説明

ハニカム構造体及び電気加熱式触媒装置

【課題】搭載性に優れ、ハニカム体の破損を防止することができるハニカム構造体及びそれを用いた電気加熱式触媒装置を提供すること。
【解決手段】セル形成部21とその周囲を覆う円筒形状の外皮部22と有するハニカム体2と、その外皮部22の外周面221において径方向に対向配置された一対の電極31、32とを備えたハニカム構造体1である。ハニカム体2の軸方向に平行で外皮部22上にある任意の基準線19を想定すると、電極31、32における略軸方向に伸びる側端輪郭線315、325は、その全長のうち少なくとも一部が基準線19に対して平行ではなく、基準線19と交差する方向に配されている。ハニカム体2の周方向における一対の電極31、32間の間隔は一定である。また、ハニカム構造体1と、そのハニカム体2に担持された触媒と、通電手段10とを備えた電気加熱式触媒装置100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の排ガスを浄化するための電気加熱式触媒装置(EHC)等に用いられるハニカム構造体及びそれを用いた電気加熱式触媒装置(EHC)に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の排気管内には、排ガスを浄化するための触媒装置が設けられる。この触媒装置としては、例えばPt、Pd、Rh等の触媒が担持されたハニカム体等が用いられる。
ところで、触媒の活性化には、例えば400℃程度の加熱が必要になる。そのため、ハニカム体等の表面に一対の電極を形成し、その一対の電極間に通電を行ってハニカム体等を加熱する電気加熱式触媒装置(EHC)が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、円柱形状(軸方向に直交する断面が円形状)のハニカム体81の表面に一対の電極82、83を設けた発熱体8が開示されている(図9及び図10参照)。
また、特許文献2には、軸方向に直交する断面が四角形状やレーストラック形状のハニカム体91を用い、電極92、93間の距離を一定としたハニカムモノリスヒータ9が開示されている(図11参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−67588号公報
【特許文献2】特開平4−280086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図9及び図10に示すごとく、円柱形状のハニカム体81の場合、電極82、83間の距離が一定でなく、場所によって異なる。そして、一対の電極82、83は、ハニカム体81のセル815の軸方向X(図10においては紙面と垂直方向)に並行して配置され、電極82、83の側端825、835も軸方向Xと並行して配置される。
一般に、電流は最も電気抵抗の低い経路を流れる。上記のごとく円柱形状のハニカム体81の表面に一対の電極82、83を設けた電気加熱式触媒装置8においては、一対の電極間82、83の距離は、ハニカム体81の軸方向Xと垂直な方向(径方向Y)における電極82の側端825と電極83の側端835との間で最短(最短距離S)となり、この側端間が電気抵抗の最も低い経路となる。そして、上記のごとく、電極の側端825、835がハニカム体のセル815の軸方向Xと並行して配置される場合には、電極82、83の側端825、835に電力集中による熱応力が発生したときに、該熱応力が軸方向に伸びる1つのセル815に発生し、該セル815に熱応力が集中的に発生してしまう。その結果、ハニカム体81が破損してしまうおそれがあった。
【0006】
また、図11に示すごとく、ハニカム体91の軸方向に直交する断面が四角形状等の場合には、電極92、93間の距離を一定とすることができるため、上述の熱応力の集中を回避することができる。しかし、断面が四角形状等のハニカム体91を備えたハニカムモノリスヒータ9は、例えば車両の排気管内に設けられた収容部への収容(ケーシング)が容易ではなく、搭載性に問題がある。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、搭載性に優れ、ハニカム体の破損を防止することができるハニカム構造体及びそれを用いた電気加熱式触媒装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、セル形成部と該セル形成部の周囲を覆う円筒形状の外皮部と有するハニカム体と、該ハニカム体の上記外皮部の外周面において径方向に対向配置された一対の電極とを備えたハニカム構造体であって、
上記ハニカム体の軸方向に平行で上記外皮部上にある任意の基準線を想定すると、上記電極における上記ハニカム体の略軸方向に伸びる側端輪郭線は、その全長のうち少なくとも一部が上記基準線に対して平行ではなく、該基準線と交差する方向に配されており、
かつ、上記ハニカム体の周方向における一対の上記電極間の間隔は、一定であることを特徴とするハニカム構造体にある(請求項1)。
【0009】
第2の発明は、ハニカム構造体と、該ハニカム構造体の上記ハニカム体に担持された触媒と、上記ハニカム構造体の上記一対の電極間に通電を行う通電手段とを備えた電気加熱式触媒装置にある(請求項9)。
【発明の効果】
【0010】
上記ハニカム構造体において、上記ハニカム体は、セル形成部を円筒形状の外皮部で覆うようにして構成されており、軸方向に直交する断面が円形状である。したがって、ハニカム体の外皮部の外周面に沿って設けられた一対の電極は、該一対の電極の対向方向における電極間の距離が場所によって異なる。具体的には、各電極の周方向の中央部から外側へ行くほど電極間の距離が短くなる。そのため、各電極の周方向の中央部から外側へ行くほど電極間に電流が流れ易い構成となっている。したがって、一対の電極間においては、上記ハニカム体の略軸方向に伸びる上記電極の側端輪郭線間の間隔が短くなり、側端輪郭線に電力が集中し易くなる。
【0011】
上記ハニカム構造体においては、上記ハニカム体の軸方向に平行で上記外皮部上にある任意の基準線を想定すると、上記電極における上記ハニカム体の略軸方向に伸びる側端輪郭線は、その全長のうち少なくとも一部が上記基準線に対して平行ではなく、該基準線と交差する方向に配されている。即ち、上記側端輪郭線を上記ハニカム体の軸方向に並行しないように形成してある。
そのため、たとえ上記側端輪郭線に電力が集中しても上記側端輪郭線は上記ハニカム体の軸方向に並行しないため、熱応力が上記ハニカム体の特定の軸方向に沿って集中することを防止することができる。即ち、熱応力を複数のセルにわたって分散させ、緩和することができる。それ故、ハニカム体の破損を防止することができる。
【0012】
また、上記ハニカム構造体においては、上記ハニカム体の周方向における一対の上記電極間の間隔が一定である。即ち、上記側端輪郭線同士の周方向に沿った間隔が一定であり、一対の上記電極は、上記ハニカム体の上記外周面の周方向に偏り無く、対向して配置されている。そのため、上記ハニカム体において一対の上記電極に挟まれる領域が大きくなり、上記電極に通電することにより、上記ハニカム体を均一に加熱させることが可能になる。また、この場合には、一対の電極における上記側端輪郭線同士の間隔を等しくすることができる。そのため、一方の側端輪郭線同士の距離が他方に比べて短くなることがなく、上記電極間に通電したときに一方の側端輪郭線間に電力が集中し、熱応力によりハニカム体が破損してしまうことを防止することができる。
【0013】
また、上記ハニカム構造体において、上記ハニカム体は円筒形状の上記外皮部を有し、全体としては略円柱形状である。
そのため、ハニカム構造体の取扱いが非常に容易になる。例えば、ハニカム構造体を車両の排気管内へ収容する作業が容易になる。また、ハニカム構造体を外周から均一な力で保持した状態で収容することができ、振動や応力等に起因するハニカム構造体の割れ等の発生を抑制することができる。これにより、ハニカム構造体の搭載性を十分に確保することができる。
【0014】
次に、上記第2の発明の電気加熱式触媒装置は、上記第1の発明のハニカム構造体を備えている。そのため、上記通電手段によって上記ハニカム構造体の上記一対の電極間に通電を行うことにより、上記ハニカム体を均一に昇温させることができる。これにより、該ハニカム体に担持された触媒を全体的に効率よく活性化させることができ、排ガス浄化性能を早期に発揮することができる。
【0015】
このように、上記第1及び第2の発明によれば、搭載性に優れ、ハニカム体の破損を防止することができるハニカム構造体及びそれを用いた電気加熱式触媒装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1における、ハニカム構造体の全体構造を示す説明図。
【図2】実施例1における、ハニカム構造体の軸方向に直交する断面を示す説明図。
【図3】実施例1における、ハニカム構造体の外形の展開図を示す説明図。
【図4】実施例1における、電極の傾斜角度を大きくしたハニカム構造体の外形の展開図を示す説明図。
【図5】実施例2における、略V字状の電極が形成されたハニカム構造体の外形の展開図を示す説明図。
【図6】実施例3における、略W字状の電極が形成されたハニカム構造体の外形の展開図を示す説明図。
【図7】実施例4における、櫛歯状電極が形成されたハニカム構造体の外形の展開図を示す説明図。
【図8】実施例4における、波形状電極が形成されたハニカム構造体の外形の展開図を示す説明図。
【図9】従来の円柱形状のハニカム構造体の全体構造を示す説明図。
【図10】従来の円柱形状のハニカム構造体の軸方向に直交する断面を示す説明図。
【図11】従来の四角形状のハニカム構造体の軸方向に直交する断面を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。
上記ハニカム構造体は、セル形成部と該セル形成部の周囲を覆う円筒形状の外皮部と有するハニカム体と、該ハニカム体の上記外皮部の外周面において径方向に対向配置された一対の電極とを備える。
上記ハニカム体の上記セル形成部は、例えば、格子状に配された多孔質の隔壁と、該隔壁に囲まれて軸方向に伸びる複数のセルとにより構成することができる。
【0018】
上記ハニカム体は、SiCを主成分とする多孔質セラミックスからなることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記ハニカム体に導電性を与えることが容易になると共に、上記ハニカム構造体の表面積を大きくすることができる。そのためこの場合には、上記ハニカム構造体は、電気加熱式触媒装置(EHC)により好適になる。
【0019】
上記ハニカム体の導電性は、例えば材料の組成によって調整することができる。具体的には、上記ハニカム体の材料としてSiCを用いた場合には、そのSiCに不純物としてのN、B、Al等を固溶させ、その不純物量を制御することによって電気抵抗率を調整して導電性を制御することができる。また、上記ハニカム体の材料としてSi−SiCを用いた場合には、SiCに金属シリコン(Si)を含浸させ、そのSi量を調整することによって導電性を制御することができる。
【0020】
また、上記ハニカム構造体をEHCとして用いる場合には、上記ハニカム体の上記セル形成部の隔壁等に、上記触媒としてのPt、Pd、Rh等からなる三元触媒等を担持させることができる。
【0021】
次に、上記ハニカム構造体においては、上記ハニカム体の軸方向に平行で上記外皮部上にある任意の基準線を想定すると、上記電極における上記ハニカム体の略軸方向に伸びる側端輪郭線は、その全長のうち少なくとも一部が上記基準線に対して平行ではなく、該基準線と交差する方向に配されている。
上記側端輪郭線が上記基準線に平行な場合には、上記電極の上記側端輪郭線が上記ハニカム体のセルの軸方向と平行になる。そのため、一対の上記電極間に通電し、上記側端輪郭線に電力が集中した際に、熱応力が上記ハニカム体の特定の軸方向に沿って集中してしまう。その結果、上記ハニカム構造体の軸方向に伸びる特定のセルに熱応力が集中し、ハニカム体が破損してしまうおそれがある。
【0022】
また、上記ハニカム構造体においては、上記ハニカム体の周方向における一対の上記電極間の間隔が一定である。
上記周方向における一対の上記電極間の間隔が一定でなく、一方の電極が周方向に他方の電極に偏って形成されている場合には、上記電極間に通電したときに、間隔の小さい側の電極の上記側端輪郭線間の距離が小さくなり、該側端輪郭線に電力が集中してしまう。その結果、熱応力が集中し、ハニカム体が破損してしまうおそれがある。また、上記周方向における一対の上記電極間の間隔が一定でない場合には、一対の電極に通電した際に、間隔が小さい側において上記ハニカム体の周方向に電流が流れ易くなるおそれがある。その結果、この場合には、通電しても上記ハニカム体の内部を十分に発熱させることができなくなるおそれがある。
【0023】
次に、上記外皮部の上記外周面において一対の上記電極がそれぞれ同一の上記基準線と交わる場合には、上記ハニカム体の上記外周面における一対の上記電極間の上記軸方向における間隔は、上記ハニカム体の上記外周面における一対の上記電極間の上記周方向における間隔よりも大きいことが好ましい(請求項2)。
上記外周面において、上記軸方向における上記電極間の間隔が上記周方向における間隔よりも小さい場合には、一対の電極間に通電を行った際に、上記外皮部の上記外周面において上記軸方向に電流が流れ易くなるおそれがある。その結果、通電を行っても上記ハニカム体の内部を十分に加熱させることが困難になるおそれがある。
【0024】
図3及び図4に示すようなパターンで一対の電極31、32が形成されている場合には、一対の電極31、32がそれぞれ同一の基準線19と交わっており、この場合には、上記のごとく、軸方向Xにおける一対の電極31、32間の間隔F1を周方向における一対の電極31、32間の間隔A1、B1よりも大きくすることが好ましい。ただし、図5〜図8に示すようなパターンで一対の電極が形成されている場合には、一対の電極はそれぞれ同一の基準線とは交わらない。そのため、この場合には、上記軸方向における一対の上記電極間の間隔を上記周方向における一対の上記電極間の間隔よりも大きくする必要はない。
【0025】
上記ハニカム体の上記径方向における一対の上記電極間の最短距離は、上記ハニカム体の上記外周面における一対の上記電極間の最短距離よりも小さいことが好ましい(請求項3)。
上記ハニカム体の径方向における一対の上記電極間の最短距離が上記外周面における一対の上記電極間の最短距離よりも大きい場合には、一対の電極間に通電を行った際に、上記外皮部の上記外周面において電流が流れ易くなるおそれがある。その結果、通電を行っても上記ハニカム体の内部を十分に加熱させることが困難になるおそれがある。なお、上記ハニカム体の上記径方向における一対の上記電極間の最短距離は、一対の上記電極間において周方向に近接する上記側端輪郭線同士の上記径方向における距離となる。
【0026】
上記外周面における一対の上記電極間の上記軸方向における間隔、上記外周面における一対の上記電極間の上記周方向における間隔、上記ハニカム体の径方向における一対の上記電極間の最短距離、及び上記ハニカム体の上記外周面における一対の上記電極間の最短距離は、例えば上記電極における上記周方向の幅、上記電極における上記軸方向の長さ、上記ハニカム体の径、上記ハニカム体の軸方向の長さ、上記側端輪郭線の傾き等を調整することにより制御することができる。
【0027】
また、上記側端輪郭線は、その少なくとも一部が上記基準線に対して45°以下傾斜していることが好ましい(請求項4)。
傾斜角度が45°を超える場合には、上記ハニカム体の上記外周面における一対の電極間の距離が小さくなり、上記電極に通電したときに、上記外周面において電流が流れ易くなるおそれがある。そのため、通電を行っても上記ハニカム体の内部を十分に発熱させることが困難になるおそれがある。
【0028】
また、上記側端輪郭線は、その全長が上記基準線に対して所定の傾きで傾斜していることが好ましい(請求項5)。
この場合には、一対の上記電極間において上記側端輪郭線は略平行に形成される。そして、この場合には、上記側端輪郭線の全長が上記基準線に対して平行ではなく、上記基準線と交差する方向に配された上記電極を簡単に形成することができる。
また、一対の上記電極は、それぞれ上記外皮部の上記外周面に略螺旋状に配することができる。ここでいう螺旋状は、各電極が螺旋状に上記外周面を一周していない場合を含み、例えば半周や2/3周等のように一周未満の場合を含む。
【0029】
また、上記電極は、全長にわたって上記ハニカム体の上記周方向に均一の幅で形成されていることが好ましい。この場合には、上記電極の形成が容易になると共に、一対の上記電極を対向して配置することにより、上記ハニカム体の周方向における一対の上記電極間の間隔を容易に一定にすることができる。
【0030】
上記側端輪郭線と上記基準線とのなす鋭角の角度をθとし、上記電極の上記周方向における幅をDとし、上記側端輪郭線の長さをEとし、上記ハニカム体の上記周方向における外周の長さをRとすると、D+E×sinθ≧R/2という関係を満足することが好ましい(請求項6)。
この場合には、例えば三元触媒等の触媒を担持させた上記ハニカム体において一対の上記電極に通電したときに、上記ハニカム体を排ガスが通過する際の排ガス流線上である上記セル形成部の軸方向のいずれかの位置で、通電発熱により触媒が活性化する部位を短時間で構成することが可能となり、排ガスの浄化性能を向上させることができる。
D+E×sinθ<R/2の場合には、一対の上記電極に通電して上記ハニカム体を加熱させたときに、該ハニカム体の上記セル形成部の軸方向のいずれかの位置で通電発熱による触媒活性ができない部位が生じてしまい、排ガスが不活性な触媒部分を通過してしまうおそれがある。
【0031】
上記側端輪郭線は、上記ハニカム体の周方向に突出する突出部を少なくとも一つ以上有していることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記側端輪郭線の全長のうち少なくとも一部が上記基準線に対して平行ではなく、上記基準線と交差する方向に配された上記電極を比較的簡単に形成することができる。
【0032】
上記突出部を有する電極のパターンとしては、例えば図7に示すごとく、上記電極の上記側端輪郭線を櫛歯状にした形態がある。また、例えば図8に示すごとく、上記電極の上記側端輪郭線を波形状にした形態がある。
また、例えば図5及び図6に示すごとく、一対の上記電極の全体を部分的に周方向に突出させ、上記電極をV字状、U字状、及びW字状等にした形態がある。また、図示は省略するがV字状及びU字状の電極パターンを上記軸方向に直列に並べた形態を採用することもできる。また、上記突出部は、その頂点が鋭角又は鈍角を有する角部であってもよいが、曲率半径を有する曲線であってもよい。
【0033】
また、上記電極を構成する材料としては、例えば、SiCやSiCにSi(金属シリコン)を含浸させたSi−SiC等のセラミックス、Cr、Fe、Ni、Mo、Mn、Si、Ti、Nb、Al又はこれらの合金等の金属を用いることができる。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
次に、本発明の実施例にかかるハニカム構造体及びそれを用いた電気加熱式触媒装置(EHC)について、図を用いて説明する。
図1〜図3に示すごとく、本例のハニカム構造体1は、セル形成部21とその周囲を覆う円筒形状の外皮部22と有するハニカム体2と、ハニカム体2の外皮部22の外周面221において径方向Yに対向配置された一対の電極31、32とを備えている。
【0035】
図1及び図3に示すごとく、ハニカム構造体1において、ハニカム体2の軸方向Xに平行で外皮部22上にある任意の基準線19を想定すると、電極31、32におけるハニカム体2の略軸方向Xに伸びる側端輪郭線315、325は、その全長のうち少なくとも一部が基準線19に対して平行ではなく、基準線19と交差する方向に配されている。
【0036】
また、図3に示すごとく、ハニカム構造体1において、ハニカム体2の周方向における一対の電極31、32間の間隔A1、B1は、一定である。なお、図3においては、間隔B1aと間隔B1bの和が間隔B1となる。
以下、本例のハニカム構造体を詳細に説明する。
【0037】
図1及び図2に示すごとく、ハニカム構造体1において、ハニカム体2は、セル形成部21と、セル形成部21の周囲を覆う円筒形状の外皮部22と有し、全体として円柱形状を呈している。また、ハニカム体2は、SiCを主成分とする多孔質セラミックスからなる。
セル形成部21は、四角形格子状に配された多孔質の隔壁211と、その隔壁211に囲まれて軸方向に伸びる多数のセル212とにより構成されている。
【0038】
図1〜図3に示すごとく、ハニカム体2の外皮部22の外周面221には、Si−SiCの複合材を主成分とする導電性セラミックスからなる一対の電極31、32が形成されている。電極31、32は、ハニカム体2の径方向Yに対向配置されている。また、電極31、32は、外周面221上において、一定の幅D1(ハニカム体2の周方向における幅D1)で、ハニカム体2の軸方向Xにおける一方の端部から他方の端部まで形成されている。
【0039】
図1及び図3に示すごとく、ハニカム体2の軸方向に平行で外皮部22上にある任意の基準線19を想定すると、電極31、32においてハニカム体2の略軸方向Xに伸びる側端輪郭線315、325は、その全長が基準線19に対して平行ではなく、基準線19と交差する方向に配されている。本例においては、上記のごとく、電極31、32は、ハニカム体2の軸方向Xにおける一方の端部から他方の端部まで形成されているため、ハニカム体の軸方向の長さをC1とし、側端輪郭線315、325の長さをE1とすると、E1>C1となる。側端輪郭線315、325は、その全長が基準線19に対して所定の傾き(約23°)で傾斜しており、一対の電極31、32は、ハニカム体2の外皮部22の外周面221に略螺旋状に配されている。
【0040】
図3に示すごとく、本例のハニカム構造体1は、側端輪郭線315、325と基準線19とのなす角度(鋭角)をθ1とし、電極31、32の周方向における幅をD1とし、側端輪郭線315、325の長さをE1とし、ハニカム体2の周方向における外周の長さをR1とすると、D1+E1×sinθ1≧R1/2という関係を満足する。
【0041】
また、図3に示すごとく、本例のハニカム構造体2においては、外皮部22の外周面221において一対の電極31、32がそれぞれ同一の基準線19と交わる部位を有している。より具体的には、本例のハニカム構造体1においては、一対の電極31、32がそれぞれハニカム体2の軸方向の両端において同一の基準線19と交わる。そして、ハニカム体2の外周面221における一対の電極31、32間の軸方向Xにおける間隔F1は、外周面221における一対の電極31、32間の周方向における間隔A1、B1よりも大きくなるように構成されている。
また、ハニカム体2の径方向Yにおける一対の電極31、32間の最短距離J1、即ち、周方向に近接する電極31の側端輪郭線315と電極32の側端輪郭線325との径方向Yにおける間隔J1は、ハニカム体2の外周面221における一対の電極31、32間の最短距離K1よりも小さくなるように構成されている。
【0042】
図1に示すごとく、ハニカム構造体1において、各電極31、32の電極端子310、320には、外部電源101を備えた通電手段10が接続されている。また、ハニカム体2におけるセル形成部21の隔壁211の表面には、触媒が担持されている。本例では、触媒として貴金属であるPt、Pd、Rh等の三元触媒を用いた。
そして、ハニカム構造体1は、通電手段10によって一対の電極31、32間に通電を行うことにより、ハニカム体2を加熱することができる。これにより、ハニカム構造体1は、電気加熱式触媒装置(EHC)100として用いられる。
【0043】
次に、本例のハニカム構造体1の製造方法について簡単に説明する(図1〜図3参照)。
まず、SiCを主成分とする多孔質セラミックスからなるハニカム体2を成形する。また、各電極31、41となるシート状の電極材をそれぞれ所望の形状に成形する。電極材は、Si−SiCの複合材を主成分とする焼成体よりなる。
【0044】
次いで、ハニカム体2の外皮部22の外周面221に、Si−SiCの複合材、カーボン、バインダ等を含有するペースト状の接着剤を介して、電極材を配置する。そして、外皮部22の外周面221に電極材を配置したハニカム体2を所定の温度(約1600℃)、所定の雰囲気条件(Ar雰囲気、常圧)で加熱・焼成する。
これにより、ハニカム体2の外皮部22の外周面221に一対の電極31、32を設けたハニカム構造体1が得られる。
【0045】
次に、本例のハニカム構造体1及びそれを用いた電気加熱式触媒装置(EHC)8における作用効果について説明する。
図1に示すごとく、ハニカム構造体1において、ハニカム体2は、セル形成部21を円筒形状の外皮部22で覆うようにして構成されており、軸方向に直交する断面が円形状である。したがって、ハニカム体2の外皮部22の外周面221に沿って設けられた一対の電極31、32は、これらの電極31、32の対向方向Yにおける電極間の距離が場所によって異なる(図2参照)。具体的には、各電極31、32の周方向の中央部から外側(側端輪郭線側)へ行くほど電極間の距離が短くなる。そのため、各電極31、32の周方向の中央部から外側へ行くほど電極間に電流が流れ易い構成となっている。したがって、一対の電極31、32間においては、ハニカム体2の略軸方向に伸びる電極の側端輪郭線315、325間の間隔が短くなり、側端輪郭線315、325に電力が集中し易くなる。
【0046】
図1及び図3に示すごとく本例のハニカム構造体1においては、ハニカム体2の軸方向Xに平行で外皮部22上にある任意の基準線19を想定すると、電極31、32におけるハニカム体2の略軸方向Xに伸びる側端輪郭線315、325は、その全長が基準線19に対して平行ではなく、基準線19と交差する方向に配されている。即ち、側端輪郭線315、325をハニカム体2の軸方向19に並行しないように形成してある。
そのため、たとえ側端輪郭線315、325に電力が集中しても側端輪郭線315、325はハニカム体2の軸方向Xに並行しないため、熱応力がハニカム体2の特定の軸方向Xに沿って集中することを防止することができる。即ち、熱応力が軸方向Xに伸びる一つのセル212に集中せず、熱応力を複数のセル212にわたって分散させ、緩和することができる。それ故、ハニカム体2の破損を防止することができる。
【0047】
また、ハニカム構造体1においては、ハニカム体2の周方向における一対の電極31、32間の間隔A1、B1が一定である。即ち、側端輪郭線315、325同士の周方向に沿った間隔A1、B1が等しく、電極31、32の伸長方向において一定であり、一方の電極31(32)がハニカム体2の外周面221の周方向において他方の電極32(31)側に偏ること無く、対向して配置されている。そのため、ハニカム体2において一対の電極31、32に挟まれる領域が大きくなり、電極31、32に通電することにより、ハニカム体2を均一に加熱させることが可能になる。また、この場合には、一対の電極31、32における側端輪郭線同士315、325の間隔A1、B1を等しくすることができる(図3において、間隔A1=間隔B1=間隔B1a+間隔B2b)。そのため、一方の側端輪郭線315、325同士の距離が他方に比べて短くなることがなく、電極31、32間に通電したときに一方の側端輪郭線315、325間に電力が集中し、熱応力によりハニカム体2が破損してしまうことを防止することができる。
【0048】
また、ハニカム構造体1において、ハニカム体2は円筒形状の外皮部22を有し、全体としては略円柱形状である。
そのため、ハニカム構造体1の取扱いが非常に容易になる。例えば、ハニカム構造体1を車両の排気管内へ収容する作業が容易になる。また、ハニカム構造体1を外周から均一な力で保持した状態で収容することができ、振動や応力等に起因するハニカム構造体1の割れ等の発生を抑制することができる。これにより、ハニカム構造体1の搭載性を十分に確保することができる。
【0049】
また、ハニカム体2は、SiCを主成分とする多孔質セラミックスからなる。そのため、ハニカム体2に導電性を与えることが容易になると共に、ハニカム構造体1の表面積を大きくすることができる。そのため、ハニカム構造体1を電気加熱式触媒装置(EHC)として用いることが容易になる。
【0050】
また、電極31、32の側端輪郭線315、325は、その全長が基準線19に対して所定の傾きで傾斜している。一対の電極31、32間において側端輪郭線315、325は略平行に形成される。そして、この場合には、側端輪郭線314,325の全長が基準線19に対して平行ではなく、基準線19と交差する方向に配された電極31、32を簡単に形成することができる。
【0051】
また図3に示すごとく、ハニカム構造体1においては、外皮部22の外周面221において一対の電極31、32がそれぞれ同一の基準線19と交わる。そして、ハニカム体2の外周面221における一対の電極31、32間の軸方向Xにおける間隔F1は、ハニカム体2の外周面における一対の電極31、32間の周方向における間隔A1、B1よりも大きくなっている。
外周面221において、軸方向Xにおける電極31、32間の間隔F1が上記周方向における間隔A1、B1よりも小さい場合には、一対の電極31、32間に通電を行った際に、外皮部22の外周面221において軸方向Xに電流が流れ易くなるおそれがある。その結果、通電を行ってもハニカム体2の内部を十分に加熱させることが困難になるおそれがある。
【0052】
また、図4に、上述の図3に示す電極パターンよりも、基準線19に対する側端輪郭線314、325の傾斜角を大きくした電極パターンを示す。
図4に示すごとく、傾斜角(θ2)を大きくすると、ハニカム体2の外周面221において、軸方向Xにおける電極31、32間の間隔Fが短くなる。同図においては、軸方向Xにおける一対の電極31、32間の間隔F1は、ハニカム体2の外周面における一対の電極31、32間の周方向における間隔A1、B1よりも大きくなっているが、さらに上記傾斜角を大きくすると、間隔F1が間隔A1及び間隔B1よりも小さくなる(図示略)。この場合には、上述のごとく、外皮部22の外周面221において軸方向Xに電流が流れ易くなるおそれがある。
【0053】
また、図3に示すごとく、ハニカム体2の径方向Yにおける一対の電極31、32間の最短距離J1は、ハニカム体2の外周面221における一対の電極31、32間の最短距離K1よりも小さくなるように構成されている。そのため、一対の電極31、32間に通電を行った際に、外皮部22の外周面221において電流が流れてしまうことを抑制することができる。それ故、通電により、ハニカム体2を内部まで十分に加熱させることができる。
【0054】
また、本例のハニカム構造体1においては、図3に示すごとく、側端輪郭線315、325と基準線19とのなす角度(鋭角)をθ1とし、電極31、32の周方向における幅をD1とし、側端輪郭線315、325の長さをE1とし、ハニカム体2の周方向における外周の長さをR1とすると、D1+E1×sinθ1≧R1/2という関係を満足する。そのため、図1及び図2に示すごとく、例えば三元触媒等の触媒を担持させたハニカム体2において一対の電極31、32に通電したときに、ハニカム体2を排ガスが通過する際における排ガス流線上であるセル形成部21の軸方向のいずれかの位置で、通電発熱により触媒が活性化する部位を短時間で構成することが可能となり、排ガスの浄化性能を向上させることができる。
【0055】
また、図1に示すごとく、本例の電気加熱式触媒装置100は、上述した構成のハニカム構造体1を備えている。そのため、通電手段10によってハニカム構造体1の一対の電極31、32間に通電を行うことにより、ハニカム体2を均一に昇温させることができる。これにより、ハニカム体2に担持された触媒を全体的に効率よく活性化させることができ、排ガス浄化性能を早期に発揮することができる。
【0056】
このように、本例によれば、搭載性に優れ、ハニカム体2の破損を防止することができるハニカム構造体1及びそれを用いた電気加熱式触媒装置100を提供することができる。
【0057】
(実施例2)
本例は、側端輪郭線がハニカム体の周方向に突出する突出部を少なくとも一つ以上有する電極を形成したハニカム構造体の例である。本例のハニカム構造体の電極パターンについては、ハニカム構造体の外形を展開した展開図を用いて説明する(図5参照)。なお、図示を省略するが、本例及び後述の実施例3及び4において、ハニカム体の構成は、実施例1と同様であり、セル形成部とその周囲を覆う円筒形状の外皮部と有する。
【0058】
図5に示すごとく、本例のハニカム構造体4においては、実施例1と同様にハニカム体40の外皮部42の外周面421には、Si−SiCの複合材を主成分とする導電性セラミックスからなる一対の電極45、46が形成されている。電極45、46は、ハニカム体40の径方向に対向配置されている。また、電極45、46は、外周面421上において、一定の幅D2(ハニカム体2の周方向における幅D2)で、ハニカム体2の軸方向Xにおける一方の端部401から他方の端部402まで形成されている。
【0059】
本例においては、各電極45、46の側端輪郭線455、465は、ハニカム体2の周方向において同じ向きに突出する突出部451、461をそれぞれ一つずつ有している。具体的には、一定の幅D2で、ハニカム体2の軸方向Xにおける一方の端部401から他方の端部402まで所定の傾きで伸びる一対の電極45、46が、それぞれ略V字状に折れ曲がり、ハニカム体2の軸方向Xにおける中央部に凸部451、461を形成している。
【0060】
本例のハニカム構造体4においても、ハニカム体40の軸方向Xに平行で外皮部42上にある任意の基準線49を想定すると、電極45,46におけるハニカム体40の略軸方向Xに伸びる側端輪郭線455、465は、その全長のうち少なくとも一部が基準線49に対して平行ではなく、基準線49と交差する方向に配されている。本例においては、実施例1と同様に、電極45、46は、ハニカム体2の軸方向Xにおける一方の端部401から他方の端部402まで形成されているため、各側端輪郭線455、456の全長はハニカム体40の軸方向Xにおける長さよりも大きくなる。
【0061】
また、ハニカム構造体4において、ハニカム体40の周方向における一対の電極45、46間の間隔A2、B2(但し間隔B2は、間隔B2aと間隔B2bとの和である)は、一定である。即ち、側端輪郭線455、465同士の周方向に沿った間隔A2、B2が等しく、かつ軸方向Xにおいて一定であり、一方の電極45(46)がハニカム体40の外周面421の周方向において他方の電極46(45)側に偏ること無く、電極45、及び電極46は対向して配置されている。
【0062】
また、本例のハニカム構造体4においては、実施例1と同様に、ハニカム体40の径方向における一対の電極31、32間の最短距離J2、即ち、周方向に近接する電極45の側端輪郭線455と電極46の側端輪郭線465との径方向における間隔J2は、ハニカム体40の外周面421における一対の電極45、46間の最短距離K2よりも小さくなるように構成されている。
また、本例のハニカム構造体1においては、外皮部22の外周面221において一対の電極45、46は、同一の基準線49と交わらない構成になっている。
【0063】
このように、本例のハニカム構造体4は、電極45、46の形成パターンを上述のごとく変更した点を除いては、実施例1とほぼ同様の構成を有する。そして、本例のハニカム構造体は、実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
【0064】
(実施例3)
本例は、側端輪郭線がハニカム体の周方向における同じ向き突出する突出部を複数有する電極を形成したハニカム構造体の例である。本例のハニカム構造体の電極パターンについても、実施例2と同様に、ハニカム構造体の外形を展開した展開図を用いて説明する(図6参照)。
【0065】
本例のハニカム構造体5においては、実施例1と同様に、ハニカム体50の外皮部52の外周面521には、Si−SiCの複合材を主成分とする導電性セラミックスからなる一対の電極55、56が形成されている。電極55、56は、ハニカム体50の径方向に対向配置されている。また、電極55、56は、外周面521上において、一定の幅D3(ハニカム体2の周方向における幅D1)で、ハニカム体50の軸方向Xにおける一方の端部501から他方の端部502まで形成されている。
【0066】
本例においては、電極55、56の側端輪郭線555,565は、ハニカム体50の周方向に突出する突出部551、561を複数有している。具体的には、一定の幅D3で、ハニカム体50の軸方向Xにおける一方の端部501から他方の端部502まで所定の傾きで伸びる電極55、56が、途中で複数回折れ曲がり、複数の凸部555、565を形成している。本例においては、各電極55、56の全体形状が略W字状を呈している。
【0067】
本例のハニカム構造体5においても、ハニカム体50の軸方向Xに平行で外皮部52上にある任意の基準線59を想定すると、電極55、56におけるハニカム体50の略軸方向Xに伸びる側端輪郭線555、565は、その全長のうち少なくとも一部が基準線59に対して平行ではなく、基準線59と交差する方向に配される。本例においては、実施例1と同様に、電極55、56は、ハニカム体2の軸方向Xにおける一方の端部から他方の端部まで形成されているため、各側端輪郭線555、565の全長はハニカム体50の軸方向Xにおける長さよりも大きくなる。
【0068】
また、ハニカム構造体5において、ハニカム体50の周方向における一対の電極55、56間の間隔A3、B3(但し間隔B3は、間隔B3aと間隔B3bとの和である)は、一定である。即ち、側端輪郭線555、565同士の周方向に沿った間隔A3、B3が等しく、軸方向Xにおいて一定であり、一方の電極55(56)がハニカム体50の外周面521の周方向において他方の電極56(52)側に偏ること無く、電極55及び電極56は対向して配置されている。
【0069】
また、本例のハニカム構造体5においては、実施例1と同様に、ハニカム体50の径方向における一対の電極55、56間の最短距離J3、即ち、周方向に近接する電極55の側端輪郭線555と電極56の側端輪郭線565との径方向における間隔J3は、ハニカム体50の外周面521における一対の電極55、56間の最短距離K3よりも小さくなるように構成されている。
また、本例のハニカム構造体1においては、外皮部22の外周面221において一対の電極55、56は、同一の基準線59と交わらない構成になっている。
【0070】
このように、本例のハニカム構造体5は、電極の形成パターンを上述のごとく変更した点を除いては、実施例1とほぼ同様の構成を有する。そして、本例のハニカム構造体は、実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
【0071】
(実施例4)
上述の実施例2及び3においては、ハニカム体の軸方向に伸びる電極全体を軸方向の途中で折り曲げることにより、電極の側端輪郭線の少なくとも一部が基準線に対して平行ではない電極を形成したが、本例においては、電極全体ではなく、電極65、66の側端輪郭線655、665の形状を部分的に変化させることにより、基準線69に対して平行ではない側端輪郭線655、665を有する電極65、66を形成する例である(図7参照)。本例のハニカム構造体の電極パターンについても、実施例2及び3と同様に、ハニカム構造体の外形を展開した展開図を用いて行う。
【0072】
本例のハニカム構造体においては、実施例1と同様に、ハニカム体60の外皮部62の外周面621には、Si−SiCの複合材を主成分とする導電性セラミックスからなる一対の電極65、66が形成されている。電極65、66は、ハニカム体60の径方向に対向配置されている。また、電極65、66は、ハニカム体60の軸方向Xにおける一方の端部601から他方の端部602まで形成されている。
【0073】
本例においては、電極の側端輪郭線655、665は、ハニカム体60の周方向に突出する突出部651、661を複数有している。具体的には、各電極の側端輪郭線655、665を櫛歯状(図7参照)にしてある。
図7に示すように、側端輪郭線655、665が櫛歯状の電極65、66を備えたハニカム構造体6においては、ハニカム体60の軸方向Xに平行で外皮部62上にある任意の基準線69を想定すると、電極65、66におけるハニカム体60の略軸方向Xに伸びる側端輪郭線655、665は、その全長のうち少なくとも一部が基準線に対して平行ではなく、基準線69と交差する方向に配される。本例においては、実施例1と同様に、電極65、66は、ハニカム体60の軸方向Xにおける一方の端部601から他方の端部602まで形成されているため、各側端輪郭線655、665の全長はハニカム体60の軸方向Xにおける長さよりも大きくなる。
【0074】
また、図8に示すように、各電極75、76の側端輪郭線755、765を波形状にすることにより、側端輪郭線755、765に、ハニカム体70の周方向に突出する突出部751、761を複数形成することもできる(図8参照)。
側端輪郭線755、765が波形状の電極75、76を備えたハニカム構造体7においても、ハニカム体70の軸方向Xに平行で外皮部72上にある任意の基準線79を想定すると、電極75,76におけるハニカム体70の略軸方向Xに伸びる側端輪郭線755、765は、その全長のうち少なくとも一部が基準線79に対して平行ではなく、基準線79と交差する方向に配される。電極75、76は、ハニカム体70の軸方向Xにおける一方の端部701から他方の端部702まで形成されているため、この場合においても、各側端輪郭線755、765の全長はハニカム体70の軸方向Xにおける長さよりも大きくなる。
【0075】
また、図7に示すように、側端輪郭線655、665が櫛歯状の電極65、66を備えたハニカム構造体6において、ハニカム体60の周方向における一対の電極65、66間の間隔A4、B4(但し間隔B4は、間隔B4aと間隔B4bとの和である)は、一定である。即ち、側端輪郭線655、665同士の周方向に沿った間隔A4、B4が等しく、軸方向Xにおいて一定であり、一方の電極65(66)がハニカム体60の外周面621の周方向において他方の電極66(65)側に偏ること無く、対向して配置されている。そして、ハニカム構造体6においては、周方向における一対の電極65、66間の間隔A4、B4が一定になるように、各電極65、66の周方向の幅が軸方向に沿って変化する。これは、側端輪郭線755、765が波形状の電極75、76を備えたハニカム構造体7についても同様である(図8参照)。
【0076】
また、図7に示すごとく、側端輪郭線655、665が櫛歯状の電極65、66を備えたハニカム構造体6においては、実施例1と同様に、ハニカム体60の径方向における一対の電極65、66間の最短距離J4、即ち、周方向に近接する電極65の側端輪郭線655と電極66の側端輪郭線665との径方向における間隔J4は、ハニカム体60の外周面621における一対の電極65、66間の最短距離K4よりも小さくなるように構成されている。これは、側端輪郭線755、765が波形状の電極75、76を備えたハニカム構造体7についても同様である(図8参照)。
【0077】
また、図7に示すごとく、ハニカム構造体6においては、外皮部62の外周面621において一対の電極65、66は、同一の基準線69と交わらない構成になっている。これは、端輪郭線755、765が波形状の電極75、76を備えたハニカム構造体7についても同様である(図8参照)。
【0078】
また、図7本例のハニカム構造体6において、電極の側端輪郭線655、665は基準線69と交差する方向に配されるが、電極65、66の伸長方向は傾斜しておらず、軸方向Xと平行になっている。これは、端輪郭線755、765が波形状の電極75、76を備えたハニカム構造体7についても同様である(図8参照)。
【0079】
このように、本例のハニカム構造体は6、7、電極の形成パターンを上述のごとく変更した点を除いては、実施例1とほぼ同様の構成を有する。そして、本例のハニカム構造体6、7は、実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 ハニカム構造体
19 基準線
2 ハニカム体
21 セル形成部
22 外皮部
221 外周面
31 電極
315 側端輪郭線
32 電極
325 側端輪郭線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル形成部と該セル形成部の周囲を覆う円筒形状の外皮部と有するハニカム体と、該ハニカム体の上記外皮部の外周面において径方向に対向配置された一対の電極とを備えたハニカム構造体であって、
上記ハニカム体の軸方向に平行で上記外皮部上にある任意の基準線を想定すると、上記電極における上記ハニカム体の略軸方向に伸びる側端輪郭線は、その全長のうち少なくとも一部が上記基準線に対して平行ではなく、該基準線と交差する方向に配されており、
かつ、上記ハニカム体の周方向における一対の上記電極間の間隔は、一定であることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
請求項1に記載のハニカム構造体において、上記外皮部の上記外周面において一対の上記電極がそれぞれ同一の上記基準線と交わる場合には、上記ハニカム体の上記外周面における一対の上記電極間の上記軸方向における間隔は、上記ハニカム体の上記外周面における一対の上記電極間の上記周方向における間隔よりも大きいことを特徴とするハニカム構造体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のハニカム構造体において、上記ハニカム体の上記径方向における一対の上記電極間の最短距離は、上記ハニカム体の上記外周面における一対の上記電極間の最短距離よりも小さいことを特徴とするハニカム構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体において、上記側端輪郭線は、その少なくとも一部が上記基準線に対して45°以下傾斜していることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体において、上記側端輪郭線は、その全長が上記基準線に対して所定の傾きで傾斜していることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項6】
請求項5に記載のハニカム構造体において、上記側端輪郭線と上記基準線とのなす鋭角の角度をθとし、上記電極の上記周方向における幅をDとし、上記側端輪郭線の長さをEとし、上記ハニカム体の上記周方向における外周の長さをRとすると、D+E×sinθ≧R/2という関係を満足することを特徴とするハニカム構造体。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体において、上記側端輪郭線は、上記ハニカム体の周方向に突出する突出部を少なくとも一つ以上有していることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体において、上記ハニカム体は、SiCを主成分とする多孔質セラミックスからなることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のハニカム構造体と、該ハニカム構造体の上記ハニカム体に担持された触媒と、上記ハニカム構造体の上記一対の電極間に通電を行う通電手段とを備えた電気加熱式触媒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−96191(P2012−96191A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247580(P2010−247580)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】