説明

ハンマーグラブの掘削方法およびハンマーグラブ

【課題】シェルの閉鎖開始前にクランプでき、シェルの浮上防止を確実に行え、且つクランプの押圧力の微調節が可能なハンマーグラブを提供する。
【解決手段】クランプ取付腕6の基部上方所定位置に、上下移動体12を位置させ、ワイヤー16を弛めてハンマーグラブHを自由落下させ、シェルの先端の地盤上面当接による慣性力により上下移動体12を下降させてクランプ取付腕6をケーシングCの半径方向外側に移動させ、クランプ当接部10をケーシングCの内周に当接させてクランプし、ワイヤー16の牽引によりシェルが土砂を掬って閉鎖状態になると、クランプ解除シリンダ18に送油して上下移動体12をクランプ解除位置に移動させるハンマーグラブと、それを用いた掘削方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立坑掘削するためのハンマーグラブの掘削方法およびこれに使用するハンマーグラブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、立坑を掘削するにあたって、ケーシングを回転させつつ掘削地山をケーシングの先端刃先のチップで切り付けながら掘り進み、地山の土砂を該ケーシング内に取り込み、ケーシング内に取り込まれた土砂をハンマーグラブで掴み取り、坑外へ搬出する方法をオールケーシング工法と呼んでいる。
このオールケーシング工法では、ハンマーグラブを吊り込むワイヤーをシェルを閉じる手段として兼用しているために、ワイヤーを巻き上げてシェルを閉じようとすると、シェル先端が地山表面を滑ってハンマーグラブが浮上がり、土砂を掴まないままでハンマーグラブを上昇させることになる。
そこで、ハンマーグラブのシェルを取付けた機枠に、ケーシングの半径方向に出入りするクランプを設け、シェルを閉鎖させるために機枠に対して上昇する可動枠の上昇を利用して、クランプをケーシング内壁面に当接させて、ハンマーグラブの浮上がりを防止する構成は公知である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−348469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、シェルが閉鎖動作中に、クランプをケーシング内面に押し付けるので、シェル先端が地盤表面を滑っているときに未だクランプが十分に作用せず、シェルが浮上がり、シェルの浮上防止効果が十分でないという課題がある。
また、クランプの押圧力は、シェルの閉鎖用の可動枠の上昇を利用して回転するカム体の作用で決定されるので、微調節はできない。
本願は、簡単な構成で、シェルの浮上防止できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ケーシングCの内周面に当接するクランプ当接部10を先端に有するクランプ取付腕6の基部上方所定位置に、上下移動体12を位置させ、ワイヤー16を弛めてハンマーグラブHを下降させ、地盤上面の上方所定高さからハンマーグラブHを自由落下させ、シェル2の先端の地盤上面当接によりハンマーグラブHの下降が停止すると、この下降停止の慣性力により前記上下移動体12を下降させて、この下降により上下移動体12のカム面13をクランプ機構3のクランプ取付腕6のクランプ側カム面11に作用させ、クランプ取付腕6をケーシングCの半径方向外側に移動させ、前記クランプ当接部10をケーシングCの内周に当接させてハンマーグラブHの上下移動を固定状態にし、次に、ワイヤー16を牽引してシェル2が地盤の土砂を掬って閉鎖状態になると、ワイヤー16の牽引により圧力発生装置19が発生させる油圧を圧力制御弁20がクランプ解除シリンダ18に送油し、クランプ解除シリンダ18により上下移動体12のカム面13をクランプ側カム面11よりクランプ解除位置に移動させるハンマーグラブの掘削方法としたものである。
請求項2の発明は、ケーシングC内を上下する機枠1の下部に開閉するシェル2を設け、該シェル2の上方の機枠1に、ケーシングCの内周面に当接するクランプ当接部10を先端に有するクランプ取付腕6を、ケーシングCの半径方向に出入り自在に設けて構成したクランプ機構3を設け、前記クランプ取付腕6の上方に、該クランプ取付腕6をケーシングCの半径方向外側に向けて移動させる上下移動体12を上下移動自在に設け、該上下移動体12は、前記シェル2が自由落下状態ではバネ15の支持により前記クランプ取付腕6の上方に位置し、前記シェル2の地盤上面に当接して下降が停止すると、この下降停止により発生する慣性力で上下移動体12を下降させ、該上下移動体12と前記クランプ取付腕6との夫々のカム面13とカム面11の作用によって、前記クランプ取付腕6をケーシングCの半径方向外側に移動させる構成としたハンマーグラブとしたものである。
請求項3の発明は、前記シェル2はワイヤー16を弛めると開き、ワイヤー16を牽引すると閉じる構成とし、ワイヤー16の牽引に応じた圧力の油を送油する圧力発生装置19を設け、該圧力発生装置19には、圧力発生装置19からの送油が所定圧力になると送油する、圧力制御弁20を介して、上下移動体12のカム面13をクランプ取付腕6のカム面11から離脱させるクランプ解除シリンダ18を接続したハンマーグラブとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、自由落下したシェル2の先端が地盤に当っての下降停止を利用した慣性力により、上下移動体12を作動させてクランプ機構3によりケーシングCの内周にクランプでき、シェル2の先端が地盤表面を掬うときにはクランプ機構3を確実に作用させることができ、シェル2の浮上防止を確実にできる。
また、シェル2が地盤に当ったことを切っ掛けに上下移動体12がクランプ機構3をクランプするので、地盤の強弱状態によってハンマーグラブHの自由落下位置を変更しても、クランプ機構3をクランプさせることができ、それゆえ、地盤の状態に応じた調節ができ、シェル2の浮上防止を確実にできる。
また、自由落下したハンマーグラブHの下降停止を利用して上下移動体12のカム面13とクランプ取付腕6のカム面11とを作用させるので、クランプ取付腕6の移動誤差を吸収でき、常に、同じ圧力でクランプ機構3をクランプでき、シェル2の浮上防止効果の確実性を向上させ、シェル2による土砂の掬い上げ量をシェル2の最大容量にでき、作業効率を向上させることができる。
請求項2の発明では、ハンマーグラブHの下降停止を利用した慣性力で、上下移動体12を下降させてクランプ機構3をケーシングCの内周に固定する方法を実現する構成を簡素に提供できる。
請求項3の発明では、ワイヤー16を牽引してシェル2を閉じると、圧力発生装置19が所定圧力の油を送油することで、シェル2の閉じたタイミングを感知でき、この感知によりクランプ解除シリンダ18を作動させるので、シェル2が閉鎖して上昇するのとクランプ機構3のクランプ解除との同期を簡単に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ハンマーグラブの作動原理概略図。
【図2】シェル(ハンマーグラブ)が自由落下状態の作動原理概略図。
【図3】シェルが着底した状態の作動原理概略図。
【図4】シェルが閉鎖した状態の作動原理概略図。
【図5】ハンマーグラブのクランプ状態および非クランプ状態の一部縦断正面図。
【図6】クランプ機構部分の平面図。
【図7】シェル(ハンマーグラブ)が自由落下状態の正面概略図。
【図8】シェルが着底した状態の正面概略図。
【図9】シェルが閉鎖した状態の正面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の方法を実施しうるハンマーグラブHの一実施例を図により説明する。図1〜図4は、本願の作動原理の概略を示す概略図であり、ケーシングC内を上下する機枠1(図5、図7)の下部に開閉するシェル2を設け、シェル2の上方の機枠1の部位には、クランプ機構3を設ける。クランプ機構3は、機枠1に固定状態に設けたケーシングCの軸心に対する半径方向外側に突出する支持筒5を、少なくとも、一対設ける。各支持筒5にクランプ取付腕6をケーシングCの半径方向に摺動自在に夫々取付け、クランプ取付腕6の先端にケーシングCの内周面に当接するクランプ当接部10を設けている。
【0009】
前記クランプ取付腕6の基部には下方に至るに従いケーシングCの軸心に近づくように傾斜するカム面(クランプ側カム面)11を設ける。クランプ側カム面11の上方所定位置には、クランプ当接部10をケーシングCの内周面に向けて移動させる上下移動体12を設ける。上下移動体12は後述するように、クランプ機構3を作動させるための、所定の慣性を発生させるのに充分な質量を有して形成し、上下移動体12には前記クランプ側カム面11に当接するカム面(作動用カム面)13を設ける。作動用カム面13も上下移動体12のクランプ側カム面11と同様に下方に至るに従いケーシングCの軸心に近づくように傾斜して形成する。
【0010】
15は上下移動体12をクランプ取付腕6の上方に待機するように支持するバネであり、所定位置に設ける。図1では理解を容易にするため、バネ15が上下移動体12を吊設するように図示しているが、図5,図7ではクランプ当接部10の移動方向に伸縮作用させて上下移動体12を支持するようにしている(なお、図5では左側部分がクランプ状態を、右側部分が非クランプ状態を図示している。また、図6では左側部分が平面視状態を、右側部分が一部破断状態を図示している。)
【0011】
16は前記シェル2を開閉させるワイヤーである。ワイヤー16の端部はワイヤー16の牽引力を感知する圧力発生装置19に接続する。圧力発生装置19には、圧力制御弁20を介して、後述する前記上下移動体12をクランプ機構3から離脱させるクランプ解除シリンダ18を接続する。
【0012】
本願では、上下移動体12を、掘削開始前の非クランプ(固定)状態のクランプ取付腕6のクランプ側カム面11の上方所定位置にバネ15の弾力により支持して位置させ、ワイヤー16を弛めてシェル2および機枠1(ハンマーグラブH)を下降させ、このシェル2および機枠1(ハンマーグラブH)を所定高さから自由落下させてシェル2の先端が地盤上面に達し、これによりシェル2および機枠1(ハンマーグラブH)の下降が停止すると、このときの下降停止により上下移動体12自体に発生する慣性力により下降させて、上下移動体12の作動用カム面13をクランプ取付腕6のクランプ側カム面11に当接させて、クランプ取付腕6をケーシングCの半径方向外側に移動させ、クランプ当接部10をケーシングCの内周に当接させてクランプ機構3をクランプ状態にする。
【0013】
次に、ワイヤー16を上方に牽引し、圧力発生装置19はワイヤー16の牽引状態に応じて圧力制御弁20に送油し、シェル2が地盤の土砂を掬って閉鎖状態になると、圧力発生装置19からの圧力制御弁20への送油圧力が所定圧力となり、圧力制御弁20はクランプ解除シリンダ18に向けて送油し、クランプ解除シリンダ18は上下移動体12を、掘削開始前のクランプ側カム面11の上方所定位置に復帰させる。
【0014】
上記のように、本願は、バネ15で支持している上下移動体12を慣性力により下降させることにより、シェル2が地盤へ当接するタイミングとクランプ機構3のクランプ当接部10のクランプタイミングを同期させ、更に、シェル2が地盤の土砂を掬う際のワイヤー16の牽引力に応じて圧力発生装置19が圧力制御弁20に送油して、圧力制御弁20はシェル2が閉鎖すると、クランプ解除シリンダ18により上下移動体12をクランプ機構3から離脱させて、クランプ機構3を開放し、そのまま、土砂を掬って閉鎖したシェル2(ハンマーグラブH)を上昇させる。
しかも、地盤の強弱によってハンマーグラブHを自由落下させる高さを変更し、この地盤の状態に応じて、ハンマーグラブHを自由落下させる高さを変更しても、上下移動体12自体に発生する慣性力には影響せず、上下移動体12の下降によってクランプ状態にする。
【0015】
しかして、具体的な一例を図5で示し、機枠1の上部には上部取付部25に形成し、上部取付部25にはクレーン(図示省略)のワイヤーの端部を接続する接続用ワイヤー26を設ける。
上部取付部25の下方の機枠1には、前記クランプ機構3を設ける。上部取付部25の下方の機枠1のクランプ取付部27にケーシングCの半径方向に突出するクランプ取付フレーム28を取付け、クランプ取付フレーム28に各支持筒5を固定状態に夫々取付ける。各支持筒5にクランプ取付腕6をケーシングCの半径方向に摺動自在に夫々取付ける。クランプ取付腕6の先端にクランプ当接部10を設ける。
【0016】
前記各クランプ取付腕6の基部のクランプ側カム面11の内側上方にはリング状の上下移動体12を設けている。上下移動体12は半径方向および上下方向に所定の厚さを有し、上下移動体12の外周にはクランプ取付腕6のクランプ側カム面11に当接する前記作動用カム面13を設ける。上下移動体12は、機枠1のクランプ取付フレーム28の下方に設けた支持部36の外周に上下移動自在に嵌合させる。
【0017】
前記バネ15はクランプ取付腕6をケーシングCの軸心に向けて移動するように付勢し、クランプ取付腕6のクランプ側カム面11が上下移動体12の作動用カム面13を押し上げ、上下移動体12を上方所定位置に保持させる(図6)。
そのため、バネ15は、上下移動体12の質量を支持する弾力を有するように設定する。
即ち、バネ15は上下移動体12をクランプ取付腕6の上方所定位置で上下しないように支持し、しかも、ハンマーグラブHの下降停止による慣性力で上下移動体12が下降して、上下移動体12の作動用カム面13がクランプ取付腕6のクランプ側カム面11を半径方向に押し出すように、バネ15の弾力および上下移動体12の質量を設定する。
【0018】
前記圧力発生装置19は油圧シリンダ31により構成する。32は油圧シリンダ31のシリンダチューブ、33は油圧シリンダ31のピストン、34はロッド、35はピストン33を常時下降させるように付勢するバネであり、圧力発生装置19はシリンダチューブ32またはロッド34の何れか一方にワイヤー16を接続し、シリンダチューブ32またはロッド34の何れか他方を前記機枠1側に係止する。
また、40はクランプ解除シリンダ18のシリンダ、41はピストン、42はロッド、43はピストン41を常時下降させるように付勢するバネである。
【0019】
クランプ解除シリンダ18は、そのロッド42の上端が上下移動体12の下面に当接して押し上げることにより、上下移動体12をクランプ状態から解除する。
前記機枠1の支持部36の下部にはシェル取付部46を設け、シェル取付部46の下部にシェル2の基部の内側部分を取付軸47により回動自在に取付ける。
ワイヤー16によるシェル2を開閉させる機構の構成は任意であるが、本願では滑車により構成し、シェル取付部46に第一固定側滑車52と第二固定側滑車53を有する固定滑車取付部54を設け、固定滑車取付部54に対して第一移動側滑車55と第二移動側滑車56を有する移動滑車取付体57を移動自在に設け、移動滑車取付体57とシェル2とを作動ロッド60により連結する。
【0020】
50は、ワイヤー16の牽引により移動滑車取付体57を固定滑車取付部54に対して移動させ、移動滑車取付体57の移動を作動ロッド60が伝達してシェル2を開閉させる。
そのため、固定滑車取付部54と移動滑車取付体57との位置関係に応じて、作動ロッド60とシェル2とを連結する。
【0021】
実施例では、シェル取付部46の下部に固定滑車取付部54を機枠1に対して位置不動状態に取付け、固定滑車取付部54の上方に移動滑車取付体57を移動自在に設けており、移動滑車取付体57は、図示は省略するが、バネにより常時固定滑車取付部54の上方所定高さ位置に位置するように保持され、ワイヤー16を牽引すると、移動滑車取付体57が下降し、移動滑車取付体57の下降により作動ロッド60が下降してシェル2を閉鎖させる。
反対に、ワイヤー16を緩めると、移動滑車取付体57がバネ(図示省略)の弾力により上昇し、移動滑車取付体57の上昇により作動ロッド60がシェル2を牽引して開放させる。
【0022】
(実施例の作用)
ハンマーグラブHをケーシングC内に吊り込み、ケーシングC内の底部地盤面に対して所定高さにて、ワイヤー16の吊設状態を開放してハンマーグラブHを自由落下させ、シェル2の先端を地盤面に食い込ませる。
シェル2の先端が地盤面に食い込むと、ハンマーグラブHの下降は停止するが、上下移動体12は上下移動体12自体に作用する慣性力で下降し、上下移動体12の作動用カム面13がクランプ機構3のクランプ側カム面11をケーシングCの半径方向外側に移動させ、クランプ当接部10がケーシングCの内周面に当接し、クランプ状態になる。
そのため、シェル2が閉鎖方向に作動する前に、クランプ機構3はクランプ状態になってハンマーグラブHの上下動を固定し、ワイヤー16を牽引してシェル2の先端が地盤表面を掬うときの浮き上がり確実に防止する。
【0023】
次に、ワイヤー16を牽引すると、移動滑車取付体57を上動させるように付勢するバネ(図示省略)の弾力により開放していたシェル2の閉鎖が開始され、シェル2は地盤の土砂を掬い、シェル2が閉鎖すると、圧力発生装置19の送油圧が所定圧になって圧力制御弁20はクランプ解除シリンダ18に向けて送油し、クランプ解除シリンダ18は上下移動体12を、掘削開始前のクランプ側カム面11の上方所定位置に復帰させ、クランプ機構3のクランプ当接部10はケーシングCの内周面から離脱してクランプ機構3を開放させ、ハンマーグラブHを上昇させてケーシングC外に出して、土砂を排出する。
この作業を反復して、ケーシングC内の掘削作業を行う。
しかして、上下移動体12は機枠1に対して上下動自在に設け、バネ15により所定位置に支持されているので、シェル2の先端が地盤面に食い込んだときのハンマーグラブHの下降停止に起因する慣性力で下降して、クランプ機構3のクランプ当接部10をケーシングCの内周面に当接させる。
そのため、シェル2の接地とクランプ機構3のクランプとを簡単に同期させられる。
この場合、地盤の強弱に応じて、シェル2(ハンマーグラブH)を自由落下させる高さを変更調節するが、自由落下させる高さを変更しても、上下移動体12自体に作用する慣性力は変化せず、クランプ機構3をクランプさせることができ、作業適用範囲を広げられる。
【0024】
また、上下移動体12は上下移動体12自体に作用する慣性力で下降し、この上下移動体12の下降により作動用カム面13とクランプ側カム面11とが作用して、クランプ当接部10をケーシングCの半径方向外側に移動させるので、クランプ取付腕6のクランプ側カム面11と上下移動体12の作動用カム面13は、何れも、下方に至るに従いケーシングCの軸心に近づくように傾斜させて形成すればよく、設定・製造・組付が容易になる。
【0025】
また、クランプ側カム面11と作動用カム面13の長さを、上下移動体12の下降量より大きく設定すればよいので、クランプ当接部10とケーシングC内周との間の間隔が相違していても、上下移動体12の作動用カム面13とクランプ取付腕6のクランプ側カム面11との当接高さ位置が変化するだけで、誤差を吸収してクランプ当接部10をケーシングCの内周面に当接させてクランプでき、クランプ機構3のクランプの確実性を向上させられる。
【0026】
また、クランプ取付腕6のクランプ側カム面11と上下移動体12の作動用カム面13の構成と、バネ15による上下移動体12の支持構成により、慣性力によって上下移動体12を作動させて、クランプ機構3をクランプするので、面倒な設定や調節を必要とせずに、クランプ機構3のクランプの確実性を向上させられる。
【0027】
なお、上下移動体12をクランプ取付腕6の上方所定位置に退避させるクランプ解除シリンダ18は、圧力制御弁20を介して圧力発生装置19と接続しているので、ワイヤー16を弛めてハンマーグラブHを自由落下させているときには、圧力発生装置19および圧力制御弁20は作動せず、クランプ解除シリンダ18も非作動状態となる。
しかして、上部取付部25の下方の機枠1のクランプ取付部27にケーシングCの半径方向に突出するクランプ取付フレーム28を取付け、クランプ取付フレーム28に支持筒5を固定状態に取付け、支持筒5にクランプ取付腕6をケーシングCの半径方向に摺動自在に取付けているので、上下移動体12が落下して、上下移動体12の作動用カム面13がクランプ取付腕6のクランプ側カム面11を押すと、クランプ取付腕6は支持筒5に案内されて、外側に移動してクランプ当接部10をケーシングC内周に当接させる。
【0028】
クランプ取付腕6の基部のクランプ側カム面11の内側にはリング状の上下移動体12を設けているので、上下移動体12は機枠1のクランプ取付フレーム28の下方に設けた支持部36の外周に案内されて上下する。
前記機枠1の支持部36の下部にはシェル取付部46を設け、シェル取付部46の下部にシェル2の基部の内側部分を取付軸47により回動自在に取付け、シェル取付部46に第一固定側滑車52と第二固定側滑車53を有する固定滑車取付部54を設け、固定滑車取付部54に対して第一移動側滑車55と第二移動側滑車56を有する移動滑車取付体57を移動自在に設け、移動滑車取付体57とシェル2とを作動ロッド60により連結しているので、ワイヤー16の牽引により移動滑車取付体57を固定滑車取付部54に対して下方移動させ、移動滑車取付体57の移動を作動ロッド60が伝達してシェル2を閉鎖させる。
【0029】
反対に、ワイヤー16を弛めると、移動滑車取付体57をバネ(図示省略)の弾力により固定滑車取付部54に対して上方移動させ、移動滑車取付体57の移動を作動ロッド60が伝達してシェル2を開放して、土砂を排出する。
【符号の説明】
【0030】
1…機枠、2…シェル、3…クランプ機構、5…支持筒、6…クランプ取付腕、10…クランプ当接部、11…クランプ側カム面、12…上下移動体、13…作動用カム面、15…バネ、16…ワイヤー、18…クランプ解除シリンダ、19…圧力発生装置、20…圧力制御弁、25…上部取付部、26…接続用ワイヤー、27…クランプ取付部、28…クランプ取付フレーム、31…油圧シリンダ、32…シリンダチューブ、33…ピストン、34…ロッド、35…バネ、36…支持部、40…シリンダ、41…ピストン、42…ロッド、43…バネ、46…シェル取付部、47…取付軸、52…第一固定側滑車、53…第二固定側滑車、54…固定滑車取付部、55…第一移動側滑車、56…第二移動側滑車、57…移動滑車取付体、60…作動ロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングCの内周面に当接するクランプ当接部10を先端に有するクランプ取付腕6の基部上方所定位置に、上下移動体12を位置させ、ワイヤー16を弛めてハンマーグラブHを下降させ、地盤上面の上方所定高さからハンマーグラブHを自由落下させ、シェル2の先端の地盤上面当接によりハンマーグラブHの下降が停止すると、この下降停止の慣性力により前記上下移動体12を下降させて、この下降により上下移動体12のカム面13をクランプ機構3のクランプ取付腕6のクランプ側カム面11に作用させ、クランプ取付腕6をケーシングCの半径方向外側に移動させ、前記クランプ当接部10をケーシングCの内周に当接させてハンマーグラブHの上下移動を固定状態にし、次に、ワイヤー16を牽引してシェル2が地盤の土砂を掬って閉鎖状態になると、ワイヤー16の牽引により圧力発生装置19が発生させる油圧を圧力制御弁20がクランプ解除シリンダ18に送油し、クランプ解除シリンダ18により上下移動体12のカム面13をクランプ側カム面11よりクランプ解除位置に移動させるハンマーグラブの掘削方法。
【請求項2】
ケーシングC内を上下する機枠1の下部に開閉するシェル2を設け、該シェル2の上方の機枠1に、ケーシングCの内周面に当接するクランプ当接部10を先端に有するクランプ取付腕6を、ケーシングCの半径方向に出入り自在に設けて構成したクランプ機構3を設け、前記クランプ取付腕6の上方に、該クランプ取付腕6をケーシングCの半径方向外側に向けて移動させる上下移動体12を上下移動自在に設け、該上下移動体12は、前記シェル2が自由落下状態ではバネ15の支持により前記クランプ取付腕6の上方に位置し、前記シェル2の地盤上面に当接して下降が停止すると、この下降停止により発生する慣性力で上下移動体12を下降させ、該上下移動体12と前記クランプ取付腕6との夫々のカム面13とカム面11の作用によって、前記クランプ取付腕6をケーシングCの半径方向外側に移動させる構成としたハンマーグラブ。
【請求項3】
請求項2において、前記シェル2はワイヤー16を弛めると開き、ワイヤー16を牽引すると閉じる構成とし、ワイヤー16の牽引に応じた圧力の油を送油する圧力発生装置19を設け、該圧力発生装置19には、圧力発生装置19からの送油が所定圧力になると送油する、圧力制御弁20を介して、上下移動体12のカム面13をクランプ取付腕6のカム面11から離脱させるクランプ解除シリンダ18を接続したハンマーグラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−87417(P2013−87417A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225500(P2011−225500)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000177416)三和機材株式会社 (144)
【Fターム(参考)】