説明

ハンディ型コード読取装置

【課題】光源から出射されコードにおいて反射された光が受光素子によって受光されてしまう事態を抑制することによって、明暗のコントラストが低下するのを抑制する。
【解決手段】透光性を有する基板50の表面51上に形成されたコード53を読み取るハンディ型コード読取装置1であって、青色発光部25から出射された光が前記コード53に照射されるのを抑制する照射抑制手段と、前記青色発光部25から出射されて前記表面の前記コード53外の領域から前記基板50内へと入射し前記基板50内から前記コード53を通過して前記基板50外へと出力される光を受光する受光部30とを備えていることを特徴とするハンディ型コード読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過性を有する基板上に形成されたコードを読み取るハンディ型コード読取装置に関する。
【0002】
特許文献1には、透過性を有する基板上に形成されたコードを読み取る技術が開示されている。具体的には、投光部からバーコード部の表面に光を当て、バーコード部を透過した光、即ち、バーコード部の透光部分を透過した光を反射板によって反射させ、その反射光を受光部が受光することによって、コードを読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−240858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の技術では、バーコード部を透過した光を用いて、バーコード部の遮光部分の大きさや位置を識別することによって、コードを読み取ることを目的としている。しかしながら、上述のような技術によると、受光部は、バーコード部を透過した光のみを受光することが望ましいにも関わらず、光源から出射されバーコード部における遮光部分にて反射された光も受光してしまい、明暗のコントラストが低下してしまうという問題があった。その結果、コードが正確に読み取れないという問題があった。また、従来のダイナミック式(立方体方式)のリーダーは、例えば液晶パネルの裏面から照明し、コードの金属蒸着の無い部位からの透過光によって画像を取得する方式を採用している。このような方式とは異なり、ハンディ型方式により課題解決するものである。(従来のダイナミック式では、基板のサイズに制限があり、大型の液晶パネルには不向きである。)
【0005】
本発明の主な目的は、光源から出射されコードにおいて反射された光が受光素子によって受光されてしまう事態を抑制することによって、明暗のコントラストが低下するのを抑制することができるハンディ型コード読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハンディ型コード読取装置は、透光性を有する基板の表面上に形成されたコードを読み取るハンディ型コード読取装置であって、光源から出射された光が前記コードに照射されるのを抑制する照射抑制手段と、前記光源から出射されて前記表面の前記コード外の領域から前記基板内へと入射し前記基板内から前記コードを通過して前記基板外へと出力される光を受光する受光素子とを備えている。
【0007】
上記の構成によると、照射抑制手段によって、光源から出射された光がコードに照射されるのを抑制することができる。よって、光源から出射されて表面のコード外の領域から基板内へと入射し基板内からコードを通過して基板外へと出力される光だけでなく、光源から出射されコードにおいて反射された光が受光素子によって受光されてしまう事態を抑制することができる。従って、明暗のコントラストが低下するのを抑制し、コードを正確に読み取ることができる。
【0008】
前記照射抑制手段が、前記光源と前記コードとを結ぶ直線上に配置された遮光部材であることが好ましい。
【0009】
上記の構成によると、照射抑制手段によって、光源から出射された光が基板外からコードに照射されるのを遮断することができる。よって、光源から出射されコードにおいて反射された光が受光素子によって受光されてしまう事態を防止することができる。従って、明暗のコントラストが低下するのを防止し、コードをより正確に読み取ることができる。
【0010】
また、本発明のハンディ型コード読取装置は、前記光源が取り付けられていると共に前記光源から前記照射抑制手段に向かう方向に上昇するように傾斜した傾斜面を有する支持部材を備えていてもよい。この構成によると、光源から照射抑制手段に向かう方向に上昇するように傾斜した傾斜面に光源が取り付けられていることによって、例えば、コードを読み取る際、表面において基板内へと積極的に光を入射させることができる。よって、基板内からコードの透光部分を通過して基板外へと出力される光量をより多くすることができる。従って、コードをより正確に読み取ることができる。
【0011】
また、本発明のコード読取装置は、前記光源を保持するパッケージをさらに備えており、前記光源が発光ダイオードであって、前記照射抑制手段が、前記パッケージの遮光部分であってもよい。
【0012】
上記の構成によると、パッケージによって、発光ダイオードから出射された光が基板外からコードに照射されるのを遮断することができる。よって、発光ダイオードから出射されコードにおいて反射された光が受光素子によって受光されてしまう事態を防止することができる。従って、明暗のコントラストが低下するのを防止し、コードを正確に読み取ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のハンディ型コード読取装置によると、照射抑制手段によって、光源から出射された光がコードに照射されるのを抑制することができる。よって、光源から出射されて表面のコード外の領域から基板内へと入射し基板内からコードを通過して基板外へと出力される光だけでなく、光源から出射されコードにおいて反射された光が受光素子によって受光されてしまう事態を抑制することができる。従って、明暗のコントラストが低下するのを抑制し、コードを正確に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るハンディ型コード読取装置の全体斜視図である。
【図2】図1に示すハンディ型コード読取装置の高さ方向に沿った断面図である。
【図3】図1に示すハンディ型コード読取装置の基部の詳細図である。
【図4】図1に示すハンディ型コード読取装置によってコードを読み取る際の様子を示した図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るハンディ型コード読取装置によってコードを読み取る際の様子を示した図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るハンディ型コード読取装置によってコードを読み取る際の様子を示した図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る設計変更を施したハンディ型コード読取装置によってコードを読み取る際の様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態に係るハンディ型のコード読取装置1は、図1に示すように、その高さ方向に関して僅かに傾いた縦長の形状を有しており、約100gの重さを有する軽量な装置である。コード読取装置1は、基板上のコード(以下、対象コードと称することがある)に対して位置合わせをし、対象コードを読み取ることができる。コード読取装置1を対象コードに対して位置合わせするとは、後述するように、コード読取装置1の高さ方向から見て、貫通口21内に対象コードが収まるようにコード読取装置1を配置することを言う。
【0016】
コード読取装置1は、その最下部に位置する基部20、基部20に接続された筒状のケーシング部4、及び、例えば図示しないコンピュータとケーシング部4内の受光部30とを電気的に接続する電気コード5を備えている。ケーシング部4は、コード読取装置1の全体とほぼ同じ高さを有しており、その下部において、幅方向に貫通した開口部2が設けられている。そして、開口部2によって、ケーシング部4の下方に位置する基部20の貫通口21が可視となり、これにより、対象コードを貫通口21内に位置合わせすることができる。
【0017】
図2に示すように、ケーシング部4の内部には、ケーシング部4の高さ方向に関してほぼ中央に位置する受光部30、及び、基部20と受光部30との間に位置する赤色発光部7が設けられている。受光部30は、受光レンズ32及び受光素子31を備えており、コード読み取りの際、受光レンズ32が、貫通口21を通過してケーシング部4内に入射した光を受光素子31に集光し、受光素子31が、受光した光を電荷に変換する。そして、この読み取られた電気的情報が電気コード5を介して外部のコンピュータなどに送り出され、コンピュータにおいて対象コードが識別される。また、コンピュータは、異なる色の光それぞれに対して処理を行うことができる。
【0018】
赤色発光部7は、開口部2の近傍において、コード読取装置1の高さ方向から見て受光レンズ32と重複しない位置に設けられている。赤色発光部7は、基部20の貫通口21に面するように設けられており、遮光性を有する保持部材7bにおける貫通口21と対向する部分に形成された溝に砲弾型のLED7aが設置されている。即ち、赤色発光部7は、砲弾型のLED7aを有している。コード読み取りの際、保持部材7bの溝に設置された砲弾型LED7aは、保持部材7bの溝、即ち、貫通口21と対向する部分から赤色の光を出射する。その光は、貫通口21内を通過して対象コードに照射され、対象コードの遮光部分において反射した光が、再び貫通口21を通過してケーシング部4内に入射する。そして、この光を受光部30の受光素子31が受光することによって、対象コードの情報を読み取ることができる。即ち、赤色LED7aは、明視野照明であり、前記明視野照明により得た画像は対象コードの遮光部分が反射光により明るく見え、対象コードの透過部分は反射しないため暗く見える。従って、金属等に直接刻印したコ−ドや、バックライトが搭載された液晶基板に形成されたコードを読み取る場合などに好適である。
【0019】
図2及び3を参照すると、基部20は、後述の基準面A、即ち、コード読取装置1の高さ方向に直交する平面に平行な支持板24と、支持板24の外縁に沿って設けられた外枠23と、支持板24に取り付けられた8つの青色発光部25及び遮光部材26とを有する。
【0020】
外枠23は、支持板24に対するケーシング部4が配置された側と逆側において、支持板24の外縁に沿って設けられた枠である。外枠23は、支持板24の厚み方向に関して支持板24から離れる方向に突出しており、その端部がコード読取装置1の最下部となっている。よって、コード読取装置1を対象コードに対して位置合わせする際、外枠23の端部を基板と当接させることによって、コード読取装置1を基板に対して固定することができる。このとき、外枠23の端部は、後述の遮光部材26の端部と共に、基板の表面と平行な基準面Aを構成する。
【0021】
支持板24は、基準面Aに直交する方向に関して、基準面Aと受光素子31との間に設けられており、その厚み方向に貫通した開口である貫通口21を有する。貫通口21は、基準面Aと直交する方向から見て、四角形形状を有していると共に受光素子31と対向する位置に設けられており、基板において対象コードが形成された範囲よりも大きく且つこれとほぼ同じ大きさを有している。このような構造によって、開口部2及び貫通口21を通して対象コードが直視できるため、コードに対してコード読取装置1を容易に位置合わせすることができる。
【0022】
遮光部材26は、支持板24に対するケーシング部4が配置された側と逆側において、貫通口21を取り囲むように設けられている。遮光部材26は、支持板24の厚み方向に関して支持板24から離れる方向に、外枠23と同じ位置まで突出している。即ち、支持板24の厚み方向に関する遮光部材26の端部も、コード読取装置1の最下部となっている。よって、外枠23の端部と対象コードが形成された基板とが当接する際には、遮光部材26の端部も基板と当接する。従って、外枠23の端部及び遮光部材26の端部によって、基準面Aが構成される。また、コード読取装置1を対象コードに対して位置合わせしたとき、遮光部材26は、8つの青色発光部25それぞれと対象コードとを結ぶ直線上に位置する。
【0023】
8つの青色発光部25は、支持板24に対するケーシング部4が配置された側と逆側において、遮光部材26を取り囲むように設けられている。8つの青色発光部25は、各2つの青色発光部25が貫通口21の四角形の各辺に沿って配置されている。
【0024】
青色発光部25はそれぞれ、支持板24に取り付けられた遮光性を有するパッケージ25b、及び、パッケージ25bの溝に埋め込まれたLEDチップ25cと封入樹脂からなる青色発光ダイオード25aから構成される。コード読み取りの際、即ち、コード読取装置1をコードに対して位置合わせしたとき、溝に埋め込まれた青色LED25aは、パッケージ25bに当接しない部分、即ち、基準面Aと対向する部分から基準面Aに向かって円錐状に青色の光を出射する。
【0025】
後述するように、コード読み取りの際、青色LED25aから出射され基板内へ入射した後、対象コードの透光部分を通過し再び貫通口21を通過してケーシング部4内に入射した光を、受光部30の受光素子31が受光することによって、対象コードの情報を読み取ることができる。即ち、青色LED25aは、対象コードの透光部分が前記通過した光により明るく見え、対象コードの遮光部分は光が通過しないため暗く見える。
【0026】
次に図4を参照し、透光性を有する基板50の表面51上に形成されたコード53を読み取る際の様子を詳細に説明する。ここでは、青色発光部25から出射された光のみを用いてコードを読み取るものとし、例えば基板50は、大型の液晶パネル用の硝子基板であり、コード53には、遮光部分53aと透光部分53bとが含まれている。遮光部分53aと透光部分53bは、例えば前記基板50上の金属蒸着膜にレーザー焼きつけにより印字して形成させたものである。
【0027】
図4は、読み取るコード53を有する基板50が緩衝材60の上に配置されている状態を示している。このとき、コード53が緩衝材60と当接せず、基板50の表面51と対向する底面55と緩衝材60とが当接するものとする。緩衝材60は、透光性を有するもの、または、緩衝材60内において光を拡散させることができるものであって、例えば、緩衝材としては、高発泡ポリエチレンシート、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、気泡性緩衝材などが好適である。また不織布、アクリルやポリカーボネート等の透明板なども同様に好適である。アクリルやポリカーボネート等の透明板である場合は、拡散効果のある加工をするとより効果的である。
【0028】
次に、コード読取装置1を基板50上のコード53に対して位置合わせする。具体的には、基準面Aと直交する方向から見てコード読取装置1の貫通口21内にコード53が収まるように、開口部2を見ながらコード読取装置1を基板50上に配置する。このとき、コード読取装置1の外枠23の端部及び遮光部材26の端部を表面51に当接させる。よって、外枠23の端部及び遮光部材26の端部が構成する基準面Aが表面51と平行になっている。
【0029】
そして、図示しない電源によって青色発光部25の青色LED25aを発光させると、青色LED25aから基準面Aに向かって円錐状に青色の光が出射される。このとき、基準面Aと直交する方向から見て、コード53は、貫通口21内に収まっており、即ち、遮光部材26に囲まれた範囲内に位置している。即ち、遮光部材26は、各青色LED25aとコード53を結ぶ直線上に配置されているため、青色LED25aからコード53へと向かう光を遮断する。これにより、青色LED25aから出射された光が基板50外からコード53に照射されることがない。また、青色LED25aから出射された光の一部が、表面51における遮光部材26に囲まれていない範囲から基板50内へと入射する。
【0030】
基板50内へ入射した光の一部は、基板50内において、底面55及び表面51などに反射されつつコード53に対向する位置まで到達し、コード53の透光部分53bを通過して基板50外へと出射する。また、基板50内へ入射した光の一部は、底面55を通過して緩衝材60の表面または緩衝材60内へと入射し、緩衝材60の表面で反射または緩衝材60内において拡散され、再び底面55から基板50内へと入射する。そして、基板50内へ入射した光が、コード53の透光部分53bを通過して基板50外へと出射する。このようにしてコード53の透光部分53bを通過して基板50外へと出射した光が、受光部30の受光素子31によって受光される。そして、この読み取られた電気的情報が電気コード5によって接続されたコンピュータに送られ、コードの識別が行われる。
【0031】
上述した読み取るコード53を有する基板50の背景として緩衝材60などの好適なものを提示したが、読取作業上最も効率の良い、運搬されてきた基板の緩衝材60を反射板又は拡散板として用いたが、緩衝目的(衝撃吸収・保護)のものに限らない。つまり、背景色が黒などの反射率が低いものや、発光部(光源)の色に対して背景色が補色となるもの、又は鏡面など正反射のみのものを除いて、光を透過または拡散する素材及び、光を拡散又は乱反射させる素材であれば何であってもよい。
【0032】
以上説明した実施形態によると、遮光部材26によって、青色LED25aから出射された光が基板外からコードに照射されるのを遮断することができる。よって、青色LED25aから出射されて表面のコード外の領域から基板内へと入射し基板内からコードの透光部分を通過して基板外へと出力される光だけでなく、青色LED25aから出射されコード53において反射された光が受光素子31によって受光されてしまう事態を防止することができる。従って、明暗のコントラストが低下するのを防止し、コードを正確に読み取ることができる。
【0033】
また、コードを読み取る際に遮光部材26の端部が基板に当接するため、遮光部材26によって、青色LED25aから出射された光が基板外からコードに照射されるのを確実に遮断することができる。よって、青色LED25aから出射されコードにおいて反射された光が受光素子31によって受光されてしまう事態を確実に防止することができる。従って、明暗のコントラストが低下するのをより確実に防止し、コードをより正確に読み取ることができる。
【0034】
上述した遮光部材26の端部は青色LED25aから出射された光が基板50外からコード53に照射されることを防止可能であればよく、基板50に当接していなくてもよい。もちろん、使用上問題がなければ、遮光部材26の端部が基板に当接してもよいことは言うまでもない。
【0035】
また、支持板24の貫通口21とコードとを位置合わせすることによって、コード読取装置1をコードに対して容易に位置合わせすることができる。
【0036】
また、遮光部材26が貫通口21を取り囲むように設けられていることによって、支持板24の貫通口21とコードとを位置合わせした際、複数の青色LED25aから出射されコードにおいて反射された光が受光素子31によって受光されてしまう事態を確実に防止することができる。
【0037】
次に、図5を参照し、上述の実施形態に変更を加えた第2の実施形態について説明する。但し、上述の実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0038】
第2の実施形態に係るハンディ型コード読取装置101は、支持板24の代わりに4つの支持板124を備えている。4つの支持板124はそれぞれ、四角形の表面を有する板部材である。4つの支持板124は、基準面Aに直交する方向に関して、基準面Aと受光素子31との間に設けられており、基準面Aに直交する方向から見て十字を形成するように配置されている。即ち、4つの支持板124に取り囲まれるように空洞121が形成されている。空洞121は、貫通口21より僅かに大きいサイズを有している。なお、空洞121は、貫通口21と同様の役割を果たす。
【0039】
また、4つの支持板124はそれぞれ、ケーシング部4が配置された側と逆側において、空洞121に近づく方向に上昇するように傾斜した傾斜面124aを有している。各傾斜面124aには、2つの青色発光部25が取り付けられており、即ち、4つの支持板124は8つの青色発光部25を有する。より詳細には、各2つの青色発光部25は、各支持板124の一辺に沿って各傾斜面124aに取り付けられている。即ち、互いに対向する2つの支持板124に設けられた4つの青色発光部25は、基準面Aと直交する方向から見て受光素子31を間に挟む位置に配置されている。なお、4つの支持板124は配線等により電気的に接続されており、上述した第一の実施形態と同様に8つの青色発光部25に電源が供給される。
【0040】
また本実施形態では、遮光部材26は、4つの支持板124ではなく、図示しない支持部材によってケーシング部4に対して固定されている。遮光部材26は、基準面Aに直交する方向から見て、受光素子31に対向する範囲を取り囲むように、空洞121に沿って設けられている。よって、遮光部材26は、第1の実施形態と同様、コード読取装置101を対象コードに対して位置合わせしたとき、8つの青色発光部25それぞれと対象コードとを結ぶ直線上に位置する。
【0041】
このように、各傾斜面124aは、当該傾斜面124aに取り付けられた2つの青色発光部25から遮光部材26に向かう方向に上昇するように傾斜していることが分かる。換言すると、各傾斜面124aは、当該傾斜面124aに取り付けられた2つの青色発光部25から受光素子31に向かう方向に傾斜している。
【0042】
このようなコード読取装置101によってコードを読み取るとき、青色LED25aから出射された光は、表面51における遮光部材26に囲まれていない範囲において、第1の実施形態に比べ、基板50内へと積極的に光を入射させることができる。この場合、青色発光部25は円錐状に青色の光を入射するが、入射される円錐状の光は中心が最も光の強度が高い。前記光の最も強い中心が基板50内へ入射されるように青色発光部25の傾斜角度が設定される。よって、基板50内に入射した光が、基板50内におけるコード53に対向する部分により到達しやすくなる。
【0043】
以上説明した実施形態によると、各傾斜面124aが、当該傾斜面124aに取り付けられた2つの青色発光部25から受光素子31に向かう方向に傾斜しているため、コード読取装置101をコードに対して位置合わせした際、表面において基板50内へと積極的に光を入射させることができる。よって、基板内からコードの透光部分を通過して基板外へと出力される光量をより多くすることができる。また、上述した第1の実施形態の青色発光部25から円錐状に出射する光における、基準面Aと直交する方向から見て、遮光部材26とは異なる方向(コード読取装置1の外枠23側)へ出射する光を積極的に用いることができる。従って、コードをより正確に読み取ることができる。
【0044】
次に、図6を参照し、第1の実施形態に変更を加えた第3の実施形態について説明する。但し、上述の実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0045】
第3の実施形態に係るハンディ型コード読取装置201は、第1の実施形態における遮光部材26を備えていない。よって、外枠23の端部のみが基準面Aを構成する。その代わりに、コード読取装置201は、基準面Aに直交する方向に関して、支持板24よりも基準面Aに近い位置に設けられた支持板224を有する。支持板224は、支持板24と同様に、貫通口21を有していると共に、8つの青色発光部25が取り付けられている。上述したように、LEDチップ25cと封入樹脂からなる青色LED25aは、パッケージ25bの溝に埋め込まれている。
【0046】
そして、支持板224が基準面Aに近い位置に設けられていることによって、支持板224に取り付けられた8つの青色発光部25は、基準面Aから僅かに離隔した位置に配置される。これにより、コードを読み取る際、即ち、貫通口21と対象コードとを位置合わせしたとき、青色発光部25の青色LED25aからの光が、基板外から対象コードに照射されることがない。また、開口21に近接させて(コードの側部により近接させて)設けることができるため、基板内からコードの透光部分を通過して基板外へと出力される光量をより多くすることができる。即ち、本実施形態においては、パッケージ25bが、青色LED25aから出射された光が基板外からコードに照射されるのを遮断する遮光部材であると言える。
【0047】
以上説明した実施形態によると、パッケージ25bによって、青色LED25aから出射された光がコードに照射されるのを遮断することができる。よって、青色LED25aから出射されコードにおいて反射された光が受光素子31によって受光されてしまう事態を防止することができる。従って、明暗のコントラストが低下するのを防止し、コードを正確に読み取ることができる。
【0048】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更を上述の実施形態に施すことが可能である。
【0049】
上述した実施形態では、読取対象として、透光性を有する基板50の表面上に形成され遮光部分と透過部分を含むコード53について述べたが、例えば、基板50上の金属蒸着膜にレーザー焼きつけにより印字して遮光部分と透過部分を形成させた物に限らず、硝子などの光透過性のある基板に直接印刷や刻印されたシンボル( DPM: Direct Parts Marking )などを含む。また基板に限らず、医療業界などで用いる硝子や樹脂などの光透過性のある物体で成形されたアンプル・容器に印刷されたコード、又は、バーコードが印刷された透明シールが添付されたコード(及び、コードが光透過性のある物体に置かれている場合も含む)なども含む。
【0050】
また、前記赤色発光部7と後述する青色発光部25の2つのタイプの光源は、照射対象(コード及び基板)に対して共に照射して、受光素子31に集光しコンピュータにおいて対象コードを識別してもよい。このとき、コンピュータは2色で照らされた画像を取得してそれぞれの色成分の画像を抽出することができる。したがって、青色発光部25から出射された光及び赤色発光部7から出射された光の両方で適宜所望の画像が得られるコードの場合に好適であり、両方の識別により精度を高めることができる。また、画像のよいほうを選択して識別するようにしてもよい。
【0051】
第2の実施形態では、青色LED25aから出射される光を、基板の表面におけるコードが形成された領域により近い部分から基板へと入射させるために、青色LED25aを傾斜面124aに取り付けているが、他の方法を用いてもよい。例えば、図7に示すように、青色LED25aが、基準面Aにおける空洞121に対向する部分に面するように、青色LED25aを保持するパッケージの形状を変更してもよい。
【0052】
第3の実施形態では、8つの青色発光部25が基準面Aから僅かに離隔した位置に配置されているが、青色発光部25が基準面Aから離隔していなくてもよい。即ち、支持板224をより基準面Aに近い位置に配置し、外枠23の端部と共に青色発光部25の端部が基準面Aを構成するようにしてもよい。その場合、コード読み取りの際、青色発光部25の端部が基板に当接するため、青色LED25aから出射された光が基板外からコードに照射されるのをより確実に遮断することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 コード読取装置
21 貫通口
24 支持板
25a 青色発光ダイオード
25b パッケージ
25c LEDチップ
26 遮光部材
31 受光素子
101 コード読取装置
124 支持板
124a 傾斜面
224 支持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する基板の表面上に形成されたコードを読み取るハンディ型コード読取装置であって、
光源から出射された光が前記コードに照射されるのを抑制する照射抑制手段と、
前記光源から出射されて前記表面の前記コード外の領域から前記基板内へと入射し前記基板内から前記コードを通過して前記基板外へと出力される光を受光する受光素子とを備えていることを特徴とするハンディ型コード読取装置。
【請求項2】
前記照射抑制手段が、前記光源と前記コードとを結ぶ直線上に配置された遮光部材であることを特徴とする請求項1に記載のハンディ型コード読取装置。
【請求項3】
前記光源が取り付けられていると共に前記光源から前記照射抑制手段に向かう方向に上昇するように傾斜した傾斜面を有する支持部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンディ型コード読取装置。
【請求項4】
前記光源を保持するパッケージをさらに備えており、
前記光源が発光ダイオードであって、
前記直接照射抑制手段が、前記パッケージの遮光部分であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンディ型コード読取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−108071(P2011−108071A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263632(P2009−263632)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(593122789)ユーテック株式会社 (118)
【Fターム(参考)】