説明

ハフニウムアミド錯体の製造方法及びハフニウム含有酸化膜

【課題】 ハフニウム含有酸化膜を提供できる半導体成膜用材料として好適なハフニウムアミド錯体を高収率でかつ簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】 一般式:Hf[O(CR)]で示される第3級ハフニウムアルコキシド錯体に、一般式:Li(NR)で示されるリチウムアルキルアミドを添加し反応させた後、減圧蒸留を行うことを特徴とする、一般式:Hf(NRで示されるハフニウムアミド錯体の製造方法。
(式中において、R、R、Rはそれぞれ独立で、フェニル基、ベンジル基、炭素数1〜6の1級又は2級又は3級のアルキル基のいずれか一つを表し、R、Rはそれぞれ独立で、メチル基又はエチル基のいずれか一つを表わす。但し、R、R、Rが全てメチル基の場合及びR、R、Rのいずれか一つがエチル基で他の二つがメチル基の場合は除く。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造における次世代高誘電率ゲート酸化膜として注目されている、ハフニウム含有酸化膜(HfO、HfSi、HfAl等)のハフニウム成膜原料として有望視されているハフニウムアミド錯体の製造方法及びこれを用い製造したハフニウム含有酸化膜に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで半導体製造におけるゲート酸化膜にはSiOが長年に渡り使用され続けてきた。これは半導体の高集積化に伴う素子の作動速度の高速化に、SiOの薄膜化を進める事により対応することが出来た為である。しかしながら、近年、LSIの高機能化・高集積化を達成するため、素子の作動速度の高速化が更に進められた結果、SiOの薄膜化には物理的限界が迫り、更なる高速化への対応は困難となっている。その為、SiOに替わるゲート酸化膜としてハフニウム含有酸化膜が注目されている。ハフニウム含有酸化膜は、SiOに比べ誘電率が数倍高いため、素子の作動速度の高速化に対応する物理的膜厚をSiOに比べ増加させることが可能となる。
【0003】
このハフニウム含有酸化膜の成膜方法としては、物理的気相成長法(Physical Vapor Deposition、以下PVD法と略す。)と化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition、以下CVD法と略す。)の二種類が挙げられる。一般に、PVD法においては凹凸があるような基板への均一な成膜は困難であり、かつ膜組成の制御が難しい。一方、CVD法は、凹凸の有無に関わらず基板上への均一な膜の成膜が可能であり、膜組成の制御性にも優れている。ゲート酸化膜の成膜においては、ゲートスタック製造のプロセスにもよるが、凹凸のある部分への均一な膜の成膜が必要とされる場合がある。また、膜組成が半導体の電気特性に影響を与えるため、膜組成の制御が重要となる。その為、ゲート酸化膜の成膜方法にはCVD法を用いるのが現在の主流となっている。
CVD法によるハフニウム含有酸化膜の成膜を行うためには、蒸気圧の高いハフニウム成膜原料が必要であり、中でもハフニウムアミド錯体は揮発性が比較的高く、CVD法による半導体ゲート酸化膜であるハフニウム含有酸化膜の成膜原料として近年用途が拡大している。ハフニウムアミド錯体の製造方法としては、四塩化ハフニウム(HfCl)とリチウムアルキルアミド(LiNR)を有機溶媒中で反応させる方法が一般的である。
【0004】
例えば、四塩化ハフニウム(HfCl)とリチウムジエチルアミド[LiN(CHCH]とをヘキサン溶媒中で反応させることによりテトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}を合成する方法が開示されている(非特許文献1)。
ゲート酸化膜は半導体の最下層部に位置することから、極めて純度の高い膜が要求され、その成膜原料であるハフニウムアミド錯体も高純度品が要求される。ハフニウムアミド錯体中に含有する不純物の中でも、原料に由来するジルコニウム成分は、通常1000〜5000質量ppm程度の高濃度で含まれている。これは、ハフニウムとジルコニウムが、同属元素でありかつランタノイド収縮によって類似した化学的性質を有するため分離が非常に困難なためである。
【0005】
ジルコニウム酸化物はハフニウム酸化物に比べ耐熱性が低く、ハフニウム成膜原料中のジルコニウム不純物濃度に依存して、ジルコニウム酸化物が膜中に取り込まれてしまい、デバイスの偶発故障をもたらすことが指摘されており、膜中のジルコニウム濃度を低減することが望まれている。従ってジルコニウム濃度を低減したハフニウム成膜原料を用いることが、デバイスの信頼性確保において重要である(非特許文献2)。
【0006】
ジルコニウム成分を低減したハフニウム成膜原料の製造方法としては、減圧精密蒸留によるハフニウムアミド錯体の製造方法(特許文献1、特許文献2)、光照射又はキレート担持させたカラム流通により製造する方法(特許文献3)、ハロゲン化ハフニウムにエーテル結合を含有する有機溶媒により再結晶を実施した後、ハフニウム成膜原料を製造する方法(特許文献4)、ハフニウムアミド錯体へCFSOH等の添加剤を加えた後、減圧蒸留を行うハフニウムアミド錯体の製造方法(特許文献5)等がある。例えば、特開2005−298467号公報(特許文献2)においては、減圧精密蒸留によりテトラキスジメチルアミドハフニウム中のジルコニウム成分を減圧精密蒸留分離する方法であるが、ハフニウム成分とジルコニウム成分の蒸気圧差の関係から、ハフニウムアミド錯体の配位子がジメチルアミノ基を有するテトラキスジメチルアミドハフニウムに限定されるものであり、テトラキスエチルメチルアミドハフニウム、テトラキスジエチルアミドハフニウムのようなハフニウムアミド錯体へは適応することができないとの記載がある。
【0007】
また、特開2005−314785号公報(特許文献3)及び特開2007−051042号公報(特許文献4)では、ハフニウムアミド錯体の収率及び収量の記載がなく、経済的に実施できるか不明である。
【非特許文献1】J.Chem.Soc.(A),980(1969)
【非特許文献2】第54回応用物理学関係連合講演会講演予稿集 第0分冊 p18(2007)
【特許文献1】特開2005−263771号公報
【特許文献2】特開2005−298467号公報
【特許文献3】特開2005−314785号公報
【特許文献4】特開2007−051042号公報
【特許文献5】特開2008−189550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ハフニウム含有酸化膜を提供できる半導体成膜用材料として好適なハフニウムアミド錯体を高収率でかつ簡便に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、第3級ハフニウムアルコキシド錯体に、リチウムアルキルアミドを添加し反応させた後、減圧蒸留操作を行うことにより、ハフニウムアミド錯体を高収率でかつ簡便に製造できる方法を見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、一般式:Hf[O(CR)]で示される第3級ハフニウムアルコキシド錯体に、一般式:Li(NR)で示されるリチウムアルキルアミドを添加し反応させた後、減圧蒸留を行うことを特徴とする一般式:Hf(NRで示されるハフニウムアミド錯体の製造方法(式中において、R、R、Rはそれぞれ独立で、フェニル基、ベンジル基、炭素数1〜6の1級又は2級又は3級のアルキル基のいずれか一つを表し、R、Rはそれぞれ独立で、メチル基又はエチル基のいずれか一つを表わす。但し、R、R、Rが全てメチル基の場合及びR、R、Rのいずれか一つがエチル基で他の二つがメチル基の場合は除く。)、さらには前記の製造方法で製造したハフニウムアミド錯体をハフニウム源として用い、化学的気相成長法により製造したハフニウム含有酸化膜を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、ハフニウムアミド錯体を高収率でかつ簡便に製造することができる。また、本発明により、膜中のジルコニウム濃度が低減したハフニウム含有酸化膜を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明につき更に詳しく説明する。
【0013】
本発明は、半導体製造プロセス等の高純度が要求される用途に使用するハフニウムアミド錯体に適応される。本発明におけるハフニウムアミド錯体は、例えば半導体製造プロセスで高誘電率ゲート酸化膜形成のためのCVD材料等で使用されるものであり、それらは一般式:Hf(NRで示されるハフニウムアミド錯体である(式中において、R、Rはそれぞれ独立で、メチル基又はエチル基のいずれか一つを表わす。)。
【0014】
本発明は、第3級ハフニウムアルコキシド錯体に、リチウムアルキルアミドを添加し、第3級ハフニウムアルコキシド錯体をハフニウムアミド錯体に、リチウムアルキルアミドをリチウムアルコキシドにそれぞれ変換させた後、ハフニウムアミド錯体を減圧蒸留単離することにより行う。
また、本発明により製造したハフニウムアミド錯体中のジルコニウム含有量は、原料である第3級ハフニウムアルコキシド錯体のジルコニウムモル濃度から製造過程で濃縮することなく製造することができる。例えば、第3級ハフニウムアルコキシド錯体としてテトラ(2−メチル−2−ペンタノキシ)ハフニウム{Hf[OC(CH(CHCHCH)]}、(分子量583)のジルコニウム濃度が638molppm(100質量ppm)の原料を使用し、本法により、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム{Hf[N(CH)(CHCH)]}、(分子量411)を製造した場合、ジルコニウム濃度がほぼ638molppm(141質量ppm)相当のハフニウムアミド錯体が得られる。ここで、ジルコニウムの質量濃度からジルコニウムモル濃度への変換は下記式1により行った。
式1: ジルコニウムモル濃度=ジルコニウム質量濃度×(ハフニウム成分の分子量/ジルコニウムの原子量)
ジルコニウム濃度が高いハフニウムアミド錯体を用いて成膜を行った場合、膜中に取り込まれるジルコニウム濃度も高くなり、デバイスの信頼性に影響を及ぼすため、膜中のジルコニウム濃度は300質量ppm以下、より好ましくは30質量ppm以下、更に好ましくは3質量ppm以下に制御したほうがよく、その為には半導体成膜用材料であるハフニウムアミド錯体中のジルコニウム濃度を100質量ppm以下、より好ましくは10質量ppm以下、更に好ましくは1質量ppm以下にした方が良い。
【0015】
ハフニウムアルコキシド錯体としては、配位子の立体障害が大きく、単量体を形成している第3級のハフニウムアルコキシド錯体が使用される。
【0016】
テトラエトキシハフニウム[Hf(OCHCH]のような第1級ハフニウムアルコキシド錯体やテトライソプロポキシハフニウム{Hf[OCH(CH}のような第2級ハフニウムアルコキシド錯体を用いた場合は、配位子の立体障害が小さいことより、ハフニウムアルコキシド錯体が多量体を形成しているため、反応が十分に進行しない。
【0017】
また、一般式:Hf[O(CR)]で示される第3級ハフニウムアルコキシド錯体の配位子R、R、Rはそれぞれ独立で、フェニル基、ベンジル基、炭素数1〜6の1級又は2級又は3級のアルキル基のいずれか一つを表わし、かつ、R、R、Rが全てメチル基の場合及びR、R、Rのいずれか一つがエチル基で他の二つがメチル基の場合は除くものを使用することが好ましい。
【0018】
、R、Rが全てメチル基であるテトラターシャリーブトキシハフニウム{Hf[OC(CH}を用いた場合は、副生するリチウムターシャリーブトキシドの昇華点が90℃/0.13kPaであり、R、R、Rのいずれか一つがエチル基で他の二つがメチル基であるテトラ(2−メチル−2−ブトキシ)ハフニウム{Hf[OC(CH(CHCH)]}を用いた場合は、副生するリチウムターシャリーアミルオキシドの昇華点が110℃/0.13kPaといずれも分子量が小さいために副生するリチウムアルコキシドの昇華点が低く、目的のハフニウムアミド錯体と副生成物であるリチウムアルコキシドとの蒸気圧差が小さくなってしまい、減圧蒸留を行う際にハフニウムアミド錯体留分中に副生成物であるリチウムアルコキシドが混入してしまうため好ましくない。
【0019】
また、上記一般式:Hf[O(CR)]以外の第3級ハフニウムアルコキシド錯体では、配位子が汎用的でなく、経済的に好ましくない。
【0020】
第3級ハフニウムアルコキシド錯体において表される具体例としては、下記化合物No.1〜No.12が挙げられる。
【0021】
【化1】

【0022】
これらの中では、配位子のアルコール体が、香料として用途があり、安価に入手可能な第3級ハフニウムアルコキシド錯体である化合物No.11又は化合物No.12が好ましい。
【0023】
第3級ハフニウムアルコキシド錯体の製造については特に制限を受けるものではなく公知の方法を用いることができるが、上記のとおり、ジルコニウム濃度が低い第3級ハフニウムアルコキシド錯体を使用することが好ましい。例えば、本出願時に未公開先願である特願2008−131124に記載の方法を用いることにより、ジルコニウム濃度が低い第3級ハフニウムアルコキシド錯体を得ることができる。
【0024】
使用するリチウムアルキルアミドは、目的の生成物であるハフニウムアミド錯体のアミド配位子と同じ置換基を有するものを使用する。すなわち、テトラキスジエチルアミドハフニウムを製造する場合は、リチウムアルキルアミドはリチウムジエチルアミドを用い、テトラキスジメチルアミドハフニウムを製造する場合は、リチウムアルキルアミドはリチウムジメチルアミドを用いる。
【0025】
リチウムアルキルアミドの使用量は、上記一般式:Hf[O(CR)]で示される第3級ハフニウムアルコキシド錯体1当量に対して、1〜10当量使用することが好ましい。これより少ない場合には該第3級ハフニウムアルコキシド錯体が残存してしまい収率の低下をもたらす虞があり、これより多く用いても収率の向上は望めなく、経済的でない。
【0026】
リチウムアルキルアミドは常温で粉末固体であるが、固体として上記一般式:Hf[O(CR)]で示される第3級ハフニウムアルコキシド錯体中に加えても、エーテル等の有機溶媒等に溶かした状態で該第3級ハフニウムアルコキシド錯体中に添加しても良い。
【0027】
上記一般式:Hf[O(CR)]で示される第3級ハフニウムアルコキシド錯体中にリチウムアルキルアミドを添加する際の温度は、−78〜200℃の範囲内が好ましく、より好ましくは0℃〜100℃の範囲内である。200℃よりも高い温度で添加した場合、リチウムアルキルアミドが熱によって自己分解してしまう虞がある。
【0028】
添加後は、反応液を均一化させる観点から、リチウムアルキルアミドを添加した後、攪拌機等により1〜3時間攪拌した後、減圧蒸留を行ったほうが好ましい。
【0029】
減圧蒸留は常法に従って行うが、温度範囲は80〜150℃、圧力範囲は0.05〜0.5kPaが好ましい。150℃よりも高い温度で減圧蒸留した場合、副生するリチウムアルコキシドが蒸発もしくは昇華し、留分であるハフニウムアミド錯体中に混入してしまう虞があり、80℃よりも低い温度ではハフニウムアミド錯体の気化が遅くなり効率的でない。0.5kPaよりも高い圧力では、ハフニウムアミド錯体が十分に気化せず効率的でなく、0.05kPaよりも低い圧力では、減圧蒸留設備が経済的ではなくなる。
【0030】
減圧蒸留単離を行うことにより、副生するリチウムアルコキシド成分が100質量ppm以下のハフニウムアミド錯体を得ることができる。
【0031】
本発明のハフニウム含有酸化膜は、膜を構成するハフニウム源として、本発明により得られるハフニウムアミド錯体を含む原料ガスを加熱し、これを気化させ発生させた蒸気を反応室内に導入し、気化した該ハフニウムアミド錯体を分解又は反応させ、ハフニウム含有酸化膜を基板上に成長、堆積させるCVD法により得られるものである。CVD法によりハフニウム含有酸化膜を形成する方法は、多くの既知文献に記載された方法が適応でき、堆積方法、原料の輸送方法、成膜条件等については特に制限を受けるものでなく、常法の条件、方法等により実施できる。
【0032】
必要に応じて用いられるハフニウムアミド錯体以外の原料ガスを用いた場合は、多元系のハフニウム含有酸化膜が得られる。例えば、シリコン系の原料ガスを用いた場合は3元系のHfSi膜等が得られ、アルミ系の原料ガスを用いた場合は3元系のHfAl膜等が得られる。上記シリコン系の原料ガスとしては、テトラエトキシシラン[Si(OCHCH]、トリスジメチルアミノシラン{HSi[N(CH}、テトラキスジメチルアミノシラン{Si[N(CH}等が挙げられ、アルミ系の原料ガスとしては、トリメチルアルミニウム[Al(CH]が挙げられる。必要に応じて用いられるハフニウムアミド錯体以外の原料ガスは、1つの原料タンクに混合し供給しても、各々の原料タンク毎に独立で供給しても良いが、薄膜組成を厳密に制御するためには、各々の原料タンク毎に独立で供給したほうが好ましい。ハフニウムアミド錯体以外の原料ガスの使用量は、いずれの場合も目的とする薄膜組成に応じて適宜選択される。
【0033】
また、必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、下記のものが挙げられる。酸化性のものとしては、酸素、オゾン、水蒸気、過酸化水素、一酸化窒素、二酸化窒素等が挙げられ、還元性のものとしては、水素が挙げられ、窒化物含有膜を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン等の有機アミン化合物、アンモニア、ヒドラジン等が挙げられる。
【0034】
また、本発明に用いるCVD法としては、原料ガス及び反応性ガスを熱により酸化膜を堆積させる熱CVD法、熱及びプラズマにより酸化膜を堆積させるプラズマCVD法、原料ガスの分子をモノレイヤーごとに表面へ吸着、反応性ガスとの反応による成膜、パージによる余剰分子の取り除きのサイクルを繰返し行うことによって、原子層を一層ずつ積み上げるALCVD(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition)法等が挙げられる。
【0035】
また、原料の輸送方法としては、ハフニウムアミド錯体を加熱または減圧することによって気化させ、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に反応室内へと導入する気体輸送法、ハフニウムアミド錯体を液体若しくは溶液の状態で気化室まで導入し、気化室で加熱または減圧することによって気化させ、反応室内へと導入する液体輸送法等が挙げられる。
【0036】
また、成膜条件としては、温度、圧力、堆積速度等が挙げられる。温度については、原料ガスであるハフニウムアミド錯体を十分に反応させるために、基板上の温度を100〜800℃、好ましくは150℃〜500℃で行ったほうがよい。圧力は、熱CVD法の場合は、10Pa〜100kPaが好ましく、プラズマCVD法の場合は、10〜50Paの範囲が好ましい。堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力により制御することができる。堆積速度は、大きいと膜の段差被覆性等が悪化する場合があり、小さいと生産性が悪く、経済的に好ましくないため、0.01〜100nm/秒、好ましくは0.02〜20nm/秒で行ったほうがよい。また、ALCVD法の場合は、所望の膜厚が得られるように上記のサイクル数でコントロールすることができる。
【0037】
また、薄膜堆積後には、より良好な電気特性を得るため、加熱によるアニール処理を行ってもよい。アニール処理の加熱温度は基板上の温度を400〜1200℃、好ましくは500℃〜800℃で行ったほうがよい。
【0038】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0039】
[第3級ハフニウムアルコキシドの合成]
(1)下記化合物No.1の合成
【0040】
【化2】

【0041】
3Lの5つ口ガラスフラスコに滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、ジルコニウム濃度が900質量ppmであるテトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}1000g(2140mmol)を仕込み、0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)35g(230mmol)を滴下漏斗より、1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌しながら20℃まで昇温させた。この反応液を125℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分958gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}が主成分であり、留分中のジルコニウム濃度をICP発光装置により測定したところ、ジルコニウム濃度は492質量ppmであった。また、留分中のトリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定したところ、トリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度は1.6質量%であった。
【0042】
次に得られた留分900gを滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた3Lの5つ口ガラスフラスコに仕込み、0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)31g(210mmol)を滴下漏斗より、1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌しながら20℃まで昇温させた。この反応液を125℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分839gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}が主成分であり、留分中のジルコニウム濃度をICP発光装置により測定したところ、ジルコニウム濃度は163質量ppmであった。また、留分中のトリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定したところ、トリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度は1.7質量%であった。
【0043】
次に得られた留分800gを滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた3Lの5つ口ガラスフラスコに仕込み、0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)28g(190mmol)を滴下漏斗より、1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌しながら20℃まで昇温させた。この反応液を125℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分714gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}が主成分であり、留分中のジルコニウム濃度をICP発光装置により測定したところ、ジルコニウム濃度は48質量ppmであった。また、留分中のトリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定したところ、トリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度は1.4質量%であった。
【0044】
次に得られた留分650gを滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた3Lの5つ口ガラスフラスコに仕込み、0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)23g(150mmol)を滴下漏斗より、1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌しながら20℃まで昇温させた。この反応液を125℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分602gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}が主成分であり、留分中のジルコニウム濃度をICP発光装置により測定したところ、ジルコニウム濃度は20質量ppmであった。また、留分中のトリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定したところ、トリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度は1.5質量%であった。
【0045】
次に得られた留分550gを滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた3Lの5つ口ガラスフラスコに仕込み、0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)20g(130mmol)を滴下漏斗より、1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌しながら20℃まで昇温させた。この反応液を125℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分497gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}が主成分であり、留分中のジルコニウム濃度をICP発光装置により測定したところ、ジルコニウム濃度は6質量ppmであった。また、留分中のトリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定したところ、トリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度は1.6質量%であった。
【0046】
次に得られた留分450gを滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた1Lの5つ口ガラスフラスコに仕込み、0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)16g(110mmol)を滴下漏斗より、1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌しながら20℃まで昇温させた。この反応液を125℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分405gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}が主成分であり、留分中のジルコニウム濃度をICP発光装置により測定したところ、ジルコニウム濃度は2質量ppmであった。また、留分中のトリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定したところ、トリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度は1.6質量%であった。
【0047】
次に得られた留分350gを滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた1Lの5つ口ガラスフラスコに仕込み、0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)12g(80mmol)を滴下漏斗より、1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌しながら20℃まで昇温させた。この反応液を125℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分311gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}が主成分であり、留分中のジルコニウム濃度をICP発光装置により測定したところ、ジルコニウム濃度は0.8質量ppmであった。また、留分中のトリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定したところ、トリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度は1.5質量%であった。
【0048】
次に得られた留分250gを還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた1Lの5つ口ガラスフラスコに仕込み、このフラスコにリチウムジエチルアミド[LiN(C]10g(130mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。次いでこの反応液を125℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分245gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}であり、留分中のジルコニウム濃度は0.7質量ppmであり、留分中のトリフルオロメタンスルホン酸イオン濃度は10質量ppm以下であった。
【0049】
尚、仕込みのテトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}(ジルコニウム濃度900質量ppm)からの収率は52質量%であった。
【0050】
得られたジルコニウム濃度が0.7質量ppmのテトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}20.0g(42.8mmol)を滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた100mLの5つ口ガラスフラスコに仕込み、0℃に冷却した後、2−メチル−2−ペンタノール19.2g(188mmol)を滴下漏斗より、1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌しながら20℃まで昇温させた。次いでこの反応液を50℃、0.12kPaの条件下で副生するジエチルアミン及び余剰のアルコール分を留去し、24.4gの液体分を得た。得られた液体分はHNMRより、第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.1であり、液体中のジルコニウム濃度は0.6質量ppmであった(収率98%)。
(2)下記化合物No.3の合成
【0051】
【化3】

【0052】
2−メチル−2−ペンタノール19.2g(188mmol)に代えて、2−メチル−2−ヘキサノール21.8g(188mmol)を用いた以外は上記(1)の合成と同様の方法で行い、液体分27.3gを得た。得られた液体分はHNMRより、第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.3であり、液体中のジルコニウム濃度は0.5質量ppmであった(収率100%)。
(3)下記化合物No.8の合成
【0053】
【化4】

【0054】
2−メチル−2−ペンタノール19.2g(188mmol)に代えて、2−フェニル−2−プロパノール25.6g(188mmol)を用いた以外は上記(1)の合成と同様の方法で行い、液体分30.8gを得た。得られた液体分はHNMRより、第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.8であり、液体中のジルコニウム濃度は0.5質量ppmであった(収率100%)。
(4)下記化合物No.11の合成
【0055】
【化5】

【0056】
2−メチル−2−ペンタノール19.2g(188mmol)に代えて、ジメチルベンジルカルビノール28.2g(188mmol)を用いた以外は上記(1)の合成と同様の方法で行い、液体分33.2gを得た。得られた液体分はHNMRより、第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.11であり、液体中のジルコニウム濃度は0.4質量ppmであった(収率100%)。
(5)下記化合物No.12の合成
【0057】
【化6】

【0058】
2−メチル−2−ペンタノール19.2g(188mmol)に代えて、3,7−ジメチル−3−オクタノール29.5g(188mmol)を用いた以外は上記(1)の合成と同様の方法で行い、液体分34.2gを得た。得られた液体分はHNMRより、第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.12であり、液体中のジルコニウム濃度は0.4質量ppmであった(収率99%)。
[実施例1]
上記(1)の合成で得たジルコニウム濃度が0.6質量ppmの第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.1、20.0g(34.3mmol)を滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた100mLの5つ口ガラスフラスコに仕込み、このフラスコにリチウムジメチルアミド[LiN(CH]7.7g(151mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。次いでこの反応液を90℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分9.2gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスジメチルアミドハフニウム{Hf[N(CH}であり、留分中のジルコニウム濃度は0.9質量ppmであり、留分中の2−メチル−2−ペンタノキシリチウム濃度は100質量ppm以下であった(収率76%)。
[実施例2]
上記(2)の合成で得たジルコニウム濃度が0.5質量ppmの第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.3、20.0g(31.3mmol)を滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた100mLの5つ口ガラスフラスコに仕込み、このフラスコにリチウムエチルメチルアミド[LiN(CH)(CHCH)]8.1g(125mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。次いでこの反応液を100℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分10.3gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスエチルメチルアミドハフニウム{Hf[N(CH)(CHCH)]}であり、留分中のジルコニウム濃度は0.8質量ppmであり、留分中の2−メチル−2−ヘキサノキシリチウム濃度は100質量ppm以下であった(収率80%)。
[実施例3]
上記(3)の合成で得たジルコニウム濃度が0.5質量ppmの第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.8、20.0g(27.8mmol)を滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた100mLの5つ口ガラスフラスコに仕込み、このフラスコにリチウムエチルメチルアミド[LiN(CH)(CHCH)]8.0g(122mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。次いでこの反応液を100℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分9.4gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスエチルメチルアミドハフニウム{Hf[N(CH)(CHCH)]}であり、留分中のジルコニウム濃度は0.8質量ppmであり、留分中の2−フェニル−2−プロパノキシリチウム濃度は100質量ppm以下であった(収率82%)。
[実施例4]
上記(4)の合成で得たジルコニウム濃度が0.4質量ppmの第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.11、20.0g(25.8mmol)を滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた100mLの5つ口ガラスフラスコに仕込み、このフラスコにリチウムエチルメチルアミド[LiN(CH)(CHCH)]7.4g(114mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。次いでこの反応液を100℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分8.5gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスエチルメチルアミドハフニウム{Hf[N(CH)(CHCH)]}であり、留分中のジルコニウム濃度は0.8質量ppmであり、留分中のジメチルベンジルカルビノキシリチウム濃度は100質量ppm以下であった(収率80%)。
[実施例5]
上記(4)の合成で得たジルコニウム濃度が0.4質量ppmの第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.12、20.0g(24.8mmol)を滴下漏斗、還流冷却器、温度計及び攪拌機の付いた100mLの5つ口ガラスフラスコに仕込み、このフラスコにリチウムジエチルアミド[LiN(CHCH]8.6g(109mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。次いでこの反応液を125℃、0.12kPaの条件下蒸留を行い、留分9.0gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスジエチルアミドハフニウム{Hf[N(CHCH}であり、留分中のジルコニウム濃度は0.7質量ppmであり、留分中の3,7−ジメチル−3−オクタノキシリチウム濃度は100質量ppm以下であった(収率78%)。
[実施例6]
本実施例に用いたCVD装置の概略図を図1に示す。
【0059】
原料容器4には、原料として実施例1の方法によって製造したジルコニウム濃度が0.9質量ppmのテトラキスジメチルアミドハフニウム{Hf[N(CH}が充填され、減圧弁2aにより減圧されたアルゴンガス1は、マスフローコントローラー3aを通じて原料容器4に導入されることにより充填されている原料を液体用マスフローコントローラー3bを通じて気化室5へ液送するためと、マスフローコントローラー3cを通じて原料導入前の気化室5内をパージするためにそれぞれ用いられる。気化室5内に導入された原料は加熱により気化され、反応室7へ導入される。真空ポンプ8は気化室5及び反応室7を減圧にするために反応室7に接続されている。反応室7内の未反応の原料を除去するために用いるパージ用のガスであるアルゴンガス9は、減圧弁2bにより減圧され、マスフローコントローラー3dを通じて反応室7に導入できるよう接続されている。酸素ガス10は減圧弁2cにより減圧され、マスフローコントローラー3eを通じてオゾン発生器11に導入されることにより発生するオゾンを反応性ガスとして、反応室7に導入できるよう接続されている。反応室7は、室内にあるSi基板6を所定の温度に加熱できる加熱手段を備えている。
【0060】
第1図に示すCVD装置を用い、下記条件及び方法でSi基板上にハフニウム含有酸化膜を成膜した後、得られたハフニウム含有酸化膜のジルコニウム濃度をICP−MS装置(Agilent Technologies社製、7500cs型)で測定した。
【0061】
〔条件〕反応性ガス:オゾン、反応温度(基板温度):200℃
〔方法〕下記A→B→C→Dからなる一連の工程を1サイクルとして、80サイクル繰り返した後、反応温度(基板温度)500℃でアニール処理を実施した。
A.気化室5において気化室温度150℃、気化室圧力2〜2.2kPaの条件で気化させたハフニウムアミド錯体の蒸気を反応室7へ導入し、系内の圧力2〜2.2kPaで2秒間堆積させる。
B.3秒間のアルゴンパージにより、未反応の原料を除去する。
C.反応性ガスを導入し、系内の圧力1.3kPaで2秒間反応させる
D.3秒間のアルゴンパージにより、未反応の原料を除去する。
その結果、ハフニウム含有酸化膜中のジルコニウム濃度は1.5質量ppmであった。
[実施例7] ハフニウム含有酸化膜の成膜
実施例3の方法によって製造したジルコニウム濃度が0.8質量ppmテトラキスエチルメチルアミドハフニウム{Hf[N(CH)(CHCH)]}を充填した原料容器4を用いた以外は、上記実施例6と同様な方法でハフニウム含有酸化膜の成膜を行い、得られたハフニウム含有酸化膜のジルコニウム濃度をICP−MS装置で測定した。
その結果、ハフニウム含有酸化膜中のジルコニウム濃度は1.6質量ppmであった。
[比較例1]
第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.3に代えて、第1級ハフニウムアルコキシド錯体であるジルコニウム濃度が0.9質量ppmのテトラエトキシハフニウム[Hf(OCHCH]を11.2g(31.3mmol)用いた以外は、実施例2と同様な方法で行ったが、蒸留物は得られなかった。
[比較例2]
第3級ハフニウムアルコキシドである上記化合物錯体No.3に代えて、第2級ハフニウムアルコキシド錯体であるジルコニウム濃度が0.8質量ppmのテトライソプロポキシハフニウム{Hf[OCH(CH}12.9g(31.3mmol)を用いた以外は、実施例2と同様な方法で行ったが、蒸留物は得られなかった。
[比較例3]
第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.3に代えて、第3級ハフニウムアルコキシド錯体であるジルコニウム濃度が0.7質量ppmのテトラターシャリーブトキシハフニウム{Hf[OC(CH}を用い14.7g(31.3mmol)用いた以外は、実施例2と同様な方法で、テトラキスエチルメチルアミドハフニウムの製造を行い、留分12.3gを得た。得られた蒸留分はHNMRからテトラキスエチルメチルアミドハフニウムとターシャリーブトキシリチウムの混合物であり、留分中のターシャリーブトキシリチウム濃度は21質量%であった。
[比較例4]
第3級ハフニウムアルコキシド錯体である上記化合物No.3に代えて、第3級ハフニウムアルコキシド錯体であるジルコニウム濃度が0.7質量ppmのテトラ(2−メチル−2−ブトキシ)ハフニウム{Hf[OC(CH(CHCH)]}を用い16.5g(31.3mmol)用いた以外は、実施例2と同様な方法で、テトラキスエチルメチルアミドハフニウムの製造を行い、留分11.6gを得た。得られた蒸留分はHNMRからテトラキスエチルメチルアミドハフニウムと2−メチル−2−ブトキシリチウムの混合物であり、留分中の2−メチル−2−ブトキシリチウム濃度は12質量%であった。
[比較例5]
3Lの5つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び攪拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにジルコニウム濃度が950質量ppmである四塩化ハフニウム(HfCl)160gとヘキサン0.4Lを仕込んだ。反応釜を氷冷した後、別途n−ブチルリチウムとエチルメチルアミンから調製したリチウムエチルメチルアミド[LiN(CH)(CHCH)]溶液を滴下漏斗より3時間かけて滴下した。更に、氷冷温度下1時間攪拌を行った後、110℃、0.12kPaで減圧蒸留を行うことにより、留分143gを得た。得られた留分は、HNMRより、テトラキスエチルメチルアミドハフニウム{Hf[N(CH)(CHCH)]}であり、留分中のジルコニウム濃度は840質量ppmであった(収率=75%)。
【0062】
得られたジルコニウム濃度が840質量ppmのテトラキスメチルエチルハフニウム{Hf[N(CH)(CHCH)]}を用いた以外は、実施例6と同様な方法でハフニウム含有酸化膜の製造を行い、得られたハフニウム含有酸化膜のジルコニウム濃度をICP−MS装置で測定した。
その結果、ハフニウム含有酸化膜中のジルコニウム濃度は1640質量ppmであった。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施例に用いたCVD装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0064】
1、9:アルゴンガス
2a、2b、2c:減圧弁
3a、3c、3d、3e、:マスフローコントローラー
3b:液体用マスフローコントローラー
4:原料容器
5:気化室
6:Si基板
7:反応室
8:真空ポンプ
10:酸素ガス
11:オゾン発生器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:Hf[O(CR)]で示される第3級ハフニウムアルコキシド錯体に、一般式:Li(NR)で示されるリチウムアルキルアミドを添加し反応させた後、減圧蒸留を行うことを特徴とする、一般式:Hf(NRで示されるハフニウムアミド錯体の製造方法。
(式中において、R、R、Rはそれぞれ独立で、フェニル基、ベンジル基、炭素数1〜6の1級又は2級又は3級のアルキル基のいずれか一つを表し、R、Rはそれぞれ独立で、メチル基又はエチル基のいずれか一つを表わす。但し、R、R、Rが全てメチル基の場合及びR、R、Rのいずれか一つがエチル基で他の二つがメチル基の場合は除く。)
【請求項2】
請求項1記載の方法で製造したハフニウムアミド錯体をハフニウム源として用い、化学的気相成長法により製造することを特徴とするハフニウム含有酸化膜。

【図1】
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【公開番号】特開2010−132577(P2010−132577A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307841(P2008−307841)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】