説明

ハンドヘルド式低レベルレーザー治療機器

レーザー治療装置は、単色のレーザービームを作り出すように構成されるレーザーダイオードと、レーザーダイオードからのビームを直接受け、レーザーダイオードの自然な発散を利用し、本質的にコヒーレントな単色の平行ビームを形成するように構成されるレンズであって、形成されるビームは、ビームの広がる方向に対して垂直な面に細長い照射範囲を形成するように構成されており、この照射範囲において、照射範囲の長さは、照射範囲の幅の少なくとも2倍の大きさである、レンズと、レーザーダイオードの駆動を制御するように構成される制御装置と、レーザーダイオード、レンズ及び制御装置を包囲する容器であって、容器は、使用者によって手持ちされるように構成されている、容器と、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として人々及び動物を手当てするためのハンドヘルド式低エネルギーレーザー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人々及び動物を手当てするために、光を使用することは周知である。初期の歴史から、人間は、病気の回復を促進するために太陽からの光を使用してきた。20世紀半ばにおいて、第二次世界大戦で負傷した兵士を手当てするために、集められた光を使用するための試みがなされてきた。後年に、誘導放出の量子現象に基づくレーザーは、患者を手当てするための優れた集光した光源をもたらした。レーザーは、単色光の且つ本質的にコヒーレントな選択的な強度を使用することを可能にする。これは、さまざまな病気に対して人々を手当てすることに効果的であることが認められている。
【0003】
慎重に選択された波長であって人の方へコヒーレントに向けられた波長を使用することは、生体細胞の進行を選択的に活性化させるためのエネルギーをもたらす。これは、血流量の増大を促進し、細胞活性を引き起こし、細胞間の伝達を強める。レーザー光手当ては、例えば、
a. さまざまな骨格と組織との痛み及び損傷
1. リウマチ及び/または慢性的関節炎症
2. スポーツでのけが、外傷及び生傷
3. 下背及び上背の痛み並びに首の痛み
4. 足裏筋膜炎及び捻挫
5. テニス肘
6. アキレス腱感染症
7. 手根管症候群
8. リンパ水腫−浮腫
b. 医療皮膚科学
1. にきび
2. やけど
3. 傷跡
4. 痔
5. 白斑(例えば変色した皮膚)
6. 単純ヘルペス
c. 美容
1. 老化及び顔の皮膚弛緩症
2. しわ
3. 敏感肌
4. 定位妊娠線
d. 歯科用途
e. 獣医学用途
f. 鍼治療処置
及び別の用途などさまざまな病気に利用されてきた。
【0004】
レーザー光を治療に使用することは、痛みを減少させ、抗炎症活性を引き起こし、治癒の進行を早め、且つ皮膚の若返りを早めることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、光治療は、熟練の人材によって利用することを必要とする大型、高価及び危険な設備によって実施されてきた。それゆえに、家庭で使用される小型であり、使用者に安全なレーザー治療装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の態様は、ハンドヘルド式低レベルレーザー治療装置を使用して人々を手当てするための機器及び方法に関する。装置は、単色の単一位相とされた(single phased)レーザービームをもたらすレーザーダイオードを含有し、このレーザービームは、一方向において(例えば5度〜7度の間の)小さい角度で且つ第1方向に対して垂直な方向において(例えば30度〜40度の間の)より大きい角度で分散する。装置は、レーザーダイオードの自然の発散を利用し、単色の本質的にコヒーレントであり且つ平行な光ビームで、より広範囲を照射する光ビームを作り出す。
【0007】
装置は、レーザービームを平行ビームに変えるレンズを含有し、より小さい分散角度からの光線は、狭い照射範囲をもたらし、より大きい分散角度からの光線は、細長い照射範囲をもたらす。任意に、細長い照射範囲は、狭い照射範囲の少なくとも2倍の大きさである。本発明のいくつかの実施形態において、照射範囲は、長方形範囲を形成する。代わりに、照射範囲は、楕円範囲である。任意に、ビームは、単位面積ごとにより弱い強度をもたらす分散の結果として、目の安全性をもたらす。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態において、単色のレーザービームは、視認できない赤外線ビームである。任意に、レーザービームの波長は、800nmから900nmの間である。本発明の例示的な実施形態では、可視光源(例えばLED)は、補助的な可視光ビームをもたらして視認できない光ビームに加えるために使用されており、使用者は、装置が動作していることを見ることが可能になり、使用者の目の方へ装置を向けない。本発明のいくつかの実施形態において、可視光ビームは、視認できないレーザービームと同時に発生する。代わりに、可視光ビームは、レーザービームを囲む範囲を照射し、視認できないレーザービームの周りにフレームを形成し、使用者の安全性を高める。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態において、装置は、光放出端部を照射される対象に接触して押し付けることによって駆動される目の安全機構によって駆動され、使用者が警戒せずにレーザービームを当てることを防ぐ。代わりに、またはさらに、別の駆動スイッチが、装置に利用できる。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、レーザーダイオードは、装置が例えば50%以下のデューティーサイクルで駆動される場合、非連続的に駆動される。任意に、レーザーダイオードの出力は、サーボループによって連続的に制御され、このサーボループは、レーザーダイオードの出力を観測してそのデューティーサイクルを更新し、レーザービームによる一定出力を維持しており、例えばレーザーダイオードをオンにするパルス長または周波数は、検出された強度に応じて更新される。
【0011】
それゆえに、本発明の例示的な実施形態によると、レーザー治療装置であって、
単色のレーザービームを作り出すように構成されるレーザーダイオードと、
レーザーダイオードから直接ビームを受け、レーザーダイオードの自然な発散を利用し、本質的にコヒーレントな単色の平行ビームを形成するように構成されるレンズであって、形成されるビームは、ビームの広がる方向に対して垂直な面に細長い照射範囲を形成するように構成され、この照射範囲において、照射範囲の長さは、照射範囲の幅の少なくとも2倍の大きさである、レンズと、
レーザーダイオードの駆動を制御するように構成される制御装置と、
レーザーダイオード、レンズ及び制御装置を包囲する容器であって、容器は、使用者によって手持ちされるように構成される、容器と、
を含むレーザー治療装置が提供される。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、レンズは、照射範囲の長さを作り出す方向と照射範囲の幅を作り出す方向とで異なるレンズ半径を有するトロイダルレンズである。任意に、レーザーダイオードによって作り出されるビームは、赤外線レーザービームである。
【0013】
本発明の例示的な実施形態では、レーザー治療装置は、レーザービームと重ね合わせられる可視光ビームを作り出す可視光源を含有し、視認できないレーザービームの存在の表示として可視光をもたらす。任意に、可視光源が取り付けられ、光源の像は、レンズの焦点面にある。本発明の例示的な実施形態において、可視光ビームは、視認できないレーザービームを囲むように構成され、視認できない光ビームを包囲するフレームを形成する。
【0014】
本発明の例示的な実施形態において、制御装置は、レーザーダイオードのデューティーサイクルを制御するように構成される。任意に、制御装置は、たとえレーザーダイオードの強度が時間とともに変化しても一定出力を維持するために、レーザーダイオードのデューティーサイクルを更新するように構成される。本発明の例示的な実施形態では、レーザーダイオードによって作り出されるビームのデューティーサイクルは、初めは50%未満である。任意に、装置は、照射対象に接触して装置を押し付けることによって装置を駆動する安全機構を含有する。本発明の例示的な実施形態では、照射範囲は、長方形または楕円状の範囲を形成する。任意に、形成されるビームは、目に安全なビームである。
【0015】
本発明の例示的な実施形態によると、レーザー治療装置であって、
単色のレーザービームを作り出すように構成されるレーザーダイオードと、
レーザーダイオードからのビームを受けるように構成されるレンズと、
レーザーダイオードのデューティーサイクルを制御し且つ一定出力を維持するように構成される制御装置と、
レーザーダイオード、レンズ及び制御装置を包囲する容器であって、容器は、使用者によって手持ちされるように構成される、容器と、
を含むレーザー治療装置がさらに提供される。
【0016】
本発明の例示的な実施形態によると、レーザー治療装置であって、
単色のレーザービームを作り出すように構成されるレーザーダイオードと、
レーザーダイオードからのビームを受けるように構成されるレンズと、
レーザーダイオードの駆動を制御するように構成される制御装置と、
レーザーダイオード、レンズ及び制御装置を包囲する容器であって、容器は、使用者によって手持ちされるように構成される、容器と、
を含み、
装置は、照射対象に接触して装置を押し付けることにより安全機構によって駆動されるレーザー治療装置がさらに提供される。
【0017】
本発明の例示的な実施形態によると、レーザー治療装置であって、
単色のレーザービームを作り出すように構成されるレーザーダイオードと、
レーザーダイオードによって形成されるビームを囲む光ビームをもたらすように構成される可視光源であって、レーザービームによって形成される照射パターンの周りにフレームを形成する、可視光源と、
レーザーダイオードからのビームを受けるように構成されるレンズと、
レーザーダイオードの駆動を制御するように構成される制御装置と、
レーザーダイオード、レンズ及び制御装置を包囲する容器であって、容器は、使用者によって手持ちされるように構成される、容器と、
を含むレーザー治療装置がさらに提供される。
【0018】
本発明は、図面と併せて考慮される以下の詳細な説明から理解され且つよりよく認識される。1以上の図面にある同一の構造、要素またはパーツは、全体的に、それらがあるすべての図面において同じまたは類似の符号で分類される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の例示的な実施形態によるレーザー治療を実行するためのハンドヘルド式低レベルレーザー治療(LLLT)装置の略図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態によるレーザーダイオードの自然な発散の使用及びレンズの構成を明示する低レベルレーザー治療装置を製造するための内部構造の略図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態による安全駆動機構を有する低レベルレーザー治療装置を製造するための内部構造の略図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態による可視光ビームをレーザービーム上に重ねるための重ね合わせ機構を有する低レベルレーザー治療装置を製造するための内部構造の略図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態によるレーザーダイオードのデューティーサイクルを制御するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の例示的な実施形態によるレーザー治療を実行するためのハンドヘルド式低レベルレーザー治療(LLLT)装置100の略図である。本発明の例示的な実施形態において、装置100は、出力として細長い単色のコヒーレントなレーザービーム170をもたらし、このレーザービームは、装置100に組み込まれるレーザーダイオードの自然な発散から直接レンズによって平行にされる。従来技術の装置と対比すると、レーザーダイオードからのレーザービームを単一の点に集中してより強い照明を単一の点にする代わりに、レーザーダイオードの本来の性質は、より広範囲を覆うために細長いビームを形成することに利用される。標準のレーザーダイオードは、一般的に、その幅に沿って約5度〜7度及びその長さに沿って約30度から40度の発散を有する。ビームを狭ビームに補正するようなレンズを使用する代わりに、装置100は、より広範囲、例えば0.5cmから1cm×3cmから6cmの範囲を覆うために、平行にされた細長いビームを形成するためにレンズを使用する。本発明の例示的な実施形態において、照射範囲の長さは、照射範囲の幅の少なくとも2倍である。本発明の例示的な実施形態では、得られる細長いビームは、本質的にコヒーレントであり、レーザーダイオード発光として認められているように、本質的に位相が共通である光ビームを有する。
【0021】
任意に、広範囲を照射することによって、各点は、より弱い且つより安全なレーザービーム、例えば目に安全なビームで照射され、このレーザービームは、人の目に危険ではない強度を有する。装置100を移動させることなく、より長い時間に対して照射することまたはレーザーダイオードの強度を増大させることによって、より大きいパワーをより正確に特定範囲に送達してもよい。対照的に、単一の点のレーザーでは、一点が強く照射され、所定範囲は、使用者の皮膚を横切ってビームを移動させて各点を照射することによって処理される。
【0022】
本発明の例示的な実施形態において、光源及び装置100に給電するための電子回路は、使用者の手に適合するように設計されている人間工学的容器110に覆われている。任意に、装置100は、装置100をオン及びオフにするオン/オフスイッチ125を含有する。装置100がオン状態にあるときに、それは、容器110の側面に位置付けられる駆動スイッチ130を押し付けることによって駆動される。代わりにまたはさらに、装置100は、装置100を使用するときに、人または放射される対象に接触して目の安全駆動スイッチ105を押すことによって駆動されてもよい。放射される人に接触して押し付けるときに駆動することは、使用者が使用者の目の中に誤って光を向けることを可能としないので、装置100の安全性を増大させる。いくつかの場合において、使用者の皮膚に接触して押し付けることは、血流量を減少させ且つ光吸収の効率を高めるので、有利である。代わりに、使用者が外傷を有するいくつかの場合では、使用者の皮膚に接触して押し付けないことが好ましい。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、装置100は、内部電源(例えばバッテリー135)によって給電される。代わりにまたはさらに、装置100は、電源ケーブル(図示せず)を用いて外部電源によって給電されてもよく、この電源ケーブルは、例えば家庭用電源ソケットなど外部電源に接続される。任意に、装置が外部電源に接続されるときに、バッテリーが再充電されてもよい。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態において、装置100は、例えばバッテリーの状態などさまざまな情報及び/またはタイマー/カウンターを示すディスプレー115、例えばLCDディスプレーを含有する。本発明の例示的な実施形態では、ディスプレー115のタイマーは、使用者によって選択装置120を使用して事前に選択した値に設定され、値は、使用者によって駆動されると、装置が駆動し続けている間の時間を秒で表してもよい。装置は、秒読みをし、それが事前に選択した時間を数えた時点で装置の動作を自動的に停止する。例えば、使用者が特定時間にわたって所定範囲を照射したい場合、使用者は、タイマーを所望時間に設定し、装置100を駆動する。装置100は、時間が完了するまで所定範囲を照射する。
【0025】
図2は、本発明の例示的な実施形態によるレーザーダイオードの自然な発散及びレンズの構成を明示する装置100を製造するための内部構造の略図である。本発明の例示的な実施形態において、レーザーダイオード210は、基部230に取り付けられる。本発明の例示的な実施形態では、レーザーダイオード210は、800nmから900nmの間の単色波長且つ少なくとも100mWの出力で赤外線放射を放出するために選択され、それは、使用者を治すことにおいて効果的である。任意に、波長は、使用者の生体細胞へ出力をもたらすことにおいて最適性能を有するように選択されており、それゆえに、特定の病気を処置するのにより効果的であることがわかった場合、別の波長(例えば可視光または紫外光)が使用されてもよい。さらに、レーザーダイオード210は、より強いまたはより弱い出力を有して選択されてもよい。
【0026】
本発明の例示的な実施形態において、レーザーダイオード210からの光は、一方向において小さい角度260で且つ垂直方向においてより大きい角度250で分散する。任意に、レンズ220は、レーザーダイオード210の反対側に設置され、分散するレーザービームを平行にして使用者の皮膚に細長い単色のコヒーレントなレーザービーム170の照射を形成することにより、レーザーダイオード210によって作り出されるレーザービームの自然な発散を活用する。
【0027】
本発明の例示的な実施形態では、レンズ220は、2つの方向で異なるレンズ半径を有するトロイダルレンズであり、レーザーダイオード210から形成される発散ビームは、レンズに対して垂直に延伸し、且つ単色のコヒーレントなレーザービーム170から細長い照明を形成する。本発明のいくつかの実施形態では、レンズ220は、長方形または楕円形状を有し、且つ長方形または楕円照明を生み出す。代わりにまたはさらに、レンズ220は、それが使用者を放射するために細長い単色のコヒーレントなレーザービーム170を作り出すのであれば、単一のレンズ、二重のレンズまたは任意の別のレンズの組み合わせであってもよい。任意に、レンズ以外の要素は、コヒーレントなレーザービーム170の位相及び方向の統一に作用する。
【0028】
図3は、本発明の例示的な実施形態による目の安全駆動機構300を有する装置100を製造するための内部構造の略図である。上述したように、本発明の例示的な実施形態において、装置100がオンにされるときに、それは、目の安全駆動スイッチ105を使用者の体に接触して押し付けることによって駆動されてもよい。任意に、目の安全駆動スイッチ105は、2つのスライダ310に接続され、2つのバネ330は、それぞれ各側部にあるスライダに挿入される。目の安全駆動スイッチ105が容器110内に押されると、スライダ310は、内側に向けて移動し、制御装置240にレーザーダイオード210を駆動するよう指示する2つのマイクロスイッチ320を押圧する。目の安全駆動スイッチ105を使用することは、使用者がレーザーダイオード210を駆動すること及びそれを使用者の目または他人の目の方へ向けることを防ぐ。
【0029】
図4は、本発明の例示的な実施形態によるレーザービーム170上に可視光ビーム160を重ねるための重ね合わせ機構を有する装置100を製造するための内部構造の略図である。本発明の例示的な実施形態において、可視光源410(例えばLED)は、可視光源を設けるために、レーザーダイオード210上の構造体430に取り付けられる。任意に、構造体430は、レンズ220の方へ可視光を反射するために研磨された背面420(例えば鏡)を含有し、可視光は、レーザーダイオード210から生じる光線上に重ねられる。本発明のいくつかの実施形態では、背面の特定範囲のみが研磨され、結果として得られる可視光ビームの形状を制御する。本発明の例示的な実施形態において、結果として得られるビームの横断面は、レーザービーム170によって形成される内側範囲と可視光ビーム160によって形成されるより広範囲とを含有し、この広範囲は、内側範囲を囲み且つその周りに視認可能な境界をもたらし、使用者がどこに視認できないレーザービームが位置決めされているかがわかる。
【0030】
任意に、可視光ビーム160は、使用者に視認できないレーザービーム170が同様にそこにあり且つ人の目に向けられると危険であるという表示をもたらすことによって安全対策として機能する。
【0031】
LED410が好ましくは取り付けられ、光源の像がレンズ220の焦点にある。
【0032】
本発明の例示的な実施形態では、レーザーダイオード210は、例えば25%〜50%のデューティーサイクルをもたらす周波数が250kHzである10μsから20μsの一定周波数での短パルスで動作され、結果として得られるレーザービームは、使用者の皮膚に浸透するのに十分なパワーを有するが、範囲ごとの総エネルギー出力率は、誤って人の目に光を差し込んでも目の安全を維持するように十分に低い。多くの装置では、レーザーダイオード210には、特定出力が初めにもたらされ、この特定出力は、レーザーダイオード210を交換しなければならないとき(例えば3000時間〜5000時間使用後)まで時間とともに低下する。
【0033】
図5は、本発明の例示的な実施形態によるレーザーダイオードのデューティーサイクルを制御する方法のフローチャート500である。
【0034】
本発明の例示的な実施形態において、レーザーダイオード210は、レーザーダイオードの出力を検出する制御装置240によって制御される(符号510)。任意に、制御装置240は、出力を格納値と比較し、出力が許容差範囲内にあるか、またはレーザーダイオード210がより弱くなり、標準以下かどうかを決定する(符合530)。
【0035】
出力が許容差範囲内にある場合、その後、制御装置は、レーザーダイオード210の出力を定期的に観測することを継続する。そうでなければ、制御装置240は、修正したデューティーサイクルを計算し、このデューティーサイクルは、例えばパルス長を増大させることによって、またはレーザーダイオード210の駆動周波数を上げることによって所望の出力をもたらす(符号540)。制御装置240は、デューティーサイクルを変更し、装置100は、一定出力を維持する(符号550)。任意に、デューティーサイクルを制御することは、レーザーダイオード210を交換することなく使用する装置100の耐用期間を延長することを可能にするが、レーザーダイオード210の強度は、時間とともに低下する。任意に、デューティーサイクルは、50%未満から70%を越えるまで、例えば一定出力を維持するために10%から100%まで変化してもよい。
【0036】
本発明の例示的な実施形態では、より強いレーザーダイオード(例えば100mW〜900mW)が使用される一方で、連続的に動作する(100%のデューティーサイクル)より弱いレーザーダイオード(例えば100mW未満)によって発生されるものと同じ出力をもたらす。結果として、レーザービームは、ビームが断続的に動作し、対象がパルス間で冷えるので、ビームがより強いにもかかわらず、より安全である。ビームを使用者の皮膚に当てるときに、全体的に同じパワーが同じ時間にわたって伝えられる。
【0037】
上記の説明に基づいて、装置100は、使用者の安全性を高める且つ/または臨床効率を高める複数の特性、すなわち、
1. レーザービームの位置の表示をもたらすためにレーザービームを囲む視認可能な表示、
2. ビームが毎秒に短期間に対してのみ動作するので、目の損傷を防ぐために制御されたパルス長及びデューティーサイクルを有するより強いレーザービーム、
3. 目に安全な光ビームを有すると同時に、より広範囲を手当てすることを可能とするために、広範囲にわたって分散されるレーザービーム、
4.対象範囲に接触してそれを押し付けるときのみ駆動される安全駆動スイッチ、
を含有することに注意するべきである。
【0038】
上述の方法及び機器は、工程を省略することまたは加えること、工程の順序及び使用される装置の種類を変更することを含有し、さまざまな方法で変更されてもよいことを理解するべきである。異なる機能を異なる手段に組み合わせてもよいことを理解するべきである。特に、特有の実施形態に上記で示されたすべての特徴が本発明のあらゆる実施形態に必要となるとはかぎらない。上記機能のさらなる組み合わせは、本発明のいくつかの実施形態の適用範囲内で同様に考慮される。
【0039】
本発明は、特別に示され且つ以上に説明されたことに制限されないことが当業者によって理解される。正しくは、本発明の適用範囲は、以下にある特許請求の範囲によってのみ規定される。
【符号の説明】
【0040】
100 装置、105 安全機構(安全駆動スイッチ)、110 容器、160 可視光ビーム、170 レーザービーム、210 レーザーダイオード、220 レンズ、240 制御装置、410 可視光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー治療装置であって、
単色のレーザービームを作り出すように構成されるレーザーダイオードと、
前記レーザーダイオードから直接前記レーザービームを受け、前記レーザーダイオードの自然な発散を利用し、本質的にコヒーレントな単色の平行ビームを形成するように構成されるレンズであって、形成される前記平行ビームは、前記平行ビームの広がる方向に対して垂直な面に細長い照射範囲を形成するように構成され、前記照射範囲において、該照射範囲の長さは、該照射範囲の幅の少なくとも2倍の大きさである、レンズと、
前記レーザーダイオードの駆動を制御するように構成される制御装置と、
前記レーザーダイオード、前記レンズ及び前記制御装置を包囲する容器であって、該容器は、使用者によって手持ちされるように構成される、容器と、
を含むことを特徴とするレーザー治療装置。
【請求項2】
前記レンズは、前記照射範囲の長さを作り出す方向と前記照射範囲の幅を作り出す方向とで異なるレンズ半径を有するトロイダルレンズであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー治療装置。
【請求項3】
前記レーザーダイオードによって作り出される前記レーザービームは、赤外線レーザービームであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー治療装置。
【請求項4】
視認できない前記レーザービームの存在の表示として可視光をもたらすために、前記レーザービームと重ね合わせられる可視光ビームを作り出す可視光源をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のレーザー治療装置。
【請求項5】
光源の像が前記レンズの焦点面にあるように、前記可視光源が取り付けられることを特徴とする請求項4に記載のレーザー治療装置。
【請求項6】
前記可視光ビームは、視認できない前記レーザービームを囲むように構成され、視認できない光ビームを包囲するフレームを形成することを特徴とする請求項5に記載のレーザー治療装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記レーザーダイオードのデューティーサイクルを制御するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のレーザー治療装置。
【請求項8】
前記制御装置は、たとえ前記レーザーダイオードの強度が時間とともに変化しても一定出力を維持するために、前記レーザーダイオードのデューティーサイクルを更新するように構成されることを特徴とする請求項7に記載のレーザー治療装置。
【請求項9】
前記レーザーダイオードによって作り出される前記レーザービームのデューティーサイクルは、初めは50%未満であることを特徴とする請求項7に記載のレーザー治療装置。
【請求項10】
当該レーザー治療装置は、照射対象に接触して当該レーザー治療装置を押し付けることによって、当該レーザー治療装置を駆動する安全機構を含有することを特徴とする請求項1に記載のレーザー治療装置。
【請求項11】
前記照射範囲は、長方形または楕円状の範囲を形成することを特徴とする請求項1に記載のレーザー治療装置。
【請求項12】
形成される前記平行ビームは、目に安全なビームであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー治療装置。
【請求項13】
レーザー治療装置であって、
単色のレーザービームを作り出すように構成されるレーザーダイオードと、
前記レーザーダイオードからの前記レーザービームを受けるように構成されるレンズと、
前記レーザーダイオードのデューティーサイクルを制御し且つ一定出力を維持するように構成される制御装置と、
前記レーザーダイオード、前記レンズ及び前記制御装置を包囲する容器であって、該容器は、使用者によって手持ちされるように構成される、容器と、
を含むことを特徴とするレーザー治療装置。
【請求項14】
レーザー治療装置であって、
単色のレーザービームを作り出すように構成されるレーザーダイオードと、
前記レーザーダイオードからの前記レーザービームを受けるように構成されるレンズと、
前記レーザーダイオードの駆動を制御するように構成される制御装置と、
前記レーザーダイオード、前記レンズ及び前記制御装置を包囲する容器であって、該容器は、使用者によって手持ちされるように構成される、容器と、
を含み、
当該レーザー治療装置は、照射対象に接触して装置を押し付けることにより安全機構によって駆動されることを特徴とするレーザー治療装置。
【請求項15】
レーザー治療装置であって、
単色のレーザービームを作り出すように構成されるレーザーダイオードと、
前記レーザーダイオードによって形成される前記レーザービームを囲む光ビームをもたらすように構成される可視光源であって、前記レーザービームによって形成される照射パターンの周りにフレームを形成する、可視光源と、
前記レーザーダイオードからのレーザービームを受けるように構成されるレンズと、
前記レーザーダイオードの駆動を制御するように構成される制御装置と、
前記レーザーダイオード、前記レンズ及び前記制御装置を包囲する容器であって、該容器は、使用者によって手持ちされるように構成される、容器と、
を含むことを特徴とするレーザー治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−500818(P2013−500818A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523429(P2012−523429)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000584
【国際公開番号】WO2011/016020
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512029021)
【Fターム(参考)】