説明

ハードコート塗布液、及び反射防止フィルム

【課題】優れたハードコート層と反射防止層を備え、干渉縞の発生を抑え、平滑性に優れ、モアレの発生が無く、帯電防止性、透明性、密着性に優れた反射防止フィルムを形成可能なハードコート塗布液を提供する。
【解決手段】1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に有する多官能性モノマーを含有する電離放射線硬化型樹脂と、ATO、ITO、Sb、TiO、ZnO、Ceの金属酸化物粒子のうち少なくとも1種類以上を含有する導電性材料に、透明基材11を溶解または膨潤させる一種類以上の溶剤1と、導電性材料が安定に分散される溶剤2と、一種類以上の高沸点溶剤3と、が含有されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコート層を形成するためのハードコート塗布液、及び優れたハードコート層と反射防止層を備え、干渉縞の発生を抑え、モアレの発生が無く、帯電防止性、透明性、密着性に優れた反射防止フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
LCDやプラズマデイスプレイパネル等の一般のディスプレイは、室内外での使用を問わず、外光などが入射する環境下で使用される。この外光等の入射光は、ディスプレイ表面等において正反射され、それによる反射像が表示画像と混合することにより、画面表示品質を低下させてしまう。そのため、ディスプレイ表面等に反射防止機能を付与することは必須であり、反射防止機能の高性能化、反射防止機能以外の機能の複合化が求められている。
【0003】
一般に反射防止機能は、透明基材上に金属酸化物等の透明材料からなる高屈折率層と低屈折率層の繰り返し構造による多層構造の反射防止層を形成することで得られる。これらの多層構造からなる反射防止層は、化学蒸着(CVD)法や、物理蒸着(PVD)法といった乾式成膜法により形成することができる(特許文献1参照)。乾式成膜法を用いて反射防止層を形成する場合にあっては、低屈折率層、高屈折率層の膜厚を精密に制御できるという利点がある一方、成膜を真空中でおこなうため、生産性が低く、大量生産に適していないという問題を抱えている。一方、反射防止層の形成方法として、大面積化、連続生産、低コスト化が可能である塗液を用いた湿式成膜法による反射防止膜の生産が注目されている(特許文献2、5参照)。
【0004】
また、これらの反射防止層がフィルム透明基材上に設けられている場合には、その表面が比較的柔軟であることから、表面硬度を付与するために、一般にアクリル多官能化合物の重合体からなるハードコート層を設け、その上に反射防止層を形成するという手法が用いられている(特許文献3,4,6,7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−39586号公報
【特許文献2】特開2003−205563号公報
【特許文献3】特開2006−35493号公報
【特許文献4】特開2001−233611号公報
【特許文献5】特開平7−133105号公報
【特許文献6】特開2002−79616号公報
【特許文献7】特開2006−106714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このハードコート層はアクリル樹脂の特性により、高い表面硬度、光沢性、透明性、耐擦傷性を有するが、絶縁性が高いために帯電しやすく、ハードコート層を設けた製品表面への埃等の付着による汚れや、ディスプレイ製造工程において、帯電することにより障害が発生するといった問題を抱えている。
そこでこれらの問題点を改良するために各種導電性材料を添加することが行われているが、導電性材料を添加することで基材とハードコートの屈折率差が生じ、干渉縞が発生してやすくなってしまう。
【0007】
これまでにいくつかの発明がなされているが、まず、基材とハードコート層の屈折率差を少なくするために、基材とハードコート層の間に中間層を設ける方式では、干渉縞が低減するだけに過ぎず、完全に消失するわけではない。
さらに、基材を溶解または膨潤させる溶剤を含む樹脂を用いてハードコート層を基材に塗布することによってハードコート層を形成することを特徴とする光学フィルムも提案されているが、基材を溶解または膨潤させる溶剤はおもに導電性材料(特に金属酸化微粒子)の分散を阻害するものであることが多く、干渉縞のない導電性ハードコート層の作製は困難である。
【0008】
これらの課題を解決する手段として、基材を溶解または膨潤させる溶剤と導電性材料が安定に分散される溶剤を組み合わせることを特徴とするハードコートフィルムも提案されている。
しかしながら、この発明はハードコート層についての記載が主であり、反射防止フィルムとしての記載が十分ではない。
【0009】
先に述べたように、反射防止フィルムとしての機能を発現するためには、ハードコート層上に反射防止層を積層する必要があり、ハードコート層を形成するための塗工方法としては、大面積化、低コスト化が有利であるウェットコーティング方式が挙げられる。しかし、塗布直後の溶剤乾燥を一定に保つことが容易でないことから、塗布後のレベリング不良に起因する塗布スジや、溶剤乾燥速度差に起因する乾燥ムラ、乾燥風で引き起こされる厚みムラである風ムラ、装置起因、基材搬送に伴う振動ムラ、などに挙げられる面状ムラが生じやすい。さらにこれらのムラによる凹凸が周期性をもつ場合、パネル化した際にディスプレイの画素ピッチと干渉し、モアレが発生するという不具合が起こる。
【0010】
これらのムラを改善するためには、塗液のレベリング性を上げることが有効であり、そのための有力な手段の一つとして、レベリング剤を添加する方法が挙げられる。
しかし、ウェットコーティング方式の場合、塗工時や乾燥工程において面性ムラが生じやすいため、塗膜の周期性を完全になくし、モアレの発生を抑制するためには、レベリング剤を添加するだけでは不十分な場合が多い。
【0011】
そこで、より優れた表面平滑性を発現する手段として、塗布液中に高沸点溶剤を用いることで、溶剤乾燥によるムラを低減し、レベリング性を向上させる方法が挙げられる。
このように塗液中における、基材を溶解または膨潤させる溶剤、及び高沸点溶剤の含有割合を調節することで、塗液の基材浸透性、及びレオロジーを制御し、ハードコート層表面の乾燥、あるいは振動によるスジ・ムラの発生を抑えつつ、干渉縞の発生を防ぎ、反射防止層との密着性を両立させることが可能となる。
本発明は、上記のような点に着目して、優れたハードコート層と反射防止層を備え、干渉縞の発生を抑え、平滑性に優れ、モアレの発生が無く、帯電防止性、透明性、密着性に優れた反射防止フィルムを形成可能なハードコート塗布液の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、透明基材表面への塗布によりハードコート層を形成するためのハードコート塗布液であって、
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に有する多官能性モノマーを含有する電離放射線硬化型樹脂と、ATO、ITO、Sb、TiO、ZnO、Ceの金属酸化物粒子のうち少なくとも1種類以上を含有する導電性材料に、透明基材を溶解または膨潤させる一種類以上の溶剤1と、導電性材料が安定に分散される溶剤2と、一種類以上の高沸点溶剤3と、が含有されていることを特徴とする。
【0013】
次に、請求項2に記載した発明は、前記電離放射線硬化型樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方からなり、その電離放射線硬化型樹脂が固形分に対して90重量部以上99重量部以下の範囲内に対し、導電性材料が固形分に対して10重量部以下1重量部以上の範囲内で含むことを特徴とする。
【0014】
次に、請求項3に記載した発明は、前記溶剤1は、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセトン、シクロヘキサノンのうち少なくとも1種類を含んでおり、
前記溶剤2は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ペンタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、セロソルブのうち少なくとも1種類を含んでおり、
前記溶剤3は、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、ブチルセロソルブのうち少なくとも1種類を含んでおり、
前記溶剤1が60重量部以上80重量部以下の範囲内であり、前記溶剤2が25重量部以下15重量部以上の範囲内であり、前記溶剤3が15重量部以下5重量部以上の範囲内であることを特徴とする。
【0015】
次に、請求項4に記載した発明は、透明基材の少なくとも片面に対しハードコート層及び低屈折率層がこの順番で積層された反射防止フィルムであって、
前記ハードコート層は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したハードコート塗布液を塗布することで形成されたことを特徴とする。
次に、請求項5に記載した発明は、前記ハードコート層のバインダマトリックス形成材料の固形分濃度が45%以上52%以下であり、前記反射防止層を積層した状態における、フィルム表面の中心線平均粗さRa(JIS B0601)が0.01μm以上0.002μm以下であることを特徴とする。
【0016】
次に、請求項6に記載した発明は、前記低屈折率層は、少なくとも1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマーと、低屈折率微粒子とを含有しており、低屈折率層の屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内に調整されていることを特徴とする。
次に、請求項7に記載した発明は、前記透明基材は、セルロース系フィルムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
従来のハードコート塗布液は、レベリング剤により塗膜平滑性を付与させている。しかし、ウェットコーティング方式により生じる塗工ムラ、及び乾燥ムラによる表面凹凸の周期性を抑制し、モアレの発生を防ぐには、それだけでは充分でない場合が多く、場合によっては低反射層との密着性が低下してしまうおそれがある。
これに対し、本発明に係るハードコート塗布液は、塗膜平滑性向上させる手段として高沸点溶剤を用いることで、塗膜平滑性の向上、低反射層との密着性が優れた反射防止フィルムを提供できる。
また高沸点溶剤を用いることにより、フィルム塗工時あるいは乾燥工程における塗液の蒸発速度を制御できることから、塗工時の基材に対する振動・乾燥ムラの影響を減少させることができ、つまり塗膜平滑性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る反射防止フィルムの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(反射防止フィルム)
まず、本実施形態の反射防止フィルムについて説明する。
本実施形態の反射防止フィルム10は、図1に示すように、透明基材11の少なくとも片面に、ハードコート層12、低屈折率層13を順次積層した積層体である。前記ハードコート層12は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマーを主成分とする電離放射線硬化型樹脂と導電性材料を主成分とする。前記ハードコート層12は、透明基材11を溶解または膨潤させる一種類以上の溶剤1及び導電性材料が安定に分散される溶剤2及び一種類以上の高沸点溶剤3とを含むハードコート塗布液を用いて形成される。図1では、透明基材11の上面(表面)にだけハードコート層12及び低屈折率層13を積層した例である。
【0020】
前記低屈折率層13は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマーを主成分とした低屈折率層13形成用樹脂とすることで、優れたハードコート層12と低屈折率層13を備え、干渉縞の発生を抑え、帯電防止性、透明性及び密着性に優れる反射防止フィルム10を提供可能となる。
また、前記透明基材11としては、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルムが用いられる。複屈折が少なく、透明性、屈折率、分散などの光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの諸物性の点に優れており、更に溶剤によって容易に溶解または膨潤する為、本発明においては他のフィルムよりも好ましい。
【0021】
前記透明基材11には、各種安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等が添加されていても良い。また、透明基材11の厚さは特に限定されるものではないが、20μm以上200μm以下が好ましい。さらにトリアセチルセルロースフィルムである場合には、38μm以上80μm以下が好ましい。
前記電離放射線硬化型樹脂とは、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂も包含するものであって、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマーを主成分とする。
【0022】
多官能性モノマーとしては、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ‐(メタ)アクリロイルオキシプロピネート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,3‐ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル[2.2.1]ヘプタン、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルヘキサン、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、10−デカンジオール(メタ)アクリレート、3,8−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.10]デカン、水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリンサンエステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エポキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。多官能モノマーは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、必要で有れば単官能モノマーと併用して共重合させることもできる。
【0023】
また、本発明にて好ましい多官能性モノマーとしてウレタンアクリレートも挙げられ、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有するアクリレートモノマーを反応させ容易に形成されるものを挙げることができる。
具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。また、これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、これらは塗液においてモノマーであってもよいし、一部が重合したオリゴマーであってもかまわない。
【0024】
光重合開始剤としては、例えば、2,2−エトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン等が挙げられる。これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。
光増感剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルフォスフィン系、β−チオジグリコール等のチオエーテル系をあげることが出来、これらを1種類あるいは2種類以上を混合して使用することもできる。
【0025】
さらに、性能改良のため、泡消剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤等を含有することもできる。
導電性材料としては、ATO(酸化アンチモン/酸化スズ)、ITO(酸化インジウム/酸化スズ)、Sb、TiO、ZnO、Ce等の金属酸化物微粒子が挙げられる。その中でも導電性に優れたATO微粒子の使用が望ましい。
また、前記ハードコート層12の構成として、電離放射線硬化型樹脂が固形分に対して90重量部以上99重量部以下の範囲であり、導電性材料が固形分に対して10重量部以下1重量部以上の範囲が好ましい。
【0026】
ハードコート層12における導電性材料が1重量部未満であると、十分な導電性を発現せず、一方10重量部を越えると金属酸化物微粒子による着色、光学散乱が発生してしまい、光学積層体としての十分な機能を発現しなくなる。
ハードコート層12の形成方法としては、ウェットコーティング法とされる、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等などにより、透明基材11の少なくとも片面に塗布することにより形成することができる。特に薄く、均一に層を形成する必要性があることより、マイクログラビアコーティング法を用いることが好ましい。
【0027】
また、厚い層を構成する必要が生じた場合には、ダイコーティング法を用いることも可能である。どちらの塗布方法もコーティングの際に高せん断速度がかかる方式である。
ハードコート層12を形成する際の硬化方法としては、例えば、紫外線照射、加熱等を用いることができる。紫外線照射の場合、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等を使用することができる。紫外線照射量は、通常100mJ/cm以上800mJ/cm以下である。
【0028】
また、ハードコート層12の膜厚は3μm以上あれば十分な強度となるが、塗工精度、取扱いから5μm以上10μm以下の範囲が好ましい。10μmを越える場合には硬化収縮による基材の反り、ゆがみ、基材折れが発生してしまうためである。さらに、膜厚としては、5μm以上7μm以下の範囲であるとハードコート層12としては非常に好ましい。
【0029】
ハードコート塗布液を構成する溶剤1は、セルロース系フィルム表面を溶解または膨潤させる溶剤として、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類が挙げられる。これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。なかでも、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセトン、シクロヘキサノンを溶剤1として好適に用いることができる。
【0030】
ハードコート塗布液を構成する溶剤2は、金属酸化物微粒子の凝集等を起こすことなく安定した塗液状態を維持することを目的としており、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類、またメチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、さらにメチルセロソルブ、セロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類が挙げられる。これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。なかでも、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ペンタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、セロソルブを溶剤2として好適に用いることができる。
【0031】
ハードコート塗布液を構成する溶剤3は、塗工工程における塗液の乾燥速度を抑制し、塗工ムラや乾燥ムラを抑え、表面平滑性を向上させることを目的としており、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、キシロール、酢酸メトキシブチル等の沸点が高く、蒸発速度が遅い溶剤が適している。これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。なかでも、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、ブチルセロソルブを溶剤3として好適に用いることができる。
【0032】
これら溶剤1、溶剤2及び溶剤3は、溶剤1が60重量部以上80重量部以下、溶剤2が25重量部以下15重量部以上、溶剤3が15重量部以下5重量部以上の範囲内であり、溶剤1、溶剤2、溶剤3を合わせた時に100重量部となるように調液することが好ましい。
溶剤1が60重量部未満であると、セルロース系フィルム表面を溶解・膨潤させるのに十分でなく、干渉縞の発生及びハードコート層12の密着性低下を引き起こしてしまう。一方、溶剤1が80重量部を越えると、導電性材料が塗液中にて不安定になってしまい、微粒子の凝集等の不具合がおこってしまう。
【0033】
(低屈折率層13)
本発明の反射防止フィルム10は、低屈折率層13を有しており、ハードコート層12の上に形成される。これによって反射防止フィルム10における反射防止機能等の光学特性を良好なものとすることができる。
低屈折率層13は、ハードコート層12よりも低い屈折率を有するものが好ましい。本発明の好ましい形態としては、ハードコート層12の屈折率が1.5以上であり、低屈折率層13の屈折率が1.5未満であり、より好ましくは1.45以下、更に好ましくは1.35以下である。屈折率が1.5以上であると低屈折率層13とハードコート層12の屈折率差が小さいために反射が高くなってしまうことから、屈折率は低い方が望ましい。
【0034】
低屈折率層13の形成は、例えば次の方法を採用する。すなわち、低屈折率層13形成用樹脂として1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマー、中空シリカ微粒子、及び必要に応じて添加剤(重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等)を溶剤に溶解又は分散してなる溶液又は分散液を低屈折率層13形成用組成物として用い、前記組成物による塗膜を形成し、紫外線照射あるいは加熱等により硬化させることで低屈折率層13を得る。なお、重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等の添加剤は公知のものを使用することができる。
前記低屈折率層13形成用樹脂の1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマーとしては、ハードコート層12形成時に用いる電離放射線硬化型樹脂にて記載している樹脂等を使用することができる。
【0035】
低屈折率層13は、通常、揮発性溶媒に希釈して塗布される。希釈溶媒として用いられるものは、組成物の安定性、ハードコート層12に対する濡れ性、揮発性などを考慮して、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。中でも、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、PGME、PGMEAが好ましい。また、組成物の調製方法は、成分を均一に混合できれば良く、公知の方法に従って実施すれば良く、公知の装置を使用して混合分散することができる。
【0036】
低屈折率層13は、前述したウェットコーティング法により表面処理を行ったハードコート層12上に塗工され、加熱乾燥により塗膜中の溶媒を揮発させ、その後、加熱、紫外線照射、電子線照射等を行い塗膜を硬化させる。また、低屈折率層13の形成は、前記ハードコート層12の形成方法と同様にマイクログラビア法を用いると好ましい。
なお、低屈折率層13を形成する時の膜厚(nm)dAは、下記式(1)を満足するものが好ましい。
dA=mλ/(4nA)・・・(1)
ここで、式(1)中、nAは低屈折率層13の屈折率を表し、mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の具体的な実施例について詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
前記実施形態に基づき、図1に示すように、第1の透明基材11としては、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
第1の透明基材11上に、ハードコート層処方を撹拌混合した塗布液を、バーコーティング法により乾燥後の膜厚が6μm程度になるように塗布、乾燥させ、高圧水銀灯により600mJ/cmの紫外線を照射し、ハードコート層を形成した。
【0038】
前記ハードコート層処方においては、以下の処方にておこなった。
<ハードコート層処方>
・ウレタンアクリレート(UV−1700B 日本合成化学社製) 90重量部
・導電性金属酸化物(五酸化アンチモン、屈折率n=1.60) 10重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー184 チバ・ジャパン社製) 5.0重量部
・溶剤1:アセトン 70重量部
・溶剤2:エタノール 20重量部
・溶剤3:アセチルアセトン 10重量部
上記ハードコート層の上に、低屈折率層処方をおこなった塗布液を塗布した後、温度50℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が300mJになるように照射して塗膜を硬化させることにより、0.2g/cm乾燥時)の低屈折率層を形成させて、反射防止フィルムを作製した。
【0039】
前記低屈折率層処方においては、以下の処方にておこなった。
<低屈折率層処方>
・中空シリカ微粒子(該シリカ微粒子の固形分は20重量%溶液;メチルイソブチルケトン、粒子径50ナノメートル) 70重量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 30重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー127 チバ・ジャパン社製) 3.0重量部
・メチルイソブチルケトン 50重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME) 50重量部
【0040】
(実施例2)
前記(実施例1)同様に、以下のハードコート層処方においてハードコート層を形成した。
<ハードコート層処方>
・ウレタンアクリレート(UV−1700B 日本合成化学社製) 90重量部
・導電性金属酸化物(五酸化アンチモン、屈折率n=1.60) 10重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー184 チバ・ジャパン社製) 5.0重量部
・溶剤1:アセトン 65重量部
・溶剤2:エタノール 20重量部
・溶剤3;ダイアセトンアルコール 15重量部
それ以外の形成方法及び低屈折率層の形成においては、(実施例1)と同様にして光学積層体を作製した。
【0041】
(実施例3)
前記(実施例1)同様に、以下のハードコート層処方においてハードコート層を形成した。
<ハードコート層処方>
・ウレタンアクリレート(UV−1700B 日本合成化学社製) 95重量部
・導電性金属酸化物(五酸化アンチモン、屈折率n=1.60) 5重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー184 チバ・ジャパン社製) 3.5重量部
・溶剤1:アセトン 70重量部
・溶剤2:エタノール 20重量部
・溶剤3:アセチルアセトン 10重量部
それ以外の形成方法及び低屈折率層の形成においては、(実施例1)と同様にして光学積層体を作製した。
【0042】
(実施例4)
前記(実施例1)同様に、以下のハードコート層処方においてハードコート層を形成した。
<ハードコート層処方>
・ウレタンアクリレート(UA306H 共栄社化学社製) 90重量部
・導電性金属酸化物(五酸化アンチモン、屈折率n=1.60) 10重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー184 チバ・ジャパン社製) 3.5重量部
・溶剤1:酢酸エチル 70重量部
・溶剤2:イソブチルアルコール 20重量部
・溶剤3:アセチルアセトン 10重量部
それ以外の形成方法及び低屈折率層の形成においては、(実施例1)と同様にして光学積層体を作製した。
本発明の溶剤組成による性能と比較するための比較例として(比較例1)、(比較例2)及び(比較例3)、その他性能を比較するため(比較例4)を作製した。
【0043】
(比較例1)
前記(実施例1)同様に、以下のハードコート層処方においてハードコート層を形成した。
<ハードコート層処方>
・ウレタンアクリレート(UV−1700B 日本合成化学社製) 90重量部
・導電性金属酸化物(五酸化アンチモン、屈折率n=1.60) 10重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー184 チバ・ジャパン社製) 5.0重量部
・溶剤1:アセトン 50重量部
・溶剤2:エタノール 35重量部
・溶剤3:アセチルアセトン 15重量部
それ以外の形成方法及び低屈折率層の形成においては、(実施例1)と同様にして光学積層体を作製した。
【0044】
(比較例2)
前記(実施例1)同様に、以下のハードコート層処方においてハードコート層を形成した。この際、乾燥風が直接塗布面に当たらないようにして、風ムラが発生しないようにして実施した。
<ハードコート層処方>
・ウレタンアクリレート(UV−1700B 日本合成化学社製) 90重量部
・導電性金属酸化物(五酸化アンチモン、屈折率n=1.60) 10重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー184 チバ・ジャパン社製) 5.0重量部
・溶剤1:アセトン 85重量部
・溶剤2:エタノール 10重量部
・溶剤3:アセチルアセトン 5重量部
それ以外の形成方法及び低屈折率層の形成においては、(実施例1)と同様にして光学積層体を作製した。
【0045】
(比較例3)
<ハードコート層処方>
・ウレタンアクリレート(UV−1700B 日本合成化学社製) 90重量部
・導電性金属酸化物(五酸化アンチモン、屈折率n=1.60) 10重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー184 チバ・ジャパン社製) 5.0重量部
・溶剤1:アセトン 70重量部
・溶剤2:エタノール 30重量部
・溶剤3:アセチルアセトン 0重量部
それ以外の形成方法及び低屈折率層の形成においては、(実施例1)と同様にして光学積層体を作製した。
【0046】
前記(実施例1)、(実施例2)、(実施例3)、(比較例1)、(比較例2)(比較例3)の、それぞれの反射防止フィルムの性能は、下記の方法に従って評価した。評価結果について表1に示す。
「表面粗さ(中心線平均粗さRa)
得られた反射防止フィルムについて、低屈折率層表面の中心線平均粗さRaをJIS B0601に準拠して求めた。
【0047】
「干渉縞観察」
得られた反射防止フィルムについて、透明基材11であるトリアセチルセルロースフィルムのうち低屈折率層の形成されていない面につや消し黒色塗料を塗布したのち、蛍光灯(三波長蛍光灯)直下で低屈折率層表面の干渉縞を目視にて確認した。
目視にて確認した評価は、
○:暗い環境下でも色ムラが確認されない。
×:暗い環境下でも色ムラがはっきりと確認される。
【0048】
「モアレ観察」
得られた反射防止フィルムを、A3ケミカルガラスの両面に貼り付けた状態で、46インチの液晶ディスプレイを緑色表示にし、ガラスとディスプレイ表面のギャップを1mmにした状態でモアレを目視にて確認した。
目視にて確認した評価は、
○:暗い環境下においてモアレが確認されない。
×:暗い環境下においてモアレがはっきりと確認される。
【0049】
(b)表面抵抗値
「表面抵抗」
得られた反射防止フィルムの低屈折率層表面の表面抵抗値を、JIS−K6911−1994に準拠して高抵抗抵抗率計(株式会社ダイアインスツルメンツ社製、ハイレスターMCP−HT260)を用いて測定した。
【0050】
(c)機械強度
「耐擦傷性試験」
学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製、AB−301)を用いて、光学積層体の低屈折率層表面に250g/cmの荷重をかけたスチールウール(日本スチールウール社製、ボンスター#0000)を用い、10往復擦り、擦り跡やキズなどによる外観の変化を目視で評価した。
目視にて確認した評価は、
○:傷を確認することが出来ない。
△:数本傷を確認できる。
×:傷が多数確認できる。
【0051】
「密着性試験」
得られた反射防止フィルムについて、塗料一般試験法JIS−K5400−1990の付着性試験方法(碁盤目テープ法)に準拠して、低屈折率層表面の塗膜の残存数にて評価した。
目視にて確認した評価は、
○:剥離が確認することが出来ない。
△:20マス以下の剥離が確認できる。
×:20マス以上の剥離が確認できる。
このフィルムの性能評価結果を(表1)に示す。
【0052】
【表1】


【0053】
表1から分かるように、(実施例1)、(実施例2)、(実施例3)、(実施例4)で得られた本発明の反射防止フィルムは、耐擦傷性に優れ、干渉縞が認められず、モアレが観測されない優れた塗膜平滑性を有するハードコート層と反射防止層を備えるものである。
これに対して(比較例1)で得られた本発明の反射防止フィルムは、基材に対して浸透性をもつ溶剤1の含有量が少ないため、基材を充分溶解することができず、干渉縞が発生し、耐擦傷性が低下してしまった。(比較例2)は、塗液状態を安定に保つ役割の溶剤2が含まれていないため、金属酸化物微粒子の凝集が起こり、調液後塗液がゲル化してしまった。(比較例3)は、塗液の遅口化により塗膜の表面平滑性を高めるための溶剤3が含まれていないため、塗膜表面の凹凸を抑制できず、モアレが発生してしまった。
【符号の説明】
【0054】
10 反射防止フィルム
11 透明基材
12 ハードコート層
13 低屈折率層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材表面への塗布によりハードコート層を形成するためのハードコート塗布液であって、
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に有する多官能性モノマーを含有する電離放射線硬化型樹脂と、ATO、ITO、Sb、TiO、ZnO、Ceの金属酸化物粒子のうち少なくとも1種類以上を含有する導電性材料に、透明基材を溶解または膨潤させる一種類以上の溶剤1と、導電性材料が安定に分散される溶剤2と、一種類以上の高沸点溶剤3と、が含有されていることを特徴とするハードコート塗布液。
【請求項2】
前記電離放射線硬化型樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方からなり、その電離放射線硬化型樹脂が固形分に対して90重量部以上99重量部以下の範囲内に対し、導電性材料が固形分に対して10重量部以下1重量部以上の範囲内で含むことを特徴とする請求項1に記載したハードコート塗布液。
【請求項3】
前記溶剤1は、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセトン、シクロヘキサノンのうち少なくとも1種類を含んでおり、
前記溶剤2は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ペンタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、セロソルブのうち少なくとも1種類を含んでおり、
前記溶剤3は、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、ブチルセロソルブのうち少なくとも1種類を含んでおり、
前記溶剤1が60重量部以上80重量部以下の範囲内であり、前記溶剤2が25重量部以下15重量部以上の範囲内であり、前記溶剤3が15重量部以下5重量部以上の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したハードコート塗布液。
【請求項4】
透明基材の少なくとも片面に対しハードコート層及び低屈折率層がこの順番で積層された反射防止フィルムであって、
前記ハードコート層は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したハードコート塗布液を塗布することで形成されたことを特徴とする反射防止フィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層のバインダマトリックス形成材料の固形分濃度が45%以上52%以下であり、前記反射防止層を積層した状態における、フィルム表面の中心線平均粗さRa(JIS B0601)が0.01μm以上0.002μm以下であることを特徴とする請求項4に記載した反射防止フィルム。
【請求項6】
前記低屈折率層は、少なくとも1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマーと、低屈折率微粒子とを含有しており、低屈折率層の屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内に調整されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載した記載の反射防止フィルム。
【請求項7】
前記透明基材は、セルロース系フィルムであることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載した反射防止フィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2012−68415(P2012−68415A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212809(P2010−212809)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】