説明

ハンドガイドローラの散水装置

【課題】散水パイプの機体に対する着脱が容易に行なえる構造のハンドガイドローラの散水装置を提供する。
【解決手段】転圧ローラ2を取付けたメインフレーム1上に、水タンクを搭載したベースフレーム5を設置する。ベースフレーム5の下面にパイプホルダ18を取付ける。パイプホルダ18は下端側を開口した略逆U字形をなす。水タンクにつながるホースが接続される接続口を有するT字形の接続筒20を、パイプホルダ18に取付ける。散水パイプ15はパイプホルダ18内に案内されて前記パイプホルダに挿脱可能とする。散水パイプ15がパイプホルダ18内に取付けられた状態において、散水パイプ15に設けた通水孔が、接続筒20のホース接続口内と連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メインフレームの前後に取付けた転圧ローラにより舗装面の転圧や路面の締め固め等を行なうハンドガイドローラの散水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドガイドローラは、メインフレームの前後に小形の転圧ローラを備え、アスファルト舗装の初期転圧や比較的狭い路面や敷地等の締め固めを行なう場合に使用される。このハンドガイドローラは、転圧ローラや起振装置を取付けたメインフレーム上に防振ゴム等の防振材を介してベースフレームを設置し、このベースフレーム上にエンジン、油圧ポンプ、水タンクおよび作動油タンク等を搭載して構成される。このハンドガイドローラは、ベースフレームに取付けたハンドルを作業者が把持し、ハンドルの端部に取付けた操作レバーやスイッチを操作することにより、エンジンの始動、停止の操作、転圧ローラの正転、逆転操作および起振装置の駆動、停止の切り替え操作を行なう。ベースフレーム上に搭載した水タンクに溜められた水は、転圧ローラ上に散水されて転圧ローラの表面に水の層を形成することにより、アスファルト等の舗装材が転圧ローラに付着することを防止する。
【0003】
特許文献1に記載のように、ハンドガイドローラの散水装置は、前記水タンクと、前後の転圧ローラにそれぞれ対応して転圧ローラの軸方向に沿って取付けられた散水パイプと、これらの散水パイプと水タンクの出口配管との間に設けられたホースとを備える。散水パイプは水を流出させる複数の小孔を有する。そして、水タンク出口の弁を開くと、水タンク内の非加圧状態の水が自然流下によりホースを通して散水パイプへと流れ、さらに散水パイプの小孔から転圧ローラ上に流下する。
【0004】
従来の散水装置において、散水パイプに設けられたホースとの接続口は、散水パイプに対して直角をなすように突出した構造で設けられる。この接続口は筒状をなし、ホースが接続口から容易に抜け出さないようにするため、この筒状をなす接続口の外周には複数のテーパー形の環状突起が形成されている。そしてこの環状突起を設けた接続口にホースの端部を押しつけることによりホースを外嵌して散水パイプにホースを接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−113912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の散水装置を有するハンドガイドローラは、作業現場によっては、使用する水として水道水以外の土砂等を含んだ例えば川から汲んだ水を使用する場合がある。このため、散水パイプの小孔に土砂等が詰まることがある。しかしこの散水装置は水をポンプで加圧する方式でないため、目詰まりがそのままの状態で放置され、散水が良好に行なえない事態が発生する。このような場合には、散水パイプをベースフレームから外し、小孔の目詰まりを解消して再びこの散水パイプをベースフレームに取付ける必要がある。
【0007】
しかしながら、従来の散水装置においては、散水パイプをベースフレームから取外すために、散水パイプの接続口からホースを引き抜いて外す必要がある。ところが、散水パイプの接続口は、ホースの抜け止めを図るため、テーパー形の環状突起を有する等強固な結合構造を有するので、散水パイプの接続口からこのホースを引き抜くために大きな力を要する。また、この引き抜きは、メインフレームの側板部とベースフレームのエンジン搭載部との間の狭い隙間に上方あるいは下方より手を差し込んで行なわなければならず、このことがホース引き抜き作業の困難さを助長している。さらにこのホース引き抜きの後に散水パイプをメインフレームの開口部から引き抜く作業が必要であり、散水パイプを外すために、ホースを散水パイプから引き抜く作業と、散水パイプをメインフレームの側方に引き抜く作業との2段階の作業が必要となるので、散水パイプを外す作業に多大の労力を要し、時間がかかるという問題点があった。
【0008】
また、散水パイプを再び機体に取付ける際にも、散水パイプをメインフレームの側方から差し込む作業と、ホースを散水パイプの接続口に狭い作業空間で押し嵌め作業が必要であり、散水パイプの取付け作業にも労力を要し、時間がかかる。このため、散水パイプの機体に対する着脱が困難で時間がかかるという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、散水パイプのベースフレームに対する着脱が容易かつ短時間に行なえる構造のハンドガイドローラの散水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のハンドガイドローラの散水装置は、機体上に水タンクを搭載したハンドガイドローラの散水装置において、
前記機体における前記転圧ローラ上に位置する箇所に前記転圧ローラの軸方向に沿って取付けられ、下端側を開口した略逆U字形をなす断面形状を有するパイプホルダと、
逆U字形をなす断面形状を有するパイプホルダと、
前記パイプホルダ内に固定される水平筒部、およびこの水平筒部の側面に突設設され、前記水タンクにつながるホースが接続される接続口を有するT字形の接続筒と、
前記パイプホルダ内に挿脱可能に挿着されると共に、一部が前記接続筒の前記水平筒部内に挿脱可能に挿着される散水パイプと、
前記散水パイプに設けられ、前記散水パイプを前記パイプホルダに挿着した状態において、散水パイプの内部を前記接続筒の前記接続口内に連通させる通水孔とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2のハンドガイドローラの散水装置は、請求項1に記載のハンドガイドローラの散水装置において、
前記パイプホルダの両側板部に設けられ、前記散水パイプを抱持する形状に曲成されたパイプ保持部と、
前記散水パイプの本体部より大径をなして前記散水パイプの外周に設けられ、前記パイプ保持部内に挿脱可能に保持されるガイド筒とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3のハンドガイドローラの散水装置は、請求項2に記載のハンドガイドローラの散水装置において、
前記パイプホルダの両側板部に下方より切り込み状に設けた切欠と、
前記パイプ保持部に嵌まり前記散水パイプより大径をなす水平筒部、およびこの水平筒部に対して垂直をなす方向に設けられ、かつ前記切欠の幅より大きな外径の垂直筒部を有するT字形筒体からなる係合部とを備え、
前記垂直筒部の両側面が前記切欠に嵌まることにより前記散水パイプが前記パイプホルダに対して位置決め固定される構成を有することを特徴とする。
【0013】
請求項4のハンドガイドローラの散水装置は、請求項1から3までのいずれか1項に記載のハンドガイドローラの散水装置において、
前記散水パイプの端部にL字形に折り曲げられた把手を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、散水パイプがパイプホルダに保持された状態において、散水パイプに設けた通水孔を通して散水パイプ内部と接続筒の接続口内部とが連通するので、水タンクからの水を、ホース、接続筒、通水孔、散水パイプを通して散水パイプに設けた小孔から転圧ローラ上に流下させることができる。そして、散水パイプをパイプホルダから引き抜くことにより、散水パイプを取外すことができる。また、散水パイプをパイプホルダに押し込むことにより、散水パイプを取付けることができる。
【0015】
本発明においては、散水パイプを取外した状態かまたは取付けた状態のいずれの状態であってもホースと接続筒とは接続したままでよく、散水パイプからホースを抜き差しする必要はない。このため、散水パイプの着脱作業は機体の側面の開口部等から散水パイプを抜き差しするというワンタッチの作業ですむ。このため、散水パイプの着脱を従来よりはるかに容易かつ短時間に行なうことができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、パイプホルダの両側板部に外側に突出させて形成したパイプ保持部内に、散水パイプに設けたガイド筒を保持させることにより、散水パイプが案内されるようにしたので、散水パイプがパイプホルダに案内されて移動し、接続筒と散水パイプとの芯合わせを容易に行なうことができ、請求項1の発明の効果が助長される。
【0017】
請求項3の発明によれば、パイプホルダに設けた切欠と、散水パイプに設けたT字形筒体でなる係合部により、散水パイプの軸心方向、ならびにその軸心を中心とする回転方向の位置決め作用および抜け止め作用を発揮することができる。また、切欠に対する係合部を散水パイプ本体部より大径のT字形の筒体により構成することができるので、比較的容易に散水パイプの抜け止め手段を構成することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、散水パイプの端部にL字形の把手を設けたので、散水パイプを引き抜く際には、把手に指を引っ掛けて引き抜くことができ、散水パイプの取外しが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の散水装置を適用するハンドガイドローラの一例を示す側面図である。
【図2】本発明の散水装置の一実施の形態を示す図1のA−A拡大断面図である。
【図3】図2のB−B拡大断面図である。
【図4】本実施の形態の散水装置のパイプホルダを示す側面図である。
【図5】本実施の形態の散水装置のパイプホルダを示す端面図である。
【図6】図3のC−C拡大断面図である。
【図7】図3のD−D拡大断面図である。
【図8】本実施の形態の接続筒を示す横断面図である。
【図9】本実施の形態の接続筒用締め付け具を示す正面図である。
【図10】図9の締め付け具の底面図である。
【図11】本実施の形態の接続筒のパイプホルダへの取付け構造を示す図3の部分拡大図である。
【図12】(A)、(B)はそれぞれ本実施の形態の散水パイプの側面図、底面図である。
【図13】図3のE−E拡大断面図である。
【図14】本実施の形態の散水パイプのパイプホルダへの固定構造を示す図3の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明を適用したハンドガイドローラの一例を示す側面図、図2はそのA−A断面図である。図1において、1はメインフレームであり、このメインフレーム1は、左右の側板部1a間を連結枠(図示せず)により連結した構成を有する。このメインフレーム1の左右の側板部1a間の前後に、転圧ローラ2が、その軸を左右の軸受部3により支持して取付けられる。そして片側の軸受部3には転圧ローラ2を回動させるための油圧モータ(図示せず)が取付けられる。また、メインフレーム1には偏心錘を回転可能に取付けた起振装置4が取付けてある。
【0021】
5はメインフレーム1上に防振ゴムやばね等の防振材(図示せず)を介して設置したベースフレームである。ベースフレーム5上の前後方向の中央部にはエンジン6やこのエンジン6により駆動される油圧ポンプ(図示せず)が搭載される。また、起振装置4の軸にエンジン6の回転力を伝達して転圧ローラ2を振動させるための電磁クラッチ(図示せず)が設置される。また、ベースフレーム5上の後部には散水用の水タンク7が搭載され、前部にはベースフレーム5上の油圧ポンプと転圧ローラ2に備えた油圧モータとの間で使用する作動油を溜めておく作動油タンク8が搭載される。メインフレーム1とベースフレーム5とで機体を構成する。
【0022】
10は作業員が把持、操作するためのハンドルである。このハンドル10は、ベースフレーム5の後端部に設けたブラケット11に、図示のような作業時の傾斜姿勢と運搬時の垂直姿勢との間で姿勢変更可能に取付けられる。このハンドル10の端部には、オペレータが把持する把手12と、エンジン6を起動、停止させるための操作レバー13と、転圧ローラ2を前進、停止、後進させるための操作レバー14とが取付けられる。なおこの例の油圧ポンプは、傾転角制御により、作動油の吐出方向を反転可能で、傾転角をゼロとすることにより、回転中にもかかわらず作動油を吐出しない状態とすることができる構成のものを用いている。このため、操作レバー14の傾転角制御用として用いられ、この操作レバー14を操作することにより、転圧ローラ2の油圧モータをモータ正転(前進)方向、モータ逆転(後進)方向に操作すると共に、停止させることができる。ハンドル10にはその他に警報音を発するための押しボタンや起振装置を作動させる電磁クラッチを操作するためのスイッチ(いずれも図示せず)が取付けてある。
【0023】
次に散水装置について説明する。図3は図2のB−B断面図である。図1〜図3において、15はベースフレーム5の下面における前後の転圧ローラ2,2上に位置する箇所に後述の機構により取付ける散水パイプである。図1に示すように、メインフレーム1の側板部1aには、散水パイプ15をメインフレーム1の側面から抜き差しするための開口部1bが設けられる。
【0024】
図2に示すように、水タンク7の水出口ポートに、水の流出、停止を行なうために作業員が開閉操作するコック16が取付けられる。17はこのコック16と前後の散水パイプ15との間をそれぞれ接続するホースである。図2、図3において、18はベースフレーム5の下面にボルト19により取付けるパイプホルダである。20はこのパイプホルダ18に取付けられ、ホース17と散水パイプ15とを水路として連通させる接続筒、21はこの接続筒20をパイプホルダ18に固定する締め付け具である。22は散水パイプ15に設けたガイド筒、23は散水パイプ15に設けた散水パイプの抜け止めのために設けた係合部、24は散水パイプ15の端部に設けた把手である。
【0025】
次にこの散水装置の各部の詳細について説明する。パイプホルダ18は弾性を有する鋼鈑を折り曲げて形成したものである。このパイプホルダ18は、図4の側面図、図5の端面図に示すように、天板部18aと両側板部18b,18bからなる略逆U字形の断面形状を有する。この実施の形態のパイプホルダ18は、両側板部18b,18bの下部を散水パイプ15を抱持する形状に曲成してパイプ保持部18d,18dを形成している。この例では断面形状が両側板部18b,18bで互いに反対向きとなるくの字形に曲成してパイプ保持部18d,18dを形成しているが、くの字形ではなく、弧状としてもよい。
【0026】
18eは接続筒20の取付けのためにパイプホルダ18に設けた切欠である。この切欠18eは、パイプホルダ18の両側板部18bに下方から中間部に亘って設ける。この切欠18eを設ける位置は、散水パイプ15の先端側(把手24の反対側)寄りに偏位させている。18fは接続筒20を固定する締め付け具21を取付けるための切欠である。この切欠18fは、前記切欠18eの上部からこの切欠18eに連続して、パイプホルダ18の長手方向に設ける。この切欠18fは、この例では切欠18eの前方(散水パイプ15の先端側に対応する位置)に設けている。この切欠18fは切欠18eの後方に設けしてもよい。
【0027】
18gは散水パイプ15の抜け止めのために設けた切欠である。この切欠18gは、パイプホルダ18の散水パイプ後端側に対応する位置において、両側板部18bの下端部からパイプ保持部18dの外側に突出した頂部18hに亘ってV字形に設ける。18iは散水パイプ15のパイプホルダ18への挿入を容易にするために設けた挿入ガイド部である。この挿入ガイド部18iは、パイプホルダ18の散水パイプ後端に対応する端部に外開き状に形成されている。
【0028】
図6、図7はそれぞれ図3のC−C,D−D断面図である。図3、図6、図7に示すように、パイプホルダ18は、その天板部18aの複数箇所に開けた孔18j(図7参照)およびワッシャ28にボルト19を通し、このボルト19をベースフレーム5に設けたねじ孔5aに螺合し締結することにより、ベースフレーム5の下面に取付けられる。
【0029】
図8は接続筒20を示す横断面図である。この接続筒20は、散水パイプ15を摺動可能に内嵌する水平筒部20aの側面に突出した筒部20bを形成し、この筒部20bにホース17の接続口20cを嵌合し固定したものである。この接続口20cには、ホース17の抜け止めのため、外周に複数のテーパー形の環状突起20dが形成してある。
【0030】
図9、図10はそれぞれ接続筒20をパイプホルダ18に固定する締め付け具21を示す正面図、底面図である。これらの図に示すように、締め付け具21は、その本体部21aに締め付けボルト21bを取付け、本体部21aに締め付けバンド21cの固定側端部21dを固定し、可動側端部21eを固定側端部21cの外側に移動可能に重ねて本体部21aに挿通させたものである。そして、バンド21cの可動側端部21eに設けられた溝21fにボルト21bのねじ山を嵌め、ボルト21bを正逆に回すことにより、バンド21cがバンド21c内の締め付け対象物を締め付け方向にあるいは緩める方向に移動するものである。
【0031】
図3、図7および図3の部分拡大図である図11に示すように、接続筒20は締め付け具21によりパイプホルダ18の切欠18eを設けた部分に固定される。この接続筒20をパイプホルダ18に取付ける際には、予め締め付け具21のバンド21cを緩めておき、バンド21cを切欠18fに嵌め込んでおく。そして接続筒20の水平筒部20aの端部でバンド21cを押しのけながら水平筒部20aをパイプホルダ18の下端開口部から押し込むと共に、突出筒部20bを切欠18eに嵌めてパイプ保持部18d内に接続筒20を装着する。このように接続筒20をパイプホルダ18に装着した後、ボルト21bをバンド21cの締め付け方向に回すことにより、接続筒20をパイプホルダ18の切欠18fより下の部分18jと共にバンド21cにより締め付けてパイプホルダ18に固定することができる。
【0032】
図12(A),(B)はそれぞれ散水パイプ15を示す側面図、底面図である。この実施の形態の散水パイプ15は、散水パイプ15の本体部を構成する分割パイプ15a,15b,15cと、分割パイプ15a,15b間を接続するガイド筒22と、分割パイプ15b,15cを接続する水平筒部23aおよびこれに垂直をなす垂直筒部23bとを有する係合部23と、分割パイプ15cに嵌合されたL字形のパイプでなる把手24とで構成される。25は分割パイプ15a,15b,15cおよびこれらの分割パイプに嵌合された係合部23の水平筒部23aや把手24に設けた散水用小孔である。この小孔25は例えば直径2mm前後のものである。26は分割パイプ15aや係合部23や把手24の開口端部を閉塞する栓である。
【0033】
27は散水パイプ15の先端側に位置する分割パイプ15aに設けた通水孔である。図8の平面図に示すように、散水パイプ15をパイプホルダ18に取付けた状態において、通水孔27は、散水パイプ15の内部を接続筒20の接続口20cの内部に連通させて通水可能とする位置に設ける。
【0034】
図12(A)、(B)に示すように、ガイド筒22は、通水孔27の近傍であって、散水パイプ15の挿入方向に見て後方(把手24側)の位置に設ける。図13は図3のE−E拡大断面図である。図13に示すように、ガイド筒22は、パイプホルダ18の両側板部18b、18bに形成されたパイプ保持部18d,18d内に挿脱可能に保持される。
【0035】
図12(A)、(B)に示すように、係合部23は、分割パイプ15b,15cに両端が外嵌される(すなわち分割パイプ15b,15cより大径をなす)水平筒部23aと、この水平筒部23aに対して垂直をなす垂直筒部23bとからなる。図6および図3の部分拡大図である図14に示すように、この係合部23の垂直筒部23bの両側面がパイプホルダ18の両側板部18bの切欠18gに嵌まることにより、散水パイプ15がパイプホルダ18に対して位置決めされ抜け止めされる。すなわち、パイプホルダ18の持つ弾性により、切欠18gが係合部23の垂直筒部23bの側面に押し嵌められ、これによりパイプホルダ18に対する散水パイプ15の長手方向の移動が止められ、同時に散水パイプ15の軸心を中心とする散水パイプ15の回動も防止される。
【0036】
上述のように、本実施の形態においては、散水パイプ15がパイプホルダ18に保持された状態において、散水パイプ15に設けた通水孔27を通して散水パイプ15内部と接続筒20の接続口20cの内部とが連通するので、コック16を開くと、水タンク7からの水を、ホース17、接続筒20、通水孔27、散水パイプ15を通して散水パイプ15の小孔25から下方に流下させることができる。そして、切欠18gによる係合部23の弾性的保持力に抗して散水パイプ15をパイプホルダ18から引き抜くことにより、散水パイプ15を取外すことができる。また、反対に、散水パイプ15をパイプホルダ18に押し込むことにより、散水パイプ15を取付けることができる。
【0037】
ここで、散水パイプ15をパイプホルダ18に固定する力は、パイプホルダ18の弾性を利用しており、この力は、ホース17を接続口20から着脱するに要する力より小さい力ですむ。このため、散水パイプ15をパイプホルダ18に挿脱して散水パイプ18を着脱する際に要する力は従来より小さくなる。また、散水パイプ15を取外した状態かまたは取付けた状態のいずれの状態であってもホース17と接続筒20とは接続したままでよく、ホース17を散水パイプに抜き差しする必要が不要となる。そして散水パイプ15の着脱作業は散水パイプ15をメインフレーム1の側板部1aの開口部1bから片手により軽い力で抜き差しするというワンタッチの作業ですむ。このように着脱に要する力が軽減されることと、ワンタッチですむという相乗効果により、散水パイプ15の着脱が従来よりはるかに容易となり、かつ短時間に散水パイプ15を着脱することができる。
【0038】
また本実施の形態においては、パイプホルダ18の側板部18bに設けたパイプ保持部18d内に、散水パイプ15に設けたガイド筒22を摺動可能に保持させることにより、散水パイプ15が案内されるようにしたので、散水パイプ15がパイプホルダ18に案内されて移動し、接続筒20と散水パイプ15との芯合わせを容易に行なうことができる。
【0039】
また、散水パイプ15の抜け止め手段として、パイプホルダ18に設けた切欠18gとT字形のパイプからなる係合部23とにより構成したので、比較的容易に散水パイプ15の抜け止め手段を構成することができる。
【0040】
また本実施の形態においては、散水パイプ15の端部にL字形の把手24を設けたので、散水パイプ15を引き抜く際には、把手24に指を引っ掛けて引き抜くことができ、散水パイプ15の取外しがさらに容易となる。
【0041】
本発明を実施する場合、上記の実施の形態に以外に種々に変更した形態で実施することができる。例えば上記実施の形態においては、散水パイプ15の本体部を分割パイプ15a〜15cにより構成したが、この代わりに1本の筒体により散水パイプ15の本体部を構成し、その散水パイプ15にガイド筒22や係合部23の水平筒部23aを嵌合してもよい。また、散水パイプ15のパイプホルダ18に対する抜け止め手段も、切欠を利用するのではなく、パイプホルダ18と散水パイプ15のいずれか一方に凹部または孔を設け、他方にその凹部に嵌まる凸部を設けた構造あるいはベースフレーム5にワンタッチで抜き出しできる抜け止め片を設けるなど、他の抜け止め手段も採用できる。
【0042】
さらに、ベースフレーム5の下面にパイプホルダ18を取付けるのではなく、メインフレーム1における転圧ローラ2の上に位置する箇所にパイプホルダ18を取付ける構造も採用できる。
【符号の説明】
【0043】
1:メインフレーム、1a:側板部、1b:開口部、2:転圧ローラ、3:軸受部、4:起振装置、5:ベースフレーム、6:エンジン、7:水タンク、8:作動油タンク、10:ハンドル、11:ブラケット、12:把手、13,14:操作レバー、15:散水パイプ、15a〜15c:分割パイプ、16:コック、17:ホース、18:パイプホルダ、18a:天板部、18b:側板部、18d:パイプ保持部、18e,18f,18g:切欠、18i:挿入ガイド部、19:ボルト、20:接続筒、20a:水平筒部、20b:突出筒部、20c:接続口、21:締め付け具、22:ガイド筒、23:係合部、23a:水平筒部、23b:垂直筒部、24:把手、25:小孔、26:栓、27:通水孔、28:ワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体上に水タンクを搭載したハンドガイドローラの散水装置において、
前記機体における前記転圧ローラ上に位置する箇所に前記転圧ローラの軸方向に沿って取付けられ、下端側を開口した略逆U字形をなす断面形状を有するパイプホルダと、
前記パイプホルダ内に固定される水平筒部、およびこの水平筒部の側面に突設設され、前記水タンクにつながるホースが接続される接続口を有するT字形の接続筒と、
前記パイプホルダ内に挿脱可能に挿着されると共に、一部が前記接続筒の前記水平筒部内に挿脱可能に挿着される散水パイプと、
前記散水パイプに設けられ、前記散水パイプを前記パイプホルダに挿着した状態において、散水パイプの内部を前記接続筒の前記接続口内に連通させる通水孔とを備えたことを特徴とするハンドガイドローラの散水装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハンドガイドローラの散水装置において、
前記パイプホルダの両側板部に設けられ、前記散水パイプを抱持する形状に曲成されたパイプ保持部と、
前記散水パイプの本体部より大径をなして前記散水パイプの外周に設けられ、前記パイプ保持部内に挿脱可能に保持されるガイド筒とを備えたことを特徴とするハンドガイドローラの散水装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハンドガイドローラの散水装置において、
前記パイプホルダの両側板部に下方より切り込み状に設けた切欠と、
前記パイプ保持部に嵌まり前記散水パイプより大径をなす水平筒部、およびこの水平筒部に対して垂直をなす方向に設けられ、かつ前記切欠の幅より大きな外径の垂直筒部を有するT字形筒体からなる係合部とを備え、
前記垂直筒部の両側面が前記切欠に嵌まることにより前記散水パイプが前記パイプホルダに対して位置決め固定される構成を有することを特徴とするハンドガイドローラの散水装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載のハンドガイドローラの散水装置において、
前記散水パイプの端部にL字形に折り曲げられた把手を備えたことを特徴とするハンドガイドローラの散水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−84878(P2011−84878A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236713(P2009−236713)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(594201397)株式会社日立建機カミーノ (18)
【Fターム(参考)】