説明

ハロゲン化ローダミン誘導体およびその適用

【課題】殺菌、抗ウイルス活性、免疫学的障害の治療に使われるローダミン誘導体の提供。
【解決手段】例えば、下式4のローダミン誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、薬学的および非薬学的特性のために有用な新規のローダミン誘導体に関する。
【0002】
本発明のローダミン誘導体は強力な殺菌および抗ウイルス活性を示す。
【0003】
これらはまた、単独または薬学的に許容される担体と共に、免疫学的障害の治療および/または予防において有用である。
【0004】
さらに、これらの誘導体は、さらなる新規のローダミン誘導体の合成、および公知のローダミン誘導体の新規合成における中間体として有用である。
【0005】
最後に、本発明はまた、ローダミン誘導体調製のための新規の方法にも関する。
【背景技術】
【0006】
発明の背景
光力学療法は、癌治療のための自己移植片からの新生物細胞根絶法として用いられている。この方法は、特定の波長の光で活性化されると、毒性のO2-ラジカルを生成し、最終的に細胞死を引き起こす、光増感色素の使用に頼っている。光化学治療も、血液および血液由来製剤の「汚染除去」などにおける、病原体不活化のためにも使用されている。全血、濃縮血小板、血漿および/または赤血球の輸血を通じての病原体伝播は、いまだに医学における大きな問題である。微生物の混入に関する予防および血液の安全性維持においては非常に大きな進歩が見られているが、血液成分には病原体移入のリスクが依然として伴う。さらに、混入のリスクは無視できるほどのレベルまで低下したとはいえ、血液成分におけるウイルスの存在、主にC型肝炎およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)の存在が大きな問題である。他のウイルスの存在も要求され、ヒトTリンパ球好性ウイルス1型(HTLV-1)、B型肝炎(HBV)およびサイトメガロウイルスが含まれる。プセウラレン、ポルフィリン、リボフラビンおよびメチレンブルーのジメチルなどの光力学化合物が、血液製剤中の病原体治療に用いられている。これらの化合物は、活性化するために長波長紫外線(UVA)ランプによる照射を必要とし、したがって処理された試料中に存在する残りの細胞の突然変異誘発効果につながる可能性がある。(コラシュ L.(Corash, L.)、「不安定な血液成分における感染性病原体の不活性化:挑戦の集成(Inactivation of infectious pathogens in labile blood components: meeting the challenge)」、Transfus Clin Biol、2001、8、138〜145リン L.(Lin, L.)、ロンド H.(Londe, H.)、ジャンダ M.J.(Janda, M.J.)、ハンソン C.V.(Hanson, C.V.)およびコラシュ L.、「ヒト濃縮血小板における病原性細菌の光化学不活性化(Photochemical inactivation of pathogenic bacteria in human platelet concentrates)」、Blood、1994、83、9、2698〜2706;リン L.、ロンド H.、ハンソン C.V.、ウィースハーン G.(Wiesehahn, G.)、イザークス S.(Isaacs, S.)、シミノ G.(Cimino, G.)およびコラシュ L.、「濃縮血小板における細胞関連ヒト免疫不全ウイルスの光化学不活性化(Photochemical inactivation of cell-associated human immunodeficiency virus in platelet concentrates)」、Blood、1993、82、1、292〜297;リン L.、アイースハーン G.P.(Eisehahn, G.P.)、モレル P.A.(Morel, P.A.)およびコラシュ L.、「濃縮血小板の汚染に対する8-メトキシソラレンおよび長波長の紫外線照射の使用(Use of 8-methoxypsoralen and long-wavelength ultraviolet radiation for decontamination of platelet concentrates)」、Blood、1989、74、1、517〜525;リン L.、クック D.N.(Cook, D.N.)、ウィースハーン G.P.、アルフォンソ R.(Alfonso, R.)、ベールマン B.(Behrman, B.)、シミノ G.D.、コートン L.(Corten, L.)、ダモンテ P.B.(Damonte, P.B.)、ダイクマン R.(Dikeman, R.)、デュピュイス K.(Dupuis, K.)、ファング Y.M.(Fang, Y.M.)、ハンソン C.V.、ヘアスルト J.E.(Heasrt, J.E.)、リン C.Y.、ロンド H.、メチェット K.(Metchette, K.)、ネリオ A.T.(Nerio, A.T.)、プー J.T.(Pu, J.T.)、リームス A.A.(Reams, A.A.)、ラインシュミット M.(Reinschmitt, M.)、テスマン J.(Tessman, J.)、イザークス S.T.、ウォロウィッツ S.(Wollowitz, S.)およびコラシュ L.、「新規ソラレンおよび長波長の紫外線の使用による濃縮血小板のウイルスおよび細菌の光化学不活性化(Photochemical inactivation of viruses and bacteria in platelet concentrates by use of a novel psoralen and long-wavelength ultraviolet light)」、Transfusion、1997、37、423〜435)。血液成分にUVAを曝露するため、これらの技術は完全に満足できるものではない。したがって、血液成分のUVA曝露を必要とせず、より安全でより許容される、UVA処理された血液成分の代替物にもなりうる、新たな光増感誘導体が必要であった。
【0007】
免疫学的障害は、正常な細胞および組織を異物と認識する免疫細胞の産生を原因とする、無制御な細胞増殖である。臨床的に無症状で、長さが一定ではない潜伏期間の後、正常細胞に対して免疫反応性を持つ細胞が、これらの正常な細胞および組織で損傷を誘導する。そのような免疫学的障害は通常、同種免疫状態および自己免疫状態に分けられる。同種免疫障害は主に、同種移植(骨髄および腎臓、心臓、肝臓、肺などの他の臓器)の場合に起こる。骨髄移植の場合、造血幹細胞移植片中に存在する供与者の免疫細胞が宿主の正常組織に対して反応し、移植片対宿主疾患(GVHD)を引き起こす。GVHDは主に肝臓、皮膚、結腸、肺、眼および口に損傷を誘導する。自己免疫疾患は、慢性関節リウマチ、強皮症および紅斑性狼蒼など関節炎状態;真性糖尿病などの内分泌状態;多発性硬化症および重症筋無力症などの神経学的状態;自己免疫溶血性貧血などの血液学的障害などのいくつかを含む。同種免疫および自己免疫障害の両方で、免疫反応が進行すると臓器機能不全および損傷をまねく。
【0008】
治療における重要な進歩があったにもかかわらず、造血幹細胞移植(GVHD)または実質臓器移植(移植片拒絶)のいずれであろうと、免疫学的合併症はいまだに同種移植失敗の第一の原因である。加えて、自己免疫障害は、罹患率および死亡率両方の主要原因である。これらの免疫障害の予防および治療は主に、免疫抑制剤、モノクローナル抗体による治療、放射線療法、および最近では分子阻害剤の使用に頼っている。組み合わせ療法の継続的開発に伴って、転帰の著しい改善が見られるが、これは少数の障害および患者に対するものである。しかし、最も頻繁に行われる移植(骨髄、腎臓、肝臓、心臓および肺)、およびほとんどの免疫障害(慢性関節リウマチ、結合組織病、多発性硬化症など)に対しては、免疫学的機能不全の解消および治癒は得られていない。したがって、免疫学的障害を有する患者の予防および治療のための新たな方法の開発が、特に高リスク患者または病期が進行して、標準の免疫抑制療法に抵抗性の患者のために、非常に必要とされている。いくつかの悪性および非悪性状態の治療に、同種幹細胞移植(AlloSCT)が用いられている。同種幹細胞移植は、悪性細胞、および宿主の造血細胞を除去するため、全身放射線照射と共に、または放射線照射は行わずに、高用量化学療法剤の投与を基礎に行う。次いで、宿主の造血系を置換するために、正常な供与者の造血幹細胞を患者に注入する。AlloSCTは標準の治療法選択肢と比べて、反応率上昇を誘導することが明らかにされている。AlloSCTを用いる際に強調しておく必要のある一つの重要な問題は、免疫細胞を再注入した場合、その後患者の細胞を異物と認識してGVHDを引き起こすことになるリスクに関する。骨髄または末梢血からT細胞を105まで減少させることができる、様々な技術が開発されている。免疫学的および薬理学的パージングを含むこれらの技術は、完全に満足できるものではない。幹細胞移植片をパージングする際の一つの大きな問題は、非宿主反応性T細胞を保存して、移植後に抗感染および抗白血病活性を発揮できるようにすることである。再発性白血病細胞を除去するために供与者のリンパ球を注入する場合に、免疫学的に反応性の細胞を破壊する一方で、正常な宿主非反応性免疫細胞を温存しておくことが可能な光増感分子と合わせて、光力学療法が、AlloSCTまたは自己幹細胞移植(AutoSct)の調製中、およびAlloSCT後に、造血細胞移植片をパージングする能力はあまり探究されていない。T細胞を根絶するために、下記を含むいくつかの方法が提案されている:
1)T細胞表面にある抗原に対するモノクローナル抗体およびイムノトキシンへの移植片のインビトロ曝露(抗CD3、抗CD6、抗CD8など);
2)ダイズ凝集素およびヒツジ赤血球ロゼット形成によるインビトロ選択;
3)CD34+幹細胞の正の選択;および
4)抗胸腺細胞グロブリン、またはモノクローナル抗体の組み合わせによるインビボ療法。
5)インターロイキン2受容体またはOX-40抗原を標的とするモノクローナル抗体またはイムノトキシンによる受容者反応性供与者T細胞のインビトロ曝露(カバザナ-カルボ M.(Cavazzana-Calvo M.)ら(1990)Transplantation、50:1〜7;ティトゥル T.V.(Tittle T.V.)ら(1997)Blood 89:4652〜58;ハリス D.T.(Harris D.T.)ら(1999)Bone Marrow Transplantation 23:137〜44)。
【0009】
しかし、これらの方法はほとんどが、同種反応性T細胞サブセットを特異的に指向しておらず、疾患再発、移植片拒絶、二次悪性病変および重度感染症を含む、多くの問題を伴う。加えて、これらの方法のいくつかの臨床における妥当性は確立されていない。
【0010】
悪性病変の治療における光力学療法の使用については、多くの報告がある(ダニエル M.D.(Daniell M.D.)、ヒル J.S.(Hill J.S.)(1991)Aust. N. Z. J. Surg.、61:340〜348)。この方法は、様々な起源の癌に適用されており、最近ではウイルスおよび病原体の根絶に適用されている(ラーブ O.(Raab O.)(1990)Infusion Z. Biol.、39:524)。
【0011】
様々な天然または合成的に産生される光活性化可能な物質を用いた、癌治療のための光力学療法の使用に関する初期の実験は、今世紀初頭に報告された(ジェシオネク A.(Jesionek A.)、タッペイナー V.H.(Tappeiner V.H.)(1903)Muench Med Wochneshr、47:2042;ハウスマン W.(Hausman W.)(1911)Biochem. Z.、30:276)。40年代および60年代に、様々な腫瘍型が、インビトロおよびインビボの両方で光力学療法に供された(ケッセル、デビッド(Kessel, David)(1990)Photodynamic Therapy of neoplastic disease、第I巻、第II巻、CRC Press. デビッド・ケッセル編、ISBN 0-8493-5816-7(第1巻)、ISBN 0-8493-5817-5(第2巻))。ドウアーティ(Dougherty)ら、および他の研究者らは、70年代および80年代に、光力学療法の腫瘍学的適用の可能性を系統的に探究した(ドウアーティ T.J.(1974)J. Natl Cancer Inst.、51:1333〜1336;ドウアーティ T.J.ら(1975)J. Natl Cancer Inst.、55:115〜121;ドウアーティ T.J.ら(1978)Cancer Res.、38:2628〜2635;ドウアーティ T.J.(1984)Urol. Suppl.、23:61;ドウアーティ T.J.(1987)Photochem. Photobiol.、45:874〜889)。
【0012】
光力学療法による免疫反応性細胞の処理
現在のところ、免疫反応性細胞を選択的に破壊することが可能である一方で、正常であるが、抑制された残りの細胞群を無傷のままにする物質はない。白血病(ジャミーソン C.H.(Jamieson C.H.)ら(1990)Leuk. Res.、14:209〜219)およびリンパ球様細胞(グレイニクス H.T.(Greinix H.T.)ら、Blood(1998)92:3098〜3104;ジック J.A.(Zic J.A.)ら、Therapeutic Apheresis(1999)3:50〜62に総説掲載)に対する光増感色素の選択的取り込み、および光力学療法の細胞毒性が以前に示されている。
【0013】
下記の特徴の少なくとも一つを有する光増感剤を提供することが、非常に望まれていると考えられる:
i)選択的局在化および免疫反応性細胞による取り込み;
ii)適当な光強度の適用により、光増感剤を蓄積し、保持している細胞を死滅させること;
iii)活性化光増感剤の破壊効果から、正常な造血幹細胞画分を温存すること;および
iv)同種または自己幹細胞移植の調製として、免疫反応性細胞の造血幹細胞パージングのために光増感剤を用いる可能性。
v)免疫学的障害を有する患者において反応性免疫細胞をエクスビボで除去するために光増感剤を用いる可能性。
【0014】
ローダミン色素
ローダミン123(2-(6-アミノ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸メチルエステル塩酸塩)、ピリリウム類の親油性カチオン色素で、高濃度曝露および/または光力学療法により、細胞のホメオスタシスを崩壊することができ、細胞分裂抑制性または細胞毒性でありうるが、量子収量は非常に低い(ダージンキーウィクツ Z.(Darzynkiewicz Z.)、カーター S.(Carter S.)、(1988)Cancer Res.、48:1295〜1299)。これは生きているミトコンドリアのための特異的蛍光染料としてインビトロで用いられている。これは多くの腫瘍細胞型に取り込まれ、選択的に保持されて、膜およびミトコンドリア機能を変更することにより腫瘍細胞の増殖および生存を損なう(オセロフ A.R.(Oseroff A.R.)(1992)「光力学療法(Photodynamic therapy)」(ヘンダーソン B.W.(Henderson B.W.)、ドウアーティ T.J.編)ニューヨーク:Marcel Dekker、79〜91ページ)。インビボで、ローダミン123による化学療法は癌マウスの生存を延長することができるが、腫瘍の治療にローダミン123を用いる当初の試みにもかかわらず、ローダミン123の全身毒性が有用性を制限する可能性がある(バーナル S.D.(Bernal, S.D.)ら(1983)Science、222:169;パワーズ S.K.(Powers, S.K.)ら(1987)J. Neurosur.、67:889)。
【0015】
リチャード L.エデルソン(Richard L. Edelson)による1986年9月16日に発行された米国特許第4,612,007号は、ヒト被検者の血液系における機能性リンパ球群を減少させることを目的として、ヒト血液を体外で処理する方法を開示している。被検者から採取した血液を、リンパ球-DNAと光付加物を形成することができる溶解した光活性剤存在下で、紫外線照射野を通過させる。この方法は下記の短所および欠陥を有する。前述の方法は、患者の血液を体外で処理するために、公知の市販の光活性化学物質を用いることを基本としており、工程中、骨髄および定住している可能性がある白血病クローンを無傷のままに保つ。リチャード L.エデルソンによれば、この方法は標的細胞群を減少させるだけで、根絶することはない。さらに、リチャード L.エデルソンによって提唱された方法で用いられるUV照射の波長範囲は、正常細胞に損傷を与える可能性がある。
【0016】
国際公開公報第99/00005号として1993年1月7日発表の国際特許出願は、体液中の病原体を不活化する一方で、光増感剤によって引き起こされる有害作用を最小にする方法を開示している。この方法は本来、病原体の破壊を行う条件下、光活性物質存在下で細胞を処理すること、および所定の期間、処理した細胞と他の細胞外蛋白質との接触を防止することを含む。この方法は、保存または輸血前に、採取した血液およびその成分から感染因子を根絶することに関する。
【0017】
これらの欠点を克服する一方で、患者に対する全身毒性を持たない、免疫反応細胞の処理のための新規のローダミン誘導体を提供することは、非常に望ましいと考えられる。
【0018】
ハロゲン化ローダミン塩は、細胞を透過し、一般にミトコンドリアに局在する性質を有する色素である。これらは、特定の型の細胞、すなわち白血病の癌細胞および自己免疫疾患の活性化T細胞を死滅させるために、光活性化と合わせて用いられている。
【0019】
細胞死滅作用のために一般に認められているメカニズムは、細胞の生命維持のための生物学的プロセス破壊における反応性中間体である、一重項酸素の産生である。
【0020】
一重項酸素産生におけるローダミン色素の役割は、光増感剤の役割、すなわち入射光エネルギーを吸収して、それを基底状態の酸素に移し、それにより酸素を反応性中間体である一重項励起状態まで上昇させる分子の役割である。
【0021】
エネルギー転移プロセスの有効性は、色素の芳香族発色団上にハロゲンなどの重原子が存在することにより、大きく増強されることがさらに知られている。
【0022】
しかし、取り組まれていない一つの重大な問題は、他の正常な細胞に対して、標的細胞による光増感剤の特異的取り込みである。事実、取り込みは一般に、吸収される色素の分子構造の機能であり、この性質は異なる細胞型によって変動することが知られている。
【0023】
したがって、分子の異なる位置に様々な置換基を有する一連の新規のハロゲン化ローダミン色素を提供し、それによって特定の標的細胞に対する新たな選択的色素を利用可能にすることは、非常に望ましいと考えられる。
【0024】
本発明の一つの目的は、下記の特徴を備えた新規の光増感剤を生成することである:
i)選択的局在化および免疫反応性細胞による取り込み;
ii)適当な光強度の適用により、光増感剤を蓄積し、保持している細胞を死滅させること;
iii)活性化光増感剤の破壊効果から、正常な造血幹細胞画分を温存すること;
iv)同種または自己幹細胞移植の調製において、免疫反応性細胞の造血幹細胞パージングのために光増感剤を用いる可能性;および
v)免疫学的障害を有する患者において反応性免疫細胞をエクスビボで除去するために光増感剤を用いる可能性。
【0025】
したがって、本発明に従い、一連の新規のローダミン誘導体が、単独または薬学的に許容される担体と共に提供され、それによって誘導体の光活性化が細胞の死滅を誘導する一方で、式(I)で表される一般構造の不活性化誘導体、およびその塩は、細胞に対して実質的に無毒性である。
【0026】
本発明に従い、正常細胞に作用せず、かつ患者に全身毒性を引き起こすさない、免疫学的反応性細胞の選択的破壊および/または不活化のための光力学治療のための、本発明の光活性化可能なローダミン誘導体の使用であって、誘導体の適当な細胞内レベルが達成され、適当な波長および強度の照射が適用される使用も提供される。
【0027】
本発明に従い、患者における同種幹細胞移植に伴う移植片対宿主疾患の予防法であって、下記の段階を含む方法も提供される:
a)供与者の細胞を宿主の細胞と、免疫反応が起こる期間として十分な時間混合することにより、供与者からのリンパ球を活性化する段階;
b)適当な波長照射下で、請求項1記載の光活性化可能な誘導体または組成物の治療量を用いて、光力学療法により段階a)の活性化リンパ球を実質的に除去する段階;および
c)段階b)の処理混合物を用いて、同種幹細胞移植を行う段階。
【0028】
本発明に従い、患者における免疫学的障害の治療法であって、下記の段階を含む方法が提供される:
a)患者の造血細胞を採取する段階;
b)適当な波長照射下で、請求項1記載の光活性化可能な誘導体または組成物の治療量を用いて、光力学療法により段階a)の造血細胞をエクスビボで処理する段階;および
c)段階b)の処理造血細胞を用いて、移植片注入または自己移植を行う段階。
【0029】
免疫学的障害は、移植片対宿主疾患、移植片拒絶、自己免疫疾患およびT細胞仲介性免疫アレルギーなどの、自己細胞または供与者細胞が宿主組織または異物標的に対して反応する状態からなる群より選択されうる。
【0030】
造血細胞は骨髄、末梢血、および脊髄血単核細胞からなる群より選択されうる。
【0031】
本発明の目的のために、以下の用語を下記に定義する。
【0032】
「免疫反応性障害」なる用語は、いかなる同種免疫または自己免疫反応および/または障害をも意味することが意図される。
【0033】
本発明の他の局面に従い、公知で容易に入手可能なローダミン色素をハロゲン化する一般戦略にしたがって調製し、それにより第一の、様々な一連の中間体を生成し、これら中間体自体が光増感剤の可能性を持つものとして役立ちうるか、またはこれらのハロゲン化ローダミンを、構造式(I)の基の一つが一つまたは複数のハロゲンで置換されている第二の一連のローダミン色素合成における中間体として用いる、これらのローダミン化合物。すべてのハロゲンが新しい基で置き換えられている場合、続くハロゲン化段階を順序に加えて、所望の構造Iの化合物を得る(図1から図5参照)。
【0034】
様々な細胞型に対するこれらの化合物の試験により、驚くことに、候補分子のいくつかが公知のハロゲン化ローダミン色素に比べて無毒性で、より有効性が高く、かつより選択的であることが判明した。
【発明の概要】
【0035】
本発明は、単独または薬学的に許容される担体と組み合わせた、下記の式(I)のローダミン誘導体に関する:
【化1】

式中、
R1、R2、R3、R4、およびR10の一つはハロゲン原子であり、残りの各R1、R2、R3、R4、および残りの各R10基は、水素、ハロゲン原子、アミノ、アシルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アザシクロアルキル、アルキルシクロアルキルアミノ、アロイルアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルアラルキルアミノ、アリールアラルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、シアノ、ヒドロキシスルホニル、アミドスルホニル、ジアルキルアミドスルホニル、アリールアルキルアミドスルホニル、ホルミル、アシル、アロイル、アルキル、アルキレン、アルケニル、アリール、アラルキル、ビニル、アルキニル基からなる群および対応する置換された基からなる群より独立に選択され;
m=0〜1であり;
n=1〜4であり;
Aは無い、O、またはNHであり;
R9はアルキレン基であり;
ZはH、アミノ、ジアルキルアミノ、またはトリアルキルアミノ塩であり;
Xはアニオンであり;かつ
R5、R6、R7およびR8は独立にHもしくはC1〜C6アルキルであるか、またはR1とR5もしくはR6との組み合わせ、またはR2とR5もしくはR6との組み合わせ、またはR3とR7もしくはR8との組み合わせ、またはR4とR7もしくはR8との組み合わせがアルキレンである。
【0036】
本発明はまた、1から5で定義される式(II)から(VII)の中間体および式(I')の中間体であって、特に式(I)のローダミン誘導体の合成において有用な中間体にも関する。
【0037】
本発明はさらに、式(I)の新規のローダミン誘導体であって、R1からR10、A、X、Y、Y'およびZの様々な基、ならびにmおよびnは前述の定義のとおりであり、前述の定義の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく誘導体合成のための新規の方法に関する。この方法は、図1から5に示す反応式および対応する説明部分によって定義されている。
【0038】
本発明のローダミン誘導体は単独または担体との組み合わせで、グラム陽性および/またはグラム陰性菌によって発症する感染症を治療するために有用である。エンベロープを有するウイルスまたはエンベロープを持たないウイルスによって発症する疾患の治療においても同様である。
【0039】
これらの化合物は免疫学的障害のインビボおよびエクスビボ治療においても有用である。
【0040】
表記の意味を以下に示す:
HA-X-164:2,7-ジブロモローダミンBメチルエステルの酢酸塩(4)
HA-X-149:2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルの酢酸塩(8)
HA-X-171:4,5-ジブロモローダミン6G(11)
HA-X-40:2'-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)4',5'-ジクロロ-安息香酸メチルエステル塩酸塩(10)
HA-X-44:4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル(13)
HA-VIII-92:ローダミンB3-ブロモプロピルエステル(14)
TH9402:4,5-ジブロモローダミンメチルエステル123
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】置換4および2,7ハロゲン化ローダミン誘導体の一般合成を示す図である。
【図2】置換2および4,5ハロゲン化ローダミン誘導体の一般合成を示す図である。
【図3】置換4-および2,7-ハロゲン化ローダミン誘導体の一般合成を示す図である。
【図4】置換2-および4,5-ハロゲン化ローダミン誘導体の一般合成を示す図である。
【図5】置換2-および4,5-ハロゲン化ローダミン誘導体の一般合成を示す図である。
【図6】ローダミン誘導体の大腸菌に対する静菌活性を示す図である。大腸菌株を50uMのローダミン誘導体で排出時間(extrusion time)なしで処理した。認められた作用を細菌増殖低下の対数で表している:HA-X-40:0,6 log;XA-X-44:根絶;HA-X-164:0,25 log;HA-X-171:3,7 logs;HA-VIII-92:6,2 logs;TH9402:7 logs。LBは化合物なしの増殖。
【図7】ローダミン誘導体の緑膿菌(P. aeruginosa)に対する静菌活性を示す図である。緑膿菌株を50uMのローダミン誘導体で排出時間なしで処理した。認められた作用を細菌増殖低下の対数で表している:TH9402:2 logs。LBは化合物なしの増殖。
【図8】ローダミン誘導体のネズミチフス菌(S. typhimurium)に対する静菌活性を示す図である。ネズミチフス菌株を50uMのローダミン誘導体で排出時間なしで処理した。認められた作用を細菌増殖低下の対数で表している:XA-X-44:5 logs;HA-X-164:0,3 log;TH9402:6,7 logs。LBは化合物なしの増殖。
【図9】ローダミン誘導体の緑膿菌に対する静菌活性を示す図である。緑膿菌株を50uMのローダミン誘導体で排出時間なしで処理した。認められた作用を細菌増殖低下の対数で表している:TH9402:2 logs。LBは化合物なしの増殖。
【図10】サイトメガロウイルスで試験したローダミン誘導体の抗ウイルス活性を示す図である。FS細胞におけるウイルス感染性および増殖の低下の対数。化合物を50uM、排出時間なしで加えた。FS細胞におけるウイルス感染性および増殖の低下の対数。化合物を50uM、排出時間なし、光活性化なしで加えた。
【図11】表皮ブドウ球菌(Staphilococcus epidermitis)を示す図である。TH9402は50uM、排出時間なしで表皮ブドウ球菌の細菌増殖を阻害する。
【図12】表皮ブドウ球菌を示す図である。HA-X-40は50uM、排出時間なしで表皮ブドウ球菌の増殖に対する静菌作用を示し、細菌増殖低下は2 logsである。
【図13】表皮ブドウ球菌を示す図である。HA-X-40は50uM、排出時間90分で表皮ブドウ球菌の細菌増殖を根絶する。
【図14】表皮ブドウ球菌を示す図である。XA-X-44は50uM、排出時間なしで表皮ブドウ球菌の細菌増殖を根絶する。
【図15】表皮ブドウ球菌を示す図である。HA-X-149は50uM、排出時間なしで表皮ブドウ球菌の増殖に対する静菌作用を示し、細菌増殖低下は4,5 logsである。
【図16】表皮ブドウ球菌を示す図である。HA-X-164は50uM、排出時間なしで表皮ブドウ球菌の増殖に対する静菌作用を示し、細菌増殖低下は3 logsである。
【図17】表皮ブドウ球菌を示す図である。HA-X-171は10uM、排出時間なしで表皮ブドウ球菌の増殖に対する静菌作用を示し、細菌増殖低下は6,5 logsである。
【図18】表皮ブドウ球菌を示す図である。HA-VIII-92は10uM、排出時間なしで表皮ブドウ球菌の増殖に対する静菌作用を示し、細菌増殖低下は4 logsである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
発明の詳細な説明
本発明の第一の目的は、単独または薬学的に許容される担体と組み合わせた、下記の式(I)のローダミン誘導体からなる:
【化2】

式中、
R1、R2、R3、R4、およびR10の一つはハロゲン原子であり、残りの各R1、R2、R3、R4、および残りの各R10基は、水素、ハロゲン原子、アミノ、アシルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アザシクロアルキル、アルキルシクロアルキルアミノ、アロイルアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルアラルキルアミノ、アリールアラルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、シアノ、ヒドロキシスルホニル、アミドスルホニル、ジアルキルアミドスルホニル、アリールアルキルアミドスルホニル、ホルミル、アシル、アロイル、アルキル、アルキレン、アルケニル、アリール、アラルキル、ビニル、アルキニル基からなる群および対応する置換された基からなる群より独立に選択され;
m=0〜1であり;
n=1〜4であり;
Aは無い、O、またはNHであり;
R9はアルキレン基であり;
ZはH、アミノ、ジアルキルアミノ、またはトリアルキルアミノ塩であり;
Xはアニオンであり;かつ
R5、R6、R7およびR8は独立にHもしくはC1〜C6アルキルであるか、またはR1とR5もしくはR6との組み合わせ、またはR2とR5もしくはR6との組み合わせ、またはR3とR7もしくはR8との組み合わせ、またはR4とR7もしくはR8との組み合わせがアルキレンであり、
ただし下記の特定の化合物は除外される:
TH9402とも呼ばれる、4,5-ジブロモローダミン123 (2-(4,5-ジブロモ-6-アミノ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル塩酸塩);
4,5-ジブロモローダミン123 (2-(4,5-ジブロモ-6-アミノ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸エチルエステル塩酸塩);
4,5-ジブロモローダミン123 (2-(4,5-ジブロモ-6-アミノ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸オクチルエステル塩酸塩);
4,5-ジブロモローダミン110 n-ブチルエステル(2-(4,5-ジブロモ-6-アミノ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩);および
ローダミンB n-ブチルエステル(2-(6-エチルアミノ-3-エチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩)。
【0043】
本発明の本目的の好ましい態様にしたがって:
「アルキル」とは、直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、および同じでも、または異なっていてもよく、かつハロ、アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルオキシ、アラルキルチオ、およびシクロアルキルからなる群より選択される、一つまたは複数の置換基を有する対応する置換アルキル基を意味し、かつ「分枝」とは、メチル、エチルまたはプロピルなどの低級アルキル基が線状のアルキル鎖に結合されていることを意味し、好ましいアルキル基には約1から約6個の炭素を有するアルキル基である「低級アルキル」基が含まれ、例示的アルキル基はメチル、エチル、イソプロピル、ヘキシル、シクロヘキシルメチルであり、メチルまたはエチル基がより好ましく;
「シクロアルキル」とは、好ましくは4から10個の炭素原子からなる非芳香環を意味し、環状アルキルは部分的に不飽和でもよく、好ましい環状アルキル環にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが含まれ、該シクロアルキル基はアリール基置換基で選択的に置換されていてもよく、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基が好ましく;
「アルケニル」とは、炭素-炭素二重結合を含み、好ましくは直鎖内に2から5個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、例示的な基にはアリルビニルが含まれ;
「アルキニル」とは、炭素-炭素三重結合を含み、好ましくは直鎖内に2から5個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、例示的な基にはエチニル、プロパルギルが含まれ;
「アリール」とは、フェニルまたはナフチル、あるいはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、カルボキシ、アロイル、ハロ、ニトロ、トリハロメチル、シアノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アルキルチオ、アリールチオ、アルキレンまたはYおよびY'が独立に水素、アルキル、アリール、もしくはアラルキルである-NYY'からなる群より選択される置換基の少なくとも一つによって置換されているフェニルまたはナフチルなどの、好ましくは6から10個の炭素原子を含む、芳香族炭素環ラジカル、または置換炭素環ラジカルを意味し;
「アラルキル」とは、アルキルのH原子がアリール基で置換されているラジカルを意味し、例示的アラルキル基はベンジルであり;
「アシル」とは、アルキル基が前述のとおりである、アルキル-CO-基を意味し、好ましいアシルはアルキル基に1から3個の炭素原子を含むアルキルを有し、例示的な基にはアセチル、プロパノイル、2-メチルプロパノイル、ブタノイルまたはパルミトイルが含まれ;
「アロイル」とは、アリール基が前述のとおりである、アリール-CO-基を意味し、好ましくは6から10個の炭素原子を環に含み、例示的な基にはベンゾイルならびに1-および2-ナフトイルが含まれ;
「アルコキシ」とは、アルキル基が前述のとおりである、アルキル-O-基を意味し、例示的アルコキシ基にはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、およびヘプトキシが含まれ;
「アリールオキシ」とは、アリール基が前述のとおりである、アリール-O-基を意味し、例示的アリールオキシ基にはフェノキシおよびナフトキシが含まれ;
「アルキルチオ」とは、アルキル基が前述のとおりである、アルキル-S-基を意味し、例示的アルキルチオ基にはメチルチオ、エチルチオ、i-プロピルチオおよびヘプチルチオが含まれ;
「アリールチオ」とは、アリール基が前述のとおりである、アリール-S-基を意味し、例示的アリールチオ基にはフェニルチオ、ナフチルチオが含まれ;
「アラルキルオキシ」とは、アラルキル基が前述のとおりである、アラルキル-O-基を意味し、例示的アラルキルオキシ基はベンジルオキシであり;
「アラルキルチオ」とは、アラルキル基が前述のとおりである、アラルキル-S-基を意味し、例示的アラルキルチオ基はベンジルチオであり;
「ジアルキルアミノ」とは、YおよびY'の両方が前述のアルキル基である、-NYY'基を意味し、例示的アルキルアミノにはエチルアミノ、ジメチルアミノおよびジエチルアミノが含まれ;
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル基が前述のとおりである、アルキル-O-CO-基を意味し、例示的アルコキシカルボニル基にはメトキシ-およびエトキシ-カルボニルが含まれ;
「アリールオキシカルボニル」とは、アリール基が前述のとおりである、アリール-O-CO-基を意味し、例示的アリールオキシカルボニル基にはフェノキシ-およびナフトキシ-カルボニルが含まれ;
「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキルが前述のとおりである、アラルキル-O-CO-基を意味し、例示的アラルコキシカルボニル基はベンジルオキシカルボニルであり;
「カルバモイル」はH2N-CO-基であり;
「アルキルカルバモイル」は、YおよびY'の一方が水素であり、YおよびY'の他方が前述のアルキルである、Y'YN-CO-基であり;
「ジアルキルカルバモイル」は、YおよびY'の両方が前述のアルキルである、Y'YN-CO-基であり;
「アシルアミノ」は、アシルが前述のとおりである、アシル-NH基であり;
「アロイルアミノ」は、アロイルが前述のとおりである、アロイル-NH基であり;
「アルキレン」とは、好ましくは2から8個の炭素原子を有する、直鎖または分枝二価炭化水素鎖の基を意味し、アルキレン基は一つまたは複数の置換窒素原子が挿入されていてもよく、ただし窒素原子の置換基はアルキルまたは酸素もしくは硫黄原子であり、かつ目下アルキレン基は2から3個の炭素原子を有することがより好ましく、例示的アルキレン基にはエチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、-CH2NMe-CH2-、O-CH2-Oまたは-O-CH2CH2-O-が含まれ;
「ハロ」とは、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味し;
「アザシクロアルキル」とは、好ましくは、メチレン基の一つが窒素によって置換されている、4から9員環飽和炭素環を意味し;
「シクロアルキルアミン」とは、YおよびY'の一方が水素であり、YおよびY'の他方が前述のシクロアルキルである、-NYY'基を意味し;
「アルキルシクロアルキルアミノ」とは、YおよびY'の一方が前述のアルキルであり、YおよびY'の他方が前述のシクロアルキルである、-NYY'基を意味し;
「ジアリールアミノ」とは、YおよびY'の両方が前述のアリール基である、-NYY'基を意味し;
「アラルキルアミノ」とは、YおよびY'の一方が水素であり、YおよびY'の他方が前述のアラルキルである、-NYY'基を意味し;
「アリールアルキルアミノ」とは、YおよびY'の一方が前述のアルキルであり、YおよびY'の他方が前述のアリールである、-NYY'基を意味し;
「アルキルアラルキルアミノ」とは、YおよびY'の一方が前述のアルキルであり、YおよびY'の他方が前述のアラルキルである、-NYY'基を意味し;
「アリールアラルキルアミノ」とは、YおよびY'の一方が前述のアリールであり、YおよびY'の他方が前述のアラルキルである、-NYY'基を意味し;
「メルカプト」は、-SHか、またはRが前述の基R1からR10のいずれかでありうるSR基であり、-SH、メルカプトアリールおよびメルカプトアルキル基が好ましく;
「ヒドロキシスルホニル」は-SO3Hであり;
「アミドスルホニル」は-SO2NH2であり;
「ジアルキルアミドスルホニル」とは、YおよびY'の両方が前述のアルキル基である、-SO2NYY'基を意味し;
「アリールアラルキルアミドスルホニル」とは、YおよびY'の一方が前述のアリールであり、YおよびY'の他方が前述のアラルキルである、-SO2NYY'基を意味し;かつ
「アニオン」とは、有機または無機酸の脱プロトン型を意味し、該アニオンは好ましくは塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、シクロヘキサンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、スルファミン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、エタンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、およびキナ酸塩から選択される。ローダミン誘導体が一つまたは複数の酸置換基を有する場合、対象となる化合物は内部塩または下記の塩基のいずれかで中和して誘導される任意の塩を含む:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、アンモニア、エチレンジアミン、リシン、ジエタノールアミン、ピペラジンなど。
【0044】
本発明の好ましい態様は、R1基、R2基、R3基、R4基、およびR10基の少なくとも二つがハロゲン原子、好ましくは臭素原子である、ローダミン誘導体からなる。
【0045】
一つまたは複数のハロゲン原子が環上の2-7位、4-5位もしくは4'-5'位にあるか、またはエステル鎖の末端にある、ローダミン誘導体がより好ましい。
【0046】
下記の特定のローダミン誘導体が特に興味深い:
2'-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)4',5'-ジクロロ-安息香酸メチルエステル塩酸塩;
4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル;
2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルの酢酸塩;
2,7-ジブロモローダミンBメチルエステルの酢酸塩;
4,5-ジブロモローダミン6G;および
ローダミンB 3-ブロモプロピルエステル。
【0047】
本発明の第二の目的は、式(II)から(VII)および(I')によって表される中間体からなり、ここで様々な基は、いかなる但し書きを伴わずに前述で定義されている。中間体は図1から図5において定義されている。
【0048】
本発明の第三の目的は、式(I)の新規のローダミン誘導体合成のための新規の方法からなるが、ここでR1からR10、A、X、Y、Y'およびZの様々な基、ならびにmおよびnは、前述の定義の最後に条件として挙げられた化合物を除外することなく、前述の定義のとおりである。図1から図5に示す反応式および対応する説明部分によってこれらの方法は定義されている。
【0049】
本発明の第四の目的は、式(I)のローダミン誘導体の定義の最後に条件として挙げられた化合物を除外することなく、本発明の第一の目的において定義された少なくとも一つのローダミン誘導体の、単独または担体と組み合わせた、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって発症する感染症を治療するための使用からなる。
【0050】
本発明の好ましい態様に従い、ローダミン誘導体は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermitis)によって発症する感染症を治療するための使用である。
【0051】
特に興味深いのは下記のとおりである:
4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステルの、大腸菌(Escherichia coli)O157:H7および/またはネズミチフス菌(Salmonella thyphimurium)LT2に対する静菌剤としての使用;
2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルの酢酸塩の、ネズミチフス菌LT2に対する静菌剤としての使用;
-4,5-ジブロモローダミン6Gの、大腸菌O157:H7に対する静菌剤としての使用;
ローダミンB 3-ブロモプロピルエステルの、大腸菌O157:H7に対する静菌剤としての使用;ならびに
4,5-ジブロモローダミンメチルエステルの、大腸菌O157:H7、ネズミチフス菌LT2および/または緑膿菌に対する静菌剤としての使用。
【0052】
この治療的使用のために好ましくは、一つまたは複数のローダミン誘導体は、薬学的に許容される、好ましくは5%マンニトールおよび/またはDMSOからなる群より選択される担体と組み合わされる。
【0053】
いかなる担体も可能であるが、許容される担体は好ましくは水またはDMSO中の5%マンニトールからなる。
【0054】
2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルの酢酸塩、HA-X-149、HA-X-164の場合、担体は好ましくはDMSOからなる。
【0055】
本発明の第五の目的は、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって汚染された液体の処理のための静菌組成物からなり、組成物は、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく前述で定義された少なくとも一つのローダミン誘導体の有効量を、単独または担体との組み合わせで含む。
【0056】
本発明の第六の目的は、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって汚染された部位の処理のための静菌溶液からなり、溶液は、いかなる但し書きを伴わずに前述で定義された少なくとも一つの式(I)のローダミン誘導体の有効量を、単独またはグラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって発症する感染症を治療するための担体との組み合わせで含む。
【0057】
本発明の第七の目的は、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって発症する感染症を治療するための方法を含み、方法は、いかなる但し書きを伴わずに前述で定義された少なくとも一つの式(I)のローダミン誘導体の有効量を、単独または担体との組み合わせで、必要性のあるヒトまたは動物に投与する段階を含む方法からなる。
【0058】
この方法の好ましい態様に従い、投与される有効量は1日に体重1キログラムあたり0.5から200mgの間に含まれる。
【0059】
本発明の第八の態様は、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって発症する感染症を治療するための、定義の最後に条件として挙げられた化合物を除外することなく、前述で定義された少なくとも一つの式(I)のローダミン誘導体の有効量を、単独または担体との組み合わせで含む医薬品からなる。
【0060】
本発明の第十の目的は、エンベロープを持つ(enveloped)ウイルスまたはエンベロープを持たないウイルスによって発症する疾患の治療における、いかなる但し書きを伴わずに前述で定義された少なくとも一つのローダミン誘導体またはその塩の有効量の、単独または担体との組み合わせでの使用からなる。
【0061】
好ましくは、エンベロープを持つウイルスは二本鎖DNAを持つもの、より好ましくは、ヘルペスウイルス科の一つである。
【0062】
本発明の第十一の目的は、ウイルス感染症を治療するための、式(I)のローダミン誘導体の定義の最後に挙げられた化合物を除外することなく、前述で定義された少なくとも一つのローダミン誘導体またはその塩の有効量を、単独または担体との組み合わせで含む医薬品からなる。
【0063】
本発明のさらに好ましい態様は、サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての、下記の使用である:
4,5-ジブロモローダミン2'-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)-4',5'-ジクロロ安息香酸メチルエステル塩酸塩;
サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチル;
サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての4,5-ジブロモローダミンメチルエステル;および
2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルの酢酸塩。
【0064】
本発明のもう一つの好ましい態様は、サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステル酢酸塩からなる。
【0065】
サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルの酢酸塩の使用。
【0066】
本発明の第十二の目的は、免疫学的障害の治療における、いかなる但し書きを伴わずに前述で定義された式(I)のローダミン誘導体の使用である。
【0067】
好ましい態様に従い、使用は、照射により高量子収量産生および一重項酸素生成を増強する一方で、正常細胞と癌細胞との間でローダミンの望ましい差示的(differential)保持を維持することに関し、前記式(I)のローダミン誘導体は前述で定義され、否認はない。
【0068】
もう一つの態様に従い、使用は、ヒト癌細胞を破壊することによる、癌患者の光力学療法に関し、誘導体の適当な細胞内レベルが達成され、適当な波長および強度の照射が適用される。
【0069】
さらに好ましい態様に従い、本発明の使用は、白血病、播種性多発性骨髄腫、またはリンパ腫を患う患者の光力学療法のための方法であって、下記の段階を含む方法に関する:
a)患者のヒト骨髄を採取する段階;
b)段階a)の骨髄を、適当な波長照射下で、定義の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく、式(I)の光活性化可能な誘導体の治療量を用いて、光力学療法によりパージングする段階;および
c)パージングした段階b)の骨髄を用いて、自己幹細胞移植を行う段階。
【0070】
好ましくは、段階b)のパージングは、集中化学治療および全身放射線照射(TBI)の手順をさらに含む。
【0071】
もう一つの好ましい態様は、外科的切除または容積低下を達成できる、乳癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌および大腸癌、播種性黒色腫ならびに肉腫の転移からなる群より選択される、固形腫瘍の転移を含むヒト骨髄をインビトロでパージングする方法であって、下記の段階を含む方法に関する:
a)患者のヒト骨髄を採取する段階;
b)段階a)の骨髄を、適当な波長照射下で、いかなる但し書きを伴わずに前述で定義された少なくとも一つの式(I)の光活性化可能な誘導体の治療量を用いて、光力学療法によりパージングする段階;および
c)段階b)のパージングした骨髄を用いて、自己幹細胞移植を行う段階。
【0072】
好ましくは、段階b)のパージングは、集中化学治療および全身放射線照射(TBI)の手順をさらに含む。
【0073】
本発明の本目的のさらなる態様は、患者に、いかなる但し書きを伴わずに前述で定義された少なくとも一つの式(I)の光活性化可能な誘導体の治療的に許容される細胞内レベルを投与する段階、および患者に治療的に適当な波長を照射する段階を含む、癌患者の光力学療法のための方法である。
【0074】
好ましくは、少なくとも一つの光活性化可能な誘導体を、光放射を直接あてることが可能な腫瘍部位または硬性もしくは軟性の内視鏡を用いてレーザー光線をあてることが可能な腫瘍部位で、点滴注入、注射、血流拡散により投与する。
【0075】
より好ましくは、レーザーをあてることが可能な(laser-accessible)腫瘍部位は、膀胱、口腔、食道、胃、下部消化管、上気道および下気道からなる群より選択される。
【0076】
本発明の本目的のもう一つの好ましい態様は、それにより患者の全身毒性を引き起こすことのない、患者における白血病の治療法であって、下記の段階を含む方法からなる:
a)患者の骨髄からの癌性クローンをパージングする段階;
b)段階a)のパージングしたクローンを、患者の正常細胞には作用しない、白血病細胞の選択的破壊に適した波長照射下で、定義の最後の否認なく、前述で定義された少なくとも一つの式(I)の光活性化可能な誘導体の治療量を用いて、光力学療法にかける段階;および
c)段階b)の処理クローンを患者に投与する段階。
【0077】
本発明の第十四の目的は、正常な細胞には作用せず、かつ患者の全身毒性を引き起こさない、免疫学的反応性細胞の選択的破壊および/または不活化のための光活性化可能な薬学的組成物であり、定義の最後に条件として挙げられた化合物を除外することなく、少なくとも一つの式(I)の光活性化可能なローダミン誘導体、およびその光活性化可能な誘導体を、薬学的に許容される担体と共に含み、それによって誘導体の光活性化が細胞死滅を誘導する一方で、不活性化誘導体は細胞に対して実質的に無毒性である、組成物からなる。
【0078】
本発明の第十五の目的は、正常な細胞には作用せず、かつ患者の全身毒性を引き起こさない、免疫学的反応性細胞の選択的破壊および/または不活化のための光力学治療のための、請求項1記載の光活性化可能な誘導体の使用に関し、ここで誘導体の適当な細胞内レベルが達成され、適当な波長および強度の照射が適用される。
【0079】
好ましい態様は、患者における同種幹細胞移植に伴う移植片対宿主の疾患(graft-versus-host disease)の予防法であって、下記の段階を含む方法からなる:
a)供与者の細胞を宿主の細胞と、免疫反応が起こるのに十分な時点で、十分な時間混合することにより、供与者からのリンパ球を活性化する段階;
b)適当な波長照射下で、請求項24記載の光活性化可能な組成物の治療量を用いて、光力学療法により段階a)の活性化リンパ球を実質的に除去する段階;および
c)段階b)の処理混合物を用いて、同種幹細胞移植を行う段階。
【0080】
もう一つの好ましい態様は、患者における免疫学的障害の治療法であって、下記の段階を含む方法からなる:
a)患者の造血細胞を採取する段階;
b)適当な波長照射下で、請求項24記載の光活性化可能な組成物の治療量を用いて、光力学療法により段階a)の造血細胞をエクスビボで処理する段階;および
c)段階b)の処理造血細胞を用いて、移植片注入または自己移植を行う段階。
【0081】
好ましくは、免疫学的障害は、移植片対宿主疾患、移植片拒絶、自己免疫障害およびT細胞仲介性免疫アレルギーなどの、自己細胞または供与者細胞が宿主組織または異物標的に対して反応する状態からなる群より選択される。
【0082】
より好ましくは、造血細胞は骨髄、末梢血、および脊髄血単核細胞からなる群より選択される。
【0083】
構造Iの化合物は次のような増強された特性を示す:デオキシヌクレオチド、ジデオキシヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの標識色素;インクジェット法の記録液に適した新規色素;ファイバーグラスおよび紙のための新規色素;体組織における感染性生物汚染菌根絶のための新規色素;写真処理において適用可能な新規色素;癌化学療法において適用可能な新規色素;単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼの阻害剤として、ならびに単純ヘルペスウイルス起因の感染症の治療および/または予防において適用可能な新規色素;ポリマー光増幅因子およびレーザーとして用いるための新規色素;細胞生物学において適用可能な新規色素;固体色素レーザーを得るための珪質材料のドーピングにおいて適用可能な新規色素;塗料、インク、およびプラスチックに適用可能な新規色素;金属イオンの溶媒抽出における新規有機試薬;他の色素との新しい複合産物生成において適用可能な新規色素;CD-ROM型の光記憶ディスク製造のための新規色素;ペプチドの蛍光体標識において適用可能な新規色素;フローサイトメトリー分析において適用可能な新規色素;蛍光顕微鏡検査による結核菌検出のための染色剤として適用可能な新規色素;基質、リガンドおよび阻害剤に対する結合部位の蛍光マッピングにおいて適用可能な新規色素、血液脳関門を通過しての輸送を試験するための新規色素;バイオフィルム消毒を試験するための新規色素;細胞生物学における蛍光プローブとして適用可能な新規色素;水分追跡として用いるための新規色素;画像増倍蛍光顕微鏡検査によるペプチド受容体可視化のための新規色素;分析化学における金属キレート生成のための新規色素;診断療法において適用可能な新規蛍光色素。
【0084】
化学合成
これらの化合物を、公知で容易に入手可能なローダミン色素をハロゲン化する一般戦略にしたがって調製し、それにより第一の、様々な一連の中間体を生成し、これら中間体自体が光増感剤の可能性を持つものとして役立ちうるか、またはこれらのハロゲン化ローダミンを、構造式Iの基の一つが一つまたは複数のハロゲンで置換されている第二の一連のローダミン色素合成における中間体として用いる。すべてのハロゲンが新しい基で置き換えられている場合、続くハロゲン化段階を順序に加えて、所望の構造Iの化合物を得る(図の反応式1および2参照)。
【0085】
異常な悪性細胞がローダミン123類の色素を特異的に保持し、また同時に正常な造血幹細胞はこれらを蓄積しないため、これらの結果はこれら三つの新規の色素がインビボまたはインビトロ光力学療法のために使用可能であることを立証する。
【0086】
本発明に従い、そのような前述の色素の、腫瘍特異的抗体、または毒性物質、またはリポソームもしくはリポ蛋白質、または蛍光色素付加物と組み合わせての使用が提供される。
【0087】
加えて、記載される光増感剤は、他の光活性物質と相乗的に作用する可能性を有している。
【0088】
さらに、光力学治療の使用によって提供される負の選択法は、抗CD34モノクローナル抗体による正の選択などの造血幹細胞を強化する他の手段の使用を除外することはない。
【0089】
他の臨床適用
白血病および転移癌のためのインビトロ骨髄パージングの場合に光増感剤を用いることに加えて、分子を光源および記載される薬物の適当な局所濃度への曝露を直接に受ける腫瘍部位に対してインビボで用いることもできる。本発明の分子は、播種性多発性骨髄腫またはリンパ腫を患っている患者の光力学療法において用いることもできる。本発明の療法が適当な転移癌には、乳、肺、前立腺、膵臓および大腸癌、播種性黒色腫ならびに肉腫の転移が含まれる。本発明の光活性化可能な誘導体は、硬性もしくは軟性の内視鏡を用いてレーザー光線をあてることが可能な腫瘍部位、または光放射を直接あてることが可能な腫瘍部位で、点滴注入、注射、血流拡散により投与することができる。
【0090】
好ましい態様の説明
例証のみを目的として、本発明のローダミン誘導体を含む、免疫学的障害の5つの治療法を以下に例示する。
【0091】
白血病の治療法I
1.診断法
慢性骨髄性白血病(CML)は、血液または骨髄細胞における一つまたは複数の下記の方法を用いて確立される:
a)t(9:22)を有するPh 1+中期の同定による、通常の細胞遺伝学的試験;
b)bcr/abl再構成検出のための蛍光インサイチューハイブリダイゼーション;および
c)再構成されたber断片検出のためのサザンブロット分析またはキメラber/ablメッセンジャーRNA検出のためのPCR-RT。
【0092】
2.骨髄採取
診断後、骨髄(BM)または末梢血(PB)由来の造血幹細胞を、癌療法における自己骨髄移植のために、以前に記載された方法(ヘルジグGP(Herzig GP)、(1981)Prog. Hematol.、12:1)を用いて採取する。自己移植のために採取した造血幹細胞は、ただちに下記のとおりエクスビボで処理する。
【0093】
3.白血病のインビトロパージング
エクスビボ処理は、BMまたはPB幹細胞と、一つまたは複数の選択された光活性化合物との短期インキュベーションを含む。インキュベーションの期間、細胞濃度および薬物のモル濃度は、採取した細胞群の一部を用いて患者ごとに決定する。細胞を2%自己血清を補足した色素を含まない滅菌培地で洗浄することにより、過剰の色素を除去する。細胞を次に、十分な強度の放射エネルギーに曝露して、白血病細胞の光力学パージングを行う。低温保存および/または患者への再注入を行う前に、光力学パージング法の有効性を、処理細胞群の一部で検証する。患者に再注入するまでは、細胞を10%ジメチルスルホキシド(DMSO)-90%自己血清培地中、液体窒素の気相における-196℃で低温保存する。
【0094】
4.患者の全身治療
幹細胞採取に続き、患者を、自己移植が臨床上指示されるまで、通常の治療法で治療するか、またはただちに大量集中化学療法および指示がある場合には全身放射線照射を行う。
【0095】
5.自己幹細胞移植
大量化学療法および放射線照射による患者の適当な治療後で、臨床上適当な時期に、低温保存した骨髄または末梢血幹細胞を速やかに解凍し、1mlあたり25UIのDNアーゼを含む培地で希釈して、凝集を最小限に抑える。トリパン(商標)ブルー排除法によって測定した生存率85%から95%の、最低でも2×107/kgの有核細胞を患者に戻す。
【0096】
悪性病変の治療法II
1.診断法
悪性病変の診断は、通常の原発腫瘍の組織病理学検査を用いて確立される。新生物細胞による骨髄波及の検出は、直接の組織検査および指示がある場合には補助的方法(すなわち、免疫ペルオキシダーゼ、免疫組織化学、腫瘍マーカーおよびハイブリダイゼーション試験)により行う。
【0097】
2.骨髄採取
診断後、骨髄(BM)または末梢血(PB)由来の造血幹細胞を、癌療法における自己骨髄移植のために、以前に記載された方法(ヘルジグGP(Herzig GP)、(1981)Prog. Hematol.、12:1)を用いて採取する。自己移植のために採取した造血幹細胞は、ただちに下記のとおりエクスビボで処理する。
【0098】
3.白血病のインビトロパージング
エクスビボ処理は、BMまたはPB幹細胞と、一つまたは複数の選択された光活性化合物との短期インキュベーションを含む。インキュベーションの期間、細胞濃度および薬物のモル濃度は、採取した細胞群の一部を用いて患者ごとに決定する。細胞を2%自己血清を補足した色素を含まない滅菌培地で洗浄することにより、過剰の色素を除去する。細胞を次に、十分な強度の放射エネルギーに曝露して、白血病細胞の光力学パージングを行う。感度の高い分子マーカーが利用できるときは必ず、低温保存および/または患者への再注入を試みる前に、処理細胞群の一部を残存新生物細胞が検出されるかどうか検査する。細胞を10%ジメチルスルホキシド(DMSO)-90%自己血清培地中、液体窒素の気相における196℃で低温保存する。
【0099】
4.患者の全身治療
幹細胞採取に続き、患者を、自己移植が臨床上指示されるまで、通常の治療法で治療するか、またはただちに大量集中化学療法および指示がある場合には全身放射線照射を行う。
【0100】
5.自己幹細胞移植
大量化学療法および放射線照射後、低温保存した骨髄または末梢血幹細胞を速やかに解凍し、1mlあたり25UIのDNアーゼを含む培地で希釈して、凝集を最小限に抑える。トリパン(商標)ブルー排除法によって測定した生存率85%から95%の、最低でも2×107/kgの有核細胞を患者に戻す。
【0101】
同種幹細胞移植の場合の移植片対宿主疾患の予防法III
1.供与者と受容者との間の免疫学的相違および移植片対宿主疾患の特定および診断:
同種幹細胞移植を多くの新生物および非新生物状態に対して実施する。血液悪性病変は、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、脊髄異形成症候群などからなり;非血液悪性病変は、再生不良性貧血、先天性障害、重度免疫不全症候群、慢性関節リウマチ、強皮症、紅斑性狼蒼、多発性硬化症、および他の免疫障害を含む。
【0102】
移植片対宿主疾患は、同種幹細胞移植の合併症で、供与者細胞が宿主細胞に対して反応し、標的組織(通常は皮膚、肝臓、消化管、肺、涙腺および汗腺など)を損傷する。診断はいくつかの臨床および検査パラメーターに頼っており、これらは「移植片対宿主疾患(Graft-vs.-Host Disease)」、フェラーラJLM(Ferrara JLM)、ディーグHJ(Deeg HJ)、ブラコフSJ(Burakoff SJ)編、Marcel Dekker、ニューヨーク、1997に広く概説されている。
【0103】
GVHDは供与者細胞ではなく受容者細胞上にある抗原に対して発生する。供与者と受容者との間の免疫学的相違は、主要組織適合抗原、副組織適合抗原、または腫瘍関連抗原のレベルで存在しうる。差異は、血液または骨髄細胞に対し、一つまたは複数の下記の方法を用いて確立される:
a)HLA型決定:主要組織適合複合体クラスIおよびクラスII抗原における供与者と受容者との間の差異を特定するための、通常の血清学的分類または分子の;および
b)クラスII抗原における相違を特定するための混合リンパ球培養;および
c)副組織適合抗原:いくつかの細胞毒性T細胞株が利用可能であり、副組織適合抗原を特定するために用ることができるが、現在のところ、これらの試験は研究目的のためにのみ利用可能である。
【0104】
2.前駆細胞採取
診断後、供与者からの骨髄(BM)または末梢血(PB)または脊髄血由来の造血幹細胞を、同種前駆細胞移植のために、以前に記載された方法(「骨髄移植(Bone Marrow Transplantation)」、フォアマンSJ(Foreman SJ)、ブルームKG(Blume KG)、トーマスED(Thomas ED)編、Blackwell Scientific Publicastions、米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、1994)を用いて採取する。同種移植のために採取した供与者造血幹細胞は、ただちに放射線照射した(25Gy)宿主単核細胞または他の細胞と共にインキュベートする。供与者細胞と混合した宿主細胞を、20%自己血清およびインターロイキン-2を補足した色素を含まない滅菌培地中で2日間インキュベートする。この方法は、供与者細胞の宿主に対する同種反応性を誘発し、続いて移植細胞にエクスビボで光力学処理を行う。
【0105】
3.免疫反応性細胞の選択的インビトロパージング
エクスビボ処理は、あらかじめ活性化したBMまたはPB幹細胞と、一つまたは複数の選択された光活性化合物との短期インキュベーションを含む。インキュベーションの期間、細胞濃度および薬物のモル濃度は、採取した細胞群の一部を用いて患者ごとに決定する。細胞を2%自己血清を補足した色素を含まない滅菌培地で洗浄することにより、過剰の色素を除去する。細胞を次に、十分な強度の放射エネルギーに曝露して、白血病細胞の光力学パージングを行う。低温保存および/または患者への再注入を行う前に、光力学パージング法の有効性を、処理細胞群の一部で検証する。患者に再注入するまでは、細胞を10%ジメチルスルホキシド(DMSO)-90%自己血清培地中、液体窒素の気相における-196℃で低温保存する。
【0106】
4.患者の全身治療
幹細胞採取に続き、患者に大量集中化学療法および指示がある場合には全身放射線照射を行う。
【0107】
5.同種幹細胞移植
大量化学療法および/または放射線照射による適当な治療後で、臨床上適当な時期に、低温保存した骨髄または末梢血または脊髄血幹細胞を速やかに解凍し、患者に戻す。
【0108】
移植片対宿主疾患および自己免疫疾患の治療法IV
1.診断法
移植片対宿主疾患または免疫反応性障害の診断は、血液または適当な組織の、通常の臨床、生化学および/または組織病理学検査を用いて確立される。GVHDの診断および前兆は、Graft-vs.-Host Disease、フェラーラJLM、ディーグHJ、ブラコフSJ編、Marcel Dekker、ニューヨーク、1997に概説されている。
【0109】
2.末梢血細胞採取
重度GVHD、自己免疫または免疫反応性障害の診断後、末梢血(PB)単核細胞を、以前に記載された方法または同様の白血球フェレシス法(「骨髄移植(Bone Marrow Transplantation)」、フォアマンSJ、ブルームKG、トーマスED編、Blackwell Scientific Publicastions、米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、1994)を用いて採取する。採取した患者の末梢血単核細胞は、ただちに下記のとおりエクスビボで処理する。
【0110】
3.GVHDを仲介する細胞のインビトロ除去
エクスビボ処理は、PB幹細胞と、一つまたは複数の選択された光活性化合物との短期インキュベーションを含む。インキュベーションの期間、細胞濃度および薬物のモル濃度は、採取した細胞群の一部を用いて患者ごとに決定する。細胞を2%自己血清を補足した色素を含まない滅菌培地で洗浄することにより、過剰の色素を除去する。細胞を次に、十分な強度の放射エネルギーに曝露して、GVHDを仲介する活性化細胞の光力学パージングを行う。
【0111】
4.患者への光力学処理した細胞の投与
光力学処理した白血球搬出細胞を、患者に再注入する。この方法により、GVHDに関与する多数の循環活性化リンパ球および他の細胞を除去することが可能となる。加えて、光力学処理によって残された細胞は不活化され、それらを患者に再注入することで、正常な免疫学的平衡を回復する助けとなりうる。
【0112】
免疫学的障害の治療法V
1.診断法
自己免疫障害の診断は、血液または適当な組織の、通常の臨床、生化学および/または組織病理学検査を用いて確立される。重度自己免疫疾患は自己移植の対象となる(サリバンKM(Sullivan KM)ら、Am. Soc. Hematol.、Educ.Program Book、1998:198〜214)。
【0113】
2.造血幹細胞採取
診断後、骨髄(BM)、末梢血(PB)または脊髄血(CB)単核細胞を、癌療法における自己骨髄移植のために、以前に記載された方法(「骨髄移植(Bone Marrow Transplantation)」、フォアマンSJ、ブルームKG、トーマスED編、Blackwell Scientific Publicastions、米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、1994)を用いて採取する。自己移植のために採取した患者の造血幹細胞は、ただちに下記のとおりエクスビボで処理する。
【0114】
3.自己免疫障害を仲介する細胞のインビトロ除去
エクスビボ処理は、BMまたはPB幹細胞と、一つまたは複数の選択された光活性化合物との短期インキュベーションを含む。インキュベーションの期間、細胞濃度および薬物のモル濃度は、採取した細胞群の一部を用いて患者ごとに決定する。細胞を2%自己血清を補足した色素を含まない滅菌培地で洗浄することにより、過剰の色素を除去する。細胞を次に、十分な強度の放射エネルギーに曝露して、自己免疫障害を仲介する免疫反応性細胞の光力学パージングを行う。
【0115】
4.患者への光力学処理した細胞の投与
光力学処理した造血幹細胞を保存(凍結または培養物中に)する。この方法により、免疫学的障害に関与する多数の活性化リンパ球および他の細胞を除去することが可能となる。加えて、光力学処理によって残された細胞は不活化され、それらを患者に再注入することで、正常な免疫学的平衡を回復する助けとなりうる。幹細胞採取に続き、患者を、自己移植が臨床上指示されるまで、通常の治療法で治療するか、またはただちに大量集中化学療法および指示がある場合には全身放射線照射を行う。
【0116】
5.自己幹細胞移植
大量化学療法および放射線照射後、低温保存した骨髄または末梢血幹細胞を速やかに解凍し、患者に注入する。
【0117】
前述の定義のとおりであり、条件のない、式(I)のローダミン誘導体の調製は、下記の実施例を参照することにより、より容易に理解されると思われるが、これらの実施例は例示を目的として記載するにすぎない。
【実施例】
【0118】
I 2,7-ジブロモローダミンBメチルエステル酢酸塩(4)の合成
I-1 ローダミンBメチルエステル(1)の調製
【化3】

ローダミンB(1.63g、3.40mmol)およびメタノール(100ml)の混合物を撹拌しながら、この溶液を通して塩酸を45分間バブリングし、反応混合物を一晩還流した。メタノールを減圧下で蒸発させ、次いで暗赤色残渣をフラッシュクロマトグラフィにより、メタノールおよびジクロロメタン(1:9)の混合物を溶出液として用いて精製し、所望の生成物を深赤色の粘性残渣で得た(1.54g)。
移動率(Rf):0.52(MeOH:CH2Cl2 1.5:8.5)
収率:92%
Ms(FAB):C29H33O3N2の計算値:(M-Cl):457.2491
実測値(M-Cl):457.2494
UV(MeOH):λmax555nm
【0119】
I-2 ジヒドロローダミンBメチルエステル(2)の調製
【化4】

ローダミンBメチルエステル(1.73g、3.50mmol)をジクロロメタン(250ml)および水(100ml)に溶解した。激しく撹拌しながら、過剰のNaBH4(固体)を30分間で分割して加えたところ、最初の暗赤色は消失した。淡橙色の有機相を分離し、水相をジクロロメタンで二回抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過して、減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィにより、酢酸エチルを溶出溶媒として用いて精製した。生成物を含む分画を合わせ、溶媒を蒸発させて、生成物2を桃色油状で得た(1.50g)。
移動率(Rf):0.84(AcOEt)
収率:93.7%
【0120】
I-3 ジヒドロローダミンBメチルエステル(2)の臭素化
【化5】

250mlの丸底フラスコに、ジヒドロローダミンBメチルエステル(2)(1.34g、2.92mmol)および分光分析級のメタノール(112ml)を加えた。混合物を室温で、エステルがすべて溶解するまで撹拌した。2当量のプロピレンオキシド(409μL、5.85mmol)を加えた後、2当量の臭素(300μL、5.85mmol)を滴加した。室温で1時間30分撹拌を続けた。揮発性溶媒を減圧下で蒸発させ、赤色油状残渣を、酢酸エチルおよびヘキサン(0.5:9.5)を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィ精製にかけ、所望の生成物3を泡状白色固体で得た(570mg)。

【0121】
I-4 2,7-ジブロモジヒドロローダミンBメチルエステルの酸化および2,7-ジブロモローダミンBメチルエステルの酢酸塩(4)の生成
【化6】

2,7-ジブロモジヒドロローダミンBメチルエステル(3)(400mg、0.64mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液を撹拌しながら、これにクロラニル(1.2当量、192mg、0.77mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで反応を停止し、溶媒を減圧下で蒸発させて、紫色の残渣を得た。前段階で得られた酸化化合物をジクロロメタン(15ml)に溶解し、酢酸(0.8ml)を滴加した。得られた澄明赤色溶液を室温で5分間撹拌し、続いて揮発性溶媒を減圧下で蒸発させて、紫色粘性残渣を得た。残渣を、フラッシュクロマトグラフィにより、10%メタノール/ジクロロメタンを溶出液として用いて精製し、所望の生成物4を粘性紫色固体で得た(200mg)。

【0122】
実施例II
II 2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステル酢酸塩(8)の合成
II-1 ローダミンBヘキシルエステル(5)の調製
【化7】

ローダミンB(2.39g、4.98mmol)および1-ヘキサノール(120ml)の混合物を撹拌しながら、この溶液を通して塩酸を45分間バブリングし、反応混合物を一晩還流した。次いで1-ヘキサノールを減圧下で蒸留し、暗赤色残渣をフラッシュクロマトグラフィにより、メタノールおよびジクロロメタン(1:9)の混合物を溶出液として用いて精製した。揮発性溶媒を蒸発させた後、粘性赤緑色残渣を得た(2.62g)。
移動率(Rf):0.45(MeOH:CH2Cl2 1.2:8.8)
収率:93.5%
Ms(FAB):C34H43O3N2の計算値:(M-Cl):527.3273
実測値(M-Cl):527.3261
UV(MeOH):λmax555nm
【0123】
II-2 ジヒドロローダミンBヘキシルエステル(6)の調製
【化8】

ローダミンBヘキシルエステル(5)(940mg、1.66mmol)をジクロロメタン(200ml)および水(150ml)に溶解した。激しく撹拌しながら、過剰のNaBH4(固体)を30分間で分割して加えたところ、最初の暗赤色は消失した。淡橙色の有機相を分離し、水相をジクロロメタンで二回抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過して、減圧下で蒸発させた。粗油状残渣をフラッシュクロマトグラフィにより、酢酸エチルを溶出溶媒として用いて精製し、6を桃色がかった油状で得た(794mg)。
移動率(Rf):0.92(AcOEt)
収率:90%
【0124】
II-3 ジヒドロローダミンBヘキシルエステル(6)の臭素化
【化9】

100mlの丸底フラスコに、ジヒドロローダミンBヘキシルエステル(6)(784mg、1.48mmol)および分光分析級のメタノール(25ml)を加えた。混合物を室温で、エステルがすべて溶解するまで撹拌した。2当量のプロピレンオキシド(208μL、2.96mmol)を加えた後、2当量の臭素(152μL、2.96mmol)を滴加した。室温で1時間30分撹拌を続けた。揮発性溶媒を減圧下で蒸発させ、赤色油状残渣を、酢酸エチルおよびヘキサン(0.25:9.75)を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィ精製にかけ、白色泡状固体の純粋な化合物7(570mg)および不純生成物(123mg)を得た。
移動率(Rf):0.61(AcOEt:ヘキサン 0.5:9.5)
収率:20.5%
【0125】
II-4 2,7-ジブロモジヒドロローダミンBヘキシルエステルの酸化および2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルの酢酸塩(8)の生成
【化10】

2,7-ジブロモジヒドロローダミンBヘキシルエステル(207mg、0.30mmol)のジクロロメタン(8ml)溶液を撹拌しながら、これにクロラニル(1.2当量、89mg、0.36mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで反応を停止し、溶媒を減圧下で蒸発させて、紫色の残渣を得た。前段階で得られた酸化化合物をジクロロメタン(8ml)に溶解し、酢酸(0.8ml)を滴加した。得られた澄明赤色溶液を室温で5分間撹拌し、続いて揮発性溶媒を減圧下で蒸発させて、紫色粘性残渣を得、これを、フラッシュクロマトグラフィにより、10%メタノール/ジクロロメタンを溶出液として用いて精製し、所望の生成物8を粘性紫色固体で得た(198mg)。

【0126】
実施例III
III 2'-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)4',5'-ジクロロ-安息香酸メチルエステル塩酸塩(10)の合成
III-1 2'-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)4',5'-ジクロロ-安息香酸塩酸塩(9)の調製
【化11】

3-(ジメチルアミノ)フェノール(3.00g、21.8mmol)、4,5-ジクロロ無水フタル酸(3.00g、13.8mmol)、および塩化亜鉛(1.72g)の混合物を撹拌しながら、油浴中、165〜170℃で5時間30分間加熱する。溶融物を冷却し、粉砕して赤色固体を得る。固体を熱水で洗浄し、10%水酸化ナトリウムで粉砕し、水で希釈する。分離したガムを回収し、水酸化ナトリウムおよび水でさらに洗浄する。得られた色素基を次いで、濃塩酸で粉砕する。次いで、水を加え、得られた赤色沈殿を回収して乾燥した。次いで、色素をメタノールに溶解し、ジエチルエーテルで沈殿させて、9を赤色固体で得た(3.27g)。

【0127】
III-2 2'-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)4',5'-ジクロロ-安息香酸メチルエステル塩酸塩(10)の調製
【化12】

磁気撹拌機を備えた250mlの丸底フラスコに、酸9(738mg、1.50mmol)と、無水ジクロロメタン(40ml)および無水DMF(10ml)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で、酸がすべて溶解するまで撹拌した。次いで、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(309mg、1.50mmol)を加え、続いてメタノール(200μL)および4-N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(18mg)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で蒸留して、赤色残渣を得、これをフラッシュクロマトグラフィにより、MeOH:CH2Cl2(1.2:8.8)を溶出液として用いて精製し、10を赤褐色固体で得た(350mg)。

【0128】
実施例IV
IV 4,5-ジブロモローダミン6G(11)の調製
【化13】

メタノール(50ml)に溶解したローダミン6G(600mg、1.25mmol)に、臭素(2当量、128μL、2.50mmol)の溶液を室温で滴加した。臭素添加から10分後に、沈殿が生成した。混合物を3時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸留して、赤色固体を得た。粗生成物をメタノール:ジエチルエーテル(80ml:400ml)から再結晶させて、生成物11を緑赤色固体で得た(585mg)。

【0129】
実施例V
V 4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル(13)の合成
V-1 ローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル(12)の調製
【化14】

ローダミン110(1.00g、2.72mmol)に、無水DMFおよびジクロロメタン(60ml:10ml)の混合物を加え、混合物を色素がすべて溶解するまで撹拌した。1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1当量、562mg、2.72mmol)を加え、続いてHOBT(1当量、368mg、2.72mmol)、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール(1.60当量、518μL、4.36mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(33mg、0.27mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、DMFを減圧下で蒸留して、深赤色残渣を得た。この残渣をメタノール:ジクロロメタン(2:8)を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィ精製にかけ、赤色固体を得た(530mg)。薄層クロマトグラフィ(TLC)により、所望の生成物の他にもう一つの生成物の存在が認められた。得られた固体をメタノール(10ml)に溶解し、沈殿が得られるまでジエチルエーテルを加えた。生成物を回収し、乾燥して、所望の化合物12を赤色固体で得た(220mg)。
移動率(Rf):0.33(MeOH:CH2Cl2 2:8)
収率:18.4%
Ms(FAB):C25H25O2N5の計算値:(M-Cl):433.1736
実測値:433.1777
【0130】
V-2 4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル(13)の調製
【化15】

磁気撹拌機を備えた100mlの丸底フラスコに、ローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル12(235mg、0.50mmol)および分光分析級メタノール(15ml)を加えた。混合物をローダミン色素がすべて溶解するまで撹拌した。次いで、臭素(2当量、50μL、1.00mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間30分間撹拌した。反応終了時、シクロヘキセン(10μL)を加え、混合物をさらに10分間撹拌した。揮発性溶媒を減圧下で蒸発させて、赤色固体を得た。この固体をMeOH:CH2Cl2(1.2:8.8)を溶出溶媒として用いて、シリカゲルクロマトグラフィにかけた。
【0131】
純粋な分画を合わせ、蒸発させて、化合物13を赤色固体で得た(250mg)。

【0132】
実施例VI
VI ローダミンB3-ブロモプロピルエステル(14)の調製
【化16】

ローダミンB(300mg、0.62mmol)にジクロロメタン(5ml)を加え、混合物を色素がすべて溶解するまで撹拌した。1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1当量、142mg、0.62mmol)を加え、続いて3-ブロモプロパノール(139mg、10.0mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(8mg、0.06mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。N,N-ジシクロヘキシル尿素をろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、深赤色残渣を得、これをメタノール:ジクロロメタン(1:9)を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィ精製にかけた。所望の化合物を含む分画を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させて、14を深赤色粘性固体で得た(300mg)。

【0133】
実施例VII
VII 2,7-ジブロモ-4'-カルボキシテトラメチルローザミンメチルエステル酢酸塩(18)の合成
VII-1 4'-カルボキシジヒドロテトラメチルローザミンメチルの調製
【化17】

エステル15(910mg、2.08mmol)をジクロロメタン(250ml)および水(150ml)に溶解した。激しく撹拌しながら、過剰のNaBH4(固体)を30分間で分割して加えたところ、ほぼすべての色が消失した。淡橙色の有機相を分離し、水相をジクロロメタンで二回抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過して、減圧下で蒸発させた。粗油状残渣をフラッシュクロマトグラフィにより、酢酸エチルを溶出溶媒として用いて精製し、白色泡状固体を得た(530mg)。
移動率(Rf):0.83(AcOEt)
収率:63%
【0134】
VII-2 ジヒドロ-4'-カルボキシテトラメチルローザミンメチルエステル(16)の臭素化
【化18】

100mlの丸底フラスコに、ジヒドロ-4'-カルボキシテトラメチルローザミンメチルエステル(530mg、1.31mmol)および分光分析級のメタノール(50ml)を加えた。混合物を室温で、エステルがすべて溶解するまで撹拌した。2当量のプロピレンオキシド(185μL、2.63mmol)を加えた後、2当量の臭素(135μL、2.63mmol)を滴加した。室温で1時間30分撹拌を続けた。揮発性溶媒を減圧下で蒸発させ、赤色油状残渣を、酢酸エチルおよびヘキサン(1:9)を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィ精製にかけ、白色泡状固体を得た(391mg)。
移動率(Rf):0.36(AcOEt:ヘキサン 1:9)
収率:53.5%

【0135】
VII-3 2,7-ジブロモジヒドロ-4'-カルボキシテトラメチルローザミンメチルエステル(17)の酸化および2,7ジブロモ-4'-カルボキシテトラメチルローザミンメチルエステルの酢酸塩(18)の生成
【化19】

2,7-ジブロモジヒドロテトラメチルローダミンメチルエステル(390mg、0.69mmol)のジクロロメタン(15ml)溶液を撹拌しながら、これにクロラニル(1.2当量、205mg、0.83mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで反応を停止し、溶媒を減圧下で蒸発させて、紫色の残渣を得た。得られた酸化化合物をジクロロメタン(15ml)に溶解し、酢酸(0.8ml)を滴加した。得られた澄明紫色溶液を室温で5分間撹拌し、続いて揮発性物質を減圧下で蒸発させて、紫色粘性残渣を得、これを、フラッシュクロマトグラフィにより、10%メタノール/ジクロロメタンを溶出液として用いて精製し、所望の生成物18Aを得たが、これは化合物18Bと平衡状態にある。

【0136】
実施例VIII
4,5-ジブロモローダミンBラクトン(19)の調製
【化20】

ローダミンB(500mg、1.04mmol)を酢酸(25ml)および水(25ml)に溶解した。次いで、臭素(2当量、107μL、2.08mmol)を滴加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。水および酢酸を減圧下で蒸発させ、得られた残渣をジクロロメタンおよび10%重炭酸ナトリウム水溶液に再度溶解した。
【0137】
有機層を分離し、水で二回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、蒸発させて、桃色油状を得た。残渣を、メタノール:ジクロロメタン(0.2:9.8)を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィにかけ、白色泡状固体を得た(544mg)。

【0138】
実施例IX
2,7-ジブロモローダミンBラクトン(20)の調製
【化21】

2,7-ジブロモジヒドロローダミンBメチルエステル(3)(46mg、0.10mmol)のジクロロメタン(4ml)溶液を撹拌しながら、これにクロラニル(1.2当量、30mg、0.12mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで反応を停止し、溶媒を減圧下で蒸発させて、紫色の残渣を得た。前段階で得られた酸化化合物をジオキサン(4ml)に溶解し、HCl(1M)(5ml)を滴加し、得られた溶液を水浴中で加温して澄明赤色溶液を得た。減圧下で蒸発乾固させた後、紫色粘性残渣を得た。残渣を、フラッシュクロマトグラフィにより、酢酸エチル:ヘキサン(1.5:8.5)を溶出液として用いて精製し、所望の生成物4を白色泡状固体で得た(35mg)。

【0139】
本発明のローダミン誘導体の中間体としての使用例
実施例X
X 4-ブロモ-5-フェニルローダミンBメチルエステルクロライド(22)の合成
X-1 4-ブロモ-5-フェニルローダミンBラクトン(21)の調製
【化22】

DMF(40ml)中、ジブロモラクトン19(10mmol)、フェニルボロン酸(10mmol)、Et3N(4.2mL、30mmol)、Pd(OAc)2(0.067g、0.3mmol)、およびトリ-o-トリルホスフィン触媒(0.19g、0.62mmol)またはPPh3触媒(0.16g、0.62mmol)のいずれかの混合物を、窒素雰囲気下、100℃で2〜3時間加熱する。次いで、溶媒を減圧下で蒸留により除去し、残渣をCH2Cl2および10%NH3水溶液の間で分配する。次いで、有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮する。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ精製により、純粋なモノブロモラクトン21を得る。(W.J.トンプソン(W.J. Thompson)およびJ.ガウディーノ(J. Gaudino)、J. Org. Chem. 1984、49、5237〜5243;N.ミヤウラ(N. Miyaura)、T.ヤナギ(T. Yanagi)、およびA.スズキ(A. Suzuki)、Synthetic Communications、1981、11(7)、513〜519参照)。
【0140】
X-2 4-ブロモ-5-フェニルローダミンBメチルエステルクロライド(22)の調製
【化23】

まず、メタノール(100ml)中の化合物(3〜4mmol)の混合物を、無水HClガスの細い気流で45分間バブリングしながら撹拌し、次いで混合物を一晩加熱還流することにより、モノブロモラクトン21のメタノリシスと、同時に酸化を行う。次いで、メタノールを減圧下で蒸発させ、暗赤色残渣をフラッシュクロマトグラフィにより精製して、所望の暗赤色生成物22を得る。
【0141】
実施例XI
XI 2,7-ジブロモ-4,5-ジメチルローダミンBメチルエステルブロマイド(24)の合成
XI-1 4,5-ジメチルローダミンBラクトン(23)の調製
【化24】

ジブロモラクトン19(7.0mmol)のヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)溶液に、触媒のベンジルブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.05mmol)およびテトラメチルスズ(16.0mmol)を加える。次いで、溶液を密閉容器中、空気下で撹拌しながら、黒色化が起こるまで65℃で加熱する。次いで、溶液を室温まで冷却し、水(5mL)を加える。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機溶液をMgSO4で乾燥した。溶媒を蒸発させて粗生成物を得、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィにより精製して、純粋なラクトン23を得る。(D.ミルステイン(D. Milstein)およびJ.K.スティル(J.K. Stille)、J. Amer. Chem. Soc. 1979、101(17)、4992〜4998参照)。
【0142】
XI-2 2,7-ジブロモ-4,5-ジメチルローダミンBメチルエステルブロマイド(24)の調製
【化25】

4,5-ジメチルローダミンBラクトン23(1.25mmol)のメタノール(50ml)溶液を、室温で臭素(2.5mmol)により処理した。臭素添加後、沈殿が精製し、混合物を3時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて赤色固体を得、これをメタノール:ジエチルエーテルから再結晶させて、所望のジブロモメチルエステル24を得た。
【0143】
実施例XII
XII 2-ブロモ-7-エチニルローダミンBメチルエステルブロマイド(26)の合成
XII-1 2-ブロモ-7-エチニルローダミンBラクトン(25)の調製
【化26】

脱気した無水トリエチルアミン(100ml)中、ジブロモラクトン20(53mmol)およびエチニルトリメチルシラン(53mmol)、トリフェニルホスフィン(300mg)および酢酸パラジウム(II)(150mg)の混合物を30〜40℃で調製する。次いで、混合物をアルゴン雰囲気下、90〜100℃で22時間加熱する。混合物を冷却し、ろ過して、所望の不純なトリメチルシリル誘導体25を得る。炭酸カリウムによる処理を25℃で16時間行った後、中和し、フラッシュクロマトグラフィによる精製後にラクトン25を得る。(W.B.オースチン(W.B. Austin)、N.ビロウ(N. Bilow)、W.J.ケレガン(W.J. Kelleghan)、およびK.S.Y.ラウ(K.S.Y. Lau)、J. Org. Chem. 1981、46、2280〜2286;S.タカハシ(S. Takahashi)、Y.クロヤマ(Y. Kuroyama)、K.ソノガシラ(K. Sonogashira)、N.ハギハラ(N. Hagihara)、Synthesis、1980、527〜630参照)。
【0144】
XII-2 2-ブロモ-7-エチニルローダミンBメチルエステルクロライド(26)の調製
【化27】

2-ブロモ-7-エチニルローダミンBラクトン25(3.5mmol)のメタノール(100ml)溶液を撹拌しながら、細い気流のHClガスバブリングにより45分間処理する。次いで、反応混合物を一晩加熱還流し、メタノールを減圧下で蒸発させる。暗赤色残渣をフラッシュクロマトグラフィにより、メタノールおよびジクロロメタンの混合物を用いて精製し、所望のエステル26を得る。
【0145】
実施例XIII
XIII 4,5-ジブロモ-2,7-ジ-n-ブチルローダミンBメチルエステルブロマイド(28)の合成
XIII-1 2,7-ジ-n-ブチルローダミンBラクトン(27)の調製
【化28】

ジブロモラクトン20(7.0mmol)のヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)(4ml)溶液を、ベンジルブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.05mmol)およびテトラ-n-ブチルスズ化合物(16.0mmol)で処理する。次いで、溶液を密閉容器中、空気下で撹拌しながら、黒色化が起こるまで65℃で加熱する。次いで、溶液を室温まで冷却し、水(5mL)を加える。混合物をジクロロメタンで抽出し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをフラッシュクロマトグラフィにより精製して、純粋なラクトン27を得る。(D.ミルステインおよびJ.K.スティル、J. Amer. Chem. Soc. 1979、101(17)、4992〜4998参照)。
【0146】
XIII-2 4,5-ジブロモ-2,7-ジ-n-ブチルローダミンBメチルエステルブロマイド(28)の調製
【化29】

ローダミンBラクトン27(1.25mmol)のメタノール(50ml)溶液を、室温で臭素(2.5mmol)により処理する。臭素添加直後に沈殿が精製し、混合物を3時間撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発させて赤色固体を得、これをメタノール:ジエチルエーテルから再結晶させて、所望のジブロモメチルエステルブロマイド28を得る。
【0147】
ローダミン誘導体の殺菌性および/または静菌性の評価
実験計画
抗菌活性の評価のために、下記の実験法を用いた。
【0148】
静菌性:
大腸菌:(O157)a
殺菌性不活化のために用いるプロトコルを、殺菌能評価に関するブラスール(Brasseur)およびコール(coll.)に記載の方法(ブラスールら、2000)にわずかな改変を加えて実施した。化合物TH9402、HA-X-44、HA-X-164、HA-X-171およびHA-VIII-92は、下記の実験法を用いて、大腸菌に対する抗菌活性を示した。
【0149】
細菌を、ルリアブロス(Luria Broth)培地(LB)中で一晩培養し、各細菌懸濁液

をLB培地(4ml)に加え、細菌懸濁液の少量を処理前の細菌滴定(CFU/mL(1mLあたりのコロニー生成単位(colony forming unit)で表す)のために取り出した。細菌懸濁液にローダミン誘導体を加え、各誘導体を50μMの濃度で2回ずつ試験した。細菌-ローダミン誘導体の各混合物を37℃で40分間インキュベートした。次いで、細菌-ローダミン懸濁液を処理し、514nmの波長の光線に180分間、総出力エネルギー30ジュール/cm2に曝露した。処理時間の後、細菌-ローダミン懸濁液を3000gで遠心沈降し、4mlに再懸濁し、各重複試料に対して連続希釈を行った。希釈した細菌懸濁液10μLを播種し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。静菌作用をCFU/mLの数で表す。
【0150】
緑膿菌
殺菌性不活化のために用いるプロトコルを、殺菌能評価に関するブラスールおよびコールに記載の方法(ブラスールら、2000)にわずかな改変を加えて実施した。化合物TH9402は、下記の実験法を用いて、緑膿菌に対する抗菌活性を示した。
【0151】
細菌を、Lubria Broth培地(LB)中で一晩培養し、各細菌懸濁液

をLB培地(4ml)に加え、細菌懸濁液の少量を処理前の細菌滴定(CFU/mL)のために取り出した。細菌懸濁液にローダミン誘導体を加え、各誘導体を50μMの濃度で2回ずつ試験した。細菌-ローダミン誘導体の各混合物を37℃で40分間インキュベートした。次いで、細菌-ローダミン懸濁液を処理し、514nmの波長の光線に180分間、総出力エネルギー30ジュール/cm2に曝露した。処理時間の後、細菌-ローダミン懸濁液を3000gで遠心沈降し、4mlに再懸濁し、各重複試料に対して連続希釈を行った。希釈した細菌懸濁液10μLを播種し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。静菌作用をCFU/mLの数で表す。
【0152】
ネズミチフス菌
殺菌性不活化のために用いるプロトコルを、殺菌能評価に関するブラスールおよびコールに記載の方法(ブラスールら、2000)にわずかな改変を加えて実施した。化合物TH9402、HA-X-44およびHA-X-164は、下記の実験法を用いて、ネズミチフス菌に対する抗菌活性を示した。
【0153】
細菌を、Lubria Broth培地(LB)中で一晩培養し、各細菌懸濁液

をLB培地(4ml)に加え、細菌懸濁液の少量を処理前の細菌滴定(CFU/mL)のために取り出した。細菌懸濁液にローダミン誘導体を加え、各誘導体を50μMの濃度で2回ずつ試験した。細菌-ローダミン誘導体の各混合物を37℃で40分間インキュベートした。次いで、細菌-ローダミン懸濁液を処理し、514nmの波長の光線に180分間、総出力エネルギー30ジュール/cm2に曝露した。処理時間の後、細菌-ローダミン懸濁液を3000gで遠心沈降し、4mlに再懸濁し、各重複試料に対して連続希釈を行った。希釈した細菌懸濁液10μLを播種し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。静菌作用をCFU/mLの数で表す。
【0154】
表皮ブドウ球菌
殺菌性不活化のために用いるプロトコルを、殺菌能評価に関するブラスールおよびコールに記載の方法(ブラスールら、2000)にわずかな改変を加えて実施した。化合物TH9402、HA-X-40、HA-X-44、HA-X-149およびHA-X-164は、下記の実験法を用いて、表皮ブドウ球菌に対する抗菌活性を示した。
【0155】
細菌を、Lubria Broth培地(LB)中で一晩培養し、各細菌懸濁液

をLB培地(4ml)に加え、細菌懸濁液の少量を処理前の細菌滴定(CFU/mL)のために取り出した。細菌懸濁液にローダミン誘導体を加え、各誘導体を50μMの濃度で2回ずつ試験した。細菌-ローダミン誘導体の各混合物を37℃で40分間インキュベートした。次いで、細菌-ローダミン懸濁液を処理し、514nmの波長の光線に180分間、総出力エネルギー30ジュール/cm2に曝露した。処理時間の後、細菌-ローダミン懸濁液を3000gで遠心沈降し、4mlに再懸濁し、各重複試料に対して連続希釈を行った。希釈した細菌懸濁液10μLを播種し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。静菌作用をCFU/mLの数で表す。
【0156】
表皮ブドウ球菌
殺菌性不活化のために用いるプロトコルを、殺菌能評価に関するブラスールおよびコールに記載の方法(ブラスールら、2000)にわずかな改変を加えて実施した。化合物HA-X-171およびHA-VIII-92は、実験で10μMの濃度を用いた以外は同じ実験法を用いて、表皮ブドウ球菌に対する抗菌活性を示した。
【0157】
細菌を、Lubria Broth培地(LB)中で一晩培養し、各細菌懸濁液

をLB培地(4ml)に加え、細菌懸濁液の少量を処理前の細菌滴定(CFU/mL)のために取り出した。細菌懸濁液にローダミン誘導体を加え、各誘導体を10μMの濃度で2回ずつ試験した。細菌-ローダミン誘導体の各混合物を37℃で40分間インキュベートした。次いで、細菌-ローダミン懸濁液を処理し、514nmの波長の光線に180分間、総出力エネルギー30ジュール/cm2に曝露した。処理時間の後、細菌-ローダミン懸濁液を3000gで遠心沈降し、4mlに再懸濁し、各重複試料に対して連続希釈を行った。希釈した細菌懸濁液10μLを播種し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。静菌作用をCFU/mLの数で表す。
【0158】
表皮ブドウ球菌
殺菌性不活化のために用いるプロトコルを、殺菌能評価に関するブラスールおよびコールに記載の方法(ブラスールら、2000)にわずかな改変を加えて実施した。化合物HA-X-40は、照射処理前に排出時間90分を実施した以外は同じ実験法を用いて、表皮ブドウ球菌に対する抗菌活性を示した。
【0159】
表皮ブドウ球菌を、Lubria Broth培地(LB)中で一晩培養し、各細菌懸濁液

をLB培地(4ml)に加えた。細菌懸濁液の少量を処理前の細菌滴定のために取り出した。細菌懸濁液にローダミン誘導体を加え、誘導体を50μMの濃度で2回ずつ試験した。細菌-ローダミン誘導体の各混合物を37℃で40分間インキュベートした。次いで、細菌懸濁液を3000gで10分間遠心沈降し、LB培地(4ml)に再懸濁し、37℃で90分間インキュベートして、誘導体を排出させた。次いで、細菌-ローダミン懸濁液を処理し、514nmの波長の光線に180分間、総出力エネルギー30ジュール/cm2に曝露した。処理時間の後、各重複試料に対して連続希釈を行い、希釈した細菌懸濁液10μLを播種し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。静菌作用をコロニー形成単位/mLの数で表す。
【0160】
式(1)のローダミン誘導体の抗ウイルス活性の評価
抗ウイルスアッセイ法:
引用文献
リンL.(Lin L.)、「Helinx(商標)技術を用いた濃縮血小板におけるサイトメガロウイルスの不活化(Inactivation of cytomegalovirus in platelet concentrations using HelinxTM technology)」、Seminar in Hematology、2001、38、4、Supp. #11、27〜33;
ブラスールN.、メナードI.(Menard, I.)、フォーゲットA.(Forget, A.)、エルジャスティミR.(El Jastimi, R.)、ハメイR.(Hamei, R.)、モルフィノN.A.(Molfino, N.A.)およびエバンライアーJ.(Evan Lier, J.)、「Th9402仲介光力学療法による多発性骨髄腫および乳癌細胞の根絶:自己幹細胞移植片の臨床エクスビボパージングの影響(Eradication of Multiple Myeloma and Breast Cancer Cells by Th9402-mediated Photodynamic Therapy: Implication of Clinical Ex vivo Purging of Autologous Stem Cell Transplant)」、Photochemistry and Photobiology、2000、72、6、780〜878;
リンB.、ロンドH.(Londe, H.)、ジャンダJ.M.(Janda, J.M.)、ハンソンC.V.(Hanson, C.V.)、およびコラシュL.(Corash, L.)、「ヒト濃縮血小板における病原性、細菌の光化学不活化(Photochemical Inactivation of Pathogenic, Bacteria in Human Platelet Concentrates)」、Blood、1994、83、9、2698〜2706;
リンB.L.、ロンドH.、ハンソンC.V.、ウィースハーンG.(Wiesehahn, G.)、イザークスS.(Isaacs, S.)、チミノG.(Cimino, G.)およびコラシュL.、濃縮血小板における細胞結合ヒト免疫不全ウイルスの光化学不活化(Photochemical Inactivation of Cell-Associated Human Immunodeficiency Virus in Platelet Concentrates)、Blood、1993、82、1、292〜297;
リンB.L.、ウィースハーンG.P.、モレルP.A.(Morel, P.A.)およびコラシュL.、「濃縮血小板の汚染除去のための8-メトキシソラレンの使用および長波長紫外線照射(Use of 8-Methoxypsoralen and Long-Wavelength Ultraviolet Radiation for Decontamination of Platelet Concentrates)」、Blood、1989、74、1、517〜525。
【0161】
目的:
リンL.(2001)に記載のとおりに抗ウイルスアッセイ法を実施した。本アッセイ法では、ヒト二倍体線維芽細胞、包皮細胞(FS)を用いた。ローダミン誘導体の抗ウイルス活性を試験し、その結果よりすべての化合物、HA-X-40、HA-X-149、HA-X-164、HA-X-171およびHA-VIII-92は、PDT処理後にサイトメガロウイルスに対する抗ウイルス活性を有することが明らかにされた。
【0162】
方法:
FS細胞をシェルバイアル中でコンフルエントな状態まで培養した。感染時、2.5〜3.5×105細胞を各カバーガラス上で増殖させた。ウイルス1mlを含むCMV(AD169)保存溶液を速やかに解凍し、播種し、L-グルタミンおよび2%FBSを補足したMEM(アール塩)中での100倍希釈にしたがって希釈し、全量30mlとした。
【0163】
ウイルスの力価は0.2ml中10-2(104TCID50)プラーク形成単位(pfu)で評価した。したがって、PDT実験で用いる1mLは、1.4×105pfuとなる。M.O.I.が0.4〜0.5のCMVをこの実験全般で用いた。
【0164】
光処理しないプレートと平行して、ローダミン誘導体を含まないプレートを光処理した。アッセイ法全般で用いるローダミン誘導体の濃度は、50uMに維持した。ウイルス保存溶液への誘導体添加後、プレートをTheralux L6.30装置に入れ、210rpmで振盪しながら、180分間光照射した。エネルギー出力測定値は30ジュール/cm2であった。非PDTプレートを37℃のインキュベーターに同じ時間入れておいた。この処理時間の後、希釈を行い、遠心沈降(2000g、60分)下、FS細胞を接種した。遠心沈降後、細胞を37℃、5%CO2で60分間インキュベートし、次いで、培地で洗浄し、37℃、5%CO2で18〜24時間インキュベートした。各希釈の接種量は0.2mlで、希釈は10-3から10-5を重複して調製した。
【0165】
細胞を固定し、バイアルから取り出し、CMV前早期抗原に対する標識FITC(イソチオシアン酸フルオレセイン)Mabで染色した。
【0166】
CMVウイルス粒子を計数した。蛍光ウイルス粒子(腎臓の形)1個が1プラーク形成単位である。
【0167】
ここに、本特許に加えるべき、PDT処理なしでサイトメガロウイルス感染性を阻害する他の二つの化合物TH9402およびHA-X-44に対するプロトコル、ならびに新版の表を示す。
【0168】
目的:
リンL.(2001)に記載のとおりに抗ウイルスアッセイ法を実施した。本アッセイ法では、ヒト二倍体線維芽細胞、包皮細胞(FS)を用いた。ローダミン誘導体の抗ウイルス活性を試験し、その結果より化合物、TH9402およびHA-X-44は、サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス活性を有するためにPDT処理を必要としないことが明らかにされた。
【0169】
方法:
FS細胞をシェルバイアル中でコンフルエントな状態まで培養した。感染時、2.5〜3.5×105細胞を各カバーガラス上で増殖させた。ウイルス1mlを含むCMV(AD169)保存溶液を速やかに解凍し、播種し、L-グルタミンおよび2%FBSを補足したMEM(アール塩)中での100倍希釈にしたがって希釈し、全量30mlとした。
【0170】
ウイルスの力価は0.2ml中10-2(104TCID50)プラーク形成単位(pfu)で評価した。したがって、PDT実験で用いる1mLは、1.4×105pfuとなる。M.O.I.が0.4〜0.5のCMVをこの実験全般で用いた。
【0171】
光処理しないプレートと平行して、ローダミン誘導体を含まないプレートを光処理した。アッセイ法全般で用いるローダミン誘導体の濃度は、50uMに維持した。ウイルス保存溶液への誘導体添加後、希釈を行い、遠心沈降(2000g、60分)下、FS細胞を接種した。遠心沈降後、細胞を37℃、5%CO2で60分間インキュベートし、次いで、培地で洗浄し、37℃、5%CO2で18〜24時間インキュベートした。各希釈の接種量は0.2mlで、希釈は10-3から10-5を重複して調製した。
【0172】
細胞を固定し、バイアルから取り出し、CMV前早期抗原に対する標識FITC(イソチオシアン酸フルオレセイン)Mabで染色した。
【0173】
CMVウイルス粒子を計数した。蛍光ウイルス粒子(腎臓の形)1個が1プラーク形成単位である。
【0174】
本発明をその特定の態様に関して記載してきたが、さらなる改変が可能であり、本明細書は、本発明の方針に一般に従い、本発明が属する分野において公知となるか、または慣習となるような、本開示からの逸脱、および前述の本質的特徴に該当しうる逸脱、および添付の特許請求の範囲に従うような逸脱を含む、本発明のいかなる変形、使用、または改作も対象とすることが意図されると理解される。
ローダミン誘導体の大腸菌に対する静菌活性。大腸菌株を50uMのローダミン誘導体で排出時間なしで処理した。認められた作用を細菌増殖低下の対数で表している:HA-X-40:0,6 log;XA-X-44:根絶;HA-X-164:0,25 log;HA-X-171:3,7 logs;HA-VIII-92:6,2 logs;TH9402:7 logs。LBは化合物なしの増殖。
ローダミン誘導体のネズミチフス菌に対する静菌活性。ネズミチフス菌株を50uMのローダミン誘導体で排出時間なしで処理した。認められた作用を細菌増殖低下の対数で表している:XA-X-44:5 logs;HA-X-164:0,3 log;TH9402:6,7 logs。LBは化合物なしの増殖。
ローダミン誘導体の大腸菌に対する静菌活性。大腸菌株を50uMのローダミン誘導体で排出時間なしで処理した。認められた作用を細菌増殖低下の対数で表している:HA-X-40:0,6 log;XA-X-44:根絶;HA-X-164:0,25 log;HA-X-171:3,7 logs;HA-VIII-92:6,2 logs;TH9402:7 logs。LBは化合物なしの増殖。
ローダミン誘導体の緑膿菌に対する静菌活性。緑膿菌株を50uMのローダミン誘導体で排出時間なしで処理した。認められた作用を細菌増殖低下の対数で表している:TH9402:2 logs。LBは化合物なしの増殖。
ローダミン誘導体のネズミチフス菌に対する静菌活性。ネズミチフス菌株を50uMのローダミン誘導体で排出時間なしで処理した。認められた作用を細菌増殖低下の対数で表している:XA-X-44:5 logs;HA-X-164:0,3 log;TH9402:6,7 logs。LBは化合物なしの増殖。
サイトメガロウイルスで試験したローダミン誘導体の抗ウイルス活性。MRC-5細胞におけるウイルス感染性および増殖の低下の対数。化合物を50uM、排出時間なしで加えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独または薬学的に許容される担体と組み合わせた、下記の式(I)のローダミン誘導体:
【化1】

式中、
R1、R2、R3、R4、およびR10の一つはハロゲン原子であり、残りの各R1、R2、R3、R4、および残りの各R10基は、水素、ハロゲン原子、アミノ、アシルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アザシクロアルキル、アルキルシクロアルキルアミノ、アロイルアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルアラルキルアミノ、アリールアラルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、シアノ、ヒドロキシスルホニル、アミドスルホニル、ジアルキルアミドスルホニル、アリールアルキルアミドスルホニル、ホルミル、アシル、アロイル、アルキル、アルキレン、アルケニル、アリール、アラルキル、ビニル、アルキニル基からなる群および対応する置換された基からなる群より独立に選択され;
m=0〜1であり;
n=1〜4であり;
Aは無い、O、またはNHであり;
R9はアルキレン基であり;
ZはH、アミノ、ジアルキルアミノ、またはトリアルキルアミノ塩であり;
Xはアニオンであり;かつ
R5、R6、R7およびR8は独立にHもしくはC1〜C6アルキルであるか、またはR1とR5もしくはR6との組み合わせ、またはR2とR5もしくはR6との組み合わせ、またはR3とR7もしくはR8との組み合わせ、またはR4とR7もしくはR8との組み合わせがアルキレンであり、
ただし下記の特定の化合物は除外される:
4,5-ジブロモローダミン123 (2-(4,5-ジブロモ-6-アミノ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル塩酸塩);
4,5-ジブロモローダミン123 (2-(4,5-ジブロモ-6-アミノ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸エチルエステル塩酸塩);
4,5-ジブロモローダミン123 (2-(4,5-ジブロモ-6-アミノ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸オクチルエステル塩酸塩);
4,5-ジブロモローダミン110 n-ブチルエステル(2-(4,5-ジブロモ-6-アミノ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩);および
ローダミンB n-ブチルエステル(2-(6-エチルアミノ-3-エチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩)。
【請求項2】
請求項1に記載のローダミン誘導体であって、ただし:
「アルキル」とは、直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、および同じでも、または異なっていてもよく、かつハロ、アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルオキシ、アラルキルチオ、およびシクロアルキルからなる群より選択される、一つまたは複数の置換基を有する対応する置換アルキル基を意味し、かつ「分枝」とは、メチル、エチルまたはプロピルなどの低級アルキル基が線状のアルキル鎖に結合されていることを意味し、好ましいアルキル基には約1から約6個の炭素を有するアルキル基である「低級アルキル」基が含まれ、例示的アルキル基はメチル、エチル、イソプロピル、ヘキシル、シクロヘキシルメチルであり、メチルまたはエチル基がより好ましく;
「シクロアルキル」とは、好ましくは4から10個の炭素原子からなる非芳香環を意味し、環状アルキルは部分的に不飽和でもよく、好ましい環状アルキル環にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが含まれ、該シクロアルキル基はアリール基置換基で選択的に置換されていてもよく、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基が好ましく;
「アルケニル」とは、炭素-炭素二重結合を含み、好ましくは直鎖内に2から5個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、例示的な基にはアリルビニルが含まれ;
「アルキニル」とは、炭素-炭素三重結合を含み、好ましくは直鎖内に2から5個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、例示的な基にはエチニル、プロパルギルが含まれ;
「アリール」とは、フェニルまたはナフチル、あるいはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、カルボキシ、アロイル、ハロ、ニトロ、トリハロメチル、シアノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アルキルチオ、アリールチオ、アルキレンまたはYおよびY'が独立に水素、アルキル、アリール、もしくはアラルキルである-NYY'からなる群より選択される置換基の少なくとも一つによって置換されているフェニルまたはナフチルなどの、好ましくは6から10個の炭素原子を含む、芳香族炭素環ラジカル、または置換炭素環ラジカルを意味し;
「アラルキル」とは、アルキルのH原子がアリール基で置換されているラジカルを意味し、例示的アラルキル基はベンジルであり;
「アシル」とは、アルキル基が前述のとおりである、アルキル-CO-基を意味し、好ましいアシルはアルキル基に1から3個の炭素原子を含むアルキルを有し、例示的な基にはアセチル、プロパノイル、2-メチルプロパノイル、ブタノイルまたはパルミトイルが含まれ;
「アロイル」とは、アリール基が前述のとおりである、アリール-CO-基を意味し、好ましくは6から10個の炭素原子を環に含み、例示的な基にはベンゾイルならびに1-および2-ナフトイルが含まれ;
「アルコキシ」とは、アルキル基が前述のとおりである、アルキル-O-基を意味し、例示的アルコキシ基にはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、およびヘプトキシが含まれ;
「アリールオキシ」とは、アリール基が前述のとおりである、アリール-O-基を意味し、例示的アリールオキシ基にはフェノキシおよびナフトキシが含まれ;
「アルキルチオ」とは、アルキル基が前述のとおりである、アルキル-S-基を意味し、例示的アルキルチオ基にはメチルチオ、エチルチオ、i-プロピルチオおよびヘプチルチオが含まれ;
「アリールチオ」とは、アリール基が前述のとおりである、アリール-S-基を意味し、例示的アリールチオ基にはフェニルチオ、ナフチルチオが含まれ;
「アラルキルオキシ」とは、アラルキル基が前述のとおりである、アラルキル-O-基を意味し、例示的アラルキルオキシ基はベンジルオキシであり;
「アラルキルチオ」とは、アラルキル基が前述のとおりである、アラルキル-S-基を意味し、例示的アラルキルチオ基はベンジルチオであり;
「ジアルキルアミノ」とは、YおよびY'の両方が前述のアルキル基である、-NYY'基を意味し、例示的アルキルアミノにはエチルアミノ、ジメチルアミノおよびジエチルアミノが含まれ;
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル基が前述のとおりである、アルキル-O-CO-基を意味し、例示的アルコキシカルボニル基にはメトキシ-およびエトキシ-カルボニルが含まれ;
「アリールオキシカルボニル」とは、アリール基が前述のとおりである、アリール-O-CO-基を意味し、例示的アリールオキシカルボニル基にはフェノキシ-およびナフトキシ-カルボニルが含まれ;
「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキルが前述のとおりである、アラルキル-O-CO-基を意味し、例示的アラルコキシカルボニル基はベンジルオキシカルボニルであり;
「カルバモイル」はH2N-CO-基であり;
「アルキルカルバモイル」は、YおよびY'の一方が水素であり、YおよびY'の他方が前述のアルキルである、Y'YN-CO-基であり;
「ジアルキルカルバモイル」は、YおよびY'の両方が前述のアルキルである、Y'YN-CO-基であり;
「アシルアミノ」は、アシルが前述のとおりである、アシル-NH基であり;
「アロイルアミノ」は、アロイルが前述のとおりである、アロイル-NH基であり;
「アルキレン」とは、好ましくは2から8個の炭素原子を有する、直鎖または分枝二価炭化水素鎖の基を意味し、アルキレン基は一つまたは複数の置換窒素原子が挿入されていてもよく、ただし窒素原子の置換基はアルキルまたは酸素もしくは硫黄原子であり、かつ目下アルキレン基は2から3個の炭素原子を有することがより好ましく、例示的アルキレン基にはエチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、-CH2NMe-CH2-、O-CH2-Oまたは-O-CH2CH2-O-が含まれ;
「ハロ」とは、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味し;
「アザシクロアルキル」とは、好ましくは、メチレン基の一つが窒素によって置換されている、4から9員環飽和炭素環を意味し;
「シクロアルキルアミン」とは、YおよびY'の一方が水素であり、YおよびY'の他方が前述のシクロアルキルである、-NYY'基を意味し;
「アルキルシクロアルキルアミノ」とは、YおよびY'の一方が前述のアルキルであり、YおよびY'の他方が前述のシクロアルキルである、-NYY'基を意味し;
「ジアリールアミノ」とは、YおよびY'の両方が前述のアリール基である、-NYY'基を意味し;
「アラルキルアミノ」とは、YおよびY'の一方が水素であり、YおよびY'の他方が前述のアラルキルである、-NYY'基を意味し;
「アリールアルキルアミノ」とは、YおよびY'の一方が前述のアルキルであり、YおよびY'の他方が前述のアリールである、-NYY'基を意味し;
「アルキルアラルキルアミノ」とは、YおよびY'の一方が前述のアルキルであり、YおよびY'の他方が前述のアラルキルである、-NYY'基を意味し;
「アリールアラルキルアミノ」とは、YおよびY'の一方が前述のアリールであり、YおよびY'の他方が前述のアラルキルである、-NYY'基を意味し;
「メルカプト」は、-SHか、またはRが前述の基R1からR10のいずれかでありうるSR基であり、-SH、メルカプトアリールおよびメルカプトアルキル基が好ましく;
「ヒドロキシスルホニル」は-SO3Hであり;
「アミドスルホニル」は-SO2NH2であり;
「ジアルキルアミドスルホニル」とは、YおよびY'の両方が前述のアルキル基である、-SO2NYY'基を意味し;
「アリールアラルキルアミドスルホニル」とは、YおよびY'の一方が前述のアリールであり、YおよびY'の他方が前述のアラルキルである、-SO2NYY'基を意味し;かつ
「アニオン」とは、有機または無機酸の脱プロトン型を意味し、該アニオンは好ましくは塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、シクロヘキサンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、スルファミン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、エタンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、およびキナ酸塩から選択される。ローダミン誘導体が一つまたは複数の酸置換基を有する場合、対象となる化合物は内部塩または下記の塩基のいずれかで中和して誘導される任意の塩を含む:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、アンモニア、エチレンジアミン、リシン、ジエタノールアミン、ピペラジンなど。
【請求項3】
R1、R2、R3、R4、およびR10基の少なくとも二つがハロゲン原子、好ましくは臭素原子である、請求項1または2に記載のローダミン誘導体。
【請求項4】
ハロゲン原子が環上の2〜7、4〜5もしくは4'〜5'位にあるか、またはエステル鎖の末端にある、請求項1から3のいずれか一項に記載のローダミン誘導体。
【請求項5】
2'-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)4',5'-ジクロロ-安息香酸メチルエステル塩酸塩。
【請求項6】
4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル。
【請求項7】
2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルの酢酸塩。
【請求項8】
2,7-ジブロモローダミンBメチルエステルの酢酸塩。
【請求項9】
4,5-ジブロモローダミン6G。
【請求項10】
ローダミンB 3-ブロモプロピルエステル。
【請求項11】
様々な基が請求項1から4のいずれか一項に記載されている、図1から図5に記載の式(II)から(VII)および(I')の一つによって表される中間体。
【請求項12】
図1から図5に示す反応式および対応する説明部分に記載の式(I)の新規のローダミン誘導体であって、R1からR10、A、X、Y、Y'およびZの様々な基、ならびにmおよびnが請求項1から10に記載されており、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することのない、誘導体合成のための方法。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)のローダミン誘導体の、免疫学的障害の治療における使用。
【請求項14】
照射により高量子収量産生および一重項酸素生成を増強する一方で、正常細胞と癌細胞との間でローダミンの望ましい差示的保持を維持するための、光活性化可能なローダミン誘導体であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の誘導体。
【請求項15】
ヒト癌細胞を破壊することによる癌患者の光力学療法であって、誘導体の適当な細胞内レベルが達成され、適当な波長および強度の照射が適用される、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく請求項1から10のいずれか一項に記載の光活性化可能な誘導体の使用。
【請求項16】
白血病、播種性多発性骨髄腫、またはリンパ腫を患う患者の光力学療法のための方法であって、下記の段階を含む方法:
a)該患者のヒト骨髄を採取する段階;
b)段階a)の骨髄を、適当な波長照射下で、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく請求項1から10のいずれか一項に記載の光活性化可能な誘導体の治療量を用いて、光力学療法によりパージングする段階;および
c)パージングした段階b)の骨髄を用いて、自己幹細胞移植を行う段階。
【請求項17】
段階b)のパージングが、集中化学治療および全身放射線照射(TBI)の手順をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
乳、肺、前立腺、膵臓および大腸癌、播種性黒色腫ならびに肉腫の転移からなる群より選択される、固形腫瘍の転移を含むヒト骨髄をインビトロでパージングする方法であって、外科的切除または容積低下を達成できる、下記の段階を含む方法:
a)該患者のヒト骨髄を採取する段階;
b)段階a)の骨髄を、適当な波長照射下で、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一つの光活性化可能な誘導体の治療量を用いて、光力学療法によりパージングする段階;および
c)段階b)のパージングした骨髄を用いて、自己幹細胞移植を行う段階。
【請求項19】
段階b)のパージングが、集中化学治療および全身放射線照射(TBI)の手順をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
癌患者の光力学療法のための方法であって、該患者に、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一つの光活性化可能な誘導体を治療的に許容される細胞内レベルで投与する段階、および該患者に治療的に適当な波長を照射する段階、を含む方法。
【請求項21】
光活性化可能な誘導体を、光放射を直接あてることが可能な腫瘍部位または硬性もしくは軟性の内視鏡を用いてレーザー光線をあてることが可能な腫瘍部位で、点滴注入、注射、血流拡散により投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
レーザーをあてることが可能な腫瘍部位が、膀胱、口腔、食道、胃、下部消化管、上気道および下気道からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
患者における白血病の治療法であって、下記の段階を含むが、それにより患者の全身毒性が引き起こされることはない、方法:
a)該患者の骨髄由来の癌性クローンをパージングする段階;
b)段階a)のパージングしたクローンを、患者の正常細胞には作用しない、白血病細胞の選択的破壊に適した波長照射下で、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく請求項1から10に記載の少なくとも一つの光活性化可能な誘導体の治療量を用いて、光力学療法にかける段階;および
c)段階b)の処理クローンを患者に投与する段階。
【請求項24】
正常な細胞には作用せず、かつ患者の全身毒性を引き起こさない、免疫学的反応性細胞の選択的破壊および/または不活化のための光活性化可能な薬学的組成物であって、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく請求項1から10に記載の少なくとも一つの光活性化可能なローダミン誘導体またはその塩、およびその光活性化可能な誘導体を、薬学的に許容される担体と共に含み、それによって該誘導体の光活性化が細胞死滅を誘導する一方で、不活性化誘導体は細胞に対して実質的に無毒性である、組成物。
【請求項25】
正常な細胞には作用せず、かつ患者の全身毒性を引き起こさない、免疫学的反応性細胞の選択的破壊および/または不活化のための光力学治療のための、請求項1の光活性化可能な誘導体の使用であって、該誘導体の適当な細胞内レベルが達成され、適当な波長および強度の照射が適用される使用。
【請求項26】
患者における同種幹細胞移植に伴う移植片対宿主疾患の予防法であって、下記の段階を含む方法:
a)供与者の細胞を宿主の細胞と、免疫反応が起こる期間として十分な時間混合することにより、供与者からのリンパ球を活性化する段階;
b)適当な波長照射下で、請求項24の光活性化可能な組成物の治療量を用いて、光力学療法により段階a)の活性化リンパ球を実質的に除去する段階;および
c)段階b)の処理混合物を用いて、同種幹細胞移植を行う段階。
【請求項27】
患者における免疫学的障害の治療法であって、下記の段階を含む方法:
a)該患者の造血細胞を採取する段階;
b)適当な波長照射下で、請求項24の光活性化可能な組成物の治療量を用いて、光力学療法により段階a)の造血細胞をエクスビボで処理する段階;および
c)段階b)の処理造血細胞を用いて、移植片注入または自己移植を行う段階。
【請求項28】
免疫学的障害が、移植片対宿主疾患、移植片拒絶、自己免疫障害およびT細胞仲介性免疫アレルギーなどの、自己細胞または供与者細胞が宿主組織または異物標的に対して反応する状態からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
造血細胞が、骨髄、末梢血、および脊髄血単核細胞からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一つのローダミン誘導体またはその塩の、単独または担体との組み合わせでの、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって発症する感染症を治療するための使用。
【請求項31】
表皮ブドウ球菌(Staphilococcus epidermitis)によって発症する感染症を治療するための、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステルの、大腸菌(Escherichia coli)O157:H7および/またはネズミチフス菌(Salmonella thyphimurium)LT2に対する静菌剤としての使用。
【請求項33】
2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルの酢酸塩の、ネズミチフス菌LT2に対する静菌剤としての使用。
【請求項34】
4,5-ジブロモローダミン6Gの、大腸菌O157:H7に対する静菌剤としての使用。
【請求項35】
ローダミンB 3-ブロモプロピルエステルの、大腸菌O157:H7に対する静菌剤としての使用。
【請求項36】
4,5-ジブロモローダミンメチルエステルの、大腸菌O157:H7、ネズミチフス菌LT2および/または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対する静菌剤としての使用。
【請求項37】
担体が薬学的に許容される担体であり、好ましくは水および/もしくはDMSOまたは任意の適当な賦形剤中の5%マンニトールからなる群より選択される、請求項30から36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって汚染された液体(細胞懸濁液、血液誘導体、または細胞を含む、もしくは含まない任意の他の液体など)を処理するための静菌組成物であって、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一つのローダミン誘導体またはその塩の有効量を、単独でまたは担体との組み合わせで含む静菌組成物。
【請求項39】
グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって汚染された部位を処理するための静菌溶液であって、いかなる但し書きを伴わずに請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一つのローダミン誘導体またはその塩の有効量を、単独でまたはグラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって発症する感染症を治療するための担体との組み合わせで含む静菌溶液。
【請求項40】
グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって発症する感染症を治療するための方法であって、いかなる但し書きを伴わずに請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一つのローダミン誘導体またはその塩の有効量を、単独でまたは担体との組み合わせで、必要性のあるヒトまたは動物に投与する段階を含む方法。
【請求項41】
投与される有効量が1日に体重1キログラムあたり0.5から200mgの間に含まれる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌によって発症する感染症を治療するための、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一つのローダミン誘導体またはその塩の有効量を、単独でまたは担体との組み合わせで含む医薬品。
【請求項43】
エンベロープを持つウイルスまたはエンベロープを持たないウイルスによって発症する疾患の治療における、いかなる但し書きを伴わずに請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一つのローダミン誘導体またはその塩の有効量の、単独または担体との組み合わせでの使用。
【請求項44】
エンベロープを持つウイルスが二本鎖DNAを持つもの、好ましくは、ヘルペスウイルス科の一つである、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての、4,5-ジブロモローダミン2'-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)-4',5'-ジクロロ安息香酸メチルエステル塩酸塩の使用。
【請求項46】
サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての、2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルの酢酸塩の使用。
【請求項47】
サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての、2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステル酢酸塩。
【請求項48】
サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての、4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチル。
【請求項49】
サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての、4,5-ジブロモローダミンメチルエステル。
【請求項50】
ウイルス感染症を治療するための、請求項1の最後に条件として挙げられている化合物を除外することなく請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一つのローダミン誘導体またはその塩の有効量を、単独または担体との組み合わせで含む医薬品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−6421(P2011−6421A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157390(P2010−157390)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【分割の表示】特願2002−577810(P2002−577810)の分割
【原出願日】平成14年3月27日(2002.3.27)
【出願人】(503076928)セルメド バイオサイエンシズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】