説明

ハンドスキャナの固定器具、及び、情報処理装置

【課題】ハンドスキャナの脱落を防止可能なハンドスキャナの固定器具及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】POSシステムのハンドスキャナを有する縦型スキャナは、縦型スキャナの側面に取り付けられる取付部31に連結して設けられ、開口部40により略コ字状に形成されるとともに、ハンドスキャナを引き掛ける保持部39と、保持部39の先端に互いに対向して設けられ、往復動が可能な可動部33と、開口部40をハンドスキャナのハンドルが移動することで、可動部33が移動し、前記ハンドスキャナのON/OFFを行うスキャナコントローラと、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードをレーザ光により読み取るハンドスキャナの固定器具、及び、この固定器具を用いた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗のレジカウンタに設けられたPOSシステムの情報処理装置として、POSターミナル及び縦型スキャナ等が用いられている。これらの情報処理装置は、例えば、POSターミナルがレジ台に配置されるとともに、縦型スキャナはサッカー台(流し台)に配置される。
【0003】
縦型スキャナは、光学式マーク認識によりバーコード等を読み取り可能に形成されている。縦型スキャナは、サッカー台に固定されて配置されるため、重い商品等では、縦型スキャナを用いてバーコードを読み取ることが困難なこともある。このため、POSターミナルや縦型スキャナに光学式マーク認識によりバーコード等を読み取り可能な小型のハンドスキャナを有する縦型スキャナも知られている。
【0004】
ハンドスキャナは、情報処理装置と信号ケーブル等で接続されており、オペレータが、商品のバーコードへハンドスキャナを近づけることで、レーザ光によりバーコードを読み取る。
【0005】
ハンドスキャナは、未使用時に、レジ台、サッカー台、縦型スキャナ又はレジカウンタ等に設けられた固定器具(専用の置き台)に置かれる。このようなハンドスキャナの固定器具として、例えば、穴部を有したシート状体を折り曲げることで作成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、縦型スキャナの側面に、ハンドスキャナを引き掛けることが可能な固定器具も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したハンドスキャナの固定器具及び情報処理装置では、次のような問題があった。即ち、上述の固定器具を用いた場合、ハンドスキャナの未使用時に、買い物籠等がハンドスキャナのケーブルに接触することで、固定器具からハンドスキャナが脱落する虞がある。
【0007】
ハンドスキャナは、常にレーザ光を発生させているため、ハンドスキャナの置き方や脱落によっては、カスタマの目にレーザ光が当たる虞もある。
【0008】
そこで本発明は、ハンドスキャナの脱落を防止可能なハンドスキャナの固定器具及び情報処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明のハンドスキャナの固定器具、及び、情報処理装置は次のように構成されている。
【0010】
本発明の一態様として、商品を読み取り可能な読み取り部を有するヘッド部、及び、このヘッド部よりもその幅が狭く形成されたハンドルを具備するハンドスキャナの固定器具であって、その中心側及び側面の一部に前記ハンドルの幅よりも広く形成された開口部を有し、この開口部に前記ハンドルを挿通し、前記中心側で前記ハンドスキャナを保持する板状の保持部と、この保持部の前記ハンドルが挿通する前記開口部に互いに対向して設けられ、互いに対向した対向幅が前記ハンドルの幅よりも狭く配置されるとともに、前記開口部に前記ハンドルを挿通させることで前記対向幅が前記ハンドルと同一、又は、前記ハンドルの幅よりも広い幅まで移動する可動部と、を備えることを特徴とするハンドスキャナの固定器具が提供される。
【0011】
本発明の一態様として、商品を読み取る読み取り部を有するヘッド、及び、この認識部よりもその幅が狭く形成されたハンドルを具備するハンドスキャナと、その中心側及び側面の一部に前記ハンドルの幅よりも広く形成された開口部を有し、この開口部に前記ハンドルを挿通し、前記中心側で前記ハンドスキャナを保持する板状の保持部と、この保持部の前記ハンドルが挿通する前記開口部に互いに対向して設けられ、互いに対向した対向幅が前記ハンドルの幅よりも狭く配置されるとともに、前記開口部に前記ハンドルを挿通させることで前記対向幅が前記ハンドルと同一、又は、前記ハンドルの幅よりも広い幅まで移動する可動部と、少なくとも前記保持部から前記ハンドスキャナが離脱するときの前記可動部の移動によって、前記読み取り部により前記商品を読み取り可能とする制御手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ハンドスキャナの脱落を防止するとともに、ハンドスキャナを固定器具から脱離させたときに、ハンドスキャナにより商品の読み取りを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係るPOSシステムの構成を示す斜視図。
【図2】同POSシステムに用いられる縦型スキャナ及びハンドスキャナの構成を示す斜視図。
【図3】同ハンドスキャナを保持する固定器具の構成を示す斜視図。
【図4】同固定器具の構成を示す分解斜視図。
【図5】同固定器具の要部構成を示す分解斜視図。
【図6】同縦型スキャナの構成を模式的に示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係るPOSシステム100を図1〜6を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るPOSシステム100の構成を示す斜視図、図2は同POSシステム100に用いられる縦型スキャナ2及びハンドスキャナ24の構成を示す斜視図、図3は同ハンドスキャナ24を保持する固定器具25の構成を示す斜視図、図4は同固定器具25の構成を示す分解斜視図、図5は同固定器具25の要部構成を示す分解斜視図、図6は同縦型スキャナ2の構成を模式的に示すブロック図である。なお、図1〜6中、Bはバスラインを、Kはケーブルを、Sは信号線をそれぞれ示している。
【0015】
図1に示すように、POSシステム100は、スーパ等のレジカウンタ200に設けられている。POSシステム100は、情報処理装置として、POSターミナル1と、ハンドスキャナ24を有する縦型スキャナ2と、を備えている。
【0016】
レジカウンタ200は、レジ台201と、サッカー台202とを備えている。例えば、レジカウンタ200は、レジ台201とサッカー台202とをL字状に並設させて構成されている。なお、レジカウンタ200は、L字状でなくとも良く、レジ台201及びサッカー台202の一方でも良いし、これら以外であってもよい。
【0017】
POSターミナル1は、レジ台201上に配置されている。POSターミナル1は、筐体10と、キーボード11と、オペレータ用ディスプレイ12と、カスタマ用ディスプレイ13と、プリンタ14と、ドロワ15と、を備えている。また、POSターミナル1は、サーバや縦型スキャナ2と接続する通信インターフェイスを備えている。
【0018】
図1,2に示すように、縦型スキャナ2は、サッカー台202にその左右に買い物籠を載置可能なスペースを有して固定されている。縦型スキャナ2は、固定スキャナ20と、キーボード21と、オペレータ用ディスプレイ22と、カスタマ用ディスプレイ23と、ハンドスキャナ24と、を備えている。また、縦型スキャナ2は、その側面であって、例えばオペレータ用ディスプレイ22の下方に、ハンドスキャナ24用の固定器具25が設けられている。
【0019】
固定スキャナ20は、商品に付与されたバーコードを光学的に走査して読み取る、所謂、光学式マーク認識(OMR:Optical Mark Recognition)機能を有している。固定スキャナ20は、バーコードを光学的に走査して読み取るためのレーザ光を発生させるとともに、この発生させたレーザ光をバーコードに走査させることで、バーコードに記載された情報を読み取り可能に形成されている。オペレータ用ディスプレイ22は、例えば、タッチパネル式ディスプレイが用いられる。
【0020】
ハンドスキャナ24は、光学式マーク認識機能を有している。即ち、ハンドスキャナ24は、固定スキャナ20と同様に、商品に付与されたバーコードを認識可能に形成されている。図2に示すように、ハンドスキャナ24は、ハンドル26と、ヘッド部27と、認識部(読み取り部)28と、ケーブルKと、を備えている。
【0021】
ハンドル26は、オペレータが把持可能な棒状に形成されている。また、ハンドル26は、ハンドル26の少なくとも一端側の幅がハンドル26の胴部の幅より若干狭く形成されている。
【0022】
ヘッド部27は、ハンドル26の一端側から連続して設けられている。ヘッド部27は、ハンドル26の幅よりもその幅が広く形成されている。また、ヘッド部27は、ハンドル26から屈曲又は湾曲して一体に設けられる。即ち、ハンドスキャナ24は、ヘッド部27がハンドル26に屈曲して設けられることで、ハンドスキャナ24の側面形状はへ字状に形成されている。また、ハンドスキャナ24は、ハンドル26の幅が狭い一端側に、ハンドル26の幅よりも広い幅のヘッド部27が連続して設けられている。このため、ハンドスキャナ24は、ハンドル26とヘッド部27との連続部が括れている。
【0023】
認識部28は、例えば、レーザ光の発射と、バーコードの読み取りが可能に形成されている。ケーブルKは、例えば、縦型スキャナ2に接続されている。
【0024】
固定器具25は、ハンドスキャナ24を保持(載置)可能に形成されている。具体的には、図2〜5に示すように、固定器具25は、縦型スキャナ2の側面にボルト等で取り付けられる取付部31と、取付部31に設けられ、ハンドスキャナ24を引き掛けて保持する引掛部32と、引掛部32に設けられた可動部33と、可動部33の動作を検知する検知手段34と、を備えている。
【0025】
取付部31は、方形状の取付ベース36と、取付ベース36に設けられたボルト穴37と、を備えている。
引掛部32は、取付ベース36の下面側に設けられている。引掛部32は、取付部31に連続して接続された連結部材38と、この連結部材38に接続された保持部39と、を備えている。
【0026】
連結部材38は、取付ベース36の下面から突出して設けられている。具体的には、連結部材38は、固定器具25が縦型スキャナ2に固定された場合に、鉛直方向に突出するように、取付ベース36に延設されている。
【0027】
保持部39は、連結部材38の端側であって、連結部材38の延設方向に直交する方向に屈曲して設けられている。具体的には、保持部39は、固定器具25が縦型スキャナ2に固定された場合に、縦型スキャナ2の側面から離間する方向に延出して設けられる。
【0028】
保持部39は、その中心側と中心側と連続する側面の一部とが開口する開口部40を有する板状に設けられている。例えば、図3に示すように、保持部39は、開口部40により略コ字状に形成されている。
【0029】
なお、開口部40は、例えば、ハンドスキャナ24のハンドル26、又は、ハンドル26とヘッド部27との連続部にある括れが挿通可能に形成されている。なお、図3の二点鎖線は、ハンドル26の断面を示しており、図3に示すように、開口部40は、ハンドル26、又は、連続部の括れが挿通できる開口面積を有している。
【0030】
言い換えると、保持部39は、連結部材38の延設方向に直交する方向に設けられ、所定の幅を有する第1保持部41と、この第1保持部41の端側の側面に設けられ、第1保持部41と同一方向に突出し、互いに対向する2つの第2保持部42と、を有している。即ち、保持部39は、第1保持部41と第2保持部42とが一体に設けられることで構成され、第1保持部41の側面から、互いに対向する第2保持部42間の空間とにより開口部40が形成される。このため、第2保持部42間の幅は、少なくとも、ハンドスキャナ24のハンドル26が通過可能な幅に形成されている。また、開口部40であって、第1保持部41の側面から後述する可動部33までの距離は、少なくともハンドスキャナ24の厚さよりも長く形成されている。即ち、開口部40は、ハンドスキャナ24のハンドル26を配置可能な広さの空間に形成されている。
【0031】
また、保持部39は、その上面、即ち、第1保持部41及び第2保持部42の上面に保持面43を有している。この保持面43は、ハンドスキャナ24を開口部40に挿通させてフリー状態とし、重力により重力方向にハンドスキャナ24が移動した際に、ヘッド部27を保持する面である。なお、保持面43の形状は、ヘッド部27の形状により適宜設定可能である。
【0032】
図4に示すように、保持部39は、その内部に空洞空間部を有するとともに、上下に分離可能に形成されている。即ち、保持部39は、保持面43を有する上部材45と、上部材45の下方に組み付く下部材46と、上部材45と下部材46とを接続するビス47と、を備えている。
【0033】
上部材45は、例えば、内部に雌ネジ部を有している。上部材45は、例えば、取付部31と連結部材38と、樹脂材料等により一体成型されている。下部材46は、例えば、ビス47のねじ部を挿通させるネジ穴48を有している。また、上部材45及び下部材46は、第2保持部42の先端側の内面に、孔部49を有している。
【0034】
なお、保持部39の第1保持部41と第2保持部42とは連続して設けられている。このため、上部材45及び下部材46は、第1保持部41及び第2保持部42の上側及び下側をそれぞれ形成している。
【0035】
可動部33は、第2保持部42の先端側であって、互いに対向する面(内面42a)の孔部49から突出して設けられている。可動部33は、第2保持部42の内面42aから第2保持部42の内部側へ移動し、内面42aの面位置となるように移動可能に形成されている。即ち、図3の矢印に示すように、可動部33は、第2保持部42の内面42aから突出及び内面42aとの面位置間で往復動(揺動)可能に形成されている。
【0036】
可動部33は、上部材45と下部材46との間に狭持されて設けられている。具体的には、可動部33は、ハンドル26に当接するとともに、ハンドル26表面を摺動可能に形成された当接部材51と、この当接部材51に設けられた軸体52と、この軸体52に設けられ、所定のバネ定数を有する弾性部材53と、を備えている。また、可動部33は、当接部材51に設けられた弾性部材53の座面を形成する第1座部54と、第1座部54と弾性部材53を介して対向し、弾性部材53の座面を形成する第2座部55と、を備えている。
【0037】
当接部材51は、孔部49から突出して設けられ、半円板状に形成されている。弾性部材53は、例えばコイルばねが用いられる。コイルばね53は、その中心空間が軸体52に挿通されて設けられる。なお、コイルばね53が伸縮することで、当接部材51が往復動する。
【0038】
第1座部54は、コイルばね53の座を形成するとともに、コイルばね53の復元力を当接部材51に伝達させる。第2座部55は、その中心部に開口55aを有している。第2座部55は、当接部材51が押圧されて、コイルばね53が圧縮した際に、開口55aに軸体52を挿通させるとともに、開口55aの周囲でコイルばね53を受ける座が形成されている。
【0039】
また、可動部33は、可動部33間の間隔、即ち、当接部材51の突出する先端間の間隔が、ハンドル26とヘッド部27との連続部に設けられた括れよりも狭く形成されている。可動部33は、当接部材51が内面42a側へ移動することで、当接部材51の先端間の間隔がハンドル26の幅よりも広く形成されている。即ち、当接部材51は、最大量移動すると、第2保持部42の内面42aと面一となる。このため、当接部材51が最大量移動すると、第2保持部42間の間隔(開口部40の幅)となる。
【0040】
検知手段34は、例えば、押圧されることで、ON/OFF(導通/非導通)が切り替わるON/OFFスイッチである。例えば、検知手段34は、当接部材51の軸体52により押圧させる押圧部57と、この押圧部57に信号線Sを介して接続された検出部58と、を備えている。また、検知手段34は、縦型スキャナ2に設けられたスイッチコントローラ74に接続されている。即ち、検知手段34は、検出部58とスイッチコントローラ74とが信号線S等により接続されている。
【0041】
このような検知手段34は、押圧部57が押圧された情報を検出部58が検出し、この検出した情報を、信号線Sを介してスイッチコントローラ74に送信可能に形成されている。
【0042】
次に、図6の縦型スキャナ2のブロック図を用いて、縦型スキャナ2の構成を説明する。
図6に示すように、縦型スキャナ2は、制御の中枢としてCPUやチップセットで構成された制御部(制御手段)70を搭載している。この制御部70は、記憶部71、スキャナコントローラ72、通信インターフェイス(I/F)73、スイッチコントローラ74、操作手段コントローラ75、ディスプレイコントローラ76がアドレスバスやデータバス等のバスラインBを介して接続されている。
【0043】
チップセットは、データ受渡しの管理等の情報流通を制御し、CPUとバスラインBとを接続するために用いられるノースブリッジと、各種コントローラ等の機能を有するサウスブリッジとを備えている。
【0044】
記憶部71は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、BIOS−ROM(Basic Input/Output System-Read Only Memory)、ハードディスク(HDD)等により構成されている。例えば、ROMは、制御部70の制御動作を実行させるプログラム等を予め格納している。RAMは、制御部70が演算処理に使用する各種のメモリエリアを形成する。BIOS−ROMには、各ハードウェアを初期化する際に実行されるテストプログラムであるPOST(Power-On Self Test)、BIOSドライバ、VGA(Video Graphics Array)ドライバ等が記録されている。
【0045】
スキャナコントローラ72は、固定スキャナ20及びハンドスキャナ24に、信号線SやケーブルK等により接続されている。スキャナコントローラ72は、固定スキャナ20及びハンドスキャナ24のレーザ光の発生・停止が可能に形成されている。即ち、スキャナコントローラ72は、制御部70からの指示に基いて、各スキャナ20,24のON/OFFが可能に形成されている。スキャナコントローラ72は、固定スキャナ20及びハンドスキャナ24により読み取ったバーコードの情報を受信可能に形成されている。
【0046】
通信I/F73は、例えば、POSターミナル1の通信I/Fや、サーバシステムと接続可能に形成されている。
【0047】
スイッチコントローラ74は、検出部58により検出された押圧部57の動作(操作)情報を受信可能に形成されている。また、スイッチコントローラ74は、受信した押圧部57の動作の情報を、スキャナコントローラ72に送信可能に形成されている。例えば、スイッチコントローラ74は、検知手段34から押圧部57の操作情報があった場合には、スキャナコントローラ72にこの情報を送信する。スキャナコントローラ72は、この情報の受信毎に、ハンドスキャナ24のON/OFFを切換可能に形成されている。
【0048】
操作手段コントローラ75は、操作手段であるテンキー等のキーボード21と、オペレータ用ディスプレイ22と、に接続されている。操作手段コントローラ75は、キーボード21及びディスプレイ22から入力された情報を受信するとともに、ディスプレイコントローラ76に送信可能に形成されている。
【0049】
ディスプレイコントローラ76は、オペレータ用ディスプレイ22及びカスタマ用ディスプレイ23に接続されている。ディスプレイコントローラ76は、操作手段コントローラ75から受信した情報、及び、固定スキャナ20又はハンドスキャナ24で読み取ったバーコードの情報を各ディスプレイ22、23に表示可能に形成されている。即ち、ディスプレイコントローラ76は、各ディスプレイ22、23に対するメッセージ等の表示を行うとともに、操作手段コントローラ75に接続された各操作手段に応じた入力データの取り込み処理を行う。
【0050】
なお、制御部70は、主要な機能として、少なくともハンドスキャナ24が固定器具25の引掛部32保持された状態から離脱した状態で、ハンドスキャナ24の認識部28によってバーコードの読み取りを可能とする制御機能を有している。具体的には、制御部70は、スキャナコントローラ72によりハンドスキャナ24のON/OFFの切換をさせる制御機能を有している。
【0051】
この制御機能は、ハンドスキャナ24を固定器具25の引掛部32に保持させた場合にハンドスキャナ24をOFFとし、ハンドスキャナ24が引掛部32から脱離した場合にハンドスキャナ24をONとする機能である。
【0052】
即ち、検知手段34がOFFの場合には、スイッチコントローラ74で検出した情報に基いて、スキャナコントローラ72がハンドスキャナ24をOFFにする。検知手段34がONの場合には、スイッチコントローラ74で検出したこの情報に基いて、スキャナコントローラ72がハンドスキャナ24をONにする。
【0053】
このように構成されたPOSシステム100のハンドスキャナ24の使用について、以下説明する。
基本的動作として、バーコードの読み取り時においては、固定器具25からハンドスキャナ24を脱離させて、読み取りを行うバーコードに認識部28を近づけて、バーコードの読み取りを行う。また、バーコードの読み取り終了後、即ち、バーコードの読み取り時以外は、ハンドスキャナ24を固定器具25の引掛部32に引き掛けることで、ハンドスキャナ24を保持部39に保持させる。
【0054】
次に、ハンドスキャナ24を用いたバーコードの読み取りについて説明する。
先ず、バーコードの読み取りを行う際に、固定器具25の開口部40からハンドスキャナ24を脱離させる。このとき、ハンドスキャナ24は、第2保持部42間及び可動部33間を通過(移動)する。互いに対向する可動部33の間隔は、ハンドル26とヘッド部27との連続部の括れよりも狭く形成されている。
【0055】
このため、ハンドル26とヘッド部27との連続部又はハンドル26と、可動部33の当接部材51とが接触(当接)する。ここで、当接部材51は、半円板状に形成されているため、ハンドル26が当接する当接部材51の側面は、曲面形状である。このため、ハンドル26により当接部材51に印加される離脱方向の力は、半円板状の当接部材51に当接することで、ハンドル26の離脱方向だけでなく、コイルばね53を圧縮する圧縮方向にも力が加わる。
【0056】
このコイルばね53の圧縮により、当接部材51は、第2保持部42の内面42a側に移動し、ハンドル26の外面が、当接部材51の表面を摺動する。これにより、当接部材51は第2保持部42の内面42a側へと移動する。当接部材51の移動により、可動部33間の間隔が、通過するハンドル26の幅と同一幅となる。これにより、ハンドスキャナ24が固定器具25から脱離する。
【0057】
可動部33が移動すると、当接部材51と軸体52とがあわせて移動する。これにより、軸体52は、押圧部57を操作する。押圧部57が操作されると、検出部58がこれを検出する。スイッチコントローラ74は、この検出情報をスキャナコントローラ72に送信する。スキャナコントローラ72は、この検出情報から、ハンドスキャナ24のON/OFFの切換を行う。
【0058】
固定器具25に保持されたハンドスキャナ24はOFF状態であるため、固定器具25からハンドスキャナ24を脱離させることで、ハンドスキャナ24がON状態となる。
【0059】
ハンドスキャナ24がONとなることで、ハンドスキャナ24は、認識部28からレーザ光を発射する。オペレータは、ハンドスキャナ24から発射されるレーザ光をバーコードに照らすことで、バーコードが光学的に走査され、バーコードの情報を読み込む。
【0060】
制御部70は、読み込まれた情報を、通信I/F73に接続されたサーバ等に記憶された商品情報とバーコードの情報とを比較し、同一情報を検索する。バーコードの情報と同一の商品情報を検索後、制御部70は、ディスプレイコントローラ76にこの情報を送信し、各ディスプレイ22、23に表示させる。
【0061】
次に、ハンドスキャナ24の保持について説明する。
バーコードの読み取り終了後、ハンドスキャナ24のハンドル26、可能であればハンドル26とヘッド部27の連続部の括れを開口部40に挿入する。このとき、ハンドル26の幅は、当接部材51(可動部33)間の間隔よりも広い。このため、ハンドル26の外面が、当接部材51に当接する。
【0062】
ハンドル26の挿入方向の力は、半円板状の当接部材51に当接することで、ハンドル26の挿入方向だけでなく、コイルばね53を圧縮する圧縮方向にも力が加わる。これにより、当接部材51は、第2保持部42の内面42a側に移動し、ハンドル26の外面が、当接部材51の表面を摺動する。
【0063】
このため、ハンドル26の幅と可動部33間の間隔とが略同一となり、ハンドル26が開口部40へ挿入可能となり、図3の二点鎖線に示すように、ハンドル26が第1保持部41及び第2保持部42に近接する。
【0064】
この状態でオペレータがハンドル26を放すと、ハンドスキャナ24は重力方向に落下するが、ヘッド部27の下方の外面が、第1保持部41及び第2保持部42の保持面43に当接する。これにより、ハンドスキャナ24は保持部39に保持されることとなる。
【0065】
また、可動部33は、ハンドル26が干渉しないため、コイルばね53の復元力により、第2保持部42の内面42aから突出する。これにより、ハンドスキャナ24が保持部39から脱落することがない。
【0066】
このように、ハンドスキャナ24を固定器具25に固定すると、ハンドル26の干渉により、可動部33(当接部材51)が移動する。当接部材51の移動により、軸体52も合わせて移動する。軸体52は、押圧部57を操作し、検出部58がこれを検出する。スイッチコントローラ74は、この検出情報をスキャナコントローラ72に送信する。スキャナコントローラ72は、この検出情報から、ハンドスキャナ24のON/OFFの切換を行う。
【0067】
即ち、固定器具25から離脱していたハンドスキャナ24はON状態であるため、固定器具25にハンドスキャナ24を保持させることで、ハンドスキャナ24がOFF状態となる。
【0068】
このように構成されたPOSシステム100によれば、ハンドスキャナ24は、可動する当接部材51により開口部40の幅が可変し、保持部39に保持自在、且つ、脱離防止が可能となる。即ち、コイルばね53の復元力により、当接部材51は常時対向する当接部材51側に向って圧力が印加される。
【0069】
即ち、当接部材51は、弾性部材(コイルばね)53により互いに対向する方向へ所定の力で付勢されている。このため、ハンドスキャナ24が保持部39から脱離方向へ移動しても、当接部材51がハンドル26に当接するため、ハンドスキャナ24が保持部39から脱離することを防止できる。なお、コイルばね53の復元力(ばねの弾性定数)は、オペレータがハンドスキャナ24を移動させない限り、可動部33からハンドスキャナ24が脱離しない程度の復元力を有していればよい。
【0070】
このため、例えば、商品登録時や、レジカウンタ200にカスタマが買い物籠を載置する際に、ハンドスキャナ24に設けられたケーブルKに触れることで、ハンドスキャナ24が移動しても可動部33により、ハンドスキャナ24が固定器具25から脱落することを防止することが可能となる。
【0071】
また縦型スキャナ2の側面に、固定器具25を設けることで、ハンドスキャナ24を容易に保持可能となり、オペレータがハンドスキャナ24と把持して固定器具25と着脱させることが容易となる。また、ハンドスキャナ24の固定器具25は、ボルト等により、縦型スキャナ2に配置可能であるため、取付が容易である。また、オペレータがハンドスキャナ24を取りやすい位置に配置することも可能となる。
【0072】
さらに、既存の縦型スキャナ2に固定器具25を設けることも可能である。このため、汎用性も高い。既存の縦型スキャナ2を使用した場合には、ハンドスキャナ24のON/OFFを固定器具25への着脱で行うことが難しい場合もあるが、このような場合には、ハンドスキャナ24の保持のみが可能な固定器具25として使用すればよい。このときには、検知手段34を構成から抜かせば良い。
【0073】
また、ハンドスキャナ24は、固定器具25に保持させるとOFFとなり、レーザ光が発射されない(発生しない)構成である。このため、固定器具25にハンドスキャナ24を保持させた際に、ハンドスキャナ24がずれる等によりレーザ光がカスタマの目等に当たることもない。これにより、カスタマを不快にさせる虞がない。
【0074】
さらに、固定器具25からハンドスキャナ24を離脱させることで、レーザ光が発射され、バーコードを読み取ることが可能となる。即ち、バーコードの読み取り時のみレーザ光を発射することが可能となる。これにより、ハンドスキャナ24を固定器具から脱離させたときに、ハンドスキャナ24の認識部28によりバーコードの読み取りを確実に行うことできるだけでなく、無駄なレーザ光の発射を防止し、省エネ効果も高い。
【0075】
上述したように本実施の形態に係るPOSシステム100によれば、開口部40をハンドスキャナ24のハンドル26が移動することで、可動部33が移動し、スキャナコントローラ72がハンドスキャナ24のON/OFFを行う。このため、固定器具25にハンドスキャナ24を配置させるだけでハンドスキャナ24のON/OFFが可能となる。また、ハンドスキャナ24を保持部39に保持させれば、可動部33によりハンドスキャナ24が脱落することを防止することが可能となる。
【0076】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、ハンドスキャナ24及び固定器具25は、縦型スキャナ2に設ける構成としたが、これに限定されない。例えば、POSターミナル1に用いる構成であってもよい。また、POSターミナル1及び縦型スキャナ2以外の、ハンドスキャナを用いる情報処理装置に用いても良い。
【0077】
さらに、上述した例では、可動部33は、当接部材51と、当接部材51に設けられた軸体52と、軸体52に設けられる弾性部材であるコイルばね53と、を組み合わせた構成としたが、これに限定されない。例えば、弾性部材53は、コイルばねでなく、復元力を有する樹脂材料であってもよい。また、当接部材51を弾性部材で形成し、弾性部材53の機能を有する当接部材としてもよい。
【0078】
また、固定器具25は、ハンドスキャナ24のハンドル26の寸法や形状によって、開口部40の広さ、及び、当接部材51の形状や寸法を適宜変更してもよい。開口部40の広さ、及び、当接部材51の形状・寸法を変更することで、固定器具25は、種種多様なハンドスキャナ24に適用できる。
【0079】
さらに、検知手段34は、押圧部57の形状を可動部33の形状に合わせて適宜変更可能である。また、検知手段34は、上述した構成でなくてもよく、マイクロSWやボタン式SWであっても、近接センサであってもよい。即ち、可動部33の移動を検知可能であればよい。
【0080】
また、上述した例では、認識部28は、レーザ光を発射するとしたが、これに限定されない。認識部として、レーザ光でなく、例えばCCDカメラによって商品を読み取り可能としてもよく、また、バーコードでなく二次元コードを読み取り可能であってもよい。
【0081】
また、上述した例では、制御部70は、主要な機能として、ハンドスキャナ24のON/OFFを行う制御機能を有しているとしたが、これに限定されない。例えば、認識部にCCDカメラを用いた場合には、レーザ光がカスタマ等に照射される恐れがない。このため、少なくともハンドスキャナ24が固定器具25の引掛部32に保持された状態から離脱した状態で、認識部28によって商品の読み取りが可能であれば、ハンドスキャナ24の使用条件によって、固定器具25に保持された状態でのハンドスキャナ24は、固定器具25から離脱された状態と、その機能の一部が変更される等、適宜設定可能である。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0082】
1…POSターミナル(情報処理装置)、2…縦型スキャナ(情報処理装置)、10…筐体、11…キーボード、12…オペレータ用ディスプレイ、13…カスタマ用ディスプレイ、14…プリンタ、15…ドロワ、20…固定スキャナ、21…キーボード、22…オペレータ用ディスプレイ、23…カスタマ用ディスプレイ、24…ハンドスキャナ、25…固定器具、26…ハンドル、27…ヘッド部、28…認識部(読み取り部)、31…取付部、32…引掛部、33…可動部、34…検知手段、36…取付ベース、37…ボルト穴、38…連結部材、39…保持部、40…開口部、41…第1保持部、42…第2保持部、42a…内面、43…保持面、45…上部材、46…下部材、47…ビス、48…ネジ穴、49…孔部、51…当接部材、52…軸体、53…弾性部材、54…第1座部、55…第2座部、55a…開口、57…押圧部、58…検出部、70…制御部(制御手段)、71…記憶部、72…スキャナコントローラ、73…通信インターフェイス、74…スイッチコントローラ、75…操作手段コントローラ、76…ディスプレイコントローラ、100…POSシステム、200…レジカウンタ、201…レジ台、202…サッカー台、B…バスライン、K…ケーブル、S…信号線。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2002−140661号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を読み取る読み取り部を有するヘッド部、及び、このヘッド部よりもその幅が狭く形成されたハンドルを具備するハンドスキャナの固定器具であって、
その中心側及び側面の一部に前記ハンドルの幅よりも広く形成された開口部を有し、この開口部に前記ハンドルを挿通し、前記中心側で前記ハンドスキャナを保持する保持部と、
この保持部の前記ハンドルが挿通する前記開口部に互いに対向して設けられ、互いに対向した対向幅が前記ハンドルの幅よりも狭く配置されるとともに、前記開口部に前記ハンドルを挿通させることで前記対向幅が前記ハンドルと同一、又は、前記ハンドルの幅よりも広い幅まで移動する可動部と、
を備えることを特徴とするハンドスキャナの固定器具。
【請求項2】
前記可動部は、弾性部材により前記互いに対向する方向へ所定の力で付勢されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドスキャナの固定器具。
【請求項3】
商品を読み取る読み取り部を有するヘッド、及び、この認識部よりもその幅が狭く形成されたハンドルを具備するハンドスキャナと、
その中心側及び側面の一部に前記ハンドルの幅よりも広く形成された開口部を有し、この開口部に前記ハンドルを挿通し、前記中心側で前記ハンドスキャナを保持する板状の保持部と、
この保持部の前記ハンドルが挿通する前記開口部に互いに対向して設けられ、互いに対向した対向幅が前記ハンドルの幅よりも狭く配置されるとともに、前記開口部に前記ハンドルを挿通させることで前記対向幅が前記ハンドルと同一、又は、前記ハンドルの幅よりも広い幅まで移動する可動部と、
少なくとも前記保持部から前記ハンドスキャナが離脱するときの前記可動部の移動によって、前記読み取り部により前記商品を読み取り可能とする制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
前記可動部は、弾性部材により前記互いに対向する方向へ所定の力で付勢されていることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
縦型スキャナをさらに具備し、
前記保持部は前記縦型スキャナに設けられることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載された情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−244428(P2010−244428A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94317(P2009−94317)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】