説明

ハロゲンを有しない、リン含有の難燃性ポリマーフォーム

密度が5〜120kg/m3の範囲のポリマーフォームであって、
a)少なくとも1種のスチレンポリマーを含むポリマー成分、
b)(成分a)を100質量部として)0.1〜5質量部の難燃剤混合物、
を含み、前記難燃剤混合物は、
b1)少なくとも1種のリン化合物、及び
b2)硫黄元素
を含み、
前記少なくとも1種のリン化合物は、式(I)、
(X1s=PR123 (I)
(但し、式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される:
1が、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
2が、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
3が、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−[P(=X2u6−(Y2nm−P(=X3t78基であり;
又は、2つの基R1、R2、R3が、これらに結合したリン原子と一緒に、環系を形成し;
1、X2及びX3が、同一であるか、又は異なり、相互に独立してO又はSであり;
1及びY2が、同一であるか、又は異なり、及びO又はSであり;
4、R5、R9、R10、R11、R12及びR13が、同一であるか、又は異なり、そしてC1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキルで、置換基を有していなくても良く、又は1つ以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していても良く、又はC2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、又はC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;
6、R7及びR8が、同一であるか、又は異なり、そして相互に独立して、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
nは、Y1及び、それぞれ、Y2がOの場合には、1であり、及びY1及び、それぞれ、Y2がSの場合には、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;
mが、0〜100の整数であり;
s、t及びuが、相互に独立して、0又は1である)
で表され、及びリン化合物のリン含有量が、リン化合物に対して、5〜80質量%である、ポリマーフォーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチレンポリマーに基づく、ハロゲンを有しない難燃性のポリマーフォームに関し、ハロゲンを有しない難燃性のポリマーフォームを製造するための方法に関し、及びこれらを建設業に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
難燃剤をフォームに与えることは、広い用途、例えば、建物の絶縁のための、発泡性ポリスチレン(EPS)でできた成形ポリスチレンフォーム、及び押出しポリスチレンフォームシート(XPS)において重要である。
【0003】
現在プラスチックに使用される難燃剤は主に、適切であれば、適切な共力剤、例えば有機過酸化物、又は窒素含有の化合物と結びついたポリハロゲン化炭化水素である。これらの従来の難燃剤の典型的な代表例は、例えば、ポリスチレン中に使用されるヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)である。プラスチック工業は、ハロゲン化ざれた難燃剤の代替を見出すのに多大の努力を払っている。この理由は、生物濃縮のためであり、及びポリハロゲン化された炭化水素の一部は持続性の物質であるからである。
【0004】
難燃剤は、理想的には、プラスチックにおいて、低い積載レベルで高いレベルの難燃作用を示すのみならず、処理(加工)の目的で、熱と加水分解に対して、適切な抵抗性をも示すべきである。これらは、生物濃縮と持続性(persistency)が存在しないことを示すべきである。
【0005】
特許文献1(DE1694945)には、フォームを製造するための方法が記載されており、同文献では、フォームは、硫黄を(単独で、又は臭素化リン化合物と組み合わせて)難燃剤として組み込んでいる。
【0006】
特許文献2(EP0806451)には、有機リン化合物及び硫黄元素の組合せを含む難燃剤スチレンポリマー組成物が記載されている。十分な難燃性を達成するために、ここで要求される積載量は、大部分は、リン化合物と硫黄が、(ポリマー100質量部に対して)少なくとも10質量部である。
【0007】
特許文献3(WO99/10429)には、同様に、難燃剤スチレンポリマー組成物が記載されており、該難燃剤スチレンポリマーは、有機リン化合物、及び硫黄元素の組合せを含んでいる。十分な難燃性を得るために、ここで必要とされる合計量は、ポリマー100質量部に対して、少なくとも10質量部のリン化合物と硫黄である。
【0008】
従来技術に記載されている難燃剤ポリマー組成物は、十分な難燃性を示している。しかしながら、熱可塑性ポリマー、例えばポリスチレンのために、従来技術で使用されている、非常に多い難燃剤の量は、ポリマーフォームの発泡工程、及びフォームの熱特性を乱し(崩壊させる)得るものである。
【0009】
発泡性ポリスチレンが懸濁重合によって製造される場合、大量の難燃剤が更に、懸濁物の安定性を低下させ得る。更に、熱可塑性ポリマーに使用される難燃剤の作用は、異なる火炎挙動(fire behavior)と異なる火炎試験(fire test)のために、しばしば、ポリマーフォーム内において予測することができない。
【0010】
従って、このタイプのポリマー組成物の発泡性を改良するための主たる領域が存在する。更に、ハロゲンを有しない、難燃性ポリマー組成物及びポリマーフォームの難燃性及び機械的特性について改良する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE1694945
【特許文献2】EP0806451
【特許文献3】WO99/10429
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、融解(溶融)した時に、容易に発泡する、ハロゲンを有しない難燃性ポリマー組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、難燃性が改良され、及び機械的特性が改良された、ハロゲンを有しない難燃性ポリマーフォームを提供することにある。本発明の他の目的は、難燃剤の含有量が最小限の、難燃性ポリマーフォームを提供することにある。
【0013】
1種以上のリン化合物と硫黄元素の混合物でできた相乗的な混合物を極めて少量使用することによって、低密度のスチレンポリマーに基づく所定のフォームに、難燃性を与えることができることがわかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、密度が5〜120kg/m3の範囲のポリマーフォームであって、
a)少なくとも1種のスチレンポリマーを含むポリマー成分、
b)(成分a)を100質量部として)0.1〜5質量部の難燃剤混合物、
を含み、前記難燃剤混合物は、
b1)少なくとも1種のリン化合物、及び
b2)硫黄元素
を含み、
前記少なくとも1種のリン化合物は、式(I)、
(X1s=PR123 (I)
(但し、式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される:
1が、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
2が、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
3が、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−[P(=X2u6−(Y2nm−P(=X3t78基であり;
又は、2つの基R1、R2、R3が、これらに結合したリン原子と一緒に、環系を形成し;
1、X2及びX3が、同一であるか、又は異なり、相互に独立してO又はSであり;
1及びY2が、同一であるか、又は異なり、及びO又はSであり;
4、R5、R9、R10、R11、R12及びR13が、同一であるか、又は異なり、そしてC1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキルで、置換基を有していなくても良く、又は1つ以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していても良く、又はC2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、又はC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;
6、R7及びR8が、同一であるか、又は異なり、そして相互に独立して、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
nは、Y1及び、それぞれ、Y2がOの場合には、0又は1であり、及びY1及び、それぞれ、Y2がSの場合には、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;
mが、0〜100の整数であり;
s、t及びuが、相互に独立して、0又は1である)
で表され、及び上記リン化合物のリン含有量が、上記リン化合物に対して、5〜80質量%である、ポリマーフォームを提供する。
【0015】
本発明は更に、ハロゲンを有しない、難燃性ポリマーを製造するための方法を提供し、該方法では、(ポリマー成分を100質量部として)0.1〜5質量部の難燃剤混合物b)が、それぞれのポリマー組成物に加えられる。本発明は更に、本発明のポリマーフォームを絶縁材として、特に建設業に使用する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義されることが好ましい:
1が、好ましくは、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシである。
2が、好ましくは、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシである。
3が、好ましくはH、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−[P(=X2u6−(Y2nm−P(=X3t78基である。
1、X2及びX3が、好ましくは同一であるか、又は異なり、及び相互に独立してO又はSである。
1及びY2が、好ましくは同一であるか、又は異なり、相互に独立してO又はSである。
4及びR5が、好ましくは同一であるか、又は異なり、そしてC1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキルで、置換基を有していなくても良く、又は1つ以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していても良く、又はC2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、又はC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルである。
6、R7及びR8が、好ましくは同一であるか、又は異なり、そして相互に独立して、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213である。
【0017】
nは、好ましくは、Y1及び、それぞれ、Y2がOの場合には、1であり、及びY2がSの場合には、1又は2である。
mが、好ましくは、0〜10の整数である。
s、t及びuが、好ましくは、1である。
【0018】
式(I)中の記号とインデックスの定義の全てが、好ましい定義である式(I)の化合物が好ましい。
【0019】
2個の部分R1、R2、R3が一緒に環系を形成しない、式(I)の化合物が好ましい。
【0020】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される式(I)の化合物も好ましい:
1が、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシであり;
2が、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシであり;
3が、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−[P(=X2u6−(Y2nm−P(=X3t78基であり;
1、X2及びX3が、同一であるか、又は異なり、及び相互に独立してO又はSであり;
1及びY2が、同一であるか、又は異なり、相互に独立してO又はSであり;
4及びR5が、同一であるか、又は異なり、そしてC3−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキルで、置換基を有していなくても良く、又は1つ以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していても良く、又はC2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、又はC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;
6、R7及びR8が、同一であるか、又は異なり、そして相互に独立して、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
nは、Y1及び、それぞれ、Y2がOの場合には、1であり、及びY2がSの場合には、1又は2であり;
mが、0又は1であり;及び
s、t及びuが1である。
【0021】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される式(I)の化合物も好ましい:
1が、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシであり;
2が、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシであり;
3が、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−[P(=X2u6−(Y2nm−P(=X3t78基であり;
1、X2及びX3が、同一であるか、又は異なり、及び相互に独立してO又はSであり;
1及びY2が、同一であるか、又は異なり、O又はSであり;
4及びR5が、同一であるか、又は異なり、そしてC3−C8−シクロアルキルで、置換基を有していなくても良く、又は1つ以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していても良く、又はC2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニルであり;
6、R7及びR8が、同一であるか、又は異なり、そして相互に独立して、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
nは、Y1及び、それぞれ、Y2がOの場合には、1であり、及びY2がSの場合には、1又は2であり;
mが、0又は1であり;及び
s、t及びuが1である。
【0022】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される式(I)の化合物も好ましい:
1が、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシであり;
2が、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシであり;
3が、−(Y1n−[P(=X2u6−(Y2nm−P(=X3t78基であり;
1、X2及びX3が、同一であるか、又は異なり、及び相互に独立してO又はSであり;
1及びY2が、同一であるか、又は異なり、O又はSであり;
6、R7及びR8が、同一であるか、又は異なり、そして相互に独立して、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
nは、Y1及び、それぞれ、Y2がOの場合には、1であり、及びY2がSの場合には、1又は2であり;
mが、0又は1であり;及び
s、t及びuが1である。
【0023】
他の好ましい実施の形態では、本発明の相乗的な難燃剤の組合せb)は、トリメチルホスフェートを含まず、及び/又はテトラメチルホスフィンジスルフィドを含まない。
【0024】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義されることが特に好ましい:
1が、特に好ましくは、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシである。
2が、特に好ましくは、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシである。
3が、特に好ましくは、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−P(=X3t78基である。
1及びX3が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、O又はSである。
1が、特に好ましくは、O又はSである。
4及びR5が、同一であるか、又は異なり、そしてC1−C8−アルキル、シクロヘキシル、フェニル、又はベンジルである。
7及びR8が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、フェノキシ、ベンジル又はベンジルオキシである。
nは、特に好ましくは、Y1がOの場合には、1であり、及び特に好ましくは、Y1がSの場合には、1又は2である。
s及びtは、特に好ましくは1である。
【0025】
記号とインデックスが、特に好ましい定義である式(I)の化合物が特に好ましい。
【0026】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される式(I)の化合物が更に特に好ましい:
1が、特に好ましくは、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシであり;
2が、特に好ましくは、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシであり;
3が、特に好ましくは、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−P(=X3t78基であり;
1及びX3が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、O又はSであり;
1が、特に好ましくは、O又はSであり;
4及びR5が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、そしてC3−C8−アルキル、シクロヘキシル、又はベンジルであり;
7及びR8が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、フェノキシ、ベンジル又はベンジルオキシであり;
nは、特に好ましくは、Y1がOの場合には、1であり、及び特に好ましくは、Y1がSの場合には、1又は2であり、及び
s及びtは、特に好ましくは1である。
【0027】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される式(I)の化合物が更に特に好ましい:
1が、特に好ましくは、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシであり;
2が、特に好ましくは、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシであり;
3が、特に好ましくは、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−P(=X3t78基であり;
1及びX3が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、O又はSであり;
1が、特に好ましくは、O又はSであり;
4及びR5が、特に好ましくは、シクロヘキシルであり;
7及びR8が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、フェノキシ、ベンジル又はベンジルオキシであり;
nは、特に好ましくは、Y1がOの場合には、1であり、及び特に好ましくは、Y1がSの場合には、1又は2であり、及び
s及びtは、特に好ましくは1である。
【0028】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される式(I)の化合物が更に特に好ましい:
1が、特に好ましくは、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシであり;
2が、特に好ましくは、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシであり;
3が、特に好ましくは、
−(Y1n−P(=X3t78基であり;
1及びX3が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、O又はSであり;
1が、特に好ましくは、O又はSであり;
7及びR8が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、フェノキシ、ベンジル又はベンジルオキシであり;
nは、特に好ましくは、Y1がOの場合には、1であり、及び特に好ましくは、Y1がSの場合には、1又は2であり、及び
s及びtは、特に好ましくは1である。
【0029】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義されることが特に好ましい:
1が、特に好ましくは、フェニル、フェノキシである。
2が、特に好ましくは、フェニルである。
3が、特に好ましくは、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−P(=X3t78基である。
1及びX3が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、O又はSである。
1が、特に好ましくは、O又はSである。
4及びR5が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、シクロヘキシル、フェニル又はベンジルである。
7及びR8が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、フェニル、フェノキシである;
nは、特に好ましくは、Y1がOの場合には、1であり、及び特に好ましくは、Y1がSの場合には、1又は2である。
s及びtは、特に好ましくは1である。
【0030】
記号とインデックスの定義が特に好ましい定義である、式(I)の化合物が特に好ましい。
【0031】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される、式(I)の化合物が、更に特に好ましい:
1が、特に好ましくは、フェニル、フェノキシであり;
2が、特に好ましくは、フェニルであり;
3が、特に好ましくは、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−P(=X3t78基であり;
1及びX3が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、O又はSであり;
1が、特に好ましくは、O又はSであり;
4及びR5が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、ベンジルであり;
7及びR8が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、フェニル、フェノキシであり;
nは、特に好ましくは、Y1がOの場合には、1であり、及び特に好ましくは、Y1がSの場合には、1又は2であり、及び
s及びtは、特に好ましくは1である。
【0032】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される式(I)の化合物が更に特に好ましい:
1及びR2が、特に好ましくは、フェニル、フェノキシであり;
3が、特に好ましくは、
−(Y1n−P(=X3t78基であり;
1及びX3が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、O又はSであり;
1が、特に好ましくは、O又はSであり;
7及びR8が、特に好ましくは、同一であるか、又は異なり、フェニル、フェノキシであり;
nは、特に好ましくは、Y1がOの場合には、1であり、及び特に好ましくは、Y1がSの場合には、1又は2であり、及び
s及びtは、特に好ましくは1である。
【0033】
式(I)の化合物の以下の群も更に好ましい:
S=PR12−H (Ia)
S=PR12−SH (Ib)
S=PR12−OH (Ic)
S=PR12−S−フェニル (Id)
S=PR12−O−フェニル (Ie)
S=PR12−S−ベンジル (If)
S=PR12−O−ベンジル (Ig)
S=PR12−P(=S)R78 (Ih)
S=PR12−S−P(=S)R78 (Ii)
S=PR12−S−S−P(=S)R78 (Ij)
S=PR12−O−P(=S)R78 (Ik)
O=PR12−H (Il)
O=PR12−SH (Im)
O=PR12−OH (In)
O=PR12−S−フェニル (Io)
O=PR12−O−フェニル (Ip)
O=PR12−S−ベンジル (Iq)
O=PR12−P(=S)R78 (Ir)
O=PR12−S−P(=S)R78 (Is)
O=PR12−S−S−P(=S)R78 (It)
O=PR12−O−P(=S)R78 (Iu)
O=PR12−P(=O)R78 (Iv)
O=PR12−S−P(=O)R78 (Iw)
O=PR12−S−S−P(=O)R78 (Ix)
O=PR12−O−P(=O)R78 (Iy)
(但し、記号の定義が、式(I)で記載したものである)。
【0034】
1及びR2が同一である式(I)の化合物も好ましい。
7及びR8が異なる式(I)の化合物も好ましい。
1、R2、R7及びR8が同一である式(I)の化合物が特に好ましい。
【0035】
特に好ましい式(I)の化合物は、実施例に記載された化合物FSM1〜FSM6である。
【0036】
式(I)の1化合物を難燃剤として使用することが好ましい。
【0037】
更に、難燃剤として、2種以上、特に好ましくは2〜4種、特に2種の、式(I)の化合物が難燃剤として好ましい。
【0038】
式(I)の化合物の一部は市販されており、例えばABCR GmbH&Co KG,Karlsruhe,GermanyからのFSM1、LanxessからのDisflamoll Temperaturの状態のFSM4、SankoからのHCAの状態のFSM6、及びCytechからのCyagard RF−1241の状態のFSM7が例示される。
【0039】
難燃剤FMS2,3及び4は、例えば、以下の参照に従って製造することができる:
FSM2: J.I.G.Cadogan;J.B.Husband;H.McNab;J.Chem.Soc.Perkin Trans.I.;1983;1489to1495。
【0040】
FSM3: M.G.Zimin,N.G.Zabirov;V.Smirnov;Zhournal Obschei Khimii;1980;50;1;24to30。
【0041】
FSM4: W.Kuchen,H.Buchwald,Chem.Ber.1958,91,2871to2877。
【0042】
他の好ましいリン化合物(成分b1)として)は、ビス(ヒドロキシ−メチル)イソブチルフォスフィンオキシド(FSM6)である。
【0043】
成分b1)(リン化合物)の成分b2)(硫黄)に対する割合は通常、1:0.1〜1:10、好ましくは、1:0.2〜1:7、特に好ましくは1:0.3〜1:5、及び特に1:0.3〜1:3である。
【0044】
本発明の目的のために、成分b)及び成分b1)及びb2)のための質量部データーは常に、100質量部のポリマー(成分a))に基づくものである。
【0045】
ポリマーフォームは、100質量部の成分a)に対して、通常0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜4.5質量部、特に好ましくは1.0〜4.0質量部、特に2.5〜4.0質量部の量の、相乗的な難燃剤混合物を含む。
【0046】
ポリマー組成物は、成分b2)として、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部、特に好ましくは0.3〜2.5質量部の硫黄元素を含む。ポリマーフォーム中の硫黄元素の分布は、好ましくは、実質的に均一であり、そしてこのことは例えば、押出し工程の間に混合することによって、又は静的又は動的ミキサー(例えばニーダー)によって達成することができる。
【0047】
硫黄元素が使用されるフォームは、(工程の条件下に、硫黄元素に分解される)出発化合物のものであることもできる。
【0048】
他の可能性は、硫黄元素を封入した状態で使用することである。封入材料の例は、メラミン樹脂(US−A4440880から類推)、及びウレアホルムアルデヒド樹脂(US−A4698215から類推)である。更なる材料及び参照はWO99/10429に見出される。
【0049】
本発明のポリマーフォームは、適切であれば、更なる適切な難燃共力剤を含むことができ、この例は、熱的な遊離基生成元の過酸化ジクミル、ジ−tert−ブチルペルオキシド、又はビスクミル(2,3−ジフェニル−2,3−ジメチルブタン)である。この場合、フォームは(1種以上の)リン化合物b1)に加え、(成分a)を100質量部として)通常、0.05〜5質量部の難燃剤共力剤を含む。
【0050】
ポリマー組成物は、更なる難燃剤、例えばメラミン、メラミンシアヌレート、金属酸化物、金属水酸化物、フォスフェイト、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、膨張性黒鉛、又は共力剤、例えばSb23、Sn化合物、又はニトロキシル基を含む又は解放する化合物を含むこともできる。適切な更なる、ハロゲンを有しない難燃剤は、例えば、Exolit OP930、Exolit OP1312、HCA−HQ、M−Ester、Cyagard RF−1243、Fyrol PMP、Phoslite IP−A(アルミニウム次亜リン酸塩)、Melapur MC、APP(アンモニウムポリリン酸塩)、及びBudit833として市販されている。
【0051】
ハロゲンを完全に有しないことが必要とされない場合、本発明の化合物(I)を使用し、及び比較的少量のハロゲンを含む、特に臭素化された難燃剤、例えばヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、又は臭素化されたスチレンホモ−又はコポリマー/オリゴマー(例えば、WO−A2007/058736に記載されたスチレン−ブタジエンコポリマー)を加える(ここで、量は、成分a)を100質量部として、0.05〜1質量部、特に0.1〜0.5質量部である)ことによって、ハロゲン含有量が少ないポリマー組成物を製造することができる。
【0052】
好ましい一実施の形態では、本発明の難燃剤混合物は、ハロゲンを有しない(ハロゲンフリーである)。ポリマー、難燃剤混合物、及び更なる添加剤からできる組成物が、ハロゲンを有しないことが特に好ましい。
【0053】
本発明のポリマーフォームの密度は、通常5〜120kg/m3、好ましくは8〜60kg/m3、特に好ましくは10〜35kg/m3の範囲である。
【0054】
ポリマー成分a)は、少なくとも1種のスチレンポリマーを含む。
【0055】
本発明において、スチレンポリマーは、スチレン、アルファ−メチルスチレン、又はスチレンとアルファ−メチルスチレンに基づくポリマーを含み;このことは、類推的に、SAN、AMSAN、ABS、ASA、MBS及びMABS中のスチレン内容物に適用される(以下を参照)。本発明のスチレンポリマーは、スチレン及び/又はアルファ−メチルスチレンモノマーの少なくとも50質量部に基づくものである。
【0056】
使用することが好ましいスチレンポリマーは、ガラスクリアーポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アニオン性重合ポリスチレン、又は耐衝撃性ポリスチレン(AIPS)、スチレン−アルファ−メチルスチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー(ABS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、アクリロニトリル−アルファ−メチルスチレンコポリマー(AMSAN)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)、メチルアクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、又はメチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)ポリマー、又はこれらの混合物、又はポリフェニレンエーテル(PPE)の混合物を含む。
【0057】
機械的特性、又は温度変化に対する抵抗性を改良するために、上述したスチレンポリマーを熱可塑性ポリマー、例えばポリアミド(PA)、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカルボネート(PC)、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルケトン、又はポリエーテルスルフィド(PES)、又はこれらの混合物と混合することができ、その混合量は、ポリマー融解物を100質量部として、通常、合計割合で最大で30質量部、好ましくは1〜10質量部の範囲であり、そして適切であれば和合剤を使用することができる。疎水的に変性された、又は官能化されたポリマー又はオリゴマー、又はゴム、例えばポリアクリレート、又はポリジエン、例えばスチレン−ブタジエンブロックコポリマー、又は生物分解性の脂肪族、又は脂肪族/芳香族コポリエステルとの、上述した量の範囲での混合物を製造することもできる。
【0058】
適切な和合剤の例は、無水マレイン酸−変性スチレンコポリマー、エポキシ基を含むポリマー、又は有機シランである。
【0059】
ポリスチレンを含む、好ましくはポリスチレンから成るフォームが特に好ましく、特に押し出されたポリスチレンフォーム(XPS)及び発泡性ポリスチレン(EPS)から得られるフォームが好ましい。
【0060】
発泡性スチレンポリマー(EPS)のモル質量Mw(moler mass Mw)は、DIN55672−1に従いゲル浸透クロマトグラフィーを使用し、及び標準ポリスチレンに対しての屈折測定(refractiometric detection)(RI)を使用して測定して、好ましくは120000〜400000g/molの範囲、特に好ましくは180000〜300000g/molの範囲である。せん断及び/又は熱への露出の間、モル質量が低下するので、発泡性ポリスチレンのモル質量は通常、使用するポリスチレンのモル質量よりも約10000g/mol低い。
【0061】
本発明は、難燃剤混合物(成分b))がポリマー成分a)に加えられ、そして混合物が発泡されてポリマーフォームを形成する、本発明のポリマーフォームを製造する方法をも提供する。
【0062】
ここで本発明の目的のために、「ポリマーに加えられる」(添加)という表現は、従来技術で公知の全ての方法を含む。
【0063】
従って添加は、相乗的な難燃剤混合物(成分b))を
i)仕上られたポリマーに、又は
ii)ポリマーの製造の間に
添加することによって行うことができる。
【0064】
ii)に記載された、製造に使用される方法の例では、重合工程は、成分b)の存在下での、すなわち、重合工程の前、間、又は後にモノマーへ添加しての、バルク重合、溶液重合、又はエマルジョン重合、又は分散重合を使用する。懸濁重合法が好ましい。
【0065】
懸濁重合法では、スチレンが使用する唯一のモノマーであることが好ましい。しかしながら、スチレンの20質量%以下を他の不飽和モノマー、例えばアルキルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、1,1−ジフェニルエーテル、又はアルファ−メチルスチレンによって置き換えることができる。好ましいポリマーが得られるモノマーも好ましい。
【0066】
本発明のポリマー組成物が、仕上られたポリマーi)に加えることによって製造されることが好ましい。
【0067】
このために、好ましい一実施の形態では、ポリマー融解物が製造され、そして成分b)が、融解物の製造の前、間、又は後に混合することによって導入される。
【0068】
ポリマー融解物は、上述した熱可塑性ポリマーのポリマー再生物、特にスチレンポリマーと、発泡性スチレンポリマー(EPS)の混合物を、その特性を実質的に損なわない量(該量は、ポリマー成分a)の100質量部に対して、通常、最も多くて50質量部、特に1〜20質量部である)で、受け入れることも可能である。
【0069】
ポリマー融解物に加えることができる他の材料は、添加剤、核形成剤、充填剤、可塑剤、溶解性及び不溶性無機及び/又は有機染料、及び顔料、例えばIR吸収剤、例えばカーボンブラック、グラファイト、又はアルミニウム粉(これらは、一緒に、又は例えばミキサー又は空間的に分けて、補助的な押出機を使用してのものである)である。染料及び顔料の加えられる量は、成分a)を100質量部として、通常0.01〜30質量部、好ましくは1〜5質量部である。スチレンポリマー内に、均一な及び微粒分散物(microdisperse distribution)を得るために、(特に極性顔料の場合に)分散剤、例えば有機シラン、ポリマー含有エポキシ基、又は無水マレイン酸−グラフトスチレンポリマーを使用することが有利であり得る。好ましい可塑剤は、鉱物油及びフタレートであり、及びこれらの使用可能な量は、100質量部の成分a)に対して、0.05〜10質量部である。類推的に、これらの化合物は、本発明に従うEPSへの懸濁重合の前、間、及び/又は後に加えることもできる。
【0070】
ハロゲンを有しない、難燃性のポリマーフォームの密度は、好ましくは8〜60kg/m3の範囲、特に好ましくは10〜35kg/m3の範囲であり、及び独立気泡(closed cell)の割合は、好ましくは80%を超え、特に好ましくは90〜100%である。
【0071】
発泡性スチレンポリマーでできた、本発明に従うフォーム(EPSフォーム)、及び押出されたスチレンポリマーフォーム(XPS)は、発泡剤及び本発明に従う難燃剤をポリマー融解物中に混合し、圧力下に押出しと造粒を行い、発泡性ペレット(EPS)を得、そして次にペレットを発泡させてEPSフォームを得ることにより、又は対応する形状を有するダイを使用して、ポリマー融解物の押出しと発泡を行い、フォームシート(XPS)又はフォームストランドを得ることによって、加工することができる。
【0072】
一実施の形態では、フォームはEPSフォームである。
【0073】
他の好ましい実施の形態では、フォームは、押し出されたスチレンポリマーフォーム(XPS)である。
【0074】
発泡剤を含むポリマー融解物は、ポリマー融解物を100質量部として、合計割合が2〜10質量部、好ましくは3〜7質量部の1種以上の発泡剤を均一に分配した状態で含む。適切な発泡剤は、EPSに通常使用される物理的発泡剤、例えば2〜7個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、アルコール、ケトン、エーテル、又はハロゲン化炭化水素である。イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、又はn−ペンタンを使用することが好ましい。XPSのために、CO2又はこれらと、アルコール及び/又はC2−C4カルボニル化合物、特にケトンとの混合物を使用することが好ましい。
【0075】
発泡性を改良するために、ポリマーマトリックスに、微細に分散された内部水滴を導入することが可能である。このことは、例えば、水を融解した状態のポリマーマトリックスに加えることによって行うことができる。水の添加は、発泡剤の供給個所の上流の個所、同一の個所、又は下流の個所で行うことができる。水の均一な分配は、動的又は静的ミキサーを使用して達成することができる。水の十分な量は、成分a)を100質量部として、通常0〜2質量部、好ましくは0.05〜1.5質量部である。
【0076】
少なくとも90%の内部水を、直径が0.5〜15μmの内部水滴の状態で有する発泡性スチレンポリマー(EPS)の発泡は、適切な気泡数と均一なフォーム構造を有するフォームを与える。
【0077】
加えられる発泡剤と水の量は、発泡前のかさ密度/発泡後のかさ密度として定義される、発泡性スチレンポリマー(EPS)の発泡性能αが、最大で125、好ましくは15〜100になるように選ばれる。
【0078】
本発明の発泡性スチレンポリマーペレット(EPS)のかさ密度は、通常、最大で700g/l、好ましくは590〜660g/lの範囲である。充填剤が使用される場合、充填剤の性質と量の関数として、590〜1200g/lの範囲のかさ密度を得ることができる。
【0079】
成分b1)及びb2)は、融解物の製造の前、間、又は後に加えられる。
【0080】
更なる添加剤及び助剤を加えることもできる。ここで、ポリマー組成物中に含まれる任意の添加剤及び助剤が好ましい。
【0081】
造粒法によって、本発明のハロゲンを有しない、難燃性ポリマーフォームを製造するために、発泡剤を、混合よってポリマーに導入することができる。ある可能な方法は、a)融解物の製造、b)混合、c)冷却、d)運搬、e)ペット化、及びf)発泡の工程を含む。a)〜e)の各工程は、プラスチック処理で公知の装置、又は装置の組合せを使用して行うことができる。混合(ミキシング)による導入工程のために、静的又は動的ミキサーが適切であり、押出し機が例示される。ポリマー融解物は、重合反応器から直接的に取り出すことができ、又は混合押出し機内で、又は分離した融解押出し機内で直接的に、ポリマーペレットを融解することによって製造することができる。融解物の冷却は、混合アセンブリ内で、又は別の冷却機内で行うことができる。使用することができるペレット化法の例は、加圧水中ペレット化、回転ナイフを使用したペレット化、及び冷却液の噴霧による冷却、及びアトマイズ化(噴霧化)を使用したペレット化である。工程を行うことができる適切な装置配置は:
a)重合反応器−静的ミキサー/冷却機−ペレタイザー、
b)重合反応器−押出し機−ペレターザー、
c)押出し機−静的ミキサー−ペレタイザー、
d)押出し機−ペレタイザー、
である。
【0082】
この配置は、添加剤、例えば固体、又は熱に弱い添加剤のために、補助的な押出し機を有することもできる。
【0083】
ダイプレートを通った時の、発泡剤を含むポリマー融解物の温度は通常、140〜300℃の範囲、好ましくは160〜240℃の範囲である。ガラス転移温度の範囲への冷却は不必要である。
【0084】
ダイプレートは、少なくとも発泡剤を含むポリマー融解物の温度にまで加熱される。ダイ中にポリマーが堆積することを避け、及び問題のないペレット化を確保するために、ダイプレートの温度は、発泡剤を含むポリマー融解物の温度よりも20〜100℃高いことが好ましい。
【0085】
市場性のあるペレットサイズを得るために、ダイの出口におけるダイ中の孔は、0.2〜1.5mmの範囲、好ましくは0.3〜1.2mmの範囲、特に好ましくは0.3〜0.8mmの範囲であるべきである。このことは、ダイ膨張の後であっても、2mm未満、特に0.4〜1.4mmの範囲のペレットサイズへの目標とする調節を可能にする。
【0086】
ハロゲンを有しない難燃性EPSフォームを製造するために、以下の工程を有する方法が特に好ましい:
a)有機発泡剤、及び好ましくは(成分a)を100質量部として)1〜25質量部の本発明の難燃剤を、静的又は動的ミキサーを使用して、少なくとも150℃の温度で、スチレンポリマー融解物に混合導入する工程、
b)発泡剤−含有スチレンポリマー融解物を少なくとも120℃の温度に冷却する工程、
c)ダイからの出口での直径が最も大きくて1.5mmである孔を有するダイプレートを通して排出する工程、
d)発泡剤を含む融解物を、ダイプレートの直後に、水面下で、1〜20バールの範囲の圧力でペレット化する工程、及び
e)得られた顆粒を発泡させてEPSフォームを形成する工程。
【0087】
本発明の難燃剤及び有機発泡剤の存在下に、水性懸濁物中で懸濁重合することによって、本発明の発泡性スチレンポリマー(EPS)を製造することも好ましい。
【0088】
懸濁重合法の場合、スチレンが使用される唯一のモノマーであることが好ましい。しかしながら、20質量%以下のスチレンを、他のエチレン性不飽和モノマー、例えばアルキルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、1,1−ジフェニルエーテル、又はアルファ−メチルスチレンによって置き換えることができる。
【0089】
懸濁重合法の間、通常の助剤を加えることができ、例として、過酸化物開始剤、懸濁安定剤、発泡剤、連鎖移動剤、発泡助剤、核形成剤、及び可塑剤が例示される。重合工程で加えられる、本発明の難燃剤の量は、0.5〜25質量部、好ましくは5〜15質量部である。加えられる発泡剤の量は、モノマーに対して、2〜10質量部である。これらの量は、懸濁物の重合の前、間、又は後に加えることができる。適切な発泡剤の例は、4〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素である。無機のピカリング分散剤を懸濁安定剤として使用することが好ましく、例として、マグネシウムピロホスフェート又はカルシウムホスフェートが例示される。
【0090】
懸濁重合法は、基本的に丸く、平均径が0.2〜2mmの範囲のビーズ形状の粒子を製造する。
【0091】
処理性を改良するために、仕上られた発泡性スチレンポリマーペレットは、グリセロールエステル、帯電防止剤、又固化防止剤で被覆することができる。
【0092】
EPSペレットは、グリセロールモノステアレートGMS(典型的には0.25%)、グリセロールトリステアレート(典型的には0.25%)、Aerosil R972微粒子セリア(典型的には0.12%)、又はZnステアレート(典型的には0.15%)、又は他に、帯電防止剤で被覆することができる。
【0093】
本発明は、これらから本発明のEPSフォームを得ることができる態様で(例えば、これらが含む発泡剤の量によって)製造された発泡性スチレンポリマーペレットをも提供する。
【0094】
本発明の方法の工程(e)が行われる時点は通常、工程(a)〜(d)が行われる時点とは異なり、工程(e)は、例えば使用者の施設で行なわれる。
【0095】
本発明の発泡性スチレンポリマーペレットは、第1工程で、(いわゆるプレフォーマーに)熱い空気、又は蒸気を使用して予備発泡させ、密度が5〜120kg/m3、特に8〜60kg/m3のフォームビーズを得、及び第2工程で、閉鎖した型内で、これらを融合させることができる。このために、予備発泡したビーズは、気密シールを有しない型内に導入され、そして蒸気で処理される。型は、冷却の後に除去される。
【0096】
他の好ましい実施の形態では、ポリマーフォームは、
(a)ポリマーを加熱してポリマー融解物を形成する工程、
(b)発泡剤成分Tをポリマー融解物中に導入し、発泡性融解物を形成する工程、
(c)発泡性融解物を、圧力が比較的低い領域に、発泡させながら押出し、押し出されたフォームを得る工程、及び
(d)本発明の難燃剤混合物及び適切であれば、更なる助剤、及び添加剤(追加的な材料)を、工程a)及び/又はb)の少なくとも1工程に加える工程、
によって得ることができる、押し出されたポリスチレン(XPS)である。
【0097】
スチレンポリマーに基づく本発明のフォーム、特にEPS及びXPSは、特に建設業で、例えば絶縁材料として使用するのに適切である。ハロゲンを有しない絶縁材料として、特に建設業に使用することが好ましい。
【0098】
スチレンに基づく本発明のフォーム、例えばEPS及びXPSの消滅時間(DIN4102ファイアー試験B2、フォーム密度15g/l及びエイジング時間72h)は、好ましくは≦15秒、特に好ましくは≦10秒であり、従って、フォームは、(炎の高さが、基準書(standard)に記載されている限界を超えない限り)上述したファイアー試験に合格するための条件に適合する。
【0099】
以下に示す例は、本発明を更に説明するものであるが、本発明を限定するものではない。
【0100】
使用された難燃剤(FSM)1〜6:

【0101】
実験の説明:
フォームシートの炎の挙動を、DIN4102に従い、フォーム密度15kg/m3で測定した。
【0102】
ヘキサブロモシクロドデカン(以降、HBCDと記載する)を比較試験(比較例)に使用した。
【0103】
発泡性スチレンポリマー(造粒工程)
固有粘度IVが83ml/gの、BASF SEからのPS148H(標準としてPS、及びGPC,RI detectorを使用して、Mw=240000g/mol、Mn=87000g/mol)でできたポリスチレン融解物中に、7質量部のn−ペンタンを混合して導入した。発泡剤を含む融解物を、最初260℃から190℃の温度に冷却した後、表に記載した難燃剤及び任意に硫黄を含んだポリスチレン融解物を、補助的な押出機を使用して、混合することによって、主流中に導入した。
【0104】
上述した質量部での量は、100質量部のポリスチレンに対するものである。
【0105】
ポリスチレン融解物、発泡剤、及び難燃剤の混合物を60kg/hで、32個の孔(ダイの直径0.75mm)を有するダイを通して運んだ。径分布の狭い、コンパクトペレットを製造するために、加圧、水中ペレット化法を使用した。
【0106】
ペレットのモル質量は、標準としてPS、及びGPC,RI detectorを使用して、220000g/mol(Mw)及びそれぞれ、80000g/mol(Mn)であった。
【0107】
蒸気を通すことによってペレットを予備発泡させ、そして12時間貯蔵した後に、更に閉じた型内で蒸気処理することによって、これを融着(融合)させ、密度が15kg/m3のフォームスラブを得た。
【0108】
72時間のエイジングの後、15kg/m3のフォーム密度で、DIN4102に従い、フォームシートの炎挙動を測定した。
【0109】
表1に結果を示す:
【0110】
【表1】

【0111】
【表2】

【0112】
【表3】

【0113】
【表4】

【0114】
グラファイト:KropfmuhlからのUF298
チョーク:OmyaからのHydrocarb OG
【0115】
押出されたポリスチレンフォームシート
100質量部の、固有粘度IVが98ml/gの、BASF SEからのポリスチレン158K(標準としてPS、及びGPC,RI detectorを使用して測定して、Mw=261000g/mol、Mn=77000g/mol)、0.1質量部の、気泡サイズを調節するための核形成剤としてのタルク、及び表中に記載した質量部の難燃剤、及び適切であれば、硫黄を、内部スクリュー径が120mmの押出機内に連続的に導入した。3.25質量部のエタノール及び3.5質量部のCO2でできた、発泡剤混合物を、押出機に設けられた入口開口部を介して、同時に、及び連続的に注入した。押出機内で180℃で均一に練られたゲルは、緩和領域を通して導かれ、そして15分の滞留時間の後、幅が300mmで高さが1.5mmのダイを通して105℃の排出温度で大気中に押し出される。フォームは、押出機に連結された成形通路を通して押出機に導かれ、断面が650mm×50mm及び密度が35g/lのフォーム化したシートウェブを与える。
【0116】
ポリスチレンのモル質量は、240000g/mol(Mw)及び、それぞれ70000g/mol(Mn)(標準としてPS、及びGPC,RI detectorを使用して測定)であった。
【0117】
生成物をカットしてシートを与えた。試料の炎挙動を、DIN4102に従い、30日間のエイジングの後に試験した(10mmの厚さを使用)。
【0118】
表5に結果を示す。
【0119】
【表5】

【0120】
試験は、本発明の難燃剤混合物は、難燃剤の積載量を低減して、同一又は改良された炎挙動(炎特性)を示す、スチレンポリマーに基く低密度フォームを製造するのに使用することができることの証拠を提供した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度が5〜120kg/m3の範囲のポリマーフォームであって、
a)少なくとも1種のスチレンポリマーを含むポリマー成分、
b)(成分a)を100質量部として)0.1〜5質量部の難燃剤混合物、
を含み、前記難燃剤混合物は、
b1)少なくとも1種のリン化合物、及び
b2)硫黄元素
を含み、
前記少なくとも1種のリン化合物は、式(I)、
(X1s=PR123 (I)
(但し、式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される:
1が、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
2が、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
3が、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−[P(=X2u6−(Y2nm−P(=X3t78基であり;
又は、2つの基R1、R2、R3が、これらに結合したリン原子と一緒に、環系を形成し;
1、X2及びX3が、同一であるか、又は異なり、相互に独立してO又はSであり;
1及びY2が、同一であるか、又は異なり、及びO又はSであり;
4、R5、R9、R10、R11、R12及びR13が、同一であるか、又は異なり、そしてC1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキルで、置換基を有していなくても良く、又は1つ以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していても良く、又はC2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、又はC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;
6、R7及びR8が、同一であるか、又は異なり、そして相互に独立して、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
nは、Y1及び、それぞれ、Y2がOの場合には、1であり、及びY1及び、それぞれ、Y2がSの場合には、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;
mが、0〜100の整数であり;
s、t及びuが、相互に独立して、0又は1である)
で表され、及び前記リン化合物のリン含有量が、該リン化合物に対して、5〜80質量%である、ポリマーフォーム。
【請求項2】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される:
1が、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシであり;
2が、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシであり;
3が、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−[P(=X2u6−(Y2nm−P(=X3t78基であり;
1、X2及びX3が、同一であるか、又は異なり、及び相互に独立してO又はSであり;
1及びY2が、同一であるか、又は異なり、相互に独立してO又はSであり;
4及びR5が、同一であるか、又は異なり、そしてC1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキルで、置換基を有していなくても良く、又は1つ以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していても良く、又はC2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、又はC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;
6、R7及びR8が、同一であるか、又は異なり、そして相互に独立して、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
nは、Y1及び、それぞれ、Y2がOの場合には、1であり、及びY2がSの場合には、1又は2であり;
mが、0〜10の整数であり;
s、t及びuが1である、
ことを特徴とする請求項1に記載のポリマーフォーム。
【請求項3】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される:
1が、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシであり;
2が、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシであり;
3が、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−P(=X3t78基であり;
1及びX3が、同一であるか、又は異なり、及びO又はSであり;
1が、O又はSであり;
4及びR5が、同一であるか、又は異なり、そしてC1−C8−アルキル、シクロヘキシル、フェニル、又はベンジルであり;
7及びR8が、同一であるか、又は異なり、そしてC1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、シクロヘキシル、フェニル、フェノキシ、ベンジル、又はベンジルオキシであり;
nは、Y1がOの場合には、1であり、及びY1がSの場合には、1又は2であり、及び;
s及びtが1である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマーフォーム。
【請求項4】
式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される:
1が、フェニル、フェノキシであり;
2がフェニルであり;
3が、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−P(=X3t78基であり;
1及びX3が、同一であるか、又は異なり、及びO又はSであり;
1が、O又はSであり;
4及びR5が、同一であるか、又は異なり、そしてシクロヘキシル、フェニル、又はベンジルであり;
7及びR8が、同一であるか、又は異なり、そしてフェニル、フェノキシであり;
nは、Y1がOの場合には、1であり、及びY1がSの場合には、1又は2であり、及び;
s及びtが1である、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項5】
化合物(I)が、以下の群(Ia)−(Iy)、
S=PR12−H (Ia)
S=PR12−SH (Ib)
S=PR12−OH (Ic)
S=PR12−S−フェニル (Id)
S=PR12−O−フェニル (Ie)
S=PR12−S−ベンジル (If)
S=PR12−O−ベンジル (Ig)
S=PR12−P(=S)R78 (Ih)
S=PR12−S−P(=S)R78 (Ii)
S=PR12−S−S−P(=S)R78 (Ij)
S=PR12−O−P(=S)R78 (Ik)
O=PR12−H (Il)
O=PR12−SH (Im)
O=PR12−OH (In)
O=PR12−S−フェニル (Io)
O=PR12−O−フェニル (Ip)
O=PR12−S−ベンジル (Iq)
O=PR12−P(=S)R78 (Ir)
O=PR12−S−P(=S)R78 (Is)
O=PR12−S−S−P(=S)R78 (It)
O=PR12−O−P(=S)R78 (Iu)
O=PR12−P(=O)R78 (Iv)
O=PR12−S−P(=O)R78 (Iw)
O=PR12−S−S−P(=O)R78 (Ix)
O=PR12−O−P(=O)R78 (Iy)
(但し、記号の定義が、式(I)で記載したものである)
から選ばれることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項6】
式(I)の化合物が、
【化1】

から選ばれることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項7】
式(I)の化合物を1種含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項8】
式(I)の化合物を2種以上含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項9】
成分b1):b2)の割合が、1:0.1〜10であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項10】
成分a)を100質量部として、成分b)を2.5〜4.0質量部含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項11】
成分a)が、1種以上の更なる難燃剤及び/又は1種以上の更なる共力剤との混合物中に使用されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項12】
発泡性のペレット化したスチレンポリマー材料の発泡を介して得ることができる請求項1〜11の何れか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項13】
以下の工程、
a)有機発泡剤及び請求項1〜9の何れかに記載の難燃剤混合物を、静的又は動的ミキサーを使用して、少なくとも150℃の温度で、スチレンポリマー融解物に混合導入する工程、
b)発泡剤−含有スチレンポリマー融解物を少なくとも120℃の温度に冷却する工程、
c)ダイからの出口での直径が最も大きくて1.5mmである孔を有するダイプレートを通して排出する工程、
d)発泡剤を含む融解物を、ダイプレートの直後に、水面下で、1〜20バールの範囲の圧力でペレット化する工程、
e)得られた顆粒を発泡させて、密度が5〜120kg/m3のEPSフォームにする工程、
を含む、請求項12に記載の発泡したスチレンポリマーフォーム(EPS)を製造するための方法。
【請求項14】
a)懸濁物中の1種以上のスチレンモノマーを重合する工程、
b)請求項1〜9の何れかに記載の難燃剤混合物及び任意に、更なる添加剤及び/又は助剤を、重合の前、間、及び/又は後に加える工程、
c)有機発泡剤を重合の前、間、及び/又は後に加える工程、及び
d)請求項1〜9の何れかに記載の難燃剤混合物を含む、発泡性のスチレンポリマー粒子を分離する工程、
e)得られた顆粒を、密度が5〜120kg/m3のEPSに発泡する工程、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の発泡したスチレンポリマーフォームを製造するための方法。
【請求項15】
押出しされたスチレンポリマーフォーム(XPS)の状態の、請求項1〜11の何れか1項に記載のポリマーフォーム。
【請求項16】
(a)少なくとも1種のスチレンポリマーを含むポリマー成分Pを加熱してポリマー融解物を形成する工程、
(b)発泡剤成分Tをポリマー融解物中に導入し、発泡性融解物を形成する工程、
(c)発泡性融解物を、圧力が比較的低い領域に、発泡させながら押出し、密度が5〜120kg/m3の押し出されたフォームを得る工程、及び
(d)請求項1〜9の何れかに記載の難燃剤混合物及び適切であれば、更なる助剤、及び添加剤を、工程a)及び/又はb)の少なくとも1工程に加える工程、
を含むことを特徴とする請求項15に記載のスチレンポリマー(XPS)の押し出されたフォームを製造するための方法。
【請求項17】
絶縁材として請求項1〜12又は15の何れか1項に記載のポリマーフォームを使用する方法。
【請求項18】
((a)を100質量部として)0.1〜5.0質量部の難燃剤(b)がポリマー成分(a)に加えられることを特徴とする請求項1〜12又は15の何れか1項に記載のポリマーフォームを製造するための方法。
【請求項19】
発泡性のペレット化したポリスチレン材料であって、
a)少なくとも1種のスチレンポリマーを含むポリマー成分、
b)(成分a)を100質量部として)0.1〜5質量部の難燃剤混合物、
を含み、前記難燃剤混合物は、
b1)少なくとも1種のリン化合物、及び
b2)硫黄元素
を含み、
前記少なくとも1種のリン化合物は、式(I)、
(X1s=PR123 (I)
(但し、式(I)中の記号とインデックスが、以下のように定義される:
1が、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
2が、C1−C16−アルキル、C1−C10−ヒドロキシアルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COO R11、CONR1213であり;
3が、H、SH、SR4、OH、OR5、又は
−(Y1n−[P(=X2u6−(Y2nm−P(=X3t78基であり;
又は、2つの基R1、R2、R3が、これらに結合したリン原子と一緒に、環系を形成し;
1、X2及びX3が、同一であるか、又は異なり、相互に独立してO又はSであり;
1及びY2が、同一であるか、又は異なり、及びO又はSであり;
4、R5、R9、R10、R11、R12及びR13が、同一であるか、又は異なり、そしてC1−C12−アルキル、C3−C8−シクロアルキルで、置換基を有していなくても良く、又は1つ以上のC1−C4−アルキル基を置換基として有していても良く、又はC2−C12−アルケニル、C2−C12−アルキニル、C6−C10−アリール、又はC6−C10−アリール−C1−C4−アルキルであり;
6、R7及びR8が、同一であるか、又は異なり、そして相互に独立して、C1−C16−アルキル、C2−C16−アルケニル、C1−C16−アルコキシ、C2−C16−アルケノキシ、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルコキシ、C6−C10−アリール、C6−C10−アリールオキシ、C6−C10−アリール−C1−C16−アルキル、C6−C10−アリール−C1−C16−アルコキシ、SR9、COR10、COOR11、CONR1213であり;
nは、Y1及び、それぞれ、Y2がOの場合には、1であり、及びY1及び、それぞれ、Y2がSの場合には、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;
mが、0又は1〜100の整数であり;
s、t及びuが、相互に独立して、0又は1である)
で表され、及び前記リン化合物のリン含有量が、前記リン化合物に対して、5〜80質量%である、発泡性のペレット化したポリスチレン材料。

【公表番号】特表2013−518956(P2013−518956A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551617(P2012−551617)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051550
【国際公開番号】WO2011/095540
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】