説明

ハニカム構造体

【課題】排ガス中の粒子状物質の捕集を良好に行うことができると共に、高温条件下でも使用することができる捕集層を有するハニカム構造体を提供すること。
【解決手段】排ガスの流路となる一方の端部から他方の端部まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム基材と、所定のセルの排ガス流入側の開口端部と残余のセルの排ガス流出側の開口端部とに配設された目封止部と、排ガス流入側の開口端部が開口した流入セルを区画形成する側の隔壁の表面に膜状に配設された多孔質の捕集層と、を備え、捕集層は、セラミックスからなる骨材粒子と、骨材粒子どうしを結合する結合部と、を有し、且つ、結合部の少なくとも一部の融点が複数の骨材粒子のうちの少なくとも一の骨材粒子の融点よりも高いものであるハニカム構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。更に詳しくは、ディーゼルエンジン等の内燃機関、又は各種燃焼装置から排出される排ガス中に含まれるパティキュレートを捕集し、或いは浄化するためのフィルタとして使用されるハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関、又は各種燃焼装置(以下、適宜「内燃機関等」という)から排出される排ガスにはスート(黒鉛)を主体とする粒子状物質(以下、適宜「パティキュレート・マター」、「パティキュレート」、或いは「PM」という)が多量に含まれている。このパティキュレートがそのまま大気中に放出されると環境汚染を引き起こすため、内燃機関等からの排ガス流路には、パティキュレートを捕集するためのフィルタ(例えば、ディーゼルパティキュレートフィルタ:DPF。以下、「DPF」ともいう)が搭載されていることが一般的である。
【0003】
このような目的で使用されるフィルタとしては、例えば、多数の細孔を有する多孔質セラミックからなる隔壁によって、排ガスの流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム構造の基体を有し、上記複数のセルの一方の開口端部と他方の開口端部とが目封止部によって、互い違いに目封じされてなるハニカム構造体(以下、「ハニカムフィルタ」ともいう)を挙げることができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
例えば、図6に示されるハニカム構造体(ハニカムフィルタ101)は、多数の細孔を有する多孔質セラミックからなる隔壁112によって、複数のセル111が区画形成されたハニカム構造体101(ハニカム基材)を備え、複数のセル111の一方の開口端部115aと他方の端部115bとが目封止部113a及び113bによって、互い違いに目封じされている。このようなハニカムフィルタ101は、一方の開口端部15aが開口したセル111a(以下、「流入セル」ということがある)からガスG1が流入すると、セル111aを区画形成する隔壁112の表面から隔壁112を通過して、他方の端部115bが開口したセル111bからガスG2が流出するように構成されている。即ち、セル111aに流入したガスG1は、隔壁112に形成された細孔を経由してセル111bに流出し、ハニカムフィルタ101の他方の端部115bから排出される。そして、上述したように排ガス(ガスG1)が隔壁を通過する際に、排ガス中のパティキュレートが隔壁に捕集され、ガスが浄化される。
【0005】
しかし、DPFは上述のような構造を有するため、クリーンな状態からPMの捕集を開始すると、隔壁内部の細孔にPMが堆積し(深層ろ過)、急激に圧力損失が増加してしまう場合がある。このような急激な圧力損失の増加は、エンジン性能を低下させる要因となる。この問題を解決するため、また、PMの捕集効率を向上させるために、隔壁の流入側表面に捕集層を形成し、PMが隔壁内部へ侵入することを防止するDPFが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
また、捕集層を隔壁に固着させるために、捕集層を隔壁の流入側表面に塗布(製膜)するだけでなく、捕集層構成粒子どうし及び捕集層構成粒子と隔壁とを、結合材を用いて結着させることが開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−255539号公報
【特許文献2】特開2005−248726号公報
【特許文献3】特開2008−188511号公報
【特許文献4】実用新案登録第2607898号公報
【特許文献5】特開平9−48679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献5に開示の捕集層は、例えば、結合材の融点又は軟化点以上の高温にさらされると、結合材が溶融して捕集層の細孔が閉塞してしまうことがある。そのため、DPFを自動車に搭載した際、運転時やDPF再生時のDPF内温度を一定温度(結合材の融点や軟化点)以下に制御する必要があり、より高温(結合材の融点や軟化点以上)での使用にも耐え得るDPFが求められている。
【0009】
本発明は、このような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、排ガス中の粒子状物質の捕集を良好に行うことができると共に、高温条件下でも使用することができる捕集層を有するハニカム構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、セラミックスからなる骨材粒子を、この骨材粒子よりも融点の高い物質で結合させて捕集層を形成することにより、例えば、骨材粒子どうしを結合する結合部の結合部形成原料として、例えば、酸・塩基反応する原料を用いて骨材粒子よりも融点が高い塩を生成させ、この塩を含有し、且つ骨材粒子どうしを結合する結合部を形成することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明によれば、以下に示すハニカム構造体が提供される。
【0012】
[1] 排ガスの流路となる一方の端部から他方の端部まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム基材と、所定の前記セルの排ガス流入側の開口端部と残余の前記セルの排ガス流出側の開口端部とに配設された目封止部と、前記排ガス流入側の開口端部が開口した流入セルを区画形成する側の前記隔壁の表面に膜状に配設された多孔質の捕集層と、を備え、前記捕集層は、セラミックスからなる骨材粒子と、前記骨材粒子どうしを結合する結合部と、を有し、且つ、前記結合部の少なくとも一部の融点が、複数の前記骨材粒子のうちの少なくとも一の骨材粒子の融点よりも高いものであるハニカム構造体。
【0013】
[2] 前記結合部の少なくとも一部の融点が、複数の前記骨材粒子のうちの全ての骨材粒子の融点よりも高いものである前記[1]に記載のハニカム構造体。
【0014】
[3] 前記結合部の全部の融点が、複数の前記骨材粒子のうちの少なくとも一の骨材粒子の融点よりも高いものである前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
【0015】
[4] 前記結合部の融点が700〜3000℃である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0016】
[5] 前記結合部が、前記骨材粒子に含まれるルイス塩基と、前記結合部に含まれるルイス酸と、が反応して生成した塩を含有する前記[1]〜[4]に記載のハニカム構造体。
【0017】
[6] 前記塩が、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩素酸塩、シュウ酸塩、及びヨウ素酸塩からなる群より選択される少なくとも一種である前記[5]に記載のハニカム構造体。
【0018】
[7] 前記塩が、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム、及びバリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む塩である前記[5]又は[6]に記載のハニカム構造体。
【0019】
[8] 前記塩が、リン酸アルミニウムである前記[5]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0020】
[9] 前記骨材粒子がコージェライトからなる微粒子である前記[1]〜[8]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0021】
[10] 前記ハニカム基材がコージェライトからなる前記[1]〜[9]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0022】
[11] 前記捕集層は、前記隔壁の細孔よりも平均細孔径が小さい細孔を有する前記[1]〜[10]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0023】
[12] 前記捕集層を構成する前記骨材粒子と、前記ハニカム基材の前記隔壁とが前記結合部によって結合され、前記排ガス流入側の開口端部が開口した流入セル内の隔壁の表面に前記捕集層が配設されている前記[1]〜[11]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【発明の効果】
【0024】
本発明のハニカム構造体は、隔壁の表面に膜状に配設された捕集層が、セラミックスからなる骨材粒子と、この骨材粒子どうしを結合する結合部と、を有し、且つ、この結合部の少なくとも一部の融点が、複数の骨材粒子のうちの少なくとも一の骨材粒子の融点よりも高いものであるため、排ガス中の粒子状物質の捕集を良好に行うことができるとともに、高温条件下でも使用することができるものである。
【0025】
即ち、本発明のハニカム構造体は、ハニカム基材を構成する隔壁の表面に、上述した構成の捕集層が配設されているため、排ガス中の粒子状物質の隔壁の細孔内への侵入を有効に防止することができる。
【0026】
そして、本発明のハニカム構造体は、結合部の少なくとも一部の融点が、少なくとも一の骨材粒子の融点よりも高いため、高温条件下でも使用することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示すハニカム構造体の一方の端面を模式的に示す平面図である。
【図3】図2中のA−A’断面を模式的に示す断面図である。
【図4】X線回折法による測定の結果を示すスペクトルである。
【図5】実施例において、捕集層の製膜に用いられた捕集層作製装置の構成を示す模式図である。
【図6】従来のハニカムフィルタの構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0029】
[1]ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一実施形態を、図を参照しながら説明する。ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1に示すハニカム構造体の一方の端面を模式的に示す平面図であり、図3は、図2中のA−A’断面を模式的に示す断面図である。
【0030】
図1〜図3に示すように、本実施形態のハニカム構造体1は、排ガスの流路となる一方の端部15aから他方の端部15bまで延びる複数のセル11を区画形成する多孔質の隔壁12を有するハニカム基材10と、複数のセル11の排ガス流入側の開口端部と排ガス流出側の開口端部とを互い違いに目封止する目封止部13(13a,13b)と、流入側の開口端部が開口した流入セル11aを区画形成する側の隔壁12の表面に膜状に配設された多孔質の捕集層20と、を備えたハニカム構造体である。
【0031】
本実施形態のハニカム構造体は、このように構成されることにより、排ガス中の粒子状物質の捕集を良好に行うことができるものである。即ち、ハニカム基材を構成する隔壁の表面に多孔質の捕集層が配設されているため、排ガス中の粒子状物質の隔壁の細孔内への侵入を有効に防止することができる。
【0032】
そして、本実施形態のハニカム構造体の捕集層は、セラミックスからなる骨材粒子(複数の骨材粒子)と、この骨材粒子どうしを結合する結合部と、を有するものである。更に、この結合部の少なくとも一部の融点が、複数の骨材粒子のうちの少なくとも一の骨材粒子の融点よりも高いものである。本実施形態のハニカム構造体は、このような構成を有することにより、排ガス中の粒子状物質を効率良く捕集することができると共に、高温条件下においても、捕集層が欠損、剥離等することがないという効果を奏するものである。なお、ここでいう「高温条件」とは、セラミックスからなる骨材粒子の融点、即ち、セラミックスの融点を超えない範囲で、高い温度のことである。
【0033】
なお、本実施形態のハニカム構造体においては、上記のように、結合部の少なくとも一部の融点が、複数の骨材粒子のうちの少なくとも一の骨材粒子の融点よりも高いものであれば、捕集層の欠損や剥離等を抑制することが可能であるが、結合部の少なくとも一部の融点が、複数の骨材粒子の総体積の50体積%以上の骨材粒子の融点よりも高いものであることが好ましく、80体積%以上の骨材粒子の融点よりも高いものであることがより好ましく、90体積%以上の骨材粒子の融点よりも高いものであることが更に好ましく、全ての骨材粒子の融点よりも高いものであることが特に好ましい。例えば、結合部の少なくとも一部の融点が、複数の骨材粒子のうちの50体積%以上の骨材粒子の融点よりも高いと、捕集層がより破損し難くなる。上記「全ての骨材粒子の融点よりも高いもの」における「全ての骨材粒子」とは、捕集層において実質的に骨材となる全ての粒子のことを意味し、例えば、不可避的に骨材に混入される不純物や、実際に骨材として機能しない添加物等は含まれないものとする。また、「複数の骨材粒子のうちの少なくとも一の骨材粒子」における「複数」とは、骨材粒子の種類が複数ということではなく、各粒子の固体が複数個存在するということを意味する。即ち、「複数の骨材粒子」とは、骨材となる粉末を構成する粒子のことである。
【0034】
また、骨材粒子の融点よりもその融点が高くなる結合部は、結合部の総体積の50体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましく、90体積%以上であることが更に好ましく、結合部の全部であることが特に好ましい。結合部は、複数の骨材粒子を結合する結合部分であり、本実施形態のハニカム構造体においては、部分的に組成が異なることがある。上述したように、骨材粒子の融点よりも融点が高くなる結合部の体積比率が大きくなるほど、高温条件下における捕集層の欠損や剥離を有効に防止することができる。例えば、骨材粒子の融点よりも融点が高くなる結合部が、全結合部のうちの50体積%未満であると、結合部の耐熱性が低下することがある。
【0035】
また、本実施形態のハニカム構造体における捕集層は、隔壁の細孔よりも平均細孔径が小さい細孔を有するものであることが好ましい。捕集層が、上記のように構成されることにより、排ガス中の粒子状物質をより効率的に捕集することができる。
【0036】
また、本実施形態のハニカム構造体は、結合部が、前記骨材粒子に含まれるルイス塩基と、前記結合部に含まれるルイス酸とが反応して生成した塩を含有していることが好ましい。このように、酸・塩基反応させることにより、融点が高い塩を生成させ、この塩によって、骨材粒子どうしを結合させる結合部を形成しているため、本実施形態のハニカム構造体は高温条件下でも使用することができるという効果を奏するものである。即ち、本実施形態のハニカム構造体の捕集層は、その結合部に融点が高い塩を含有することにより、熱耐性にも優れたものとなる。そのため、本実施形態のハニカム構造体は、例えば、PM捕集フィルタとして自動車に搭載された際、運転時や再生時等高温にさらされる状況においても、捕集層が破損したり剥離したりすることを抑制することができる。
【0037】
なお、本明細書中、「塩」とは、ルイスの定義におけるルイス酸とルイス塩基との酸・塩基反応により生成する塩(えん)のことである。
【0038】
[1−1]ハニカム基材及び目封止部:
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム基材(目封止部及び捕集層が形成されていないハニカム構造体)は、図1〜図3に示すように、排ガスの流路となる一方の端部15aから他方の端部15bまで延びる複数のセル11を区画形成する多孔質の隔壁12を有するものである。そして、本実施形態のハニカム構造体1を構成する目封止部13は、図1〜図3に示すように、複数のセル11の排ガス流入側の開口端部と排ガス流出側の開口端部とを互い違いに目封止するものである。
【0039】
ハニカム基材の全体形状については特に制限はなく、例えば、図1及び図2に示されるような円筒状の他、楕円形状、四角柱状、三角柱状等の形状を挙げることができる。このようなハニカム基材は、従来公知のハニカム構造体に用いられるハニカム構造体を好適に用いることができる。
【0040】
また、ハニカム基材に形成されたセルの形状(セルの貫通方向に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、例えば、図1に示されるような四角形セルの他、六角形セル、八角セル、三角形セル等の形状を挙げることができる。但し、ハニカム基材に形成されたセルの形状としては、このような形状に限られるものではなく、公知のセルの形状を広く包含することができる。
【0041】
また、ハニカム基材においては、異なるセル形状を組み合わせることもできる。隣接するセルの片側のセルを八角形とし、もう片側を四角形にすることで、片側セル(即ち、八角形セル)をもう片側セル(即ち、四角形セル)に比べ大きくすることができる。特に、アッシュの発生量が多いエンジンに用いられる場合には、ガス流入側のセル(流入セル)を大きくすることで、アッシュ堆積時の圧損上昇を抑制することができる。
【0042】
ハニカム基材のセル密度も特に制限はないが、本実施形態のようなハニカム構造体として用いる場合には、0.9〜233セル/cmの範囲であることが好ましく、15.5〜62.0セル/cmの範囲であることが更に好ましく、23.3〜45.0セル/cmの範囲であることが特に好ましい。このような範囲とすることによって、流入セルに粒子状物質を溜める領域を良好に確保することができる。
【0043】
ハニカム基材を構成する隔壁の厚さは、20〜2000μmの範囲であることが好ましく、強度と圧損のバランスから、100〜635μmの範囲であることが更に好ましく、200〜500μmの範囲であることが特に好ましい。
【0044】
ハニカム基材の材質については特に制限はないが、セラミックを好適に用いることができ、強度、耐熱性、耐食性等の観点から、コージェライト、炭化珪素、アルミナ、ムライト、アルミニウムチタネート、窒化珪素、及び炭化珪素を骨材とし金属珪素を結合部形成原料として形成された珪素−炭化珪素系複合材料のうちのいずれかであることが好ましい。これらの材質の中でも、後述するように、捕集層の骨材粒子として好ましいコージェライトと熱膨張係数等が等しいため、コージェライトが特に好ましい。
【0045】
なお、本実施形態のハニカム構造体に用いられる目封止部は、従来の目封止ハニカム構造体に用いられる目封止部と同様に構成されたものを用いることができる。
【0046】
ハニカム基材を構成する隔壁の細孔の平均細孔径としては、隔壁の細孔の平均細孔径が大きいと、捕集層の形成が難しく、一方、平均細孔径が小さいと、例えば、ハニカム構造体に捕集した粒子状物質を除去するための触媒(例えば、酸化触媒)を担持する際に、上記した触媒の担持が困難になることがある。このため、隔壁の細孔の平均細孔径としては、0.3〜150μmであることが好ましく、1〜60μmであることが更に好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。
【0047】
また、隔壁の気孔率は、30〜70%であることが好ましく、35〜60%であることが更に好ましい。隔壁の気孔率が30%未満であると、圧力損失が大きくなることがある。また、気孔率が70%を超えると、隔壁の強度が不足するために好ましくない。上記隔壁の気孔率は、捕集層を除く、ハニカム基材の隔壁本来の気孔率を示す。なお、本発明において、隔壁の「平均細孔径」、「気孔率」というときには、水銀圧入法により測定した平均細孔径、気孔率を意味するものとする。
【0048】
[1−2]捕集層:
本実施形態のハニカム構造体は、排ガス流入側の開口端部が開口した流入セルを区画形成する側の隔壁の表面に膜状に配設された多孔質の捕集層を備えるものである。そして、本実施形態のハニカム構造体の捕集層は、セラミックスからなる骨材粒子と、前記骨材粒子どうしを結合する結合部と、を有するものである。更に、前記結合部の融点が前記骨材粒子の融点よりも高いものである。本実施形態のハニカム構造体は、このような構成を有することにより、排ガス中の粒子状物質を効率良く捕集することができると共に、高温条件下においても、捕集層が破損、剥離等することがないという効果を奏するものである。なお、図3においては、流入セル11aを区画形成する側の隔壁12の表面のみに、上記捕集層20が配設された場合の例を示しているが、例えば、捕集層の機能上、流出端部側目封止部13bの内側にも捕集層が配設されていてもよい。
【0049】
ここで、「結合部」とは、捕集層の内部において骨材粒子どうしを結合し、更に捕集層中の骨材粒子とハニカム基材の隔壁とを結合する架橋部分のことである。捕集層は、これらの結合により、骨材粒子どうし、及び骨材粒子と隔壁との間を結着し、捕集層としての耐剥離性や耐熱性を示すものである。
【0050】
捕集層は複層(即ち、二層以上の捕集層が積層された層)としてもよい。また、捕集層の細孔径又は粒子径は傾斜していてもよい。その場合、細孔径又は粒子径は、その表面に近い程小さい方が、隔壁の細孔内へのPM堆積を防止することができる上、圧損上昇も少なくすることができるため好ましい。
【0051】
なお、本発明において、捕集層の「平均細孔径」、「気孔率」というときには、SEM(走査型電子顕微鏡)により撮影した画像を2値化処理して測定される値を意味するものとする。
【0052】
また、隔壁の細孔の平均細孔径と捕集層の細孔の平均細孔径とを比較した場合、捕集層の細孔の平均細孔径は、隔壁の細孔の平均細孔径の1/1000〜9/10倍であることが好ましく、隔壁の細孔の平均細孔径の1/100〜1/2倍であることが更に好ましく、1/20〜1/5倍であることが特に好ましい。捕集層の細孔の平均細孔径が、隔壁の細孔の平均細孔径の1/1000倍未満であると、捕集層等の細孔が小さすぎてハニカム構造体の圧損が大きくなることがある。一方、捕集層等の平均細孔径が、隔壁の細孔の平均細孔径の9/10倍を超えると、捕集層の細孔が大きすぎて、隔壁の細孔との実質的な差異が無くなり、捕集層の細孔内に粒子状物質が侵入し、圧損が増大してしまうことがある。
【0053】
本実施形態のハニカム構造体における捕集層の細孔の平均細孔径は、0.1〜30μmであることが好ましく、0.1〜15μmであることがより好ましく、0.9〜11μmであることが更により好ましく、1.5〜6μmであることが特に好ましい。このように構成することによって、捕集層による圧損の上昇を有効に抑制しつつ、捕集層の表面上にて粒子状物質を良好に捕集(即ち、ケーキ層状に捕集)することができる。平均細孔径が0.1μm未満であると、ガス透過性が小さくなり細孔の透過抵抗が急上昇しやすくなるため好ましくなく、30μmより大きいと捕集性能が低下し、PMエミッションが欧州規制のユーロ5規制値をオーバーし易くなり好ましくない。
【0054】
本実施形態のハニカム構造体の捕集層の細孔の平均細孔径は、ハニカム構造体の隔壁断面のSEM(走査型電子顕微鏡)による画像から、以下の方法によって測定された値とする。まず、ハニカム構造体の隔壁の軸方向に対して垂直な断面の所望領域を樹脂埋め研磨し、倍率1000倍の視野にてSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行い、その断面の画像(SEM画像)を得る。このSEM画像は、1ピクセルが、縦0.261μm×横0.261μmの画像とする。次に、得られたSEM画像を二値化処理する。二値化処理により、上記SEM画像が、撮像された骨材粒子の実体部分と、各骨材粒子相互間の空隙とに分離される。二値化処理は、1ピクセルを最小単位として行われる。
【0055】
次に、二値化処理した画像において、骨材粒子相互間の空隙として認識された領域(以下、「空隙領域」ということがある)に、空隙領域内に納まる大きさの「円」を、直径が大きな円から、順次、各円が重ならないように描く。具体的には、まず、上記空隙領域に、最も直径が大きな円(以下、「内接円」ともいう)を描く。次に、この内接円が描かれている領域を、「空隙領域」から除く。このようにして得られた「内接円が描かれた領域が除かれた空隙領域」に、再度、この状態で最も直径が大きな内接円を描き、その後、この内接円(2回目の内接円)が描かれた領域を、更に「空隙領域」から除く。以下、「空隙領域(具体的には、各内接円が描かれた領域が除かれた空隙領域)」に、内接円を描くことができなくなるまで上記方法に従い内接円を描く。即ち、画像の最小単位である1ピクセルまで、空隙領域に内接円を描き続ける。SEM画像の二値化、及び空隙領域に内接円を描く画像処理は、市販の画像解析ソフト(例えば、MVtec Software GmbH社製の商品名「Halcon」など)を用いることができる。
【0056】
次に、空隙領域内に描かれた全ての内接円の面積を、直径が大きな内接円から順次積算し、空隙領域内に描かれる全ての内接円の面積を積算した積算面積を算出する。そして、上記積算時において、総積算面積の50%に到達する際に加算される内接円の直径を、捕集層の細孔の平均細孔径とする。例えば、「総積算面積の50%に到達する際に加算される内接円の直径」は、上記内接円の直径と、積算面積とについて、横軸を内接円の直径とし、縦軸を積算面積としたグラフを作成し、このグラフにおける、総積算面積の50%に相当する、上記内接円の直径を求めることによって得ることができる。
【0057】
また、捕集層等を形成する微粒子の平均粒子径を測定する際には、隔壁の軸方向に対して垂直な断面の所望領域を樹脂埋め研磨した断面、又は、破断面を、倍率100倍〜1000倍の視野にてSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行い、捕集層を形成する微粒子の粒子径を測定する。一視野内にて測定された全粒子径の平均を平均粒子径とする。
【0058】
また、捕集層の厚さは、隔壁の厚さの3/500〜1/2であることが好ましく、1/150〜1/5であることが更に好ましく、1/100〜1/10であることが特に好ましい。なお、捕集層の厚さが、隔壁の厚さの3/500未満であると、捕集層の厚さが薄すぎて、粒子状物質の捕集を十分に行うことができず、捕集層を粒子状物質の一部が容易に通過してしまうことがある。また、捕集層の厚さが、隔壁の厚さの1/2を超えると、捕集層による圧損上昇の影響が大きくなり、ハニカム構造体の初期の圧損を増大させてしまうことがある。
【0059】
なお、本発明において、「捕集層の厚さ」とは、下記の方法によって測定される厚さのことを意味する。
【0060】
(捕集層の厚さの測定方法)
まず、捕集層が形成されている隔壁を、セルの貫通方向に対して垂直に切断する。次に、得られた隔壁の断面における所望領域を、樹脂埋め研磨する。次に、樹脂埋め研磨した断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって500倍の倍率で撮像する。撮影したSEM写真を、横に100分割する直線を引き、この直線を、SEM写真の上から順に観察し、隔壁の表面に触れる直線のうち一番上の直線と、捕集層を形成する粒子に触れる直線のうち一番上の直線と、をそれぞれ決定する。決定された2本の直線間の幅を、その視野の(即ち、当該SEM写真における)膜厚とし、20視野の(即ち、同様の倍率で異なる部位を撮像した20枚のSEM写真における)平均値を、捕集層の厚さとする。
【0061】
なお、より具体的な捕集層の厚さとしては、1〜100μmであることが好ましく、5〜60μmであることが更に好ましい。このように構成することによって、粒子状物質を良好に捕集することができるとともに、初期の圧損の増大を有効に抑制することができる。
【0062】
捕集層を構成する骨材粒子としては、例えば、コージェライト、炭化珪素、アルミナ、ムライト、アルミニウムチタネート、及び窒化珪素のうちのいずれかであることが好ましい。
【0063】
捕集層を構成する骨材粒子としては、上述の材料の中でも、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、ストロンチウム、及びバリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含有する材料であることがより好ましく、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、及びカリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含有する材料であることが更に好ましい。即ち、コージェライト、アルミナ、ムライト、及びアルミニウムチタネートのうちのいずれかであることがより好ましく、コージェライト、アルミナ、ムライトのうちのいずれかであることが更に好ましい。捕集層を構成する骨材粒子が、上述のようなルイス塩基を含有する材料から構成されることにより、結合部形成原料から供給されるルイス酸と酸・塩基反応して、塩を含有する強固な結合部を形成し、更に、耐熱性にも優れた結合部を形成することができる。
【0064】
また、これらの骨材粒子は、ハニカム基材を構成する隔壁の材料と同じ材料であることも好ましい。例えば、隔壁がコージェライト材料によって構成されている場合には、この隔壁と同様のコージェライト材料からなる骨材粒子を用いて捕集層が形成されていることが好ましい。このように構成することによって、隔壁と捕集層との熱膨張率が同じとなり、ハニカム構造体の強制再生時における温度変化によって破損等を生じ難くすることができる。
【0065】
捕集層を構成する結合部の融点は、700〜3000℃であることが好ましく、1000〜2500℃であることが更に好ましく、1200〜2300℃であることが特に好ましい。結合部の融点が700℃未満であると、結合部の一部が溶融してしまう可能性があり、捕集層の細孔を閉塞させてしまうことがある。結合部の融点が3000℃超であると、捕集層として使用できる原料が限られてきてしまい、捕集層の熱膨張などの諸特性を調整できる猶予が少なくなってしまうことがある。
【0066】
結合部は、骨材粒子に含まれるルイス塩基と、結合部に含まれるルイス酸と、が反応して生成した塩を含有していることが好ましい。また、骨材粒子にルイス塩基が含まれていなくとも、別途、ルイス塩基を含む成分を添加して、結合部に含まれるルイス酸と、上記ルイス塩基とを反応させて塩を生成し、結合部に含有させることもできる。勿論、骨材粒子にルイス塩基が含まれていても、別途、ルイス塩基を含む成分を添加することもできる。また、結合部には、上記ルイス塩基或いは上記ルイス酸の一部が未反応の状態で残っていてもよい。
【0067】
結合部に含有される塩としては、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩素酸塩、シュウ酸塩、及びヨウ素酸塩からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、リン酸塩、硫酸塩、及び炭酸塩からなる群より選択される少なくとも一種であることが更に好ましく、リン酸塩、及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種であることが特に好ましい。そして、捕集層を構成する結合部に含有される塩は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム、及びバリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む塩であることが好ましく、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、及びカリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む塩であることが更に好ましく、アルミニウム、マグネシウム、及びカルシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む塩であることが特に好ましい。
【0068】
上述のような塩としては、具体的には、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましく、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムが更に好ましく、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウムが特に好ましい。結合部に含有される塩が上述のような、生成温度が低く、融点が高い塩であることにより、捕集層の耐熱性を向上させることができる。
【0069】
捕集層を構成する成分は、例えば、エックス線回折により確認することができる。更に、上記エックス線回折とは別に、エネルギー分散形エックス線分析装置(例えば、堀場製作所製:EMAX−5770W(商品名))によって、骨材及び結合部の成分を確認することで、捕集層を構成する骨材及び結合部の成分を判断することができる。
【0070】
捕集層の気孔率は40〜90%あることが好ましく、50〜80%であることが更に好ましい。捕集層の気孔率が、40%未満であると、圧力損失が大きくなるという問題が生じるおそれがあり、90%を超えると、捕集層の強度が不足するために、隔壁の表面から捕集層が剥離してしまうという問題が生じるおそれがあるため好ましくない。
【0071】
なお、捕集層の気孔率は、隔壁の気孔率よりも5%以上大きく形成すると、捕集層における圧力損失(透過圧損)を小さくすることができるという利点があるため、好ましい。
【0072】
ここで、捕集層の気孔率は、隔壁の軸方向に対して垂直な断面の所望領域を樹脂埋め研磨し、倍率100倍〜1000倍の視野にてSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行い、得られた画像を二値化処理し、一視野内の空隙と粒子の面積比により測定することができる。
【0073】
また、本実施形態のハニカム構造体における捕集層は、これまでに説明した隔壁の細孔内への粒子状物質の侵入を防止し、粒子状物質を事前に捕集する役割(機能)だけでなく、捕集層に、捕集したPMを酸化処理する役割(機能)が付与されていてもよい。
【0074】
即ち、捕集層には酸化触媒が担持されていてもよい。このように構成することによって、PMを捕集する捕集層としての機能と、PMを酸化処理する機能とが相俟って、隔壁の流入側に形成された捕集層で良好にPMを捕集するとともに、捕集したPMを酸化処理することができる。
【0075】
このような酸化触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)及び銀(Ag)等の貴金属が好適に用いられる。
【0076】
なお、本実施形態のハニカム構造体においては、上記酸化触媒以外にも、他の触媒や浄化材が、更に担持されていてもよい。例えば、セリウム(Ce)やジルコニウム(Zr)の酸化物に代表される助触媒が担持されていてもよい。
【0077】
なお、このような酸化触媒は、隔壁の細孔内部の少なくとも一部に更に担持してもよい。このように構成することによって、仮に、排ガス中のPMの一部が、捕集層によって捕集されず、捕集層を透過して隔壁の細孔内に侵入した場合であっても、そのPMを酸化触媒によって燃焼除去することができる。
【0078】
なお、このような酸化触媒のハニカム構造体の体積1Lあたり担持量については特に制限はないが、1〜34g/Lであることが好ましく、5〜30g/Lであることが更に好ましい。例えば、酸化触媒の担持量が1g/L未満であると、PM燃焼性能が足りなくなることがあり、一方、34g/Lを超えると、捕集層の細孔を塞ぎ、ススが堆積しない状態でも圧力損失が著しく高くなることがある。粒子状物質は捕集層の部分にほとんど堆積するため、隔壁細孔内部への担持が不要となるため、従来の担持量よりも減らすことができる。
【0079】
[2]ハニカム構造体の製造方法:
以下、本発明のハニカム構造体を製造する方法について説明する。本発明のハニカム構造体を製造する方法としては、特に限定されないが、多孔質の隔壁によって複数のセルが区画形成され、且つ、その一方の端面と他方の端面における前記複数のセルの開口端部が互い違いに目封止されたハニカム基材を得、得られたハニカム基材の、前記一方の端面側の開口端部が目封止されていないセルを区画形成する側の前記隔壁の表面に、セラミックスからなる骨材粒子と、結合部形成原料と、を含む捕集層形成原料を塗布して、捕集層前駆体を形成する製膜工程と、前記捕集層前駆体が形成された前記ハニカム基材を熱処理することにより、前記骨材粒子どうしを前記結合部形成原料によって結合させて捕集層を形成する熱処理工程と、を備える製造方法(以下、適宜「本製造方法」ともいう)が好ましい。
【0080】
また、本製造方法の製膜工程は、気流法を用いて行われることが好ましい。気流法とは、即ち、ハニカム基材の一方の端面側から骨材粒子及び結合部形成原料を気流を介して搬送して、一方の端面側が開口した流入セルの開口部から骨材粒子及び結合部形成原料を流入させ、流入セルを区画形成する隔壁の流入セル側の表面に骨材粒子及び結合部形成原料を付着させる方法である。
【0081】
本製造方法において、上述のような方法で捕集層を形成することにより、流入セルを区画形成する隔壁の流入セル側の内表面に、薄く均一な捕集層を形成することができる。そして、このようにして形成された捕集層は、排ガス中の粒子状物質の隔壁の細孔内への侵入を有効に防止することができる。
【0082】
[2−1]ハニカム基材及び目封止部の作製:
【0083】
ハニカム基材は、例えば、セラミックからなる粒子、水の他、所望により有機バインダ(ヒドロキシプロポキシルメチルセルロース、メチルセルロース等)、造孔材(グラファイト、澱粉、合成樹脂等)、界面活性剤(エチレングリコール、脂肪酸石鹸等)等を混合し、混練することによって坏土とし、その坏土を所望の形状に成形し、乾燥することによって成形体を得、その成形体を焼成することによって得ることができる。なお、上述したセラミックからなる粒子は、捕集層等を形成するための骨材粒子よりも平均粒子径が大きな粒子を用いることが好ましい。
【0084】
ハニカム基材は、例えば、以下のような作製方法を一例として挙げることができる。但し、ハニカム基材の作製方法は、以下の作製方法に限定されることはなく、例えば、公知のハニカム構造体に用いられるハニカム基材(ハニカム構造体)の製造方法に準じて行うことができる。
【0085】
まず、ハニカム基材の原料として、例えば、コージェライト化原料に、水等の分散媒、及び造孔材を加えて、更に、有機バインダ及び分散剤を添加して混練することによって、可塑性の坏土を得る。次に、得られた坏土を、所定の金型を用いて押出成形し、所望形状のハニカム成形体を成形する。次に、得られたハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させる。
【0086】
次に、所定のセルの開口部を、目封止部を形成するためのスラリーによって目封止して目封止部を形成する。その後、目封止部を形成したハニカム成形体を焼成(仮焼き)する。
【0087】
上記した仮焼きは、脱脂のために行われるものであって、例えば、酸化雰囲気において550℃で、3時間程度で行うものが挙げられるが、これに限られるものではなく、ハニカム成形体中の有機物(有機バインダ、分散剤、造孔材等)に応じて行われることが好ましい。一般に、有機バインダの燃焼温度は100〜300℃程度、造孔材の燃焼温度は200〜800℃程度であるので、仮焼温度は200〜1000℃程度とすればよい。仮焼時間としては特に制限はないが、通常は、3〜100時間程度である。
【0088】
更に、焼成(本焼成)を行う。この「本焼成」とは、仮焼体中の成形原料を焼結させて所定の強度を確保するための操作を意味する。焼成条件(温度・時間)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。例えば、焼成温度は一般的には、約1400℃〜1500℃前後程度であるが、これに限定されるものではない。仮焼と本焼は、別工程としてもよいが、仮焼後引き続き温度を上げて、連続的に本焼を行ってもよい。
【0089】
以上のようにして、ハニカム基材を作製することができる。なお、上記作製方法においては、セルの開口部を目封止する目封止部を形成した後に、仮焼き、及び本焼成を行ってハニカム基材を作製する例について説明しているが、目封止部は、ハニカム成形体の焼成を行った後に、別途形成してもよい。なお、目封止部の形成方法については、所定のセルの一方の開口部にマスクを配設し、残余のセルの開口部に目封止スラリーを充填する方法を挙げることができる。なお、このような目封止部の形成方法は、例えば、公知のハニカム構造体における目封止部の作製方法に準じて行うことができる。
【0090】
なお、目封止部の原料としては、上述したハニカム基材の原料と同様の原料を用いると、ハニカム基材と焼成時の膨張率を同じにでき、耐久性の向上につながるため好ましい。
【0091】
また、上記作製方法においては、ハニカム基材が、一体的に押出成形(一体成形)される場合の例について説明しているが、例えば、複数本のハニカムセグメントからなるハニカムセグメント接合体からなるハニカム基材を作製してもよい。
【0092】
また、上記作製方法においては、ハニカム基材の原料として、コージェライト化原料を用いた場合の例について説明しているが、例えば、ハニカム基材をSi−SiC複合材料によって作製する場合には、SiC粉末及び金属Si粉末を80:20の質量割合で混合し、これにメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルメチルセルロース、界面活性剤及び水を加えて混練して坏土を調製することができる。
【0093】
[2−2]捕集層の作製:
次に、捕集層の作製方法について説明する。捕集層の作製方法は、上述の作製方法で得られたハニカム基材の、前記一方の端面側の開口端部が目封止されていないセルを区画形成する側の前記隔壁の表面に、セラミックスからなる骨材粒子と、結合部形成原料と、を含む捕集層形成原料を塗布して、捕集層前駆体を形成する製膜工程と、前記捕集層前駆体が形成された前記ハニカム基材を熱処理することにより、前記骨材粒子どうしを前記結合部形成原料によって結合させて捕集層を形成する熱処理工程と、を備える製造方法である。
【0094】
[2−2−1]製膜工程:
捕集層の作製方法における製膜工程には、特に制限なく、例えば、気流法、スラリー法等の従来公知の方法を適宜用いることができる。これらの方法の中でも、気流法による方法が特に好ましい。
【0095】
ここで、気流法とは、ハニカム基材の一方の端面側から骨材粒子及び結合部形成原料を気流を介して搬送して、一方の端面側が開口した流入セルの開口部から骨材粒子及び結合部形成原料を流入させ、流入セルを区画形成する隔壁の流入セル側の表面に骨材粒子及び結合部形成原料を付着させる方法である。また、スラリー法とは、ハニカム基材の一方の端面側から骨材粒子及び結合部形成原料を含有するスラリーを圧入して隔壁表面にスラリーを付着させ、その後、スラリーを排出し、隔壁表面に残存するスラリーを乾燥させることにより製膜する方法である。
【0096】
捕集層を構成する骨材粒子は、多孔質の捕集層を形成することができるものであれば、特に制限されず、例えば、コージェライト、炭化珪素、アルミナ、ムライト、アルミニウムチタネート、カルシア及び窒化硼素のうちのいずれかであることが好ましい。また、これらの骨材粒子の材料の中でも、結合部形成原料に含有されるルイス酸と酸・塩基反応するもの、例えば、コージェライト、アルミナ、ムライト、カルシアが更に好ましく、コージェライト、アルミナ、ムライトが特に好ましい。このような結合部形成原料に含有されるルイス酸と酸・塩基反応するものは、より高融点の塩を生成することが可能となる。
【0097】
また、骨材粒子としては、平均粒子径が、0.5〜15μmの粒子を用いることが好ましく、1〜10μmの粒子を用いることが更に好ましく、2〜5μmの粒子を用いることが特に好ましい。骨材粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、骨材粒子がハニカム基材の細孔内に入り込み圧損特性を悪化させることがあり、一方、15μmを超えると、捕集層の細孔径が大きくなり捕集効率や圧損特性が悪化することがある。
【0098】
結合部形成原料としては、後述する熱処理の際、骨材粒子に含有されるルイス塩基と、酸・塩基反応することにより、より高融点の塩を生成することができるルイス酸が好ましい。具体的には、結合部形成原料が、リン酸、硫酸、硝酸、炭酸、塩素酸、シュウ酸、及びヨウ素酸からなる群より選択される少なくとも一種を含有していることが好ましく、リン酸、硫酸、及び炭酸からなる群より選択される少なくとも一種を含有していることが更に好ましく、リン酸、及び硫酸からなる群より選択される少なくとも一種を含有していることが特に好ましい。
【0099】
結合部形成原料として、更に具体的には、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素ナトリウムが好ましく、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウムが更に好ましく、リン酸二水素アンモニウム、硫酸水素アンモニウムが特に好ましい。このような結合部形成原料を用いることによって、後述する熱処理の際、骨材粒子に含有されるルイス塩基と、酸・塩基反応することにより、より高融点の塩を生成することができる。
【0100】
[2−2−2]熱処理工程:
捕集層の作製方法における熱処理工程は、上述の製膜工程において捕集層前駆体が形成されたハニカム基材を、例えば、700〜1600℃で熱処理する工程である。
【0101】
熱処理工程において、骨材粒子に含有されるルイス塩基と、結合部形成原料に含有されるルイス酸とが酸・塩基反応し、この反応生成物である塩が結合部に含有されることにより、骨材粒子どうし、及び骨材粒子とハニカム基材の隔壁とが強固に結合される。そして、この結合部に含有される塩の融点が、骨材粒子の融点よりも高いことにより、高温条件下においても結合部が融解、又は軟化することがないため、高温にさらされることにより破損したり、隔壁から剥離したりすることがなく、耐熱性に優れた捕集層を形成することができる。
【0102】
熱処理工程における熱処理温度としては、700〜1600℃であることが好ましく、900〜1500℃であることが更に好ましく、1000〜1400℃であることが特に好ましい。熱処理温度が700℃未満であると、骨材粒子に含有されるルイス塩基と結合部形成原料に含有されるルイス酸とが十分に反応することができず、骨材粒子どうしを強固に結合することができない場合がある。一方、熱処理温度が1600℃超であると、形成される結合部やハニカム基材自体が溶融し、細孔が閉塞してしまう場合がある。
【実施例】
【0103】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0104】
(実施例1)
[ハニカム基材の作製]
コージェライト化原料として、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、及びシリカを使用し、コージェライト化原料100質量部に、造孔材を13質量部、分散媒を35質量部、有機バインダを6質量部、分散剤を0.5質量部、それぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製した。分散媒として水を使用し、造孔材としては平均粒子径10μmのコークスを使用し、有機バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用し、分散剤としてはエチレングリコールを使用した。
【0105】
調製した坏土を押出成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体をマイクロ波乾燥機を使用して乾燥し、更に熱風乾燥機を使用して完全に乾燥させた後、両端面を切断し、所定の寸法の長さのハニカム乾燥体を得た。次いで、ハニカム乾燥体のセルの両端面を、隣接するセルが互い違いに目封止されるように目封止部を形成した後、1410〜1440℃で5時間焼成することによって、ハニカム基材を得た。
【0106】
得られたハニカム基材は、セル貫通方向に垂直な断面のセル形状が四角形であり、全体形状が四角柱形のものであった。また、セル貫通方向に垂直な断面(四角柱形の底面)における一辺の長さは36mmであり、セル貫通方向における長さ(四角柱形の高さ)は152.4mmであった。なお、セル密度は46.5セル/cmであり、隔壁の厚さは356μmであり、隔壁の気孔率は48%であり、平均細孔径は12μmであった。
【0107】
[捕集層の作製]
骨材粒子として平均粒子径2.1μmのコージェライト粉末2.0質量部、結合部形成原料としてリン酸二水素アンモニウム1.5質量部を混合し、更に乳鉢を使用して混合し、捕集層形成原料を得た。なお、コージェライト粉末は、コージェライト製ハニカム基材等を作製する際に生じる廃材を平均粒子径が2.1μmとなるように粉砕したもの(コージェライトセルベン)を用い、リン酸二水素アンモニウムは、和光純薬工業社製の商品名「りん酸二水素アンモニウム」を用いた。
【0108】
次に、得られた上記捕集層形成原料を用いて捕集層を製膜した(製膜工程)。具体的には、図5に示すような捕集層作製装置を用いて捕集層を製膜した。まず、上記捕集層形成原料46を、原料供給器47に導入し、原料供給器47から一定量の捕集層形成原料46を、ハニカム基材40の流入側40aに設けられたエジェクタ48(真空発生器)を使用して飛散させる。この際、ハニカム基材40の流出側40bにおいては、ブロワ45によって400L/min(リットル/分)で吸引して、捕集層形成原料46を流入セル内に誘導する。このようにして、ハニカム基材40の流入セルを区画形成する隔壁の流入セル側の表面に、捕集層形成原料46を堆積させて、捕集層の製膜を行った。なお、製膜は10秒掛けて実施した。
【0109】
ここで、図5は、実施例において、捕集層の製膜に用いられた捕集層作製装置の構成を示す模式図である。なお、図5において、符号43は、エジェクタに導入される空気を示す。
【0110】
その後、700℃で1時間熱処理して、捕集層を焼き付けることによりハニカム構造体を得た(熱処理工程)。形成された捕集層は、気孔率が65%であり、平均細孔径が3μmであった。
【0111】
得られたハニカム構造体について、以下に示す評価を行った。その結果、実施例1のハニカム構造体の捕集層の剥離率は「0(%)」であり、耐熱性は「良好」であった。なお、エックス線回折による測定の結果、実施例1のハニカム構造体の捕集層には、結合部にリン酸アルミニウムが生成していることが確認できた。図4に、エックス線回折による測定の結果を示す。エックス線回折装置は、PANalytical社製の商品名「X’Pert PRO MPD」を用いた。
【0112】
[耐剥離性評価]
ハニカム構造体の流出側から、エアガン(栗田製作所製の商品名「エアーガン(AG50)」(噴出し口径2mm))を使用して0.4MPaに圧縮された空気を、ハニカム構造体の流出側端面の全体に吹きつけた。この際、エアガンの噴出し口を、ハニカム構造体の流出側端面からの距離を20mmに固定して吹きつけた。
【0113】
ハニカム構造体の流入側端部から、粉末(剥離した捕集層)が排出されなくなるまで、上記吹きつけを実施した。なお、粉末が排出されているか否かは、ハニカム構造体の質量を計測し、吹きつけの前後で質量が変化するか否かによって、粉末が排出されているか否かを判断した。
【0114】
粉末が排出されなくなったこと、即ち、吹きつけの前後でハニカム構造体の質量に変化が無くなったことを確認した後、吹きつけを開始する前のハニカム構造体の質量と、粉末が排出されなくなった後のハニカム構造体の質量の差を剥離量とした。そして、下記式で表されるような、製膜量に対する剥離量の比率(百分率)を剥離率(%)とした。なお、製膜量としては、製膜工程において、製膜した後のハニカム構造体の質量(製膜後)と、ハニカム基材(製膜前)の質量との差を用いた。求めた剥離率(%)を表1に示した。
式: 剥離率(%)=剥離量/製膜量×100
【0115】
[耐熱性評価]
炉内温度が1000℃に設定された電子炉内で1分間加熱した。捕集層の微細構造を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所製の商品名「S−3200N」)を使用して観察し、上記熱サイクル試験の前後で、捕集層が維持されているものを「良好」と評価し、結合部が溶融し捕集層の細孔が閉塞したり、ハニカム基材の隔壁の細孔内へ浸透したりしている等、捕集層が維持されなかったものを「不良」と評価した。評価結果を表1に示した。なお、上記耐熱性評価については、上記耐剥離性評価の評価結果が「0%」であった実施例1及び比較例1に対して行った。
【0116】
【表1】

【0117】
(実施例2、比較例1〜7)
表1に示す結合部形成原料及び結合部形成原料の配合量(質量部)としたこと以外は、実施例1のハニカム構造体と同様にして、ハニカム構造体を作製し、その評価を実施した。評価結果を併せて表1に示した。なお、比較例7は、骨材粒子と結合部形成原料とを別々の原料として用いるのではなく、コージェライト粉末のみで捕集層を形成した。
【0118】
(考察)
表1の結果から明らかなように、骨材粒子の融点より高い融点の結合部を有する捕集層は、耐熱性が良好なものであった(実施例1)。一方、比較例1のハニカム構造体ように、融点が低いガラスフリットを結合部形成原料として用いた場合には、ガラス成分が溶融し、捕集層の細孔を閉塞させたり、ハニカム基材の隔壁の細孔に浸透したりしており、耐熱性に劣るものであった。また、比較例3〜6は、低温(700℃)では溶融又は骨材粒子に含有される成分との反応が起こらず、結合部が形成されなかったため、捕集層が剥離した。比較例7のハニカム構造体には結合部形成原料が用いられていないため、低温(700℃)ではコージェライトからなる骨材粒子が溶融せず、結合部が形成されなかったため捕集層が剥離した。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明のハニカム構造体は、ディーゼルエンジン、普通自動車用エンジン、トラックやバス等の大型自動車用エンジンをはじめとする内燃機関、各種燃焼装置から排出される排ガス中に含まれるパティキュレートを捕集するためのフィルタとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0120】
1:ハニカム構造体、10:ハニカム基材、11:セル、11a:流入セル、11b:流出セル、12:隔壁、13:目封止部、13a:流入端部側目封止部、13b:流出端部側目封止部、14:外周壁、15a:端部(流入端部)、15b:端部(流出端部)、20:捕集層、40:ハニカム基材、40a:流入側(ハニカム基材の流入側)、40b:流出側(ハニカム基材の流出側)、43:空気、45:ブロワ、46:捕集層形成原料、47:原料供給器、48:エジェクタ、101:ハニカム構造体、111:セル、111a:セル(流入セル)、111b:セル(流出セル)、112:隔壁、113:目封止部、113a:目封止部(流入端部側目封止部)、113b:目封止部(流出端部側目封止部)、115a:端部(流入端部)、115b:端部(流出端部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスの流路となる一方の端部から他方の端部まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム基材と、
所定の前記セルの排ガス流入側の開口端部と残余の前記セルの排ガス流出側の開口端部とに配設された目封止部と、
前記排ガス流入側の開口端部が開口した流入セルを区画形成する側の前記隔壁の表面に膜状に配設された多孔質の捕集層と、を備え、
前記捕集層は、セラミックスからなる骨材粒子と、前記骨材粒子どうしを結合する結合部と、を有し、且つ、
前記結合部の少なくとも一部の融点が、複数の前記骨材粒子のうちの少なくとも一の骨材粒子の融点よりも高いものであるハニカム構造体。
【請求項2】
前記結合部の少なくとも一部の融点が、複数の前記骨材粒子のうちの全ての骨材粒子の融点よりも高いものである請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記結合部の全部の融点が、複数の前記骨材粒子のうちの少なくとも一の骨材粒子の融点よりも高いものである請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記結合部の融点が700〜3000℃である請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記結合部が、前記骨材粒子に含まれるルイス塩基と、前記結合部に含まれるルイス酸と、が反応して生成した塩を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記塩が、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩素酸塩、シュウ酸塩、及びヨウ素酸塩からなる群より選択される少なくとも一種である請求項5に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記塩が、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム、及びバリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む塩である請求項5又は6に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記塩が、リン酸アルミニウムである請求項5〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記骨材粒子がコージェライトからなる微粒子である請求項1〜8のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記ハニカム基材がコージェライトからなる請求項1〜9のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記捕集層は、前記隔壁の細孔よりも平均細孔径が小さい細孔を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項12】
前記捕集層を構成する前記骨材粒子と、前記ハニカム基材の前記隔壁とが前記結合部によって結合され、前記排ガス流入側の開口端部が開口した流入セル内の隔壁の表面に前記捕集層が配設されている請求項1〜11のいずれか一項に記載のハニカム構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206061(P2012−206061A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75379(P2011−75379)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】