説明

ハンディ端末用のケーブル収納具

【課題】ケーブルを自然に収納でき、且つ、ケーブルを送り出した状態でハンディ端末を選択的に保持可能な、ハンディ端末用のケーブル収納具を提供する。
【解決手段】ケーブル収納具100は、長手状のハウジング110と、第1端121及び第2端122を有するケーブル120と、ケーブル120に鉛直荷重をかけつつハウジング110内を昇降する牽引部材130と、一時保持機構(116,134)とを備える。第1端121がハウジング110の第1開口113で固定されてハウジング110から延出し、他方、第2端122がハウジング110の第2開口114から延出してハンディ端末200に接続される。一時保持機構は、牽引部材130をハウジング110の上端域に一時的に保持してハウジング下端域への自然降下を防止するロック状態と、ロック状態が解除された非ロック状態とを選択的に実現可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンディ端末が接続されるケーブルを送り出し及び引き込み可能なケーブル収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードスキャナなどのハンディ端末はレジカウンタなどに設置され、オペレータが必要に応じて手に取ってハンディ端末を移動させて使用する。このようなハンディ端末は一般にケーブルに接続されており、ハンディ端末の使用距離範囲を確保するために十分なケーブル長さを必要とする。そして、ハンディ端末の未使用時には、ケーブルがカウンタや作業台などに放置された状態になり、ケーブルが絡まってしまったり、ケーブルが作業の妨げとなったりする等の問題があった。
【0003】
この問題に対する解決策として、特許文献1のケーブル収納ユニットが提案されている。特許文献1によると、ケーブル収納ユニット(1)は、ユニット本体(111)の天井部(111a)に、ケーブル(451)の一端である固定端(451b)が固定され、ハンディスキャナ(401)が接続されるケーブル(451)の他端である自由端(451a)が、挿通孔(112a)に挿通されている。そして、ケーブル(451)は、天井部(111a)から底部(111b)に向けて延出し、滑車(151)の下半周に巻かれている。滑車(151)は、回動自在かつユニット本体(111)の長手方向に沿って底部(111b)と天井部(111a)との間を昇降自在に保持されている。ハンディスキャナ(401)使用時には、ケーブルの自由端(451a)が引き抜かれ滑車(151)が巻き上げられて上昇し、ユニット本体(111)に収納されていたケーブル(451)の部分が引き出され、ハンディスキャナ(401)を自由に引き寄せる。また、ハンディスキャナ(401)未使用時には、自由端(451a)側の引き抜き動作を止めると、滑車(151)がその自重により降下して、引き出されていたケーブル(451)を再びユニット本体(111)に収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−009202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のケーブル収納ユニットでは、ハンディ端末から手を放すと(ハンディ端末への外力が解除されると)、すぐに滑車がその自重により降下し、自然にケーブルがユニット内に引き込まれて収納され、ハンディ端末が使用者の手元から離れていく。即ち、使用者がハンディ端末を一時的に手元に置いて連続的に使用する状況では、一度ハンディ端末を置くと使用者の意思に反してハンディ端末が手元から離れてしまう。このため、再びハンディ端末を引き寄せる動作が必要になり、使用者の作業効率が低下するといった問題がある。
【0006】
本発明の目的は、使用者の作業の妨げにならないように、ケーブルに外力がかかっていないときにケーブルを自然に収納するケーブル収納具であって、ケーブルを送り出した状態でハンディ端末を選択的に保持することができる、ハンディ端末用のケーブル収納具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のケーブル収納具は、ケーブルを送り出し及び引き込み可能に収納する、ハンディ端末用のケーブル収納具であって、
第1開口及び第2開口を有し、垂直方向に延在する長手状のハウジングと、
前記第1開口から前記ハウジングの外部に延出する第1端と、前記第2開口から前記ハウジングの外部に延出してハンディ端末に接続される第2端とを有し、前記第1開口で前記ハウジングに固定された状態で、前記ハウジング内に収納されるケーブルと、
前記ケーブルに係合して前記ケーブルの送り出し及び引き込みをガイドするケーブルガイド部を有し、前記ケーブルの送り出し及び引き込み動作に伴い、当該ケーブルに鉛直荷重をかけつつ前記ハウジング内を昇降可能な牽引部材と、
前記牽引部材が前記ハウジングの上端域に達したときに、該牽引部材を該ハウジング上端域に一時的に保持してハウジング下端域への自然降下を防止するロック状態と、このロック状態が解除された非ロック状態とを選択的に実現可能な一時保持機構と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のケーブル収納具は、請求項1のケーブル収納具において、前記一時保持機構は、保持部材と、その保持部材を選択的に着脱可能な被保持部材とから構成され、前記保持部材は、前記ハウジングの上端部又はその近傍に設けられ、前記被保持部材は、前記牽引部材の上部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のケーブル収納具は、請求項2のケーブル収納具において、前記保持部材及び被保持部材からなる一時保持機構は、プッシュラッチ機構であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ケーブルが第1端方向に外力により引き抜かれると、ケーブルの第1端がハウジングに固定されているので、牽引部材がケーブルに鉛直荷重をかけつつハウジング内を上昇しながら、ケーブルがケーブルガイド部によってガイドされて第2端側に送り出される。他方、ケーブルに対する外力が解除されると、牽引部材がケーブルに鉛直荷重をかけつつ自然降下しながら、ケーブルがケーブルガイド部にガイドされて第1端側に引き込まれる。従って、ケーブルをハウジング内に自然に収納することができる。また、牽引部材をハウジング上端域に一時的に保持してハウジング下端域への自然降下を防止するロック状態と、このロック状態が解除された非ロック状態とを選択的に実現可能な一時保持機構を備えることで、ケーブルに外力を与えなくても、ケーブルを送り出した状態でハンディ端末を選択的に保持することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明と同様の効果を奏する。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、一時保持機構をプッシュラッチ機構とすることで、牽引部材(被保持部材)をハウジング(保持部材)に対して押圧することで迅速且つ容易にロック状態を形成することができる。また、ロック状態で、牽引部材(被保持部材)をハウジング(保持部材)に対して押圧することで迅速且つ容易にロック状態を解除することができる。即ち、使用者はロック及びロック解除を迅速且つ容易に切り替え操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のケーブル収納具の一実施形態の全体斜視図。
【図2】図1のケーブル収納具におけるハウジング及びケーブルを示し、(a)はハウジング内部の正面図及び(b)はハウジングの平面図。
【図3】図1のケーブル収納具におけるハウジング及びケーブルの分解斜視図。
【図4】図1のケーブル収納具における牽引部材を示し、(a)はその正面図、(b)はその背面図、(c)はその平面図。
【図5】図1のケーブル収納具における一時保持機構の部分拡大平面図であって、(a)はロック解除状態、(b)はロック状態。
【図6】図1のケーブル収納具の分解斜視図。
【図7】図1のケーブル収納具の正面図であって、(a)はケーブルがハウジング内に収納されている状態、(b)はケーブルが部分的に送り出されている状態、(c)はケーブルが完全に送り出された状態。
【図8】本発明のケーブル収納具の一変形例における牽引部材の斜視図。
【図9】本発明のケーブル収納具の一変形例を示し、(a)は牽引部材の斜視図、(b)はケーブル収納具の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態としてのケーブル収納具100を示している。ケーブル収納具100は、垂直(上下)方向に延在する長手状の矩形形状を有するハウジング110と、当該ハウジング110に収納されるケーブル120と、ハウジング内を昇降可能に配置される牽引部材130とを備えている。ハウジング110は、前面開口を有するハウジング本体111と、ハウジング本体111の前面開口を覆う蓋体112とから構成される。そして、ケーブル120の第1端121が、ハウジング本体111の上壁111aに位置する第1開口113から延出し、且つ、第2端122が上壁111aに位置する第2開口114から延出するように、ケーブル120はハウジング110内に収納される。
【0016】
ケーブル120の第1端121は情報処理端末である販売時点情報管理端末機(POS端末機、図示せず)に接続可能な端子(ここではUSB端子121a)を備える。また、ケーブル120の第2端122はハンディ端末であるバーコードスキャナ200に自由端として接続されている。なお、本実施形態では、ハンディ端末はバーコードスキャナであるが、マウス型インターフェースなどの他の情報入力端末であってもよい。また、情報処理端末は、POS端末機に限定されず、パソコンなどの他の処理端末であってもよい。以下、各部材について図面を参照して説明する。
【0017】
図2(a)及び(b)はケーブル120が配置されたハウジング110内部の正面図及びハウジング110の平面図(上面図)である。図2ではハウジング110の内部を説明するために便宜上、蓋体112を省略する。図2に示すとおり、ハウジング110は、上壁111a、底壁111b、及び、前面開口を有するハウジング本体111を備える。ハウジング本体111は、上壁111aにおいて、第1開口113及び第2開口114が形成されているケーブル押さえ部115を有する。また、第1開口113の孔径はケーブル径と同じか又はそれより小さくなるように形成され、ケーブル120は第1開口113でケーブル押さえ部115によって水平に押圧されることでハウジング110に固定されている。即ち、ケーブル120は第1端121側に固定端を有する。そして、ケーブル120が第2開口114を通って送り出し及び引き込みされるように、第2開口114の孔径はケーブル径よりも大きく形成されている。
【0018】
ハウジング本体111の上壁111aの下面(内面)には、後述する一時保持機構を構成する保持部材116が配置されている。この保持部材116の一部である略T字形状の係合凸部116a(保持部)が底壁111bに向かって延在している。
【0019】
また、牽引部材130が上下に移動するときに、ハウジング本体111の壁面との間に生じる摩擦力を軽減するために、2つのテープ117aがハウジング本体111の側壁内面上に長手方向に沿って貼着され、及び、1つのテープ117b(図3参照)が蓋体112の側壁内面上に長手方向に沿って貼着されている。さらに、牽引部材130がハウジング本体111の底壁111bと接触するときの衝撃を吸収するために、2つの緩衝突起118がハウジング底壁111bの上面(内面)に形成されている。ここに図示しないが、ハウジング本体111の背面には、例えばマグネットや取付け孔などの、ケーブル収納具100を壁面などに設置するための取り付け具が形成されている。
【0020】
図3は、ハウジング110及びケーブル120の分解斜視図である。図3に示すとおり、ハウジング上壁111a近傍で、ケーブル120が第1開口113及び第2開口114を通ってハウジング本体111と押さえ部115との間に挟み込まれるように、ケーブル押さえ部115がハウジング本体111にネジで固定される。また、係合凸部116aを有する保持部材116がネジでハウジング上壁111aの下面に固定される。後述するように、蓋体112は、牽引部材130をハウジング本体111内に配置してから、ハウジング本体111に取り付けられる。
【0021】
なお、本実施形態においては、ハウジング本体111及び蓋体112は金属板を加工して製作され、ケーブル押さえ部115及び係合凸部116aを有する保持部材116はジュラコン樹脂を成形加工して製作されているが、他の材質及び他の加工方法によって製作してもよい。また、ここでは、各部材をネジで固定することによって組み立てたが、溶接などの他の手段によって組み立ててもよい。
【0022】
図4に本発明の実施形態であるケーブル収納具100の牽引部材130を示す。牽引部材130は、前面131a及び後面131bを有する正面視が矩形薄板状の本体部131を備える。ケーブル120をガイドするための第1のガイドローラ132(ケーブルガイド部)が、前面131aの略中央に回転可能に設置されている。また、摺動手段としての4つの第2のガイドローラ133が、ハウジング本体111の側壁内面と当接できるように、正面視において本体部131からはみ出すように、後面131bの4隅において回動自在に取り付けられている。さらに、本体部131には、後述する一時保持機構を構成する1対の係合爪134a(被保持部)を有する被保持部材134が組み込まれ、1対の係合爪134aが本体部131の1側面から延在している。そして、本体部131は、自重によりケーブル120に鉛直荷重をかけるために、所定重量を有する錘(図示せず)を内蔵している。
【0023】
なお、本実施形態においては、牽引部材130の本体部131及び錘は金属板を加工して製作され、第1のガイドローラ132、第2のガイドローラ133及び係合爪134aはプラスチック製のものが採用されているが、他の加工方法及び材質を採用してもよい。
【0024】
図5に、係合凸部116a(保持部)を有する保持部材116と一対の係合爪134a(被保持部)を有する被保持部材134とで構成される一時保持機構を示す。本実施形態における一時保持機構は、所謂プッシュラッチ機構である。この一時保持機構は、保持部材116と被保持部材134とが対をなす市販品である。
【0025】
上記一時保持機構において、ロック状態を形成する操作について説明する。図5(a)に示すとおり、内側に各突起134bを有する一対の係合爪134aが、窪み部116bを有するT字形状の係合凸部116aを挟みこむようにして、牽引部材130をハウジング上壁111aの下面に当接させる。そして、牽引部材130をハウジング上壁111aの下面に対して押圧すると、係合爪134aが牽引部材130(被保持部材134)の内部に引っ込みながら、各突起部134bと各窪み部116bとが嵌り合うように、一対の係合爪134aが係合凸部116aを挟み込み、係合爪134aと係合凸部116aとが係合して、保持部材116と被保持部材134とでロック状態が形成される(図5(b)参照)。
【0026】
次に、ロック状態を解除する操作について説明する。ロック状態において、牽引部材130をハウジング上壁111aの下面に対してさらに押圧すると、一対の係合爪134aが外に開きながら牽引部材130(被保持部材134)からとび出し、係合爪134aと係合凸部116aとの係合が解除されて、ロック状態が解除される。
【0027】
なお、本実施形態のプッシュラッチ機構に限定されずに別構造のプッシュラッチ機構を採用することもできる。
【0028】
図6は、ケーブル120が組み込まれたハウジング本体111と牽引部材130を表したケーブル収納具100の分解斜視図である。牽引部材130は、係合爪134aがハウジング上壁111a側に向き、前面131aと蓋体112の前方側壁内面とが互いに対面するようにハウジング本体111内に配置される。このとき、牽引部材130の第1のガイドローラ132がケーブル120に係合するように、即ち、ケーブル120が第1のガイドローラ132の下半周に巻かれるように、牽引部材130がハウジング本体111内に配置される。また、牽引部材130の各第2のガイドローラ133がハウジング本体111の幅方向の側壁内面に当接可能であるとともに、牽引部材130の後面131bがテープ117aに当接可能に、牽引部材130がハウジング本体111内に配置される。牽引部材130がハウジング本体111内に収納された後に、蓋体112が前面開口を覆うようにハウジング本体111にネジで取り付けられる。従って、上述のように複雑な工程なしに、ケーブル収納具100を容易に組み立てることができる。
【0029】
図7は、ケーブル収納具100におけるケーブル120の収納状態及び送り出し状態を表す正面図(説明の便宜上、蓋体は図示せず)である。図7(a)に、ケーブル120をケーブル収納具100内に収納した状態を示す。牽引部材130はハウジング110の長手方向に距離L移動可能である。牽引部材130はハウジング110の底壁111bの上面(内面)に形成された緩衝突起118に当接する最下位置にあり、バーコードスキャナ200はハウジング110の上壁111aの外面近傍で保持されている。このとき、ケーブル120と牽引部材130の第1のガイドローラ132とが係合し、牽引部材130がケーブル120に鉛直荷重をかけて下方向に引き込んでいる。即ち、この状態ではケーブル120がケーブル収納具100内に収納されカウンタや作業台などに放置されることはない。つまり、使用者がバーコードスキャナ200を連続的に使用しないときはこの状態にするのが好ましい。
【0030】
次に、図7(b)に示すとおり、バーコードスキャナ200がケーブル収納具100の外に引き抜かれると、ケーブル120に第2端122側への外力Fが加わり、ケーブル120が第2端122側に送り出される。このとき、ケーブル120の第1端121側が第1開口113でハウジング110に固定されているので、ケーブル120に係合する第1のガイドローラ132が矢印方向に回転してケーブル120の送り出しをガイドしながら牽引部材130が上昇する。牽引部材130の上昇距離dに対してその2倍の長さ2dのケーブル120が、ハウジング110(第2開口114)から部分的に外へ(第2端122側へ)延出する。即ち、使用者のバーコードスキャナ200の使用状況に応じて、必要な分だけケーブル120を送り出すことができる。なお、この状態において、ケーブル120は牽引部材130の鉛直荷重によって適度に張っているので、ケーブル120がたるんで使用者の作業の妨げとなることを防止できる。
【0031】
図7(c)に示すように、ケーブル120がハウジング110からさらに送り出されると、ケーブル120が最大限に送り出された状態になり、ハウジング110(第2開口114)から長さ2Lのケーブル120が延出する。
【0032】
そして、牽引部材130がハウジング上壁111aの下面を押圧するように、ケーブル120(又はバーコードスキャナ200)をさらに引き抜くと、ハウジング110の係合凸部116aと牽引部材130の係合爪134aとが係合して、牽引部材130を自然降下させずにハウジング110の上壁111aの下面近傍に一時的に保持するロック状態を保持部116と被保持部134で形成する。
【0033】
このロック状態から、ケーブル120を収納するには、再度、牽引部材130がハウジング上壁111a下面を押圧するように、ケーブル120(又はバーコードスキャナ200)を引き抜くと、上述したとおり、ロックが解除される。そして、使用者がバーコードスキャナ200から手を放すと(ケーブル120の第2端122方向への力Fが解除されると)、牽引部材130はケーブル120に鉛直荷重をかけつつハウジング110内を降下する。
【0034】
牽引部材130が下降すると、ケーブル120の第1端121側が第1開口113でハウジング110に固定されているので、ケーブル120に係合する第1のガイドローラ132が矢印逆向きに回転してケーブル120の引き込みをガイドしながら、ケーブル120が第1端121側に引き込まれて、バーコードスキャナ200がケーブル収納具100の方に牽引される。そして、牽引部材130がハウジング110の底壁111bの上面の緩衝突起118に当接して、ケーブル収納具100にケーブル120を収納した、図7(a)の状態になる。
【0035】
なお、牽引部材130が鉛直荷重のみで降下するには、牽引部材130がバーコードスキャナ200よりも重い方が好ましく、牽引部材130に内蔵される錘を変更することで重量を調整することができる。しかしながら、牽引部材130がバーコードスキャナ200よりも軽い場合であっても、使用者がバーコードスキャナ200をケーブル収納部100の方へガイドすることで、ケーブル120を簡単に収納することができる。
【0036】
上述のとおり、使用者が、例えば、連続してバーコードスキャナ200を使用するときには、ロック状態にすると、牽引部材130を自然降下させずにハウジング上壁111a近傍に保持することができるので、バーコードスキャナ200から手を放してもバーコードスキャナ200を牽引させずに一時的に手元に置いておくことができる。他方、使用者が、例えば、バーコードスキャナ200を連続して使用する必要がないときには、ロックを解除してバーコードスキャナ200から手を放すと、牽引部材130が自然降下しながらケーブル120を引き込んでいき、バーコードスキャナ200がケーブル収納具100近傍まで牽引される。即ち、ケーブル120がカウンタや作業台などに不必要に放置されることがなく、使用者の作業の妨げになることはない。従って、本実施形態のケーブル収納具100は、バーコードスキャナ200の使用状況に応じて、ケーブル120を使用者が選択した状態で保持及び収納することができ、使用者の作業効率を改善する。
【0037】
また、一時保持機構をプッシュラッチ機構にすることで、使用者がバーコードスキャナ200を手元に引っ張るという単一の動作だけで、複雑な操作なしに迅速且つ容易にロック及びロック解除することができる。即ち、一方で他の作業をやりながら、片手でバーコードスキャナ200を扱うことができるので、使用者の作業効率を改善する。
【0038】
そして、牽引部材130がハウジング110内を昇降するとき、牽引部材130の各第2のガイドローラ133がハウジング本体111の側壁内面に当接し、牽引部材130がハウジング110内を摺動する。即ち、部材同士の摩擦による磨耗を軽減して耐久性を向上させるとともに、ケーブル120を滑らかに送り出し及び引き込み操作することを可能として優れた使用感を使用者に与える。
【0039】
さらに、緩衝突起118をハウジング底壁111bの上面に形成することで、自重で自然降下する牽引部材130の下面(側面)とハウジング底壁111b上面とが衝突するときの衝撃を吸収することができ、部材の耐久性を向上させるとともに、使用者に優れた使用感を与える。
【0040】
(変形例1)
一時保持機構は上述した実施形態に限られない。本実施形態では、保持部はハウジングの上壁下面に形成されたが、これに限定されず、牽引部材の被保持部と係合することができれば、ハウジングの各側壁内面に形成することも可能である。また、ハウジングに係合爪を設け、牽引部材に係合凸部を設けてもよい。
【0041】
また、一時保持機構は上述した実施形態のプッシュラッチ機構に限られない。例えば、マグネットや面ファスナーによって被保持部が保持部に保持されてもよい。この場合、例えば、ハウジングに孔などを設けて外部から牽引部材に物理的に働きかけてロック解除を行う。
【0042】
(変形例2)
例えば、図8に示す牽引部材130Aのように、第2のガイドローラの代わりに突起133Aが4隅に設けられてもよい。即ち、ハウジング本体の側壁内面と牽引部材130Aとの接触面積を減らし、摩擦力を軽減することで、牽引部材130Aをハウジング内で摺動させることができる。
【0043】
(変形例3)
上記実施形態では、牽引部材は錘を内蔵してその自重によりハウジング内を降下するが、例えば、図9(a)及び(b)に示すケーブル収納具100Bのように、錘に代えて、牽引部材130にゼンマイバネ135Bを組み込み、ハウジング底壁111bBの上面と牽引部材130Bとをゼンマイバネ135Bで接続し、重力の代わりにゼンマイバネ135Bの復元力Kによって牽引部材130Bをハウジング110B内で降下させてもよい。この場合、復元力Kが、ケーブルに対する鉛直荷重の主たる原因となる。なお、この構造により、ケーブル収納具100Bの長手部分を水平に設置して使用することも可能である。
【0044】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0045】
100 ケーブル収納具
110 ハウジング
113 第1開口
114 第2開口
116 保持部材
120 ケーブル
121 第1端
122 第2端
130 牽引部材
132 第1のガイドローラ(ケーブルガイド部)
133 第2のガイドローラ
134 被保持部材
200 バーコードスキャナ(ハンディ端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを送り出し及び引き込み可能に収納する、ハンディ端末用のケーブル収納具であって、
第1開口及び第2開口を有し、垂直方向に延在する長手状のハウジングと、
前記第1開口から前記ハウジングの外部に延出する第1端と、前記第2開口から前記ハウジングの外部に延出してハンディ端末に接続される第2端とを有し、前記第1開口で前記ハウジングに固定された状態で、前記ハウジング内に収納されるケーブルと、
前記ケーブルに係合して前記ケーブルの送り出し及び引き込みをガイドするケーブルガイド部を有し、前記ケーブルの送り出し及び引き込み動作に伴い、当該ケーブルに鉛直荷重をかけつつ前記ハウジング内を昇降可能な牽引部材と、
前記牽引部材が前記ハウジングの上端域に達したときに、該牽引部材を該ハウジング上端域に一時的に保持してハウジング下端域への自然降下を防止するロック状態と、このロック状態が解除された非ロック状態とを選択的に実現可能な一時保持機構と、を備えたことを特徴とするケーブル収納具。
【請求項2】
前記一時保持機構は、保持部材と、その保持部を着脱可能な被保持部材とから構成され、
前記保持部材は、前記ハウジングの上端部又はその近傍に設けられ、前記被保持部材は、前記牽引部材の上部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル収納具。
【請求項3】
前記保持部材及び被保持部材からなる一時保持機構は、プッシュラッチ機構であることを特徴とする請求項2に記載のケーブル収納具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−175436(P2011−175436A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38755(P2010−38755)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000209223)棚橋工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】