説明

ハンドホ―ル殻体およびハンドホ―ルの製造方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハンドホール殻体および該殻体を使用したハンドホールの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は図11に示すようにコンクリート製のハンドホール(1) の側壁部(2) の所定個所に管接続用の穴部(3) を設け、該穴部(3) に管(4) を埋着したコンクリート製のソケットブロック体(5) を嵌着してシール材あるいはゴムリング等で固定する構成が提供されている(例えば特開平4−61428号)。上記コンクリート製のハンドホール(1) は製造工場において型枠内に生コンクリートを注入し、養生固化後に脱型して製品としていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来のハンドホール(1) にあっては、コンクリート製のために重量が大でかつ脆く、輸送が非常に困難であった。またハンドホール(1) の側壁部(2) の穴部(3) にソケットブロック体(5) を嵌着固定するために、シール材やゴムリング等が用いられているが、シール性および施工性の点で問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、天板部(11)と、所定個所に管接続用の穴部(30,31) を有する側壁部(12)と、底部(13)とからなり、少なくとも側壁部(12)と底部(13)とは夫々熱可塑性合成樹脂を材料として中空二重壁構造を有しておりかつ分解可能に組合せられているハンドホール殻体(10)および該ハンドホール殻体(10)の側壁部(12)は4個の分割壁部(18A,19A,20A,21A) からなり、該分割壁部(18A,19A,20A,21A) の側方にコンクリートが相隣接する分割壁部(18A,19A,20A,21A) 間に流れ込むための開口部(26A,27A,28A,29A,26B,27B,28B,29B) を設けたハンドホール殻体(10)を提供し、更に該ハンドホール殻体(10)の穴部(30,31) に管(36,38,39,40) を埋着したソケットブロック体(37,41) を嵌着した上で該ハンドホール殻体(10)の内部空間(16,22,23,24,25,32) に生コンクリート(43)を注入し養生固化せしめるハンドホール(10A) の製造方法を提供するものである。
【0005】
【作用】本発明のハンドホール殻体(10)を構成する天板部(11)、側壁部(12)、および底部(13)は熱可塑性合成樹脂を材料として中空二重壁構造を有しているから極めて軽量で輸送が容易である。そして上記ハンドホール殻体(10)は現場で組立てられ、壁部(12)の穴部(30,31) には管(36,38,39,40) を埋着したソケットブロック体(37,41) を嵌着しておき、その上で該ハンドホール殻体(10)の中空二重壁構造の内部空間(16,22,23,24,25,32) に生コンクリート(43)を注入して養生固化せしめる。該ソケットブロック体(37,41) は該生コンクリート(43)の固化過程の収縮力によって締付けられ、シール性良く穴部(30,31) に固定される。そして該ハンドホール殻体(10)が型枠の役割をしかつ生コンクリート(43)の養生固化後の脱型も必要でない。
【0006】
【実施例】本発明を図1〜図6に示す一実施例によって説明すれば、ハンドホール殻体(10)は天板部(11)と、側壁部(12)と、底部(13)とからなり、夫々中空二重壁構造を有し、該天板部(11)の上面(14)には蓋孔(15)が設けられ、また内部空間(16)には生コンクリートを充填する充填孔(17)が設けられている。
【0007】該側壁部(12)は図2に示すような4個の分割壁部(18,19,20,21) に分割され、該分割壁部(18,19,20,21) の上面は内部空間(22,23,24,25) に生コンクリートを充填するための開口部(26,27,28,29) となっており、また側面所定位置には管接続用の穴部(30,31) が設けられている。該底部(13)は枠状であり、上面には内部空間(32)に生コンクリートを充填するための充填孔(33,34) が設けられている。
【0008】上記天板部(11)、側壁部(12)、および底部(13)は望ましくはブロー成形によって製造される。例えば側壁部(12)の場合は図4に示すようなブロー成形金型(35)に加熱軟化せしめた熱可塑性合成樹脂のパリソン(36)を挿入してブロー成形を施し、点線部分をカットして分割壁部(18,19,20,21) とする。
【0009】上記天板部(11)、4個の分割壁部(18,19,20,21) からなる側壁部(12)、および底部(13)はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の熱可塑性合成樹脂からなり、しかも中空であるから軽量で輸送性が極めて優れており、これらは分解状態で施工現場に輸送してハンドホール殻体(10)を組立て、側壁部(12)の分割壁部(18)の穴部(30)には管(36)を埋着したソケットブロック体(37)を嵌着し、分割壁部(19)の穴部(31)には3本の管(38,39,40)を埋着したソケットブロック体(41)を嵌着し、次いで所望なれば鉄筋(42)を側壁部(12)等の内部空間(22,23,24,25) に挿入した上で生コンクリート(43)を注入し養生固化させる。
【0010】このようにして図6に示すようなハンドホール(10A) が現場で組立てられるが、上記ハンドホール殻体(10)はコンクリート型枠の役目をし、かつコンクリートの固化養生後脱型の必要もなく、施工性が極めて優れている。
【0011】図7〜図10には本発明の他の実施例が示される。本実施例においても側壁部(12)A は4個の分割壁部(18A,19A,20A,21A) に分割されるが、各分割壁部(18A,19A,20A,21A) には挿入部(18B,19B,20B,21B) と嵌合部(18C,19C,20C,21C) とが夫々形成されており、また上面および側面には該分割壁部(18A,19A,20A,21A) の内部空間(22A,23A,24A,25A) に生コンクリートを充填するための開口部(26A,27A,28A,29A) および組立ての後、コンクリートを流し込んだ時コンクリートが隣接する分割壁部(18A,19A,20A,21A) に相互に流れ込むようにするための開口部(26B,27B,28B,29B) が設けられており、4個の分割壁部(18A,19A,20A,21A) はコンクリートにより一体化される。更に所定の分割壁部(18A,19A) にはソケットブロック体(37)を嵌着するための穴部(30A,31A) が設けられている。上記分割壁部(18A,19A,20A,21A) は隣接する分割壁部(18A,19A,20A,21A) の嵌合部(18C,19C,20C,21C) に挿入部(18B,19B,20B,21B) を夫々嵌合することによって図10に示すように組合わされて側壁部(12)A を形成する。
【0012】
【発明の効果】したがって本発明では、ハンドホールの輸送性、施工性が極めて優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
図1〜図6は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】ハンドホール殻体の分解斜視図
【図2】分割壁部の斜視図
【図3】ハンドホール殻体の部分分解断面図
【図4】分割壁部のブロー成形状態断面図
【図5】コンクリート充填状態切欠き斜視図
【図6】ハンドホールの斜視図図7〜図10は本発明の他の実施例を示すものである。
【図7】表側からみた斜視図
【図8】裏側からみた斜視図
【図9】平面図
【図10】組合せた状態の平面図
【図11】従来例のハンドホール説明図
【符号の説明】
10 ハンドホール殻体
10A ハンドホール
11 天板部
12 側壁部
13 底部
16,22,23,24,25,32,22A,23A,24A,25A 内部空間
18,19,20,21,18A,19A,20A,21A 分割壁部
26,27,28,29,26A,27A,28A,29A,26B,27B,28B,29B 開口部
30,31,30A,31A 穴部
36,38,39,40 管
37,41 ソケットブロック体
43 生コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】天板部と、所定個所に管接続用の穴部を有する側壁部と、底部とからなり、少なくとも側壁部と底部とは夫々熱可塑性合成樹脂を材料として中空二重壁構造を有しておりかつ分解可能に組合せられていることを特徴とするハンドホール殻体
【請求項2】請求項1のハンドホール殻体の穴部に管を埋着したソケットブロック体を嵌着した上で該ハンドホール殻体の内部空間に生コンクリートを注入し養生固化せしめることを特徴とするハンドホールの製造方法
【請求項3】請求項1のハンドホール殻体の側壁部は4個の分割壁部からなり、該分割壁部の側方にコンクリートが相隣接する分割壁部間に流れ込むための開口部を設けたことを特徴とするハンドホール殻体

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【特許番号】第2540123号
【登録日】平成8年(1996)7月8日
【発行日】平成8年(1996)10月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−351940
【出願日】平成4年(1992)12月8日
【公開番号】特開平6−173285
【公開日】平成6年(1994)6月21日
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【参考文献】
【文献】実開平1−146727(JP,U)