説明

ハードコートフィルム、偏光板、画像表示装置、ハードコート層の密着性向上方法およびハードコートフィルムの製造方法

【課題】相溶層設計のできない樹脂フィルムに対して、紫外線カット機能が付与されているにもかかわらず、高い密着性を持ったハードコート層を付与したハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】樹脂フィルム110表面に、ハードコート層120を有するハードコートフィルム100であって、ハードコート層120が、紫外線カット機能を有しており、ハードコート層120が、紫外線反応性樹脂および溶剤を含むハードコート層形成材料を用いて形成されており、樹脂フィルム110とハードコート層120との界面に相溶層が形成されず、樹脂フィルム110のハードコート層120を有する面110aが、表面改質処理がされており、ハードコート層120の、樹脂フィルム110側の界面における前記反応性樹脂の反応率が、55%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコートフィルム、偏光板、画像表示装置、ハードコート層の密着性向上方法およびハードコートフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードコートフィルムは、陰極管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)およびエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の、様々な画像表示装置において、傷付き防止を図るために、ディスプレイ表面に配置される。前記ハードコートフィルムとしては、樹脂フィルムの片面若しくは両面に厚み2〜10μmの薄いハードコート層が形成されたハードコートフィルムが用いられるのが一般的である。前記ハードコートフィルムは、通常、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂等のハードコート層形成用組成物を用い、樹脂フィルム上に塗膜を形成、硬化して形成される。このような樹脂フィルム上に形成された塗膜については、密着性向上のために界面の状態に着目した検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。また、従来のハードコートフィルムでは、基材(樹脂フィルム)とハードコート層との界面で相溶層が形成されることにより、密着性を得ていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−249108号公報
【特許文献2】特開2004−333702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ハードコート層を形成する基材として、相溶層を形成しない基材を用いることも求められるようになっている。このような基材を用いる場合には、ハードコート層の密着性が不十分であるという問題がある。
【0005】
一方、紫外線による表示装置等の劣化を防止することを目的として、紫外線カット機能(紫外線遮断機能)を付与したハードコートフィルムがある。一般に、ハードコート層には紫外線硬化型の樹脂が用いられているが、ハードコート層に紫外線カット機能を付与すると、ハードコート層の硬化に必要な紫外線もカットされてしまうという問題が生じる。
【0006】
本発明は、相溶層設計のできない樹脂フィルムに対して、紫外線カット機能が付与されているにもかかわらず、高い密着性を持ったハードコート層を付与したハードコートフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のハードコートフィルムは、樹脂フィルム表面に、ハードコート層を有するハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層が、紫外線カット機能を有しており、
前記ハードコート層が、紫外線反応性樹脂および溶剤を含むハードコート層形成材料を用いて形成されており、
前記樹脂フィルムと前記ハードコート層との界面に相溶層が形成されず、
前記樹脂フィルムの前記ハードコート層を有する面が、表面改質処理がされており、
前記ハードコート層の、前記樹脂フィルム側の界面における前記反応性樹脂の反応率が、55%以上であることを特徴とする。
【0008】
本発明の偏光板は、偏光子およびハードコートフィルムを有する偏光板であって、前記ハードコートフィルムが、前記本発明のハードコートフィルムであることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像表示装置は、ハードコートフィルムを備える画像表示装置であって、前記ハードコートフィルムが前記本発明のハードコートフィルムであることを特徴とする。
【0010】
本発明の画像表示装置は、偏光板を備える画像表示装置であって、前記偏光板が前記本発明の偏光板であることを特徴とする。
【0011】
本発明のハードコート層の密着性向上方法は、樹脂フィルム表面に、ハードコート層を有するハードコートフィルムにおけるハードコート層の密着性向上方法であって、
前記ハードコート層が、紫外線カット機能を有しており、
前記ハードコート層を、紫外線反応性樹脂および溶剤を含むハードコート層形成材料を用いて形成し、
前記樹脂フィルムおよび前記ハードコート層形成材料として、前記樹脂フィルムと前記ハードコート層との界面に相溶層を形成しないものを用い、
前記樹脂フィルムの前記ハードコート層を有する面に、表面改質処理を行い、
前記ハードコート層の、前記樹脂フィルム側の界面における前記反応性樹脂の反応率を、55%以上とすることを特徴とする。
【0012】
本発明のハードコートフィルムの製造方法は、樹脂フィルム表面に、ハードコート層を有するハードコートフィルムの製造方法であって、
前記樹脂フィルムの前記ハードコート層を形成する面に表面改質を行う、表面改質処理工程と、
紫外線反応性樹脂および溶剤を含み、紫外線カット機能を有するハードコート層形成材料を、前記樹脂フィルム表面に塗工して塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を紫外線照射により硬化させる硬化工程とを含み、
前記樹脂フィルムおよび前記ハードコート層形成材料として、前記樹脂フィルムと前記ハードコート層との界面に相溶層を形成しないものを用い、
前記ハードコート層の、前記樹脂フィルム側の界面における前記反応性樹脂の反応率を、55%以上とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のハードコートフィルムでは、樹脂フィルムのハードコート層を有する面が、表面改質処理がされており、ハードコート層の、樹脂フィルム側の界面における反応性樹脂の反応率が、55%以上であるので、相溶層設計のできない樹脂フィルムに対して高い密着性を持ち、かつ、紫外線カット機能を有するハードコート層を付与したハードコートフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明のハードコートフィルムの構成の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のハードコートフィルムにおいて、前記表面改質処理が、プラズマ処理、コロナ放電処理および下塗り層形成処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの処理であることが好ましい。
【0016】
本発明のハードコートフィルムにおいて、前記反応性樹脂が、アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物を含むことが好ましい。
【0017】
本発明のハードコートフィルムにおいて、前記ハードコート層形成材料が、さらに反応開始剤を含み、前記反応開始剤が紫外線反応型ラジカル発生開始剤であることが好ましい。
【0018】
本発明のハードコートフィルムにおいて、前記ハードコート層が、紫外線吸収剤を含有していることが好ましい。
【0019】
本発明のハードコートフィルムにおいて、前記樹脂フィルムが、例えば、ノルボルネンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるフィルムであってもよい。本発明では、前記樹脂フィルムが、熱や溶剤によって相溶層を形成しないフィルムであっても、高い密着性を持ち、かつ、紫外線カット機能を有するハードコート層を付与したハードコートフィルムを得ることができ、熱や溶剤によって相溶層を形成しないフィルムとして、例えば、前記樹脂フィルムがあげられる。
【0020】
本発明のハードコートフィルムの製造方法において、前記紫外線照射を、前記塗膜の前記樹脂フィルム側から行うことが好ましい。
【0021】
本発明のハードコートフィルムの製造方法において、前記紫外線照射を、紫外線波長365nmにおいて150mJ/cm以上の積算光量で行うことが好ましい。
【0022】
つぎに、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の記載により制限されない。
【0023】
本発明のハードコートフィルムは、樹脂フィルム表面に、ハードコート層を有するものであり、前記ハードコート層が、紫外線カット機能を有しており、前記ハードコート層が、紫外線反応性樹脂および溶剤を含むハードコート層形成材料を用いて形成されている。
【0024】
図1は、本発明のハードコートフィルムの構成の一例の概略断面図である。図示のとおり、このハードコートフィルム100は、樹脂フィルム110上にハードコート層120を有している。樹脂フィルム110のハードコート層120を有する面110aには、表面改質処理がされている。また、樹脂フィルム110とハードコート層120との界面には、相溶層が形成されていない。
【0025】
前記紫外線反応性樹脂としては、例えば、紫外線で硬化する紫外線硬化性樹脂があげられ、市販の紫外線硬化型樹脂等を用いることも可能である。
【0026】
前記紫外線硬化型樹脂としては、例えば、光(紫外線)により硬化するアクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物が使用でき、例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物のアクリレートやメタクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマー等があげられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0027】
前記紫外線反応性樹脂には、例えば、アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する反応性希釈剤を用いることもできる。前記反応性希釈剤は、例えば、特開2008−88309号公報に記載の反応性希釈剤を用いることができ、例えば、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能アクリレート、多官能メタクリレート等を含む。前記反応性希釈剤としては、3官能以上のアクリレート、3官能以上のメタクリレートが好ましい。これは、ハードコート層の硬度を、優れたものにできるからである。前記反応性希釈剤としては、例えば、ブタンジオールグリセリンエーテルジアクリレート、イソシアヌル酸のアクリレート、イソシアヌル酸のメタクリレート等もあげられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
また、前記ハードコート層形成材料は、さらに反応開始剤を含んでいてもよく、前記反応開始剤が、紫外線反応型ラジカル発生開始剤であることが好ましい。前記紫外線反応型ラジカル発生開始剤樹脂としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等があげられ、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドを特に好ましく用いることができる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0029】
前記溶剤は、特に制限されず、種々の溶剤を使用可能であり、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等があげられる。本発明においては、前記樹脂フィルムとハードコート層との界面の相溶層形成を考慮する必要がないため、前記樹脂フィルムを溶解しない溶剤を使用することができる。
【0030】
前記ハードコート層形成材料には、各種レベリング剤を添加することができる。前記レベリング剤としては、塗工ムラ防止(塗工面の均一化)を目的に、例えば、フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤を用いることができる。本発明では、ハードコート層表面に防汚性が求められる場合、または、反射防止層(低屈折率層)等がハードコート層上に形成される場合などに応じて、適宜レベリング剤を選定することができる。
【0031】
前記レベリング剤の配合量は、前記樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部の範囲であり、好ましくは0.01〜20重量部の範囲である。
【0032】
前記ハードコート層は、紫外線カット機能を有している。紫外線カット機能の付与のためには、例えば、紫外線吸収剤を前記ハードコート層形成材料に添加すればよい。前記紫外線吸収剤としては、公知のものを使用できる。例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系、トリアジン系の紫外線吸収剤があげられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等があげられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロルベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等があげられる。サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリチル酸エステルなどがあげられる。トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等があげられるが、これらに限定されない。
【0033】
紫外線カット機能の付与には、例えば、酸化チタンや酸化亜鉛に代表される紫外線反射材料を、前記ハードコート層形成材料に添加することで、物理的に紫外線を反射・散乱させる方法を採用することもできる。
【0034】
前記ハードコート層形成材料には、必要に応じて、性能を損なわない範囲で、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、界面活性剤、防汚剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤等が添加されてもよい。これらの添加剤は一種類を単独で使用してもよく、また二種類以上併用してもよい。
【0035】
本発明のハードコートフィルムにおいては、前記樹脂フィルムの前記ハードコート層を有する面に、表面改質処理がされている。前記表面改質処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理および下塗り層形成処理等があげられる。これらの処理は、1種類を単独で行ってもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
前記プラズマ処理では、放電気体中に、電子、イオンおよびラジカル等の励起した分子が基材分子と反応して、基材表面にラジカルが生成する。この処理面に空気が触れることで、基材表面にカルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびカルボキシル基等の、極性官能基が生成する。前記コロナ放電処理には、放電自体による物理的な表面改質と極性官能基生成による化学的な表面改質とがある。前記化学的な表面改質では、高エネルギーの電子やイオンが衝突して、基材表面にラジカルやイオンが生成し、これに周囲のオゾン、酸素、窒素および水分が反応して、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基などの極性官能基が生成する。前記下塗り層形成処理は、前記樹脂フィルム上に、例えば、易接着層を設ける処理である。前記下塗り層としては、塩素化ポリエチレン系プライマー、ウレタン系プライマー、アクリレート系プライマー、シランカップリング剤等があげられる。
【0037】
本発明のハードコートフィルムにおいて、前記樹脂フィルムとハードコート層との界面において、相溶層は形成されていない。前記相溶層は、前記ハードコート層の形成材料に含まれる樹脂成分が、前記樹脂フィルムに浸透して樹脂フィルムの成分と相溶することによって形成される。前記相溶層は、例えば、前記ハードコート層に含まれる樹脂がアクリル樹脂であり、前記樹脂フィルムがトリアセチルセルロース(TAC)である場合に形成される。しかし、前記樹脂フィルムが、ノルボルネンや、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムであると、相溶層は形成されない。相溶層が形成されると、樹脂フィルムとハードコート層との密着性が向上するが、相溶層が形成されない場合には、従来は、前記の密着性が十分得られていなかった。本発明のハードコートフィルムでは、このような相溶層が形成されないハードコートフィルムに適用した場合に、良好な密着性を得ることができる。
【0038】
前記樹脂フィルムは、特に制限されないが、前記相溶層が形成されないものである。前記樹脂フィルムは、可視光の光線透過率に優れ(好ましくは光線透過率90%以上)、透明性に優れるもの(好ましくはヘイズ値1%以下のもの)が好ましく、例えば、特開2008−90263号公報に記載の樹脂フィルムがあげられる。前記樹脂フィルムとしては、光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。本発明のハードコートフィルムは、例えば、保護フィルムとして偏光板に使用することもでき、この場合には、前記樹脂フィルムとしては、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等から形成されたフィルムが好ましい。また、本発明において、後述するように、前記樹脂フィルムは、偏光子自体であってもよい。このような構成であると、TAC等からなる保護層を不要とし偏光板の構造を単純化できるので、偏光板若しくは画像表示装置の製造工程数を減少させ、生産効率の向上が図れる。また、このような構成であれば、偏光板を、より薄層化することができる。なお、前記樹脂フィルムが偏光子である場合には、ハードコート層が、従来の保護層としての役割を果たすことになる。また、このような構成であれば、ハードコートフィルムは、例えば、液晶セル表面に装着される場合、カバープレートとしての機能を兼ねることになる。
【0039】
本発明において、前記樹脂フィルムの厚みは、特に制限されないが、例えば、強度、取り扱い性などの作業性および薄層性などの点を考慮すると、10〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは20〜300μmの範囲であり、最適には、30〜200μmの範囲である。前記樹脂フィルムの屈折率は、特に制限されない。前記屈折率は、例えば、1.3〜1.8の範囲であり、好ましくは、1.4〜1.7の範囲である。
【0040】
本発明のハードコートフィルムは、前記ハードコート層の、前記樹脂フィルム側の界面における前記反応性樹脂の反応率が、55%以上である。前記反応率は、好ましくは、60%以上であり、より好ましくは、70%以上である。反応率とは、前記反応性樹脂中に存在する重合性基のうち、反応済み重合性基の数の、反応済み重合性基の数と未反応の重合性基の数との和に対する割合である。
【0041】
本発明においては、相溶層が形成されない場合に、前記反応率が高いのみでは、十分な密着性は得られず、前記表面改質処理がされていることが必要であることが見出された。これは、前記反応率が55%以上と、界面での十分な反応率が得られている場合は、ハードコート層を形成する樹脂の反応性官能基においてラジカルが十分に発生し、樹脂フィルムの表面改質処理された面の反応性官能基と結合をより多く作ることで密着性を発現できるものと推察される。
【0042】
また、前記ラジカルが発生し重合反応が開始すると、すぐさま樹脂フィルムの表面改質処理された面の反応性官能基と結合を作る。界面での十分な反応率が得られている場合は、界面付近のハードコート層形成樹脂のポリマー鎖が三次元構造を多くとり、前記樹脂フィルムと前記ハードコート層とが、より強固に結び付くことで、凝集破壊が起こらず密着性が得られるとも推測される。
【0043】
さらに、また、樹脂フィルムの表面改質された面の極性を持つ置換基とハードコート層形成樹脂とが分子間力や水素結合により結びつく。界面での十分な反応率が得られている場合は、界面付近のハードコート層形成樹脂のポリマー鎖が三次元構造を多くとり、前記樹脂フィルムと前記ハードコート層とが、より強固に結び付くことで、凝集破壊が起こらず密着性が得られるとも推測される。
【0044】
ただし、本発明は、これらの推察により、なんら制限および限定されない。
【0045】
界面の反応率は、層の表層のみに測定光を照射することが可能な分光法などによって、未反応の重合性基由来のシグナルおよび反応済み重合性基由来のシグナルを観測し、それぞれのシグナル強度またはシグナル面積等を当該分野で通常行われているように解析してそれぞれの基の相対数を求めることによって求めることができる。層の表層のみに測定光を照射することが可能な測定方法としては、例えば、赤外線分光分析法(IR)などがあげられる。
【0046】
前記ハードコート層には、粒子が含有されていてもよい。前記粒子は、形成されるハードコート層表面を凹凸形状にして防眩性を付与し、また、前記ハードコート層のヘイズ値を制御するために添加することができる。前記ハードコート層のヘイズ値は、前記粒子と前記反応性樹脂との屈折率差を制御することで、設計することができる。前記粒子としては、例えば、無機粒子と有機粒子とがある。前記無機粒子は、特に制限されず、例えば、酸化ケイ素粒子、酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化錫粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、タルク粒子、カオリン粒子、硫酸カルシウム粒子等があげられる。また、前記有機粒子は、特に制限されず、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末(PMMA微粒子)、シリコーン樹脂粉末、ポリスチレン樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、アクリルスチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、ポリオレフィン樹脂粉末、ポリエステル樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末、ポリイミド樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂粉末等があげられる。これらの無機粒子および有機粒子は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0047】
前記粒子の重量平均粒径は、0.1〜30μmの範囲内にあることが好ましい。前記粒子の重量平均粒径を、前記範囲とすることで、例えば、より防眩性に優れ、かつ白ボケが防止できるハードコートフィルムとすることができる。前記粒子の重量平均粒径は、より好ましくは、0.1〜20μmの範囲内である。なお、前記粒子の重量平均粒径は、例えば、コールターカウント法により測定できる。例えば、細孔電気抵抗法を利用した粒度分布測定装置(商品名:コールターマルチサイザー、ベックマン・コールター社製)を用い、粒子が前記細孔を通過する際の粒子の体積に相当する電解液の電気抵抗を測定することにより、前記粒子の数と体積を測定し、重量平均粒径を算出する。
【0048】
前記粒子の形状は、特に制限されず、例えば、ビーズ状の略球形であってもよく、粉末等の不定形のものであってもよいが、略球形のものが好ましく、より好ましくは、アスペクト比が1.5以下の略球形の粒子であり、最も好ましくは球形の粒子である。
【0049】
前記ハードコート層における前記粒子の割合は、前記樹脂100重量部に対し、0.01〜60重量部の範囲が好ましく、より好ましくは、0.01〜20重量部の範囲である。前記範囲とすることで、例えば、より防眩性に優れ、かつ白ボケが防止できるハードコートフィルムとすることができる。
【0050】
前記ハードコート層の厚みは、ハードコートフィルムの全体厚みを測定し、前記全体厚みから、樹脂フィルムの厚みを差し引くことにより算出される、ハードコート層の厚みである。前記全体厚みおよび前記樹脂フィルムの厚みは、例えば、マイクロゲージ式厚み計によって、測定することができる。
【0051】
前記ハードコート層の厚みは、特に制限されないが、0.5〜30μmの範囲内にあることが好ましい。前記ハードコート層の厚みを、前記範囲とすることで、例えば、ハードコートフィルムにおけるカールの発生を防ぐことができ、搬送性不良等の生産性の低下の問題を回避できる。また、前記ハードコート層の厚みは、より好ましくは、1〜20μmの範囲内である。
【0052】
本発明のハードコートフィルムは、例えば、前記樹脂フィルムの前記ハードコート層を形成する面に表面改質を行う表面改質処理工程と、紫外線反応性樹脂および溶剤を含み、紫外線カット機能を有するハードコート層形成材料を、前記樹脂フィルム表面に塗工して塗膜を形成する塗布工程と、前記塗膜を紫外線照射により硬化させる硬化工程とを含み、前記樹脂フィルムおよび前記ハードコート層形成材料として、前記樹脂フィルムと前記ハードコート層との界面に相溶層を形成しないものを用い、前記ハードコート層の、前記樹脂フィルム側の界面における前記反応性樹脂の反応率を、55%以上とすることにより製造できる。
【0053】
前記ハードコート層形成材料を前記樹脂フィルム上に塗工する方法としては、例えば、ファンテンコート法、ダイコート法、スピンコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法等の塗工法を用いることができる。
【0054】
前記ハードコート層形成材料を塗工して前記樹脂フィルムの上に塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させる。前記硬化に先立ち、前記塗膜を乾燥させることが好ましい。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でもよいし、風を吹きつけての風乾であってもよいし、加熱乾燥であってもよいし、これらを組み合わせた方法であってもよい。
【0055】
前記塗膜を紫外線照射により硬化させる硬化工程において、前記紫外線照射を、前記塗膜の前記樹脂フィルム側から行うことが好ましい。前記樹脂フィルム側から紫外線照射を行うことにより、紫外線カット機能を有する前記ハードコート層であっても、前記ハードコート層の前記樹脂フィルム側の界面における前記反応性樹脂の反応率を高くすることができる。したがって、前記ハードコート層の紫外線カット機能と密着性の向上とを両立させることができる。
【0056】
また、前記紫外線照射において、紫外線吸収剤の吸収波長領域範囲外、または、紫外線吸収剤の吸収が大きくない波長領域の範囲に、メイン照射波長領域を持つランプを用いることで、前記ハードコート層の前記樹脂フィルム側の界面における前記反応性樹脂の反応率を高くすることができる。この場合、使用するランプの照射波長領域で、効率よく活性化する反応開始剤を併用することが好ましい。これにより、紫外線吸収剤の吸収波長領域外での光照射による硬化反応が可能となり、効率的に硬化反応を進行させることができる。
【0057】
前記紫外線照射の照射量は、紫外線波長365nmでの積算光量として、150mJ/cm以上であることが好ましく、200〜1000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。照射量が、200mJ/cm以上であれば、硬化がより十分となり、形成されるハードコート層の硬度もより十分なものとなる。また、1000mJ/cm以下であれば、形成されるハードコート層の着色を防止することができる。
【0058】
以上のようにして、前記樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、前記ハードコート層を形成することにより、本発明のハードコートフィルムを製造することができる。なお、本発明のハードコートフィルムは、前述の方法以外の製造方法で製造してもよい。本発明のハードコートフィルムの硬度は、鉛筆硬度において、層の厚みにも影響されるが、2H以上の硬度を有することが好ましい。また、この例のハードコート層は、単層であるが、本発明は、これに制限されず、前記ハードコート層は、二層以上が積層された複数層構造であってもよい。
【0059】
本発明のハードコートフィルムにおいて、前記ハードコート層の上に、反射防止層(低屈折率層)を配置してもよい。例えば、画像表示装置にハードコートフィルムを装着した場合、画像の視認性を低下させる要因のひとつに空気とハードコート層界面での光の反射があげられる。反射防止層は、その表面反射を低減させるものである。なお、ハードコート層および反射防止層は、樹脂フィルムの両面に形成してもよい。また、ハードコート層および反射防止層は、それぞれ、二層以上が積層された複数層構造であってもよい。
【0060】
本発明において、前記反射防止層は、厚みおよび屈折率を厳密に制御した光学薄膜若しくは前記光学薄膜を二層以上積層したものである。前記反射防止層は、光の干渉効果を利用して入射光と反射光の逆転した位相を互いに打ち消し合わせることで反射防止機能を発現する。反射防止機能を発現させる可視光線の波長領域は、例えば、380〜780nmであり、特に視感度が高い波長領域は450〜650nmの範囲であり、その中心波長である550nmの反射率を最小にするように反射防止層を設計することが好ましい。
【0061】
光の干渉効果に基づく前記反射防止層の設計において、その干渉効果を向上させる手段としては、例えば、前記反射防止層と前記ハードコート層の屈折率差を大きくする方法がある。一般的に、二ないし五層の光学薄層(厚みおよび屈折率を厳密に制御した薄膜)を積層した構造の多層反射防止層では、屈折率の異なる成分を所定の厚さだけ複数層形成することで、反射防止層の光学設計の自由度が上がり、より反射防止効果を向上させることができ、分光反射特性も可視光領域で均一(フラット)にすることが可能になる。前記光学薄膜において、高い厚み精度が要求されるため、一般的に、各層の形成は、ドライ方式である真空蒸着、スパッタリング、CVD等で実施される。
【0062】
また、汚染物の付着防止および付着した汚染物の除去容易性の向上のために、フッ素基含有のシラン系化合物若しくはフッ素基含有の有機化合物等から形成される汚染防止層を前記反射防止層上に積層することが好ましい。
【0063】
本発明のハードコートフィルムにおいて、前記樹脂フィルムおよび前記ハードコート層の少なくとも一方に対し、さらに表面処理を行うことが好ましい。前記樹脂フィルム表面を表面処理すれば、偏光子若しくは偏光板との密着性がさらに向上する。また、前記ハードコート層表面を表面処理すれば、前記反射防止層または偏光子若しくは偏光板との密着性がさらに向上する。
【0064】
前記樹脂フィルムの一方の面に前記ハードコート層が形成されているハードコートフィルムにおいて、カール発生を防止するために、他方の面に対し溶剤処理を行ってもよい。また、前記樹脂フィルムの一方の面に前記ハードコート層が形成されているハードコートフィルムにおいて、カール発生を防止するために、他方の面に透明樹脂層を形成してもよい。
【0065】
本発明のハードコートフィルムは、通常、前記樹脂フィルム側を、粘着剤や接着剤を介して、LCDに用いられている光学部材に貼り合せることができる。なお、この貼り合わせにあたり、前記樹脂フィルム表面に対し、前述のような各種の表面処理を行ってもよい。
【0066】
前記光学部材としては、例えば、偏光子または偏光板があげられる。偏光板は、偏光子の片側または両側に透明保護フィルムを有するという構成が一般的である。偏光子の両面に透明保護フィルムを設ける場合は、表裏の透明保護フィルムは、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。偏光板は、通常、液晶セルの両側に配置される。また、偏光板は、2枚の偏光板の吸収軸が互いに略直交するように配置される。
【0067】
つぎに、本発明のハードコートフィルムを積層した光学部材について、偏光板を例にして説明する。本発明のハードコートフィルムを、接着剤や粘着剤などを用いて偏光子または偏光板と積層することによって、本発明の機能を有した偏光板を得ることができる。
【0068】
前記偏光子としては、特に制限されず、各種のものを使用できる。前記偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等があげられる。
【0069】
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れるものが好ましい。前記透明保護フィルムを形成する材料としては、例えば、前記樹脂フィルムと同様のものがあげられる。
【0070】
前記透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載の高分子フィルムがあげられる。前記高分子フィルムは、前記樹脂組成物を、フィルム状に押出成型することにより製造できる。前記高分子フィルムは、位相差が小さく、光弾性係数が小さいため、偏光板等の保護フィルムに適用した場合には、歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
【0071】
前記透明保護フィルムは、偏光特性や耐久性などの点から、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂製のフィルムおよびノルボルネン系樹脂製のフィルムが好ましい。前記透明保護フィルムの市販品としては、例えば、商品名「フジタック」(富士フイルム社製)、商品名「ゼオノア」(日本ゼオン社製)、商品名「アートン」(JSR社製)などがあげられる。前記透明保護フィルムの厚みは、特に制限されないが、強度、取扱性等の作業性、薄層性等の点より、例えば、1〜500μmの範囲である。
【0072】
前記ハードコートフィルムを積層した偏光板の構成は、特に制限されないが、例えば、前記ハードコートフィルムの上に、透明保護フィルム、前記偏光子および前記透明保護フィルムを、この順番で積層した構成でもよいし、前記ハードコートフィルム上に、前記偏光子、前記透明保護フィルムを、この順番で積層した構成でもよい。
【0073】
本発明の画像表示装置は、本発明のハードコートフィルムを用いる以外は、従来の画像表示装置と同様の構成である。例えば、LCDの場合、液晶セル、偏光板等の光学部材、および必要に応じ照明システム(バックライト等)等の各構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むこと等により製造できる。
【0074】
本発明の画像表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等である。
【実施例】
【0075】
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例により制限されない。なお、下記実施例および比較例における各種特性は、下記の方法により評価または測定を行った。
【0076】
(密着性(碁盤目剥離))
密着性評価として、碁盤目剥離試験を行った。積層フィルムのハードコート形成面に、カッターナイフを用いて、碁盤目状に1mm間隔で縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100マスの正方形の升目を刻み、セキスイ「セロテープ(登録商標)」No.252(積水化学工業(株)製)を圧着後に剥離した。同じ箇所で、2回、圧着、剥離を行った後に、判定を行った。判定は100マスのうち剥離したマス目の数で表し、全く剥離しない場合を0/100、完全に剥離する場合を100/100と表した。前記判定を3回、異なる箇所で行い、平均値について次のとおり評価した。
A 0/100
B 0/100を超え10/100以下
C 10/100を超え20/100以下
D 20/100を超え100/100以下

【0077】
(フェード密着性(碁盤目剥離))
フェード密着性は、ランプで強力な紫外光を発生させ、人工的に紫外線照射環境を作ることで、紫外線照射下における密着耐久性の評価を行う手法である。紫外線ロングライフフェードメーター(スガ試験機(株)製、型式:U48HB)にハードコートフィルムを投入し、100時間紫外線照射を行った。その後、取り出したハードコートフィルムについて、上記密着性評価と同様の方法および評価基準で密着性評価試験を行った。
【0078】
(表面反応率(FT−IR))
ハードコート層の表面を、FTS3000(Varian社製)、角度可変ユニットSeagull(HARRICK社製)を用い、赤外線入射角70度で測定し、810cm−1付近のアクリレート基の強度と、未硬化のハードコート層のアクリレート基の強度との比により反応率を算出した。全てのアクリレート基が消費された状態を、反応率100%と規定した。本測定では、プリズムとして高屈折プリズムであるGeプリズムを用いた。前記Geプリズムを用いると、表面から0.57μmまでの深度を測定することができる。
【0079】
(界面反応率(FT−IR) 剥離面での測定)
表面改質処理を行っていない樹脂フィルム上に、各実施例および比較例と同一の条件でハードコート層形成材料を塗布、硬化し、ハードコート層を形成したサンプルを作製した。セキスイ「セロテープ(登録商標)」No.252(積水化学工業(株)製)を用い、前記ハードコート層を転写し、樹脂フィルムから前記ハードコート層を剥離した。剥離したハードコート層の樹脂フィルム側を、FTS3000(Varian社製)、角度可変ユニットSeagull(HARRICK社製)を用い、赤外線入射角70度で測定し、810cm−1付近のアクリレート基の強度と、未硬化のハードコート層のアクリレート基の強度との比により反応率を算出した。全てのアクリレート基が消費された状態を、反応率100%と規定した。本測定では、プリズムとして高屈折プリズムであるGeプリズムを用いた。前記Geプリズムを用いると、表面から0.57μmまでの深度を測定することができ、また、赤外線入射角を70度とすることで、より界面付近の反応率を測定することができる。
【0080】
(紫外線透過率)
紫外線透過率は、(株)日立ハイテクノロジーズ製のUV−可視光分光光度計(商品名、U4100)を使用して200〜800nmの波長領域での透過率を測定し、380nmの透過率で表した。
【0081】
(ハードコート層の厚み)
(株)ミツトヨ製のマイクロゲージ式厚み計を用い、ハードコートフィルムの全体厚みを測定し、前記全体厚みから、樹脂フィルムの厚みを差し引くことにより、ハードコート層の厚みを算出した。
【0082】
[実施例1]
ハードコート層形成材料に含まれる樹脂として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DIC(株)製、商品名「GRANDIC PC1070」、固形分66%)100重量部を準備した。前記樹脂の樹脂固形分100重量部あたり、紫外線吸収剤(BASF社製、商品名「TINUVIN477」)を3重量部、光重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア819」)を3重量部混合した。この混合物を、固形分濃度が50重量%となるように、酢酸エチルで希釈して、ハードコート層形成材料を調製した。
【0083】
樹脂フィルムとして、ノルボルネン樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオノアZD16−050」、厚み:50μm)を準備した。表面改質処理として、前記樹脂フィルムの片面に、常圧プラズマ表面処理装置「AP−T05」(積水化学工業(株)製)を用い、窒素ガス流量25L/cm、プラズマ電力570W、電源周波数30KHz、プラズマのエネルギー密度1.56W・s/cm、処理速度5m/minの条件で、プラズマ照射を行った。前記樹脂フィルムの前記プラズマ処理を行った面に、前記ハードコート層形成材料を、バーコーターを用いて塗布して塗膜を形成した。ついで、70℃で1分間加熱することにより前記塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量150mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射し、前記塗膜を硬化処理して厚み7μmのハードコート層を形成し、実施例1のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は50%であり、界面の反応率を測定したところ、55%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0084】
[実施例2]
前記紫外線吸収剤を、前記樹脂の樹脂固形分100重量部あたり、10重量部を混合し、積算光量300mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射した以外は、実施例1と同様な方法にて、実施例2のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、56%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0085】
[実施例3]
前記紫外線吸収剤を、前記樹脂の樹脂固形分100重量部あたり、10重量部を混合し、積算光量100mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射し、さらに、積算光量150mJ/cmの紫外線を裏側(樹脂フィルム側)から照射した以外は、実施例1と同様な方法にて、実施例3のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、64%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0086】
なお、得られたハードコートフィルムについて、界面の反応率を下記の方法で直接測定したところ、62%であった。表面改質処理を行っていない樹脂フィルム上に形成したハードコート層の剥離面を測定する第1の方法と、表面改質処理を行った樹脂フィルム上に形成したハードコート層の樹脂フィルム側の界面を、フィルム厚み方向に対して斜めに切断して測定する下記の第2の方法とでは、結果はほとんど変わらず、測定誤差の範囲であった。したがって、これら2種類の測定方法は、互換性があると言え、密着性が優れるために剥離が困難であるハードコート層の樹脂フィルム側の界面における反応率は、前記第1の方法によっても、得られていることがわかる。
【0087】
(界面反応率(FT−IR) 界面の直接測定)
表面改質処理を行った樹脂フィルム上に、ハードコート層を形成したサンプルを作製した。樹脂フィルムとハードコート層との積層サンプルを、SAICAS(ダイプラウィンテス(株)製)を用い、厚み方向に対して斜めに切断し、ハードコート層と樹脂フィルムとの界面部分を露出させる。前記露出したハードコート層の樹脂フィルムとの界面付近を、Nicolet Magna6700(Thermo Fisher Scientific社製)で測定し、810cm−1付近のアクリレート基の強度と、未硬化のハードコート層のアクリレート基の強度との比により反応率を算出した。全てのアクリレート基が消費された状態を、反応率100%と規定した。
【0088】
[実施例4]
前記紫外線吸収剤を、前記樹脂の樹脂固形分100重量部あたり、10重量部を混合し、高圧水銀灯にて積算光量300mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射した以外は、実施例1と同様な方法にて、実施例4のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、58%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0089】
[実施例5]
ハードコート層形成材料に含まれる樹脂として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(日本ペイント(株)製、商品名「ルシフラールNAB−007」、固形分60%)を用い、前記紫外線吸収剤を、前記樹脂の樹脂固形分100重量部あたり、10重量部を混合し、積算光量300mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射し、さらに、積算光量300mJ/cmの紫外線を裏側(樹脂フィルム側)から照射した以外は、実施例1と同様な方法にて、実施例5のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、80%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0090】
[実施例6]
ハードコート層形成材料に含まれる樹脂として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DIC(株)製、商品名「ユニディック17−806」、固形分80%)を用いた以外は、実施例5と同様な方法にて、実施例6のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、66%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0091】
[実施例7]
前記樹脂フィルムの片面に、表面改質処理として、前記樹脂フィルムの片面に、「CORONA GENERATOR CT−0212」(春日電気(株)製)を用い、コロナ照射量120W、処理速度2m/min、コロナ放電量140W/m/minの条件で、コロナ放電処理を行った。前記樹脂フィルムの前記コロナ放電処理を行った面に、前記ハードコート層形成材料を塗布した以外は、実施例2と同様な方法にて、実施例7のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、56%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0092】
[実施例8]
前記樹脂フィルムの片面に、表面改質処理として下塗り処理を、次の条件で行った。塩素化ポリプロピレン系プライマー(日本ビーケミカル(株)製、商品名「RB−197」)を、厚み10μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥させ、下塗り層を形成した。前記樹脂フィルムの前記下塗り処理を行った面に、前記ハードコート層形成材料を塗布し、メタルハライドランプにて積算光量600mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射した以外は、実施例2と同様な方法にて、実施例8のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、64%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0093】
[実施例9]
樹脂フィルムとして、PETフィルム(東レ(株)製、商品名「50U48」、厚み:50μm)を用い、実施例8と同様に下塗り処理を行い、前記樹脂フィルムの前記下塗り処理を行った面に、前記ハードコート層形成材料を塗布し、高圧水銀灯にて積算光量300mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射した以外は、実施例1と同様な方法にて、実施例9のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は50%であり、界面の反応率を測定したところ、61%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0094】
[実施例10]
樹脂フィルムとして、A−PETフィルム(イソフタル酸を6mol%共重合させたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートのフィルム、厚み:40μm)を用い、メタルハライドランプにて積算光量400mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射した以外は、実施例8と同様な方法にて、実施例10のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、58%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0095】
[実施例11]
前記紫外線吸収剤を、前記樹脂の樹脂固形分100重量部あたり、6重量部を混合し、高圧水銀灯にて積算光量300mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射した以外は、実施例7と同様な方法にて、実施例11のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は20%であり、界面の反応率を測定したところ、57%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、相溶層が形成されていないにもかかわらず、良好な密着性が得られていることがわかった。
【0096】
[比較例1]
樹脂フィルムの表面改質処理を行わず、前記紫外線吸収剤を添加しなかった以外は、実施例2と同様な方法にて、比較例1のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は85%であり、界面の反応率を測定したところ、71%であったが、密着性を評価したところ、全ての碁盤目が剥離してしまった。
【0097】
[比較例2]
積算光量150mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射した以外は、実施例2と同様な方法にて、比較例2のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、45%であった。密着性を評価したところ、全ての碁盤目が剥離してしまった。
【0098】
[比較例3]
積算光量250mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射した以外は、実施例2と同様な方法にて、比較例3のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、54%であった。密着性を評価したところ、部分的に碁盤目の剥離が見られた。
【0099】
[比較例4]
積算光量200mJ/cmの紫外線を表側(塗膜側)から照射した以外は、実施例7と同様な方法にて、比較例4のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は10%であり、界面の反応率を測定したところ、51%であった。密着性を評価したところ、部分的に碁盤目の剥離が見られた。
【0100】
[比較例5]
前記紫外線吸収剤を添加しなかった以外は、実施例2と同様な方法にて、比較例5のハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムについて、紫外線透過率は85%であり、界面の反応率を測定したところ、71%であった。密着性を評価したところ、碁盤目剥離は全く起こらず、良好な密着性が得られていることがわかった。しかし、フェードメーターに投入後に、密着性を評価したところ、全ての碁盤目が剥離してしまった。
【0101】
このようにして得られた実施例1〜11、比較例1〜5の各ハードコートフィルムについての、各種特性の測定若しくは評価結果を下記表1に示す。
【0102】
【表1】

【0103】
前記表1に示すように、実施例においては、紫外線吸収剤を添加しておらず紫外線カット機能を有していない比較例5の初期(フェードメーター投入前)と同程度の密着性が得られており、樹脂フィルムに表面改質処理がなされ、前記界面における反応率が55%以上であるハードコートフィルムは、紫外線カット機能と密着性とを両立できていることがわかる。一方、比較例1に示すように、前記界面における反応率が71%と高い値であっても、相溶層を形成しない樹脂フィルムとハードコート層との組み合わせの場合には、表面改質処理を行わないと、密着性が得られないことがわかる。また、前記界面における反応率が、55%をわずかに下回った比較例3および4では、剥離が見られ、密着性が十分でないことがわかる。また、表面反応率にかかわらず、界面における樹脂の反応率が55%以上であれば、良好な密着性が得られていることがわかる。すなわち、例えば、実施例3のように表面反応率が31%と比較的低い場合であっても、また、実施例11のように表面反応率が、界面反応率よりも大きい場合でも、良好な密着性が得られている。また、実施例においては、ハードコート層が、紫外線吸収剤添加による紫外線カット機能を有しているため、フェードメーターに投入後における密着性(フェード密着性)にも優れていることがわかる。一方、比較例5に示すように、紫外線カット効果を有していないハードコート層を有する場合には、初期の密着性が良好な場合であっても、フェード密着性が得られないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明によれば、相溶層設計のできない樹脂フィルムに対して、紫外線カット機能が付与されているにもかかわらず、高い密着性を持ったハードコート層を付与したハードコートフィルムが得られる。したがって、本発明のハードコートフィルムは、多様な樹脂フィルムを基材として使用することができ、その用途は制限されず、広い分野に適用可能である。例えば、偏光板等の光学部材、液晶パネル、および、LCD(液晶ディスプレイ)やOLED(有機ELディスプレイ)等の画像表示装置、カバーガラスの保護フィルム、3Dディスプレイ用の円偏光板、サングラス等に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0105】
100 ハードコートフィルム
110 樹脂フィルム
110a 樹脂フィルム表面(ハードコート層側)
120 ハードコート層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルム表面に、ハードコート層を有するハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層が、紫外線カット機能を有しており、
前記ハードコート層が、紫外線反応性樹脂および溶剤を含むハードコート層形成材料を用いて形成されており、
前記樹脂フィルムと前記ハードコート層との界面に相溶層が形成されず、
前記樹脂フィルムの前記ハードコート層を有する面が、表面改質処理がされており、
前記ハードコート層の、前記樹脂フィルム側の界面における前記反応性樹脂の反応率が、55%以上である
ことを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項2】
前記表面改質処理が、プラズマ処理、コロナ放電処理および下塗り層形成処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの処理であることを特徴とする、請求項1記載のハードコートフィルム。
【請求項3】
前記反応性樹脂が、アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物を含むことを特徴とする、請求項1または2記載のハードコートフィルム。
【請求項4】
前記ハードコート層形成材料が、さらに反応開始剤を含み、前記反応開始剤が紫外線反応型ラジカル発生開始剤であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層が、紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
【請求項6】
前記樹脂フィルムが、ノルボルネンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるフィルムであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
【請求項7】
偏光子およびハードコートフィルムを有する偏光板であって、
前記ハードコートフィルムが、請求項1から6のいずれか一項に記載のハードコートフィルムであることを特徴とする偏光板。
【請求項8】
ハードコートフィルムを備える画像表示装置であって、
前記ハードコートフィルムが、請求項1から6のいずれか一項に記載のハードコートフィルムであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
偏光板を備える画像表示装置であって、
前記偏光板が、請求項7記載の偏光板であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
樹脂フィルム表面に、ハードコート層を有するハードコートフィルムにおけるハードコート層の密着性向上方法であって、
前記ハードコート層が、紫外線カット機能を有しており、
前記ハードコート層を、紫外線反応性樹脂および溶剤を含むハードコート層形成材料を用いて形成し、
前記樹脂フィルムおよび前記ハードコート層形成材料として、前記樹脂フィルムと前記ハードコート層との界面に相溶層を形成しないものを用い、
前記樹脂フィルムの前記ハードコート層を有する面に、表面改質処理を行い、
前記ハードコート層の、前記樹脂フィルム側の界面における前記反応性樹脂の反応率を、55%以上とする
ことを特徴とするハードコート層の密着性向上方法。
【請求項11】
樹脂フィルム表面に、ハードコート層を有するハードコートフィルムの製造方法であって、
前記樹脂フィルムの前記ハードコート層を形成する面に表面改質を行う、表面改質処理工程と、
紫外線反応性樹脂および溶剤を含み、紫外線カット機能を有するハードコート層形成材料を、前記樹脂フィルム表面に塗工して塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を紫外線照射により硬化させる硬化工程とを含み、
前記樹脂フィルムおよび前記ハードコート層形成材料として、前記樹脂フィルムと前記ハードコート層との界面に相溶層を形成しないものを用い、
前記ハードコート層の、前記樹脂フィルム側の界面における前記反応性樹脂の反応率を、55%以上とする
ことを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
【請求項12】
前記紫外線照射を、前記塗膜の前記樹脂フィルム側から行うことを特徴とする、請求項11記載のハードコートフィルムの製造方法。
【請求項13】
前記紫外線照射を、紫外線波長365nmにおいて150mJ/cm以上の積算光量で行うことを特徴とする、請求項11または12記載のハードコートフィルムの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−113896(P2013−113896A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257550(P2011−257550)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】