説明

ハンドドラフト型飲料液供給装置

【課題】 本発明は、炭酸水から炭酸を極力失わせることなく、複数の飲料液を十分に混合させた状態で供給することができるハンドドラフト型飲料液供給装置を提供すること。
【解決手段】 水平部と垂直部とよりなる把持部1が、飲料液が流通する複数本の流路12を有し、任意に選択された流路12に流れる飲料液のみを混ぜ合わせて吐出するハンドドラフト型飲料液供給装置Aであって、 流路12に設けられた弁の開閉を行う飲料液選択部11と、飲料液選択部11により選択された水、炭酸水、特殊液等の飲料液を混ぜ合わせて、吐出する混合ドーム2と、を備えているハンドドラフト型飲料液供給装置A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は任意に選択された複数種の飲料液を、混ぜ合わせた状態で供給することができる飲料液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、ビヤホールやレストラン等の飲食店では、飲料液を提供する際に、飲料液供給装置を用いることが一般的となっている。
現在、普及している飲料液供給装置は、幾種類かの飲料液から選択して混合した飲料液を供給することができる。
すなわち飲料液供給装置には飲料液が入ったタンクが複数個接続されており、飲料液供給装置に設けられた切り替えボタンの1つを押すことで、その切り替えボタンに対応した飲料液の流路に設けられた弁のみが開放され、選ばれた飲料液が吐出される仕組みになっている。
そのため、利用者は、飲料液が入ったタンクから目的とする混合飲料液を自由に選択して吐出させることができる。
【0003】
最近では、清涼飲料水、特に、コーラ等に代表される炭酸飲料の人気が高いことから、炭酸水をベースに他の飲料液を混ぜて供給する飲料液供給装置が広く使われている。
飲料液供給装置には据え置き形式のもの以外に、吐出する飲料液の種類を選択操作するための操作部と、飲料液を吐出する吐出部とが一体となり、手で持ち運び可能な程度に小型化されたものも存在する。
後者の飲料液供給装置は、一般にハンドドラフト型飲料液供給装置といわれている。
【0004】
店員がハンドドラフト型飲料液供給装置を用いて飲料液を客に提供する場合、店員はハンドドラフト型飲料液供給装置を操作して、飲料液をその場で容器に供給すれば良い。
すなわち、ハンドドラフト型飲料液供給装置が用いられることにより、店員は従来のように飲料液の提供の度に据え置き形式の飲料液供給装置が置かれた場所に戻る必要がなくなる。
その結果、移動する距離、いわゆる歩線が減り、店員は効率的に客に対応することができるようになる。
そのため現在、数多くの客を収容するホール等を対象とする場合には、ハンドドラフト型飲料液供給装置が多く使用されている(特許文献1参照)。
【0005】
このハンドドラフト型飲料液供給装置は、飲料液が充填された飲料液タンクと、店員(使用者)が持つ把持部とがフレキシブル管を介して連結されたものである。
そして、飲料液はフレキシブル管を通って、把持部内に形成された流路に流入し、その後、流路の吐出口に取り付けられたノズルから吐出されてコップ等の容器内へと供給される。
【特許文献1】特開2002−80094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近、特に若者の間では、炭酸の強い清涼飲料水が好まれる傾向がある。
しかしながら、上記文献に示した従来のハンドドラフト型飲料液供給装置においては、炭酸水は大きな圧力が加えられた状態で吐出されるので、炭酸水の吐出時における流速は非常に大きい。
そのためいきなり大気中に吐出された炭酸水はノズルと衝突し、突然強い衝撃力を受ける。
その結果、炭酸水からは一挙に大量の炭酸が失われる。
従って、従来のハンドドラフト型飲料液供給装置には、必ずしも十分な炭酸を含有した炭酸水を供給できないという問題がある。
また、このハンドドラフト型飲料液供給装置は、飲料液を吐出部の中央から吐出するため、二種類以上の飲料液を同時に吐出する場合に、十分に混合された飲料液を供給することができないという欠点もある。
【0007】
本発明は以上の課題を解決すべく開発されたものである。
すなわち、炭酸水から炭酸を極力失わせることなく、複数の飲料液を十分に混合させた状態で供給することができるハンドドラフト型飲料液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、以上のような課題背景をもとに鋭意研究を重ねた結果、炭酸水と該炭酸水以外の飲料液の流路の配設関係を特別なものにすることによって、上記の課題を解決できることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0009】
すなわち本発明は、水平部と垂直部とよりなる把持部が、飲料液が流通する複数本の流路を有し、任意に選択された流路に流れる飲料液のみを混ぜ合わせて吐出するハンドドラフト型飲料液供給装置であって、流路に設けられた弁の開閉を行う飲料液選択部と、飲料液選択部により選択された水、炭酸水、特殊液等の飲料液を混ぜ合わせて、吐出する混合ドームと、を備えているハンドドラフト型飲料液供給装置に存する。
【0010】
また本発明は、前記流路が、水を流すための水流路と、炭酸水を流すための炭酸水流路と、特殊液を流すための特殊液流路と、を含み、特殊液流路が炭酸水流路の外方に形成されている ハンドドラフト型飲料液供給装置に存する。
なお、本発明において「特殊液」とは水及び炭酸水以外の全ての飲料液を指す総称である。
例えば、特殊液としてビール、焼酎、清涼飲料水の原液等が挙げられる。
【0011】
また本発明は、炭酸水流路内に水流路を有する中空円柱部が挿入されているハンドドラフト型飲料液供給装置に存する。
【0012】
また本発明は、炭酸水流路に炭酸水減速手段が設けられているハンドドラフト型飲料液供給装置に存する。
【0013】
また本発明は、炭酸水減速手段が、中空円柱部の外周面に形成された微細な凹凸部であるハンドドラフト型飲料液供給装置に存する。
【0014】
また本発明は、前記水流路を有する突出通路体が中空円柱部の先端に取り付けられており、水流路の吐出口が放射状に分岐しているハンドドラフト型飲料液供給装置に存する。
【0015】
また本発明は、前記中空円柱部が螺合により把持部に取り付けられているハンドドラフト型飲料液供給装置に存する。
【0016】
また本発明は、飲料液選択部が流路の開閉状態を制御するための弁と、各弁に接合される連結棒と、各連結棒の先端に取り付けられる切り替えボタンと、を備えるハンドドラフト型飲料液供給装置に存する。
【0017】
また本発明は、飲料液選択部が弁押しプレートをさらに備えるハンドドラフト型飲料液供給装置に存する。
【0018】
なお、本発明の目的に添ったものであれば上記の発明を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のハンドドラフト型飲料液供給装置は、水を流すための水流路と、炭酸水を流すための炭酸水流路と、特殊液を流すための特殊液流路と、を含み、特殊液流路が炭酸水流路の外方に形成されている。
そのため、特殊液と炭酸水との混合状態が極めて良好となる。
【0020】
炭酸水が流れる炭酸水流路に炭酸水減速手段が設けられているので、吐出時における炭酸水の流速を十分に遅くすることができる。
その結果、炭酸水から過度の炭酸を奪うことなく、炭酸水をコップやグラス等の容器に供給することができる。
【0021】
炭酸水減速手段が、中空円柱部の外周面に形成された微細な凹凸部であった場合、簡単な構造で、且つ炭酸水を効率よく減速させることができる。
【0022】
水流路を有する突出通路体が中空円柱部の先端に取り付けられ、水流路の吐出口が放射状に分岐している場合、特殊液流路の吐出口を洗浄することができる。
【0023】
中空円柱部が螺合により把持部に取り付けられている場合、中空円柱部の先端に形成された突出通路体と、把持部の垂直部との間に形成される間隙の大きさを容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態のハンドドラフト型飲料液供給装置を示す説明図である。
図1に示すように、本実施形態のハンドドラフト型飲料液供給装置Aは、使用者が手で掴む部分である把持部1を備えている。
また、ハンドドラフト型飲料液供給装置Aは、把持部1内に形成された複数の流路から同時に吐出された飲料液を、混ぜ合わせながら吐出するための混合ドーム2を備えている。
更に、把持部1は各流路に設けられた弁の開閉を制御する飲料液選択部11を備える。
また、ハンドドラフト型飲料液供給装置Aは、それぞれの流路に接続されるフレキシブル管と、飲料液タンク5に接続される連結管Rと、を連結するための連結部4と、を備える。
【0025】
流路に接続された複数本のフレキシブル管は、束ねられた状態でカバー3に覆われている。
飲料液タンク5に充填される飲料液の種類は特に限定されるものではなく、水、炭酸水、ビール、焼酎、清涼飲料水の原液等が充填される。
飲料液タンク5は、圧力源6と連結しており、飲料液タンク5内の飲料液は圧力源6の中に充填されている炭酸ガスによって、連結管Rを介して把持部内の流路12へ圧送される。
【0026】
図2は、把持部の拡大断面図である。
図2に示すように、把持部1はL字状に形成されており、水平部と垂直部とを有する。
把持部1には複数本の流路12が水平部及び垂直部に沿ってL字状に形成されている。
各流路12は把持部1の形状に沿ってL字状に形成されているため、それらの吐出口は下方に向いており、把持部1を握った状態のまま飲料液をコップやグラス等の容器へ容易に供給することができる。
なお、本実施形態のハンドドラフト型飲料液供給装置Aの場合、流路12は把持部1の材料を貫通して形成されている。
【0027】
垂直部の先端には流路12から吐出された飲料液を混合させるための混合ドーム2が取り付けられている。
混合ドーム2は中空の先細りドーム形状で、垂直部の先端に図示しないO−リング等を介して取り付けられる。
【0028】
本実施形態のハンドドラフト型飲料液供給装置Aにおいて、流路12はそこを流れる飲料液の種類によって三種類に分類される。
一種類目が炭酸水が流れる炭酸水流路12A、二種類目が水が流れる水流路12B、三種類目が炭酸及び水以外の飲料液(以下、「特殊液」という)が流れる特殊液流路12Cである。
【0029】
また、このハンドドラフト型飲料液供給装置Aにおいては、炭酸水流路12A及び水流路12Bはそれぞれ一本ずつしか形成されないが、特殊液流路12Cは複数本(図面では4本)形成される。
図3は、図2のA−A断面図である。 炭酸水流路12Aの吐出口12A1は、把持部1の先端面の中央に形成されている。
すなわち、炭酸水流路12Aは水平部及び垂直部において中央に形成され、垂直部の下面にある吐出口12A1から大気に開放されている。
また、特殊液流路12Cの吐出口12C1は、把持部の先端面で炭酸水流路12Aの周囲に等間隔で形成されている。
すなわち、特殊液流路12Cは、水平部及び垂直部において炭酸水流路12Aの周囲に等間隔で形成され、垂直部の下面にある吐出口12C1から大気に開放されている。
【0030】
垂直部における炭酸水流路12Aの管径は、他の流路の管径よりも太く形成されており、炭酸水流路12Aの内側には中空円柱部13(この中には水通路12Bが形成されている)が挿入されている。
この中空円柱部13は、水流路12Bを形成する把持部1内の壁部に螺合により取り付けられ挿入配置される。
中空円柱部13が炭酸水流路12Aの垂直部に挿入されることにより、垂直部における炭酸水流路12Aの形状は環状流路(詳しくは、中空円柱部13の外周面と炭酸水流路12Aの内周面とで形成される断面環状の隙間)となる。
【0031】
中空円柱部13が水流路部に螺合により取り付けられていることから、そのねじ込み度合いを変えることにより、後述する突出通路体13Aと垂直部との間に形成される間隙Sの大きさを調整することができる。
また、中空円柱部13を取り外して突出通路体13Aや垂直部の下面のクリーニングが容易に行える利点もある。
【0032】
ところで、炭酸水流路12Aには炭酸水の流速を低下させるための炭酸水減速手段が設けられている。
炭酸水減速手段は、中空円柱部13の外周面に微細な凹凸部13Bを付与してなる。
飲料液タンク5から送られてくる炭酸水は、狭い断面環状の流路を流れる間に微細凹凸部13Bに接触して移動するため、その抵抗力により流速が急激に低下する。
【0033】
中空円柱部13の下端には,截頭円錐形状の突出通路体13Aが、一体に設けられている。
この突出通路体13Aには水流路12Bが放射状に延長形成されている。
また、この突出通路体13Aと垂直部の下端との間には間隙Sが形成される。
そして、突出通路体13Aの外径は、炭酸水流路12Aの吐出口12A1の内径よりも大きい。
そのため、炭酸水流路12Aの吐出口12A1から吐出された炭酸水は、一旦、突出通路体13Aに衝突し、その後間隙Sから外方向に放射状に吹き出す。
【0034】
図4は、飲料液選択部の拡大断面図である。
飲料液選択部11は、把持部1内に形成された流路12に設けられた弁を、選択的に開閉するものである。
本実施形態の飲料液選択部11は封止弁11Aと、連結棒11Bと、切り替えボタン11Cと、支持部材11Dと、を備える。
【0035】
封止弁11Aは、連結棒11Bに設けられており、該連結棒11Bは図示しない付勢手段によって上向きの付勢力が加えられている。
このことにより、封止弁11Aは、通常時、上方に持ち上げられ、流路12を塞いでいる。
なおこのとき、連結棒11Bの先端部は把持部1の上面から突出している。
【0036】
切り替えボタン11Cはこれに接する連結棒11Bを押し下げ易くするためのもので、押し盤11C1と補助盤11C2とよりなる2重頭状の形を有し、連結棒11Bより太径である。
切り替えボタン11Cは、把持部1に設けられた支持部材11Dに上下移動可能に取り付けられている。
なお、支持部材11Dは、把持部1から一定距離離れて取り付けられている。
切り替えボタン11Cが押し下げられると、それに接している連結棒11Bは、同様に押し下げられる。
【0037】
次に、各飲料液が混合ドームから吐出される態様について述べる。
図5は、炭酸水流路に設けられた封止弁に接触する切り替えボタンが押下されたときの状態を模式的に示した拡大断面図である。
図6は、水流路に設けられた封止弁に接触する切り替えボタンが押下されたときの状態を模式的に示す拡大断面図であり、(a)は切り替えボタンが押下される前を示し、(b)は切り替えボタンが押下された後を示す。
図7は、特殊液流路に設けられた封止弁に接触する切り替えボタンが押下されたときの状態を模式的に示す拡大断面図であり、(a)は切り替えボタンが押下される前を示し、(b)は切り替えボタンが押下された後を示す。
なお、図5、図6及び図7の各図における破断位置は、把持部10の幅方向にそれぞれずれている。
【0038】
図5に示すように、切り替えボタン11Cが押下されると、連結棒11Bを押し下げるので、それに伴い封止弁11Aも下方に押し下げられる。その結果、炭酸水流路12Aがフレキシブル管と連通する。
【0039】
炭酸水流路12Aがフレキシブル管と連通すると、飲料液タンク5に充填されていた炭酸水が、圧力源6に充填されていた炭酸ガスによって飲料液タンク5から押し出され、炭酸水流路12Aへ流入する。
【0040】
炭酸水流路12Aへ流入した炭酸水は、炭酸水流路12Aの垂直部に設けられた炭酸水減速手段である中空円柱部13の表面の微細な凹凸部13Bに衝突して大幅に減速し、吐出口12A1から吐出される。
【0041】
吐出口12A1から吐出された炭酸水は、吐出口12A1の極近傍に位置する突出通路体13Aに当たり、垂直部と突出通路体13Aとの間に形成された間隙Sから放射状に吹き出す。
吹き出した炭酸水は混合ドーム2の内壁面に衝突し、そのまま内壁面を伝って注出口21から容器に注がれる。
【0042】
このように、炭酸水を減速させて吐出させることで、大気中における混合ドーム2との衝突エネルギーの大きさを低減させることができる。
その結果、炭酸水から炭酸を極力失わせることなく容器へ注ぐことができる。
【0043】
また、炭酸水を放射状に飛散させることで、特殊液流路12Cの吐出口12C1が洗浄される。
すなわち、最初の飲料液の供給から次の飲料液の供給までに大きく時間が空く場合、特殊液流路12Cの吐出口12C1に特殊液が付着して固化することがある。
しかしながら、このように、炭酸水を放射状に吹き出させることで、全ての特殊液流路12Cの吐出口12C1に吹き付け力を作用させ、固化した特殊液を溶かして流すことができるのである。
【0044】
図6(a)に示された通常の状態から、図6(b)に示すように、切り替えボタン11Cが押下されると、封止弁11Aが押し下げられて水流路12Bが開放され、飲料液タンク5から水が流入する。
【0045】
水流路12Bに流入した水は中空円柱部13内へと流入する。
その後、水は突出通路体13A内を流れ、突出通路体13Aに形成された吐出口12B1から放射状に吐出される。
放射状に吐出された水は、混合ドーム2の内壁面に衝突し、そのまま内壁面に沿って注出口21から容器に注がれる。
【0046】
図7(a)に示された通常の状態から、図7(b)に示すように、切り替えボタン11Cが押下されると、上記と同様に封止弁11Aが押し下げられ特殊液流路12Cが開放され飲料液タンク5から特殊液が流入する。
【0047】
特殊液流路12Cへ流入した特殊液は、垂直部に形成された特殊液流路12Cの吐出口12C1から吐出される。吐出された特殊液は、混合ドーム2の内壁面に衝突し、そのまま内壁面に沿って注出口21から容器に注がれる。
【0048】
そして、水の切り替えボタン11Cと、特殊液の切り替えボタン11Cとが同時に押された場合には、吐出された水が下方に吐出された特殊液を混合ドーム2の内壁面方向に叩きつけるように作用するので、二つの液体は確実に混合される。
【0049】
ところで、本実施形態のハンドドラフト型飲料液供給装置を用いて、ある特定の飲料液と、その他の飲料液とを常に同時に吐出させたい場合は、飲料液選択部11に弁押しプレート14が取り付けられたものが用いられる。
【0050】
図8は、弁押しプレートを示す説明図であり、(a)は正面図で、(b)は側面図である。
図8に示すように、弁押しプレート14は複数の貫通孔14B(図面では3個)が形成された板状部材14Aと、板状部材14Aの周縁に形成される複数の球状の支え部14C(図面では6個)と、からなる。
【0051】
図9は、弁押しプレートが、飲料液選択部に取り付けられた状態を示す拡大断面図である。
図10は、図9のA−A断面図である。
図11は、弁押しプレートが取り付けられた飲料液選択部の切り替えボタンが押下されたときの状態を示す拡大断面図である。
図12は、図11のA−A断面図である。
なお、図9〜図12においては、図1〜図7で示した要素と同一の要素について符号を付す場合であっても、説明の都合上便宜的に異なる符合を付した。
【0052】
また、図9及び図11の中央に描かれた特定流路Xは、紙面奥側から紙面手前側に向かって形成されているものとする。
また、流路Yも紙面奥側から紙面手前側に向かって形成されているものとする。
さらに、一番左側に描かれた流路から順に手前に形成されているものとする。
【0053】
図9、図10に示すように、弁押しプレート14は常に吐出させたい飲料液が流れる流路X(以下、「特定流路」という)に設けられた封止弁15Aに連結された連結棒15Bと、それを押すための切り替えボタン15Cとの間に取り付けられる。
【0054】
弁押しプレート14が取り付けられる際、支え部14Cが把持部1に形成された半球状の凹部17に支持される。
そのため後述するように、弁押しプレート14が傾斜した状態になった際に、弁押しプレート14の取り付け位置がずれない。
【0055】
弁押しプレート14が取り付けられると、特定流路Xの連結棒15B及び切り替えボタン15Cは、弁押しプレート14に当接した状態になる。
なお連結棒15Bが上方に付勢されているので、弁押しプレート14は連結棒15Bに支えられて水平状態を保っている。
【0056】
一方このとき、封止弁16Aに連結している連結棒16Bは、弁押しプレート14に接触せずに、弁押しプレート14に形成された貫通孔14Bに入り込んだ状態にある。
【0057】
弁押しプレートが飲料液選択部に取り付けられた状態で、流路Y(特定流路X以外の流路を指す)の切り替えボタン16Cが押下されると、図11に示すように、封止弁16Aは切り替えボタン16Cによって連結棒16Bを介して押し下げられる。
その結果、飲料液が流路Yを流れる。
【0058】
またこのとき、貫通孔14Bの直径は補助板16C2の直径より小さく形成されているため、切り替えボタン16Cが押下されると、補助盤16C2が貫通孔14Bの周縁を押し下げ、支え部14Cを支点として弁押しプレート14を傾斜させる(図12参照)。
【0059】
弁押しプレート14が傾斜すると、弁押しプレート14に当接していた連結棒15Bは弁押しプレート14によって下方に押し下げられ、特定流路Xにも飲料液が流れる。
そして、特定流路Xを流れる飲料液と、流路Yを流れる飲料液とは混合ドーム2で混合されて、注出口21から吐出される。
【0060】
そして、切り替えボタン16Cが押下された状態から解放されると、弁押しプレート14は連結棒15Bの付勢力によって元の水平な状態に戻る。
【0061】
なお、特定流路Xの切り替えボタン15Cが押下された場合は、切り替えボタン15Cに当接する弁押しプレート14が連結棒15Bを介して封止弁15Aを押し下げるので、特定流路Xに飲料液が流れるが、流路Yの連結棒16Bは弁押しプレート14に形成されている貫通孔14Bに入り込んでいるため、弁押しプレート14は傾斜しても連結棒16Bを押し下げることができず、結果、流路Yには飲料液が流れない。
【0062】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は実施の形態に限定されることなく種々の変形例が可能である。
例えば、炭酸水減速手段は、中空円柱部の外周面に形成された微細な凹凸部に限らず、炭酸水を減速できるものである限り採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本実施形態のハンドドラフト型飲料液供給装置を示す説明図である。
【図2】図2は、把持部の拡大断面図である。
【図3】図3は、図2のA−A断面図である。
【図4】図4は、飲料液選択部の拡大断面図である。
【図5】図5は、炭酸水流路に設けられた封止弁に接触する切り替えボタンが押下されたときの状態を模式的に示した拡大断面図である。
【図6】図6は、水流路に設けられた封止弁に接触する切り替えボタンが押下されたときの状態を模式的に示す拡大断面図であり、(a)は切り替えボタンが押下される前を示し、(b)は切り替えボタンが押下された後を示す。る。
【図7】図7は、特殊液流路に設けられた封止弁に接触する切り替えボタンが押下されたときの状態を模式的に示す拡大断面図であり、(a)は切り替えボタンが押下される前を示し、(b)は切り替えボタンが押下された後を示す。
【図8】図8は、弁押しプレートを示す説明図であり、(a)は正面図で、(b)は側面図である。
【図9】図9は、弁押しプレートが飲料液選択部に取り付けられた状態を示す拡大断面図である。
【図10】図10は、図9のA−A断面図である。
【図11】図11は、弁押しプレートが取り付けられた飲料液選択部の切り替えボタンが押下されたときの状態を示す拡大断面図である。
【図12】図12は、図11のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1・・・把持部
11・・・飲料液選択部
11A・・・封止弁
11B・・・連結棒
11C・・・切り替えボタン
11C1・・・押し盤
11C2・・・補助盤
11D・・・支持部材
12・・・流路
12A・・・炭酸水流路
12A1・・・炭酸水流路の吐出口
12B・・・水流路
12B1・・・水流路の吐出口
12C・・・特殊液流路
12C1・・・特殊液流路の吐出口
13・・・中空円柱部
13A・・・突出通路体
13B・・・凹凸部
14・・・弁押しプレート
14A・・・板状部材
14B・・・貫通孔
14C・・・支え部
15A・・・封止弁
15B・・・連結棒
15C・・・切り替えボタン
16A・封止弁
16B・・・連結棒
16C・・・切り替えボタン
16C2・・・補助盤
2・・・混合ドーム
21・・・注出口
3・・・カバー
4・・・連結部
5・・・飲料液タンク
6・・・圧力源
A・・・ハンドドラフト型飲料液供給装置
R・・・連結管
S・・・間隙
X・・・特定流路
Y・・・特定流路以外の流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平部と垂直部とよりなる把持部が、飲料液が流通する複数本の流路を有し、任意に選択された流路に流れる飲料液のみを混ぜ合わせて吐出するハンドドラフト型飲料液供給装置であって、
流路に設けられた弁の開閉を行う飲料液選択部と、
飲料液選択部により選択された水、炭酸水、特殊液等の飲料液を混ぜ合わせて、吐出する混合ドームと、
を備えていることを特徴とするハンドドラフト型飲料液供給装置。
【請求項2】
前記流路が、水を流すための水流路と、
炭酸水を流すための炭酸水流路と、
特殊液を流すための特殊液流路と、を含み、
特殊液流路が炭酸水流路の外方に形成されていることを特徴とする請求項1記載のハンドドラフト型飲料液供給装置。
【請求項3】
炭酸水流路内に水流路を有する中空円柱部が挿入されていることを特徴とする請求項2記載のハンドドラフト型飲料液供給装置。
【請求項4】
炭酸水流路に炭酸水減速手段が設けられていることを特徴とする請求項3記載のハンドドラフト型飲料液供給装置。
【請求項5】
炭酸水減速手段が、中空円柱部の外周面に形成された微細な凹凸部であることを特徴とする請求項4記載のハンドドラフト型飲料液供給装置。
【請求項6】
前記水流路を有する突出通路体が中空円柱部の先端に取り付けられており、水流路の吐出口が放射状に分岐していることを特徴とする請求項3に記載のハンドドラフト型飲料液供給装置。
【請求項7】
前記中空円柱部が螺合により把持部に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載のハンドドラフト型飲料液供給装置。
【請求項8】
飲料液選択部が流路の開閉状態を制御するための弁と、各弁に接合される連結棒と、各連結棒の先端に取り付けられる切り替えボタンと、を備えることを特徴とする請求項1記載のハンドドラフト型飲料液供給装置。
【請求項9】
飲料液選択部が弁押しプレートをさらに備えることを特徴とする請求項6記載のハンドドラフト型飲料液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−57053(P2009−57053A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223278(P2007−223278)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(595076008)株式会社ニットク (14)
【Fターム(参考)】