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ハロ酢酸の測定方法および測定装置
説明

ハロ酢酸の測定方法および測定装置

【課題】試料水中のハロ酢酸濃度を安価、且つ、迅速に測定すること。
【解決手段】ハロ酢酸の測定方法は、ハロ酢酸を含む試料水にニコチン酸アミドとアルカリとを添加するステップS1と、ニコチン酸アミドとアルカリとを添加した試料水を所定時間加熱するステップS2と、加熱後の試料水を冷却するステップS3と、冷却後の試料水に含まれる蛍光物質の蛍光強度を測定するステップS4と、測定された蛍光強度からハロ酢酸の濃度を算出するステップS5と、を含む。このような測定方法によれば、ガスクロマトグラフ/電子捕獲型検出器を利用することなく試料水中のハロ酢酸濃度を測定できるので、試料水中のハロ酢酸濃度を安価、且つ、迅速に測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料水中のハロ酢酸濃度を測定するハロ酢酸の測定方法および測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハロ酢酸は、主に塩素処理において有機物と塩素とが反応することによって生成される消毒副生成物であり、発がん性が疑われている物質である。このため、水道水質基準では、モノクロロ酢酸(MCAA)、ジクロロ酢酸(DCAA)、およびトリクロロ酢酸(TCAA)の基準濃度がそれぞれ20μg/L、40μg/L、および200μg/L以下に定められている。このうち、TCAAについては、基準濃度を5倍程度強化することが検討されている(非特許文献1参照)。また、臭素系のハロ酢酸は塩素系のハロ酢酸より毒性が強いことが報告されているために(非特許文献2参照)、将来的には9種類のハロ酢酸(MCAA、DCAA、TCAA、モノブロモ酢酸(MBAA)、ジブロモ酢酸(DBAA)、トリブロモ酢酸(TBAA)、ブロモクロロ酢酸(BCAA)、ブロモジクロロ酢酸(BDCAA)、ジブロモクロロ酢酸(DBCAA))が規制の対象になることも考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】水道産業新聞 2010年11月1日
【非特許文献2】M.J. Plewa, Y. Kargalioglu, D. Vankerk, R.A. Minear, and E.D. Wagner : Mammalian Cell Cytotoxicity and Genotoxicity Analysis of Drinking Water Disinfection By-products, Environmental and Molecular Mutagenesis, Vol.40, pp.134-142(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来までは、試料水中のハロ酢酸濃度はガスクロマトグラフ/電子捕獲型検出器(Gas Chromatography - Electron Capture Detector : GC-ECD)を利用して測定されていた。しかしながら、GC−ECDを構成する分析機器は高額であるために、GC−ECDを利用してハロ酢酸濃度を安価に測定することは難しい。また、GC−ECDを利用してハロ酢酸濃度を測定する場合、誘導体化処理などの複雑な前処理が必要になるために、ハロ酢酸濃度の測定に技術と時間とを要し、ハロ酢酸濃度を迅速に測定することが困難である。このような背景から、試料水中のハロ酢酸濃度を迅速、且つ、安価に測定可能な技術の提供が期待されていた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、試料水中のハロ酢酸濃度を安価、且つ、迅速に測定可能なハロ酢酸の測定方法および測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るハロ酢酸の測定方法は、ハロ酢酸を含む試料水にニコチン酸アミドとアルカリとを添加する第1ステップと、前記第1ステップ後の前記試料水を所定時間加熱する第2ステップと、前記第2ステップ後の前記試料水を冷却する第3ステップと、前記第3ステップ後の前記試料水に含まれる蛍光物質の蛍光強度を測定する第4ステップと、前記蛍光強度から前記ハロ酢酸の濃度を算出する第5ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るハロ酢酸の測定方法は、上記発明において、前記第4ステップが、励起波長および蛍光波長をそれぞれ365nmおよび455nmとして前記蛍光物質の蛍光強度を測定するステップを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るハロ酢酸の測定方法は、上記発明において、前記アルカリが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るハロ酢酸の測定方法は、上記発明において、前記試料水の加熱温度が90℃、前記所定時間が30分以上60分以下の時間であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るハロ酢酸の測定方法は、上記発明において、前記第1ステップが、ハロ酢酸を選択的に吸着する陰イオン交換体に前記試料水を通水するステップと、前記試料水を通水した後に陰イオン交換体にアルカリ溶液を通水するステップと、前記陰イオン交換体を通過したアルカリ溶液にニコチン酸アミドを添加するステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るハロ酢酸の測定方法は、上記発明において、前記陰イオン交換体が、1級アミン、2級アミン、若しくは3級アミンを官能基に有する弱陰イオン交換体、又は、4級アンモニウム塩を官能基に有する強陰イオン交換体であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るハロ酢酸の測定方法は、上記発明において、前記第1ステップが、前記陰イオン交換体に前記試料水を通水する前に該試料水をAg/Hカラムに通水するステップを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るハロ酢酸の測定方法は、上記発明において、前記第1〜第4ステップが、フローインジェクション法を利用して前記蛍光物質の蛍光強度を測定するステップを含むことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るハロ酢酸の測定装置は、ハロ酢酸を含む試料水にニコチン酸アミドとアルカリとを添加する手段と、ニコチン酸アミドとアルカリとが添加された前記試料水を所定時間加熱する手段と、前記所定時間加熱された前記試料水を冷却する手段と、冷却後の前記試料水に含まれる蛍光物質の蛍光強度を測定する手段と、前記蛍光強度から前記ハロ酢酸の濃度を算出する手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るハロ酢酸の測定方法および測定装置によれば、試料水中のハロ酢酸濃度を安価、且つ、迅速に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、TCAAを1000μg/L含む試料水から得られた蛍光物質の励起蛍光スペクトルを示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態であるハロ酢酸の測定方法の流れを示すフローチャートである。
【図3】図3は、MCAA、DCAA、およびTCAAをそれぞれ1000μg/L含む試料水について、加熱時間に伴う蛍光物質の蛍光強度の変化を評価した結果を示す図である。
【図4】図4は、MCAA、DCAA、TCAA、MBAA、DBAA、TBAA、BCAA、BDCAA、およびDBCAAの各ハロ酢酸に関する、蛍光物質の蛍光強度とハロ酢酸濃度との関係を示す検量線の一例を示す図である。
【図5】図5は、ハロ酢酸の測定装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態であるハロ酢酸の測定方法について説明する。
【0018】
〔本発明の概念〕
本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねてきた結果、ハロ酢酸を含む試料水にニコチン酸アミドとアルカリ(水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH))とを添加した後、試料水を加熱、冷却することによって蛍光物質が生成されることを知見した。また、本発明の発明者らは、蛍光物質の励起蛍光スペクトルを測定したところ、図1に示すように、励起波長(EX)および蛍光波長(EM)がそれぞれ365nmおよび455nmの位置を中心としたピークを有することを知見した。なお、図1は、TCAAを1000μg/L含む試料水から得られた蛍光物質の励起蛍光スペクトルを示している。以上の知見から、本発明の発明者らは、励起波長および蛍光波長をそれぞれ365nmおよび455nmとして蛍光物質の蛍光強度を測定し、予め作成しておいた蛍光強度とハロ酢酸濃度との関係を示す検量線と測定された蛍光強度とを比較することによって、試料水中のハロ酢酸濃度を算出できるとの技術思想を想到するに至った。
【0019】
〔ハロ酢酸の測定方法〕
次に、図2を参照して、上記本発明の概念に基づいた本発明の一実施形態であるハロ酢酸の測定方法について説明する。図2は、本発明の一実施形態であるハロ酢酸の測定方法の流れを示すフローチャートである。
【0020】
図2に示すように、本発明の一実施形態であるハロ酢酸の測定方法では、始めに、試料水にニコチン酸アミドとアルカリ(NaOH又はKOH)とを添加する(ステップS1)。なお、試料水の総量が6mLである場合、濃度8〜40%、好ましくは濃度40%のニコチン酸アミドを10mL添加し、濃度0.4〜10mol/L、好ましくは濃度1mol/LのNaOH又はKOHを4mL添加するとよい。
【0021】
試料水にニコチン酸アミドとアルカリとを添加すると、次に、試料水を加熱する(ステップS2)。図3は、MCAA、DCAA、およびTCAAをそれぞれ1000μg/L含む試料水について、加熱時間に伴う蛍光物質の蛍光強度の変化を評価した結果を示す図である。図3に示すように、蛍光物質の蛍光強度は加熱時間の増加に伴い増加し、加熱時間が30分以上で平衡に達する。また、図示していないが、MBAA、DBAA、TBAA、BCAA、BDCAA、およびDBCAAをそれぞれ含む試料水においても、加熱時間が30分以上で蛍光物質の蛍光強度が平衡に達した。このことから、試料水の加熱時間は30〜60分程度にするとよい。
【0022】
試料水の加熱が完了すると、次に、試料水を冷却する(ステップS3)。試料水を所定時間加熱した後に直ちに冷却することにより、蛍光物質の生成量を加熱完了時の蛍光物質の生成量に保持できる。次に、励起波長および蛍光波長をそれぞれ365nmおよび455nmとして蛍光物質の蛍光強度を測定する(ステップS4)。そして最後に、予め作成しておいた蛍光強度とハロ酢酸濃度との関係を示す検量線と測定された蛍光強度とを比較することによって、試料水中のハロ酢酸濃度を算出する(ステップS5)。
【0023】
なお、MCAA、DCAA、TCAA、MBAA、DBAA、TBAA、BCAA、BDCAA、およびDBCAAの各ハロ酢酸について、蛍光物質の蛍光強度とハロ酢酸濃度との関係を示す検量線を作成したところ、図4(a)〜(c)に示すように、ハロ酢酸濃度50〜1000μg/Lの範囲で直線性が高い検量線が得られた。このことから、予め作成しておいた蛍光強度とハロ酢酸濃度との関係を示す検量線と測定された蛍光強度とを比較することによって、ハロ酢酸濃度を精度高く測定できる。図4に示す検量線を作成する際には、アルカリとして1mol/LのNaOHを試料水に添加し、試料水の加熱時間は60分とした。
【0024】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態であるハロ酢酸の測定方法では、ハロ酢酸を含む試料水にニコチン酸アミドとアルカリとを添加し、ニコチン酸アミドとアルカリとが添加された試料水を所定時間加熱した後、冷却し、冷却後の試料水に含まれる蛍光物質の蛍光強度を測定し、測定された蛍光強度からハロ酢酸の濃度を算出する。このような測定方法によれば、ガスクロマトグラフ/電子捕獲型検出器を利用することなく試料水中のハロ酢酸濃度を測定できるので、試料水中のハロ酢酸濃度を安価、且つ、迅速に測定することができる。
【0025】
なお、ハロ酢酸濃度を測定する際には、例えば図5に示すような測定装置を用いてハロ酢酸を分離、濃縮することが望ましい。図5は、ハロ酢酸の測定装置の構成を示す模式図である。図5に示すように、ハロ酢酸の測定装置1は、前処理部10と、反応部20と、検出部30と、を主な構成要素として備えている。前処理部10は、アルカリ溶液を貯留する容器11aと、ハロ酢酸を含む試料水を貯留する容器11bと、任意のハロ酢酸濃度に調製した標準試料水を貯留する容器11cと、超純水を貯留する容器11dと、本発明に係る陰イオン交換体として機能する陰イオン交換カラム12と、Ag/Hカラム13と、を備えている。
【0026】
容器11aと陰イオン交換カラム12とは配管14aを介して接続されている。配管14aには、陰イオン交換カラム12へのアルカリ溶液の供給/停止を制御する電磁弁16aと、容器11a内のアルカリ溶液を陰イオン交換カラム12に圧送するポンプ15aとが配設されている。
【0027】
容器11b,11c,11dと陰イオン交換カラム12とは配管14b〜14dと配管14eとを介して接続されている。配管14b〜14dにはそれぞれ、配管14eへの液体の供給/停止を制御する電磁弁16b〜16dが配設されている。配管14eには、配管14b〜14dのいずれかから供給された液体を陰イオン交換カラム12に圧送するポンプ15bと、陰イオン交換カラム12に圧送される液体中に含まれる塩類を除去するAg/Hカラム13とが配設されている。Ag/Hカラム13は、銀型陽イオン交換カラムと水素型陽イオン交換カラムとを組み合わせたカラムによって構成され、通水された液体中に含まれるハロゲンを吸着する機能を有している。陰イオン交換カラム12の前にAg/Hカラム13を配設することにより、液体中の塩類が陰イオン交換カラム12へのハロ酢酸の吸着率を低下させることを抑制できる。
【0028】
陰イオン交換カラム12は、トリハロメタンとハロ酢酸とを選択的に吸着する機能を有している。本実施形態では、陰イオン交換カラム12は、ポリマーを母体とし、1級アミン、2級アミン、若しくは3級アミンを官能基に有する弱陰イオン交換カラム、又は、シリカを母体とし、4級アンモニウム塩を官能基に有する強陰イオン交換カラムによって構成されている。陰イオン交換カラム12の液体流出側には配管14fが接続されている。配管14fには、陰イオン交換カラム12から排出された液体を外部に排出する廃液用配管14gと、陰イオン交換カラム12から排出された液体を反応部20に供給する検出用配管14hとが接続されている。
【0029】
反応部20は、ニコチン酸アミドを貯留する容器21と、容器21内のニコチン酸アミドを検出用配管14hに圧送するポンプ22と、検出用配管14h内の液体を所定温度に加熱して検出部30に供給する加熱部23と、を備えている。
【0030】
検出部30は、液体の蛍光強度を測定する装置である。具体的には、検出部30は、加熱部23から供給された液体を冷却する熱交換器32と、冷却された液体の蛍光強度を測定し、測定が終了した液体を廃液用配管14gに排出する光学検出器31を備えている。フローインジェクション法によって蛍光強度を測定することにより、液体の蛍光強度を連続的、且つ、自動的に測定することができる。なお、蛍光強度の測定精度を一定に制御するために、検出部30には熱交換器32が配設されている。また、蛍光強度の測定精度を一定に制御するために、検出部30内の配管に超純水を導入し、測定の度毎に検出部30内の配管を超純水で洗浄してもよい。
【0031】
このような構成を有するハロ酢酸の測定装置1では、以下のようにして試料水のハロ酢酸濃度を測定する。すなわち、試料水のハロ酢酸濃度を測定する際には、始めに、電磁弁16dを開状態とした後、ポンプ15bを駆動することによって、容器11d内の超純水をAg/Hカラム13を介して陰イオン交換カラム12に通水し、陰イオン交換カラム12を通過した超純水を廃液用配管14gに排出する。次に、ポンプ15bの駆動を停止して電磁弁16dを閉状態とした後、電磁弁16aを開状態とし、ポンプ15aを駆動ことによって、アルカリ溶液を陰イオン交換カラム12に通水し、陰イオン交換カラム12を通過したアルカリ溶液を反応部20に供給する。反応部20は、アルカリ溶液にニコチン酸アミドを添加した後、アルカリ溶液を所定時間加熱し、所定時間加熱した後のアルカリ溶液を検出部30に供給する。検出部30は、冷却したアルカリ溶液の蛍光強度を測定することによって、ハロ酢酸濃度が0μg/Lである時の蛍光強度を検出することができる(ゼロ点校正)。
【0032】
次に、ポンプ15aの駆動を停止し、電磁弁16aを閉状態とした後、電磁弁16cを開状態とし、ポンプ15bを駆動することによって、容器11c内の標準試料水をAg/Hカラム13を介して陰イオン交換カラム12に通水し、陰イオン交換カラム12を通過した標準試料水を廃液用配管14gに排出する。この処理によって、標準試料水中のハロ酢酸は、陰イオン交換カラム12に吸着し、分離、濃縮される。次に、ポンプ15bの駆動を停止して電磁弁16cを閉状態とした後、電磁弁16aを開状態とし、ポンプ15aを駆動ことによって、アルカリ溶液を陰イオン交換カラム12に通水し、陰イオン交換カラム12を通過したアルカリ溶液を反応部20に供給する。この処理によって、陰イオン交換カラム12に吸着した標準試料水中のハロ酢酸は、アルカリ溶液に溶出し、反応部20に供給される。反応部20は、アルカリ溶液にニコチン酸アミドを添加した後、アルカリ溶液を所定時間加熱し、所定時間加熱した後のアルカリ溶液を検出部30に供給する。検出部30は、冷却したアルカリ溶液の蛍光強度を測定することによって、標準試料水のハロ酢酸濃度に対応する蛍光強度を検出することができる。その後、ポンプ15aの駆動を停止し、電磁弁16aを閉状態とする。
【0033】
次に、検出部30は、ハロ酢酸濃度が0μg/Lである時の蛍光強度と標準試料水のハロ酢酸濃度に対応する蛍光強度とからハロ酢酸濃度と蛍光強度との対応関係を示す検量線を作成する。なお、この検量線を作成するまでの処理は、予め実行しておいてもよいし、試料水のハロ酢酸濃度を測定する度毎に実行してもよい。
【0034】
検量線の作成が完了すると、次に、電磁弁16bを開状態とし、ポンプ15bを駆動することによって、容器11b内の試料水をAg/Hカラム13を介して陰イオン交換カラム12に通水し、陰イオン交換カラム12を通過した試料水を廃液用配管14gに排出する。この処理によって、試料水中のハロ酢酸は、陰イオン交換カラム12に吸着し、共存物質と分離、濃縮される。次に、ポンプ15bの駆動を停止して電磁弁16bを閉状態とした後、電磁弁16aを開状態とし、ポンプ15aを駆動することによって、アルカリ溶液を陰イオン交換カラム12に通水し、陰イオン交換カラム12を通過した溶出液を反応部20に供給する。この処理によって、陰イオン交換カラム12に吸着した試料水中のハロ酢酸は、アルカリ溶液に溶出し、反応部20に供給される。一方、陰イオン交換カラム12に吸着したトリハロメタンは、陰イオン交換カラム12から脱離せずに残留する。反応部20は、アルカリ溶液にニコチン酸アミドを添加した後、アルカリ溶液を所定時間加熱し、所定時間加熱した後のアルカリ溶液を検出部30に供給する。検出部30は、冷却したアルカリ溶液の蛍光強度を測定し、検量線に基づいて測定された蛍光強度に対応するハロ酢酸濃度を算出する。以上の流れにより、試料水のハロ酢酸濃度を測定することができる。
【0035】
〔実施例〕
市販の3種類(WAX,MA-2,X-AW)の陰イオン交換カラムについて、4種類のトリハロメタン(CHCl3:57 mg/L、CHBrCl2:68 mg/L、CHBr2Cl:73 mg/L、CHBr3:75 mg/L)が添加された超純水に対するトリハロメタンの吸着率及び溶出液を流した際のトリハロメタンの回収率を評価した。評価結果を以下の表1に示す。表1に示すように、どの陰イオン交換カラムも、トリハロメタンに対し高い吸着率を示し、また溶出液を流した際のトリハロメタンの回収率が低かった。以上のことから、トリハロメタンは、陰イオン交換カラムに吸着されるが、溶出液を流しても溶出せずに陰イオン交換カラム内に留まることが確認された。これにより、陰イオン交換カラムを用いることによってトリハロメタンとハロ酢酸とを分離できることが知見された。
【0036】
【表1】

【0037】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例、および運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 ハロ酢酸の測定装置
10 前処理部
11a〜11d,21 容器
12 陰イオン交換カラム
13 Ag/Hカラム
14a〜14f 配管
14g 廃液用配管
14h 検出用配管
15a,15b,22 ポンプ
16a〜16d 電磁弁
20 反応部
23 加熱部
30 検出部
31 光学検出器
32 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロ酢酸を含む試料水にニコチン酸アミドとアルカリとを添加する第1ステップと、
前記第1ステップ後の前記試料水を所定時間加熱する第2ステップと、
前記第2ステップ後の前記試料水を冷却する第3ステップと、
前記第3ステップ後の前記試料水に含まれる蛍光物質の蛍光強度を測定する第4ステップと、
前記蛍光強度から前記ハロ酢酸の濃度を算出する第5ステップと、
を含むことを特徴とするハロ酢酸の測定方法。
【請求項2】
前記第4ステップは、励起波長および蛍光波長をそれぞれ365nmおよび455nmとして前記蛍光物質の蛍光強度を測定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のハロ酢酸の測定方法。
【請求項3】
前記アルカリは、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のハロ酢酸の測定方法。
【請求項4】
前記試料水の加熱温度が90℃、前記所定時間が30分以上60分以下の時間であることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載のハロ酢酸の測定方法。
【請求項5】
前記第1ステップは、ハロ酢酸を選択的に吸着する陰イオン交換体に前記試料水を通水するステップと、前記試料水を通水した後に陰イオン交換体にアルカリ溶液を通水するステップと、前記陰イオン交換体を通過したアルカリ溶液にニコチン酸アミドを添加するステップと、を含むことを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載のハロ酢酸の測定方法。
【請求項6】
前記陰イオン交換体は、1級アミン、2級アミン、若しくは3級アミンを官能基に有する弱陰イオン交換体、又は、4級アンモニウム塩を官能基に有する強陰イオン交換体であることを特徴とする請求項5に記載のハロ酢酸の測定方法。
【請求項7】
前記第1ステップは、前記陰イオン交換体に前記試料水を通水する前に該試料水をAg/Hカラムに通水するステップを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載のハロ酢酸の測定方法。
【請求項8】
前記第1〜第4ステップは、フローインジェクション法を利用して前記蛍光物質の蛍光強度を測定するステップを含むことを特徴とする請求項1〜7のうち、いずれか1項に記載のハロ酢酸の測定方法。
【請求項9】
ハロ酢酸を含む試料水にニコチン酸アミドとアルカリとを添加する手段と、
ニコチン酸アミドとアルカリとが添加された前記試料水を所定時間加熱する手段と、
前記所定時間加熱された前記試料水を冷却する手段と、
冷却後の前記試料水に含まれる蛍光物質の蛍光強度を測定する手段と、
前記蛍光強度から前記ハロ酢酸の濃度を算出する手段と、
を備えることを特徴とするハロ酢酸の測定装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−92520(P2013−92520A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−210431(P2012−210431)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】