ハンディタイプ電気掃除機
【課題】使い勝手の向上を図ることができるハンディタイプ電気掃除機を提供すること。
【解決手段】ハンディタイプ電気掃除機1の掃除機本体2では、重量物である電動送風機6を含む本体部5が重心となる。一対のハンドル20が、本体部5の円周面5Aの周方向に180°隔たる位置において外方へ張り出すように対称に設けられているから、どちらのハンドル20を把持しても、電動送風機6の自重によって、把持したハンドル20の下方に本体部5(掃除機本体2の重心)が位置するので、掃除機本体2を安定した状態で移動させることができる。また、床面Vにおいて掃除する領域を、広い領域から狭い領域へ(または、その逆へ)と移す場合、そのために一方のハンドル20から他方のハンドル20に持ち替えると、電動送風機6の自重によって、把持したハンドル20の下方に本体部5が速やかに配置されるので、ハンドル20を安定した状態で円滑に持ち替えれる。
【解決手段】ハンディタイプ電気掃除機1の掃除機本体2では、重量物である電動送風機6を含む本体部5が重心となる。一対のハンドル20が、本体部5の円周面5Aの周方向に180°隔たる位置において外方へ張り出すように対称に設けられているから、どちらのハンドル20を把持しても、電動送風機6の自重によって、把持したハンドル20の下方に本体部5(掃除機本体2の重心)が位置するので、掃除機本体2を安定した状態で移動させることができる。また、床面Vにおいて掃除する領域を、広い領域から狭い領域へ(または、その逆へ)と移す場合、そのために一方のハンドル20から他方のハンドル20に持ち替えると、電動送風機6の自重によって、把持したハンドル20の下方に本体部5が速やかに配置されるので、ハンドル20を安定した状態で円滑に持ち替えれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンディタイプ電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機には、屋内の床面等を掃除するために一般的に広く用いられるキャニスタータイプと、携帯に便利なハンディタイプとが存在する。
下記特許文献1では、ハンディタイプの電気掃除機が提案されている。この電気掃除機は、把手および集塵部が設けられるとともに電動送風機が内蔵された掃除機本体と、床面の塵埃を吸い込む吸口体(吸込具)と、掃除機本体および吸口体を連結して塵埃を吸口体から掃除機本体へ誘導する連結管とを含んでいる。把手を把持して電気掃除機全体を移動させることで吸口体を塵埃に向けると、電気掃除機では、この塵埃を吸口体で吸い込んで掃除機本体の集塵部に溜めることができる。
【0003】
下記特許文献2では、キャニスタータイプの電気掃除機が提案されている。この電気掃除機は、電動送風機を内蔵して床面上を移動する掃除機本体と、一端が掃除機本体に接続されるホースと、ホースの他端に一端が接続される延長管と、延長管の他端に接続される吸込具とを含んでいる。吸込具は、上下に扁平なボックス状の本体ケースを有していて、本体ケースには、その底面から前面にわたって吸込口が形成されている。
【0004】
この電気掃除機において、床面において比較的広い領域を掃除する通常の場合には、本体ケースの底面における吸込口を床面に対向させて吸込具を移動させる。これにより、床面の塵埃は、本体ケースの底面における吸込口から本体ケース内に吸い込まれ、延長管およびホースを通過した後に、掃除機本体に溜められる。
一方、この吸込具は、本体ケースが直立して本体ケースの前面における吸込口が床面に対向するように、姿勢を変えることができる。直立した本体ケースは、横方向に薄くなる。そのため、直立した本体ケースを室内における壁面と家具との隙間に挿入することができ、この隙間における床面上の塵埃が、本体ケースの前面における吸込口から本体ケース内に吸い込まれ、掃除機本体に溜められる。
【0005】
つまり、特許文献2のキャニスタータイプの電気掃除機では、吸込具の姿勢を変えることで、床面において、比較的広い領域だけでなく、壁面と家具とに挟まれた狭い領域も掃除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−355196号公報
【特許文献2】特開2006−340739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のハンディタイプ電気掃除機でも、特許文献2のキャニスタータイプ電気掃除機のように、床面において、広い領域だけでなく、狭い領域も共通の吸込具で掃除できると便利である。また、ハンディタイプ電気掃除機では、掃除機本体を手で持って宙に浮かせた状態で使用する構成上、使い勝手の良さが特に注目される。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、使い勝手の向上を図ることができるハンディタイプ電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、手で持って操作され得る掃除機本体と、前記掃除機本体から前方へ延びる延長管と、前記延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機であって、前記掃除機本体は、電動送風機と、前記電動送風機の前方に設けられた集塵室と、前記集塵室の前方に設けられた前記延長管を連結するための連結部材とを含む本体部と、前記本体部の周面の周方向に180°隔たる位置において外方へ張り出すように対称に設けられた一対のハンドルと、を含むことを特徴とする、ハンディタイプ電気掃除機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記掃除機本体と、前記掃除機本体の前記連結部材に連結された前記延長管とは、一直線状に延びていることを特徴とする、請求項1記載のハンディタイプ電気掃除機である。
請求項3記載の発明は、前記吸込具は、底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されたハウジングと、前記ハウジングに連結され、前記ハウジングとの連結部を中心に回動可能であり、前記延長管の先端に取り付けられるベンドと、を含み、前記主吸込口が床面に対向した基本姿勢と、前記副吸込口が床面に対向した倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができることを特徴とする、請求項1または2記載のハンディタイプ電気掃除機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記吸込具は、前記基本姿勢において前記副吸込口を閉じる一方で、前記倒立姿勢において前記副吸込口を開くシャッターと、前記シャッターの外表面に回転可能に設けられたローラーと、を含むことを特徴とする、請求項3記載のハンディタイプ電気掃除機である。
請求項5記載の発明は、一方の前記ハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記基本姿勢をとり、他方の前記ハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記倒立姿勢をとることを特徴とする、請求項3または4記載のハンディタイプ電気掃除機である。
【0011】
請求項6記載の発明は、手で持って操作され得る掃除機本体と、前記掃除機本体から前方へ延びる延長管と、前記延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機であって、前記掃除機本体は、電動送風機と、前記電動送風機の前方に設けられた集塵室と、前記集塵室の前方に設けられた前記延長管を連結するための連結部材とを含む本体部と、前記本体部の後端面中央から後方へ突出し、前方へ向けて前記本体部の周面と対向するように湾曲したハンドルであって、前記本体部の中心を中心に、少なくとも180°回動して、第1位置と、前記第1位置と180°隔たる第2位置とに変位し得るハンドルと、を含むことを特徴とする、ハンディタイプ電気掃除機である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、手で持って操作され得る掃除機本体と、掃除機本体から前方へ延びる延長管と、延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機において、掃除機本体では、重量物である電動送風機を含む本体部が重心となる。本体部は、電動送風機の前方に設けられた集塵室と、集塵室の前方に設けられた延長管を連結するための連結部材とを含んでいる。
【0013】
そして、一対のハンドルが、本体部の周面の周方向に180°隔たる位置において外方へ張り出すように対称に設けられている。つまり、一対のハンドルは、重心となる本体部を挟んで対称に配置されている。この場合、どちらのハンドルを把持しても、電動送風機の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部がくる。これにより、ハンドルを把持した手の下方に掃除機本体の重心が位置するので、掃除機本体を安定した状態で移動させることができる。
【0014】
また、たとえば、床面において掃除する領域を、広い領域から狭い領域へと移す場合(または、その逆の場合)、そのために一方のハンドルから他方のハンドルに持ち替えると、電動送風機の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部が速やかに配置される。これにより、ハンドルを安定した状態で円滑に持ち替えることができる。
以上の結果、使い勝手の向上を図ることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、掃除機本体と、掃除機本体の連結部材に連結された延長管とは、一直線状に延びている。そのため、一方のハンドルから他方のハンドルに持ち替えると、連結部材(掃除機本体)および延長管を軸として、本体部が電動送風機の自重によって下向きに回動し、他方のハンドルの下方へ速やかに移動する。これにより、ハンドルを安定した状態で円滑に持ち替えることができて使い勝手が良い。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、吸込具では、ハウジングの底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されていて、ハウジングには、ベンドが連結されている。ベンドは、ハウジングとの連結部を中心に回動可能であり、延長管の先端に取り付けられる。そのため、電動送風機が吸引力を発生すると、塵埃が、主吸込口または副吸込口からハウジング内に吸い込まれ、ベンド、延長管および連結部材を通過した後に集塵室に溜められる。
【0017】
そして、吸込具は、主吸込口が床面に対向した基本姿勢と、副吸込口が床面に対向した倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができる。そのため、基本姿勢において、床面の広い領域の塵埃を主吸込口からハウジング内に効率的に吸い込むことができる。一方、倒立姿勢において、吸込具を横方向に薄くすることができるので、倒立姿勢の吸込具を、室内の壁面と家具との隙間や家具と家具との隙間に差し込んで、これらの隙間における床面の狭い領域の塵埃を副吸込口からハウジング内に吸い込むことができる。つまり、吸込具の姿勢を基本姿勢と倒立姿勢とに切り換えることによって、ハンディタイプ電気掃除機では、床面における広い領域および狭い領域の両方を掃除することができて使い勝手が良い。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、吸込具は、シャッターと、シャッターの外表面に回転可能に設けられたローラーとを含んでいる。
シャッターは、基本姿勢において副吸込口を閉じているので、床面の塵埃を、床面に対向している主吸込口からハウジング内に効率的に吸い込むことができる。また、たとえば、吸込具を室内の壁面に沿わせて移動させたい場合には、ローラーが壁面に触れて転がるので、吸込具を円滑に移動させることができて使い勝手が良い。
【0019】
一方、シャッターは、倒立姿勢において副吸込口を開くので、床面の狭い領域における塵埃を、この領域に対向している副吸込口からハウジング内に効率的に吸い込むことができる。この際、ローラーが床面に触れて転がるので、倒立姿勢の吸込具を床面上で円滑に移動させることができて使い勝手が良い。
請求項5記載の発明によれば、一対のハンドルのうち、一方のハンドルを把持した状態で、吸込具は基本姿勢をとり、他方のハンドルを把持した状態で、吸込具は倒立姿勢をとる。
【0020】
ここで、一対のハンドルは、重心となる本体部を挟んで対称に配置されているので、これらのハンドルを安定した状態で円滑に持ち替えることができる。そのため、一方のハンドルを把持すれば、吸込具は円滑に基本姿勢になり、他方のハンドルを把持すれば、吸込具は円滑に倒立姿勢になるので、使い勝手が良い。
請求項6記載の発明によれば、手で持って操作され得る掃除機本体と、掃除機本体から前方へ延びる延長管と、延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機において、掃除機本体では、重量物である電動送風機を含む本体部が重心となる。本体部は、電動送風機の前方に設けられた集塵室と、集塵室の前方に設けられた延長管を連結するための連結部材とを含んでいる。
【0021】
そして、本体部の後端面中央から後方へ突出し、前方へ向けて本体部の周面と対向するように湾曲したハンドルが設けられている。このハンドルは、本体部の中心を中心に、少なくとも180°回動して、第1位置と、第1位置と180°隔たる第2位置とに変位し得る。たとえば、床面において掃除する領域を、広い領域から狭い領域へと移す場合(または、その逆の場合)、ハンドルを第1位置および第2位置のいずれかにすることで、掃除しやすいように電気掃除機の姿勢を変えることができる。
【0022】
この場合、第1位置および第2位置のいずれに位置するハンドルを把持しても、電動送風機の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部がくる。これにより、ハンドルを把持した手の下方に掃除機本体の重心が位置するので、掃除機本体を安定した状態で移動させることができる。
以上の結果、使い勝手の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係るハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
【図2】図2は、吸込具4のシャッター54を開いた状態におけるハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
【図3】図3は、吸込具4を倒立姿勢にした状態におけるハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
【図4】図4は、第1の変形例に係る掃除機本体2の側面図である。
【図5】図5は、図4の掃除機本体2のメンテナンス状態における側面図である。
【図6】図6は、第2の変形例に係る掃除機本体2を適用したハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
【図7】図7は、図6においてハンドル67が第2位置にある状態を示している。
【図8】図8は、図7において吸込具4を水平面内で略90°回動させた状態を示している。
【図9】図9(a)は、ハンドル67がロックされた状態におけるハンドル67およびロック機構71の正断面図であり、図9(b)は、図9(a)のA−A矢視断面図である。図9(c)は、ハンドル67のロックが解除された状態におけるハンドル67およびロック機構71の正断面図であり、図9(d)は、図9(c)のB−B矢視断面図である。
【図10】図10(a)は、掃除機本体2の後端面5Cに取り付けられる排気調整機構80の斜視図であり、図10(b)は、排気調整機構80の断面図である。
【図11】図11(a)は、排気調整機構80のスライド部材81の斜視図であり、図11(b)は、スライド部材81の断面図である。
【図12】図12(a)は、排気調整機構80の保持部材82の斜視図であり、図12(b)は、保持部材82の断面図である。
【図13】図13は、ハンドル20Aを把持した場合における排気調整機構80の断面図である。
【図14】図14は、ハンドル20Bを把持した場合における排気調整機構80の断面図である。
【図15】図15は、第4の変形例に係る掃除機本体2の右側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。図2は、吸込具4のシャッター54を開いた状態におけるハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
以下では、図1におけるハンディタイプ電気掃除機(以下では、単に「掃除機」という)1の姿勢を基準として、掃除機1の前後左右方向を規定する。図1において、左側が前側であり、右側が後側であり、奥側が左側であり、手前側が右側である。また、左右方向は、幅方向と同義である。
【0025】
掃除機1は、掃除機本体2と、掃除機本体2から前方へ延びる延長管3と、延長管3の先端に取り付けられた吸込具4とを有している。この掃除機1で掃除をする際、掃除機本体2を手で持って宙に浮かせて操作し、この状態で掃除機1全体を移動させる。
<掃除機本体>
図1を参照して、掃除機本体2は、中空の略円筒状をなす本体部5を備えている。本体部5は、その内部に収納される電動送風機6と、電動送風機6の前方に設けられた空間をなす集塵室7とを備えている。掃除機本体2では、重量物である電動送風機6を含む本体部5が重心となる。
【0026】
本体部5は、図1において前下側へ延びる中心軸Jを有する円周面5Aと、円周面5Aを前側から塞ぐ前端面5Bと、円周面5Aを後側から塞ぐ後端面5Cとを一体的に備えている。
前端面5Bは、略円形状であり、前下側へ円弧状に膨出している。円周面5Aの中心軸Jは、前端面5Bの円中心位置を通っている。前端面5Bの円中心位置には、前下側へ突出して延びる連結部材8が一体的に設けられている。連結部材8は、本体部5の一部である。
【0027】
連結部材8は、円周面5Aの中心軸J上を延びる略円管状であり、集塵室7の前方に位置している。連結部材8の内部は、集塵室7の内部に対して前下側から連通している。連結部材8に対して延長管3が連結される。連結部材8の外周面の周上1箇所(図1では上側外周面)には、解除ボタン9が設けられている。連結部材8に連結された延長管3は連結部材8に対してロックされていて、解除ボタン9を押すことで、連結部材8に対する延長管3のロックが解除され、延長管3を連結部材8から取り外すことができる。
【0028】
本体部5の後端面5Cは、略円形であり、本体部5の円周面5Aの中心軸Jと直交する方向に沿って平坦である。後端面5Cは、掃除機本体2の後端面をなしている。つまり、掃除機本体2は、本体部5の後端面5Cにより形成される略円形の後端面を有している。
また、本体部5の内部において、集塵室7より後側で電動送風機6が収容される空間は、収容室13とされる。後端面5Cには排気口14が形成されていて、排気口14は、収容室13に対して後側から連通している。
【0029】
電動送風機6は、収容室13内において、円周面5Aの中心軸J上に配置されている。電動送風機6は、電力が供給されることによって運転されて、吸引力を発生する。これにより、掃除機本体2では、連結部材8、集塵室7および電動送風機6をこの順番で通過して排気口14から機外に排出される空気の流れが発生する。
そして、掃除機本体2には、掃除機本体2を宙に浮かせて移動させるために把持される一対のハンドル20が備えられている。これらのハンドル20は、本体部5の円周面5Aの周方向に180°隔たる位置において外方へ張り出すように、本体部5の中心軸Jを基準に対称に設けられている。換言すれば、一対のハンドル20は、重心となる本体部5を挟んで対称に配置されている。
【0030】
図1の状態において、一方のハンドル20Aは、本体部5の円周面5Aの略後半分の上側部分に設けられていて、他方のハンドル20Bは、本体部5の円周面5Aの略後半分の下側部分に設けられている。各ハンドル20は、円周面5Aの前後方向略中央位置から円周面5Aの径方向外側かつ後側へ傾斜して延びてから、円周面5Aの中心軸Jに沿って後方へ延び、その後、中心軸J側へ略180°湾曲して本体部5の後端面5Cの周縁部に後側から接続されている。そのため、各ハンドル20と円周面5Aとの間には、中心軸Jに沿って長手の長穴21が形成されている。各ハンドル20を把持した手の指が長穴21に通される。
<延長管>
延長管3は、直線状に延びる略円管状であって、掃除機本体2側の第1管40と、吸込具4側の第2管41と分割可能である。第1管40および第2管41のそれぞれの長さは、大体同じである。第2管41の後端部が第1管40の前端部の内側に収容されていて、この状態で、第1管40と第2管41とは同軸状をなしている。第2管41を第1管40内に収容していくことで、延長管3を伸縮させて延長管3の長さを変えることができる。
【0031】
第1管40の前端部の上側面には、調整ボタン43が設けられている。調整ボタン43は、延長管3を伸縮させる際に操作される。
第2管41の上側面には、長さ方向におけるほぼ全域において、複数の凹部44が間隔を隔てて並んで形成されている。いずれかの凹部44に対して、第1管40に設けられた図示しない爪が引っ掛かっていて、この状態で、延長管3の伸縮が規制されている。調整ボタン43を押すと、この爪(図示せず)を、いままで引っ掛かっていた凹部44から外すことができ、これにより、延長管3の伸縮が可能となる。そして、任意の長さになるように延長管3を伸縮させてから調整ボタン43を離すと、前述した爪(図示せず)が最寄りの凹部44に引っ掛かるので、延長管3を任意の長さで維持することができる。
【0032】
第2管41の前端部の上側面には、取り外しボタン45が設けられている。取り外しボタン45は、延長管3から吸込具4を取り外す際に操作される。
このような延長管3は、第1管40の後端部が掃除機本体2の連結部材8に対して内嵌されることで、掃除機本体2に対して連結される。延長管3が掃除機本体2に連結された状態で、第1管40の後端部には、連結部材8に設けられたフック(図示せず)が係合しており、これによって、延長管3が掃除機本体2に対して外れ不能に固定(ロック)されている。なお、解除ボタン9を押すと、前述したフックが第1管40から外れるので、掃除機本体2に対する延長管3のロックが解除され、延長管3を掃除機本体2から取り外すことができる。
【0033】
そして、図1に示すように、延長管3が連結部材8に連結された状態では、本体部5(掃除機本体2)と、本体部5に内蔵された電動送風機6と、連結部材8と、連結部材8に連結された延長管3とは、本体部5の中心軸Jに沿って一直線状に延びている。延長管3は、本体部5の集塵室7の前方に位置している。
<吸込具>
吸込具4は、ハウジング50と、ベンド51とを含んでいる。
【0034】
ハウジング50は、幅方向に長手(幅広)かつ上下方向に扁平で中空のボックス形状である。ハウジング50の底面50Aの前側には、幅方向に長手の主吸込口52が形成されており、ハウジング50の前面50Bには、幅方向に長手の副吸込口53が形成されている。副吸込口53は、主吸込口52に対して前側から連続している。主吸込口52および副吸込口53は、ハウジング50内に連通している。
【0035】
ハウジング50の前面50Bには、シャッター54が設けられている。シャッター54は、幅方向に長手の板状である。シャッター54は、幅方向から見て、前上側へ円弧状に膨出するように、湾曲している。シャッター54の前側面(外表面)の幅方向両端部には、ローラー55が設けられている。ローラー55は、前上側へ延びる円柱形状であって、先端部(前上側端部)が丸められている。ローラー55は、前上側へ延びる軸(図示せず)を中心に回転可能である。
【0036】
シャッター54は、前上側から、副吸込口53を開閉可能に覆っている。図1では、シャッター54が副吸込口53を閉じている。開いたシャッター54では、後側部分が、ハウジング50の天壁50Cの前端部の下側に隠れるようにハウジング50内に収容される(図示せず)。
ここで、シャッター54は、閉じるように付勢部材(ばねなど)で付勢されている。そのため、図2に示すように、壁Wに対してローラー55を押し付けることで、付勢部材の付勢力に抗してシャッター54を開くことができる。逆に、ローラー55を壁Wから離すと、付勢部材の付勢力によって、図1に示すように、シャッター54は速やかに閉じる。
【0037】
図1に示すように、ハウジング50の後面の幅方向中央には、接続筒56が取り付けられている。接続筒56は、前後方向に延びる中心軸を有する略円筒状であり、ハウジング50の後面に対して後から挿通され、ハウジング50によって、上述した中心軸を中心として回動自在に支持されており、ハウジング50の一部となっている。接続筒56の内部は、ハウジング50内に連通している。接続筒56の後端面と外周部分の周上1箇所とは、連続して切欠かれており、切欠き部56Aとされる。
【0038】
ベンド51は、図1では前後方向に長手の管状であり、その前端は、略球体状に形成されている。ベンド51の前端は、ハウジング50の接続筒56の切欠き部56Aに対して後から挿通されており、これによって、ベンド51は、接続筒56(ハウジング50)によって支持されている。
詳しくは、ベンド51では、前端がハウジング50に連結され、後端は、ハウジング50から後方へ突出している。この状態で、ベンド51は、前端を支点として、接続筒56に対して回動自在である。図1では、ベンド51は、上下に回動自在である。そして、接続筒56が、前後方向に延びる中心軸を中心として回動自在であることから、ベンド51は、接続筒56に対して回動しつつ、接続筒56とともに、前後方向に延びる中心軸を中心として回動することができる。つまり、ベンド51は、ハウジング50との連結部である接続筒56を中心に回動可能である。
【0039】
ベンド51の内部は、接続筒56の内部を介して、ハウジング50内に連通している。ベンド51は、その後端において、延長管3の先端(第2管41の前端)に取り付けられる。
また、ハウジング50内には、回転ブラシ57が設けられている。回転ブラシ57は、幅方向に長手でハウジング50の左右の側壁によって回転可能に支持されている。回転ブラシ57のブラシ毛は、主吸込口52および副吸込口53の両方に臨んでいる。ハウジング50内には、モータやタービンが設けられている(図示せず)。モータが掃除機本体2から電力を受けることで駆動されたり、後述するようにハウジング50内に吸い込まれた空気でタービンが回転駆動されたりすることで、回転ブラシ57は、モータやタービンから駆動力を受けて回転する。
【0040】
図3は、吸込具4を倒立姿勢にした状態における掃除機1の右側面図である。
このような吸込具4は、図1および図2に示す基本姿勢と、図3に示す倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができる。吸込具4が基本姿勢にあるとき、主吸込口52が床面Vに対して上から対向し(図1および図2参照)、吸込具4が倒立姿勢にあるとき、副吸込口53が床面Vに対して上から対向する。
【0041】
また、壁Wに対してローラー55を押し付けていない状態において吸込具4が基本姿勢にあれば、シャッター54は、副吸込口53を閉じている(図1参照)。一方で、吸込具4が倒立姿勢にあるときには、ローラー55が床面Vに当接されることで、シャッター54は、開く方向へ移動して、副吸込口53を開く(図3参照)。
そして、図1の状態で掃除機本体2の上端に位置している一方のハンドル20Aを把持すると、ハンドル20Aが掃除機本体2の上端に位置している一方で、ハンドル20Aの真下に本体部5が位置し、他方のハンドル20Bが、本体部5を挟んでハンドル20Aの反対側(掃除機本体2の下側面側)に位置する。この状態では、吸込具4は基本姿勢をとり、延長管3は、吸込具4のハウジング50の長手方向(幅方向)に直交しつつ、後上側へ傾斜して延びている。
【0042】
この状態で、ハンドル20Aを把持したまま前方に移動させ、図2に示すように、吸込具4をシャッター54側から室内の壁Wに押し付けると、シャッター54のローラー55が壁Wに当接され、これによって、シャッター54が開く。
また、図1の状態で、ハンドル20Aからハンドル20Bに持ち替えてハンドル20Bを少し浮かせる。すると、掃除機本体2において図1でハンドル20Bより上側の本体部5およびハンドル20Aが、一直線状に延びている延長管3、連結部材8および本体部5を軸として、換言すれば、本体部5の中心軸Jを軸として、電動送風機6の自重によって下向きに回動する。厳密には、掃除機1において吸込具4以外の部分が、中心軸Jを中心として、180°下向きに捻られる。これにより、本体部5およびハンドル20Aが、図3に示すように、ハンドル20Bの下方へ速やかに移動する。そのため、ハンドル20Aからハンドル20Bに安定した状態で円滑に持ち替えることができて使い勝手が良い。また、本体部5およびハンドル20Aが移動するのと同時に、ハンドル20Bを少し浮かせたのに応じて延長管3が捻れながら少し上昇し、その際、吸込具4の後端部側を持ち上げるので、吸込具4の姿勢が倒立姿勢に変わり、シャッター54が開く。このとき、図3に示すように、倒立姿勢の吸込具4と、延長管3および掃除機本体2とが同一の垂直平面上に配置される。
【0043】
そして、この状態でハンドル20Bからハンドル20Aに持ち替えると、本体部5およびハンドル20Bが、延長管3および連結部材8を伴って下向きに回動し、図1に示すように、ハンドル20Aの下方に配置される。これと同時に、吸込具4の姿勢が、倒立姿勢から基本姿勢に戻る。
このように、ハンドル20Aを把持した状態で、吸込具4は基本姿勢をとり、ハンドル20Bを把持した状態で、吸込具4は倒立姿勢をとる(図3参照)。そして、ハンドル20Aからハンドル20Bに持ち替えると、本体部5およびハンドル20Aがハンドル20Bの下方に位置し(図3参照)、ハンドル20Bからハンドル20Aに持ち替えると、本体部5およびハンドル20Bがハンドル20Aの下方に位置する。
<掃除機による掃除>
図1に示すように吸込具4が基本姿勢にあってシャッター54が閉じている状態で、掃除機本体2に接続された電気コードの電気プラグ(図示せず)をコンセント(図示せず)につなげる。そして、掃除機本体2に設けられたスイッチ(図示せず)をONにすると、電動送風機6に電力が供給され、電動送風機6が吸引力を発生する。この吸引力は、集塵室7、連結部材8、延長管3、ベンド51およびハウジング50のそれぞれの内部に作用する。
【0044】
これにより、ハウジング50の底面50Aの主吸込口52にも吸引力が作用するので、ハウジング50の外部の空気が主吸込口52からハウジング50内に吸い込まれる。
そのため、主吸込口52が床面Vに対向した状態で、上側のハンドル20Aを把持して吸込具4を床面V上で移動させれば、床面V上の塵埃が、主吸込口52からハウジング50内に吸引される空気に乗って、主吸込口52からハウジング50内に吸い込まれる。その後、ハウジング50内に流入したこれらの塵埃および空気は、ベンド51および延長管3を通って、掃除機本体2の連結部材8に流入する。
【0045】
連結部材8に流入した塵埃および空気は、連結部材8を通過した後に、集塵室7内に流入する。集塵室7内には、使い捨ての紙パック60(後述する図4も参照)が収容されており、集塵室7内に流入した塵埃および空気は、紙パック60内に進入する。そして、塵埃は、紙パック60を通過できずに紙パック60に溜まる一方で、空気は、紙パック60を通過した後に、排気口14から掃除機本体2の外部(機外)へ排出される。
【0046】
掃除機本体2では、本体部5の円周面5Aにおいて集塵室7に一致する部分に、集塵室7内に連通する取出口61が形成されていて、取出口61は、本体部5に設けられた蓋62によって開閉される。蓋62を開くことによって、集塵室7の紙パック60を取り出すことができるので、紙パック60(換言すれば集塵室7)に溜まった塵埃を捨てることができる。
【0047】
図1に示すように、吸込具4が基本姿勢にある状態では、シャッター54が副吸込口53を閉じているので、吸引力を主吸込口52だけに作用させることができる。そのため、床面Vの塵埃を、床面Vに対向している主吸込口52からハウジング50内に効率的に吸い込むことができる。また、回転する回転ブラシ57が主吸込口52から床面Vの塵埃を掻き上げる。よって、塵埃を主吸込口52からハウジング50内へ効果的に流入させて集塵室7の紙パック60に溜めることができる。
【0048】
一方、図2に示すように吸込具4を壁Wに押し付けるとシャッター54が副吸込口53を開く。この場合には、吸引力が副吸込口53にも作用するので、副吸込口53からハウジング50内に塵埃を吸い込むことができる。この場合、副吸込口53が壁Wに対向しているので、壁Wに付着した塵埃を副吸込口53からハウジング50内に吸い込むことができる。また、回転する回転ブラシ57(図示せず)において副吸込口53に臨むブラシ毛が壁Wの塵埃を副吸込口53へ掻き込むので、壁Wに付着した塵埃は、ハウジング50内に効率的に吸い込まれる。
【0049】
ハウジング50内に吸い込まれた塵埃は、前述したように、集塵室7の紙パック60に溜められる。また、床面Vにおいて壁Wの際(壁際)の塵埃は、主吸込口52からハウジング50内に吸い込まれて紙パック60に溜められる。
このように吸込具4を壁Wに押し付けてシャッター54が開いた状態で、ハンドル20Aを把持し、壁Wに沿って吸込具4を横移動させる。すると、シャッター54のローラー55が壁Wの壁面に触れて転がる。これにより、ローラー55においてガイドされることで、吸込具4を壁Wに沿って円滑に横移動させることができて使い勝手が良い。吸込具4が横移動する際、壁Wの塵埃および壁際の塵埃がハウジング50内に吸い込まれて集塵室7に溜められる。なお、シャッター54が閉じた状態にある基本姿勢の吸込具4を壁Wに沿わせることもでき、このときも、ローラー55が壁Wの壁面に触れて転がるので、吸込具4を壁Wに沿って円滑に横移動させることができる。
【0050】
また、吸込具4が基本姿勢にある状態で(図1および図2参照)、前述したようにハンドル20Aからハンドル20Bに持ち替えると、図3に示すように吸込具4が倒立姿勢になる。吸込具4が倒立姿勢になる際、ローラー55が床面Vに接触して床面Vによって下から押されることによって、シャッター54が開く。
吸込具4が倒立姿勢にあると、基本姿勢(図1および図2参照)のときに幅広で上下に扁平だったハウジング50において、副吸込口53側が底面となってベンド51側が天面となることで、ハウジング50が、横方向(水平方向)に薄くなる(後述する図8も参照)。つまり、床面Vに対するハウジング50の対向面積が小さくなる。そのため、壁Wの壁面と家具との隙間や家具と家具との隙間といった床面Vにおける狭い領域にハウジング50を入り込ませることができる。
【0051】
そして、このとき、シャッター54が副吸込口53を開いているので、床面Vの狭い領域における塵埃を、この領域に対向している副吸込口53からハウジング50内に効率的に吸い込むことができる。この際、ローラー55が床面Vに触れて転がるので、倒立姿勢の吸込具4を床面V上で円滑に移動させることができて使い勝手が良い。
そして、副吸込口53からハウジング50内に吸い込まれた狭い領域における塵埃は、前述したように、集塵室7の紙パック60に溜められる。
【0052】
このように、基本姿勢において、床面Vの広い領域の塵埃を主吸込口52からハウジング50内に効率的に吸い込むことができる(図1および図2参照)。一方、倒立姿勢において、吸込具4を横方向に薄くすることができるので、倒立姿勢の吸込具4を、室内の壁面と家具との隙間や家具と家具との隙間に差し込んで、これらの隙間における床面Vの狭い領域の塵埃を副吸込口53からハウジング50内に吸い込むことができる(図3参照)。つまり、吸込具4の姿勢を基本姿勢と倒立姿勢とに切り換えることによって、掃除機1では、床面Vにおける広い領域および狭い領域の両方を掃除することができて使い勝手が良い。
【0053】
また、ハンドル20Aおよびハンドル20Bは、重心となる本体部5を挟んで対称に配置されているので、どちらのハンドル20を把持しても、電動送風機6の自重によって、把持したハンドル20の下方に本体部5がくる(図1〜図3参照)。これにより、ハンドル20を把持した手の下方に掃除機本体2の重心が位置するので、掃除機本体2を安定した状態で移動させることができる。また、ハンドル20Aおよびハンドル20Bは、対称に配置され、かつ、同じ形状なので、どちらのハンドル20も同じように把持できて使い勝手がよい。
【0054】
また、床面Vにおいて掃除する領域を、広い領域から狭い領域へと移す場合(または、その逆の場合)、そのためにハンドル20Aおよびハンドル20Bのいずれか一方から他方に持ち替えると、電動送風機6の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部5が速やかに配置される。特に、掃除機本体2と延長管3とが一直線状に延びていることから、一方のハンドル20から他方のハンドル20に持ち替えると、連結部材8(掃除機本体2)および延長管3を軸として、本体部5が電動送風機6の自重によって下向きに回動し、他方のハンドル20の下方へ速やかに移動する。これにより、ハンドル20を安定した状態で円滑に持ち替えることができて使い勝手が良い。
【0055】
このようにハンドル20を安定した状態で円滑に持ち替えることができるので、ハンドル20Aを把持すれば、吸込具4は円滑に基本姿勢になり(図1および図2参照)、ハンドル20Bを把持すれば、吸込具4は円滑に倒立姿勢になる(図3参照)。
以上により、同一の吸込具4によって、床面Vにおいて広い領域と狭い領域とを中断することなく連続して掃除でき、使い勝手の向上を図ることができる。
【0056】
以下では、変形例について説明する。
<第1の変形例>
図4は、第1の変形例に係る掃除機本体2の側面図である。図5は、図4の掃除機本体2のメンテナンス状態における側面図である。なお、前述した実施例に説明した部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する(以降の変形例においても同様)。
【0057】
図4および図5に示す第1の変形例に係る掃除機本体2の場合、掃除機1をコンパクトに収納することができる。この変形例に係る掃除機本体2では、ハンドル20Aの後側面(図4では下側面)23およびハンドル20Bの後側面(図4では下側面)24のそれぞれが、平坦面であり、本体部5の後端面5Cと面一をなしている。後側面23および後側面24は、いずれも、後端面5Cとともに掃除機本体2の後側面をなしていて、本体部5の径方向において本体部5の後端面5Cから径方向外側へ張り出している。つまり、掃除機本体2は、ハンドル20Aの後端により本体部5の後端面5Cから外方へ張り出した一方張出面をなす後側面23と、ハンドル20Bの後端により本体部5の後端面5Cから外方へ張り出した他方張出面をなす後側面24とを有している。
【0058】
ここで、ハンドル20Aおよびハンドル20Bが本体部5の中心軸Jを基準に対称に設けられていることから、ハンドル20Bの後側面24は、ハンドル20Aの後側面23と180°隔たる方向へ張り出している。
そして、ハンドル20Aの後側面23とハンドル20Bの後側面24と本体部5の後端面5Cとが面一であることから、後側面23と後側面24と後端面5Cとは、面一となっていて、まとまった状態で、フラット面35を形成している。
【0059】
また、掃除機1の収納に関連して、図1に示すように、延長管3の前端部(吸込具4側の端部)の外周面には、吸込具4側へ折れ曲った係止フック59が設けられている。なお、係止フック59は、吸込具4に設けられてもよい。また、図示しないが、掃除機本体2には、係止フック59を引っ掛けるための凹状のフック受けが設けられている。
前述したように、連結部材8の解除ボタン9を押すと、掃除機本体2に対する延長管3のロックが解除されるので、一体となった状態にある吸込具4および延長管3(図1参照)を、掃除機本体2から取り外すことができる。
【0060】
吸込具4および延長管3を掃除機本体2から取り外した後に、今まで掃除機本体2の後端に位置していたフラット面35を床(床面V)に上から対向させて、図4に示すように、掃除機本体2を縦長になるように立設させる。このとき、フラット面35が床面Vに面接触するので、立設した掃除機本体2は、安定した姿勢を保つことができる。詳しくは、フラット面35は、ハンドル20A、本体部5およびハンドル20Bの並び方向に沿って長手かつ平坦なので、フラット面35が床(床面V)に対向するように掃除機本体2を床に載置しても、掃除機本体2は、当該並び方向へ倒れることなく、安定した姿勢を保つことができる。
【0061】
そして、吸込具4が下端に位置して延長管3が吸込具4から上方ヘ略垂直に延びるようにしてから、延長管3の係止フック59(図1参照)を、前述したフック受け(図示せず)に引っ掛ける。すると、延長管3が略垂直に延びた状態で、吸込具4および延長管3が掃除機本体2に固定され、掃除機1が収納状態になる。つまり、立設して縦長となった掃除機本体2に延長管3および吸込具4を固定することで、掃除機1をコンパクトに収納することができて使い勝手が良い。
【0062】
なお、この変形例に係る掃除機本体2では、図5に示すように、本体部5の前端面5Bと、円周面5Aにおいて前端面5Bの近傍部分と、連結部材8とが、蓋65として一体化していて、紙パック60を伴って掃除機本体2から分離可能である。そのため、蓋65を掃除機本体2から分離させることで、紙パック60を掃除機本体2から取り外すことができ、これにより、紙パック60に溜まった塵埃を捨てることができる。
<第2の変形例>
図6は、第2の変形例に係る掃除機本体2を適用した掃除機1の右側面図である。図7は、図6においてハンドル67が第2位置にある状態を示している。図8は、図7において吸込具4を水平面内で略90°回動させた状態を示している。
【0063】
図6〜図8に示す第2の変形例では、掃除機本体2において、前述した一対のハンドル20(図1参照)の代わりに、回動可能な1つのハンドル67が設けられている。また、以下では、図6における掃除機1の姿勢を基準として、第2の変形例に係る掃除機1の前後左右方向を規定する。図6において、左側が前側であり、右側が後側であり、奥側が左側であり、手前側が右側である。また、左右方向は、幅方向と同義である。
【0064】
ここで、この変形例に係る掃除機本体2は、中空の略円筒状をなす本体部68を備えている。本体部68は、その内部に、前述した電動送風機6と、電動送風機6の前方に設けられた集塵室7とを備えている。また、本体部68の前端には、集塵室7の前方に設けられた延長管3を連結するための連結部材8が一体的に設けられている。このような掃除機本体2では、重量物である電動送風機6を含む本体部68が重心となる。
【0065】
本体部68は、図6において前下側へ延びる中心軸Kを有する円周面68Aと、円周面68Aを前側から塞ぐ前端面68Bと、円周面68Aを後側から塞ぐ後端面68Cとを一体的に備えている。
円周面68Aの上側部分において、その前側領域には、上側へ一段突き出るように膨出した膨出部69が一体的に設けられている。前述した排気口14は、前後に細長いスリット状で上下に複数並んだ状態で、円周面68Aの左右の領域の後側部分に形成されている。前端面68Bには、前述した連結部材8が連結されている。後端面68Cは、略円形であり、中心軸Kと直交する方向に沿って平坦である。中心軸Kは、後端面68Cの円中心位置と連結部材8とを通っており、中心軸K上に、前述した延長管3が位置している。
【0066】
掃除機本体2には、電動送風機6に電力を供給するための電気コード70の一端が接続されている。電気コード70の他端に取り付けられた電気プラグ(図示せず)をコンセント(図示せず)につなげて、掃除機本体2に設けられたスイッチ(図示せず)をONにすると、電動送風機6に電力が供給される。
そして、ハンドル67は、本体部68の後端面68Cの中央(中心軸Kが通る位置)から中心軸Kに沿って後方へ突出した後に本体部68の径方向外側へ向けて折れ曲り、さらに、前方へ湾曲して延びている。図6では、ハンドル67の前端は、膨出部69に対して隙間を隔てて後側から対向していて、ハンドル67の前側部分(本体部68の径方向における外側部分)は、本体部68の円周面68Aに対して、本体部68の径方向において隙間を隔てて対向している。
【0067】
ハンドル67では、本体部68の後端面68Cに接続された基端部67Aが、中心軸Kを円中心とする円柱状をなしていて、本体部68によって回動可能に支持されている。そのため、ハンドル67は、中心軸Kを中心に回動可能である。そのため、ハンドル67は、本体部68の中心(中心軸K)を中心に、少なくとも180°回動して、膨出部69に後側から対向する第1位置(図6参照)と、第1位置と180°隔たる第2位置(図7および図8参照)とに変位することができる。
【0068】
そして、本体部68には、ハンドル67を第1位置および第2位置のそれぞれでロックするためのロック機構71が備えられている。
図9(a)は、ハンドル67がロックされた状態におけるハンドル67およびロック機構71の正断面図であり、図9(b)は、図9(a)のA−A矢視断面図である。図9(c)は、ハンドル67のロックが解除された状態におけるハンドル67およびロック機構71の正断面図であり、図9(d)は、図9(c)のB−B矢視断面図である。
【0069】
ロック機構71に関連して、図9(a)および図9(b)に示すように、ハンドル67の基端部67Aの外周面には、周方向に180°隔てた2箇所に、凹部72が形成されている。また、図9(b)に示すように、基端部67Aの外周面において、凹部72の後側(図9(b)では右側)には、環状の溝73が形成されていて、基端部67Aは、溝73が形成された部分において縮径されている。
【0070】
また、本体部68において後端面68Cを区画する後壁74は、板状である。後壁74において、中心軸Kが通る位置には、丸い第1貫通穴74Aが形成されており、本体部68の径方向において第1貫通穴74Aから外側へ少し離れた位置には、第2貫通穴74Bが1つ形成されている。
ハンドル67の基端部67Aにおいて溝73が形成された部分が、第1貫通穴74Aに対して内嵌されている。これにより、ハンドル67は、基端部67Aにおいて溝73が形成された部分において、本体部68の後壁74によって回動可能に支持されている。この状態で、基端部67Aにおいて溝73を前後から区画する部分の間に、後壁74において第1貫通穴74Aを縁取る部分が位置しているので、ハンドル67が後壁74から外れることはない。また、この状態では、基端部67Aの前端部は、本体部68の内部に配置されている。
【0071】
そして、ロック機構71は、ロック部材75と、ホルダ76と、解除ボタン77とを含んでいる。
ロック部材75は、ハンドル67の基端部67Aの径方向に沿って細長い円筒状である。ロック部材75において、基端部67A側の一端は、丸められた先端75Aをなしてロック部材75の内部を一端側から塞いでおり、一端とは反対側の他端には、内部に連通する開口75Bが形成されている。ロック部材75の外周面の周上一箇所には、ロック部材75の径方向外側へ突出する突起75Cが設けられている。突起75Cにおいてロック部材75の外周面から最も離れた端部には、ロック部材75の径方向内側かつ先端75A側へ傾斜する傾斜面75Dが形成されている。
【0072】
ホルダ76は、本体部68の後壁74の前側面(本体部68の内部に後側から臨む面)から前側へ突出する基部76Aと、基部76Aにおいてハンドル67の基端部67Aの前端部に対向する側面に形成された軸部76Bとを一体的に含んでいる。軸部76Bは、ハンドル67の基端部67Aへ向かって延びる細長い円柱状である。
解除ボタン77は、前後に延びる略円筒状であって、本体部68の後壁74の第2貫通穴74Bに対して前側から嵌め込まれている。解除ボタン77の後端部は、後側へ円弧状に膨出するように丸められていて、第2貫通穴74Bから後壁74の後外側へ露出されている。解除ボタン77の前端縁には、解除ボタン77の径方向外側へ鍔状に延びるフランジ部77Aが一体的に設けられている。後壁74において第2貫通穴74Bを縁取る部分にフランジ部77Aが前側から係合することで、解除ボタン77が後壁74の第2貫通穴74Bから後側へ外れることが防止されている。
【0073】
解除ボタン77には、突起77Bが一体的に設けられている。突起77Bは、前側へ延びる細長い棒状であり、解除ボタン77の内部に配置されている。突起77Bの前端部は、フランジ部77Aよりも前側へ突出している。突起77Bの前端には、突起77Bの延びる方向に対して傾斜して延びる傾斜面77Cが形成されている。
ロック機構71では、ホルダ76の軸部76Bが、ロック部材75の開口75Bに挿入されており、これによって、ロック部材75が軸部76Bによって、スライド自在に支持されている。ここで、コイルばね78が軸部76Bに対して外嵌されていて、部分的にロック部材75の内部に配置されている。コイルばね78もロック機構71に含まれる。コイルばね78は、圧縮ばねであり、ロック部材75の内側面とホルダ76の基部76Aとの間で圧縮されていて、これにより、ロック部材75を基部76Aから離れる方向へ向けて付勢している。ロック部材75が基部76Aから離れる方向の先には、ハンドル67の基端部67Aの前端部が位置している。このように、ホルダ76は、ロック部材75を保持している。
【0074】
そして、ホルダ76に保持されたロック部材75において、突起75Cは、解除ボタン77の突起77Bに対して前側から対向している。このとき、突起75Cの傾斜面75Dと突起77Bの傾斜面77Cとは互いに平行な状態で面接触している。
そして、図9(a)に示すように、ロック部材75の先端75Aが、ハンドル67の基端部67Aの外周面におけるいずれかの凹部72に嵌っている場合、ハンドル67は回動できない。図9(a)に示すときにハンドル67が第1位置(図6参照)にあると、ロック機構71は、ハンドル67を第1位置においてロックしている。
【0075】
この状態で、図9(d)に示すように解除ボタン77を後側から押すと、解除ボタン77の突起77Bの傾斜面77Cが、ロック部材75の突起75Cの傾斜面75Dを後側から押圧する。これにより、傾斜面77Cが傾斜面75Dを押圧する力が、ロック部材75に対して、ホルダ76の基部76A側へ作用する。そのため、ロック部材75全体が、コイルばね78の付勢力に抗して基部76A側へスライドし、ロック部材75の先端75Aが、今まで嵌っていた凹部72から外れる。この状態では、ハンドル67は自由に回動できる。
【0076】
そのため、今まで第1位置にあったハンドル67を180°回動させると、ハンドル67は第2位置に配置される(図7参照)。このとき、ロック部材75の先端75Aの先には、今まで嵌っていた凹部72とは別の凹部72が位置している。この状態で、ハンドル67が第2位置に配置されてから解除ボタン77を離す(押圧を解除する)と、図9(b)に示すように、解除ボタン77の突起77Bの傾斜面77Cが、ロック部材75の突起75Cの傾斜面75Dを後側から押圧しなくなる。これにより、ロック部材75全体が、コイルばね78の付勢力によって基部76Aから離れてハンドル67の基端部67A側へスライドし、図9(a)および図9(b)に示すように、ロック部材75の先端75Aが、今まで嵌っていた凹部72とは別の凹部72に嵌る。そのため、ロック機構71は、ハンドル67を第2位置においてロックし、ハンドル67は回動できなくなる。
【0077】
このように、ロック機構71は、ハンドル67を第1位置および第2位置のそれぞれにおいてロックしたり、そのロックを解除したりすることができる。
図6に示すように、ハンドル67が第1位置にあるときには、吸込具4は基本姿勢にある。この状態で、第1位置のハンドル67を把持して掃除機本体2を宙に浮かせた状態で動かすことによって、掃除機1全体を移動させて、床面Vの広い領域を掃除できる。
【0078】
そして、ハンドル67を把持したままロック機構71の解除ボタン77を押すと、ハンドル67のロックが解除される。この状態で、ハンドル67を回動させずに、掃除機本体2においてハンドル67以外の部分と延長管3とを、本体部68の中心軸Kを中心に略180°回動させつつ、少し浮かせる。すると、図7に示すように、ハンドル67は、掃除機本体2に対して相対的に回動したこととなって第2位置に配置されるとともに、吸込具4が倒立姿勢となる。これにより、床面Vの前述した狭い領域を掃除できる。
【0079】
なお、図6において、ハンドル67のロックを解除した後にハンドル67だけを回動させて第2位置に配置する。すると、第2位置のハンドル67は、掃除機本体2の下側面に配置されるので、このハンドル67が掃除機本体2の上側面に配置されるように掃除機本体2および延長管3を、中心軸Kを中心に略180°回動させつつ、少し浮かせる。これによっても、図7に示すように吸込具4が倒立姿勢となる。
【0080】
そして、第2位置のハンドル67を第1位置まで回動させると、図6に示すように、吸込具4を基本姿勢に戻すことができる。
第2の変形例によれば、床面Vにおいて掃除する領域を、広い領域から狭い領域へと移す場合(または、その逆の場合)、ハンドル67を第1位置および第2位置のいずれかにすることで、掃除しやすいように掃除機1の姿勢(厳密には、吸込具4の姿勢)を変えることができる(図6〜図8参照)。
【0081】
この場合、第1位置および第2位置のいずれに位置するハンドル67を把持しても、電動送風機6の自重によって、把持したハンドル67の下方に本体部68がくる。これにより、ハンドル67を把持した手の下方に掃除機本体2の重心が位置するので、掃除機本体2を安定した状態で移動させることができる。
よって、使い勝手の向上を図ることができる。また、ハンドル67は、第1位置であっても第2位置であっても、把持された状態では、掃除機本体2の上端側に位置して床面Vから浮いていることから、ハンドル67が床面Vにぶつかって床面Vを傷つけることを防止できる。
<第3の変形例>
図10(a)は、掃除機本体2の後端面5Cに取り付けられる排気調整機構80の斜視図であり、図10(b)は、排気調整機構80の断面図である。図11(a)は、排気調整機構80のスライド部材81の斜視図であり、図11(b)は、スライド部材81の断面図である。図12(a)は、排気調整機構80の保持部材82の斜視図であり、図12(b)は、保持部材82の断面図である。
【0082】
第3の変形例では、前述した排気口14が掃除機本体2の後端面5Cに形成されている場合(図1参照)、後端面5Cには、図10に示す排気調整機構80が取り付けられている。排気調整機構80は、後端面5Cの排気口14からの排気の向きを調整するものである。
排気調整機構80は、図11に示すスライド部材81と、図12に示す保持部材82とを含んでいる。
【0083】
図11を参照して、スライド部材81は、後端面5Cにおけるハンドル20Aおよびハンドル20B(図1参照)の並び方向に長手の板状である。なお、図11のスライド部材81は、略長方形状であるが、実際には、掃除機本体2の排気口14を覆う形状であれば、たとえば、楕円形状や円形状であっても構わない。
スライド部材81には、スライド部材81を厚さ方向に貫通するスリット83が、スライド部材81の長手方向に並んだ状態で複数(ここでは、5つ)形成されている。スリット83は、スライド部材81の長手方向に直交する方向に長手である。各スリット83は、その長手方向途中を延びるリブ84によって、長手方向において二分されている。スライド部材81において、隣り合うスリット83の間の部分は、所定方向(図11では右側)へ三角形状に突出する三角突起85をなしている。図11では、スライド部材81において、4つの三角突起85が形成されている。
【0084】
図12を参照して、保持部材82は、スライド部材81より大きく、前記並び方向に長手の板状である。保持部材82において、その長手方向に直交する方向における両端部は、互いに接近する方向に折り曲げられていて、これにより、保持部材82の当該両端部には、互いに離間する方向へ窪みつつ平行に延びるガイド溝86が形成されている。
保持部材82には、保持部材82を厚さ方向に貫通する出口87が、保持部材82の長手方向に並んだ状態で、スライド部材81の三角突起85(図11参照)の数(ここでは、4つ)だけ形成されている。各出口87は、保持部材82の長手方向に直交する方向において長手である。
【0085】
保持部材82でガイド溝86が形成された側とは反対側の側面(図12(a)では手前側の側面)において、その長手方向における各出口87の両端縁部には、互いに接近する方向へ傾斜して延びる板状のガイドリブ88が形成されている。つまり、出口87毎に一対のガイドリブ88が設けられている。各出口87の一対のガイドリブ88の先端の間には、所定の隙間が確保されている。
【0086】
図10を参照して、完成状態にある排気調整機構80では、スライド部材81は、保持部材82においてガイド溝86が形成された側から、保持部材82に取り付けられている。このとき、スライド部材81および保持部材82のそれぞれの長手方向は一致している。また、このとき、スライド部材81の各三角突起85は、保持部材82において対応する位置にある出口87に対して、前記長手方向に遊びを持って嵌っており、各三角突起85の先端は、各出口87の一対のガイドリブ88の先端の隙間に対して、前記長手方向に遊びを持って嵌っている。
【0087】
スライド部材81が保持部材82に取り付けられた状態において、スライド部材81では、その長手方向に直交する方向における一端部81A(図11(a)参照)が、保持部材82において同じ側のガイド溝86に嵌っていて、他端部81B(図11(a)参照)が、保持部材82において同じ側のガイド溝86に嵌っている。これにより、スライド部材81は、保持部材82によって、その長手方向に沿ってスライド自在に支持されている。スライド部材81は、各出口87における三角突起85の遊びの分だけスライドできる。
【0088】
そして、このような排気調整機構80は、掃除機本体2の本体部5の後端面5C(図1参照)に対して、排気口14を塞ぐように後側から取り付けられている。この状態において、排気調整機構80では、スライド部材81の各スリット83が、排気口14に対して後側から連通している。
図13は、ハンドル20Aを把持した場合における排気調整機構80の断面図である。図14は、ハンドル20Bを把持した場合における排気調整機構80の断面図である。
【0089】
ハンドル20Aを把持している場合には(図1および図2参照)、図13に示すように、排気調整機構80が縦長の姿勢をとっていて、スライド部材81は、その自重によって下限の位置にある。このとき、スライド部材81の各三角突起85は、対応する出口87の下端に位置していて、この出口87の下端側のガイドリブ88に対して面接触している一方で、この出口87の上端側のガイドリブ88から離間している。これにより、各三角突起85と、対応する出口87の上端側のガイドリブ88との間には、所定の流路Zが形成されている。各流路Zは、スライド部材81で三角突起85に上側から隣接するスリット83と、各出口87の一対のガイドリブ88の先端の隙間とをつなぎつつ、斜め下側へ延びている。そのため、排気口14からの排気は、太線矢印で示すように、各流路Zを斜め下側へ流れて、各出口87の一対のガイドリブ88の先端の隙間から機外へ向けて斜め下方へ排出される。
【0090】
そのため、斜め下方へ排出される排気が、掃除機本体2の上端側のハンドル20Aを把持している手にかからないので、ユーザは、快適にハンドル20Aを把持できる(図1および図2参照)。
一方、ハンドル20Aからハンドル20Bに持ち替えると、前述したように、ハンドル20Aがハンドル20Bの下方に位置する(図3参照)。つまり、掃除機本体2の上下の向きが逆になるので、これに応じて、スライド部材81は、その自重によって、図14に示すように、今までとは反対側の位置までスライドし、結局、ハンドル20Aを持っているときと同様に、下限の位置に配置される。これにより、ハンドル20Aからハンドル20Bに持ち替えても、斜め下側へ延びる流路Zが形成される。そのため、排気口14からの排気は、機外へ向けて斜め下方へ排出されることから(太線矢印参照)、掃除機本体2の上端側のハンドル20Bを把持している手にかからないので、ユーザは、快適にハンドル20Bを把持できる。
<第4の変形例>
図15は、第4の変形例に係る掃除機本体2の右側断面図である。
【0091】
図15に示すように、第4の変形例に係る掃除機本体2では、どちらかのハンドル20(ここでは、下側のハンドル20B)において、本体部5の円周面5Aから最も離れた部分には、ハンドル20Bから前後にはみ出るように板状のリブ90が一体的に設けられている。
この場合、掃除機本体2に接続されて電動送風機6に電力を供給する電気コード91をハンドル20Bに巻き付けて収納することができる。ハンドル20Bに電気コード91が巻き付けられた状態では、リブ90が電気コード91に係合しているので、電気コード91がハンドル20から外れ落ちることが防止されている。
【0092】
このように、ハンドル20Bを、把持するためのハンドルだけでなく、電気コード91を巻きつけるものとしても利用できるので便利である。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 ハンディタイプ電気掃除機
2 掃除機本体
3 延長管
4 吸込具
5 本体部
5A 円周面
6 電動送風機
7 集塵室
8 連結部材
20 ハンドル
50 ハウジング
50A 底面
50B 前面
51 ベンド
52 主吸込口
53 副吸込口
54 シャッター
55 ローラー
67 ハンドル
68 本体部
68A 円周面
68C 後端面
V 床面
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンディタイプ電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機には、屋内の床面等を掃除するために一般的に広く用いられるキャニスタータイプと、携帯に便利なハンディタイプとが存在する。
下記特許文献1では、ハンディタイプの電気掃除機が提案されている。この電気掃除機は、把手および集塵部が設けられるとともに電動送風機が内蔵された掃除機本体と、床面の塵埃を吸い込む吸口体(吸込具)と、掃除機本体および吸口体を連結して塵埃を吸口体から掃除機本体へ誘導する連結管とを含んでいる。把手を把持して電気掃除機全体を移動させることで吸口体を塵埃に向けると、電気掃除機では、この塵埃を吸口体で吸い込んで掃除機本体の集塵部に溜めることができる。
【0003】
下記特許文献2では、キャニスタータイプの電気掃除機が提案されている。この電気掃除機は、電動送風機を内蔵して床面上を移動する掃除機本体と、一端が掃除機本体に接続されるホースと、ホースの他端に一端が接続される延長管と、延長管の他端に接続される吸込具とを含んでいる。吸込具は、上下に扁平なボックス状の本体ケースを有していて、本体ケースには、その底面から前面にわたって吸込口が形成されている。
【0004】
この電気掃除機において、床面において比較的広い領域を掃除する通常の場合には、本体ケースの底面における吸込口を床面に対向させて吸込具を移動させる。これにより、床面の塵埃は、本体ケースの底面における吸込口から本体ケース内に吸い込まれ、延長管およびホースを通過した後に、掃除機本体に溜められる。
一方、この吸込具は、本体ケースが直立して本体ケースの前面における吸込口が床面に対向するように、姿勢を変えることができる。直立した本体ケースは、横方向に薄くなる。そのため、直立した本体ケースを室内における壁面と家具との隙間に挿入することができ、この隙間における床面上の塵埃が、本体ケースの前面における吸込口から本体ケース内に吸い込まれ、掃除機本体に溜められる。
【0005】
つまり、特許文献2のキャニスタータイプの電気掃除機では、吸込具の姿勢を変えることで、床面において、比較的広い領域だけでなく、壁面と家具とに挟まれた狭い領域も掃除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−355196号公報
【特許文献2】特開2006−340739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のハンディタイプ電気掃除機でも、特許文献2のキャニスタータイプ電気掃除機のように、床面において、広い領域だけでなく、狭い領域も共通の吸込具で掃除できると便利である。また、ハンディタイプ電気掃除機では、掃除機本体を手で持って宙に浮かせた状態で使用する構成上、使い勝手の良さが特に注目される。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、使い勝手の向上を図ることができるハンディタイプ電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、手で持って操作され得る掃除機本体と、前記掃除機本体から前方へ延びる延長管と、前記延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機であって、前記掃除機本体は、電動送風機と、前記電動送風機の前方に設けられた集塵室と、前記集塵室の前方に設けられた前記延長管を連結するための連結部材とを含む本体部と、前記本体部の周面の周方向に180°隔たる位置において外方へ張り出すように対称に設けられた一対のハンドルと、を含むことを特徴とする、ハンディタイプ電気掃除機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記掃除機本体と、前記掃除機本体の前記連結部材に連結された前記延長管とは、一直線状に延びていることを特徴とする、請求項1記載のハンディタイプ電気掃除機である。
請求項3記載の発明は、前記吸込具は、底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されたハウジングと、前記ハウジングに連結され、前記ハウジングとの連結部を中心に回動可能であり、前記延長管の先端に取り付けられるベンドと、を含み、前記主吸込口が床面に対向した基本姿勢と、前記副吸込口が床面に対向した倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができることを特徴とする、請求項1または2記載のハンディタイプ電気掃除機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記吸込具は、前記基本姿勢において前記副吸込口を閉じる一方で、前記倒立姿勢において前記副吸込口を開くシャッターと、前記シャッターの外表面に回転可能に設けられたローラーと、を含むことを特徴とする、請求項3記載のハンディタイプ電気掃除機である。
請求項5記載の発明は、一方の前記ハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記基本姿勢をとり、他方の前記ハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記倒立姿勢をとることを特徴とする、請求項3または4記載のハンディタイプ電気掃除機である。
【0011】
請求項6記載の発明は、手で持って操作され得る掃除機本体と、前記掃除機本体から前方へ延びる延長管と、前記延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機であって、前記掃除機本体は、電動送風機と、前記電動送風機の前方に設けられた集塵室と、前記集塵室の前方に設けられた前記延長管を連結するための連結部材とを含む本体部と、前記本体部の後端面中央から後方へ突出し、前方へ向けて前記本体部の周面と対向するように湾曲したハンドルであって、前記本体部の中心を中心に、少なくとも180°回動して、第1位置と、前記第1位置と180°隔たる第2位置とに変位し得るハンドルと、を含むことを特徴とする、ハンディタイプ電気掃除機である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、手で持って操作され得る掃除機本体と、掃除機本体から前方へ延びる延長管と、延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機において、掃除機本体では、重量物である電動送風機を含む本体部が重心となる。本体部は、電動送風機の前方に設けられた集塵室と、集塵室の前方に設けられた延長管を連結するための連結部材とを含んでいる。
【0013】
そして、一対のハンドルが、本体部の周面の周方向に180°隔たる位置において外方へ張り出すように対称に設けられている。つまり、一対のハンドルは、重心となる本体部を挟んで対称に配置されている。この場合、どちらのハンドルを把持しても、電動送風機の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部がくる。これにより、ハンドルを把持した手の下方に掃除機本体の重心が位置するので、掃除機本体を安定した状態で移動させることができる。
【0014】
また、たとえば、床面において掃除する領域を、広い領域から狭い領域へと移す場合(または、その逆の場合)、そのために一方のハンドルから他方のハンドルに持ち替えると、電動送風機の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部が速やかに配置される。これにより、ハンドルを安定した状態で円滑に持ち替えることができる。
以上の結果、使い勝手の向上を図ることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、掃除機本体と、掃除機本体の連結部材に連結された延長管とは、一直線状に延びている。そのため、一方のハンドルから他方のハンドルに持ち替えると、連結部材(掃除機本体)および延長管を軸として、本体部が電動送風機の自重によって下向きに回動し、他方のハンドルの下方へ速やかに移動する。これにより、ハンドルを安定した状態で円滑に持ち替えることができて使い勝手が良い。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、吸込具では、ハウジングの底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されていて、ハウジングには、ベンドが連結されている。ベンドは、ハウジングとの連結部を中心に回動可能であり、延長管の先端に取り付けられる。そのため、電動送風機が吸引力を発生すると、塵埃が、主吸込口または副吸込口からハウジング内に吸い込まれ、ベンド、延長管および連結部材を通過した後に集塵室に溜められる。
【0017】
そして、吸込具は、主吸込口が床面に対向した基本姿勢と、副吸込口が床面に対向した倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができる。そのため、基本姿勢において、床面の広い領域の塵埃を主吸込口からハウジング内に効率的に吸い込むことができる。一方、倒立姿勢において、吸込具を横方向に薄くすることができるので、倒立姿勢の吸込具を、室内の壁面と家具との隙間や家具と家具との隙間に差し込んで、これらの隙間における床面の狭い領域の塵埃を副吸込口からハウジング内に吸い込むことができる。つまり、吸込具の姿勢を基本姿勢と倒立姿勢とに切り換えることによって、ハンディタイプ電気掃除機では、床面における広い領域および狭い領域の両方を掃除することができて使い勝手が良い。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、吸込具は、シャッターと、シャッターの外表面に回転可能に設けられたローラーとを含んでいる。
シャッターは、基本姿勢において副吸込口を閉じているので、床面の塵埃を、床面に対向している主吸込口からハウジング内に効率的に吸い込むことができる。また、たとえば、吸込具を室内の壁面に沿わせて移動させたい場合には、ローラーが壁面に触れて転がるので、吸込具を円滑に移動させることができて使い勝手が良い。
【0019】
一方、シャッターは、倒立姿勢において副吸込口を開くので、床面の狭い領域における塵埃を、この領域に対向している副吸込口からハウジング内に効率的に吸い込むことができる。この際、ローラーが床面に触れて転がるので、倒立姿勢の吸込具を床面上で円滑に移動させることができて使い勝手が良い。
請求項5記載の発明によれば、一対のハンドルのうち、一方のハンドルを把持した状態で、吸込具は基本姿勢をとり、他方のハンドルを把持した状態で、吸込具は倒立姿勢をとる。
【0020】
ここで、一対のハンドルは、重心となる本体部を挟んで対称に配置されているので、これらのハンドルを安定した状態で円滑に持ち替えることができる。そのため、一方のハンドルを把持すれば、吸込具は円滑に基本姿勢になり、他方のハンドルを把持すれば、吸込具は円滑に倒立姿勢になるので、使い勝手が良い。
請求項6記載の発明によれば、手で持って操作され得る掃除機本体と、掃除機本体から前方へ延びる延長管と、延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機において、掃除機本体では、重量物である電動送風機を含む本体部が重心となる。本体部は、電動送風機の前方に設けられた集塵室と、集塵室の前方に設けられた延長管を連結するための連結部材とを含んでいる。
【0021】
そして、本体部の後端面中央から後方へ突出し、前方へ向けて本体部の周面と対向するように湾曲したハンドルが設けられている。このハンドルは、本体部の中心を中心に、少なくとも180°回動して、第1位置と、第1位置と180°隔たる第2位置とに変位し得る。たとえば、床面において掃除する領域を、広い領域から狭い領域へと移す場合(または、その逆の場合)、ハンドルを第1位置および第2位置のいずれかにすることで、掃除しやすいように電気掃除機の姿勢を変えることができる。
【0022】
この場合、第1位置および第2位置のいずれに位置するハンドルを把持しても、電動送風機の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部がくる。これにより、ハンドルを把持した手の下方に掃除機本体の重心が位置するので、掃除機本体を安定した状態で移動させることができる。
以上の結果、使い勝手の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係るハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
【図2】図2は、吸込具4のシャッター54を開いた状態におけるハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
【図3】図3は、吸込具4を倒立姿勢にした状態におけるハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
【図4】図4は、第1の変形例に係る掃除機本体2の側面図である。
【図5】図5は、図4の掃除機本体2のメンテナンス状態における側面図である。
【図6】図6は、第2の変形例に係る掃除機本体2を適用したハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
【図7】図7は、図6においてハンドル67が第2位置にある状態を示している。
【図8】図8は、図7において吸込具4を水平面内で略90°回動させた状態を示している。
【図9】図9(a)は、ハンドル67がロックされた状態におけるハンドル67およびロック機構71の正断面図であり、図9(b)は、図9(a)のA−A矢視断面図である。図9(c)は、ハンドル67のロックが解除された状態におけるハンドル67およびロック機構71の正断面図であり、図9(d)は、図9(c)のB−B矢視断面図である。
【図10】図10(a)は、掃除機本体2の後端面5Cに取り付けられる排気調整機構80の斜視図であり、図10(b)は、排気調整機構80の断面図である。
【図11】図11(a)は、排気調整機構80のスライド部材81の斜視図であり、図11(b)は、スライド部材81の断面図である。
【図12】図12(a)は、排気調整機構80の保持部材82の斜視図であり、図12(b)は、保持部材82の断面図である。
【図13】図13は、ハンドル20Aを把持した場合における排気調整機構80の断面図である。
【図14】図14は、ハンドル20Bを把持した場合における排気調整機構80の断面図である。
【図15】図15は、第4の変形例に係る掃除機本体2の右側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。図2は、吸込具4のシャッター54を開いた状態におけるハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
以下では、図1におけるハンディタイプ電気掃除機(以下では、単に「掃除機」という)1の姿勢を基準として、掃除機1の前後左右方向を規定する。図1において、左側が前側であり、右側が後側であり、奥側が左側であり、手前側が右側である。また、左右方向は、幅方向と同義である。
【0025】
掃除機1は、掃除機本体2と、掃除機本体2から前方へ延びる延長管3と、延長管3の先端に取り付けられた吸込具4とを有している。この掃除機1で掃除をする際、掃除機本体2を手で持って宙に浮かせて操作し、この状態で掃除機1全体を移動させる。
<掃除機本体>
図1を参照して、掃除機本体2は、中空の略円筒状をなす本体部5を備えている。本体部5は、その内部に収納される電動送風機6と、電動送風機6の前方に設けられた空間をなす集塵室7とを備えている。掃除機本体2では、重量物である電動送風機6を含む本体部5が重心となる。
【0026】
本体部5は、図1において前下側へ延びる中心軸Jを有する円周面5Aと、円周面5Aを前側から塞ぐ前端面5Bと、円周面5Aを後側から塞ぐ後端面5Cとを一体的に備えている。
前端面5Bは、略円形状であり、前下側へ円弧状に膨出している。円周面5Aの中心軸Jは、前端面5Bの円中心位置を通っている。前端面5Bの円中心位置には、前下側へ突出して延びる連結部材8が一体的に設けられている。連結部材8は、本体部5の一部である。
【0027】
連結部材8は、円周面5Aの中心軸J上を延びる略円管状であり、集塵室7の前方に位置している。連結部材8の内部は、集塵室7の内部に対して前下側から連通している。連結部材8に対して延長管3が連結される。連結部材8の外周面の周上1箇所(図1では上側外周面)には、解除ボタン9が設けられている。連結部材8に連結された延長管3は連結部材8に対してロックされていて、解除ボタン9を押すことで、連結部材8に対する延長管3のロックが解除され、延長管3を連結部材8から取り外すことができる。
【0028】
本体部5の後端面5Cは、略円形であり、本体部5の円周面5Aの中心軸Jと直交する方向に沿って平坦である。後端面5Cは、掃除機本体2の後端面をなしている。つまり、掃除機本体2は、本体部5の後端面5Cにより形成される略円形の後端面を有している。
また、本体部5の内部において、集塵室7より後側で電動送風機6が収容される空間は、収容室13とされる。後端面5Cには排気口14が形成されていて、排気口14は、収容室13に対して後側から連通している。
【0029】
電動送風機6は、収容室13内において、円周面5Aの中心軸J上に配置されている。電動送風機6は、電力が供給されることによって運転されて、吸引力を発生する。これにより、掃除機本体2では、連結部材8、集塵室7および電動送風機6をこの順番で通過して排気口14から機外に排出される空気の流れが発生する。
そして、掃除機本体2には、掃除機本体2を宙に浮かせて移動させるために把持される一対のハンドル20が備えられている。これらのハンドル20は、本体部5の円周面5Aの周方向に180°隔たる位置において外方へ張り出すように、本体部5の中心軸Jを基準に対称に設けられている。換言すれば、一対のハンドル20は、重心となる本体部5を挟んで対称に配置されている。
【0030】
図1の状態において、一方のハンドル20Aは、本体部5の円周面5Aの略後半分の上側部分に設けられていて、他方のハンドル20Bは、本体部5の円周面5Aの略後半分の下側部分に設けられている。各ハンドル20は、円周面5Aの前後方向略中央位置から円周面5Aの径方向外側かつ後側へ傾斜して延びてから、円周面5Aの中心軸Jに沿って後方へ延び、その後、中心軸J側へ略180°湾曲して本体部5の後端面5Cの周縁部に後側から接続されている。そのため、各ハンドル20と円周面5Aとの間には、中心軸Jに沿って長手の長穴21が形成されている。各ハンドル20を把持した手の指が長穴21に通される。
<延長管>
延長管3は、直線状に延びる略円管状であって、掃除機本体2側の第1管40と、吸込具4側の第2管41と分割可能である。第1管40および第2管41のそれぞれの長さは、大体同じである。第2管41の後端部が第1管40の前端部の内側に収容されていて、この状態で、第1管40と第2管41とは同軸状をなしている。第2管41を第1管40内に収容していくことで、延長管3を伸縮させて延長管3の長さを変えることができる。
【0031】
第1管40の前端部の上側面には、調整ボタン43が設けられている。調整ボタン43は、延長管3を伸縮させる際に操作される。
第2管41の上側面には、長さ方向におけるほぼ全域において、複数の凹部44が間隔を隔てて並んで形成されている。いずれかの凹部44に対して、第1管40に設けられた図示しない爪が引っ掛かっていて、この状態で、延長管3の伸縮が規制されている。調整ボタン43を押すと、この爪(図示せず)を、いままで引っ掛かっていた凹部44から外すことができ、これにより、延長管3の伸縮が可能となる。そして、任意の長さになるように延長管3を伸縮させてから調整ボタン43を離すと、前述した爪(図示せず)が最寄りの凹部44に引っ掛かるので、延長管3を任意の長さで維持することができる。
【0032】
第2管41の前端部の上側面には、取り外しボタン45が設けられている。取り外しボタン45は、延長管3から吸込具4を取り外す際に操作される。
このような延長管3は、第1管40の後端部が掃除機本体2の連結部材8に対して内嵌されることで、掃除機本体2に対して連結される。延長管3が掃除機本体2に連結された状態で、第1管40の後端部には、連結部材8に設けられたフック(図示せず)が係合しており、これによって、延長管3が掃除機本体2に対して外れ不能に固定(ロック)されている。なお、解除ボタン9を押すと、前述したフックが第1管40から外れるので、掃除機本体2に対する延長管3のロックが解除され、延長管3を掃除機本体2から取り外すことができる。
【0033】
そして、図1に示すように、延長管3が連結部材8に連結された状態では、本体部5(掃除機本体2)と、本体部5に内蔵された電動送風機6と、連結部材8と、連結部材8に連結された延長管3とは、本体部5の中心軸Jに沿って一直線状に延びている。延長管3は、本体部5の集塵室7の前方に位置している。
<吸込具>
吸込具4は、ハウジング50と、ベンド51とを含んでいる。
【0034】
ハウジング50は、幅方向に長手(幅広)かつ上下方向に扁平で中空のボックス形状である。ハウジング50の底面50Aの前側には、幅方向に長手の主吸込口52が形成されており、ハウジング50の前面50Bには、幅方向に長手の副吸込口53が形成されている。副吸込口53は、主吸込口52に対して前側から連続している。主吸込口52および副吸込口53は、ハウジング50内に連通している。
【0035】
ハウジング50の前面50Bには、シャッター54が設けられている。シャッター54は、幅方向に長手の板状である。シャッター54は、幅方向から見て、前上側へ円弧状に膨出するように、湾曲している。シャッター54の前側面(外表面)の幅方向両端部には、ローラー55が設けられている。ローラー55は、前上側へ延びる円柱形状であって、先端部(前上側端部)が丸められている。ローラー55は、前上側へ延びる軸(図示せず)を中心に回転可能である。
【0036】
シャッター54は、前上側から、副吸込口53を開閉可能に覆っている。図1では、シャッター54が副吸込口53を閉じている。開いたシャッター54では、後側部分が、ハウジング50の天壁50Cの前端部の下側に隠れるようにハウジング50内に収容される(図示せず)。
ここで、シャッター54は、閉じるように付勢部材(ばねなど)で付勢されている。そのため、図2に示すように、壁Wに対してローラー55を押し付けることで、付勢部材の付勢力に抗してシャッター54を開くことができる。逆に、ローラー55を壁Wから離すと、付勢部材の付勢力によって、図1に示すように、シャッター54は速やかに閉じる。
【0037】
図1に示すように、ハウジング50の後面の幅方向中央には、接続筒56が取り付けられている。接続筒56は、前後方向に延びる中心軸を有する略円筒状であり、ハウジング50の後面に対して後から挿通され、ハウジング50によって、上述した中心軸を中心として回動自在に支持されており、ハウジング50の一部となっている。接続筒56の内部は、ハウジング50内に連通している。接続筒56の後端面と外周部分の周上1箇所とは、連続して切欠かれており、切欠き部56Aとされる。
【0038】
ベンド51は、図1では前後方向に長手の管状であり、その前端は、略球体状に形成されている。ベンド51の前端は、ハウジング50の接続筒56の切欠き部56Aに対して後から挿通されており、これによって、ベンド51は、接続筒56(ハウジング50)によって支持されている。
詳しくは、ベンド51では、前端がハウジング50に連結され、後端は、ハウジング50から後方へ突出している。この状態で、ベンド51は、前端を支点として、接続筒56に対して回動自在である。図1では、ベンド51は、上下に回動自在である。そして、接続筒56が、前後方向に延びる中心軸を中心として回動自在であることから、ベンド51は、接続筒56に対して回動しつつ、接続筒56とともに、前後方向に延びる中心軸を中心として回動することができる。つまり、ベンド51は、ハウジング50との連結部である接続筒56を中心に回動可能である。
【0039】
ベンド51の内部は、接続筒56の内部を介して、ハウジング50内に連通している。ベンド51は、その後端において、延長管3の先端(第2管41の前端)に取り付けられる。
また、ハウジング50内には、回転ブラシ57が設けられている。回転ブラシ57は、幅方向に長手でハウジング50の左右の側壁によって回転可能に支持されている。回転ブラシ57のブラシ毛は、主吸込口52および副吸込口53の両方に臨んでいる。ハウジング50内には、モータやタービンが設けられている(図示せず)。モータが掃除機本体2から電力を受けることで駆動されたり、後述するようにハウジング50内に吸い込まれた空気でタービンが回転駆動されたりすることで、回転ブラシ57は、モータやタービンから駆動力を受けて回転する。
【0040】
図3は、吸込具4を倒立姿勢にした状態における掃除機1の右側面図である。
このような吸込具4は、図1および図2に示す基本姿勢と、図3に示す倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができる。吸込具4が基本姿勢にあるとき、主吸込口52が床面Vに対して上から対向し(図1および図2参照)、吸込具4が倒立姿勢にあるとき、副吸込口53が床面Vに対して上から対向する。
【0041】
また、壁Wに対してローラー55を押し付けていない状態において吸込具4が基本姿勢にあれば、シャッター54は、副吸込口53を閉じている(図1参照)。一方で、吸込具4が倒立姿勢にあるときには、ローラー55が床面Vに当接されることで、シャッター54は、開く方向へ移動して、副吸込口53を開く(図3参照)。
そして、図1の状態で掃除機本体2の上端に位置している一方のハンドル20Aを把持すると、ハンドル20Aが掃除機本体2の上端に位置している一方で、ハンドル20Aの真下に本体部5が位置し、他方のハンドル20Bが、本体部5を挟んでハンドル20Aの反対側(掃除機本体2の下側面側)に位置する。この状態では、吸込具4は基本姿勢をとり、延長管3は、吸込具4のハウジング50の長手方向(幅方向)に直交しつつ、後上側へ傾斜して延びている。
【0042】
この状態で、ハンドル20Aを把持したまま前方に移動させ、図2に示すように、吸込具4をシャッター54側から室内の壁Wに押し付けると、シャッター54のローラー55が壁Wに当接され、これによって、シャッター54が開く。
また、図1の状態で、ハンドル20Aからハンドル20Bに持ち替えてハンドル20Bを少し浮かせる。すると、掃除機本体2において図1でハンドル20Bより上側の本体部5およびハンドル20Aが、一直線状に延びている延長管3、連結部材8および本体部5を軸として、換言すれば、本体部5の中心軸Jを軸として、電動送風機6の自重によって下向きに回動する。厳密には、掃除機1において吸込具4以外の部分が、中心軸Jを中心として、180°下向きに捻られる。これにより、本体部5およびハンドル20Aが、図3に示すように、ハンドル20Bの下方へ速やかに移動する。そのため、ハンドル20Aからハンドル20Bに安定した状態で円滑に持ち替えることができて使い勝手が良い。また、本体部5およびハンドル20Aが移動するのと同時に、ハンドル20Bを少し浮かせたのに応じて延長管3が捻れながら少し上昇し、その際、吸込具4の後端部側を持ち上げるので、吸込具4の姿勢が倒立姿勢に変わり、シャッター54が開く。このとき、図3に示すように、倒立姿勢の吸込具4と、延長管3および掃除機本体2とが同一の垂直平面上に配置される。
【0043】
そして、この状態でハンドル20Bからハンドル20Aに持ち替えると、本体部5およびハンドル20Bが、延長管3および連結部材8を伴って下向きに回動し、図1に示すように、ハンドル20Aの下方に配置される。これと同時に、吸込具4の姿勢が、倒立姿勢から基本姿勢に戻る。
このように、ハンドル20Aを把持した状態で、吸込具4は基本姿勢をとり、ハンドル20Bを把持した状態で、吸込具4は倒立姿勢をとる(図3参照)。そして、ハンドル20Aからハンドル20Bに持ち替えると、本体部5およびハンドル20Aがハンドル20Bの下方に位置し(図3参照)、ハンドル20Bからハンドル20Aに持ち替えると、本体部5およびハンドル20Bがハンドル20Aの下方に位置する。
<掃除機による掃除>
図1に示すように吸込具4が基本姿勢にあってシャッター54が閉じている状態で、掃除機本体2に接続された電気コードの電気プラグ(図示せず)をコンセント(図示せず)につなげる。そして、掃除機本体2に設けられたスイッチ(図示せず)をONにすると、電動送風機6に電力が供給され、電動送風機6が吸引力を発生する。この吸引力は、集塵室7、連結部材8、延長管3、ベンド51およびハウジング50のそれぞれの内部に作用する。
【0044】
これにより、ハウジング50の底面50Aの主吸込口52にも吸引力が作用するので、ハウジング50の外部の空気が主吸込口52からハウジング50内に吸い込まれる。
そのため、主吸込口52が床面Vに対向した状態で、上側のハンドル20Aを把持して吸込具4を床面V上で移動させれば、床面V上の塵埃が、主吸込口52からハウジング50内に吸引される空気に乗って、主吸込口52からハウジング50内に吸い込まれる。その後、ハウジング50内に流入したこれらの塵埃および空気は、ベンド51および延長管3を通って、掃除機本体2の連結部材8に流入する。
【0045】
連結部材8に流入した塵埃および空気は、連結部材8を通過した後に、集塵室7内に流入する。集塵室7内には、使い捨ての紙パック60(後述する図4も参照)が収容されており、集塵室7内に流入した塵埃および空気は、紙パック60内に進入する。そして、塵埃は、紙パック60を通過できずに紙パック60に溜まる一方で、空気は、紙パック60を通過した後に、排気口14から掃除機本体2の外部(機外)へ排出される。
【0046】
掃除機本体2では、本体部5の円周面5Aにおいて集塵室7に一致する部分に、集塵室7内に連通する取出口61が形成されていて、取出口61は、本体部5に設けられた蓋62によって開閉される。蓋62を開くことによって、集塵室7の紙パック60を取り出すことができるので、紙パック60(換言すれば集塵室7)に溜まった塵埃を捨てることができる。
【0047】
図1に示すように、吸込具4が基本姿勢にある状態では、シャッター54が副吸込口53を閉じているので、吸引力を主吸込口52だけに作用させることができる。そのため、床面Vの塵埃を、床面Vに対向している主吸込口52からハウジング50内に効率的に吸い込むことができる。また、回転する回転ブラシ57が主吸込口52から床面Vの塵埃を掻き上げる。よって、塵埃を主吸込口52からハウジング50内へ効果的に流入させて集塵室7の紙パック60に溜めることができる。
【0048】
一方、図2に示すように吸込具4を壁Wに押し付けるとシャッター54が副吸込口53を開く。この場合には、吸引力が副吸込口53にも作用するので、副吸込口53からハウジング50内に塵埃を吸い込むことができる。この場合、副吸込口53が壁Wに対向しているので、壁Wに付着した塵埃を副吸込口53からハウジング50内に吸い込むことができる。また、回転する回転ブラシ57(図示せず)において副吸込口53に臨むブラシ毛が壁Wの塵埃を副吸込口53へ掻き込むので、壁Wに付着した塵埃は、ハウジング50内に効率的に吸い込まれる。
【0049】
ハウジング50内に吸い込まれた塵埃は、前述したように、集塵室7の紙パック60に溜められる。また、床面Vにおいて壁Wの際(壁際)の塵埃は、主吸込口52からハウジング50内に吸い込まれて紙パック60に溜められる。
このように吸込具4を壁Wに押し付けてシャッター54が開いた状態で、ハンドル20Aを把持し、壁Wに沿って吸込具4を横移動させる。すると、シャッター54のローラー55が壁Wの壁面に触れて転がる。これにより、ローラー55においてガイドされることで、吸込具4を壁Wに沿って円滑に横移動させることができて使い勝手が良い。吸込具4が横移動する際、壁Wの塵埃および壁際の塵埃がハウジング50内に吸い込まれて集塵室7に溜められる。なお、シャッター54が閉じた状態にある基本姿勢の吸込具4を壁Wに沿わせることもでき、このときも、ローラー55が壁Wの壁面に触れて転がるので、吸込具4を壁Wに沿って円滑に横移動させることができる。
【0050】
また、吸込具4が基本姿勢にある状態で(図1および図2参照)、前述したようにハンドル20Aからハンドル20Bに持ち替えると、図3に示すように吸込具4が倒立姿勢になる。吸込具4が倒立姿勢になる際、ローラー55が床面Vに接触して床面Vによって下から押されることによって、シャッター54が開く。
吸込具4が倒立姿勢にあると、基本姿勢(図1および図2参照)のときに幅広で上下に扁平だったハウジング50において、副吸込口53側が底面となってベンド51側が天面となることで、ハウジング50が、横方向(水平方向)に薄くなる(後述する図8も参照)。つまり、床面Vに対するハウジング50の対向面積が小さくなる。そのため、壁Wの壁面と家具との隙間や家具と家具との隙間といった床面Vにおける狭い領域にハウジング50を入り込ませることができる。
【0051】
そして、このとき、シャッター54が副吸込口53を開いているので、床面Vの狭い領域における塵埃を、この領域に対向している副吸込口53からハウジング50内に効率的に吸い込むことができる。この際、ローラー55が床面Vに触れて転がるので、倒立姿勢の吸込具4を床面V上で円滑に移動させることができて使い勝手が良い。
そして、副吸込口53からハウジング50内に吸い込まれた狭い領域における塵埃は、前述したように、集塵室7の紙パック60に溜められる。
【0052】
このように、基本姿勢において、床面Vの広い領域の塵埃を主吸込口52からハウジング50内に効率的に吸い込むことができる(図1および図2参照)。一方、倒立姿勢において、吸込具4を横方向に薄くすることができるので、倒立姿勢の吸込具4を、室内の壁面と家具との隙間や家具と家具との隙間に差し込んで、これらの隙間における床面Vの狭い領域の塵埃を副吸込口53からハウジング50内に吸い込むことができる(図3参照)。つまり、吸込具4の姿勢を基本姿勢と倒立姿勢とに切り換えることによって、掃除機1では、床面Vにおける広い領域および狭い領域の両方を掃除することができて使い勝手が良い。
【0053】
また、ハンドル20Aおよびハンドル20Bは、重心となる本体部5を挟んで対称に配置されているので、どちらのハンドル20を把持しても、電動送風機6の自重によって、把持したハンドル20の下方に本体部5がくる(図1〜図3参照)。これにより、ハンドル20を把持した手の下方に掃除機本体2の重心が位置するので、掃除機本体2を安定した状態で移動させることができる。また、ハンドル20Aおよびハンドル20Bは、対称に配置され、かつ、同じ形状なので、どちらのハンドル20も同じように把持できて使い勝手がよい。
【0054】
また、床面Vにおいて掃除する領域を、広い領域から狭い領域へと移す場合(または、その逆の場合)、そのためにハンドル20Aおよびハンドル20Bのいずれか一方から他方に持ち替えると、電動送風機6の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部5が速やかに配置される。特に、掃除機本体2と延長管3とが一直線状に延びていることから、一方のハンドル20から他方のハンドル20に持ち替えると、連結部材8(掃除機本体2)および延長管3を軸として、本体部5が電動送風機6の自重によって下向きに回動し、他方のハンドル20の下方へ速やかに移動する。これにより、ハンドル20を安定した状態で円滑に持ち替えることができて使い勝手が良い。
【0055】
このようにハンドル20を安定した状態で円滑に持ち替えることができるので、ハンドル20Aを把持すれば、吸込具4は円滑に基本姿勢になり(図1および図2参照)、ハンドル20Bを把持すれば、吸込具4は円滑に倒立姿勢になる(図3参照)。
以上により、同一の吸込具4によって、床面Vにおいて広い領域と狭い領域とを中断することなく連続して掃除でき、使い勝手の向上を図ることができる。
【0056】
以下では、変形例について説明する。
<第1の変形例>
図4は、第1の変形例に係る掃除機本体2の側面図である。図5は、図4の掃除機本体2のメンテナンス状態における側面図である。なお、前述した実施例に説明した部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する(以降の変形例においても同様)。
【0057】
図4および図5に示す第1の変形例に係る掃除機本体2の場合、掃除機1をコンパクトに収納することができる。この変形例に係る掃除機本体2では、ハンドル20Aの後側面(図4では下側面)23およびハンドル20Bの後側面(図4では下側面)24のそれぞれが、平坦面であり、本体部5の後端面5Cと面一をなしている。後側面23および後側面24は、いずれも、後端面5Cとともに掃除機本体2の後側面をなしていて、本体部5の径方向において本体部5の後端面5Cから径方向外側へ張り出している。つまり、掃除機本体2は、ハンドル20Aの後端により本体部5の後端面5Cから外方へ張り出した一方張出面をなす後側面23と、ハンドル20Bの後端により本体部5の後端面5Cから外方へ張り出した他方張出面をなす後側面24とを有している。
【0058】
ここで、ハンドル20Aおよびハンドル20Bが本体部5の中心軸Jを基準に対称に設けられていることから、ハンドル20Bの後側面24は、ハンドル20Aの後側面23と180°隔たる方向へ張り出している。
そして、ハンドル20Aの後側面23とハンドル20Bの後側面24と本体部5の後端面5Cとが面一であることから、後側面23と後側面24と後端面5Cとは、面一となっていて、まとまった状態で、フラット面35を形成している。
【0059】
また、掃除機1の収納に関連して、図1に示すように、延長管3の前端部(吸込具4側の端部)の外周面には、吸込具4側へ折れ曲った係止フック59が設けられている。なお、係止フック59は、吸込具4に設けられてもよい。また、図示しないが、掃除機本体2には、係止フック59を引っ掛けるための凹状のフック受けが設けられている。
前述したように、連結部材8の解除ボタン9を押すと、掃除機本体2に対する延長管3のロックが解除されるので、一体となった状態にある吸込具4および延長管3(図1参照)を、掃除機本体2から取り外すことができる。
【0060】
吸込具4および延長管3を掃除機本体2から取り外した後に、今まで掃除機本体2の後端に位置していたフラット面35を床(床面V)に上から対向させて、図4に示すように、掃除機本体2を縦長になるように立設させる。このとき、フラット面35が床面Vに面接触するので、立設した掃除機本体2は、安定した姿勢を保つことができる。詳しくは、フラット面35は、ハンドル20A、本体部5およびハンドル20Bの並び方向に沿って長手かつ平坦なので、フラット面35が床(床面V)に対向するように掃除機本体2を床に載置しても、掃除機本体2は、当該並び方向へ倒れることなく、安定した姿勢を保つことができる。
【0061】
そして、吸込具4が下端に位置して延長管3が吸込具4から上方ヘ略垂直に延びるようにしてから、延長管3の係止フック59(図1参照)を、前述したフック受け(図示せず)に引っ掛ける。すると、延長管3が略垂直に延びた状態で、吸込具4および延長管3が掃除機本体2に固定され、掃除機1が収納状態になる。つまり、立設して縦長となった掃除機本体2に延長管3および吸込具4を固定することで、掃除機1をコンパクトに収納することができて使い勝手が良い。
【0062】
なお、この変形例に係る掃除機本体2では、図5に示すように、本体部5の前端面5Bと、円周面5Aにおいて前端面5Bの近傍部分と、連結部材8とが、蓋65として一体化していて、紙パック60を伴って掃除機本体2から分離可能である。そのため、蓋65を掃除機本体2から分離させることで、紙パック60を掃除機本体2から取り外すことができ、これにより、紙パック60に溜まった塵埃を捨てることができる。
<第2の変形例>
図6は、第2の変形例に係る掃除機本体2を適用した掃除機1の右側面図である。図7は、図6においてハンドル67が第2位置にある状態を示している。図8は、図7において吸込具4を水平面内で略90°回動させた状態を示している。
【0063】
図6〜図8に示す第2の変形例では、掃除機本体2において、前述した一対のハンドル20(図1参照)の代わりに、回動可能な1つのハンドル67が設けられている。また、以下では、図6における掃除機1の姿勢を基準として、第2の変形例に係る掃除機1の前後左右方向を規定する。図6において、左側が前側であり、右側が後側であり、奥側が左側であり、手前側が右側である。また、左右方向は、幅方向と同義である。
【0064】
ここで、この変形例に係る掃除機本体2は、中空の略円筒状をなす本体部68を備えている。本体部68は、その内部に、前述した電動送風機6と、電動送風機6の前方に設けられた集塵室7とを備えている。また、本体部68の前端には、集塵室7の前方に設けられた延長管3を連結するための連結部材8が一体的に設けられている。このような掃除機本体2では、重量物である電動送風機6を含む本体部68が重心となる。
【0065】
本体部68は、図6において前下側へ延びる中心軸Kを有する円周面68Aと、円周面68Aを前側から塞ぐ前端面68Bと、円周面68Aを後側から塞ぐ後端面68Cとを一体的に備えている。
円周面68Aの上側部分において、その前側領域には、上側へ一段突き出るように膨出した膨出部69が一体的に設けられている。前述した排気口14は、前後に細長いスリット状で上下に複数並んだ状態で、円周面68Aの左右の領域の後側部分に形成されている。前端面68Bには、前述した連結部材8が連結されている。後端面68Cは、略円形であり、中心軸Kと直交する方向に沿って平坦である。中心軸Kは、後端面68Cの円中心位置と連結部材8とを通っており、中心軸K上に、前述した延長管3が位置している。
【0066】
掃除機本体2には、電動送風機6に電力を供給するための電気コード70の一端が接続されている。電気コード70の他端に取り付けられた電気プラグ(図示せず)をコンセント(図示せず)につなげて、掃除機本体2に設けられたスイッチ(図示せず)をONにすると、電動送風機6に電力が供給される。
そして、ハンドル67は、本体部68の後端面68Cの中央(中心軸Kが通る位置)から中心軸Kに沿って後方へ突出した後に本体部68の径方向外側へ向けて折れ曲り、さらに、前方へ湾曲して延びている。図6では、ハンドル67の前端は、膨出部69に対して隙間を隔てて後側から対向していて、ハンドル67の前側部分(本体部68の径方向における外側部分)は、本体部68の円周面68Aに対して、本体部68の径方向において隙間を隔てて対向している。
【0067】
ハンドル67では、本体部68の後端面68Cに接続された基端部67Aが、中心軸Kを円中心とする円柱状をなしていて、本体部68によって回動可能に支持されている。そのため、ハンドル67は、中心軸Kを中心に回動可能である。そのため、ハンドル67は、本体部68の中心(中心軸K)を中心に、少なくとも180°回動して、膨出部69に後側から対向する第1位置(図6参照)と、第1位置と180°隔たる第2位置(図7および図8参照)とに変位することができる。
【0068】
そして、本体部68には、ハンドル67を第1位置および第2位置のそれぞれでロックするためのロック機構71が備えられている。
図9(a)は、ハンドル67がロックされた状態におけるハンドル67およびロック機構71の正断面図であり、図9(b)は、図9(a)のA−A矢視断面図である。図9(c)は、ハンドル67のロックが解除された状態におけるハンドル67およびロック機構71の正断面図であり、図9(d)は、図9(c)のB−B矢視断面図である。
【0069】
ロック機構71に関連して、図9(a)および図9(b)に示すように、ハンドル67の基端部67Aの外周面には、周方向に180°隔てた2箇所に、凹部72が形成されている。また、図9(b)に示すように、基端部67Aの外周面において、凹部72の後側(図9(b)では右側)には、環状の溝73が形成されていて、基端部67Aは、溝73が形成された部分において縮径されている。
【0070】
また、本体部68において後端面68Cを区画する後壁74は、板状である。後壁74において、中心軸Kが通る位置には、丸い第1貫通穴74Aが形成されており、本体部68の径方向において第1貫通穴74Aから外側へ少し離れた位置には、第2貫通穴74Bが1つ形成されている。
ハンドル67の基端部67Aにおいて溝73が形成された部分が、第1貫通穴74Aに対して内嵌されている。これにより、ハンドル67は、基端部67Aにおいて溝73が形成された部分において、本体部68の後壁74によって回動可能に支持されている。この状態で、基端部67Aにおいて溝73を前後から区画する部分の間に、後壁74において第1貫通穴74Aを縁取る部分が位置しているので、ハンドル67が後壁74から外れることはない。また、この状態では、基端部67Aの前端部は、本体部68の内部に配置されている。
【0071】
そして、ロック機構71は、ロック部材75と、ホルダ76と、解除ボタン77とを含んでいる。
ロック部材75は、ハンドル67の基端部67Aの径方向に沿って細長い円筒状である。ロック部材75において、基端部67A側の一端は、丸められた先端75Aをなしてロック部材75の内部を一端側から塞いでおり、一端とは反対側の他端には、内部に連通する開口75Bが形成されている。ロック部材75の外周面の周上一箇所には、ロック部材75の径方向外側へ突出する突起75Cが設けられている。突起75Cにおいてロック部材75の外周面から最も離れた端部には、ロック部材75の径方向内側かつ先端75A側へ傾斜する傾斜面75Dが形成されている。
【0072】
ホルダ76は、本体部68の後壁74の前側面(本体部68の内部に後側から臨む面)から前側へ突出する基部76Aと、基部76Aにおいてハンドル67の基端部67Aの前端部に対向する側面に形成された軸部76Bとを一体的に含んでいる。軸部76Bは、ハンドル67の基端部67Aへ向かって延びる細長い円柱状である。
解除ボタン77は、前後に延びる略円筒状であって、本体部68の後壁74の第2貫通穴74Bに対して前側から嵌め込まれている。解除ボタン77の後端部は、後側へ円弧状に膨出するように丸められていて、第2貫通穴74Bから後壁74の後外側へ露出されている。解除ボタン77の前端縁には、解除ボタン77の径方向外側へ鍔状に延びるフランジ部77Aが一体的に設けられている。後壁74において第2貫通穴74Bを縁取る部分にフランジ部77Aが前側から係合することで、解除ボタン77が後壁74の第2貫通穴74Bから後側へ外れることが防止されている。
【0073】
解除ボタン77には、突起77Bが一体的に設けられている。突起77Bは、前側へ延びる細長い棒状であり、解除ボタン77の内部に配置されている。突起77Bの前端部は、フランジ部77Aよりも前側へ突出している。突起77Bの前端には、突起77Bの延びる方向に対して傾斜して延びる傾斜面77Cが形成されている。
ロック機構71では、ホルダ76の軸部76Bが、ロック部材75の開口75Bに挿入されており、これによって、ロック部材75が軸部76Bによって、スライド自在に支持されている。ここで、コイルばね78が軸部76Bに対して外嵌されていて、部分的にロック部材75の内部に配置されている。コイルばね78もロック機構71に含まれる。コイルばね78は、圧縮ばねであり、ロック部材75の内側面とホルダ76の基部76Aとの間で圧縮されていて、これにより、ロック部材75を基部76Aから離れる方向へ向けて付勢している。ロック部材75が基部76Aから離れる方向の先には、ハンドル67の基端部67Aの前端部が位置している。このように、ホルダ76は、ロック部材75を保持している。
【0074】
そして、ホルダ76に保持されたロック部材75において、突起75Cは、解除ボタン77の突起77Bに対して前側から対向している。このとき、突起75Cの傾斜面75Dと突起77Bの傾斜面77Cとは互いに平行な状態で面接触している。
そして、図9(a)に示すように、ロック部材75の先端75Aが、ハンドル67の基端部67Aの外周面におけるいずれかの凹部72に嵌っている場合、ハンドル67は回動できない。図9(a)に示すときにハンドル67が第1位置(図6参照)にあると、ロック機構71は、ハンドル67を第1位置においてロックしている。
【0075】
この状態で、図9(d)に示すように解除ボタン77を後側から押すと、解除ボタン77の突起77Bの傾斜面77Cが、ロック部材75の突起75Cの傾斜面75Dを後側から押圧する。これにより、傾斜面77Cが傾斜面75Dを押圧する力が、ロック部材75に対して、ホルダ76の基部76A側へ作用する。そのため、ロック部材75全体が、コイルばね78の付勢力に抗して基部76A側へスライドし、ロック部材75の先端75Aが、今まで嵌っていた凹部72から外れる。この状態では、ハンドル67は自由に回動できる。
【0076】
そのため、今まで第1位置にあったハンドル67を180°回動させると、ハンドル67は第2位置に配置される(図7参照)。このとき、ロック部材75の先端75Aの先には、今まで嵌っていた凹部72とは別の凹部72が位置している。この状態で、ハンドル67が第2位置に配置されてから解除ボタン77を離す(押圧を解除する)と、図9(b)に示すように、解除ボタン77の突起77Bの傾斜面77Cが、ロック部材75の突起75Cの傾斜面75Dを後側から押圧しなくなる。これにより、ロック部材75全体が、コイルばね78の付勢力によって基部76Aから離れてハンドル67の基端部67A側へスライドし、図9(a)および図9(b)に示すように、ロック部材75の先端75Aが、今まで嵌っていた凹部72とは別の凹部72に嵌る。そのため、ロック機構71は、ハンドル67を第2位置においてロックし、ハンドル67は回動できなくなる。
【0077】
このように、ロック機構71は、ハンドル67を第1位置および第2位置のそれぞれにおいてロックしたり、そのロックを解除したりすることができる。
図6に示すように、ハンドル67が第1位置にあるときには、吸込具4は基本姿勢にある。この状態で、第1位置のハンドル67を把持して掃除機本体2を宙に浮かせた状態で動かすことによって、掃除機1全体を移動させて、床面Vの広い領域を掃除できる。
【0078】
そして、ハンドル67を把持したままロック機構71の解除ボタン77を押すと、ハンドル67のロックが解除される。この状態で、ハンドル67を回動させずに、掃除機本体2においてハンドル67以外の部分と延長管3とを、本体部68の中心軸Kを中心に略180°回動させつつ、少し浮かせる。すると、図7に示すように、ハンドル67は、掃除機本体2に対して相対的に回動したこととなって第2位置に配置されるとともに、吸込具4が倒立姿勢となる。これにより、床面Vの前述した狭い領域を掃除できる。
【0079】
なお、図6において、ハンドル67のロックを解除した後にハンドル67だけを回動させて第2位置に配置する。すると、第2位置のハンドル67は、掃除機本体2の下側面に配置されるので、このハンドル67が掃除機本体2の上側面に配置されるように掃除機本体2および延長管3を、中心軸Kを中心に略180°回動させつつ、少し浮かせる。これによっても、図7に示すように吸込具4が倒立姿勢となる。
【0080】
そして、第2位置のハンドル67を第1位置まで回動させると、図6に示すように、吸込具4を基本姿勢に戻すことができる。
第2の変形例によれば、床面Vにおいて掃除する領域を、広い領域から狭い領域へと移す場合(または、その逆の場合)、ハンドル67を第1位置および第2位置のいずれかにすることで、掃除しやすいように掃除機1の姿勢(厳密には、吸込具4の姿勢)を変えることができる(図6〜図8参照)。
【0081】
この場合、第1位置および第2位置のいずれに位置するハンドル67を把持しても、電動送風機6の自重によって、把持したハンドル67の下方に本体部68がくる。これにより、ハンドル67を把持した手の下方に掃除機本体2の重心が位置するので、掃除機本体2を安定した状態で移動させることができる。
よって、使い勝手の向上を図ることができる。また、ハンドル67は、第1位置であっても第2位置であっても、把持された状態では、掃除機本体2の上端側に位置して床面Vから浮いていることから、ハンドル67が床面Vにぶつかって床面Vを傷つけることを防止できる。
<第3の変形例>
図10(a)は、掃除機本体2の後端面5Cに取り付けられる排気調整機構80の斜視図であり、図10(b)は、排気調整機構80の断面図である。図11(a)は、排気調整機構80のスライド部材81の斜視図であり、図11(b)は、スライド部材81の断面図である。図12(a)は、排気調整機構80の保持部材82の斜視図であり、図12(b)は、保持部材82の断面図である。
【0082】
第3の変形例では、前述した排気口14が掃除機本体2の後端面5Cに形成されている場合(図1参照)、後端面5Cには、図10に示す排気調整機構80が取り付けられている。排気調整機構80は、後端面5Cの排気口14からの排気の向きを調整するものである。
排気調整機構80は、図11に示すスライド部材81と、図12に示す保持部材82とを含んでいる。
【0083】
図11を参照して、スライド部材81は、後端面5Cにおけるハンドル20Aおよびハンドル20B(図1参照)の並び方向に長手の板状である。なお、図11のスライド部材81は、略長方形状であるが、実際には、掃除機本体2の排気口14を覆う形状であれば、たとえば、楕円形状や円形状であっても構わない。
スライド部材81には、スライド部材81を厚さ方向に貫通するスリット83が、スライド部材81の長手方向に並んだ状態で複数(ここでは、5つ)形成されている。スリット83は、スライド部材81の長手方向に直交する方向に長手である。各スリット83は、その長手方向途中を延びるリブ84によって、長手方向において二分されている。スライド部材81において、隣り合うスリット83の間の部分は、所定方向(図11では右側)へ三角形状に突出する三角突起85をなしている。図11では、スライド部材81において、4つの三角突起85が形成されている。
【0084】
図12を参照して、保持部材82は、スライド部材81より大きく、前記並び方向に長手の板状である。保持部材82において、その長手方向に直交する方向における両端部は、互いに接近する方向に折り曲げられていて、これにより、保持部材82の当該両端部には、互いに離間する方向へ窪みつつ平行に延びるガイド溝86が形成されている。
保持部材82には、保持部材82を厚さ方向に貫通する出口87が、保持部材82の長手方向に並んだ状態で、スライド部材81の三角突起85(図11参照)の数(ここでは、4つ)だけ形成されている。各出口87は、保持部材82の長手方向に直交する方向において長手である。
【0085】
保持部材82でガイド溝86が形成された側とは反対側の側面(図12(a)では手前側の側面)において、その長手方向における各出口87の両端縁部には、互いに接近する方向へ傾斜して延びる板状のガイドリブ88が形成されている。つまり、出口87毎に一対のガイドリブ88が設けられている。各出口87の一対のガイドリブ88の先端の間には、所定の隙間が確保されている。
【0086】
図10を参照して、完成状態にある排気調整機構80では、スライド部材81は、保持部材82においてガイド溝86が形成された側から、保持部材82に取り付けられている。このとき、スライド部材81および保持部材82のそれぞれの長手方向は一致している。また、このとき、スライド部材81の各三角突起85は、保持部材82において対応する位置にある出口87に対して、前記長手方向に遊びを持って嵌っており、各三角突起85の先端は、各出口87の一対のガイドリブ88の先端の隙間に対して、前記長手方向に遊びを持って嵌っている。
【0087】
スライド部材81が保持部材82に取り付けられた状態において、スライド部材81では、その長手方向に直交する方向における一端部81A(図11(a)参照)が、保持部材82において同じ側のガイド溝86に嵌っていて、他端部81B(図11(a)参照)が、保持部材82において同じ側のガイド溝86に嵌っている。これにより、スライド部材81は、保持部材82によって、その長手方向に沿ってスライド自在に支持されている。スライド部材81は、各出口87における三角突起85の遊びの分だけスライドできる。
【0088】
そして、このような排気調整機構80は、掃除機本体2の本体部5の後端面5C(図1参照)に対して、排気口14を塞ぐように後側から取り付けられている。この状態において、排気調整機構80では、スライド部材81の各スリット83が、排気口14に対して後側から連通している。
図13は、ハンドル20Aを把持した場合における排気調整機構80の断面図である。図14は、ハンドル20Bを把持した場合における排気調整機構80の断面図である。
【0089】
ハンドル20Aを把持している場合には(図1および図2参照)、図13に示すように、排気調整機構80が縦長の姿勢をとっていて、スライド部材81は、その自重によって下限の位置にある。このとき、スライド部材81の各三角突起85は、対応する出口87の下端に位置していて、この出口87の下端側のガイドリブ88に対して面接触している一方で、この出口87の上端側のガイドリブ88から離間している。これにより、各三角突起85と、対応する出口87の上端側のガイドリブ88との間には、所定の流路Zが形成されている。各流路Zは、スライド部材81で三角突起85に上側から隣接するスリット83と、各出口87の一対のガイドリブ88の先端の隙間とをつなぎつつ、斜め下側へ延びている。そのため、排気口14からの排気は、太線矢印で示すように、各流路Zを斜め下側へ流れて、各出口87の一対のガイドリブ88の先端の隙間から機外へ向けて斜め下方へ排出される。
【0090】
そのため、斜め下方へ排出される排気が、掃除機本体2の上端側のハンドル20Aを把持している手にかからないので、ユーザは、快適にハンドル20Aを把持できる(図1および図2参照)。
一方、ハンドル20Aからハンドル20Bに持ち替えると、前述したように、ハンドル20Aがハンドル20Bの下方に位置する(図3参照)。つまり、掃除機本体2の上下の向きが逆になるので、これに応じて、スライド部材81は、その自重によって、図14に示すように、今までとは反対側の位置までスライドし、結局、ハンドル20Aを持っているときと同様に、下限の位置に配置される。これにより、ハンドル20Aからハンドル20Bに持ち替えても、斜め下側へ延びる流路Zが形成される。そのため、排気口14からの排気は、機外へ向けて斜め下方へ排出されることから(太線矢印参照)、掃除機本体2の上端側のハンドル20Bを把持している手にかからないので、ユーザは、快適にハンドル20Bを把持できる。
<第4の変形例>
図15は、第4の変形例に係る掃除機本体2の右側断面図である。
【0091】
図15に示すように、第4の変形例に係る掃除機本体2では、どちらかのハンドル20(ここでは、下側のハンドル20B)において、本体部5の円周面5Aから最も離れた部分には、ハンドル20Bから前後にはみ出るように板状のリブ90が一体的に設けられている。
この場合、掃除機本体2に接続されて電動送風機6に電力を供給する電気コード91をハンドル20Bに巻き付けて収納することができる。ハンドル20Bに電気コード91が巻き付けられた状態では、リブ90が電気コード91に係合しているので、電気コード91がハンドル20から外れ落ちることが防止されている。
【0092】
このように、ハンドル20Bを、把持するためのハンドルだけでなく、電気コード91を巻きつけるものとしても利用できるので便利である。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 ハンディタイプ電気掃除機
2 掃除機本体
3 延長管
4 吸込具
5 本体部
5A 円周面
6 電動送風機
7 集塵室
8 連結部材
20 ハンドル
50 ハウジング
50A 底面
50B 前面
51 ベンド
52 主吸込口
53 副吸込口
54 シャッター
55 ローラー
67 ハンドル
68 本体部
68A 円周面
68C 後端面
V 床面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で持って操作され得る掃除機本体と、前記掃除機本体から前方へ延びる延長管と、前記延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機であって、
前記掃除機本体は、
電動送風機と、前記電動送風機の前方に設けられた集塵室と、前記集塵室の前方に設けられた前記延長管を連結するための連結部材とを含む本体部と、
前記本体部の周面の周方向に180°隔たる位置において外方へ張り出すように対称に設けられた一対のハンドルと、
を含むことを特徴とする、ハンディタイプ電気掃除機。
【請求項2】
前記掃除機本体と、前記掃除機本体の前記連結部材に連結された前記延長管とは、一直線状に延びていることを特徴とする、請求項1記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項3】
前記吸込具は、
底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されたハウジングと、前記ハウジングに連結され、前記ハウジングとの連結部を中心に回動可能であり、前記延長管の先端に取り付けられるベンドと、を含み、
前記主吸込口が床面に対向した基本姿勢と、前記副吸込口が床面に対向した倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができることを特徴とする、請求項1または2記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項4】
前記吸込具は、
前記基本姿勢において前記副吸込口を閉じる一方で、前記倒立姿勢において前記副吸込口を開くシャッターと、
前記シャッターの外表面に回転可能に設けられたローラーと、
を含むことを特徴とする、請求項3記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項5】
一方の前記ハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記基本姿勢をとり、他方の前記ハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記倒立姿勢をとることを特徴とする、請求項3または4記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項6】
手で持って操作され得る掃除機本体と、前記掃除機本体から前方へ延びる延長管と、前記延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機であって、
前記掃除機本体は、
電動送風機と、前記電動送風機の前方に設けられた集塵室と、前記集塵室の前方に設けられた前記延長管を連結するための連結部材とを含む本体部と、
前記本体部の後端面中央から後方へ突出し、前方へ向けて前記本体部の周面と対向するように湾曲したハンドルであって、前記本体部の中心を中心に、少なくとも180°回動して、第1位置と、前記第1位置と180°隔たる第2位置とに変位し得るハンドルと、
を含むことを特徴とする、ハンディタイプ電気掃除機。
【請求項1】
手で持って操作され得る掃除機本体と、前記掃除機本体から前方へ延びる延長管と、前記延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機であって、
前記掃除機本体は、
電動送風機と、前記電動送風機の前方に設けられた集塵室と、前記集塵室の前方に設けられた前記延長管を連結するための連結部材とを含む本体部と、
前記本体部の周面の周方向に180°隔たる位置において外方へ張り出すように対称に設けられた一対のハンドルと、
を含むことを特徴とする、ハンディタイプ電気掃除機。
【請求項2】
前記掃除機本体と、前記掃除機本体の前記連結部材に連結された前記延長管とは、一直線状に延びていることを特徴とする、請求項1記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項3】
前記吸込具は、
底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されたハウジングと、前記ハウジングに連結され、前記ハウジングとの連結部を中心に回動可能であり、前記延長管の先端に取り付けられるベンドと、を含み、
前記主吸込口が床面に対向した基本姿勢と、前記副吸込口が床面に対向した倒立姿勢とに姿勢を切り換えることができることを特徴とする、請求項1または2記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項4】
前記吸込具は、
前記基本姿勢において前記副吸込口を閉じる一方で、前記倒立姿勢において前記副吸込口を開くシャッターと、
前記シャッターの外表面に回転可能に設けられたローラーと、
を含むことを特徴とする、請求項3記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項5】
一方の前記ハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記基本姿勢をとり、他方の前記ハンドルを把持した状態で、前記吸込具は前記倒立姿勢をとることを特徴とする、請求項3または4記載のハンディタイプ電気掃除機。
【請求項6】
手で持って操作され得る掃除機本体と、前記掃除機本体から前方へ延びる延長管と、前記延長管の先端に取り付けられた吸込具とを有するハンディタイプ電気掃除機であって、
前記掃除機本体は、
電動送風機と、前記電動送風機の前方に設けられた集塵室と、前記集塵室の前方に設けられた前記延長管を連結するための連結部材とを含む本体部と、
前記本体部の後端面中央から後方へ突出し、前方へ向けて前記本体部の周面と対向するように湾曲したハンドルであって、前記本体部の中心を中心に、少なくとも180°回動して、第1位置と、前記第1位置と180°隔たる第2位置とに変位し得るハンドルと、
を含むことを特徴とする、ハンディタイプ電気掃除機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−50565(P2012−50565A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194437(P2010−194437)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
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