説明

ハニカム構造体

【課題】支持する平面をハニカム構造体を構成する六角形の開口縁でライン状に支持する。
【解決手段】ハニカム構造体は、両面にハニカム形状の開口縁を有し、この開口縁は、互いに平行に配置している平行縁3をジグザグ状の山形縁4で連結する形状として六角形のハニカム形状を形成している。ハニカム構造体は、対向するふたつの平行縁3の内側に、平行縁3から中央に向かって下り勾配に傾斜する2傾斜面1を連結して、2傾斜面1の中央の底ラインで反対面にあるハニカム形状の開口縁の平行縁3を形成している。さらに、ハニカム構造体は、対向する平行縁3に連結してなる山形縁4を、三角形2Xを外周縁で連結してなる四面体であるテトラキューブ2の境界縁2aで形成しており、このテトラキューブ2の他の境界縁2b、2cは、2傾斜面1とテトラキューブ2との境界と、隣接するテトラキューブ2との境界にあって、山形縁4に沿って配列している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物や車両、あるいは道路などにパネルとして使用され、あるいはパネルの芯材として使用されるハニカム構造体に関し、とくに、紙、プラスチック、金属板などを折曲加工して圧縮強度の優れたパネルとして最適なハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカム構造体は、優れた圧縮強度を有することから種々の用途に使用される。とくに、紙製のハニカム構造体は軽くて優れた圧縮強度を示す特徴がある。ただ、ハニカム構造体は、厚くなると、表面に平行な方向の力に対して変形しやすくなる欠点がある。このため、厚いパネルの芯材に使用されるハニカム構造体は、薄いハニカム構造体を多層構造に積層する必要があり、形状が複雑で製造コストが高くなる欠点がある。また、ハニカム構造体は、両面を開口する形状とするので、内部を閉鎖構造とするには、表面板を固定する必要がある。すなわち、表面板を使用しない状態では、パネルとして使用できない欠点がある。
【0003】
このような欠点を解消するために、種々のパネル構造が開発されている。(特許文献1ないし4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−76766号公報
【特許文献2】特開2006−116830号公報
【特許文献3】特開平3−93513号公報
【特許文献4】特開平10−166481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、紙などで製作される立体トラス構造面版組立体が記載され、特許文献2は紙構造体が記載される。これ等の構造体は、ハニカム構造体のように両面を開口しないので、表面板を固定することなくパネルとして使用できる。また、三角形の紙面などで支持するので、圧縮強度を強くできる。ただ、これ等の構造体は、表面板を固定し、あるいは平面で支持する状態で、ハニカム構造体のようにライン状に支持ができず、支持が局部的になって、支持部に力が集中して変形しやすい欠点がある。
【0006】
特許文献3の構造体は、表面板や支持する平面をライン状に支持できるが、構造が極めて複雑で製造コストが高くなる欠点がある。特許文献4の構造体は、形状を比較的簡単にできるが、支持が局部的になって支持力が集中して変形しやすい欠点がある。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、ハニカム構造体に勝るとも劣らない圧縮強度を実現することに加えて、圧縮強度の限界を超える圧力に対してもその支持力が急激に低下することがなく、さらに表面に平行なスラスト方向に作用する力に対する強度も優れるハニカム構造体を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の大切な目的は、表面板や支持する平面をハニカム構造体を構成する六角形の開口縁でライン状に支持でき、また、片面に表面板を固定して内部に閉鎖空間を設けることができるハニカム構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明のハニカム構造体は、両面にハニカム形状の開口縁を有しており、このハニカム形状を構成している六角形の開口縁は、互いに平行に配置している平行縁3をジグザグ状の山形縁4で連結する形状として平行縁3と山形縁4とで六角形のハニカム形状を形成している。さらに、ハニカム構造体は、対向するふたつの平行縁3の内側に、平行縁3から内側に延び、かつ中央に向かって下り勾配に傾斜する2傾斜面1を連結しており、2傾斜面1の中央の底ラインが反対面にあるハニカム形状の開口縁の対向する平行縁3を形成している。さらに、ハニカム構造体は、対向する平行縁3に連結してなる山形縁4を、三角形2Xを外周縁で連結してなる四面体であるテトラキューブ2の境界縁2aで形成しており、さらに、このテトラキューブ2の他の境界縁2b、2cは、2傾斜面1とテトラキューブ2との境界と、隣接するテトラキューブ2との境界にあって、山形縁4に沿って複数列に配列している。
【0010】
以上のハニカム構造体は、従来のハニカム構造体よりも優れた圧縮強度を実現することに加えて、圧縮強度の限界を超える圧力に対してもその支持力が急激に低下することがなく、さらに表面に平行なスラスト方向に作用する力に対する強度にも優れる特徴がある。それは、以上のハニカム構造体が、従来のように圧縮強度に対する垂直壁のみで構成されず、ハニカム形状の平行縁を2傾斜面で支持して、山形縁を三角形の四面体からなるテトラキューブで支持するからである。テトラキューブは極めて強靭な圧縮強度を実現し、その間に配置している平行縁は、2傾斜面で弾性変形できる状態で圧縮力を支持する。このため、優れた圧縮強度を実現することに加えて、変形する状態にあっても優れた圧縮強度を失わない特徴がある。さらに、従来のように垂直壁のみで圧縮強度を支持するのではなく、2傾斜面とテトラキューブとで圧縮強度を支持するので、スラスト方向の力に対する強度をも著しく向上できる特徴がある。テトラキューブと2傾斜面の両方が、スラスト方向の力を強固に支持できるからである。
【0011】
図22と図23は、本発明のハニカム構造体と従来のハニカム構造体の強度試験の結果を示すグラフである。図22はハニカム構造体の厚さ方向に対する圧縮強度を、図23はハニカム構造体のスラスト方向の力に対する強度をそれぞれ示している。ここで、強度の測定には、本発明のハニカム構造体として、図1に示す構造のものを使用し、従来のハニカム構造体として、図24に示す構造のものを使用した。さらに、厚さ方向に対する圧縮強度の測定においては、各ハニカム構造体に、ハニカム形状を構成する六角形の開口縁の対角線(セルの1辺)を15mmとし、高さ(厚さ)を16mmとするものを使用し、各ハニカム構造体を両面から圧縮して、厚さ方向の変位に対する荷重を測定した。また、スラスト方向の力に対する強度の測定においては、各ハニカム構造体に、ハニカム形状を構成する六角形の開口縁の対角線(セルの1辺)を20mmとし、高さ(厚さ)を21mmとするものを使用し、各ハニカム構造体の両面にプレート面積50mm×110mmのプレートを接着(接着面積は50mm×75mm)して、各々のプレートに逆方向の荷重をかけてスラスト方向の変位に対する荷重を測定した。
【0012】
ハニカム構造体の厚さ方向に対する圧縮強度は、図22に示すように、本発明のハニカム構造体(曲線Aで示す)では、最大荷重が22.8kN(圧縮方向の変位2.4mm)に対して、従来のハニカム構造体(曲線Bで示す)では、最大荷重が13.7kN(圧縮方向の変位2.5mm)であった。また、圧縮方向の変位が5.0mmとなる荷重は、本発明のハニカム構造体では約20kNだったのに対し、従来のハニカム構造体では約12kNであった。図22からもわかるように、本発明のハニカム構造体は、従来のハニカム構造体の1.5倍以上の優れた圧縮強度を示した。また、ハニカム構造体のスラスト方向の力に対する強度においては、図23に示すように、スラスト方向の変位が5.0mmとなる荷重が、従来のハニカム構造体(曲線Dで示す)では約0.24kNだったのに対し、本発明のハニカム構造体(曲線Cで示す)では約0.37kNとなり、従来のハニカム構造体の1.5倍以上の優れた強度を示した。以上の結果からもわかるように、本発明のハニカム構造体は、従来のハニカム構造体よりも優れた圧縮強度を有すると共に、スラスト方向の力に対する強度も著しく向上できることがわかる。
【0013】
スラスト方向の強度に優れることから、以上のハニカム構造体は、一枚で厚くできる特徴がある。従来のハニカム構造体は、厚くすると特にスラスト方向の強度が著しく低下するので、厚さが要求されるものは、多層のハニカム構造体を積層する複雑な構造とする必要があった。ところが、以上のハニカム構造体は、スラスト方向にも強靭で変形し難いので、一枚で厚くして、すなわち簡単な構造としながら、圧縮強度とスラスト方向の強度の両方に優れる特徴が実現される。
【0014】
さらに、以上のハニカム構造体は、表面板や支持する平面をハニカム構造体を構成する六角形の開口縁でライン状に支持でき、また、片面に表面板を固定して内部に閉鎖空間を設けることもできる特徴も実現する。
【0015】
本発明のハニカム構造体は、2傾斜面1とテトラキューブ2とを、紙、プラスチック、金属板、不織布の何れかとすることができる。
【0016】
本発明のハニカム構造体は、ハニカム形状の開口縁を平面上に位置させることができる。
以上のハニカム構造体は、表面に板材やシート材を配置して、これを平面状にできる特徴がある。
【0017】
本発明のハニカム構造体は、平行縁3と直交する方向に延びる複数列のハニカム構造列10に分割することができる。各々のハニカム構造列10は、2傾斜面1とその両側に位置するテトラキューブ2の一部又は全体を含み、複数列のハニカム構造列10を連結して、多列のハニカム構造体を構成することができる。
以上のハニカム構造体は、複数列のハニカム構造列を多量生産し、これを連結して所定の幅の板状に加工することができる。
【0018】
本発明のハニカム構造体は、複数列のハニカム構造列10を、線接着して連結することができる。
【0019】
本発明のハニカム構造体は、複数列のハニカム構造列10を、連結シート11を介して連結することができる。
【0020】
本発明のハニカム構造体は、両面に位置する2枚のプレート20を積層して、2傾斜面1とテトラキューブ2とを形成することができる。
以上のハニカム構造体は、2枚のプレートをプレス加工や成形で能率よく製作し、これを積層することで、簡単かつ容易に、大きなハニカム構造体を多量生産できる特徴がある。
【0021】
本発明のハニカム構造体は、開口縁に表面材6を接着することができる。
以上のハニカム構造体は、開口縁に表面材を接着することで、圧縮強度をさらに高めながら、内部に閉鎖空間を設けることができる。
【0022】
本発明のハニカム構造体は、ハニカム形状の内側と表面材6との間に、支持体7を配置することができる。
以上のハニカム構造体は、支持体によって耐圧縮強度をさらに向上でき、また、支持体の特性によって圧縮された状態における弾性などもコントロールできる。
【0023】
本発明のハニカム構造体は、支持体7を球形として、球形の支持体7を2傾斜面1に接触し、又は接近する外径とすることができる。
以上のハニカム構造体は、球形の支持体によって2傾斜面を変形させながら圧縮に対する強度を向上できる。
【0024】
本発明のハニカム構造体は、支持体7を柱状とすることができる。
以上のハニカム構造体は、柱状の支持体によって2傾斜面1を線状ないし面状に支持して圧縮に対する強度を向上できる。
【0025】
本発明のハニカム構造体は、ハニカム形状の内側と表面材6との間に、活性炭、吸湿剤、脱臭剤、芳香剤、モルタル、粘土、無機質充填材のいずれかを配置することができる。
以上のハニカム構造体は、活性炭、吸湿剤、脱臭剤、芳香剤、モルタル、粘土、無機質充填材などを簡単に定位置に配置して、これらの機能を有効に発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例にかかるハニカム構造体の斜視図である。
【図2】図1に示すハニカム構造体の2傾斜面とテトラキューブとを示す分解斜視図である。
【図3】図1に示すハニカム構造体を構成するハニカム構造列の一例を示す分解斜視図である。
【図4】連結シートの一例を示す展開図である。
【図5】ハニカム構造列を製造する帯状シートの一例を示す展開図である。
【図6】図5に示す帯状シートで製造されるハニカム構造列を示す斜視図である。
【図7】ハニカム構造列を製造する帯状シートの他の一例を示す展開図である。
【図8】ハニカム構造列を製造する帯状シートの他の一例を示す展開図である。
【図9】図7に示す帯状シートで製造されるハニカム構造列を示す斜視図である。
【図10】図9に示すハニカム構造列の連結構造を示す分解斜視図である。
【図11】図10に示すハニカム構造列を連結してなるハニカム構造体の斜視図である。
【図12】図8に示す帯状シートで製造されるハニカム構造列を示す斜視図である。
【図13】図12に示すハニカム構造列の連結構造を示す分解斜視図である。
【図14】図13に示すハニカム構造列を連結してなるハニカム構造体の斜視図である。
【図15】ハニカム構造列を製造する帯状シートの他の一例を示す展開図である。
【図16】図15に示す帯状シートで製造されるハニカム構造列を示す斜視図である。
【図17】図1に示すハニカム構造体を2枚のプレートで構成する一例を示す分解斜視図である。
【図18】本発明の他の実施例にかかるハニカム構造体の分解斜視図である。
【図19】図18に示すハニカム構造体の断面図である。
【図20】本発明の他の実施例にかかるハニカム構造体の分解斜視図である。
【図21】本発明の他の実施例にかかるハニカム構造体の断面図である。
【図22】ハニカム構造体の厚さ方向に対する圧縮強度を示すグラフである。
【図23】ハニカム構造体のスラスト方向の力に対する強度を示すグラフである。
【図24】従来のハニカム構造体の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのハニカム構造体を例示するものであって、本発明はハニカム構造体を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0028】
本発明のハニカム構造体は、建物や車両、道路などにパネルとして使用され、あるいは、建物の壁や床等の芯材、内部に閉鎖空間を有するパネルや各種構造物の芯材として使用される。このハニカム構造体は、紙、プラスチック、金属板、不織布のいずれかからなる薄板を所定の立体形状に加工して成形される。以下、本発明のハニカム構造体の構造について詳述する。
【0029】
図1に示すハニカム構造体は、所定の厚さを有する板状に成形されており、その両面に、開口縁をハニカム形状とする多数のハニカム凹部5を規則正しくハニカム状に配列して設けている。図のハニカム構造体は、互いに隣接するハニカム凹部5の開口縁同士を共有するように連結して、両面にハニカム形状の開口縁を設けている。ハニカム形状を構成する六角形の開口縁は、互いに平行に配置している平行縁3をジグザグ状の山形縁4で連結する形状として、平行縁3と山形縁4とで六角形のハニカム形状を形成している。平行縁3と山形縁4とで形成されるハニカム状の開口縁は、同一平面上に位置するようにハニカム構造体の両面に設けている。
【0030】
ハニカム構造体の両面に形成される多数のハニカム凹部5は、対向するふたつの平行縁3の内側に設けている2傾斜面1と、この2傾斜面1の両側の側縁に連結されて、ジグザグ状の山形縁4を形成する複数のテトラキューブ2で形成している。
【0031】
2傾斜面1は、図2に示すように、対向するふたつの平行縁3の内側に、平行縁3から内側に延びると共に、中央に向かって下り勾配に傾斜する形状としている。図の2傾斜面1は、合同な2個の長方形1XをV字状に連結してなる形状としている。この2傾斜面1の中央の底ラインは、反対面にあるハニカム形状の開口縁の対向する平行縁3を形成している。2個の長方形1Xからなる2傾斜面1は、V字の上端と下端に位置する長方形1Xの第1の辺で平行縁3を構成すると共に、2傾斜面1の両側に位置する長方形1Xの第2の辺でテトラキューブ2との境界縁2bを構成している。ハニカム構造体は、隣接する2傾斜面1の対向する平行縁3同士を互いに連結して、多数の2傾斜面1を平行縁3と直交する方向に延長している。
【0032】
テトラキューブ2は、三角形2Xを外周縁で連結した四面体であって、その境界縁2aで、対向する平行縁3に連結してなる山形縁4を形成すると共に、他の境界縁2cで、互いに隣接するテトラキューブ2同士を連結しており、さらに他の境界縁2bを、2傾斜面1の側縁に連結している。四面体であるテトラキューブ2は、山形縁4を形成する、図2において上下に位置するふたつの境界縁2aと、2傾斜面1の側縁に連結されるふたつの境界縁2bと、互いに隣接するテトラキューブ2同士を連結するふたつの境界縁2cとを備えており、ふたつの境界縁2aを上下のねじれの位置に配置すると共に、ふたつの境界縁2bを左右のねじれの位置に配置し、ふたつの境界縁2cを前後のねじれの位置に配置している。なお、この明細書において、上下方向は、ハニカム構造体の厚さ方向であって、図における上下方向を意味し、左右方向は平行縁3の延長方向を意味し、前後方向は、平行縁3と直交する方向であって、互いに連結される2傾斜面1の延長方向を意味するするものとする。テトラキューブ2の上下に配置されるふたつの境界縁2aは、ハニカム構造体の上下の両面に位置して、ハニカム構造体の両面に形成される開口縁の山形縁4を構成している。テトラキューブ2の左右に配置されるふたつの境界縁2bは、テトラキューブ2の左右方向に隣接して配置される2列の2傾斜面1の側縁に各々連結している。テトラキューブ2の前後に配置されるふたつの境界縁2cは、互いに隣接するテトラキューブ2同士を連結して、複数のテトラキューブ2をジグザグ状の山形縁4に沿って前後方向に配列している。
【0033】
図2のテトラキューブ2は、合同な4個の三角形2Xを互いに連結して四面体を形成している。4個の合同な三角形2Xは、長さの等しい辺を互いに連結すると共に、ねじれの位置にある辺の長さが等しくなるようにして四面体を形成している。4個の三角形2Xからなるテトラキューブ2は、山形縁4となる境界縁2aを三角形2Xの第1の辺で構成し、2傾斜面1に連結される境界縁2bを三角形2Xの第2の辺で構成し、さらに、隣接するテトラキューブ2との境界縁2cを三角形2Xの第3の辺で構成している。このテトラキューブ2は、四面体を構成する4個の三角形2Xの第1の辺と第2の辺と第3の辺の長さの比を調整して、ハニカム形状である六角形の開口縁の形状、例えば、対向する平行縁3の間隔や、山形縁4の折曲角等を調整できる。
【0034】
以上のハニカム構造体は、山形縁4に沿って前後方向に連結してなる複数列のテトラキューブ2と、平行縁3と直交する前後方向に延長してなる複数列の2傾斜面1とを左右方向に交互に配列して互いに連結する構造としている。山形縁4に沿って延びるテトラキューブ2の両側に連結される2列の2傾斜面1は、互いに半ピッチずらして連結している。
【0035】
以上のように、複数の2傾斜面1とテトラキューブ2とで構成されるハニカム構造体は、2傾斜面1を構成する2個の長方形1Xと、2傾斜面1の一方の側縁に連結してなる2個の三角形2Xと、2傾斜面1の他方の側縁に連結してなる2個の三角形2Xとからなる6つの面でハニカム凹部5を形成している。このハニカム構造体は、両面に形成される多数のハニカム凹部5の形状を等しくできる。さらに、ハニカム構造体の両面に形成される多数のハニカム凹部5の開口縁によって、ハニカム形状である六角形の開口縁を両面に設けている。このハニカム構造体は、両面に位置するハニカム形状の平行縁3を2傾斜面1で支持すると共に、山形縁4を四面体であるテトラキューブ2で支持するので、極めて強靭な圧縮強度を実現できる。
【0036】
以上のハニカム構造体は、2傾斜面1を合同な2つの長方形1Xで構成しているが、2傾斜面は、合同な2つの等脚台形で構成することもできる。この2傾斜面は、等脚台形の互いに平行な短辺と長辺が平行縁となるようにV字状に連結される。このハニカム構造体も、等脚台形からなる複数列の2傾斜面と、山形縁に沿う複数列のテトラキューブとを左右方向に交互に連結して両面にハニカム凹部を形成することができる。このハニカム構造体は、左右方向に複数列に配列される2傾斜面として、平行縁を等脚台形の短辺とする2傾斜面と平行縁を等脚台形の長辺とする2傾斜面とを交互に配列することができる。このハニカム構造体は、複数列に並ぶハニカム凹部の形状が大小を交互に繰り返す配列としながら、ハニカム構造体の両面の形状を等しくできる。このハニカム構造体も、複数列の2傾斜面を連結するテトラキューブとして、4個の合同な三角形を長さの等しい辺で互いに連結してなる四面体とすることができる。
【0037】
さらに、等脚台形からなる2傾斜面を備えるハニカム構造体は、左右方向に複数列に配列される2傾斜面として、一方の面に等脚台形の短辺からなる平行縁を配置し、他方の面に等脚台形の長辺からなる平行縁を配置することもできる。このハニカム構造体は、両面に形成される多数のハニカム凹部を異なる形状とすることができる。このハニカム構造体は、複数列の2傾斜面を連結するテトラキューブを、2組の合同な三角形からなる4個の三角形を長さの等しい辺で互いに連結してなる四面体とする。
【0038】
以上の構造のハニカム構造体は、以下のようにして製造することができる。
図3に示すハニカム構造体は、平行縁3と直交する前後方向に延びる複数列のハニカム構造列10に分割し、複数列のハニカム構造列10をその境界縁2a、2cで互いに連結して、多列のハニカム構造体を構成している。このハニカム構造体は、複数列のハニカム構造列10を多量生産し、これを連結して所定の幅の板状に加工できる。
【0039】
図3に示すハニカム構造体は、各々のハニカム構造列10を、平行縁3と直交する方向に連結してなる複数の2傾斜面1と、その両側に連結してなるテトラキューブ2の一部で構成している。図に示すハニカム構造列10は、2傾斜面1とテトラキューブ2の一部である三角形2Xとで上下に開口される複数のハニカム凹部5を前後方向に連結してなる形状としている。図3に示すハニカム構造列10は、2傾斜面1の両側縁に、表面側(図において上面側)のハニカム凹部5を形成する2個ずつの三角形2Xを連結している。2傾斜面1の側縁に連結される2個の三角形2Xは、互いに隣接する境界縁2c同士で連結されると共に、2傾斜面1との境界となる境界縁2bを2傾斜面1の側縁に連結しており、V字状の2傾斜面1の表側面(図において上側面)と、2傾斜面1の両側に連結してなる2個ずつの三角形2Xとからなる6つの面で表面側のハニカム凹部5を形成している。
【0040】
さらに、図3に示すハニカム構造列10は、互いに連接して連結される2傾斜面1の両側縁に、裏面側(図において下面側)のハニカム凹部5を形成する2個ずつの三角形2Xも連結している。これらの2個の三角形2Xは、互いに隣接する2傾斜面1の側縁に跨って連結されている。隣接する2傾斜面1の側縁に連結される2個の三角形2Xは、互いに隣接する境界縁2c同士で連結されると共に、2傾斜面1との境界縁2bを互いに隣接する2傾斜面1の対向する側縁に連結して、V字状の2傾斜面1の裏側面(図において下側面)と、互いに隣接する2傾斜面1同士の両側縁に跨って連結してなる2個ずつの三角形2Xからなる6つの面で裏面側のハニカム凹部5を形成している。
【0041】
複数列のハニカム構造列10は、互いに対向する山形縁4同士を連結して多列に連結される。互いに隣接するハニカム構造列10同士は、図3に示すように半ピッチずらして連結される。複数列のハニカム構造列10は、互いに対向する山形縁4同士を線接着して互いに連結される。この構造は、最も簡単に、複数列のハニカム構造列10を互いに連結できる。さらに、複数列のハニカム構造列10は、互いに対向する境界縁2c同士も線接着して連結することができる。この構造は、さらに、複数列のハニカム構造列10の連結強度を高くできる。ただ、複数列のハニカム構造列10は、互いに対向する山形縁4同士を連結シートを介して連結することもできる。図4に連結シート11の一例を示す。図に示す連結シート11は、一方の面に接着面を設けた接着テープである。この接着テープは、互いに対向する山形縁4を構成する三角形2X同士を接着面で接着する。図の連結シート11は、一点鎖線で示す折曲ラインで谷折りすると共に、二点鎖線で示す折曲ラインで山折りして、図において裏面側に設けた接着面で隣接する三角形を接着する。この連結シート11は、複数の接着面を折曲ラインで連結してなる一枚のシート状としており、折曲ラインにおいて交互に谷折りと山折りを繰り返して折曲し、互いに対向する山形縁4同士を接着面で連結する。ただ、連結シートは、複数枚の接着テープとして、互いに対向する山形縁同士を個々に連結することもできる。
【0042】
以上のハニカム構造列10は、紙、プラスチック、金属板、不織布のいずれかからなる帯状シートを、所定のパターンに切断した後、折曲と接着によって所定の立体形状に成形する。紙、プラスチック、金属板からなる帯状シートは、折曲ラインにおいて自由に折曲加工できる材質と厚さのものを使用する。不織布からなる帯状シートは、不織布にバインダーを塗布またはスプレーし、あるいは不織布をバインダーを含有する液体に浸漬したものを硬化させてシート状としたものを使用する。紙、プラスチック、金属板、不織布のいずれかからなる帯状シートは、単独で使用することもできるが、異なる材質の帯状シートを多層に積層したものを使用することもできる。
【0043】
ハニカム構造列10を製造する帯状シート12の切断パターンの一例を図5に示す。この図に示す帯状シート12は、2傾斜面1を構成する複数の長方形1Xを、平行縁3となる第1の辺で帯状に連結すると共に、複数の長方形1Xの両側縁には、2個の三角形2Xを連結している。2個の三角形2Xは、対向する境界縁2cで互いに連結すると共に、一方の三角形2Xの境界縁2bを2傾斜面1の側縁に連結し、他方の三角形2Xの境界縁2bには、糊代となる固定片13を連結している。図に示す帯状シート12のパターンは、切断ラインを実線で、谷折りする折曲ラインを一点鎖線で、山折りする折曲ラインを二点鎖線で表示している。さらに、図に示す帯状シート12のパターンは、糊代となる固定片13のうち、その表面で接着される接着面をクロスハッチングで示すと共に、裏面において接着される接着部を破線のハッチングで示している。
【0044】
この図に示す帯状シート12は、以下のようにして裁断及び折曲すると共に、固定片13を所定の位置に接着してハニカム構造列10とする。
(1)図5において、太線の実線で示す切断ラインにおいて帯状シート12を裁断する。
(2)中央部に位置する複数の長方形1Xを互いの境界縁である折曲ラインで所定の方向に折曲して平行縁3を形成する。複数の長方形1Xは、谷折りと山折りとが交互に繰り返されて複数の2傾斜面1が形成される。
(3)2傾斜面1の両側に連結してなる2枚の三角形2Xを互いの境界縁2b、2cである折曲ラインで所定の方向に折曲する。2枚の三角形2Xからなる四角形が、交互に逆方向に折曲されて、一方が上面側のハニカム凹部を形成し、他方が下面側のハニカム凹部を形成する。
(4)図5において、A(n+1)B(n+1)がB(n)B(n+1)に重なるように、固定片13である四角形A(n)A(n+1)B(n+1)F(n)を四角形A(n)B(n)B(n+1)F(n)に貼り合わせる。同様に、E(n+1)D(n+1)がD(n)D(n+1)に重なるように、固定片13である四角形E(n)E(n+1)D(n+1)G(n)を四角形E(n)D(n)D(n+1)G(n)に貼り合わせる。このとき、nが奇数の場合には、四角形の表面同士を接着し、nが偶数の場合には、四角形の裏面同士を接着する。
(5)以上のようにして、図6に示すハニカム構造列10が製造される。なお、図6に示すハニカム構造列10は、その構造をわかりやすくするために、帯状シート12の表側面に相当する部分を灰色で表示して、裏側面に相当する部分を白色で表示している。
【0045】
以上のようにして製造されたハニカム構造列10は、複数列を互いに連結してハニカム構造体とする。図6に示すハニカム構造列10は、互いに対向する山形縁4同士を連結して多列に連結される。複数列のハニカム構造列10は、互いに対向する山形縁4同士が、例えば、図4に示す連結シート11を介して互いに連結され、あるいは、複数枚の接着テープを介して互いに連結されてハニカム構造体となる。
【0046】
さらに、ハニカム構造列10を製造する帯状シート12は、図7や図8に示すパターンとすることもできる。これらの図に示す帯状シート12は、2傾斜面1の側縁に三角形2Xの境界縁2bを連結するための糊代となる固定片13に加えて、隣接して配置されるハニカム構造列10同士を互いに連結するための糊代となる連結片14を設けている。図7と図8に示す帯状シート12は、2傾斜面1を構成する複数の長方形1Xを、平行縁3となる第1の辺で帯状に連結すると共に、複数の長方形1Xの両側縁には、2個の三角形2Xを連結している。2個の三角形2Xは、対向する境界縁2cで互いに連結すると共に、一方の三角形2Xの境界縁2bを2傾斜面1の側縁に連結し、他方の三角形2Xの境界縁2bには、糊代となる固定片13を連結し、さらに、固定片13を連結している三角形2Xの境界縁2aには、糊代となる連結片14を連結している。
【0047】
ここで、図7に示す帯状シート12は、長方形1Xの両側縁に連結される2個の三角形2Xと固定片13と連結片14とを、長方形1Xの中心線mを対称の軸とする線対称な形状となるように設けている。また、図8に示す帯状シート12は、長方形1Xの両側縁に連結される2個の三角形2Xと固定片13と連結片14とを、長方形1Xの1片である平行縁3の中点を対称の中心とする点対称な形状となるように設けている。
【0048】
図7と図8に示す帯状シート12は、長方形1Xの側縁に連結される2個の三角形2Xと固定片13と連結片14の全体形状を平行四辺形としている。この帯状シート12は、図7においては、H(n)B(n+1)とI(n)D(n+1)で示す部分を切断して、また、図8においては、H(n)B(n+1)とI(n)D(n)で示す部分を切断して、三角形2Xに固定片13と連結片14とを設けることができる。このため、切断ラインを直線状として、簡単に裁断して加工できる特徴がある。図7と図8に示す帯状シート12は、三角形2Xの境界縁2bに連結される固定片13と、三角形2Xの境界縁2aに連結される連結片14を、ともに三角形状としているが、固定片と連結片は四角形状とすることもできる。
【0049】
図7と図8に示す帯状シート12は、切断ラインで裁断されると共に、折曲ラインで所定の向きに折曲され、さらに、固定片13を所定の位置に接着してハニカム構造列10が製造される。なお、図7と図8に示す帯状シート12のパターンは、切断ラインを実線で、谷折りする折曲ラインを一点鎖線で、山折りする折曲ラインを二点鎖線で表示している。さらに、図7と図8に示す帯状シート12のパターンは、固定片13と連結片14のうち、その表面で接着される接着面をクロスハッチングで示すと共に、裏面において接着される接着部を破線のハッチングで示している。
【0050】
図7に示す帯状シート12のは、以下のようにしてハニカム構造列10とする。
(1)図7において、太線の実線で示す切断ラインにおいて帯状シート12を裁断する。
(2)中央部に位置する複数の長方形1Xを互いの境界縁である折曲ラインで所定の方向に折曲して平行縁3を形成する。複数の長方形1Xは、谷折りと山折りとが交互に繰り返されて複数の2傾斜面1が形成される。
(3)2傾斜面1の両側に連結してなる2枚の三角形2Xを互いの境界縁2b、2cである折曲ラインで所定の方向に折曲する。2枚の三角形2Xからなる四角形が、交互に逆方向に折曲されて、一方が上面側のハニカム凹部を形成し、他方が下面側のハニカム凹部を形成する。
(4)図7において、A(n+1)B(n+1)がB(n)B(n+1)に重なるように、固定片13である三角形H(n)A(n+1)B(n+1)を四角形A(n)B(n)B(n+1)F(n)に貼り合わせる。同様に、E(n+1)D(n+1)がD(n)D(n+1)に重なるように、固定片13である三角形I(n)E(n+1)D(n+1)を四角形E(n)D(n)D(n+1)G(n)に貼り合わせる。このとき、nが奇数の場合には、固定片13の表面を、四角形A(n)B(n)B(n+1)F(n)の表面及び四角形E(n)D(n)D(n+1)G(n)の表面に接着し、nが偶数の場合には、固定片13の裏面を、四角形A(n)B(n)B(n+1)F(n)の裏面及び四角形E(n)D(n)D(n+1)G(n)の裏面に接着する。
(5)以上のようにして、図9に示すハニカム構造列10が製造される。このハニカム構造列10は、各ハニカム凹部5の開口縁において、2傾斜面2に対して線対称の位置に連結片14が設けられる。なお、図9に示すハニカム構造列10は、その構造をわかりやすくするために、帯状シート12の表側面に相当する部分を灰色で表示して、裏側面に相当する部分を白色で表示している。
【0051】
以上のようにして製造されたハニカム構造列10は、図10に示すように、複数列を互いに連結してハニカム構造体とする。互いに隣接するハニカム構造列10同士は、図10に示すように、表面(図において灰色で表示)側を上向きとする姿勢で半ピッチずらして配置され、互いに対向する境界縁2a同士を連結して多列に連結される。互いに隣接するハニカム構造列10は、図10に示すように、対向する境界縁2aのいずれか一方に連結片14が配置される。互いに隣接するハニカム構造列10同士は、図の上面側において、一方の境界縁2aに設けた連結片14の裏面を対向する三角形2Xの表面に接着して対向する境界縁2a同士が連結されると共に、図の下面側において、一方の境界縁2aに設けた連結片14の表面を、対向する三角形2Xの裏面に接着して対向する境界縁2a同士が連結される。以上の工程で、図11に示す構造のハニカム構造体が製造される。
【0052】
さらに、図8に示す帯状シート12は、以下のようにしてハニカム構造列10とする。
(1)図8において、太線の実線で示す切断ラインにおいて帯状シート12を裁断する。
(2)中央部に位置する複数の長方形1Xを互いの境界縁である折曲ラインで所定の方向に折曲して平行縁3を形成する。複数の長方形1Xは、谷折りと山折りとが交互に繰り返されて複数の2傾斜面1が形成される。
(3)2傾斜面1の両側に連結してなる2枚の三角形2Xを互いの境界縁2b、2cである折曲ラインで所定の方向に折曲する。2枚の三角形2Xからなる四角形が、交互に逆方向に折曲されて、一方が上面側のハニカム凹部を形成し、他方が下面側のハニカム凹部を形成する。
(4)図8において、A(n+1)B(n+1)がB(n)B(n+1)に重なるように、固定片13である三角形H(n)A(n+1)B(n+1)を四角形A(n)B(n)B(n+1)F(n)に貼り合わせる。同様に、E(n+1)D(n+1)がD(n+2)D(n+1)に重なるように、固定片13である三角形I(n+1)E(n+1)D(n+1)を四角形E(n+2)D(n+2)D(n+1)G(n+1)に貼り合わせる。このとき、nが奇数の場合には、固定片13の表面を、四角形A(n)B(n)B(n+1)F(n)の表面及び四角形E(n+2)D(n+2)D(n+1)G(n+1)の表面に接着し、nが偶数の場合には、固定片13の裏面を、四角形A(n)B(n)B(n+1)F(n)の裏面及び四角形E(n+2)D(n+2)D(n+1)G(n+1)の裏面に接着する。
(5)以上のようにして、図12に示すハニカム構造列10が製造される。このハニカム構造列10は、各ハニカム凹部5の開口縁において、点対称の位置に連結片14が設けられる。なお、図12に示すハニカム構造列10は、その構造をわかりやすくするために、帯状シート12の表側面に相当する部分を灰色で表示して、裏側面に相当する部分を白色で表示している。
【0053】
以上のようにして製造されたハニカム構造列10は、図13に示すように、複数列を互いに連結してハニカム構造体とする。互いに隣接するハニカム構造列10同士は、図13に示すように、表面(図において灰色で表示)側と裏面(図において白色で表示)側とを交互に上向きとする姿勢で半ピッチずらして配置され、互いに対向する境界縁2a同士を連結して多列に連結される。互いに隣接するハニカム構造列10は、図13に示すように、対向する境界縁2aのいずれか一方に連結片14が配置される。互いに隣接するハニカム構造列10同士は、一方の境界縁2aに設けた連結片14が、連結片を設けていない三角形2Xに接着されて、対向する境界縁2a同士が連結される。以上の工程で、図14に示す構造のハニカム構造体が製造される。
【0054】
さらに、図8に示すパターンの帯状シート12は、図15に示すように、A(n+1)B(n+1)とE(n+1)D(n+1)を、nが奇数の場合には谷折りし、nが偶数の場合には山折りして、糊代である三角形の固定片13を2傾斜面1を形成する長方形1Xに接着することもできる。なお、図15に示す帯状シート12のパターンは、切断ラインを実線で、谷折りする折曲ラインを一点鎖線で、山折りする折曲ラインを二点鎖線で表示している。さらに、図15に示す帯状シート12のパターンは、固定片13と連結片14のうち、その表面で接着される接着面をクロスハッチングで示すと共に、裏面において接着される接着部を破線のハッチングで示している。
【0055】
図15の帯状シート12は、前述の(4)の工程において、A(n+1)B(n+1)がB(n)B(n+1)に重なるように、固定片13である三角形H(n)A(n+1)B(n+1)を四角形D(n)B(n)B(n+1)D(n+1)に貼り合わせると共に、E(n+1)D(n+1)がD(n+2)D(n+1)に重なるように、固定片13である三角形I(n+1)E(n+1)D(n+1)を四角形B(n+2)D(n+2)D(n+1)B(n+1)に貼り合わせる。このとき、nが奇数の場合には、固定片13の裏面を長方形1Xの表面に接着し、nが偶数の場合には、固定片13の表面を長方形1Xの裏面に接する。これにより、図16に示すハニカム構造列10が製造される。なお、図16に示すハニカム構造列10も、その構造をわかりやすくするために、帯状シート12の表側面に相当する部分を灰色で表示して、裏側面に相当する部分を白色で表示している。このハニカム構造列10も、図13と同様に、互いに隣接するハニカム構造列10同士を、表面(図において灰色で表示)側と裏面(図において白色で表示)側とを交互に上向きとする姿勢で半ピッチずらして配置すると共に、互いに対向する境界縁2a同士を連結してハニカム構造体とする。
【0056】
以上のハニカム構造列10は、2傾斜面1の両側縁にテトラキューブ2の一部である三角形2Xを連結しているが、ハニカム構造列は、図示しないが、2傾斜面の一方の側縁に、テトラキューブの全体を連結してなる構造とすることもできる。このハニカム構造列は、互いに対向する2傾斜面の側縁とテトラキューブの境界縁とを連結して、複数列のハニカム構造列を連結して多列のハニカム構造体を構成することができる。
【0057】
さらに、ハニカム構造体は、図17に示すように、両面に位置する2枚のプレート20を積層して2傾斜面1とテトラキューブ2とを形成することもできる。このハニカム構造体は、紙、プラスチック、金属板、不織布のいずれかからなる基材プレートをプレス成形して、所定の形状に加工し、プレス成形された2枚のプレートを互いに積層して2傾斜面1とテトラキューブ2からなるハニカム構造体を製造する。紙、プラスチック、金属板からなる基材プレートには、プレス成形によって折曲加工できる材質と厚さのものを使用する。不織布からなる基材プレートは、不織布にバインダーを塗布またはスプレーし、あるいは不織布をバインダーを含有する液体に浸漬したものを硬化させてシート状とした基材プレートを使用する。さらに、紙製の基材プレートも、表面にバインダーを塗布またはスプレーし、あるいはバインダーを含有する液体に浸漬したものを硬化させることによって、強度を向上できる。
【0058】
以上の基材プレートは、プレス型でプレス成形されて、ハニカム状に配列された多数のハニカム凹部5が形成される。プレス成形されるハニカム凹部5は、2傾斜面1とこの両側に連結されるテトラキューブ2の上面となる2個ずつの三角形2Xで構成される。したがって、このプレート20を成形するプレス型は、図示しないが、ハニカム凹部5の内形に沿う複数の成形凸部をハニカム状に設けてなるプレス凸型と、ハニカム凹部5の裏面側に位置して、ハニカム凹部5の裏面側の形状に沿う成形凹部をハニカム状に設けてなるプレス凹型とで構成する。基材プレートは、プレス凸型とプレス凹型とで挟着されて所定の凹凸形状にプレス成形される。
【0059】
以上のようにして成形された2枚のプレート20は、ハニカム凹部5の開口縁が互いに逆方向である上方向と下方向とを向く姿勢で互いに積層されてハニカム構造体が形成される。互いに積層される2枚のプレート20は、各々のプレート20の2傾斜面1が裏面において互いに積層されると共に、上下に位置する三角形2Xが境界縁2b、2cで連結されて、テトラキューブ2が形成される。以上のハニカム構造体は、2枚のプレート20をプレス加工や成形で能率よく製作できると共に、これを積層することで、大きなハニカム構造体を能率良く多量生産できる。
【0060】
以上のハニカム構造体は、表面に表面板等を固定することなく、すなわち、表面にハニカム状の開口縁が露出する状態で使用することができる。このハニカム構造体は、規則正しく配列されてなる多数のハニカム形状の開口縁によって、幾何学的な外観のパネルとして意匠性を高めることができる。このハニカム構造体は、単層で使用することもできるが、複数枚を積層して所望の厚さと強度とすることもできる。
【0061】
さらに、ハニカム構造体は、開口縁に表面材を接着することもできる。このハニカム構造体は、開口縁にプレート状の表面材を接着して、ハニカム凹部5の開口縁を表面材で閉塞して内部に閉鎖空間を設けることができる。このハニカム構造体は、プレート状の表面材をハニカム形状の開口縁でライン状に支持して、圧縮強度を強くできる。また、表面に接着した表面材によって外観を平面状として綺麗な外観にできる。
【0062】
さらに、開口縁に表面材を接着してなるハニカム構造体は、図18と図19に示すように、ハニカム凹部5の内側と表面材6との間に支持体7を配置することができる。図に示すハニカム構造体は、表面に形成される多数のハニカム凹部5と表面材6との間に球形の支持体7を配置している。球形の支持体7は、2傾斜面1と表面材6の内面に接触し、又は接近する外径とすることができる。この構造のハニカム構造体は、球形の支持体7によって2傾斜面1を変形させながら圧縮に対する強度を向上できる。球形の支持体7は、ゴムやプラスチックで成形してなる中空の球体として、全体を軽くしながら圧縮強度を向上でき、また、支持体7の特性によって圧縮された状態における弾性などもコントロールできる。
【0063】
さらに、ハニカム凹部5の内側と表面材6との間に配置される支持体7は、柱状とすることができる。図20に示す支持体7は、円柱状としている。この支持体7も2傾斜面1と表面材6の内面に接触し、又は接近する外径とすることができる。この支持体7は、2傾斜面1と表面材7の内面にライン状に接触させながら支持できる特徴がある。さらに、柱状の支持体7は、図21に示すように多角形状の柱体とすることもできる。図に示す支持体7は六角柱としており、対向する側面を2傾斜面1と表面材6の内面に接触し、又は接近する形状としている。以上のハニカム構造体は、柱状の支持体7によって2傾斜面1と表面材7の内面を線状ないし面状に支持して圧縮に対する強度をさらに向上できる。
【0064】
図のハニカム構造体は、両面に形成されるハニカム凹部5と表面材6との間に支持体7を配置しているが、ハニカム構造体は、片側面に形成されるハニカム凹部と表面材との間にのみ支持体を配置することもできる。さらに、図に示すハニカム構造体は、表面に形成される全てのハニカム凹部5に支持体7を配置しているが、支持体は、複数のハニカム凹部の一部に充填することもできる。
【0065】
さらに、ハニカム構造体は、ハニカム凹部の内側と表面材との間に、活性炭、吸湿剤、脱臭剤、芳香剤のいずれかを配置することができる。ハニカム凹部の内側と表面材との間に配置される活性炭、吸湿剤、脱臭剤、芳香剤等の薬剤は、ブロック状として、あるいは粒状に粉砕して充填することができる。さらに、粒状に粉砕された薬剤は、多孔質な容器や通気性に優れた袋に充填して、ハニカム凹部の内側と表面材との間に配置することもできる。さらに、これらの薬剤は、ハニカム凹部の内側と表面材との間に配置される支持体の内部に充填することもできる。薬剤が充填される支持体は、外周面に複数の通気口を開口してこれらの薬剤の効用を発揮できる。
【0066】
さらに、ハニカム構造体は、ハニカム凹部の内側と表面材との間に、モルタル、粘土、無機質充填材のいずれかを配置することもできる。モルタルは、未硬化の状態でハニカム凹部の内部に充填し、その後、硬化させることにより強度を高めることができる。さらに、ハニカム構造体は、芯材としてモルタルに埋設することもできる。また、粘土は、ハニカム凹部の内形に沿う形状として充填し、あるいは、前述の支持体のように球状や柱状に成形して充填することができる。さらに、ハニカム凹部の内側と表面材との間に配置される無機質充填材には、シリカ、アルミナ、セラミックス、天然石等の無機質材を粒状に成形したものが使用でき、あるいは、シリカ繊維、アルミナ繊維、グラスウール、ロックウール等の無機質材からなる繊維材を所定の形状に成形したものが使用できる。このような無機質充填材を充填してなるハニカム構造体は、充填される無機質材の特性に応じて優れた断熱性、吸音性、耐火性等を実現できる。
【0067】
以上のハニカム構造体は、建物や道路のパネルとして単独で使用され、あるいは、建物の壁や床、または各種構造物の芯材として使用される。芯材として使用されるハニカム構造体は、両面に表面プレートを積層して、内部に中空部を有するパネル状に成形される。さらに、ハニカム構造体は、単層で使用することも、複数枚を互いに積層して、複数層のパネルや芯材として使用することもできる。
【符号の説明】
【0068】
1…2傾斜面 1X…長方形
2…テトラキューブ 2X…三角形
2a…境界縁
2b…境界縁
2c…境界縁
3…平行縁
4…山形縁
5…ハニカム凹部
6…表面材
7…支持体
10…ハニカム構造列
11…連結シート
12…帯状シート
13…固定片
14…連結片
20…プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面にハニカム形状の開口縁を有すると共に、このハニカム形状を構成している六角形の開口縁は、互いに平行に配置している平行縁(3)をジグザグ状の山形縁(4)で連結する形状として平行縁(3)と山形縁(4)とで六角形のハニカム形状を形成しており、
対向するふたつの平行縁(3)の内側には、平行縁(3)から内側に延び、かつ中央に向かって下り勾配に傾斜する2傾斜面(1)が連結されて、2傾斜面(1)の中央の底ラインが反対面にあるハニカム形状の開口縁の対向する平行縁(3)を形成しており、
さらに、対向する平行縁(3)に連結してなる山形縁(4)は、三角形(2X)を外周縁で連結してなる四面体であるテトラキューブ(2)の境界縁(2a;2b;2c)で形成され、さらにこのテトラキューブ(2)の他の境界縁(2a;2b;2c)は、前記2傾斜面(1)とテトラキューブ(2)との境界と、隣接するテトラキューブ(2)との境界にあって、山形縁(4)に沿って複数列に配列されてなるハニカム構造体。
【請求項2】
前記2傾斜面(1)と前記テトラキューブ(2)とが、紙、プラスチック、金属板、不織布の何れかである請求項1に記載されるハニカム構造体。
【請求項3】
ハニカム形状の開口縁が平面上に位置する請求項1又は2に記載されるハニカム構造体。
【請求項4】
前記平行縁(3)と直交する方向に延びる複数列のハニカム構造列(10)に分割され、各々のハニカム構造列(10)は、2傾斜面(1)とその両側に位置するテトラキューブ(2)の一部又は全体を含み、複数列のハニカム構造列(10)が連結されて、多列のハニカム構造体を構成している請求項1ないし3のいずれかに記載されるハニカム構造体。
【請求項5】
複数列のハニカム構造列(10)が線接着して連結されてなる請求項4に記載されるハニカム構造体。
【請求項6】
複数列のハニカム構造列(10)が、連結シート(11)を介して連結されてなる請求項4に記載されるハニカム構造体。
【請求項7】
両面に位置する2枚のプレート(20)が積層されて、2傾斜面(1)とテトラキューブ(2)とが形成されてなる請求項1ないし3のいずれかに記載されるハニカム構造体。
【請求項8】
前記開口縁に表面材(6)が接着されてなる請求項1ないし7のいずれかに記載されるハニカム構造体。
【請求項9】
前記ハニカム形状の内側と表面材(6)との間に、支持体(7)を配置している請求項7に記載されるハニカム構造体。
【請求項10】
前記支持体(7)が球形で、球形の支持体(7)が2傾斜面(1)に接触し、又は接近する外径である請求項9に記載されるハニカム構造体。
【請求項11】
前記支持体(7)が柱状である請求項9に記載されるハニカム構造体。
【請求項12】
前記ハニカム形状の内側と表面材(6)との間に、活性炭、吸湿剤、脱臭剤、芳香剤、モルタル、粘土、無機質充填材のいずれかを配置している請求項8ないし11のいずれかに記載されるハニカム構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−52581(P2013−52581A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192176(P2011−192176)
【出願日】平成23年9月3日(2011.9.3)
【出願人】(000116404)阿波製紙株式会社 (19)
【Fターム(参考)】