説明

ハンドルバーの折り畳み・連接機構

【解決手段】
左右のハンドルバー1,1の内端側を、平面U字状のハンドルステム2の左右の腕2a,2aの先端に枢着する。左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aには、その両端部を抱持し得るリング状の抱持体3が備えられている。リング状の抱持体3には、エキセントリック4aを有する固定具4が取り付けられている。
【効果】
固定具4のレバー4bを締め付けると、エキセントリック4aの作用により左右のハンドルバー1,1を抱持体3のリング状部分で連接・固定でき、左右のハンドルバー1,1を側方に伸び出させることができる。固定具4のレバー4bを緩めてリング状の抱持体3を動かすと、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおける連接状態を解除することができ、左右のハンドルバー1,1を水平方向に折り畳むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み自転車などに利用できるハンドルバーの折り畳み・連接機構であって、左右のハンドルバーを水平方向に折り畳む場合に用いると最適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不使用時に小さく折り畳むことができるようにした自転車が提案され、また、市場に提供されている。このような形式の自転車にあっては、ハンドルポストに対してハンドルバーが車体の側方に張り出した状態で取り付けられているので、車体フレームをいかに小さく折り畳んでもハンドルバーは折り畳んだ車体の側方に突き出ていて収納容積はそれほど小さくならない。
【0003】
そこで、左右のハンドルを水平方向に折り畳むことができるように工夫したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−127958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この場合のハンドルは1本のバーを所定長さだけ水平状とし、それから垂直下方に連続して折曲した形状であり、左右のハンドルの各基部をハンドルステムの左右の嵌合孔にそれぞれ嵌入し、水平方向にハンドルを回動させ得るようにしたものである。
この方式に代わる新しい折り畳み方式として、左右のハンドルを垂直下方には曲がらないほぼ真直ぐな形状とし、それらを折り畳み得るようにハンドルポストに支承することが考えられる。
【0006】
そして、このような形状のハンドルを用いた場合には、左右のハンドルバーをその内端側の突き合わせ部分において連接すれば、左右のハンドルバーを側方に伸び出させることができ、逆に、その部分における連接状態を解除すれば、左右のハンドルバーを折り畳むことができるので、極めて理想的な折り畳み・連接機構となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような形式の折り畳み・連接機構を得ることを目的とするもので、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aに、その両端部に跨って左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置と左右のハンドルバー1,1のいずれか一方の側にあって左右のハンドルバー1,1を連接し得ない位置との間をスライドする連接部材を備えたものである。
この折り畳み・連接機構によれば、連接部材を左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部に跨って位置させるだけで、左右のハンドルバー1,1を極めて簡単に連接することができる。逆に、連接部材をその位置から左右どちらかに移動させるだけで、左右のハンドルバー1,1の連接状態を簡単に解除することができる。
【0008】
左右のハンドルバー1,1を平面U字状のハンドルステム2に平面的に回動させ得るように取り付け、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aを連接時において前記ハンドルステム2の平面U字状の空間2b内に位置させ得るようにしておくとよい。この場合には、連接状態にある左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aを前記ハンドルステム2の平面U字状の空間2b内に位置させることができる。従って、左右のハンドルバー1,1の連接部分が邪魔にならない。
【0009】
左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置でハンドルバー1,1上の連接部材を固定させるための固定手段を備えておくとよい。この場合には、連接部材を固定手段により左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置で固定することができ、左右のハンドルバーの内端側突き合わせ部分の連接・固定状態を強固なものとすることができる。
【0010】
連接部材として、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部を抱持し得るリング状の抱持体3を用いることができる。このリング状の抱持体3を用いた場合には、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部をリング状の抱持体3で抱持することができ、左右のハンドルバーの内端側突き合わせ部分の連接状態を、より強固なものとすることができる。
【0011】
左右のハンドルバー1,1のいずれか一方の内端付近に、その長手方向に沿う長孔1bを形成し、この長孔1bに沿って連接部材をスライドさせ得るようにしておくとよい。この場合には、連接部材を長孔1bに沿って安定した状態でスライドさせることができ、この連接部材を用いて左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおける連接状態と連接状態の解除とを確実に行うことができる。
【0012】
長孔1bを有するハンドルバー1の内端側突き合わせ部分1aを中空状とし、その中にスライド可能に滑子1cを嵌入し、この滑子1cと連接部材とを前記長孔1bを介して定着ピン3cで結合しておくとよい。この場合には、中空状のハンドルバー1内において滑子1cが安定した状態でスライドし、滑子1cとともに連接部材を長孔1bに沿ってより安定した状態でスライドさせることができる。
【0013】
滑子1cと中空状のハンドルバー1の内奥との間に弾撥バネ1dを配置しておくとよい。この弾撥バネ1dの弾撥力により、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおける両端部をリング状の抱持体3が常に抱持し得る方向に付勢することができる。従って、リング状の抱持体3を手指で摘んで弾撥バネ1dの弾撥力に逆らって摺動させれば、左右のハンドルバー1,1に対する抱持体3の位置を変えることができ、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおける連接状態を解除することができる。逆に、抱持体3から手指を離せば、弾撥バネ1dの弾撥力により抱持体3を自動的に元の位置に摺動させることができ、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aを自動的に連接することができる。
【0014】
固定手段として、リング状の抱持体3の内径を拡縮させ得るエキセントリック4aを用いることができる。このエキセントリック4aを用いると、固定手段であるエキセントリック4aの作用によって、リング状の抱持体3の内径を容易に拡縮させることができ、抱持体3のハンドルバー1への抱持力を容易に変えることができる。そして、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにリング状の抱持体3を固定すれば、左右のハンドルバー1,1を容易に連接・固定でき、逆に、その部分における固定状態と連接状態を解除すれば、左右のハンドルバー1,1の折り畳みが可能となる。
【0015】
固定手段として、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部を抱持体3が抱持している状態において、先端が左右のハンドルバー1,1のいずれか一方の内端側突き合わせ部分1aに形成した孔1eに常に差し込まれる方向に付勢させた固定ピン5を用いることができる。この固定ピン5を用いると、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部をリング状の抱持体3が抱持している状態において、左右のハンドルバー1,1のいずれか一方の内端側突き合わせ部分1aに形成した孔1eにその先端を差し込むことができ、この固定ピン5によってリング状の抱持体3を左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aに容易に固定することができるので、左右のハンドルバーを容易に連接・固定できる。逆に、固定ピン5の先端を前記孔1eから抜いてリング状の抱持体3を左右のハンドルバー1,1を連接し得ない位置に動かせば、左右のハンドルバー1,1の折り畳みが可能となる。
【0016】
左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aをいずれも中空状とし、その中に連接部材をスライド可能に嵌入させておくとよい。このようにした場合には、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの中空内において、連接部材をスライドさせることができる。従って、その中空内で連接部材をスライドさせて左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部に跨るように位置させるだけで、左右のハンドルバー1,1を極めて簡単に連接することができる。逆に、連接部材をその位置から左右どちらかに移動させるだけで、左右のハンドルバー1,1の連接状態を極めて簡単に解除することができ、左右のハンドルバー1,1の折り畳みが可能となる。
【0017】
上記の場合において、左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置にある連接部材を、その位置に留めるための固定手段を備えておくとよい。固定手段としては、例えば、他方のハンドルバー1のねじ孔からその奥にある連接部材のねじ孔に達するねじなどを挙げることができる。このような固定手段が備えられていると、それにより連接部材を左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置に極めて簡単に固定することができる。従って、連接部材をその位置で留めておけば、左右のハンドルバー1,1を極めて簡単に連接・固定することができる。逆に、固定手段の固定状態を解除するとともに、連接部材をその位置から左右どちらかに移動させるだけで、左右のハンドルバー1,1の連接状態を極めて簡単に解除することができ、左右のハンドルバー1,1の折り畳みが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、連接部材を左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部に跨って位置させるだけで、左右のハンドルバー1,1を極めて簡単に連接することができ、逆に、連接部材をその位置から左右どちらかに移動させるだけで、左右のハンドルバー1,1の連接状態を簡単に解除することができ、左右のハンドルバー1,1の折り畳みが可能となる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、連接状態にある左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aをハンドルステム2の平面U字状の空間2b内に位置させることができるから、左右のハンドルバー1,1の連接部分が邪魔になることがない。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、連接部材を固定手段により左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置で固定することができるから、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分の連接状態を強固なものとすることができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部をリング状の抱持体3で抱持することができるから、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの連接状態を、より強固なものとすることができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、連接部材を長孔1bに沿って安定した状態でスライドさせることができるから、この連接部材を用いて左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおける連接状態と連接状態の解除とを確実に行うことができる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、中空状のハンドルバー1内において滑子1cが安定した状態でスライドし、この滑子1cとともに連接部材を長孔1bに沿ってより安定した状態でスライドさせることができる。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、リング状の抱持体3を手指で摘んで弾撥バネ1dの弾撥力に逆らって摺動させれば、左右のハンドルバー1,1に対する抱持体3の位置を変えることができるので、左右のハンドルバー1,1内端側の突き合わせ部分1a,1aにおける連接状態を解除することができる。逆に、抱持体3から手指を離せば、弾撥バネ1dの弾撥力により抱持体3を自動的に元の位置に摺動させることができるので、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aを自動的に連接することができる。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、固定手段であるエキセントリック4aの作用によって、リング状の抱持体3の内径を容易に拡縮させることができ、抱持体3のハンドルバー1への抱持力を容易に変えることができるから、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aに抱持体3を固定すれば、左右のハンドルバー1,1を容易に連接・固定できる。逆に、その部分における固定状態と連通状態を解除すれば、左右のハンドルバー1,1の折り畳みが可能となる。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部をリング状の抱持体3が抱持している状態において、左右のハンドルバー1,1のいずれか一方の内端側突き合わせ部分に形成した孔1eに先端が差し込まれた固定ピン5によって、リング状の抱持体3が左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aに固定され、左右のハンドルバー1,1を容易に連接・固定できる。逆に、固定ピン5の先端を前記孔1eから抜いてリング状の抱持体3を左右のハンドルバー1,1を連接し得ない位置に動かせば、左右のハンドルバー1,1の折り畳みが可能となる。
【0027】
請求項10記載の発明によれば、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの中空内において、連接部材をスライドさせることができるから、その中空内で連接部材をスライドさせて左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部に跨るように位置させるだけで、左右のハンドルバー1,1を極めて簡単に連接することができる。逆に、連接部材をその位置から左右どちらかに移動させるだけで、左右のハンドルバー1,1の連接状態を極めて簡単に解除することができ、左右のハンドルバー1,1の折り畳みが可能となる。
【0028】
請求項11記載の発明によれば、固定手段により連接部材を左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置に極めて簡単に固定することができるから、連接部材をその位置で留めておけば、左右のハンドルバー1,1を極めて簡単に連接・固定することができる。逆に、固定手段の固定状態を解除するとともに、連接部材をその位置から左右どちらかに移動させるだけで、左右のハンドルバー1,1の連接状態を極めて簡単に解除することができ、左右のハンドルバー1,1の折り畳みが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の好ましい実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
ここに例示する折り畳み・連接機構は、左右のハンドルバーが垂直下方に折曲されていないほぼ真直ぐな形状のものを折り畳んだり、連接する場合に用いると、最適であり、その内端側突き合わせ部分を連接することにより、左右のハンドルバーを側方に伸び出させることができ、逆に、その部分における連接状態を解除すれば、左右のハンドルバーを水平方向に折り畳むことができる。
【0030】
図1〜図6に第一の実施の形態を、図7に第二の実施の形態を、図8、図9に第三の実施の形態を、図10、図11に第四の実施の形態をそれぞれ示す。これらの場合において、左右のハンドルバー1,1は、図1〜図4に示すように、いずれも垂直下方には曲がらないほぼ真直ぐな形状のものであり、それぞれの内端側において平面U字状のハンドルステム2の左右の腕2a,2aの先端に枢着されており、ほぼ水平方向に回動させることができる。左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aを連接時において前記ハンドルステム2の平面U字状の空間2b内に位置させ得るようにしてある。
【0031】
ハンドルステム2の左右の腕2a,2a間であって、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aには、その両端部を抱持し得るリング状の抱持体3が備えられている。この抱持体3は、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aに、その両端部に跨って左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置と左右のハンドルバー1,1のいずれか一方の側にあって左右のハンドルバー1,1を連接し得ない位置との間をスライドする連接部材として用いられるものである。このリング状の抱持体3が左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部に跨った位置が左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置であり、左右のハンドルバー1,1のいずれか一方の側にあって左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部に跨らない位置が左右のハンドルバー1,1を連接し得ない位置である。
【0032】
リング状の抱持体3にはすり割り部分3aが形成されており、このすり割り部分3aには締め付け方向の軸3bと関連するエキセントリック4aを有する固定具4が取り付けられている。エキセントリック4aの作用によって、抱持体3のリング状部分がハンドルバー1,1を抱持する力(抱持力)を変えることができる。固定具4のレバー4bを緩めると、前記リング状部分の抱持力は弱くなり、逆に、固定具4のレバー4bを締め付けると、前記リング状部分の抱持力は強くなる。なお、エキセントリック4は受座4cで受けられ、また、締め付け方向の軸3bには袋ナット4dを螺着して固定具4をリング状の抱持体3に取り付けてある。
【0033】
左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおいて、固定具4のレバー4bを締め付けてリング状の抱持体3を図4に示すように固定すれば、左右のハンドルバー1,1を抱持体3のリング状部分で固定することができる。この場合には、図4に示すように、左右のハンドルバー1,1を側方に伸び出させることができる。逆に、固定具4のレバー4bを緩めてリング状の抱持体3を図3に示す位置に動かすと、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおける連接状態を解除することができ、左右のハンドルバー1,1を図2に示すように水平方向に折り畳むことができる。
【0034】
ここでは、図1に示すように、左右のハンドルバー1,1のいずれか一方の内端付近に、その長手方向に沿う長孔1bを形成し、この長孔1bに沿って連接部材であるリング状の抱持体3をスライドさせ得るようにしてある。その一例として、リング状の抱持体3に定着ピン3cを埋め込み、その内側を前記長孔1b内に位置させる場合を挙げることができる。そして、前記長孔1bを有するハンドルバー1の内端側突き合わせ部分1a,1aを中空状とし、その中にスライド可能に滑子1cを嵌入し、この滑子1cに前記長孔1bを介して前記定着ピン3cの先端を埋め込んで滑子1cと連接部材であるリング状の抱持体3とを結合してある。この場合には、中空状のハンドルバー1内においても滑子1cが安定した状態でスライドし、ハンドルバー1内の滑子1cとともに連接部材であるリング状の抱持体3を長孔1bに沿ってより安定した状態でスライドさせることができる。
【0035】
すなわち、連接部材であるリング状の抱持体3をハンドルバー1のガイド孔1cに沿って極めて安定した状態で摺動させることができる。そして、連接部材であるリング状の抱持体3を図4の状態から図3に示すように、また、図5の状態から図6に示すように、左右のハンドルバー1,1に沿って摺動させるだけで、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおける連接状態を容易に解除することができる。この状態で左右のハンドル1,1を図2に示すように回動させれば、左右のハンドルバー1,1を水平方向に折り畳むことができる。また、折り畳んだ左右のハンドルバー1,1を互いに一直線状となるように動かした後、リング状の抱持体3を図3に示す位置から元の位置に戻す(図4)と、左右のハンドルバー1,1の突き合わせ部分を抱持体3で抱持することができ、左右のハンドルバー1,1を容易に連接することができる。
【0036】
また、ここでは、図1、図5、図6に示すように、滑子1cと中空状のハンドルバー1の内奥との間に弾撥バネ1dが配置されている。この弾撥バネ1dの弾撥力により、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおける両端部をリング状の抱持体3が常に抱持し得る方向に付勢することができる。従って、リング状の抱持体3を手指で摘んで図5の状態から図6に示すように弾撥バネ1dの弾撥力に逆らって摺動させれば、左右のハンドルバー1,1に対する抱持体3の位置を変えることができ、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおける連接状態を簡単に解除することができる。逆に、抱持体3から手指を離せば、弾撥バネ1dの弾撥力により抱持体3を自動的に元の位置に摺動させることができ、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aを自動的に連接することができる。
【0037】
なお、図5、図6では、リング状の抱持体3にすり割り部分3aが形成されており、このすり割り部分3aに締め付け方向の軸3bと関連するエキセントリック4aを有する固定具4が取り付けられていることは、すでに説明したところである。これに対して、第二の実施の形態を示す図7では、すり割り部分3aのない単なるリング状の抱持体3を用いて左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aにおける連接状態を解除したり、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aを連接する場合が示されている。
【0038】
一方、第三の実施の形態を示す図8、図9では、第二の実施の形態(図7)に固定手段としての固定ピン5を付設した場合が例示されている。すなわち、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部をリング状の抱持体3が抱持している状態において、固定ピン5の先端が左右のハンドルバー1,1のいずれか一方の内端側突き合わせ部分1a,1aに形成した孔1eに常に差し込まれる方向に、固定ピン5を付勢させてある。なお、固定ピン5をこのように付勢させるに当っては、弾撥バネ5aと固定ピン5に定着させた当片5bとを用いればよい。
【0039】
左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部をリング状の抱持体3が抱持している状態において、弾撥バネ5aの弾撥力によって固定ピン5の先端が図8に示すように前記孔1eに差し込まれる。そして、この固定ピン5によってリング状の抱持体3が左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aに固定され、左右のハンドルバー1,1を容易に固定できる。逆に、弾撥バネ5aの弾撥力に逆らって固定ピン5の先端を図9に示すように前記孔1eから抜き、リング状の抱持体3を左右のハンドルバー1,1を連接し得ない位置に動かせば、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの連接状態が解除され、左右のハンドルバー1,1の折り畳みが可能となる。
【0040】
第四の実施の形態を示す図10、図11では、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aをいずれも中空状とし、その中に連接部材であるスライド部材6をスライド可能に嵌入させてある。このようにした場合には、左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの中空内において、連接部材であるスライド部材6をスライドさせることができる。従って、その中空内で連接部材であるスライド部材6を左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部に跨るように位置させる(図10)だけで、左右のハンドルバー1,1を極めて簡単に連接することができる。逆に、連接部材であるスライド部材6をその位置から図11に示すように左右どちらかに移動させるだけで、左右のハンドルバー1,1の連接状態を極めて簡単に解除することができる。
【0041】
図10、図11に示す場合には、連接部材であるスライド部材6を左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置に留めるための固定手段が備えられている。ここに例示する固定手段は、連接部材であるスライド部材6が左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部に跨っている状態において、他方のハンドルバー1のねじ孔1gからその奥にあるスライド部材6のねじ孔1hに達するねじ7からなっている。
連接部材であるスライド部材6が左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部に跨っている状態において、図10に示すように、ねじ7をねじ孔1gからスライド部材6のねじ孔1hにまでねじ込めば、連接部材であるスライド部材6を左右のハンドルバー1,1を連接し得る位置に留めることができ、左右のハンドルバー1,1を極めて簡単に連接することができる。逆に、ねじ込んだねじ7を抜くと、左右のハンドルバー1,1の連接状態を極めて簡単に解除することができる。
【0042】
前記第二の実施の形態(図7)、第三の実施の形態(図8、図9)においては、いずれも、長孔1bを有するハンドルバー1の内端側突き合わせ部分1aを中空状としてあり、また、その中にスライド可能に滑子1cが嵌入されており、この滑子1cに前記長孔1bを介して前記定着ピン3cの先端を埋め込んで滑子1cと連接部材であるリング状の抱持体3とを結合してあるが、それらの形態は第一の実施の形態(図5、図6)の場合と同じである。一方、前記第二の実施の形態(図7)及び第三の実施の形態(図8、図9)の場合には、滑子1cと中空状のハンドルバー1の内奥との間に弾撥バネ1dが配置されていて、その弾撥力によりリング状の抱持体3が自動的に左右のハンドルバー1,1の内端側突き合わせ部分1a,1aの両端部を抱持するように動くのに対し、第四の実施の形態(図10、図11)の場合においては、スライド部材6と中空状のハンドルバー1の内奥との間に引っ張りバネ8が配置されていて、その引張力によりスライド部材6が自動的に左右のハンドルバー1,1を連接し得ない位置に動く。
【0043】
なお、一例として示した上記ハンドルバーの折り畳み・連接機構は、本発明の範囲を逸脱しない範囲内において種々変更可能であり、また、この機構は特殊形態をなす折り畳み自転車のほか、通常の骨組みを有する自転車にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】左右2本のハンドルバーを水平に折り畳む形式のものに、本発明を適用した場合の第一の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】第一の実施の形態において、左右のハンドルバーを折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図3】第一の実施の形態において、折り畳んだ左右のハンドルバーを互いに一直線状となるように動かした後、連接部材を左右のハンドルバーを連接し得ない位置に在らしめた状態を示す平面図である。
【図4】連接部材を図3の状態から左右のハンドルバーを連接し得る位置に在らしめた状態を示す平面図である。
【図5】図4の場合における一部の拡大断面図である。
【図6】図5の状態から、連接部材を左右のハンドルバーを連接し得ない位置に在らしめた状態を示す一部の拡大断面図である。
【図7】第二の実施の形態を示す一部の拡大断面図である。
【図8】第三の実施の形態を示す一部の拡大断面図で、連接部材が左右のハンドルバーの内端側突き合わせ部分で固定された状態を示す。
【図9】図8の状態から、連接部材の固定状態が解除された状態を示す。
【図10】第四の実施の形態を示す一部の拡大断面図で、連接部材が左右のハンドルバーの内端側突き合わせ部分で固定された状態を示す。
【図11】図10の状態から、連接部材の固定状態と左右のハンドルバーの内端側突き合わせ部分における連接状態とが解除された状態を示す。
【符号の説明】
【0045】
1…ハンドルバー、1a…突き合わせ部分、1c…滑子、1d…弾撥バネ、1g,1h…ねじ孔、2…ハンドルステム、2a…腕、2b…空間、3…抱持体、3a…すり割り部分、3b…締め付け方向の軸、3c…定着ピン、4…固定具、4a…エキセントリック、4b…レバー、5…固定ピン、5a…弾撥バネ、6…スライド部材、7…ねじ、8…引っ張りバネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のハンドルバーの内端側突き合わせ部分に、その両端部に跨って左右のハンドルバーを連接し得る位置と左右のハンドルバーのいずれか一方の側にあって左右のハンドルバーを連接し得ない位置との間をスライドする連接部材を備えたことを特徴とするハンドルバーの折り畳み・連接機構。
【請求項2】
左右のハンドルバーを平面U字状のハンドルステムに平面的に回動させ得るように取り付け、左右のハンドルバーの内端側突き合わせ部分を連接時において前記ハンドルステムの平面U字状の空間内に位置させ得るようにしたことを特徴とする請求項1記載のハンドルバーの折り畳み・連接機構。
【請求項3】
ハンドルバーを連接し得る位置でハンドルバー上の連接部材を固定させるための固定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のハンドルバーの折り畳み・連接機構。
【請求項4】
連接部材が、左右のハンドルバーの内端側突き合わせ部分の両端部を抱持し得るリング状の抱持体であることを特徴とする請求項1又は3記載のハンドルバーの折り畳み・連接機構。
【請求項5】
左右のハンドルバーのいずれか一方の内端付近に、その長手方向に沿う長孔を形成し、この長孔に沿って連接部材をスライドさせ得るようにしたことを特徴とする請求項4記載のハンドルバーの折り畳み・連接機構。
【請求項6】
長孔を有するハンドルバーの内端側突き合わせ部分を中空状とし、その中にスライド可能に滑子を嵌入し、この滑子と連接部材とを前記長孔を介して定着ピンで接続したことを特徴とする請求項5記載のハンドルバーの折り畳み・連接機構。
【請求項7】
滑子と中空状のハンドルバーの内奥との間に弾撥バネを配置したことを特徴とする請求項6記載のハンドルバーの折り畳み・連接機構。
【請求項8】
固定手段が、リング状の抱持体の内径を拡縮させ得るエキセントリックであることを特徴とする請求項4記載のハンドルバーの折り畳み・連接機構。
【請求項9】
固定手段が、左右のハンドルバーの内端側突き合わせ部分の両端部を抱持体が抱持している状態において、先端が左右のハンドルバーのいずれか一方の内端側突き合わせ部分に形成した孔に常に差し込まれる方向に付勢させた固定ピンであることを特徴とする請求項4記載のハンドルバーの折り畳み・連接機構。
【請求項10】
左右のハンドルバーの内端側突き合わせ部分をいずれも中空状とし、その中に連接部材をスライド可能に嵌入させたさせたことを特徴とする請求項1記載のハンドルバーの折り畳み・連接機構。
【請求項11】
左右のハンドルバーを連接し得る位置にある連接部材を、その位置に留めるための固定手段を備えたことを特徴とする請求項10記載のハンドルバーの折り畳み・連接機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−213081(P2006−213081A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25167(P2005−25167)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(500514579)ジェイディジャパン株式会社 (20)
【Fターム(参考)】