説明

ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法

【課題】 現像処理済みのハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際のシアンステインの抑制効果に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供する。
【解決手段】 ハロゲン化銀カラー写真感光材料に露光を施した後、発色現像処理工程、漂白定着処理工程及びリンス、安定化または水洗処理工程で処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、該漂白定着工程の処理液が炭酸イオン及び硝酸イオンを含有し、かつ該硝酸イオンに対する炭酸イオンのモル比率A(炭酸イオン/硝酸イオン)が、1.0以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シアンステインの発生が抑制された新規のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、感光材料ともいう)の処理プロセスとしては、主に発色現像工程、脱銀工程及びリンス、安定化または水洗処理工程とから構成されているのが一般的である。
【0003】
脱銀工程では、発色現像工程で生じた現像銀が酸化作用を有する漂白剤により銀塩に酸化(漂白)され、さらに未使用のハロゲン化銀とともに可溶性銀塩を形成する定着剤によってハロゲン化銀カラー写真感光材料の構成層より除去される。
【0004】
漂白剤としては、主に鉄(III)錯体塩が用いられ、定着剤としてはチオ硫酸塩、その保恒剤として亜硫酸塩が通常用いられる。また、脱銀工程はそれぞれ独立した漂白処理工程と定着処理工程として行われる場合と、漂白定着処理工程として同時に行われる場合とがある。
【0005】
また、前述の処理プロセスは、自動現像機により行なわれるのが一般的である。特に近年、ミニラボと呼ばれる小型の自動現像機が店頭に設置され、顧客への迅速な処理サービスが広まっている。このため、例えば、カラーペーパーの処理プロセスにおいては、漂白定着処理工程として同一浴で処理されるのが一般的である。
【0006】
一方、連続現像処理を行う場合には、各処理液を補充しつつ行われており、環境対応や取り扱い性を向上させる観点から、補充液量の低減化(低補充化)が進んでいる。
【0007】
しかしながら、特に、漂白定着工程の補充量を著しく低減すると、前浴である発色現像工程から持ち込まれる発色現像処理液の蓄積や漂白定着液の漂白定着槽での滞留時間が長くなることにより、漂白定着液の活性度が低下し、特に、迅速条件で連続処理を行った後、現像処理したハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際に、白地にシアンステインが発生することが判明し、このシアンステインは商品価値の低下や品質劣化に繋がる問題であり、早急な改良が望まれている。
【0008】
上記の様な現像処理したハロゲン化銀カラー写真感光材料の長期保存時のステインを改良する方法として、スチルベン系蛍光増白剤の存在下でアミジン類又はビスグアニジン類と有機酸第2鉄塩を含有する漂白能を有する処理液で脱銀処理する処理方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、近年の迅速化及び低補充化が急速に進んだ処理条件下では、そのステイン防止効果は十分ではなく、更に、特許文献1には、本発明の目的とするシアンステインの抑制効果に関しては、一切の言及や示唆がなされていない。
【特許文献1】特開平5−303185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、現像処理済みのハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際のシアンステインの抑制効果に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0011】
(1)ハロゲン化銀カラー写真感光材料に露光を施した後、発色現像処理工程、漂白定着処理工程及びリンス、安定化または水洗処理工程で処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、該漂白定着処理工程の処理液が炭酸イオン及び硝酸イオンを含有し、かつ該硝酸イオンに対する炭酸イオンのモル比率A(炭酸イオン/硝酸イオン)が、1.0以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0012】
(2)前記硝酸イオンに対する炭酸イオンのモル比率Aが、0.5以下であることを特徴とする前記(1)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0013】
(3)前記漂白定着処理工程の処理液が、モノカルボン酸を含有することを特徴とする前記(1)または(2)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0014】
(4)前記漂白定着処理工程の処理液が、下記一般式(I)で表される化合物を0.002モル/L以上、0.1モル/L以下含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0015】
【化1】

【0016】
〔式中、A1、A2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、Yは水素原子、チオール基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシルアミノ基、−NR12、−SR3または−OR3を表し、W1は単結合手、−O−、−S−または−NR4−を表し、W2は−O−、−S−または−NR4−を表す。R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R1とR2、R4とA1、及びR4とA2はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(I)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。〕
(5)前記発色現像処理工程及び前記漂白定着処理工程が連続的に配置され、前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が発色現像処理液を離れ、漂白定着処理液に接するまでのエアータイムが1秒以下であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、現像処理済みのハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際のシアンステインの抑制効果に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0019】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、ハロゲン化銀カラー写真感光材料に露光を施した後、発色現像処理工程、漂白定着処理工程及びリンス、安定化または水洗処理工程で処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、該漂白定着工程の処理液が炭酸イオン及び硝酸イオンを含有し、かつ該硝酸イオンに対する炭酸イオンのモル比率A(炭酸イオン/硝酸イオン)が、1.0以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法により、現像処理済みのハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際のシアンステインの抑制効果に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
【0020】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0021】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法(以下、単に処理方法ともいう)で用いる漂白定着工程の処理液(以下、漂白定着処理液ともいう)について説明する。なお、本発明においては、処理液(使用液、タンク液)と補充液とを区別する格別の意味がない限り、両者を併せて処理組成物と称す。
【0022】
はじめに、本発明の処理方法の特徴である炭酸イオン及び硝酸イオンの含有モル比率について説明する。
【0023】
本発明では、漂白定着処理液が硝酸イオンと炭酸イオンとを含有し、該含有モル比率A(炭酸イオン/硝酸イオン)を1.0以下とすることで、本発明の目的効果である現像処理済みのハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際のシアンステインの発生を抑制することができ、更に含有モル比率A(炭酸イオン/硝酸イオン)を0.5以下とすることで、本発明の上記目的効果をより一層発揮することができ、特に好ましくは0.1以上、0.5以下である。
【0024】
本発明に係る漂白定着処理液に含まれる硝酸イオンとしては、例えば、感光材料から流出する場合、キャリーオーバー等により前浴から持ち込まれる場合或いは硝酸、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウムや硝酸カリウムなどの化合物で前記含有モル比率Aとなるように添加される場合等が有る。キャリーオーバー等により前浴から持ち込まれる場合には、下記説明の渡りラックのローラーのニップ力やローラー材質、または漂白定着処理液に補充される補充量等で、前記含有モル比率Aとなるように調整できる。漂白定着処理液及びその補充液に含まれる硝酸イオン濃度としては、1リットルあたり0.05〜3モル、更には0.1〜2.0モルが経時安定性に優れる点で好ましい。
【0025】
また、本発明に係る漂白定着処理液に含まれる炭酸イオンは、感光材料から流出する場合、キャリーオーバー等により前浴から持ち込まれる場合或いはpH調整剤やアルカリ剤として炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩または重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等の重炭酸塩で前記含有モル比率Aとなるように添加される場合等がある。キャリーオーバー等により前浴から持ち込まれる場合には、上記硝酸イオンと同様にして、前記含有モル比率Aとなるように調整できる。漂白定着処理液及びその補充液に含まれる炭酸イオン濃度としては、1リットルあたり0.05〜3モルが経時安定性の点で好ましい。
【0026】
また、本発明の目的効果が良好に発揮される観点から、モノカルボン酸及び/または0.002モル/L以上、0.1モル/L以下の一般式(I)で表される化合物を、漂白定着処理液に含有することが好ましい。
【0027】
はじめに、本発明に係る漂白定着処理液に添加するモノカルボン酸について説明する。
【0028】
本発明に適用するモノカルボン酸としては、pKaが2.0〜5.5の化合物が好ましい。なお、本発明におけるpKaとは、酸解離定数の逆数の対数値を表し、イオン強度0.1モル/リットル、25℃で求められた値をいう。
【0029】
モノカルボン酸の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、モノクロル酢酸、モノブロモ酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、モノクロルプロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、アクリル酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、アミノ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸等の脂肪族系一塩基性酸、アスパラギン、アラニン、アルギニン、エチオニン、グリシン、グルタミン、システイン、セリン、メチオニン、ロイシンなどのアミノ酸系化合物、安息香酸及びクロロ、ヒドロキシ等のモノ置換安息香酸、ニコチン酸等の芳香族系一塩基性酸などを挙げることができる。これらの中では、特に、酢酸、グリコール酸が本発明の目的効果及び漂白性への影響が比較的少ない点から好ましい。
【0030】
本発明においては、モノカルボン酸は2種以上併用して使用することもできる。モノカルボン酸の添加濃度としては、漂白定着処理液及びその補充液1リットルあたり、0.05〜2.0モルが好ましく、この範囲で用いることで、漂白定着処理液及びその補充液の経時安定性に優れる。
【0031】
次に、一般式(I)で表される化合物について説明する。
【0032】
【化2】

【0033】
上記一般式(I)において、A1、A2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、Yは水素原子、チオール基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシルアミノ基、−NR12、−SR3または−OR3を表し、W1は単結合手、−O−、−S−または−NR4−を表し、W2は−O−、−S−または−NR4−を表す。R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R1とR2、R4とA1、及びR4とA2はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(I)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。
【0034】
更に、一般式(I)で表される化合物について説明する。A1、A2がアリール基であるとき、その炭素数は6〜20が好ましく、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜10であり、例えば、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−トルイル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、2−メチル−4−スルホフェニル基、2,5−ジスルホフェニル基、4−スルホ−1−ナフチル基、6,8−ジスルホ−2−ナフチル基、5,7−ジスルホ−2−ナフチル基が挙げられる。
【0035】
1、A2がヘテロ環基であるとき、その炭素数は2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8のものであり、最も好ましくは5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
【0036】
1、A2がアルキル基であるとき、炭素数は1〜20が好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2−メトキシエチル基、スルホメチル基、2−スルホエチル基、1,2−ジカルボキシエチル、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基が挙げられる。
【0037】
1〜R4はそれぞれ水素原子、アリール基、アルケニル基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、これらの基は置換基を有するものを含む。
【0038】
1〜R4がアルキル基またはアルケニル基であるとき、炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、ビニル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基、1,2−ジカルボキシエチル、が挙げられる。
【0039】
1〜R4で表されるアリール基としては炭素数6〜20のものが好ましく、より好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基が挙げられる。
【0040】
1〜R4で表されるヘテロ環基としては炭素数2〜20のものが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8のものであり、最も好ましくは5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
【0041】
1〜R4として好ましいのは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、4−スルホフェニル基である。
【0042】
Yは水素原子、チオール基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシルアミノ基、−NR12、−SR3または−OR3を表し、R1、R2、R3はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R1、R2、R3はそれぞれ置換基を有するものを含み、好ましい例は、R4と同様である。
【0043】
1とR2、R4とA1、及びR4とA2がそれぞれ互いに結合して形成する環としては、5員環または6員環であることが好ましく、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環およびモルホリン環が挙げられる。
【0044】
一般式(I)で表される化合物は分子内に水溶性基を有することが好ましく、水溶性基としてはスルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基またはスルファモイル基が挙げられ、スルホ基、カルボキシル基及びヒドロキシル基が特に好ましい。カルボキシル基またはスルホ基を有する場合、これらはフリー体でも塩でもよく、塩の場合の対塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムが好ましく、そのうちアルカリ金属、アルカリ土類金属がより好ましく、特に好ましいのはNaおよびKである。アンモニウム基としては、例えば、アンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムが挙げられ、そのうちアンモニウムが好ましい。
【0045】
1及びW2が共に−O−の場合、及び一方が−O−で他方が−NR4−の場合、A1、A2はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基であることが好ましく、少なくとも一方がアリール基またはヘテロ環基であることが更に好ましい。
【0046】
1及びW2が共に−NR4−の場合、R1、R2、R3、2つのR4、A1、A2のうちアリール基は2個以下であることが好ましい。
【0047】
また、本発明に係る一般式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2002−139822号公報の段落番号〔0023〕〜同〔0031〕に記載の化合物A−1〜A−34、特開2002−196460号公報の段落番号〔0022〕〜同〔0021〕に記載の化合物P−1〜P−20、または特開2003−50452号公報の段落番号[0034]〜[0037]に記載のI−1〜II−8、段落番号[0050]〜[0053]に記載のIII−1〜III−16、段落番号[0065]〜[0070]に記載のV−1〜V−30等が挙げられる。
【0048】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物の添加濃度は、漂白定着処理液1リットルあたり、0.002モル以上、0.1モル以下で含有することが、本発明の目的効果をより一層発揮し、更に好ましい濃度は漂白定着処理液及びその補充液1リットルあたり、0.004モル以上、0.05モル以下である。補充液1リットルあたりでは、0.002モル以上、0.1モル以下で含有することが、経時安定性の点から好ましい。
【0049】
また、本発明に係る一般式(I)で表される化合物は2種以上併用して良い。
【0050】
その他に、特開2003−255502号公報の段落番号〔0017〕〜同〔0026〕に記載の例示化合物1)〜20)等を含有しても良い。これらの化合物の添加量は、溶解性の観点から、漂白定着処理液及びその補充液1Lあたり、0.002モル以上、0.1モル以下が好ましい。
【0051】
本発明に係る漂白定着処理液は、漂白主剤として過硫酸塩、過酸化水素などいかなる漂白剤を含むことができるが、迅速処理適性の観点からアミノポリカルボン酸第2鉄錯塩を含むことが好ましい。アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩として特に制限はないが、下記のアミノポリカルボン酸と予め錯形成された鉄錯塩、または第2鉄塩とアミノポリカルボン酸とを共存させ、液中で錯形成させても良い。
【0052】
アミノポリカルボン酸としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン−N−(β−オキシエチル)−N,N′,N′−三酢酸、エチレンジアミン−N,N′−ジ琥珀酸(SS体)、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、エチルエーテルジアミンテトラ酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン四プロピオン酸、フェニレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパノール−N,N,N′,N′−四メチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−四メチレンホスホン酸、1,3−プロピレンジアミン−N,N,N′,N′−四メチレンホスホン酸、ニトリロ二酢酸モノプロピオン酸、ニトリロモノ酢酸ジプロピオン酸、2−(ビス−カルボキシメチル−アミノ)−プロピオン酸、2ーヒドロキシ−3−アミノプロピオン酸−N,N−二酢酸、セリン−N,N−二酢酸、2−メチル−セリン−N,N−二酢酸、2−ヒドロキシメチル−セリン−N,N−二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、メチルイミノ二酢酸、N−(2−アセトアミド)−イミノ二酢酸、ニトリロトリプロピオン酸、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸、等のアルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)やアンモニウム塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
また、第2鉄塩としては、例えば、硝酸第2鉄、塩化第2鉄、臭化第2鉄、三硫酸鉄(III)三M1、硫酸鉄(III)M1(但し、M1はアンモニウム、カリウム、ナトリウムまたは水素原子を表す)などが挙げられ、より具体的な化合物としては、硝酸第2鉄、塩化第2鉄、臭化第2鉄、三硫酸鉄(III)三アンモニウム、三硫酸鉄(III)三カリウム、三硫酸鉄(III)三ナトリウム、硫酸鉄(III)カリウム、硫酸鉄(III)ナトリウム、硫酸鉄(III)アンモニウム等を挙げることができる。また、アミノポリカルボン酸第1鉄錯塩を含んでも良く、これら漂白主剤は、1種あるいは2種以上併用して用いても良い。
【0054】
本発明に係る漂白定着処理液及びその補充液に含まれるアミノポリカルボン酸第2鉄錯塩の濃度としては、0.01〜1.5モル/リットルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.02〜0.8モル/リットルであり、上記範囲で添加することで、低補充や迅速処理条件下で、優れた処理性能を発揮する。また、前記アミノポリカルボン酸と鉄イオンとのモル比率は、キレート構造の安定性の観点から、アミノポリカルボン酸:鉄イオン=1.01:1.00〜1.10:1.00が好ましい範囲である。
【0055】
次に、本発明に係る漂白定着処理液及び補充液に含まれる定着主剤について説明する。
【0056】
本発明に係る漂白定着処理液及び補充液の定着主剤としては、公知のハロゲン化銀溶解剤を用いることができる。例えば、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムまたはチオ硫酸アンモニウムなどチオ硫酸塩のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。その他の定着剤としては、例えば、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。
【0057】
定着主剤の濃度は、漂白定着処理液及びその補充液1リットル当たり、0.3〜5.0モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5モルである。これらは、1種あるいは2種以上併用して用いても良い。
【0058】
また、本発明に係る漂白定着処理液及び補充液には、定着促進などの目的で副次的に他のハロゲン化銀溶解剤を加えてもよい。副次的に添加できる適当なハロゲン化銀溶解剤としては、例えば、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素、エチレンチオ尿素などのチオ尿素類などを挙げることができ、これら化合物は1種あるいは2種以上併用して添加することもできる。また、脱銀促進性を有する化合物を添加して、処理の迅速化及び銀除去性能の向上を図ることができる。この目的に適した化合物としては、例えば、特開平8−297356号及び特開平8−137070号の各公報に開示された1,2,4−トリアゾリウム−3−スルフィド型のメソイオン化合物(代表例:1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−スルフィド)、および特開平9−005964号公報に開示された3−メルカプト−1,2,4−トリアゾ−ル型のメルカプト化合物(代表例:3−メルカプト−1,2,4−トリアゾ−ル−1−メチルスルホン酸)などを挙げることができ、これら化合物の好ましい添加量としては、漂白定着処理液及びその補充液1Lあたり0.001〜0.1モルである。また、これら脱銀促進性を有する化合物は2種以上併用してもよい。
【0059】
その他、本発明に係る漂白定着処理液及び補充液には、塩化物、臭化物、ヨウ化物のような銀の酸化を促進する為のハロゲン化剤を添加しても良い。ハロゲン化剤は、アルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩、あるいはグアニジン、アミンなどの塩として加えても良く、具体的には臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、塩化カリウム、塩酸グアニジンなどが挙げられる。ハロゲン化剤濃度は、漂白定着処理液及び補充液1リットル当たり、好ましくは1.8モル以下であり、より好ましくは0.1〜1.6モルの範囲である。
【0060】
本発明に係る漂白定着処理液及び補充液は、処理の迅速性を考慮するときはアンモニウムイオンを使用することが好ましく、一方で、作業環境性に重点をおく場合は、実質上アンモニウムイオンを含まない方が好ましい。また、pHは2.0〜8.0が好ましく、より好ましくは3.5〜6.5である。前記pHの範囲では、良好な処理性能が得られる。また、前記pHの調節には、有機酸、並びに酸、アルカリ剤等を適宜用いることができる。有機酸としてはpKaが、2.0〜5.5ものが好ましく、具体例としては、前記モノカルボン酸、またシュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、オキサロ酢酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族系二塩基性酸;アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、アスコルビン酸等のアミノ酸系二塩基性酸;フタル酸、テレフタル酸等の、芳香族二塩基性酸;クエン酸などの多塩基性酸などを挙げることができ、これらの中ではグリコール酸、コハク酸及びマレイン酸が漂白性への影響が比較的少ないことから好ましい。
【0061】
これら有機酸は、2種以上の併用又は前記モノカルボン酸と併用して使用することもできる。添加濃度は、漂白定着処理液及び補充液1リットルあたり、0.05〜2.0モルが好ましく、前期範囲で用いることで、処理液及び補充液の経時安定性に優れる。
【0062】
また、本発明に係る漂白定着処理液及び補充液には、液の保存安定性の観点から保恒剤を含有させることが好ましい。保恒剤としては、亜硫酸塩又はスルフィン酸化合物等が挙げられる。亜硫酸塩は、亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩である。具体的化合物としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。また、スルフィン酸化合物はアリールスルフィン酸化合物が好ましく、具体的例としては、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムなどを挙げることができる。これら亜硫酸塩又はスルフィン酸化合物の添加濃度は、漂白定着処理液及びその補充液1リットルあたり、0.02モル〜1.0モルであることが好ましい。その他、必要に応じて各種の添加剤、例えば、イミダゾール化合物、消泡剤、界面活性剤、蛍光増白剤、ポリビニルピロリドン(PVP)、燐酸塩またはポリ燐酸塩燐酸塩等を添加しても良い。
【0063】
蛍光増白剤としては、例えば、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が挙げられ、具体的には特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16等が挙げられる。これら蛍光増白剤の添加量は、漂白定着処理液及び補充液1リットルあたり、0.1ミリモル〜0.01モルが好ましい。
【0064】
また、イミダゾール化合物の具体例としては、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール4−メチルイミダゾール、4−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、4−(2−アミノエチル)イミダゾール、2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、4−プロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−クロロイミダゾール4,5−ジ(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
これらイミダゾール化合物は、単独或いは2種類以上併用しても良く、添加濃度は漂白定着処理液及びその補充液1リットルあたり、0.01モル〜3.0モルが好ましく、より好ましくは0.05モル〜2.0モルである。
【0066】
前記燐酸塩としては、例えば、燐酸二水素アンモニウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸三アンモニウム、燐酸二水素カリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸三カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、及び燐酸三ナトリウム等をあげることができるがこれらに限定されない。上記ポリ燐酸塩の具体的な化合物としては、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、四燐酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、N(−2−カルボキシエチル)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、N,N−ビス−(カルボキシメチレン)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、モルホリノメタン−ジホスホン酸、ニトリロトリスメチレン−ホスホン酸、エチレンジアミン−テトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、及び2−カルボキシエタン−ホスホン酸、メチレンジホスホン酸等をあげることができるがこれらに限定されない。またこれら燐酸塩またはポリ燐酸塩は単独で用いても、2種類以上併用しても良く、濃度としては漂白定着処理組成物1リットルあたり、0.01モル〜2.5モルである。
【0067】
次に、本発明の処理方法で適用する現像処理工程について説明する。
【0068】
本発明に係る現像処理工程は、発色現像工程、漂白定着工程、リンス、水洗または安定化工程及び乾燥工程からなり、各工程間には中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を必要に応じて適宜挿入することもできる。
【0069】
本発明に係る漂白定着工程を含む脱銀工程の具体的例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
1)漂白定着
2)漂白−漂白定着
3)漂白−水洗−漂白定着
4)漂白−漂白定着−定着
これらの各工程は、必要により複数槽に仕切られて、カスケード方式を採用することもある。この中で好ましい工程は1)である。
【0071】
本発明に係る漂白定着工程の補充量(ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理量に応じて処理槽に補充される補充液量)としては、ハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2あたり20〜200mlが好ましく、更に好ましくは35ml〜100mlである。
【0072】
また、発色現像工程における補充量は、現像処理されるハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーである場合には、ハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり15〜200mlが好ましく、より好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。一方、現像処理されるハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラ−ネガフィルムである場合には、ハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり100〜800mlが好ましく、より好ましくは200〜500ml、特に好ましくは250〜400mlである。
【0073】
リンス工程、水洗工程または安定化工程における補充量は、液全体でハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり300ml以下が好ましく、更に好ましくは200ml以下である。
【0074】
発色現像時間(即ち発色現像工程における処理時間)は、迅速性の点から、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーである場合には、45秒以下が好ましく、より好ましくは30秒以下、さらに好ましくは30秒以下、6秒以上である。一方、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラ−ネガフィルムである場合には、20秒〜6分が好ましく、さらに好ましくは30〜200秒である。なお、本発明でいう発色現像時間とは、ハロゲン化銀カラー写真感光材料が発色現像処理工程に入ってから次の処理工程、例えば、漂白定着処理工程に入るまでの時間をいい、ハロゲン化銀カラー写真感光材料が発色現像工程に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、ハロゲン化銀カラー写真感光材料が発色現像処理工程を離れ、次工程の漂白定着工程に入るまでの空中搬送時間(いわゆるエアータイム)との両者の合計を発色現像時間という。
【0075】
本発明においては、発色現像処理工程、漂白定着処理工程とが連続的に配置され、該発色現像処理工程のエアータイムが1秒以下とすることが、本発明の目的効果及びエッジステインの抑制効果を発揮する点から好ましく、更に好ましくは実質的0秒である。ここでいう連続的とは、発色現像処理工程と漂白定着処理工程間に他の処理工程(例えば、水洗工程等)を含まないことを意味する。また、ここでいうエッジステインとは、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーである場合、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料の紙支持体端部切断面(エッジ部)の汚れを指す。
【0076】
また、発色現像処理工程が特開2005−99262号公報や特開2005−99263号公報に記載のような複数槽を有している場合は、少なくとも最後の発色現像処理槽のエアータイムが1秒以下とすることが、本発明の目的効果をより良く発揮することができ、更に好ましくは実質的0秒である。
【0077】
本発明の処理方法において、エアータイムを短くする具体的な手段としては、特開2005−99262号公報に記載の図2、図3及び同公報の段落番号〔0014〕〜同〔0020〕に記載の方法、特開2002−55422号に記載のシングル或いはダブルのブレートによる液中ブレード搬送手段(機構)等で達成できる。
【0078】
漂白定着時間(即ち漂白定着処理を行う時間)は迅速性の点から、好ましくは1分以下であり、より好ましくは45秒以下、更に好ましくは30秒以下、6秒以上である。なお、本発明でいう漂白定着時間とは、ハロゲン化銀カラー写真感光材料が漂白定着処理液に入ってから、次工程であるリンス、水洗または安定化処理液中に入るまでの時間をいう。エアータイムは迅速性の点から短いほど良く、5秒以下、より好ましくは3秒以下である。また、エアータイムを短くとする手段は、前記液中ブレード搬送機構を用いることで達成することができる。
【0079】
リンス、安定化または水洗時間(即ち、リンス、安定化または水洗処理を行う時間)は、90秒以下が好ましく、より好ましくは30秒以下、さらに好ましくは30秒以下である。リンス、安定化または水洗時間とは、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がリンス、安定化または水洗処理工程に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。また、リンス、安定化または水洗処理工程が複数の処理槽から構成されている場合は、処理槽間のエアータイムは迅速性の点から短いほど良く、5秒以下、更には3秒以下が好ましい。また、エアータイムを短くとする手段は、前記液中ブレード搬送機構を用いることで達成することができる。
【0080】
発色現像処理工程、漂白定着処理工程、リンス、安定化または水洗処理工程の処理液温度は、一般には30〜40℃であるが、迅速処理の観点からは38〜60℃が好ましく、より好ましくは38〜50℃である。
【0081】
乾燥工程は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成膜への水分の持込み量を減らす点から、リンス(水洗または安定化)工程を行った後、直ちにスクイズロ−ラ−や布などで水分を吸収することで乾燥を早めることも可能である。また当然のことではあるが、温度を高くすることや吹きつけノズルの形状を変更し、乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風のハロゲン化銀カラー写真感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
【0082】
次に、各現像処理工程に使用される漂白定着処理組成物以外の処理組成物について説明する。
【0083】
はじめに、発色現像工程に用いられる発色現像処理組成物の詳細を説明する。
【0084】
本発明に係る発色現像処理組成物に用いられる発色現像主薬として好ましい例は、公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、特にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0085】
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アニリン
7)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)アニリン
8)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)アニリン
11)4−アミノ−3−メチル−N−(β−エトキシエチル)−N−エチルアニリン
12)4−アミノ−3−メチル−N−(3−カルバモイルプロピル)−N−n−プロピル−アニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル)−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
14)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシピロリジン
15)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン
16)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ピロリジンカルボキサミド
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち、特に好ましくは例示化合物5)、6)、7)、8)及び12)であり、その中でも例示化合物5)と8)が好ましい。
【0086】
また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩の形、或いは上述のように遊離塩基型でも良い。
【0087】
上記芳香族第1級アミン現像主薬の添加濃度は、発色現像処理組成物1リットル当たり2ミリモル〜200ミリモル、好ましくは6ミリモル〜100ミリモル、より好ましくは10ミリモル〜40ミリモルとなるように加えられる。
【0088】
発色現像処理組成物には、有機保恒剤を添加してもよい。有機保恒剤とは、発色現像処理液に添加することにより、芳香族第一級アミン発色現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指している。即ち、発色現像主薬の空気酸化などを防止する機能を有する有機化合物類であり、例えば、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが、特に有効な有機保恒剤である。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報または明細書に開示されている。
【0089】
また、その他の有機保恒剤としては下記一般式(X)または(Y)で表される化合物を含有させることもできる。
【0090】
【化3】

【0091】
上記一般式(X)において、Lは置換してもよいアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アルキル置換してもよいアンモニオ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基、アルキル置換してもよいスルファモイル基、アルキル置換してもよいスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R、R′は各々水素原子、置換してもよいアルキル基を表す。Bは置換してもよいアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。
【0092】
上記一般式(X)において、Lは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等の基が好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアンモニオ基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基又はスルファモイル基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基が好ましい例として挙げられる。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜5が好ましい。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′等が挙げられる。置換基は二つ以上あってもよい。Rとして水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。LとRが連結して環を形成してもよい。
【0093】
以下に、一般式(X)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0094】
【化4】

【0095】
【化5】

【0096】
【化6】

【0097】
次いで、一般式(Y)で表される化合物について説明する。
【0098】
【化7】

【0099】
上記一般式(Y)において、R、R′は各々炭素原子数1〜6の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素を表わす。この場合、これらの炭化水素は、水酸基、カルボキシル基、スルホン基などで置換されていてもよい。また、カルボニル基等の2価の連結基を含んでもよい。nは4〜50,000の整数を表わす。sは0または1を表す。
sが1をとる場合、Aは
【0100】
【化8】

【0101】
を表す。R″はヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数2〜8のアルキレン基またはアルカントリイル基を示し、アルキレン基の場合、qは0となり、アルカントリイル基の場合は1となる。qが1の場合、Bは一般式(Y)で表わされるポリマーを示し、一般式(Y)は3次元構造となる。mは0〜30の整数を示す。
【0102】
sが0をとる一般式(Y)で表される化合物、例えば、ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は既知の方法により容易に合成することができる。代表的な例としては、「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ」(J.Chem.Soc.,),75,1009(1899),J.Chem.Soc.,1963,3144等に記載の過酸化水素水を用いた2級アミンの酸化方法により、ポリ(アルキレンイミン)を酸化して合成する方法が挙げられる。この方法により合成された粗ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は写真特性に影響を与える成分を含まないため、精製することなく、そのまま発色現像液の組成物として使用することができる。また、「マクロモレキュルズ」(Macromolecules),21,1995(1988)等に記載の反応と組み合わせて、ポリ(アルキレンイミン)の末端基である1級アミンを2級アミンとすることにより、更に性能の優れたポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)を合成する方法も挙げられる。その他の方法としては、特開平3−259145号公報等に記載の方法を応用した、ヒドロキシルアミンとジハロゲン化アルキレンとの反応による合成方法等が挙げられる。以下、一般式(Y)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0103】
【化9】

【0104】
【化10】

【0105】
また、その他の有機保恒剤として、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンのような特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。上記有機保恒剤は、発色現像処理組成物1L当たり1×10-3モル以上、1×10-1モル以下で含有することが好ましい。また、対象とする感光材料の種類によって少量の亜硫酸イオンまたは/及びヒドロキシルアミン(通常塩酸塩や硫酸塩の形で用いるが、以下塩の形を省略する)を保恒剤として含むことができる。また、処理組成物の経時安定性の点から、スルフィン酸化合物、特にベンゼンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸等のアリールスルフィン酸化合物を含んでも良い。添加濃度は処理組成物処理1リットルあたり、0.02モル〜1.0モルであることが好ましい。
【0106】
また、発色現像使用液のpHは9.0〜13.5が好ましく、その補充液のpHは9.0〜13.5が好ましい。このため、発色現像使用液及びその補充液には、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含有させることができる。
【0107】
緩衝剤としては、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像組成物に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった点から、特に好ましい緩衝剤である。上記緩衝剤の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができるが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0108】
上記緩衝剤の添加量は、発色現像処理組成物1リットルあたり、0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
【0109】
アルカリ剤の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。
【0110】
発色現像処理組成物には、その他成分として、例えば、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤や、安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミン−N,N′−ジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。また、これらのキレート剤の量は、発色現像組成物中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば、1L当り0.lg〜10g程度になるように添加する。
【0111】
発色現像処理組成物には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報または明細書に表されるネオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表わされるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報または明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報または明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類またはイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの添加量は発色現像処理組成物1Lあたり、0.001〜0.2mol、好ましくは0.01〜0.05molである。
【0112】
発色現像処理組成物には、必要に応じて、任意のカブリ防止剤を添加できる。例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物等が挙げられる。
【0113】
また、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加しても良い。それらの添加量は処理組成物1Lあたり、0.0001〜0.2molが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05molである。また、発色現像処理組成物には、必要に応じて、蛍光増白剤を使用することができる。蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)ステチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販の物を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号などの公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、チノパールSFP、チノパールMSP、Blankophor BSU liq.、Hakkol 508及びHakkol BRKが好ましい。その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては前記説明の化合物を挙げることができる。添加量は、発色現像処理組成物1リットルあたり、0.1ミリモル〜0.1モルが好ましい。
【0114】
また、本発明に係る前記一般式(I)で表される化合物も含むことができる。添加量は、発色現像処理組成物1リットルあたり、0.1ミリモル〜0.1モルが好ましい。
【0115】
カラーペーパー用の発色現像処理組成物には、通常塩素イオンを3.5×10-2〜1.5×10-1モル/リットル含有することが多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。一方、カラーネガフィルム用の発色現像処理組成物では、通常臭素イオンを0.2×10-2〜15.0×10-2モル/リットル、好ましくは0.5×10-2〜5.0×10-2モル/リットル含有することが多いが、臭素イオンは、通常現像の副生成物として該処理組成物中に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。また、沃素イオンを0.2×10-3〜15.0×10-3モル/リットル、好ましくは0.5×10-3〜5.0×10-3モル/リットル含有することが多いが、沃素イオンも通常現像の副生成物として該処理組成物中に放出されることもあるので補充液には添加不要のことが多い。
【0116】
次に、リンス、安定化または水洗の各処理液について説明する。
【0117】
本発明で用いるリンスまたは安定化液には、キレート剤(例えば、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等)、緩衝剤(例えば、炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤(例えば、ディアサイド702(米国ディアボーン社製)、p−クロロ−m−クレゾール、ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、蛍光増白剤(例えば、トリアジニルスチルベン系化合物等)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(例えば、亜鉛塩、マグネシウム塩等)または本発明に係る前記一般式(I)で表される化合物等を適宜添加することができる。
【0118】
更にリンスまたは安定化液には、液保存性の点から前記亜硫酸塩及び/またはスルフィン酸化合物を添加することが好ましい。これら亜硫酸塩及び/またはスルフィン化合物の添加量は、リンスまたは安定化液中に少なくとも1×10-5モル/L以上で添加されることが好ましく、更に好ましくは5×10-5モル/L〜5×10-2モル/Lである。また、リンス安定化または水洗の処理液のpHは、4.0〜10.0の範囲が好ましい。また、上記pHに調整するため、pH調整剤を含有することもできる。pH調整剤としては、一般に知られているアルカリ剤または酸剤のいかなるものでもよい。
【0119】
次いで、本発明の処理方法で処理を行うハロゲン化銀カラー写真感光材料について説明をする。
【0120】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、通常、支持体上にイエロー色素形成カプラーを含有する感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラーを含有する感光性ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラーを含有する感光性ハロゲン化銀乳剤層及び非感光性親水性コロイド層を、それぞれ必要に応じて1層以上含む層から構成されている。
【0121】
前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により非感光性親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層及び着色層に有していてもよい。
【0122】
本発明の処理方法を適用可能なハロゲン化銀カラー写真感光材料としては、例えば、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーペーパー、カラーディスプレイ、カラー映画フィルム等を挙げることができるが、好ましくはカラーペーパーである。カラーペーパーの市販品としては、FUJICOLOR Crystal Archive ペーパー、FUJICOLOR SUPER FA ペーパー(以上、富士写真フィルム社製)、Kodak EKTACOLOR EDGE ペーパー、Kodak EKTACOLOR Royal ペーパー(以上、イーストマン・コダック社製)、AGFACOLOR TYPE ペーパー、AGFACOLOR Prestige ペーパー(以上、AGFA社製)、KONICACOLOR QA ペーパー(コニカミノルタフォトイメージング社製)(いずれも商品名)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
次に、現像処理を機械で行う場合の現像処理装置(自動現像機)について説明する。
【0124】
本発明の処理方法に適用可能な自動現像機は、搬送の線速度が100mm/秒以下であることが好ましく、より好ましくは27.8mm/秒〜80mm/秒、特に好ましくは27.8mm/秒〜50mm/秒である。
【0125】
カラーペーパー用自動現像機の搬送では、カラーペーパーを最終サイズにカットしてから現像処理を行う方式(シート型搬送方式)と、ロール状のハロゲン化銀カラー写真感光材料で現像処理し、乾燥後に最終サイズにカットする方式(シネ型搬送方式)とがある。シネ型搬送方式は、画像間に2mm程度のハロゲン化銀カラー写真感光材料の無駄が発生するため、シート型搬送方式が好ましい。
【0126】
また、処理液槽及び補充液槽は、液が空気と接触する面積(開口面積)はできるだけ小さい方が好ましく、例えば、開口面積(cm2)を槽中の液体槽(cm3)で割った値を開口率とすると、開口率は0.08(cm-1)以下が好ましい。
【0127】
また、空気と接触する面積を小さくする為に、処理液槽及び補充液槽では液面に浮かぶ固体または液体の空気非接触手段を設けることが好ましい。具体的には、プラスチック製の浮きなどを液面に浮かべる方法や、処理液と混ざらず、また化学反応を起こさない液体で覆うことが好ましい。液体の例としては、流動パラフィン、液状飽和炭化水素等を用いることができる。
【0128】
また、自動現像機の各処理槽間の搬送(前槽から次槽への搬送)は、渡りラックを用いて一度空中を搬送させる構造や前述の様なブレードによる液中搬送手段等を用いることができる。また、ブレード液中搬送手段を用いた場合、特開2002−339383号記載の液循環方向を下方向に流す液循環構造、循環系に多孔材質プリーツ状フィルター等を設置することもできる。
【0129】
また、自動現像機は処理液の蒸発分に相当する水を供給する、いわゆる蒸発補正を行う機構を有することが好ましく、特に発色現像処理液や漂白定着処理液にこの機構を備えることが、処理安定性の観点から好ましい。このような水の補充を行う具体的方法としては、特に制限はないが、中でも特開平1−254959号公報や同1−254960号公報に記載の漂白定着槽とは別のモニター水槽を設置し、モニター水槽内の水の蒸発量を求め、この水の蒸発量から漂白定着槽における水の蒸発量を算出し、この蒸発量に比例して漂白定着槽に水を補充する方法や液レベルセンサーやオーバーフローセンサーを用いた蒸発補正方法が好ましい。最も好ましい蒸発補正方法は、蒸発分に相当する水を予想して加えるもので、日本発明協会公開技報94−49925号1頁の右欄26行目〜同3頁左欄28行目に記載されているように自動現像機の運転時間、停止時間及び温調時間の情報に基づいて予め求められた係数により計算された加水量を添加するものである。また、蒸発量を減少させる工夫も必要であり、開口面積を少なくしたり、排気ファンの風量を調節することが要求される。例えば、発色現像処理液の好ましい開口率は前記した通りであるが、他の処理液においても同様に開口面積を低下させることが好ましい。
【0130】
蒸発量を減少させる手段として、特開平6−110171号記載の「処理槽の上部空間の湿度を80%RH以上に保持する」ことが特に好ましく、上記公報の図1、2に記載の蒸発防止ラック及びローラー自動洗浄機構を有することが特に好ましい。温調時の結露防止のために排気ファンが通常取付けられているが、好ましい排気量としては毎分0.1m3〜1m3であり、特に好ましくは、0.2m3〜0.4m3である。ハロゲン化銀カラー写真感光材料の乾燥条件も処理液の蒸発に影響する。乾燥方式としては、セラミック温風ヒーターを用いるのが好ましく、供給風量としては毎分4m3〜20m3が好ましく、特に6m3〜10m3が好ましい。セラミック温風ヒーターの加熱防止用サーモスタットは、伝熱によって動作させる方式が好ましく、取付け位置は、放熱フィンや伝熱部を通じて風下または風上に取り付けるのが好ましい。乾燥温度は、処理される感光材料の含水量によって調整することが好ましく、カラーペーパーでは50〜70℃、APSフォーマット及び35mm幅のフィルムでは45〜55℃、ブローニーフィルムでは55〜65℃が最適である。乾燥時間は5秒〜2分が好ましく、特に5秒〜60秒がより好ましい。
【0131】
処理使用液の補充に際しては補充ポンプが用いられるが、ベローズ式の補充ポンプが好ましい。また、補充方式としては、直接処理槽に処理液濃縮組成物を添加するとともに、希釈率に見合った水を処理槽に直接加えても良く、また補充タンク内で処理液濃縮組成物を溶解・希釈して補充液として補充しても良く、また補充タンク内で自動調製装置を用いて処理液濃縮組成物を自動的に溶解・希釈して補充液として補充しても良い。また、補充精度を向上させる方法としては、ポンプ停止時の逆流を防止するため、補充ノズルへの送液チューブの径を細くしておくことが有効である。好ましい内径としては1〜8mm、特に好ましい内径として2〜5mmである。
【0132】
自動現像機には種々の部品材料が用いられ、好ましい材料を以下に記載する。
【0133】
処理槽及び温調槽等のタンク材質は、変性PPO(変性ポリフェニレンオキサイド)、変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)樹脂が好ましい。変性PPOは、日本ジーイープラスチック社製「ノリル」、変性PPEは、旭化成工業製「ザイロン」、三菱瓦斯化学製「ユピエース」等が挙げられる。また、これら材質は、処理ラック、渡りラック及びスクイズラック等の処理液に接触する可能性のある部位に適している。
【0134】
処理部のローラー材質は、PVC(ポリ塩化ビニル)やPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、TPX(ポリメチルペンテン)等の樹脂が適している。また、これらの材質は、その他の処理液接触部にも使用することが可能である。尚、PE樹脂はブロー形成による補充タンクの材質にも好ましい。処理部、ギヤ、スプロケット、軸受などの材質には、PA(ポリアミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、UHMPE(超高分子量ポリエチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(全芳香族ポリエステル樹脂、液晶ポリマー)等の樹脂が適している。PA樹脂は、66ナイロンや12ナイロン、6ナイロン等のポリアミド樹脂で、ガラス繊維や炭素繊維等を含有したものは、処理液による膨潤に対して強く、使用可能である。また、MCナイロンの様な高分子量品やコンプレッション形成品は、繊維強化なしでも使用することが可能である。UHMPE樹脂は、未強化品が適しており、三井石油化学(株)製「リューブマ」、「ハイゼックス・ミリオン」、作新工業(株)製「ニューライト」、旭化成工業(株)製「サンファイン」等が適している。分子量は、好ましくは100万以上、より好ましくは100万〜500万である。PPS樹脂は、ガラス繊維や炭素繊維強化のものが好ましい。LCP樹脂は、ICIジャパン(株)製「ビクトレックス」、住友化学(株)製「エコノール」、日本石油(株)製「ザイダー」、ポリプラスチック(株)製「ベクトラ」などが含まれる。特に、搬送ベルトの材質としては、特開平4−151656号記載の超高強力ポリエチレン繊維やポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。搬送ローラー、スクイズローラー等の軟質材料としては、発泡塩化ビニル樹脂や発泡シリコン樹脂、発泡ウレタン樹脂が適している。発泡ウレタン樹脂としては東洋ポリマー(株)製「ルビセル」が挙げられる。配管の継手やアジテーションジェットパイプの継手、シール材などのゴム材質としては、EPDMゴム、シリコンゴム、バイトンゴムなどが好ましい。また、各工程への補充液を供給するキットをカートリッジとして一括して装着できる装置を自動現像機が有していることが、補充液の作製を容易にできる点で好ましい。
【実施例】
【0135】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0136】
実施例1
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーを作製した。
【0137】
紙基材の両面に高密度ポリエチレンをラミネートして紙支持体を作製した。ただし、各乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンの分散物(含有量は15質量%)を含有する溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体Aを作製した。この反射支持体Aをコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の各構成層を塗設して、試料101を作製した。
【0138】
上記カラーペーパーの作製において、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0139】
【表1】

【0140】
【表2】

【0141】
なお、表1、表2に記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0142】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム
DBP:ジブチルフタレート
DNP:ジノニルフタレート
DOP:ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
【0143】
【化11】

【0144】
【化12】

【0145】
【化13】

【0146】
【化14】

【0147】
【化15】

【0148】
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
〈青感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1を、常法に従い調製した。次に、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1Bを、常法に従い調製した。
【0149】
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。また、EMP−1Bに対しても同様に感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の比率で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を調製した。
【0150】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10-4モル/モルAgX
〈緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2を、常法に従い調製した。次に平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2Bを、常法に従い調製した。
【0151】
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−2Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の比率で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を調製した。
【0152】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 4×10-4モル/モルAgX
〈赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3を、常法に従い調製した。また平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3Bを、常法に従い調製した。
【0153】
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−3Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−3とEMP−3Bを銀量で1:1の比率で混合し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を調製した。
【0154】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10-4モル/モルAgX
上記各ハロゲン化銀乳剤の調製に使用した各化合物の詳細は、以下の通りである。
【0155】
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
また赤感光性ハロゲン化銀乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10-3モル添加した。
【0156】
【化16】

【0157】
《現像処理》
図1記載の処理槽構成からなるコニカミノルタフォトイメージング社製プリンタープロセッサーNPS−808GOLDを下記現像条件を満たすように改造した。次にこの自動現像機を用いて常法に従いウェッジ露光した上記作製試料101を処理し、現像処理済み試料を作製した。
【0158】
〔現像条件〕
〈処理工程〉 〈処理温度〉 〈処理時間〉
(℃) (秒)
発色現像 42.5 18
漂白定着 40.0 18
安定化−1 38.0 10
安定化−2 38.0 10
安定化−3 38.0 10
乾燥 60〜80 22
図1において、処理槽は発色現像処理槽1、漂白定着処理槽2、及び3槽からなる安定化処理槽3−1〜3−3で構成されている。なお、図1には、乾燥部や補充液タンク等の付属部位の記載は省略してある。
【0159】
各処理工程のエアータイムは、いずれも3秒とした。ここでいうエアータイムATとは、発色現像工程のエアータイムAT1を例に説明すると、図1に記載の様に、ハロゲン化銀カラー写真感光材料Pが、発色現像処理槽1で処理された後、発色現像液から離間する位置CD−aから漂白定着処理槽の漂白定着液に接触する位置CD−bまでの移動時間をいう。同様に、漂白定着工程のエアータイムAT2(漂白定着処理槽2→安定化処理槽3−1の間)及び安定化工程のエアータイムAT3(安定化処理槽3−1→安定化処理槽3−2の間、及び安定化処理槽3−2→安定化処理槽3−3の間)を同様に設定した。
【0160】
〔処理液組成〕
各処理工程で用いた処理液組成は、以下の通りである。
【0161】
発色現像処理液及び安定化処理液は下記の各処理液を使用し、漂白定着処理液として1−1〜1−32をそれぞれ使用し、現像処理1−1〜1−32を行った。
【0162】
(発色現像処理液:1L当たり)
蛍光増白剤(FWA−1) 3.0g
p−トルエンスルホン酸 10.0g
塩化カリウム 7.0g
水酸化ナトリウム 6.5g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(p−(メタンスルホンアミド)エチル)
アニリン硫酸塩 7.0g
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム塩 5.5g
炭酸カリウム 22.5g
ジエチレントリアミン五酢酸 8.0g
pH 10.20
水を加えて全量を1Lとし、pHを水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0163】
【化17】

【0164】
(漂白定着処理液1−1〜1−32:1L当たり)
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.2モル
チオ硫酸アンモニウム(58質量/質量%) 145.0g
亜硫酸アンモニウム(34質量/質量%) 0.15モル
硝酸イオン 表3に記載の添加量
炭酸イオン 表3に記載の添加量
添加剤:モノカルボン酸(表3に記載の種類) 表3に記載の添加量
イミダゾール 0.1モル
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 3.0g
コハク酸 6.0g
pH 5.8
水を加えて全量を1Lとし、pHは水酸化アンモニウムまたは50%硫酸を用いて調整した。なお、硝酸イオンは硝酸アンモニウム、炭酸イオンは重炭酸カリウムで添加した。
【0165】
(安定化処理液:1L当たり)
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム 3.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.5g
亜硫酸ナトリウム 0.5g
チノパールSFP(チバガイギー製) 0.5g
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 0.2g
pH 7.5
水を加えて全量を1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0166】
《現像処理済み試料の評価》
〔シアンステインの評価〕
上記作成した各現像処理済み試料の最小濃度部(Dmin部)のシアン反射濃度を、濃度計X−Rite310を用いて測定し、これをDmin1とした。次いで、同試料を80℃、60%RHの環境下で20日間の強制劣化保存を行った後、同様にして最小濃度部(Dmin部)のシアン反射濃度を測定し、これをDmin2とした。次いで、下式に従って強制劣化保存前後でのシアン最小濃度の変化幅ΔDmin(C)を求め、これをシアンステインの尺度とした。
【0167】
ΔDmin(C)=強制劣化保存後のDmin2−強制劣化保存前のDmin1
なお、ΔDmin(C)の値が低い程、シアンステインの抑制効果が良好に発揮されていることを示す。
【0168】
以上により求めたシアンステインの結果を、表3に示す。
【0169】
【表3】

【0170】
表3に記載の結果より明らかなように、漂白定着処理液中の硝酸イオンと炭酸イオン量を変化させ、シアンステインへの影響を評価した結果、硝酸イオンと炭酸イオンの含有モル比率を本発明で規定する範囲(炭酸イオン/硝酸イオン≦1.0)とすることで、シアンステインの発生を著しく低減できることが分かる。その中でも、炭酸イオン/硝酸イオン≦0.5の条件で、更に良好なシアンステインの抑制効果が発揮されていることが分かる。また、本発明の構成範囲内であるが、炭酸イオン比率が比較的高い条件(炭酸イオン/硝酸イオン=0.7)においてもモノカルボン酸を含有させることで、更に良好なシアンステインの抑制効果を発揮することが分かる。
【0171】
実施例2
実施例1に記載の現像処理1−8(漂白定着処理液1−8)において、一般式(I)で表される下記化合物を表4に記載のように添加した以外は、実施例1と同様の条件で現像処理した。
【0172】
【化18】

【0173】
次いで、現像処理済みの各試料に、強制劣化処理条件として80℃、60%RHの環境下で70kluxの光照射を行い、実施例1と同様にして、強制劣化保存前後でのシアン最小濃度の変化幅ΔDmin(C)を求め、これをシアンステインの尺度とした。
評価した。以上により得られた結果を、表4に示す。
【0174】
【表4】

【0175】
表4に記載の結果より明らかなように、より過酷な保存条件では、一般式(I)で表される化合物を0.002モル/L以上、0.1モル/L以下で含有することで、より良好な抑制効果を発揮し、0.004モル/L以上、0.05モル/L以下では、更に良好なシアンステインの抑制効果を発揮することが分かる。
【0176】
実施例3
〔処理条件A〕
実施例1で用いた自動現像機NPS−808GOLDを、下記現像条件となるように改造し、また発色現像処理工程及び漂白定着処理工程の処理槽と処理ラックを図2に記載の様に改造した。次に、この自動現像機を用いて常法に従いウェッジ露光した試料101及び試料101のLサイズ(89mm×127mm)を未露光状態で50枚処理した。
【0177】
(NPS−808GOLDの処理槽及び処理ラックの改造)
図2に記載の様に、発色現像処理槽を1−1〜1−3の3槽構成とし、各発色現像処理槽の中央部にブレード搬送機構6を設け、ハロゲン化銀カラー写真感光材料Pを系外から発色現像処理槽1−1(発色現像−1)→発色現像処理槽1−2(発色現像−2)→発色現像処理槽1−3(発色現像−3)と順次搬送を行いながら発色現像処理を行う。発色現像処理槽1−3から次工程である漂白定着処理槽2への移送も同様にブレード搬送機構6を介して行う。なお、安定化処理工程は、図1と同様にした。図2に記載の自動現像機では、発色現像処理間のエアータイム(発色現像1−1→発色現像1−2の間)及び発色現像工程のエアータイムAT1(発色現像処理槽1−3→漂白定着処理槽2の間)は、それぞれ液中内での搬送であるため、実質的0秒である。
【0178】
(現像条件)
〈処理工程〉 〈処理温度〉 〈処理時間〉
(℃) (秒)
発色現像−1 42.5 14
発色現像−2 42.5 2
発色現像−3 42.5 2
漂白定着 40.0 15
安定化−1 38.0 8
安定化−2 38.0 8
安定化−3 38.0 8
乾燥 60〜80 22
漂白定着工程及び安定化工程のエアータイムはともに3秒とした。
【0179】
〔処理条件B〕
実施例1に記載のNPS−808GOLDを下記処理時間となるように改造し、また発色現像工程のエアータイムAT1(CD−a〜CD−bまでの移動時間)が1秒となるように渡りラック7も改造した。次に、この自動現像機を用いて常法に従いウェッジ露光した試料101及び試料101のLサイズを未露光状態で50枚処理した。
【0180】
(現像条件)
〈処理工程〉 〈処理温度〉 〈処理時間〉
(℃) (秒)
発色現像 42.5 18
漂白定着 40.0 15
安定化−1 38.0 8
安定化−2 38.0 8
安定化−3 38.0 8
乾燥 60〜80 22
漂白定着及び安定化工程のエアータイムは、それぞれ3秒に設定した。
【0181】
〔処理条件C〕
実施例1に記載のNPS−808GOLDを下記処理時間となるように改造した。次に、この自動現像機を用いて常法に従いウェッジ露光した試料101及び試料101のLサイズ(89mm×127mm)を未露光で50枚処理した。
【0182】
(現像条件)
〈処理工程〉 〈処理温度〉 〈処理時間〉
(℃) (秒)
発色現像 42.5 18
漂白定着 40.0 15
安定化−1 38.0 8
安定化−2 38.0 8
安定化−3 38.0 8
乾燥 60〜80 22
各処理工程のエアータイムは3秒とした。
【0183】
〔各処理組成物〕
上記処理条件A〜Cの各処理工程で用いた処理組成物の構成は、以下の通りである。
【0184】
(発色現像処理液:1L当たり) 〈タンク液〉
蛍光増白剤(FWA−1) 3.0g
p−トルエンスルホン酸 10.0g
塩化カリウム 7.0g
水酸化ナトリウム 6.5g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(p−(メタンスルホンアミド)エチル)
アニリン硫酸塩 7.0g
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム塩 5.5g
炭酸カリウム 24.0g
ジエチレントリアミン五酢酸 8.0g
pH 10.20
水を加えて全量を1Lとし、pHを水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0185】
(漂白定着処理液:1L当たり) 〈タンク液〉
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.2モル
チオ硫酸アンモニウム(58質量/質量%) 145.0g
亜硫酸アンモニウム(34質量/質量%) 0.15モル
硝酸イオン 表5に記載の添加量
炭酸イオン 表5に記載の添加量
グリコール酸 0.1モル
イミダゾール 0.1モル
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 3.0g
コハク酸 6.0g
pH 5.8
水を加えて全量を1Lとし、pHは水酸化アンモニウムまたは50%硫酸を用いて調整した。なお、硝酸イオンは硝酸アンモニウム、炭酸イオンは重炭酸カリウムで添加した。
【0186】
(安定化処理液:1L当たり) 〈タンク液〉
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム 3.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.5g
亜硫酸ナトリウム 0.5g
チノパールSFP(チバガイギー製) 0.5g
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 0.2g
pH 7.5
水を加えて全量を1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0187】
《処理済み試料の評価》
〔シアンステインの評価〕
上記処理条件A〜Cで処理した各試料を、実施例1と同様の強制劣化条件で、保存日数のみを28日間に変更した以外は同様に評価した。
【0188】
〔エッジステインの評価〕
未露光で処理した試料50枚を積み重ね、その積層したエッジ部(端部)4辺を濃度計X−Rite310を用いてイエロー濃度をそれぞれ測定した。次に、このイエロー濃度(Dmin(Y))の4辺の値を平均し、これをエッジステインの尺度とした。Dmin(Y)の値が低い程、エッジステインの抑制効果が良好に発揮されていることを示す。
【0189】
以上により得られた結果を、表5に示す。
【0190】
【表5】

【0191】
表5に記載の結果より明らかなように、迅速条件で処理し、かつ過酷な条件で保存した場合、発色現像処理工程のエアータイムが1秒以下(処理条件B)では、より良好なシアンステインの抑制効果を発揮するばかりか、エッジステインに対しても良好な抑制効果を発揮することが分かる。また、図2に記載の発色現像処理工程のエアータイムが実質的0秒(処理条件A)では、更に好ましい抑制効果を発揮することが分かる。
【0192】
実施例4
《処理A》
試料101を用いて、実写シーンが撮影されたカラーネガフィルムから像様露光を行い、処理としては1日あたり50m2、2Rになるまで下記現像処理条件で連続処理(ランニング処理)を行った。2Rとは漂白定着タンク液容量分の漂白定着補充液が2倍量補充されることを意味する。また、自動現像機は実施例1のNPS−808GOLDを用いた。なお、発色現像処理槽から漂白定着処理槽に持ち込まれるキャリーオーバー量は25ml/m2となるように渡りラックのローラーニップ力を調整した。
【0193】
〔現像処理条件〕
(処理工程) (処理温度) (時間) (補充量) (タンク容量)
発色現像 42.5℃ 18秒 50ml/m2 12.5L
漂白定着 40.0℃ 18秒 45ml/m2 12.3L
安定化−1* 38.0℃ 10秒 − 11.8L
安定化−2 38.0℃ 10秒 − 11.8L
安定化−3 38.0℃ 10秒 150ml/m2 11.8L
乾燥 60〜80℃ 22秒
*安定化工程は、安定化−3(安定化処理槽3−3)に安定化補充液を添加し、そのオーバーフロー液を安定化−2(安定化処理槽3−2)、次いで安定化−1(安定化処理槽3−1)へ送液するタンク向流方式とした。また各処理工程のエアータイムは3秒とした。
【0194】
〔処理液組成〕
各処理工程で用いた処理液組成は、以下の通りである。
【0195】
(発色現像処理組成物:1L当たり)
〈タンク液〉 〈補充液〉
蛍光増白剤(FWA−1) 3.0g 5.0g
p−トルエンスルホン酸 10.0g 10.0g
塩化カリウム 7.0g −
水酸化ナトリウム 6.5g 6.5g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(p−(メタンスルホンアミド)
エチル)アニリン硫酸塩 7.0g 15.5g
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム塩
5.5g 12.0g
炭酸カリウム 0.165モル 0.165モル
ジエチレントリアミン五酢酸 8.0g 8.0g
pH 10.20 13.00
水を加えて全量を1Lとし、pHを水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0196】
(漂白定着処理組成物:1L当たり)
〈タンク液〉 〈補充液〉
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.2モル 0.28モル
チオ硫酸アンモニウム(58質量/質量%) 145.0g 220.0g
亜硫酸アンモニウム(34質量/質量%) 0.15モル 0.38モル
硝酸イオン 0.12モル 0.2モル
イミダゾール 0.1モル 0.16モル
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 3.0g 7.0g
コハク酸 6.0g 10.0g
pH 5.8 4.8
水を加えて全量を1Lとし、pHは水酸化アンモニウムまたは50%硫酸を用いて調整した。なお、硝酸イオンは硝酸アンモニウムで添加した。
【0197】
(安定化処理組成物:1L当たり)
〈タンク液=補充液〉
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム 3.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.5g
亜硫酸ナトリウム 0.5g
チノパールSFP(チバガイギー製) 0.5g
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 0.2g
pH 7.5
水を加えて全量を1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0198】
〔炭酸イオン及び硝酸イオン濃度の測定〕
ランニング終了後、漂白定着処理液中の炭酸イオン及び硝酸イオン濃度をイオンクロマトグラフを用いてそれぞれ測定し、モル比率Aを求めた結果、炭酸イオン/硝酸イオン=0.5であった。
【0199】
《処理B》
漂白定着処理組成物を以下に変更した以外は、処理Aと同様にランニング処理を実施した。
【0200】
(漂白定着処理組成物:1L当たり)
〈タンク液〉 〈補充液〉
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.2モル 0.28モル
チオ硫酸アンモニウム(58質量/質量%) 145.0g 220.0g
亜硫酸アンモニウム(34質量/質量%) 0.15モル 0.38モル
硝酸イオン 0.04モル 0.07モル
イミダゾール 0.1モル 0.16モル
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 3.0g 7.0g
コハク酸 6.0g 10.0g
pH 5.8 4.8
水を加えて全量を1Lとし、pHは水酸化アンモニウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0201】
〔炭酸イオン及び硝酸イオン濃度の測定〕
ランニング終了後、漂白定着処理液中の炭酸イオン及び硝酸イオン濃度をイオンクロマトグラフを用いてそれぞれ測定し、モル比率Aを求めた結果、炭酸イオン/硝酸イオン=1.3であった。
【0202】
《処理済み試料の評価》
〔シアンステインの評価〕
処理A及び処理Bのランニング終了後、それぞれ常法に従いウェッジ露光した試料101を処理し、現像処理済み試料を作製した。次ぎにこれら試料を用いて実施例1と同様の条件でシアンステインを評価した。
【0203】
以上により得られた結果を表6に示す。
【0204】
【表6】

【0205】
表6に記載の結果より明らかなように、発色現像処理液からキャリーオーバーにより持ち込まれることで、炭酸イオンが漂白定着処理液に含有するランニング処理においても、硝酸イオンと炭酸イオンの含有モル比率が本発明の範囲では、シアンステインの発生を著しく低減できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0206】
【図1】本発明の処理方法で適用可能な自動現像機の処理槽構成の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の処理方法で適用可能な自動現像機の処理槽構成の他の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0207】
1、1−1〜1−3 発色現像処理槽
2 漂白定着処理槽
3−1〜3−3 安定化処理槽
4 ガイドローラ
5 サポートローラ
6 ブレード搬送機構
7 渡りラック
P ハロゲン化銀カラー写真感光材料
AT エアータイム
AT1 発色現像工程のエアータイム
AT2 漂白定着工程のエアータイム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料に露光を施した後、発色現像処理工程、漂白定着処理工程及びリンス、安定化または水洗処理工程で処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、該漂白定着処理工程の処理液が炭酸イオン及び硝酸イオンを含有し、かつ該硝酸イオンに対する炭酸イオンのモル比率A(炭酸イオン/硝酸イオン)が、1.0以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【請求項2】
前記硝酸イオンに対する炭酸イオンのモル比率Aが、0.5以下であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【請求項3】
前記漂白定着処理工程の処理液が、モノカルボン酸を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【請求項4】
前記漂白定着処理工程の処理液が、下記一般式(I)で表される化合物を0.002モル/L以上、0.1モル/L以下含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【化1】

〔式中、A1、A2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、Yは水素原子、チオール基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシルアミノ基、−NR12、−SR3または−OR3を表し、W1は単結合手、−O−、−S−または−NR4−を表し、W2は−O−、−S−または−NR4−を表す。R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R1とR2、R4とA1、及びR4とA2はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(I)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。〕
【請求項5】
前記発色現像処理工程及び前記漂白定着処理工程が連続的に配置され、前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が発色現像処理液を離れ、漂白定着処理液に接するまでのエアータイムが1秒以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−78955(P2007−78955A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265034(P2005−265034)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】