説明

ハンズフリー機能付き車載装置

【課題】車載ハンズフリー装置との間でHFPを同時接続している複数の携帯電話機のうち一の携帯電話機がプライベート通話状態にある状況で他の携帯電話機への音声着信が発生した場合に、ユーザが適切に対処することを可能とする。
【解決手段】車載ハンズフリー装置2は、HFPを同時接続している2台の携帯電話機3a,3bのうち一方の携帯電話機が3aがプライベート通話状態にある状況で他方の携帯電話機3bへの音声着信が発生した場合に、プライベート通話状態にある携帯電話機3aをプライベート通話状態からハンズフリー通話状態に切替えるための通話転送スイッチを表示しない一方で、音声着信状態にある携帯電話機3bに対して応答するための応答スイッチ及び応答拒否するための応答拒否スイッチを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー通話プロトコルを複数の携帯電話機との間で同時接続可能なハンズフリー機能付き車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Bluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)通信機能を有する車載ハンズフリー装置が搭載されている車両の車室内にBT通信機能を有する携帯電話機が持込まれ、それら車載ハンズフリー装置と携帯電話機とがBT通信可能な状態になると、両者の間でBTの通信規格により定義されているハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー・プロファイル(HFP)を接続する構成が開示されている。そして、近年では、車載ハンズフリー装置と複数の携帯電話機との間でHFPを同時接続(所謂マルチ接続)する構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−218996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような車載ハンズフリー装置と複数の携帯電話機との間でHFPを同時接続する構成では、車載ハンズフリー装置との間でHFPを同時接続している複数の携帯電話機のうち一の携帯電話機がハンズフリー通話状態にある状況で他の携帯電話機への音声着信が発生する場合もあり得る。そこで、出願人は一の携帯電話機がハンズフリー通話状態にある状況で他の携帯電話機への音声着信が発生した場合に、ハンズフリー通話状態にある一の携帯電話機を通話保留状態に切替えた後に音声着信した他の携帯電話機をハンズフリー通話状態に切替える方法として特願2008−065874を出願した。
【0004】
ところで、車載ハンズフリー装置と携帯電話機との間でHFPを接続している場合では、ユーザが通話する形態としては車載ハンズフリー装置側のマイクロホン及びスピーカを使用して通話するハンズフリー通話状態と携帯電話機のマイクロホン及びスピーカを使用して通話するハンドセット通話状態との2つの形態があり得る。ユーザは通話内容(特に通話相手からの受話音声)が同乗者に聞かれても支障がない場合にはハンズフリー通話を選択し、一方、通話内容が同乗者に聞かれてしまうと支障がある場合にはハンドセット通話を選択すると想定される。
【0005】
しかしながら、上記した特願2008−065874は、一の携帯電話機がハンズフリー通話状態にある状況で他の携帯電話機への音声着信が発生した場合については言及されているが、一の携帯電話機がハンドセット通話状態にある状況で他の携帯電話機への音声着信が発生した場合については何ら言及されていない。このような事情から、車載ハンズフリー装置との間でHFPを同時接続している複数の携帯電話機のうち一の携帯電話機がハンドセット通話状態にある状況で他の携帯電話機への音声着信が発生した場合にもユーザが適切に対処することを可能とする方法が要望されている。その一つとして、車載ハンズフリー装置において、ハンドセット通話状態にある一の携帯電話機と音声着信した他の携帯電話機との両方に対してユーザ操作を許可する方法が想定されるが、このような複数の携帯電話機に対してユーザ操作を許可する方法ではユーザにとっての操作が複雑化することになるので、好ましくないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハンズフリー機能付き車載装置との間でHFPを同時接続している複数の携帯電話機のうち一の携帯電話機がハンドセット通話状態にある状況で他の携帯電話機への音声着信が発生した場合に、ユーザが適切に対処することを可能とするハンズフリー機能付き車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、制御手段は、接続手段との間でハンズフリー通話プロトコルを接続している携帯電話機がハンドセット通話状態にあると、そのハンドセット通話状態にある携帯電話機をユーザ操作によりハンズフリー通話状態に切替可能とする通話転送操作手段をユーザに対して提示する機能と、接続手段との間でハンズフリー通話プロトコルを接続している携帯電話機が音声着信状態にあると、その音声着信状態にある携帯電話機の音声着信に対してユーザ操作によりハンズフリー通話で応答可能とする応答操作手段をユーザに対して提示する機能とを有する。そして、制御手段は、接続手段との間でハンズフリー通話プロトコルを接続している一の携帯電話機がハンドセット通話状態にあり且つ接続手段との間でハンズフリー通話プロトコルを接続している他の携帯電話機が音声着信状態にあると、一の携帯電話機に係る通話状態切替操作手段をユーザに対して提示することなく、他の携帯電話機に係る応答切替操作手段をユーザに対して提示する。
【0008】
これにより、ユーザは、ハンドセット通話状態にある一の携帯電話機に対しては何ら操作を行うことがなく、一方、音声着信状態にある他の携帯電話機に対しては、音声着信状態にある他の携帯電話機に係る応答操作手段を操作して他の携帯電話機への音声着信に対して応答して他の携帯電話機における通話をハンズフリー通話で行うか否かを選択することができる。このようにハンドセット通話状態にある一の携帯電話機の操作に制限を持たせる一方で音声着信状態にある他の携帯電話機の操作に制限を持たせないことで適切に対処することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、制御手段は、接続手段との間でハンズフリー通話プロトコルを接続している携帯電話機が音声着信状態にあると、その音声着信状態にある携帯電話機の音声着信に対してユーザ操作により応答拒否可能とする応答拒否操作手段をユーザに対して提示する機能をも有する。そして、制御手段は、接続手段との間でハンズフリー通話プロトコルを接続している一の携帯電話機がハンドセット通話状態にあり且つ接続手段との間でハンズフリー通話プロトコルを接続している他の携帯電話機が音声着信状態にあると、一の携帯電話機に係る通話状態切替操作手段をユーザに対して提示することなく、他の携帯電話機に係る応答切替操作手段及び応答拒否切替操作手段をユーザに対して提示する。
【0010】
これにより、ユーザは、音声着信状態にある他の携帯電話機における通話をハンズフリー通話で行うか否かを選択することができるだけでなく、音声着信状態にある他の携帯電話機に係る応答拒否操作手段を操作して他の携帯電話機への音声着信に対して応答拒否するか否かをも選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。尚、ここでは、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)通信機能を有するBT対応の車載ハンズフリー装置(本発明でいうハンズフリー機能付き車載装置)が搭載されている車両の車室内に、BT通信機能を有するBT対応の2台の携帯電話機が車室内に持込まれ、車載ハンズフリー装置と2台の携帯電話機とがBT通信可能な状態にある場合を説明する。
【0012】
車載ハンズフリーシステム1は、車載ハンズフリー装置2と2台の携帯電話機3a,3bとから構成される。車載ハンズフリー装置2は、制御部4(本発明でいう制御手段)と、BTインタフェース(IF)部5(本発明でいう接続手段)と、通話音声処理部6と、記憶部7と、表示制御部8と、タッチ操作入力部9とを備えて構成されている。
【0013】
制御部4は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、車載ハンズフリー装置2の通信動作やデータ管理動作等の動作全般を制御する。BTインタフェース部5は、携帯電話機3a,3bとの間でBT通信を行う機能を有し、BTの通信規格により定義されているハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー・プロファイル(HFP)(本発明でいうハンズフリー通話プロトコル)に対応しており、携帯電話機3a,3bとの間でHFPを同時接続(所謂マルチ接続)可能に構成されている。尚、BTインタフェース部5は、上記したHFPの他に、電話帳データや発信履歴データや着信履歴データの転送を実現するためのフォンブック・アクセス・プロファイル(PBAP)、各種データの転送を実現するためのオブジェクト・プッシュ・プロファイル(OPP)及びメール転送を実現するためのメッセージ・アクセス・プロファイル(MAP)等にも対応している。尚、これらプロファイルは、機能毎に定義された通信プロトコルを意味している。
【0014】
通話音声処理部6には車室内にあって例えばハンドルの近傍等のユーザが発した音声を集音し易い部位に配置されているマイクロホン10(本発明でいうハンズフリー機能付き車載装置側の音声入力手段)が接続されていると共に、車載ハンズフリー装置2の外部に配置されているオーディオアンプ11が接続されており、オーディオアンプ11には2個のスピーカ12,13(本発明でいうハンズフリー機能付き車載装置側の音声出力手段)が接続されている。スピーカ12,13は車載ハンズフリー装置2を搭載している車両の全長方向を対称中心して左右対称に配置されており、スピーカ12は例えば運転席ドアに配置され、スピーカ13は例えば助手席ドアに配置されている。又、オーディオアンプ11にはチューナーデッキ14も接続されており、オーディオアンプ11はチューナーデッキ14が例えば音楽用記録媒体から再生した楽曲音やラジオ放送局から受信したラジオ番組を当該チューナーデッキ14から入力すると、それら入力した楽曲音やラジオ番組を増幅してスピーカ12,13から出力させる。
【0015】
記憶部7は、各種データを記憶可能に構成されており、例えば電話番号と登録名との対応を表す電話帳データ、車載ハンズフリー装置2からの発信動作又は当該車載ハンズフリー装置2との間でHFPを接続している携帯電話機3a,3bからの発信動作に係る発信時刻と発信電話番号との対応を表す発信履歴データ、車載ハンズフリー装置2との間でHFPを接続している携帯電話機3a,3bの着信動作に係る着信時刻と着信電話番号との対応を表す着信履歴データ等を記憶可能に構成されている。
【0016】
ディスプレイ装置15は、各種表示画面を表示する表示装置16と、表示画面上にタッチスイッチを形成するタッチ操作入力装置17とを備えて構成されている。表示制御部8は、制御部4から表示指令通知を入力すると、その入力した表示指令通知に基づいてディスプレイ装置15における表示装置16の表示動作を制御する。タッチ操作入力部9は、ユーザが表示画面上に形成されているタッチスイッチを操作したことに応じてタッチ操作入力装置17から操作検出通知を入力すると、その入力した操作検出通知を制御部4に出力し、制御部4は、タッチ操作入力部9から入力した操作検出通知を解析する。
【0017】
携帯電話機3a,3bは、周知の電話機能については同じ構成であり、自機の動作全般を制御する制御部、通信網18との間で電話通信を行う電話通信部、BT通信を行うBTインタフェース部、ユーザが操作する各種キーが配列されてなるキー入力部、例えば電話番号と登録名との対応を表す電話帳データ等の各種データを記憶する記憶部、各種表示画面を表示する表示部、ユーザが発した音声を入力するマイクロホン(本発明でいう携帯電話機の音声入力手段)及び通話相手から受信した音声を受話音声として出力するスピーカ(本発明でいう携帯電話機の音声出力手段)を備えて構成されている。この場合、携帯電話機3a,3bのBTインタフェース部は、車載ハンズフリー装置2との間でBT通信を行う機能を有し、車載ハンズフリー装置2のBTインタフェース部5と同様にしてHFPに対応しており、車載ハンズフリー装置2との間でHFPを接続可能に構成されている。
【0018】
ここで、車載ハンズフリー装置2と携帯電話機3(携帯電話機3a,3bのうち何れか)とが両者の間でHFPを接続している場合に、通信網18から携帯電話機3への音声着信が発生した場合を説明する。ここでいう通信網18は携帯電話基地局や基地局制御装置等の周知の携帯電話通信サービスを提供する設備を含むものである。
【0019】
携帯電話機3は、車載ハンズフリー装置2との間でHFPを接続している場合に、通信網18から音声着信が発生した旨を検知すると、音声着信した旨を示す音声着信通知を車載ハンズフリー装置2に送信する。この場合、音声着信した携帯電話機3は、自機を識別する識別情報(例えば自機に登録されている電話番号等)を含む音声着信通知を車載ハンズフリー装置2に送信し、通信網18から通話相手となり得る発信元電話番号を受信していれば、その通信網18から受信した発信元電話番号をも含む音声着信通知を車載ハンズフリー装置2に送信する。又、音声着信した携帯電話機3は、自機がインバンドリングトーンに対応している携帯電話機であれば、自機に登録されている着信音をも車載ハンズフリー装置2に送信する。
【0020】
車載ハンズフリー装置2において、制御部4は、携帯電話機3から音声着信通知をBTインタフェース部5により受信すると、携帯電話機3から着信音を受信していなければ、自装置に登録されている着信音をスピーカ12,13から出力させることで携帯電話機3が音声着信した旨をユーザに対して通知し、携帯電話機3から着信音を受信していれば、その受信した着信音(携帯電話機3に登録されている着信音)をスピーカ12,13から出力させる。又、制御部4は、携帯電話機3が音声着信した旨を示す着信中通知画面(詳しくは後述する)を表示装置16に表示させることでも携帯電話機3が音声着信した旨をユーザに対して通知する。
【0021】
これにより、ユーザは、スピーカ12,13から出力される着信音を聞いたり表示装置16に表示される着信中通知画面を見たりすることで携帯電話機3が音声着信した旨を認識可能となる。そして、ユーザは、携帯電話機3が音声着信した旨を認識すると、車載ハンズフリー装置2を操作することで携帯電話機3への音声着信に対してハンズフリー通話で応答するか応答拒否するかを選択可能であり、携帯電話機3を操作することで当該携帯電話機3への音声着信に対してプライベート通話(本発明でいうハンドセット通話)で応答するか応答拒否するかを選択可能である。ここでいうハンズフリー通話とは携帯電話機3と車載ハンズフリー装置2との間で音声パスが開通されて音声が送受信されることで車載ハンズフリー装置2に接続されているマイクロホン10及びスピーカ12,13を使用して通話することであり、一方、プライベート通話とは携帯電話機3と車載ハンズフリー装置2との間で音声パスが閉鎖されて音声が送受信されないことで携帯電話機3のマイクロホン及びスピーカを使用して通話することである。
【0022】
次に、上記した構成の作用について、図2乃至図8を参照して説明する。図2及び図3は、車載ハンズフリー装置2が行う処理をフローチャートにより示している。車載ハンズフリー装置2において、制御部4は、通信網18から携帯電話機3への音声着信が発生したか否かを判定する音声着信検知処理を開始すると、通信網18から携帯電話機3への音声着信が発生したか否かを判定する(ステップS1)。ここで、制御部4は、通信網18から携帯電話機3への音声着信が発生していない旨を判定すると(ステップS1にて「NO」)、音声着信検知処理を終了して他の処理(例えばメイン処理)にリターンする。
【0023】
さて、制御部4は、通信網18から携帯電話機3への音声着信が発生した旨を判定すると(ステップS1にて「YES」)、その携帯電話機3が音声着信した時点で別のプライベート通話中の携帯電話機3があるか否かを判定する(ステップS2)。そして、制御部4は、別のプライベート通話中の携帯電話機3がない旨を判定すると(ステップS2にて「NO」)、携帯電話機3が音声着信するまでは待受画面を表示させているので、待受画面から携帯電話機3が音声着信した旨を示す着信中通知画面に切替え、着信中通知画面を表示装置16に表示させる(ステップS3)。
【0024】
具体的には、携帯電話機3a,3bとの間でHFPを接続しており、一方の携帯電話機3aが待受状態にあるときに、通信網18から他方の携帯電話機3bに「090******01」(*は電話番号を構成する任意の数字)を発信元電話番号とする音声着信が発生した場合を説明すると、制御部4は、音声着信した携帯電話機3bから音声着信通知をBTインタフェース部5により受信すると、図4に示す着信中通知画面19を表示装置16に表示させる。図4は、音声着信した携帯電話機3bから発信元電話番号として「090******01」を受信し、その携帯電話機3bから受信した発信元電話番号に対応する登録名として「織田○○」を電話帳データとして記憶している場合を示している。
【0025】
制御部4は、着信中通知画面19においては、音声着信中にある旨を示す「着信中」を状態表示領域19aに表示させ、発信元の情報である「090******01」及び「織田○○」を発信元情報表示領域19bに表示させる。又、制御部4は、ユーザが音声着信に対して応答するために操作可能な応答スイッチ19c、ユーザが音声着信に対して応答拒否するために操作可能な応答拒否スイッチ19d、ユーザがスピーカ12,13から出力される着信音の音量を増大させるために操作可能なアップスイッチ19e及びユーザがスピーカ12,13から出力される着信音の音量を低下させるために操作可能なダウンスイッチ19fを形成して表示させる。更に、制御部4は、音声着信した携帯電話機3bから受信した当該携帯電話機3bの電池の残容量を表す残容量アイコンや電波の受信状態を表す電波受信状態アイコンを電話機状態表示領域19gに表示させる。
【0026】
このように携帯電話機3bが音声着信状態にある場合には、ユーザは、着信中通知画面19の応答スイッチ19cを操作することで携帯電話機3bの音声着信に対してハンズフリー通話で応答可能であり、着信中通知画面19の応答拒否スイッチ19dを操作することで携帯電話機3bの音声着信に対して応答拒否可能であり、携帯電話機3bの応答キーを操作することで携帯電話機3bの音声着信に対してプライベート通話で応答可能であり、携帯電話機3bの応答拒否キーを操作することで携帯電話機3bの音声着信に対して応答拒否可能である。
【0027】
制御部4は、着信中通知画面を表示装置16に表示させた後では、ユーザが応答スイッチ19c及び応答拒否スイッチ19dのうち何れを操作したか否かを判定し(ステップS4,S5)、携帯電話機3bから状態通知を入力することでユーザが携帯電話機3bの応答キー及び携帯電話機3bの応答拒否キーのうち何れを操作したか否かを判定する(ステップS6,S7)。
【0028】
ここで、制御部4は、ユーザが着信中通知画面19の応答スイッチ19cを操作した旨を判定すると(ステップS4にて「YES」)、音声着信に対する応答動作を携帯電話機3bに行わせ、BTインタフェース部5と携帯電話機3bとの間で音声パスを開通させ、携帯電話機3bが音声着信状態からハンズフリー通話状態に移行した後に、図4に示した着信中通知画面19から図5に示すハンズフリー通話中にある旨を示すハンズフリー通話中通知画面20に切替え、ハンズフリー通話中通知画面20を表示装置16に表示させる(ステップS8)。
【0029】
制御部4は、ハンズフリー通話中通知画面20においては、ハンズフリー通話状態にある旨を示す「ハンズフリー通話中」を状態表示領域20aに表示させ、発信元の情報である「090******01」及び「織田○○」を発信元情報表示領域20bに表示させる。又、制御部4は、ユーザがハンズフリー通話を保留するために操作可能な通話保留スイッチ20c、ユーザがハンズフリー通話を切断するために操作可能な通話切断スイッチ20d、ユーザがハンズフリー通話をプライベート通話に切替える(転送する)ために操作可能な通話転送スイッチ20e、ユーザがスピーカ12,13から出力される受話音声の音量を増大させるために操作可能なアップスイッチ20f及びユーザがスピーカ12,13から出力される受話音声の音量を低下させるために操作可能なダウンスイッチ20gを形成して表示させる。更に、制御部4は、この場合も、携帯電話機3bから受信した当該携帯電話機3aの電池の残容量を表す残容量アイコンや電波の受信状態を表す電波受信状態アイコンを電話機状態表示領域20hに表示させる。
【0030】
一方、制御部4は、ユーザが着信中通知画面19の応答拒否スイッチ19dを操作した旨を判定すると(ステップS5にて「YES」)、音声着信に対する応答拒否動作を携帯電話機3bに行わせ、携帯電話機3bが待受状態に移行した後に、図4に示した着信中通知画面19から待受中にある旨を示す待受画面に切替え、待受画面を表示装置16に表示させる(ステップS9)。
【0031】
又、制御部4は、携帯電話機3bから状態通知を入力することでユーザが携帯電話機3bの応答キーを操作した旨を判定すると(ステップS6にて「YES」)、音声着信に対する応答動作を携帯電話機3bに行わせ、BTインタフェース部5と携帯電話機3bとの間で音声パスを開通させることなく、携帯電話機3bが音声着信状態からプライベート通話状態に移行した後に、図4に示した着信中通知画面19から図6に示すプライベート通話中にある旨を示すプライベート通話中通知画面に切替え、プライベート通話中通知画面を表示装置16に表示させる(ステップS10)。
【0032】
制御部4は、プライベート通話中通知画面21においては、プライベート通話中にある旨を示す「プライベート通話中」を状態表示領域21aに表示させ、発信元の情報である「090******01」及び「織田○○」を発信元情報表示領域21bに表示させる。又、制御部4は、ユーザがプライベート通話をハンズフリー通話に切替えるために操作可能な通話転送スイッチ21cを形成して表示させる。更に、制御部4は、この場合も、携帯電話機3bから受信した当該携帯電話機3bの電池の残容量を表す残容量アイコンや電波の受信状態を表す電波受信状態アイコンを電話機状態表示領域21dに表示させる。
【0033】
一方、制御部4は、携帯電話機3bから状態通知を入力することでユーザが携帯電話機3bの応答拒否キーを操作した旨を判定すると(ステップS7にて「YES」)、音声着信に対する応答拒否動作を携帯電話機3bに行わせ、携帯電話機3bが待受状態に移行した後に、図4に示した着信中通知画面19から待受中にある旨を示す待受画面に切替え、待受画面を表示装置16に表示させる(ステップS11)。
【0034】
これに対して、制御部4は、通信網18から携帯電話機3への音声着信が発生したときに別のプライベート通話中の携帯電話機3がある旨を判定すると(ステップS2にて「YES」)、携帯電話機3が音声着信するまではプライベート通話中通知画面を表示させているので、プライベート通話中通知画面から携帯電話機3がプライベート通話中にあるときに別の携帯電話機3が音声着信した旨を示す着信中/プライベート通話中通知画面に切替え、着信中/プライベート通話中通知画面を表示装置16に表示させる(ステップS12)。
【0035】
具体的には、携帯電話機3a,3bとの間でHFPを接続しており、一方の携帯電話機3aがプライベート通話状態にあるときに、通信網18から他方の携帯電話機3bに「090******02」(*は電話番号を構成する任意の数字)を発信元電話番号とする音声着信が発生した場合を説明すると、制御部4は、音声着信した携帯電話機3bから音声着信通知をBTインタフェース部5により受信すると、図7に示す着信中/プライベート通話中通知画面22を表示装置16に表示させる。図7は、音声着信した携帯電話機3bから発信元電話番号として「090******02」を受信し、その携帯電話機3bから受信した発信元電話番号に対応する登録名として「徳川○○」を電話帳データとして記憶している場合を示している。
【0036】
制御部4は、着信中/プライベート通話中通知画面22においては、着信中/プライベート通話中にある旨を示す「着信中/プライベート通話中」を状態表示領域22aに表示させ、プライベート通話状態にある発信元の情報である「090******01」及び「織田○○」を発信元情報表示領域22bに表示させ、音声着信状態にある発信元の情報である「090******02」及び「徳川○○」を発信元情報表示領域22cに表示させる。又、制御部4は、ユーザが音声着信に対して応答するために操作可能な応答スイッチ22d(本発明でいう応答操作手段)、ユーザが音声着信に対して応答拒否するために操作可能な応答拒否スイッチ22e(本発明でいう応答拒否操作手段)、ユーザがスピーカ12,13から出力される着信音の音量を増大させるために操作可能なアップスイッチ22f及びユーザがスピーカ12,13から出力される着信音の音量を低下させるために操作可能なダウンスイッチ22gを形成して表示させる。更に、制御部4は、携帯電話機3aから受信した当該携帯電話機3aの電池の残容量を表す残容量アイコンや電波の受信状態を表す電波受信状態アイコンを電話機状態表示領域22hに表示させ、携帯電話機3bから受信した当該携帯電話機3bの電池の残容量を表す残容量アイコンや電波の受信状態を表す電波受信状態アイコンを電話機状態表示領域22iに表示させる。尚、制御部4は、着信中/プライベート通話中通知画面22においては、ユーザがプライベート通話をハンズフリー通話に切替えるために操作可能な通話転送スイッチを形成しない。
【0037】
このように携帯電話機3aがプライベート通話状態にあるときに携帯電話機3bが音声着信状態にある場合には、ユーザは、着信中/プライベート通話中通知画面22の応答スイッチ22dを操作することで携帯電話機3bの音声着信に対してハンズフリー通話で応答可能であり、着信中/プライベート通話中通知画面22の応答拒否スイッチ22eを操作することで携帯電話機3bの音声着信に対して応答拒否可能であり、携帯電話機3bの応答キーを操作することで携帯電話機3bの音声着信に対してプライベート通話で応答可能であり、携帯電話機3bの応答拒否キーを操作することで携帯電話機3bの音声着信に対して応答拒否可能である。その一方で、ユーザがプライベート通話をハンズフリー通話に切替えるために操作可能な通話転送スイッチを形成しないので、ユーザは、プライベート通話状態にある携帯電話機3aに対してはプライベート通話をハンズフリー通話に切替不可能である。つまり、ユーザは、着信中/プライベート通話中通知画面22において音声着信状態にある携帯電話機3bに対して何らかの操作を行うことが可能であるがプライベート通話状態にある携帯電話機3aに対して何らかの操作を行うことが不可能である。
【0038】
制御部4は、ユーザが着信中/プライベート通話中通知画面を表示装置16に表示させた後では、ユーザが応答スイッチ22e、応答拒否スイッチ22fのうち何れを操作したか否かを判定し(ステップS13,S14)、携帯電話機3bから状態通知を入力することでユーザが携帯電話機3bの応答キー及び携帯電話機3bの応答拒否キーのうち何れを操作したか否かを判定する(ステップS15,S16)。
【0039】
ここで、制御部4は、ユーザが着信中/プライベート通話中通知画面22の応答スイッチ22dを操作した旨を判定すると(ステップS13にて「YES」)、音声着信に対する応答動作を携帯電話機3bに行わせ、BTインタフェース部5と携帯電話機3bとの間で音声パスを開通させ、携帯電話機3bが音声着信状態からハンズフリー通話状態に移行した後に、図7に示した着信中/プライベート通話中通知画面22から図8に示すハンズフリー通話中通知画面20に切替え、携帯電話機3bがハンズフリー通話中にある旨を示すハンズフリー通話中通知画面23を表示装置16に表示させる(ステップS17)。図8に示すハンズフリー通話中通知画面23における各表示領域23a、23b,23h及び各スイッチ23c〜23gは図5に示したハンズフリー通話中20における各表示領域20a、20b,20h及び各スイッチ20c〜20gと同等の機能を有する。
【0040】
一方、制御部4は、ユーザが着信中/プライベート通話中通知画面22の応答拒否スイッチ22eを操作した旨を判定すると(ステップS14にて「YES」)、音声着信に対する応答拒否動作を携帯電話機3bに行わせ、携帯電話機3bが待受状態に移行した後に、図7に示した着信中/プライベート通話中通知画面22から図6に示したプライベート通話中通知画面21に切替え、携帯電話機3aがプライベート通話中にある旨を示すプライベート通話中通知画面(携帯電話機3bが音声着信する直前の表示画面)を表示装置16に表示させる(ステップS18)。
【0041】
又、制御部4は、携帯電話機3bから状態通知を入力することでユーザが携帯電話機3bの応答キーを操作した旨を判定すると(ステップS15にて「YES」)、音声着信に対する応答動作を携帯電話機3bに行わせ、BTインタフェース部5と携帯電話機3bとの間で音声パスを開通させることなく、携帯電話機3bが音声着信状態からプライベート通話状態に移行した後に、図7に示した着信中/プライベート通話中通知画面22から2台の携帯電話機3a,3bがプライベート通話中にある旨を示すプライベート通話中通知画面に切替え、プライベート通話中通知画面を表示装置16に表示させる(ステップS19)。
【0042】
一方、制御部4は、携帯電話機3bから状態通知を入力することでユーザが携帯電話機3bの応答拒否キーを操作した旨を判定すると(ステップS16にて「YES」)、音声着信に対する応答拒否動作を携帯電話機3bに行わせ、携帯電話機3bが待受状態に移行した後に、図7に示した着信中/プライベート通話中通知画面22から図6に示したプライベート通話中通知画面21に切替え、携帯電話機3aがプライベート通話中にある旨を示すプライベート通話中通知画面(携帯電話機3bが音声着信する直前の表示画面)を表示装置16に表示させる(ステップS20)。
【0043】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載ハンズフリー装置2において、HFPを同時接続している2台の携帯電話機3a,3bのうち一方の携帯電話機が3aがプライベート通話状態にある状況で他方の携帯電話機3bへの音声着信が発生した場合に、プライベート通話状態にある携帯電話機3aをプライベート通話状態からハンズフリー通話状態に切替えるための通話転送スイッチを表示しない一方で、音声着信状態にある携帯電話機3bに対して応答するための応答スイッチ22e及び応答拒否するための応答拒否スイッチ22fを表示するように構成した。
【0044】
これにより、ユーザは、プライベート通話状態にある携帯電話機3aに対しては何ら操作を行うことなく、音声着信状態にある携帯電話機3bに対しては、応答スイッチ22dを操作して音声着信状態にある携帯電話機3bに対して応答して携帯電話機3bにおける通話をハンズフリー通話で行うか否か、応答拒否スイッチ22eを操作して音声着信状態にある携帯電話機3bに対して応答拒否するか否かを選択することができる。このようにプライベート通話状態にある携帯電話機3aの操作に制限を持たせる一方で音声着信状態にある携帯電話機3bの操作に対して制限を持たせることなく適切に対処することができる。
【0045】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
車載ハンズフリー装置の機能が例えば車載ナビゲーション装置等の別の車載装置に組み込まれていても良い。
車載ハンズフリー装置との間でHFPを接続している携帯電話機の台数が3台以上であっても良く、その場合、2台以上の携帯電話機がプライベート通話状態にあるときに通信網から1台の携帯電話機への音声着信が発生した場合に、プライベート通話状態にある2台以上の携帯電話機に係る通話転送操作手段をユーザに対して提示することなく、音声着信状態にある1台の携帯電話機に係る応答操作手段及び応答拒否操作手段をユーザに対して提示するようにしても良い。
【0046】
プライベート通話をハンズフリー通話に切替えるために操作可能な通話転送スイッチに相当する通話転送操作手段、音声着信に対して応答するために操作可能な応答スイッチに相当する応答操作手段及び音声着信に対して応答拒否するために操作可能な応答拒否スイッチに相当する応答拒否操作手段がディスプレイ装置にタッチスイッチとして形成される構成に限らず、それら操作手段が例えばハンドルの近傍や運転席と助手席との間に配置された機械的なスイッチから構成されていても良い。その場合、それら操作手段の操作手順を表示装置に表示させても良い。
各通知画面における各表示領域や各スイッチのレイアウトは他の態様であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート(その1)
【図3】フローチャート(その2)
【図4】着信中通知画面を示す図
【図5】ハンズフリー通話中通知画面を示す図
【図6】プライベート通話中通知画面を示す図
【図7】着信中/プライベート通話中通知画面を示す図
【図8】図5相当図
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は車載ハンズフリーシステム、2は車載ハンズフリー装置(ハンズフリー機能付き車載装置)、3a,3bは携帯電話機、4は制御部(制御手段)、5はBTインタフェース部(接続手段)、10はマイクロホン(ハンズフリー機能付き車載装置側の音声入力手段)、12,13はスピーカ(ハンズフリー機能付き車載装置側の音声出力手段)、18は通信網、22dは応答スイッチ(応答操作手段)、22eは応答拒否スイッチ(応答拒否操作手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンズフリー機能付き車載装置との間でハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー通話プロトコルを接続している状態で当該ハンズフリー機能付き車載装置との間で音声パスを開通させて当該ハンズフリー機能付き車載装置側の音声入力手段により入力された音声を送話音声として通話相手に送信させ且つ通話相手から受信された音声を当該ハンズフリー機能付き車載装置側の音声出力手段から受話音声として出力させるハンズフリー通話状態及び当該ハンズフリー機能付き車載装置との間で音声パスを閉鎖させて携帯電話機の音声入力手段により入力した音声を送話音声として通話相手に送信し且つ通話相手から受信した音声を当該携帯電話機の音声出力手段から受話音声として出力するハンドセット通話状態のうち何れかを選択可能に構成されている複数の携帯電話機との間で前記ハンズフリー通話プロトコルを同時接続可能な接続手段と、
前記接続手段との間で前記ハンズフリー通話プロトコルを接続しているハンドセット通話状態にある携帯電話機をユーザ操作によりハンズフリー通話状態に切替可能とする通話転送操作手段をユーザに対して提示する機能と、前記接続手段との間で前記ハンズフリー通話プロトコルを接続している音声着信状態にある携帯電話機の音声着信に対してユーザ操作によりハンズフリー通話で応答可能とする応答操作手段をユーザに対して提示する機能とを有する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記接続手段との間で前記ハンズフリー通話プロトコルを接続している一の携帯電話機が前記ハンドセット通話状態にあり且つ前記接続手段との間で前記ハンズフリー通話プロトコルを接続している他の携帯電話機が前記音声着信状態にある場合に、前記一の携帯電話機に係る前記通話転送操作手段をユーザに対して提示することなく、前記他の携帯電話機に係る前記応答操作手段をユーザに対して提示することを特徴とするハンズフリー機能付き車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載したハンズフリー機能付き車載装置において、
前記制御手段は、前記接続手段との間で前記ハンズフリー通話プロトコルを接続している音声着信状態にある携帯電話機の音声着信に対してユーザ操作により応答拒否可能とする応答拒否操作手段をユーザに対して提示する機能をも有し、前記接続手段との間で前記ハンズフリー通話プロトコルを接続している一の携帯電話機が前記ハンドセット通話状態にあり且つ前記接続手段との間で前記ハンズフリー通話プロトコルを接続している他の携帯電話機が前記音声着信状態にある場合に、前記一の携帯電話機に係る前記通話転送操作手段をユーザに対して提示することなく、前記他の携帯電話機に係る前記応答操作手段及び前記応答拒否操作手段をユーザに対して提示することを特徴とするハンズフリー機能付き車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−136075(P2010−136075A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309654(P2008−309654)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】