説明

ハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物およびその製造方法

【課題】 生体内に蓄積され易いパーフルオロアルキル基を有さず、有機化合物との相溶性に優れる構造を有し、且つ、ジフルオロアルキルカルボン酸やジフルオロアルキルスルホン酸等への変換可能なハロゲン化ジフルオロアルキル基を有するアダマンタン化合物を提供する。
【解決手段】
一般式(1)
【化1】


(式中、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、Yは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基または2つのYが一緒になって形成されたオキソ基を表し、mは0〜15の整数、nは1〜5の整数を表す。また、複数のYは同じでもよく、異なっていてもよい。)
で示されるハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物に関する。より詳細には、電子材料、界面活性剤、コーティング剤、有機合成用触媒等の原料として有用なハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーフルオロオクチルアイオダイド、パーフルオロヘキシルアイオダイド等のパーフルオロアルキルハライドは、ハロゲン原子をカルボン酸基、スルフィン酸基、スルホン酸基及びスルホン酸誘導体等に変換でき、強酸性を有する有機酸の原料となる。これらは、電子材料、界面活性剤、コーティング剤、有機合成用触媒等の用途で広く利用されている。
【0003】
しかし、このパーフルオロアルキルスルホン酸やパーフルオロアルキルカルボン酸は、炭素−フッ素の強い共有結合のため、極めて難分解性であり、生体内への蓄積が指摘され問題となっている(非特許文献1等)。
【0004】
一方、フッ素含量の少ない、例えばトリフルオロメタンスルホン酸等は、蓄積性の問題は指摘されていないものの、揮発性を有するため、使用条件が限られたり、これを使用する装置の腐食等の問題があった。
【0005】
また、これらパーフルオロアルキル化合物は、フッ素を含まない有機化合物との相溶性が十分でない場合があり、性能が十分に発揮されない問題もあった。
【0006】
このため、これらを代替する含フッ素アルキルハライド化合物として、パーフルオロオクチルハライドと同等以上の炭素数を有し、且つ、適度な酸性度を発現させるために必要な最低限のフッ素を有する含フッ素アルキルハライドが望まれていた。
【0007】
一方、アダマンタン構造を含有する化合物は、化学的安定性及び有機化合物との相溶性に優れる等の性質のため、広く利用されている化合物である。しかしながら、ジフルオロアルキルカルボン酸やジフルオロアルキルスルホン酸等への変換可能なハロゲン化ジフルオロアルキル基を有するアダマンタン化合物については、これまで知られていない。
【非特許文献1】環境科学会2002年会講演要旨p228
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこれらの課題に鑑みてなされたものである。即ち、生体内に蓄積され易いパーフルオロアルキル基を有さず、有機化合物との相溶性に優れる構造を有し、且つ、ジフルオロアルキルカルボン酸やジフルオロアルキルスルホン酸等への変換可能なハロゲン化ジフルオロアルキル基を有するアダマンタン化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物およびその製造法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本発明は下記要旨に係るものである。
(1) 一般式(1)
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、Yは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基または2つのYが一緒になって形成されたオキソ基を表し、mは0〜15の整数、nは1〜5の整数を表す。また、複数のYは同じでもよく、異なっていてもよい。)
で示されるハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物。
【0013】
(2) 一般式(2)
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、式中、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、Yは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基または2つのYが一緒になって形成されたオキソ基を表し、mは0〜15の整数、nは1〜5の整数を表す。また、複数のYは同じでもよく、異なっていてもよい。)
で示されるハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物。
【0016】
(3)前記一般式(1)、n=1かつm=0であり、且つXがヨウ素原子である(1)に記載のハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物。
【0017】
(4) 前記一般式(2)において、n=1かつm=0であり、且つXがヨウ素原子である(2)に記載のハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物。
【0018】
(5) 一般式(3)
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、n、mおよびYは前記定義に同じ。)
で表されるアルデヒド基含有アダマンタン化合物と一般式(5)
CF (5)
(式中、Zは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、2つのZは同一でも異なっていてもよい。)
で表されるジハロジフルオロメタンを反応させ、一般式(6)
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、n、mおよびYは前記定義に同じ。)
で表されるジフルオロエテニル基含有アダマンタン化合物を得た後、前記一般式(6)で表されるジフルオロエテニル基含有アダマンタン化合物とハロゲン化水素を反応させることを特徴とする(1)記載の一般式(1)で表されるハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物の製造方法。
【0023】
(6) 一般式(4)
【0024】
【化5】

【0025】
(式中、n、mおよびYは前記定義に同じ。)
で表されるアルデヒド基含有アダマンタン化合物と一般式(5)
CF (5)
(式中、Zは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、2つのZは同一でも異なっていてもよい。)
で表されるジハロジフルオロメタンを反応させ、一般式(7)
【0026】
【化6】

【0027】
(式中、n、mおよびYは前記定義に同じ。)
で表されるジフルオロエテニル基含有アダマンタン化合物を得た後、前記一般式(7)で表されるジフルオロエテニル基含有アダマンタン化合物とハロゲン化水素を反応させることを特徴とする(2)記載の一般式(2)で表されるハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、化学的安定性及び有機化合物との相溶性に優れるアダマンタン骨格を有し、かつ、ジフルロアルキルカルボン酸やジフルオロアルキルスルホン酸等への変換可能なハロゲン化ジフルオロアルキル基を有するハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物およびその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、さらに詳細に本発明を説明する。
【0030】
前記一般式(1)または前記一般式(2)において、nは1〜5の整数、mは0〜15の整数である。n、mがこの範囲において、化学的安定性及び有機化合物との相溶性に優れる等のアダマンタン構造の特性が十分に発揮される。特に、n=1、m=0の化合物は、原料である一般式(3)または前記一般式(4)の化合物が、Organic Letters (2004), 6(23), 4323-4325に示される方法により、アダマタンの直接カルボニル化反応により容易に合成されるため、原料が入手し易い利点を有する。
【0031】
Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。これらのうち、ジフルオロアルキルカルボン酸やジフルオロアルキルスルホン酸等への変換が容易であることから、ヨウ素原子が好ましい。
【0032】
置換基Yは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基または2つのYが一緒になって形成されたオキソ基を表す。また、Yは同一でもよく、異なっていてもよい。炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、ジメチルシクロプロピル基、メチルシクロブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
【0033】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0034】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等を挙げることができる。
【0035】
このようなハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物の一例として、1−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)アダマンタン、1−(2−ブロモ−2,2−ジフルオロエチル)アダマンタン、1−(2,2−ジフルオロ−2−ヨードエチル)アダマンタン、1−(3,3−ジフルオロ−3−ヨードプロピル)アダマンタン、1−(4,4−ジフルオロ−4−ヨードブチル)アダマンタン、2−(2,2−ジフルオロ−2−ヨードエチル)アダマンタン、2−(3,3−ジフルオロ−3−ヨードプロピル)アダマンタン、1−(2,2−ジフルオロ−2−ヨードエチル)−3−フルオロ−アダマンタン、1−(2,2−ジフルオロ−2−ヨードエチル)−3−ブロモ−アダマンタン、1−(2,2−ジフルオロ−2−ヨードエチル)−3−ヒドロキシ−アダマンタン、1−(2,2−ジフルオロ−2−ヨードエチル)−3−メトキシ−アダマンタン、1−(2,2−ジフルオロ−2−ヨードエチル)−4−オキソ−アダマンタン等を挙げることができる。
【0036】
次に、本発明のハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物の製造方法について説明する。
【0037】
前記一般式(1)または前記一般式(2)のハロゲン化ジフロロアルキルアダマンタン化合物は、前記一般式(3)または前記一般式(4)で表されるカルボニル基含有アダマンタン化合物と前記一般式(5)で表されるジハロジフルオロメタンを反応させ、前記一般式(6)または前記一般式(7)で表されるジフルオロオレフィン基含有アダマンタン化合物を得た後、ハロゲン化水素を反応させることにより得られる。
【0038】
前記一般式(3)または前記一般式(4)の化合物と前記一般式(5)の化合物の反応は、Wittig反応として知られる反応を利用するものであり、通常、リン化合物、金属、溶媒等の存在下にて行われる。リン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリ(m−クロロフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン等のアリールホスフィン類、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のアルキルホスフィン類、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン等のホスホリックアミド類、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等のホスファイト類等を用いることができる。また、金属としては、Li、Na、K等のIa族金属、Mg、Ca等のIIa族金属、B、Al、Ga等のIIIa族金属、Cu、Ag等のIb族金属、Zn、Cd、Hg等のIIb金属、またはこれらの塩を用いることができる。溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類またはアセトニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。
【0039】
前記一般式(3)または前記一般式(4)の化合物に対し、前記一般式(5)の化合物はモル比0.5〜10で用いられる。リン化合物は、前記一般式(3)または前記一般式(4)の化合物に対し、モル比0.5〜10の範囲で用いられる。金属を用いる場合、前記一般式(3)または前記一般式(4)の化合物に対し、モル比0.5〜10の範囲で用いられる。また、溶媒を用いる場合、前記一般式(3)または前記一般式(4)の化合物に対し、重量比で0.5〜100の範囲で用いられる。また、反応温度は、特に限定されないが、通常、0〜150℃である。
【0040】
生成した前記一般式(6)または前記一般式(7)の化合物は、反応液から直接蒸留分離したり、水および有機溶媒を加え、抽出分離することにより、反応液から分離することができる。また、反応液から分離することなく、次の反応に使用することもできる。
【0041】
前記一般式(6)または前記一般式(7)の化合物をハロゲン化水素と反応させることにより、前記一般式(1)または前記一般式(2)のハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物を合成することができる。ハロゲン化水素としては、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素が挙げられる。これらハロゲン化水素は、ガス状、水溶液または有機溶媒溶液等いずれを用いてもよい。また、ハロゲン含有化合物とプロトン性化合物を添加して、反応時にハロゲン化水素を発生させてもよい。ハロゲン含有化合物としては、ハロゲン化金属化合物、ハロゲン化珪素化合物、ハロゲン化燐化合物等を挙げることができる。プロトン性化合物としては、水、アルコール類、有機カルボン酸類、燐酸、硫酸等の鉱酸類を挙げることができる。ハロゲン化水素は、前記一般式(6)または前記一般式(7)の化合物に対し、モル比0.5〜10の範囲で用いられる。また、反応温度は、通常、0〜150℃である。
【0042】
生成した前記一般式(1)または前記一般式(2)のハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物は、反応液から直接蒸留分離したり、水および有機溶媒を加え、抽出分離することにより、反応液から分離することができる。
【0043】
実施例
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0044】
四つ口フラスコに攪拌機、温度計、還流冷却管を取り付け、N-メチルピロリドン 318g、トルエン 380g、トリフェニルホスフィン 575g、ジフルオロジブロモメタン 460g、1−ホルミルアダマンタン 131g、を入れた。次に、亜鉛 143gを徐々に添加した。添加により発熱が観測され、反応温度は25℃から65℃に制御した。反応後、トルエン 955gを添加し、0℃に冷却した。析出した固体をろ過し、ろ液に水1Lを加えた。有機層分取し、水500mlで洗浄した。有機層を減圧濃縮後、濃縮液にヘプタン 1200g及びシリカゲル 280gを加え室温で1時間攪拌した。シリカゲルをろ過により除き、ろ液を減圧濃縮した。濃縮液を減圧蒸留し、0.4kPaの圧力で64〜66℃の留分を分取し、1−(2,2−ジフルオロエテニル)アダマンタン 143gを得た(収率 90%)
19F−NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm) −87.36(dd、J=52.7Hz、J=30.1Hz)、−88.46(dd、J=52.7Hz、J=3.8Hz)
GC−MS(EI)m/z: 27,39,51,67,77,91,141,155,169,183,198
【実施例2】
【0045】
四つ口フラスコに温度計、滴下漏斗、還流冷却管を取り付け、アセトニトリル 1107g、ヨウ化ナトリウム 326gを入れ、溶解させた。次に滴下漏斗から、クロロトリメチルシラン 239gを滴下し、続いて、1−(2,2−ジフルオロエテニル)アダマンタン 130g、水 20gを加えた。添加後、40℃にて15時間反応を継続させた。冷却後、ジイソプロピルエーテル 604g、水 1200gを加え、上層を分取した。上層を3wt%亜硫酸ナトリウム水溶液 150gで3回洗浄後、1wt%炭酸水素ナトリウム水溶液150gで洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮し、濃縮液を蒸留精製した。0.3kPaの圧力にて、105〜107℃の留分を分取し、1−(2−ヨード−2,2−ジフルオロエチル)アダマンタン 171gを得た(収率 80%)。
H−NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm):図1
13C−NMR(200MHz,CDCl,δ,ppm):図2
19F−NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm): −31.14(t、J=20.7Hz)
GC−MS(EI)m/z: 27,41,55,67,79,93,107,127,135
【実施例3】
【0046】
1−ホルミルアダマンタンの代わりに、2−ホルミルアダマンタンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、2−(2,2−ジフルオロエテニル)アダマンタンを得た(収率 70%)。
19F−NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm) −90.07(dd、J=48.9Hz、J=3.8Hz)、−90.32(dd、J=48.9Hz、J=3.8Hz)
GC−MS(EI)m/z: 27,41,51,67,79,91,105,119,134,156,169,198
【実施例4】
【0047】
1−(2,2−ジフルオロエテニル)アダマンタンの代わりに、2−(2,2−ジフルオロエテニル)アダマンタンを用いた以外は実施例2と同様の操作を行い2−(2−ヨード−2,2−ジフルオロエチル)アダマンタンを得た。(収率 75%)。
19F−NMR(90MHz,アセトン−d,δ,ppm): −34.07(t、J=16.9Hz)
GC−MS(EI)m/z: 27,41,55,67,79,93,107,127,135,199
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物は、化学的安定性及び有機化合物との相溶性に優れるアダマンタン骨格を有し、かつ、ジフルロアルキルカルボン酸やジフルオロアルキルスルホン酸等への変換可能なハロゲン化ジフルオロアルキル基を有するので有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】1−(2−ヨード−2,2−ジフルオロエチル)アダマンタンのH−NMR(200MHz,CDCl,δ,ppm)チャート
【図2】1−(2−ヨード−2,2−ジフルオロエチル)アダマンタンの13C−NMR(200MHz,CDCl,δ,ppm)チャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、Yは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基または2つのYが一緒になって形成されたオキソ基を表し、mは0〜15の整数、nは1〜5の整数を表す。また、複数のYは同じでもよく、異なっていてもよい。)
で示されるハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物。
【請求項2】
一般式(2)
【化2】

(式中、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、Yは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基または2つのYが一緒になって形成されたオキソ基を表し、mは0〜15の整数、nは1〜5の整数を表す。また、複数のYは同じでもよく、異なっていてもよい。)
で示されるハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物。
【請求項3】
前記一般式(1)において、n=1かつm=0であり、且つXがヨウ素原子である請求項1に記載のハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物。
【請求項4】
前記一般式(2)において、n=1かつm=0であり、且つXがヨウ素原子である請求項1に記載のハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物。
【請求項5】
一般式(3)
【化3】

(式中、n、mおよびYは前記定義に同じ。)
で表されるアルデヒド基含有アダマンタン化合物と一般式(5)
CF (5)
(式中、Zは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、2つのZは同一でも異なっていてもよい。)
で表されるジハロジフルオロメタンを反応させ、一般式(6)
【化4】

(式中、n、mおよびYは前記定義に同じ。)
で表されるジフルオロエテニル基含有アダマンタン化合物を得た後、前記一般式(6)で表されるジフルオロエテニル基含有アダマンタン化合物とハロゲン化水素を反応させることを特徴とする請求項1記載の一般式(1)で表されるハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物の製造方法。
【請求項6】
一般式(4)
【化5】

(式中、n、mおよびYは前記定義に同じ。)
で表されるアルデヒド基含有アダマンタン化合物と一般式(5)
CF (5)
(式中、Zは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、2つのZは同一でも異なっていてもよい。)
で表されるジハロジフルオロメタンを反応させ、一般式(7)
【化6】

(式中、n、mおよびYは前記定義に同じ。)
で表されるジフルオロエテニル基含有アダマンタン化合物を得た後、前記一般式(7)で表されるジフルオロエテニル基含有アダマンタン化合物とハロゲン化水素を反応させることを特徴とする請求項2記載の一般式(2)で表されるハロゲン化ジフルオロアルキルアダマンタン化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−208069(P2008−208069A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46457(P2007−46457)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】