説明

ハンディターミナル

【課題】バッテリの交換タイミングおよび携行すべき予備のバッテリ数を事前に把握可能なハンディターミナルを提供する。
【解決手段】或る日の業務予定を示す業務予定設定テーブル、業務種別ごとのバッテリの消費電力量に関する消費電力量情報、現用および予備のバッテリ8a,8b,8cとして当日携行予定の各バッテリの残量に関するバッテリ情報、のそれぞれを、業務開始前に、メモリ3にあらかじめ保存し、前記バッテリ情報、前記消費電力量情報および前記業務予定設定テーブルに設定された当日の業務予定の情報に基づいて、業務開始前に、使用予定のバッテリ8a,8b,8cの使用順を決定するとともに、前記業務予定設定テーブルに業務予定として作業順に設定されている各業務において使用するバッテリをあらかじめ特定することにより、バッテリの交換タイミングを示す情報を前記業務予定設定テーブルに関連付けてあらかじめ設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンディターミナルに関し、特に、バッテリ駆動型でかつプリンタを搭載したハンディターミナルに関する。本発明は、センサにより読み取った情報を規定書式の帳票として印字するバッテリ駆動型のハンディターミナルに特に好適に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
検針員が、バッテリ駆動型のハンディターミナルを携行して検針業務を行う場合、規定書式の検針票の発行を、該ハンディターミナルに搭載したプリンタにて行っている。この場合、サーマルプリンタにて印字を行うので、バッテリの消耗が激しく、業務量によっては、検針員は、予備のバッテリを携行して、業務の途中で、バッテリを交換しながら、検針業務を行うことが必要になっている。
【0003】
ここで、バッテリの交換中は業務が中断するので、できる限りバッテリの交換は行いたくないものの、いざ、プリンタで印字しようとしたときに、バッテリの残量不足で印字することができず、バッテリ交換のために、やむを得ず、業務を中断するという好ましくない事態が発生してしまう。
【0004】
また、携行する予備のバッテリ数は、検針員が、経験によって判断しているが、どうしても、余分に携行しがちであり、検針員の負担になっていた。
【0005】
このような検針員の負担をできるだけ軽減するために、特許文献1の特開2006-159824号公報「印刷装置」に記載されているように、一般に、バッテリによって駆動されるハンディターミナルにおいては、バッテリ残量を表示する機能を備えており、バッテリ残量が少なくなると、警告を発する機能を備えている。
【0006】
つまり、該特許文献1に記載の技術は、過去の印字情報に基づいて、印字処理における最大のバッテリ電圧降下量を予測し、該予測の結果に基づいて印字の可否判定を行おうとする印刷装置を提供するものであり、印字前のバッテリ電圧を測定するとともに、印字データからヘッド軸方向の最大ドット数を算出し、さらに、前回の印字処理の直後において算出されたドット単位当たりの電圧降下量に基づいて、今回の印字処理においてバッテリに最も負荷がかかる際の電圧値を予測して、現在のバッテリ残量が印字処理を行うのに不足しているか否かを印字処理の実施前に判定するようにし、不足していると判定した場合に、警告を発するように構成している。
【0007】
しかし、現在のバッテリ残量としてこれから行おうとしている印字が可能であるか否かを印字動作の直前に判定するものであり、かつ、複数枚の帳票を印刷したい場合であっても、印字の可否の予測範囲が1枚だけであり狭い範囲にとどまっている。
【0008】
また、特許文献2の特開平10-207585号公報「携帯型電子機器を使用した情報通信システムおよび携帯型電子機器」によれば、プリンタに連続して印字を行う場合に、印字前に、バッテリをあらかじめ交換してから印字を行うようにしているが、この場合、バッテリがまだ使用できる状態にあるにも関わらず、バッテリを交換してしまうことになり、効率の良いバッテリの使い方ができず、バッテリを余分に携行したりすることが必要になっている。
【0009】
つまり、該特許文献2に記載の技術は、ホスト機器と携帯型電子機器とを接続しておき、携帯型電子機器は、印字や原稿読取等の処理を行うための指令をホスト機器から受け取る前に、バッテリ情報要求指令をホスト機器から受け取ると、現在のバッテリの残留電力量で処理することが可能なページ数を算出した結果をホスト機器に返送することにより、ホスト機器は、受け取った処理可能なページ数が1回の処理で印字することができない量であった場合には、警告を発するようにするとともに、処理可能なページ数を表示する構成としているので、プリンタに連続して印字しようとする場合に、前以て、携帯型電子機器のバッテリを交換するチャンスが得られる。
【0010】
しかし、ホスト機器において印字可能なページ数を登録している印字可能枚数テーブルの登録データが、すべての携帯型電子機器に共通のデータとなっているため、各携帯型電子機器ごとの正確な印字可能ページ数にはなっていない。また、複数枚の処理に対しての判定も行っているが、印字可能なページ数の表示機能までであり、バッテリ交換の是非を表示する機能にはなっていない。
【0011】
また、業務によっては、プリンタへの印字の際に複数の基本印字モードを備えている場合もあり、特許文献3の特開2004-195806号公報「携帯型プリント装置の電池残量表示法」によれば、プリンタ印字を行う時点におけるバッテリ残量と、プリンタの印字モードと、残業務の内容とから、現在のバッテリ残量において印字可能な枚数を算出して表示するようにしているが、かかる技術においても、業務を開始した以降において、プリンタ印字を行う時点における対応が必要となる結果を招き、やはり、作業員の負担となる。
【0012】
つまり、該特許文献3に記載の技術は、PC(Personal Computer)側に、電圧・温度・充放電サイクルの条件をパラメータとした印字可能枚数をあらかじめ測定して印字可能枚数テーブルとして保持しておき、PCと接続した状態のモバイルインクジェットプリンタに対して電池状態情報要求信号を出力すると、モバイルインクジェットプリンタは電圧・温度・充放電サイクル数の3つの電池状態情報データをPCに対して返送してくるので、PCは、各印刷モードにおける代表的な画像の印字可能枚数をディスプレイにリスト表示する構成としているので、作業員は、モバイルインクジェットプリンタに印字可能な状態にあるか否かを容易に確認することができる。
【0013】
しかし、印字モードに応じた印字可能枚数を算出しているので、印刷可能枚数の予測精度は向上するものの、前記特許文献2と同様、印字可能枚数をディスプレイにリスト表示する機能までであり、バッテリ交換の是非を表示する機能にはなっていない。また、プリンタに印字しようとする時点において、はじめて、印刷可能枚数が表示されるものであり、作業員は、業務を中断してバッテリの交換を余儀なくされる場合を避けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006-159824号公報(第9−11頁)
【特許文献2】特開平10-207585号公報(第5−6頁)
【特許文献3】特開2004-195806号公報(第3−5頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
バッテリ駆動型のプリンタ一体型ハンディターミナルを用いた検針業務においては、前述したように、サーマルプリンタにて印字を行うために、バッテリの消耗が激しく、検針員は業務量に応じた予備のバッテリを携行し、業務の途中でバッテリを交換しながら、検針業務を行っている。
【0016】
かくのごとき検針員の負担を軽減するために、前述したように、ハンディターミナルに、バッテリの残量を段階的に表示する機能や、印字開始時にバッテリの残量をチェックして、残量不足であれば、警告を表示して印字を行わせない機能が備えられるようになってきている。そして、実運用段階において、検針員は、バッテリの残量レベルが一定値以下になったり、残量警告が表示されたりするまで、バッテリの交換は行わないようにしている。
【0017】
このため、集合住宅などにおける検針業務において、検針結果を連続してプリンタに印字を行う場合、途中で、バッテリ交換を行わざるを得なかったり、あるいは、プリンタへの印字時点における印字可能枚数の予測結果に基づいて、バッテリ交換を早めに行ったりするなどによって対応していた。
【0018】
したがって、前述したように、業務の途中の区切りの悪いタイミングで、バッテリ交換のために業務を一旦中断せざるを得ない場合があり、検針員の負担となっていた。あるいは、バッテリを使い切らないうちに交換する場合も生じて、バッテリを余分に携行する要因にもなっていた。
【0019】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、業務開始前に、バッテリの交換タイミングが事前に分かり、かつ、携行すべき予備のバッテリ数も事前に把握することが可能なハンディターミナルを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前述の課題を解決するため、本発明によるハンディターミナルは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0021】
(1)本発明によるハンディターミナルは、電源とするバッテリを備えるとともに印字手段とメモリとを少なくとも備え、入力されたデータを前記印字手段により印字するハンディターミナルであって、或る日の業務予定を示す業務予定設定テーブル、業務種別ごとの前記バッテリの消費電力量に関する消費電力量情報、当日使用予定のバッテリごとの残量に関するバッテリ情報、のそれぞれを、業務開始前に、前記メモリにあらかじめ保存し、前記メモリに保存された前記バッテリ情報、前記消費電力量情報および前記業務予定設定テーブルに設定されている当日の業務予定の情報に基づいて、業務開始前に、使用予定の前記バッテリの使用順をあらかじめ決定するとともに、使用予定の前記バッテリのうち、前記業務予定設定テーブルに業務予定として設定されている各業務において使用するバッテリを特定することにより、バッテリの交換タイミングを示す情報を前記業務予定設定テーブルに関連付けてあらかじめ設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のハンディターミナルによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0023】
第1に、当日の業務予定を設定した業務予定設定テーブルにバッテリの交換タイミングを関連付けてあらかじめ設定することにより、バッテリの交換タイミングを業務開始前に把握することができるので、作業員は、当日の業務実施中にバッテリの残量をいちいち気にすることなく業務に集中することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0024】
第2に、当日の業務予定を設定した業務予定設定テーブルに各業務において使用するバッテリをあらかじめ特定することにより、業務開始前に当日の業務に必要となるバッテリ数を正確に予測することができるので、作業員は余分なバッテリを携行する必要がなくなり、作業員の負担を軽減することができる。
【0025】
第3に、当日の業務予定として、連続した業務を行う必要があり、業務の途中でバッテリの交換を行いたくない連続業務が予定されていた場合であっても、該連続業務の間はバッテリの交換タイミングを設定しないように制御するので、当日の作業実施中において該連続業務を中断することなく効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるハンディターミナルのブロック構成の一例を示すブロック構成図である。
【図2】図1のハンディターミナルを用いた業務を1回実行する都度消費されるバッテリの消費電力量を、具体的な数値例として業務種別ごとに例示したバッテリ消費電力量登録テーブルの説明図である。
【図3】図1のハンディターミナルを用いた作業員の検針業務の具体的な1日の業務予定例を例示した業務予定設定テーブルの説明図である。
【図4】或る日の業務開始前に測定した当日使用予定のバッテリの残量および充放電回数の具体例を例示したバッテリ情報設定テーブルの説明図である。
【図5】図3に例示した1日の業務予定例においてバッテリの交換タイミング情報の具体的な設定例を例示したバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブルの説明図である。
【図6】図1に示したハンディターミナルの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】図5に示すバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブルの設定内容にしたがって、作業員が実施する当日の検針業務の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明によるハンディターミナルの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0028】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、バッテリ駆動型でかつプリンタ搭載型のハンディターミナルにおいて、該ハンディターミナルのバッテリ交換用として予備バッテリを作業員が携行して業務を行う場合に、業務開始前に、その日の業務内容に応じて、バッテリの使用する順番、交換タイミングをあらかじめ決定し、業務中の適切な時点で当該作業員に対してバッテリの交換を促す機能を有していることを主要な特徴としている。
【0029】
(本発明の実施形態の構成例)
次に、本発明によるハンディターミナルの構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明によるハンディターミナルのブロック構成の一例を示すブロック構成図であり、バッテリ駆動型でかつプリンタ機能内蔵のハンディターミナルの構成例を示している。
【0030】
図1に示すハンディターミナル1は、演算手段2、メモリ3、印字手段4、入力手段5、表示手段6、コントローラ7、バッテリ8a、検出手段9、通信手段10、補助バッテリ11を少なくとも含んで構成されている。
【0031】
演算手段2は、メモリ3に格納されたデータやアプリケーションプログラムを実行する部位であり、印字手段4は、帳票等の印字を行う部位である。また、入力手段5は、作業員からの指示やハンディターミナル1のセンサによって読み取った検針結果等のデータの入力を行う部位であり、表示手段6は、検針結果やバッテリ8aの残量等のデータや警告等のメッセージの表示を行う部位である。検索結果は、センサによらず、作業員が目視で読み取り、入力手段で入力するようにしてもよい。
【0032】
また、コントローラ7は、バッテリ装着位置に装着されたバッテリ8aの残量等のバッテリ情報を取得する部位であり、バッテリ8aは、ハンディターミナル1の各部位に駆動電源を供給する部位である。検出手段9は、印字ヘッド温度等、印字手段4の状態を検出するためのセンサを備えた部位であり、通信手段10は、無線信号を用いてサーバ12と通信を行うことにより、サーバ12との間で業務データなどを送受信する部位である。通信手段10は、有線でサーバと通信を行うようにしてもよい。
【0033】
また、補助バッテリ11は、現用のバッテリ8aを予備のバッテリ8b,8cに交換する際に、ハンディターミナル1全体の電源が失われないように補助用の電源を供給するための部位である。
【0034】
ここで、バッテリ8a,8b,8cは、いずれも、それぞれのバッテリパック内にバッテリ残量、充放電回数といったそれぞれのバッテリの状態を保持・通知することが可能なスマートバッテリとして構成されており、コントローラ7は、バッテリ装着位置に装着されたバッテリ8aのバッテリパック内に保持されている当該バッテリ8aのバッテリ状態(バッテリ残量、充放電回数等)を読み取って、演算手段2に通知している。演算手段2は、コントローラ7から通知されてくるバッテリ8aのバッテリ状態をメモリ3に保存する。現用のバッテリ8aを予備のバッテリ8b,8cに交換した際においても、交換によりバッテリ装着位置に装着されたバッテリ8bまたはバッテリ8cのバッテリ状態は、コントローラ7によって読み取られて、演算手段2に通知されることになる。
【0035】
次に、図1に示すハンディターミナル1を用いて業務を行う際の現用のバッテリ8aの消費電力量について、具体的な数値を用いてその一例を説明する。図2は、図1のハンディターミナル1を用いた業務を1回実行する都度消費されるバッテリ8aの消費電力量を、具体的な数値例として業務種別ごとに例示したバッテリ消費電力量登録テーブル20の説明図であり、業務種別21と消費電力量22との対応表として示している。
【0036】
つまり、図2のバッテリ消費電力量登録テーブル20の説明図においては、業務種別21として'業務A'を1回実行した場合は、ハンディターミナル1のバッテリ8aの消費電力量は消費電力量22に示すように50mWhであり、'業務B'の場合は40mWhであり、'業務C'の場合は80mWhである場合を例示している。かくのごとき業務種別ごとのバッテリ8aの消費電力量に関する情報は、業務開始前に、サーバ12から通信手段10によってメモリ3のバッテリ消費電力量登録テーブル20内にあらかじめ転送して保存されており、演算手段2において業務ごとの使用電力量を参照する際に読み出される。
【0037】
次に、図1のハンディターミナル1を用いて作業員が検針業務を行う際の具体的な業務予定について、図3を用いて説明する。図3は、図1のハンディターミナル1を用いた作業員の検針業務の具体的な1日の業務予定例を例示した業務予定設定テーブル30の説明図であり、1日の作業順を示す作業番号31、連続した業務であるか否かを示す連続業務32、業務内容を示す業務種別33を関連付けて設定している。
【0038】
つまり、図3の業務予定設定テーブル30の説明図においては、作業番号31が示す1日の作業順に対して業務種別33が示す業務内容が関連付けられており、業務A→業務A→業務A→業務B→業務B→業務C→…の順番に実施する業務予定があらかじめ計画されている場合を示している。なお、作業番号31の作業番号'400'〜'402'については、連続業務32の欄に示すように、連続した業務を行う必要があり、業務の途中でバッテリ交換を行いたくない業務であることを意味しており、連続業務32の欄には○印を付して示している。かくのごとき1日ごとの業務種別ごとの業務予定に関する情報は、業務開始前に、サーバ12から通信手段10によってメモリ3の業務予定設定テーブル30内にあらかじめ転送して保存されており、演算手段2において業務予定を参照する際に読み出される。
【0039】
ここで、サーバ12への業務予定に関する情報の登録は、作業員(検針員)の担当エリアについて業務を行う順番のルートを、業務内容を示す業務種別(連続して実施すべき業務か否かも含めて)と関連付けてあらかじめ決定して、作業番号31と業務種別33、連続業務32として設定登録するようにしている。なお、サーバ12への業務予定に関する情報の登録内容は、担当エリア内の対象家屋等の変更が発生する都度、適宜更新されていく。
【0040】
次に、作業員が図1のハンディターミナル1を用いた業務を行う際に現用のバッテリ8aおよび予備用として携行するバッテリ8b,8cの残量を、当日の業務開始に先立って、あらかじめ測定した結果の具体例について、図4を用いて説明する。図4は、或る日の業務開始前に測定した当日使用予定のバッテリ8a,8b,8cの残量および充放電回数の具体例を例示したバッテリ情報設定テーブル40の説明図であり、バッテリ番号41、残電力量42、充放電回数43を対応付けて設定している。
【0041】
つまり、図4のバッテリ情報設定テーブル40の説明図においては、バッテリ番号41が'1'であるバッテリ8aは、残電力量42、充放電回数43それぞれに示すように、現在の残量は17,000mWhで、かつ、充放電回数は100回であり、バッテリ番号41が'2','3'のバッテリ8b,8cは、それぞれ、現在の残量は16,000mWh,17,000mWhで、かつ、充放電回数は130回,150回である場合を示している。かくのごとき各バッテリ8a,8b,8cのバッテリ状態(残量、充放電回数)に関する情報は、業務開始前に、ハンディターミナル1のバッテリ装着位置に順次仮装着することによりコントローラ7によって読み出されて、演算手段2によってメモリ3のバッテリ情報設定テーブル40内にあらかじめ保存されており、演算手段2において各バッテリ8a,8b,8cのバッテリ状態を参照する際に読み出される。
【0042】
次に、ハンディターミナル1の演算手段2において、メモリ3に保存された図2のバッテリ消費電力量登録テーブル20、図3の業務予定設定テーブル30、図4のバッテリ情報設定テーブル40それぞれに設定されているデータを参照することにより、業務開始前に、図3の業務予定設定テーブル30に対して各業務で使用するバッテリに関する情報を関連付けるように追加した形式にして生成されるバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブルの具体例について、図5を用いて説明する。
【0043】
図5は、図3に例示した1日の業務予定例においてバッテリの交換タイミング情報の具体的な設定例を例示したバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の説明図であり、バッテリの交換タイミングと使用すべきバッテリの番号とを示すバッテリ番号54の欄が、図3の業務予定設定テーブル30に示した作業番号31、連続業務32、業務種別33それぞれに該当する作業番号51、連続業務52、業務種別53に関連付ける形式で追加して設けられている。
【0044】
つまり、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の説明図においては、作業番号51、連続業務52、業務種別53が示す図3の業務予定設定テーブル30の業務予定に対して、それぞれの業務において使用すべきバッテリの種類が、バッテリ番号54に設定されていて、作業番号51が示す1日の作業順に対して業務種別53が示す業務内容に関連付けられている。作業番号51が示す1日の作業順のうち、作業番号'001'〜'399'までの業務の間は、バッテリ番号54に示すように、バッテリ番号'1'のバッテリ8aを使用し、連続業務になる作業番号'400'に進む前に、バッテリ番号'3'のバッテリ8cに交換すべき旨が設定されている。ここで、バッテリ番号'1'のバッテリ8aを使用する最後の業務となる作業番号'399'においては、バッテリ番号54の欄に示すように、バッテリの交換タイミングであることを示すバッテリ交換タイミング情報として▲マークを付して設定しており、作業番号'399'の'業務A'が終了した時点で、それまで使用していたバッテリ番号'1'のバッテリ8aを、次の使用順として次の業務から使用するように設定されていたバッテリ番号'3'のバッテリ8cに交換し、次の業務からは、交換したバッテリ番号'3'のバッテリ8cを使用することを指示している。
【0045】
すなわち、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50は、業務の実施に先立って、各業務に使用するバッテリを示すバッテリ番号とともに、バッテリを交換すべきタイミング情報を作業員に事前に案内するために生成されるものであり、業務実施前に、該バッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50を表示手段6に表示することによって、当該ハンディターミナル1を用いた業務を行う作業員は、各業務に使用するバッテリおよびそのバッテリの交換タイミングを事前に知ることができ、かつ、携行すべき予備のバッテリについても、その予備バッテリの個数とともに事前に把握することができる。
【0046】
(本発明の実施形態の動作例)
次に、図1に示したハンディターミナル1の動作例について、その一例を図6のフローチャートを用いて説明する。図6は、図1に示したハンディターミナル1の動作の一例を説明するためのフローチャートであり、ハンディターミナル1の演算手段2における動作を中心にして説明している。なお、図6のフローチャートにおいては、業務の開始に先立って、図2のバッテリ消費電力量登録テーブル20、図3の業務予定設定テーブル30、図4のバッテリ情報設定テーブル40それぞれに設定されているデータを参照して、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50を生成する演算手段2の動作の一例を説明している。
【0047】
本実施形態においては、前述したように、作業員は、或る1日の検針業務を行う際に、あらかじめ生成された図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50を参照しながら、業務予定にしたがって検針業務を行う。ここで、該バッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50には、各業務に使用するバッテリおよび使用中のバッテリを交換すべき交換タイミングも関連付けて設定されている。したがって、当日の業務実施中の段階において該バッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50を表示手段6に表示することによって、該当する交換タイミングにおいて、交換すべきバッテリに関する情報とともにバッテリの交換を促すことを作業員に対して自動的に通知することになる。
【0048】
図6のフローチャートにおいて、まず、ハンディターミナル1を用いて業務を行う作業員(検針員)は、或る1日の業務を開始するに当たって、当日予定されている全業務予定を取得するために、ハンディターミナル1の入力手段5を用いて、サーバ12から、通信手段10を介して、図3に示す業務予定設定テーブル30を取得してハンディターミナル1のメモリ3に保存するとともに、該業務予定設定テーブル30に設定されている各業務の実施において消費される消費電力量を登録している図2のバッテリ消費電力量登録テーブル20も合わせて取得してハンディターミナル1のメモリ3に保存する(ステップS1)。
【0049】
さらに、作業員は、当日使用予定のバッテリ8a,8b,8cをハンディターミナル1のバッテリ装着位置に順次装着していくことにより、それぞれのバッテリパックとの通信結果として、それぞれのバッテリパックから、バッテリ8a,8b,8cそれぞれのバッテリの残量を、充放電回数を示す情報とともに、コントローラ7を介して順次読み取り、メモリ3の図4のバッテリ情報設定テーブル40に設定登録していく(ステップS2,S3)。
【0050】
ここで、当日使用予定のバッテリ8a,8b,8cをハンディターミナル1のバッテリ装着位置に順次装着する際に、作業員は、入力手段5を介して、それぞれのバッテリを特定するためのバッテリ番号(図4のバッテリ情報設定テーブル40のバッテリ番号41に設定する番号)を入力して割り当てている。さらに、それぞれのバッテリ8a,8b,8cには、管理ラベルが貼付され、該管理ラベルには、図4のバッテリ情報設定テーブル40のバッテリ番号41に示す番号が記載され、作業員は、バッテリ8a,8b,8cそれぞれの個体を判別することができるようになっている。
【0051】
また、当日使用予定のバッテリ8a,8b,8cをハンディターミナル1のバッテリ装着位置に順次装着する際に、バッテリ交換のためにハンディターミナル1から一旦バッテリを取り外すので、ハンディターミナル1の各部位にはバッテリからの電源供給がされない状態が生じるが、バッテリ交換作業の短い時間の間は、バックアップ電源として補助バッテリ11によってハンディターミナル1の各部位に電源供給を行うことが可能になっている。
【0052】
当日使用予定のバッテリ全てについて、バッテリ残量、充放電回数のバッテリ情報設定テーブル40に対する設定登録が終了すると(ステップS3のYes)、次に、設定登録したバッテリ情報設定テーブル40を参照して、各バッテリの使用順を決定する(ステップS4)。例えば、業務途中におけるバッテリ交換回数をできる限り少なくするために、バッテリ情報設定テーブル40の残電力量42に設定登録された各バッテリの残量の中から、残量が多い順番に、各バッテリの使用順を決定する。さらに、バッテリ情報設定テーブル40の充放電回数43に設定登録されている各バッテリの充放電回数も勘案して(充放電回数が少ないほど、一般に、バッテリとしての寿命は長く、残量の低下速度が遅くなる)、各バッテリの使用順を決定するようにしても良い。したがって、図4に示したバッテリ情報設定テーブル40における設定登録例においては、バッテリ番号41が'1'のバッテリ8a、'3'のバッテリ8c、'2'のバッテリ8bの順番となり、バッテリ使用順データとしてメモリ3に一旦保存される。
【0053】
さらに、ステップS4においては、図3の業務予定設定テーブル30に対してバッテリ交換タイミング情報を各業務に関連付けて設定するために、バッテリ番号54の欄(初期値:空白)を追加した形式の図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50を生成してメモリ3に保存するとともに、メモリ3には、現在使用しようとしているバッテリを示す使用バッテリ情報の設定エリアも確保され、該使用バッテリ情報の初期値として、バッテリ使用順データとして使用順が最も高いバッテリ8aを示すバッテリ番号'1'が設定される(ステップS4)。
【0054】
しかる後、現在処理対象としている作業番号51において実施する業務予定を業務種別53(図5の例では、作業番号51が'001'の場合は、'業務A')から読み出す(ステップS5)。さらに、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の連続業務52を参照して、現在処理対象としている作業番号51において実施する業務が連続して実施すべき業務であるか否かを確認する(ステップS6)。現在処理対象としている作業番号51が示す業務(図5の例では、作業番号51が'001'において実施する業務の場合は連続業務ではない)が連続して実施すべき業務ではなかった場合には(ステップS6のNo)、ステップS8に直ちに移行するが、もし、連続業務であった場合には(ステップS6のYes)、作業順として先頭の連続業務に該当しているか否かを確認して、先頭の連続業務に該当していた場合には、当該業務に該当する作業番号を、連続業務の開始位置を示す連続業務開始位置として、メモリ3に一時保存した後(ステップS7)、ステップS8に移行する。
【0055】
ステップS8においては、ステップS1においてメモリ3にサーバ12から読み出して保存している図2のバッテリ消費電力量登録テーブル20を参照して、現在処理対象としている作業番号51に該当する業務が消費する消費電力量(図2の例では、作業番号51が'001'の最初に実施する'業務A'の場合は消費電力量は50mWh)を取得するとともに、ステップS2においてメモリ3に設定登録した図4のバッテリ情報設定テーブル40の残電力量42を参照して、現在使用しようとしているバッテリ(初期値は、バッテリ8aを示すバッテリ番号'1')の現在の残量(図4の例では、バッテリ番号'1'の使用開始時点においては17,000mWh)を取得する。
【0056】
しかる後、現在のバッテリ残量から現在処理対象の作業番号の業務が消費する消費電力量を差し引いて、現在処理対象の作業番号の業務が終了した時点におけるバッテリ残量(例えば、作業番号51が'001'の場合は、17,000−50=16,950mWh)を算出する(ステップS8)。
【0057】
次いで、ステップS8において算出した現在処理対象の作業番号の業務が終了した時点におけるバッテリ残量が'0'以下に達したか否か、すなわち、現在使用しているバッテリの残量がなくなったか否かを確認する(ステップS9)。バッテリ残量が'0'以下に達して、バッテリ残量がなくなってしまう場合は(ステップS9のYes)、ステップS10に移行して、まず、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の連続業務52を参照して、現在処理対象としている作業番号の業務が連続して実施すべき業務であるか否かを判別する(ステップS10)。
【0058】
現在処理対象としている作業番号の業務が連続して実施すべき業務ではなかった場合は(ステップS10のNo)、ステップS12に直ちに移行するが、現在処理対象としている作業番号の業務が連続して実施すべき業務であった場合には(ステップS10のYes)、現在使用中のバッテリの交換タイミングを連続業務が開始される前まで遡った位置の作業番号に設定し直すために、現在処理対象としている作業番号の位置を、ステップS7において連続業務開始位置としてメモリ3に一時保存しておいた作業番号に変更した後(ステップS11)、ステップS12に移行する。
【0059】
つまり、例えば、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の作業番号51に示す作業番号'402'において、バッテリ残量が'0'以下になった場合には、作業番号'402'の業務が、連続業務52の欄に示すように、連続して実施すべき業務に該当しているので、連続業務の途中では、バッテリの交換タイミングを設定しないように制御するために、現在処理対象の作業番号を、ステップS7において連続業務開始位置としてメモリ3に一時保存しておいた作業番号'400'まで戻すことになる。
【0060】
ステップS12においては、ステップS3においてメモリ3に一旦保存しておいたバッテリ使用順データを参照して、次の使用順に設定されている予備のバッテリが存在しているか否かを判別する(ステップS12)。
【0061】
次の使用順に設定されている予備のバッテリが存在している場合は(ステップS12のYes)、メモリ3に一時設定している使用バッテリ情報を、当該予備のバッテリのバッテリ番号(使用順が最も高いバッテリ8a(バッテリ番号'1')が現在まで使用されていた場合は、次の使用順となるバッテリ8cを示すバッテリ番号'3')に更新した後(ステップS14)、ステップS5に復帰して、現在処理対象の作業番号に対応する業務内容を再度読み出す動作を繰り返す。
【0062】
一方、次の使用順に設定されている予備のバッテリが存在していなかった場合は(ステップS12のNo)、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の現在処理対象とする作業番号51が示す業務以降の業務種別53を全て参照して、図2のバッテリ消費電力量登録テーブル20の登録内容に基づいて、以降において追加を必要とするバッテリに関する残量を算出し、算出した残量を、バッテリの追加が必要である旨のメッセージとともに、表示手段6に表示して、作業員に対してさらに他のバッテリの用意を促す(ステップS13)。
【0063】
作業員が、他のバッテリを準備した後、その準備完了の旨をハンディターミナル1の入力手段5から入力すると、ステップS2に復帰して、バッテリ残量を、メモリ3の図4のバッテリ情報設定テーブル40に設定登録する動作を再度繰り返す。
【0064】
これに対して、ステップS9において、バッテリ残量が'0'以下に達していなく、まだ残っている場合は(ステップS9のNo)、ステップS15に直ちに移行して、現在処理対象としている作業番号51が示す業務に使用するバッテリを、メモリ3に使用バッテリ情報として設定しているバッテリ番号(初期値においては、バッテリ使用順データとして使用順が最も高いバッテリ8aを示すバッテリ番号'1')のバッテリに決定する(ステップS15)。つまり、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50のバッテリ番号54の欄に、現在処理対象としている作業番号51が示す業務において使用するバッテリのバッテリ番号を設定することによって、使用バッテリ情報に設定されていたバッテリを現在処理対象としている業務に関連付ける。
【0065】
この際に、現在処理対象としている業務の作業番号の一つ前(つまり作業順を一つ遡った業務)のバッテリ番号54に設定されているバッテリ番号と照合して、異なるバッテリ番号を設定した場合には、現在処理対象としている業務の作業番号の一つ前のバッテリ番号54欄に、バッテリ交換タイミング情報(図5の例においては、▲マーク)を追加して設定する。この結果、現在処理対象としている業務の作業番号の一つ前の業務が終了した時点で、現在まで使用していたバッテリを、次の業務に使用するバッテリに交換することを指示した状態に設定される。
【0066】
しかる後、現在処理対象としている業務の次に実施すべき業務がまだ残っているか否かを判別する(ステップS16)。次に実施すべき業務がまだ残っている場合は(ステップS16のYes)、現在まで処理対象としていた作業番号51が示す作業番号を次の作業番号を更新して、ステップS5に復帰して、次の業務予定を図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50から読み出す動作に戻る。
【0067】
一方、次に実施すべき業務が残っていない場合は(ステップS16のNo)、次に、メモリ3の図4のバッテリ情報設定テーブル40に設定登録されている当日使用予定のバッテリのうち、当日未使用のままになるバッテリが存在しているか否かを確認する(ステップS17)。つまり、図4のバッテリ情報設定テーブル40に設定登録されている当日使用予定のバッテリのうち、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50のバッテリ番号54の欄にバッテリ番号が一切設定されていないバッテリが存在しているか否かを確認する。
【0068】
当日未使用のままになるバッテリが存在していなかった場合は(ステップS17のNo)、図6のフローチャートに示した全ての処理を終了するが、当日未使用のままになるバッテリが存在していた場合は(ステップS17のYes)、当日使用予定のバッテリとして作業員が携行しようとしているバッテリには余剰である旨のメッセージを表示手段6に表示して、作業員に通知した後、全ての処理を終了する。したがって、当日未使用のバッテリ(バッテリ8a,8b,8c)のうち、例えば、バッテリ8bが未使用となり、余剰であると判別された場合には、バッテリ8bが余剰であり、携行する必要はない旨が表示手段6に表示されるので、作業員は、余分なバッテリを無駄に携行することなく、当日の業務を確実に実施することができる。
【0069】
以上の図6のフローチャートに示すような処理手順によって、検針業務において使用するバッテリに関する情報を、図5に示すバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50のバッテリ番号54欄に、該当する業務内容と関連付けた形式で、各業務に使用するバッテリおよびバッテリ交換タイミング情報として設定することができ、作業員は、図5に示すバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の設定内容にしたがって、当日の検針業務を進めていけば良い。
【0070】
次に、業務の開始に先立って生成された図5に示すようなバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の設定内容にしたがって、作業員が当日の検針業務を実施する際の検針業務の流れの一例を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。図7は、図5に示すバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の設定内容にしたがって、作業員が実施する当日の検針業務の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
【0071】
メモリ3に図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の設定内容が保存されているハンディターミナル1と予備のバッテリ8cとを携行した作業員は、まず、検針対象の対象家屋に対して、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の設定内容にしたがって、順次、検針業務を行い、入力手段5を介して検針データを入力していく(ステップS21)。ここで、対象家屋が集合住宅等であって、検針データを最後に纏めて印字手段4において印字する場合には(ステップS22の「次の検針」の場合)、つまり、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の連続業務52に連続業務である旨が設定登録されていた場合には、検針データの印字を家屋ごとに検針の都度別々に行うことなく、ステップS21に復帰して、次の対象家屋の検針業務を行う動作を繰り返す。
【0072】
一方、対象家屋が集合住宅等ではなく、検針データを印字しようとする場合、あるいは、対象家屋が集合住宅等であっても、最後の検針対象の家屋であり、検針データを纏めて印字しようとする場合(ステップS22の「印字」の場合)、検針業務において収集した検針データを印字手段4により検針票として印字し、印字した検針票を該当する対象家屋のポスト等に投函する(ステップS23)。ここで、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の連続業務52に連続して実施すべき業務である旨が設定登録されていた対象家屋については、それぞれの対象家屋の検針データとして、複数枚の検針票が連続して印字されることになる。
【0073】
検針票の印字・投函が終了すると、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50を参照して、次に実施すべき検針業務がまだ残っているか否かを判別する(ステップS24)。
【0074】
次に実施すべき検針業務がまだ残っている場合には(ステップS24のYes)、次に、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50のバッテリ番号54を参照して、現在処理対象としている作業番号の業務において使用していたバッテリに関して交換を指示するバッテリ交換タイミング情報が設定されていて、バッテリの交換が必要である旨の指示が設定されているか否かを確認する(ステップS25)。なお、バッテリ交換タイミング情報が設定されている場合は、前述したように、現在処理対象としている作業番号の次の作業番号の業務において使用しようとしているバッテリを示すバッテリ番号が、現在処理対象としている作業番号の業務において使用していたバッテリとは異なるバッテリ番号が設定されている場合である。
【0075】
バッテリ交換の指示が設定されていない場合は(ステップS25のNo)、ステップS20に直ちに復帰して、次の対象家屋に関する検針業務を実施する動作を繰り返す。一方、バッテリ交換の指示が設定されていた場合は(ステップS25のYes)、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50のバッテリ番号54を参照して、現在処理対象としている作業番号の次の業務において使用するバッテリ番号を取り出して、該バッテリ番号が示すバッテリに現用のバッテリを交換した後(ステップS26)、ステップS20に復帰して、次の対象家屋に関する検針業務を実施する動作を繰り返す。
【0076】
また、ステップS24において、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50に設定されている当日の検針業務が残っていなく、全て完了している場合は(ステップS24のNo)、当日の検針業務を終了する。
【0077】
なお、図5のバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の設定内容においては、図6のフローチャートにおいて説明したように、連続業務52に連続業務として○印が付されている作業番号'400'〜'402'に関して、該連続業務の途中でバッテリの交換作業が発生しないように、作業番号'399'のバッテリ番号54の欄には、バッテリ交換タイミング情報(図5の例では、▲マーク)が設定されていて、作業番号'399'の業務が終了した時点で、次の作業番号'400'の業務において使用するバッテリに交換すべき旨が表示手段6に表示されている。なお、作業員にさらなる注意を促すために、バッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50のバッテリ番号54欄にバッテリ交換タイミング情報が設定されている作業番号の業務が終了した時点では、次の業務において使用するバッテリを示すバッテリ番号の情報とともに、作業員にバッテリの交換を促すメッセージを表示手段6に表示するようにしても良い。
【0078】
したがって、かくのごとき表示を視認した作業員は、ハンディターミナル1のバッテリ装着位置に装着されているバッテリを、次の業務に使用するバッテリ番号のバッテリに交換することによって、次の作業番号'400'から作業番号'402'までの連続業務を中断することなく実施することができる。
【0079】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては次のような効果が得られる。
【0080】
第1に、当日の業務予定が設定されているバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の設定内容によって、バッテリの交換タイミングを業務開始前に把握することができるので、作業員は、当日の業務実施中にバッテリの残量をいちいち気にすることなく業務に集中することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0081】
第2に、当日の業務予定が設定されているバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の設定内容によって、業務開始前に当日の業務に必要となるバッテリ数を正確に予測することができるので、作業員は余分なバッテリを携行する必要がなくなり、作業員の負担を軽減することができる。
【0082】
第3に、当日の業務予定として、連続した業務を行う必要があり、業務の途中でバッテリの交換を行いたくない連続業務が予定されていた場合であっても、当日の業務予定が設定されているバッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル50の設定内容として、該連続業務の間はバッテリの交換タイミングを絶対に設定しないように制御するので、当日の業務中において該連続業務を中断することなく効率的に実施することができる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0084】
1 ハンディターミナル
2 演算手段
3 メモリ
4 印字手段
5 入力手段
6 表示手段
7 コントローラ
8a バッテリ
8b バッテリ
8c バッテリ
9 検出手段
10 通信手段
11 補助バッテリ
12 サーバ
20 バッテリ消費電力量登録テーブル
21 業務種別
22 消費電力量
30 業務予定設定テーブル
31 作業番号
32 連続業務
33 業務種別
40 バッテリ情報設定テーブル
41 バッテリ番号
42 残電力量
43 充放電回数
50 バッテリ交換タイミング情報付き業務予定設定テーブル
51 作業番号
52 連続業務
53 業務種別
54 バッテリ番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源とするバッテリを備えるとともに印字手段とメモリとを少なくとも備え、入力されたデータを前記印字手段により印字するハンディターミナルであって、或る日の業務予定を示す業務予定設定テーブル、業務種別ごとの前記バッテリの消費電力量に関する消費電力量情報、当日使用予定のバッテリごとの残量に関するバッテリ情報、のそれぞれを、業務開始前に、前記メモリにあらかじめ保存し、前記メモリに保存された前記バッテリ情報、前記消費電力量情報および前記業務予定設定テーブルに設定されている当日の業務予定の情報に基づいて、業務開始前に、使用予定の前記バッテリの使用順をあらかじめ決定するとともに、使用予定の前記バッテリのうち、前記業務予定設定テーブルに業務予定として設定されている各業務において使用するバッテリを特定することにより、バッテリの交換タイミングを示す情報を前記業務予定設定テーブルに関連付けてあらかじめ設定することを特徴とするハンディターミナル。
【請求項2】
各日ごとの前記業務予定設定テーブルおよび前記消費電力量情報をあらかじめ設定登録しているサーバとの間で情報を送受信する通信手段、および、作業員からの各種の指示を入力することができる入力手段とをさらに備え、当日の作業開始前に、作業員からの前記入力手段を介した指示に基づいて、前記通信手段を介して、前記サーバから当日の前記業務予定設定テーブルおよび前記消費電力量情報を転送させて、前記メモリに保存することを特徴とする請求項1に記載のハンディターミナル。
【請求項3】
バッテリ装着位置に装着された前記バッテリの少なくとも残量を当該バッテリのバッテリパックから読み取るコントローラをさらに備え、業務開始前に、当日使用する予定の各バッテリを前記バッテリ装着位置に装着して、各バッテリの少なくとも残量を前記コントローラによって読み取ることにより、前記バッテリ情報として前記メモリに保存することを特徴とする請求項1または2に記載のハンディターミナル。
【請求項4】
使用する前記バッテリの使用順を、前記メモリに保存した前記バッテリ情報が示す各バッテリの残量が多い順番として決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項5】
前記業務予定設定テーブルに作業予定として作業順に設定した各業務について、作業途中で中断することなく連続して実施すべき業務であるか否かを示す連続業務情報を合わせてあらかじめ設定しておき、業務開始前に、各業務において使用するバッテリを特定する際に、前記連続業務情報を参照して、連続して実施すべき業務に該当する複数の業務において異なるバッテリを使用することがないように前記バッテリの交換タイミングの設定を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項6】
連続して実施すべき業務に該当する複数の業務において異なるバッテリを使用することがないように前記バッテリの交換タイミングの設定を制御するために、連続して実施すべき業務に該当する複数の業務のいずれかにおいてバッテリの残量がなくなることが判別された場合、当該連続して実施すべき業務に該当する複数の業務の直前に実施される業務の完了時点をバッテリの交換タイミングとして設定することを特徴とする請求項5に記載のハンディターミナル。
【請求項7】
前記業務予定設定テーブルに業務予定として作業順に設定した各業務において使用するバッテリを特定し、バッテリの交換タイミングを示す情報を前記業務予定設定テーブルに関連付けてあらかじめ設定した際に、当日携行予定の前記バッテリのうち未使用のままになるバッテリが存在していた場合、該当するバッテリは未使用であり、携行する必要がない旨を表示手段により表示することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項8】
前記メモリに保存されている前記業務予定設定テーブルの設定内容にしたがって業務を実施している際に、該業務予定設定テーブルに関連付けて設定されているバッテリの交換タイミングに達した際に、次の業務において使用するバッテリを示す情報とともに、現用のバッテリの交換を促すメッセージを表示手段により表示することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のハンディターミナル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−67047(P2013−67047A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205889(P2011−205889)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】