説明

ハンガー

【課題】物干し竿に吊下げるフックの安全性を向上したハンガーを提供する。
【解決手段】フック本体1の軸5に抜け防止部材4を揺動可能に支持し、コイルばね3の第1の直線部32は抜け防止部材4の他方側部42内に位置し、コイルばね3の第2の直線部33はフック本体1の垂下部1c内に位置し、垂下部1cの略コの字形状の開放部は、第1の部材10で閉塞してコイルばね3の第2の直線部33に対向させ、他方側部42を、第1の直線部32から離脱する長手方向への移動を規制する第1の移動規制手段Xにより規制するか、又は、垂下部1cを、第2の直線部33から離脱する長手方向への移動を規制する第2の移動規制手段Yにより規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガーに係り、特に、安全性を図ったハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図18乃至図21に示すハンガー100がある。このハンガー100は、フック本体101の切欠部102を塞ぐ状態と切欠部102を開放する状態とにわたり揺動可能に支持された抜け防止部材103と、この抜け防止部材103を前記塞ぐ状態となるように押圧付勢するコイルばね104とを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、ハンガー100の経時的変化等により、抜け防止部材103の一部が破損(例えば、図18及び図21に示す破壊部D)して、図21に示すように、コイルばね104が剥き出しの状態となって、作業者の手等を損傷したり、コイルばね104がフック本体101から分離して、作業者の顔などに跳ね飛ぶという問題点が生じた。
【0004】
本発明は、前記問題点を考慮したなされたハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のハンガーは、物干し竿に吊下げられる湾曲状をした吊下部が上部に設けられ、前記吊下部の下側に前記物干し竿を通すための切欠部が形成されたフック本体と、このフック本体の前記切欠部よりも下側の位置に設けた軸に、前記切欠部を塞ぐ状態と前記切欠部を開放する状態とにわたり揺動可能に支持された抜け防止部材と、この抜け防止部材を前記塞ぐ状態となるように押圧付勢するコイルばねと、前記フック本体の下部に設けられ、衣類をかけるように両側に形成される両肩支持部とを備え、前記抜け防止部材は、途中で折れ曲がり、略逆くの字形状に形成され、前記略逆くの字形状の一方の前記フック本体の前記切欠部を塞ぐ側は一方側部であり、前記略逆くの字形状の他方の側は他方側部であり、この他方側部は、前記折れ曲がりの側が開放した開放部と前記折れ曲がりの側と反対の側の端部が閉塞した閉塞部とを有し、この閉塞部から前記開放部に至る部位に通路が形成され、前記フック本体の下部は、前記両肩支持部の中央に向かって略垂下する垂下部に形成され、前記垂下部の断面形状は、略コの字形状であり、前記コイルばねは、巻回部と、この巻回部の一端が直線状に延びた第1の直線部と、前記巻回部の他端が直線状に延びた第2の直線部とを有し、前記軸は、前記フック本体の表側に位置する第1の軸と、前記フック本体の裏側に位置する第2の軸とを有し、前記コイルばねの前記巻回部は、前記フック本体の前記第1の軸と前記第2の軸との間の空所に位置し、前記コイルばねの前記第1の直線部は前記他方側部内に位置し、前記コイルばねの前記第2の直線部は前記垂下部内に位置し、前記垂下部の略コの字形状の開放部は、第1の部材で閉塞され、前記第1の部材は、前記コイルばねの前記第2の直線部に対向し、前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第1の移動規制手段、又は、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第2の移動規制手段の何れか一つを備えている。
【0006】
また、請求項2記載のハンガーは、物干し竿に吊下げられる湾曲状をした吊下部が上部に設けられ、前記吊下部の下側に前記物干し竿を通すための切欠部が形成されたフック本体と、このフック本体の前記切欠部よりも下側の位置に設けた軸に、前記切欠部を塞ぐ状態と前記切欠部を開放する状態とにわたり揺動可能に支持された抜け防止部材と、この抜け防止部材を前記塞ぐ状態となるように押圧付勢するコイルばねと、前記フック本体の下部に設けられ、衣類をかけるように両側に形成される両肩支持部とを備え、前記抜け防止部材は、途中で折れ曲がり、略逆くの字形状に形成され、前記略逆くの字形状の一方の前記フック本体の前記切欠部を塞ぐ側は一方側部であり、前記略逆くの字形状の他方の側は他方側部であり、この他方側部は、前記折れ曲がりの側が開放した開放部と前記折れ曲がりの側と反対の側の端部が閉塞した閉塞部とを有し、この閉塞部から前記開放部に至る部位に通路が形成され、前記フック本体の下部は、前記両肩支持部の中央に向かって略垂下する垂下部に形成され、前記垂下部の断面形状は、略コの字形状であり、前記コイルばねは、巻回部と、この巻回部の一端が直線状に延びた第1の直線部と、前記巻回部の他端が直線状に延びた第2の直線部とを有し、前記軸は、前記フック本体の表側に位置する第1の軸と、前記フック本体の裏側に位置する第2の軸とを有し、前記コイルばねの前記巻回部は、前記フック本体の前記第1の軸と前記第2の軸との間の空所に位置し、前記コイルばねの前記第1の直線部は前記他方側部内に位置し、前記コイルばねの前記第2の直線部は前記垂下部内に位置し、前記垂下部の略コの字形状の開放部は、第1の部材で閉塞され、前記第1の部材は、前記コイルばねの前記第2の直線部に対向し、前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第1の移動規制手段と、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第2の移動規制手段とを備えている。
【0007】
また、請求項3記載のハンガーは、物干し竿に吊下げられる湾曲状をした吊下部が上部に設けられ、前記吊下部の下側に前記物干し竿を通すための切欠部が形成されたフック本体と、このフック本体の前記切欠部よりも下側の位置に設けた軸に、前記切欠部を塞ぐ状態と前記切欠部を開放する状態とにわたり揺動可能に支持された抜け防止部材と、この抜け防止部材を前記塞ぐ状態となるように押圧付勢するコイルばねと、前記フック本体の下部に設けられ、衣類をかけるように両側に形成される両肩支持部とを備え、前記抜け防止部材は、途中で折れ曲がり、略逆くの字形状に形成され、前記略逆くの字形状の一方の前記フック本体の前記切欠部を塞ぐ側は一方側部であり、前記略逆くの字形状の他方の側は他方側部であり、この他方側部は、前記折れ曲がりの側が開放した開放部と前記折れ曲がりの側と反対の側の端部が閉塞した閉塞部とを有し、この閉塞部から前記開放部に至る部位に通路が形成され、前記フック本体の下部は、前記両肩支持部の中央に向かって略垂下する垂下部に形成され、前記垂下部の断面形状は、略コの字形状であり、前記コイルばねは、巻回部と、この巻回部の一端が直線状に延びた第1の直線部と、前記巻回部の他端が直線状に延びた第2の直線部とを有し、前記軸は、前記コイルばねの前記巻回部を貫通して取り付けられ、前記コイルばねの前記第1の直線部は前記他方側部内に位置し、前記コイルばねの前記第2の直線部は前記垂下部内に位置し、前記垂下部の略コの字形状の開放部は、第1の部材で閉塞され、前記第1の部材は、前記コイルばねの前記第2の直線部に対向し、前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第1の移動規制手段、又は、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第2の移動規制手段の何れか一つを備えている。
【0008】
また、請求項4記載のハンガーは、物干し竿に吊下げられる湾曲状をした吊下部が上部に設けられ、前記吊下部の下側に前記物干し竿を通すための切欠部が形成されたフック本体と、このフック本体の前記切欠部よりも下側の位置に設けた軸に、前記切欠部を塞ぐ状態と前記切欠部を開放する状態とにわたり揺動可能に支持された抜け防止部材と、この抜け防止部材を前記塞ぐ状態となるように押圧付勢するコイルばねと、前記フック本体の下部に設けられ、衣類をかけるように両側に形成される両肩支持部とを備え、前記抜け防止部材は、途中で折れ曲がり、略逆くの字形状に形成され、前記略逆くの字形状の一方の前記フック本体の前記切欠部を塞ぐ側は一方側部であり、前記略逆くの字形状の他方の側は他方側部であり、この他方側部は、前記折れ曲がりの側が開放した開放部と前記折れ曲がりの側と反対の側の端部が閉塞した閉塞部とを有し、この閉塞部から前記開放部に至る部位に通路が形成され、前記フック本体の下部は、前記両肩支持部の中央に向かって略垂下する垂下部に形成され、前記垂下部の断面形状は、略コの字形状であり、前記コイルばねは、巻回部と、この巻回部の一端が直線状に延びた第1の直線部と、前記巻回部の他端が直線状に延びた第2の直線部とを有し、前記軸は、前記コイルばねの前記巻回部を貫通して取り付けられ、前記コイルばねの前記第1の直線部は前記他方側部内に位置し、前記コイルばねの前記第2の直線部は前記垂下部内に位置し、前記垂下部の略コの字形状の開放部は、第1の部材で閉塞され、前記第1の部材は、前記コイルばねの前記第2の直線部に対向し、前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第1の移動規制手段と、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第2の移動規制手段とを備えている。
【0009】
また、請求項5記載のハンガーは、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハンガーにおいて、第1の移動規制手段は、コイルばねの第1の直線部の先端側が折り返されて形成されたU字形状部の弾性力によって前記U字形状部が他方側部の内壁に当接し、前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するか、又は、前記コイルばねの前記第1の直線部の先端側に形成された第1の鈎部と、前記他方側部内に設けられた第1の係止部とを備え、前記第1の鈎部と前記コイルばねの巻回部との間に前記第1の係止部が位置し、前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するか、又は、前記コイルばねの前記第1の直線部の先端側に形成された第1の鈎部と、前記第1の鈎部に対向する前記他方側部の部位に設けられた第1の開口部とを備え、前記第1の鈎部が前記第1の開口部に位置し、前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するものであり、第2の移動規制手段は、前記コイルばねの第2の直線部の先端側が折り返されて形成されたU字形状部の弾性力によって前記U字形状部が垂下部の内壁に当接し、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するか、又は、前記コイルばねの前記第2の直線部の先端側に形成された第2の鈎部と、前記垂下部内に設けられた第2の係止部とを備え、前記第2の鈎部と前記コイルばねの巻回部との間に前記第2の係止部が位置し、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するか、又は、前記コイルばねの前記第2の直線部の先端側に形成された第2の鈎部と、前記第2の鈎部に対向する前記他方側部の部位に設けられた第2の開口部とを備え、前記第2の鈎部が前記第2の開口部に位置し、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のハンガーによれば、経時的変化等により、抜け防止部材の他方側部が破損しても、抜け防止部材の他方側部は、第1の移動規制手段により第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制されているため、第1の直線部は他方側部内に留まり、コイルばねの第1の直線部が剥き出しの状態となることが防止され、コイルばねの第1の直線部の端部の剥き出しによる手等の損傷、コイルばねの跳ね飛びによる作業者の損傷を防ぐことができる。
また、経時的変化等により、フック本体の垂下部が破損しても、フック本体の垂下部は、第2の移動規制手段により第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制されているため、第2の直線部は垂下部内に留まり、コイルばねの第2の直線部が剥き出しの状態となることが防止され、コイルばねの第2の直線部の端部の剥き出しによる手等の損傷、コイルばねの跳ね飛びによる作業者の損傷を防ぐことができる。
【0011】
また、請求項2記載のハンガーによれば、経時的変化等により、抜け防止部材の他方側部が破損しても、抜け防止部材の他方側部は、第1の移動規制手段により第1の直線部から離脱する長手方向への移動が、フック本体の垂下部が破損しても、フック本体の垂下部は、第2の移動規制手段により第2の直線部から離脱する長手方向への移動が、それぞれ規制されているため、第1の直線部は他方側部内に、第2の直線部は垂下部内に、それぞれ留まり、コイルばねの第1の直線部、コイルばねの第2の直線部が剥き出しの状態となることが防止され、コイルばねの第1の直線部の端部、コイルばねの第2の直線部の端部の剥き出しによる手等の損傷、コイルばねの跳ね飛びによる作業者の損傷を防ぐことができる。
【0012】
また、請求項3記載のハンガーによれば、経時的変化等により、抜け防止部材の他方側部が破損しても、抜け防止部材の他方側部は、第1の移動規制手段により第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制されているため、第1の直線部は他方側部内に留まり、コイルばねの第1の直線部が剥き出しの状態となることが防止され、コイルばねの第1の直線部の端部の剥き出しによる手等の損傷、コイルばねの跳ね飛びによる作業者の損傷を防ぐことができる。
また、経時的変化等により、フック本体の垂下部が破損しても、フック本体の垂下部は、第2の移動規制手段により第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制されているため、第2の直線部は垂下部内に留まり、コイルばねの第2の直線部が剥き出しの状態となることが防止され、コイルばねの第2の直線部の端部の剥き出しによる手等の損傷、コイルばねの跳ね飛びによる作業者の損傷を防ぐことができる。
【0013】
また、請求項4記載のハンガーによれば、経時的変化等により、抜け防止部材の他方側部が破損しても、抜け防止部材の他方側部は、第1の移動規制手段により第1の直線部から離脱する長手方向への移動が、フック本体の垂下部が破損しても、フック本体の垂下部は、第2の移動規制手段により第2の直線部から離脱する長手方向への移動が、それぞれ規制されているため、第1の直線部は他方側部内に、第2の直線部は垂下部内に、それぞれ留まり、コイルばねの第1の直線部、コイルばねの第2の直線部が剥き出しの状態となることが防止され、コイルばねの第1の直線部の端部、コイルばねの第2の直線部の端部の剥き出しによる手等の損傷、コイルばねの跳ね飛びによる作業者の損傷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施例のハンガーの概略的正面図である。
【図2】図2は、図1の2−2線による概略的断面図である。
【図3】図3は、図2の3−3線による概略的断面図である。
【図4】図4乃至図6は、図1の抜け防止部材をフック本体に取り付ける過程を示す概略図であり、図4は、図1の抜け防止部材にコイルばねを取り付ける前の状態の概略的断面図である。
【図5】図5は、図4のコイルばねを取り付けた抜け防止部材をフック本体に取り付ける前の状態の概略的断面図である。
【図6】図6は、図5の抜け防止部材をフック本体に取り付け、第1の部材を取り付ける前の状態の概略的断面図である。
【図7】図7は、図6の7−7線による概略的断面図である。
【図8】図8は、図6の第1の部材の概略的斜視図である。
【図9】図9は、図8の第1の部材をフック本体に取り付けた状態の概略的断面図である。
【図10】図10は、図9の10−10線による概略的断面図である。
【図11】図11は、図9の11−11線による概略的断面図である。
【図12】図12は、図3の第1の移動規制手段と異なる第1の移動規制手段を有した他の実施例の概略的断面図である。
【図13】図13は、図12の第1の移動規制手段と異なる第1の移動規制手段を有した他の実施例の概略的断面図である。
【図14】図14は、図13の第1の移動規制手段と異なる第1の移動規制手段を有した他の実施例の概略的断面図である。
【図15】図15は、図3の第2の移動規制手段と異なる第2の移動規制手段を有した他の実施例の概略的断面図である。
【図16】図16は、図15の第2の移動規制手段と異なる第2の移動規制手段を有した他の実施例の概略的断面図である。
【図17】図17は、図7の軸と異なる軸を有した他の実施例の概略的断面図である。
【図18】図18は、従来のハンガーの概略的正面図である。
【図19】図19は、図18の19−19線による概略的断面図である。
【図20】図20は、図18の20−20線による概略的断面図である。
【図21】図21は、図18のハンガーの一部が破損した状態を示す概略的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施例のハンガーを図面(図1乃至図11)を参照して説明する。
図1及び図2に示すHはハンガーで、ハンガーHは、物干し竿(図示せず)に吊下げられる湾曲状をした吊下部1aが上部に設けられ、吊下部1aの下側に物干し竿(図示せず)を通すための切欠部1b(図5参照)が形成されたフック本体1を有している。
また、フック本体1の下部は、両肩支持部2の中央に向かって略垂下する垂下部1cに形成されている(図1、図5、図6及び図9参照)。
垂下部1cの断面形状は、図10及び図11に示すように、略コの字形状であり、垂下部1cの略コの字形状の開放部は、第1の部材10で閉塞されている(図6参照)。
この第1の部材10は、図3に示すように、コイルばね3の後述する第2の直線33に対向している。
なお、両肩支持部2、2は、フック本体1の下部に設けられ、衣類をかけるように両側に形成されるものである。
【0016】
また、図1に示す4は抜け防止部材で、抜け防止部材4は、フック本体1の切欠部1bよりも下側の位置に設けた軸5に、切欠部1b(図5参照)を塞ぐ状態(図1及び図3参照)と切欠部1b(図5参照)を開放する状態とにわたり揺動可能に支持されている。
抜け防止部材4は、途中で折れ曲がり、略逆くの字形状に形成され、前記略逆くの字形状の一方のフック本体1の切欠部1bを塞ぐ側は一方側部41であり、前記略逆くの字形状の他方の側は他方側部42である。
この他方側部42は、図3に示すように、前記折れ曲がりの側が開放した開放部42aと前記折れ曲がりの側と反対の側の端部が閉塞した閉塞部42bとを有し、この閉塞部42bから開放部42aに至る部位に通路42cが形成されている(図3、図4、図5、図6及び図9参照)。
軸5は、図7に示すように、抜け防止部材4の表側に位置する第1の軸51と、抜け防止部材4の裏側に位置する第2の軸52とを有している。なお、第1の軸51と第2の軸52とは、本実施例においては、抜け防止部材4に一体的に設けられ、第1の軸51はフック本体1に設けられた第1の開口部1dに、第2の軸52はフック本体1に設けられた第2の開口部1eに、それぞれ挿入されている。
【0017】
また、コイルばね3は、抜け防止部材4を前記塞ぐ状態(図3、図6及び図9参照)となるように押圧付勢するものである。
コイルばね3は、図4に示すように、巻回部31と、この巻回部31の一端が直線状に延びた第1の直線部32と、巻回部31の他端が直線状に延びた第2の直線部33とを有し、コイルばね3の巻回部31は、図7に示すように、フック本体1の第1の軸51と第2の軸52との間の空所に位置している。
そして、図3に示すように、コイルばね3の第1の直線部32は他方側部内42に位置し、コイルばね3の第2の直線部33は垂下部1C内に位置し、第1の部材10は、コイルばね3の第2の直線部33に対向している(図3、図6及び図8参照)。
なお、上述した他方側部42は、第1の移動規制手段Xにより第1の直線部32から離脱する長手方向への移動を規制される。
この第1の移動規制手段Xは、例えば、図3に示すように、コイルばね3の第1の直線部32の先端側が折り返されて形成されたU字形状部の弾性力によって前記U字形状部が他方側部42の内壁に当接し、他方側部42が第1の直線部32から離脱する長手方向(例えば、図9に示すA方向)への移動を規制するものである。
また、上述した垂下部1cは、第2の移動規制手段Yにより第2の直線部33から離脱する長手方向への移動を規制される。
この第2の移動規制手段Yは、例えば、図3に示すように、コイルばね3の第2の直線部33の先端側に形成された第2の鈎部33Yと、垂下部1C内に設けられた第2の係止部(例えば、突起)10Yとを備え、第2の鈎部33Yとコイルばね3の巻回部31との間に第2の係止部10Yが位置し、垂下部1Cが第2の直線部33から離脱する長手方向(例えば、図9に示すB方向)への移動を規制するものである。
【0018】
従って、上述したハンガーHによれば、経時的変化等により、抜け防止部材4の他方側部42が破損しても、抜け防止部材4の他方側部42は、第1の移動規制手段Xにより第1の直線部32から離脱する長手方向への移動を規制されているため、第1の直線部32は他方側部42内に留まり、コイルばね3の第1の直線部32が剥き出しの状態となることが防止され、コイルばね3の第1の直線部32の端部の剥き出しによる手等の損傷、コイルばね3の跳ね飛びによる作業者の損傷を防ぐことができる。
また、経時的変化等により、フック本体1の垂下部1cが破損しても、フック本体1の垂下部1cは、第2の移動規制手段Yにより第2の直線部33から離脱する長手方向への移動を規制されているため、第2の直線部33は垂下部1c内に留まり、コイルばね3の第2の直線部33が剥き出しの状態となることが防止され、コイルばね3の第2の直線部33の端部の剥き出しによる手等の損傷、コイルばね3の跳ね飛びによる作業者の損傷を防ぐことができる。
【0019】
なお、上述の実施例においては、第1の移動規制手段Xは、例えば、コイルばね3の第1の直線部32の先端側が折り返されて形成されたU字形状部の弾性力によって前記U字形状部が他方側部42の内壁に当接し、抜け防止部材4の他方側部42が第1の直線部32から離脱する長手方向(例えば、図9に示すA方向)への移動を規制するようにしたが、図12に示すように、コイルばね3の第1の直線部32の先端側に形成された第1の鈎部32Xと、他方側部42内に設けられた第1の係止部(例えば、突起)10Xとを備え、第1の鈎部32Xとコイルばね3の巻回部31との間に第1の係止部10Xが位置し、他方側部42が第1の直線部32から離脱する長手方向(例えば、図9に示すA方向)への移動を規制するようにしても良い。第1の係止部10Xは、突起に限らず、例えば、図13に示す第1の開口部(穴)10Xでも良い。
即ち、第1の鈎部32Xを第1の開口部(穴)10X内に位置させ、抜け防止部材4の他方側部42が第1の直線部32から離脱する長手方向(例えば、図9に示すA方向)への移動を規制するようにする。なお、図13に示す第1の開口部(穴)10Xは、第1の鈎部32Xに対向する他方側部42の部位に設けられている。第1の係止部10Xの場合、他方側部42の断面形状は、垂下部1cの断面形状と同様に、略コの字形状であり、他方側部42の略コの字形状の開放部は、第2の部材20で閉塞されるようにするのが望ましい。また、図3に記載の第1の直線部32の先端側の折り返しは、図14に示すように、図3と逆に折り返すようにしても良い。
【0020】
また、上述の実施例においては、第2の移動規制手段Yは、例えば、コイルばね3の第2の直線部33の先端側に形成された第2の鈎部33Yと、垂下部1C内に設けられた第2の係止部10Yとを備え、第2の鈎部33Yとコイルばね3の巻回部31との間に第2の係止部10Yが位置し、垂下部1cが第2の直線部33から離脱する長手方向(例えば、図9に示すB方向)への移動を規制するようにしたが、第2の係止部10Yは、突起に限らず、図13に示す第2の開口部(穴)10Yでも良い。
即ち、第2の鈎部33Yを第2の開口部(穴)10Y内に位置させ、抜け防止部材4の他方側部42が垂下部1cが第2の直線部33から離脱する長手方向(例えば、図9に示すB方向)への移動を規制するようにする。なお、図13に示す第2の開口部(穴)10Yは、第2の鈎部33Yに対向する垂下部1cの部位に設けられている。
また、図14及び図15に示すように、コイルばね3の第2の直線部33の先端側が折り返されて形成されたU字形状部の弾性力によって前記U字形状部が垂下部1Cの内壁に当接し、垂下部1cが第2の直線部33から離脱する長手方向(例えば、図9に示すB方向)への移動を規制するようにしても良い。また、図3に記載の第2の直線部33の先端側に形成された第2の鈎部33Yの折り曲げの方向を、図16に示すように、逆に折り曲げるようにしても良い。
【0021】
また、上述の実施例においては、第1の軸51と第2の軸52とを抜け防止部材4に一体的に設けるようにしたが、本願発明にあっては、これに限らず、図17に示すように、軸5と抜け防止部材4とをそれぞれ別体に設け、該軸5をコイルばね3の巻回部31を貫通して第1の開口部1d、第2の開口部1eに、それぞれ挿入して取り付けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0022】
H ハンガー
X 第1の移動規制手段
Y 第2の移動規制手段
1 フック本体
1c 垂下部
3 コイルばね
4 抜け防止部材
42 他方側部
10 第1の部材
32 第1の直線部
33 第2の直線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物干し竿に吊下げられる湾曲状をした吊下部が上部に設けられ、前記吊下部の下側に前記物干し竿を通すための切欠部が形成されたフック本体と、
このフック本体の前記切欠部よりも下側の位置に設けた軸に、前記切欠部を塞ぐ状態と前記切欠部を開放する状態とにわたり揺動可能に支持された抜け防止部材と、
この抜け防止部材を前記塞ぐ状態となるように押圧付勢するコイルばねと、
前記フック本体の下部に設けられ、衣類をかけるように両側に形成される両肩支持部とを備え、
前記抜け防止部材は、途中で折れ曲がり、略逆くの字形状に形成され、前記略逆くの字形状の一方の前記フック本体の前記切欠部を塞ぐ側は一方側部であり、前記略逆くの字形状の他方の側は他方側部であり、
この他方側部は、前記折れ曲がりの側が開放した開放部と前記折れ曲がりの側と反対の側の端部が閉塞した閉塞部とを有し、
この閉塞部から前記開放部に至る部位に通路が形成され、
前記フック本体の下部は、前記両肩支持部の中央に向かって略垂下する垂下部に形成され、
前記垂下部の断面形状は、略コの字形状であり、
前記コイルばねは、巻回部と、この巻回部の一端が直線状に延びた第1の直線部と、前記巻回部の他端が直線状に延びた第2の直線部とを有し、
前記軸は、前記フック本体の表側に位置する第1の軸と、前記フック本体の裏側に位置する第2の軸とを有し、
前記コイルばねの前記巻回部は、前記フック本体の前記第1の軸と前記第2の軸との間の空所に位置し、
前記コイルばねの前記第1の直線部は前記他方側部内に位置し、前記コイルばねの前記第2の直線部は前記垂下部内に位置し、
前記垂下部の略コの字形状の開放部は、第1の部材で閉塞され、
前記第1の部材は、前記コイルばねの前記第2の直線部に対向し、
前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第1の移動規制手段、又は、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第2の移動規制手段の何れか一つを備えている
ことを特徴とするハンガー。
【請求項2】
物干し竿に吊下げられる湾曲状をした吊下部が上部に設けられ、前記吊下部の下側に前記物干し竿を通すための切欠部が形成されたフック本体と、
このフック本体の前記切欠部よりも下側の位置に設けた軸に、前記切欠部を塞ぐ状態と前記切欠部を開放する状態とにわたり揺動可能に支持された抜け防止部材と、
この抜け防止部材を前記塞ぐ状態となるように押圧付勢するコイルばねと、
前記フック本体の下部に設けられ、衣類をかけるように両側に形成される両肩支持部とを備え、
前記抜け防止部材は、途中で折れ曲がり、略逆くの字形状に形成され、前記略逆くの字形状の一方の前記フック本体の前記切欠部を塞ぐ側は一方側部であり、前記略逆くの字形状の他方の側は他方側部であり、
この他方側部は、前記折れ曲がりの側が開放した開放部と前記折れ曲がりの側と反対の側の端部が閉塞した閉塞部とを有し、
この閉塞部から前記開放部に至る部位に通路が形成され、
前記フック本体の下部は、前記両肩支持部の中央に向かって略垂下する垂下部に形成され、
前記垂下部の断面形状は、略コの字形状であり、
前記コイルばねは、巻回部と、この巻回部の一端が直線状に延びた第1の直線部と、前記巻回部の他端が直線状に延びた第2の直線部とを有し、
前記軸は、前記フック本体の表側に位置する第1の軸と、前記フック本体の裏側に位置する第2の軸とを有し、
前記コイルばねの前記巻回部は、前記フック本体の前記第1の軸と前記第2の軸との間の空所に位置し、
前記コイルばねの前記第1の直線部は前記他方側部内に位置し、前記コイルばねの前記第2の直線部は前記垂下部内に位置し、
前記垂下部の略コの字形状の開放部は、第1の部材で閉塞され、
前記第1の部材は、前記コイルばねの前記第2の直線部に対向し、
前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第1の移動規制手段と、
前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第2の移動規制手段と、
を備えていることを特徴とするハンガー。
【請求項3】
物干し竿に吊下げられる湾曲状をした吊下部が上部に設けられ、前記吊下部の下側に前記物干し竿を通すための切欠部が形成されたフック本体と、
このフック本体の前記切欠部よりも下側の位置に設けた軸に、前記切欠部を塞ぐ状態と前記切欠部を開放する状態とにわたり揺動可能に支持された抜け防止部材と、
この抜け防止部材を前記塞ぐ状態となるように押圧付勢するコイルばねと、
前記フック本体の下部に設けられ、衣類をかけるように両側に形成される両肩支持部とを備え、
前記抜け防止部材は、途中で折れ曲がり、略逆くの字形状に形成され、前記略逆くの字形状の一方の前記フック本体の前記切欠部を塞ぐ側は一方側部であり、前記略逆くの字形状の他方の側は他方側部であり、
この他方側部は、前記折れ曲がりの側が開放した開放部と前記折れ曲がりの側と反対の側の端部が閉塞した閉塞部とを有し、
この閉塞部から前記開放部に至る部位に通路が形成され、
前記フック本体の下部は、前記両肩支持部の中央に向かって略垂下する垂下部に形成され、
前記垂下部の断面形状は、略コの字形状であり、
前記コイルばねは、巻回部と、この巻回部の一端が直線状に延びた第1の直線部と、前記巻回部の他端が直線状に延びた第2の直線部とを有し、
前記軸は、前記コイルばねの前記巻回部を貫通して取り付けられ、
前記コイルばねの前記第1の直線部は前記他方側部内に位置し、前記コイルばねの前記第2の直線部は前記垂下部内に位置し、
前記垂下部の略コの字形状の開放部は、第1の部材で閉塞され、
前記第1の部材は、前記コイルばねの前記第2の直線部に対向し、
前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第1の移動規制手段、又は、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第2の移動規制手段の何れか一つを備えている
ことを特徴とするハンガー。
【請求項4】
物干し竿に吊下げられる湾曲状をした吊下部が上部に設けられ、前記吊下部の下側に前記物干し竿を通すための切欠部が形成されたフック本体と、
このフック本体の前記切欠部よりも下側の位置に設けた軸に、前記切欠部を塞ぐ状態と前記切欠部を開放する状態とにわたり揺動可能に支持された抜け防止部材と、
この抜け防止部材を前記塞ぐ状態となるように押圧付勢するコイルばねと、
前記フック本体の下部に設けられ、衣類をかけるように両側に形成される両肩支持部とを備え、
前記抜け防止部材は、途中で折れ曲がり、略逆くの字形状に形成され、前記略逆くの字形状の一方の前記フック本体の前記切欠部を塞ぐ側は一方側部であり、前記略逆くの字形状の他方の側は他方側部であり、
この他方側部は、前記折れ曲がりの側が開放した開放部と前記折れ曲がりの側と反対の側の端部が閉塞した閉塞部とを有し、
この閉塞部から前記開放部に至る部位に通路が形成され、
前記フック本体の下部は、前記両肩支持部の中央に向かって略垂下する垂下部に形成され、
前記垂下部の断面形状は、略コの字形状であり、
前記コイルばねは、巻回部と、この巻回部の一端が直線状に延びた第1の直線部と、前記巻回部の他端が直線状に延びた第2の直線部とを有し、
前記軸は、前記コイルばねの前記巻回部を貫通して取り付けられ、
前記コイルばねの前記第1の直線部は前記他方側部内に位置し、前記コイルばねの前記第2の直線部は前記垂下部内に位置し、
前記垂下部の略コの字形状の開放部は、第1の部材で閉塞され、
前記第1の部材は、前記コイルばねの前記第2の直線部に対向し、
前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第1の移動規制手段と、
前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制する第2の移動規制手段と、
を備えていることを特徴とするハンガー。
【請求項5】
第1の移動規制手段は、
コイルばねの第1の直線部の先端側が折り返されて形成されたU字形状部の弾性力によって前記U字形状部が他方側部の内壁に当接し、前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するか、又は、前記コイルばねの前記第1の直線部の先端側に形成された第1の鈎部と、前記他方側部内に設けられた第1の係止部とを備え、前記第1の鈎部と前記コイルばねの巻回部との間に前記第1の係止部が位置し、前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するか、又は、前記コイルばねの前記第1の直線部の先端側に形成された第1の鈎部と、前記第1の鈎部に対向する前記他方側部の部位に設けられた第1の開口部とを備え、前記第1の鈎部が前記第1の開口部に位置し、前記他方側部が前記第1の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するものであり、
第2の移動規制手段は、
前記コイルばねの第2の直線部の先端側が折り返されて形成されたU字形状部の弾性力によって前記U字形状部が垂下部の内壁に当接し、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するか、又は、前記コイルばねの前記第2の直線部の先端側に形成された第2の鈎部と、前記垂下部内に設けられた第2の係止部とを備え、前記第2の鈎部と前記コイルばねの巻回部との間に前記第2の係止部が位置し、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するか、又は、前記コイルばねの前記第2の直線部の先端側に形成された第2の鈎部と、前記第2の鈎部に対向する前記他方側部の部位に設けられた第2の開口部とを備え、前記第2の鈎部が前記第2の開口部に位置し、前記垂下部が前記第2の直線部から離脱する長手方向への移動を規制するものである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハンガー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−63110(P2013−63110A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202058(P2011−202058)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(390020019)レック株式会社 (49)