説明

ハプトグロビンの単離方法

【課題】治療用に用いられ得るハプトグロビン(Hp)の精製方法を提供すること。
【解決手段】ハプトグロビン(Hp)の供給元としてこれまで知られていなかった血漿の画分から、Hpが簡便な方法で単離できるという発見に基づく製造方法である。コーン・フラクションVを含む試料からHpを単離する方法であって、該方法が該試料についての陰イオン交換クロマトグラフィーを含む方法である。さらに少なくとも1つの濃縮および/または精製の工程を含めてもよい。この方法は再現性のある高収率をもたらし、大規模での経済的な利用が可能である。この製法により調製されたHpが治療用Hpとして用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハプトグロビンの単離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハプトグロビン(Hp)は、急性期応答タンパク質であり、おもに肝臓で合成される。ハプトグロビンは、動脈壁、子宮内膜および腹膜などの他の組織においても合成される。
Hpの中心機能は、おもに肝臓の細網内皮系(RES)において、ヘモグロビン(Hb)結合タンパク質として遊離Hbの最終的なプロセシングおよび廃棄のために必要とされる。この細網内皮系によって、Hbの構成成分に含まれる鉄を保持することができる。
【0003】
Hbに見出されるヘム(フェロプロトポルフィリンIX)分子は、多種多様な他のタンパク質系(例えば、シクロオキシゲナーゼ[COX]および酸化窒素シンターゼ[NOS]などの酵素)において不可欠な成分であり、ヘムが結合するポリペプチドの特性にしたがい作用する。しかしながらヘムが、次々に酸化的ストレスを引き起こす活性酸素分子種の形成を触媒することから、過剰な遊離ヘムは細胞障害および組織損傷(例えば、腎臓、肺およびCNS(中枢神経系)において)の原因となり得る。
【0004】
血管内溶血は、生理的に発生するものであるが、様々な自己免疫疾患、感染(例えば、マラリア)および遺伝性疾患(例えば、鎌状細胞)における重篤な合併症として加速することもある。溶血の間、血管内の遊離のHbは、Hpによって捕獲され、肝臓のRESに輸送される。あるプロセシングは、単球−マクロファージにおいても行なわれることがある。しかし、血管内の遊離のHbは、潜在的に有毒であるヘム部分を容易に遊離するmet−Hbに急速に変換されることがある。血管内の遊離のヘムは、アルブミンまたはヘモペキシン(Hx)によって捕獲され、RESにおいて分解されるために肝臓に輸送される。多量のヘムが蓄積する場合(例えば、血栓または血管内沈積において)、スカベンジャー機構が充分に機能しないか、あるいは遊離ヘムの接近ができず、よって組織損傷の結果となる。赤血球の溶解量がヘム/Hb除去系を飽和させる場合、Hbは尿(腎臓の糸球体による濾過)中に現れ始める。
【0005】
Hpは、α鎖2本とβ鎖2本とを含む四量体構造を有し、ジスルフィド結合により結合されている。β鎖(245個アミノ酸)は、約40kDaの質量(そのうち約30%(w/w)が炭水化物)を有し、すべての表現型に共有されている。α鎖は、以下の2種類が存在する:α1(83アミノ酸、9kDa)およびα2(142アミノ酸、17.3kDa)。したがって、Hpは3つの表現型を生じ、Hp1−1、Hp2−1およびHp2−2という。Hp1−1はα1鎖を2本含み、Hp2−2はα2鎖を2本含み、そしてHp2−1はα1鎖を1本とα2鎖を1本とを含む。Hp1−1は、100kDaの分子量を有し、あるいはHbと複合体を形成すると165kDaの分子量を有する。Hp1−1は、単一のイソ型が存在し、Hp二量体ともいう。Hp2−1は、220kDaの平均分子量を有し、直線状の重合体を形成する。Hp2−2は、400kDaの平均分子量を有し、環状の重合体を形成する。各々異なる重合体の形態が異なるイソ型である。PCRによる手法が、Hpの多型性研究のために発明された(非特許文献1)。
【0006】
Hpは、溶血が原因である腎機能障害に対する治療として可能性があると見なされている。Hpは、遊離のヘモグロビンを除去する治療上の手段として潜在的に有用である;上述のように形成された複合体は、抗炎症薬、抗酸化剤もしくは血管形成剤として潜在的に副次的な利益を有するからである。しかし、Hpは、その生物学的な活性を保持しながら大量に単離することが困難であると考えられている。Hpを単離するための様々なプロト
コールが記載されている。共通するテーマは、アフィニティー・クロマトグラフィーである。使用される親和性を有するリガンドとして、単クローン抗体(非特許文献2および3)、ヘモグロビン(非特許文献4および5)、およびコンカナバリンA(非特許文献6)が挙げられる。
【0007】
単クローン抗体に基づく、親和性を有するリガンドのプロトコールは、妥当な純度の産物をもたらすとはいえ、低い収量のみが報告されている。そのような単離方法は、親和性を有するリガンドを大量に必要とする結果として、大規模な製造の工程にも全く適していない。特に、単クローン抗体が必要とされる量は法外な価格になると想定され、そして入手が困難である。単クローン抗体もまた、Hpの様々なイソ型に選択的であることの潜在的な不都合から免れることはできない。親和性を有するリガンドとしてHbを使用することは、さらなる成功をもたらす。適度に相同なHpの収率は良くなるが、親和性を有するすべてのリガンドに基づくプロトコールと同様に、その工程を拡大することは困難であり、しばしばコスト的に割が合わない。親和性を有するリガンドに基づくプロトコールのさらなる難点は、Hpの生成物が医薬製剤として使用されることが定められている場合、親和性を有するリガンドの供給元が制御されなければならないことである。この点において、Hbが調整因子として受け入れられないのは、Hbは赤血球を起源とするからである。製剤の中に親和性を有するリガンドが存在することが、安全に患者に使用することへの懸念を提起するかも知れないために、該リガンドの離脱を監視し制御することも必要である。
また植物の根の抽出物による選択的なHpの沈殿も非特許文献7に記載されている。しかし、アフィニティークロマトグラフィーのように、非特許文献7に記載のプロトコールは、大規模な商業的生産には適さない。
【0008】
HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)に基づく技術もまた、ブタ血清の硫酸アンモニウム沈殿について行なわれてきた(非特許文献8)。上記と同様に非特許文献8に記載のプロトコールは、Hpの小規模単離にのみ適していると考えられる。
【0009】
Hpの単離に対するもう一つの取り組みは、イオン交換クロマトグラフィーを使用することである。特許文献1および2には、ヒト血漿の硫酸アンモニウム沈殿またはヒト血漿由来のコーン・フラクションIV、IV−1またはIV−4の陰イオン交換クロマトグラフィーによるハプトグロビンの単離が記載されている。この硫酸アンモニウム沈殿は、トランスフェリン、アルブミンおよび他の望ましくないタンパク質を除去するためとされている。この方法にとって、イオン交換基質(ion exchange substrate)はQAE−セファデックス(R)またはGEセルロースなどの強力な陰イオン交換基質であることが必須である。この方法は、大規模なHpの商業的な単離には適していない。なぜならば、混入した大量の塩(硫酸アンモニウム)を最終処理しなければならないからである。陰イオン交換体を使用するバッチ式の精製方法もまた規模の拡大には望ましくない。
【0010】
酢酸ナトリウム−酢酸で沈殿させたウサギ血漿から、陰イオン交換基質であるDE−52微粒状セルロース(DEAEセルロース)を用いたHpの単離が報告されている(非特許文献9)。調製等電点電気泳動法(Preparative Isoelectric Focusing)が、生成物の適度な精製純度に到達するために必要であった。最大収率が50〜70%であると示されていたが、データの分析からその収率は実際には44%であり、その精製度はたったの3倍であったことが示される。このプロトコールは、その複雑性のために大規模な商業的使用には適していない。
【特許文献1】米国特許第4,061,735号
【特許文献2】米国特許第4,137,307号
【非特許文献1】Kochら 2002,Clin.Chem.48:1377〜1382
【非特許文献2】KatnikおよびJadach,1993,Arch.Immunol.Ther.Exp.(Warz)Vol41:303〜308
【非特許文献3】Tsengら 2004,Protein Expr Purif 33:265〜273
【非特許文献4】Liauら 2003,J.Chromatogr.Analyt,Technol Biomed Life Sci.790:209〜216
【非特許文献5】Chianconeら 1995,J Chromatogr.Biomed.Appl.664:89〜95
【非特許文献6】Katnikら 1995,Eur J Clin.Chem.Clin.Biochem.33:727〜732
【非特許文献7】Nayakら 2002,Pro.Pep.Lett 9:503〜510
【非特許文献8】YangおよびMao,1999,J.Chromatogr.b.Biomed.Sci.Appl.,731:395〜402
【非特許文献9】BaslerおよびBurrel,1983 Inflammation 7(4):387〜400
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、次の事項:Hpの収率および/または純度ならびにその再現性、工程の単純さと採算性に関して大規模および/または商業的規模での利用における好適性のうち、1つ以上においてHpの単離に現在利用できるものを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
Hpの供給元としてこれまで知られていなかったヒト血漿の画分から、Hpが簡便な方法で陰イオン交換基質を使用して単離できることが今や見出されたのである。この方法は再現性のある高収率をもたらし、大規模での経済的な利用が可能となる。重要なことは、この単離方法が治療用Hpの精製に用いられ得ることである(つまりヒトへの投与について、最終生成物が充分に純粋であり、不純物がない)。
【0013】
ヒト血漿の諸成分の単離は充分に文献化されている。アルブミンおよび免疫グロブリンなどのタンパク質を単離するための方法は、久しく知られている。共通する最初の段階は、血漿の分画である。最も普通に使用される分画の方法は、コーンの方法(Cohn、E.J.ら 1946 J.Am.Chem.Soc.68:459)およびその改良(例えば、KistlerおよびNitschmann,1962,Vox Sang,7,p414〜24)である。この工程は凝固因子の一部を除去するために寒冷沈殿から始まり、次いでセライト処理が続く。得られた血漿プールは、フラクションA+1(フラクションI、IIおよびIIIの結合)およびフラクションIVを沈殿させるために、エタノール濃度を上げながらエタノール処理がされる。フラクションIVの上清のpHを下げ、次に温度を−5℃(±1℃)から−10℃(±3℃)に落とすことにより、コーン・フラクションVが沈殿する。
【0014】
従来、コーン・フラクションVは主にアルブミンの源であると考えられてきた。しかし、今やコーン・フラクションVがHpの有用な源でもあり、さらにHpが首尾よくそして比較的容易に単離できる源であることが認識されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
したがって第一の態様において、本発明はコーン・フラクションVを含む試料からHp
を単離するための方法を提供し、その方法は該試料の陰イオン交換クロマトグラフィーを含む。
【0016】
「ハプトグロビン(Hp)」とは、Hpの全表現型(すべてのイソ型を含む)を意味する。本発明の方法を用いて単離されたHpは、出発試料中に存在するイソ型全部のHpを潜在的に含む。単離物の正確な組成は、最終的に源の表現型により決定される。したがって、プールされた血漿試料が使用された場合には、すべてのイソ型が単離される。方法技法が、Hpの多型性(Phastsystemを使用するハプトグロビンの分類、Hanssonら,Phastsystem(Amersham Biosciences)に関する応用覚え書373)の研究のために考案された。したがって当業者は単離物中にどのイソ型が存在するかを決定することができるであろう。その方法は、Hpイソ型のさまざまな大きさのうち、いずれが存在するかを決定するために使用することができる。ヘモグロビンをハプトグロビンに結合させ、ゲルにおいて検出可能な擬似ペルオキシダーゼ活性を与えるその使用は、抗体検出を用いるウェスタンブロット(免疫ブロット)にとって代わることができる。
【0017】
発明者らは、これらの技術および他の技術、例えば高性能サイズ排除クロマトグラフィー(HPLC−SECアッセイ)、Hp ELISA、Hb結合アッセイおよび濁度計測(turbimetric readings)などを使用して、Hpの異なるイソ型は、上記の異なるアッセイにおいて異なるシグナルを与えることを発見した。例えば、より小さい分子量のHpイソ型は、より大きな分子量のイソ型と比べて、ELISAにおいてより低いシグナルを、濁度分析においてより高いシグナルを与える。したがって、異なるイソ型の量を比較するために最適なアッセイは、ウェスタンブロット、HPLC−SECおよびHp結合アッセイである。
【0018】
異なるHpのイソ型は、インビトロの観察およびある疾患状態の集団研究から示されるように異なった生物学的効果を有すると考えられる。このデータの研究から、フラクションVから単離された小さい分子量のイソ型が、より大きな分子量のイソ型より大きな抗炎症効果を有する可能性がある。異なる種のHpの分析から、ヒトHbへの結合は、充分に種特異的であり得ることも明らかである。これらの違いを知ることにより分画方法の最適化を可能にし、インビトロ調査およびインビボでの効能研究のためにHpの異なるイソ型を入手することが可能となる。
【0019】
「単離」とは、出発試料のフラクションV中に存在するHpの好ましくは少なくとも50%が、本発明方法により得られた産物中に存在することを意味する。出発試料中に存在するHpの、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも80%が、本発明方法により得られた産物中に存在する。本発明の方法を使用して得られたHpは、好ましくは少なくと70%の純度、さらに好ましくは少なくとも80%の純度およびもっとも好ましくは90%の純度である。単離手順のすべてに当てはまることだが、純度の増大がしばしば収率の減少と関係していることは留意されるべきである。ウイルスに対する安全性を確保するために加えられた段階もまた全体の回収率を下げるかもしれない。
【0020】
当業者は、本発明のHp単離物の純度/収率を決定することができる技術を知っている。これらの技術として、(40%を超える純度レベルを有する試料用の)HPLC−SECクロマトグラフィー解析、試料が充分純粋な場合にはHPLC−SECアッセイと組み合わせた(Katnikら,1995(前述)の方法に基づく)Hp−Hb結合アッセイと、あるいは血漿タンパク質のための平均吸光係数を用いる280nmでの吸光光度分析と組み合わせた上記Hp−Hb結合アッセイとのどちらかが挙げられる(Hanssonら,Phastsystem(Amersham Biosciences)に関する応用覚え書373)。産物であるHpの比活性もまた、HPLC−SECと組み合わせたHb結合アッセイ、およびアミノ酸配列から決定された吸光係数を使用して決定することができる。
【0021】
「コーン・フラクションV」とは、コーンの分画方法(Cohn,1946(前述))およびキストラーとニッチマンの改変方法(1962(前述))を含む、該方法の任意の改変法において、コーン・フラクションVとして指定された血漿画分を意味する。当業者は、どの画分がコーン・フラクションVであるか容易に理解し、不当な負担を強いられることなく、コーン・フラクションVを調製することが可能である。簡単にいうとこの製法は、血漿の寒冷沈降反応、セライト処理、次いで段階的に−5℃およびpH5.85で19%エタノール、−5℃およびpH5.85で40%エタノール、最後に−8℃およびpH4.8で40%エタノールへの曝露を含んでもよく、各段階で沈殿物質は除かれる。最終沈殿物が、コーン・フラクションVである。代替の方法において得られた、あるいは代わりの専門用語によって知られた、コーン・フラクションVに組成に関して等価である任意の画分は、本発明に包含されると考えられる。フラクションVの主な成分は、アルブミンである。Hpおよびトランスフェリンもまた相当量存在しており、α1酸性糖タンパク質が低いレベルで検出することができる。他のタンパク質もまた微量で存在する。哺乳動物の血液から得られる血漿が好ましいが、任意の適当な生物起源から得られる血漿でもよい。もっとも好ましくはヒトの血液から得られる血漿である。
【0022】
「コーン・フラクションVを含む試料」とは、試料に含まれるタンパク質性成分の大部分がコーン・フラクションVであることを意味する。好ましくは、試料に含まれるタンパク質性成分がコーン・フラクションVのみである。
【0023】
「陰イオン交換クロマトグラフィー」とは、電荷、特に負電荷に基づき分離させるクロマトグラフィーの方法を意味する。イオン交換クロマトグラフィーは、電荷を有する固体支持体に適用した試料中の分子に結合する固体支持体を利用する。結合しない分子が標的分子であってもよく、この際のイオン交換段階は、不要な分子を除去する濾過段階に類似すると考えることができる。あるいは標的分子が結合して残ってもよく、結合しない分子は不要なものである。後者のケースがより通常の方式である。なぜなら固体支持体から結合した分子を溶出することは制御的/選択的であるのでより良い品質の生成物が獲得できるからである。陰イオン交換クロマトグラフィー技術は、通常、以下のものに限定されるものではないが、デキストラン、セルロースおよび陽電荷を有するそれらの改変物といった基質を使用する。これらの基質は、固体支持体の不可欠な要素(例えば、コーティング)を含むか、あるいは固体支持体の全体を形成し得る。固体支持体は、微粒子の形態(例えば、樹脂)を採ってもよいが、微粒子でない支持体(例えば、濾紙またはゲル)を使用してもよい。微粒子の基質は、通常(常にではないが)、カラムに詰められる。
【0024】
「基質」または「陰イオン交換基質(anion exchange substrate)」という用語が使用される場合、陰イオン交換技術への使用に適した形状にある基質を言及すると解釈されるべきである。
陰イオン交換クロマトグラフィーに供する試料は基質に添加される。電荷の相互作用に基づき、試料中の(負に荷電している)分子がその基質と結合する。それゆえ該基質を洗浄することにより、結合していない分子または弱く結合している分子を除去する。結合分子の制御された/選択的な溶出は、該基質に塩濃度を上げながら塩溶液を通すことにより達成することができる。なぜならこれによって基質と結合分子との間の電荷相互作用を乱すからである。溶出溶液のpHもまた、溶出を誘導するために変えてもよい。溶出溶液のpHの変化が、結合分子および基質に存在する電荷を変えるからである。分子と基質との間の電荷相互作用が弱ければ弱いほど、その相互作用を乱すために必要とされる塩濃度がより低くなり、したがって基質からのその分子の溶出を誘導する。塩濃度を慎重に制御す
ることにより、結合分子の選択的な溶出を達成することができる。
【0025】
電荷による相互作用の強さは、固体支持体の材料の選択により改変することができる。例として、QAE−Sephadex(R)またはGEセルロースは、強い陰イオン交換体基質であるが、一方DEAE−セルロースおよびDEAE−Sephadex(R)は弱い陰イオン交換基質である。
【0026】
当業者は、陰イオン交換技術および用具をよく知っており、自己のニーズに特化したプロトコールを考案し実施することができる。本発明の方法において、弱い陰イオン交換体基質は格別の有用性があり、卓越した有用性はDEAE セファロース(R)(Amersham)である。セファロース(R)は、アガロース・ビーズについて通常使用される名称である。他の適当な陰イオン交換樹脂として、セルロース、デキストランおよびポリマーベースのビーズが挙げられる。
【0027】
「弱い」とは、弱い緩衝能力を有する陰イオン交換体基質に対して言う。ある特定の陰イオン交換体の緩衝能力は、基質の酸-塩基滴定により容易に決定され、その結果得られ
た滴定曲線は、緩衝能力の強さと幅を示す。
【0028】
したがって好ましい態様において、本発明はコーン・フラクションVを含む試料からハプトグロビンを単離するための方法を提供し、該方法は、弱い陰イオン交換基質を使用する、該試料の陰イオン交換クロマトグラフィーを含む。
【0029】
もっとも好ましい態様において、本発明はコーン・フラクションVを含む試料からハプトグロビンを単離するための方法を提供し、該方法はDEAEアガロースを使用する陰イオンクロマトグラフィーを含む。
【0030】
典型的には、適当な添加溶液の上記試料はそうした陰イオン交換基質上に添加される。陰イオン交換基質および添加条件は、Hpが該基質に結合する一方、アルブミン(コーン・フラクションVの主要成分)は結合しないか、あるいはほんの弱く結合しているにすぎないようにすべきである。アルブミンは、Hpを選択的に溶出する前に適当な洗浄緩衝液を使用して基質から除去することができる。処理が容易な理由から、陰イオン交換基質は、好ましくはカラムの形状である。しかし、本発明の方法は、カラム・クロマトグラフィーに限定されない。
【0031】
同様に処理が容易なことから異なる緩衝液すべてにおいて同じ成分を使用してもよく、そうした異なる緩衝液にあって個々の成分の量または濃度のみを変えられることが好ましい。
【0032】
したがって、好ましい態様において、本発明は、コーン・フラクションVを含む試料からハプトグロビンを単離するための方法を提供し、該方法は以下を含む:
a)陰イオン交換基質の上に該試料を充填し、次いで
b)ハプトグロビンをそこから選択的に溶出する。
【0033】
1以上の洗浄段階もまた、Hp溶出物中の不要な分子を減らすために含めてもよい。洗浄工程の目的は、適切な緩衝液を基質に通して、標的分子(Hp)の溶出を誘導することなく、試料中の非結合分子または非常に弱く結合している分子(例えば、アルブミン)を溶出することである。もっとも一般的には、1以上の洗浄工程は、陰イオン交換基質にコーン・フラクションVを含む試料を添加する工程と、そこからHpを溶出させる工程との間に含められるであろう。しかし、特に有用であり得る他の分子がHpの溶出に先行して溶出されるのであれば、洗浄工程は別々の溶出段階の中間に含めてもよい。
【0034】
極めて好ましくは、陰イオン交換基質が、Hpがそこから溶出される前に非結合物質を除去するために洗浄される。
したがって好ましい様態において、本発明は、コーン・フラクションVを含む試料からハプトグロビンを単離する方法を提供し、該方法は以下を含む;
a)陰イオン交換基質上に該試料を添加し、
b)結合しないか、弱く結合している不純物を除去するために基質を洗浄し、次いで
c)Hpを陰イオン交換基質から選択的に溶出する。
【0035】
もう一つの観点によると、本発明はコーン・フラクションVを含む試料からアルブミンとハプトグロビンとを単離する方法を提供し、該方法は以下を含む:
a)陰イオン交換基質の上に該試料を添加し、次に、
b)アルブミンを選択的に除去するために基質を洗浄し、これに続き
c)ハプトグロビンを基質から選択的に溶出する。
【0036】
当業者は、適切な添加用緩衝液、洗浄用緩衝液および溶出用緩衝液を知っており、当業者は、使用する特定の陰イオン交換基質に添加すること、結合しているHpを洗浄すること、または基質からHpを選択的に溶出することのいずれかを達成すべく適切な緩衝液(構成成分およびそれらの濃度およびpHに関して)を処方することができる。当業者は、不当な負担を強いられずに、これらのパラメーターを最適化することができる。添加(loading)、洗浄および溶出の条件は、Hpに無用の損傷を与えないように選択されるべきである。代表的な添加、洗浄および溶出のための緩衝液は、緩衝成分のペアおよび塩を含む。適当な緩衝成分のペアとしては以下に限定されないが、酢酸ナトリウムおよび酢酸、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸、クエン酸およびリン酸ナトリウム、ならびにコハク酸および水酸化ナトリウムが挙げられる。好ましい緩衝成分の対は、酢酸ナトリウムおよび酢酸である。好適な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および硫酸ナトリウムが挙げられる。好ましい塩は塩化ナトリウムである。
【0037】
多種多様な塩および緩衝成分を使用することができるために、添加、洗浄および溶出用の緩衝液は、それらの伝導度によって二者択一的に定義することができる。当業者は、緩衝液の正しい伝導度が得られる限り、任意の適切な塩と緩衝成分とから緩衝液を処方することができる。また当業者は各々の緩衝液タイプに要求される伝導度が、使用される陰イオン交換基質に依存することも理解するであろう。
【0038】
添加用緩衝液および洗浄用緩衝液は同じであることが多い。したがって洗浄用緩衝液の以下の考察は、添加用緩衝液にも適用できる。しかし必要とあらば、当業者は自らの一般的技術常識から添加用緩衝液と洗浄用緩衝液とを別個に工夫することもできるであろう。
【0039】
Hpの深刻な溶出を引き起こすことなく、Hpが結合している弱い陰イオン交換基質を洗浄するためには、0.1mS/cm〜3.0mS/cmの伝導度が好ましく、0.5mS/cm〜2.5mS/cmの伝導度がさらに好ましく、もっとも好ましい伝導度は1.0mS/cm〜2.0mS/cmである。
【0040】
Hpの深刻な溶出を引き起こさずにDEAEセファロース(R)に結合したHpを洗浄するために、0.7mS/cm〜2.7mS/cmの伝導度が好ましく、1.1mS/cm〜2.3mS/cmの伝導度がさらに好ましく、もっとも好ましいのは1.2mS/cm〜2.2mS/cmである。
【0041】
一例として、このもっとも好ましい伝導度を有する洗浄用緩衝液は、酢酸によりpH4.6に調整した5mM 酢酸ナトリウムおよび15mM 塩化ナトリウムを含む。
弱い陰イオン交換基質からHpを溶出するために、8.0〜15.0mS/cmの伝導度が好ましく、9.5〜13.5mS/cmの伝導度がさらに好ましく、もっとも好ましいのは10.5〜12.5mS/cmの伝導度である。
【0042】
DEAEセファロース(R)からHpを溶出するためには、9.0〜14.0mS/cmの伝導度が好ましく、10.0〜13.0mS/cmの伝導度がさらに好ましく、もっとも好ましいのは10.5〜12.5mS/cmの伝導度である。一例として、このもっとも好ましい伝導度を有する溶出用緩衝液は、酢酸によりpH4.6に調整した5mM 酢酸ナトリウムおよび113.5mM 塩化ナトリウムを含む。
添加、洗浄および溶出用の緩衝液のpHもまた重要である。pHは、使用される緩衝液成分に依存して緩衝液の伝導度を変えるかも知れず、さらに基質からの標的分子の(好むと好まざるにかかわらず)溶出を促すかも知れない。弱い陰イオン交換体に結合しているHpを洗浄するための洗浄用緩衝液の場合、pHは3〜7の範囲が好ましい。さらに好ましくは、pHが4〜6、もっとも好ましくは、pHが4.2〜5.0である。伝導度が1.7±0.5mS/cmであり、5mM 酢酸ナトリウムおよび15mM 塩化ナトリウムを含む緩衝液について、そのpHは4.6±0.1(酢酸により調整)になるであろう。弱い陰イオン交換体からHpを溶出する場合、pHは3〜7の範囲が好ましい。さらに好ましくは、pHが4〜6、もっとも好ましくは4.2〜5.0のpHである。伝導度が11.5±1.0mS/cmであり、5mM 酢酸ナトリウムおよび113.5mM 塩化ナトリウムを含む緩衝液について、そのpHは4.6±0.1(酢酸により調整)になるであろう。当業者は、pHと伝導度との関係、およびpHと溶出の度合いとの関係を知っており、使用する緩衝液および基質ならびにそれらが発揮する機能に適した正確なpH範囲を予測することができる。さらに、一般的な技術知識によって、不当な負担を強いられずに緩衝液パラメーターを最適化することができる。
【0043】
もっとも好ましい態様において、本発明は、コーン・フラクションVを含む試料からハプトグロビンを単離する方法を提供し、該方法は以下を含む;
a)該試料をDEAEアガロース陰イオン交換基質に添加し、
b)該基質を、1.2〜2.3mS/cmの伝導度および4.5〜4.7のpHを有する酢酸ナトリウム/酢酸/塩化ナトリウムの洗浄用緩衝液により洗浄し、
c)該基質からハプトグロビンを、10.5〜12.5mS/cmの伝導度および4.5〜4.7のpHを有する酢酸ナトリウム/酢酸/塩化ナトリウムの溶出用緩衝液により溶出する。
【0044】
試料中に存在する他の諸成分に依存して、高純度のHpを得るためには段階的な溶出を行なうことが必要であろう。Hpよりも強くなく基質に結合している不純物は、最初の溶出条件を適切な条件に選択することによって始めに溶出され得る。同様に、Hpの溶出に使用される溶出緩衝液は、Hpより強く基質に結合した不純物を除去しないように選択されるべきである。例えば、アルブミンおよびトランスフェリンは、Hpより弱くDEAE
セファロースに結合し、Hpより前に溶出される。他方、α1−酸性糖タンパク質(AAG)は、Hpよりも強くDEAEセファロースに結合することがわかり、Hpが溶出された後もカラムに結合したままである。一般的に、特定のタンパク質がより負に荷電すればするほど、それは陰イオン交換樹脂により強く結合し、それを溶出するために必要とされる塩濃度がさらに高くなる。Hp以外の任意の溶出されたタンパク質は捨てられるか、あるいは、それらが有用である場合にさらなる処理のために保持されるかである。
当業者は、溶出の経過を追跡し、様々な画分に何が溶出されているかを確認することができる、溶出物モニタリング用技術を知っている。例えば紫外分光法は、リアルタイムで溶出の経過を追うことが可能である。HPLC SECクロマトグラフィーやSDS P
AGEなどの技術は、不純物の存在を検出し同定するために使用することができる。HPLC画分またはSDS−PAGEのバンドについてのマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI−Tof)型質量分析法もまた、タンパク質の存在を同定するために使用することができる。公知のタンパク質は、抗体に基づく検出方法(例えば、固相酵素免疫検定法(ELISA)、放射免疫拡散法(RID)および濁度測定法)により調べることが可能である。
【0045】
本発明の方法は、Hpの特定イソ型の分離および単離を達成するために使用することもできる。分離は、電荷に基づいて達成することができる。Hpイソ型の電荷における違いは、異なるイソ型においてさまざまなグリコシル化のパターンの結果としてあるようである。イソ型の負電荷が少なくなればなるほど、そのイソ型を溶出するために必要とされる塩濃度も低くなる。典型的には、溶出のステップを進める間に塩濃度を上げることから、負電荷がより少ないイソ型が最初に溶出する。標準的な方式で溶出物を観測することにより、当業者は、別個のイソ型に対応する個別の溶出ピークを同定し、その結果別個のイソ型を単離することができる。
【0046】
したがって、別の観点において、本発明は、コーン・フラクションVを含む試料から個別のハプトグロビンのイソ型を単離するための方法を提供し、該方法は、該試料についての陰イオン交換クロマトグラフィーを含む。
【0047】
出発材料としてコーン・フラクションVの使用は、最終的に単離されるHpのイソ型にも影響を及ぼすかも知れない。コーンの分画工程のフラクションIVとフラクションVに存在するHpの表現型の割合が異なることを見出した。したがって、フラクションVからHpを単離する際、Hp産物は、フラクションIVを使用して生成したHp産物と異なって生成される。具体的にはフラクションIVに由来する産物と比較した場合、フラクションVに由来する産物において、1−1イソ型の割合は2−2イソ型の割合よりも多いことを見出した。これは分画工程の間、pHが高いエタノール濃度において下がるにつれ、より重いイソ型が沈殿する結果であると想定される。
【0048】
上記の本発明の好ましい態様は、本発明のこの局面について準用される。この観点において「単離」なる用語に関心を向けると、いずれの収率も特定のイソ型に関して算出されなくてはならないことを念頭に置かなくてはならない。
【0049】
血漿からHpを単離する従来方法の深刻な問題は、それらの方法が大規模/商業的な単離に拡大することに不適格であるということであった。実施例を見てもわかるように、陰イオン交換クロマトグラフィーが、調製等電点電気泳動法といった処理段階をさらに必要とせずに、コーン・フラクションVからHpの高収率および高純度の調製を達成するために使用できることが今や見出されたのである。したがって本発明の方法は、大規模/商業的規模に利用でき、その規模においても経済的に採算がとれる。
【0050】
「大規模」とは、単離が、ほぼ数千リットル程度の出発試料の容量から達成可能であることを意味する。別の見方として「大規模」は、少なくとも1000リットル、さらに好ましくは少なくとも3000リットル、もっとも好ましくは6000リットルの、出発材料である血漿のバッチの大きさをいう。
【0051】
上記の本発明の好ましい態様は、本発明のこの観点についても準用する。当業者は、不当な負担を強いられずに、前記の態様を大規模の製造に適用することができる。
陰イオン交換クロマトグラフィーは、コーン・フラクションVにある相当な割合のHpを単離するために使用することができる。本発明方法における陰イオン交換段階の直接的な産物は、さらに精製するためおよび/または調製物を濃縮するための工程に供すること
ができる。当業者は適当な手順について承知しており、かつ、それを適用でき、あるいは代替を考案するであろう。適当な処理の例として、以下に限定されないが、膜分離精製法(diafiltration)、限外濾過、流入式クロマトグラフィー、金属キレート・クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィーおよび専用ウイルス不活性化/減少工程が挙げられる。
Hpが製薬的用途に既定的に供される場合、単離されおよび/または精製されたHpは、試料中に残存するかも知れない何れの生物学的または化学的不純物を除去するためのさらなる処理工程に供される必要がある。そのような処理は当該分野において周知であり、当業者は、当業者に共通する一般的な知識を適用することができ、製薬的用途に適合するために単離/精製したHpを処方することができるように所定の試験をすることができる。
【0052】
例えば、Hpをさらに精製する一つの効果的な方法は、疎水的相互作用クロマトグラフィー(HIC)吸着剤の使用によることであると見出された。フェニル・セファロース(置換基が多い、少ない、および高性能)、ブチル・セファロースおよびオクチル・セファロースなどのいくつかのHIC吸着剤が研究された。すべての場合において、Hpは不純物よりも弱く結合することがわかった。当業者は自分のニーズに適したHICリガンドを選択でき、仕込みおよび平衡化の緩衝液のイオン強度を改変することによって、HICリガンドに対し異なる親和性を有する分子が、異なった画分に収集できることを知っている。例えば、不純物が結合していながらHpが素通りするような条件を選択することが好ましい。しかし他方、状況においてはその逆も正しい。当業者は、pHおよび滞留時間などのHIC精製に影響を及ぼす因子のことも知っている。滞留時間は、産物が素通り画分にある場合において特に重大である。このことは、より短い滞留時間が不純物を素通りさせるかも知れず、したがって産物の純度を下げるからである。
【0053】
適切なHIC緩衝液は、0.5M〜1.5M、好ましくは0.8M〜1.2M、もっとも好ましくは0.9M〜1.1Mの濃度の硫酸アンモニウムを有し、pHとして5〜9、好ましくは6〜8、もっとも好ましくは6.5〜7.5のpHを有する。HICの適当な流速は、10cm/分より大きくなく、好ましくは0.5〜5cm/分、もっとも好ましくは1〜3cm/分である。
【0054】
Diafiltrationは、塩濃度またはpHを製薬的用途に適するように調整するために使用してもよい。ウイルスやプリオンなどの生物学的不純物は、公知のウイルス濾過技術によって、化学的消毒(ウイルスの不活性化)技術によって、および/または公知の低温殺菌または加熱処理によって除去できる。例えば、大規模のウイルス除去、および/またはHp含有溶液の不活性化は、もしHpがpH5〜9の範囲において処理されるならばEP−A0131740に記載の界面活性溶剤(solvent detergent)処理を使用
して可能となることを本発明者らが見出した。本明細書に記載の精製方法により産生されたHpを、1つ以上の適切なウイルス濾過フィルター(例えば、約20nmの孔サイズを有し、したがって理論的には潜在的な病原性ウイルスの除去を保証する)に通して濾過することもまた可能である。界面活性溶剤処理がウイルスを不活性化するために使用される場合、さらなる段階を界面活性溶剤の除去するための方法に含めてもよい。当業者は、そのような方法に精通している。一例として、陰イオン交換クロマトグラフィーが使用されてもよい。適切な陰イオン交換クロマトグラフィーの工程は、Hpの初期精製に関して本明細書中に論じたものと同様になるであろう。さらに具体的に言うと、界面活性溶剤の除去段階は、伝導度を3mS/cm未満に維持するために界面活性溶剤処理した試料を適当に希釈すること、処理した試料を陰イオン交換基質(例えば、DEAEアガロース基質)の上に添加すること、結合していないかまたは弱く結合した不純物を選択的に除去するために基質を洗浄すること、および該陰イオン交換基質からHpを選択的に溶出することを
含む。界面活性溶剤を除去するために陰イオン交換クロマトグラフィーを使用することは、最終産物の純度の向上にもつながる。
低温殺菌または加熱処理が使用される場合、安定化剤の使用が検討される。安定化剤として、以下に限定されないが、糖、糖アルコール、アスコルビン酸およびアミノ酸が挙げられる。安定化剤を除去する方法は、必要ならば当該分野において周知である。化学的消毒剤(例えば、溶剤/界面活性剤)が使用される場合、これもまた、同様に除去を必要とする。化学的消毒剤を除去する方法は、当該分野において周知である。上記工程手順の特定の順序は、重要でないと考えられるが、特別の順序は、便宜および費用に関して順序を決めないよりも有利である。例えば、(安定化剤または消毒剤を除去するために考案された)濾過段階または透析段階に先立って、安定化剤を用いる低温殺菌をすることあるいは化学的消毒段階をすることが好ましい。医薬製剤として使用される血液製剤は、少なくとも2つのウイルス不活性化工程に供することが好ましい。Hpは、続いて臨床用途に処方される。
【0055】
製薬的用途に適したHpの処方において、Hpは、処方物におけるレベルが患者にとって無害であると考えられる程度まで、実質的に化学的不純物および生物学的不純物を含まないことが望まれる。何れの不純物レベルも、医薬製剤に関して規制当局により要求される最小レベルよりも実質的に低いことが理想であろう。
【0056】
「生物学的不純物」とは、患者において疾病症状を誘導することが可能な生物学的に実在する物を意味する。そのような物として、以下に限定されないが、ウイルス、プリオン、細菌、カビ、胞子、および細胞が挙げられる。
【0057】
「化学的不純物」とは、患者に投与された場合に拒絶反応を誘導する分子を意味する。
さらなる態様において、本発明は、上記の本発明のいずれかのおよびすべての方法により得られた産物を提供する。
【0058】
本明細書中で論じた好ましい態様のいずれかの、およびすべての組み合わせは、明示的に開示されていなくとも本発明に包含される。本発明はさらに以下に示す図に関連して記載される。
【実施例】
【0059】
〔実施例1:コーン・フラクションVの調製〕
血漿を−0.5℃〜2℃に制御した解凍に供し、その間にいくらかのタンパク質が沈殿
した。その上清を回収し、セライトにより処理後、他の不要なタンパク質を除くために濾過した。この濾液を、酢酸緩衝液によりpH5.85に調整し、17〜21%(v/v)
エタノールを添加した。結果として起こる沈殿の間、温度を−4℃と−6℃の間に制御した。これらの条件は、キストラーとニッチマン製法の第二段階において用いられた条件と同様であり、そのため得られた沈殿物は、その製法のフラクション1と沈殿物Aとを含む。得られた沈殿物をA+1という。その上清を、エタノール濃度を38〜42%に調整することによりさらに分画した。そうして沈殿したタンパク質類は、ひとまとめにしてキストラーとニッチマン製法におけるフラクションIVとして知られる。pHを4.85に、
温度を7℃〜−13℃に調整することにより、フラクションVが沈殿した。
〔実施例2:陰イオン交換カラムおよび緩衝液と溶液との調製〕
カラム:
(実施例1および2)DEAE セファロース(R)(Amersham) Amersham 16/20 XKカラムおいてベッド高さ12.5cm
(実施例3および4)商業的規模のDEAE セファロース(R)(Amersha
m)カラム
平衡/洗浄緩衝液:
5mM 酢酸ナトリウム、analar規格(0.68g/リットル 酢酸ナトリウム三水和物)
15mM 塩化ナトリウム、analar規格(0.88g/リットル)
発熱物質のない水(PFW)において調製
pH:4.6±0.1(氷酢酸により調整したpH、analar規格)
伝導度:1.7±0.5mS/cm
平衡/洗浄緩衝液400リットルに対し、酢酸ナトリウム三水和物272g、塩化ナトリウム351g、および氷酢酸110gを、適当な(容積が少なくとも500リットル)容器に加えた。これら原料を溶解し、水を適量加え400リットルとした。pHと伝導度との測定値を調べた。容認できる範囲のpHは4.5〜4.7、伝導度は1〜2mS/cmであった。
【0060】
Hp溶出緩衝液:
5mM 酢酸ナトリウム、analar規格(0.68g/リットル 酢酸ナトリウム三水
和物)
113.5mM 塩化ナトリウム(6.63g/リットル)
pH:4.6±0.1
伝導度:11.5±1mS/cm
溶出緩衝液500リットルに対し、酢酸ナトリウム三水和物340g、塩化ナトリウム3.32kg、および氷酢酸110gを、適当な(容積が少なくとも500リットル)
容器に加えた。これら原料を溶解し、水を適量加え500リットルとした。pHと伝導度との測定値を調べた。容認できる範囲のpHは4.5〜4.7、伝導度は10.5〜12.5mS/cmであった。
【0061】
AAG溶出緩衝液
5mM 酢酸ナトリウム、analar規格(0.68g/リットル 酢酸ナトリウム三水
和物)
212mM 塩化ナトリウム(12.40g/リットル)
pH:4.6±0.1
伝導度:19.5±2.5mS/cm
AAG溶出緩衝液400リットルに対し、酢酸ナトリウム三水和物272g、塩化ナトリウム4.96kg、および氷酢酸110gを、適当な(容積が少なくとも500リッ
トル)容器に加えた。これら原料を溶解し、水を適量加え400リットルとした。pHと伝導度との測定値を調べた。容認できる範囲のpHは4.5〜4.7、伝導度は17〜22mS/cmであった。
〔実施例3:実験室規模でのHpの単離〕
コーン・フラクションVからのHpの単離を、実験室規模で行なった。陰イオン交換基質であるDEAE−セファロース(R) Fast Flowを、Amersham BioSciences 16/20 XKカラム内に収容される25mlカラム容において、12.5cmのベッド高さに充填した。これは、商業的規模カラムの縮小版(1/4
000)である。
【0062】
コーン・フラクションV溶液をこのカラムに添加した。処理時間を節約するために、コーン・フラクションVの添加量を250mlから150mlに減らした。添加が終了した後、そのカラムを平衡化緩衝液により洗浄した。アルブミンが、添加した溶液のうち素通り画分に溶出した。その後、カラム内に溶出緩衝液を通すことによりHpの溶出を誘導した。緩衝液の流速を、すべての工程を通して4.0ml/分に維持した。図1は、カラムを通過する緩衝液の体積の関数として、紫外部吸収により観測された溶出物中のタンパク質の存在を示す。伝導度および溶出物のpHも示す。図に示すように、アルブミンの溶出後2つのピークとしてHpが溶出した。
【0063】
2つのHpのピークに対応する試料をさらにHPLCにより分析した。図2は、ピーク1(図2a)がHpの他のイソ型よりHp1−1をより多く含み、ピーク2(図2b)がより分子量の大きいHpのイソ型(Hp2−2およびHp2−1)をピーク1より豊富に含むことを示す。この実施例において、ピーク1について、精製倍率が40倍、純度が72%、収率が80%であった。ピーク2は40%の純度を有した。
〔実施例4:Hpの大規模な単離〕
コーン・フラクションVからのHpの単離を、最大限の生産規模(100リットルカラム)のDEAE−セファロース(R)カラムを使用し商業的規模において実施した。コーン・フラクションV溶液(1100リットル)をカラムに添加した。添加終了時点で、カラムを洗浄緩衝液により洗浄した。これによりアルブミンを溶出させた。次に、Hpを溶出緩衝液により溶出した。緩衝液の流速を14リットル/分に維持し、この流速は実験室規模における4.0ml/分に相当する。図3は、カラムを通過する緩衝液の体積の関数
として(紫外部吸収により観測された)溶出物中のタンパク質の存在を示す。クロマトグラムは、アルブミンの溶出ピークの終わりから始まる。図に示すように、アルブミン溶出後に2つのピークとしてHpが溶出した。実験室規模の実験と比較して、この記録図形の類似点は、Hpの商業的単離の規模拡大に対して本発明の製造方法の適合性を際立たせた。
【0064】
2つのHpピークに対応する試料をさらにHPLCにより分析した。図4は、ピーク1(図4a)が他のイソ型よりHp1−1をより多く含み、ピーク2(図4b)がより分子量の大きいHpのイソ型(Hp2−2およびHp2−1)をピーク1より豊富に含むことを示す。ピーク1の純度は67%であり、ピーク2の純度はより低かった。ピーク1の収率は約74%だった。ピーク2の試料のみを採った場合には、このピークの収率を見積もることはできなかった。さらに生成の分析結果を実験室規模の実験の分析結果と比較すると、規模の拡大は産物の品質に影響を与えないように見える。
〔実施例5:ブチル・セファロースによるHpの精製〕
実施例4(ピーク1)から得られたHp画分をさらにブチル・セファロースにより精製した。プレパックされた20ml HiPrepTM Butyl ffを、50mM リ
ン酸水素二ナトリウム緩衝液(pH7.0)中の1.0M 硫酸アンモニウム180mlにより、4.5ml/分(135cm/時)の流速で平衡化した。その後、実施例4からの
40mlのピーク1を3.5ml/分で添加した。次にそのカラムを20mlの平衡化緩衝液により洗浄した。素通り画分および洗浄画分(Hp産物)を一つの容器に回収した。結合した分子(不純物)を脱イオン水を用いてカラムから洗い流した。素通り画分(Hp)をHPLC−SECにより分析した。ピークの面積から、全タンパク質のうち98%がHpであり、67%が約100kDaの分子量を有するHpであった。
【0065】
類似の実験を、高置換、低置換および高性能のフェニル・セファロース・カラムおよびオクチル・セファロース・カラムを使用して行なった。高置換フェニル・セファロースは、99%の純度と32%の収率を与えた。他の吸着剤は、96%〜97%の純度と、32%〜61%の収率を与えた。
【0066】
HiPrepTM Butyl ffを使用する最適化実験により、a)pHが6〜8であり、b)硫酸アンモニウム濃度が0.8M〜1.2Mであり、c)添加流速が1〜3cm/分であるべきであることが示された。
〔実施例6:Hpの安定性〕
本発明の方法により生成されたHpは、酸性の条件またはアルカリの条件を求めるさらなる精製スキームが実施可能であるようにする広範囲のpH条件に対して復元力に富むこ
とを示す。一例を挙げれば、実施例4のピーク1からのHp3mlを、3mlのバッファー(pH2、3および4の200mM グリシン、pH11の200mM 炭酸水素アンモニウム)とともにインキュベートした。サンプルを0、4、7、24、48および72時間後に採取した。サンプルをすぐに1M Tris−HCl pH7.0により中和した。次に、その試料を銀染色のSDS−PAGEにより分析し、その分析結果は、Hpが4〜11のpH範囲に72時間、耐え得ることを示した。しかし、pH2おいては4時間以内に完全な凝集が起こり、pH3において部分的な分解が観察された(SDS−PAGEにおいて余分なバンドから明らかなように)。
【0067】
本発明の方法により生成されたHpは、何らかのタンパク質、単糖類または二糖類の賦形剤の添加がなくとも、18ヶ月を超える期間、4℃において安定であることも示されている。極端な温度、特に40℃を越える温度では、短期間後または長期間後(温度に依存する)にHpの凝集が引き起こされる。例えば、60℃において24時間、Hpをインキュベートすると、HPLC−SECに示されるように完全な凝集を引き起こした。
〔実施例7:Hpの界面活性溶剤処理〕
実施例4のピーク1を、EP−A0131740の方法に従って界面活性溶剤(solvent detergent)処理をした。簡単に言うと、4.32gのポリソルビン酸塩20(polysorbate 20)と、1.16gのトリn−ブチルリン酸塩(TnBP)と、14.52gのWFI(導入用の水)とを、15分間激しく混合した。8.7gのこの混合物に実施例4の150mlのピーク1を添加し、25℃で30分間インキュベートした。その後、このサンプルをWFIにより475mlになるように希釈した。次に、この希釈したサンプルを、実施例3で使用した緩衝液を用いて30mlのDEAEカラムに添加した。結合していない分子および界面活性溶剤(SD)試薬をカラムから洗い流した。Hpを実施例3にあるように溶出した。得られたHpを、a)SDS−PAGE(これによりほとんどの不純物が除去されたことが示された)、およびb)ヘモグロビン結合アッセイ(これにより活性Hpの63%が産物中に回収されたことが示された)により分析した。残りの37%は洗浄段階の間に失ったため、界面活性溶剤処理はHpの活性に影響を与えないことが示された。
【0068】
本明細書中に記載されている精製方法により産生されたHpを、1つ以上の20nmウイルス用フィルターに通して濾過し、かくしてエンベロープを持たないウイルスも含め、潜在的に病原性のあるウイルス(SD処理により不活性化されないだろう)を理論的には確実に除去することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、実験室規模でのHp単離実験の一例の結果を示す。3本の記録図形は、伝導度(Cond)、pH(pH)、および紫外吸収(UV)に対応する。タンパク質の溶出ピークは、印を付けたアルブミンR/T、ハプト・ピーク1、ハプト・ピーク2およびAAG(α1−酸性糖タンパク質)である。
【図2a】図2aは、ハプト011のHpピーク(ピーク1)のHPLC分析を示す。
【図2b】図2bはハプト011のHpピーク(ピーク2)のHPLC分析を示す。
【図3】図3は、商業的規模でのHp単離実験(生産工程)の一例の結果を示す。3本の記録図形は、伝導度(Cond)、pH(pH)、および紫外線吸収(UV)に対応する。
【図4a】図4aは、生産工程のHpピーク(ピーク1)のHPLC分析を示す。
【図4b】図4bは、生産工程のHpピーク(ピーク2)のHPLC分析を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーン・フラクションVを含む試料からハプトグロビン(Hp)を単離する方法であって、該方法が該試料についての陰イオン交換クロマトグラフィーを含む方法。
【請求項2】
前記試料中に存在するHpのすべてのイソ型がその試料から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が弱い陰イオン交換基質を使用する前記試料についての陰イオン交換クロマトグラフィーを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記弱い陰イオン交換基質がDEAEアガロースである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、下記a)およびb):
a)前記試料を陰イオン交換基質に添加し、
b)陰イオン交換基質から選択的にHpを溶出させる
を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、下記a)、b)およびc):
a)前記試料を、陰イオン交換基質に添加し、
b)結合していない、または弱く結合している不純物を除くために、該基質を洗浄し、
c)該陰イオン交換基質から、選択的にHpを溶出させる
を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
添加および洗浄の段階が0.1〜3.0mS/cmの伝導度の緩衝液を用いる、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記の添加および洗浄の段階が1.0〜2.0mS/cmの伝導度の緩衝液を用いる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記の添加および洗浄の段階がpH3〜7の緩衝液を用いる、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記の添加および洗浄の段階がpH4.2〜5.0の緩衝液を用いる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記の溶出の段階が8.0〜15.0mS/cmの伝導度の緩衝液を用いる、請求項5〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記の溶出の段階が10.5〜12.5mS/cmの伝導度の緩衝液を用いる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記の溶出の段階がpH4〜6の緩衝液を用いる、請求項5〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記の溶出の段階がpH4.2〜5.0の緩衝液を用いる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
添加および/または洗浄および/または溶出の緩衝液が、酢酸ナトリウム、酢酸および塩化ナトリウムを含む、請求項5〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、下記a)、b)およびc):
a)DEAEアガロース陰イオン交換基質に前記試料を添加し、
b)1.2〜2.3mS/cmの伝導度およびpH4.5〜4.7の、酢酸ナトリウム/酢酸/塩化ナトリウムの洗浄緩衝液により該基質を洗浄し、
c)10.5〜12.5mS/cmの伝導度およびpH4.5〜4.7の、酢酸ナトリウム/酢酸/塩化ナトリウムの溶出緩衝液により該基質からHpを溶出する
を含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
コーン・フラクションVを含む試料から個々のHpのイソ型を単離する方法であって、その方法が、該試料についての陰イオン交換クロマトグラフィーを含む方法。
【請求項18】
溶出物が、別個のHpイソ型の溶出を同定するために観測される、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
Hp1−1のイソ型が最終産物中に保持される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
コーン・フラクションVを含む試料からアルブミンおよびハプトグロビンを単離する方法であって、該方法が、下記a)、b)およびc):
a)陰イオン交換基質に該試料の添加に続き、
b)選択的にアルブミンを除くために該基質を洗浄し、次に、
c)該基質からHpを選択的に溶出する
を含む方法。
【請求項21】
前記方法が少なくとも1つの濃縮および/または精製の工程をさらに含む、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの精製の工程が疎水性相互作用クロマトグラフィーである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が少なくとも1つの不純物を除去する工程をさらに含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記不純物を除去する工程がウイルスの不活性化工程またはウイルスの除去工程である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記のウイルスの不活性化工程またはウイルスの除去工程が、界面活性溶剤処理および/またはウイルスの濾過を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、下記(a)〜(d):
(a)コーン・フラクションVを含む試料についての陰イオン交換クロマトグラフィー;
(b)界面活性溶剤処理によるウイルスの不活性化および界面活性溶剤試薬のクロマトグラフィーによる除去;
(c)ウイルスの濾過;および
(d)生理的な緩衝液への配合;
工程(b)および工程(c)は、どの順序で実施されてもよい
を含む、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれかに記載の製法により得られる産物。
【請求項28】
治療に使用される、請求項27に記載の産物。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【公表番号】特表2008−517046(P2008−517046A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537377(P2007−537377)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004037
【国際公開番号】WO2006/043062
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(507130347)
【Fターム(参考)】