説明

ハニカム状多孔質体及びその製造方法。

【課題】生体適合性の高いハニカム状多孔質体とその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、1)レシチンと非水溶性ポリマーからなるハニカム状多孔質体、2)水不溶性有機溶媒に非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解した水不溶性有機溶媒溶液を、ガラス製もしくは金属製の基板に塗布して該溶液の薄膜を調製する工程、および該基板上の薄膜から有機溶媒を蒸発させる工程を含む、非水溶性ポリマー物質からなるハニカム状多孔質体の製造方法を提供する。本発明のハニカム状多孔質体は植物由来のレシチンを含み、高い生体適合性を有する。また、水不溶性有機溶媒に非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解した水不溶性有機溶媒溶液において、該溶液の界面張力を調節することで、高品質なハニカム状多孔質体を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
微細な周期構造を持つ構造体は、電子工学、光学およびバイオテクノロジーなどの様々な分野において有用な材料である。電子工学の分野では、電界トランジスタのチャネルの微細化技術に伴って、100nm以下の微細な周期構造を持つ電子材料の作製プロセスが実用化されている(非特許文献1)。光学の分野では、回折格子やフォトニック結晶などの微細な周期構造を持つ構造体が、次世代の光機能素子として注目されている(非特許文献2)。また、光の波長以下の周期構造を有する微細な周期構造を持つ薄膜は、可視光領域で透明であり、光の散乱などを防止する効果が期待される。さらに、近年、再生医療分野においても、微細な周期構造を持つ構造体表面の微細構造が培養細胞の増殖に影響を与えるなどの報告がなされている(非特許文献3)。
【背景技術】
【0002】
微細な周期構造を持つ構造体を作製する従来技術としては、フォトリソグラフィーやソフトリソグラフィー(非特許文献4)などが知られている。この様な方法は、原料となる物質を細かく切断することによって微細な周期構造を持つ構造体を作製するものであり、トップダウン型の作製プロセスと呼ばれる。一般的に、トップダウン型の作製プロセスは分子間結合を切断することを基本としているため、本質的に高エネルギーを必要とする。そのため、このプロセスは多段階の工程を必要とする高コストなプロセスであり、また回折限界など、単純な周期構造を有する構造体を作製する方法としては、解決すべき問題が多い。
【0003】
これに対して、材料を分子レベルから積み上げることで微細な周期構造を有する構造体を作製する試みがなされている。例えば、10nmスケールの微細構造を有する構造体の作製プロセスとして、ブロックコポリマーの相分離が知られている(非特許文献5)。相溶性の異なる2種以上の高分子の末端を共有結合でつなげたブロックコポリマーは、相溶性と各セグメントの長さによって、相分離構造の周期を変化させることができる。しかしながら、この方法も複雑な有機合成プロセスを必要とし、さらに合成できるブロックコポリマーの種類も限られている。
【0004】
他にも、サブミクロンのコロイド微粒子を集積することで2次元、3次元の周期構造を有する構造体を作製する方法(非特許文献6)、これを鋳型にすることでインバースドオパール構造を有する構造体を作製する方法(非特許文献7)が報告されているが、これらの方法には、単一粒径の微粒子を調製しなくてはならず、また、型を取った後に鋳型を分解しなくてはならないなど、様々なプロセス上の問題がある。
【0005】
これらの方法とは異なる原理に基づく方法として、水滴を鋳型として簡便にハニカム状の微細な周期構造を有する構造体(ハニカム状多孔質体)を作製する方法が報告されている(特許文献1)。具体的には、高分子の非水性有機溶媒溶液の表面上に水滴を結露させ、該水滴を鋳型としてハニカム状多孔質体を調製するものである。
【非特許文献1】ゲルジンゲら、IEEEスペクトラム(IEEE Spectrum)1989年、第89巻、第43頁。
【非特許文献2】ノダら、ネイチャー(Nature)、2000年、第407巻、第608頁。
【非特許文献3】チェンら、サイエンス(Science)、1997年、第276巻、1425頁
【非特許文献4】ホワイトサイズら、 Angew. Chem. Int. Ed.,1998年、第37巻、 第550−575頁
【非特許文献5】アルブレヒトら,マクロモレキュール(Macromolecules)、 2002年、第35巻、第8106−8110頁
【非特許文献6】グら、ラングミュア(Langmuir)、第17巻、第6751−6753頁。
【非特許文献7】カルソら、 ラングミュア(Langmuir)、1999年、第15巻、第8276−8281頁
【特許文献1】特開平8−311231
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、水滴を鋳型として微細な周期構造を持つ構造体であるハニカム状多孔質体を製造する方法において、生体適合性に優れるハニカム状多孔質体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、水滴を鋳型とするハニカム状多孔質体の作製方法において、非水溶性ポリマーの水不溶性有機溶媒溶液にレシチンを存在させることによって、生体適合性の高いハニカム状多孔質体を製造できることを見出し、下記の各発明を完成した。
【0008】
(1)レシチンと非水溶性ポリマーからなるハニカム状多孔質体。
【0009】
(2)レシチンと非水溶性ポリマーとの量比が1:1000〜1:1である、(1)に記載のハニカム状多孔質体。
【0010】
(3)水不溶性有機溶媒に非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解した水不溶性有機溶媒溶液を、ガラス製もしくは金属製の基板に塗布して該溶液の薄膜を調製する工程、および該基板上の薄膜から有機溶媒を蒸発させる工程を含む、非水溶性ポリマー物質からなるハニカム状多孔質体の製造方法。
【0011】
(4)水不溶性有機溶媒溶液におけるレシチンの配合量が1×10−6重量%〜10重量%である、(3)に記載の製造方法。
【0012】
(5)水不溶性有機溶媒に非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解した水不
溶性有機溶媒溶液の界面張力が10〜20mN/mである、(3)に記載の製造方法。
【0013】
(6)レシチンが、式(I)ないし式(III)で表される化合物の混合物である、(3)に記載の製造方法。
【0014】
式(I)
【化4】

【0015】
式(II)
【化5】

【0016】
式(III)
【化6】

【0017】
(7)相対湿度30%以上の湿度を有する流速0.1〜100L/分の気流下に薄膜を置いて溶媒の蒸発を行う、(3)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、植物由来のレシチンをハニカム状多孔質体に含ませることで、高い生体適合性を有し、細胞培養基板として好適に利用することができるハニカム状多孔質体を得ることができる。
【0019】
また、水不溶性有機溶媒に非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解した水不溶性有機溶媒溶液においてレシチンの配合量を調節し、該溶液の界面張力を10〜20mN/mとすることで、100μm四方のハニカム状多孔質体における孔径の標準偏差が10%以下の、高品質なハニカム状多孔質体を製造することができる。
【0020】
さらに、溶媒の蒸発を一定の気流下で行うことにより、0.001〜100μmという微細な孔径を有し、かつその孔径の標準偏差が10%以下の、高品質なハニカム状多孔質体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、レシチンと非水溶性ポリマーからなるハニカム状多孔質体に関する。また、本発明は、水不溶性有機溶媒に非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解した水不溶性有機溶媒溶液を、ガラス製もしくは金属製の基板に塗布して該溶液の薄膜を調製する工程、および該基板上の薄膜から有機溶媒を蒸発させる工程を含む、非水溶性ポリマー物質からなるハニカム状多孔質体の製造方法に関する。この方法は、高分子の非水性有機溶媒溶液の表面上に水滴を結露させ、該水滴を鋳型としてハニカム状多孔質体を調製することをその基本とする方法である。
【0022】
本発明におけるハニカム状多孔質体(ハニカム構造体あるいはハニカムシートとも呼ばれる)とは、非水溶性の高分子(ポリマー)でできた多孔性の薄膜であって、膜の垂直方向に向けられたサブミクロンスケールないしミクロンスケールの微少な孔(くぼみを含む)が膜の平面方向に蜂の巣状に(ハニカム状に)設けられているものをいう。孔は膜を垂直方向に貫通していてもよく、また平面方向に存在する周囲の孔と膜の内部で連通していてもよい。この様なハニカム状という規則的な配置で孔が設けられている多孔質の薄膜は、孔の口径、形状あるいは深さなどがまちまちである不規則な孔を有する通常の多孔質体とは全く異なる構造体として理解される。
【0023】
本発明におけるハニカム状多孔質体の形状としては、膜厚が0.01μm〜100μm、好ましくは0.1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜20μmであり、孔径が0.001μm〜100μm、好ましくは0.1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜20μm、特に好ましくは5μm〜10μmである。
【0024】
以下、本発明のハニカム状多孔質体を、その製造方法と共に詳細に説明する。
【0025】
本発明のハニカム状多孔質体を製造する方法の工程の一つは、水不溶性有機溶媒に非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解した水不溶性有機溶媒溶液を調製する工程である。
【0026】
本発明で利用することのできる水不溶性有機溶媒としては、溶媒表面に結露した水滴を保持し得る程度の水不溶性を有し、大気圧下の沸点が0〜150℃、好ましくは10〜50℃であれば、何れも利用可能である。具体的には、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン等の非水溶性のケトン類、二硫化炭素などを挙げることができる。
【0027】
これらの中から、具体的に使用するポリマー(次項で述べる)に対する溶解性を考慮して、適宜選択して使用することができる。
【0028】
本発明で使用する非水溶性ポリマーは、水に不溶性でかつ上記の水不溶性有機溶媒に可溶な、あるいは後述する本願発明で使用される界面活性剤の存在下で同有機溶媒に溶解し得るポリマーであればいずれも使用することができ、製造されるハニカム状多孔質体に期待される機能あるいは特性を与え得るポリマーを、適宜選択して使用することができる。
【0029】
例えば、ポリ乳酸やポリヒドロキシ酪酸のような生分解性ポリマー、脂肪族ポリカーボネート、両親媒性ポリマー、光機能性ポリマー、電子機能性ポリマーなどを挙げることができる。
【0030】
上記の水不溶性有機溶媒と非水溶性ポリマーとの具体的な組み合わせの例としては、例えばポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアルキルシロキサン、ポリメタクリル酸メチルなどのポリアルキルメタクリレートまたはポリアルキルアクリレート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリアルキルアクリルアミド、ポリグリコール酸およびこれらの共重合体よりなる群から選ばれるポリマーに対しては、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、二硫化炭素などの有機溶媒を組み合わせて使用することができる。
【0031】
本発明では、非水溶性ポリマーを、水不溶性有機溶媒に対して0.01g/L〜50g/L、好ましくは0.1g/L〜10g/Lとなる様に溶解して使用すればよく、このポリマー濃度は、製造されるハニカム状多孔質体に求める特性、物性並びに使用する溶媒に応じて、適宜定めることができる。
【0032】
本発明で利用可能なレシチンは、食品や医薬添加剤として広く市販され、また利用可能であるレシチンであればいずれでもよいが、好ましくは式(I)の化合物(レシチン)、式(II)の化合物(ケファリン)及び式(III)の化合物(リポシトール)の混合物であるレシチンを使用する。
【0033】
式(I)
【化7】

【0034】
式(II)
【化8】

【0035】
式(III)
【化9】

【0036】
化式(I)、化式(II)及び化式(III)の各化合物の混合物全体に対する量比は、それぞれ最低1%〜最大98%、より好ましくは最低10%〜最大80%であればよい。
【0037】
本発明は、水不溶性有機溶媒に上記の非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解させ、水に対する界面張力が10〜20mN/mである水不溶性有機溶媒溶液を使用することが好ましい。
【0038】
本発明における界面張力は、懸滴法と呼ばれる液体の界面張力を測定する方法によって測定される表面張力を意味する。この方法において、表面張力に関する一般的な教科書、例えばドゥジェンヌ・ブロシャールーヴィアール・ケレ著「表面張力の物理学」(吉岡書店)第57頁に示されるように、その原理と具体的な手法は周知である。より簡便には、協和界面科学株式会社(http://www.face-kyowa.co.jp/j/interface_chemistry/005.html)製の界面張力測定装置PD−Wを用いて測定することができる。
【0039】
本発明の溶液の界面張力に関しては、非水溶性ポリマーそれ自体は溶液の界面張力にほとんど影響を与えず、従って使用される水不溶性有機溶媒とレシチンとの組み合わせならびに溶液中のレシチンの濃度によって設定することができる。その組み合わせと濃度は、レシチンを水不溶性有機溶媒に溶解して水不溶性溶液を調製し、その界面張力を懸滴法で測定して決定すればよい。
【0040】
非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解した水不溶性有機溶媒溶液におけるレシチンの含有量は、同溶液重量当たり1×10−6重量%〜10重量%、好ましくは1×10−3重量%〜5重量%、より好ましくは1×10−2重量%〜1重量%である。また、レシチンの含有量を0.1mg/ml〜1mg/mlとすることによって、同溶液の水に対する界面張力を10〜20mN/mとすることができる。
【0041】
また、ハニカム状多孔質体に生体適合性を付与するためには、レシチンと非水溶性ポリマーとの配合比を1:1000〜1:1、好ましくは1:500〜1:100、特に1:200とすることが好ましい。
【0042】
本発明のハニカム状多孔質体を製造する方法の工程のもう一つは、前記水不溶性有機溶媒溶液を、ガラス製もしくは金属製の基板に塗布して該溶液の薄膜を調製する工程である。
【0043】
本発明で利用可能な基板の材料としては、ガラスやシリコンなどを挙げることができる。この場合、用いられる水不溶性有機溶媒に対する基板自体の濡れ性が、基板上に形成される薄膜の厚みに影響を与え得る。
【0044】
そのため、水不溶性有機溶媒溶液との親和性が高い基板、あるいは表面に水不溶性有機溶媒溶液との親和性を高めることのできる加工を施した基板の使用が好ましい。この様な基板の濡れ性の改良は、基板材料と使用する水不溶性有機溶媒との組み合わせに合わせて、自体公知の方法、例えばガラス製や金属製の基板に対するアルキル化シランカップリング処理やチオール化合物による単分子膜形成処理などを利用することができる。
【0045】
例えば、クロロホルムなどの疎水性有機溶媒を用いる場合の基板としては、十分に洗浄されたSi基板や、アルキル化シランカップリング剤などで表面を修飾したガラス基板などの使用が好ましい。
【0046】
本発明では、上記に例示したような非水溶性ポリマーとレシチンとを含む水不溶性有機溶媒溶液を基板に塗付して、同溶液の薄膜を形成させるが、その際の塗付厚としては、10μm〜5mmであればよい。薄すぎては製造後のハニカム状多孔質体の強度の点で、厚すぎては孔の形成効率の点で、それぞれ支障となり得る。
【0047】
基板に水不溶性有機溶媒溶液を塗付する方法としては、基板に上記の水不溶性有機溶媒溶液を滴下する方法の他、バーコート、ディップコート、スピンコート法などを挙げることができ、バッチ式、連続式の何れも利用することができる。
【0048】
また、基板に塗布した溶媒の蒸発速度を調節することで、ハニカム状多孔質体の孔径を1nm〜100nmの範囲で調節することができる。特に、相対湿度30%以上の湿度を有する流速0.1〜100L/分、好ましくは1〜50L/分の気流下に上記の基板上の薄膜を置いて水不溶性有機溶媒を蒸発させることで、1nm〜100nmの範囲内の均一な孔径を有する高品質なハニカム状多孔質体を製造することもできる。かかる方法における気流の流速は、用いる溶媒の揮発度や基板上の薄膜の厚さに応じて適宜調製すればよいが、概ね0.1〜100L/分、好ましくは1.0〜50L/分とすればよい。また、気流方向に対する薄膜の配置の仕方としては、基板上の薄膜に対して斜め上方向から、あるいは垂直方向から気流を当たるような配置では、気流による風圧によって薄膜に歪みや亀裂が発生することもあり得る。その様な場合には、薄膜は、気流に対して基板上の有機溶媒溶液の薄膜を平行に、あるいは上方向に生じさせることが好ましい。この場合、気流はその上流からの陽圧あるいは下流からの負圧の何れによって発生させても構わない。例えば、基板に向けて設置したノズルから所定の空気を噴射しても、基板上部の空気を一方向から吸引しても、何れでも良い。
【0049】
以下に実施例を示し、本発明の詳細を説明する。ただし、これらの実施例は何ら本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0050】
<実施例1>
ポリ(ε−カプロラクトン)(和光純薬、分子量7万〜10万)199mgと、レシチン(和光純薬工業社製)1.0mgを、80mLのクロロホルムに溶解した溶液を調製した。
【0051】
クロロホルム溶液40mLをアルミニウム板にキャストし、加湿した空気(相対湿度80%、流量2L/分)を吹き付けて溶媒を蒸発させ、製膜した(図1)。
【0052】
<実施例2>
ポリスチレン(アルドリッチ製、分子量約28万)180mgと大豆レシチン(和光純薬製)20mgをクロロホルムに溶解させた溶液100mLを調製した。この溶液における界面活性剤の濃度は約0.2mg/mLであり、懸滴法を用いて測定した測定した界面張力は10〜20mN/の間であった。
【0053】
この溶液40mLをガラス基板上にキャストし、加湿した空気(相対湿度80%、流量2L/分)を吹き付けて溶媒を蒸発させ、製膜した(図2)。
【0054】
<試験例>
レシチン(和光純薬工業製)をクロロホルムに溶解させたときの界面張力を確認した。0.010mg/mL〜1.0mg/mLのレシチン/クロロホルム溶液の水に対する界面張力を懸滴法を用いて測定したところ、図3に示すように、0.10〜1.0mg/mLの場合に界面張力が10mN/m〜20mN/mとなった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例1で得られた本発明のハニカム多孔質体の光学顕微鏡像を示す。図中のバーはスケールバー(10μm)である。
【図2】実施例2で得られた本発明のハニカム多孔質体の光学顕微鏡像を示す。
【図3】レシチン/クロロホルム溶液の水に対する界面張力を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシチンと非水溶性ポリマーからなるハニカム状多孔質体。
【請求項2】
レシチンと非水溶性ポリマーとの量比が1:1000〜1:1である、請求項1に記載のハニカム状多孔質体。
【請求項3】
水不溶性有機溶媒に非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解した水不溶性有機溶媒溶液を、ガラス製もしくは金属製の基板に塗布して該溶液の薄膜を調製する工程、および該基板上の薄膜から有機溶媒を蒸発させる工程を含む、非水溶性ポリマー物質からなるハニカム状多孔質体の製造方法。
【請求項4】
水不溶性有機溶媒溶液におけるレシチンの含有量が1×10−6重量%〜10重量%である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
水不溶性有機溶媒に非水溶性ポリマーとレシチンとを溶解
した水不溶性有機溶媒溶液の界面張力が10〜20mN/mである、請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
レシチンが、式(I)ないし式(III)で表される化合物の混合物である、請求項3に記載の製造方法。
式(I)
【化1】

式(II)
【化2】

式(III)
【化3】

【請求項7】
相対湿度30%以上の湿度を有する流速0.1〜100L/分
の気流下に薄膜を置いて溶媒の蒸発を行う、請求項3に記載の製造方法。

【図3】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−291185(P2007−291185A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118376(P2006−118376)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】