説明

ハンディタイプ電気掃除機

【課題】使い勝手の向上を図ることができるハンディタイプ電気掃除機を提供すること。
【解決手段】ハンディタイプ電気掃除機1の掃除機本体2では、重量物である電動送風機6を含む本体部5が重心となる。本体部5の周面では、所定角度位置にメインハンドル30が設けられ、その角度位置と180°隔たる角度位置にサブハンドル31が設けられているので、どちらのハンドルを把持しても、電動送風機6の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部5(重心)がくる。よって、掃除機本体2を安定した状態で移動させることができる。また、床面において掃除する領域を、広い領域から狭い領域へ(または、その逆へ)と移すためにメインハンドル30およびサブハンドル31のいずれか一方から他方に持ち替えると、電動送風機6の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部5が速やかに配置されるので、ハンドルを安定した状態で円滑に持ち替えれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンディタイプ電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機には、屋内の床面等を掃除するために一般的に広く用いられるキャニスタータイプと、携帯に便利なハンディタイプとが存在する。
下記特許文献1では、ハンディタイプの電気掃除機が提案されている。この電気掃除機は、把手および集塵部が設けられるとともに電動送風機が内蔵された掃除機本体と、床面の塵埃を吸い込む吸口体(吸込具)と、掃除機本体および吸口体を連結して塵埃を吸口体から掃除機本体へ誘導する連結管とを含んでいる。把手を把持して電気掃除機全体を移動させることで吸口体を塵埃に向けると、電気掃除機では、この塵埃を吸口体で吸い込んで掃除機本体の集塵部に溜めることができる。
【0003】
下記特許文献2では、キャニスタータイプの電気掃除機が提案されている。この電気掃除機は、電動送風機を内蔵して床面上を移動する掃除機本体と、一端が掃除機本体に接続されるホースと、ホースの他端に一端が接続される延長管と、延長管の他端に接続される吸込具とを含んでいる。吸込具は、上下に扁平なボックス状の本体ケースを有していて、本体ケースには、その底面から前面にわたって吸込口が形成されている。
【0004】
この電気掃除機において、床面において比較的広い領域を掃除する通常の場合には、本体ケースの底面における吸込口を床面に対向させて吸込具を移動させる。これにより、床面の塵埃は、本体ケースの底面における吸込口から本体ケース内に吸い込まれ、延長管およびホースを通過した後に、掃除機本体に溜められる。
一方、この吸込具は、本体ケースが直立して本体ケースの前面における吸込口が床面に対向するように、姿勢を変えることができる。直立した本体ケースは、横方向に薄くなる。そのため、直立した本体ケースを室内における壁面と家具との隙間に挿入することができ、この隙間における床面上の塵埃が、本体ケースの前面における吸込口から本体ケース内に吸い込まれ、掃除機本体に溜められる。
【0005】
つまり、特許文献2のキャニスタータイプの電気掃除機では、吸込具の姿勢を変えることで、床面において、比較的広い領域だけでなく、壁面と家具とに挟まれた狭い領域も掃除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−355196号公報
【特許文献2】特開2006−340739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のハンディタイプ電気掃除機でも、特許文献2のキャニスタータイプ電気掃除機のように、床面において、広い領域だけでなく、狭い領域も共通の吸込具で掃除できると便利である。また、ハンディタイプ電気掃除機では、掃除機本体を手で持って宙に浮かせた状態で使用する構成上、使い勝手の良さが特に注目される。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、使い勝手の向上を図ることができるハンディタイプ電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、手で持って操作され得る掃除機本体と、前記掃除機本体から前方へ延びる延長管と、前記延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機であって、前記掃除機本体は、電動送風機と、前記電動送風機の前方に取り外し可能に設けられた集塵ケースとを含む本体部と、前記本体部の周面の所定角度位置に、周面から外方へ張り出すように設けられたメインハンドルと、前記メインハンドルが設けられた角度位置と180°隔たる前記本体部周面の角度位置に、周面から外方へ張り出すように設けられたサブハンドルと、前記サブハンドルの前方延長線上に前記サブハンドルと一体化して設けられ、先端に前記延長管を連結でき、後端は略90°湾曲して前記集塵ケースへ空気および塵埃を誘導するための接続管と、を含むことを特徴とする、ハンディタイプ電気掃除機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記延長管は、前記接続管の先端に連結され、前記サブハンドル、前記接続管および前記延長管は、一直線状に延びていることを特徴とする、請求項1記載のハンディタイプ電気掃除機である。
請求項3記載の発明は、前記吸込具は、底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されたハウジングと、前記ハウジングに連結され、前記ハウジングとの連結部を中心に回動可能であり、前記延長管の先端に取り付けられるベンドと、を含み、前記主吸込口が床面に対向した基本姿勢と、前記副吸込口が床面に対向した倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができることを特徴とする、請求項2記載のハンディタイプ電気掃除機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記吸込具は、前記基本姿勢において前記副吸込口を閉じる一方で、前記倒立姿勢において前記副吸込口を開くシャッターと、前記シャッターの外表面に回転可能に設けられたローラーと、を含むことを特徴とする、請求項3記載のハンディタイプ電気掃除機である。
請求項5記載の発明は、前記メインハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記基本姿勢をとり、前記サブハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記倒立姿勢をとることを特徴とする、請求項3または4記載のハンディタイプ電気掃除機である。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記掃除機本体は、前記本体部の後端により形成される略円形の後端面と、前記メインハンドルの後端により前記本体部の後端面から外方へ張り出した一方張出面と、前記サブハンドルの後端により前記本体部の後端面から前記一方張出面と180°隔たる方向へ張り出した他方張出面とを有し、前記略円形の後端面、前記一方張出面および前記他方張出面が面一のフラット面を形成していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のハンディタイプ電気掃除機である。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記掃除機本体から前記延長管および前記吸込具を取り外し、前記掃除機本体の前記フラット面を床に対向させて前記掃除機本体を立設させることができ、前記掃除機本体には、取り外した前記延長管および前記吸込具に設けられた係止フックを引っ掛けるためのフック受けが設けられていることを特徴とする、請求項6記載のハンディタイプ電気掃除機である。
【0013】
請求項8記載の発明は、前記サブハンドルには、前記電動送風機に電力を供給するための電気コードの一端側が埋設されており、前記電気コードの一端側は、使用時には、前記サブハンドルの前記他方張出面から後方へ伸び出た状態になり、前記掃除機本体を立設したときには、前記サブハンドルの前記他方張出面を避けて、前記サブハンドルの張出方向へ伸び出た状態となるようにコード伸出方向調整部材が設けられていることを特徴とする、請求項6または7記載のハンディタイプ電気掃除機である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、手で持って操作され得る掃除機本体と、掃除機本体から前方へ延びる延長管と、延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機において、掃除機本体では、重量物である電動送風機を含む本体部が重心となる。
本体部の周面では、所定角度位置にメインハンドルが設けられ、メインハンドルが設けられた角度位置と180°隔たる角度位置にサブハンドルが設けられている。メインハンドルおよびサブハンドルは、いずれも本体部の周面から外方へ張り出すように設けられている。
【0015】
そして、サブハンドルの前方延長線上には、接続管が、サブハンドルと一体化して設けられている。接続管では、先端に延長管を連結でき、後端は略90°湾曲していて、接続管は、本体部の集塵ケースへ空気および塵埃を誘導する。
ここで、メインハンドルおよびサブハンドルは、重心となる本体部を挟んで対称に配置されている。この場合、どちらのハンドルを把持しても、電動送風機の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部がくる。これにより、ハンドルを把持した手の下方に掃除機本体の重心が位置するので、掃除機本体を安定した状態で移動させることができる。
【0016】
また、たとえば、床面において掃除する領域を、広い領域から狭い領域へと移す場合(または、その逆の場合)、そのためにメインハンドルおよびサブハンドルのいずれか一方から他方に持ち替えると、電動送風機の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部が速やかに配置される。これにより、ハンドルを安定した状態で円滑に持ち替えることができる。
【0017】
以上の結果、使い勝手の向上を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、延長管は、接続管の先端に連結され、この状態で、サブハンドル、接続管および延長管は、一直線状に延びている。そのため、メインハンドルからサブハンドルに持ち替えると、サブハンドル、接続管および延長管を軸として、本体部が電動送風機の自重によって下向きに回動し、サブハンドルの下方へ速やかに移動する。これにより、メインハンドルからサブハンドルに安定した状態で円滑に持ち替えることができて使い勝手が良い。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、吸込具では、ハウジングの底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されていて、ハウジングには、ベンドが連結されている。ベンドは、ハウジングとの連結部を中心に回動可能であり、延長管の先端に取り付けられる。そのため、電動送風機が吸引力を発生すると、塵埃が、主吸込口または副吸込口からハウジング内に吸い込まれ、ベンド、延長管および接続管を通過した後に集塵ケースに溜められる。
【0019】
そして、吸込具は、主吸込口が床面に対向した基本姿勢と、副吸込口が床面に対向した倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができる。そのため、基本姿勢において、床面の広い領域の塵埃を主吸込口からハウジング内に効率的に吸い込むことができる。一方、倒立姿勢において、吸込具を横方向に薄くすることができるので、倒立姿勢の吸込具を、室内の壁面と家具との隙間や家具と家具との隙間に差し込んで、これらの隙間における床面の狭い領域の塵埃を副吸込口からハウジング内に吸い込むことができる。つまり、吸込具の姿勢を基本姿勢と倒立姿勢とに切り換えることによって、ハンディタイプ電気掃除機では、床面における広い領域および狭い領域の両方を掃除することができて使い勝手が良い。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、吸込具は、シャッターと、シャッターの外表面に回転可能に設けられたローラーとを含んでいる。
シャッターは、基本姿勢において副吸込口を閉じているので、床面の塵埃を、床面に対向している主吸込口からハウジング内に効率的に吸い込むことができる。また、たとえば、吸込具を室内の壁面に沿わせて移動させたい場合には、ローラーが壁面に触れて転がるので、吸込具を円滑に移動させることができて使い勝手が良い。
【0021】
一方、シャッターは、倒立姿勢において副吸込口を開くので、床面の狭い領域における塵埃を、この領域に対向している副吸込口からハウジング内に効率的に吸い込むことができる。この際、ローラーが床面に触れて転がるので、倒立姿勢の吸込具を床面上で円滑に移動させることができて使い勝手が良い。
請求項5記載の発明によれば、メインハンドルを把持した状態で、吸込具は基本姿勢をとり、サブハンドルを把持した状態で、吸込具は倒立姿勢をとる。
【0022】
ここで、メインハンドルおよびサブハンドルは、重心となる本体部を挟んで対称に配置されているので、これらのハンドルを安定した状態で円滑に持ち替えることができる。そのため、メインハンドルを把持すれば、吸込具は円滑に基本姿勢になり、サブハンドルを把持すれば、吸込具は円滑に倒立姿勢になるので、使い勝手が良い。
特に、サブハンドル、接続管および延長管は、一直線状に延びていることから、メインハンドルからサブハンドルに安定した状態で円滑に持ち替えることができるので、サブハンドルを把持すれば、吸込具は一層円滑に倒立姿勢になり、一層使い勝手が良い。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、掃除機本体は、本体部の後端により形成される略円形の後端面と、メインハンドルの後端により本体部の後端面から外方へ張り出した一方張出面と、サブハンドルの後端により本体部の後端面から張り出した他方張出面とを有している。他方張出面は、一方張出面と180°隔たる方向へ張り出していて、略円形の後端面、一方張出面および他方張出面が面一のフラット面を形成している。
【0024】
この場合、フラット面は、メインハンドル、本体部およびサブハンドルの並び方向に沿って長手かつ平坦なので、フラット面が床に対向するように掃除機本体を床に載置すると、掃除機本体は、当該並び方向へ倒れることなく、安定した姿勢を保つことができる。
請求項7記載の発明によれば、掃除機本体から延長管および吸込具を取り外し、掃除機本体のフラット面を床に対向させて掃除機本体を立設させることができる。このとき、掃除機本体は、安定した姿勢を保つことができる。そして、掃除機本体には、取り外した延長管および吸込具に設けられた係止フックを引っ掛けるためのフック受けが設けられているので、係止フックをフック受けに引っ掛けることで、立設した掃除機本体に延長管および吸込具を固定して、ハンディタイプ電気掃除機をコンパクトに収納することができて使い勝手が良い。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、サブハンドルには、電動送風機に電力を供給するための電気コードの一端側が埋設されている。また、ハンディタイプ電気掃除機には、コード伸出方向調整部材が設けられている。
コード伸出方向調整部材によって、電気コードの一端側は、使用時には、サブハンドルの他方張出面から後方へ伸び出た状態になり、掃除機本体を立設したときには、サブハンドルの他方張出面を避けて、サブハンドルの張出方向へ伸び出た状態となる。そのため、掃除機本体を立設したときには、電気コードの一端側が他方張出面から伸び出て床にぶつかることで掃除機本体が傾いて掃除機本体の姿勢が不安定になるといったことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(a)は、この発明の一実施形態に係るハンディタイプ電気掃除機1の右側面図であり、図1(b)は、ハンディタイプ電気掃除機1の正面図である。
【図2】図2は、ハンディタイプ電気掃除機1の掃除機本体2の右側断面図である。
【図3】図3は、吸込具4のシャッター54を開いた状態におけるハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
【図4】図4(a)は、吸込具4を倒立姿勢にした状態におけるハンディタイプ電気掃除機1の側面図であり、図4(b)は、吸込具4を倒立姿勢にした状態におけるハンディタイプ電気掃除機1の背面図である。
【図5】図5は、収納状態にあるハンディタイプ電気掃除機1の斜視図である。
【図6】図6は、収納状態にあるハンディタイプ電気掃除機1の側面図である。
【図7】図7は、収納状態にあるハンディタイプ電気掃除機1の平面図である。
【図8】図8は、収納状態にある変形例のハンディタイプ電気掃除機1の側面図である。
【図9】図9は、床面Vで立設させた状態における掃除機本体2の側面図であって、一部を断面で示している。
【図10A】図10Aは、変形例に係る掃除機本体2の側面図であって、一部を断面で示している。
【図10B】図10Bは、変形例に係る掃除機本体2を床面Vで立設させた状態における掃除機本体2の側面図であって、一部を断面で示している。
【図11】図11(a)は、掃除機本体2の後端面5Cに取り付けられる排気調整機構80の斜視図であり、図11(b)は、排気調整機構80の断面図である。
【図12】図12(a)は、排気調整機構80のスライド部材81の斜視図であり、図12(b)は、スライド部材81の断面図である。
【図13】図13(a)は、排気調整機構80の保持部材82の斜視図であり、図13(b)は、保持部材82の断面図である。
【図14】図14は、メインハンドル30を把持した場合における排気調整機構80の断面図である。
【図15】図15は、サブハンドル31を把持した場合における排気調整機構80の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1(a)は、この発明の一実施形態に係るハンディタイプ電気掃除機1の右側面図であり、図1(b)は、ハンディタイプ電気掃除機1の正面図である。図2は、ハンディタイプ電気掃除機1の掃除機本体2の右側断面図である。
以下では、図1(a)におけるハンディタイプ電気掃除機(以下では、単に「掃除機」という)1の姿勢を基準として、掃除機1の前後左右方向を規定する。図1(a)において、左側が前側であり、右側が後側であり、奥側が左側であり、手前側が右側である。また、左右方向は、幅方向と同義である。
【0028】
掃除機1は、掃除機本体2と、掃除機本体2から前方へ延びる延長管3と、延長管3の先端に取り付けられた吸込具4とを有している。この掃除機1で掃除をする際、掃除機本体2を手で持って宙に浮かせて操作し、この状態で掃除機1全体を移動させる。
<掃除機本体>
図2を参照して、掃除機本体2は、中空の略円筒状をなす本体部5を備えている。なお、図1(a)と図2とで、掃除機本体2の姿勢は一致している。
【0029】
本体部5は、その内部に収納される電動送風機6と、電動送風機6の前方において取り外し可能に設けられた集塵部7とを備えている。掃除機本体2では、重量物である電動送風機6を含む本体部5が重心となる。
本体部5は、前下側へ延びる中心軸Jを有する円周面5Aと、円周面5Aを前側から塞ぐ前端面5Bと、円周面5Aを後側から塞ぐ後端面5Cとを一体的に備えている。
【0030】
図2の姿勢を基準として、本体部5の円周面5Aの下側部分の前端部には、接続管8が一体的に設けられている。接続管8は、本体部5の一部であり、略L字状に折れ曲っている。具体的には、接続管8は、円周面5Aの下側部分の前端部から、円周面5Aの径方向外側(下側)へ突出し、その後、前側へ折れ曲って、円周面5Aの中心軸Jに沿って前側へ直線状に延びている。そのため、接続管8の後端は、略90°湾曲している。
【0031】
接続管8において前側へ直線状に延びている部分を直線部分8Aといい、直線部分8Aの前端を先端8Bという。後述するように、先端8Bに延長管3を連結することができる(図1参照)。
先端8Bの周上1箇所(図2では上側面)には、解除レバー9が設けられている。解除レバー9は、直線部分8Aの長手方向に沿って長手である。解除レバー9は、一端に、接続管8の外周面側に露出される解除ボタン9Aと、他端に、接続管8の内周面側に露出されるフック9Bとを一体的に備えている。解除レバー9において、一端と他端との間の部分には、接続管8の円周面に対する接線と平行に延びる揺動軸9Cが挿通されていて、解除レバー9は、揺動軸9Cを中心として揺動可能である。また、解除レバー9には、ばね等の付勢部材(図示せず)が取り付けられていて、この付勢部材によって、解除レバー9は、解除ボタン9Aが接続管8の外周面側へ突出し、かつ、フック9Bが接続管8の内周面側へ突出するように、付勢されている。
【0032】
本体部5の前端面5Bは、略円形であり、前端面5Bには、本体部5の内部に向けて(図2では、後上側へ向けて)窪む収容凹部10が形成されている。収容凹部10は、本体部5の前側から見ると、略円形状に区画されている。本体部5において収容凹部10を区画する円周面の下側部分には、連通口11が形成されていて、連通口11に接続管8の後端が接続されている。これにより、接続管8の内部は、連通口11を介して収容凹部10の内部に連通している。
【0033】
また、収容凹部10の底面(図2における後端面)には、開口12が形成されている。開口12は、本体部5の内部において収容凹部10より後側の領域(収容室13という)に前側から連通している。
本体部5の後端面5Cは、略円形であり(後述する図4(b)参照)、本体部5の円周面5Aの中心軸Jと直交する方向に沿って平坦である。後端面5Cは、掃除機本体2の後端面となしている。つまり、掃除機本体2は、本体部5の後端面5Cにより形成される略円形の後端面を有している。後端面5Cには、排気口14が形成されている。排気口14は、収容室13に対して後側から連通している。
【0034】
電動送風機6は、本体部5の収容室13に収容されている。電動送風機6は、モータ15と、モータ15を収容するボックス状のモータカバー16とを備えている。モータ15は、電力が供給されることによって運転されて、吸引力を発生する。モータカバー16の前面は、前述した収容凹部10の底面を兼ねていて、モータカバー16の前面には、前述した開口12が形成されている。そして、モータカバー16において排気口14側には、吐出口17が形成されている。モータカバー16の内部は、開口12を介して収容凹部10内部に連通していて、吐出口17および排気口14を介して本体部5の外(機外)に連通している。そのため、電動送風機6では、モータ15が運転されると、収容凹部10からモータカバー16の内部を通って排気口14から機外に排出される空気の流れが発生する。
【0035】
集塵部7は、集塵ケース18と、ガイド部材19と、ホルダ20と、フィルタ21とを含んでいる。
集塵ケース18は、本体部5の中心軸Jと同軸をなす細長い円筒状のカップであって、前端面は塞がれていて、後端面は開放されている。集塵ケース18は、透明または半透明な素材(樹脂等)で形成されている。集塵ケース18の後端面において開放された部分を開口部18Aという。開口部18Aは、円形状に区画されている。また、集塵ケース18の円周壁において開口部18A側の部分の周上1箇所には、貫通穴(取込口18Bという)が形成されている。
【0036】
ガイド部材19は、略円筒形状である。ガイド部材19は、集塵ケース18の内部に収容され得る大きさを有している。ガイド部材19の前端面および後端面はいずれも開放されている。
ガイド部材19は、直径が一定である筒部分19Aと、筒部分19Aの前端から前側へ向かって拡径された拡径部分19Bと、筒部分19Aの後端から筒部分19Aの径方向外側へ向かって鍔状に張り出したフランジ部分19Cとを一体的に備えている。拡径部分19Bは、筒部分19Aの前端から徐々に拡径される部分と、この部分より前側において直径が一体である部分とを含んでいる。
【0037】
ガイド部材19には、筒部分19Aと拡径部分19Bとの境界部分においてガイド部材19の内部を二分する円形状の区画壁19Dが一体的に設けられている。
また、ガイド部材19では、筒部分19Aおよび区画壁19Dのそれぞれに、複数の貫通孔22が形成されている。
ホルダ20は、集塵ケース18およびガイド部材19と同軸状をなす略円錐台形状であり、前側へ向かって縮径されている。ホルダ20は、ガイド部材19の内部に収容され得る大きさを有している。ホルダ20の前端面および後端面はいずれも開放されている。ホルダ20は、その後端からホルダ20の径方向外側へ向かって鍔状に張り出したフランジ部分20Aを一体的に備えている。
【0038】
フィルタ21は、不織布やスポンジ等の目が極めて細かい材料で構成された布状である。フィルタ21は、ホルダ20に保持される。保持された状態で、フィルタ21では、一部が、ホルダ20の円周面を外側から覆っていて、残りの部分は、ホルダ20の開放された前端面からホルダ20の内側に入り込んでいる。そのため、ホルダ20に保持されたフィルタ21の断面は、略M(またはW)字形状をなしている。
【0039】
集塵部7を組み立てる場合には、まず、集塵ケース18の開口部18Aに、ガイド部材19を拡径部分19Bから通して、ガイド部材19を集塵ケース18の内部に収容する。ガイド部材19が集塵ケース18に収容された状態において、ガイド部材19のフランジ部分19Cが開口部18A側における集塵ケース18の内周面に係合していて、これにより、ガイド部材19が集塵ケース18内で位置決めされている。
【0040】
このとき、ガイド部材19は、集塵ケース18と同軸状をなしている。また、ガイド部材19の筒部分19Aおよび拡径部分19Bの各外周面と集塵ケース18の内周面との間には、隙間Xが確保されている。集塵ケース18(ガイド部材19)の径方向における隙間Xの大きさは、筒部分19Aに一致する部分ではほぼ一定であるが、拡径部分19Bに一致する部分では狭くなっている。隙間Xは、集塵ケース18の取込口18Bに連通している。
【0041】
また、集塵ケース18の内部空間においてガイド部材19よりも前側には、集塵ケース18の内部空間の略前半分に相当する大きさの集塵室Yが確保されている。前述した隙間Xと集塵室Yとは互いに連通している。
そして、フィルタ21を保持したホルダ20を、ガイド部材19の内部に後側から挿入して、ガイド部材19の内部に収容する。ホルダ20およびフィルタ21は、ガイド部材19に収容された状態において、ガイド部材19の内部空間において前述した区画壁19Dより後側の領域に配置されており、ガイド部材19とホルダ20との間にフィルタ21が位置している。また、このとき、ホルダ20のフランジ部分20Aが、ガイド部材19のフランジ部分19Cに後側から係合していて、これにより、ホルダ20およびフィルタ21がガイド部材19内で位置決めされている。
【0042】
これにより、集塵部7の組み立てが完了する。なお、ホルダ20およびフィルタ21をガイド部材19の内部に先に収容してからガイド部材19を集塵ケース18の内部に収容することで集塵部7を組み立てても構わない。
完成した集塵部7では、集塵ケース18の開口部18Aが、ガイド部材19のフランジ部分19Cおよびホルダ20のフランジ部分20Aによって塞がれている一方で、ホルダ20の開放された前端面からホルダ20の内側に入り込んでいるフィルタ21が、集塵ケース18の開口部18Aから外部(図2では後方)に露出されている。
【0043】
そして、集塵部7を、本体部5の前方に配置し、集塵ケース18の開口部18A側から、本体部5の前端面5Bの収容凹部10に挿入する。これにより、集塵部7が本体部5に装着される。なお、集塵部7を収容凹部10から外れるまで前側へ引き出せば、集塵部7を本体部5から離脱させることができる。
集塵部7が本体部5に装着された状態において、集塵部7では、集塵ケース18の後側略3分の1に相当する部分が収容凹部10内に収まっていて、それ以外の部分は、収容凹部10から前側へはみ出ている。このとき、集塵ケース18の開口部18Aは、収容凹部10の底面(モータカバー16の前面)の開口12に対して前側から対向して連通している。また、集塵ケース18の取込口18Bは、本体部5において収容凹部10を区画する円周面の連通口11に対して、収容凹部10の内側から対向して連通しており、連通口11を介して、接続管8の内部にも連通している。
【0044】
なお、集塵部7における開口部18Aの周囲と、収容凹部10の底面における開口12の周囲との隙間は、パッキン23によって塞がれている。また、集塵部7における取込口18Bの周囲と、本体部5において収容凹部10を区画する円周面における連通口11の周囲との隙間(さらには、接続管8と連通口11との隙間)は、パッキン24によって塞がれている。そのため、掃除機本体2内に取り込まれた空気が取込口18Bおよび連通口11を通過する際や、この空気が開口部18Aおよび開口12を通過する際において、前述した隙間から空気が漏れることが防止されている。
【0045】
そして、この掃除機本体2には、掃除機本体2を宙に浮かせて移動させるために把持されるメインハンドル30およびサブハンドル31が備えられている。
図2の状態を基準として、メインハンドル30は、本体部5の円周面の上側部分の前後方向における全域に亘って一体的に設けられていて、幅方向に薄い板状である。メインハンドル30には、本体部5の中心軸Jにほぼ沿うように長手となった長穴32が、メインハンドル30を幅方向に貫通するように形成されている。長穴32は、メインハンドル30を把持した手の指を通すためのものである。メインハンドル30全体は、上側(本体部5の径方向外側)へ円弧状に膨出する略D字形状をなしている。つまり、メインハンドル30は、本体部5の周面(円周面)の所定角度位置に、その周面から外方へ張り出すように設けられている。メインハンドル30の上側面の前側部分には、モータ15の運転を制御するために操作されるスイッチ33が設けられている。
【0046】
メインハンドル30の後側面30Aは、平坦面であり、本体部5の後端面5Cに対して上側から連続していて後端面5Cと面一をなしている。換言すれば、掃除機本体2は、メインハンドル30の後端により本体部5の後端面5Cから外方へ張り出した一方張出面をなす後側面30Aを有している。
サブハンドル31は、本体部5の円周面の下側部分に一体的に設けられており、電動送風機6(または、本体部5の中心軸J)を挟んでメインハンドル30の反対側に位置している。換言すれば、サブハンドル31は、メインハンドル30が設けられた角度位置と180°隔たる本体部5の周面の角度位置に、この周面から外方へ張り出すように設けられている。メインハンドル30およびサブハンドル31は、電動送風機6(本体部5の中心軸J)を基準として対称となっている。
【0047】
サブハンドル31は、略L字状をなしている。詳しくは、サブハンドル31は、接続管8の直線部分8Aの後端から直線部分8Aに沿って後側へ直線状に延びる直線部分31Aと、直線部分31Aの後端から直線部分31Aに直交して直線状に延びて本体部5の後端部に下側から接続される直交部分31Bとを一体的に備えている。直線部分31Aと直交部分31Bとの接続部分は、丸められている。
【0048】
ここで、接続管8を基準とすると、接続管8は、サブハンドル31の直線部分31Aの前方延長線上にサブハンドル31と一体化して設けられている。
このようなL字状のサブハンドル31と、本体部5の円周面の下側部分とによって、メインハンドル30を把持した手の指を通すための長穴34が区画されている。長穴34は、本体部5の中心軸Jに沿って長手である。
【0049】
サブハンドル31の直交部分31Bの後側面31Cは、平坦面であり、本体部5の後端面5Cに対して下側から連続していて後端面5Cと面一をなしている。換言すれば、掃除機本体2は、サブハンドル31の後端により本体部5の後端面5Cから外方へ張り出した他方張出面をなす後側面31Cを有している。ここで、メインハンドル30およびサブハンドル31が電動送風機6(本体部5)を基準として対称となっていることから、サブハンドル31の後側面31Cは、メインハンドル30の後側面30Aと180°隔たる方向へ張り出している。
【0050】
前述したように、メインハンドル30の後側面30Aと後端面5Cとが面一であることから、サブハンドル31の後側面31Cと、メインハンドル30の後側面30Aと、本体部5の後端面5Cとは、面一となっていて、まとまった状態で、フラット面35を形成している。
また、電動送風機6等の電気部品に対して外部の電力を供給するために、掃除機本体2には、電気コード37の一端側37Aが接続されている。電気コード37の一端側37Aは、サブハンドル31の直線部分31Aに埋設されている。また、一端側37Aには、ブッシング39が設けられていて、ブッシング39も直線部分31Aに埋設されている。つまり、ブッシング39がサブハンドル31からはみ出ないように構成されているので、この分、掃除機本体2(掃除機1)の小型化が図られているとともに、サブハンドル31を把持するときに、ブッシング39が邪魔にならない。
【0051】
そして、直交部分31Bの後側面31Cの下端部と、直線部分31Aの下側面の略後半分とには、切欠き38(コード伸出方向調整部材)が連続して形成されていて、この切欠き38から、電気コード37がはみ出ている。電気コード37の他端には、電気プラグ(図示せず)が接続されていて、この電気プラグがコンセント(図示せず)につながると、電気コード37から電動送風機6等の電気部品へ外部の電力を供給できる。
<延長管>
図1を参照して、延長管3は、直線状に延びる略円管状であって、掃除機本体2側の第1管40と、吸込具4側の第2管41と分割可能である。第1管40および第2管41のそれぞれの長さは、大体同じである。第2管41の後端部が第1管40の前端部の内側に収容されていて、この状態で、第1管40と第2管41とは同軸状をなしている。第2管41を第1管40内に収容していくことで、延長管3を伸縮させて延長管3の長さを変えることができる。
【0052】
第1管40の後端部の外周面の周上1箇所には、凹部42が形成されている(後述する図8参照)。後述するように、凹部42には、掃除機本体2の接続管8の先端8Bにおける解除レバー9のフック9B(図2参照)が受け入れられる。第1管40の前端部の上側面には、調整ボタン43が設けられている。調整ボタン43は、延長管3を伸縮させる際に操作される。
【0053】
第2管41の上側面には、長さ方向におけるほぼ全域において、複数の凹部44が間隔を隔てて並列するように形成されている(図1(b)参照)。いずれかの凹部44に対して、第1管40に設けられた図示しない爪が引っ掛かっていて、この状態で、延長管3の伸縮が規制されている。調整ボタン43を押すと、この爪(図示せず)を、いままで引っ掛かっていた凹部44から外すことができ、これにより、延長管3の伸縮が可能となる。そして、任意の長さになるように延長管3を伸縮させてから調整ボタン43を離すと、前述した爪(図示せず)が最寄りの凹部44に引っ掛かるので、延長管3を任意の長さで維持することができる。
【0054】
第2管41の前端部の上側面には、取り外しボタン45が設けられている。取り外しボタン45は、延長管3から吸込具4を取り外す際に操作される。
このような延長管3は、第1管40の後端部が掃除機本体2の接続管8の先端8Bに対して内嵌されることで、先端8B(掃除機本体2)に対して連結される。延長管3が先端8Bに連結された状態で、第1管40の後端部の凹部42(図8参照)には、接続管8の先端8Bにおける解除レバー9のフック9B(図2参照)が受け入れられており、これによって、延長管3が掃除機本体2に対して外れ不能に固定(ロック)されている。なお、解除レバー9の解除ボタン9Aを押すと、解除レバー9が揺動してフック9Bが凹部42から外れるので、掃除機本体2に対する延長管3のロックが解除され、延長管3を掃除機本体2から取り外すことができる。
【0055】
そして、図1に示すように、延長管3が接続管8の先端8Bに連結された状態では、サブハンドル31、接続管8および延長管3は、一直線状に延びている。
<吸込具>
吸込具4は、ハウジング50と、ベンド51とを含んでいる。
ハウジング50は、幅方向に長手(幅広)かつ上下方向に扁平で中空のボックス形状である。ハウジング50の底面50Aの前側には、幅方向に長手の主吸込口52が形成されており、ハウジング50の前面50Bには、幅方向に長手の副吸込口53が形成されている。副吸込口53は、主吸込口52に対して前側から連続している。主吸込口52および副吸込口53は、ハウジング50内に連通している。
【0056】
ハウジング50の前面50Bには、シャッター54が設けられている。シャッター54は、幅方向に長手の板状である。シャッター54は、幅方向から見て、前上側へ円弧状に膨出するように、湾曲している。シャッター54の前側面(外表面)の幅方向両端部には、ローラー55が設けられている。ローラー55は、前上側へ延びる円柱形状であって、先端部(前上側端部)が丸められている。ローラー55は、前上側へ延びる軸(図示せず)を中心に回転可能である。
【0057】
シャッター54は、前上側から、副吸込口53を開閉可能に覆っている。図1では、シャッター54が副吸込口53を閉じている。開いたシャッター54では、後側部分が、ハウジング50の天壁50Cの前端部の下側に隠れるようにハウジング50内に収容される(図示せず)。
ここで、シャッター54は、閉じるように付勢部材(ばねなど)で付勢されている。そのため、図3に示すように、壁Wに対してローラー55を押し付けることで、付勢部材の付勢力に抗してシャッター54を開くことができる。逆に、ローラー55を壁Wから離すと、付勢部材の付勢力によって、図1に示すように、シャッター54は速やかに閉じる。
【0058】
図1(a)に示すように、ハウジング50の後面の幅方向中央には、接続筒56が取り付けられている。接続筒56は、前後方向に延びる中心軸を有する略円筒状であり、ハウジング50の後面に対して後から挿通され、ハウジング50によって、上述した中心軸を中心として回動自在に支持されており、ハウジング50の一部となっている。接続筒56の内部は、ハウジング50内に連通している。接続筒56の後端面と外周部分の周上1箇所とは、連続して切欠かれており、切欠き部56Aとされる。
【0059】
ベンド51は、図1(a)では前後方向に長手の管状であり、その前端は、略球体状に形成されている。ベンド51の前端は、ハウジング50の接続筒56の切欠き部56Aに対して後から挿通されており、これによって、ベンド51は、接続筒56(ハウジング50)によって支持されている。
詳しくは、ベンド51では、前端がハウジング50に連結され、後端は、ハウジング50から後方へ突出している。この状態で、ベンド51は、前端を支点として、接続筒56に対して回動自在である。図1(a)では、ベンド51は、上下に回動自在である。そして、接続筒56が、前後方向に延びる中心軸を中心として回動自在であることから、ベンド51は、接続筒56に対して回動しつつ、接続筒56とともに、前後方向に延びる中心軸を中心として回動することができる。つまり、ベンド51は、ハウジング50との連結部である接続筒56を中心に回動可能である。
【0060】
ベンド51の内部は、接続筒56の内部を介して、ハウジング50内に連通している。ベンド51は、その後端において、延長管3の先端(第2管41の前端)に取り付けられる。
また、ハウジング50内には、回転ブラシ57が設けられている。回転ブラシ57は、幅方向に長手でハウジング50の左右の側壁によって回転可能に支持されている。回転ブラシ57のブラシ毛は、主吸込口52および副吸込口53の両方に臨んでいる。ハウジング50内には、モータやタービンが設けられている(図示せず)。モータが掃除機本体2から電力を受けることで駆動されたり、後述するようにハウジング50内に吸い込まれた空気でタービンが回転駆動されたりすることで、回転ブラシ57は、モータやタービンから駆動力を受けて回転する。
【0061】
図3は、吸込具4のシャッター54を開いた状態における掃除機1の右側面図である。図4(a)は、吸込具4を倒立姿勢にした状態における掃除機1の側面図であり、図4(b)は、吸込具4を倒立姿勢にした状態における掃除機1の背面図である。
このような吸込具4は、図1および図3に示す基本姿勢と、図4に示す倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができる。吸込具4が基本姿勢にあるとき、主吸込口52が床面Vに対して上から対向し(図1および図3参照)、吸込具4が倒立姿勢にあるとき、副吸込口53が床面Vに対して上から対向する。
【0062】
また、壁Wに対してローラー55を押し付けていない状態において吸込具4が基本姿勢にあれば、シャッター54は、副吸込口53を閉じている(図1参照)。一方で、吸込具4が倒立姿勢にあるときには、ローラー55が床面Vに当接されることで、シャッター54は、開く方向へ移動して、副吸込口53を開く(図4参照)。
そして、図1に示すように、掃除機本体2においてメインハンドル30を把持すると、メインハンドル30が掃除機本体2の上端に位置し、メインハンドル30の真下に本体部5が位置し、サブハンドル31が、本体部5を挟んでメインハンドル30の反対側(掃除機本体2の下側面側)に位置する。この状態では、吸込具4は基本姿勢をとり、延長管3は、吸込具4のハウジング50の長手方向(幅方向)に直交しつつ、後上側へ傾斜して延びている。このとき、掃除機本体2では、接続管8およびサブハンドル31が、延長管3の延長線上に延びている。
【0063】
この状態で、メインハンドル30を把持したまま前方に移動させ、図3に示すように、吸込具4をシャッター54側から室内の壁Wに押し付けると、シャッター54のローラー55が壁Wに当接され、これによって、シャッター54が開く。
また、図1の状態で、メインハンドル30からサブハンドル31に持ち替えてサブハンドル31を少し浮かせる。すると、掃除機本体2において図1でサブハンドル31より上側の本体部5およびメインハンドル30が、一直線状に延びている延長管3、接続管8およびサブハンドル31を軸として、電動送風機6の自重によって下向きに回動する。厳密には、掃除機1において吸込具4以外の部分が、延長管3、接続管8およびサブハンドル31を軸として、180°下向きに捻られる。これにより、本体部5およびメインハンドル30が、図4に示すように、サブハンドル31の下方へ速やかに移動する。そのため、メインハンドル30からサブハンドル31に安定した状態で円滑に持ち替えることができて使い勝手が良い。また、本体部5およびメインハンドル30が移動するのと同時に、サブハンドル31を少し浮かせたのに応じて延長管3が捻れながら少し上昇し、その際、吸込具4の後端部側を持ち上げるので、吸込具4の姿勢が倒立姿勢に変わり、シャッター54が開く。このとき、倒立姿勢の吸込具4と、延長管3および掃除機本体2とが同一の垂直平面H上に配置される(図4(b)参照)。
【0064】
そして、サブハンドル31からメインハンドル30に持ち替えると、本体部5およびサブハンドル31が、延長管3、接続管8およびサブハンドル31を伴って下向きに回動し、図1に示すように、メインハンドル30の下方に配置される。これと同時に、吸込具4の姿勢が、倒立姿勢から基本姿勢に戻る。
このように、メインハンドル30を把持した状態で、吸込具4は基本姿勢をとり、サブハンドル31を把持した状態で、吸込具4は倒立姿勢をとる。そして、メインハンドル30からサブハンドル31に持ち替えると、本体部5およびメインハンドル30がサブハンドル31の下方に位置し、サブハンドル31からメインハンドル30に持ち替えると、本体部5およびサブハンドル31がメインハンドル30の下方に位置する。
<掃除機による掃除>
図1に示すように吸込具4が基本姿勢にあってシャッター54が閉じている状態で、電気コード37の電気プラグ(図示せず)をコンセント(図示せず)につなげてメインハンドル30のスイッチ33をONにすると、電動送風機6(モータ15)に電力が供給され、電動送風機6が吸引力を発生する(図2参照)。この吸引力は、集塵部7、接続管8、延長管3、ベンド51およびハウジング50のそれぞれの内部に作用する。
【0065】
これにより、ハウジング50の底面50Aの主吸込口52にも吸引力が作用するので、ハウジング50の外部の空気が主吸込口52からハウジング50内に吸い込まれる。
そのため、主吸込口52が床面Vに対向した状態で、メインハンドル30を把持して吸込具4を床面V上で移動させれば、床面V上の塵埃が、主吸込口52からハウジング50内に吸引される空気に乗って、主吸込口52からハウジング50内に吸い込まれる。その後、ハウジング50内に流入したこれらの塵埃および空気は、ベンド51および延長管3を通って、掃除機本体2の接続管8に流入する。
【0066】
図2を参照して、接続管8を通過した塵埃および空気は、実線の太線矢印で示すように、本体部5の連通口11および集塵ケース18の取込口18Bを介して、集塵ケース18内に流入して、前述した隙間X(ガイド部材19の外周面と集塵ケース18の内周面との隙間X)に到達する。つまり、接続管8は、集塵ケース18へ空気および塵埃を誘導する。
【0067】
隙間Xに到達した空気は、破線の太線矢印で示すように、ガイド部材19の周りを旋回しながら隙間Xを前側へ通過して、集塵ケース18の内部空間の略前半分に相当する集塵室Yに到り、集塵室Yにおいて旋回しながら後側へ流れる。
集塵室Yを後側へ流れた空気は、1点鎖線の太線矢印で示すように、ガイド部材19の区画壁19Dの貫通孔22を通過したり、再び隙間Xに戻って筒部分19Aの貫通孔22を通過したりすることで、ガイド部材19の内部(区画壁19Dより後側の領域)に流入する。なお、集塵ケース18に流入した空気が一旦集塵室Yに流れてから貫通孔22を通過するようにするために、貫通孔22は、ガイド部材19において、集塵ケース18の取込口18Bに対向する位置から避けた位置に形成されている。
【0068】
そして、ガイド部材19の内部に流入した空気は、2点鎖線の太線矢印で示すように、フィルタ21を通過してホルダ20の内部に到り、その後、モータカバー16の前面の開口12からモータカバー16内に吸い込まれた後に吐出口17を経て、本体部5の後端面5Cの排気口14から機外に排出される。
前述したように、集塵ケース18(ガイド部材19)の径方向における隙間Xの大きさは、筒部分19Aに一致する部分では一定であるが、拡径部分19Bに一致する部分では狭くなっている。つまり、隙間Xは、集塵室Y側で狭くなっている。そのため、空気が隙間Xから集塵室Yへ流れると、集塵室Yと隙間Xとでは、隙間Xにおいて狭くなっている集塵室Y側を境として、圧力差が生じる。これにより、空気とともに、集塵ケース18内に流入して隙間Xに到達した塵埃は、この圧力差によって勢いよく集塵室Yへ送り込まれ、集塵室Yに前側(集塵ケース18の底側)から溜められる。
【0069】
空気に乗ってガイド部材19の内部にまで流入する塵埃も存在し得るが、この塵埃は、フィルタ21で捕獲される。また、排気口14には、別のフィルタ25が設けられていて、フィルタ21で捕獲されなかった微細な塵埃は、このフィルタ25によって捕獲される。また、このフィルタ25は、排気音を小さくする機能も有している。
集塵部7を本体部5から取り外すことによって、集塵室Yに溜まった塵埃を捨てたり、フィルタ21をメンテナンスしたりすることができる。
【0070】
図1に示すように、吸込具4が基本姿勢にある状態では、シャッター54が副吸込口53を閉じているので、吸引力を主吸込口52だけに作用させることができる。そのため、床面Vの塵埃を、床面Vに対向している主吸込口52からハウジング50内に効率的に吸い込むことができる。また、回転する回転ブラシ57が主吸込口52から床面Vの塵埃を掻き上げる。よって、塵埃を主吸込口52からハウジング50内へ効果的に流入させて集塵ケース18の集塵室Yに溜めることができる。
【0071】
一方、図3に示すように吸込具4を壁Wに押し付けるとシャッター54が副吸込口53を開く。この場合には、吸引力が副吸込口53にも作用するので、副吸込口53からハウジング50内に塵埃を吸い込むことができる。この場合、副吸込口53が壁Wに対向しているので、壁Wに付着した塵埃を副吸込口53からハウジング50内に吸い込むことができる。また、回転する回転ブラシ57において副吸込口53に臨むブラシ毛が壁Wの塵埃を副吸込口53へ掻き込むので、壁Wに付着した塵埃は、ハウジング50内に効率的に吸い込まれる。
【0072】
ハウジング50内に吸い込まれた塵埃は、前述したように、集塵ケース18の集塵室Y(図2参照)に溜められる。また、床面Vにおいて壁Wの際(壁際)の塵埃は、主吸込口52からハウジング50内に吸い込まれて集塵室Yに溜められる。
このように吸込具4を壁Wに押し付けてシャッター54が開いた状態で、メインハンドル30を把持し、壁Wに沿って吸込具4を横移動させる。すると、シャッター54のローラー55が壁Wの壁面に触れて転がる。これにより、ローラー55においてガイドされることで、吸込具4を壁Wに沿って円滑に横移動させることができて使い勝手が良い。吸込具4が横移動する際、壁Wの塵埃および壁際の塵埃がハウジング50内に吸い込まれて集塵室Yに溜められる。なお、シャッター54が閉じた状態にある基本姿勢の吸込具4を壁Wに沿わせることもでき、このときも、ローラー55が壁Wの壁面に触れて転がるので、吸込具4を壁Wに沿って円滑に横移動させることができる。
【0073】
また、吸込具4が基本姿勢にある状態で(図1および図3参照)、前述したようにメインハンドル30からサブハンドル31に持ち替えると、図4に示すように吸込具4が倒立姿勢になる。吸込具4が倒立姿勢になる際、ローラー55が床面Vに接触して床面Vによって下から押されることによって、シャッター54が開く。
吸込具4が倒立姿勢にあると、基本姿勢(図1および図3参照)のときに幅広で上下に扁平だったハウジング50において、副吸込口53側が底面となってベンド51側が天面となることで、ハウジング50が、横方向(水平方向)に薄くなる(床面Vに対するハウジング50の対向面積が小さくなる)。そのため、壁Wの壁面と家具との隙間や家具と家具との隙間といった床面Vにおける狭い領域にハウジング50を入り込ませることができる。
【0074】
そして、このとき、シャッター54が副吸込口53を開いているので、床面Vの狭い領域における塵埃を、この領域に対向している副吸込口53からハウジング50内に効率的に吸い込むことができる。この際、ローラー55が床面Vに触れて転がるので、倒立姿勢の吸込具4を床面V上で円滑に移動させることができて使い勝手が良い。
そして、副吸込口53からハウジング50内に吸い込まれた狭い領域における塵埃は、前述したように、集塵ケース18の集塵室Y(図2参照)に溜められる。
【0075】
このように、基本姿勢において、床面Vの広い領域の塵埃を主吸込口52からハウジング50内に効率的に吸い込むことができる(図1および図3参照)。一方、倒立姿勢において、吸込具4を横方向に薄くすることができるので、倒立姿勢の吸込具4を、室内の壁面と家具との隙間や家具と家具との隙間に差し込んで、これらの隙間における床面Vの狭い領域の塵埃を副吸込口53からハウジング50内に吸い込むことができる(図4参照)。つまり、吸込具4の姿勢を基本姿勢と倒立姿勢とに切り換えることによって、掃除機1では、床面Vにおける広い領域および狭い領域の両方を掃除することができて使い勝手が良い。
【0076】
また、メインハンドル30およびサブハンドル31は、重心となる本体部5を挟んで対称に配置されているので、どちらのハンドルを把持しても、電動送風機6の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部5がくる。これにより、ハンドルを把持した手の下方に掃除機本体2の重心が位置するので、掃除機本体2を安定した状態で移動させることができる。
【0077】
また、床面Vにおいて掃除する領域を、広い領域から狭い領域へと移す場合(または、その逆の場合)、そのためにメインハンドル30およびサブハンドル31のいずれか一方から他方に持ち替えると、電動送風機6の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部5が速やかに配置される。これにより、ハンドルを安定した状態で円滑に持ち替えることができる。その結果、メインハンドル30を把持すれば、吸込具4は円滑に基本姿勢になり、サブハンドル31を把持すれば、吸込具4は円滑に倒立姿勢になる。
【0078】
特に、サブハンドル31、接続管8および延長管3が一直線状に延びていることから、メインハンドル30からサブハンドル31に安定した状態で円滑に持ち替えることができるので、サブハンドル31を把持すれば、吸込具4は一層円滑に倒立姿勢になる(図4参照)。
以上により、同一の吸込具4によって、床面Vにおいて広い領域と狭い領域とを中断することなく連続して掃除でき、使い勝手の向上を図ることができる。
<掃除機の収納>
図5は、収納状態にある掃除機1の斜視図である。図6は、収納状態にある掃除機1の側面図である。図7は、収納状態にある掃除機1の平面図である。図8は、収納状態にある変形例の掃除機1の側面図である。
【0079】
掃除機1の収納に関連して、図1(a)に示すように、延長管3の前端部(吸込具4側の端部)の外周面には、吸込具4側へ折れ曲った係止フック60が設けられている。なお、係止フック60は、吸込具4に設けられてもよい。また、図5に示すように、掃除機本体2の接続管8の先端8B側における左外周面および右外周面のそれぞれには、係止フック60を引っ掛けるためのフック受け61が一体的に設けられている。つまり、一対のフック受け61が、接続管8を挟んで対称となるように設けられている。各フック受け61は、少なくとも接続管8の先端8B側に開放部61Aを有するボックス形状である。
【0080】
前述したように、接続管8の解除ボタン9A(図1参照)を押すと、掃除機本体2に対する延長管3のロックが解除されるので、一体となった状態にある吸込具4および延長管3を、掃除機本体2から取り外すことができる。
吸込具4および延長管3を掃除機本体2から取り外した後に、今まで掃除機本体2の後端に位置していたフラット面35(図1〜図4参照)を床(床面V)に上から対向させて、掃除機本体2を縦長になるように立設させる。このとき、フラット面35が床面Vに面接触するので、立設した掃除機本体2は、安定した姿勢を保つことができる(図6も参照)。
【0081】
そして、吸込具4が下端に位置して延長管3が吸込具4から上方ヘ略垂直に延びるようにしてから、延長管3の係止フック60を、いずれかのフック受け61の開放部61Aに上から嵌め込んでフック受け61に引っ掛ける。すると、延長管3が略垂直に延びた状態で、吸込具4および延長管3が掃除機本体2に固定され、掃除機1が収納状態になる。つまり、係止フック60をフック受け61に引っ掛けることで、立設した掃除機本体2に延長管3および吸込具4を固定して、掃除機1をコンパクトに収納することができて使い勝手が良い。
【0082】
このとき、図6に示すように、掃除機本体2では、フラット面35が引き続き床面Vに面接触していて、吸込具4の下端部が床面Vに接触している。ここで、フラット面35は、メインハンドル30、本体部5およびサブハンドル31の並び方向に沿って長手かつ平坦なので、フラット面35が床(床面V)に対向するように掃除機本体2を床に載置しても、掃除機本体2は、当該並び方向(図7の太い実線矢印参照)へ倒れることなく、安定した姿勢を保つことができる。一方、吸込具4の下端部と掃除機本体2のフラット面35とが床面Vに接触しているので、前記並び方向に対して直交する方向(図7の太い破線矢印参照)へ掃除機本体2(掃除機1全体)が倒れることもない。つまり、このような構成によって、収納状態の掃除機1の姿勢を安定させることができる。
【0083】
なお、フック受け61は、図8に示すように、接続管8において左外周面および右外周面以外の外周面(掃除機1が図1の姿勢にあるときの下外周面)に設けられてもよい。また、収納状態の掃除機1において、延長管3を縮めていてもよく(図5〜図8参照)、延長管3を伸ばしていても構わない。
図9は、床面Vで立設させた状態における掃除機本体2の側面図であって、一部を断面で示している。図10Aは、変形例に係る掃除機本体2の側面図であって、一部を断面で示している。図10Bは、変形例に係る掃除機本体2を床面Vで立設させた状態における掃除機本体2の側面図であって、一部を断面で示している。
【0084】
図2を参照して、前述したように、電気コード37の一端側37Aは、サブハンドル31の直線部分31Aに埋設されている。電気コード37の一端側37Aは、使用時(掃除機本体2を宙に浮かせて掃除しているとき)には、サブハンドル31の直交部分31Bの後側面31Cにおける切欠き38を介してサブハンドル31の後側面31Cから後方へ伸び出た状態になっている。
【0085】
一方、前述したように掃除機本体2のフラット面35を床面Vに上から対向させて、掃除機本体2を立設したときには、図9に示すように、電気コード37の一端側37Aは、湾曲して、直線部分31Aにおける切欠き38からはみ出ることで、横方向に伸び出る。つまり、一端側37Aは、サブハンドル31の後側面31Cを避けて、サブハンドル31の張出方向(本体部5の周面から外方へ向かう方向)へ伸び出た状態となる。
【0086】
また、切欠き38の代わりに、図10Aおよび図10Bに示す回動部材70(コード伸出方向調整部材)を用いることができる。
回動部材70は、円筒部71と、円筒部71の円周面の周上1箇所から円筒部71の径方向へ直線状に延びる管部72とを一体的に含んでいる。円筒部71の内部と管部72の内部とは連通している。また、円筒部71に円周面において、周方向で管部72との連結位置から180°隔てた位置には、円筒部71内に連通する開口71Aが形成されている。また、管部72において円筒部71に連結された基端部とは反対側の遊端部には、管部72内に連通する開口72Aが形成されている。
【0087】
回動部材70では、円筒部71が、サブハンドル31における直線部分31Aと直交部分31Bとの接続部分に埋設されている。回動部材70は、円筒部71を中心として、直線位置(図10A参照)と、回動位置(図10B参照)との間で回動可能である。
直線位置のとき、回動部材70の管部72は、直線部分31Aの延長線に沿ってサブハンドル31の後側面31Cから延びていて、管部72の開口72Aは、後側面31Cから後側へ突き出た位置で後方を臨んでいる(図10A参照)。
【0088】
回動位置のとき、管部72は、直交部分31Bの延長線に沿って延びていて、管部72の開口72Aは、後側面31Cを避けた方向を臨んでいる(図10B参照)。
そして、回動部材70内には、電気コード37の一端側37Aが収容されている。一端側37Aは、円筒部71の開口71Aを通って、掃除機本体2内の電気部品(前述した電動送風機6等)に接続されていて、管部72の開口72Aから掃除機本体2外へはみ出ている。
【0089】
図10Aに示すように回動部材70が直線位置にあるとき、電気コード37の一端側37Aは、管部72の開口72Aを介して、サブハンドル31の後側面31Cから後方へ伸び出た状態になっている。
一方、掃除機本体2を立設したときには、回動部材70は、床面Vに当接されることで、図10Bに示すように回動位置まで回動する。回動部材70が回動位置にあるとき、電気コード37の一端側37Aは、管部72の開口72Aを介して、サブハンドル31の後側面31Cを避けて、サブハンドル31の前述した張出方向へ伸び出た状態となる。
【0090】
これらの切欠き38(図2および図9参照)および回動部材70によって、電気コード37の一端側37Aは、使用時には、サブハンドル31の後側面31Cから後方へ伸び出た状態になる(図2および図10A参照)。一方、一端側37Aは、掃除機本体2を立設したときには、サブハンドル31の後側面31Cを避けて、サブハンドル31の張出方向へ伸び出た状態となる(図9および図10B参照)。そのため、掃除機本体2を立設したときには、電気コード37の一端側37Aが後側面31Cから伸び出て床面Vにぶつかる(後側面31Cと床面Vとに挟まれる)ことで掃除機本体2が傾いて掃除機本体2の姿勢が不安定になるといったことを防止できる(図9および図10B参照)。
<その他>
図11(a)は、掃除機本体2の後端面5Cに取り付けられる排気調整機構80の斜視図であり、図11(b)は、排気調整機構80の断面図である。図12(a)は、排気調整機構80のスライド部材81の斜視図であり、図12(b)は、スライド部材81の断面図である。図13(a)は、排気調整機構80の保持部材82の斜視図であり、図13(b)は、保持部材82の断面図である。
【0091】
掃除機本体2の後端面5C(図2参照)には、図11に示す排気調整機構80が取り付けられている。排気調整機構80は、後端面5Cの排気口14からの排気の向きを調整するものである。
排気調整機構80は、図12に示すスライド部材81と、図13に示す保持部材82とを含んでいる。
【0092】
図12を参照して、スライド部材81は、後端面5Cにおけるメインハンドル30およびサブハンドル31(図2参照)の並び方向に長手の板状である。なお、図12のスライド部材81は、略長方形状であるが、実際には、掃除機本体2の排気口14を覆う形状であれば、たとえば、楕円形状や円形状であっても構わない。
スライド部材81には、スライド部材81を厚さ方向に貫通するスリット83が、スライド部材81の長手方向に並んだ状態で複数(ここでは、5つ)形成されている。スリット83は、スライド部材81の長手方向に直交する方向に長手である。各スリット83は、その長手方向途中を延びるリブ84によって、長手方向において二分されている。スライド部材81において、隣り合うスリット83の間の部分は、所定方向(図12では右側)へ三角形状に突出する三角突起85をなしている。図12では、スライド部材81において、4つの三角突起85が形成されている。
【0093】
図13を参照して、保持部材82は、スライド部材81より大きく、前記並び方向に長手の板状である。保持部材82において、その長手方向に直交する方向における両端部は、互いに接近する方向に折り曲げられていて、これにより、保持部材82の当該両端部には、互いに離間する方向へ窪みつつ平行に延びるガイド溝86が形成されている。
保持部材82には、保持部材82を厚さ方向に貫通する出口87が、保持部材82の長手方向に並んだ状態で、スライド部材81の三角突起85(図12参照)の数(ここでは、4つ)だけ形成されている。各出口87は、保持部材82の長手方向に直交する方向において長手である。
【0094】
保持部材82でガイド溝86が形成された側とは反対側の側面(図13(a)では手前側の側面)において、その長手方向における各出口87の両端縁部には、互いに接近する方向へ傾斜して延びる板状のガイドリブ88が形成されている。つまり、出口87毎に一対のガイドリブ88が設けられている。各出口87の一対のガイドリブ88の先端の間には、所定の隙間が確保されている。
【0095】
図11を参照して、完成状態にある排気調整機構80では、スライド部材81は、保持部材82においてガイド溝86が形成された側から、保持部材82に取り付けられている。このとき、スライド部材81および保持部材82のそれぞれの長手方向は一致している。また、このとき、スライド部材81の各三角突起85は、保持部材82において対応する位置にある出口87に対して、前記長手方向に遊びを持って嵌っており、各三角突起85の先端は、各出口87の一対のガイドリブ88の先端の隙間に対して、前記長手方向に遊びを持って嵌っている。
【0096】
スライド部材81が保持部材82に取り付けられた状態において、スライド部材81では、その長手方向に直交する方向における一端部81A(図12(a)参照)が、保持部材82において同じ側のガイド溝86に嵌っていて、他端部81B(図12(a)参照)が、保持部材82において同じ側のガイド溝86に嵌っている。これにより、スライド部材81は、保持部材82によって、その長手方向に沿ってスライド自在に支持されている。スライド部材81は、各出口87における三角突起85の遊びの分だけスライドできる。
【0097】
そして、このような排気調整機構80は、掃除機本体2の本体部5の後端面5C(図2参照)に対して、排気口14を塞ぐように後側から取り付けられている。この状態において、排気調整機構80では、スライド部材81の各スリット83が、排気口14に対して後側から連通している。
図14は、メインハンドル30を把持した場合における排気調整機構80の断面図である。図15は、サブハンドル31を把持した場合における排気調整機構80の断面図である。
【0098】
メインハンドル30を把持している場合には(図1および図3参照)、図14に示すように、排気調整機構80が縦長の姿勢をとっていて、スライド部材81は、その自重によって下限の位置にある。このとき、スライド部材81の各三角突起85は、対応する出口87の下端に位置していて、この出口87の下端側のガイドリブ88に対して面接触している一方で、この出口87の上端側のガイドリブ88から離間している。これにより、各三角突起85と、対応する出口87の上端側のガイドリブ88との間には、所定の流路Zが形成されている。各流路Zは、スライド部材81で三角突起85に上側から隣接するスリット83と、各出口87の一対のガイドリブ88の先端の隙間とをつなぎつつ、斜め下側へ延びている。そのため、排気口14からの排気は、太線矢印で示すように、各流路Zを斜め下側へ流れて、各出口87の一対のガイドリブ88の先端の隙間から機外へ向けて斜め下方へ排出される。
【0099】
そのため、斜め下方へ排出される排気が、掃除機本体2の上端側のメインハンドル30を把持している手にかからないので、ユーザは、快適にメインハンドル30を把持できる(図1および図3参照)。
一方、メインハンドル30からサブハンドル31に持ち替えると、前述したように、メインハンドル30がサブハンドル31の下方に位置する(図4参照)。つまり、掃除機本体2の上下の向きが逆になるので、これに応じて、スライド部材81は、その自重によって、図15に示すように、今までとは反対側の位置までスライドし、結局、メインハンドル30を持っているときと同様に、下限の位置に配置される。これにより、メインハンドル30からサブハンドル31に持ち替えても、斜め下側へ延びる流路Zが形成される。そのため、排気口14からの排気は、機外へ向けて斜め下方へ排出されることから(太線矢印参照)、掃除機本体2の上端側のサブハンドル31を把持している手にかからないので、ユーザは、快適にサブハンドル31を把持できる。
【0100】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 ハンディタイプ電気掃除機
2 掃除機本体
3 延長管
4 吸込具
5 本体部
5C 後端面
6 電動送風機
8 接続管
8B 先端
18 集塵ケース
30 メインハンドル
30A 後側面
31 サブハンドル
31C 後側面
35 フラット面
37 電気コード
37A 一端側
38 切欠き
50 ハウジング
50A 底面
50B 前面
51 ベンド
52 主吸込口
53 副吸込口
54 シャッター
55 ローラー
60 係止フック
61 フック受け
70 回動部材
V 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で持って操作され得る掃除機本体と、前記掃除機本体から前方へ延びる延長管と、前記延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機であって、
前記掃除機本体は、
電動送風機と、前記電動送風機の前方に取り外し可能に設けられた集塵ケースとを含む本体部と、
前記本体部の周面の所定角度位置に、周面から外方へ張り出すように設けられたメインハンドルと、
前記メインハンドルが設けられた角度位置と180°隔たる前記本体部周面の角度位置に、周面から外方へ張り出すように設けられたサブハンドルと、
前記サブハンドルの前方延長線上に前記サブハンドルと一体化して設けられ、先端に前記延長管を連結でき、後端は略90°湾曲して前記集塵ケースへ空気および塵埃を誘導するための接続管と、
を含むことを特徴とする、ハンディタイプ電気掃除機。
【請求項2】
前記延長管は、前記接続管の先端に連結され、
前記サブハンドル、前記接続管および前記延長管は、一直線状に延びていることを特徴とする、請求項1記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項3】
前記吸込具は、
底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されたハウジングと、前記ハウジングに連結され、前記ハウジングとの連結部を中心に回動可能であり、前記延長管の先端に取り付けられるベンドと、を含み、
前記主吸込口が床面に対向した基本姿勢と、前記副吸込口が床面に対向した倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができることを特徴とする、請求項2記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項4】
前記吸込具は、
前記基本姿勢において前記副吸込口を閉じる一方で、前記倒立姿勢において前記副吸込口を開くシャッターと、
前記シャッターの外表面に回転可能に設けられたローラーと、
を含むことを特徴とする、請求項3記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項5】
前記メインハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記基本姿勢をとり、前記サブハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記倒立姿勢をとることを特徴とする、請求項3または4記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項6】
前記掃除機本体は、前記本体部の後端により形成される略円形の後端面と、前記メインハンドルの後端により前記本体部の後端面から外方へ張り出した一方張出面と、前記サブハンドルの後端により前記本体部の後端面から前記一方張出面と180°隔たる方向へ張り出した他方張出面とを有し、
前記略円形の後端面、前記一方張出面および前記他方張出面が面一のフラット面を形成していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項7】
前記掃除機本体から前記延長管および前記吸込具を取り外し、
前記掃除機本体の前記フラット面を床に対向させて前記掃除機本体を立設させることができ、
前記掃除機本体には、取り外した前記延長管および前記吸込具に設けられた係止フックを引っ掛けるためのフック受けが設けられていることを特徴とする、請求項6記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項8】
前記サブハンドルには、前記電動送風機に電力を供給するための電気コードの一端側が埋設されており、
前記電気コードの一端側は、使用時には、前記サブハンドルの前記他方張出面から後方へ伸び出た状態になり、前記掃除機本体を立設したときには、前記サブハンドルの前記他方張出面を避けて、前記サブハンドルの張出方向へ伸び出た状態となるようにコード伸出方向調整部材が設けられていることを特徴とする、請求項6または7記載のハンディタイプ電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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