説明

ハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法

【課題】 白地ムラが改良され、かつプルーフとしての生産適性を備えた広幅のプルーフ用途のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法を提供する
【解決手段】 支持体上に、少なくとも1層の増感色素により分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む感光性ハロゲン化銀層を有する幅450mm以上のプルーフ用のハロゲン化銀カラー感光材料を、少なくとも発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程の各処理工程を経て現像処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法において、該各処理工程を構成する処理槽の少なくとも1槽の処理液が、該増感色素の水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白地ムラが改良され、かつプルーフとしての生産適性を備えた広幅プルーフ用のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハロゲン化銀カラー感光材料は、高感度であること、色再現性に優れていること、連続現像処理に適していることから今日盛んに用いられている。従来から広く用いられているカラーネガフィルムで撮影したネガ画像を光学系を用いて焼き付ける方式では、予めプリント条件を設定しておけば、カラーネガフィルムの濃度を測定した結果から簡単にプリント条件が調整され、1回の露光でフルカラーで優れた画質のカラープリント画像を連続的に得ることが可能であり、極めて高い生産性を有していた。
【0003】
また、ハロゲン化銀カラー感光材料は、最近では、デジタルカメラ等で撮影されたデジタル画像データにより、レーザー、LED等の露光光源の光量を変調して画像を形成するデジタル画像形成にも使われている。デジタル画像露光においても、通常であれば変調されたB、G、Rの3色の光を混合して1回の走査によって画像が形成され、従来と同様の高い生産性を示していた。
【0004】
また、ハロゲン化銀カラー感光材料を用いた記録材料は、特に、低濃度においてノイズが少ないことが知られており、非常に滑らかな階調再現が可能である特徴を有している。このことから、露光装置が十分な階調再現容量を有する場合には、特に、ハイライトの描写に優れるという特徴を有していた。こうした特徴からハロゲン化銀カラー感光材料は、写真分野のみでなく、印刷の分野でも、印刷の途中の段階で仕上がりの印刷物の状態をチェックするためのいわゆるプルーフの分野で広く用いられるようになってきている。
【0005】
プルーフの分野では、コンピュータ上で編集された画像を印刷用フィルムに出力し、現像済みのフィルムを適宜交換しつつ分解露光することによって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像を形成させ、最終印刷物の画像をカラー印画紙上に形成させることにより、最終印刷物のレイアウトや色の適否を判断することが行われていた。
【0006】
このような目的には、昇華型・溶融熱転写方式や電子写真方式、インクジェット方式等種々の方式の応用が試みられてきたが、高画質な画像が得られる方式では費用がかかり生産性が劣るという欠点があり、費用が少なくてすみ生産性に優れた方式では画質が劣るという欠点があった。ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムでは、優れた鮮鋭性等から、正確な網点画像が形成できるなど高画質な画像形成が可能であり、一方で上述したように連続した処理が可能であることや、複数の色画像形成ユニットに同時に画像を書き込む事ができることから高い生産性を実現することが可能であった。
【0007】
近年、印刷の分野でもデジタル化が進み、コンピュータ内のデータから直接画像を得る要求が強まっているが、前記したような理由から、ハロゲン化銀カラー感光材料がこの分野でも有利に使われ始めている。
【0008】
上記プルーフ用のハロゲン化銀カラー感光材料を現像処理する際には、現在では自動現像機が広く用いられており、詳しくは、発色現像工程、脱銀工程(漂白、定着、あるいは漂白定着工程)、水洗工程あるいは安定化工程等の複数の処理槽を有し、これらに順次、露光を施したハロゲン化銀カラー感光材料を通過させながら、現像処理を行なっている。この際、カラープルーフの処理で用いられる水洗処理槽あるいは安定化処理槽は、3段以上の多段向流方式の処理槽が広く用いられている。
【0009】
近年、カラープルーフとして広く用いられているハロゲン化銀カラー感光材料は、主に上記の各処理槽で構成され、かつ液体現像処理を行うため、特にカラープルーフでの重要な特性の1つである白地特性において、色調変動を生じやすいという課題を抱えており、常に安定した品質を得ることの妨げとなっていた。
【0010】
上記のような白地部の色調変動、いわゆる白地ムラの生成要因の1つは、ハロゲン化銀カラー感光材料で用いられている増感色素が、現像処理後でも取り除かれずにハロゲン化銀カラー感光材料中に残留してしまう現象(以下、色素ステインともいう)が知られている。更に、他の要因としては、処理工程で、ハロゲン化銀カラー感光材料から処理液中に流出した増感色素が、消色までに至らず、その後処理されるハロゲン化銀カラー感光材料に再吸着してステインを生ずることがある。上記の様な現象は、特に、自動現像機等を用いて、長期間にわたり連続処理を行った際に、より顕著に発現する。
【0011】
近年において、高感度化を目的として、アスペクト比(ハロゲン化銀粒子直径/厚さ)の高いハロゲン化銀粒子、いわゆる平板状ハロゲン化銀粒子を用いたハロゲン化銀カラー感光材料が主流になりつつある。この平板状ハロゲン化銀粒子は、高い比表面積を有し、通常のハロゲン化銀粒子に比較して、より多くの増感色素の表面吸着を可能とし、その結果、高感度化を実現している。
【0012】
しかしながら、上記のような平板状ハロゲン化銀粒子を用い、より多くの増感色素を含むハロゲン化銀カラー感光材料では、ハロゲン化銀カラー感光材料中での増感色素の残留量や処理液中への増感色素の流出量が増大し、上記の様な色素に起因するステインが発生しやすくなってきている。更に、それらに加えて、現像処理の迅速化及び環境面で、処理廃液の低減という観点から、現像処理は、より高温で短時間化、あるいは補充液の低補充化が主流となってきており、上記のような増感色素に起因するステインの発生に拍車がかかっている状況にある。特に、現像処理により形成した画像部における色調変動に関しては、プルーフ用途で用いられるカラーマネージメントシステム(CMS)やキャリブレーション等を用いてある程度の補正を行うことができるが、白地部の色調変動を補正することができないのが現状であり、色見本として様々な環境条件下で保存される機会が多いカラープルーフにおいては致命的な欠点となる。
【0013】
上記の課題に対し、例えば、リサーチディスクロージャーNo.20733号には増感色素に起因するステインを除去する方法の一例として、ビストリアジニルアミノスチルベンジスルホン酸化合物を用いる方法が開示されており、この方法はハロゲン化銀カラー感光材料の処理において広く用いられてきた。また、特開平6−329936号公報には溶解性に優れかつ時間短縮を短縮した処理でもステインを低減できるビストリアジニルアミノスチルベンジスルホン酸化合物が開示されている。また、米国特許第6,153,364号には2,6−ジアリールアミノトリアジン化合物を用いたステイン低減方法が提案されている。しかしながら、これら提案、開示されている方法では、現在主流となっている高温迅速化処理、あるいは低補充液化処理に対して、そのステイン防止効果が十分であるとは言い難く、また処理槽中で析出防止やスラッジ防止に対しても効果を期待することができないのが現状である。
【0014】
以上の様な現状を踏まえ、残色低減剤を用いた様々な処理方法が提案されている。
【0015】
例えば、π系を有する無色または黄色い化合物で、ジアミノスチルベンフラグメントまたは縮合トリアゾール核がまったく無く、かつ室温における水中で特定の溶解度を有する分光増感色素汚染低減剤を使用し、残留分光増感色素から生ずる汚染を低減する処理方法化開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、分子内にスルホン酸基、カルボキシル基及び水酸基の少なくともひとつを有するビス[2,6−ジアミノトリアジン−4−イル]アリーレンジアミン誘導体を含有し、処理済み感光材料の残留増感色素に起因するステインの低減が達成され、かつ処理組成物の低温保存時において析出沈殿物の生じないハロゲン化銀カラー感光材料用処理組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、少なくとも特定構造のジアミノトリアジン化合物を含有し、全カチオンに対するアンモニウムカチオン比率を40mol%以下とし、低補充化処理での自動現像機の駆動ギアや搬送ローラー上での固着物の付着を防止し、感光材料のスリ傷及び異物付着の発生を防止した感光材料用の定着用処理液が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。また、塩化銀含有率が95モル%以上のハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀カラー感光材料を、スルホ基を有し、特定のトリアジン環を分子の両末端に有する化合物を含有する処理液で処理することにより、白地の黄色着色を低減させることができるカラー画像形成方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。更に、発色現像処理後の白地部の反射濃度(λ)が、450nmで0.08以下、550nmで0.10以下、及び650nmで0.08以下で、かつ色度が特定の条件を満たすハロゲン化銀カラー感光材料とそれを用いたカラー画像形成方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0016】
近年、プルーフ用途では、広幅で大サイズのハロゲン化銀カラー感光材料が使用されており、画像形成部(色画像部)に対し、白地部分(未露光領域)の面積比率が高く、その結果、白地ムラが増大、あるいはより顕在化する傾向にあるが、上記提案されているいずれの方法では、広幅サイズのハロゲン化銀カラー感光材料の白地ムラを十分に改良するまでには至っていないのが現状である。
【0017】
一方、プルーフ用記録材料、特にハロゲン化銀感光材料を用いたプルーフと印刷物では、使用している色材や基材(紙等)が異なるため、測色値を一致させた場合でも目視での画像再現が最適になるとは限らず条件の微調整が必要である。例えば、一般に印刷にはいわゆるプロセスインキを用いるが、光沢性が低く印刷用紙がインキが染み込むような上質紙の場合には、濃度が薄い再現がされる。この様に、印刷物が上質紙のような濃度が低い画像であるため、印刷物画像とプルーフ画像との間では、紙質や表面光沢等の違いにより、低濃度で異質な画像となる。その結果、プルーフ画像がより高濃度で再現されるため、プルーフの画像濃度を低く設定しているのが現状である。しかしながら、単に最終濃度を合わせただけでは、基材の違いによる光沢性の違いまでは解消することはできず、両者の画像を比較観察を行った場合、質感、色調等の見た目の印象が異なり、依然として違和感が残った状態である。
【0018】
上記の様な課題に対し、例えば、特開平11−38566号公報では、プリント表面の60度鏡面光沢度Gs(60°)と、各色画像の最高反射濃度を特定に条件に規定し、無光沢で重厚感があり、かつ彩りのある絵柄のプリント品質を有するカラー写真プリントが提案されている。しかしながら、プリント表面の60度鏡面光沢度Gs(60°)の調整手段だけでは、特に、上質紙のような光沢性の低い印刷物と観察した際の画像一致性を得るのは難しい。また、特開平10−104794号公報では、非感光性親水コロイド層の少なくとも1層に、多孔質微粒子粉末及びラテックス、水不溶な有機化合物の分散物オイル等を含有させたハロゲン化銀写真感光材料が開示されている。上述の様なハロゲン化銀感光材料では、表面光沢度を制御するため、最表層の固形分含有量を高く設定しているが、この様な設計を行ったハロゲン化銀カラー感光材料、特に、上述の広幅でかつ白地領域の多いハロゲン化銀カラー感光材料では、白地ムラがより顕在化することが判明した。
【0019】
また、白地改良の他の方法として、幅が350mm以上のハロゲン化銀カラー感光材料の現像処理工程において、安定化処理槽への液補充が安定化処理槽の循環させる吸入口から吐出口までの間にインライン補充する方法とすることにより、白地に優れ、かつ面内のバラツキが少ない画像が得られる画像形成方法が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら、特許文献6に記載の方法は、現像処理装置からの改良を試みた方法であり、そこで使用する処理液組成に関しては、一切の言及がなされていない。
【特許文献1】特開2001−201831号公報
【特許文献2】特開2002−139822号公報
【特許文献3】特開2003−207876号公報
【特許文献4】特開2003−255482号公報
【特許文献5】特開2002−351025号公報
【特許文献6】特開2003−121975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、白地ムラが改良され、かつプルーフとしての生産適性を備えた広幅のプルーフ用途のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0022】
(1)支持体上に、少なくとも1層の増感色素により分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む感光性ハロゲン化銀層を有する幅450mm以上のプルーフ用のハロゲン化銀カラー感光材料を、少なくとも発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程の各処理工程を経て現像処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法において、該各処理工程を構成する処理槽の少なくとも1槽の処理液が、該増感色素の水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0023】
(2)前記増感色素の水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする前記(1)項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0024】
【化1】

【0025】
〔式中、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれ独立に−N(R1)R2、−OR3、−SR3、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、Z1及びZ2はそれぞれ−NR4−、−O−または−S−を表し、Lはアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはヘテロ環基を表し、R1及びR2はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R3はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R4は水素原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表す。R1及びR2は結合して含窒素へテロ環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(I)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。〕
(3)前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(I−1)〜(I−4)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(2)項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0026】
【化2】

【0027】
〔式中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L1はフェニレン基またはナフチレン基を表す。R11〜R18のうち、3個以上はアリール基である。また、R11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(I−1)で表される分子内には、−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに一般式(I−1)で表される化合物では、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
【0028】
【化3】

【0029】
〔式中、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L2はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。Raはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Rbは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(I−2)で表される化合物では、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(I−2)で表される化合物は、分子内に−N=N−またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
【0030】
【化4】

【0031】
〔式中、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L3はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。A31、A32は、それぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基またはヒドロキシルアミノ基を表す。R35、R36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R31とR32、R33とR34は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(I−3)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(I−3)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基を含有しない。〕
【0032】
【化5】

【0033】
〔式中、L4はフェニレン基、ナフチレン基またはアルキレン基を表す。X1は酸素原子または硫黄原子を表し、X2は酸素原子、硫黄原子または−NH−を表す。A41、A42、A43、A44はそれぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシルアミノ基または−NR4142(R41、R42はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R41とR42が互いに結合して環を形成してもよい)を表す。ただし、一般式(I−4)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。更に、一般式(I−4)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
(4)前記ハロゲン化銀カラー感光材料は、支持体上にそれぞれ少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層と、該支持体から最も離れた位置にある非感光性コロイド層とを有し、該非感光性コロイド層が不定形多孔質微粒子を含有し、前記現像処理後のハロゲン化銀乳剤層を有する面側のJIS−Z 8741に準拠して測定された60度鏡面光沢度が、2.0以上、9.0以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0034】
(5)前記ハロゲン化銀カラー感光材料の現像処理後の白地が、CIE1976Lab表色空間におけるL*が91〜96、a*が0〜2.0、b*が−2.0〜+2.0であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0035】
(6)前記増感色素の水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物を含有する処理液が、前記水洗処理工程または安定化処理工程で用いる水洗水または安定化液であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、白地ムラが改良され、かつプルーフとしての生産適性を備えた広幅のプルーフ用途のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0038】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体上に、少なくとも1層の増感色素により分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む感光性ハロゲン化銀層を有する幅450mm以上のプルーフ用のハロゲン化銀カラー感光材料を、少なくとも発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程の各処理工程を経て現像処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法において、該各処理工程を構成する処理槽の少なくとも1槽の処理液が、該増感色素の水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法により、白地ムラが改良され、かつプルーフとしての生産適性を備えた広幅のプルーフ用途のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0039】
本発明者は、プルーフ用のハロゲン化銀カラー感光材料、特に、幅450mm以上の広幅で大面積のハロゲン化銀カラー感光材料における白地ムラの抑制方法について検討を進めた結果、ハロゲン化銀カラー感光材料を構成するハロゲン化銀乳剤の分光増感に使用している増感色素を水溶液とした際に、最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトする能力を有する化合物を含有する処理液を用いて現像処理することにより、広い面積を有する白地領域での白地ムラを飛躍的に低減することができることを見出した。
【0040】
一般に、現像処理後に発生する白地ムラの要因の一つとしては、前述の如く、ハロゲン化銀乳剤に吸着している増感色素が現像処理過程で完全にハロゲン化銀カラー感光材料外に流出せずに残留すること、また、流出した増感色素が完全に消色することなく、ハロゲン化銀カラー感光材料に再吸着を起こすことが挙げられる。上記の様な課題に対し、増感色素の水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトする能力を有する化合物を添加することによる詳細な効果は、現時点では不明ではある。
【0041】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0042】
はじめに、本発明に係る増感色素水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物(以下、化合物Aと称す)について説明する。
【0043】
本発明において、増感色素水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる効果とは、好ましくは、未添加の状態に対し、添加することにより最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物であることが好ましく、更に好ましくは±5nm以上、±100nm以下であることがより好ましく、±5nm以上、±60nm以下であることが更に好ましい。
【0044】
本発明でいう増感色素水溶液の最大分光吸収波長(λmax)の測定は、増感色素を水に溶解した状態で、例えば、島津製作所社製UV−1600PC型分光光度計、日立製作所社製330型日立自記分光光度計、同U−3210型自記分光光度計、同U−3410型自記分光光度計、日本分光社製V−570型紫外可視近赤外分光光度計等を用いて、分光吸収曲線を作成し、最大の吸光度を有する波長を最大分光吸収波長(λmax)と定義する。
【0045】
また、本発明においては、本発明でいう増感色素水溶液が、増感色素が完全に溶解した分子状態であって、これに化合物Aを共存させることにより、例えば、増感色素の会合状態が変化し、増感色素水溶液の最大分光吸収波長を±5nm以上シフトする。更に、本発明でいう増感色素水溶液が、増感色素が微粒子として分散されている状態であって、この増感色素水溶液に化合物Aを共存させることにより、例えば、微粒子状態で分散している増感色素粒子を可溶化し、その結果、増感色素水溶液の最大分光吸収波長を±5nm以上シフトするものであっても、化合物Aは本発明でいう増感色素水溶液の最大分光吸収波長を±5nm以上シフトさせる化合物であると定義する。
【0046】
本発明に係る増感色素水溶液の最大分光吸収波長を±5nm以上シフトさせる化合物(化合物A)としては、特に上記の増感色素水溶液の最大分光吸収波長シフト効果を呈する化合物であれば特に制限はないが、本発明の目的効果をより奏する観点から、前記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
【0047】
以下、本発明に係る一般式(I)で表される化合物について、その詳細を説明する。
【0048】
前記一般式(I)において、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれ独立に−N(R1)R2、−OR3、−SR3、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、Z1及びZ2はそれぞれ−NR4−、−O−または−S−を表し、Lはアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはヘテロ環基を表し、R1及びR2はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R3はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R4は水素原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表す。R1及びR2は結合して含窒素へテロ環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(I)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。
【0049】
一般式(I)で表される化合物について、更に詳細に説明する。
【0050】
1、R2、R3またはR4で表されるアルキル基は、置換基を有するものを含み、炭素数1〜20のものが好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のものであり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
【0051】
1、R2、R3またはR4で表されるアリール基は置換基を有するものを含み、炭素数6〜20のものが好ましく、より好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8のものであり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、2、4−ジスルホフェニル基が挙げられる。
【0052】
1、R2、R3またはR4で表されるヘテロ環基は置換基を有するものを含み、炭素数2〜20のものが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8の5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いたものであり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
【0053】
1及びR2は、好ましくは水素原子、アルキル基及びアリール基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、4−スルホフェニル基である。
【0054】
1及びR2が結合して形成する含窒素へテロ環としては、5員環または6員環が好ましい。環の例としては、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環が挙げられる。
【0055】
4で表されるアルキル基は置換基を有するものを含み、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基が挙げられる。
【0056】
1、X2、Y1またはY2がヘテロ環基の場合、置換基有するものを含み、好ましくは5または6員の芳香族もしくは非芳香族の含窒素ヘテロ環化合物から窒素原子に結合した1個の水素原子を取り除いた1価の5員環基または6員環基であり、環の例としてはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環が挙げられる。
【0057】
1、X2、Y1及びY2がいずれも−N(R1)R2の場合、4つのR1及び4つのR2のうち、アリール基は2個以下であることが好ましい。
【0058】
Lで表されるアリーレン基は置換基有するものを含み、フェニレン基またはナフチレン基が好ましく、炭素数6〜20のものが好ましく、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜11のフェニレン基またはナフチレン基であり、例えば、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、4−カルボキシ−1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、3−スルホ−1,4−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレン、2,5−ジメトキシ1,4−フェニレン、2,6−ジクロロー1,4−フェニレンが挙げられる。これらの中でも好ましくは、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレンであり、さらに好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレンである。Lで表されるヘテロ環基は置換基を有するものを含み、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜8のものであり、例えば、3,5−(1,2,4−トリアゾール)−ジイル基、3,5−イソチアゾールジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,6−ピラジンジイル基、2,6−ピリミジンジイル基、3,6−ピリダジンジイル基、1,4−フタラジンジイル基が挙げられる。
【0059】
Lで表されるアルキレン基、アルケニレン基は置換基を有するものも含み、炭素数は1〜10のものが好ましく、2〜5がより好ましい。例えば、エチレン、トリエチレン、プロピレン、ビニレン、プロピレン等が挙げられる。
【0060】
以下、本発明の化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0061】
【化6】

【0062】
【化7】

【0063】
【化8】

【0064】
【化9】

【0065】
【化10】

【0066】
【化11】

【0067】
【化12】

【0068】
【化13】

【0069】
【化14】

【0070】
【化15】

【0071】
【化16】

【0072】
【化17】

【0073】
【化18】

【0074】
【化19】

【0075】
【化20】

【0076】
【化21】

【0077】
また、本発明においては、前記一般式(I)で表される化合物の中でも、より好ましい化合物は、前記一般式(I−1)〜(I−4)で表される化合物である。
【0078】
はじめに、一般式(I−1)で表される化合物について説明する。
【0079】
前記一般式(I−1)において、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L1はフェニレン基またはナフチレン基を表す。R11〜R18のうち、3個以上はアリール基である。また、R11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(I−1)で表される分子内には、−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに一般式(I−1)で表される化合物では、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
【0080】
前記一般式(I−1)で表される化合物に、ついて詳しく説明する。
【0081】
11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、それぞれ置換基を有するものを含む。R11〜R18で表わされるアルキル基としては炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
【0082】
11〜R18で表わされるアリール基としては、炭素数6〜20が好ましく、より好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基が挙げられる。
【0083】
11〜R18で表されるヘテロ環基としては、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8の5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
【0084】
11〜R18は、好ましくは水素原子、アルキル基及びアリール基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、また更に好ましくは水素原子、メチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、4−スルホフェニル基である。
【0085】
11〜R18のうち、3個以上はアリール基である。
【0086】
1はフェニレン基、ナフチレン基を表す。L1で表わされるフェニレン基またはナフチレン基としては、炭素数6〜20が好ましく、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜11の置換または無置換のフェニレン基またはナフチレン基であり、例えば1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、4−カルボキシ−1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、3−スルホ−1,4−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレン、2,5−ジメトキシ1,4−フェニレン、2,6−ジクロロー1,4−フェニレンが挙げられる。
【0087】
1は、好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレンであり、さらに好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレンである。
【0088】
11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18は互いに結合して環を形成してもよい。R11とR12、R13とR14、R15とR16、及びR17とR18が互いに結合して形成する環は、置換基を有するものを含み、5員環または6員環であることが好ましい。環の例としては、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環が含まれる。
【0089】
本発明に係る一般式(I−1)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウム基を表す。Mで表わされるアルカリ金属、アルカリ土類金属の中で、特に好ましいのはNa及びKである。アンモニウム基としては、例えば、アンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、テトラブチルアンモニウム基、ピリジニウム基が挙げられる。Mとしては最も好ましいものはNa及びKである。
【0090】
更に、本発明に係る一般式(I−1)で表される化合物は、分子内に−N=N−またはジアミノスチルベン構造を含有しないものである。
【0091】
以下に、本発明に係る一般式(I−1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0092】
【化22】

【0093】
【化23】

【0094】
【化24】

【0095】
【化25】

【0096】
【化26】

【0097】
【化27】

【0098】
次いで、本発明に係る一般式(I−2)で表される化合物について説明する。
【0099】
前記一般式(I−2)において、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L2はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。
【0100】
Raはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Rbは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
【0101】
21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(I−2)で表される化合物では、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(I−2)で表される化合物は、分子内に−N=N−またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
【0102】
本発明に係る一般式(I−2)で表される化合物について、更に詳細に説明する。
【0103】
21〜R28はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、置換基を有するものを含む。R21〜R28で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基の具体例及び好ましい基としては、一般式(I−1)におけるR11〜R18と同様のものを挙げることができる。
【0104】
2はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表し、置換基を有するものを含む。L2で表されるフェニレン基、ナフチレン基の具体例及び好ましいものとしては、一般式(I−1)におけるL1で表されるフェニレン基、ナフチレン基と同様のものを挙げることができる。
【0105】
2で表されるアルキレン基としては、両端がメチレン基であればよく、主鎖中にオキシ基、スルフィド基、イミノ基、スルホニル基等を有しても良い。
【0106】
2で表されるヘテロ環とは、ヘテロ原子含む芳香環、非芳香環上の任意の置換し得る位置から2個の結合手が伸びている連結基である。L2で表される二価の連結基となりうるヘテロ環としては具体的にはフラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等が挙げられる。
【0107】
Raはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、置換基を有するものを含む。Rbは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、置換基を有するものを含む。
【0108】
Ra、Rbで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基の具体例としては、一般式(I−1)におけるR11〜R18で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基と同様のものを挙げることができる。
【0109】
21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28は互いに結合して環を形成してもよく、置換基を有するものを含む。R21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28が互いに結合して形成する環としては、一般式(I−1)におけるR11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18が互いに結合して形成する環と同様のものを挙げることができる。
【0110】
一般式(I−2)で表される化合物においては、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mは、一般式(I−1)におけるMと同義である。更に、一般式(I−2)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
【0111】
以下に、本発明に係る一般式(I−2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0112】
【化28】

【0113】
【化29】

【0114】
【化30】

【0115】
次いで、本発明に係る一般式(I−3)で表される化合物について説明する。
【0116】
前記一般式(I−3)において、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L3はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。A31、A32は、それぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基またはヒドロキシルアミノ基を表す。R35、R36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
【0117】
31とR32、R33とR34は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(I−3)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(I−3)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
【0118】
前記一般式(I−3)で表される化合物に、ついて詳しく説明する。
【0119】
一般式(I−3)において、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、置換基を有するものを含む。L3はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基、ヘテロ環基を表し、置換基を有するものを含む。R31〜R34の具体例及び好ましい例は、一般式(I−1)におけるR11〜R18と同様のものを挙げることができる。
【0120】
31、A32はそれぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシアミノ基を表す。
【0121】
31、A32で表されるアルコキシ基を構成するアルキル基としては、一般式(I−1)においてR11〜R18で表されるアルキル基と同様のものを挙げられる。
【0122】
31、A32で表されるアリールオキシ基を構成するアリール基としては、一般式(I−1)においてR11〜R18で表されるアリール基と同様のものが挙げられる。
【0123】
31、A32で表されるヘテロ環オキシ基を構成するヘテロ環基としては一般式(I−1)においてR11〜R18で表されるヘテロ環基と同様のものが挙げられる。
【0124】
A31、A32で表されるアルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基を構成するアルキル基、アリール基、ヘテロ環基としては、一般式(I−1)においてR11〜R18で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基と同様のものを挙げることができる。
【0125】
35、R36で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基は、一般式(I−2)におけるRa、Rbと同義である。
【0126】
ただし、一般式(I−3)は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mは一般式(I−1)におけるMと同義である。
【0127】
更に、一般式(I−3)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
【0128】
以下に、本発明に係る一般式(I−3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0129】
【化31】

【0130】
【化32】

【0131】
【化33】

【0132】
【化34】

【0133】
【化35】

【0134】
次いで、本発明に係る一般式(I−4)で表される化合物について説明する。
【0135】
前記一般式(I−4)において、L4はフェニレン基、ナフチレン基またはアルキレン基を表す。
【0136】
1は酸素原子または硫黄原子を表し、X2は酸素原子、硫黄原子または−NH−を表す。A41、A42、A43、A44はそれぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシルアミノ基または−NR4142(R41、R42はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R41とR42が互いに結合して環を形成してもよい)を表す。
【0137】
一般式(I−4)で表される化合物においては、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。更に、一般式(I−4)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
【0138】
次いで、本発明に係る一般式(I−4)で表される化合物について更に説明する。
【0139】
一般式(I−4)におけるL4はフェニレン基、ナフチレン基またはアルキレン基を表し、置換基を有するものを含む。フェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基としては、一般式(I−2)におけるL2と同様なものが挙げられる。
【0140】
41〜A44におけるアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基は、置換基を有するものを含み、一般式(I−3)におけるA31、A32と同様なものが挙げられる。A41〜A44が−NR4142を表す場合、R41、R42及びR41とR42が結合して形成する環は、置換基を有するものを含み、一般式(I−1)におけるR11〜R18と同様なものが挙げられる。
【0141】
一般式(I−4)において、X1は酸素原子または硫黄原子を表し、X2は酸素原子、硫黄原子または−NH−を表す。
【0142】
ただし、一般式(I−4)で表される化合物においては、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mは一般式(I−1)におけるMと同義である。
【0143】
更に、一般式(I−4)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
【0144】
以下に、本発明に係る一般式(I−4)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0145】
【化36】

【0146】
【化37】

【0147】
【化38】

【0148】
以上例示した一般式(I)で表される化合物は、ナトリウム塩、アンモニウム塩等任意の塩の形態で添加することができる。
【0149】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物が分子内に不斉炭素を複数個有する場合、同一構造に対して複数の立体異性体が存在するが、本発明は可能性のある全ての立体異性体を示しており、複数の立体異性のうち1つだけを使用することも、あるいはそのうちの数種を混合物として使用することもできる。
【0150】
また、本発明においては、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を1種のみを用いても良いが、溶解性の向上など必要に応じて2種以上混合して用いることも好ましい。
【0151】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物の安定化液またはリンス液への添加量は、本発明の効果の観点から使用液1リットルあたり0.1mmol以上、20mmol以下が好まく、0.5mmol以上、10mmol以下が特に好ましい。
【0152】
一般式(I)で表される化合物は、例えば、松井弘次著、有機合成化学協会誌、第17巻528頁(1959年刊)及び特許第2618748号を参考にして合成することができる。すなわち、塩化シアヌルにまずフェニレンジアミン誘導体またはナフタレンジアミン誘導体を反応させ、次いでアミン類を順次反応させる方法が好ましい。あるいはフェニレンジアミン誘導体またはナフタレンジアミン誘導体を第二段階または最後に反応させることも好ましい。この反応に用いる溶媒としては、例えば、水及びアルコール類、ケトン類、エーテル類、アミド類などの有機溶媒が挙げられるが、水及び水溶性の有機溶媒が好ましく、これらの混合溶媒でもよい。なかでも水とアセトンの混合溶媒系が最も好ましい。また、用いる塩基としてはトリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどの有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基が挙げられる。これらのうち、無機塩基が好ましく、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。反応温度は−20℃〜150℃の範囲で可能であり、好ましくは−10℃〜100℃の範囲である。更に詳しく述べると第一段階は−10℃〜10℃が好ましく、第二段階は0℃〜40℃が好ましく、第三段階は40℃〜100℃が好ましい。
【0153】
次いで、本発明のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法で適用可能な現像処理工程について説明する。
【0154】
本発明のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法においては、発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程を経て処理を行うが、それぞれ発色現像液、漂白定着液あるいは漂白液と定着液、水洗水、リンス液あるいは安定化液と、それぞれの各補充液を用いる。
【0155】
はじめに、発色現像処理工程で用いる発色現像液について説明する。
【0156】
本発明に係る発色現像液においては、公知の芳香族一級アミン現像主薬を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
【0157】
CD−1:N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2:2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3:2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4:4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5:2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7:N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8:N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン
本発明に用いられる発色現像液においては、発色現像主薬の酸化による消失を減じるため、保恒剤を含有することが好ましい。代表的な保恒剤としては、ヒドロキシルアミン誘導体が挙げられる。本発明で用いることのできるヒドロキシルアミン誘導体としては、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン塩の他、例えば、特開平1−97953号、同1−186939号、同1−186940号、同1−187557号公報などに記載されているヒドロキシルアミン誘導体を用いることができる。
【0158】
また、その他の保恒剤としては、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などを挙げることができる。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同第2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報または明細書に開示されている。
【0159】
その他、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンの如き特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。
【0160】
本発明に用いられる発色現像液は9.0以上、13.5以下であることが好ましく、更に好ましく9.5以上、12.0以下であり、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含ませることができる。
【0161】
発色現像処理液を調製したときに、上記pHを保持する観点からは、下記に示す緩衝剤を用いるのが好ましい。緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH10.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった観点から好ましい緩衝剤である。
【0162】
上記緩衝剤の例示化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0163】
これら緩衝剤は、発色現像液1リットルあたり0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
【0164】
本発明に用いられる発色現像液には、その他の成分として、例えば、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤や、安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。また、これらのキレート剤の量は、発色現像液処理中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば、1リットル当り0.lg〜10g程度になるように添加する。
【0165】
本発明に用いられる発色現像液には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報または明細書に表されるチオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報または明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報または明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類またはイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像液1リットルあたり0.001〜0.2モルが好ましく、より好ましくは0.01〜0.05モルである。
【0166】
発色現像液には、必要に応じて、ハロゲンイオンのほかに、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
【0167】
また、本発明に用いられる発色現像液には、必要に応じて、蛍光増白剤を使用することができる。蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販のジアミノスチルベン系増自剤を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号などの公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、Blankophor BSU liq.及びHakkol BRKが好ましい。
【0168】
また、その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16を挙げることもできる。上記した蛍光増白剤の添加量としては、発色現像液1リットルあたり0.1ミリモル〜0.1モルが好ましい。
【0169】
本発明においては、発色現像液は任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0170】
次いで、本発明に係る漂白定着工程の詳細について説明する。
【0171】
本発明において、漂白定着液に用いられる漂白剤としては、いかなる漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III)の有機錯塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸などのアミノポリカルボン酸類、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸及び有機ホスホン酸などの錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸;過硫酸塩;過酸化水素などが好ましい。
【0172】
これらのうち、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、メチルイミノ二酢酸の鉄(III)錯塩が漂白力が高いことから好ましい。これらの第二鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第二鉄塩、例えば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、燐酸第二鉄などとアミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第二鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第二鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましく、その添加量は0.01〜1.0モル/リットルが好ましく、より好ましくは0.05〜0.50モル/リットルである。
【0173】
漂白定着液には、漂白促進剤として種々の化合物を用いることができる。例えば、リサーチディスクロージャー17129号(1978年7月号)に記載のメルカプト基またはジスルフイド結合を有する化合物や、チオ尿素系化合物、あるいは沃素、臭素イオン等のハロゲン化物が漂白力に優れる点で好ましい。
【0174】
その他、漂白定着液には、臭化物(例えば、臭化カリウム)または塩化物(例えば、塩化カリウム)または沃化物(例えば、沃化アンモニウム)等の再ハロゲン化剤を含むことができる。必要に応じ硼砂、メタ硼酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、グリコール酸などのpH緩衝能を有する一種類以上の無機酸、有機酸及びこれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩または、硝酸アンモニウム、グアニジンなどの腐蝕防止剤などを添加することができる。
【0175】
漂白定着液に使用される定着剤は、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩;エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物及びチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを一種あるいは二種以上混合して使用することができる。本発明においては、チオ硫酸特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。1リットルあたりの定着剤の量は、0.1〜5.0モルが好ましく、更に好ましくは0.3〜2.0モルの範囲である。
【0176】
漂白定着液は、保恒剤として亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等などの添加が一般的であるが、その他、アスコルビン酸や、カルボニル重亜硫酸付加物、あるいは、カルボニル化合物等を添加してもよい。更には緩衝剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、防カビ剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0177】
本発明においては、漂白定着液の活性度を高める為に処理浴中及び処理補充液貯蔵タンク内で所望により空気の吹き込み、又は酸素の吹き込みを行ってよく、或いは適当な酸化剤、例えば過酸化水素、臭素酸塩、過硫酸塩等を適宜添加してもよい。
【0178】
漂白定着液のpHは5.0〜9.0が好ましく、より好ましくは5.5〜8.0である。なお、漂白定着液のpHとは感光材料の処理時の処理槽のpHであり、補充液のpHのことではない。
【0179】
次いで、安定化液について説明する。
【0180】
安定液には鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤を含有することが、本発明の目的のために特に好ましい。ここにキレート安定度定数とは、L.G.Sillen,A.E.Marttell著“Stability Constants of Metal−ion Complexes”The Chemical Society,London(1964)、S.Chaberek,A.E.Martell著“Organic Sequestering Agents”Wiley(1959)等により一般に知られた定数を意味する。
【0181】
鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤としては、有機カルボン酸キレート剤、有機リン酸キレート剤、無機リン酸キレート剤、ポリヒドロキシ化合物等が挙げられる。なお上記鉄イオンとは、第2鉄イオン(Fe3+)を意味する。
【0182】
第2鉄イオンとのキレート安定度定数が8以上であるキレート剤の具体的化合物例としては、下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。即ち、エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸、ジアミノプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸、イミノ二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ジアミノプロパノール四酢酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1,1−ジホスホノエタン−2−カルボン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシ−1−ホスホノプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、カテコール−3,5−ジホスホン酸、ピロリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、へキサメタリン酸ナトリウムが挙げられ、特に好ましくはジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等であり、中でも1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸が最も好ましく用いられる。
【0183】
上記キレート剤の使用量は安定液1リットル当り0.01〜50gが好ましく、より好ましくは0.05〜20gの範囲で良好な結果が得られる。
【0184】
また安定液に添加する好ましい化合物としては、アンモニウム化合物が挙げられる。これらは各種の無機及び有機のアンモニウム塩によって供給されるが、具体的には水酸化アンモニウム、臭化アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、次亜リン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、亜リン酸アンモニウム、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フルオロホウ酸アンモニウム、ヒ酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、硝酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、ラウリントリカルボン酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、ジエチルジチオカルバミン酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、リンゴ酸水素アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム、フタル酸水素アンモニウム、酒石酸水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム、乳酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、ピクリン酸アンモニウム、ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、スルファニル酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、チオグリコール酸アンモニウム、2,4,6−トリニトロフエノールアンモニウム等である。これらは単用でも2以上の併用でもよい。アンモニウム化合物の添加量は安定液1リットル当り0.001モル〜1.0モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.002〜0.8モルの範囲である。
【0185】
更に安定液には、亜硫酸塩を含有させることが好ましい。該亜硫酸塩は、亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩である。好ましい具体的化合物としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム及びハイドロサルファイトが挙げられる。上記亜硫酸塩は安定液中に少なくとも1×10-3モル/リットルになるような量が添加されることが好ましく、更に好ましくは5×10-3モル/リットル〜10-1モル/リットルになるような量が添加されることであり、特にステインに対して防止効果がある。添加方法としては安定液に直接添加してもよいが、安定補充液に添加することが好ましい。
【0186】
この他に一般に知られている安定液に添加できる化合物としては、ポリビニルピロリドン(PVP K−15、K−30、K−90)、有機酸塩(クエン酸、酢酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸等)、pH調整剤(リン酸塩、ホウ酸塩、塩酸、硫酸等)、防カビ剤(フェノール誘導体、カテコール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、サイアベンダゾール誘導体、有機ハロゲン化合物、その他紙−パルプ工業のスライムコントロール剤として知られている防カビ剤等)あるいは蛍光増白剤、界面活性剤、防腐剤、Bi、Mg、Zn、Ni、Al、Sn、Ti、Zr等の金属塩等がある。これらの化合物は本発明の効果を損なわない範囲で任意に1または2以上を選択使用できる。
【0187】
安定化処理の後には水洗処理を全く必要としないが、極く短時間内での少量水洗によるリンス、表面洗浄等は必要に応じて任意に行うことができる。
【0188】
安定液に可溶性鉄塩が存在することが本発明の効果を奏する上で好ましい。可溶性鉄塩は安定液に少なくとも5×10-3モル/リットルの濃度で用いられることが好ましく、より好ましくは8×10-3〜15×10-2モル/リットルの範囲であり、さらに好ましくは12×10-3〜10×10-2モル/リットルの範囲である。また、これら可溶性鉄塩は安定液補充液中に添加することで、安定液(タンク液)に添加してもよいし、感光材料から安定液中で溶出させることで安定液(タンク液)に添加してもよいし、さらに前浴から処理する感光材料に付着させ持ち込むことで安定液(タンク液)に添加してもよい。
【0189】
また、本発明においては、イオン交換樹脂処理を行ないカルシウムイオン及びマグネシウムイオンを5ppm以下にした安定液を使用してもよいし、更にこれに前記防バイ剤やハロゲンイオン放出化合物を含有させる方法を用いてもよい。
【0190】
本発明において、安定化液のpHは、5.5〜10.0の範囲が好ましい。安定化液に含有することができるpH調整剤は、一般に知られているアルカリ剤または酸剤のいかなるものでもよい。
【0191】
また、本発明においては、水洗または安定化液には、前記亜硫酸塩に加えて、水垢防止剤、防黴剤、もしくは防腐剤のような添加剤のみを含有することも特徴である。これらの効果がある化合物としては例えば、オルトフェニルフェノール、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、8−ヒドロキシキノリン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、2,4−ジクロロ−S−ヒドロキシトリアジン・ナトリウムなどが挙げられる。特に好ましくはオルトフェニルフェノール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,4−ジクロロ−S−ヒドロキシトリアジン・ナトリウム等が挙げられる。
【0192】
前記安定化槽の処理工程においては、複数の処理槽で構成されている場合には、各槽毎に個別に補充して廃液となる方が好ましいが、補充量を低減するには有効ではない。そこで、最後の槽に補充液が入って順次前の槽にオーバーフローし、最前の槽から廃液としてオーバーフローする、いわゆるカウンターカレント方式であることが好ましい。
【0193】
本発明のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法においては、本発明に係る増感色素水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物を、上記説明した各処理工程を構成する処理槽の少なくとも1槽の処理液に添加することを特徴とするが、本発明の効果をより発揮できる観点から、安定化槽に添加することが好ましく、更には、安定化処理工程が複数の処理槽から構成されるカウンターカレント方式である場合には、少なくとも最終の安定化槽に添加することが好ましい。
【0194】
本発明のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法において、各処理液の補充量としては、発色現像工程では、ハロゲン化銀カラー感光材料1m2当たり50〜500mlが好ましく、より好ましくは100〜400ml、特に好ましくは150〜350mlである。また、漂白定着工程の補充量では、ハロゲン化銀カラー感光材料1m2あたり50〜300mlが好ましく、より好ましくは、80〜250ml、さらに好ましくは80〜200mlである。安定化工程の補充量では液全体で100〜1000mlが好ましく、更に好ましくは150〜800mlであり、特に好ましくは180〜650mlである。また、各工程の処理時間は、発色現像時間(発色現像工程を行う時間)は、30〜150秒が好ましく、より好ましくは40〜150秒、さらに好ましくは80〜140秒である。漂白定着工程の処理時間は90秒以内に設定することが好ましく、特に好ましくは30〜80秒である。安定化時間(安定化工程を行う時間)は、40〜200秒が好ましく、より好ましくは60〜170秒、さらに好ましくは80〜160秒である。
【0195】
なお、発色現像時間は、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽にハロゲン化銀カラー感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、発色現像槽中に入ってから次の処理工程の漂白または漂白定着槽に入るまでの時間をいい、その間のクロスオーバータイム(液外搬送時間)を含む。同様に、漂白定着工程に要する時間も該工程が複数槽を有する場合は、第1槽にハロゲン化銀カラー感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば、後続する安定化槽へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含む。
【0196】
また、安定化時間も第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、安定化液に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間を言い、その間のクロスオーバータイムを含む。前記クロスオーバータイムとしてはステイン及びカブリ防止の点から、短い程良く、好ましくは10秒以下、より好ましくは5秒以下、更に好ましくは3秒以下である。
【0197】
また安定化工程では、クロスオーバータイムが5秒以下、実質的には0であることがエッジ汚染抑制の点から好ましい。尚、ここで言うエッジ汚染とは、処理後の感光材料の紙支持体端部切断面(エッジ部)の汚れを指す。クロスオーバータイムを実質的0にする手段としては、特開平5−66540号の図2〜図5に記載されるような液中ブレード等の搬送方式を用いることで達成できる。
【0198】
発色現像工程、脱銀工程、安定化工程の処理液温度は、一般には30〜40℃であるが、38〜60℃が好ましく、より好ましくは38〜50℃である。乾燥工程は、ハロゲン化銀カラー感光材料の画像膜への水分の持込み量を減じる観点から安定化工程を行った後すぐにスクイズロ−ラ−や布などで水分を吸収することで乾燥を早めることも可能である。また当然のことではあるが、温度を高くすることや吹き付けノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
【0199】
また、漂白工程ではエアレーションを実施しても良い。エアレーションには当業界で公知の手段を使用できる。エアレーションに関してはイーストマン・コダック社発行のZ−121、ユージング・プロセス・C−41第3版(1982年)、BL−1〜BL−2頁に記載の事項を利用できる。また、漂白工程では撹拌を強化することが好ましく、その実施には特開平3−33847号公報の第8頁、右上欄、第6行〜左下欄、第2行に記載の内容が、そのまま利用できる。その中でも感光材料の乳剤面に漂白処理組成物を吹き付けるジェット撹拌方式が好ましい。また、漂白工程及び漂白定着工程では処理に使用後のオーバーフロー液を回収し、成分を添加して組成を修正した後、再利用(再生)することも出来る。
【0200】
次いで、本発明のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法で処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料について説明する。
【0201】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、支持体上に、少なくとも1層の増感色素により分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む感光性ハロゲン化銀層を有する幅450mm以上のプルーフ用のハロゲン化銀カラー感光材料であることを特徴とする。
【0202】
本発明でいう増感色素により分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む感光性層とは、本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料がカラープルーフ用途である場合には、主に、イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤を含むイエロー画像形成層、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤を含むマゼンタ画像形成層、シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤を有するシアン画像形成層であり、また必要に応じて非感光性層が設けられており、非感光性層としては、反射支持体と画像形成層間、あるいは各画像形成層間に設ける中間層や、上記画像形成層の操作時の保護や、所望の表面物性を付与させるため、本発明に係る反射支持体から最も離れた位置にある非感光性コロイド層、すなわち保護層が挙げられる。
【0203】
特に、ハロゲン化銀カラー感光材料が基準とする印刷物が、低光沢の印刷物、特にマット紙を用いて作製した印刷物である場合には、印刷物との測色値と観察画像(質感、濃度)との一致性の向上を目的として、支持体上に、それぞれ少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層と、該反射支持体から最も離れた位置にある非感光性コロイド層とを有し、該非感光性コロイド層が不定形多孔質微粒子を含有し、現像処理後のハロゲン化銀乳剤層を有する面側のJIS−Z 8741に準拠して測定された60度鏡面光沢度が、2.0以上、9.0以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料が挙げられる。この様な構成を有するハロゲン化銀カラー感光材料の現像処理に対し、本発明の処理方法を適用することが、広幅のプルーフ材料における白地ムラをより抑制することができる。
【0204】
はじめに、非感光性コロイド層が不定形多孔質微粒子を含有し、現像処理後のハロゲン化銀乳剤層を有する面側のJIS−Z 8741に準拠して測定された60度鏡面光沢度が、2.0以上、9.0以下であるハロゲン化銀カラー感光材料について説明する。
【0205】
本発明に係る不定形多孔質微粒子としては、好ましくはシリカ粒子である。
【0206】
本発明に係る不定形多孔質微粒子の平均一次粒子径は1.5μm以上、6.5μm以下であることが好ましい。不定形多孔質微粒子の平均一次粒子径が1.5μm以上であれば、形成された画像表面の光沢が高くなりすぎることがなく、基準とするマット紙に印画した印刷物との測色値及び質感、画像特性の一致性を得ることができる。また、不定形多孔質微粒子の平均一次粒子径が6.5μm以下であれば、形成した画像の失透性を損なうことなく、形成した画像自身の優れた品質を得ることができる。
【0207】
本発明に係る不定形多孔質微粒子の平均粒子径とは、不定形多孔質微粒子自身やその分散液を直接電子顕微鏡で観察したり、あるいは不定形多孔質微粒子を含有したハロゲン化銀カラー感光材料の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、多数個、例えば、1,000個の任意の無機不定形多孔質マット剤の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として測定したり、レーザー回折・散乱法により測定したりして求めることができる。本発明でいう個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。また、支持体から最も離れた位置にある非感光性コロイド層(以下、保護層ともいう)における不定形多孔質微粒子の添加量としては、300mg/m2以上、600mg/m2以下であることが好ましい。不定形多孔質微粒子の添加量が300mg/m2以上であれば、形成された画像表面の光沢が高くなりすぎることがなく、基準とするマット紙に印画した印刷物との測色値及び質感、画像特性の一致性を得ることができる。また、保護層中の不定形多孔質微粒子の含有量が600mg/m2以下であれば、形成した画像の失透性を損なうことなく、形成した画像自身の優れた品質を得ることができる。
【0208】
本発明に係る不定形多孔質微粒子とは、表面に細孔を有する無機材料から構成されるマット剤であることが好ましい。
【0209】
上記目的で用いられる不定形多孔質微粒子の例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム、ガラスビーズ等の無機微粒子等を挙げることができるが、その中でも多孔質シリカ類が好ましい。
【0210】
この様な不定形多孔質微粒子は、一次粒子のままでバインダー中に均一に分散された状態で用いられても、また、二次凝集粒子を形成してバインダー中に分散された状態で添加されても良い。
【0211】
本発明で不定形多孔質微粒子として好ましく用いられる多孔質シリカ類としては、例えば、特開昭55−51583号および同56−148583号等に記載された合成非晶質シリカ、特開昭60−222282号に記載されたフッ素を含有する合成不定形シリカ、特開昭60−224580号および同62−178384号に記載されたシランカップリング剤により表面処理された合成不定形シリカ、特開昭63−317381号に記載されたNa2O含有量が0.5質量%以上である合成シリカ微粒子、特開平1−115677号に記載された比表面積が100m2/g以上の合成シリカ微粒子、特開昭62−286787号に記載されたアルミナ表面処理された合成シリカ微粒子、特開平1−259982号に記載されたCa、MgまたはBaで表面処理された合成シリカ微粒子、吸油量が180ml/g以上の合成シリカ微粒子、特開昭60−219084号、特開平6−92011号、同6−297830号および同7−81214号に記載されたカチオン性コロイダルシリカ、および特開平5−278324号および同7−81214号に記載された数珠状に連結した、または分岐したコロイダルシリカ等を挙げることができる。
【0212】
また、本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料においては、本発明の目的効果を損なわない範囲で、非多孔質マット剤を併用することができ、例えば、有機物としては、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号明細書等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を挙げることができる。
【0213】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料においては、ハロゲン化銀乳剤層を塗設した面側の処理後のJIS−Z 8741に準拠して測定された60度鏡面光沢度が、2.0以上、9.0以下であることが好ましい。
【0214】
本発明でいう60度鏡面光沢度とは、JIS−Z−8741で規定された測定方法に則り測定した値である。本発明に係る60度鏡面光沢度の測定に用いることのできる装置は、例えば、HORIBA GLOSS CHECKER IG−310(HORIBA社製)、精密光沢計GM−26D、True Gross GM−26DPRO、変角光沢計GM−3D(以上、村上色彩技術研究所製)、VG−2000(日本電色工業社製)、デジタル変角光沢計(スガ試験機株式会社)等を挙げることができる。
【0215】
処理後のJIS−Z 8741に準拠して測定された60度鏡面光沢度が、9.0以下であれば、形成された画像表面の光沢が高くなりすぎることがなく、基準とするマット紙に印画した印刷物との測色値及び質感、画像特性の一致性を得ることができる。また、2.0以上であれば、形成した画像の失透性を損なうことなく、形成した画像自身の優れた品質を得ることができる。
【0216】
本発明において、上記で規定する60度鏡面光沢度を達成する手段としては、上述した支持体から最も離れた位置にある非感光性コロイド層に不定形多孔質微粒子に添加し、不定形多孔質微粒子の添加量、あるいは平均粒子径を適宜選択、あるいは組み合わせることにより達成することができる。
【0217】
次いで、本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料のその他の構成要素について説明する。
【0218】
本発明で用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、紙基材の両面をポリオレフィン樹脂等の樹脂層で被覆した反射支持体が好ましい。
【0219】
紙基材の両面をポリオレフィン樹脂等の樹脂層で被覆した反射支持体(以下、レジンコート紙、あるいはRC紙ともいう)について説明する。
【0220】
レジンコート紙に用いられる紙原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
【0221】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0222】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加することができる。
【0223】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlであることが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と、42メッシュ残分の質量%との和が30〜70質量%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。
【0224】
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法ににより測定した場合、5〜9であることが好ましい。
【0225】
原紙表面及び裏面はを被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0226】
また、感光性層塗設面側のポリエチレン層には、白色顔料を添加することができる。白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられ、例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。白色顔料として好ましくは、硫酸バリウム、酸化チタンであり、更に好ましくはルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンであり、これらをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
【0227】
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。樹脂層を複数層とし、ハロゲン化銀乳剤層と接する面側に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上効果が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい形態の1つである。
【0228】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本発明に係る塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
【0229】
更に、上記ポリエチレンを被覆したRC紙は、以下の特性を有していることが好ましい。
【0230】
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で、縦方向が0.1〜2N、横方向が0.2〜2Nが好ましい
3)圧縮弾性率:≧1030N/cm2
4)裏面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、100〜800秒が好ましい
5)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい
6)白さ:JIS−P−8123に規定されるハンター白色度で、90%以上が好ましい。また、JIS−Z−8722(非蛍光)、JIS−Z−8717(蛍光剤含有)により測定し、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法で表示したときの、L*=90〜98、a*=−5〜+5、b*=−10〜+5が好ましい。
【0231】
主に上記のような構成からなる本発明に係る反射支持体においては、感光性層を塗設する面側の樹脂層表面の中心線表面粗さSRaが、0.6μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.75μm以上であり、特に好ましくは0.75μm以上、5.0μm以下である。樹脂層表面の中心線表面粗さSRaが0.6μm以上であれば、例えば、上質紙を用いた様な印刷物に対し、得られる画像の光沢性、画像濃度等の観察画質一致性を更に向上させることができる。
【0232】
次いで、本発明のハロゲン化銀感光材料のその他の構成要素について説明する。
【0233】
本発明のハロゲン化銀感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤としては、95モル%以上が塩化銀からなるハロゲン化銀乳剤であることが、本発明の目的効果を発揮する観点から好ましく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものが用いられる。中でも、塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、中でも臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられ、また、表面近傍に沃化銀を0.05〜0.5モル%含有する塩沃化銀も好ましく用いられる。臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤において、高濃度に臭化銀を含有する部分は、いわゆるコア・シェル型ハロゲン化銀乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけのいわゆるエピタキシー接合した領域を形成していてもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面の結晶粒子の頂点に形成されることが特に好ましい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。
【0234】
本発明のハロゲン化銀感光材料に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤には、重金属イオンを含有させるのが有利である。これにより、いわゆる相反則不軌が改良され、高照度露光での減感が防止されたりシャドー領域での軟調化が防止されることが期待される。
【0235】
このような目的で用いることのできる重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子としてシアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニル、ニトロシル、アンモニア、水、ピリジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、1,2,4−トリアゾール、2,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビピリジンまたは2,2′:6′,2″−ターピリジン化合物が好ましく用いられる。中でも、シアン化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、水、ニトロシル、5−メチルチアゾール、1,2,4−トリアゾール等が好ましい。これらの配位子は単独であっても複数の配位子が併用されてもよい。
【0236】
ハロゲン化銀乳剤中に重金属イオンを含有させる方法としては、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。
【0237】
重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加することができる。また、あらかじめこれらの重金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を形成しておいて、これを添加することによって調製することもできる。前記重金属イオンのハロゲン化銀乳剤中への添加量は、ハロゲン化銀1モル当り1×10-9モル以上、1×10-2モル以下が好ましく、特に、1×10-8モル以上、5×10-5モル以下が好ましい。
【0238】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の形状は、任意のものを用いることができる。好ましい例の1つは、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。更に、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0239】
本発明に用いられる粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一画像形成層に添加することが特に好ましい。
【0240】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径としては、特に制限はないが、迅速処理性適性及び到達感度や、他の写真性能を考慮すると、好ましくは0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲である。
【0241】
この粒径は、ハロゲン化銀粒子の投影面積か、あるいは直径近似値を使ってこれを測定して求めることができる。ハロゲン化銀粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積としてかなり正確にこれを表すことができる。
【0242】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは、変動係数が0.15以下の単分散乳剤を2種以上、同一画像形成層に添加することである。ここでいう変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0243】
変動係数=S/R
ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。
【0244】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、調製方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0245】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該ハロゲン化銀粒子は、一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を調製した後で成長させてもよい。種粒子を調製する方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0246】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同時混合法の一形式として、特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0247】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載されている水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化させて添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0248】
更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0249】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法等を適宜組み合わせて用いることができる。カルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、チオ硫酸塩、トリエチルチオ尿素、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0250】
イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより適宜変更することが好ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10-10〜5×10-5モルの範囲、好ましくは5×10-8〜3×10-5モルの範囲である。
【0251】
金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-4〜1×10-8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-5〜1×10-8モルである。これらの化合物は、増感剤としてではなく、塗布液の調製段階などで種々の目的で添加することもできる。
【0252】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0253】
本発明のハロゲン化銀感光材料には、400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有することもできる。該ハロゲン化銀乳剤は、1種または、2種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0254】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、本発明に係る前記一般式〔I〕で表される増感色素のほかに、本発明の目的効果を損なわない範囲で、公知の増感色素、例えば、特開平3−251840号28ページに記載のBS−1〜8を組み合わせて用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。
【0255】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。また、これらの色素の添加方法としては、水またはメタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水と混和性の有機溶媒に溶解して溶液として添加してもよいし、増感色素を密度が1.0g/mlより大きい、水混和性溶媒の溶液または、乳化物、懸濁液として添加してもよい。
【0256】
増感色素の分散方法としては、高速撹拌型分散機を用いて水系中に機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法以外に、特開昭58−105141号に記載のようにpH6〜8、60〜80℃の条件下で水系中において機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法、特公昭60−6496号に記載の表面張力を3.8×10-2N/m以下に抑える界面活性剤の存在下に分散する方法、特開昭50−80826号に記載の実質的に水を含まず、pKaが5を上回らない酸に溶解し、該溶解液を水性液に添加分散し、この分散物をハロゲン化銀乳剤に添加する方法等を用いることができる。
【0257】
分散に用いる分散媒としては水が好ましいが、少量の有機溶媒を含ませて溶解性を調整したり、ゼラチン等の親水性コロイドを添加して分散液の安定性を高めることもできる。
【0258】
分散液を調製するのに用いることのできる分散装置としては、例えば、特開平4−125631号公報の第1図に記載の高速撹拌型分散機の他、ボールミル、サンドミル、超音波分散機等を挙げることができる。
【0259】
また、これらの分散装置を用いるに際し、特開平4−125632号に記載のように、あらかじめ乾式粉砕などの前処理を施した後、湿式分散を行う等の方法をとってもよい。
【0260】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、1種または、2種以上の増感色素を組み合わせて含有してもよい。
【0261】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀カラー感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることができる。この様な目的で用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報の7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される含窒素複素環メルカプト化合物を挙げることができ、更に好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、特開2000−267235号公報の8ページ右欄32〜36行目に記載の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの任意の工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-5〜5×10-4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2モル程度の量が好ましく、1×10-5〜5×10-3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-1モル程度の量が好ましく、1×10-5〜1×10-2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布皮膜中の含有量として、1m2当り1×10-9〜1×10-3モル程度の量が好ましい。
【0262】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、種々の目的で他の添加剤を加えることができる。例えば、特開平2−146036号公報に具体的に記載されているA−20、C−1、C−9、C−14、C−15、C−16、C−40等のジスルフィド、ポリスルフィド化合物、D−1、D−3、D−6、D−8等のチオスルホン酸化合物、無機イオウ等を用いることが好ましい。
【0263】
本発明のハロゲン化銀感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有する本発明に係るイエロー色素形成カプラーの他に、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0264】
本発明のハロゲン化銀感光材料に用いられるマゼンタカプラーとしては、特開平8−328210号公報の2ページに記載の一般式M−IもしくはM−IIで示される化合物が好ましい。好ましい化合物の具体例としては、同号6ページから16ページに記載のMCP−1〜MCP−41を挙げることができる。更に、他の具体例としては、欧州公開特許第0,273,712号の6〜21頁に記載されている化合物M−1〜M−61及び同第0,235,913号の36〜92頁に記載されている化合物1〜223の中の上述の代表的具体例以外のものがある。
【0265】
該マゼンタカプラーは、他の種類のマゼンタカプラーと併用することもでき、通常、総マゼンタカプラー量としては、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3モル〜1モル、好ましくは1×10-2モル〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0266】
本発明のハロゲン化銀感光材料において、形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλmaxは530〜560nmであることが好ましく、またλL0.2は、580〜635nmであることが好ましい。λL0.2とは、画像色素の分光吸光度曲線において、最大吸光度が1.0である時、最大吸光度を示す波長よりも長波で、吸光度が0.2となる波長をいう。この量は、画像色素の長波側の不要吸収の大きさを示す目安となる量であり、λmaxに近い波長であるほど不要吸収が小さく好ましいことを表す。
【0267】
本発明のハロゲン化銀感光材料のマゼンタ画像形成層には、マゼンタカプラーに加えてイエローカプラーが含有されることが好ましい。本発明のハロゲン化銀感光材料のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーとしては、公知のピバロイルアセトアニリド型もしくはベンゾイルアセトアニリド型等のカプラーが挙げられる。本発明のハロゲン化銀感光材料のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーの具体例としては、例えば、特開平8−314079号公報の6〜15ページ右欄に記載のYCP−1〜YCP−39で表されるカプラーが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0268】
本発明のハロゲン化銀感光材料において、シアン画像形成層中に含有されるシアンカプラーとしては、公知のフェノール系、ナフトール系又はイミダゾール系、アゾール系カプラーを用いることができる。例えば、アルキル基、アシルアミノ基、或いはウレイド基などを置換したフェノール系カプラー、5−アミノナフトール骨格から形成されるナフトール系カプラー、離脱基として酸素原子を導入した2当量型ナフトール系カプラーなどが代表される。このうち好ましい化合物としては、特開平6−95283号公報の13ページに記載の一般式[C−I]、[C−II]で表される化合物が挙げられる。
【0269】
アゾール系カプラーとしては、特開平8−171185号公報の2ページに記載の一般式〔I〕もしくは〔II〕で表されるピラゾロアゾール系カプラー、または、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系カプラーを挙げることができる。
【0270】
該シアンカプラーは、通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3〜1モル、好ましくは1×10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0271】
本発明のハロゲン化銀感光材料においては、公知のイエローカプラー、好ましくはアシルアセトアニリド系カプラー等を用いることができる。
【0272】
本発明で用いることのできるイエローカプラーの具体例としては、例えば、特開平3−241345号の5頁〜9頁に記載の化合物、Y−I−1〜Y−I−55で示される化合物、もしくは特開平3−209466号の11〜14頁に記載の化合物、Y−1〜Y−30で示される化合物も好ましく使用することができる。更に特開平6−95283号21ページ記載の一般式〔Y−I〕で表されるカプラー、特開2002−351023号に記載の一般式(I)、(II)の化合物等も挙げることができる。
【0273】
また、良好な色再現性、高発色性ならびに良好な耐光性が得られる観点から、特開昭63−123047号に記載されているような、アニリド部の2位にアルコキシ基を、5位にアシルアミノ基を有するイエローカプラー、米国特許第5,455,149号明細書に記載されているような炭素数1〜6のアルキル基が窒素原子に置換したピリミジン−4−オンが結合したアセトアニリド型カプラー、特開2002−296740号公報に記載の置換アルキル基が置換したピリミジン−4−オンが結合したアセトアニリド型カプラー、特開2002−296741号公報に記載のアリール基または複素環基が置換したピリミジン−4−オンが結合したアセトアニリド型カプラー、特開2002−318442号公報に記載のヘテロ原子等の二価の連結基が導入されたピリミジン−4−オンが結合したアセトアニリド型カプラー、特開2002−318443号公報に記載の炭素数7以上のアルキル基が置換したピリミジン−4−オンが結合したアセトアニリド型カプラー、特開2002−351023号公報、特開2003−173007号公報に記載の〔1,2,4〕チアジアジン−1,1−ジオキシドが結合したアセトアニリド型カプラー等を挙げることができる。
【0274】
本発明のハロゲン化銀感光材料において、形成されるイエロー画像の分光吸収のλmaxは425nm以上であることが好ましく、λL0.2は515nm以下であることが好ましい。
【0275】
該イエロー色画像の分光吸収のλL0.2とは、特開平6−95283号21ページ右欄1行〜24行に記載の内容で定義される値であり、イエロー色素画像の分光吸収特性で長波側の不要吸収の大きさを表す。
【0276】
該マゼンタ色画像、シアン色画像、及びイエロー色画像の分光吸収特性を調整するために、本発明に係る前記一般式(HBS−1)で表される化合物と共に、公知の色調調整作用を有する化合物を添加することができる。このための化合物としては、特開平6−95283号公報の22ページに記載の一般式[HBS−I]で示されるリン酸エステル系化合物、[HBS−II]で示されるホスフィンオキサイド系化合物が挙げられる。
【0277】
前記マゼンタ、シアン、イエローの各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することができる。好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報の3ページに記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報に記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物、特開昭64−90445号公報に記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報に記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が、特にマゼンタ色素用として好ましい。また、特開平1−196049号号公報に記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号公報に記載の一般式IIで示される化合物が、特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0278】
本発明のハロゲン化銀感光材料に用いられるステイン防止剤やその他の有機化合物を添加する際に、水中油滴型乳化分散法を用いる場合、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を組み入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類、特開平4−265975号公報の5ページに記載の(a−i)〜(a−x)を代表とする高級アルコール系化合物等が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また、2種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0279】
本発明のハロゲン化銀感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で、種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報の308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号公報に記載の染料が好ましく用いられる。
【0280】
本発明のハロゲン化銀感光材料中に、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良できる点で好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には、増感色素のハロゲン化銀カラー感光材料外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
【0281】
本発明のハロゲン化銀感光材料においては、公知の各種界面活性剤を併せて用いることができる。感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号に記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これら界面活性剤を用いて乳化された油溶性添加剤の分散液は、通常、ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく、各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0282】
本発明のハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物をハロゲン化銀乳剤層間に設けた中間層に添加して色濁りを防止したり、また、ハロゲン化銀乳剤層に直接添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、更に好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号に記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0283】
本発明のハロゲン化銀感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号に記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号に記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号に記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号に記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号に記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0284】
本発明のハロゲン化銀感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
【0285】
本発明のハロゲン化銀感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0286】
これらバインダーに対する硬膜剤としては、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号に記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号に記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。
【0287】
ハロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀カラー感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させる目的で、増粘剤を用いてもよい。塗布方法としては、2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティングまたはカーテンコーティングが特に有用である。
【0288】
一般に、ハロゲン化銀感光材料の幅としては用途に応じて任意の幅の物を用いることができるが、本発明においては、プルーフ用途で、かつ450mm以上の幅のハロゲン化銀カラー感光材料を用いることを特徴とし、好ましくは800mm以上、2000mm以下である。
【0289】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料においては、現像処理後の白地が、CIE1976Lab表色空間におけるL*が91〜96、a*が0〜2.0、b*が−2.0〜+2.0であることが好ましい。
【0290】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料においては、発色現像処理後の白地(未露光部)の色度がCIE1976Lab表色空間(以下、CIELAB表色空間と称す)上で、L*は91〜96、a*は0〜0.2、b*は−2.0〜+2.0であることが好ましい。
【0291】
ここで、CIELAB表色空間の詳細は、日本写真学会・日本画像学会編「ファインイメージングとカラーハードコピー」354ページ(1999年、コロナ社刊行)に詳記されている。また、この表色空間を用いる際の3色刺激値は、蛍光性反射物体のX、Y、Z座標の3刺激値測定方法を規定したJIS Z8717記載の方法に従って求められた値である。CIELAB表色空間上の色度は、基準となる白色の色度を標準昼光の国際標準であるCIED65(6504K)に置いて測定する。従って、上記の条件Aを満たすことの検証のための測定には、CIELAB表色空間上の色度を測定できる色度測定装置を用いることができる。例えば、高速分光光度色差計CMS−1200(村上色彩技術研究所(株)製)を用いて測定できる。
【0292】
次いで、本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料への画像記録方法について説明する。
【0293】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることが出来るが、レーザーまたは発光ダイオード(以下LEDと表す)がより好ましく用いられる。
【0294】
レーザーとしては半導体レーザー(以下、LDと表す)がコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。
【0295】
LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(〜700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としてLDを用いるのが有利である。
【0296】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。特にG光の光源としてヘリウムネオンレーザーが好ましく用いられる。
【0297】
LEDとしては、LDと同様の組成をもつものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。
【0298】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで例えば10本の光束に分割する。ヘリウムネオンレーザーの場合には、比較的形状の整った光束が容易に得られる。
【0299】
本発明に用いられる露光用光源の強度変化は、LDのような場合には、個々のLDに流れる電流値を変化させる直接変調を行ってもよいしAOM(音響光学素子)のような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学素子)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0300】
本発明においては、面積階調画像を出力可能なカラープルーフであることが一つの特徴であるが、本発明でいう面積階調画像とは、画像上の濃淡を個々の画素の色の濃淡で表現するのではなく、特定の濃度に発色した部分の面積の大小で表現するものであり、網点と同義と考えてよい。
【0301】
通常、面積階調露光であればY、M、Cの発色をさせることで目的を達することもできる。より好ましくは、単色での発色濃度よりも高い濃度で墨を作るように、2値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。墨にさらにM、C等の単色が発色したことを識別するには、3値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。印刷においては、特別な色の版を用いることがあるが、これを再現するためには、4値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。
【0302】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μmより小さいと画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmより大きいとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化する事によってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0303】
このような光で画像を描くには、ハロゲン化銀感光材料上を光束が走査する必要があるが、感光材料を円筒状のドラムに巻き付けこれを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀感光材料を密着させて露光する円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させこれによって搬送されるハロゲン化銀感光材料を搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得るには円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0304】
円筒外面走査方式での露光を行うには、ハロゲン化銀感光材料は正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。これが的確に行われるためには、正確に位置合わせされて搬送される必要がある。本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は露光する側の面が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料に用いられる支持体は適正な剛度があり、テーバー剛度で0.8〜4.0が好ましい。
【0305】
ドラム径は、露光するハロゲン化銀感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。ドラムの回転数も任意に設定できるがレーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンや感光材料の感度などにより適当な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0306】
ドラムへのハロゲン化銀感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴を感光材料の大きさに応じて多数設けておき、感光材料を吸引して密着させることもできる。感光材料をドラムにできるだけ密着させることが画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【0307】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることができるが、レーザーまたは発光ダイオード(以下LEDと表す)がより好ましく用いられる。
【0308】
レーザーとしては半導体レーザー(以下、LDと表す)がコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。また、LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(〜700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としてLDを用いるのが有利である。
【0309】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。
【0310】
ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。
【0311】
LEDとしては、LDと同様の組成をもつものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。
【0312】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで例えば10本の光束に分割する。
【0313】
露光用光源の強度変化は、LD、LEDのような場合には、個々の素子に流れる電流値を変化させる直接変調を行うことができる。LDの場合には、AOM(音響光学変調器)のような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学変調器)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0314】
光源にLEDを用いる場合には、光量が弱ければ、複数の素子で同一の画素を重複して露光する方法を用いてもよい。
【0315】
また、これらに代わる光源として有機発光素子を用いてもよく、これらについては、例えば、特開2000−258846号等に記載されている。
【0316】
本発明において、面積階調画像という言葉を用いるが、これは画像上の濃淡を個々の画素の色の濃淡で表現するのではなく、特定の濃度に発色した部分の面積の大小で表現するものであり、網点と同義と考えてよい。
【0317】
通常、面積階調露光であれば、Y、M、C、墨の発色をさせることで目的を達することもできる。より好ましくは、墨に加えてM、C等の単色が発色したことを識別するには、3値以上の露光量を使い分けて露光することが好ましい。印刷においては、特別な色の版を用いることがあるが、これを再現するためには、4値以上の露光量を使い分けて露光することが好ましい。
【0318】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μmより小さいと画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmより大きいとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化することによってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0319】
このような光で画像を描くには、ハロゲン化銀カラー感光材料上を光束が走査する必要があるが、ハロゲン化銀カラー感光材料を円筒状のドラムに巻き付けこれを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀感光材料を密着させて露光する円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させこれによって搬送されるハロゲン化銀カラー感光材料を、搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得るには円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0320】
円筒外面走査方式での露光を行うには、ハロゲン化銀カラー感光材料は正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。これが的確に行われるためには、正確に位置合わせされて搬送される必要がある。本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料は、露光する面側が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられる支持体は、適正な剛度があり、テーバー剛度で0.8〜4.0が好ましい。
【0321】
ドラム径は、露光するハロゲン化銀カラー感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。ドラムの回転数も任意に設定できるがレーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンやハロゲン化銀カラー感光材料の感度などにより、適当な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0322】
ドラムへのハロゲン化銀カラー感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴をハロゲン化銀カラー感光材料の大きさに応じて多数設けておき、ハロゲン化銀カラー感光材料を吸引して密着させることもできる。ハロゲン化銀カラー感光材料をドラムにできるだけ密着させることが、画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【実施例】
【0323】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0324】
実施例1
《増感色素水溶液の調製》
増感色素BS−1、GS−1、GS−3、RS−2をそれぞれ5mg秤量し、それぞれ1000mlの純水に添加し、室温で攪拌しながら溶解させた。上記増感色素の中で、GS−1のみ純水に完全に溶解せず、分散状態の懸濁液であった。
【0325】
【化39】

【0326】
《分光吸収特性の測定》
上記調製した0.1%の各色素溶液を、日立製作所社製330型日立自記分光光度計を用いて、分光吸収曲線を作成し、最大の吸光度を示す波長:最大吸収波長λmax1を求めた。次いで、上記色素溶液に、化合物−1、例示化合物I−82、例示化合物I−83をそれぞれ0.1%の濃度となるように添加、溶解した後、再び上記と同様の方法で分光吸収曲線を作成し、最大の吸光度を示す波長:最大吸収波長λmax2を求めた。
【0327】
【化40】

【0328】
次いで、化合物の添加の有無によるλmaxの変動巾(Δλmax)を下式により求め、得られた結果を表1に示す。
【0329】
Δλmax(nm)=最大吸収波長λmax2−最大吸収波長λmax1
【0330】
【表1】

【0331】
表1に記載の結果より明らかなように、例示化合物I−82及び例示化合物I−83を色素溶液に添加することにより、各増感色素溶液の最大吸収波長がいずれも5nm以上長波側にシフトしていることが分かる。
【0332】
実施例2
《ハロゲン化銀カラー感光材料の作成》
〔試料101の作製〕
写真グレードの印画紙用硫酸塩法晒広葉樹パルプ(LBKP)50質量%と硫酸塩法晒針葉樹パルプ(NBSP)50質量%からなるパルプを、フリーネス(CSF)が350mlになるように叩解後、パルプ100質量部に対して、カチオン化澱粉3質量部、アニオン化ポリアクリルアミド0.2質量部、アルキルケテンダイマー乳化物(ケテンダイマー分として)0.4質量部、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂0.4質量部及び適当量の蛍光増白剤、着色剤を添加して紙料スラリーを調製した。その後、紙料スラリーを200m/分で走行している長網抄紙機にのせ適切なタービュレンスを与えつつ紙匹を形成し、ウェットパートで150N/cm〜1000N/cmの範囲で線圧が調節された3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで300N/cm〜700N/cmの範囲で線圧が調節された2段の緊度プレスを行った後、乾燥した。その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニルアルコール4質量部、蛍光増白剤0.05質量部、着色染料0.002質量部、塩化ナトリウム4質量部及び水92質量部から成るサイズプレス液を25g/m2でサイズプレスし、最終的に得られる原紙水分が絶乾水分で8質量%になるように乾燥し、線圧500N/cmの条件で、マシンカレンダー処理し、坪量98g/m2、厚み100μmの白色原紙を作製した。
【0333】
次いで、上記白色原紙の裏面側樹脂層として、ポリエチレンを300℃にて溶融押出ラミネートを行って、厚み15μmのバックラミネート層を被覆させた。
【0334】
次に、表面側樹脂層(感光性層塗設面側)として、ポリエチレン、アナターゼ型二酸化チタンを混練した後、300℃にて溶融押出ラミネートにより、二酸化チタン2.0g/m2、厚み15μmの耐水性樹脂層を被覆させ、型付ローラーによる型付処理は行わずに、両面に樹脂被覆層を有する反射支持体1を作製した。
【0335】
次いで、上記反射支持体1(テーバー剛度=3.5、PY値=2.7μm、中心線表面粗さSRa=0.2μm)上に、下記表2に記載の構成からなる各層を、酸化チタンを含有するポリエチレン層面側に塗設し、更に裏面側にはゼラチン6.00g/m2、シリカマット剤0.65g/m2を含む層を塗設した多層ハロゲン化銀カラー感光材料である試料101を作製した。この試料101の60度鏡面光沢度は62であった。
【0336】
カプラーは高沸点溶媒に溶解して超音波分散し、分散物として添加したが、この時、界面活性剤として(SU−1)を用いた。又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。また各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0337】
塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。
【0338】
【表2】

【0339】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ((1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノンと2,5−ジ−secテトラデシルハイドロキノンと2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノンの質量比1:1:2の混合物
HQ−4:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン
PVP:ポリビニルピロリドン
【0340】
【化41】

【0341】
【化42】

【0342】
【化43】

【0343】
上記ハロゲン化銀カラー感光材料である試料101の作製に用いた各感光性ハロゲン化銀乳剤は、以下の方法に従って調製した。
【0344】
(青感光性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に、下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ同時添加した。この時、pAgの制御は、特開昭59−45437号公報に記載の方法に従って行い、pH制御は硫酸または水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0345】
〈A液〉
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200mlに仕上げた
〈B液〉
硝酸銀 10g
水を加えて 200mlに仕上げた
〈C液〉
塩化ナトリウム 102.7g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10-8モル
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10-5モル
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600mlに仕上げた
〈D液〉
硝酸銀 300g
水を加えて 600mlに仕上げた
添加終了後、花王アトラス社製のデモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液とを用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体の乳剤EMP−101を得た。
【0346】
上記乳剤EMP−101に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、青感光性ハロゲン化銀乳剤Em−B101を得た。
【0347】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10-4モル/モルAgX
臭化カリウム 0.2g/モルAgX
次いで、上記乳剤EMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間、及び(C液)と(D液)の添加時間とをそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体の乳剤EMP−102を得た。
【0348】
上記青感光性ハロゲン化銀乳剤Em−B101の調製において、乳剤EMP−101に代えて、乳剤EMP−102を用いた以外同様にして、青感光性ハロゲン化銀乳剤Em−B102を調製し、Em−B101とEm−B102の1:1の混合物を第7層で用いる青感光性ハロゲン化銀乳剤とした。
【0349】
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
上記乳剤EMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間、及び(C液)と(D液)の添加時間とをそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体の乳剤EMP−103を得た。
【0350】
上記乳剤EMP−102に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G101を得た。
【0351】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−2 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−3 2×10-4モル/モルAgX
塩化ナトリウム 0.5g/モルAgX
次いで、上記乳剤EMP−103の調製において、(A液)と(B液)の添加時間、及び(C液)と(D液)の添加時間をそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体の乳剤EMP−104を得た。
【0352】
上記緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G101の調製において、EMP−103に代えてEMP−104を用いた以外同様にして緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G102を調製し、Em−G101とEm−G102の1:1の混合物を第5層で用いた緑感光性ハロゲン化銀乳剤とした。
【0353】
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
前記調製した乳剤EMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R101を得た。
【0354】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−4 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10-4モル/モルAgX
強色増感剤:SS−1 2×10-4モル/モルAgX
次に、前記調製した乳剤EMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R102を得た。
【0355】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−4 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 2×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 2×10-4モル/モルAgX
強色増感剤:SS−1 2×10-4モル/モルAgX
上記調製した赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R101と赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R102の1:1の混合物を、第3層の赤感光性ハロゲン化銀乳剤として用いた。
【0356】
上記各感光性ハロゲン化銀乳剤の調製に用いた添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0357】
STAB−1:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−4:p−トルエンチオスルホン酸
【0358】
【化44】

【0359】
《現像処理条件》
(現像処理条件1)
処理工程 処理温度 処理時間 補充量(ml/m2
発色現像 40.0±0.3℃ 120秒 250ml
漂白定着 40.0±0.5℃ 60秒 150ml
安定化−1 40.0±0.5℃ 35秒 −
安定化−2 40.0±0.5℃ 35秒 −
安定化−3 40.0±0.5℃ 35秒 400ml
乾燥 55〜75℃ 20秒
なお、発色現像槽の容量は21L、漂白定着槽の容量は8L、3段の多段向流方式の安定化−1〜安定化−3の安定化槽の容量はそれぞれ6Lである。
【0360】
上記各処理工程で使用した処理液は、以下の通りである。
【0361】
〈発色現像液タンク液と補充液〉
タンク液 補充液
純水 800ml 800ml
ジエチレングリコール 10g 10g
臭化カリウム 0.25g 0.25g
塩化カリウム 0.5g 3.0g
N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−4−アミノアニリン硫酸塩
2.6g 3.5g
N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミンナトリウム塩
20.0g 20.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g
炭酸カリウム 30g 30g
重炭酸カリウム 6.0g 6.0g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸または水酸化カリウムでタンク液はpH=10.1に、補充液はpH=10.5に調整した。
【0362】
〈漂白定着液タンク液と補充液〉
タンク液 補充液
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄錯塩 0.15モル 0.20モル
ジエチレントリアミン五酢酸 0.01モル 0.01モル
チオ硫酸アンモニウム(75%水溶液) 120g 150g
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール
1.6g 2.0g
メタ重亜硫酸ナトリウム 20g 30g
イミダゾール 7.0g 10g
臭化カリウム 16g 20g
水を加えて全量を1リットルとし、アンモニア水または硫酸でタンク液はpH=6.5、補充液はpH=5.5に調整した。
【0363】
〈安定化液タンク液1及び補充液1〉
タンク液=補充液
o−フェニルフェノール 1.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 10g
エチレンジアミン4酢酸 3.0g
水酸化カリウム(50%水溶液) 5.0g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又は水酸化カリウム(50%水溶液)でpH=7.0に調整した。
【0364】
(現像処理条件2)
上記現像処理条件1において、安定化工程で用いる安定化液タンク液及び補充液に、それぞれ化合物−1(前出)を1g/L添加した以外は同様にして、これを現像処理条件2とした。
【0365】
(現像処理条件3)
上記現像処理条件1において、安定化工程で用いる安定化液タンク液及び補充液に、それぞれ例示化合物I−82を1g/L添加した以外は同様にして、これを現像処理条件3とした。
【0366】
(現像処理条件4)
上記現像処理条件1において、安定化工程で用いる安定化液タンク液及び補充液に、それぞれ例示化合物I−83を1g/L添加した以外は同様にして、これを現像処理条件4とした。
【0367】
《画像の形成》
〔試料の断裁〕
上記作製した試料101を、巾350mm×長さ970mm、巾492mm×長さ970mm、巾670mm×長さ970mmの3つのシート状サイズに断裁した。
【0368】
〔露光装置〕
下記の光源を有するドラム露光方式の露光装置を使用した。
【0369】
光源としてブルーのLEDを主走査方向に5個並べ露光のタイミングを少しづつ遅延させることによって同じ場所を5個のLEDで露光できるように調整した。また、副走査方向にも20個のLEDを並べ隣接する20画素分の露光が1度に出来る露光ヘッドを準備した。グリーン、レッドについても同様に、上記と同様にLEDを組み合わせて露光ヘッドを準備した。
【0370】
各サイズのシート状試料を、巾670mmの円筒外面走査方式の円筒状ドラムに巻き付け、表面に設けたパンチ穴より吸引して密着させた状態で、高速で回転しながら各ビーム径を約10μmで、副走査のピッチを約100μmとし、1画素当たりの露光時間を約100ナノ秒で露光した。
【0371】
露光画像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の3、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、100%の網点画像を露光した。
【0372】
〔現像処理〕
上記露光を施した各サイズの試料と未露光の各サイズの試料とを、前記現像処理条件1〜4を用いて、2ラウンドまでの連続処理を行った。ここでいう2ラウンドとは、発色現像槽容積(21L)の2倍量(42L)の発色現像補充液が補充されるまで、連続処理を行うことを意味する。
【0373】
《評価》
〔白地安定性の評価〕
連続処理開始時及び2ラウンドの連続処理終了時の各未露光試料について、下記の方法に従って、色差ΔE1を測定した。
【0374】
色差測定は、白地部(未露光部)をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−2022を用い、照明と受光の幾何条件d−0、キセノンパルス光源を用いて測光し、2°視野、補助標準の光D50でのL*、a*、b*の値を10点測定しその平均値を求め、連続処理開始時と連続処理終了時の各試料の色差を求めた。尚、色差ΔE1を下式により求めた。
【0375】
ΔE1=〔(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
ここで、ΔL*、Δa*、Δb*は、それぞれ連続処理開始時と連続処理終了時の各試料間の差を表す。
【0376】
〔白地の幅手バラツキ耐性の評価〕
2ラウンドの連続処理終了時の各未露光試料について、下記の方法に従って、色差ΔE2を測定した。
【0377】
色差測定は、上記上記の方法と同様にして、L*、a*、b*の値を幅手方向で20点等間隔に測定し、色空間で最も乖離している測定値間の色差を求めた。尚、色差ΔE2を下式により求めた。
【0378】
ΔE2=〔(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
ここで、ΔL*、Δa*、Δb*は、それぞれ色空間で最も乖離している各測定値の差を表す。
【0379】
〔白地均一性の評価〕
2ラウンドの連続処理終了時の各未露光試料の全面を白地の状態を目視観察し、下記の基準に従って白地均一性の評価を行った。
【0380】
○:均一な白地特性であり、ムラが全く認められない
△:僅かに白地ムラは認められるが、実用上許容限界内の白地性である
×:明らかな白地ムラが認められ、実用上問題となる品質である
〔露光時装着性の評価〕
各サイズの100枚の試料を、前記露光装置の巾670mmの円筒外面走査方式の円筒状ドラムに巻き付け、表面に設けたパンチ穴より吸引して密着させた状態で、高速で回転しながら露光を与え、この時の装着不良枚数を測定し、下記の基準に従って露光時装着性の評価を行った。
【0381】
○:装着不良の発生枚数が、3枚以下であった
△:装着不良の発生枚数が、4枚以上、8枚以下であった
×:装着不良の発生枚数が、9枚以上であった
以上により得られた結果を、表3に示す。
【0382】
【表3】

【0383】
表3に記載の結果より明らかなように、増感色素水溶液を最大吸収波長を5nm以上シフトさせる効果を有する化合物を添加した安定化工程を用い、幅450mm以上のハロゲン化銀カラー感光材料を連続処理した本発明の水準は、比較例に対し、連続処理における白地安定性、白地の幅手バラツキ耐性及び白地均一性に優れると共に、露光時の円筒状ドラムへの装着性に優れており、カラープルーフで重要とされている白地安定性と生産適性(露光時装着性)の両立が図られていることが分かる。
【0384】
実施例2
《ハロゲン化銀カラー感光材料の作製》
実施例1に記載のハロゲン化銀カラー感光材料である試料101の作製において、反射支持体及び第8層の構成を下記のように変更した以外は同様にして、試料102を作製した。なお、試料102の60度鏡面光沢度は5であった。
【0385】
〔反射支持体の変更〕
実施例1に記載の試料101の作製に用いた反射支持体1(SRa=0.2)の作製において、表面側樹脂層を溶融押出ラミネートした後、表面に凹凸構造のサイズ及び密度の異なる各種型付けローラーに圧接してして微細な凹凸の模様付けを適宜行い、中心線表面粗さSRaを1.5に変更した以外は同様にして、反射支持体2を作製し、これを用いた。
【0386】
〔第8層(紫外線吸収層)の変更〕
実施例1に記載の試料101の第8層(紫外線吸収層)において、シリカマット剤の添加量を0.01g/m2から0.50g/m2に変更した以外は同様にして、第8層を形成した。
【0387】
《画像形成及び評価》
実施例1に記載の画像形成及び各評価において、試料101に代えて、上記作製した試料102を用いた以外は同様にして、露光、現像処理及び各評価を行い、得られた結果を表4に示す。
【0388】
【表4】

【0389】
表4に記載の結果より明らかなように、最表層(第8層)に多量のシリカマット剤を添加し、低光沢度のハロゲン化銀カラー感光材料においても、実施例1の結果と同様に、本発明の水準は、比較例に対し、連続処理における白地安定性、白地の幅手バラツキ耐性及び白地均一性に優れると共に、露光時の円筒状ドラムへの装着性に優れており、カラープルーフで重要とされている白地安定性と生産適性(露光時装着性)の両立が図られていることが分かる。更に、多量のシリカマット剤を添加していなく、かつ処理条件1、2の場合のΔE2に対し、シリカマット剤を添加している場合には、ΔE2が拡大するため、より大きな効果が発揮されていることが分かる。
【0390】
実施例3
《ハロゲン化銀カラー感光材料の作製》
実施例1に記載の試料101は、実施例1に記載の現像処理条件1で現像処理した時の白地特性(前記分光測色計CM−2022で測定)は、L*=92.5、a*=0.80、b*=1.00であった。
【0391】
上記試料101の作製において、反射支持体1の作製時に用いた蛍光増白剤の添加量を適宜調整し、現像処理後の白地特性を、L*=92.5、a*=0.80、b*=−4.00に変更した以外は同様にして、試料103を作製した。
【0392】
《画像形成及び評価》
実施例1に記載の画像形成及び各評価において、実施例1に記載の試料101と上記作製した試料103を用いた、実施例1に記載の方法と同様にして露光、現像処理(現像処理条件1と3を使用)及び各評価(白地の幅手バラツキの評価及び白地均一性の評価)を行い、得られた結果を表5に示す。
【0393】
【表5】

【0394】
表5に記載の結果より明らかなように、試料103の様に蛍光増白剤を使用し、白地の中心を青味方向にシフトした試料では、比較例においては、幅手における色度変動の測定値(ΔE1)は大きいが、目視観察した際の白地均一性では、ムラの認識度合いが異なるため、目視段階でムラに気がつかず見逃してしなう場合があるが、蛍光増白効果を低く抑え、より自然の白地特性とした試料101においては、比較例では、明らかに目視観察での白地変動が顕在化し、この様な条件下で、特に本発明の効果が顕著に発揮されていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、少なくとも1層の増感色素により分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む感光性ハロゲン化銀層を有する幅450mm以上のプルーフ用のハロゲン化銀カラー感光材料を、少なくとも発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程の各処理工程を経て現像処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法において、該各処理工程を構成する処理槽の少なくとも1槽の処理液が、該増感色素の水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【請求項2】
前記増感色素の水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【化1】

〔式中、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれ独立に−N(R1)R2、−OR3、−SR3、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、Z1及びZ2はそれぞれ−NR4−、−O−または−S−を表し、Lはアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはヘテロ環基を表し、R1及びR2はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R3はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R4は水素原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表す。R1及びR2は結合して含窒素へテロ環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(I)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。〕
【請求項3】
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(I−1)〜(I−4)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【化2】

〔式中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L1はフェニレン基またはナフチレン基を表す。R11〜R18のうち、3個以上はアリール基である。また、R11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(I−1)で表される分子内には、−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに一般式(I−1)で表される化合物では、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
【化3】

〔式中、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L2はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。Raはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Rbは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(I−2)で表される化合物では、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(I−2)で表される化合物は、分子内に−N=N−またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
【化4】

〔式中、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L3はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。A31、A32は、それぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基またはヒドロキシルアミノ基を表す。R35、R36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R31とR32、R33とR34は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(I−3)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(I−3)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基を含有しない。〕
【化5】

〔式中、L4はフェニレン基、ナフチレン基またはアルキレン基を表す。X1は酸素原子または硫黄原子を表し、X2は酸素原子、硫黄原子または−NH−を表す。A41、A42、A43、A44はそれぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシルアミノ基または−NR4142(R41、R42はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R41とR42が互いに結合して環を形成してもよい)を表す。ただし、一般式(I−4)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。更に、一般式(I−4)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
【請求項4】
前記ハロゲン化銀カラー感光材料は、支持体上にそれぞれ少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層と、該支持体から最も離れた位置にある非感光性コロイド層とを有し、該非感光性コロイド層が不定形多孔質微粒子を含有し、前記現像処理後のハロゲン化銀乳剤層を有する面側のJIS−Z 8741に準拠して測定された60度鏡面光沢度が、2.0以上、9.0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【請求項5】
前記ハロゲン化銀カラー感光材料の現像処理後の白地が、CIE1976Lab表色空間におけるL*が91〜96、a*が0〜2.0、b*が−2.0〜+2.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【請求項6】
前記増感色素の水溶液の最大分光吸収波長(λmax)を±5nm以上シフトさせる化合物を含有する処理液が、前記水洗処理工程または安定化処理工程で用いる水洗水または安定化液であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。