説明

ハロゲン化フタロシアニン類の使用

本発明は、ハロゲン化フタロシアニン類を、電荷輸送材料及び/又は吸収体材料として用いる使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化フタロシアニン類を、電荷輸送材料もしくは吸収体材料として用いる使用に関する。
【0002】
将来的に、古典的な無機半導体だけでなく、ますます、低分子量を基礎とする有機半導体もしくはポリマー材料が、エレクトロニクス産業の多くの分野で使用されることが予測される。多くの場合に、これらの有機半導体は、古典的な無機半導体に対して利点、例えばより良好な基板適合性及びそれを基礎とする半導体成分のより良好な加工性を有する。それらは、フレキシブルな基板での加工を可能にし、その界面軌道エネルギーは、分子モデリングの方法によって特定の利用分野に厳密に適合できる。かかる成分の大きく低減された費用は、有機エレクトロニクスの研究分野にルネサンスをもたらした。"有機エレクトロニクス"は、原則的に、新規の材料の開発並びに有機半導体層を基礎とする電子部品の製造のための製造方法と関係する。これらは、特に有機電界効果トランジスタ(OFET)及び有機発光ダイオード(OLED)及び光電池を含む。開発のための大きな可能性は、有機電界効果トランジスタ、例えばメモリ素子及び集積オプトエレクトロニクスデバイスにおける有機電界効果トランジスタに与えられる。有機発光ダイオード(OLED)は、それらが電流によって励起される場合に、発光材料の特性を活用する。OLEDは、陰極線管及びフラットな視覚表示装置の製造用の液晶ディスプレイの代替として特に関心が持たれている。非常にコンパクトな設計と固有のより低いパワー消費のため、OLEDを含むデバイスは、特にモバイル用途、例えば携帯電話、ラップトップなどでの用途に適している。
【0003】
太陽電池における太陽エネルギーの電気エネルギーへの直接的な変換は、半導体材料の内部的な光効果、すなわち光子の吸収による電子・正孔ペアの生成及びp−n遷移での負電荷担体と正電荷担体の分離を基礎とする。こうして生成される光電圧は、外部回路に光電流をもたらし、それを通じて太陽電池はそのパワーを送達する。
【0004】
半導体は、そのバンドギャップより大きいエネルギーを有する光子のみを吸収できる。このように、半導体バンドギャップのサイズが、電気エネルギーに変換できる太陽光の割合を決定する。将来的に、有機太陽電池は、そのより低い費用、より低い重量、フレキシブル及び/又は着色されたセルの製造可能性、バンドギャップの厳密な調節のより良好な可能性のためシリコンを基礎とする古典的な太陽電池をしのぐものと予想される。このように、有機太陽電池の製造に適した有機半導体には大きな要求がある。
【0005】
太陽電池は、通常は、太陽エネルギーを非常に効率的に利用するために異なるバンドギャップを有する2つの吸収体材料からなる。例えば2層系からなる最初の有機太陽電池は、p型導電体としての銅フタロシアニン及びn型導電体としてのペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスベンゾイミダゾール(PTCBI)から構成され、かつ1%の効率を示した。太陽電池の効率は、その開路電圧(Voc)に依存する。それは、開路を有する照射されたセルの最大電圧を示す。更に重要なパラメータは、短絡電流密度(Jsc)、充てん率(FF)及び効率(η)である。
【0006】
US2006/0231954号は、ヘテロ接合を含む電気接点材料であって、電子型有機半導体、正孔型有機半導体及びそれらからなるヘテロ接合から構成される材料に関する。正孔型有機半導体層は、銅フタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、白金フタロシアニン及び金属不含フタロシアニンから選択される少なくとも1種の化合物を含む;電子型有機半導体層は、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン、亜鉛ヘキサデカフルオロフタロシアニン、鉄ヘキサデカフルオロフタロシアニン及びコバルトヘキサデカフルオロフタロシアニンから選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0007】
EP0921579号A2は、銅、亜鉛、スズ、鉄もしくは水素を有する置換されたフタロシアニン類の配位化合物であって、置換基が電子吸引性置換基である化合物を基礎とする薄膜型トランジスタを記載している。フタロシアニン類の6員環の少なくとも1つは、塩素置換基もしくはフッ素置換基を有する。しかし、1〜12個のハロゲン置換基を有する置換されたフタロシアニン類の配位化合物は、開示されていない。具体的に開示された置換されたフタロシアニン類の全ての配位化合物は、16個の塩素もしくはフッ素置換基を有する。
【0008】
Synthetic Materials 114(2000)219−224は、ニッケル(II)2,9,16,23−テトラハロゲン置換されたフタロシアニン錯体及びそのヨウ素によるドーピング並びにこれらの錯体の導電性に関連するものである。
【0009】
Mol.Cryst.Liq.Cryst(2006),Vol.455,第211〜218頁でR.Murdey他は、銅フタロシアニン、銅オクタフルオロフタロシアニン及び銅ヘキサデカフルオロフタロシアニンの薄膜の電子構造を記載している。
【0010】
J.Phys.Chem.1993,97,6577−6578は、メタロフタロシアニン二重層フィルム及び印加されたDC電圧に対するその挙動について述べている。研究された二重層は、Cu(PcF8)/Cu(Pc)、Cu(PcF8)/Ni(Pc)及びCu(Pc)/Ni(Pc)である。フッ素化された銅フタロシアニンの具体的な置換型は開示されていない。
【0011】
Solar Energy Materials&Solar Cells 91,2007,1873−1886において、場合により4、8もしくは12個のフッ素原子によって置換されたケイ素及び亜鉛のフタロシアニンを含む無機−有機複合系の光電子相互作用は、色素増感型薄膜太陽電池における光起電性材料として考えられる用途のために研究されている。
【0012】
US6,307,147号は、光起電性セル及び光伝導性の電子写真システムのための有機色素に関する。光起電性セルは、式A
【化1】

[式中、R1、R4、R8、R11、R15、R18、R22及びR25は、水素、フッ素、塩素、メトキシ、メチル、エチル及びシアノからなる群から選択される;R31及びR29は、両者とも水素であるか又は一緒になって二重の正電荷又は金属イオンと非金属原子又は該金属イオンに結合された基を有する金属イオン及び全体で二重の正電荷を有する金属イオンである;R1、R4、R15及びR18は、同一であり、かつ第一の置換基であり、かつR8、R11、R22及びR25は、同一であり、かつ前記第一の置換基とは異なる第二の置換基である]の化合物を含む。
【0013】
WO2008/003760号は、少なくとも12の塩素化度を有する銅フタロシアニンを、空気安定性のn型有機半導体として用いる使用を記載している。
【0014】
ここで、驚くべきことに、フタロシアニン骨格上に12個までのハロゲン原子を有するハロゲン化されたフタロシアニンは、電荷輸送材料及び/又は吸収体材料として特に好ましく適していることが判明した。それらは、特に有機光電池(OPV)のための半導体材料として、かつ有機電界効果トランジスタ(OFET)における半導体材料として適している。それらは、同じ相補的半導体材料と組み合わせた場合に、金属不含の及び金属含有の非置換のフタロシアニン類よりも高い回路電圧Vocを有する有機光起電性セルを提供する。
【0015】
従って、本発明は、第一に、一般式IaおよびIb
【化2】

[式中、
1〜12個の、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12個の基R1〜R16は、それぞれハロゲンであり、他のものはそれぞれ水素であり、かつ
式Ib中のMは、二価の金属、二価の金属原子含有基又は二価のメタロイド基である]の化合物を、電荷輸送材料及び/又は吸収体材料として用いる使用に関する。
【0016】
特定の一実施態様によれば、式Ibの化合物は、銅ドデカクロロフタロシアニン(CuPcCl12)ではない。
【0017】
特定の一実施態様によれば、式Ibの化合物は、銅オクタフルオロフタロシアニン(CuPcF8)であって、R2、R3、R6、R7、R10、R11、R14及びR15がフッ素であり、かつR1、R4、R5、R8、R9、R12、R13及びR16が水素であるものではない。より広範な特定の一実施態様によれば、式Ibの化合物は、銅オクタフルオロフタロシアニン(CuPcF8)ではない。
【0018】
更に特定の一実施態様によれば、式Ia及びIbの化合物は、R1、R4、R9及びR12が塩素もしくはフッ素であり、かつR2、R3、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R13、R14、R15及びR16がそれぞれ水素である化合物ではない。
【0019】
更なる特定の一実施態様によれば、有機太陽電池は、式Ibで示され、その式中、MがCuであり、R2、R3、R6、R7、R10、R11、R14及びR15がそれぞれフッ素であり、かつR1、R4、R5、R8、R9、R12、R13及びR16がそれぞれ水素である化合物を、銅フタロシアニン及びニッケルフタロシアニンから選択される更なる半導体材料と組み合わせて含まない。
【0020】
更なる特定の一実施態様によれば、有機太陽電池は、式Ia及びIbで示され、式中、R1、R4、R9及びR12が塩素もしくはフッ素であり、かつR2、R3、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R13、R14、R15及びR16がそれぞれ水素である化合物を、亜鉛ヘキサデカフルオロフタロシアニンと組み合わせて含まない。
【0021】
本発明は、更に、式Ia及びIbの化合物を、有機光電池における半導体材料として又は有機電界効果トランジスタにおける半導体材料として用いる使用に関する。
【0022】
本発明は、更に、式Ia及びIbの化合物を、有機光電池における電荷輸送材料として用いる使用に関する。
【0023】
本発明は、更に、式Ia及びIbの化合物を、有機発光ダイオードにおける電荷輸送材料として用いる使用に関する。
【0024】
本発明は、更に、式Ia及びIbの化合物を電子供与体として、かつフラーレン類、フラーレン誘導体及びリレン化合物から選択される化合物を電子受容体として、有機太陽電池の光活性層において用いる使用に関する。
【0025】
本発明は、更に、式Ia及びIbの化合物を電子供与体として、かつフラーレン類、フラーレン誘導体及びリレン化合物から選択される化合物を電子受容体として、バルクヘテロ接合型の供与体・受容体接合を有する有機太陽電池の光活性層において用いる使用に関する。
【0026】
本発明は、更に、式Ia及びIbの化合物を電子供与体として、かつフラーレン類、フラーレン誘導体及びリレン化合物から選択される化合物を電子受容体として、フラット接合型の供与体・受容体接合を有する有機太陽電池の光活性層において用いる使用に関する。
【0027】
更に、本発明は、少なくとも1つのカソードと、少なくとも1つのアノードと、光活性材料としての式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物とを有する基板を含む有機太陽電池に関する。更に、本発明は、有機太陽電池であって、式Ia及び/又はIbの化合物及び/又は更なる異なる半導体材料が、少なくとも1種のドーパント、特にピロニンB、ローダミン、3,6−ジフルオロ−2,5,7,7,8,8−ヘキサシアノキノジメタン及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種のドーパントと組み合わせて使用される有機太陽電池に関する。
【0028】
更に、本発明は、サブセルを含むタンデムセル型の有機太陽電池であって、式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種のフラーレンもしくはフラーレン誘導体、特にC60を含む有機太陽電池に関する。
【0029】
更に、本発明は、少なくとも1つのゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体として式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物とを有する基板を含む有機電界効果トランジスタに関する。
【0030】
更に、本発明は、多数の有機電界効果トランジスタを有する基板であって、該電界効果トランジスタの少なくとも幾つかが、n型半導体として式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物を含む基板に関する。
【0031】
更に、本発明は、式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物を含むOLEDに関する。
【0032】
ハロゲンは、ヨウ素、臭素、塩素もしくはフッ素、特に塩素もしくはフッ素である。
【0033】
本発明の内容において、表現"アルキル"は、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルを含む。そのアルキルは、好ましくは、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜C30−アルキル、特にC1〜C20−アルキル、最も好ましくはC1〜C12−アルキルである。アルキル基の例は、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル及びn−エイコシルである。
【0034】
またアルキルという表現は、アルキル基であって、その炭素鎖が−O−、−S−、−NRe−、−C(=O)−、−S(=O)−及び/又は−S(=O)2−から選択される1つ以上の隣接していない基によって中断されていてよい基も含む。Reは、好ましくは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールである。またアルキルという表現は、置換されたアルキル基を含む。置換されたアルキル基は、アルキル鎖の長さに依存して、1つ以上の(例えば1、2、3、4、5もしくは5個より多くの)置換基を有してもよい。これらは、好ましくはそれぞれ無関係に、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE12、ニトロ及びシアノから選択され、その際、E1及びE2は、それぞれ無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである。ハロゲン置換基は、好ましくは、フッ素、塩素もしくは臭素である。
【0035】
カルボキシレート及びスルホネートは、それぞれ、カルボン酸官能基もしくはスルホン酸官能基の誘導体、特に金属カルボキシレートもしくはスルホネート、カルボン酸エステルもしくはスルホン酸エステル官能基又はカルボキサミドもしくはスルホンアミド官能基である。アルキル基のシクロアルキル置換基、ヘテロシクロアルキル置換基、アリール置換基及びヘタリール置換基は、また、非置換もしくは置換されていてよい;好適な置換基は、これらの基について以下に特記する。
【0036】
前記のアルキルに関する見解は、アルコキシ中のアルキル部にも適用する。
【0037】
本発明の内容において、表現"シクロアルキル"は、非置換もしくは置換されたシクロアルキル基、好ましくはC3〜C8−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルもしくはシクロオクチル、特にC5〜C8−シクロアルキルを含む。置換されたシクロアルキル基は、1つ以上の(例えば1、2、3、4、5もしくは5個より多くの)置換基を有してよい。これらは、好ましくはそれぞれ無関係に、アルキル及び該アルキル基について前記に示した置換基から選択される。置換されている場合には、シクロアルキル基は、好ましくは、1つ以上の、例えば1、2、3、4もしくは5個のC1〜C6−アルキル基を有する。
【0038】
本発明の内容においては、表現"アリール"は、非置換もしくは置換されていてよい単環式もしくは多環式の芳香族の炭化水素基を含む。アリールは、好ましくは、非置換もしくは置換されたフェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニルなど、より好ましくはフェニルもしくはナフチルである。置換されたアリールは、それらの環系の数及び大きさに依存して、1つ以上の(例えば1、2、3、4、5もしくは5個より多くの)置換基を有する。これらは、好ましくはそれぞれ無関係に、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE56、ニトロ及びシアノから選択され、その際、E5及びE6は、それぞれ無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである。ハロゲン置換基は、好ましくは、フッ素、塩素もしくは臭素である。アリールは、より好ましくは、フェニルであり、置換されている場合には、一般に、1、2、3、4もしくは5個の、好ましくは1、2もしくは3個の置換基を有してよい。
【0039】
1つ以上の基を有するアリールは、例えば、2−、3−及び4−メチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチル−フェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピル−フェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニル、2,4,6−トリプロピルフェニル、2−、3−及び4−イソプロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、2−、3−及び4−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジブチルフェニル、2,4,6−トリブチルフェニル、2−、3−及び4−イソブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソブチルフェニル、2,4,6−トリイソブチルフェニル、2−、3−及び4−s−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジ−s−ブチルフェニル、2,4,6−トリ−s−ブチルフェニル、2−、3−及び4−t−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジ−t−ブチルフェニル及び2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル;2−、3−及び4−メトキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−、3−及び4−エトキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエトキシフェニル、2,4,6−トリエトキシフェニル、2−、3−及び4−プロポキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジプロポキシフェニル、2−、3−及び4−イソプロポキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソプロポキシフェニル及び2−、3−及び4−ブトキシフェニル;2−、3−及び4−シアノフェニルである。
【0040】
前記のアリールに関する見解は、アリールオキシ中のアリール部にも適用する。
【0041】
本発明の内容においては、表現"ヘテロシクロアルキル"は、非芳香族の、不飽和もしくは完全飽和の、一般に5〜8個の環原子、好ましくは5〜6個の環原子を有し、その環炭素原子の1、2もしくは3個が酸素、窒素、硫黄及び基−NRe−から選択されるヘテロ原子によって交換されている脂環式基を含み、前記脂環式基は、非置換又は1つ以上の、例えば1、2、3、4、5もしくは6個のC1〜C6−アルキル基によって置換されている。かかる複素脂環式基の例は、ピロリジニル、ピペリジニル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロピラニル、1,2−オキサゾリン−5−イル、1,3−オキサゾリン−2−イル及びジオキサニルを含む。
【0042】
本発明の内容においては、表現"ヘテロアリール"は、置換もしくは非置換の、複素芳香族の、単環式のもしくは多環式の基、有利にはピリジル基、キノリニル基、アクリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドリル基、プリニル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,3,4−トリアゾリル基及びカルバゾリル基を含み、これらのヘテロシクロ芳香族基は、置換されている場合には、一般に1、2もしくは3個の置換基を有してよい。置換基は、好ましくは、C1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン及びシアノから選択される。
【0043】
本願で使用される場合に、第一の"最高占有分子軌道"(HOMO)もしくは"最低非占有分子軌道"(LUMO)のエネルギーレベルは、第二のHOMOもしくはLUMOのエネルギーレベルよりも、第一のエネルギーレベルが真空エネルギーレベルとより近い場合に"大きい"又は"高い"。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空エネルギーレベルに対する負エネルギーとして測定され、その際、より高いHOMOエネルギーレベルは、より小さい絶対値を有するIP(より負のIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギーレベルは、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(より負のEA)に相当する。慣用のエネルギーレベル図では、真空レベルを上部にとって、材料のLUMOエネルギーレベルは、同じ材料のHOMOエネルギーレベルより高い。"より高い"HOMOもしくはLUMOエネルギーレベルは、かかる図の上部に対して、"より低い"HOMOもしくはLUMOエネルギーレベルよりも近くに現れる。
【0044】
有機材料の関連では、用語"供与体"及び"受容体"は、2つの接触しているが異なる有機材料のHOMO及びLUMOのエネルギーレベルの相対位置を指す。用語"電子供与体"は、材料の電子親和力を指す。電子供与体材料は、比較的低い電子親和力を有する。すなわちEA値は、より小さい絶対値を有する。それとして、電子供与体材料は、p型材料としてはたらく傾向がある。言い換えると、電子供与体材料は、正孔輸送材料としてはたらきうる。用語"電子受容体"は、材料の電子親和力を指す。電子受容体材料は、比較的高い電子親和力を有する。それとして、電子受容体材料は、n型材料としてはたらく傾向がある。言い換えると、電子受容体材料は、電子輸送材料としてはたらきうる。
【0045】
本願で使用される用語"電荷輸送材料"は、電荷、すなわち正孔もしくは電子を輸送する材料を指す。電子供与体材料は、正孔を輸送し、かつ電子受容体材料は、電子を輸送する。
【0046】
本願で使用される用語"光活性層"は、電磁線を吸収して励起子(すなわち電子−ホールペアの形の電気的に中性の励起状態)を発生する光感受性デバイスの一部である。
【0047】
式Ia及びIbの化合物において、ハロゲン置換基は、フタロシアニン環中のそれぞれの6員環のオルト位もしくはメタ位にあってよい。以下の式Ia及びIb
【化3】

[式中、R1〜R16及びMは、前記定義の通りである]において、それぞれの6員環上の2つのオルト位は、アスタリスク(*)によって示され、それぞれの6員環上の2つのメタ位は、#によって示されている。
【0048】
式Ia及びIbで示され、それぞれの6員環がオルト位の1つにハロゲン置換基を有する化合物を、オルト化合物と呼ぶ。式Ia及びIbで示され、それぞれの6員環がメタ位の1つにハロゲン置換基を有する化合物を、メタ化合物と呼ぶ。式Ia及びIbで示され、それぞれの6員環が両方のオルト位に2つのハロゲン置換基を有する化合物を、ジオルト化合物と呼ぶ。式Ia及びIbで示され、それぞれの6員環が両方のメタ位に2つのハロゲン置換基を有する化合物を、ジメタ化合物と呼ぶ。
【0049】
一実施態様においては、式Ia及びIbで示され、1〜10個の、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の、特に2〜10個のR1〜R16基がそれぞれハロゲンであり、他のものはそれぞれ水素である化合物が好ましい。更なる一実施態様においては、式Ia及びIbで示され、1〜8個の、例えば1、2、3、4、5、6、7もしくは8個のR1〜R16基がそれぞれハロゲンであり、他のものはそれぞれ水素である化合物が好ましい。
【0050】
更なる好ましい一実施態様において、4個のR1〜R16基は、それぞれハロゲンであり、かつ他のものはそれぞれ水素である。この実施態様において、それぞれの6員環は、好ましくは1個のハロゲン原子を有する。特定の一実施態様によれば、それぞれの6員環は、1個のハロゲン原子をオルト位に有する。更なる特定の一実施態様によれば、それぞれの6員環は、1個のハロゲン原子をメタ位に有する。更なる特定の一実施態様によれば、2個の6員環はそれぞれ1個のハロゲン原子をオルト位に有し、かつその他の2個の6員環は、それぞれ1個のハロゲン原子をメタ位に有する。更なる特定の一実施態様によれば、3個の6員環はそれぞれ1個のハロゲン原子をオルト位に有し、かつその他の6員環は、1個のハロゲン原子をメタ位に有する。更なる特定の一実施態様によれば、3個の6員環はそれぞれ1個のハロゲン原子をメタ位に有し、かつその他の6員環は、1個のハロゲン原子をオルト位に有する。
【0051】
更なる好ましい一実施態様において、8個のR1〜R16基は、それぞれハロゲンであり、かつ他のものはそれぞれ水素である。この実施態様において、それぞれの6員環は、好ましくは2個のハロゲン原子を有する。それらは、オルト位か2つのメタ位かのいずれかで結合されていてよい。更なる一実施態様において、2個の6員環はそれぞれオルト位で結合された2個のハロゲン原子を有し、かつその他の2個の6員環はそれぞれメタ位で結合された2個のハロゲン原子を有する。更なる特定の一実施態様によれば、3個の6員環はそれぞれ2個のハロゲン原子をオルト位に有し、かつその他の6員環は、2個のハロゲン原子をメタ位に有する。更なる特定の一実施態様によれば、3個の6員環はそれぞれ2個のハロゲン原子をメタ位に有し、かつその他の6員環は、2個のハロゲン原子をメタ位に有する。
【0052】
ハロゲン基は、好ましくは、F及びClから選択される。好ましい一実施態様においては、式Ia及びIbの化合物において、ハロゲンであるR1〜R16基は、全てFである。更なる好ましい一実施態様においては、式Ia及びIbの化合物において、ハロゲンであるR1〜R16基は、全てClである。
【0053】
二価の金属は、例えば周期律表の第2族、第8族、第10族、第11族、第12族及び第14族の金属から選択してよい。二価の金属は、例えば、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、NI(II)、Cd(II)、Ag(II)、Mg(II)、Sn(II)もしくはPb(II)である。
【0054】
二価の金属原子含有基は、例えば二価のオキソ金属、二価のヒドロキシ金属もしくは二価のハロゲン金属部から選択してよい。二価のオキソ金属部においては、例えば、その金属は、周期律表の第4族、第5族、第7族及び第14族の金属から選択してよい。二価のオキソ金属部の例は、V(IV)O、Mn(IV)O、Zr(IV)O、Sn(IV)OもしくはTi(IV)Oである。二価のヒドロキシ金属部においては、その金属は、周期律表の第4族、第6族、第13族、第14族及び第15族の金属から選択してよい。二価のヒドロキシ金属部の例は、Al(III)OH、Cr(III)OH、Bi(III)OHもしくはZr(IV)(OH)2である。二価のハロゲン金属部においては、その金属は、周期律表の第13族の金属から選択してよい。二価のハロゲン金属部の例は、例えばAl(III)Cl、Al(III)FもしくはIn(III)Clである。
【0055】
二価のメタロイド部においては、そのメタロイドは、周期律表の第14族のメタロイド、例えばケイ素から選択してよい。四価のメタロイドについては、その価数の2つは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、例えばフッ素もしくは塩素、アルキル、アルコキシ、アリールもしくはアリールオキシなどの配位子によって満たされていてよい。二価のメタロイドの例は、SiH2、SiF2、SiCl2、Si(OH)2、Si(アルキル)2、Si(アリール)2、Si(アルコキシ)2及びSi(アリールオキシ)2である。
【0056】
式Ibにおいて、Mは、好ましくはCuもしくはZnである。同様に、式Ibで示され、その式中、Mが二価のハロゲン金属部、好ましくはAl(III)Cl、Al(III)FもしくはIn(III)Clである化合物が好ましい。
【0057】
オクタフッ素化及びオクタ塩素化されたフタロシアニンの例は、以下の通りである:
【化4】

【0058】
【化5】

【0059】
【化6】

【0060】
【化7】

【0061】
【化8】

【0062】
【化9】

【0063】
オクタフッ素化された及びオクタ塩素化されたフタロシアニンの例は、また、以下の式1.1、1.2、1.3、1.4、1.5及び1.6
【化10】

[式中、Gは、H、F、Cl、OH、アルキル、アルコキシ、アリールもしくはアリールオキシである]の化合物である。
【0064】
好ましいオクタフッ素化及びオクタ塩素化されたフタロシアニンの例は、以下の通りである:
【化11】

【0065】
【化12】

【0066】
【化13】

【0067】
【化14】

【0068】
【化15】

【0069】
【化16】

【0070】
メタ−テトラフッ素化されたフタロシアニンの例は、以下の式1.7:
【化17】

[式中、Mは、前記の意味の1つを有する]の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を2もしくは3位に有し、第二のフッ素置換基を6もしくは7位に有し、第三のフッ素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四のフッ素置換基を14もしくは15位に有する。
【0071】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ti(=O)である。
【0072】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(=O)である。
【0073】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Al(OH)である。
【0074】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、InClである。
【0075】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiH2である。
【0076】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiF2である。
【0077】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiCl2である。
【0078】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(OH)2である。
【0079】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルキル)2である。
【0080】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルコキシ)2である。
【0081】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリール)2である。
【0082】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリールオキシ)2である。
【0083】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ag(II)である。
【0084】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Fe(II)である。
【0085】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(II)である。
【0086】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Mg(II)である。
【0087】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ni(II)である。
【0088】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Pb(II)である。
【0089】
特定の例は、化合物1.7及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Cd(II)である。
【0090】
オルト−テトラフッ素化されたフタロシアニンの例は、以下の式1.8:
【化18】

[式中、Mは、前記の意味の1つを有する]の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を1もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは16位に有する。
【0091】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ti(=O)である。
【0092】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(=O)である。
【0093】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Al(OH)である。
【0094】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、InClである。
【0095】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiH2である。
【0096】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiF2である。
【0097】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiCl2である。
【0098】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(OH)2である。
【0099】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルキル)2である。
【0100】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルコキシ)2である。
【0101】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリール)2である。
【0102】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリールオキシ)2である。
【0103】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ag(II)である。
【0104】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Fe(II)である。
【0105】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(II)である。
【0106】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Mg(II)である。
【0107】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ni(II)である。
【0108】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Pb(II)である。
【0109】
特定の例は、化合物1.8及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Cd(II)である。
【0110】
メタ−テトラ塩素化されたフタロシアニンの例は、以下の式1.9:
【化19】

[式中、Mは、前記の意味の1つを有する]の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を2もしくは3位に有し、第二の塩素置換基を6もしくは7位に有し、第三の塩素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四の塩素置換基を14もしくは15位に有する。
【0111】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ti(=O)である。
【0112】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(=O)である。
【0113】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Al(OH)である。
【0114】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、InClである。
【0115】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiH2である。
【0116】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiF2である。
【0117】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiCl2である。
【0118】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(OH)2である。
【0119】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルキル)2である。
【0120】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルコキシ)2である。
【0121】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリール)2である。
【0122】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリールオキシ)2である。
【0123】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ag(II)である。
【0124】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Fe(II)である。
【0125】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(II)である。
【0126】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Mg(II)である。
【0127】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ni(II)である。
【0128】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Pb(II)である。
【0129】
特定の例は、化合物1.9及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Cd(II)である。
【0130】
オルト−テトラ塩素化されたフタロシアニンの例は、以下の式1.10:
【化20】

[式中、Mは、前記の意味の1つを有する]の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を1もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは16位に有する。
【0131】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ti(=O)である。
【0132】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(=O)である。
【0133】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Al(OH)である。
【0134】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、InClである。
【0135】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiH2である。
【0136】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiF2である。
【0137】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiCl2である。
【0138】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(OH)2である。
【0139】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルキル)2である。
【0140】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルコキシ)2である。
【0141】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリール)2である。
【0142】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリールオキシ)2である。
【0143】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ag(II)である。
【0144】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Fe(II)である。
【0145】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(II)である。
【0146】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Mg(II)である。
【0147】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ni(II)である。
【0148】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Pb(II)である。
【0149】
特定の例は、化合物1.10及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Cd(II)である。
【0150】
テトラフッ素化されたフタロシアニンの例は、また、以下の式1.11:
【化21】

[式中、Mは、前記の意味の1つを有する]の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体1.11は、第一のフッ素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する。
【0151】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ti(=O)である。
【0152】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(=O)である。
【0153】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Al(OH)である。
【0154】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、InClである。
【0155】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiH2である。
【0156】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiF2である。
【0157】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiCl2である。
【0158】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(OH)2である。
【0159】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルキル)2である。
【0160】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルコキシ)2である。
【0161】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリール)2である。
【0162】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリールオキシ)2である。
【0163】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ag(II)である。
【0164】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Fe(II)である。
【0165】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(II)である。
【0166】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Mg(II)である。
【0167】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ni(II)である。
【0168】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Pb(II)である。
【0169】
特定の例は、化合物1.11及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Cd(II)である。
【0170】
テトラ塩素化されたフタロシアニンの例は、また、以下の式1.12:
【化22】

[式中、Mは、前記の意味の1つを有する]の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体1.12は、第一の塩素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する。
【0171】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ti(=O)である。
【0172】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(=O)である。
【0173】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Al(OH)である。
【0174】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、InClである。
【0175】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiH2である。
【0176】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiF2である。
【0177】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、SiCl2である。
【0178】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(OH)2である。
【0179】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルキル)2である。
【0180】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アルコキシ)2である。
【0181】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリール)2である。
【0182】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Si(アリールオキシ)2である。
【0183】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ag(II)である。
【0184】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Fe(II)である。
【0185】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Sn(II)である。
【0186】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Mg(II)である。
【0187】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Ni(II)である。
【0188】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Pb(II)である。
【0189】
特定の例は、化合物1.12及びそれらの混合物であり、その際、Mは、Cd(II)である。
【0190】
好ましいメタ−テトラフッ素化されたフタロシアニンは、以下の式IA:
【化23】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を2もしくは3位に有し、第二のフッ素置換基を6もしくは7位に有し、第三のフッ素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四のフッ素置換基を14もしくは15位に有する。
【0191】
好ましいメタ−テトラフッ素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IB:
【化24】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を2もしくは3位に有し、第二のフッ素置換基を6もしくは7位に有し、第三のフッ素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四のフッ素置換基を14もしくは15位に有する。
【0192】
好ましいメタ−テトラフッ素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IC:
【化25】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を2もしくは3位に有し、第二のフッ素置換基を6もしくは7位に有し、第三のフッ素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四のフッ素置換基を14もしくは15位に有する。
【0193】
好ましいメタ−テトラフッ素化されたフタロシアニンは、また、以下の式ID:
【化26】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を2もしくは3位に有し、第二のフッ素置換基を6もしくは7位に有し、第三のフッ素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四のフッ素置換基を14もしくは15位に有する。
【0194】
好ましいメタ−テトラフッ素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IE:
【化27】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を2もしくは3位に有し、第二のフッ素置換基を6もしくは7位に有し、第三のフッ素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四のフッ素置換基を14もしくは15位に有する。
【0195】
好ましいオルト−テトラフッ素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IF:
【化28】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を1もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは16位に有する。
【0196】
好ましいオルト−テトラフッ素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IG:
【化29】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を1もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは16位に有する。
【0197】
好ましいオルト−テトラフッ素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IH:
【化30】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を1もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは16位に有する。
【0198】
好ましいオルト−テトラフッ素化されたフタロシアニンは、また、以下の式II:
【化31】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を1もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは16位に有する。
【0199】
好ましいオルト−テトラフッ素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IJ:
【化32】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一のフッ素置換基を1もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは16位に有する。
【0200】
好ましいメタ−テトラ塩素化されたフタロシアニンは、以下の式IK:
【化33】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を2もしくは3位に有し、第二の塩素置換基を6もしくは7位に有し、第三の塩素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四の塩素置換基を14もしくは15位に有する。
【0201】
好ましいメタ−テトラ塩素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IL:
【化34】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を2もしくは3位に有し、第二の塩素置換基を6もしくは7位に有し、第三の塩素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四の塩素置換基を14もしくは15位に有する。
【0202】
好ましいメタ−テトラ塩素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IM:
【化35】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を2もしくは3位に有し、第二の塩素置換基を6もしくは7位に有し、第三の塩素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四の塩素置換基を14もしくは15位に有する。
【0203】
好ましいメタ−テトラ塩素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IN:
【化36】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を2もしくは3位に有し、第二の塩素置換基を6もしくは7位に有し、第三の塩素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四の塩素置換基を14もしくは15位に有する。
【0204】
好ましいメタ−テトラ塩素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IO:
【化37】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を2もしくは3位に有し、第二の塩素置換基を6もしくは7位に有し、第三の塩素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四の塩素置換基を14もしくは15位に有する。
【0205】
好ましいオルト−テトラ塩素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IP:
【化38】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を1もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは16位に有する。
【0206】
好ましいオルト−テトラ塩素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IQ:
【化39】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を1もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは16位に有する。
【0207】
好ましいオルト−テトラ塩素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IR:
【化40】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を1もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは16位に有する。
【0208】
好ましいオルト−テトラ塩素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IS:
【化41】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を1もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは16位に有する。
【0209】
好ましいオルト−テトラ塩素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IT:
【化42】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体は、第一の塩素置換基を1もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは16位に有する。
【0210】
好ましいテトラフッ素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IU、IV、IW、IX及びIY:
【化43】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体IU、IV、IW、IX及びIYは、第一のフッ素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する。
【0211】
好ましいテトラ塩素化されたフタロシアニンは、また、以下の式IZ、IZa、IZb、IZc及びIZd:
【化44】

の異性体化合物及びそれらの混合物であり、それぞれの異性体IZ、IZa、IZb、IZc及びIZdは、第一の塩素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する。
【0212】
一般式Ia及びIbの化合物は、文献に記載される方法と同様に、又は本願の実験部に記載されるようにして製造することができる。一般式Ia及びIbの幾つかの化合物は、また市販されている。
【0213】
式Ibのメタ−ハロゲン化されたフタロシアニンの好適な製造方法を、式IB:
【化45】

の異性体化合物及びそれらの混合物の例で示されるメタ−テトラフッ素化されたフタロシアニンについて以下に概説する。その際、それぞれの異性体は、2もしくは3位に第一のフッ素置換基を有し、6もしくは7位に第二のフッ素置換基を有し、10もしくは11位に第三のフッ素置換基を有し、かつ14もしくは15位に第四のフッ素置換基を有する。
【0214】
式IBの異性体化合物及びそれらの混合物は、3−フルオロフタロニトリル、尿素及び亜鉛塩を含む混合物の加熱によって製造することができる。
【0215】
好ましくは、該反応は、触媒の存在下に実施される。その触媒は、アンモニウムモリブデート、アンモニウムホスホモリブデート及びモリブデン酸化物から選択できる。アンモニウムモリブデートを使用することが好ましい。3−フルオロフタロニトリルの全モル量に対する触媒のモル量は、通常は、0.01〜0.5倍、好ましくは0.05〜0.2倍である。
【0216】
亜鉛塩は、ハロゲン化亜鉛、特に塩化亜鉛、C1〜C6−カルボン酸の亜鉛塩、特に酢酸亜鉛及び硫酸亜鉛から選択できる。特に、使用される亜鉛塩は、酢酸亜鉛である。3−フルオロフタロニトリルの全モル量に対する亜鉛塩のモル量は、通常は、0.3〜0.5倍である。
【0217】
特定の一実施態様によれば、反応混合物は、また、亜鉛(0)を亜鉛源として含む。好ましくは、亜鉛は亜鉛末の形である。この実施態様においては、3−フルオロフタロニトリルの全モル量に対する亜鉛のモル量は、通常は、0.2倍〜0.4倍、好ましくは0.2〜0.3倍であり、かつ3−フルオロフタロニトリルに対する亜鉛塩のモル量は、通常は、0.025倍〜0.05倍である。
【0218】
一般に、3−フルオロフタロニトリルの全モル量に対する尿素のモル量は、1.5倍〜3倍である。
【0219】
該反応は、通常は溶剤中で実施される。好適な溶剤は、高い沸点を有する有機溶剤、例えばニトロベンゼン、塩素化ベンゼン、例えばトリクロロベンゼンもしくは塩素化ナフタレン及びそれらの混合物である。ニトロベンゼンを使用することが特に好ましい。
【0220】
保護ガス雰囲気下で、例えば窒素もしくはアルゴン下で反応を実施することが好ましい。該反応は、通常は、140〜220℃、好ましくは150〜200℃の温度で実施される。この温度で、該混合物は、通常は、1〜10時間にわたり反応させる。
【0221】
当業者は、第一のハロゲン置換基を1もしくは4位に有し、第二のハロゲン置換基を5もしくは8位に有し、第三のハロゲン置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四のハロゲン置換基を13もしくは16位に有する式Ibの異性体化合物及びそれらの混合物は、式Ibのメタ−ハロゲン化されたフタロシアニンについて前記の方法と同様に製造できることを容易に理解する。
【0222】
オルト−テトラフッ素化されたフタロシアニンの好適な製造方法を、式IG:
【化46】

の異性体化合物及びそれらの混合物の例で示す。その際、それぞれの異性体は、1もしくは4位に第一のフッ素置換基を有し、5もしくは8位に第二のフッ素置換基を有し、9もしくは12位に第三のフッ素置換基を有し、かつ13もしくは16位に第四のフッ素置換基を有する。
【0223】
式IGの異性体化合物及びそれらの混合物は、4−フルオロフタロニトリル、尿素及び亜鉛塩を含む混合物の加熱によって製造することができる。
【0224】
好ましくは、該反応は、触媒の存在下に実施される。
【0225】
使用される触媒、亜鉛塩、尿素、溶剤及び反応条件については、式IBの異性体化合物及びそれらの混合物の製造について上述したことが参照される。
【0226】
本発明は、更に、式Ia及び/又はIbの化合物を、光吸収体として用いる使用である。
【0227】
式Ia及びIbの化合物を電荷輸送材料もしくは吸収体材料として使用する前に、該化合物を精製プロセスに供することが推奨できる。好適な精製プロセスは、式Ia及びIbの化合物を気相に変換することを含む。これは、昇華もしくはPVD(物理蒸着)による精製を含む。分別昇華が好ましい。化合物の分別昇華及び/又は堆積のためには、温度勾配が使用される。式Ia及びIbの化合物をキャリヤーガス流中で加熱しつつ昇華させることが好ましい。キャリヤーガスは、その後に、分離チャンバに流れる。好適な分離チャンバは、種々の温度を有する少なくとも2つの異なる分離領域を有する。3領域炉を使用することが好ましい。分別昇華のために好適な方法及び装置は、US4,036,594号に記載されている。更に、式Ia及びIbの化合物を分別結晶によって精製することが可能である。好ましい溶剤は硫酸である。
【0228】
式Ia及びIbの化合物は、特に好ましくは有機半導体として好適である。その精製、組み合わせて使用される更なる半導体のエネルギーレベルの位置及び/又は任意のドーピングに依存して、該化合物は、電子供与体(p型半導体)もしくは電子受容体(n型半導体)として使用できる。
【0229】
式Ia及びIbの化合物は、その空気安定性について顕著である。
【0230】
式Ia及びIbの化合物は、好ましくは、有機電界効果トランジスタのための半導体材料として適している。それらは、好ましくはn型半導体として使用される。同様に、式Ia及びIbの化合物をp型半導体として使用することが好ましい。従って、本発明は、更に、少なくとも1つのゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体としての、特にn型半導体としての前記定義した式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物とを有する基板を含む有機電界効果トランジスタを提供する。
【0231】
好適な基板は、原則的に、この目的のために知られた材料である。好適な基板は、例えば金属(好ましくは周期律表の第8族、第9族、第10族もしくは第11族の金属、例えばAu、Ag、Cu)、酸化物材料(例えばガラス、セラミックス、SiO2、特に石英)、半導体(例えばドープトSi、ドープトGe)、金属合金(例えばAu、Ag、Cuなどを基礎とするもの)、半導体合金、ポリマー(例えばポリビニルクロリド、ポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレン、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン及びそれらの混合物並びに複合物)、無機固体(例えば塩化アンモニウム)、紙及びそれらの組み合わせを含む。該基板は、フレキシブルでもフレキシブルでなくてもよく、所望される使用に応じて、曲がった又は平坦な形状を有してよい。
【0232】
半導体ユニットに典型的な基板は、マトリクス(例えば石英もしくはポリマーマトリクス)と、場合により誘電性最上層とを含む。
【0233】
好適な誘電体は、陽極酸化されたアルミニウム(Al23)、SiO2、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブテン)、ポリビニルカルバゾール、フッ素化ポリマー(例えばCytop)、シアノプルラン(例えばCYMM)、ポリビニルフェノール、ポリ−p−キシレン、ポリ塩化ビニル又は熱によりもしくは大気湿分によって架橋可能なポリマーである。
【0234】
特定の誘電体は、"自己組織化ナノ誘電体"、すなわちSiCl官能性を含むモノマー、例えばCl3SiOSiCl3、Cl3Si−(CH26−SiCl3、Cl3Si−(CH212−SiCl3から得られる及び/又は大気湿分によってもしくは溶剤で希釈された水の添加によって架橋されるポリマーである(例えばFaccietti Adv.Mat.2005,17,1705−1725を参照)。水の代わりに、ヒドロキシ含有ポリマー、例えばポリビニルフェノールもしくはポリビニルアルコール又はビニルフェノール及びスチレンのコポリマーを、架橋性成分として提供することもできる。また、少なくとも1種の更なるポリマーを、架橋作業の間に存在させ、次いで架橋もさせることができる(Facietti、米国特許出願第2006/0202195号を参照)。
【0235】
該基板は、追加的に、OFETのゲート電極、ドレイン電極及びソース電極などの電極を有してよく、それらは、通常は、基板上に位置している(例えば、誘電体上の非導電性層上に堆積されているかもしくはその中に埋設されている)。該基板は、さらに、OFETの導電性のゲート電極を含んでよく、それらは一般に誘電性最上層(すなわちゲート誘電性)の下方に配置されている。
【0236】
層厚は、例えば、半導体については10nm〜5μmであり、誘電体については50nm〜10μmである;電極は、例えば20nm〜1μm厚であってよい。
【0237】
特定の一実施態様においては、絶縁体層(ゲート絶縁層)は、基板表面の少なくとも一部に存在する。絶縁層は、好ましくは無機絶縁体、例えばSiO2、SiN(窒化ケイ素)など、強誘電性絶縁体、例えばAl23、Ta25、La25、TiO2、Y23など、有機絶縁体、例えばポリアミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリビニルアルコール、ポリアクリレートなど並びにそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の絶縁体を含む。
【0238】
ソース電極及びドレイン電極のために適した材料は、原則的に、導電性材料である。これらは、金属、有利には周期律表の第6族、第7族、第8族、第9族、第10族もしくは第11族の金属、例えばPd、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Crなどを含む。また、適しているのは、導電性ポリマー、例えばPEDOT(=ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)):PSS(=ポリ(スチレンスルホネート))、ポリアニリン、表面変性された金などである。好ましい導電性材料は、10-3オーム×メートル未満、好ましくは10-4オーム×メートル未満、特に10-6もしくは10-7オーム×メートル未満の比抵抗を有する。
【0239】
特定の一実施態様においては、ドレイン電極及びソース電極は、少なくとも部分的に有機半導体材料上に存在する。基板が、更に半導体材料で慣用に使用される更なるコンポーネントもしくはIC、例えば絶縁体、抵抗、キャパシタ、導電体トラックなどを含んでよいことは、認識されている。
【0240】
該電極は、慣用のプロセス、例えば蒸発、リソグラフィープロセスもしくは他のパターン化プロセスによって適用できる。
【0241】
本発明により使用される式Ia及び/又はIbの化合物及びそれから製造される被覆された基板は、特に好ましくは、有機電界効果トランジスタ(OFET)で使用するために適している。それらは、例えば集積回路(IC)の製造のために使用でき、そのために、慣用のn−チャネルMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)が今日では使用されている。これらは、CMOS様の半導体ユニットであり、例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、スタティックRAM及び他のディジタル論理回路のためのユニットである。それらは、特に、ディスプレイ(特に大きい表面積の及び/又はフレキシブルなディスプレイ)及びRFIDタグで使用するために適している。
【0242】
好ましい一実施態様においては、本発明による電界効果トランジスタは、薄膜型トランジスタ(TFT)である。慣用の構成において、薄膜型トランジスタは、基板上に配置されたゲート電極と、その上でかつ基板上に配置されたゲート絶縁層と、該ゲート絶縁層上に配置された半導体層と、該半導体層上のオーム接触層と、該オーム接触層上のソース電極及びドレイン電極とを有する。
【0243】
本発明による被覆された基板を基礎とする様々な半導体アーキテクチャ、例えばトップコンタクト、トップゲート、ボトムコンタクト、ボトムゲートあるいは垂直の構成、例えばUS2004/0046182号に例えば記載されるVOFET(垂直有機電界効果トランジスタ)も考えられる。
【0244】
本発明の更なる一態様は、本発明による基板を基礎とし、かつn型及び/又はp型の半導体であってよい複数の半導体部品を含む電子部品を提供することに関する。かかる部品の例は、電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、トンネルダイオード、コンバータ、発光部品、生物学的及び化学的な検出器もしくはセンサ、温度依存性検出器、光検出器、例えば偏光感受性光検出器、ゲート、AND、NAND、NOT、OR、TOR及びNORゲート、レジスタ、スイッチ、タイマーユニット、静的もしくは動的記憶装置並びに他の動的もしくはシーケンシャルな論理部品もしくは他のディジタル部品、例えばプログラム可能な回路である。
【0245】
OFETを製造するためには、基板の表面は、一般式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物(及び適宜、少なくとも1種の更なる半導体材料)を堆積する前に、変性に供してよい。この変性は、半導体材料を結合する領域及び/又は半導体材料が堆積できない領域を形成するのに役立つ。かかるプロセスは、例えばUS11/353934号(=US2007/01900783号)に記載されている。
【0246】
特定の半導体素子は、インバータである。ディジタル論理においては、インバータは、入力信号を逆転するゲートである。インバータは、また、NOTゲートとしても呼ばれる。現実のインバータ回路は、インプット電流の反対を成す出力電流を有する。典型的な値は、例えばTTL回路について(0,+5V)である。ディジタルインバータの性能は、電圧伝達曲線(VTC)、すなわち出力電流に対する入力電流のプロットを再現する。理想的には、それは、段階的機能であり、現実に測定された曲線がかかる段階により近く近似されるほど、インバータはより良好である。本発明の特定の一実施態様においては、式Ia及び/又はIbの化合物は、インバータ中で有機n型半導体として使用される。
【0247】
式Ia及び/又はIbの化合物は、また、特に好ましくは、有機光電池(OPV)で使用するのに適している。
【0248】
有機太陽電池は、一般に、層構造を有し、一般には、少なくとも以下の層:アノードと、光活性層と、カソードとを含む。これらの層は、一般に、そのために慣用の基板上に配置される。有機太陽電池の構造は、例えばUS2005/0098726号及びUS2005/0224905号に記載され、それらは参照をもって本願で全てにおいて開示されたものとする。
【0249】
本発明は、更に、少なくとも1つのカソードと、少なくとも1つのアノードと、光活性材料としての前記定義の式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物とを有する基板を含む有機太陽電池を提供する。
【0250】
有機太陽電池のために適した基板は、例えば酸化物材料(例えばガラス、セラミック、SiO2、特に石英など)、ポリマー(例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレン、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン及びそれらの混合物及び複合物)並びにそれらの組合せ物である。
【0251】
好適な電極(カソード、アノード)は、原則的に金属(好ましくは、周期律表の第8族、第9族、第10族もしくは第11族の金属、例えばPt、Au、Ag、Cu、Al、In、Mg、Ca)、半導体(例えばドープトSi、ドープトGe、インジウム酸化スズ(ITO)、ガリウムインジウム酸化スズ(GITO)、亜鉛インジウム酸化スズ(ZITO)など)、金属合金(例えばPt、Au、Ag、Cuなどを基礎とするもの、特にMg/Ag合金)、半導体合金などである。使用されるアノードは、好ましくは、入射光に実質的に透過性の材料である。該材料には、例えば、ITO、ドープトITO、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープトZnO)、ZnO、TiO2、Ag、Au、Ptが含まれる。使用されるカソードは、好ましくは、入射光を実質的に反射する材料である。これには、例えば金属被膜、例えばAl、Ag、Au、In、Mg、Mg/Al、Caなどの被膜が含まれる。
【0252】
その部分のために、光活性層は、有機半導体材料として、少なくとも1種の前記定義による式Ia及び/又はIbの化合物を含む少なくとも1つの層を含むか又は該層少なくとも1つから成る。光活性層に加えて、1つ以上の更なる層が存在することがある。これらには、例えば
− 電子伝導特性を有する層(電子輸送層、ETL)
− 正孔伝導性材料を含む吸収する必要がない層(正孔輸送層、HTL)
− 励起子及び正孔をブロッキングする吸収する必要がない層(例えばEBL)
− 増幅層
が含まれる。
【0253】
好適な励起子及び正孔をブロッキングする層は、例えばUS6,451,415号に記載されている。
【0254】
励起子ブロッカー層に適した材料は、例えばバソクプロイン(BCP)、4,4′,4′′−トリス[3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)もしくはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)である。
【0255】
本発明による太陽電池は、光活性な供与体−受容体ヘテロ接合を基礎とすることができる。有機材料の光学的励起により、励起子が生成される。光電流が生ずるためには、電子−正孔対が、一般には、2種の異種の接触してる材料の間の供与体−受容体界面で分けられる必要がある。かかる界面では、供与体材料は、受容体材料とヘテロ接合を形成する。電荷が分かれない場合には、クエンチングとしても知られている、対再結合過程で、入射光より低いエネルギーの光の放出により発光するように、または発熱により発光しないようにいずれかにより再結合することができる。これらの結果のいずれも望ましくない。式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物がHTM(正孔輸送材料)として使用される場合に、相応するETM(電子輸送材料)は、化合物の励起後に、ETMに対して迅速に電子が伝達されるように選択せねばならない。好適なETMは、例えばC60及び他のフラーレン、ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)(PTCDI)などである。式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物がETMとして使用される場合に、相補的なHTMは、化合物の励起後に、HTMに対して迅速に正孔が伝達されるように選択せねばならない。ヘテロ接合は、フラット(平滑)な配置を有してよく(Two layer organic photovoltaic cell,C.W.Tang,Appl.Phys.Lett.,48(2),183−185(1986)又はN.Karl,A.Bauer,J.Holzapfel,J.Marktanner,M.Mobus,F.Stolzle,Mol.Cryst.Liq.Cryst.,252,243−258(1994).を参照)又はバルクヘテロ接合として又は相互浸透供与体・受容体ネットワークとして実現されていてよい(例えばC.J.Brabec,N.S.Sariciftci,J.C.Hummelen,Adv.Funct.Mater.,11(1),15(2001).を参照)。バルクヘテロ接合を、以下に詳細に議論する。
【0256】
式Ia及び/又はIbの化合物は、MiM、pin、pn、MipもしくはMin構造(M=金属、p=pドープ有機もしくは無機の半導体、n=nドープ有機もしくは無機の半導体、i=有機層の本質導電性系;例えばJ.Drechsel et al.,Org.Electron.,5(4),175(2004)又はMaennig et al.,Appl.Phys.A 79,1−14(2004)を参照)を有する太陽電池において光活性材料として使用することができる。
【0257】
式Ia及び/又はIbの化合物は、また、タンデムセルでの光活性材料として使用することもできる。それは、P.Peumans,A.Yakimov,S.R.Forrestによって、J.Appl.Phys,93(7),3693−3723(2003)(米国特許第4,461,922号、同第6,198,091号及び同第6,198,092号を参照)において記載され、以下で詳細に議論される。
【0258】
式Ia及び/又はIbの化合物は、また、2つ以上のMiM、pin、MipもしくはMinダイオードが互いにスタックされたものから構成されるタンデムセルにおける光活性材料としても使用できる(特許出願DE10313232.5号を参照)(J.Drechsel et al.,Thin Solid Films,451452,515−517(2004))。
【0259】
M、n、i及びpの層の層厚は、一般に、10〜1000nm、好ましくは10〜400nmである。薄膜は、減圧下で又は不活性ガス雰囲気下での蒸着、レーザアブレーション、又は溶液もしくは分散液で加工可能な方法、例えばスピンコート、ナイフコート、キャスティング法、噴霧、ディップコーティングもしくは印刷(例えばインクジェット、フレキソグラフ、オフセット、グラビア、凹版印刷、ナノインプリンティング)によって作成できる。
【0260】
有機太陽電池の効率改善のために、励起子が発生からその解離部位(供与体−受容体界面)に拡散せねばならない平均距離は、供与体材料と受容体材料の相互浸透ネットワークにおいて減らすことができる。図1は、大きな供与体−受容体界面面積と、対向電極への連続的な担体伝導性経路を有するバルクヘテロ接合のほぼ完全な形状を示している。
【0261】
バルクヘテロ接合は、気相堆積プロセス(物理蒸着、PVD)によって作成できる。好適な方法は、US2005/0227406に記載され、ここではそれに参照がなされる。この目的のために、一般に電子供与体としての式Ia及び/又はIbの化合物及び少なくとも1種の電子受容体材料は、同時昇華によって気相堆積に供してよい。PVD法は、高真空条件下で実施され、以下の工程:蒸発、輸送、堆積を含む。その堆積は、好ましくは、約10-5〜10-7ミリバールの圧力範囲で行われる。堆積速度は、好ましくは0.01〜10nm/秒の範囲である。その堆積は、不活性雰囲気下で、例えば窒素、アルゴンもしくはヘリウム下で実施できる。堆積における基板の温度は、好ましくは、ほぼ−100℃〜300℃、より好ましくは−50〜250℃の範囲内である。
【0262】
太陽電池の他の層は、公知の方法によって作成できる。これらには、減圧下で又は不活性ガス雰囲気下での蒸着、レーザアブレーション、又は溶液もしくは分散液で加工可能な方法、例えばスピンコート、ナイフコート、キャスティング法、噴霧、ディップコーティングもしくは印刷(例えばインクジェット、フレキソグラフ、オフセット、グラビア、凹版印刷、ナノインプリンティング)が含まれる。完全な太陽電池は、好ましくは、気相堆積法によって作成される。
【0263】
光活性層(混合層)は、その製造直後に又は太陽電池の一部である他の層の製造の直後に熱処理に供することができる。アニーリングは、光活性層の形状を改善できる。その温度は、好ましくは60〜300℃の範囲であり、加工時間は、1分〜3時間の範囲である。熱処理に加えて、又は熱処理に代えて、光活性層は、溶剤含有ガスを使用した処理に供することができる。好適な一実施態様によれば、周囲温度で空気中に飽和された溶剤蒸気が使用される。好適な溶剤は、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、トリクロロメタン、ジクロロメタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチルアセテート及びそれらの混合物である。加工時間は、通常は、1分〜3時間である。
【0264】
本発明の好ましい一実施態様によれば、本発明による太陽電池は、通常の構造を有するバルクヘテロ接合型の単独のセルである。
【0265】
特定の一実施態様によれば、該セルは、以下の構造:
− 入射光に対して実質的に透過性の基板
− 第一の電極(前面電極、アノード)
− 正孔輸送層(HTL)
− バルクヘテロ接合の形の正孔伝導性材料と電子輸送材料との混合層
− 電子輸送層(ETL)
− 励起子ブロッキング層/電子輸送層
− 電極(背面電極、カソード)
を有する。
【0266】
図2は、本発明による通常の構造を有する太陽電池を図示する。
【0267】
好ましくは、前記混合層は、式Ibの化合物と、フラーレン、特にC60とから成る。同様に、式Ibの化合物と、リレン、特に1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボキシイミドとから成る前記混合層が好ましい。特に、式Ibの化合物は、銅(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニン、銅(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニン、銅(オルト+メタ F4)フタロシアニン、亜鉛(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(オルト+メタ F4)フタロシアニン、亜鉛(オルト−テトラクロロ)フタロシアニン、亜鉛(メタ−テトラクロロ−フタロシアニン)、亜鉛(オルト+メタ Cl4)フタロシアニン、銅(ジオルト−オクタフルオロ)フタロシアニン、銅(ジメタ−オクタフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(ジオルト−オクタフルオロ)フタロシアニン及び亜鉛(ジメタ−オクタフルオロ)フタロシアニンから選択される。HTL及びETLは、ドープされていないか、又はドープされていてよい。好適なドーパントは、以下で議論される。
【0268】
本発明の更なる好ましい一実施態様によれば、本発明による太陽電池は、逆の構造を有するバルクヘテロ接合型の単独のセルである。層の順序は、通常の構造の順序の逆である。特定の一実施態様によれば、該セルは、以下の構造:
− 入射光に対して実質的に透過性の基板
− 第一の電極(前面電極、カソード)
− 励起子ブロッキング層/電子輸送層
− 電子輸送層(ETL)
− バルクヘテロ接合の形の正孔伝導性材料と電子輸送材料との混合層
− 正孔輸送層(HTL)
− 電極(背面電極、アノード)
を有する。
【0269】
図3は、本発明による逆の構造を有する太陽電池を図示する。好ましくは、前記混合層は、式Ibの化合物と、フラーレン、特にC60とから成る。同様に、式Ibの化合物と、リレン、特に1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボキシイミドとから成る前記混合層が好ましい。特に、式Ibの化合物は、銅(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニン、銅(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニン、銅(オルト+メタ F4)フタロシアニン、亜鉛(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(オルト+メタ F4)フタロシアニン、亜鉛(オルト−テトラクロロ)フタロシアニン、亜鉛(メタ−テトラクロロ−フタロシアニン)、亜鉛(オルト+メタ Cl4)フタロシアニン、銅(ジオルト−オクタフルオロ)フタロシアニン、銅(ジメタ−オクタフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(ジオルト−オクタフルオロ)フタロシアニン及び亜鉛(ジメタ−オクタフルオロ)フタロシアニンから選択される。HTL及びETLは、ドープされていないか、又はドープされていてよい。
【0270】
好適なドーパントは、以下で議論される。
【0271】
本発明の更なる好ましい一実施態様によれば、本発明による太陽電池は、バルクヘテロ接合型のタンデムセルである。
【0272】
タンデムセルは、2つもしくは2つより多くの、例えば3、4、5つなどのサブセルを有する。単独のサブセル、幾つかのサブセルもしくは全てのサブセルは、式Ia及び/又はIbの化合物を基礎とするバルクヘテロ接合の形の供与体−受容体のヘテロ接合を含んでよい。好ましくは、前記サブセルの少なくとも1つは、式IaもしくはIbの化合物と、少なくとも1種のフラーレン、特にC60もしくはリレン、特に1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボキシイミドを含む。特に、式Ibの化合物は、銅(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニン、銅(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニン、銅(オルト+メタ F4)フタロシアニン、亜鉛(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(オルト+メタ F4)フタロシアニン、亜鉛(オルト−テトラクロロ)フタロシアニン、亜鉛(メタ−テトラクロロ−フタロシアニン)、亜鉛(オルト+メタ Cl4)フタロシアニン、銅(ジオルト−オクタフルオロ)フタロシアニン、銅(ジメタ−オクタフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(ジオルト−オクタフルオロ)フタロシアニン及び亜鉛(ジメタ−オクタフルオロ)フタロシアニンから選択される。
【0273】
タンデムセルを形成するサブセルは、直列にもしくは並列に連結されていてよい。サブセルが直列に連結されている前記タンデムセルが好ましい。好ましくは、追加の再結合層は、単独のサブセルの間にある。通常の構造と逆の構造の両方は、サブセルとして使用することができる。しかしながら、全てのサブセルの極性は、一方向にあるべきである。すなわち全てのセルは、通常の構造を有するか、又は全てのセルは、逆の構造を有する。
【0274】
図4は、本発明によるタンデムセルを図示している。層31は、透明な導電性層である。好適な材料は、単独のセルについて述べたものである。
【0275】
層32及び34は、個々のサブセルである。ここで、サブセルとは、カソードとアノードを除く単独のセルの機能層を指す。該サブセルは、式Ia及び/又はIbの全ての化合物−C60のセルか又は式Ia及び/又はIbの1種の化合物−C60のセルのいずれかと、半導体材料の他の組み合わせ、例えばC60とメタロフタロシアニン、例えば亜鉛フタロシアニンもしくは銅フタロシアニン、ジベンゾテトラフェニルペリフランテン、オリゴチオフェン、例えばα,α′−ビス(2,2−ジシアノビニル)キンケチオフェンとの組み合わせ(CDV5T)などであってよい。該サブセルは、また、式Ia及び/又はIbの全ての化合物−PCBM([6,6]−フェニル−C60−酪酸メチルエステル)のセルか又は式Ia及び/又はIbの1種の化合物−PCBMのセルのいずれかと、半導体材料の他の組み合わせ、例えばPCBMとポリ(アルキルチオフェン)、例えばポリ(3−ヘキシルチオフェン)との組み合わせであってもよい。該サブセルは、また、式Ia及び/又はIbの全ての化合物−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ビスベンゾイミダゾール(PTCBI)のセルか又は式Ia及び/又はIbの1種の化合物−PTCBIのセルのいずれかと、半導体材料の他の組み合わせ、例えばPTCBIとポリ(アルキルチオフェン)、例えばポリ(3−ヘキシルチオフェン)との組み合わせであってもよい。特に、式Ibの化合物は、銅(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニン、銅(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニン、銅(オルト+メタ F4)フタロシアニン、亜鉛(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(オルト+メタ F4)フタロシアニン、亜鉛(オルト−テトラクロロ)フタロシアニン、亜鉛(メタ−テトラクロロ−フタロシアニン)、亜鉛(オルト+メタ Cl4)フタロシアニン、銅(ジオルト−オクタフルオロ)フタロシアニン、銅(ジメタ−オクタフルオロ)フタロシアニン、亜鉛(ジオルト−オクタフルオロ)フタロシアニン及び亜鉛(ジメタ−オクタフルオロ)フタロシアニンから選択される。全ての場合において、最良の場合は、複数の材料の組み合わせであり、すなわち各サブセルの吸収が大きく重複しないが、太陽スペクトルにわたり分布していて、より高い光電流に貢献する組み合わせである。例えば、より長い波長吸収を有する第二のサブセルを、第一のサブセルよりも短い波長吸収を有する第一のサブセルの隣に配置することで、吸収範囲が高められる。好ましくは、該タンデムセルは、400〜800nmの領域で吸収を示しうる。800nmから吸収を示しうるもう一つのサブセルを、該セルの隣に配置して、近赤外範囲にまで吸収を高めることができる。最良の性能のためには、より短い波長での吸収を有するサブセルは、より長い波長吸収を有するサブセルよりも金属トップコンタクトに対して近くに配置される。
【0276】
該タンデムセルは、光活性供与体−受容体ヘテロ接合がフラットなヘテロ接合であるサブセルを含んでよい。この場合に、以下に述べる半導体材料を使用でき、それらは場合によりドープされていてよい。好適なドーパントは、以下で述べられる。
【0277】
層33は、再結合層である。再結合層は、1つのサブセル中で生成した1種類の電荷を、隣接のサブセルから発生した他の種類の電荷に再結合することを可能にする。小さい金属クラスター、例えばAg、Auもしくは高ドープされたn型の及びp型のドーパント層の組み合わせを使用できる。金属クラスターの場合に、厚さは、0.5〜5nmの範囲である。n型の及びp型のドーパント層の場合には、厚さは、5〜40nmの範囲である。再結合層は、通常は、一方のサブセルの電子輸送層と、もう一方のサブセルの正孔輸送層とを接続する。こうすることで、更なるサブセルを組み合わせて、タンデムセルにすることができる。
【0278】
層36は、トップ電極である。該トップ電極の材料は、サブセルの極性方向に依存する。サブセルが通常の構造をとる場合に、トップ金属は、好ましくは、低仕事関数材料、例えばAg、Mg、CaもしくはAlから作成される。サブセルが逆の構造をとる場合に、トップ金属は、好ましくは、高仕事関数材料、例えばAu、Pt、PEDOT−PSSから作成される。
【0279】
直列的に連結されたタンデム構造において、全電圧は、単独のサブセルの合計である。全電流は、単独のサブセルのうちの最低電流によって制限される。この理由のために、各サブセルの厚さは、全てのサブセルが類似の電流を示すように改めて最適化すべきである。
【0280】
供与体−受容体ヘテロ接合の種々の型の例は、平坦なヘテロ接合もしくは複合型の平坦な混合ヘテロ接合もしくは勾配バルクヘテロ接合もしくはアニールされたバルクヘテロ接合を形成する供与体−受容体二重層である。
【0281】
複合型の平坦混合ヘテロ接合の製造は、Adv.Mater.17,66−70(2005)に記載されている。同時蒸発された混合ヘテロ接合層は、均一な供与体及び受容体の材料の間に挟まれる。
【0282】
本発明の特定の一実施態様によれば、供与体−受容体ヘテロ接合は、勾配バルクヘテロ接合である。該バルクヘテロ接合層は、供与体−受容体比に勾配的変化を有する。該セルは、段階的な勾配を有する(図5(a))。その際、層01は、100%の供与体からなり、層02は、供与体/受容体比>1を有し、層03は、供与体/受容体比=1を有し、層04は、供与体−受容体比<1を有し、かつ層05は、100%の受容体からなる。また、なだらかな勾配を有してもよい(図5(b))。その際、層01は、100%供与体からなり、層02は、該層が層01から離れるにつれ低下する供与体/受容体比を有し、かつ層03は、100%の受容体からなる。種々の供与体−受容体比は、各材料の堆積速度によって制御できる。かかる構造は、電荷のパーコレーション経路を向上しうる。
【0283】
本発明の更なる特定の一実施態様によれば、供与体−受容体ヘテロ接合は、例えばNature 425,158−162,2003に記載されるアニールされたバルクヘテロ接合である。前記の種類の太陽電池の作成方法は、金属堆積の前又は後でのアニール工程を含む。アニーリングによって、供与体及び受容体の材料は分離し、それにより、更に長いパーコレーション経路がもたらされる。
【0284】
本発明の更なる特定の一実施態様によれば、該太陽電池は、平坦もしくは制御されたヘテロ接合アーキテクチャのいずれかでの有機気相堆積によって製造される。この種類の太陽電池は、Materials,4,2005,37に記載されている。
【0285】
本発明の更なる好ましい一実施態様によれば、該有機太陽電池は、メタロフタロシアニン、例えば銅フタロシアニンと、式Ia及び/又はIbの化合物の中間層と、電子受容体、例えばフラーレン、例えばC60とを含む。この種類の太陽電池は、米国特許出願第11/486,163号に記載されている。如何なる理論に縛られることをせずに、前記中間層の目的は、分離界面から正孔を押し出すことであり、こうして、正孔は、共に、励起子から分離された後に再結合によってなくなることはない。これを達成するために、中間層は、供与体よりも深いHOMO(より大きなイオン化ポテンシャル)を有し、こうして、正孔は、分離が起こった直後に供与体へと落ち込む。中間層は、励起子を、分離界面に達することを妨げるべきでなく、従って供与体よりも低い光学的ギャップを有する必要がある。中間層で使用される化合物は、電子供与体材料と等しいかそれより低いエネルギー(より長い波長)で吸収を有さねばならない。CuPc/C60光起電性セルの間のカスケード型の中間層で使用するのに適した化合物は、式Ia及びIbの化合物、例えば銅テトラフルオロフタロシアニン、例えばCuPc−(オルト−F4)、CuPc−(メタ−F4)、CuPc−(オルト+メタ−F4)、亜鉛テトラフルオロフタロシアニン、例えばZnPc−(オルト−F4)、ZnPc−(メタ−F4)、ZnPc−(オルト+メタ−F4)、亜鉛テトラクロロフタロシアニン、例えばZnPc−(オルト−Cl4)、ZnPc−(メタ−Cl4)、ZnPc−(オルト+メタ−Cl4)である。該中間層は、非常に薄くなければならない(<4nm)。それというのも、中間層中での正孔は、供与体を"見る"ことで、それを供与体のHOMOに落とさねばならないからである。
【0286】
有機太陽電池は、上述のように、本発明により電子供与体(p型半導体)もしくは電子受容体(n型半導体)として使用される式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物を有する。
【0287】
式IaもしくはIbの化合物に加えて、以下の半導体材料:本発明により使用される化合物以外のフタロシアニンが、有機光電池で使用するのに適している。これらには、ハロゲン化されていないか又は12個より多くのハロゲン置換基を有するフタロシアニン、例えばヘキサデカクロロフタロシアニン及びヘキサデカフルオロフタロシアニンが含まれる。それらには、更に、金属不含のフタロシアニンもしくはハロゲン化されていないもしくは12個より多くのハロゲン置換基を有するフタロシアニンであって、二価の金属もしくは金属原子を含む基、特にチタニルオキシ基、バナジルオキシ基、鉄、銅、亜鉛などを含むフタロシアニンが含まれる。好適なフタロシアニンは、特に銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、金属不含のフタロシアニン、銅ヘキサデカクロロフタロシアニン、亜鉛ヘキサデカクロロフタロシアニン、金属不含のヘキサデカクロロフタロシアニン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン、亜鉛ヘキサデカフルオロフタロシアニンもしくは金属不含のヘキサデカフルオロフタロシアニンである。
【0288】
ポルフィリン、例えば5,10,15,20−テトラ(3−ピリジル)ポリフィリン(TpyP);あるいはテトラベンゾポルフィリン、例えば金属不含のテトラベンゾポルフィリン、銅テトラベンゾポルフィリンもしくは亜鉛テトラベンゾポルフィリン;特に好ましいのは、本発明により使用される式(I)の化合物と同様に、可溶性前駆体として溶液から加工でき、熱分解によって基板上で顔料性光活性成分に変換されるテトラベンゾポルフィリンである。
【0289】
アセン、例えばアントラセン、テトラセン、ペンタセン及び置換アセン。置換されたアセンは、電子供与性置換基(例えばアルキル、アルコキシ、エステル、カルボキシレートもしくはチオアルコキシ)、電子吸引性置換基(例えばハロゲン、ニトロもしくはシアノ)及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基を含む。これらには、2,9−ジアルキルペンタセン及び2,10−ジアルキルペンタセン、2,10−ジアルコキシペンタセン、1,4,8,11−テトラアルコキシペンタセン及びルブレン(5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン)が含まれる。好適な置換されたペンタセンは、US2003/0100779号及びUS6,864,396号に記載されている。好ましいアセンは、ルブレン(5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン)である。
【0290】
液晶(LC)材料、例えばコロネン、例えばヘキサベンゾコロネン(HBC−PhC12)、コロネンジイミド、もしくはトリフェニレン、例えば2,3,6,7,10,11−ヘキサヘキシルチオトリフェニレン(HTT6)、2,3,6,7,10,11−ヘキサキス(4−n−ノニルフェニル)トリフェニレン(PTP9)もしくは2,3,6,7,10,11−ヘキサキス(ウンデシルオキシ)トリフェニレン(HAT11)。特に、ディスコチックな液晶材料が好ましい。好適な液晶(LC)材料は、また、液晶性フタロシアニンを含む。これらは、C6〜C18−アルキル、C6〜C18−アルコキシ及びC6〜C18−アルコキシカルボニル基を有し、その際、C6〜C18−アルキルは酸素によって中断されていてよいフタロシアニンを含む。好適な液晶性フタロシアニンは、Chem.Soc.Rev.2007,36,1902−1929に記載されている。
【0291】
チオフェン、オリゴチオフェン及びその置換された誘導体。好適なオリゴチオフェンは、クアテルチオフェン、キンケチオフェン、セスキチオフェン、α,ω−ジ(C1〜C8)アルキルオリゴチオフェン、例えばα,ω−ジヘキシルクアテルチオフェン、α,ω−ジヘキシルキンケチオフェン及びα,ω−ジヘキシルセスキチオフェン、ポリ(アルキルチオフェン)、例えばポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ビス(ジチエノチオフェン)、アントラジチオフェン及びジアルキルアントラジチオフェン、例えばジヘキシルアントラジチオフェン、フェニレン−チオフェン(P−T)オリゴマー及びそれらの誘導体、特にα,ω−アルキル置換されたフェニレン−チオフェンオリゴマーである。
【0292】
また、好適な化合物は、α,α′−ビス(2,2−ジシアノビニル)キンケチオフェン(DCV5T)型、(3−(4−オクチルフェニル)−2,2′−ビチオフェン)(PTOPT)、ポリ(3−(4′−(1,4,7−トリオキサオクチル)フェニル)チオフェン(PEOPT)、ポリ(3−(2′−メトキシ−5′−オクチルフェニル)チオフェン)(POMeOPT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)(PsOT)、ポリ(ピリドピラジンビニレン)−ポリチオフェンブレンド、例えばEHH−PpyPz、PTPTBコポリマー、BBL、F8BT、PFMO(Brabec C.,Adv.Mater.,2996,18,2884を参照)、(PCPDTBT)ポリ[2,6−(4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b′]−ジチオフェン)−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)である。
【0293】
ポリ−フェニレン−エチニレン(PPE)、パラフェニレンビニレン及びパラフェニレンビニレンを含有するオリゴマー及びポリマー、例えばポリパラフェニレンビニレン、MEH−PPV(ポリ(2−メトキシ−5−(2′−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン))、MDMO−PPV(ポリ(2−メトキシ−5−(3′,7′−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン))、PPV、CN−PPV(様々なアルコキシ誘導体を有する)。フェニレンエチニレン/フェニレンビニレンハイブリッドポリマー(PPE−PPV)。ポリフルオレン及び交互ポリフルオレンコポリマー、例えば4,7−ジチエン−2′−イル−2,1,3−ベンゾチアジアゾールとのコポリマー。また好適なのは、ポリ(9,9′−ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、ポリ(9,9′−ジオクチルフルオレン−コ−ビス(N,N′−(4−ブチルフェニル))−ビス(N,N′−フェニル)−1,4−フェニレンジアミン(PFB)である。
【0294】
ポリカルバゾール、すなわちカルバゾール含有オリゴマー及びポリマー。ポリアニリン、すなわちアニリン含有オリゴマー及びポリマー。
【0295】
トリアリールアミン、ポリトリアリールアミン、ポリシクロペンタジエン、ポリピロール、ポリフラン、ポリシロール、ポリホスホール、TPD、CBP、スピロ−MeOTAD。
【0296】
リレン(以下参照)。
【0297】
フラーレン及びフラーレン誘導体、特にC60及びその誘導体、例えばPCBM(=[6,6]−フェニル−C60−酪酸メチルエステル)(以下参照)。
【0298】
本願の内容において、用語"フラーレン"は、炭素から構成され、かつ縮合炭素環の規則的な三次元網目構造を有する材料を指す。これらは、球状の、円筒状の、卵形の、平坦形の、もしくは角張った構造を有してよい。好適なフラーレンは、例えばC60、C70、C76、C80、C82、C84、C86、C90、C96、C120、一重壁カーボンナノチューブ(SWNT)及び多重壁カーボンナノチューブ(MWNT)である。フラーレン誘導体の例は、フェニル−C61−酪酸メチルエステル、フェニル−C71−酪酸メチルエステル([71]PCBM)、フェニル−C84−酪酸メチルエステル([84]PCBM)、フェニル−C61−酪酸ブチルエステル([60]PCBB)、フェニル−C61−酪酸オクチルエステル([60]PCBO)及びチエニル−C61−酪酸メチルエステル([60]ThCBM)である。特に、C60を使用することが好ましい。また、フラーレン誘導体、例えばPCBM(=[6,6]−フェニル−C60−酪酸メチルエステル)が適している。
【0299】
有機太陽電池においては、特に、少なくとも1種のテトラフッ素化されたもしくはテトラ塩素化されたフタロシアニンを含む半導体及びC60の組み合わせを使用することが好ましい。特定の一実施態様においては、テトラフッ素化されたフタロシアニンは、銅(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物、銅(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物、銅(オルト及びメタ−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物であって、各異性体が第一のフッ素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基は9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する混合物、亜鉛(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物、亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物もしくは亜鉛(オルト及びメタ−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物であって、各異性体が、第一のフッ素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する混合物である。更なる特定の一実施態様においては、テトラ塩素化されたフタロシアニンは、銅(オルト−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物、銅(メタ−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物、銅(オルト及びメタ−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物であって、各異性体が第一の塩素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三の塩素置換基は9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する混合物、亜鉛(オルト−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物、亜鉛(メタ−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物もしくは亜鉛(オルト及びメタ−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物であって、各異性体が、第一の塩素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する混合物である。
【0300】
特に好ましいのは、少なくとも1種の銅(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びC60の組み合わせである。特に好ましいのは、また、少なくとも1種の亜鉛(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びC60の組み合わせである。特に好ましいのは、また、少なくとも1種の亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びC60の組み合わせである。特に好ましいのは、また、少なくとも1種の銅(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びPCBMの組み合わせである。特に好ましいのは、また、少なくとも1種の亜鉛(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びPCBMの組み合わせである。特に好ましいのは、また、少なくとも1種の亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びPCBMの組み合わせである。
【0301】
特に好ましいのは、少なくとも1種の銅(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びC60の組み合わせである。特に好ましいのは、また、少なくとも1種の亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びC60の組み合わせである。特に好ましいのは、また、少なくとも1種の銅(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びPCBMの組み合わせである。特に好ましいのは、また、少なくとも1種の亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びPCBMの組み合わせである。
【0302】
本願の内容において、用語"リレン"とは、ペリ位に結合されたナフタレン単位の分子構造を有する化合物を指す。ナフタレン単位の数に応じて、それらは、例えばペリレン(n=2)、テリレン(n=3)、クアテリレン(n=4)もしくは高級リレンであってよい。従って、それらは、以下の式
【化47】

[式中、
n1、Rn2、Rn3及びRn4基は、nが1〜4の場合に、それぞれ無関係に、水素、ハロゲンもしくはハロゲン以外の基であってよく、
1は、OもしくはNRaであり、その際、Raは、水素もしくはオルガニル基であり、
2は、OもしくはNRbであり、その際、Rbは、水素もしくはオルガニル基であり、
1、Z2、Z3及びZ4は、それぞれOである]のペリレン、テリレンもしくはクアテリレンであってよい。
【0303】
好適なリレンは、例えばPCT/EP2006/070143(=W02007/074137号)、PCT/EP2007/051532(=W02007/093643号)及びPCT/EP2007/053330(=W02007/116001号)に記載されており、それらが参照される。
【0304】
有機太陽電池においては、本発明により使用される少なくとも1種のオクタフッ素化もしくはオクタ塩素化されたフタロシアニンを含む半導体材料及び1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボキシイミドの組み合わせを使用することが特に好ましい。同様に、本発明により使用される少なくとも1種のオクタフッ素化もしくはオクタ塩素化されたフタロシアニンを含む半導体材料及びペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスベンゾイミダゾール(PTCBI)の組み合わせを使用することが好ましい。特定の一実施態様においては、オクタフッ素化されたフタロシアニンは、銅(ジオルト−オクタフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物、銅(ジメタ−オクタフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物、亜鉛(ジオルト−ジオクタフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物もしくは亜鉛(ジメタ−オクタフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物である。更なる特定の一実施態様においては、オクタ塩素化されたフタロシアニンは、銅(ジオルト−オクタクロロ)フタロシアニンの異性体混合物、銅(ジメタ−オクタクロロ)フタロシアニンの異性体混合物、亜鉛(ジオルト−ジオクタクロロ)フタロシアニンの異性体混合物もしくは亜鉛(ジメタ−オクタクロロ)フタロシアニンの異性体混合物である。
【0305】
有機太陽電池においては、本発明により使用される少なくとも1種のテトラフッ素化もしくはテトラ塩素化されたフタロシアニンを含む半導体材料及び1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボキシイミドの組み合わせを使用することが特に好ましい。同様に、本発明により使用される少なくとも1種のオクタフッ素化もしくはオクタ塩素化されたフタロシアニンを含む半導体材料及び1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボキシイミドの組み合わせを使用することが好ましい。特定の一実施態様においては、テトラフッ素化されたフタロシアニンは、銅(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物、銅(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物、銅(オルト及びメタ−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物であって、各異性体が第一のフッ素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基は9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する混合物、亜鉛(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物、亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物もしくは亜鉛(オルト及びメタ−テトラフルオロ)フタロシアニンの異性体混合物であって、各異性体が、第一のフッ素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する混合物である。更なる特定の一実施態様においては、テトラ塩素化されたフタロシアニンは、銅(オルト−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物、銅(メタ−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物、銅(オルト及びメタ−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物であって、各異性体が第一の塩素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三の塩素置換基は9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する混合物、亜鉛(オルト−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物、亜鉛(メタ−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物もしくは亜鉛(オルト及びメタ−テトラクロロ)フタロシアニンの異性体混合物であって、各異性体が、第一の塩素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する混合物である。
【0306】
特に好ましいのは、少なくとも1種の銅(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及び1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボキシイミドの組み合わせである。特に好ましいのは、また、少なくとも1種の亜鉛(オルト−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びC60の組み合わせである。特に好ましいのは、また、少なくとも1種の亜鉛(メタ−テトラフルオロ)フタロシアニンを含む半導体材料及びC60の組み合わせである。
【0307】
本発明の好ましい一実施態様によれば、本発明による太陽電池は、以下の構造:
ITO/
(0nm〜20nm)式Ia及び/又はIbの化合物/
(10nm〜80nm)C60:式Ia及び/又はIbの化合物を1:10〜10:1、好ましくは1:2〜2:1で
(10nm〜60nm)C60
(1nm〜10nm)BCP/
Ag
を有するバルクヘテロ接合型の太陽電池である。
【0308】
全ての前記の半導体材料は、ドープされていてもよい。かかる半導体材料の導電性は、様々な電子受容体及び/又は電子供与体のドーパントを用いて化学的なドーピング技術の使用を通じて高めることができる。特定の一実施態様においては、式Ia及び/又はIbの化合物及び/又は(存在する場合は)異なる半導体材料は、このように、本発明による有機太陽電池において、少なくとも1種のドーパントと組み合わせて使用される。該有機材料は、エネルギーの点で、電子伝導性材料のLUMOエネルギーレベルに近いかより高いHOMOエネルギーレベルを有するn型ドーパントでドープしてよい。該有機材料は、エネルギーの点で、正孔伝導性材料のHOMOエネルギーレベルに近いかより低いLUMOエネルギーレベルを有するp型ドーパントでドープしてよい。言い換えると、n型ドーピングの場合には、電子は、供与体として作用するドーパントから放出され、一方で、p型ドーピングの場合には、受容体として作用するドーパントは、電子を吸収する。
【0309】
n型半導体としての式Ia及びIbの化合物の使用のために適したドーパントは、Cs2CO3、LiF、ピロニンB(PyB)、ローダミン誘導体、特にローダミンB、コバルトセンなど、特にピロニンB及びローダミン誘導体である。
【0310】
p型半導体のために適したドーパントの例は、WO3、MoO3、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)、3,6−ジフルオロ−2,5,7,7,8,8−ヘキサシアノキノジメタン、ジクロロジシアノキノン(DDQ)もしくはテトラシアノキノジメタン(TCNQ)、特に3,6−ジフルオロ−2,5,7,7,8,8−ヘキサシアノキノジメタンである。
【0311】
一般に、ドーパントは、ドープされるべき半導体材料に対して、約10モル%まで、好ましくはドープされるべき半導体材料に対して、5モル%までの濃度で使用することができる。特に、該ドーパントは、ドープされるべき半導体材料に対して、0.1〜3モル%の量で使用される。
【0312】
本発明は、更に、本発明により使用される式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物を含む有機発光ダイオード(OLED)に関する。式Ia及び/又はIbの化合物は、電荷輸送材料(特に電子伝導体)としてはたらきうる。
【0313】
有機発光ダイオードは、原則的に、幾つかの層から形成される。これらは、1.アノードと、2.正孔輸送層と、3.発光層と、4.電子輸送層と、5.カソードとを含む。また、有機発光ダイオードが、上述の層全てを有さないことも可能である;例えば層(1)(アノード)と、(3)(発光層)と、(5)(カソード)とを有する有機発光ダイオードは同様に適しており、その場合には、層(2)(正孔輸送層)及び(4)(電子輸送層)の機能は、隣接の層によって想定される。層(1)と、(2)と、(3)と、(5)又は層(1)と、(3)と、(4)と、(5)を有するOLEDは、同様に適している。有機発光ダイオードの構造と、その製造方法は、原則的に当業者に公知であり、例えばWO2005/019373号から公知である。OLEDの個々の層のために適した材料は、例えばWO00/70655号に開示されている。ここでは、これらの文献の開示に参照がなされる。化合物Ia及び/又はIbの基板上への適用は、慣用の技術によって、すなわち熱的蒸発、化学蒸着などによって蒸着により作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0314】
【図1】図1は、大きな供与体−受容体界面面積と、対向電極への連続的な担体伝導性経路を有するバルクヘテロ接合のほぼ完全な形状を示している。
【図2】図2は、本発明による通常の構造を有する太陽電池を図示する。
【図3】図3は、本発明による逆の構造を有する太陽電池を図示する。
【図4】図4は、本発明によるタンデムセルを図示している。
【図5】図5は、供与体−受容体ヘテロ接合が勾配バルクヘテロ接合である一実施態様((a)は段階的な勾配を示し、(b)はなだらかな勾配を示している)を示している。
【図6】図6は、実施例11におけるピロニンBでドープされたCuPcF8及びCuPcを基礎とする太陽電池での結果を示す図である。
【0315】
本発明を以下で実施例により詳細に説明するが、それは本発明を制限するものではない。
【0316】
実施例:
使用される略語:
CuPc 銅フタロシアニン
CuPcF8 2,3,6,7,10,11,14,15−オクタフルオロ銅フタロシアニン
CuPcF4 テトラフルオロ銅フタロシアニン
CuPc−oF4 (オルト−テトラフルオロ)銅フタロシアニン
CuPc−mF4 (メタ−テトラフルオロ)銅フタロシアニン
CuPc−(o+m)F4 (オルト+メタ−テトラフルオロ)銅フタロシアニン
CuPcCl8 2,3,6,7,10,11,14,15−オクタクロロ銅フタロシアニン
ZnPc−oF4 (オルト−テトラフルオロ)亜鉛フタロシアニン
ZnPc−mF4 (メタ−テトラフルオロ)亜鉛フタロシアニン
C60 [60]フラーレン
PEDOT ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)
BCP バソクプロイン
BPE−PTCDI N,N′−ビス(2−フェニルエチル)ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)
Bphen 4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン
PTCBI 3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ビスベンゾイミダゾール
PEDOT−PSS ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホネート)
ITO インジウム酸化スズ
【0317】
I. ハロゲン化されたフタロシアニンの製造
実施例1:
2,3,6,7,10,11,14,15−オクタフルオロ銅フタロシアニン
(経路a − 溶剤の存在下)
【化48】

【0318】
1,1 4,5−ジフルオロフタロニトリル
300mlのキシレン、5.0g(20ミリモル)のN,N′−ジメチルイミダゾリジノ−テトラメチルグアニジニウムクロリド及び58.1g(1000ミリモル)の無水KFの混合物を、50℃に加熱した。これに、19.7g(100ミリモル)の4,5−ジクロロフタロニトリルを添加し、該混合物を、120℃に13時間加熱した。該混合物を濾過し、そして溶剤を減圧下で除去した。粗製化合物を、カラムクロマトグラフィーによって1:1のトルエン/石油エーテルを溶出剤として使用して精製することで、11.96g(73%)の表題化合物が白色の物質として得られた。
【0319】
1,2 2,3,6,7,10,11,14,15−オクタフルオロ銅フタロシアニン
100mlのニトロベンゼン、13.13g(80ミリモル)の4,5−ジフルオロフタロニトリル、2.18g(22ミリモル)のCuCl及び0.29g(2ミリモル)のMoO3の混合物を、アンモニア(1バール)の作用に供し、そして200℃に加熱した。該混合物を、前記温度でアンモニア下に2時間保持した。その後に、100mlのニトロベンゼンを添加し、そしてアンモニア流を止めた。該混合物をこの温度で更に3時間にわたり撹拌し、室温へと冷却させ、エタノールで洗浄し、そして減圧下で乾燥させた。10.88g(76%)の表題化合物が、青色の粉末として得られた。
【0320】
分別結晶化:
分別結晶化a)
7.0gの粗生成物を、350gの98%硫酸中に溶解させた。該溶液を、50℃に加熱し、そして490gの50%硫酸を撹拌しつつ20時間以内で添加した。得られた70%硫酸の懸濁液を、更に16時間にわたり撹拌し、該懸濁液をゆっくりと室温にまで冷却させ、次いで濾過した。濾過ケークを50%硫酸で洗浄し、次いで水で洗浄することで、0.93g(13%)の表題化合物が得られた。
【0321】
分別結晶化b)
前記の結晶化を繰り返すことで、表題化合物が87%の収率で得られた。
【0322】
分別結晶化c)
前記の結晶化を繰り返すことで、表題化合物が74%の収率で得られた。
【0323】
実施例2
2,3,6,7,10,11,14,15−オクタフルオロ銅フタロシアニン
(経路b − 溶剤の不在下)
【化49】

【0324】
1.3g(8ミリモル)の4,5−ジフルオロフタロニトリル、0.22g(2.2ミリモル)のCuCl及び29mg(0.2ミリモル)のMoO3の混合物を、油浴中で220℃に加熱した。その溶融物を、255℃より高い温度に撹拌しながら加熱した。10分後に、該混合物を室温に冷却し、そして該反応混合物を、1Mの塩酸へと注ぎ、50℃で撹拌し、そして濾過した。残留物を1MのNaOHで洗浄し、濾過し、そして乾燥させた。1.06g(74%)の表題化合物が、青色の粉末として得られた。
λmax(H2SO4)=255l/g cm(758nm)
【0325】
実施例3:
3a)2,3,6,7,10,11,14,15−オクタクロロ銅フタロシアニンの製造
100mlのニトロベンゼン、10.1g(51ミリモル)の4,5−ジクロロフタロニトリル、1.39g(14ミリモル)のCuCl及び0.21g(1.5ミリモル)のMoO3の混合物を、1バールのアンモニアの作用に供した。次いで、該混合物を200℃に加熱し、そして該混合物をこの温度で3時間にわたり撹拌した。該混合物を濾過し、メタノールで洗浄し、そして減圧下で乾燥させた。9.83gの表題化合物が、青色の粉末として得られた。
λmax(H2SO4)=270l/g cm(801nm)
【0326】
3b)更なる精製(分別結晶化)
18.0gの粗生成物を、900gの98%硫酸中に溶解させ、そして1260gの50%硫酸で希釈した。該溶液を、50℃に加熱した。その手順をさらに2回繰り返すことで、15.3g(63%)の精製された材料が得られた。
λmax(H2SO4)=285L/g cm(760nm)
【0327】
3c)更なる精製(勾配昇華)
1.8gの実施例3bで得られた材料を、3領域型の勾配昇華装置中で40℃、250℃及び425℃で昇華させた。0.9gの表題化合物が受容された。
λmax(H2SO4)=282L/g cm(760nm)
【0328】
実施例3cは、オクタクロロ銅フタロシアニンが、勾配昇華によって精製でき、かつ有機セルのために真空から加工して使用することができることを示している。
【0329】
実施例4
以下の式:
【化50】

のテトラフルオロフタロシアニン(CuPc−mF4)の混合物であって、それぞれの異性体が、第一のフッ素置換基を2もしくは3位に有し、第二のフッ素置換基を6もしくは7位に有し、第三のフッ素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四のフッ素置換基を14もしくは15位に有する混合物。
【0330】
4a)製造
2.92g(20ミリモル)の4−フルオロフタロニトリル、1.99g(10ミリモル)の酢酸銅一水和物、2.00g(33ミリモル)の尿素及び触媒量のモリブデン酸アンモニウムを25mlのニトロベンゼン中に入れた混合物を、160℃へと窒素下で5時間にわたり加熱した。次いで、該混合物を、室温へと冷却させ、トルエンで希釈し、そして濾過した。得られた粗生成物を、アセトン、水及びアセトニトリルで慎重に洗浄した。
【0331】
精製のために、粗生成物を、ギ酸中に溶解させ、そしてアセトニトリルで沈殿させた。この手順を2回繰り返した。引き続き、第二の精製工程を行った。そこでは、表題化合物をジメチルホルムアミド中に溶解させ、そしてエタノールで沈殿させた。2.13g(65.7%)の表題化合物が得られた。
【0332】
4b)更なる精製(勾配昇華)
更なる精製のために、0.383gの表題化合物を、室温、200℃及び390℃の温度勾配に供した。チューブの内部で、0.198gの表題化合物が得られた:
λmax(H2SO4)=780.5nm
【0333】
実施例5
以下の一般式:
【化51】

のテトラフルオロフタロシアニン(CuPc−oF4)の混合物であって、それぞれの異性体が、第一のフッ素置換基を1もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは16位に有する混合物。
【0334】
5a)
4.38g(30ミリモル)の3−フルオロフタロニトリル、1.99g(10ミリモル)の酢酸銅一水和物、3.00g(50ミリモル)の尿素及び触媒量のモリブデン酸アンモニウムを25mlのニトロベンゼン中に入れた混合物を、160℃へと窒素下で7時間にわたり加熱した。次いで、該混合物を、室温へと冷却させ、トルエンで希釈し、そして濾過した。得られた粗生成物を、アセトン、水及びアセトニトリルで慎重に洗浄した。
【0335】
粗生成物の精製は、該生成物を98%H2SO4中に溶解させ、該酸溶液を冷水中で沈殿させることによって実施した。更なる精製は、該生成物を38%H2SO4中で15分にわたり撹拌することによって実施し、そして固体を遠心分離器を使用することによって分離した。この工程を、濾液が無色になるまで繰り返した。得られた固体を、次いで、水、アセトンで徹底的に洗浄し、次いで乾燥させた。精製後の収量 3.9g(81.3%)。
【0336】
5b)
引き続きの精製は、3領域型のファーネス炉内部で勾配昇華技術を使用して実施した。1.56gの材料を、425℃、250℃、そして室温の温度勾配に曝した。0.95gの生成物が、第一の領域中で回収された。
λmax(H2SO4)=819.0nm
【0337】
実施例6
以下の式:
【化52】

のテトラフルオロ亜鉛フタロシアニン(ZnPc−oF4)の混合物であって、それぞれの異性体が、第一のフッ素置換基を1もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは16位に有する混合物。
【0338】
6a)前駆体として酢酸亜鉛を使用する
5.84g(40ミリモル)の3−フルオロフタロニトリル、2.44g(13.3ミリモル)の酢酸亜鉛、4.00g(66.6ミリモル)の尿素及び0.08gのモリブデン酸アンモニウムを20mLのニトロベンゼン中に入れた混合物を、180℃へとアルゴン下で7時間にわたり加熱した。次いで、該混合物を室温に冷却し、そして濾過した。濾過後に得られた固体を、エタノールで徹底的に洗浄した。
【0339】
粗生成物の更なる精製は、該粗生成物をギ酸中に溶解させ、該生成物をアセトニトリル中で沈殿させることによって実施した。この手順を2回繰り返し、そして引き続き第二の精製工程を、該生成物をギ酸中に溶解させ、そして該生成物をエタノールを使用して沈殿させることによって行った。得られた暗青色の固体を真空下で乾燥させることで、1.0g(15.4%)の純粋な生成物が得られた。
【0340】
6b)亜鉛粉末を前駆体として使用する
5.0g(33.6ミリモル)の3−フルオロフタロニトリル、0.53g(8.1ミリモル)の亜鉛末、0.22g(1.2ミリモル)の酢酸亜鉛、0.16g(2.55ミリモル)の尿素及び0.031g(0.16ミリモル)のモリブデン酸アンモニウムを11mLの蒸留されたニトロベンゼン中に入れた混合物を100℃にアルゴン下で30分にわたり加熱し、引き続き190℃で約3時間にわたり加熱した。次いで、得られた固体を濾過し、メタノール、アセトン及びテトラヒドロフラン(THF)で洗浄することで、くすんだ青緑色の固体が得られた。粗生成物の更なる精製を、ギ酸及びメタノールを用いて実施することで、暗青色の固体が得られた。収量2.0g(36%)。
【0341】
手順6a)及び6b)の両方について、MALDI−TOF質量:C321248Znについて計算された質量=649、得られた質量=648.7(DHB((2,5−ジヒドロキシ安息香酸)マトリクス)中);1H−NMR(THF−d8):9.12−9.21(m,4H),8.1−8.2(m,4H)及び7.82−7.90(m,4H)ppm;UV−vis:λmax(濃H2SO4)=813nm。
【0342】
6c)実施例6a)の更なる精製(勾配昇華)
更なる精製のために、0.8gの表題化合物を、2×10-5ミリバール未満の真空中で、室温、250℃及び450℃の温度勾配に供した。チューブ内部に、0.48g(収率60%)の表題化合物が得られた:
【0343】
6d)実施例6b)の更なる精製(勾配昇華)
更なる精製のために、1.55gの表題化合物を、2×10-5ミリバール未満の真空中で、室温、250℃及び350℃の温度勾配に供した。チューブ内部に、0.99g(収率64%)の表題化合物が得られた:
【0344】
実施例7
以下の式
【化53】

のテトラフルオロ亜鉛フタロシアニン(ZnPc−mF4)の混合物であって、各異性体が、第一のフッ素置換基を2もしくは3位に有し、第二のフッ素置換基を6もしくは7位に有し、第三のフッ素置換基を10もしくは11位に有し、かつ第四のフッ素置換基を14もしくは15位に有する混合物。
【0345】
7.3g(50ミリモル)の4−フルオロフタロニトリル、3.29g(15ミリモル)の酢酸亜鉛一水和物、5.00g(83.3ミリモル)の尿素及び0.08gのモリブデン酸アンモニウムを20mLのニトロベンゼン中に入れた混合物を、160℃にアルゴン下で7時間にわたり加熱した。次いで、該反応混合物を冷却し、そして得られた固体を濾過し、アセトニトリル及び水で洗浄した。精製は、粗生成物をジメチルスルホキシド中に溶解させることによって実施し、そして水を使用して沈殿させた。濾過により得られた固体を、水で徹底的に洗浄し、そして乾燥させた。得られた濾液を、エタノールで希釈し、そして一晩保持すると、より多くの固体の沈殿が生ずるので、それを濾過により回収し、そして別々に精製した。
【0346】
2種の粗生成物の更なる精製を、別々に、該生成物をギ酸中に溶解させ、それをアセトニトリルを用いて沈殿させることによって実施した。この手順を2回繰り返し、引き続き、第二の精製工程を、該生成物をギ酸中に溶解させ、そしてそれをエタノールを用いて沈殿させることによって実施した。得られた暗青色の固体を真空下で乾燥させることで、それぞれ収量0.64g及び2.06gが得られた。合わせた収量は、2.7g(33.3%)であった。
【0347】
MALDI−TOF質量:C321248Znについて計算した質量=649、得られた質量=647.89(マトリクスなし);UV−vis:λmax(濃H2SO4)=775nm。
【0348】
実施例8
以下の式:
【化54】

のテトラフルオロ銅フタロシアニン(CuPc−(o+m)F4)の混合物であって、それぞれの異性体が、第一のフッ素置換基を1もしくは2もしくは3もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは6もしくは7もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは10もしくは11もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは14もしくは15もしくは16位に有する混合物。
【0349】
1.46g(10ミリモル)の3−フルオロフタロニトリル、1.46g(10ミリモル)の4−フルオロフタロニトリル、1.33g(6.66ミリモル)の酢酸銅一水和物、2.0g(33.3ミリモル)の尿素及び0.025gのモリブデン酸アンモニウムを20mLのニトロベンゼン中に入れた混合物を、165℃にアルゴン下で6時間にわたり加熱した。該反応混合物を室温に冷却し、そしてアセトンで希釈し、そして得られた固体を濾過し、アセトンで徹底的に洗浄し、そして乾燥させることで、3.5gの粗生成物が得られた。該粗生成物を、40%硫酸で数回洗浄し、そして最後に水及びアセトンで洗浄することで、暗青色の固体が得られ、該固体を真空下で乾燥させることで、1.9g(58.8%)の表題化合物が得られる。
【0350】
MALDI−TOF質量:C321248Cuについて計算した質量=648、得られた質量=646.87(マトリクスなし);UV−vis:λmax(濃H2SO4)=800.5nm。
【0351】
実施例9
以下の一般式:
【化55】

のテトラクロロ亜鉛フタロシアニン(ZnPc−oCl4)の混合物であって、それぞれの異性体が、第一の塩素置換基を1もしくは4位に有し、第二の塩素置換基を5もしくは8位に有し、第三の塩素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四の塩素置換基を13もしくは16位に有する混合物。
【0352】
9a)
1.62g(10ミリモル)の3−クロロフタロニトリル、0.60g(3.3ミリモル)の酢酸亜鉛、1.00g(16.7ミリモル)の尿素及び0.02gのモリブデン酸アンモニウムを10mLのニトロベンゼン中に入れた混合物を、185℃へとアルゴン下で7時間にわたり加熱した。次いで、該反応混合物を室温に冷却し、そして得られた固体を濾過し、エタノールで徹底的に洗浄した。
【0353】
粗生成物の更なる精製は、該粗生成物をギ酸中に溶解させ、該生成物をアセトニトリルを使用して沈殿させることによって実施した。この手順を2回繰り返し、そして引き続き第二の精製工程を、該固体をギ酸中に溶解させ、そしてメタノールを使用して沈殿させることによって行った。精製後の収量、1.6g(89.6%)の表題化合物。
【0354】
MALDI−TOF質量:C3212Cl48Znについて計算された質量=713、得られた質量=714.5(DHBマトリクスと共に);1H−NMR(THF−d8):8.9−9.08(bm、4H)及び7.90−8.06(bm,8H)ppm;UV−vis:λmax(濃縮H2SO4)=818.5nm。
【0355】
9b)
引き続きの精製は、3領域型のファーネス炉内部で勾配昇華技術を使用して実施した。1.21gの材料を、500℃、375℃、そして50℃の温度勾配に曝した。0.05gの生成物が、第一の領域中で回収された。
【0356】
実施例10
以下の式:
【化56】

のテトラフルオロ塩化アルミニウムフタロシアニン(AlClPc−oF4)の混合物であって、それぞれの異性体が、第一のフッ素置換基を1もしくは4位に有し、第二のフッ素置換基を5もしくは8位に有し、第三のフッ素置換基を9もしくは12位に有し、かつ第四のフッ素置換基を13もしくは16位に有する混合物。
【0357】
10a)
2.92g(20ミリモル)の3−フルオロフタロニトリル、0.93g(7ミリモル)の無水塩化アルミニウム、2g(33.3ミリモル)の尿素及び0.04gのモリブデン酸アンモニウムの混合物を、10mLのニトロベンゼン中に溶解させ、そして180℃でアルゴン下で18時間にわたり撹拌した。次いで、該反応混合物を、室温に冷却し、そしてアセトニトリルで希釈した。沈殿した青色の固体を濾過し、そしてエタノール及びアセトニトリルでよく洗浄した。粗生成物の更なる精製は、該固体をジメチルホルムアミド中に溶解させ、それをアセトニトリルを使用して沈殿させることによって実施した。得られた固体を濾過し、そして乾燥させることで、1.2g(37.3%)が精製後に得られた。MALDI−TOF質量:C3212ClF48Alについて計算した質量=646、得られた質量=645.96(マトリクスなし);UV−vis:λmax(濃H2SO4)=833nm。
【0358】
10b)
引き続きの精製は、3領域型のファーネス炉内部で勾配昇華技術を使用して実施した。1.02gの材料を、425℃、300℃、そして室温の温度勾配に曝した。0.11g(11%収率)の生成物が、第一の領域中で回収された。
【0359】
II. 本発明によるハロゲン化されたフタロシアニンの使用
太陽電池の構築
標準的な構成において、有機太陽電池を、透明な導電性のインジウム酸化スズ層(ITO)で被覆されているガラス基板上に作成する。接触特性を向上させるために、追加のPEDOTの層を、ITO電極と吸収体との間に適用してよい。引き続いての吸収体層は、電子供与体と電子受容体とからなり、その際、該材料の一方はハロゲン化されたフタロシアニンである。蒸着によって適用された対向電極は、金属、例えば銀もしくはアルミニウムである。
【0360】
太陽電池の特性:
SC 短絡
sc 短絡電流Isc、如何なる付加的な抵抗なくして2つの端子が接続された場合に太陽電池によって送達される
sc 短絡電流密度
OC 開路
oc 開路電圧 − 無負荷状態/アンリット状態に存在する電圧
FF 充てん率
η 効率
変換:1サン=100mW/cm2
【0361】
実施例11:
ピロニンBでドープされたCuPcF8及びCuPcを基礎とする太陽電池
ITOガラスは、Merckから購入した。ガラス基板を、沸騰したアセトン中での超音波によって清浄化した。
【0362】
引き続き、太陽電池の各層を、所定の堆積温度及び速度で高真空チャンバ(10-7ミリバール;Lesker社製の真空システム)中で適用した。
【0363】
実施例1で分別結晶化c)による結晶化後に得られるCuPcF8を、ピロニンBとの同時昇華によってドープした(1:7質量%)。
【0364】
ITO基板
CuPc 23nm 0.1〜0.5nm/s
CuPcF8 34nm 0.1〜0.5nm/s
Ag 100nm 0.5nm/s
サイズ 7.3*10-4cm2
照度 0.85サン
oc 410mV
sc 1.22mA/cm2
FF 56%
η 0.32%
結果を、図6に図示する。
【0365】
実施例11は、CuPcF8をn型半導体として使用できることを示している。
【0366】
以下の実施例12〜17において、太陽電池を以下のように作成した:
【0367】
ITO準備
ガラス基板上のインジウム酸化スズ(ITO)は、Merck Display Technologies Ltd社から購入した。ITO層の厚さは140±15nmであり、11.70Ω毎平方のシート抵抗を有していた。該ITOを、以下の手順により清浄化した。まず、該ITOを5%RB535デタージェント浴中で5分間にわたり清浄化し、脱イオン水中で5分間にわたりすすぎ、引き続き沸騰したアセトン中で5分間にわたり2回清浄化し、そしてイソプロパノール中で5分間にわたり2回清浄化した。清浄化は、該ITOを150℃のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中の超音波浴に5分間にわたり供することによって完了した。
【0368】
PEDOT−PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホネート))層堆積
PEDOT−PSS(H.C.Starcks Al4083)の堆積のために、ITO基板をスピンコート前にUVオゾン化した。50mW/cm2の出力を有するUVランプ(FHR Anlagenbau Gmbh)を使用した。UVオゾン化されたITOを、グローブボック中に入れて、PEDOT−PSSで被覆した。スピンコートは、UVオゾン化手順の後30分以内で実施した。PEDOT−PSSの分散液を、2500RPMで5秒間回転させ、6000RPMにまで25秒にわたり傾斜させ、引き続き窒素中100℃で20分にわたりアニーリングした。
【0369】
ポリアミド絶縁層
ポリアミド樹脂(Supeico)は、トップ電極とボトム電極との間に絶縁のために適用できる。該サンプルを、硬化のために200℃で15分間置いた。
【0370】
光源
特に記載がなければ、キセノンランプ(16S−150V3モデル)を用いたSolar Light Co.Inc社製のAM1.5シミュレーター(この光源は実施例14でも使用した)。415nm未満のUV領域はフィルタリングされ、IV測定は、周囲条件で実施した。
【0371】
参照セル
太陽シミュレーター強度は、単結晶FZシリコン太陽電池(Frauhofer ISE)で校正する。
【0372】
材料
CuPc(BASF社から得られる、昇華精製によって1回精製)
C60(NeoTech Prodocut社から得られる、昇華精製によって1回精製)
BCP(Sensient Technology社から得られる、昇華精製によって1回精製)
Ag(Acros Organics社から得られる、入手したままで使用される)
CuPc−(o+m)F4(前記手順により記載される、昇華精製によって1回精製)
【0373】
蒸発
蒸発された層の厚さ(両者とも有機と金属)は、石英結晶モニター(QCM)でモニタリングした。ツーリング係数は、偏光解析測定で校正された。
【0374】
温度
温度は、坩堝の底部と直接接触させて熱電対で記録した。
【0375】
CuPc 420±20℃
C60 460±20℃
BCP 110±20℃
CuPc−mF4 400±20℃
CuPc−oF4 400±20℃
【0376】
二重層セル作成
比較例12
<ITO/PEDOT−PSS/CuPc/C60/BCP/Ag>
ITOを、ITP製造で記載したように製造し、PEDOT−PSSは、PEDOT−PSS層堆積に記載したように製造した。絶縁層は、ボトム(PEDOT−PSS)及びトップ(Ag)の電極の間にサンプルの絶縁のための部分に塗布した。残りの蒸発(有機物及び金属)は、高真空チャンバ(p<10-7トル)中で実施した。
【0377】
CuPc 20nm 0.1nm/秒
C60 40nm 0.1nm/秒
BCP 4nm 0.1nm/秒
Ag 100nm 0.1nm/秒
セルサイズ=0.01cm2
1サン強度(100mW/cm2)下で測定
oc 520mV
sc 5.4mA/cm2
FF 50%
η 1.4%
sc及びηは、US2002189666号(S.Forrest他、2002年)で報告された最良値よりも低い。これは、異なる材料品質による可能性がある。更に、使用した光源は、UV光をフィルタアウトし、その際、C60は、大きな光子から電荷への変換(350〜400nm)を示す。
【0378】
実施例13
<ITO/PEDOT−PSS/CuPc−mF4/C60/BCP/Ag>
該太陽電池は、実施例12に記載のように構築した。実施例4bからのCuPc−mF4を使用した。セルサイズ及び測定条件は、実施例12での<ITO/PEDOT−PSS/CuPc/C60/BCP/Ag>での測定と同じであった。
【0379】
CuPc−mF4 20nm 0.1nm/秒
oc 740mV
sc 1.3mA/cm2
FF 31%
η 0.3%
【0380】
実施例14
<ITO/PEDOT−PSS/CuPc−oF4/C60/BCP/Ag>
該太陽電池は、実施例12に記載のように構築した。実施例5からの1回昇華されたCuPc−oF4を使用した。セルサイズ及び測定条件は、実施例12での<ITO/PEDOT−PSS/CuPc/C60/BCP/Ag>デバイスでの測定と同じであった。
【0381】
CuPc−oF4 20nm 0.1nm/秒
oc 660mV
sc 4.0mA/cm2
FF 37%
η 1.1%
【0382】
バルクヘテロ接合型セルの作成
<ITO/CuPc:C60(1:1)/C60/BCP/Ag>
ITOを、実施例12に記載されるように製造したが、PEDOT−PSS層は堆積させなかった。該デバイスは、PEDOT−PSSを有さずにもより良好な効率を示した。絶縁層は、ボトム(ITO)及びトップ(Ag)の電極の間にサンプルの絶縁のための部分に塗布した。残りの蒸発(有機物及び金属)は、高真空チャンバ(p<10-7トル)中で実施した。
【0383】
比較例15
CuPc:C60ヘテロ接合層は、同時蒸発によって堆積させる。2つの別個の石英結晶モニタを使用して、各有機源の速度をモニタリングした。2種の材料の間の混合比は、それぞれQCMによって測定された質量%を基礎とするものであった。
【0384】
CuPc:C60 1:1 60nm 両方の材料について0.1nm/秒
C60 2nm 0.1nm/秒
BCP 4nm 0.1nm/秒
Ag 100nm 0.1nm/秒
セルサイズ=0.01cm2
1サン強度(100mW/cm2)下で測定
oc 480mV
sc 12.6mA/cm2
FF 38%
η 2.3%
sc及びηは、Applied Physics Letters 84,4218頁(Uchida他、2004年)で報告された最良の値より低い。これは、引用した参考文献と比較して、異なる材料品質及び/又は異なる厚さによるものである可能性がある。更に、使用した光源は、この実施例では、UV光をフィルタアウトし、その際、C60は、大きな光子から電荷への変換(350〜400nm)を示す。これは、全電流を低下させることがあり、ひいては電力変換効率ηを低下させることがあった。
【0385】
実施例16
<ITO/CuPc−oF4:C60(1:1)/C60/BCP/Ag>
CuPc−oF4は、実施例5bから製造した。比較例15のデバイスと同じ基板手順を採用し、そして同じデバイス構造を使用した。セルサイズ及び測定条件は、比較例15での<ITO/CuPc:C60(1:1)/C60/BCP/Ag>での測定と同じであった。
【0386】
oc 485mV
sc 1.1mA/cm2
FF 30%
η 0.15%
【0387】
以下の実施例17〜22において、太陽電池を以下のように作成した:
【0388】
基板作成
パターン形成されたITO基板は、Lehrstuhl fuer Bildschirmtechnik(シュトゥットガルト)から得た。ITO層の厚さは140nmであり、かつRMS(平均二乗粗さ)は<5nmであった。該基板は、有機堆積前に20分にわたりUVオゾン化した。PEDOT−PSSなどの追加の正孔輸送層は適用しなかった。
【0389】
基本測定設定
実施例11〜16と同じ手順を採用した。全ての測定は、1サン強度(100mW/cm2)下で実施した。
【0390】
材料
C60 Alfa Aeser/CreaPhys 昇華グレード 入手したままで使用
Bphen Sigma Aldrich 入手したままで使用
Ag Acros organics 入手したままで使用
【0391】
蒸発
2種類のセル(二重層及びバルクヘテロ接合(BHJ))を、高真空システム(<10-6ミリバール圧力)中で作成した。
【0392】
二重層セル(ITO/実施例の材料/C60/Bphen/Ag)を、(実施例の材料)とC60とでITO基板上に蒸着させて構築した。堆積は、(実施例の材料)層については0.1nm/秒であり、かつC60については0.2nm/秒であった。Bphen蒸発は、前記混合層の上部に引き続き行った。材料の蒸発温度は、以下の通りである:ZnPc−oF4については470℃、ZnPc−mF4については450℃、ZnPc−oCl4については330℃、C60については390℃、そしてBphenについては120℃である。最後に、100nmのAgをトップコンタクトのために蒸着させた。バルクヘテロ接合型のセル(ITO/実施例の材料:C60(1:1)/C60/Bphen/Ag)構造を構築した。実施例の材料及びC60を、ITO上に同じ速度(0.1nm/秒)で同時蒸発させて、DBPとC60の混合層の体積比を1:1とした。追加のC60層を0.2nm/秒の速度で蒸発させ、特に説明がない限り、引き続きBphen層を、そしてAg層を堆積させる。二重層の場合と同じ蒸発条件を使用した。
【0393】
全ての実施例18〜23において、該デバイスは、0.03cm2の面積を有していた。各層の厚さは、最高の効率が得られるように最適し、そして各実施例において挙げている。
【0394】
二重層セル作成
実施例17
<ITO/ZnPc−mF4/C60/Bphen/Ag>
実施例7からのZnPc−mF4を使用した。
【0395】
厚さ
ZnPc−mF4 20nm
C60 40nm
Bphen 6nm
Ag 100nm
oc 680mV
sc 2.3mA/cm2
FF 46%
η 0.7%
【0396】
実施例18
18a)
<ITO/ZnPc−oF4/C60/Bphen/Ag>
実施例6cからのZnPc−oF4(酢酸亜鉛前駆体、1回昇華)を使用した。
【0397】
厚さ
ZnPc−oF4 20nm
C60 40nm
Bphen 6nm
Ag 100nm
oc 700mV
sc 5.64mA/cm2
FF 70%
η 2.76%
【0398】
18b)
<ITO/ZnPc−oF4/C60/Bphen/Ag>
実施例6dからのZnPc−oF4(亜鉛末前駆体、1回昇華)を使用した。
【0399】
厚さ
ZnPc−oF4 40nm
C60 40nm
Bphen 6nm
Ag 100nm
oc 700mV
sc 5.67mA/cm2
FF 63%
η 2.5%
CuPcの場合と同様に、フッ素化されたものにより、非置換のPCよりも高いVocが得られた。更に、オルト位を有する材料は、二重層セルにおいてはメタ位と比較してより良好な結果をもたらす。
【0400】
実施例19
<ITO/ZnPc−oCl4/C60/Bphen/Ag>
実施例9bからのZnPc−oCl4(1回昇華)を使用した。
【0401】
厚さ
ZnPc−oCl4 10nm
C60 40nm
Bphen 6nm
Ag 100nm
oc 660mV
sc 4.23mA/cm2
FF 71%
η 2.0%
塩素化された銅フタロシアニンも、非置換の銅フタロシアニンよりも高いVocを示した。
【0402】
実施例20
<ITO/CuPc−(o+m)F4/C60/Bphen/Ag>
実施例8からのCuPc−(o+m)F4を使用した。
【0403】
厚さ
CuPc−(o+m)F4 15nm
C60 40nm
Bphen 6nm
Ag 100nm
oc 740mV
sc 1.35mA/cm2
FF 39%
η 0.38%
【0404】
バルクヘテロ接合型セルの作成
実施例21
21a)
<ITO/ZnPc−oF4:C60(1:1)/C60/Bphen/Au>
実施例6cからのZnPc−oF4(酢酸亜鉛前駆体、1回昇華)を使用した。
【0405】
厚さ
ZnPc−oF4:C60 40nm
C60 20nm
Bphen 6nm
Au 80nm
oc 660mV
sc 10.1mA/cm2
FF 50%
η 3.2%
【0406】
21b)
<ITO/ZnPc−oF4:C60(1:1)/C60/Bphen/Ag>
実施例6cからのZnPc−oF4(酢酸亜鉛前駆体、1回昇華)を使用した。
【0407】
厚さ
ZnPc−oF4 30nm
C60 20nm
Bphen 6nm
Ag 100nm
oc 640mV
sc 11.5mA/cm2
FF 50%
η 3.6%
【0408】
21c)
<ITO/ZnPc−oF4:C60(1:1)/C60/Bphen/Ag>
実施例6dからのZnPc−oF4(亜鉛末前駆体、1回昇華)を使用した。
【0409】
厚さ
ZnPc−oF4:C60 40nm
C60 40nm
Bphen 6nm
Au 80nm
oc 640mV
sc 11.5mA/cm2
FF 52%
η 3.8%
【0410】
実施例22
<ITO/ZnPc−oCl4:C60(1:1)/C60/Bphen/Au>
厚さ
ZnPc−oCl4 40nm
C60 20nm
Bphen 6nm
Ag 100nm
oc 680mV
sc 10.3mA/cm2
FF 44%
η 3.1%
【0411】
カスケード型中間層
実施例23
<ITO/PEDOT−PSS/CuPc/CuPc−oF4/C60/BCP/Ag>
CuPc−oF4は、電荷抜き取りを促進するための中間層として使用した。
【0412】
実施例12と同じ基板手順を採用し、そして同じデバイス構造を使用した。CuPc−oF4は、実施例5bから製造した。
【0413】
CuPc 17nm 0.1nm/秒
CuPc−oF4c 2nm 0.1nm/秒
C60 40nm 0.1nm/秒
BCP 4nm 0.1nm/秒
Ag 100nm 0.1nm/秒
oc 560mV
sc 6.6mA/cm2
FF 54%
η 2.0%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Ia及び/又はIb
【化1】

[式中、
1〜R16基の1〜12個は、それぞれハロゲンであり、その他は、それぞれ水素であり、かつ
式Ib中のMは、二価の金属、二価の金属原子含有基もしくは二価のメタロイド基である]の化合物を、電荷輸送材料及び/又は吸収体材料として用いる使用。
【請求項2】
Mが二価の金属である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
1〜R16基の1〜10個が、それぞれハロゲンであり、その他が、それぞれ水素である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
1〜R16基の4個が、それぞれハロゲンであり、その他が、それぞれ水素である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
1〜R16基の8個が、それぞれハロゲンであり、その他が、それぞれ水素である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
1〜R16基がハロゲンであり、全てFであるか、又は全てClである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
式Ib中のMが、CuもしくはZnである、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
式Ib中のMが二価のハロゲン化金属部、好ましくはAl(III)ClもしくはAl(III)Fである、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
有機光電池における半導体材料として又は有機電界効果トランジスタにおける半導体材料として用いる、請求項1から8までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
有機光電池における電荷輸送材料として用いる、請求項1から8までのいずれか1項で定義される一般式Ia及びIbの化合物の使用。
【請求項11】
有機発光ダイオードに電荷輸送材料として用いる、請求項1から8までのいずれか1項で定義される一般式Ia及びIbの化合物の使用。
【請求項12】
電子供与体としての請求項1から8までのいずれか1項で定義される式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物と、電子受容体としてのフラーレン、フラーレン誘導体及びリレン化合物から選択される化合物との、有機太陽電池における光活性層における使用。
【請求項13】
式Ia及び/又はIbの化合物において、R1〜R16基の4個が、それぞれハロゲンであり、その他が、それぞれ水素である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
C60を電子受容体として使用する、請求項12又は13に記載の使用。
【請求項15】
バルクヘテロ接合の形の供与体−受容体接合を有する有機太陽電池における、請求項12から14までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
フラット接合の形の供与体−受容体接合を有する有機太陽電池における、請求項12から14までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
少なくとも1つのカソードと、少なくとも1つのアノードと、光活性材料としての請求項1から8までのいずれか1項で定義される式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物とを有する基板を含む有機太陽電池。
【請求項18】
式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物が、少なくとも1種の更なる異なる半導体材料と組み合わせて使用される、請求項17に記載の有機太陽電池。
【請求項19】
更なる半導体材料が、少なくとも1種のフラーレン及び/又はフラーレン誘導体、特にC60を含む、請求項18に記載の有機太陽電池。
【請求項20】
更なる半導体材料が、少なくとも1種のリレン、特に1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボキシイミドを含む、請求項19に記載の有機太陽電池。
【請求項21】
式Ia及び/又はIbの化合物及び/又は更なる異なる半導体材料が、少なくとも1種のドーパント、特にピロニンB、ローダミン、3,6−ジフルオロ−2,5,7,7,8,8−ヘキサシアノキノジメタン及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種のドーパントと組み合わせて使用される有機太陽電池。
【請求項22】
有機太陽電池が、タンデム型太陽電池である、請求項17から21までのいずれか1項に記載の有機太陽電池。
【請求項23】
フラット接合の形の少なくとも1つの供与体−受容体接合を有する、請求項22に記載の有機太陽電池。
【請求項24】
バルクヘテロ接合の形の少なくとも1つの供与体−受容体接合を有する、請求項22に記載の有機太陽電池。
【請求項25】
式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種のフラーレンもしくはフラーレン誘導体、特にC60を含む、サブセルを含むタンデムセル型の、請求項17から24までのいずれか1項に記載の有機太陽電池。
【請求項26】
少なくとも1つのゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体としての請求項1から8までのいずれか1項で定義される式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物とを有する基板を含む有機電界効果トランジスタ。
【請求項27】
請求項1から8までのいずれか1項で定義される式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物をn型半導体として含む、請求項26に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項28】
請求項1から8までのいずれか1項で定義される式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物をp型半導体として含む、請求項26に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項29】
多数の有機電界効果トランジスタを有する基板であって、該電界効果トランジスタの少なくとも幾つかが、請求項1から8までのいずれか1項で定義される式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物をn型半導体として含む前記基板。
【請求項30】
請求項29に定義される少なくとも1つの基板を含む半導体ユニット。
【請求項31】
請求項1から8までのいずれか1項で定義される式Ia及び/又はIbの少なくとも1種の化合物を含むOLED。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−504292(P2011−504292A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531533(P2010−531533)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064796
【国際公開番号】WO2009/056626
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【出願人】(503115205)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リランド スタンフォード ジュニア ユニヴァーシティ (69)
【Fターム(参考)】