説明

ハンズフリー通話の選択装置および選択方法

【課題】ハンズフリー通話用に登録された携帯電話機に対して着信があったときに、ハンズフリー通話かハンドセット通話かについてユーザの希望に沿った状態で通話を行うことを可能にする「ハンズフリー通話の選択装置および選択方法」を提供する。
【解決手段】ハンズフリーユニット10に対し無線接続されて通信可能状態となっている携帯電話機に対して着信があったときに、ハンズフリー通話状態またはハンドセット通話状態の何れかの通話状態をユーザに選択させるための選択画面を表示する選択画面表示部5と、当該選択画面に対する操作を通じて選択された通話状態に設定する通話設定部7とを備え、ハンズフリーユニット10と接続された状態の携帯電話機に着信があっても直ちにはハンズフリー通話状態とせず、通話状態選択画面を通じてユーザに通話状態の選択機会を与えることにより、ユーザが本当に必要な通話機能を容易に選択することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハンズフリー通話の選択装置および選択方法に関し、特に、ブルートゥース通信部を介して携帯電話機をハンズフリーユニットに無線で接続するハンズフリー通話システムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電話操作時の片手運転等を回避するために、ハンズフリー通話システムが提供されている。ハンズフリー通話システムは、マイク、スピーカおよび携帯電話機がハンズフリーユニットに接続されて構成される。そして、マイクからハンズフリーユニットに入力された送話音声が携帯電話機を通じて相手先に送られるとともに、相手先から携帯電話機を通じて受信した受話音声がハンズフリーユニットを介してスピーカから出力されるように構成されている。したがって、運転者は、通話の発信時および受信時を除いて、ハンドルから手を離すことなく(直接携帯電話機を持たずに)相手と通話することができる。
【0003】
最近では、携帯電話機をハンズフリーユニットに有線で接続するハンズフリー通話システムに加えて、近距離無線通信規格の1つであるブルートゥースの通信部を介して携帯電話機をハンズフリーユニットに無線で接続するシステムも提供されている。ブルートゥースは、その通信機能を搭載した機器の通信ネットワークへの接続が自動的に行われるタイプの無線通信システムである。そのため、ブルートゥース機能を搭載した携帯電話機の識別情報をハンズフリーユニットに一度登録しておくと、その後は、携帯電話機がハンズフリーユニットに近づくだけで相互に接続され、通信可能な状態となる。なお、本明細書において携帯電話機と言うときは、ハンズフリー通話用としてハンズフリーユニットに識別情報が登録された携帯電話機を意味するものとする。
【0004】
ところで、1台の自動車を家族で共同使用する場合や、あらかじめ登録した会員の間で自動車を共同使用する場合には、複数台の携帯電話機が車室内に一度に持ち込まれることがある。この場合は、持ち込まれた携帯電話機の何れもが、ハンズフリーユニットとブルートゥース接続して通信可能な状態となる。このような状態では、どの携帯電話機でも着信があると自動的にハンズフリー通話状態となってしまう。そのため、運転者以外の同乗者が通常のハンドセット通話を行いたくても、着信があった時点で常にハンズフリー通話状態になってしまうという問題があった。
【0005】
このような問題に対して、複数台の携帯電話機がブルートゥース通信可能な状態となっているときに、特定の携帯電話機に着信があったときにのみハンズフリー通話を行うようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1〜4を参照)。特許文献1に記載の技術では、各携帯電話機の優先順位を登録しておき、何れかの携帯電話機に着信があったときに、通信可能な状態となっているものの中で優先順位が最も高い携帯電話機を選択し、選択した携帯電話機を介してハンズフリー通話を行うようにしている。
【0006】
特許文献2に記載の技術では、携帯電話機の位置を探索し、携帯電話機を運転席で検出したときには自動的にハンズフリー通話状態となるようにしている。特許文献3に記載の技術では、運転者の携帯電話機か同乗者の携帯電話機かを判定し、運転者の携帯電話機による通話時にはハンズフリー通話状態となるようにしている。特許文献4に記載の技術では、運転者の携帯電話機の識別情報を記憶した記憶送信装置が車室内に持ち込まれたときに、ハンズフリー装置が運転者の携帯電話機と無線接続するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−223288号公報
【特許文献2】特開2005−354312号公報
【特許文献3】特開2006−121270号公報
【特許文献4】特開2006−222791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載の従来技術では、決められたルールに従って、特定の携帯電話機に着信があったときには常にハンズフリー通話状態とされ、それ以外の携帯電話機に着信があったときには常に通常のハンドセット通話状態とされる。特に、特許文献2〜4の場合は、運転者の携帯電話機に着信があったときには常にハンズフリー通話状態とされ、同乗者の携帯電話機に着信があったときには常にハンドセット通話状態とされる。特許文献1の場合も、運転者の携帯電話機の優先順位を最も高く設定しておけば、同じ結果となる。つまり、着信時にハンズフリー通話状態となるかハンドセット通話状態となるかは、運転者の携帯電話機か同乗者の携帯電話機かで決まってしまい、それが必ずしもユーザの希望に沿うとは限らないという問題があった。
【0009】
すなわち、運転をしない同乗者であっても、常にハンドセット通話を行うことを希望するとは限らない。例えば、同乗者が車内で飲食をしているときに着信があった場合などには、ハンズフリー通話を行うことを希望するかもしれない。しかし、上記特許文献1〜4に記載の従来技術では、自動的にハンドセット通話状態となってしまうため、必ずしも同乗者の希望に沿った通話を行うことができないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ハンズフリー通話用に登録された携帯電話機に対して着信があったときに、ハンズフリー通話かハンドセット通話かについてユーザの希望に沿った状態で通話を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明では、ハンズフリーユニットに対し無線で接続されて通信可能状態となっている携帯電話機に対して着信があったときに、ハンズフリー通話状態またはハンドセット通話状態の何れかの通話状態をユーザに選択させるための選択画面を表示し、当該選択画面に対する選択操作を通じて選択された通話状態に設定するようにしている。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明によれば、ハンズフリー通話用としてハンズフリーユニットに登録された携帯電話機が車室内に持ち込まれると、その時点で携帯電話機とハンズフリーユニットとが通信可能な状態となる。その状態で携帯電話機に対して着信があっても、直ちにハンズフリー通話状態とされず、通話状態の選択画面が表示され、ユーザに通話状態の選択の機会が与えられる。そして、ユーザが所望の通話状態を選択すると、その選択した通話状態に設定される。これにより、ハンズフリー通話かハンドセット通話かについてユーザの希望に沿った状態で通話を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態によるハンズフリー通話システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による通話状態選択画面の例を示す図である。
【図3】本実施形態によるハンズフリーユニットの動作例を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態によるハンズフリー通話システムの他の構成例を示すブロック図である。
【図5】本実施形態によるハンズフリー通話システムの更に別の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明によるハンズフリー通話の選択装置を実施した本実施形態によるハンズフリー通話システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態によるハンズフリー通話システムは、ハンズフリーユニット10、携帯電話機20a,20b,20c、表示部30、操作部40、マイク50およびスピーカ60を備えて構成される。ここで、携帯電話機20a,20b,20c以外は、車室内に設置されている。また、本発明によるハンズフリー通話の選択装置は、ハンズフリーユニット10の一機能として備えられている。
【0015】
図1において、携帯電話機20a〜20cは、通常の通話を行うための通話処理部の他に、ブルートゥース通信部を備えている。なお、ここでは3台の携帯電話機20a,20b,20cを示しているが、これらは何れも、ハンズフリー通話用の携帯電話機としてハンズフリーユニット10に識別情報が登録されているものとする。ハンズフリーユニット10に登録された携帯電話機20a,20b,20cがブルートゥース通信可能なエリア内(本実施形態の場合は車室内)に入ると、携帯電話機20a〜20cは、ハンズフリーユニット10と自動的に無線で接続されて通信可能状態となる。
【0016】
ハンズフリーユニット10は、ユーザ(車両の搭乗者)が携帯電話機20a,20b,20cを持たずに相手とハンズフリー通話を行ったり、ユーザが携帯電話機20a,20b,20cを持って相手とハンドセット通話を行ったりするために必要な各種制御を実行する。このハンズフリーユニット10は、制御部1、登録情報記憶部2、音声処理部3、ブルートゥース通信部4、選択画面表示部5、操作受付部6および通話設定部7を備えている。音声処理部3にはマイク50およびスピーカ60が接続され、選択画面表示部5には表示部30が接続され、操作受付部6には操作部40が接続されている。
【0017】
制御部1は、ハンズフリーユニット10の全体を制御する。登録情報記憶部2は、ハンズフリー通話用としてハンズフリーユニット10に登録された携帯電話機20a,20b,20cの識別情報を記憶する。この登録に関する処理は、制御部1がブルートゥース通信部4を介して携帯電話機20a,20b,20cと通信をすることによって行う。すなわち、制御部1は、ブルートゥース通信部4を介して携帯電話機20a,20b,20cからそれぞれの識別情報を取得し、登録情報記憶部2に記憶する。なお、登録情報記憶部2に記憶する情報は、識別情報のほかに、機種情報、電話番号情報などを含んでいてもよい。
【0018】
音声処理部3は、図示しないマイク用プリアンプ、スピーカ用パワーアンプ、音声変調回路、音声復調回路、電子ボリュームなどの各回路を備えており、マイク50を通して入力した音声信号を変調して通話の相手側に送信する処理や、相手側から受信した音声信号を復調してスピーカ60から出力する処理を行う。このとき、相手側に送信する音声信号は、音声処理部3から制御部1およびブルートゥース通信部4を介して携帯電話機20a,20b,20cの何れか1つ(ハンズフリー通話状態に設定されたもの)に送られる。また、相手側から携帯電話機20a,20b,20cの何れか1つで受信した音声信号は、ブルートゥース通信部4および制御部1を介して音声処理部3に入力される。
【0019】
ブルートゥース通信部4は、複数の携帯電話機20a,20b,20cとの間で無線通信し、種々の情報をやり取りする。上述したように、ブルートゥース通信部4は、携帯電話機20a,20b,20cとの間で通信を行い、それぞれの識別情報を取得する。また、ブルートゥース通信部4は、携帯電話機20a,20b,20cとの間で通話に関する音声信号の通信を行う。さらに、ブルートゥース通信部4は、ハンズフリー通話状態またはハンドセット通話状態の何れの通話状態で通話を行うかを示した通話状態設定情報(詳細は後述する)を携帯電話機20a,20b,20cに通知する。
【0020】
選択画面表示部5は、複数の携帯電話機20a,20b,20cのうち、ハンズフリーユニット10と通信可能状態となっている携帯電話機(すなわち、車室内に持ち込まれた携帯電話機)に対して着信があったときに、ハンズフリー通話状態またはハンドセット通話状態の何れかの通話状態をユーザに選択させるための選択画面を表示部30に表示する。なお、表示部30は、例えば液晶表示装置などの表示デバイスである。
【0021】
例えば、第1携帯電話機20aがハンズフリーユニット10と通信可能状態となっていて、当該第1携帯電話機20aに対して着信があると、着信があったことを示す着信通知信号が第1携帯電話機20aからハンズフリーユニット10に送信される。この着信通知信号には、第1携帯電話機20aの識別情報が含まれている。ブルートゥース通信部4がこの着信通知信号を受信すると、当該着信通知信号が制御部1に渡され、制御部1による制御に従って選択画面表示部5が上述の通話状態選択画面を表示部30に表示する。
【0022】
図2は、表示部30に表示される通話状態選択画面の例を示す図である。図2に示す例では、着信のあった第1携帯電話機20aの機種名と電話番号とが表示されるとともに、ハンズフリー通話状態の設定を選択するためのハンズフリー選択ボタン101およびハンドセット通話状態の設定を選択するためのハンドセット選択ボタン102が表示されている。ここで、機種名と電話番号は、選択画面表示部5が制御部1を通じて第1携帯電話機20aの識別情報をキーとして登録情報記憶部2から読み出した機種情報および電話番号情報に基づき表示される。
【0023】
操作受付部6は、選択画面表示部5により表示部30に表示された通話状態選択画面に対する操作部40の選択操作を受け付ける。すなわち、操作受付部6は、図2に示した通話状態選択画面において、ハンズフリー選択ボタン101またはハンドセット選択ボタン102の何れかに対する選択操作(押下操作)を検出し、何れのボタンが押下されたかを示す選択操作信号を制御部1に通知する。なお、操作部40は、リモコンやタッチパネルなどの入力デバイスである。
【0024】
操作受付部6から選択操作信号の通知を受けた制御部1は、その選択操作信号の内容に基づいて、ハンズフリー通話状態またはハンドセット通話状態の何れが選択されたかを示す選択信号を通話設定部7に通知する。通話設定部7は、制御部1から選択信号の通知を受けると、その選択信号により示される通話状態、すなわち、操作受付部6が受け付けた操作部40の選択操作により選択された通話状態に設定する。
【0025】
例えば、第1携帯電話機20aにおいて着信があったときに表示部30に表示された通話状態選択画面において、ハンズフリー選択ボタン101が押下された場合には、通話設定部7は、ハンズフリーユニット10と第1携帯電話機20aとをハンズフリー通話状態に設定する。具体的には、通話設定部7は、ハンズフリー通話状態に設定することを示す通話状態設定情報を発生して制御部1に通知する。この通知を受けた制御部1は、ハンズフリー通話を行うようにハンズフリーユニット10の状態を設定するとともに、通話状態設定情報をブルートゥース通信部4から第1携帯電話機20aに送信する。この通話状態設定情報を受信した第1携帯電話機20aは、ハンズフリー通話を行うように第1の携帯電話機20aの状態を設定する。
【0026】
一方、第1携帯電話機20aにおいて着信があったときに表示部30に表示された通話状態選択画面において、ハンドセット選択ボタン102が押下された場合には、通話設定部7は、第1携帯電話機20aによるハンドセット通話状態に設定する。具体的には、通話設定部7は、ハンドセット通話状態に設定することを示す通話状態設定情報を発生して制御部1に通知する。この通知を受けた制御部1は、通話状態設定情報をブルートゥース通信部4から第1携帯電話機20aに送信する。この通話状態設定情報を受信した第1携帯電話機20aは、ハンドセット通話を行うように第1の携帯電話機20aの状態を設定する。
【0027】
次に、上記のように構成した本実施形態によるハンズフリーユニット10の動作を説明する。図3は、本実施形態によるハンズフリーユニット10の動作例を示すフローチャートである。この図3に示すフローチャートは、ハンズフリーユニット10との間で通信可能状態になっている3台の携帯電話機20a,20b,20cのうち何れかに対して着信が発生したときにスタートする。
【0028】
まず、選択画面表示部5は、制御部1から送られる着信通知信号に基づいて、複数の携帯電話機20a,20b,20cの何れかに対して着信があったことを検知すると(ステップS1)、ハンズフリー通話状態またはハンドセット通話状態の何れかの通話状態をユーザに選択させるための通話状態選択画面を表示部30に表示する(ステップS2)。
【0029】
次に、操作受付部6は、通話状態選択画面に表示されたハンズフリー選択ボタン101が押下されたか否かを判定する(ステップS3)。ここで、ハンズフリー選択ボタン101が押下されたと判定した場合、操作受付部6は、ハンズフリー選択ボタン101が押下されたことを示す選択操作信号を制御部1に通知する。この選択操作信号を受けて制御部1は、ハンズフリー通話状態が選択されたことを示す選択信号を通話設定部7に通知する。そして、制御部1から選択信号の通知を受けた通話設定部7は、ハンズフリーユニット10と着信のあった携帯電話機とをハンズフリー通話状態に設定する(ステップS4)。
【0030】
一方、ステップS3でハンズフリー選択ボタン101が押下されてない、すなわち、ハンドセット選択ボタン102が押下されたと判定した場合、操作受付部6は、ハンドセット選択ボタン102が押下されたことを示す選択操作信号を制御部1に通知する。この選択操作信号を受けて制御部1は、ハンドセット通話状態が選択されたことを示す選択信号を通話設定部7に通知する。そして、制御部1から選択信号の通知を受けた通話設定部7は、着信のあった携帯電話機をハンドセット通話状態に設定する(ステップS5)。
【0031】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、ハンズフリーユニット10に対しブルートゥース接続されて通信可能状態となっている携帯電話機20a,20b,20cの何れかに対して着信があったときに、ハンズフリー通話状態またはハンドセット通話状態の何れかの通話状態をユーザに選択させるための通話状態選択画面を表示部30に表示し、当該通話状態選択画面に対する選択操作を通じて選択された通話状態にハンズフリーユニット10や携帯電話機20a,20b,20cを設定するようにしている。
【0032】
上記のように構成した本実施形態によれば、ハンズフリー通話用としてハンズフリーユニット10に登録された携帯電話機20a,20b,20cが車室内に持ち込まれると、その時点で携帯電話機20a,20b,20cとハンズフリーユニット10とが通信可能な状態となる。ただし、その状態で携帯電話機20a,20b,20cに対して着信があっても、直ちにハンズフリー通話状態とはされず、通話状態選択画面が表示され、ユーザに通話状態の選択の機会が与えられる。そして、ユーザが所望の通話状態を選択すると、その選択した通話状態に設定される。これにより、ハンズフリー通話にするかハンドセット通話にするかについて、常にユーザ(運転者または同乗者)の希望に沿った状態で通話を行うことができるようになる。
【0033】
次に、本発明の他の実施形態を図面に基づいて説明する。図4は、本発明によるハンズフリー通話の選択装置を実施した他の実施形態によるハンズフリー通話システムの構成例を示すブロック図である。なお、この図4において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0034】
図4に示すハンズフリー通話システムは、図1の構成に加えて台数検出部8を備えている。また、図1の選択画面表示部5に代えて、これと機能が異なる選択画面表示部5’を備えている。さらに、図1の通話設定部7に代えて、これと機能が異なる通話設定部7’を備えている。
【0035】
台数検出部8は、通信可能状態となっている携帯電話機20a,20b,20cに対して着信があったときに、当該着信があった携帯電話機も含めて通信可能状態となっている携帯電話機の台数を検出する。すなわち、台数検出部8は、ハンズフリーユニット10に識別情報が登録されている3台の携帯電話機20a,20b,20cのうち、実際に車室内に持ち込まれてハンズフリーユニット10との間で通信可能状態となっている携帯電話機の台数を検出する。
【0036】
具体的には、携帯電話機20a,20b,20cが車室内に持ち込まれてブルートゥース機能によりハンズフリーユニット10と通信可能状態になったことを制御部1が検知したときに、どの携帯電話機が通信可能状態となっているかを示す情報を図示しないメモリに記憶しておく。台数検出部8は、制御部1を通じてこのメモリの情報を参照することにより、ハンズフリーユニット10との間で通信可能状態となっている携帯電話機の台数を検出する。そして、台数検出部8は検出した台数を制御部1に通知する。制御部1は、台数検出部8から通知された台数に応じて、選択画面表示部5’および通話設定部7’を制御する。
【0037】
通信可能状態となっている携帯電話機が1台であることが台数検出部8により検出された場合、選択画面表示部5’は通話状態選択画面の表示を行わない。また、通話設定部7’は、ハンズフリーユニット10と着信のあった携帯電話機とを一律的にハンズフリー通話状態に設定する。すなわち、通信可能状態となっている携帯電話機が1台、つまり車室内に持ち込まれた携帯電話機が1台ということは、その1台は運転者のものである可能性が極めて高い。そこで、その場合には強制的にハンズフリー通話状態に設定する。
【0038】
一方、通信可能状態となっている携帯電話機が2台以上であることが台数検出部8により検出された場合、選択画面表示部5’は通話状態選択画面の表示を行う。また、通話設定部7’は、操作受付部6が受け付けた選択操作により選択された通話状態にハンズフリーユニット10と着信のあった携帯電話機とを設定する。すなわち、通信可能状態となっている携帯電話機が2台以上ということは、運転者の携帯電話機と同乗者の携帯電話機とがあり、どちらの携帯電話機において着信があったかは不明である。そこで、この場合には通話状態選択画面を表示してユーザに好みの通話状態を選択させる。
【0039】
図4のような構成によれば、運転者が一人で自動車に乗り込んで運転をしているときに着信があった場合には、運転者の携帯電話機を自動的にハンズフリー通話状態に設定することができる。一方、ハンズフリーユニット10との間で通信可能状態となっている携帯電話機が2台以上あり、運転者の他に同乗者もいると思われる場合には、通話状態選択画面を通じてハンズフリー通話状態かハンドセット通話状態かをユーザが任意に選択することができる。これにより、ハンズフリー通話を希望する可能性が高い運転者に対する利便性と、ハンズフリー通話かハンドセット通話かを状況に応じて選びたい同乗者に対する選択の柔軟性とを実現することができる。
【0040】
なお、ハンズフリーユニット10との間で通信可能状態となっている携帯電話機が2台以上ある場合には、運転者の携帯電話機に着信があったときでも通話状態選択画面が表示されることとなる。しかし、運転者であっても、長距離運転の道中で同乗者と運転を交代した場合には、その後はハンドセット通話を行ってもよい状態となる。よって、通話状態選択画面が表示されれば、実際に運転しているときの着信時にはハンズフリー通話を選択し、運転を交代した後の着信時にはハンドセット通話を選択できて便利である。
【0041】
次に、本発明の更に別の実施形態を図面に基づいて説明する。図5は、本発明によるハンズフリー通話の選択装置を実施した更に別の実施形態によるハンズフリー通話システムの構成例を示すブロック図である。なお、この図5において、図4に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0042】
図5に示すハンズフリー通話システムは、図4の構成に加えて停車判定部9を備えている。また、図4の選択画面表示部5’に代えて、これと機能が異なる選択画面表示部5”を備えている。さらに、図4の通話設定部7’に代えて、これと機能が異なる通話設定部7”を備えている。
【0043】
停車判定部9は、ハンズフリーユニット10との間で通信可能状態となっている携帯電話機が1台であることが台数検出部8により検出された場合に、ハンズフリー通話システムを搭載した車両が停車中か否かを判定する。この停車判定部9は、車内LAN70に接続されており、車内LAN70を通して送られてくる信号に基づいて、車両が停車中か否かを判定する。例えば、車内LAN70から送られてくる車速信号に基づいて、車両が停車中か否かを判定することが可能である。また、サイドブレーキが引かれているか否かを示す信号、あるいは、アクセサリキーがオンになっているか否かを示す信号に基づいて車両が停車中か否かを判定することも可能である。
【0044】
停車判定部9は、車両が停車中か否かの判定結果を制御部1に通知する。制御部1は、台数検出部8から通知される携帯電話機の台数および停車判定部9での判定結果に応じて、選択画面表示部5”および通話設定部7”を制御する。
【0045】
ハンズフリーユニット10と通信可能状態となっている携帯電話機が1台であることが台数検出部8により検出され、かつ、車両が停車中でないと停車判定部9により判定された場合、選択画面表示部5”は通話状態選択画面の表示を行わない。また、通話設定部7”は、ハンズフリーユニット10と着信のあった携帯電話機とを一律的にハンズフリー通話状態に設定する。
【0046】
一方、通信可能状態となっている携帯電話機が1台であることが台数検出部8により検出され、かつ、車両が停車中であると停車判定部9により判定された場合、または、通信可能状態となっている携帯電話機が2台以上であることが台数検出部8により検出された場合、選択画面表示部5”は通話状態選択画面の表示を行う。また、通話設定部7”は、操作受付部6が受け付けた選択操作により選択された通話状態にハンズフリーユニット10と着信のあった携帯電話機とを設定する。
【0047】
図5のような構成によれば、運転者が一人で自動車に乗り込んで運転をしているときに着信があった場合でも、車両が停車中のときは、一律にハンズフリー通話状態とするのではなく、通話状態選択画面を通じてハンズフリー通話状態かハンドセット通話状態かを運転者が任意に選択することができる。これにより、車両が停車中か否かの状況に応じて、ハンズフリー通話かハンドセット通話かを適宜選びたいと考える運転者に対する選択の柔軟性を実現することができる。
【0048】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 制御部
4 ブルートゥース通信部
5,5’,5” 選択画面表示部
6 操作受付部
7,7’,7” 通話設定部
8 台数検出部
9 停車判定部
10 ハンズフリーユニット
20a,20b,20c 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機とハンズフリーユニットとが無線で接続されて通信可能状態となるハンズフリー通話システムに適用されるハンズフリー通話の選択装置であって、
上記通信可能状態となっている携帯電話機に対して着信があったときに、ハンズフリー通話状態またはハンドセット通話状態の何れかの通話状態をユーザに選択させるための選択画面を表示する選択画面表示部と、
上記選択画面表示部により表示された上記選択画面に対する選択操作を受け付ける操作受付部と、
上記操作受付部が受け付けた選択操作により選択された通話状態に設定する通話設定部とを備えたことを特徴とするハンズフリー通話の選択装置。
【請求項2】
上記通信可能状態となっている携帯電話機に対して着信があったときに、当該着信があった携帯電話機も含めて上記通信可能状態となっている携帯電話機の台数を検出する台数検出部を更に備え、
上記台数検出部により上記通信可能状態となっている携帯電話機が1台であることが検出された場合、上記選択画面表示部は上記選択画面の表示を行わず、上記通話設定部は上記ハンズフリー通話状態に設定し、
上記台数検出部により上記通信可能状態となっている携帯電話機が2台以上であることが検出された場合、上記選択画面表示部は上記選択画面の表示を行い、上記通話設定部は上記操作受付部が受け付けた選択操作により選択された通話状態に設定することを特徴とする請求項1に記載のハンズフリー通話の選択装置。
【請求項3】
上記通信可能状態となっている携帯電話機に対して着信があったときに、当該着信があった携帯電話機も含めて上記通信可能状態となっている携帯電話機の台数を検出する台数検出部と、
上記台数検出部により上記通信可能状態となっている携帯電話機が1台であることが検出された場合、上記ハンズフリー通話システムを搭載した車両が停車中か否かを判定する停車判定部とを更に備え、
上記台数検出部により上記通信可能状態となっている携帯電話機が1台であることが検出され、かつ、上記停車判定部により上記車両が停車中でないと判定された場合、上記選択画面表示部は上記選択画面の表示を行わず、上記通話設定部は上記ハンズフリー通話状態に設定し、
上記台数検出部により上記通信可能状態となっている携帯電話機が1台であることが検出され、かつ、上記停車判定部により上記車両が停車中であると判定された場合、または、上記台数検出部により上記通信可能状態となっている携帯電話機が2台以上であることが検出された場合、上記選択画面表示部は上記選択画面の表示を行い、上記通話設定部は上記操作受付部が受け付けた選択操作により選択された通話状態に設定することを特徴とする請求項1に記載のハンズフリー通話の選択装置。
【請求項4】
携帯電話機とハンズフリーユニットとが無線で接続されて通信可能状態となるハンズフリー通話システムにおいて、上記携帯電話機に対して着信があったときに通話状態を選択して設定するようになされたハンズフリー通話の選択方法であって、
上記通信可能状態となっている携帯電話機に対して着信があったときに、ハンズフリー通話状態またはハンドセット通話状態の何れかの通話状態をユーザに選択させるための選択画面を表示する第1のステップと、
上記第1のステップで表示された上記選択画面に対する選択操作を受け付ける第2のステップと、
上記第2のステップで受け付けた選択操作により選択された通話状態に設定する第3のステップとを有することを特徴とするハンズフリー通話の選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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