説明

ハリコンドリンBの調製用中間体

本発明は、大環状化合物、その合成並びにそれを得るための中間体を提供する。そのような化合物並びにその組成物は、増殖性疾患の治療若しくは防止に有用である。式(F−4)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2004年6月3日付けの米国仮特許出願第60/576,642号、2004年11月10日付けの第60/626,769号、並びに2005年3月18日付けの第60/663,300号に優先権を主張するものであり、参照することで、それら各々の全ての内容をここに取り入れることとする。
【0002】
本発明は、製薬的に活性なマクロライド化合物の合成中間体として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、製薬的に活性なマクロライド、その合成並びにその中間体に関する。ハリコンドリンBは、当初、海綿体クロイソカイメン(Halichondria okadai)から単離された有力な抗ガン剤であり、その後、Axinella sp、Phakellia carteri、及びLissondendryx spにおいても見出されている。ハリコンドリンBの全合成は、1992年に出版されている(Aicher, T.D.らによる、J. Am. Chem. Soc. 114:3162-3164)。ハリコンドリンBは、in vitroにおいて、チューブリン重合、微小管の形成、ベータ−チューブリン架橋、GTP及びビンブラスチンのチューブリンへの結合を阻害することが実証されており、また、in vitro及びin vivoにおいて抗ガン作用を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、抗ガン剤として有用なハリコンドリンB類似体を調製する合成法を開発することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本書に記載するように、本発明は、抗ガン活性あるいは抗有糸分裂(有糸分裂阻害)活性などの製薬的な活性を有するハリコンドリンB類似体を調製する方法を提供する。これらの化合物としては、式B−1939の化合物が挙げられる。
【0006】
【化4】

【0007】
これらの化合物は、限定はしないが、黒腫、線維肉腫、白血病、腸癌、卵巣癌、乳癌、骨肉腫、前立腺癌、肺癌、及びras-transformed線維母細胞をはじめとするガン並びに他の増殖性疾患を治療するのに有用である。本発明はまた、前記ハリコンドリンB類似体を調製するのに有用な合成中間体も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の方法及び中間体は、例えば米国特許第6,365,759号及び米国特許第6,469,182号に記載のような種々のハリコンドリンB類似体を調製するのに有用であり、参照することでそれらの全てを本書に取り入れることとする。これらハリコンドリンB類似体は、概して、以下のスキームIに示すように、3つの断片F−1、F−2、及びF−3を集合させることによって調製される。
【0009】
【化5】

【0010】
1.断片F−1
一実施形態によれば、本発明は、化合物F−1を提供する。
【0011】
【化6】

【0012】
式中、
PG1及びPG2の各々は、個々独立して、水素又は適切なヒドロキシ保護基であり;
R1は、R又はORであり;
R2は、CHO又は-CH=CH2であり;且つ
各Rは、個々独立して、水素、C1-4ハロ脂肪族、ベンジル、又はC1-4脂肪族である。但し、R1がOMeのとき、PG1及びPG2はアセトニド基を形成しない。
【0013】
或る実施形態では、R1は、ORである。他の実施形態では、R1は、ORであり、ここで、Rは、水素、メチル、又はベンジルである。
【0014】
或る実施形態では、PG1及びPG2は、水素である。他の実施形態では、PG1及びPG2の一方が水素である。
【0015】
適切なヒドロキシ保護基は当分野で周知であり、それには、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley &Sons, 1999に具体的に記載されているようなものが含まれ、参照することでその全てを本書に取り入れることとする。或る実施形態では、PG1及びPG2の各々は、個々独立して、それが結合している酸素原子と一緒になって、エステル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテル、及びアルコキシアルキルエーテルから選択される。そのようなエステルの例としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、炭酸エステル、及びスルホン酸エステルが挙げられる。具体例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p-クロロフェノキシアセテート、3-フェニルプロピオネート、4-オキソペンタノエート、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバルオエート(pivaloate)(トリメチルアセチル)、クロトネート、4-メトキシクロトネート、ベンゾエート、p-フェニルベンゾエート、2,4,6-トリメチルベンゾエート、又は、例えばメチル、9-フルオレニルメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、ビニル、アリル、及びp-ニトロベンジルなどの炭酸エステルが挙げられる。シリルエーテルの例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、及び他のトリアルキルシリルエステルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、トリチル、t-ブチル、アリル、及びアリルオキシカルボニルエステル又は誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、メトキシメチル、メチルチオメチル、(2-メトキシエトキシ)メチル、ベンジルオキシメチル、ベータ−(トリメチルシリル)エトキシメチル、及びテトラヒドロピラニルエーテルのようなアセタールが挙げられる。アリールアルキルエーテルとしては、ベンジル、p-メトキシベンジル(MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、O-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、2-及び4-ピコリルが挙げられる。
【0016】
或る実施形態では、F−1のPG1成分及びPG2成分の一方又は両方が、シリルエーテル又はアリールアルキルエーテルである。さらに他の実施形態では、F−1のPG1成分及びPG2成分の両方が、t-ブチルジメチルシリルである。
【0017】
代替実施形態によれば、PG1及びPG2は、それらが結合している酸素原子と一緒になって環状アセタールやケタールのようなジオール保護基を形成する。そのような基としては、メチレン、エチリデン、ベンジリデン、イソプロピリデン、シクロヘキシリデン、及びシクロペンチリデンが挙げられ、また、ジ-t-ブチルシリレン及び1,1,3,3-テトライソプロピリジシロキサニリデンのようなシリレン誘導体、環状カーボネート、及び環状ボロネートが挙げられる。そのようなヒドロキシ保護基を付加したり除去したりする方法、並びに他の保護基は当分野にて周知であり、また、P.J. Kocienskiによる、Protecting Groups, Thieme, 1994、並びにT.W. Greene及びP.G.M. Wutsによる、Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999に記載がある。他の実施形態によれば、PG1及びPG2は一緒になってアセトニド基を形成する。
【0018】
一実施形態によれば、R2はCHOである。
【0019】
他の実施形態によれば、R2は-CH=CH2である。
【0020】
或る実施形態では、本発明は、化合物F−1’として図示される立体化学式を有する式F−1の化合物を提供する。
【0021】
【化7】

【0022】
式中、各変数は、先に、区分及び下位区分において説明した通りである。
【0023】
或る実施形態では、以下の化合物F−1a及びF−1bが提供される。
【0024】
【化8】

【0025】
式中、「TBS」とは、t-ブチルジメチルシリルを表す。
【0026】
F−1a及びF−1bの合成の詳細は、後述する実施例において説明する。
【0027】
2.断片F−2
他の実施形態によれば、本発明は、化合物F−2を提供する。
【0028】
【化9】

【0029】
式中、
【0030】
【化10】

【0031】
の各々は、その両方が同時に二重結合であることはないという条件付きで、個々独立して、単結合又は二重結合であり;
LG1は、適切な脱離基であり;
Xは、ハロゲン又は-OSO2(Ry)であり;
Ryは、C1-6脂肪族又は5〜7員の飽和環、部分的に未飽和の環、又は完全に未飽和の環であり、ここでRyは、ハロゲン、R、NO2、CN、OR、SR、又はN(R)2から選択された3つまでの基によって任意に置換されており;
各Rは、個々独立して、水素、C1-4ハロ脂肪族、又はC1-4脂肪族であり;且つ
PG3は、適切なヒドロキシ保護基である。
【0032】
本書で用いるとき、適切な脱離基とは、所望の挿入化学成分により容易に置換される化学成分である。適切な脱離基は、当分野で周知であり、例えば、"Advanced Organic Chemistry," Jerry March, 4th Ed., pp. 351-357, John Wiley and Sons, N.Y. (1992)を参照されたい。かかる脱離基としては、限定はしないが、ハロゲン、アルコキシ、スルホニルオキシ、任意に置換されたアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたアルケニルスルホニルオキシ、任意に置換されたアリールスルホニルオキシ、及びジアゾニウム成分が挙げられる。適切な脱離基の例としては、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、メタンスルホニル(メシル)、トシル、トリフレート、ニトロ−フェニルスルホニル(ノシル)、及びブロモ−フェニルスルホニル(ブロシル)が挙げられる。ある実施形態では、F−2のLG1成分は、スルホニルオキシ、任意に置換されたアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたアルケニルスルホニルオキシ、又は任意に置換されたアリールスルホニルオキシである。他の実施形態では、F−2のLG1成分は、任意に置換されたアルキルスルホニルオキシである。さらに他の実施形態では、F−2のLG1成分は、メシル又はトシルである。
【0033】
ある実施形態では、F−2のX成分は、ハロゲンである。他の実施形態では、F−2のX成分は、スルホニルオキシ、任意に置換されたアルキルスルホニル、任意に置換されたアルケニルスルホニル、又は任意に置換されたアリールスルホニルである。さらに他の実施形態では、F−2のX成分は、トリフレートである。
【0034】
ある実施形態では、F−2のPG3成分は、それが結合している酸素原子と一緒になってシリルエーテルとなる。他の実施形態では、F−2のPG3成分は、それが結合している酸素原子と一緒になってエステル基となる。本発明の一態様によれば、F−2のPG3成分は、それが結合している酸素原子と一緒になってt-ブチルジメチルシリルとなる。本発明の他の態様によれば、F−2のPG3成分は、それが結合している酸素原子と一緒になってピバロイル(pivaloyl)又はベンゾイルとなる。
【0035】
ある実施形態では、本発明は、式F−2’で示される立体化学式を有する式F−2の化合物を提供する。
【0036】
【化11】

【0037】
式中、各変数は、先に、区分及び下位区分にて記載した通りである。
【0038】
ある実施形態では、化合物F−2a又はF−2bがもたらされる。
【0039】
【化12】

【0040】
式中、「MsO」はメシレートを表し、「TfO」はトリフレートを表し、「OPv」はピバルオエート(pivaloate)を表し、「Obz」はベンゾエートを表し、そして「TsO」はトシレートを表す。
【0041】
他の実施形態では、本発明は、結晶構造の式F−2bの化合物を提供する。他の実施形態によれば、アルカン溶剤から結晶化させた式F−2bの化合物が提供される。ある実施形態では、ペンタン又はヘプタンから結晶化させた結晶F−2bがもたらされる。他の実施形態では、約0℃において結晶化させた結晶F−2bがもたらされる。
【0042】
式F−2の化合物は、一般に、以下のスキームAに示すように、中間体F−2d及びF−2eから調製される。
【0043】
【化13】

【0044】
従って、本発明の他の態様では、式F−2dの化合物が提供される。
【0045】
【化14】

【0046】
式中、
R'は、-CH=CH2又は-C(O)Hであり;
Alkは、C1-4の直鎖又は分岐脂肪族基であり;且つ
PG5は、適切なヒドロキシ保護基である。
【0047】
適切なヒドロキシ保護基PG5は、先に、化合物F−2のPG3成分に関して説明、定義したものと同じである。ある実施形態では、PG5は、それが結合している酸素原子と一緒になってシリルエーテルとなる。他の実施形態では、t-ブチルジメチルシリルである。
【0048】
一実施形態によれば、化合物F−2dのAlk成分は、メチルである。
【0049】
ある実施形態では、式F−2d’の化合物がもたらされる。
【0050】
【化15】

【0051】
本発明のさらに他の態様では、式F−2eの化合物がもたらされる。
【0052】
【化16】

【0053】
式中、
R''は、OH、OPG3、又はLG4であり;
LG4は、適切な脱離基であり;且つ
各PG3は、個々独立して、適切なヒドロキシ保護基である。但し、PG3がt-ブチルジフェニルシリルのとき、R''はOMs以外である。
【0054】
当業者であれば、化合物F−2eのR''成分を、OHから、保護されたヒドロキシ基OPG3へと、あるいはまた、直にLG4へと変化させ得ることは理解できよう。かかる変化は当業者には既知であり、例えば、本書に記載するものが挙げられる。ある実施形態では、R''は、OH又はLG4である。式F−2eのLG4脱離基は、先に、化合物F−2のLG1成分に関して説明、定義したものと同じである。ある実施形態では、LG4は、トシル又はメシルである。
【0055】
化合物F−2eのPG3成分は、先に、化合物F−2のPG3成分に関して説明、定義したものと同じである。或る実施形態では、PG3は、それが結合している酸素原子と一緒になってシリルエーテルとなる。他の実施形態では、PG3は、t-ブチルジフェニルシリルである。
【0056】
本発明のさらに他の態様では、化合物F−2fが提供される。
【0057】
【化17】

【0058】
式中、Alk、PG3及びPG5は、先に、区分及び下位区分にて本書に記載したものと同じである。式F−2fの化合物は、本書に記載の方法や当分野で既知の方法によって、式F−2の化合物を調製するのに用いられる。
【0059】
F−2aの合成の詳細は、後述する実施例において説明する。
【0060】
あるいはまた、式F−2の化合物は、以下のスキームIIに示すように、D-キナ酸から調製される。式F−2の化合物の調製の詳細は、後述する実施例において説明する。
【0061】
【化18】

【0062】
D-キナ酸から式F−2の化合物を調製する他の方法では、以下のスキームIIIに示すように、中間体12から中間体17への代替経路がもたらされる。
【0063】
【化19】

【0064】
上記スキームIIIは、Eschenmoser-Tanabe Fragmentationによる中間体12から中間体17を調製する代替的な方法を示しており、式中、各Rxは、個々独立して、OPGx又はCNであり、ここでPGxは、本書に記載の適切なヒドロキシ保護基である。次いで、中間体17を用いて、上記スキームIIに従って式F−2の化合物を調製することができる。
【0065】
D-キナ酸から式F−2の化合物を調製するさらに他の方法では、以下のスキームIVに示すように、中間体9から中間体17への代替経路がもたらされる。
【0066】
【化20】

【0067】
式中、PGyは、本書に記載の適切なカルボキシ保護基であり、各PGxは、個々独立して、本書に記載の適切なヒドロキシ保護基である。
【0068】
D-キナ酸から式F−2の化合物を調製するのに有用な中間体を調製する他の方法を、以下のスキームVに示す。
【0069】
【化21】

【0070】
上記スキームVでは、Rがメチルエステルである中間体7(スキームIIからの)を用いて、結晶性中間体としてER-817664を調製することができる。上記スキームVに図示するように、PG5及びPG6の各々は、個々独立して、適切なヒドロキシ保護基である。ある実施形態では、PG5及びPG6は一緒になって環状ジオール保護基を形成する。他の実施形態では、PG5及びPG6は一緒になってシクロヘキシリデン保護基を形成する。上記スキームVに図示するように、LG5は、適切な脱離基である。かかる適切な脱離基は当分野で周知であり、本書に記載するものが挙げられる。ある実施形態では、LG5は、メシル又はトシルである。
【0071】
他の実施形態によれば、本発明は、式Aの化合物を提供する。
【0072】
【化22】

【0073】
式中、
【0074】
【化23】

【0075】
は、単結合又は二重結合を表し;
nは、1、2、又は3であり;
PG5及びPG6の各々は、個々独立して、適切なヒドロキシ保護基であり;
Wは、CH-A又はC(O)であり;
Aは、オキソ又はC1-6脂肪族基であり、ここでAは、1つ又は複数のQ1基で任意に置換されており;
各Q1は、個々独立して、シアノ、ハロ、アジド、オキソ、OR、SR、SO2R、OSO2R、N(R)2、NR(CO)R、NR(CO)(CO)R、NR(CO)N(R)2、NR(CO)OR、(CO)OR、O(CO)R、(CO)N(R)2、O(CO)N(R)2、O(CO)N(R)2、又はOPG1であり、ここでPG1は適切なヒドロキシ保護基であり;
任意に、A上の2つのQ1は一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から個々独立して選択された0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜8員の、飽和環、部分的に未飽和の環、又はアリール環を形成し;
各Rは、個々独立して、水素、又はC1-6脂肪族、5〜10員の飽和環、部分的に未飽和の環又はアリール炭素環、又は窒素、酸素又は硫黄から個々独立して選択された0〜4個のヘテロ原子を有する、4〜10員の、飽和環、部分的に未飽和の環又はアリール環から選択された任意に置換された基であり;
任意に、同一窒素原子上の2つのR基は、前記窒素原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から個々独立して選択された1〜4個のヘテロ原子を有する、3〜8員の飽和環、部分的に未飽和の環、又はアリール環を形成する。
【0076】
或る実施形態では、本発明は、式A’で示される立体化学式を有する式Aの化合物を提供する。
【0077】
【化24】

【0078】
式中、各変数は、先に、区分及び下位区分にて本書に定義、記載したものと同じである。
【0079】
ある実施形態では、本発明は、AがC(O)であるところの式A’の化合物を提供し、当該化合物は式A’−1を有する。
【0080】
【化25】

【0081】
式中、各変数は、先に、区分及び下位区分にて本書に定義、記載したものと同じである。
【0082】
先に概略的に定義したように、式A及びA’のA基はC1-6脂肪族基であり、ここでAは任意にQ1で置換されている。ある実施形態では、式A及びA’のA基はC2-5脂肪族基であり、ここでAは1つ又は複数のQ1で置換されている。
【0083】
先に概略的に定義したように、式A及びA’のQ1基は、個々独立して、シアノ、ハロ、アジド、オキソ、OR、SR、SO2R、OSO2R、N(R)2、NR(CO)R、NR(CO)(CO)R、NR(CO)N(R)2、NR(CO)OR、(CO)OR、O(CO)R、(CO)N(R)2、O(CO)N(R)2、又はOPG1であり、ここでPG1は適切なヒドロキシ保護基である。或る実施形態では、式A及びA’の各Q1基は、個々独立して、シアノ、ハロ、アジド、オキソ、N(R)2、OR、SR、SO2R、又はOSO2Rから選択される。他の実施形態では、式A及びA’の各Q1基は、個々独立して、シアノ、ハロ、アジド、オキソ、OR、SR、SO2R、OSO2R、N(R)2、NR(CO)R、NR(CO)R、及びO(CO)N(R)2から選択される。さらに他の実施形態では、例示的なQ1基として、NH(CO)(CO)-(ヘテロ環基又はヘテロアリール)、OSO2-(アリール又は置換アリール)、O(CO)NH-(アリール又は置換アリール)、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、NH(CO)(CO)-(アリール又は置換アリール)、NH(CO)(アルキル)(ヘテロアリール又はヘテロ環基)、O(置換又は未置換アルキル)(置換又は未置換アリール)、及びNH(CO)(アルキル)(アリール又は置換アリール)が挙げられる。
【0084】
或る実施形態では、式A及びA’のA基は、以下の特性の1つを有する:
(1)Aは、ヒドロキシ、アミノ、アジド、ハロ、及びオキソから選択される少なくとも1つの置換基を有する;
(2)Aは、ヒドロキシ、アミノ、及びアジドから選択される少なくとも1つの置換基を有するC1-6アルキル基である;
(3)Aは、ヒドロキシ、アミノ、及びアジドから個々独立して選択される少なくとも2つの置換基を有する;
(4)Aは、ヒドロキシ及びアミノから個々独立して選択される少なくとも2つの置換基を有する;
(5)Aは、少なくとも1つのヒドロキシ置換基と少なくとも1つのアミノ置換基を有する;
(6)Aは、少なくとも2つのヒドロキシ置換基を有する;
(7)Aは、置換されているC2-4脂肪族基である;
(8)Aは、置換されているC3脂肪族基である;
(9)Aは、Gを含有する環にAを連結させる炭素原子に対しアルファ位にある(S)-ヒドロキシを有するか、又は(R)-ヒドロキシを有する;
(10)Aは、ヒドロキシ及びシアノから選択される少なくとも1つの置換基を有するC1-6飽和脂肪族基である
用語「(S)-ヒドロキシ」とは、ヒドロキシ基を有する炭素原子の配置が(S)であることを意味する。本発明の実施形態にはまた、Aが結合している炭素原子に対し、(1)アルファ位及びガンマ位、(2)ベータ位及びガンマ位、又は(3)アルファ位及びベータ位にある各炭素原子が少なくとも1つ置換されているような化合物も含まれる。アルファ位、ベータ位及びガンマ位の各炭素原子は、個々独立して、(R)又は(S)の配置にある。ある実施形態では、本発明は、Aが結合している炭素原子に対しアルファ位及びベータ位にある各炭素原子が少なくとも1つ置換されているような化合物を提供する。
【0085】
式A及びA’の例示的なA基としては、2,3-ジヒドロキシプロピル、2,3-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシ-4-パーフルオロブチル、2,4,5-トリヒドロキシペンチル、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル、1,2-ジヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシ-4-パーフルオロブチル、3-シアノ-2-ヒドロキシプロピル、2-アミノ-1-ヒドロキシエチル、3-アジド-2-ヒドロキシプロピル、3,3-ジフルオロ-2,4-ジヒドロキシブチル、2,4-ジヒドロキシブチル、2-ヒドロキシ-2-(p-フルオロフェニル)-エチル、-CH2(CO)(置換又は未置換アリール)、-CH2(CO)(アルキル又はハロアルキルやヒドロキシアルキルのような置換アルキル)及び3,3-ジフルオロ-2-ヒドロキシペンテ-4-ニルが挙げられる。
【0086】
或る実施形態では、式A及びA’の何れかのA基は、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピルである。
【0087】
一態様によれば、本発明は、Q1がOPG1であるところの式A及びA’の何れかの化合物を提供し、ここでPG1は適切なヒドロキシ保護基である。適切なヒドロキシ保護基は当分野において周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P.G.M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999に詳細に記載されるようなものが挙げられ、参照することでその全てを本書に取り入れることとする。ある実施形態では、式A及びA’の何れかのPG1成分は、それが結合している酸素原子と一緒になって、エステル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテル、及びアルコキシアルキルエーテルの何れかとなる。かかるエステルの例としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、炭酸エステル、及びスルホン酸エステルが挙げられる。具体例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p-クロロフェノキシアセテート、3-フェニルプロピオネート、4-オキソペンタノエート、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバルオエート(pivaloate)(トリメチルアセチル)、クロトネート、4-メトキシ-クロトネート、ベンゾエート、p-ベニルベンゾエート(p-benylbenzoate)、2,4,6-トリメチルベンゾエートが挙げられ、また例えばメチル、9-フルオレニルメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、ビニル、アリル、及びp-ニトロベンジルなどのカーボネートが挙げられる。シリルエーテルの例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、及び他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、トリチル、t-ブチル、アリル、及びアリルオキシカルボニルエーテル又は誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、メトキシメチル、メチルチオメチル、(2-メトキシエトキシ)メチル、ベンジルオキシメチル、ベータ-(トリメチルシリル)エトキシメチル、及びテトラヒドロピラニルエーテルのようなアセタールが挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジル、p-メトキシベンジル(MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、O-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、2-及び4-ピコリルが挙げられる。
【0088】
ある実施形態では、式A及びA’の何れかのPG1成分は、それが結合している酸素原子と一緒になってシリルエーテル又はアリールアルキルエーテルとなる。さらに他の実施形態では、式A及びA’の何れかのPG1成分は、t-ブチルジメチルシリル又はベンゾイルである。さらに他の実施形態では、式A及びA’の何れかのPG1成分は、t-ブチルジメチルシリル(「TBS」)である。
【0089】
先に概略的に定義したように、任意に、A上の2つのQ1は一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から個々独立して選択された0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜8員の、飽和環、部分的に未飽和の環、又はアリール環を形成する。或る実施形態では、A上の2つのQ1は一緒になってエポキシド環を形成する。
【0090】
或る実施形態では、式A及びA’のPG5及びPG6基は、個々独立して、式A及びA’のPG1基に関して先述した適切な保護基から選択される。他の実施形態では、式A及びA’のPG5及びPG6基は一緒になって、環状ジオール保護基を形成する。かかるジオール保護基は当分野で周知であり、Greenにより記載されたものが挙げられ、それには、シクロヘキシリデンやベンジリデンジオール保護基が含まれる。
【0091】
或る実施形態では、本発明は、以下のスキームV−a、V−b及びV−cに従って式F−2の化合物を調製する方法を提供する。
【0092】
【化26】

【0093】
他の実施形態では、本発明は、結晶ER-817664を提供する。
【0094】
【化27】

【0095】
【化28】

【0096】
結晶性中間体であるER-817664の使用に関して、当該化合物を、式F−2の化合物を調製するのに有用な中間体の調製に用いる方法をスキームVI−aに示す。
【0097】
【化29】

【0098】
上記スキームVI−aに記載のトリオール中間体は、以下のスキームVI−bに示すように、式F−2の化合物を調製するのに有用な中間体を調製する代替方法にて用いられる。
【0099】
【化30】

【0100】
上記スキームVI−bでは、トリオール中間体を過ヨウ素酸塩で処理することによりアルデヒドを形成している。当該化合物をメチルWittg試薬と共に均一化し、生じたオレフィンを還元することでエステル化合物が形成される。残留する自由なヒドロキシ基をN-ヨードスクシンイミドで処理することでヨード中間体が形成され、エステルをホウ素化水素ナトリウムで還元することで上記のヒドロキシ化合物が形成される。当業者であれば、生じたヨード化合物が、先のスキームIIに示す化合物22に対応することは理解されようが、ここで、化合物22は、ヒドロキシの位置に保護基を有する。
【0101】
D-キナ酸から式F−2の化合物を調製するのに有用な中間体を調製するための他の代替的な方法では、以下のスキームVIIに示すように、スキームIIの中間体2からの代替経路がもたらされる。
【0102】
【化31】

【0103】
上記スキームVIIでは、立体選択的にER-812829を調製するために中間体2(スキームIIからの)が用いられる。ER-812829のジオールを保護するのに他の保護基も有用であることは理解されよう。そのような基は当業者には既知であり、シクロヘキシリデンやベンジリデンジオール保護基が挙げられる。はじめに、ステップ(a)にて、ER-811510のヒドロキシ基を2-ブロモクロロ酢酸で処理することでER-812771が形成される。当該ブロモ中間体をトリフェニルホスフィンで処理することで、MurphyらによるTettrahedron Letters, 40, (1999) 3455-3456に記載のものと実質的に同様の方法にて、in situにてWittig試薬が形成される。次いで、このWittig試薬がラクトンER-812772を形成する。ステップ(d)にて、二重結合を立体選択的に水素化することによってER-812829が得られる。
【0104】
本発明はまた、以下のスキームVII−aに示すように、D-キナ酸から式F−2の化合物を調製するのに有用な中間体を、上記スキームVIIに記載の中間体ER-812829から製造する方法も提供する。
【0105】
【化32】

【0106】
3.断片F−3
さらに他の実施形態によれば、本発明は、化合物F−3を提供する。
【0107】
【化33】

【0108】
式中、
各PG4は、個々独立して、適切なヒドロキシ保護基から選択され;
R3は、CHO又はC(O)OR4であり;
R4は、適切なカルボキシ保護基であり;且つ
LG2は、適切な脱離基である。
【0109】
適切なカルボキシ保護基は当分野で周知であり、詳しくは、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999に記載がある。或る実施形態では、F−3のR4基は、任意に置換されたC1-6脂肪族基又は任意に置換されたアリール基である。適切なR4基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、及びフェニルが挙げられ、各基は任意に置換されている。
【0110】
上述のように、適切な脱離基は当分野で周知であり、例えば、"Advanced Organic Chemistry," Jerry March, 4th Ed., pp. 351-357, John Wiley and Sons, N.Y. (1992)を参照されたい。かかる脱離基としては、限定はしないが、ハロゲン、アルコキシ、スルホニルオキシ、任意に置換されたアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたアルケニルスルホニルオキシ、任意に置換されたアリールスルホニルオキシ、シリル及びジアゾニウム成分が挙げられる。適切な脱離基の例としては、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、メタンスルホニル(メシル)、トシル、トリフレート、ニトロ−フェニルスルホニル(ノシル)、及びブロモ−フェニルスルホニル(ブロシル)が挙げられる。ある実施形態では、F−3のLG2成分はヨードである。
【0111】
代替実施形態によれば、適切な脱離基は、反応媒体内でin situにて生成させ得る。例えば、式F−3の化合物中のLG2は、式F−3の化合物の前駆体からin situにて生成することができ、ここで前記前駆体は、in situにてLG2により容易に置換されるような基を含む。かかる置換の具体例では、式F−3の化合物の前駆体は、ヨード基のようなLG2によりin situにて置換される基(例えば、トリメチルシリル基)を含有する。ヨード基の供給源には、例えば、N-ヨードスクシンイミドを用いることができる。適切な脱離基のかかるin situ生成は当分野で周知であり、例えばIdを参照されたい。
【0112】
上述のように、適切なヒドロキシ保護基は当分野で周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley &Sons, 1999に具体的に記載されているようなものが含まれ、参照することでその全てを本書に取り入れることとする。或る実施形態では、各PG4は個々独立して、それが結合している酸素原子と一緒になって、エステル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテル、及びアルコキシアルキルエーテルの何れかとなる。そのようなエステルの例としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、炭酸エステル、及びスルホン酸エステルが挙げられる。具体例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p-クロロフェノキシアセテート、3-フェニルプロピオネート、4-オキソペンタノエート、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバルオエート(pivaloate)(トリメチルアセチル)、クロトネート、4-メトキシクロトネート、ベンゾエート、p-フェニルベンゾエート、2,4,6-トリメチルベンゾエート、又は、例えばメチル、9-フルオレニルメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、ビニル、アリル、及びp-ニトロベンジルなどのカーボネートが挙げられる。シリルエーテルの例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、及び他のトリアルキルシリルエステルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、トリチル、t-ブチル、アリル、及びアリルオキシカルボニルエステル又は誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、メトキシメチル、メチルチオメチル、(2-メトキシエトキシ)メチル、ベンジルオキシメチル、ベータ−(トリメチルシリル)エトキシメチル、及びテトラヒドロピラニルエーテルのようなアセタールが挙げられる。アリールアルキルエーテルとしては、ベンジル、p-メトキシベンジル(MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、O-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、2-及び4-ピコリルが挙げられる。
【0113】
ある実施形態では、F−3のPG4成分の1つ、2つ、又は3つは、それらが結合している酸素原子と一緒になってシリルエーテル又はアリールアルキルエーテルとなる。他の実施形態では、F−3のPG4成分の1つ、2つ、又は3つは、t-ブチルジメチルシリル又はベンジルである。さらに他の実施形態では、F−3の3つのPG4成分全てが、t-ブチルジメチルシリルである。
【0114】
他の実施形態によれば、式F−3’で示す立体化学式を有する、式F−3の化合物がもたらされる。
【0115】
【化34】

【0116】
式中、各変数は、先に、区分及び下位区分にて本書に定義、記載した通りである。
【0117】
或る実施形態では、化合物F−3aがもたらされる。
【0118】
【化35】

【0119】
式中、「TBS」は、t-ブチルジメチルシリルを表す。
【0120】
F−3aの合成の詳細は、後述する実施例にて説明する。
【0121】
4.F−1、F−2、及びF−3を集合させることによる化合物Iの調製
断片F−1及びF−2の結合は、一般に、以下のスキームVIIIに記載のようにして達成することができる。
【0122】
【化36】

【0123】
上記スキームVIIIは、断片F−1及びF−2から中間体F−5aを調製する方法を示している。まずはじめに、KishiらによるOrg Lett 4:25 p 4431 (2002)に記載のものと実質的に同様の方法を用いて断片F−1及びF−2を結合させることで、中間体F−4が得られる。この結合は、カイラルなオキサゾール(ER-807363)の存在下でも、あるいはまたER-807363の不存在下でも進行する。しかしながら、ER-807363の存在下で行った方が、より高い選択性にてF−1及びF−2の結合反応を進行させることができる。次いで、ヘキサメチレンジシラジドカリウムでF−4を処理して、F−4分子内におけるWilliamsonエーテル合成により、立体異性体の混合物としてテトラヒドロピランF−5を得る。次いで、当該立体異性体を分離することでF−5aが得られる。これらのステップの詳細は、後述する実施例にて説明する。
【0124】
他の実施形態によれば、本発明は、化合物F−4を提供する。
【0125】
【化37】

【0126】
式中、PG1、PG2、PG3、LG1、及びR1は、先に、下位区分にて本書に定義した通りである。
【0127】
或る実施形態では、本発明は、式F−4’に示す立体化学式を有する、式F−4の化合物を提供する。
【0128】
【化38】

【0129】
式中、PG1、PG2、PG3、LG1、及びR1は、先に、下位区分にて本書に定義した通りである。
【0130】
本発明はまた、化合物F−4aを提供する。
【0131】
【化39】

【0132】
式中、「MsO」はメシレートを表し、「TBS」はt-ブチルジメチルシリルを表し、「OPv」はピバルオエートを表す。
【0133】
F−4aの合成の詳細は、後述する実施例に記載する。
【0134】
さらに他の実施形態によれば、本発明は、化合物F−5を提供する。
【0135】
【化40】

【0136】
式中、PG1、PG2、PG3、LG1、及びR1は、先に、下位区分にて本書に定義した通りである。
【0137】
或る実施形態では、本発明は、式F−5’又はF−5aで示す立体化学式を有する、式F−5の化合物を提供する。
【0138】
【化41】

【0139】
式中、PG1、PG2、PG3、LG1、及びR1は、先に、下位区分にて本書に定義した通りである。
【0140】
以下のスキームIXに示すように、中間体F−5aのPG3基を除去し、生じたヒドロキシ化合物F−6を、R3がCHOであるところの化合物F−3aと結合させることで、F−7が形成される。
【0141】
【化42】

【0142】
上記スキームIXは、F−3a及びF−6から中間体F−9を調製する方法を示している。まずはじめに、スルホン中間体F−6を、n-ブチルリチウムで、次いでアルデヒドF−3aで処理する。次いで、生じたジオール中間体F−7をDess-Martin試薬で酸化してケトン−アルデヒド中間体F−8を形成し、次いでこれをSmI2で処理することで中間体F−9が得られる。これらのステップの詳細は、後述する実施例において説明する。
【0143】
【化43】

【0144】
上記スキームXは、F−9a(LG2がヨード)から、本発明のハリコンドリンB類似体を調製する方法を示している。まずはじめに、上述のスキームVにおいて記載したものと実質的に同様の条件にて分子内結合を達成することで、ヒドロキシ化合物F−10が形成される。代替法では、本書に記載のように、カイラルなオキサゾールリガンドの存在下で分子内結合を進行させる。カイラルなオキサゾールリガンドを付与することによって、反応の収率及び効率が高くなる。本反応の詳細は、後述する実施例にて説明する。次いで、化合物F−10を酸化することでF−11が形成される。F−11のヒドロキシ保護基を適切な手法で除去することでF−12が得られる。当業者であれば、化合物F−11の保護基の除去を達成するのに適する方法が実際に用いられる保護基に依存し且つGreeneによって記載されたものが挙げられることは理解されよう。例えば、F−11の各ヒドロキシ保護基はTBS基であり、かかる除去は、任意に緩衝処理されたテトラブチルアンモニウムフルオライドによる処理によって達成することができる。これらのステップの詳細は、後述する実施例にて説明する。
【0145】
中間体F−12は、例えば、米国特許第6,365,759号及び米国特許第6,469,182号に記載のように、ハリコンドリンBの種々の類似体を調製するのに有用であり、参照することでその全てを本書に取り入れることとする。
【0146】
実施例
ハリコンドリンB類似体B-1939の調製を例示すべく、以下の実施例では、本発明の方法及び化合物を用いたハリコンドリンBの合成を説明する。
【0147】
【化44】

【0148】
当業者であれば、本発明の方法ならびに化合物によって、限定はしないが、米国特許第6,214,865号及び第6,365,759号に記載されるハリコンドリンB類似体をはじめとする多数のハリコンドリンB類似体が調製されることは理解されよう。参照することでその全てを本書に取り入れることとする。従って、後述する合成法は例示のためのものであり、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0149】
F−1aの調製
【0150】
【化45】

【0151】
適切な寸法の容器内において、D-グルクロノ-6,3-ラクトン(1重量部、1当量)をACN(3容積部)及びアセトン(9容積部)と混ぜ合わせた。触媒濃度の硫酸を添加し、系を還流下3時間保持した。当該系を、D-グルクロノ-6,3-ラクトンの分解に関し検証した。当該反応物を25℃に冷却し、15時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム固形物(0.5重量部)を添加し、反応物をさらに3時間撹拌した。濾過によって固形物を取り除き、有機物をある程度濃縮させ、追加のACN(2重量部)と共に共沸させた。ER-806045は、単離することなく次の反応に用いた。
【0152】
【化46】

【0153】
粗なER-806045(1重量部、1当量)を、−20℃にてACN(6.5容積部)中に溶解させた。内部温度を5℃未満に維持しつつ、ピリジン(1.5容積部、4.0当量)を添加し、SO2Cl2(0.38容積部、1.02当量)をゆっくりと添加した。ACNリンス剤(0.5容積部)を含む冷水(28容積部)に当該反応物を添加し反応を中止させ、内部温度を10℃未満に維持した。ヘプタンリンス剤(2容積部)を用いた濾過並びに乾燥により白色固形物ER-806410(0.87重量部、理論値の79%)を単離した。
【0154】
【化47】

【0155】
適切な寸法の容器にER-806410(1重量部、1当量)及びTHF(10重量部)を入れ、次いで10℃に冷却した。パラジウム担持カーボン(5%、0.5重量部)を添加し、当該混合溶液を10分間撹拌した。当該反応物をピリジン(0.44重量部、1.3当量)により緩衝処理し、固形物を水(2容積部)及びEtOAc(10重量部)により洗浄した。生じた溶液を1NのHCl(2.1容積部)で酸処理し、よく混合し、生じた層を分離させた。有機層を、炭酸水素ナトリウム水溶液(5容積部)及び水(5容積部)で順に洗浄した。有機物を減圧下で濃縮させ、生じた生成物をIPA(3.4容積部)から再結晶させ、さらに15℃においてヘプタン(3.4容積部)を添加することにより現出させた。白色固形物としてER-806047を単離した(収率67%)。
【0156】
【化48】

【0157】
適切な寸法の容器にER-806047(1重量部、1当量)及びトルエン(8容積部)を入れ、−40℃に冷却した。DIBALの17wt%トルエン溶液(4.6重量部、1.1当量)を添加し、内部温度を−35℃未満に維持させた。反応をアッセイした後、アセトン(0.15重量部、0.5当量)を添加して過剰の反応剤を失活させ、温度を10℃未満に維持した。10℃未満のEtOAc(7容積部)及び15%酢酸水溶液(8重量部)を用いて当該反応物を希釈させ、透明な溶液が得られるまで20℃にて撹拌した。層を分離させ、そして水性層を、EtOAcを用いて2回(2×10容積部)抽出した。足し合わせた有機物を、炭酸水素ナトリウム水溶液(5容積部)及びブライン(5容積部)にて順に洗浄し、次いで硫酸マグネシウム(0.2重量部)を用いて乾燥させた。濾過後、有機層をある程度濃縮させ、減圧し、トルエン(4容積部)と共に共沸させた。生成物は、次の反応に使用するために、THF溶液として保管した。
【0158】
【化49】

【0159】
適切な寸法の容器にTMSCH2MgCl(2.04重量部、3.0当量)の20wt%エーテル溶液を入れ、5℃未満に冷却した。当該反応容器にER-806048(1重量部、1当量)のTHF(7容積部)溶液を添加し、内部温度を15℃未満に維持させた。当該反応物を1.5時間、35℃に温めた。当該反応物を冷却し、トルエン(7容積部)で希釈し、20℃未満のAcOH(3容積部)を用いて反応を中止させた。当該反応物を10%塩化アンモニウム水溶液(6重量部)でさらに希釈し、十分に混合し、層を分離させた。有機層を、炭酸水素ナトリウム水溶液(5容積部)及びブライン(5溶液部)で順に洗浄した。硫酸マグネシウム(0.2重量部)による乾燥並びに濾過の後、当該溶液を減圧下で濃縮させ、濃縮トルエン溶液としてER-807114を単離した(収率90%)。
【0160】
【化50】

【0161】
適切な寸法の容器に、ER-807114(1重量部、1当量)及びTHF(20容積部)を順に入れ、当該溶液を5℃未満に冷却した。これに、KHMDSの15wt%トルエン溶液(9.16重量部、2.0当量)を添加した。10%塩化アンモニウム水溶液(5容積部)を用いて反応を中止した。層を分離させ、そして有機層を、塩化アンモニウム(5容積部)、2NのHCl(8.5容積部)、炭酸水素ナトリウム水溶液(5容積部)、及び水(5容積部)で順に洗浄した。有機物を、EtOAcを用いて濃縮容器に移動させ、粘性オイルへと濃縮させた(収率90%)。当該物質を35℃にてトルエン(4容積部)及びヘプタン(4容積部)から再結晶化させ、さらに、15℃及び10℃にてヘプタンを用いて(2×4容積部)現出させた(収率94%)。
【0162】
【化51】

【0163】
適切な寸法の容器にKOtBu(0.67重量部、1.2当量)及びTHF(7.7容積部)を入れ、内部温度が−20℃になるよう冷却した。THF(2.3容積部)中にER-806049(1重量部、1当量)を含有して成る溶液を添加し、内部温度を−7℃未満に維持した。純BnBrを添加し、最高温度を−7℃に維持させた。当該反応物を、−20℃にて2時間、そして10℃にて10時間撹拌した。10%NH4Cl(4重量部)を用いて反応を中止させ、トルエン(4容積部)で希釈し、よく混合した。層を分離させ、そして有機層を10%ブライン(4重量部)で洗浄し、MgSO4(0.15重量部)を用いて乾燥させた。減圧下における濃縮後、tBuOH溶液(2.5容積部)としてER-806050を単離した(収率95%)。
【0164】
【化52】

【0165】
適切な寸法の容器に、K3Fe(CN)6(3.5重量部、3.4当量)、K2CO3(1.5重量部、3.4当量)、(DHQ)2AQN(0.0134重量部、0.005当量)、水(18容積部)、t-BuOH(13容積部)、及びER-805050/tBuOH(1重量部、1当量/5容積部)を順に入れた。当該不均一系混合物を内部温度が0℃となるよう冷却し、K2OsO4・2H2O(0.0029重量部、0.22モル%)を添加した。0℃にて36時間維持した後、Na2S2O3(3.5当量、1.7重量部)を用いて反応を中止させ、一晩かけて容器を周囲温度にまで温めた。15時間後、当該混合物を試験容器に移し、トルエン(15容積部)及び水(4容積部)で希釈させた。この二相から成る混合物を激しく撹拌し、分離させた。有機層をブライン(10容積部)で洗浄し、濃縮させ、そして、10%トルエン溶液としてジオールER-806051及びER-806052の粗な混合物が得られるように溶媒交換した。
【0166】
【化53】

【0167】
ER-806051/52(1重量部、1当量)のトルエン溶液(10.1wt%、9.9重量部)を、追加のトルエン(3重量部)でさらに希釈した。当該トルエン溶液にN-メチルモルホリン(0.94重量部、3.0当量)及びDMAP(0.075重量部、0.2当量)を添加し、生じた混合物を15℃未満に冷却した。内部温度を25℃未満に維持しつつ、塩化ベンゾイルを添加した。次いで当該反応物を75℃にて12時間撹拌した。当該反応物を15℃に冷却し、1NのHCl(5容積部)による反応中止処理の間、温度を25℃未満に維持させた。層をよく混合し、そして分離させた。有機層を、ブライン(3重量部)、炭酸水素ナトリウム水溶液(3重量部)、及びブライン(3重量部)で順に洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO4、0.25重量部)、活性炭(0.1重量部)で処理し、トルエン(1重量部)を用いて濾過(Celite(登録商標)、0.3重量部)した。生成物を減圧下である程度濃縮させ、トルエン(3重量部)と共に共沸させた。トルエン溶液(5容積部)として、ビスベンゾエートER-806053/54を収率95%にて単離した。
【0168】
【化54】

【0169】
不活性雰囲気下、TiCl4(6.42重量部、3.6当量)の20wt%トルエン溶液を15℃に冷却した。内部温度を30℃未満に維持しつつ、アリルTMS(1.03重量部、4.8当量)を、前のステップから22wt%トルエン溶液(4.55重量部、1当量)として得られたER-806053/54(1重量部、1当量)と予混合させ、次いで、新たに設けたTi(OiPr)Cl3に添加した。前記添加の間、内部温度は30℃未満に維持した。当該反応物を20−30℃にて2時間撹拌した。当該反応物を−5℃まで冷却し、内部温度を30℃未満に維持しつつ、1NのHCl(6容積部)を用いて反応を中止させた。よく混合した後、層を分離させ、そして有機層を、1NのHCl(3容積部)及びブライン(2×3容積部)で順に洗浄した。当該有機層をMgSO4(0.3重量部)及び活性炭(0.15重量部)と共に撹拌し、Celite(登録商標)プラグ(0.2重量部)を通して濾過し、トルエン(1容積部)ですすいだ。濾過後、C-34にて3:1混合物として、生成物を収率83%にて単離した。IPA/n-ヘプタンから再結晶化させることにより、C-34にて>99.5%d.e.のER-806055が得られた(収率71%)。
【0170】
【化55】

【0171】
室温にて、適切な寸法の容器にアルコールER-806055(1重量部、1.0当量)、トルエン(7容積部)、DMSO(0.31重量部、2.0当量)及びEt3N(0.78重量部、4.0当量)を入れた。生じた溶液を−19℃に冷却した。内部温度を−10℃未満に維持しつつ、TCAA(0.84重量部、1.4当量)を滴下添加した。当該反応物をさらに10分間撹拌した。当該反応物をIPA(0.5容積部)で希釈し、内部温度を10℃未満に維持しつつ、1NのHCl(5容積部)を用いて反応を中止させた。層を分離させ、そして有機層をNaHCO3水溶液(5重量部)及び水(3容積部)で順に洗浄した。当該有機層を減圧下である程度濃縮し(粗収率100%)、さらに追加のトルエン(4容積部)と共に共沸させた。生じたケトン(ER-806058)を計4容積部のトルエン中に溶解させ、含水量について検査し、次の反応にそのまま用いた。
【0172】
【化56】

【0173】
ER-107446(1重量部、1.5当量)をTHF(2.7容積部)に含有させて成る溶液を10℃に冷却し、内部温度を15℃未満に維持しつつ、LHMDSの25.5wt%THF溶液(5.2重量部、1.4当量)で処理した。他の容器において、粗なER-806058のトルエン溶液(21.9wt%、5.4容積部)を10℃に冷却した。当該容器の内容物を、内部温度を20℃未満に維持しつつ、基質を含有する溶液内に移した。当該反応物を30分間撹拌し、次いで、内部温度を20℃未満に維持しつつ、1NのHCl(6.5容積部)により反応を中止させた。層を分離させ、そして有機層を1:1のMeOH/水を用いて4回(4×5容積部)、次いで炭酸水素塩水溶液(5容積部)、ブライン溶液(2×5容積部)で洗浄した。生成物をMgSO4(0.52重量部)で乾燥させ、濾過し(0.7容積部のトルエンですすぐ)、そして減圧下で濃縮させて重油とした。
【0174】
【化57】

【0175】
室温にて、1:1のトルエン/CH2CN(5容積部)中にER-806059を溶解させた。内部温度を40℃未満に維持しつつ、濾過処理したTMSI(1.23重量部、4当量)を添加した。当該反応物を60℃にて2時間加熱した。当該反応物を−15℃に冷却し、30℃未満の25%水酸化アンモニウムを用いて反応を中止させた。当該反応内容物を一晩撹拌し、層を分離させた。有機層に追加のトルエン(5容積部)及び水(2容積部)を入れた。層をよく混合し、そして分離させた。次いで、有機層を、10%硫酸ナトリウム水溶液(5容積部)、1NのHCl(5容積部)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(5容積部)、及びブライン(5容積部)で順に洗浄した。有機層をMgSO4(0.2重量部)を用いて乾燥させ、濾過し、ある程度濃縮させて、50%のトルエン溶液として次の反応に用いた。
【0176】
【化58】

【0177】
適切な寸法の容器内において、65℃にてNaBH(OAc)3(1.19重量部、3.15当量)、Bu4NCl(1.04重量部、2.1当量)、DME(8.2容積部)、及びトルエン(4容積部)を足し合わせ、室温にて撹拌した。当該混合物を1時間75℃に加熱した。50wt%のトルエン溶液としてER-806060(1重量部、1当量)を75℃にて添加し、さらにトルエン(0.3容積部)を加えて洗浄した。反応温度を85℃にまで上げ、反応物を2−4時間撹拌した。当該反応物を<10℃に冷却し、内部温度を20℃未満に維持しつつ、水(3.2容積部)を用いて反応を中止させた。層をよく混合し、そして分離させた。当該有機層を、炭酸水素ナトリウム水溶液(2×5容積部)及び水(2×5容積部)で順に洗浄した。当該有機層を濃縮させ、ER-806061の40wt%MeOH溶液が得られるように溶媒交換した。
【0178】
【化59】

【0179】
ER-806061(1重量部、1.0当量)の40wt%MeOH溶液を、さらなるメタノール(1.6容積部)中に溶解させた。炭酸カリウム(0.24重量部、1.0当量)を添加し、反応温度を1時間50℃に上げた。当該反応物を15℃に冷却し、そして内部温度を30℃未満に維持しつつ、1NのHCl(3.5容積部、2当量)を用いて反応を中止させた。当該反応物を、水(3.9容積部)及びトルエン(3容積部)で希釈した。層を分離させ、そして水性層をトルエン(1.5容積部)で逆抽出した。当該水性層に、炭酸水素ナトリウム(0.3重量部)及び塩化ナトリウム(0.6重量部)を入れ、nBuOH(3容積部)で逆抽出した。3つの有機層を足し合わせ、乾燥するまで濃縮させることで、粗なトリオールER-806064と無機塩が得られた。当該生成物を80℃、7:1のトルエン/nBuOH中に溶解させ、加熱濾過し、一晩冷却、撹拌することによって再結晶化させた。濾過及びトルエンによる洗浄の後、全5ステップにおける収率57%にてER-806064(F−1b)が単離された。FAB(+)-MS m/z 357 (M+H)。融点96.2℃。
【0180】
【化60】

【0181】
精製したトリオールER-806064(1重量部、1当量)をアセトン(2容積部)中に分散させ、2,2-ジメトキシプロパン(1容積部)で希釈し、そして25℃にて濃硫酸(0.0086重量部、0.03当量)で処理した。当該反応物を、均一系になるまで撹拌した。当該反応物をトルエン(5容積部)で希釈し、5%K2CO3(2容積部)を添加することにより反応を中止させた。層をよく混合し、そして分離させた。当該有機層を、10%ブラインで洗浄し、Na2SO4(0.5重量部)を用いて乾燥させた。当該溶液を濾過(トルエン洗浄)し、減圧下で濃縮させることで、黄色油としてER-806126が得られた。当該物質を次の段階でそのまま用いた。
【0182】
【化61】

【0183】
NaOtBu固形物(0.34重量部、1.4当量)を、THF(2.7容積部)及びDMF(0.3容積部)中に溶解させ、次いで、10℃未満に冷却した。内部温度を15℃未満に維持しつつ、THF(2.5容積部)中にER-806126(1重量部、1当量)を含有させて成る溶液を前記NaOtBu溶液にTHF(0.5容積部)と共に添加した。30分撹拌後、温度を15℃(外部)未満に維持しつつ、ヨウ化メチル(0.204容積部、1.3当量)を添加した。当該反応物を25℃に温め、そして水(5容積部)を用いて反応を中止させ、トルエン(7容積部)で希釈した。層をよく混合し、そして分離させた。当該有機層を、ブラインで2回洗浄し(2×5容積部)、Na2SO4(0.5重量部)を用いて乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮させた。
【0184】
【化62】

【0185】
ER-806068(1重量部、1当量)を1容積部のMeOH中に溶解させた。水(1.5容積部)及び2NのHCl(1.25容積部、1当量)を添加し、当該反応物を25℃にて撹拌した。当該反応物を、10℃、2MのNaOH(1.34容積部)に添加することにより反応を中止させた。当該反応物を酢酸イソプロピル(5容積部)で希釈し、層をよく混合し、そして分離させた。当該水性層を5容積部の酢酸イソプロピルで逆抽出し、足し合わせた有機層をMgSO4(0.5重量部)を用いて乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮させることで、粗なジオールER-806063が得られた。
【0186】
【化63】

【0187】
DMF(4容積部)中に粗なER-806063(1重量部、1.0当量)を含有させて成る25℃の溶液に、内部温度を30℃未満に維持しつつ、イミダゾール(0.62重量部、3.4当量)、次いでTBSCl(1.02重量部、2.53当量)を入れた。当該反応物を25℃にて撹拌した。当該反応物をMTBE(10容積部)で希釈し、H2O(4容積部)で洗浄した。当該有機層を、1MのHCl(3容積部)、水(3容積部)、炭酸水素ナトリウム水溶液(3容積部)、及びブライン(3容積部)で順に洗浄した。当該有機層をMgSO4(0.5重量部)を用いて乾燥させ、1容積部のMTBE洗浄剤を用いて濾過し、減圧下で濃縮させ、ヘプタン(4容積部)に溶媒交換した。
【0188】
【化64】

【0189】
ER-806065(1重量部、1当量)を、ヘプタン、イソオクタン、又はIPA(10容積部)中に溶解させた。当該溶液を−60℃(±10℃)未満に冷却した。当該溶液が青色になるまで、低温で当該溶液をオゾンでバブリングした。当該溶液を窒素で15−30分間パージし、窒素流通下で当該反応物を5℃に温めた。そして、7−15wt%のLindlar触媒(Pbで被毒された5%Pd/CaCO3、0.1重量部)を添加した。リアクタのヘッド部を窒素で数回パージし、脱気し、1気圧のH2(g)を配した。次いで、当該反応物を室温(20−25℃)に温めた。そして当該反応物を2.5時間撹拌した。得られた不均一系溶液を、MTBE(2容積部)洗浄を利用して、Celite(登録商標)を通して濾過した。当該溶液を乾燥するまで濃縮させ、1.0重量部の粗なER-806067を単離した。この粗な単離物をヘプタン又はイソオクタンから再結晶化させることで、5ステップにおける収率68%にて、白色結晶固形物であるER-806067(F−1a)が得られた。FAB(+)-MS m/z 601 (M+H)。融点64.5℃。
【実施例2】
【0190】
F−2aの調製
【0191】
【化65】

【0192】
リアクタに、予め洗浄したAmberlyst 15(0.05重量部)及び水(4.63容積部)を入れ、内部温度を0−5℃に冷却した。当該リアクタに、2,3-ジヒドロフラン(1重量部、1当量)を入れ、内部温度を約5℃に維持しつつ1.5時間撹拌した。第2のリアクタに水(4.63容積部)を入れ、内部温度を35℃に加熱した。このリアクタに、スズ粉末(2.2重量部、1.3当量)、蒸留した2,3-ジブロモプロペン(3.71重量部、1.3当量)、及び48%臭化水素酸(0.002容積部)をそれぞれ入れた。温度が36−38℃に急上昇し反応開始を確認した後に、内部温度を45℃未満に維持しつつ、第2のリアクタに、2,3-ジブロモプロペンを少しずつ(9×0.37重量部)入れた。全て添加した後に、第2のリアクタの内容物を、内部温度35℃にて、さらに60分間撹拌した。内部温度が45℃を超えないような速度にて、濾過した第1のリアクタの内容物を第2のリアクタに入れた。全て添加した後、熱源を取り除き、第2のリアクタにCelite(登録商標)545(2.0重量部)を入れ、得られた混合物を30分間撹拌した。当該不均一系混合物をCelite(登録商標)545パッド(2.0重量部)を通して濾過し、ケークを追加の水(5容積部)で洗浄した。全ての濾過液を足し合わせてリアクタに入れ、濁った溶液が透明になるまで濃塩酸(1.5容積部)を入れた。激しく撹拌しつつ、当該リアクタに塩化ナトリウム(3.6重量部)を入れ、層を分離させた。当該有機層を分離し、保管した。水性層は、n-ブタノール(20容積部)で抽出した。当該水性層を排出させ、リアクタに、はじめの分離物からの有機物を入れた。当該有機物を、濃縮炭酸水素ナトリウム(24容積部)で洗浄し、次いで、n-ブタノール(20容積部)を用いて水性層を逆抽出した。全ての有機物を足し合わせ、真空下で濃縮させた。当該濃縮物をMTBE(10容積部)中に溶解させ、濾過し、そして当該濾過液を2容積部まで濃縮させた。撹拌しながら、当該濃縮物を内部温度が0℃となるよう冷却し、次いでn-ヘプタン(4容積部)を添加した。当該不均一系混合物を、内部温度0℃にて、2時間撹拌し、濾過及び真空乾燥を経て、所望の生成物を単離し、白色粉末であるER-806909(1.34重量部、0.45当量)が得られた。
【0193】
【化66】

【0194】
リアクタに、イミダゾール(0.65重量部、2当量)、ER-806909(1重量部、1当量)、及び無水DMF(4.04容積部)を入れた。撹拌しつつ、当該リアクタを、内部温度が0℃となるよう冷却し、次いで、内部温度が15℃を超えないような速度にてtert-ブチルクロロジフェニルシラン(1.25重量部、0.95当量)を添加した。内部温度を<15℃に維持しつつ、当該反応物をさらに1時間撹拌した。当該リアクタに、水(3.2容積部)及びn-ヘプタン(6.4容積部)を入れた。当該混合物を5−15分間撹拌し、そして層を分離させた。当該有機層を分離し、保管した。水性層は、n-ヘプタン(3.2容積部)を用いて抽出した。全ての有機物を足し合わせ、ブライン(3.2容積部)で洗浄し、真空乾燥することで、黄色油であるER-806545(2.13重量部、0.95当量)が得られた。当該生成物をさらに精製することなく次の段階で用いた。
【0195】
【化67】

【0196】
擬似移動相(SMB)型クロマトグラフィを用いてER-806909の鏡像異性体を分離し、黄色油としてER-808373(0.55重量部、0.55当量)及びER-806721(0.45重量部、0.45当量)を得た。ER-806909の鏡像異性体を分離するのに用いたSMB型クロマトグラフィのプロトコルは以下の通りである。
【0197】
カラム及び媒体: Chiracel OD 20?m 30mm x 150mm(12カラム)
溶媒系: 96:4(vol/vol)ヘプタン:tert-ブタノール(移動相)
擬似移動相型
クロマトク゛ラフィ装置: Knauer SMG System CSEP C912
等温式(ラングミュア型、前面分析(frantal analysis)により決定):
望ましくない異性体: Qi*=2.8768xCi/(1+0.02327xCi)
所望の異性体: Qi=4.5320xCi/(1+0.0034595xCi)
Qi=固相濃度(g/L)及びCi=液層濃度(g/L)
カラム空隙率: 0.658
温度: 27℃
EuroChrom 2000 for Windows. SMB Guide ver. 1.2(Wissenschaftliche Geratebau Dr.-Ing. Herbert Knauer GmbH, D-14163 Berlin;作者H. Kniep及びA. Seidel-Morgenstern)を用いたシミュレーションにより算出した流速等:
原料濃度: 36g/L(ER-806909)
原料流速(ポンプ1): 15mL/min
溶離剤流速(ポンプ2):76.4mL/min
領域IV(ポンプ3)流速:107mL/min
領域II(ポンプ4)流速:134.3mL/min(実流速143.5mL/min)
領域I流速: 183.4mL/min
領域III流速: 149.3mL/min
ラフィネート流速: 42.3mL/min *ラフィネート=弱く結合した異性体
エキストラクト流速: 49.1mL/min *エキストラクト=強く結合した異性体
接触時間
(ポート切替時間): 0.8864min(53.18sec、実接触時間=54sec)
上記プロトコルを用いて、以下のようにして、ER-806909の鏡像異性体を分離した。11時間の運転の間、ER-806909を36g/Lにて含む10Lの移動相を、直径142mm、細孔径0.45μmのナイロンフィルタ(Cole-Parmer #2916-48)を通して原料タンクへと、ポンプ(Silog model Chemtec)を用いて流した。溶離剤タンクは、1μmグラスファイバから成る直径45mmのインラインフィルタ(Whatman GFC)によって濾過処理された36Lの移動相によって満たし、運転中、さらに追加した。SMG装置の内部温度は27℃に調節した。
【0198】
始動時、原料入口と溶離剤入口を両方とも溶離剤タンクに接続した。原料ポンプ及び溶離剤ポンプに呼び水を差し、移動相でパージした。SMB装置のカラム切替を開始し、ポンプを始動し、各ポンプの絶対流速差を維持しつつ、流速を徐々に最高速へと高めた。最高速に達したら、ラフィネート流速及びエキストラクト流速を測定し、ポンプ流速を調節してポンプ仕様の偏差補正を行った。原料ポンプ(ポンプ1)を0mL/minへと減速させ、入口を原料タンクに接続し直し、ポンプに原料溶液を流し込み、次いで、流速を徐々に最高作動速度へと高めた。ラフィネート出口及びエキストラクト出口を別個のタンクに接続し、各サンプルを2時間毎に採取した。当該サンプルは、以下に説明するHPLC法を用いたHPLC分析によって、光学異性体純度に関して調査した。ポンプ2、3及び4の流速並びに接触時間を調節することによって、所望の出口純度を得た。
【0199】
運転終了時、原料ポンプを再度流速ゼロへと減速させ、溶離剤タンクに接続した。原料ポンプを最高速に戻し、系を20分間洗浄した。洗浄時間中、ラフィネート出口及びエキストラクト出口を10分間(10接触)維持し、洗浄の残り時間において、それら出口を別個のタンクに接続した。カラム洗浄物は、濃縮させて、次回の運転における原料に加えた。
【0200】
各回の運転の最後に収集したエキストラクト(ER-806721)を、同じ出発原料ロットから収集した物質と共にプールし、最後にプールしたロットを、以下の表1に記載のHPLC分析法によって光学異性体純度に関して再分析した。収集したラフィネート(ER-808373)に関しても、同様の手順を適用した。
【0201】
【表1】

【0202】
【化68】

【0203】
リアクタに、トリフェニルホスフィン(0.7重量部、1.2当量)、p-ニトロ安息香酸(0.45重量部、1.2当量)、ER-808373(1重量部、1当量)、及び無水トルエン(8容積部)を入れた。当該反応物を内部温度が0℃になるよう冷却し、そして内部温度が7℃を超えないような速度にてDEAD(1.17重量部、1.2当量)をゆっくりと添加した。n-ヘプタン(3.3容積部)を添加し、そして当該混合物を内部温度が10℃となるように冷却し、次いで、30−40分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過によって取り除いた。当該フィルターケークを、n-ヘプタン(3.3容積部)、TBME(0.55容積部)、n-ヘプタン(1.1容積部)、及びMTBE(0.55容積部)で洗浄した。全ての濾過液を足し合わせ、真空下で濃縮させた。次いで、その粗な濃縮物を、THF(8容積部)中に溶解させ、次いで、水(0.8容積部)及びn-ヘプタン(3.3容積部)を添加し、5分間撹拌した。水(2.2容積部)及びn-ヘプタン(3.3容積部)を添加し、その二相から成る混合物を5分間撹拌し、次いで、層を分離させた。その水性層を分離し、必要に応じてn-ヘプタンを用いて逆抽出した。有機層を足し合わせ、真空下で濃縮させた。その粗な生成物をSiO2カラムクロマトグラフィを用いて精製することで淡黄色油であるER-806721(0.74−0.85重量部、0.74−0.85当量)が得られた。
【0204】
【化69】

【0205】
リアクタに、ER-806721(1重量部、1当量)及び無水ジクロロメタン(4.2容積部)を入れた。当該反応物を、内部温度が0−5℃となるよう冷却し、次いでトリエチルアミン(0.34重量部、1.5当量)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.51重量部、1.2当量)、及び4-(ジメチルアミノ)-ピリジン(0.001重量部、0.25当量)を添加した。得られた混合物を周囲温度にて48時間撹拌し、次いで水(1.8容積部)及びジクロロメタン(1.8容積部)を添加した。十分に混合させた後、有機物を分離させ、有機物を濃縮させた。当該濃縮物をMTBE(1.8容積部)中に溶解させ、ブライン(1.8容積部)で洗浄した。当該有機層を分離させ、保管した。水性層は、MTBE(1.8容積部)を用いて逆抽出し、次いで、全ての有機物を足し合わせ、真空下で濃縮させた。その粗な油を、SiO2プラグ(70−230メッシュ、1重量部)を通して、MTBE(7容積部)を用いて溶離させ濾過し、濾過液を真空下で濃縮させた。当該濃縮物をIPA(5容積部)中に溶解させ、水(0.25容積部)を添加した。得られた混合物を、内部温度が15℃となるように冷却した後、ER-807204が生じた。その後、当該混合物を内部温度が0℃となるよう冷却し、4−5時間撹拌した。当該懸濁物を濾過し、フィルターケークを冷たいIPA(1容積部)で洗浄し、そして当該ケークを真空下で乾燥させることで、白色粉末であるER-807204(1.05重量部、0.78当量)が得られた。IR(薄膜、cm-1) λ 2597, 1633, 1363, 1177, 907, 729。LRMS m/z 602 (M+H)。
【0206】
【化70】

【0207】
リアクタに、21%ナトリウムエトキシド/エタノール(2.97重量部、0.9当量)を入れた。当該溶液を内部温度が65℃となるよう加熱し、次いで、内部温度が70℃を超えないような速度にてジエチルマロネート(3.24重量部、2当量)を添加した。当該混合物を30分間撹拌し、次いでER-806906(1重量部、1当量)を3−5時間かけて添加した。全て添加したら、当該反応物を60分間撹拌し、次いで内部温度が50℃となるよう冷却する。そして、内部温度が65℃を超えないような速度にて濃塩酸(0.84重量部、1.05当量)を添加した。次いで蒸留によってDMF(3容積部)及びエタノールを除去し、次いで、蒸留水(0.25容積部、1.4当量)中に塩化マグネシウム六水和物(0.21重量部、0.1当量)を含有して成る溶液を添加した。得られた混合物を還流下加熱し、次いで室温まで冷却し、ブライン(12容積部)及びTBMB(16容積部)を添加した。有機層を分離させ、水(1.3容積部)及びブライン(1.2容積部)で洗浄した後、真空下で濃縮させた。生成物を蒸留精製することで、ER-805552(0.95−1.09重量部、0.71当量)が得られた。
【0208】
【化71】

【0209】
リアクタに、1.0MのLHMDS/トルエン(6.61重量部、1.04当量)を入れ、内部温度が−75℃となるよう冷却した。ER-805552(1重量部、1当量)を無水THF中に溶解させ、内部温度が−70℃を超えないような速度にて前記リアクタに添加した。全て添加したら、当該反応物を、内部温度−78℃にて30分間撹拌した。当該反応物を、激しく撹拌しながら、1Nの塩酸水溶液(10容積部)及びMTBE(8容積部)を用いて反応を中止させた。全て添加した後に、水性層を分離し廃棄した。有機層をブライン溶液(3容積部)で洗浄し、真空下で濃縮させた。生成物を蒸留精製することで、ジアステレオマーの−6/1混合物としてER-806724(0.75重量部)が得られた。
【0210】
【化72】

【0211】
リアクタに、N,O-ジメチルヒドロキシアミンHCl(1.05重量部、1.5当量)及び無水CH2Cl2(8.1容積部)を入れ、内部温度が0℃となるよう冷却した。次いで、内部温度が5度を超えないような速度にて、2Mのトリメチルアルミニウム/トルエン(3.93重量部、1.5当量)を添加した。当該反応物をさらに10分間撹拌し、内部温度が5℃を超えないような速度にてER-806724を添加した。当該反応物をCH2Cl2(15容積部)で希釈し、次いで、内部温度が10℃を超えないような速度にて、内部温度が0℃の1.3Mナトリウムタルトラート(sodium tartrate)に入れ、反応を中止させた。全て添加した後、層を分離させ、水性層を保管した。有機物は、水(1容積部)で洗浄し、硫酸ナトリウム(1重量部)を用いて乾燥させ、濾過し、少量の塩化メチレンが除去されるまで真空下で濃縮させた。当該濃縮物に、無水DMF(6.3容積部)、イミダゾール(0.64重量部、1.5当量)及びt-ブチルジメチルシリルクロリド(0.94重量部、0.97当量)をそれぞれ添加した。水(5容積部)及びMTBE(10容積部)を添加し、得られた混合物を撹拌し、次いで、層を分離させた。水性層を分離し廃棄した。有機層は、水(5容積部)で洗浄し、層を分離させた。1Nの水酸化ナトリウム(2.5容積部)及びメタノール(2.5容積部)を添加し、生じた混合物を撹拌した。水性層を分離し、有機層をブライン(2.5容積部)で洗浄し、次いで真空下で濃縮させることで、茶色油としてER-806753(1.94重量部、0.91当量)が得られた。
【0212】
【化73】

【0213】
リアクタに、ER-806753(1重量部、1当量)、CH2Cl2(5容積部)及び50%のNMO/水(0.8重量部、1.1当量)を入れた。当該混合物を内部温度が10℃となるよう冷却し、次いで0.197MのOsO4/トルエン(0.06容積部、0.004当量)を添加した。硫酸ナトリウム(0.1重量部、0.25当量)及び水(0.85容積部)を添加し、そして当該反応物を1時間撹拌した。当該混合物をブライン(0.85容積部)で希釈し、そして有機物をおよそ1/3容積部となるまで真空下で濃縮させた。第2のリアクタに過ヨウ素酸ナトリウム(1.3重量部、2当量)を入れ、次いでTHF(2.5容積部)を入れた。当該混合物をpH=7リン酸緩衝剤(3.0容積部)で希釈し、内部温度が20℃となるよう冷却した。内部温度が30℃を超えないような速度にて前記濃縮ジオールを添加した。全て添加した後、得られた混合物を室温で撹拌した。水(1.25容積部)、MTBE(7容積部)及びブライン溶液(1.25容積部)を添加し、層を分離させた。有機物を、ブライン溶液(1容積部)と飽和炭酸水素ナトリウム(1容積部)との混合物を用いて2回洗浄した。最後に、有機物を、ブライン(1容積部)及び10%(w/v)チオ硫酸ナトリウム溶液(1容積部)と共に1時間撹拌し、次いで真空下で濃縮させた。その粗な物質をSiO2カラムクロマトグラフィにより精製することで、黄色油としてER-806754(0.93重量部、0.93当量)が得られた。IR(薄膜、cm-1)λ 2953, 2856, 1725, 1664, 1463, 1254, 1992, 833。LRMS m/z 332 (M+H)。
【0214】
【化74】

【0215】
リアクタに、ER-806629(1.53重量部、3.1当量)及びTHF(10.5容積部)を入れ、当該溶液を60分間窒素パージし脱気した。第2の不活化されたリアクタに、ER-807204(1重量部、1.0当量)、ER-806754(0.66重量部、1.2当量)及びTHF(2.7容積部)を入れ、この溶液を45分間窒素パージし脱気した。ER-806906を含有するリアクタに、CrCl2(0.63重量部、3.1当量)を入れ、次いでEt3N(0.52重量部、3.1当量)を入れた。この濃緑色の懸濁物を、内部温度30−35℃にて1時間撹拌し、0−5℃に冷却し、次いで、NiCl2(0.1当量)を添加した。第1のリアクタに、第2のリアクタの内容物を0.5時間かけてゆっくりと入れ、そして当該反応物を室温(rt)に温めた。当該反応物を、内部温度が0℃となるよう冷却し、次いで、エチレンジアミン(1.0重量部、10当量)を30分間かけて添加し、そして当該反応物を、内部温度25℃にて少なくとも30分間撹拌した。この反応物に、水(4容積部)、TBME(10容積部)及びn-ヘプタン(1容積部)を添加し、得られた混合物を15分間撹拌し、層を分離させた(〜30分間)。水性層を分離し、TBME(〜7.5容積部)を用いて逆抽出した。有機層を足し合わせ、水(5容積部)、ブライン(3容積部)で洗浄し、最小限の容積となるまで真空下で濃縮させた。その粗な混合物に、IPA(10容積部)及びSiO2(1重量部)を添加し、得られた混合物を、内部温度25℃にて最高4日間撹拌した。そのスラリーを濾過し、フィルターケークをIPA(2×1容積部)で洗浄した。濾過液に、n-ヘプタン(6.6容積部)を添加し、当該混合物を、懸濁物が形成されるまで真空下で濃縮させた。当該混合物を濾過し、ケークをn-ヘプタンで洗浄し、次いでその混合物を真空下で濃縮させた。その粗な生成物をSiO2カラムクロマトグラフィにより精製することで、透明な黄色油としてER-807524(0.54重量部、0.48当量)が得られた。IR(薄膜、cm-1)λ 2934, 1668, 1471, 1108, 833。LRMS m/z 704 (M+Na)。
【0216】
【化75】

【0217】
リアクタに、ER-807524(1重量部、1当量)及び無水THF(1.25容積部)を入れた。当該混合物を、内部温度が−20℃となるよう冷却し、そして内部温度が0℃を超えないような速度にて3Mのメチルマグネシウムクロリド(0.59容積部、1.2当量)を添加した。全て添加した後、当該混合物を、内部温度が0℃となるよう2時間かけて温めた。当該反応混合物を、半飽和塩化アンモニウム(2.62容積部)へと入れ、反応を中止させ、得られた混合物を激しく撹拌しながらTBME(2容積部)で希釈した。その水性層を廃棄し、有機層をブライン(2容積部)で洗浄し、次いで真空下で濃縮させた。粗な生成物をSiO2カラムクロマトグラフィにより精製することで、黄色油としてER-807525(0.79−0.82重量部、0.85−0.88当量)が得られた。
【0218】
【化76】

【0219】
リアクタに、ER-807525(1重量部、1当量)、N-フェニルビストリフルオロメタンスルホンアミド(0.59重量部、1.1当量)、及び無水THF(4.1容積部)を入れ、当該混合物を内部温度が−75℃となるよう冷却した。そして、内部温度が−60℃を超えないような速度にて0.5MのKHMDS/トルエン(2.75重量部、1当量)を添加し、次いで、当該反応物を−20℃まで2時間かけて温めた。当該反応物に、内部温度が0℃を超えないような速度にて半飽和NH4Cl(2.4容積部)を添加して、反応を中止させた。当該混合物を内部温度が20℃となるよう温め、n-ヘプタン(2.4重量部)を添加した。当該混合物を撹拌し、その水性層を分離して廃棄した。有機層は、飽和炭酸水素ナトリウムで3回洗浄し(それぞれ2.3容積部)、次いで真空下で濃縮させることでER-807526(1.2−1.4重量部、1.0−1.2当量)が得られた。当該物質をさらに精製することなく次の段階に用いた。
【0220】
【化77】

【0221】
リアクタに、20℃にてER-807526(1重量部、1当量)及び無水メタノール(3容積部)を入れた。1.25MのHCl/IPA(4容積部、5当量)を添加し、そしてその混合物を3時間撹拌した。当該反応混合物のpHが6−7に達するまで、撹拌しながら、NaHCO3固形物(0.42重量部、5当量)を少しずつ添加した。そして当該反応混合物をメタノール洗浄(3×2容積部)しつつ濾過した。全ての濾過液を真空下で濃縮させ、SiO2カラムクロマトグラフィにより精製することで、ER-807527(0.43重量部、0.79−0.85当量)が得られた。
【0222】
【化78】

【0223】
ER-807527のジアステレオマー混合物を、分取HPLCクロマトグラフィにより分離させ、所望の分離物を濃縮させることで、透明な黄色油としてER-806730(0.56重量部、0.56当量)が得られた。ER-806730の単離に用いた分取HPLCクロマトグラフィのプロトコルは以下の通りである。
【0224】
カラム及び媒体: Kromasil spherical silica 60Å、粒径10μm、7.7cm x 60cm Varian Dynamax Rampakカラム内の7.7cm(直径)x 30cm(長さ)の部分に充填
HPLC充填部: Varian (Rainin) Dynamax Rampak 41/77 mm Column Packing Station
HPLCポンプ: Varian (Rainin) SD-1 Titanium Pump Heads
第1HPLC検出器: Waters R403 Refractive Index detector
第2HPLC検出器: 分取フローセルを備えたVarian (Rainin) UV-1 detector
クロマトグラフィ
制御ソフトウェア: Varian (Rainin) Dynamax DA version 1.4.6
クロマトグラフィ
処理ソフトウェア: Varian (Rainin) Dynamax R version 1.4.3
移動相: 28.5:63.7:7.85 (vol/vol) n-ヘプタン:メチルtert-ブチルエーテル:2-プロパノール
流速: 140mL/min
カラム温度: 室温(25℃)
検出: 屈折率、16×減衰及び215nm UVにおいて陰性
移動相勾配: 勾配なし(isocratic)
Run時間: 40min
インジェクタ容積: 0.8g/mLのER-807527を10ml
上記プロトコルを用いて、以下のようにして、ER-807527のジアステレオマーを分離した。ER-807527の各ロットを、まず、0.1g/mlとなるよう移動相中に希釈させ、47mm、細孔径1μmのグラスファイバーフィルタ(Whatman GFC)を用いて真空濾過した。次いで濾過液を、ロータリーエバポレータを用いて真空下で濃縮させた。SD-1 HPLCポンプA(呼び水を差され、移動相によってパージされている)を始動し、流速を徐々に140mL/minへと高めた。UV検出器及びRI検出器のベースラインが安定するまで、系を洗浄した。RI検出器の参照フローセルには、未使用の移動相を流した。
【0225】
ER-807527の各ロットを、濃度が0.8g/mLとなるように移動相に希釈させることで、ER-807527注入8gのクロマトグラフィを達成した。当該溶解物のアリコート10mLを注入し、ER-806730のピーク(ピーク頂点がおよそ24分〜35分に現れる)に対応する溶出物を収集した。出発原料が尽きるまで、注入及び収集を繰り返し続けた。
【0226】
ER-806730に対応する分離物をプールし、ロータリーエバポレータを用いて真空下で濃縮させた。ジアステレオマー純度及び面積−%純度面積を、表2記載のHPLC分析法を用いて調査した。
【0227】
【表2】

【0228】
【化79】

【0229】
リアクタに、ER-806730(1重量部、1当量)及び無水ジクロロメタン(4.8容積部)を入れ、内部温度が0℃となるよう冷却した。2,4,6-コリジン(1.16重量部、4当量)及びDMAP(0.03重量部、0.1当量)を入れ、得られた混合物を15分間撹拌し、次いで内部温度が10℃を超えないような速度にてトリメチルアセチルクロリド(0.3重量部、1.05当量)を添加した。水(3容積部)を添加し、そしてその混合物を15分間撹拌した。TBME(10容積部)を添加し、当該混合物をさらに10分間撹拌した。その有機層を、2,4,6-コリジンの陰性反応が得られるまで1NのHCl(10容積部)で洗浄し、次いで水(5容積部)、飽和炭酸水素ナトリウム(5容積部)、及び飽和ブライン(5容積部)でそれぞれ洗浄した。有機層を真空下で濃縮させ、濃縮物をSiO2カラムクロマトグラフィで精製することで、黄色油であるER-806732(1.02重量部、0.85当量)が得られた。
【0230】
【化80】

【0231】
リアクタにER-806732(1重量部、1当量)及び無水THF(2.35容積部)を入れ、内部温度が0℃となるよう冷却した。トリエチルアミン(0.22重量部、1.1当量)を添加し、次いで内部温度が10℃を超えないような速度にてメタンスルホニルクロリド(0.24重量部、1.05当量)を添加した。当該反応物を内部温度0℃にて撹拌し、次いで激しく撹拌しながらn-ヘプタン(3.4容積部)を添加し、層を分離させた。有機層を飽和ブライン(3.4容積部)で洗浄し、飽和硫酸ナトリウム(2重量部)を用いて乾燥させ、濾過し、そしてER-805973(F−2a)の陰性反応が得られるまでケークをn-ヘプタンで洗浄した。濾過液を真空下で濃縮させることで、ER-805973(1.12重量部、0.97当量)が得られた。粗なER-805973(F−2a)をさらに精製することなく次の段階に用いた。IR(薄膜、cm-1)λ 2961, 1725, 1413, 1208, 926。LRMS m/z 579 (M+H)。
【実施例3】
【0232】
ER-806730の代替的な調製
【0233】
【化81】

【0234】
キナ酸(1重量部)、シクロへキサノン(2.11当量、1.08重量部)及び濃硫酸(0.011当量、0.0056重量部)をリアクタに添加した。当該反応混合物を160℃に加熱し、共沸蒸留(100℃で共沸が開始)により水を除去した。リアクタを90℃−100℃に冷却し、炭酸水素ナトリウム(0.0096重量部)及びトルエン(3.6重量部)を添加した。当該反応物を4−6時間かけて周囲温度にまで冷まし、そして得られた沈殿物を濾過し、トルエン(2×0.9重量部)で洗浄し、乾燥させることで、白色粉末1(0.97重量部)が得られた。
【0235】
【化82】

【0236】
化合物1(1当量、1重量部)とイミダゾール(2.5当量、0.80重量部)を足し合わせ、N2でパージし、無水THF(10容積部)中に懸濁させた。次いで、内部温度が30℃を超えないような速度にてTMSCl(1.2当量、0.61重量部)を添加した。当該反応物を周囲温度まで冷却し、ヘプタン(10容積部)を添加し、そして得られた懸濁物を濾過した。フィルターケークを1:1のhpt/THF(10容積部)で洗浄し、濾過液溶剤を大気圧蒸留によりトルエンと交換させることで、2a(算定値1.34重量部)のトルエン(〜5重量部)溶液がもたらされた。
【0237】
2a溶液を−78℃まで冷却し、内部温度が−65℃を超えないような速度にてDIBAL-H(1.5Mトルエン溶液、1.2当量、2.1重量部)を添加した。過剰のDIBAl-Hは、MeOH(0.3当量、0.0034重量部)を用いて失活させ、そしてその溶液を0℃に温めた。当該溶液を、25℃未満の温度が維持されるような速度にて、Rochelle塩(10重量部)と炭酸水素ナトリウム(1重量部)から成る30wt%水溶液に移した。当該混合物を激しく撹拌することで、二相から成る溶液が得られた。層分離させ、その水性層をMTBE(5容積部)を用いて抽出した。足し合わせた有機層を水(2.5重量部)、次いで飽和ブライン(2.5重量部)で洗浄した。有機物を濃縮させ、溶媒をTHFと交換することで、2b(算定値0.98重量部)のトルエン(5容積部)溶液がもたらされた。
【0238】
2b溶液を5℃に冷却し、酢酸(2.9当量、0.51容積部)を添加した。水(1.0当量、0.055容積部)を添加し、そして当該溶液を0℃−5℃にて撹拌した。シリル基の脱保護を促進するため、最高2つの追加の酢酸アリコート及び1つの水アリコートを必要に応じて添加した。温度が20℃未満に維持されるような速度にてEt3N(12当量、3.6重量部)及びDMAP(0.05当量、0.02重量部)を添加した。無水酢酸(6当量、2.0重量部)を添加し、そして反応物を室温にて撹拌した。当該反応物を5℃に冷却し、温度が30℃未満に維持されるような速度にて飽和炭酸水素ナトリウム(10容積部)に添加した。得られた混合物を3−4時間撹拌し、層を分離させた。水性層をMTBE(5容積部)で抽出し、足し合わせた有機物を水(5容積部)で洗浄した。抽出物について、溶媒を蒸留によりIPAと交換することで、2cのIPA(3容積部)溶液が得られた。当該溶液を5℃に冷却し、得られた結晶を濾過した。母液を濃縮し、再結晶化させることでさらに現出させ、白色結晶固形物である2c(0.87重量部)がもたらされた。
【0239】
【化83】

【0240】
2c(1重量部)をアセトニトリル(6容積部)中に溶解させ、メチル3-トリメチルシリルペント-4-エネオエート(methyl 2-trimethylsilylpent-4-eneoate)(3.0当量、1.86重量部)を添加し、次いでTFAA(0.2当量、0.083容積部)を添加した。次いで、温度が25℃未満に維持されるような速度にて、当該溶液にBF3OEt2(1.0当量、0.42容積部)を添加した。当該反応物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10容積部)に添加し、そして得られた混合物を15分間撹拌した。当該混合物をヘプタン(10容積部)、次いでMTBE(5容積部)を用いて抽出し、足し合わせた抽出物を濃縮させることで、橙色油3(算定値0.72重量部)が得られた。
【0241】
【化84】

【0242】
3(1重量部)をTHF(9容積部)中に含有させて成る溶液を、温度が25℃未満に維持されるような速度にて、ナトリウムメトキシド(25wt%メタノール溶液(1.5当量、2.2重量部))で処理した。当該反応物を1NのHCl(10容積部)に添加することで、反応を中止させた。その有機層を分離させ、水性物をMTBE(10容積部)を用いて抽出した。足し合わせた有機物を水(2.5容積部)、飽和炭酸水素ナトリウム(2.5容積部)、及び水(2.5容積部)で洗浄した。当該溶液を濃縮させることで、4(算定値0.88重量部)のTHF(2.5容積部)溶液がもたらされた。当該溶液を、次のステップでそのまま用いた。
【0243】
【化85】

【0244】
4(1重量部)をテトラヒドロフラン(2.5容積部)中に含有させて成る溶液にメタノール(5容積部)を添加した。そして、1NのHCl(0.75当量、2容積部)を添加し、そして当該反応物を60−80℃に温めた。当該反応物を室温まで冷まし、炭酸水素塩の飽和水溶液に添加した。当該混合物をDCM(3×2.5容積部)を用いて抽出し、そして足し合わせたDCM抽出物について、溶媒をEtOAcと交換することで、5のEtOAc(3容積部)溶液がもたらされた。ヘプタン(2容積部)を添加して結晶化を開始させ、そして得られた懸濁物を0℃に冷却した。固形物を濾過により収集し、フィルターケークを冷たいEtOAc/ヘプタン(1:1 v/v)で洗浄し、乾燥させることで、白色粉末5(0.55重量部)が得られた。
【0245】
【化86】

【0246】
化合物5(1重量部)をACN(10容積部)中に溶解させ、次いで2-アセトキシ-2-メチルプロパニルブロミド(4.0当量、2.2重量部)及び水(1当量、0.067重量部)を一度に添加した。得られた混合物を周囲温度にて撹拌し、次いで5−10℃に冷却した。NaOMe(25wt%MeOH溶液、8当量、6.2重量部)を添加し、当該反応物を周囲温度にまで温めた。飽和炭酸水素ナトリウム(10容積部)を添加することで反応を中止させ、MTBE(2×10容積部)を用いて抽出した。溶媒を共沸蒸留によりメタノールと交換することで、6(算定値0.91重量部)のメタノール(10容積部)溶液がもたらされた。
【0247】
【化87】

【0248】
6(1重量部)をメタノール(10容積部)中に含有して成る溶液を55℃に加熱した。ホウ素化水素ナトリウム(5当量、0.68重量部)を6回にわけて添加し、その反応物を5℃に冷却し、1NのHCl(10容積部)を用いて反応を中止させた。ブライン(5容積部)を添加し、当該反応物をEtOAc(2×10容積部)を用いて抽出した。当該抽出物を足し合わせ、濃縮させることで、褐色残留物7がもたらされた。
【0249】
【化88】

【0250】
化合物7(1重量部)をCH2Cl2(10容積部)中に溶解させ、次いでDMAP(0.1当量、0.054重量部)、Et3N(3.0当量、1.85容積部)、及びTBDPSCl(1.2当量、1.38容積部)を周囲温度にて添加した。炭酸水素ナトリウム(10容積部)を添加し、有機層を分離させた。水性層を再度CH2Cl2(10容積部)で抽出し、有機抽出物を足し合わせ、濃縮させることで、無色油8(算定値1.8重量部)が得られた。
【0251】
【化89】

【0252】
9(1重量部)をTHF(10容積部)中に含有して成る溶液に、LDA(1.5Mシクロヘキサノン溶液、4当量、6容積部)を周囲温度にて添加した。当該溶液を50℃に温め、次いで1NのHCl(5容積部)を用いて反応を中止させ、そしてMTBE(10容積部)を用いて抽出した。当該抽出物を濃縮させることで、油9(0.9重量部)がもたらされた。
【0253】
【化90】

【0254】
9(1重量部)をCH2Cl2(5容積部)及びMeOH(5容積部)中に含有して成る溶液を−60℃に冷却し、温度を−50℃未満に維持しつつO3で処理した。当該反応物をN2でパージし、NaBH4(0.5当量、0.04重量部)を添加し、そしてその混合物を0℃に温めた。さらにNaBH4(1当量、0.08重量部)を数回に分けて添加し、反応物を周囲温度まで温めた。3時間後、1NのHCl(10容積部)を用いて反応を中止させ、CH2Cl2(5容積部)を添加し、層を分離させた。水性層をCH2Cl2(10容積部)で再抽出し、有機抽出物を足し合わせ、濃縮させることで、無色油10(0.97重量部)が得られた。
【0255】
【化91】

【0256】
化合物10をTHF(10容積部)中に溶解させ、リン酸緩衝剤(pH=7、5容積部)を添加した。NaIO4(2当量、0.854重量部)を添加し、反応物を周囲温度まで温めた。水(5容積部)及びMTBE(10容積部)を添加し、得られた混合物を10分間激しく撹拌した。有機層を分離させ、10%(wt/v)チオ硫酸ナトリウム水溶液(5容積部)、水(5容積部)、及びブライン(5容積部)で洗浄し、次いでTHFと共に共沸蒸留させることで乾燥させ(〜200ppm水)、11(算定値0.93重量部)のTHF(10容積部)溶液を得た。この溶液を次ぎのステップでそのまま用いた。
【0257】
【化92】

【0258】
11(1重量部)をTHF(10容積部)中に含有させて成る溶液に、(カルボメトキシメチレン)トリフェニルホスホラン(1重量部)を添加し、そして65℃に加熱した。ヘプタン(40容積部)を添加し、得られた混合物を30分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、濾過液を合計10容積部となるまで濃縮させた。SiO2(5重量部)を添加し、その懸濁物を、溶離剤としてMTBE(20−40容積部)を用いるSiO2パッドを通して濾過した。溶媒をMeOHと交換することで、12(算定値0.95重量部)のMeOH(10容積部)溶液が得られ、次のステップでこれをそのまま用いた。
【0259】
【化93】

【0260】
12(1重量部)をMeOH(10容積部)中に含有して成る溶液に10wt%のPd(C)(0.23当量、0.37重量部)を添加し、H2で処理した。当該懸濁物について、フィルターケークをTHF(10容積部)ですすぎながら濾過した。溶媒をTHFと交換することで、13(算定値0.95重量部)のTHF(10容積部)溶液がもたらされ、これをそのまま次のステップにおいて用いた。
【0261】
【化94】

【0262】
13(1重量部)をTHF(10容積部)中に含有させて成る溶液を0−5℃に冷却し、そして温度が10℃未満に維持されるような速度にてLAH(1MTHF溶液、0.78当量、1.5容積部)を添加した。温度が10℃未満に維持されるような速度にて、NaOH(10wt%水溶液、0.16当量、0.06容積部)、次いで水(4.98当量、0.17容積部)を添加し、そして得られた混合物を周囲温度に温めながら激しく撹拌した。その懸濁物を濾過し、フィルターケークをTHF(5容積部)ですすいだ。濾過液をある程度濃縮させることで14(算定値0.9重量部)のTHF(10容積部)溶液がもたらされ、これをそのまま次のステップで用いた。
【0263】
【化95】

【0264】
14(1重量部)をTHF(10容積部)中に含有させて成る溶液を0℃に冷却し、次いでイミダゾール及びTrCl(1.5当量、0.59重量部)を添加した。NaHCO3飽和水溶液(5容積部)を添加し、当該混合物をヘプタン(10容積部)を用いて抽出した。当該抽出物をブライン(10容積部)で洗浄し、濃縮させることで、15(1.35重量部)が得られた。
【0265】
【化96】

【0266】
化合物15(1重量部)をTHF(10容積部)中に溶解させ、TBAF(1M、1.2当量、1.6容積部)で処理した。当該反応混合物を2容積部にまで濃縮させ、ヘプタン(5容積部)、次いでTHF(10容積部)を溶離させた。THF溶離物を収集することで、16(算定値0.61重量部)のTHF(10容積部)溶液がもたらされ、これをそのまま次のステップで用いた。
【0267】
【化97】

【0268】
16(1重量部)をTHF(10容積部)中に含有して成る溶液に、PPH3(5当量、2.3重量部)、ピリジン(10当量、1容積部)、及びNIS(3.0当量、1.1重量部)を添加した。次いで、20wt%のクエン酸水溶液(10当量、14重量部)を添加し、得られた混合物を10分間撹拌した。当該反応物をヘプタン(10容積部)で希釈し、水性層を分離させた。有機層を水(5容積部)、10% wt/v チオ硫酸ナトリウム水溶液(5容積部)、水(5容積部)及びブライン(5容積部)で洗浄した。溶媒をEtOHと交換し、5容積部にまで濃縮させた。水(10容積部)を添加し、得られた沈殿物を濾過して収集することで、白色固形物17(0.65重量部)が得られた。
【0269】
【化98】

【0270】
化合物17(1重量部)及びKCN(6当量、0.54重量部)をEtOH(5容積部)及び水(10容積部)中に懸濁させ、得られた懸濁物を80℃に加熱した。当該反応物を水(5容積部)及びEtOAc(10容積部)で希釈し、10分間混合した。水性層を除去し、有機層を水(5容積部)及びブライン(5容積部)で洗浄した。溶媒をEtOHと交換することで、18(0.75重量部)のEtOH(10容積部)溶液が得られ、これをそのまま次のステップで用いた。
【0271】
【化99】

【0272】
18(1重量部)をEtOH(10容積部)中に含有させて成る溶液に、Zn(37当量、3.9重量部)を添加し、そして当該混合物を75−80℃に加熱した。当該反応物を2−3容積部となるようにある程度濃縮させ、周囲温度に冷却し、MTBE(10容積部)及び水(5容積部)により分離させた。水性層を除去し、有機層を飽和炭酸水素塩(5容積)、水(5容積部)、及びブライン(5容積部)で洗浄し、次いでTHF共沸蒸留により水分が〜200ppmとなるまで乾燥させることで、19(0.81重量部)のTHF(10容積部)溶液が得られた。得られた溶液をそのまま次のステップで用いた。
【0273】
【化100】

【0274】
−78℃にて、19(1重量部)をTHF(10容積部)中に含有させて成る溶液に、LDA(1.0MのTHF溶液、1.2当量、2.4容積部)を添加した。得られた混合物を10分間撹拌し、次いで、−78℃にて、エノレート(enolate)溶液を、MeI(1.5当量、0.19容積部)をTHF(5容積部)中に含有して成る溶液に添加した。当該反応物を飽和炭酸水素ナトリウム(10容積部)に入れて反応を中止させ、MTBE(15容積部)を用いて抽出した。抽出物をブライン(5容積部)で洗浄し、濃縮させ、次いでクロマトグラフィで精製することで20(0.86重量部)が得られた。
【0275】
【化101】

【0276】
0℃にて、ジメチルヒドロキシアミン塩化水素(1重量部)をCH2Cl2(2.5容積部)中に含有して成る溶液に、AIMe3(2Mトルエン溶液、1.5当量、1.5容積部)を添加した。そして、温度が5℃未満に維持されるような速度にて、20(1重量部)をCH2Cl2(5容積部)中に含有して成る溶液を添加した。次いで、温度を10℃未満に維持しつつ、当該反応混合物をナトリウムタルトレート(sodium tartrate)水溶液(1.3M、20容積部)に添加した。層を分離させ、そして有機層をNa2SO4(5重量部)を用いて乾燥させた。得られた懸濁物を濾過し、濾過液を濃縮させた。残渣をDMF(2容積部)中に溶解させ、イミダゾール(0.19重量部)及びTBSCl(0.29重量部)を添加した。当該反応物を水(5容積部)及びMTBE(10容積部)で希釈して、10分間撹拌した。水性層を除去し、有機層を水(5容積部)で洗浄した。抽出物を、NaOH水溶液(1N、0.78容積部)及びMeOH(0.7容積部)に添加した。当該反応物を撹拌し、次いで水性層を除去し、有機層をブライン(2.5容積部)で洗浄し、濃縮させることで21(1.2重量部)が得られた。
【0277】
【化102】

【0278】
反応温度が0℃未満に維持されるような速度にて、21(1重量部)を無水THF(1.11重量部、1.25容積部)中に含有して成る溶液に、メチルマグネシウムクロリド(2.0M、59重量部、1.2当量)を添加した。0℃にて撹拌した後、当該反応物を飽和塩化アンモニウム(2.5容積部)及び水(2.3容積部)中に入れて反応を中止させた。得られた混合物をMTBE(10容積部)で希釈し、激しく撹拌した。水性層を除去し、有機層をブライン(2.5容積部)で洗浄し、濃縮させることで、22(0.84重量部)が得られた。
【0279】
【化103】

【0280】
化合物22(1重量部)をTHF(4容積部)中に溶解させ、−78℃に冷却した。温度を−60℃未満に維持しつつ、KHMDS(1.5Mのトルエン溶液、1.01当量、2.78重量部)を添加した。Tf2NPh(0.62重量部、1.1当量)をTHF(1.5容積部)中に含有させて成る溶液を添加し、そして当該反応物を−20℃にまで温めた。飽和塩かアンモニウム(2.5容積部)、水(2.5容積部)、及びn-ヘプタン(2.5容積部)を添加し、当該混合物を周囲温度に温めた。層を分離させ、水性層を除去した。有機抽出物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(3×2.5容積部)及びブライン(2.5容積部)で洗浄し、次いで真空下で濃縮させることで、23(1.1重量部)が得られた。
【0281】
【化104】

【0282】
化合物23をMeOH(2.5容積部)中に溶解させ、15℃に冷却した。HCl(5NのIPA溶液、1.30当量、1.18重量部)を添加し、得られた溶液を25℃に温めた。当該反応物を0℃に冷却し、炭酸水素ナトリウム(3当量、0.33重量部)を添加した。当該反応物を15分間撹拌し、得られた沈殿物を濾過して取り除いた。フィルターケークをACS級メタノール(1容積部)で洗浄し、濾過液を足し合わせて濃縮させた。その粗な濃縮物をクロマトグラフィで精製することで、ER-806730(24)(0.5重量部)が得られた。
【実施例4】
【0283】
実施例4a
実施例4aでは、上述のスキームVに記載のスキームを用いて、F2への中間体であるところの式Aの化合物を調製する代替法が提供される。この方法では、上述の実施例3で調製された中間体ER-812935(化合物4)を利用する。
【0284】
【化105】

【0285】
ER-812935(1重量部)をTHF(10容積部)中に溶解させ、0℃に冷却した。温度を5℃未満に維持しつつ、LAH(1.0MのTHF溶液、0.70当量、2.0容積部)を添加した。激しく撹拌し且つ温度を5℃未満に維持しつつ、過剰の試薬を、水(0.078容積部)を用いて失活させた。激しく撹拌しながら、NaOH(15wt%水溶液(0.078容積部))、次いで水(0.18容積部)を添加した。Celite(登録商標)(2重量部)を添加した後、当該懸濁物を濾過し、ケークをTHF(5容積部)ですすいだ。そのER-817633(0.92重量部、100%転化として算定)溶液を5容積部にまで濃縮させて、それを次の段階でそのまま用いた。
【0286】
【化106】

【0287】
先に調製したER-816961溶液(5容積部のTHF中に1重量部含有される)をTHF(5容積部)で希釈し、5℃に冷却し、そしてEt3N(3当量、0.94重量部)を添加した。温度が10℃未満に維持されるような速度にて、MsCl(1.05当量、0.25容積部)を添加した。当該反応物に水(5重量部)を添加することにより、反応を中止させた。ヘプタン(8容積部)を添加し、そして当該混合物を相分離させた。水性層を分離し、MTBE(2容積部)を用いて抽出した。足し合わせた有機抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム(5容積部)及び水(1.9容積部)で洗浄した。その有機層を濃縮させ、溶媒をEtOHと交換することで、ER-818937(1.23重量部、100%転化として算定)のEtOH(1容積部)溶液が得られ、これをそのまま次の段階で用いた。
【0288】
【化107】

【0289】
先に調製したER-818950溶液(EtOH(0.8容積部)中に1重量部含有される)をEtOH(190proof、9容積部)で希釈した。KCN(3当量、0.41重量部)を添加し、そしてその懸濁物を70−80℃に加熱した。当該反応物を周囲温度に冷却し、水(10容積部)、次いでMTBE(10容積部)を添加した。層を分離させ、水性層をMTBE(5容積部)を用いて抽出した。足し合わせた有機物を水(2容積部)及び飽和ブライン(4重量部)で洗浄した。抽出物を濃縮させ、次の段階でそのまま用いた。
【0290】
【化108】

【0291】
ER-818950を酢酸(5容積部)中に溶解させ、塩化水素(1.0M、1当量、3重量部)を添加し、そして当該反応物を周囲温度にて撹拌した。当該反応物を0℃に冷却し、そして温度が10℃未満に維持されるような速度にてNaOH(50wt%、30当量、7重量部)を添加した。当該溶液をヘプタン(2×10容積部)を用いて抽出した。その水性層をNaClで飽和させ、そしてACN(2×10容積部)を用いて抽出した。足し合わせたACN抽出物を濃縮させ、溶媒を、共沸蒸留させることによってEtOAcと交換することで、ER-817664のEtOAc(3容積部)溶液が得られた。当該懸濁物を濾過することで、白色結晶固形物であるER-817664が得られた。
【0292】
実施例4b
実施例4bでは、上述のスキームVb及びVcに記載のスキームを用いて、式F−2の化合物を調製する代替法が提供される。この方法では、実施例4aで調製した中間体ER-817664が利用される。
【0293】
【化109】

【0294】
ER-817664(1重量部)をACN(10容積部)中に溶解させ、そして当該懸濁物を0℃に冷却し、2-アセトキシ-2-メチルプロパニルブロミド(4.0当量、2.4容積部)、次いでH2O(1.0当量、0.07容積部)を添加した。得られた混合物を0℃にて2時間撹拌した。次いで、0℃にて、NaHCO3(飽和水溶液、8.0当量、40容積部)をゆっくりと添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌した後、MTBE(2×20容積部)を用いて抽出した。有機層をブライン(5容積部)で洗浄し、濃縮させることで、無色油の生成物が得られた。
【0295】
【化110】

【0296】
上記出発原料である臭化物(1重量部)をトルエン(10容積部)中に溶解させた。DBU(1.8当量、0.73容積部)を添加し、当該混合物を80℃に加熱した。当該混合物を室温に冷却し、MTBE(20容積部)で希釈し、水(5容積部)、次いでブライン(5容積部)で洗浄した。次いで、その有機層を濃縮させることで、オフホワイト色の粉末である生成物が得られた。
【0297】
【化111】

【0298】
上記出発原料であるオレフィン化合物(1重量部)を、CH2Cl2(5容積部)及びMeOH(5容積部)中に溶解させ、そして−40℃〜−45℃に冷却した。次いで、当該溶液をO3で処理した。N2パージにより過剰のO3を除去し、そして当該溶液を−15℃に温めた。NaBH4(1.0当量、0.18重量部)を添加し、当該混合物を0℃に温めた。K2CO3(1.3当量)を添加し、そしてその懸濁物を室温にて撹拌した。当該反応物を、0℃にて、1NのHCl(〜4当量、〜20容積部)により中和して、そしてその溶液をMTBE(10容積部)で抽出することで、親油性物質を除去した。その水性層を、CH2Cl2及びMeOHが除去されるように濃縮させた。THF(4容積部)を添加し、次いでNaIO4(2当量、2重量部)を添加した。当該反応物をMTBE(10容積部)及びn-BuOH(10容積部)を用いて抽出した。足し合わせた有機抽出物を濃縮させ、得られた粉末をEtOAcと混ぜ合わせた。濾過後、淡黄色粉末のラクトールが単離された。
【0299】
【化112】

【0300】
ER-818638(1重量部)及びLiCl(2.0当量、0.35重量部)を、ACN(8.7容積部)中で撹拌した。Hunigs塩基(1.5当量)を25℃にて添加した。1NのHCl(5容積部)を添加し、そしてその混合物をMTBE(10容積部)を用いて抽出した。有機物を濃縮させることでER-818640が得られ、それをそのまま次のステップで用いた。
【0301】
【化113】

【0302】
上記出発原料であるα−オレフィンエステル化合物(1重量部)をMeOH(10容積部)中に溶解させ、そしてN2下、10wt%のPd(C)(0.09当量、〜0.33重量部)を添加した。次いで、その懸濁物をH2下で撹拌した。当該懸濁物を、MeOH(20容積部)でフィルターケークをすすぎながら、Celite(登録商標)パッド(20重量部)を通して濾過した。濾過液を濃縮させ、フラッシュクロマトグラフィにより精製することで無色油である生成物(収率94.3%)が得られた。
【0303】
【化114】

【0304】
前記エステル(1重量部)をTHF(0.5容積部)中に含有して成る溶液に、ピリジン(10当量)、Ph3P(7当量)及びNIS(4当量)を個別に添加した。当該反応混合物を周囲温度で撹拌した。クエン酸水溶液(20wt%、10当量)を添加し、そして当該混合物をTBME(30容積部)で希釈した。その水性層を分離させ、有機層を水(5容積部)、Na2S2O3水溶液(10% wt/v)(5容積部)、水(5容積部)及びブライン(5容積部)で洗浄した。その有機層を濃縮させ、フラッシュクロマトグラフィにより精製することで、無色油である生成物が得られた。
【0305】
【化115】

【0306】
出発原料であるヨウ化物(1重量部)をMeOH(30容積部)中に溶解させ、そして55℃に加熱した。55℃にて、80分間かけて、NaBH4(47当量)を6回に分けて添加した。当該反応物を0℃に冷却し、そして1NのHCl(30容積部)を用いて反応を中止させた。5分間撹拌した後、当該混合物をブライン(30容積部)で希釈し、DCM(50容積部×2)を用いて抽出した。その有機層をNa2SO4を用いて乾燥させ、濃縮させた。その粗な生成物を次のステップでそのまま用いた。
【0307】
【化116】

【0308】
上記出発原料であるアルコール(1重量部)をEtOH(70容積部)中に溶解させ、そしてZn(165当量)を添加した。当該懸濁物を75−80℃にて還流させた。当該反応混合物を周囲温度に冷却し、そして1NのHCl(70容積部)を添加した。当該混合物をDCM(3×100容積部)を用いて抽出し、その有機層をブラインで洗浄し、濃縮させた。
【0309】
【化117】

【0310】
上記出発原料であるラクトンをDCM(50容積部)中に溶解させ、N2下、周囲温度にて、Et3N(5.0当量)、DMAP(0.3当量)及びTBDPSCl(1.5当量)を個別に添加し、そして得られた溶液を周囲温度にて2−3時間撹拌した。反応完了後、当該混合物をTBME(100容積部)で希釈し、NaHCO3飽和水溶液(10容積部)、H2O(10容積部)及びブライン(10容積部)で洗浄した。その有機層を濃縮させ、フラッシュクロマトグラフィにより精製することで、無色油である生成物が得られた。
【0311】
実施例4c
実施例4cでは、上述のスキームVIIに記載のスキームを用いて式F−2の化合物を調製する他の代替法が提供される。この方法では、実施例3で調製した中間体ER-811510が利用され、ここで、シクロヘキサノンの代わりにアセトンが用いられる。
【0312】
【化118】

【0313】
ER-811510(1重量部、1当量)を塩化メチレン(6.3容積部)中に溶解させ、そして−5℃に冷却した。温度を0℃未満に維持しつつ、ピリジン(0.41容積部、1.1当量)、次いでブロモアセチルブロミド(0.44容積部、1.1当量)を添加した。当該反応物を1時間撹拌し、室温にまで温めた。水(8容積部)を添加し、層を分離させた。その有機層を、硫酸銅五水和物水溶液(1.0M、10容積部)、水(8容積部)、及びブライン(10容積部)で順に洗浄し、次いで硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、真空下で濃縮させることで、褐色固形物としてER-812771が得られた。
【0314】
【化119】

【0315】
ER-812771(1重量部、1当量)をアセトニトリル(6容積部)中に溶解させ、トリフェニルホスフィンを添加し、そしてその反応物を50℃にて45分間加熱した。当該反応物を−10℃に冷却し、次いで1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)(DBU、0.35容積部、0.8当量)を添加した。当該反応物を15分間撹拌し、80℃にて45分間加熱し、次いで周囲温度にまで冷却した。塩化アンモニウム(飽和水溶液、10容積部)を添加し、その水性層を酢酸エチル(3×10容積部)を用いて抽出した。足し合わせた有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、真空下で濃縮させた。粗な生成物をクロマトグラフィにより精製することで白色固形物のER-812772が得られた。
【0316】
【化120】

【0317】
ER-812772(1重量部、1当量)を酢酸エチル(8容積部)中に溶解させた。10%パラジウム/カーボン(0.05重量部、0.01当量)を添加し、その反応物を窒素でパージし、次いで水素雰囲気下で2時間撹拌した。酢酸エチルで洗浄しつつCeliteを用いた濾過によって触媒を取り除いた。足し合わせた濾過液を真空下で濃縮させることで、白色固形物のER-812829が得られた。
【実施例5】
【0318】
F−3aの調製
【0319】
【化121】

【0320】
反応容器に、D-グロノラクトン(1重量部、1当量)、シクロヘキサノン(2−3当量)、トルエン(6容積部)、及びp-トルエンスルホン酸(0.021重量部、0.02当量)を入れた。撹拌しながら、反応混合物を加熱して還流させた。共沸により水が除去されると、反応が完了した。当該反応混合物を85−90℃に冷却し、撹拌を強めた。撹拌しながら、20−30分間かけて、ヘプタン(5.2容積部)を添加した。65−70℃に冷却し、65−70℃にて30分間撹拌した。母液温度を>35℃に維持しつつ、固体生成物を65−70℃にて濾過した。35−40℃にて再濾過し、母液を周囲温度に30分間維持した。そしてその母液を再濾過した。フィルターケークをヘプタン(2×1.7容積部)で2回洗浄し、次いで乾燥させることで、ER-805715が得られた。収率84%(1.6重量部)であった。
【0321】
ER-805715を調製する代替法では、D-グロノラクトン(1重量部)、シクロヘキサノン(1.32重量部、2.4当量)、p-TsOHの一水和物(0.02重量部、0.02当量)及びトルエン(12容積部)を、共沸により水を除去しつつ、共に19時間還流させた。当該混合物を5%NaHCO3水溶液(4容積部)、次いでNaCl飽和水溶液(2容積部×2、pH=7)で洗浄した。その有機層を蒸留により濃縮させ(およそ4.5容積部のトルエンが残る)、100℃に冷却した後、内部温度を>80℃に維持しつつ、ヘプタン(10容積部)を添加した。当該混合物を加熱し少なくとも1時間還流させた後、冷却し、85℃にて3時間、80℃に3時間撹拌し、次いで12時間で40℃にまで冷却した。当該生成物を濾過により収集し、ケークをヘプタン(2容積部)で洗浄した。フィルターケークを空気流によって乾燥させることで、収率78%にてER-805715(1.48重量部)が得られた。
【0322】
【化122】

【0323】
ER-805715(1重量部、1当量)を反応容器に入れ、そして無水THF(3.34容積部)及び無水トルエン(2.5容積部)中に溶解させた。当該混合物を−15〜−10℃に冷却した。そして、1時間かけてDIBALH(1.5Mトルエン溶液、2.4容積部、1.2当量)を添加し、そしてその混合物を−15〜−10℃にて15−30分間撹拌した。当該反応物を、10℃のKNa-タルトレート溶液(2.9重量部の水に1重量部のKNaタルトレートが含有される)に入れて反応を中止させ、得られた混合物を室温に温め、そして4時間撹拌した。当該混合物を濾過し、次いで層を分離させ、MTBE(2容積部)を用いて抽出した。有機層を足し合わせ、溶媒を真空下で除去することでER-805814が得られた。収率100%(1.02重量部)であった。
【0324】
【化123】

【0325】
ER-805814(1重量部)を無水THF(3.3容積部)中に溶解させ、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(2.11重量部、2.1当量)で処理した。当該反応混合物を28−32℃に加熱し、次いで反応温度を30〜35℃に維持しつつ、KOtBu(0.66重量部、2当量)を無水THF(2.64容積部)中に含有させて成る溶液を100〜140分間かけて添加した。5時間後、反応物を20−25℃に冷却し、MTBE(5.11容積部)を添加し、そしてその混合物を撹拌した。ブライン(3重量部)及び水(3重量部)を添加した(添加開始時に発熱、20−25℃の浴にて制御)。有機層を分離させ、無水マレイン酸(0.27重量部)をMTBE/THF(1/1 v/v、1.78容積部)中に含有して成る溶液を用いて処理した。当該反応混合物に、NaOH溶液(2.5容積部の水に0.088重量部にて含有)をゆっくりと添加した。その有機層を濃縮させることで、粗なER-805815(0.985重量部)が得られた。その残渣をMTBE/ヘプタン(1/4 v/v、6.6容積部)と3回混ぜ合わせた。抽出物を、MTBE/ヘプタン(1/2 v/v、45容積部)で溶離させながら、SiO2(3重量部)を通して濾過した。濾過液を濃縮させることでER-805815(0.88重量部、収率81%)が得られた。
【0326】
ER-805815を調製する代替法では、反応温度を0−10℃に維持しつつ、t-BuOK(0.989重量部、3当量)のTHF(4重量部)溶液を、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(3.12重量部、3.1当量)をTHF(1.78重量部)中に含有して成る懸濁物に添加した。0−10℃に維持しつつ、当該反応物に、ER-805814(1重量部、1当量)のTHF(1.42重量部)溶液を添加した。その添加容器をTHF(2×0.7重量部)ですすいだ。当該混合物を20−30℃にて一晩撹拌し、30−35℃にて3時間撹拌した。反応物を30℃未満に冷却し、MTBE(3.7重量部)で希釈し、次いで10wt%のNaCl(4重量部)水溶液で希釈した。当該混合物を30分間撹拌し、層を分離させた。無水マレイン酸(0.63重量部、2.2当量)を添加し、そして混合物を室温にて30分間撹拌した。反応物を15℃未満に維持させつつ、水(6重量部)及びNaOH溶液(48wt%、0.64重量部、2.6当量)を滴下添加した。15℃未満で撹拌した後、下側の層を分離した。水(6重量部)、次いでNaOH溶液(48wt%、0.64重量部、2.6当量)を添加した。その際、混合物を15℃未満に維持した。15℃未満で撹拌した後、下側の層を分離した。有機層を15wt%のNaCl水溶液を用いて3回(3×4重量部)洗浄した。有機層を真空下で濃縮させた。残留物をMTBE(1重量部)で希釈し、真空下で濃縮させた。残留物に、40−50℃にて30分間かけてIPE(3重量部)を滴下し、希釈させた。その懸濁物を40−50℃にて1時間撹拌し、0−10℃にゆっくりと冷却し、1時間撹拌した。固形物を濾過し、ケークをIPE(2重量部)で洗浄した。濾過液及び洗浄物を真空下で濃縮させた。残留物をMeOH(2.37重量部)及び水(0.4重量部)で処理し、ヘプタン(2.74重量部)を用いて抽出した。下側の層をヘプタンで9回抽出した。抽出した溶液を足し合わせ、真空下で濃縮させることで、ER-805815(1.07重量部、98.6%)が得られた。
【0327】
ER-805815を製造する代替法では、ブライン洗浄及び濃縮の後に生成する粗な有機層を、MTBE(2.86重量部)及びCelite(0.5重量部)で処理する。2.5時間撹拌した後、ヘプタン(1.46重量部)を2時間かけて添加し、そしてその混合物を一晩撹拌した。次いで沈殿物を濾過した。フィルターケークをMTBE/ヘプタン(1:1)(5重量部)で洗浄した。その濾過液を真空下で濃縮させ、容積を約3容積部にまで減少させた。残留物をMeOH(2重量部)及びH2O(6重量部)中に溶解させた。当該混合物をヘプタン/MTBE(5:1)(3×6重量部)を用いて抽出した。その有機層を分離させ、濃縮させることで、ER-805815が得られ、これをそのまま次のステップで用いた。
【0328】
【化124】

【0329】
ER-805815(1重量部)をアセトン(2.4容積部)及び水(0.4容積部)中に溶解させた。N-メチルモルホリンN-オキシド(0.62重量部、2当量)を添加し、そしてその混合物を0−5℃に冷却した。OsO4(0.15M水溶液、0.065容積部)を添加し、そしてその反応物を0−5℃に維持させた。当該反応混合物を0−5℃にて12時間撹拌した。0−2℃にて、水(0.2容積部)を1時間かけて添加した。当該反応物を0−5℃にて1時間撹拌した。生成物を濾過し、固形物を、予冷しておいた(0−5℃)アセトン/水(1/1、v/v、2×0.7容積部)で2回洗浄した。生成物を乾燥させることで、ER-805816(0.526重量部、収率52%、残留Os <17ppm)が得られた。
【0330】
ER-805816を調製する代替法では、ER-805815(1重量部、1当量)のアセトン(4重量部)溶液を4口フラスコに入れ、次いで周囲温度にて水(0.5重量部)を添加した。当該混合物に、N-メチルモルホリン-N-オキシド無水物(0.38重量部、1.2当量)を添加した。水で冷却しながら、25−35℃にてオスミウム酸カリウム二水和物(0.003重量部、0.003当量)を少しずつ添加した。当該混合物を当該温度に4時間維持した。周囲温度にて、チオ硫酸ナトリウム(0.075重量部、0.49当量)の水(0.5重量部)溶液を添加し、次いで当該混合物を0.5時間撹拌した。当該混合物を0−5℃に冷却し、2時間撹拌した。得られた沈殿物を収集し、湿ったケークをメタノール(0.6重量部)及び水(1.5重量部)で洗浄することで、粗な生成物(1.25重量部)が得られた。粗な生成物サンプルを乾燥させた(0.611重量部)。その粗なER-805816(1.25重量部)を水(3.05重量部)に添加し、約25℃にて2時間撹拌した。沈殿物を濾過し、水(1.53重量部)で洗浄することで、湿った粗なケーク(1.05重量部)が得られた。この粗な生成物サンプルを乾燥させ、ICPサンプリングした結果、Os=37ppmであった。この粗なER-805816(1.05重量部)を水(2.81重量部)に添加し、約25℃にて2時間撹拌した。沈殿物を濾過し、水(1.4重量部)及びメタノール(0.45重量部)で洗浄することでER-805816(0.736重量部)が得られた。この湿ったケークを乾燥させることで粗な生成物(0.56重量部、ICP (Os) =28ppm)が得られた。45−55℃にてER-805816(0.56重量部)をアセトン(1.76重量部)中に溶解させた。当該溶液に、活性炭(0.027重量部)を添加し、同温度にて0.5時間撹拌した。当該混合物を濾過し、ケークを、熱したアセトン(0.214重量部)で洗浄した。濾過液を45−50℃に維持し、そして温度を40−50℃に維持しつつ、水(0.83重量部)を10分間かけて添加した。当該混合物を0−5℃に冷却し、1.5時間撹拌した。白色沈殿物を濾過し、アセトン(0.17重量部)及び水(0.22重量部)から成る溶液で洗浄し、次いで乾燥させることで、ER-805816(0.508重量部、0.49当量、KF 5.0%、ICP (Os) 9.6ppm)が得られた。
【0331】
【化125】

【0332】
ER-805816(1重量部)を酢酸(0.89容積部、5.8当量)及び無水酢酸(3.57重量部、13当量)中に入れ、スラリーとした。そしてZnCl2無水物(0.2重量部、0.54当量)を添加した。反応混合物を18−22℃にて24時間撹拌した。氷(5重量部)及び水(5容積部)中に入れて反応を中止させた。撹拌しながら、EtOAc(10容積部)を添加し、その水性層を分離させた。水性層を、EtOAc(10容積部)を用いて逆抽出した。足し合わせた有機層を、ブライン(10容積部)、5%NaOAc水溶液(6容積部)、及びブライン(6容積部)で順に洗浄した。そして、その有機層を濃縮させた。粗な濃縮物を25%EtOAc/ヘキサン(hex)(4容積部)中に溶解させ、SiO2を通して濾過した。当該パッドを25%EtOAc/ヘキサン(hex)(2×12容積部)で洗浄し、さらに25%EtOAc/ヘキサン(hex)(48容積部)で洗浄した。有機層を濃縮させることで、ER-805819(1重量部、81%)が得られた。
【0333】
ER-805819を調製する代替法では、塩化亜鉛(0.2重量部、0.54当量)、無水酢酸(2.75重量部、10当量)、及び酢酸(1重量部、6当量)を混合した。当該混合物を15−20℃に冷却した。内部温度を15−30℃に維持しつつ、ER-805816(1重量部、1当量)を添加した。次いで当該混合物を35−40℃にて6時間撹拌した。当該反応混合物を25℃未満に冷却した。反応温度を25℃未満に維持しつつ、メタノール(3.2重量部、4容積部)を滴下添加した。次いで、ヘプタン(2.7重量部、4容積部)を添加した、反応温度を25℃未満に維持しつつ、水を添加した(4重量部、4容積部)。当該混合物を15分間撹拌し、次いで相分離させた。下側の層をヘプタン(1.7重量部、4容積部)で2回洗浄し、そしてヘプタン層を廃棄した。下側の層をトルエン(6.1重量部、8容積部)を用いて2回抽出した。足し合わせたトルエン層を、17wt%の炭酸水素カリウム水溶液(3.98重量部の水に0.82重量部のKHCOを含有、4.36容積部)で2回、水(4重量部)で2回洗浄し、そして濃縮させた。25−30℃にてメタノール(3.95重量部、5容積部)を添加し、その混合物を10分間撹拌した。そして、25−30℃にて水(0.3重量部)を添加した。混合物を0℃に冷却した。混合物を0℃にて1時間撹拌した。水(0.7重量部)を1時間かけて滴下添加した。水(4重量部)を1時間かけて滴下添加した。得られた沈殿固形物を濾過し、フィルターケークを0℃のメタノール(1.03重量部)及び水(0.7重量部)から成る溶液で2回洗浄した。ケークを乾燥させることで、ER-805819(0.99重量部、0.84当量)が得られた。
【0334】
【化126】

【0335】
ER-805819(1重量部)を無水アセトニトリル(15容積部)中に溶解させ、ER-803055(0.93容積部、2当量)で処理した。当該反応混合物を0−5℃に冷却し、反応温度を0−5℃に維持しつつ、BF3-OEt2(0.54容積部、1.95当量)を5分間かけて添加した。反応混合物を0−5℃にて12時間撹拌した。激しく撹拌しながら飽和炭酸水素ナトリウム(20容積部)を入れて反応を中止させた。EtOAc(2×8容積部)で2回抽出した。足し合わせた有機物をブライン(12容積部)で洗浄し、濃縮させることで、ER-805821(1重量部、収率88%、そのまま使用)が得られた。
【0336】
ER-805821を調製する代替法では、ER-805819(1重量部、1当量)及びER-803055(0.93容積部、2当量)を無水アセトニトリル(5.46重量部、7容積部)中に溶解させた。その反応混合物を0−5℃に冷却し、反応温度を0−5℃に維持しつつ、BF3-OEt2(0.54容積部、1.95当量)を5分間かけて添加した。当該反応混合物を0−5℃にて20時間撹拌し、次いで0−5℃にてヘプタン(5.47重量部、8容積部)を添加した。相分離させ、下側の層を0−5℃にてヘプタン(5.47重量部、8容積部)で処理した。反応温度を0−15℃に維持しつつ、7.4%の炭酸水素カリウム水溶液(0.64重量部のKHCO3及び8重量部の水)を滴下して反応を中止させた。トルエン(8.65重量部、10容積部)を添加し、そして当該混合物を30分間撹拌した。下側の層を分離させ、上側の有機層を水(10容積部)で2回洗浄し、濃縮させることで、粗な油としてER-805821(1.05重量部、0.935当量)が得られた。
【0337】
【化127】

【0338】
ER-805821(1重量部)を無水THF(8.4容積部)及び無水MeOAc(2容積部)中に溶解させた。反応物を17−23℃に維持しつつ、Triton B(OH)(3.6容積部)を2分間かけて添加した。反応物を1.5時間撹拌した。そして、反応混合物を濾過した。濾過液を濃縮させ、SiO2パッド(5重量部、EtOAc、20容積部)を通過させた。濾過液をブライン(2.2容積部)で洗浄し、蒸発処理することで、ER-805822(0.54重量部、収率72%)が得られた。
【0339】
ER-805822を調製する代替法では、ER-805821(1重量部、1当量、11.18g、21.81mmol)を無水MTBE(4.4重量部、6容積部)中に溶解させ、0−5℃に冷却した。0−5℃にて、当該混合物に、1時間かけて、NaOMe(28wt%MeOH溶液、0.564重量部、1.5当量)を添加し、そして同一温度範囲にて3時間撹拌した。0−5℃に維持しつつ、当該反応物に酢酸(0.188重量部、1.6当量)を添加して反応を中止させた。次いで、当該混合物を一晩撹拌し、0−5℃にて5wt%KHCO3水溶液(3重量部)及び酢酸エチル(3.6重量部、4容積部)で処理し、15分間撹拌した。相分離後、下側の層を酢酸エチル(3.6重量部、4容積部)で2回抽出した。足し合わせた有機層を濃縮させた。残留物にアセトン(2重量部、2.5容積部)及びIPE(2重量部、2.7容積部)を添加し、0−5℃にて一晩撹拌した。当該混合物をCelite(登録商標)(0.25重量部)を通して濾過し、アセトン(2重量部)で洗浄した。濾過液を濃縮させることで、粗な油(0.55重量部)が得られた。その残留物にアセトン80.2重量部、0.25容積部)及びIPE(0.54重量部、0.75容積部)を添加し、40−50℃にて1時間撹拌した。室温にて、当該溶液からER-805822を現出させ、室温にて一晩撹拌した。当該懸濁物に、室温にて2時間かけて、IPE(1.27重量部、1.75容積部)を添加した。室温にて5時間撹拌した後、沈殿物を濾過して集め、当該ケークをアセトン/IPE(1/10)(2容積部)で洗浄した。得られたケークをトレータイプチャンバ内で30−40℃にて一晩乾燥させることで、ER-805819から収率38.0%にて所望の生成物ER-805822(0.286重量部、0.38当量)が得られた。
【0340】
粗なER-805822を製造する代替法では、最後のEtOAc溶液の濃縮後の残留物をIPA(2重量部)中に溶解させ、そして当該溶液を50℃に加熱した。ヘプタン(5重量部)を添加し、この混合物を20℃に冷却した。そして当該混合物を20℃にて一晩撹拌した。ヘプタン(10重量部)を添加し、混合物を−5℃に30分間かけて冷却し、−5℃にて5時間撹拌した。当該混合物を濾過し、フィルターケークをヘプタン(2重量部)で洗浄した。当該フィルターケークを減圧下空気流通下で乾燥させることでER-805822(60%)が得られた。
【0341】
【化128】

【0342】
ER-805822(1重量部)を酢酸エチル又は他の適切な溶媒(5容積部)及び水(5容積部)中に溶解させた。反応温度を0−10℃に維持しつつ、30分から1時間かけて、NaIO4(0.58重量部、1.05当量)を少しずつ添加した。そして反応物を最高2時間の間撹拌した。当該反応混合物をNaCl(1重量部)で処理し、0−10℃にて30分間撹拌した。当該反応混合物を濾過し、ケークを酢酸エチル(2容積部)ですすいだ。相分離させ、下側の層をEtOAc(5容積部)で3回抽出した。足し合わせた有機層を20%のNaCl水溶液(5重量部)で洗浄した。その有機層を濃縮させることでER-804697(1重量部)が得られた。当該残留物をトルエン(2容積部)中に溶解させ、当該溶液を濃縮させた。残留物をアセトニトリル(7容積部)中に溶解させ、次のステップにおいて用いた。
【0343】
【化129】

【0344】
不活性雰囲気下、反応容器にNiCl2(0.025重量部)及びCrCl2(2.5重量部)を入れた。次いで無水ジクロロメタン(5容積部)を入れた。撹拌を開始し、当該混合物を0−3℃に冷却した。温度を20℃未満に維持しつつ、激しく撹拌しながら、45分間かけて無水DMSO(6.7容積部)を添加した。ER-804697(1重量部)を無水ジクロロメタン(1容積部)中に溶解させ、反応容器に入れた。得られた混合物を25℃に温め、ER-806643(2.58重量部)を20分間かけて添加した。反応温度を45℃未満に維持した。全て添加した後、当該反応物を25−35℃にて30分間撹拌した。メタノール(5容積部)を添加し、当該混合物を10分間撹拌した。MTBE(33容積部)を入れ、該スラリーを1NのHCl(25容積部)及び水(10容積部)中に移した。当該混合物を5分間撹拌した。水性層をMTBE(10容積部)で抽出し、足し合わせた有機物を、0.2NのHCl(17容積部)で洗浄し、1%NaCl溶液で2回洗浄し(2×17容積部)、そしてブライン(13容積部)で洗浄した。有機層を濃縮させ、精製(SiO2、25重量部、10カラム、EtOAc/ヘキサン(Hex) 1/3.5 v/v)することでER-804698(0.53重量部、61%)が得られた。
【0345】
代替法では、先述のER-118047の調製に関し説明したものと実質的に同様の手法で、キラルリガンドER-807363の存在下で本反応を実施した。
【0346】
ER-804698を調製する代替法では、DMSO(7容積部)及びMeCN(7容積部)を脱気し、0−10℃に冷却した。当該溶液を、内部温度が20℃を超えないように、CrCl2(10当量、3.47重量部)及びNiCl2(0.1当量、0.037重量部)で少しずつ処理した。内部温度が15℃を超えないようにして、ER-804697(1重量部、1当量)のMeCN(7容積部)溶液及びER-806643(5当量、2.5重量部)を0−10℃にて滴下添加した。当該反応混合物を5−15℃にて一晩撹拌した。当該混合物にメタノール(5.5重量部)、水(7重量部)及びMTBE(5.2重量部)を添加した。当該反応物を1時間撹拌し、下側の層(層1)を分離させた。上側の層に、予混合したNaCl溶液(1.5重量部)及び水(13.5重量部)を添加した。当該混合物を1時間撹拌し、下側の層(層2)を分離させた。上側の層にヘプタン(4.8重量部)、メタノール(2.8重量部)、及び予混合したNaCl溶液(1.5重量部)及び水(13.5重量部)を添加した。当該混合物を1時間撹拌し、下側の層(層3)を分離させた。上側の層を分離させ保管した(有機物1)。リアクタに層1、メタノール(2.8重量部)、及びMTBE(2.8重量部)を入れた。当該混合物を一晩撹拌した。下側の層を分離させ、廃棄した。上側の層を層2で処理した。当該混合物を1時間撹拌し、下側の層を分離し廃棄した。上側の層を層3及びヘプタン(4.8重量部)で処理した。当該混合物を1時間撹拌し、下側の層を分離し廃棄した。上側の層を分離し保管した(有機物2)。リアクタに層3、MTBE(0.8重量部)、及びヘプタン(2.7重量部)を入れた。当該混合物を1時間撹拌し、下側の層を分離し廃棄した。上側の層を有機物1及び有機物2と足し合わせた。足し合わした有機物を濾過し、減圧下で濃縮することで粗なER-804698が得られ、それをクロマトグラフィ(SiO2、25重量部、10カラム、EtOAc/ヘキサン(Hex) 1/3.5 v/v)で精製することでER-804698(0.67重量部、収率57%)が得られた。
【0347】
ER-804698を調製する代替法では、粗な物質を精製することなくそのまま次のステップに利用する。
【0348】
【化130】

【0349】
ER-804698(1重量部、1当量)をAcOH(4.2重量部)及び水(4.2重量部)で処理した。当該混合物を90−97℃に100分間加熱した。当該混合物を15℃未満に冷却し、次いで15℃未満にて、ヘプタンで2回洗浄した(2×2.7重量部)。相分離後、温度が15℃を超えないようにして、下側の層に、20wt%KHCO3水溶液(7.7重量部、35当量)及びMTBE(5.95重量部)の混合物を滴下添加した。相分離後、上側の層を、5wt%KHCO3水溶液(0.2重量部)で洗浄し、次いで5wt%NaCl水溶液で2回(2×0.2重量部)洗浄した。有機層を減圧下で濃縮させ、MTBE(1.49重量部)を添加した。当該混合物を55℃に加熱し、溶解するまで撹拌した。ヘプタン(1.00重量部)を当該溶液に添加し、そしてその溶液を40−45℃に冷却した。当該溶液にさらにヘプタン(4.47重量部)を添加し、5−15℃に冷却し、次いで一晩撹拌した。結晶を濾過し、ヘプタンですすぐことでER-807023(0.58重量部、収率71%)が得られた。
【0350】
【化131】

【0351】
窒素雰囲気下、ER-807023(1重量部、1当量)及びMTBE(7.43重量部)をリアクタに入れた。当該反応物に2,6-ルチジン(2.15重量部、7.5当量)を添加した。当該混合物に、0℃にて、TBSOTf(2.47重量部、3.5当量)を滴下添加した。当該反応混合物を0−10℃にて30分間撹拌し、次いで23℃に1時間かけて温め、23℃に16時間維持した。温度を30℃未満に維持しつつ、当該反応混合物に、MeOH(0.21重量部、2.5当量)及び水(14.8重量部)を順に滴下添加した。相分離後、上側の層を、1Nの塩酸水溶液(16.2重量部)、5%NaCl水溶液(14.8重量部)、5%NaHCO3水溶液(14.8重量部)、5%NaCl水溶液(14.8重量部)、及び5%NaCl水溶液(14.8重量部)でそれぞれ洗浄した。上側の有機層を減圧蒸留して濃縮させることで粗なER-804699が得られた。MeOH(7.91重量部)を添加し、当該混合物を50℃に30分間加熱した。当該混合物を0℃に5時間かけて冷却し、次いで0℃にて一晩撹拌した。固形物を濾過し、そしてケークを冷たいMeOH(4重量部)で洗浄し、乾燥させることでER-804699(1.42重量部、収率74%)が得られた。
【0352】
【化132】

【0353】
窒素雰囲気下、リアクタに、ER-804699(1重量部、1当量)のトルエン(2.60重量部)溶液を入れた。アセトニトリル(4.72重量部)を添加した。TBSCl(0.011重量部、0.05当量)を添加した。当該反応混合物を30℃に温め、NISを添加した(1.25重量部、4当量)。当該反応混合物を30℃にて22時間撹拌した。当該反応物を25どに冷却し、内部温度を30℃未満に維持しつつ、10分間かけて、チオ硫酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物(10.35重量部)を添加した。当該反応物を25℃にて30分間撹拌した。そして水性層を分離させた。上側の層を10%NaCl水溶液で2回(2×9.9重量部)洗浄した。有機層を減圧下で濃縮させることで粗なER-803895が得られ、それをシリカゲルクロマトグラフィで精製することでER-803895(0.96重量部、収率89.5%)が得られた。
【実施例6】
【0354】
F−1a、F−2a、及びF−3aの集合及びB−1939の調製
A.(R)又は(S)型のN-[2-(4-イソプロピル-4,5-ジヒドロ-オキサゾール-2-イル)-6-メチル-フェニル]-メタンスルホンアミドの調製
【0355】
【化133】

【0356】
予め乾燥させた、ガラスコートを有するリアクタに、トリホスゲン(1重量部、1当量)及び無水THF(2容積部)を入れ、内部温度が−10℃となるよう冷却した。第2の予め乾燥させた、ガラスコートを有するリアクタに、ER-807244(1.27重量部、2.5当量)及び無水THF(3容積部)を入れ、内部温度が−10℃となるように冷却した。第1リアクタの内容物を、内部温度が15℃を超えないような速度にて、第2リアクタへと移した。全て添加した後、反応物を内部温度0℃にて1時間撹拌し、次いで徐々に25℃にまで温めた。窒素パージを18時間行い、排ガスを2NのNaOH溶液中を通すことで、過剰のホスゲンを取り除いた。MTBE(3容積部)を添加し、N2パージ下、40−46℃にて蒸留させることで溶媒を除去し、必要におうじてさらにMTBEを添加した。ホスゲンを完全に除去したら、当該混合物を内部温度が5℃−10℃となるよう冷却し、そして当該溶液をMTBE(3容積)で洗浄しつつ濾過することで、白色結晶固形物ER-807245(1.12重量部、0.97当量)が得られた。
【0357】
【化134】

【0358】
予め乾燥させ且つ不活化されたリアクタ1内に、ER-807245(1重量部、1当量)及び無水DMF(4容積部)を添加した。撹拌しながら、当該混合物を内部温度が95℃となるよう加熱した。内部温度が90℃となるよう加熱しつつ、D又はL-バリノール(1.05当量、0.61重量部)を、リアクタ2内の無水物(DMF 1.3容積部)中に溶解させた。リアクタ2の内容物を、内部温度90℃にて、リアクタ1内に移した。CO2発生が確認され、当該反応物について、N2ブリーディングと共に排気した。当該反応溶液を90℃にて3時間撹拌し、次いで内部温度が65℃となるよう冷却した。次いで、水酸化リチウム(0.47重量部、2当量)を水(2容積部)中に含有して成る水性スラリーをリアクタ1に添加し、当該懸濁物を内部温度65℃にて1時間撹拌した。当該リアクタに水(5容積部)を入れ、内部温度が〜5℃となるよう3時間かけて冷ました。当該混合物を内部温度〜5℃にて8時間撹拌し、水(2×4容積部)、次いでn-ヘプタン(2×3容積部)で洗浄しつつ濾過することによって、所望の生成物が収集された。当該生成物を、減圧、N2流通下、35℃にて24時間乾燥させるか又はKF≦250ppmとなるまで乾燥させることによって、結晶固形物であるER-806628又はER-808056(0.80重量部、0.60当量)を得た。
【0359】
【化135】

【0360】
窒素下、予め乾燥させ且つ不活化されたリアクタに、ER-806628又はER-808056(1重量部、1当量)、ピリジン(3重量部、11.4当量)及びDMAP(0.03重量部、0.05当量)を入れた。当該反応物を内部温度が−10℃となる冷却し、次いで内部温度が15℃未満に維持されるような速度にてメタンスルホニルクロリド(1.46重量部、3当量)を添加した。全て添加したら、当該反応物を内部温度015℃にて1時間撹拌し、次いで25℃に2時間かけてゆっくりと温めた。内部温度が35℃を超えないような速度にて、MTBE(2.6容積部)、次いで処理水(2容積部)を添加した。当該二相から成る混合物を、水性層のpHが〜3−5となるまで、6Nの塩酸(〜1.9容積部)で少しずつ滴定した。pHが3より低くなった場合には、30wt%のNa2CO3水溶液を添加して、所望のpHとなるよう滴定した。相分離させ、水性相を分離させた。全ての有機物を水(0.7容積部)と足し合わせ、水性相を廃棄した。MTBEが〜2容積部程度になるまで大気圧にて蒸留させ、沸点55℃及びKF<500ppmを得た。必要に応じて追加のMTBEを添加した。結晶化を生じさせる必要がある場合には、当該溶液を内部温度が5−10℃となるよう冷却した。n-ヘプタン(0.5容積部)を添加し、当該混合物を5℃にて18時間撹拌した。n-ヘプタン(2×3容積部)を用いた濾過によって、ER-806629又はER-807363を収集した。濾過液を1/2容積部にまで濃縮させ0℃に冷却することによって、結晶の第2の現出が確認された。当該フィルターケークを、N2下、18時間乾燥させた。粗な重いER-806629を、予め乾燥させたリアクタに入れ、そしてMTBE(3容積部)を添加した。得られた混合物を内部温度が45−50℃となるよう45分間加熱し、次いで、3時間かけて5℃にまでゆっくりと冷却した。n-ヘプタン(0.5容積部)を添加し、当該混合物を内部温度5℃にて18時間撹拌した。固体生成物を濾過及びn-ヘプタン洗浄により収集し、次いで真空下、35℃にて24時間乾燥させることで、結晶固形物であるER-806629又はER-807363(1.7重量部、0.57当量)が得られた。
【0361】
B.F−1a及びF−2aの集合及び分子内エーテル形成
【0362】
【化136】

【0363】
適切な寸法のリアクタ1にER-807363(1.82重量部、3.55当量)を入れ、雰囲気を窒素に変えた。そして無水THF(15容積部)を添加した。リアクタ2内において、ER-806067(F−1a、1.14重量部、1.1当量)とER-805973(F−2a、1重量部、1当量)を足し合わせ、無水THF(6.3容積部)中に溶解させた。撹拌しながら、両方のリアクタを30−45分間窒素パージした。不活性雰囲気下、リアクタ2にCrCl2(0.75重量部、3.55当量)を入れ、次いで内部温度が30℃となるよう加熱した。内部温度が45℃を超えないような速度にて、リアクタ2にトリエチルアミン(0.62重量部、3.55当量)を入れた。全て添加した後、内部温度を30℃に1時間維持した。1時間後、リアクタ2を0℃に冷却し、不活性雰囲気内で、NiCl2(0.02重量部、0.1当量)、次いでリアクタ1の内容物を入れ、そして当該反応物を室温まで温めた。リアクタ2を、内部温度が0℃となるよう冷却し、次いで内部温度が10℃を超えないような速度にてエチレンジアミン(1.2容積部、10当量)を添加した。注:発熱が確認された。反応物を1時間撹拌し、次いで水(8容積部)及びn-ヘプタン(20容積部)を添加し、当該二相から成る混合物を4分間撹拌し、層を分離させた。有機層を分離し、水性層をMTBE(20容積部)で逆抽出した。足し合わせた有機層を真空下で濃縮させ粗な油とし、これを無水THF(2×10.5容積部)と共沸させた。粗な生成物を無水THF(4.5容積部)中に溶解させ、次いで次の段階で利用されるまで−20℃にて保管した。
【0364】
【化137】

【0365】
前ステップからのER-808227/THF溶液を、KF分析により分析した。KFが<1000ppmであれば、次に進めた。KFが>1000ppmであれば、無水THF(4.1容積部)を用いて真空下で共沸させた。仕様が満たされるまで共沸を繰り返した。仕様を満たす最終溶液は、無水THF(4.1容積部)中に粗なER-808227が溶解して成る。仕様が満たされたなら、適切な寸法の不活化されたリアクタに、無水THF(106容積部)及び前ステップからのER-808227/THF溶液を入れた。当該リアクタを内部温度が−15〜−20℃となるよう冷却し、次いで内部温度が−12℃を超えないような速度にて0.5MのKHMDS/トルエン(9.1重量部、3.0当量)を添加した。反応を完了させるには、およそ4.5当量のKHMDSが必要であった。当該反応物を内部温度0℃の半飽和塩化アンモニウム(40容積部)中に入れて、反応を中止させた。n-ヘプタン(80容積部)を添加し、2−5分間撹拌し、次いで相分離させた。有機層を分離させ、水性相をMTBE(70容積部)で逆抽出し、次いで有機層を足し合わせ、塩化ナトリウム飽和水溶液(70容積部)で洗浄した。有機層を分離し、真空下で濃縮させた。粗な濃縮物にn-ヘプタン(60容積部)を添加した。注:溶液からER-808373が沈殿した。得られた懸濁物を濾過し、固形物をn-ヘプタン(20容積部)で洗浄した。濾過液を真空下で濃縮させ、茶色油として粗なER-806746(〜4重量部)を得た。注:溶液からさらにER-807363が沈殿する際には、濾過処理を繰り返す。粗なER-806746をSiO2カラムクロマトグラフィを用いて精製することで、透明な黄色がかった油ER-804027(1.16重量部、0.55当量)が得られた。クロマトグラフィは以下の通り実施した:まずカラムに十分なMTBEを流し込み、水を除去し、次いでヘプタンを流し込み、MTBEを除去した。ER-806746をヘプタン溶液としてカラムに注入し、そしてヘプタン/MTBE(5:1)、次いでヘプタン/MTBE(4:1)を用いてカラムから溶離させ、UV検出器により230nmにて分離物をモニタした。
【0366】
【化138】

【0367】
リアクタに、ER-804027(1重量部、1当量)及び無水ジクロロメタン(7.6容積部)を入れた。当該リアクタを内部温度が−78℃となるよう冷却し、次いで内部温度が−60℃を超えないような速度にて1MのDibalH/ジクロロメタン(3.0重量部、2.25当量)を添加した。内部温度が−60℃を超えないような速度にてメタノール(0.1容積部)を添加した。注:水素ガスが発生し、窒素流により希釈された。全て添加した後、当該混合物を周囲温度まで温め、次いで1Nの塩酸(10.6容積部)及びMTBE(25容積部)を添加した。当該混合物を20分間撹拌し、層を分離させた。有機層を分離し、水性相をMTBE(15.3容積部)で逆抽出した。有機層を足し合わせ、水(3容積部)、飽和炭酸水素ナトリウム(3容積部)、及び飽和塩化ナトリウム(3容積部)でそれぞれ洗浄し、次いで真空下で濃縮させた。粗な濃縮物をSiO2カラムクロマトグラフィにより精製することで白色多孔体のER-804028(0.84重量部、0.93当量)が得られた。
【0368】
C.F−3aの導入及びB−1939への変換
【0369】
【化139】

【0370】
ER-803895(F−3a)を無水トルエン(14容積部)中に溶解させ、アルゴン雰囲気下、<−75℃に冷却した。そして内部反応温度が<−70℃に維持されるような速度にて、DIBALH(1.5Mトルエン溶液、0.95重量部、1.3当量)を添加した。得られた混合物を30分間撹拌し、次いで、内部温度を<−65℃に維持しつつ、無水メタノール(0.13重量部、3.2当量)を用いて反応を中止させた。当該反応混合物を−10℃に温め、MTBEリンス剤(3.74重量部)と共に、1NのHCl(10.2重量部)を含有する製造容器へと移した。当該混合物を30分間撹拌し、水性相を分離した。有機相を、1NのHCl(10.2重量部)、水(10重量部)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10重量部)、及びブライン(10重量部)で順に洗浄し、次いで減圧下で濃縮させた。濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィにより精製することで、ER-803896(0.96重量部、収率93%)が得られた。当該生成物を、アルゴン下、−20℃にて保管した。
【0371】
【化140】

【0372】
0℃にて、共沸乾燥させたスルホンER-804028(1.0重量部、1当量)を無水テトラヒドロフラン(5容積部、4.45重量部)中に含有させて成る溶液を、内部温度が5℃を超えないようにして、n-ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、1.02重量部、1.5容積部、2.05当量)で処理した。当該混合物を内部温度0−5℃にて10分間撹拌し、次いで<−75℃に冷却した。共沸乾燥させたアルデヒドER-803896(1.07重量部、1.23当量)を無水ヘキサン(3.53重量部、5.35容積部)中に溶解させ、<−75℃に冷却した。当該アルデヒド溶液を、内部温度が≦−65℃となるようにして、カニューレ(canula)によってER-804028アニオンに添加した。当該混合物を内部温度−78℃にて45分間撹拌し、次いで飽和塩化アンモニウム(5容積部)、メチルtert-ブチルエーテル(10容積部)、及び水(5容積部)を添加して反応を中止させた。その水性相を廃棄し、有機層を減圧下で濃縮させた。当該粗な物質をC−18逆相クロマトグラフィにより精製することでER-804029(84%、1.57重量部)を得た。
【0373】
【化141】

【0374】
スルホン-ジオールER-804029(1重量部、1当量)を含水ジクロロメタン(7.4容積部、0.04wt%水)中に溶解させ、20−25℃のウォーターバス中に配置した。Dess-Martin試薬(0.67重量部、2.5当量)を一度に添加した。飽和炭酸水素ナトリウム(10容積部)及び10wt%硫酸ナトリウム水溶液(10容積部)を用いて反応を中止させ、30分間撹拌した。当該混合物を、飽和塩化ナトリウム(10容積部)で希釈し、MTBE(25容積部)で抽出した。水性層を廃棄し、有機層を濃縮させ、シリカゲルクロマトグラフィにより精製することで、ER-804030(0.9重量部、90%)が得られた。当該物質を、不活性ガス雰囲気下、−20℃にて保管した。
【0375】
【化142】

【0376】
不活性雰囲気下、予め乾燥させた反応器に、二ヨウ化サマリウム溶液(2.5当量)を入れ、当該溶液を内部温度<−70℃に冷却した。ER-804030(1重量部)を無水メタノール(4.1重量部)及び無水THF(2.3重量部)中に溶解させ、次いで<−70℃に冷却した。内部温度が−70℃を超えないような速度にて、前記冷たいサマリウム溶液にER-804030を添加した。内部温度が−65℃を超えないような速度にて、炭酸カリウム/Rochelle塩/水(1/10/100;w/w/v、15容積部)及びMTBE(5容積部)を用いて反応を中止させた。製造溶液を全て添加したら、当該反応物を室温にまで温め、当該反応物を、製造溶液(20容積部リンス)及びMTBE(20容積部リンス)を用いて分離容器へと移した。水性層を廃棄し、有機層を蒸発させ、残留物をシリカゲルクロマトグラフィを用いて精製することで、ER-118049(0.77重量部、85%)が得られた。生成物を、不活性雰囲気下、−20℃にて保管した。
【0377】
【化143】

【0378】
予め乾燥させたリアクタに(S)-リガンドER-807363(2.05重量部)を入れ、雰囲気を窒素に置換した。CrCl2(0.85重量部、10当量)を一度に添加し、次いで無水アセトニトリル(21.5重量部)を添加し、当該混合物を温め、30℃〜35℃の範囲に維持した。トリエチルアミン(0.7重量部、0.96容積部、10当量)を一度に添加し、当該混合物を1時間撹拌した。NiCl2(0.09重量部、1当量)を一度に添加し、次いでケトアルデヒドER-118049を無水THF(2.43重量部、2.73容積部)中に含有させたものを30分間かけて添加した。熱を取り除き、ヘプタン(20.5重量部、30容積部)及びCelite(登録商標)(1.5重量部)を添加した。当該混合物を5分間かけて撹拌し、Celite(登録商標)パッドを用いて濾過し、Celite(登録商標)パッドをヘプタン(7.3容積部)及びアセトニトリル(5容積部)ですすいだ。濾過液を分離漏斗に移し、下側の層を取り除いた。足し合わせたヘプタン層をアセトニトリル(最大47.2重量部、最大60容積部)で必要に応じて洗浄した。そのヘプタン層を減圧下で蒸発させ、生成物をシリカゲルクロマトグラフィで精製することで、ER-118047/048(0.64重量部、70%)を得た。
【0379】
【化144】

【0380】
アリルアルコールER-118047/048をジクロロメタン(0.04wt%水、9容積部)中に溶解させ、当該リアクタをウォーターバス(20℃)中に配し、その溶液をDess-Martin試薬(0.48重量部、1.5当量)で処理した。当該反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(9容積部)及び10wt%硫酸ナトリウム水溶液(9容積部)で処理し、次いで20分間撹拌し、DCM(10容積部)を用いて分離漏斗に移した。水性層を廃棄し、有機層を蒸発させて残渣を得た。当該粗な物質をフラッシュクロマトグラフィ(3CV(1:1(V/V)DCM/ヘプタン)で処理し、当該材料に1:1DCM/ヘプタンを注入し、次いで10/10/1のヘプタン/DCM/MTBEで溶離した)により精製した。分離物を含有する生成物を濃縮させ、不活性雰囲気下、−20℃にて保管した。
【0381】
【化145】

【0382】
あるいはまた、以下の通り、ER-118047/48を酸化させることでジケトンER-118046を形成した。フラスコにER-118047/48(1重量部、1.0当量)を入れ、そしてトルエン(10容積部)及びDMSO(0.15重量部、2.5当量)を室温にて添加した。Et3N(0.31重量部、4.0当量)を添加し、当該溶液を−15℃に冷却した。TCAA(0.33重量部、1.4当量)を添加し、当該反応物を0℃に温め、次いで0℃にて10分間撹拌した。当該反応物をさらに10分間撹拌し、次いでIPA(0.15容積部)を用いて反応を中止させた。当該反応物を0℃にて10分間撹拌した。1NのHCl(5容積部)を2分間かけて添加し、当該反応物を室温にまで温め、MTBE(5容積部)で希釈した。透明な2層が形成され、水性層を分離し廃棄した。有機層を5容積部の5%炭酸水素塩(水溶液)で洗浄し、ロータリーエバポレータを用いて黄色の重油となるまで濃縮させ、シリカゲルクロマトグラフィ(単離収率91%)により精製した。
【0383】
【化146】

【0384】
適切な寸法の反応容器(容器A)内に、周囲温度にて、イミダゾールヒドロクロリド(0.39重量部、5当量)を入れ、次いで1MのTBAF/THF(7.6容積部、10当量)を入れた。得られた混合物を、それが均一系となるまで(15−30分間)撹拌した。第2の反応容器(容器B)内に、ER-118046(1重量部、1当量)及びTHF(33容積部)を入れた。容器Bの内容物を、不活性雰囲気下に置き、ER-118046が完全に溶解するまで撹拌した。容器Aの内容物(TBAF/イミダゾール)を容器B(ER-118046/THF)内に一度に入れた。3−4日後、当該反応溶液をカラムに注入し、シリカゲルクロマトグラフィにより精製した。
【0385】
【化147】

【0386】
窒素雰囲気下、乾燥したER-118064(R1がMeOであるところのF−12)残留物を無水ジクロロメタン(28容積部)中に溶解させ、PPTS(1.0重量部、5.2当量)で一度に処理した。30−90分後、当該反応混合物をそのままカラム頂部に適切に注入し、シリカゲルクロマトグラフィで精製した。所望の分離物ER-076349を真空下で濃縮させた。この濃縮物から得られた物質をトルエン(20容積部)と2度共沸させ、脆い無色の固形物/発泡体としてER-076349(残留トルエンの収集後、0.44重量部、0.79当量)が得られた。
【0387】
【化148】

【0388】
乾燥した清浄な反応容器(容器C)内で、ER-076349(1重量部、1当量)を無水トルエン(20容積部)中に溶解させ、減圧下で乾燥するまで濃縮させた。当該物質を無水トルエン(20容積部)中に再溶解させ、乾燥するまで濃縮させた。当該物質をDCM(5容積部)中に溶解させ、そして当該溶液をアルゴン雰囲気下に置いた。コリジン(0.66重量部、4.0当量)を一度に添加した。DCM溶液(容器B)としてピリジンを一度に添加した(5モル%)。得られた容器C内の混合物を内部温度が−20〜−25℃となるよう冷却した。内部温度を−16℃未満に維持しつつ、Ts2OのDCM溶液を滴下添加した(1.02当量)。当該反応物を−20〜−25℃にて80分間撹拌し、次いで20分間かけて0℃に温め、そしてさらに20分間撹拌した。水(2容積部)を用いて反応を中止させた。浴を取り除き、そして当該反応物を室温(15−20℃)まで温め、撹拌した(20分間)。IPA(100容積部)を用いて反応物をすすぎ、より大きな容器に移し、水酸化アンモニウム水溶液(100容積部)を当該反応物に添加した。当該反応物を室温にて15−36時間撹拌し、in situで形成されるトシレート(ER-082892)及びエポキシド(ER-809681)の消失を調査した。当該反応物を乾燥するか又はほぼ乾燥するまで減圧下で濃縮させた。得られた物質をDCM(25−40容積部)で希釈し、pH10緩衝剤(NaHCO3/Na2CO3(水溶液)、10容積部)で洗浄した。水性層を25容積部のDCMで逆抽出し、足し合わせた有機層を乾燥するまで濃縮させた。得られた遊離アミンを、緩衝処理されたACN/水移動相を用いるシリカゲルクロマトグラフィで精製した。収集された分離物を減圧下で濃縮させ、ACNを除去した。得られた水性層をDCM(40容積部)及び30容積部のpH10に緩衝処理されたストック溶液(NaHCO3/Na2CO3)で希釈した。層をよく混合して、そして分離させた。水性層を25容積部のDCMを用いて逆抽出し、足し合わせた有機層を乾燥するまで濃縮させた。得られた遊離アミンを3:1のDCM/ペンタン溶液として濾過し、乾燥する(0.80重量部)まで濃縮させることでB-1939が得られた。
【0389】
本発明の種々の実施形態を記載したが、その基本的実施例を、本発明の化合物や方法を利用する他の実施形態を提供するべく変更し得ることは明らかである。よって、本発明の範囲は、例示のために提示した詳細な実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式F−4の化合物。
【化1】

式中、
PG1、PG2、及びPG3の各々は、個々独立して、水素又は適切なヒドロキシ保護基であり;
R1は、R又は-ORであり;
各Rは、個々独立して、水素、C1-4ハロ脂肪族、ベンジル、又はC1-4脂肪族であり;且つ
LG1は、適切な脱離基である。
【請求項2】
前記化合物が、式F−4’である、請求項1に記載の化合物。
【化2】

【請求項3】
R1がORであり、ここでRが、水素、メチル、又はベンジルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
PG1及びPG2が両方とも水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
PG1及びPG2の各々が、個々独立して、適切なヒドロキシ保護基である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
PG1及びPG2の一方又は両方が、その各々が結合している酸素原子と一緒になってシリルエーテル又はアリールアルキルエーテルとなる、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
PG1及びPG2が両方ともt-ブチルジメチルシリルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
PG1及びPG2が、それらが結合している酸素原子と一緒になってジオール保護基を形成している、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
前記ジオール保護基が、環状アセタール又はケタール、シリレン誘導体、環状カーボネート、又は環状ボロネートである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
LG1が、スルホニルオキシ、任意に置換されたアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたアルケニルスルホニルオキシ、又は任意に置換されたアリールスルホニルオキシである、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
LG1が、メシル又はトシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が以下
【化3】

である、請求項2に記載の化合物。

【公表番号】特表2008−501715(P2008−501715A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515643(P2007−515643)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/019669
【国際公開番号】WO2005/118565
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(000000217)エーザイ株式会社 (102)