。ただし、この比較例2では、ゼオライト粒子として、D50が2.5μmのものを使用した。このため、得られたハニカムユニットの平均気孔径は、0.04μmであり、平均粒子径は、2.5μmであり、気孔率は、55%であった。
【0116】
表1には、各ハニカムユニットの作製時に使用したゼオライト粒子のD50、得られたハニカムユニットの平均気孔径、平均粒子径および気孔率をまとめて示した。
【0117】
【表1】

(浄化性能の評価)
ハニカムユニットの浄化性能は、以下のように評価した。
【0118】
まず、模擬排ガス発生器(堀場製作所:SIGU−2000)から供給されるガスを、実施例1〜3および比較例1、2の各ハニカムユニットの一方の端面がガスの入口側となり、他方の端面がガスの出口側となるようにして、ハニカムユニット内に流通させた。
【0119】
定常状態に達してから、各ハニカムユニットにつき、ハニカムユニットに導入される前の供給ガス中のNOx濃度C1、およびハニカムユニットから排出されるガス中のNOx濃度C2を、NOx測定装置(MEXA−6000FX、堀場製作所社製)で測定した。
【0120】
得られたNOx濃度の測定結果から、以下の式(3)を用いて、実施例1〜3および比較例1、2の各ハニカムユニットのNOx浄化率を算出した。

NOx浄化率(%)=(C1−C2)/(C1)×100 式(3)

供給ガスの供給量は、空間速度(SV値)で140,000とした。供給ガスは、窒素ガスをベースとして、NOガス、NOxガス、およびNHガスを含むこととした。供給ガスのNOとNOxの比は、NO/NOx=0.25であり、NHとNOxの比は、NH/NOx=1とした。
【0121】
浄化性能の評価の試験温度は、500℃とした。
【0122】
前述の表1には、各ハニカムユニットにおいて得られたNOx浄化率をまとめて示す。この表1から、実施例1〜実施例3に係るハニカムユニットのNOx浄化率は、それぞれ、80%、82%、80%であり、NOx浄化率は、いずれも80%以上であり、優れた浄化性能(NOx浄化率)が得られていることがわかる。一方、比較例1および比較例2に係るハニカムユニットのNOx浄化率は、それぞれ、65%、58%であり、浄化性能(NOx浄化率)は、低かった。
【0123】
このように、ゼオライト粒子のD50を3.7μm以上とすることにより、浄化性能(NOx浄化率)が有意に向上することが確認された(実施例1〜3では、D50は、3.7μm〜4.5μmの範囲であり、ハニカムユニットの平均気孔径は、0.12μm〜0.33μmの範囲である)。
【0124】
なお、実施例1〜3および比較例1、2においては、直径30mmφ、長さ50mmのハニカムユニットを用いて、NOx浄化率の評価を行った。しかしながら、実施例1〜3および比較例1、2と同様の方法により作成した、より大きな寸法のハニカム構造体(ハニカム構造体100、200)においても、同様のNOx浄化率の測定結果が得られると考えられる。
【符号の説明】
【0125】
100 ハニカム構造体
110A 第1の端面
110B 第2の端面
122 セル
124 セル壁
130 ハニカムユニット
200 別のハニカム構造体
210A 端面
210B 端面
214A ハニカムユニットの端面
214B ハニカムユニットの端面
217A ハニカムユニットの側面
218A ハニカムユニットの側面
219A ハニカムユニットの湾曲側面
220 側面
222 セル
224 セル壁
230A〜230D ハニカムユニット
250 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトおよび無機バインダを含み、長手方向に沿って、第1の端面から第2の端面に延伸する複数のセルがセル壁により区画されたハニカムユニットを有するハニカム構造体であって、
前記ハニカムユニットは、D50が3.7μm以上のゼオライト粒子および無機バインダを含む原料ペーストを成形して、焼成することにより作製され、
前記セル壁の平均気孔径は、0.12μm以上0.5μm以下であり、前記セル壁の平均粒子径は、3.7μm以上7.0μm以下であることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記ゼオライト粒子のD50は、7.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記ゼオライトは、前記ハニカムユニット中に、重量比で70重量%以上含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記ゼオライトは、鉄でイオン交換されたゼオライトであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
当該ハニカム構造体は、複数のハニカムユニットから構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のハニカム構造体。
【請求項6】
ゼオライトおよび無機バインダを含み、長手方向に沿って、第1の端面から第2の端面に延伸する複数のセルがセル壁により区画されたハニカムユニットを有するハニカム構造体の製造方法であって、
当該方法は、
(a)ゼオライト粒子および無機バインダを含む原料ペーストを準備する工程と、
(b)前記原料ペーストを成形して、ハニカム成形体を形成する工程と、
(c)前記ハニカム成形体を焼成して、ハニカムユニットを得る工程と、
を含み、
前記ゼオライト粒子のD50が3.7μm以上であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項7】
前記ゼオライト粒子のD50は、7.0μm以下であることを特徴とする請求項6に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
前記ハニカムユニットの平均気孔径は、0.12μm以上0.5μm以下であることを特徴とする請求項6または7に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項9】
前記ハニカムユニットの平均粒子径は、3.7μm以上7.0μm以下であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一つに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項10】
前記ゼオライト粒子は、鉄でイオン交換されたゼオライト粒子であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一つに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項11】
さらに、
(d)ハニカムユニットに含まれるゼオライトを鉄でイオン交換する工程を含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一つに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項12】
前記原料ペーストは、さらに、無機繊維および/または有機バインダを含むことを特徴とする請求項6乃至11のいずれか一つに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項13】
さらに、(e)複数のハニカムユニットを、接着層を介して接合する工程を含むことを特徴とする請求項6乃至12のいずれか一つに記載のハニカム構造体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−213753(P2012−213753A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258108(P2011−258108)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】