説明

ハンズフリー電話装置、ハンズフリー通話方法及びハンズフリー通話プログラム

【課題】通話開始からエコーキャンセラーの収束までの期間のエコー及びハウリングを抑止できる安価、低電力消費、低発熱量のハンズフリー電話装置を提供する。
【解決手段】送信信号路にアッテネータ107を挿入する。LEC110における回線エコーの推定の回数を推定カウンター108により計数する。推定カウンター108のカウント値は、LEC110の収束の度合いを表している。制御部105は、通話開始時に減衰初期値をアッテネータ107に設定し、推定カウンター108で計数したカウント値が所定の推定カウンター閾値を超えたとき、アッテネータ107の減衰量をゼロにする。カウント値が1以上で推定カウンター閾値未満の場合、発話検出部106で検出した音量が音量閾値未満のときは、その減衰量を初期値に保持し、音量が音量閾値以上のときは初期値に加算減衰値を加えた減衰量をアッテネータ107に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エコーキャンセラーにより回線エコーを消去するハンズフリー電話に関し、特に通話開始時における回線エコー又はハウリングの抑止に関する。
【背景技術】
【0002】
エコーキャンセラーは、エコーを推定し消去するまでに多少の時間を要する。そのため、ハンズフリー通話開始時には大きなエコーやハウリングが発生してしまう。ハンズフリー電話機で使用するエコーキャンセラーには、音響エコーを消去するアコースティックエコーキャンセラー(AEC)と、回線エコーを消去するラインエコーキャンセラー(LEC)の2種類がある。音響エコーは電話機の設置環境を変えない限り大きく変化しないので、一回目の通話の際にエコーを推定しその推定値を保存しておくことにより、二度目以降の通話の際には大きなエコーやハウリングを抑制することができる。他方、回線エコーは使用する回線により大きく異なるため、通話毎に推定し直す必要があり、回線エコーが大きい回線に接続された場合には、大きなエコーやハウリングが通話開始時に毎回発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−359580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、第1のエコーキャンセラ(30A、アコースティックエコーキャンセラー)と第2のエコーキャンセラ(30B、ラインエコーキャンセラー)との間に音声スイッチ(10)を設けた拡声通話装置(インタフォン)が開示されている。その特許文献1の拡声通話装置は、図1を参照して段落0027から0036に説明されているように、音声スイッチ(10)は、送話側減衰器(11)、受話側減衰器(12)、これら両減衰器の減衰量を制御する挿入損失量算出部(13)を有する。その挿入損失量算出部(13)は総損失量演算部(14)および損失量分配処理部(15)でなっている。この特許文献1の拡声通話装置では、挿入損失量算出部(13)により、送話側減衰器(11)および受話側減衰器(12)における減衰量を適切に制御することにより、通話開始時のエコー及びハウリングを抑止している(段落0032)。
【0005】
特許文献1の段落0031には、「総損失量算出部14では音響側帰還利得α及び回線側帰還利得βの推定値α',β'がともに通話開始から所定時間(数百ミリ秒)以上継続して所定の閾値ε(例えば、通話開始時における各推定値α',β'に対して10dB〜15dB小さい値)を下回った時点で第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30Bが充分に収束したものとみなし、上記時点以前には総損失量を初期値に固定する固定モードで動作し、上記時点以降には各推定値α',β'に基づいて総損失量を適応更新する更新モードに動作モードを切り換える。」と記載されている。この記載から明らかなように、特許文献1の装置では、音響側帰還利得α及び回線側帰還利得βの推定値α',β'を求め、推定値α',β'が閾値ε以上では、送話側減衰器(11)および受話側減衰器(12)の総損失量を初期値に固定し、推定値α',β'が閾値ε未満に低下したときに、第1のエコーキャンセラ(30A)及び第2のエコーキャンセラ(30B)が収束したものとみなし、送話側減衰器(11)および受話側減衰器(12)の総損失量を推定値α',β'に基づき適応更新している。
【0006】
上述の特許文献1の通話装置では、通話開始時には信号路に挿入した減衰器の減衰量を初期値に固定することにより、通話開始直後エコー及びハウリングを抑止するとともに、その後に帰還利得の推定値α',β'が閾値未満に低減したときは、エコーキャンセラの収束とみなし、減衰器の減衰量を推定値α',β'に基づき調整することにより減衰器の減衰量を適応更新するとしている。しかしながら、特許文献1の通話装置は、エコーキャンセラーの収束を検出するために、帰還利得の推定値α',β'を用いるので、総損失量演算部(14)および損失量分配処理部(15)でなる挿入損失量算出部(13)という大変に高度な演算を高速で行う演算処理装置を要する。総損失量演算部(14)で行う演算については、図2を参照して、段落0033−0036に記載されている。このような高速演算を可能にする演算処理装置は高価であるばかりでなく、電力消費量が大きく、発熱量も高い。更に、このような演算には相当な時間を要するので、減衰器の減衰量制御が適切なタイミングで行い得るか否か、特許文献1の記載では不明である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、通話開始からエコーキャンセラーの収束までの期間のエコー及びハウリングを抑止し、エコーキャンセラーの収束後はその減衰器の減衰を除き得るとともに、安価、低電力消費、低発熱量のハンズフリー電話装置並びに、ハンズフリー通話方法及びハンズフリー通話プログラムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明によるハンズフリー電話装置並びに、ハンズフリー通話方法及びハンズフリー通話プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0009】
(1)受信信号を音声に変換するスピーカと、音声を電気信号の送信信号に変換するマイクロフォンと、送信信号路における送信信号に基づき受信信号路における回線エコーを推定し、該回線エコーを消去する回線エコーキャンセラーと、該回線エコーキャンセラーによる該回線エコーの推定を制御する制御手段とを含むハンズフリー電話装置において、
前記回線エコーの推定の回数を計数する推定カウンターと、送信信号路に挿入された減衰器とを有し、
前記制御手段は、前記推定カウンターで計数した前記回数に基づく減衰量を前記減衰器に設定することを特徴とするハンズフリー電話装置。
(2)受信信号を音声に変換するスピーカと、音声を電気信号の送信信号に変換するマイクロフォンと、送信信号路における送信信号に基づき受信信号路における回線エコーを推定し、該回線エコーを消去する回線エコーキャンセラーと、該回線エコーキャンセラーによる該回線エコーの推定を制御する制御手段とを含むハンズフリー電話装置により通話をするハンズフリー通話方法において、
前記回線エコーの推定の回数を推定カウンターにより計数し、前記送信信号路に設けた減衰器の減衰量を該回数に基づき設定することを特徴とするハンズフリー通話方法
(3)上記(2)に記載のハンズフリー通話方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施することを特徴とするハンズフリー通話プログラム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通話開始からエコーキャンセラーの収束までの期間のエコー及びハウリングを抑止し、エコーキャンセラーの収束後はその減衰器の減衰を除き得るとともに、安価、低電力消費、低発熱量のハンズフリー電話装置並びに、ハンズフリー通話方法及びハンズフリー通話プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかるハンズフリー電話装置の構成を示すブロック回路図である。
【図2】図1に示した実施の形態1にかかるハンズフリー電話装置における処理の手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明によるハンズフリー電話装置およびハンズフリー通話方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明によるハンズフリー電話装置およびハンズフリー通話方法について主に説明するが、かかる方法をコンピュータにより実行可能なハンズフリー通話プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいはハンズフリー通話プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかるハンズフリー電話装置の構成を示すブロック回路図である。図1のハンズフリー電話機101は、使用者の音声を入力し電気信号に変換するマイク102と、通話相手の音声を電気信号から音に変換するスピーカ103と、音響エコー115を送信信号113から消去するAEC(アコースティックエコーキャンセラー)104と、CPUでなる制御部105と、送信信号113を分析し抑揚のある音声と無音や抑揚のないトーン等の切り分けを行うと共に音量を検出する発話検出部106と、送信信号113を減衰させるアッテネータ107と、LEC(ラインエコーキャンセラー)110のエコー推定回数をカウントする推定カウンター108と、ROM(リードオンリーメモリ)でなる記憶部109と、回線エコー116を受信信号114から消去するLEC110と、回線112とのインタフェースを行う回線インタフェース111とで構成されている。
【0014】
制御部105は、AEC104と発話検出部106とアッテネータ107と推定カウンター108と記憶部109とLEC110を制御する。記憶部109には、減衰値、減衰加算値、推定カウンター閾値および音量閾値を記憶しておく。減衰値および減衰加算値は、アッテネータ107に設定するべき減衰量の大きさを表す。推定カウンター閾値は、推定カウンター108のカウント値に基づくLEC110の収束判断に係る閾値である。また、音量閾値は、発話検出部106で検出する音量に基づく減衰加算値の加算の要否に係る閾値である。
【0015】
図2は、図1に示したハンズフリー電話装置101における処理の手順を示す流れ図である。この図1を参照して、そのハンズフリー電話機101の動作を次に説明する。
【0016】
まずハンズフリー電話機101が起動すると、制御部105は推定カウンター108をクリアする(ステップS1)と共に、記憶部109から初期減衰値(6dBとする)を読み出し(ステップS2)、アッテネータ107の減衰値を6dBに設定する(ステップS3)。
【0017】
次に、ハンズフリーでの発呼またはハンズフリーでの着呼により回線112と接続されたか否かを判断する(ステップS4)。制御部105は、オフフック信号(図示せず)の入力があったときに、ハンズフリー電話装置101の回線インタフェース111が回線112に接続されたと判断する。
【0018】
発話検出部106は、制御部105の制御を受け、送信信号113を分析することにより、送信信号113が抑揚のある音声の信号であるか、或いは無音や抑揚のないトーン等の音声信号以外の信号であるかの切り分けを行い、送信信号113が音声の信号であるか否かを表す信号を制御部105に送る。制御部105は、発話検出部106からの信号を受け、送信信号113が発話であるか否かを判断する(ステップS5)。ステップS5において送信信号113が発話であると判断されたとき、制御部105は発話検出部106に送信信号113の音量を測定させ、発話検出部106にその音量を保存させておく(ステップS6)。
【0019】
続いて、制御部105は、LEC110を制御し、LEC110により回線エコー116の推定および消去を行い(ステップS8)、推定カウンター108をカウントアップする(ステップS9)。
【0020】
ステップS5において送信信号113が発話でないと判断されたとき、制御部105は、LEC110を制御し、LEC110におけるエコーの推定を停止させる(ステップS7)。発話であった場合は、LEC110は回線エコー116の推定および消去を行い、推定カウンター108をカウントアップする。
【0021】
次に制御部105は推定カウンター108のカウント値と記憶部109に記憶されている推定カウンター閾値との比較をする(ステップS10)。推定カウンター108のカウント値は、LEC110における回線エコー116の推定演算の回数を表し、LEC110で推定されている回線エコーの精度、ひいてはLEC110の収束の程度を表している。そこで、ステップS10では、制御部105は、推定カウンター108のカウント値と推定カウンター閾値との比較を行うことにより、LEC110の収束の程度を判断していることになる。
【0022】
ステップS5で発話でないと判断され、ステップS7に進み、LEC110におけるエコー推定演算が停止されときは、推定カウンター108のカウント値は変化しない(カウントアップされない。)
【0023】
ステップS10において、推定カウンターのカウント値が0であると判断されたとき、制御部105はアッテネータ107の減衰値を変更せず、初期減衰値の6dBを維持する(ステップS12)ことで、回線エコー116抑制し、またハウリングも抑制する。
【0024】
また、ステップS10において、推定カウンターのカウント値が1以上で推定カウンター閾値(本実施の形態では、推定カウンター閾値は10とする)未満であると判断されたとき、制御部105は、ステップS6において発話検出部106で測定し、保存しておいた音量を参照し、その音量を音量閾値(本実施の形態では、音量閾値は100とする。)と比較する(ステップS11)。
【0025】
ステップS11の比較において、音量が音量閾値以下であったとき、制御部105はアッテネータ107の減衰値を変更せず、初期減衰値の6dBを維持する(ステップS13)。初期減衰値を維持することで、回線エコー116を抑制し、またハウリングも抑制する。
【0026】
ステップS11の比較において、音量が音量閾値100以上の120であったとき(音量120は一例である。)、制御部105は記憶部109から減衰加算値(本実施の形態では、減衰加算値は4dBとする。)を読み出し、減衰加算値をアッテネータ107の減衰値(本実施の形態では、初期減衰値の6dB。)に加算し、アッテネータ107の減衰値を合計10dBとする(ステップS14)ことで、送信信号113の音量が適正音量より大きい場合でも、回線エコー116を抑制するとともに、ハウリングを抑制できる。
【0027】
ステップS10において、推定カウンター108のカウント値が推定カウンター閾値10以上であると判断されたとき、制御部105はアッテネータ107の減衰値を0dBにする(ステップS15)。推定カウンター108のカウント値が閾値以上であれば、LEC110におけるエコーの推定およびエコー消去は十分行われており、アッテネータ107で減衰する必要はなくなるので、アッテネータ107の減衰値を0dBに設定するのである。ステップS12−15に続いて、回線112との接続確認を行い(ステップS16)、未接続の場合は推定カウンタークリア(ステップS1)に戻り、接続の場合は、発話検出に戻る(ステップS5)。
【0028】
アッテネータ107に設定する初期減衰値および減衰加算値と、推定カウンター108のカウント値に基づくLEC110の収束判断に係る閾値である推定カウンター閾値と、発話検出部106で検出する音量に基づく減衰加算値の加算の要否に係る閾値である音量閾値とは、ハンズフリー電話機101のレベルダイヤ(マイク102から入力される音量と発話検出部106に入力される送信信号の強度との大小関係)やLEC101の性能等を考慮し決定し、前述のとおりに記憶部109に記憶しておく。
【0029】
(実施の形態2)
上に説明した実施の形態1では、推定カウンター108のカウント値と比較してLEC110の収束の判断をするのに用いられる推定カウンター閾値と、発話検出部106で検出する音量と比較して、減衰加算値の加算を要する程度に送信信号が大きいか否かを判断するのに用いられる音量閾値は、いずれも1つであった。これに対し、本実施の形態2では、推定カウンター閾値および音量閾値を多段に設け、記憶部109に記憶し、制御部105は図2におけるステップS10及びステップS11の判断を多段に行う。本実施の形態2の回路ブロック図は、実施の形態1の構成を示す図1と同じになる。また、実施の形態2の動作手順を示す流れ図は、実施の形態1の動作手順を示す図1におけるステップ10及びステップ11を後述のように変形したものとなる。
【0030】
例えば、推定カウンター閾値として、10,15及び20の3つを設け、(A)推定カウンター108のカウント値が10未満では、アッテネータ107に設定する減衰量は6dBとし、(B)カウント値が10以上15未満であれば、アッテネータ107に設定する減衰量は4dBとし、(C)カウント値が15以上20未満であれば、アッテネータ107に設定する減衰量は2dBとし、(D)カウント値が20以上であれば、アッテネータ107に設定する減衰量は0dBとする。実施の形態1の動作を示した図2のステップS10は、実施の形態2では、上記の3つの推定カウンター閾値10,15及び20に基づき、判断(A)乃至(D)を行うように変形する。
【0031】
また、例えば、音量閾値として、100及び120の2つを設け、(α)発話検出部106で検出した音量が100未満であれば、追加減衰量は0dBとし、(β)発話検出部106で検出した音量が100以上120未満であれば、追加減衰量は2dBとし、(γ)発話検出部106で検出した音量が120以上であれば、追加減衰量は4dBとする。実施の形態1の動作を示した図2のステップS11は、実施の形態2では、前記(A)乃至(C)の判断に続いて、これら判断(α)乃至(γ)を組み合わせて行うように、変形する。
【0032】
このように、推定カウンター閾値および音量閾値を多段に設け、LEC110の収束の度合い及び送信信号の音量に応じて、アッテネータ107に設定する減衰量の制御を多段に行うことにより、エコー116の抑制およびハウリングの抑制が確実に行えると共に、通話が実施の形態1以上に自然な音量で違和感なく行える。
【0033】
以上に詳しく説明した実施の形態1及び2では、LEC110における回線エコーの推定の回数を推定カウンター108により計数し、推定カウンター108のカウント値で以ってLEC110の収束の度合いを判断している。LEC110は、所定のロジックによる演算を繰り返し行い、回線エコーの推定の精度を順次向上し、推定した回線エコーを送信信号から減ずる演算により、送信信号路における回線エコーを除去する処理を行っている。そこで、回線エコーを推定する演算が行われたことを表す演算終了の信号は、LEC110から常時取得可能である。推定カウンター108は、その演算終了の信号をLEC110から受けて、該信号受信の回数を計数すれば、その回数が回線エコーの推定の回数である。このように、本実施の形態は、単なるカウンターだけでLEC110の収束の度合いの情報を取得している。
【0034】
単なる信号の計数によりLEC110の収束の度合いの情報を取得している本実施の形態では、LEC110の収束の度合いの情報を取得する回路が単なるカウンター(推定カウンター108)で構成できる。そこで、これら実施の形態1及び2のハンズフリー電話装置は、安価で、電力消費が少なく、また発熱量も小さい。勿論、上に詳しく説明したように、実施の形態1,2のハンズフリー電話装置は、通話開始からエコーキャンセラーの収束までの期間のエコー及びハウリングを抑止し、エコーキャンセラーの収束後はその減衰器の減衰を除き得るものである。
【0035】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、図2に示した動作の手順は一例であり、ステップS6の音量測定は、ステップ10とステップ11の間で行っても差し支えない。
【符号の説明】
【0036】
101 ハンズフリー電話機
102 マイク
103 スピーカ
104 AEC(アコースティックエコーキャンセラー)
105 制御部
106 発話検出部
107 アッテネータ
108 推定カウンター
109 記憶部
110 LEC(ラインエコーキャンセラー)
111 回線インタフェース111
113 送信信号
114 受信信号
115 音響エコー
116 回線エコー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号を音声に変換するスピーカと、音声を電気信号の送信信号に変換するマイクロフォンと、送信信号路における送信信号に基づき受信信号路における回線エコーを推定し、該回線エコーを消去する回線エコーキャンセラーと、該回線エコーキャンセラーによる該回線エコーの推定を制御する制御手段とを含むハンズフリー電話装置において、
前記回線エコーの推定の回数を計数する推定カウンターと、送信信号路に挿入された減衰器とを有し、
前記制御手段は、前記推定カウンターで計数した前記回数に基づく減衰量を前記減衰器に設定することを特徴とするハンズフリー電話装置。
【請求項2】
前記減衰器より前記マイクロフォン側の前記送信信号路における送信信号に含まれる音声信号が発話に基づく発話信号であるか、または発話信号でない非発話信号であるかの判定をする発話検出部を有し、
前記制御手段は、発話信号であるとの前記判定があったときにのみ前記回線エコーキャンセラーに前記推定をさせ、非発話信号であるとの前記判定があったときは前記回線エコーキャンセラーに前記推定をさせない
ことを特徴とする請求項1に記載のハンズフリー電話装置。
【請求項3】
前記推定カウンターで計数する前記回数に関する閾値である推定回数閾値と、該回線に接続された直後に前記減衰器に設定するべき初期減衰量とを記憶する記憶手段を有し、
前記制御手段は、前記回線に接続された直後に前記初期減衰量を前記減衰器に設定し、前記推定カウンターで計数した前記回数が前記推定回数閾値以上であるとき、前記減衰器の減衰量をゼロに設定する
ことを特徴とする請求項1または2の何れかに記載のハンズフリー電話装置。
【請求項4】
前記発話検出部は前記音声信号の音量を計る音量測定機能を有し、
前記記憶手段は、前記発話検出部で検出する前記音量に関する閾値である音量閾値と、前記推定カウンターで計数した前記回数に基づく前記減衰量に、前記発話検出部で測定した前記音量に基づき加算するべき加算減衰量とを更に記憶し、
前記制御部は、前記推定カウンターで計数した前記回数が1以上で前記推定回数閾値未満である場合には、前記発話検出部で検出した前記音量が前記音量閾値未満のときは前記加算減衰量をゼロとし、前記発話検出部で検出した前記音量が前記音量閾値以上のときは、前記推定カウンターで計数した前記回数に基づく前記減衰量に前記加算減衰量を加えた減衰量を前記減衰器に設定する
ことを特徴とする請求項2ないし3の何れかに記載のハンズフリー電話装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記推定回数閾値を多段とした多段の推定回数閾値と、該多段の各推定回数閾値にそれぞれ対応する多段の減衰量とを記憶し、
前記制御手段は、前記推定カウンターで計数した前記回数に基づき前記減衰器に設定する前記減衰量を、前記多段の各推定回数閾値にそれぞれ対応した前記減衰量とすることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のハンズフリー電話装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記音量閾値を多段とした多段の音量閾値と、該多段の各音量閾値にそれぞれ対応する多段の加算減衰量とを記憶し、
前記制御部は、前記推定カウンターで計数した前記回数に基づく前記多段の推定回数閾値に応じた前記減衰量に、前記多段の各音量閾値にそれぞれ対応した前記加算減衰量を加算した減衰量を前記減衰器に設定する
することを特徴とする請求項5に記載のハンズフリー電話装置。
【請求項7】
受信信号を音声に変換するスピーカと、音声を電気信号の送信信号に変換するマイクロフォンと、送信信号路における送信信号に基づき受信信号路における回線エコーを推定し、該回線エコーを消去する回線エコーキャンセラーと、該回線エコーキャンセラーによる該回線エコーの推定を制御する制御手段とを含むハンズフリー電話装置により通話をするハンズフリー通話方法において、
前記回線エコーの推定の回数を推定カウンターにより計数し、前記送信信号路に設けた減衰器の減衰量を該回数に基づき設定することを特徴とするハンズフリー通話方法
【請求項8】
前記減衰器より前記マイクロフォン側の前記送信信号路における送信信号に含まれる音声信号が発話に基づく発話信号であるか、または発話信号でない非発話信号であるかの判定を行い、
発話信号であるとの前記判定があったときにのみ前記回線エコーキャンセラーに前記推定をさせ、非発話信号であるとの前記判定があったときは前記回線エコーキャンセラーに前記推定をさせない
ことを特徴とする請求項7に記載のハンズフリー通話方法。
【請求項9】
前記回数に関する閾値である推定回数閾値と、通話開始の直後に前記減衰器に設定するべき初期減衰量とを記憶し、
前記通話開始の直後に前記初期減衰量を前記減衰器に設定し、前記推定カウンターで計数した前記回数が前記推定回数閾値以上であるとき、前記減衰器の減衰量をゼロに設定する
ことを特徴とする請求項7または8の何れかに記載のハンズフリー通話方法。
【請求項10】
請求項7ないし9に記載のハンズフリー通話方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施することを特徴とするハンズフリー通話プログラム。

【図1】
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【図2】
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