説明

ハードコートフィルム

【課題】反射率を低下させ、かつ全光線透過率を高めることができるハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルム2の少なくとも片面にハードコート層3を有するハードコートフィルム1において、ハードコート層3は、中空微粒子、シリカ微粒子、およびフッ化物微粒子から選ばれる少なくとも1種の低屈折率微粒子を含有し、ハードコート層3の屈折率が1.35〜1.55であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコートフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、例えば、光学表示装置等に用いられるハードコートフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステルフィルム等の光学フィルムは、光学表示装置、タッチパネル、光学レンズ、眼鏡レンズ、フォトリソグラフィープロセスにおける反射防止処理、太陽電池パネル表面の反射防止処理等に用いられている。
【0003】
このような光学フィルムは一般に、荷重のかかる引っ掻きによる傷を防止し、表面の機械的強度を改善するために、その表面にハードコート層が設けられる(特許文献1〜4参照)。
【0004】
このハードコート層が設けられたハードコートフィルムは、表示画面の表面等に用いられる場合には、透過色の外観に色味が付くのは望ましくなく、色調が無色に近いこと(ニュートラルであること)が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−129130号公報
【特許文献2】特開2000−52472号公報
【特許文献3】特開平11−34243号公報
【特許文献4】特開平9−220791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ポリエステルフィルムを用いた従来のハードコートフィルムは、外観に色味が付く場合があった。
【0007】
すなわち、ポリエステルフィルムやハードコート層は通常、若干の黄色味を帯びている。また、ポリエステルフィルムの表面には、ハードコート層との密着性を得ること等を目的として一般にナノメートルオーダーの厚みの易接着層を設けることが多い。ところが、この易接着層を設けたポリエステルフィルムを用いた場合にハードコートフィルムの色調が黄色味を帯びる場合があった。
【0008】
そのため、ハードコートフィルムを透過したディスプレイの表示画面の色調も黄色味を帯びるという問題点があった。
【0009】
表示画面の色調をニュートラルにして表示画面の視認性を高めるためには、ハードコートフィルムの反射率を低下させ、かつ全光線透過率を高めることが有効と考えられる。ところが、これを実現する具体的な手段は提案されていないのが現状である。
【0010】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、反射率を低下させ、かつ全光線透過率を高めることができるハードコートフィルムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明のハードコートフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面にハードコート層を有するハードコートフィルムにおいて、ハードコート層は、中空微粒子、シリカ微粒子、およびフッ化物微粒子から選ばれる少なくとも1種の低屈折率微粒子を含有し、ハードコート層の屈折率が1.35〜1.55であることを特徴としている。
【0012】
このハードコートフィルムにおいて、ハードコート層は、低屈折率微粒子として中空微粒子を含有し、中空微粒子の外殻を構成する材料が、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化アンチモン、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、酸化チタン、酸化セリウム、または酸化アルミニウム、あるいはこれらのうち2種以上の混合物または複合酸化物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のハードコートフィルムによれば、反射率を低下させ、かつ全光線透過率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のハードコートフィルムの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明のハードコートフィルムの一例を示す断面図である。
【0017】
このハードコートフィルム1は、ポリエステルフィルム2、およびその片面に形成されたハードコート層3を有している。
【0018】
なお、図1に示すハードコートフィルム1では、ポリエステルフィルム2の片面にハードコート層3を形成しているが、本発明では、ポリエステルフィルム2の両面にハードコート層3を形成するようにしてもよい。
【0019】
本発明において、ハードコート層3は、中空微粒子、シリカ微粒子、およびフッ化物微粒子から選ばれる少なくとも1種の低屈折率微粒子を含有し、ハードコート層3の屈折率は1.35〜1.55とされている。
【0020】
このようにすることで、ハードコートフィルム1の反射率が低下し、かつ全光線透過率が向上する。
【0021】
具体的には、ハードコート層3の屈折率を1.55以下とすることで、ハードコートフィルム1の反射率を下げ、かつ全光線透過率を向上させることができる。そしてハードコート層3の屈折率を1.35以上とすることで、中空微粒子、シリカ微粒子、およびフッ化物微粒子から選ばれる少なくとも1種の低屈折率微粒子を配合してもハードコートフィルム1に要求される特性を満足させることができる。
【0022】
本発明において、ポリエステルフィルム2を形成するポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸とグリコールとから得られる芳香族ポリエステルを用いることができる。
【0023】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸等を用いることができる。
【0024】
グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等を用いることができる。
【0025】
芳香族ポリエステルの中でも、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。また、上記に例示した成分の共重合ポリエステルであってもよい。
【0026】
ポリエステルフィルム2は、成膜時のフィルムの巻き取り性や、ハードコート層3を形成する際のフィルムの搬送性等を向上させるために、必要に応じて、滑剤としての微粒子を含有させることができる。
【0027】
このような微粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の無機微粒子を用いることができる。また、架橋アクリル樹脂微粒子、架橋ポリスチレン樹脂微粒子、尿素樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子、架橋シリコーン樹脂微粒子等の有機微粒子を用いることもできる。
【0028】
また、ポリエステルフィルム2には、その透明性等を損なわない範囲内において、その他の成分、例えば、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、潤滑剤、触媒、他の樹脂等を含有させることができる。
【0029】
ポリエステルフィルム2の厚みは、特に限定されないが、例えば、50〜200μmである。
【0030】
ポリエステルフィルム2は、ヘイズが好ましくは3%以下、より好ましくは1.5%以下である。ヘイズが3%を超えると、ディスプレイの視認性を損なう等の不具合が起きる場合がある。
【0031】
また、ポリエステルフィルム2は、ハードコート層3との密着性を向上させる等のために、その表面に、従来より用いられている厚みが例えば150nm以下の薄い易接着層(特許文献4参照)を有するものであってもよい。
【0032】
本発明において、ハードコート層3は、ポリエステルフィルム2よりも硬度の高い被膜であって、ポリエステルフィルム2の表面の硬度を向上させ、荷重のかかる引っ掻きによる傷を防止し、ハードコートフィルム1の機械的強度を改善するものである。
【0033】
ハードコート層3の鉛筆硬度は好ましくはH以上、より好ましくは2H以上である。なお、鉛筆硬度はJIS K5600に準拠して測定することができる。
【0034】
ハードコート層3の硬度を向上させるためには、反応性硬化型樹脂組成物、すなわち、熱硬化型樹脂組成物と電離放射線硬化型樹脂組成物のうち少なくとも一方を用いてハードコート層3を形成するのが好ましい。
【0035】
熱硬化型樹脂組成物に配合する熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を用いることができる。
【0036】
熱硬化型樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、架橋剤、重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、溶剤等を配合することができる。
【0037】
熱硬化型樹脂組成物を用いてハードコート層3を形成する場合は、熱硬化型樹脂組成物をポリエステルフィルム2上に塗布した後、加熱により乾燥硬化させるのが好ましい。
【0038】
電離放射線硬化型樹脂組成物に配合する樹脂成分としては、アクリレート系の官能基を有する化合物が好ましく用いられる。アクリレート系の官能基を有する化合物としては、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール樹脂等の多官能(メタ)アクリレートのオリゴマー、プレポリマー等を用いることができる。なお、本明細書において(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0039】
また、電離放射線硬化型樹脂組成物には、上記のオリゴマーやプレポリマーとともに、反応性希釈剤としてのモノマーを配合することができる。このようなモノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー、あるいは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー等を用いることができる。
【0040】
電離放射線硬化型樹脂組成物を用いてハードコート層3を形成する際には、例えば、電離放射線硬化型樹脂組成物をポリエステルフィルム2上に塗布し乾燥した後、電離放射線により硬化させることができる。
【0041】
電離放射線硬化型樹脂組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ロッドまたはワイヤーバーを用いた方法や、あるいはマイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロット、スピン等の各種のコーティング方法等を用いることができる。
【0042】
また、硬化処理は、公知の技術を用いて、例えば、紫外線、電子線、波長400〜500nmの可視光線等の電離放射線を照射することにより行うことができる。紫外線および波長400〜500nmの可視光線の線源(光源)には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ等を用いることができる。電子線源には、例えば、熱電子放射銃、電解放射銃等を用いることができる。
【0043】
照射する電離放射線の線量は、5〜2000mJ/cm2の範囲内が好ましく、生産性等を考慮すると50〜1000mJ/cm2の範囲内がより好ましい。また、これらの電離放射線の照射に加えて、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱処理を併用することもできる。
【0044】
さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とする場合には、光重合開始剤を配合することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類等を用いることができる。
【0045】
また、光重合開始剤とともに光増感剤を用いてもよい。光増感剤としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、チオキサントン等を用いることができる。
【0046】
以上のようにして形成されるハードコート層3の厚みは、十分な機械的強度を得る点等からは、0.3〜10μmが好ましい。
【0047】
本発明において、ハードコート層3には、中空微粒子、シリカ微粒子、およびフッ化物微粒子から選ばれる少なくとも1種の低屈折率微粒子が配合される。
【0048】
低屈折率微粒子としては、ハードコート層3の屈折率を1.35〜1.55の範囲まで低減する点等から、屈折率が1.50以下のものが好ましく、屈折率が1.20〜1.50のものがより好ましい。
【0049】
低屈折率微粒子の中空微粒子は、外殻により包囲された空洞を有する微粒子である。
【0050】
このような中空微粒子としては、例えば、特開2001−233611号公報に開示されているものや、一般に市販されているものを用いることができる。
【0051】
中空微粒子の平均粒子径は、好ましくは5〜2000nm、より好ましくは5〜200nmである。なお、中空微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒子径として測定することができる。中空微粒子の平均粒子径がこのような範囲内であると、低屈折率化が困難になったり分散性が低下したりすることを抑制でき、透明性を確保することもできる。
【0052】
ハードコート層3における中空微粒子の含有量は、低屈折率化や表面硬度、耐摩耗性等も考慮すると、ハードコート層3の全量に対して15〜70体積%が好ましい。
【0053】
中空微粒子の外殻を構成する材料としては、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化アンチモン、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、酸化チタン、酸化セリウム、または酸化アルミニウムが好ましく用いられる。また、これらのうち2種以上の混合物または複合酸化物も好ましく用いられる。
【0054】
ここで、酸化ケイ素には、シリカ(SiO2)、SiOx(xは1.0≦x<2.0を満足する数値を示す。)が含まれる。酸化スズには、SnO2が含まれる。酸化アンチモンには、Sb25が含まれる。酸化チタンには、TiO2、TiOx(xは1.0≦x<2.0を満足する数値を示す。)が含まれる。酸化セリウムには、CeO2が含まれる。酸化アルミニウムには、Al23が含まれる。
【0055】
中空微粒子として外殻が上記の特定の材料から構成されるものを用いることで、ハードコート層3に要求される他の特性を損なうことなく容易にハードコート層3の屈折率を上記の範囲内にすることができる。
【0056】
中空微粒子として、具体的には、例えば、シリカ系無機酸化物からなる外殻の内部に空洞を有する中空シリカ微粒子を用いることができる。
【0057】
ここでシリカ系無機酸化物とは、(A)シリカ単一層、(B)シリカとシリカ以外の無機酸化物とからなる複合酸化物の単一層、および(C)上記(A)層と(B)層との二重層を包含するものをいう。
【0058】
シリカ系無機酸化物の外殻は、細孔を有する多孔質なものであってもよく、あるいは細孔が閉塞されて空洞が外殻の外側に対して密封されているものであってもよい。
【0059】
また、シリカ系無機酸化物の外殻が、内側の第1シリカ被覆層および外側の第2シリカ被覆層で構成されるものを用いることもできる。外側に第2シリカ被覆層を設けることにより、外殻の微細孔を閉塞させて外殻を緻密化することができ、さらには内部の空洞を密封した中空シリカ微粒子を得ることができる。
【0060】
低屈折率微粒子のシリカ微粒子としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等の有機溶剤に平均粒子径5〜300nmのシリカ微粒子(コロイダルシリカ)を安定に分散させたオルガノシリカゾルを用いることができる。なお、シリカ微粒子の平均粒子径は動的光散乱法により測定することができる。
【0061】
オルガノシリカゾルとしては、例えば、MA−ST−M、IPA−ST、EG−ST、EG−ZL、NPC−ST、DMAC−ST、DMAC−ST−ZL、XBA−ST、MIBK−ST(日産化学工業(株)製)等を用いることができる。
【0062】
ハードコート層3におけるシリカ微粒子の含有量は、低屈折率化や表面硬度、耐摩耗性等も考慮すると、ハードコート層3の全量に対して15〜70体積%が好ましい。
【0063】
低屈折率微粒子のフッ化物微粒子としては、例えば、フッ化マグネシウム微粒子、フッ化リチウム微粒子、フッ化アルミニウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、フッ化ナトリウム微粒子等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
フッ化物微粒子の平均粒子径は、好ましくは5〜200nmである。なお、フッ化物微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒子径として測定することができる。中空微粒子の平均粒子径がこのような範囲内であると、低屈折率化が困難になったり分散性が低下したりすることを抑制でき、透明性を確保することもできる。
【0065】
ハードコート層3におけるフッ化物微粒子の含有量は、低屈折率化や表面硬度、耐摩耗性等も考慮すると、ハードコート層3の全量に対して15〜70体積%が好ましい。
【0066】
ハードコート層3には、帯電防止性を付与し、ハードコートフィルム1としての帯電防止性や埃付着防止性を確保することが好ましい。ハードコート層3に帯電防止性を付与するために、例えば、ハードコート層3に導電性ナノ粒子を含有させることができる。
【0067】
導電性ナノ粒子としては、例えば、導電性の金属酸化物で粒子径が0.5〜200nmの超微粒子を用いることができる。具体的には、例えば、インジウム、スズ、アンチモン、鉛、およびチタンから選ばれる少なくとも1種の酸化物の粒子を用いることができる。
【0068】
具体的には、例えば、スズドープ酸化インジウム、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化ニオブ、リンドープ酸化スズ等の超微粒子等を用いることができる。
【0069】
本発明のハードコートフィルム1は、反射率を低下させ、かつ全光線透過率を高めることができる。したがって、光学表示装置、タッチパネル、光学レンズ、眼鏡レンズ、フォトリソグラフィープロセスにおける反射防止処理、太陽電池パネル表面の反射防止処理等に好適に用いることができる。
【0070】
光学表示装置としては、例えば、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、プロジェクションディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイ(ELD)等を挙げることができる。
【実施例】
【0071】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0072】
<実施例1>
ポリエステルフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製「A4300」、PETフィルムの厚み 100μm、易接着層付き)を用いた。
【0073】
また、ハードコート層形成用の紫外線硬化型樹脂組成物として、アクリル系紫外線硬化型樹脂に低屈折率微粒子として中空微粒子を配合したものを用いた。アクリル系紫外線硬化型樹脂には大日精化工業(株)製「セイカビームPET−HC301」(固形分50%)を用い、中空微粒子には触媒化成工業(株)製「CS60」(屈折率1.26)を用いた。アクリル系紫外線硬化型樹脂には中空微粒子を40体積%配合した。
【0074】
上記のポリエステルフィルムの表面に、上記のハードコート層形成用の紫外線硬化型樹脂組成物をワイヤーバーコーター#10番で塗布した。
【0075】
これを80℃で5分間乾燥させた後に、紫外線照射(450mJ/cm2)して硬化させることにより、厚み5μmのハードコート層を有するハードコートフィルムを得た。
【0076】
<実施例2>
実施例1において、低屈折率微粒子をシリカ微粒子(日産化学工業(株)製「MIBK−ST」)に変更し、それ以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0077】
<実施例3>
実施例1において、低屈折率微粒子をフッ化物微粒子(シーアイ化成(株)製、MgF2サンプル)に変更し、それ以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0078】
<比較例1>
実施例1において低屈折率微粒子を配合せず、それ以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0079】
実施例および比較例のハードコートフィルムについて、次の評価を行った。
【0080】
[ハードコート層の屈折率]
分光光度計((株)日立製作所製「U−3400」)を用いて、波長550nmの反射率より算出した。
【0081】
[全光線透過率]
ヘイズメーター(日本電色工業(株)製「NDH2000」)を用いて、全光線透過率を測定した。
【0082】
[反射率]
分光光度計((株)日立製作所製「U−3400」)を用いて、波長550nmの反射率を測定した。
【0083】
評価結果を表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
表1より、実施例1〜3では、低屈折率微粒子として中空微粒子、シリカ微粒子、またはフッ化物微粒子をハードコート層に配合し、ハードコート層の屈折率を1.35〜1.55の範囲内とした。その結果、ハードコート層に低屈折率微粒子を配合しなかった比較例1に比べて、これらの実施例1〜3では反射率が4.5%以下で全光線透過率が92%以上と低反射率で全光線透過率の高いハードコートフィルムが得られた。また実施例1〜3のハードコートフィルムは、表示画面の色調がニュートラルで表示画面の視認性を高めることができた。
【符号の説明】
【0086】
1 ハードコートフィルム
2 ポリエステルフィルム
3 ハードコート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面にハードコート層を有するハードコートフィルムにおいて、前記ハードコート層は、中空微粒子、シリカ微粒子、およびフッ化物微粒子から選ばれる少なくとも1種の低屈折率微粒子を含有し、前記ハードコート層の屈折率が1.35〜1.55であることを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項2】
前記ハードコート層は、前記低屈折率微粒子として前記中空微粒子を含有し、前記中空微粒子の外殻を構成する材料が、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化アンチモン、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、酸化チタン、酸化セリウム、または酸化アルミニウム、あるいはこれらのうち2種以上の混合物または複合酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2013−25116(P2013−25116A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160310(P2011−160310)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】